説明

金属イオンと結合しない増粘剤を含むパーソナルケア組成物

有効量の亜鉛含有物質、界面活性剤、カチオン性又は非イオン性の増粘ポリマーあるいはこれらの混合物を含むパーソナルケア組成物。本発明は、少なくとも1つの相が有効量の亜鉛含有物質を含む少なくとも2つの相と、少なくとも1つの界面活性剤と、少なくとも1つのカチオン性又は非イオン性の増粘ポリマーあるいはこれらの混合物とを含む多相パーソナルケア組成物でもよい。本発明において、少なくとも1つのカチオン性又は非イオン性の増粘ポリマーあるいはこれらの混合物は、亜鉛含有物質由来の亜鉛イオンとまったく結合しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の特定の実施形態は、パーソナルケア組成物、及び皮膚又は頭皮における微生物及び真菌感染症を処置する方法に関する。更に、本発明の特定の実施形態は、ふけを処置する方法、及び改善された抗ふけ活性を与える組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
微量金属のうち、亜鉛は、人体で2番目に豊富な金属であり、多種多様な金属酵素に含まれることでほぼすべてのバイオプロセスを直接的又は間接的に触媒する。亜鉛の果たす重要な役割は、皮膚炎、拒食症、脱毛症、及び全体的成長障害を含めた食事性欠乏症状とは区別することができる。亜鉛は、皮膚の健康に特に重要であると考えられ、3000年以上にわたって様々な皮膚症状を抑制するために(通常は酸化亜鉛又はカラミンの形態で)使用されてきた。
【0003】
酸化亜鉛のような無機塩は、塗料、コーティング及び防腐剤を含む多種多様な製品で静菌性及び/又は静真菌性の化合物として使用されてきた。しかし、亜鉛塩は、多くの抗ふけ用途及びスキンケア用途に望まれるだけの高いレベルの殺生物効果を持たない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パーソナルケア組成物のレオロジー的特性は、消費者の許容性に大きく影響する。高レオロジーへと移行するためには、金属イオンとまったく結合しない増粘剤の発見が重要である。高分子増粘剤の3つの部類(カチオン性、アニオン性、非イオン性)のうち、アニオン性増粘剤は、金属イオンと結合して消費者の許容しがたい組成物を生み出し易い傾向がある。カチオン性及び非イオン性の増粘剤では、処方の効果を弱めずにこれらのシステムのレオロジー特性を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、有効量の亜鉛含有物質、界面活性剤、カチオン性又は非イオン性の増粘ポリマーあるいはこれらの混合物を含むパーソナルケア組成物に関する。
【0006】
本発明は、少なくとも1つの相が有効量の亜鉛含有物質を含む少なくとも2つの相と、少なくとも1つの界面活性剤と、少なくとも1つのカチオン性又は非イオン性の増粘ポリマーあるいはこれらの混合物とを含む多相パーソナルケア組成物でもよい。
【0007】
本発明において、少なくとも1つのカチオン性又は非イオン性の増粘ポリマーあるいはこれらの混合物は、亜鉛含有物質由来の亜鉛イオンとまったく結合しない。
【0008】
本発明のこれら及びその他の特徴、態様、及び利点が、当業者には本開示を読むことで明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
パーソナルケア組成物の必須構成成分を以下に説明する。また、本発明の実施例において有用なさまざまな任意構成成分及び好ましい実施形態の非限定的な説明も含まれる。本発明を特に指摘し、そして明確に特許請求している特許請求の範囲をもって本明細書は結論づけられるが、本発明は以下の説明からより良く理解されると考えられる。
【0010】
百分率、部、及び比率はすべて、特に指定されない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。列挙する成分に関連するこのようなすべての重量は、活性レベルに基づくので、特に指定しない限り、市販の物質に包含される場合があるキャリアや副生成物を包含しない。「重量百分率」という用語は、本明細書では「重量%」として表示されてもよい。特に記載のない限り、全ての比率は重量比である。
【0011】
本発明の様々な実施形態の、任意に追加し得るものを含めた構成成分及び/又は工程について、以下で詳細に説明する。
【0012】
特に記載のない限り、全ての温度は摂氏である。
【0013】
特に指摘される場合を除き、分量、百分率、部分、及び割合を包含するすべての量は、「約」という言葉により修正されると理解され、量は有効数字を示すことを意図しない。
【0014】
特に記載のない限り、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、「1つ又はそれ以上」を意図する。
【0015】
本明細書では、「含む」とは、最終結果に影響を及ぼさない他の工程及び他の成分を加えることができることを意味する。この用語は、「から成る」及び「により本質的に成る」を包含する。本発明の組成及び方式/方法は、本明細書に記載の発明の必須要素及び制限事項、並びに本明細書に記載されている追加成分若しくは任意成分、構成要素、工程、又は制限事項のいずれかを含むこと、これらから成ること、あるいはこれらから本質的に成ることができる。
【0016】
本明細書において「有効な」とは、処置する症状の著しく好ましい改善をもたらすのに十分高い対象活性物質の量を意味する。対象活性物質の有効量は、処置する特定の症状、症状の重さ、処置期間、併用している処置の性質及び同様の要因により変化する。
【0017】
本明細書では、「混合物類」とは、物質類の単純な組み合わせ、及びそれらの組み合わせの結果として生じる可能性のあるいかなる化合物類も包含することを意味する。
【0018】
本明細書で使用する時、「視覚的に区別可能」という用語は、各相によって占有される領域が、互いに接して区別可能に分離した領域としてヒトの目で別々に見ることができる(すなわち、それらが、約100ミクロン未満の粒子のエマルションもしくは分散液ではない)ことを意味する。
【0019】
本明細書で使用する時、「目に見えて透明」という用語は、組成物の透過率が60%を超える、好ましくは80%を超えることを意味する。組成物の透明性は、紫外線/可視(UV/VIS)分光測光法を用いて測定されるが、これは試料による紫外線/可視光の吸収もしくは透過を測定する。600nmの光波長は、化粧品組成物の透明度を特徴付けするために適切であることが示されてきた。典型的には、用いられる特定の分光光度計に関係する特定の指示に従うことが最良である。一般に、パーセント透過率を測定するための手順は、分光光度計を600nmに設定することにより開始する。次に較正用「ブランク」を実行して、計測値を透過率100%に較正する。次に試験試料を、特定の分光光度計に適合するように設計されたキュベット中に設置し、600nmで分光光度計により透過率を測定する。
【0020】
用語「多相の(multi-phased)」もしくは「多相(multi-phase)」は、本明細書で使用する時、少なくとも2つの相が、それらが保存されている包装内に別個に区別可能な物理的空間を占有しているが、互いに直接接している(すなわち、これらは境界により分離されているのではなく、そして乳化しているのでもない)ことを意味する。本発明の一つの好ましい実施形態において、少なくとも2つの相を含む「多相の」パーソナルケア組成物が、視覚的に区別可能な模様として容器内に存在する。この模様は、「多相の」組成物を混合又は均質化した結果として生じる。この模様には、ストライプ模様、大理石模様、直線的模様、中断ストライプ模様、チェック模様、斑点模様、すじ模様、クラスター模様、斑紋模様、幾何学模様、まだら模様、リボン模様、らせん模様(helical)、渦模様(swirled)、配列模様、ふ入り模様、織物模様、溝模様、隆起線模様、波形模様、正弦波模様、渦巻き模様(spiraled)、ねじれ模様、曲線模様、周期模様、縞模様、横紋模様、輪郭模様、不均等模様、レース模様、織り込み又は織り出し模様、バスケット織り模様、まだら模様、及びモザイク模様、が挙げられるがこれらには限定されない。好ましくは、模様は、縞模様、幾何学模様、大理石模様、及びこれらの組み合わせより成る群から選択される。好ましい実施形態において、ストライプ模様は、包装の寸法にわたって相対的に一様且つ均一であってもよい。あるいは、縞模様は、一様でなくてもよく、即ち波形であってもよいし、又は寸法において均一でなくてもよい。縞模様は、必ずしもパッケージ寸法全体にわたって伸びている必要はない。相は、多様な異なる色であってもよく、もしくは粒子、光沢、もしくは真珠光沢を含んでもよい。
【0021】
本明細書で使用する時、「パーソナルケア組成物」は、特に指示のない限り、本発明の組成物を指しており、当該組成物には、毛髪もしくは皮膚に局所適用するための組成物だけを含めるものとし、硬質表面クレンジング、布地もしくは洗濯クレンジング、及び毛髪もしくは皮膚への局所適用が主に意図されていない他の類似用途など、他の用途を主なる対象とする組成物は特に除外する。
【0022】
本発明は、有効量の亜鉛含有物質、界面活性剤、カチオン性又は非イオン性の増粘ポリマーあるいはこれらの混合物を含むパーソナルケア組成物に関する。
【0023】
本発明のパーソナルケア組成物は、シャンプー、コンディショナー、制汗剤、防臭剤、整髪用製品、クレンザー、石鹸、固形石鹸、ボディウォッシュ、化粧品、ファンデーション、ローション、クリーム、軟膏、及びヒドロアルコール性溶液を含んでよいが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本発明は、少なくとも1つの相が有効量の亜鉛含有物質を含む少なくとも2つの相と、少なくとも1つの界面活性剤と、少なくとも1つのカチオン性又は非イオン性の増粘ポリマーあるいはこれらの混合物とを含む多相パーソナルケア組成物でもよい。
【0025】
本発明において、少なくとも1つのカチオン性又は非イオン性の増粘ポリマーあるいはこれらの混合物は、亜鉛含有物質の亜鉛イオンとまったく結合しない。
【0026】
本発明の実施形態において、pHは約6.5〜約12、好ましくは約6.7〜約9、より好ましくは約6.8〜約8.2、更により好ましくは約7.0〜約8.0の範囲とすることができる。好ましい実施形態において、本発明のpHは約6.5を超える、より好ましくは約6.8を超える、更により好ましくは約7を超えてもよい。
【0027】
A.亜鉛含有物質
本発明の組成物は有効量の亜鉛含有物質を含む。本明細書において「亜鉛含有物質」又はZCMは、主物質により共有的に、及び/又はイオン的に、又は物理的に結合された亜鉛を含む物質を意味する。
【0028】
本発明の好ましい実施形態は、25℃にて組成物内での水溶解度が約25重量%未満、より好ましくは約20重量%未満、より好ましくは約15重量%未満である、有効量の亜鉛含有物質を含む。
【0029】
本発明の好ましい実施形態は、0.001%〜10%、より好ましくは0.01%〜5%、更により好ましくは0.1%〜3%の亜鉛含有物質を含む。
【0030】
好ましい実施形態において、亜鉛含有物質は、100nm〜30μmの平均粒径を有する。
【0031】
本発明の幾つかの実施形態に有用な亜鉛含有物質の例には、次のものが挙げられる。
無機物質:アルミン酸亜鉛、炭酸亜鉛、酸化亜鉛及び酸化亜鉛含有物質(即ち、カラミン)、リン酸亜鉛(即ち、オルトリン酸塩及びピロリン酸塩)、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、ケイ酸亜鉛(即ち、オルト−及びメタ−ケイ酸亜鉛)、ケイフッ化亜鉛、ホウ酸亜鉛、水酸化亜鉛及びヒドロキシ硫酸亜鉛、亜鉛含有層状物質、並びにこれらの組み合わせ。
【0032】
更に層状構造は、主として二次元で生じる結晶の成長を有するものである。層構造は、全ての原子が明確な層に組み込まれているものとしてだけではなく、ギャラリーイオン(gallery ion)と呼ばれる、層の間にイオン又は分子があるものとすることが慣例的である(A.F.ウェルズ(A. F. Wells)の「構造無機化学(Structural Inorganic Chemistry)」、クラレンドン出版(Clarendon Press)、1975年)。亜鉛含有層状物質(ZLM)は、層に組み込まれている亜鉛を有していてもよく、及び/又はギャラリーイオンの反応活性度の高い成分として亜鉛を有してもよい。
【0033】
多くのZLMが鉱物として自然発生する。一般例としては、水亜鉛鉱(炭酸水酸化亜鉛)、塩基性炭酸亜鉛、水亜鉛銅鉱(炭酸水酸化銅亜鉛)、亜鉛孔雀石(炭酸水酸化亜鉛銅)、及び亜鉛が含まれている多くの関連する鉱物が挙げられる。天然のZLMもまた発生可能であり、その際、粘土型鉱物(例えばフィロシリケート)のようなアニオン性層の種には、イオン交換した亜鉛ギャラリーイオンが含有されている。これらの天然物質の全てはまた、合成的に得ることもでき、又は組成物中にその場で若しくは製造プロセスの間に生じさせることもできる。
【0034】
ZLMの別の一般的種類で、常にではないが多くの場合合成であるものは、層状複水酸化物であり、これは一般に式[M2+1-x3+x(OH)2x+m-x/m・nH2Oによって表され、二価イオン(M2+)の一部又は全ては、亜鉛イオンとして表される(EL.クレパルディ(Crepaldi,EL)、PC.パバ(Pava,PC)、J.トロント(Tronto,J)、JB.バリム(Valim,JB)、コロイド界面科学誌(J.Colloid Interfac.Sci.2002、248、429-42)。
【0035】
ヒドロキシ複塩と呼ばれる、ZLMの更に他の種類を調製することができる(H.モリオカ(Morioka,H.)、H.タガヤ(Tagaya,H.)、M.カラス(Karasu,M)、J.カドカワ(Kadokawa,J)、K.チバ(Chiba,K)、無機化学(Inorg.Chem.)、1999年、38、4211〜6)。ヒドロキシ複塩は、一般式[M2+1-x2+1+x(OH)3(1-y)+n-(1=3y)/n・nH2Oにより表されることができ、その場合2つの金属イオンは異なってもよい;それらが同じでありまた亜鉛により表される場合は、式は[Zn1+x(OH)22x+2xA-・nH2Oに単純化される。この後者の式(式中、x=0.4)は、ヒドロキシ塩化亜鉛及びヒドロキシ硝酸亜鉛のような一般物質を表す。これらは、同様に水亜鉛鉱にも関連し、その際、二価のアニオンは一価のアニオンに置き換えられる。これらの物質はまた、組成物中にその場で又は製造プロセスの間に生じさせることもできる。
【0036】
ZLMのこれらの種類は、一般カテゴリーの比較的一般的な例を表すが、この定義に合うより広範囲の物質に関する限定を意図するものではない。
【0037】
天然の亜鉛含有物質/鉱石及び鉱物:スファレライト(閃亜鉛鉱)、ウルツ鉱、菱亜鉛鉱、フランクリン鉄鉱、紅亜鉛鉱、ケイ酸亜鉛鉱、トルースタイト、異極鉱、及びこれらの組み合わせ。
【0038】
有機塩:脂肪酸亜鉛塩(即ち、カプロエート、ラウレート、オレエート、ステアレートなど)、アルキルスルホン酸の亜鉛塩、ナフテン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、フィチン酸亜鉛、ジンクモノグリセロールエート(Zinc monoglycerolate)、ジンクアラントインエート(Zinc allantoinate)、尿酸亜鉛、アミノ酸亜鉛塩(即ち、メチオネート、フェニルアリナート(phenylalinate)、トリプトファナート、システイナートなど)、及びこれらの組み合わせ。
【0039】
高分子塩:ポリカルボン酸亜鉛(即ち、ポリアクリレート)、ポリ硫酸亜鉛、及びこれらの組み合わせ。
【0040】
物理的に吸着されている形態:亜鉛負荷イオン交換樹脂、粒子表面上に吸着された亜鉛、亜鉛塩が組み込まれた複合粒子(即ちそれらの核/殻又は集合体形態として)及びこれらの組み合わせ。
【0041】
亜鉛塩:シュウ酸亜鉛、タンニン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、クエン酸亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛、オレイン酸亜鉛、リン酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫化亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛など、及びこれらの混合物。好ましくは酸化亜鉛又は炭酸亜鉛塩基。
【0042】
酸化亜鉛の市販の供給元としては、Z−コート(Cote)及びZ−コートHPI(BASF)、並びにUSP I及びUSP II(ジンク・コーポレーション・オブ・アメリカ(Zinc Corporation of America))が挙げられる。
【0043】
炭酸亜鉛の市販の供給元としては、炭酸亜鉛塩基(Zinc Carbonate Basic)(ケイター・ケミカルズ(Cater Chemicals)、米国イリノイ州ベンセンビル)、炭酸亜鉛(Zinc Carbonate)(シェパード・ケミカルズ(Shepherd Chemicals)、米国オハイオ州ノーウッド)、炭酸亜鉛(Zinc Carbonate)(CPSユニオン社(CPS Union Corp.)、米国ニューヨーク州ニューヨーク)、炭酸亜鉛(Zinc Carbonate)(エレメンティス・ピグメンツ(Elementis Pigments)、英国ダーラム)、及び炭酸亜鉛AC(Zinc Carbonate AC)(ブリュッゲマン・ケミカル(Bruggemann Chemical)、米国ペンシルベニア州ニュートンスクエア)が挙げられる。
【0044】
pH7超過では不溶性になる亜鉛塩:酢酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、ヨウ化亜鉛、硫酸亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、硝酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、酒石酸亜鉛、吉草酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、セレン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、臭素酸亜鉛、ギ酸亜鉛、グリセロリン酸亜鉛、ピクリン酸亜鉛、酪酸亜鉛など、及びこれらの組み合わせ。
【0045】
ZCM溶解度特性の定義:溶解度が25%未満の亜鉛含有物質は、亜鉛化合物の重量パーセント及び分子量によって決定される閾値よりも低い、測定可能な可溶性亜鉛値(%)を有することになる。理論閾値は、以下の方程式(表の例を参照)により計算できる。
【0046】
【数1】

【0047】
【表1】

【0048】
B.洗浄性界面活性剤
本発明の組成物には洗浄性界面活性剤が含まれている。洗浄性界面活性剤成分は、組成物に洗浄性能を提供するために含有させる。そして、洗浄性界面活性剤成分は、アニオン性洗浄性界面活性剤、双性イオン性若しくは両性洗浄性界面活性剤、又はこれらの組み合わせを含む。このような界面活性剤は、本明細書に記載の必須成分と物理的及び化学的に適合性があるべきであり、そうでなければ過度に製品の安定性、審美性、又は性能を損なわないものでなければならない。
【0049】
本明細書の組成物中に用いるのに好適なアニオン性界面活性剤成分としては、ヘアケア又は他のパーソナルケア洗浄組成物での使用に既知のものが挙げられる。組成物中のアニオン性界面活性剤成分の濃度は、所望の洗浄及び気泡性能を提供するのに十分であるべきであり、一般に、組成物の約5%〜約50%、好ましくは約8%〜約30%、より好ましくは約10%〜約25%、更により好ましくは約12%〜約22%の範囲である。
【0050】
本組成物に用いるのに適した好ましいアニオン性界面活性剤はアルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートである。これらの材料は、それぞれの式、ROSO3M及びRO(C24O)xSO3Mを有し、式中、Rは約8〜約18個の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり、xは1〜10の値を有する整数であり、Mはアンモニウムのようなカチオン、トリエタノールアミンのようなアルカノールアミン、ナトリウム及びカリウムのような一価金属及びマグネシウム及びカルシウムのような多価金属である。
【0051】
アルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートの双方において、Rは、好ましくは約8〜約18個の炭素原子、より好ましくは約10〜約16個の炭素原子、更により好ましくは約12〜約14個の炭素原子を有している。アルキルエーテルサルフェートは、典型的にはエチレンオキシドと約8〜約24個の炭素原子を有する一価アルコールとの縮合生成物として形成される。アルコールは合成品又は脂肪(例えばココヤシ油、パーム核油、タロー)から誘導することができる。ココヤシ油又はパーム核油から誘導されたラウリルアルコール及び直鎖アルコールが好ましい。そのようなアルコールを、約0〜約10モル、好ましくは約2〜約5モル、より好ましくは約3モルのエチレンオキシドと反応させ、得られた分子種の混合物、例えばアルコール1モルにつき平均3モルのエチレンオキシドを有するものを、硫酸化し中和する。
【0052】
他の好適なアニオン性洗浄性界面活性剤は、式[R1−SO3−M]に従う有機の硫酸反応生成物の水溶性塩であり、式中、R1は約8〜約24個、好ましくは約10〜約18個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基であり;Mは上記に記載されたカチオンである。
【0053】
更に他の好適なアニオン性洗浄性界面活性剤は、イセチオン酸でエステル化し、水酸化ナトリウムで中和した脂肪酸の反応生成物(例えば、脂肪酸はココヤシ油又はパーム核油から誘導されたもの)であり、脂肪酸が例えばココヤシ油又はパーム核油から誘導されたメチルタウリドの脂肪酸アミドのナトリウム又はカリウム塩である。他の同様なアニオン性界面活性剤は、米国特許第2,486,921号、同第2,486,922号、及び同第2,396,278号に記載されている。
【0054】
本組成物に用いるのに好適な他のアニオン性洗浄性界面活性剤はスクシネートであり、その例としては、N−オクタデシルスルホコハク酸二ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸ジアンモニウム、N−(1,2−ジカルボキシエチル)−N−オクタデシルスルホコハク酸四ナトリウム、スルホコハク酸ナトリウムのジアミルエステル、スルホコハク酸ナトリウムのジヘキシルエステル、及びスルホコハク酸ナトリウムのジオクチルエステルが挙げられる。
【0055】
他の適切なアニオン性洗浄性界面活性剤としては、約10〜約24個の炭素原子を有するオレフィンスルホネートが挙げられる。真性アルケンスルホネート及び一部のヒドロキシ−アルカンスルホネートに加えて、オレフィンスルホネートは、反応条件、反応物質の比率、オレフィンストックにおける出発オレフィン及び不純物の性質、並びにスルホン化プロセス中の副反応により、アルケンジスルホネートのような少量の他の物質を含有することができる。このようなα−オレフィンスルホネート混合物の非限定例は、米国特許第3,332,880号に記載されている。
【0056】
本組成物に用いるのに好適なアニオン性洗浄性界面活性剤のもう1つの種類は、β−アルキルオキシアルカンスルホネートである。これらの界面活性剤は、次の式に従うものである
【0057】
【化1】

【0058】
ここで、R1は約6〜約20炭素原子を有する直鎖アルキル基であり、R2は約1〜約3炭素原子、望ましくは1炭素原子を有する低級アルキル基であり、Mは先に記載したような水溶性の陽イオンである。
【0059】
本組成物に用いられる好ましいアニオン性の洗浄性界面活性剤にはラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリン酸モノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム及びこれらの組み合わせが挙げられる。最も好ましいアニオン性の洗浄性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム及びラウレス硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0060】
本明細書の組成物において用いられる好適な両性又は双性イオン性洗浄性界面活性剤としては、ヘアケア又は他のパーソナルケア洗浄における使用が既知のものが包含される。こうした両性の洗浄性界面活性剤の濃度は、好ましくは、約0.5%〜約20%、好ましくは約1%〜約10%の範囲である。好適な双性イオン性又は両性の界面活性剤の非限定的な実施例は、米国特許第5,104,646号(Bolich Jr.他)及び第5,106,609号(Bolich Jr.他)に記載されている。
【0061】
本組成物に用いるのに好適な両性洗浄性界面活性剤は当該技術分野において周知であり、脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であることができる脂肪族第二級及び第三級アミンの誘導体として広く記述される界面活性剤が挙げられるが、その際、脂肪族置換基の1つは約8〜約18個の炭素原子を有し、1つはカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン性基を有している。本発明に用いるのに好ましい両性洗浄性界面活性剤としては、ココアンホ酢酸塩、ココアンホ二酢酸塩、ラウロアンホ酢酸塩、ラウロアンホ二酢酸塩及びこれらの混合物が挙げられる。
【0062】
本組成物に用いるのに好適な双性イオン性洗浄性界面活性剤は当該技術分野において周知であり、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記述される界面活性剤などが挙げられ、脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であることができ、その際、脂肪族置換基の1つは約8〜約18個の炭素原子を含有し、1つはカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン性基を含有する。ベタインのような双性イオンが好ましい。
【0063】
本発明の組成物は、上述のアニオン性洗浄性界面活性剤成分と組み合わせて用いるための追加の界面活性剤を更に含んでよい。好適な任意の界面活性剤としては、非イオン性及びカチオン性の界面活性剤が挙げられる。任意の追加の界面活性剤がまた組成物の必須成分に化学的及び物理的に適合性があるか、そうでなければ、製品性能、審美性、又は安定性を過度に損なわないならば、ヘアケア又はパーソナルケア製品に用いるための、当該技術分野において既知のいかなる前記界面活性剤を用いてもよい。本組成物における任意の追加の界面活性剤の濃度は、所望の洗浄又は起泡性能、選択した任意の界面活性剤、所望の製品濃度、組成物中の他の成分の有無、及び当該技術分野において周知の他の要因によって変えてもよい。
【0064】
本組成物に用いるのに好適なその他のアニオン性、双性イオン性、両性、又は任意の追加の界面活性剤の非限定的な例は、マカッチャン(McCutcheon)著「乳化剤及び洗剤(Emulsifiers and Detergents)」(2002年、年報、M.C.出版社(M. C.Publishing Co.)刊)、及び米国特許第3,929,678号、第2,658,072号、第2,438,091号、第2,528,378号に記載されている。
【0065】
C.増粘剤ポリマー
本発明のクレンジング相は、少なくとも1つの増粘剤を含む。好ましい増粘剤は、無機水増粘剤、高分子増粘剤、界面活性剤の層状構造化により増粘を促進する添加剤、有機結晶性増粘剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0066】
本発明の増粘剤は、親水性であり得る。増粘剤は、約20重量%未満、好ましくは約10重量%未満、及びより好ましくは約5重量%未満の量で存在してもよい。
【0067】
パーソナルケア組成物で使用する無機水増粘剤の非限定例には、シリカ類、粘土類、例えば合成シリケート類(サザン・クレー(Southern Clay)製ラポナイト(Laponite)XLG及びラポナイトXLS)、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0068】
パーソナルケア組成物で使用される高分子増粘剤の更なる非限定例には、セルロース性ゲル、ヒドロキシプロピルデンプンホスフェート(ナショナル・スターチ(National Starch)製ストラクチャー(Structure)XL)、ポリビニルアルコール、又はこれらの混合物が挙げられる。更に、パーソナルケア組成物で使用される高分子増粘剤の非限定例には、合成ガム、天然ガム、キサンタンガム(CPケルコ(CP Kelco)製ケトロル(Ketrol)CG−T)などの増粘剤、サクシノグリカン(ロディア(Rhodia)製レオザン(Rheozan))、ゲラムガム(gellum gum)、ペクチン、アルギネート、アルファ化デンプン、加工デンプン、又はこれらの混合物などのデンプン、アクリレート類/アミノアクリレート類/CD−30アクリルPEG−20イタコン酸コポリマー(ナショナル・スターチ(National Starch)製ストラクチャープラス(Structure Plus))が挙げられる。
【0069】
パーソナルケア組成物で使用される界面活性剤の層状構造化により増粘を促進する添加剤の非限定例には、脂肪酸アミド、脂肪族アルコール、脂肪酸又はこれらのエステル誘導体、電解質、及びこれらの混合物が挙げられる。使用可能な脂肪酸の例は、例えば、ラウリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エライジン酸、アリキドニン酸(arichidonic acid)、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸などのC10〜C22の酸である。エステル誘導体には、プロピレングリコール、イソステアレート、プロピレングリコールオレエート、グリセリルイソステアレート、グリセリルオレエート、ポリグリセリルジイソステアレートなどが挙げられる。
【0070】
パーソナルケア組成物で使用される有機結晶性増粘剤の非限定例には、望ましくは約16〜約22の炭素原子を有する、脂肪酸のエチレングリコールエステルが挙げられる。その他の長鎖アシル誘導体としては、長鎖脂肪酸の長鎖エステル(例えば、ステアリルステアレート、セチルパルミテートなど)、長鎖アルカノールアミドの長鎖エステル(例えば、ステアラミドジエタノールアミドジステアレート、ステアラミドモノエタノールアミドステアレート)、及びグリセリルエステル(例えば、グリセリルジステアレート、トリヒドロキシステアリン、トリベヘニン)であり、その市販例はレオックス社(Rheox, Inc.)より入手可能なチキシン(Thixin)Rである。その他の好適な増粘剤は、ステアリルジメチルアミンオキシドなどアルキル(C16〜C22)ジメチルアミドオキシドである。さらに長鎖アシル誘導体、長鎖カルボン酸のエチレングリコールエステル、長鎖アミンオキシド、及び長鎖カルボン酸のアルカノールアミドも本明細書で有用である。
【0071】
本発明において、カチオン性又は非イオン性の増粘ポリマーあるいはこれらの混合物は、亜鉛含有物質由来の亜鉛イオンとまったく結合しない。
【0072】
1.カチオン性増粘ポリマー
本発明の組成物は、カチオン性ポリマーを含有してよい。好ましいカチオン性ポリマーは、少なくとも約0.7meq/g、好ましくは少なくとも約1.2meq/g、より好ましくは少なくとも約1.5meq/gのカチオン電荷密度を有するが、しかしまた組成物の意図される用途のpH(一般に、pH約3〜pH約9、好ましくはpH約4〜pH約8の範囲)において、好ましくは約7meq/g未満、より好ましくは約5meq/g未満のカチオン電荷密度を有する。本明細書においてポリマーの「カチオン電荷密度」とは、ポリマーの分子量に対するポリマー上の正電荷数の比率を指す。このような好適なカチオン性ポリマーの平均分子量は一般に約10,000〜10,000,000、好ましくは約50,000〜約5,000,000、より好ましくは約100,000〜約3,000,000である。
【0073】
本発明の組成物に用いるのに好適なカチオン性ポリマーは、第四級アンモニウムのようなカチオン性窒素含有部分又はカチオン性プロトン化アミノ部分を有している。カチオン性プロトン化アミンは、組成物の特定の化学種及び選択したpHに応じて、第一級、第二級又は第三級アミン(好ましくは第二級又は第三級)にすることができる。カチオン性ポリマーに関連して、いかなるアニオン性対イオンを使用することもできるが、そのポリマーが、水、組成物、又は組成物のコアセルベート相に可溶性なままであること、また、その対イオンが、組成物の必須成分と物理的及び化学的に適合性があり、そうでなければ製品の性能、安定性、又は審美性を過度に損なわないことを条件とする。このような対イオンの非限定例としては、ハロゲン化物(例えば、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物)、サルフェート及びメチルサルフェートが挙げられる。
【0074】
このようなポリマーの非限定例は、エストリン(Estrin)、クロスリー(Crosley)及びヘインズ(Haynes)編のCTFA化粧品成分辞典(CTFA Cosmetic Ingredient Dictionary)、第3版(トイレ化粧品・香料工業協会(The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association, Inc.)、ワシントンD.C.(1982年))に記載されている。
【0075】
好適なカチオン性ポリマーの非限定的例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキル及びジアルキルアクリルアミド、アルキル及びジアルキルメタクリルアミド、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、ビニルカプロラクトン又はビニルピロリドンのような、水溶性スペーサーモノマーと、カチオン性プロトン化アミン又は第四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーとのコポリマーが挙げられる。
【0076】
本明細書の組成物のカチオン性ポリマーに含めるための好適なカチオン性プロトン化アミノ及び第四級アンモニウムモノマーとしては、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、モノアルキルアミノアルキルアクリレート、モノアルキルアミノアルキルメタクリレート、トリアルキルメタクリルオキシアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアクリルオキシアルキルアンモニウム塩、ジアリル第四級アンモニウム塩で置換されたビニル化合物、並びに、例えばアルキルビニルイミダゾリウム、アルキルビニルピリジニウム、アルキルビニルピロリドン塩などの、ピリジニウム、イミダゾリウム、及び第四級ピロリドンのような環状カチオン性窒素含有環を有するビニル第四級アンモニウムモノマーが挙げられる。
【0077】
組成物に用いる他の好適なカチオン性ポリマーとしては、1−ビニル−2−ピロリドンと1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム塩(例えば、塩化物)のコポリマー(トイレ化粧品・香料工業協会(Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association)「CTFA」により、産業界で、ポリクオタニウム(Polyquaternium)−16と呼ばれている)、1−ビニル−2−ピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(産業界で、CTFAにより、ポリクオタニウム−11と呼ばれている)、カチオン性ジアリル第四級アンモニウム含有ポリマー、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマー、アクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドのコポリマー(産業界で、CTFAにより、それぞれポリクオタニウム6及びポリクオタニウム7と呼ばれている)、アクリル酸の両性コポリマー、例えば、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドのコポリマー(産業界で、CTFAにより、ポリクオタニウム22と呼ばれている)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリド及びアクリルアミドとのターポリマー(産業界で、CTFAにより、ポリクオタニウム39と呼ばれている)、並びにアクリル酸とメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド及びメチルアクリレートとのターポリマー(産業界で、CTFAにより、ポリクオタニウム47と呼ばれている)が挙げられる。好ましいカチオン性置換モノマーは、カチオン性置換ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、及びこれらの組み合わせである。これらの好ましいモノマーは、次の式に従う:
【0078】
【化2】

式中、R1は水素、メチル又はエチルであり、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して、水素又は約1〜約8個の炭素原子、好ましくは約1〜約5個の炭素原子、より好ましくは約1〜約2個の炭素原子を有する短鎖アルキルであり、nは約1〜約8、好ましくは約1〜約4の値を有する整数であり、Xは対イオンである。R2、R3及びR4に結合する窒素はプロトン化したアミン(第一級、第二級又は第三級)であってもよいが、好ましくは第四級アンモニウムであり、その際、各R2、R3及びR4はアルキル基であり、その非限定例はポリメタクリルアミドプロピル(polymethyacrylamidopropyl)塩化トリモニウムであり、米国ニュージャージー州クランベリー(Cranberry)のローヌ・プーラン(Rhone-Poulenc)より、ポリケア(Polycare)133の商標名で入手可能である。
【0079】
組成物に用いられるその他の好適なカチオン性ポリマーには、カチオン性セルロース誘導体及びカチオン性デンプン誘導体のような多糖類ポリマーが挙げられる。好適なカチオン性多糖類ポリマーは、下式に合致するものを含む
【0080】
【化3】

式中、Aはデンプン又はセルロース無水グルコース残基のような無水グルコース残基であり;Rはアルキレンオキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、又はヒドロキシアルキレン基、又はこれらの組み合わせであり;R1、R2、及びR3は、独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、又はアルコキシアリール基であり、各基は約18個までの炭素原子を含有し、各カチオン性部分の炭素原子の総数(すなわち、R1、R2及びR3中の炭素原子の合計)は、好ましくは約20以下であり;Xは、前述のようにアニオン性対イオンである。
【0081】
好ましいカチオン性セルロースポリマーは、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースの塩であり、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム10と呼ばれており、アマコール社(Amerchol Corp.)(米国、ニュージャージー州エジソン(Edison))よりポリマーの、ポリマー(Polymer)LR、JR及びKGシリーズとして入手可能である。カチオン性セルロースのその他の好適な種類としては、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム24と呼ばれる、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースのポリマーの第四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの物質は、アマコール社(Amerchol Corp.)より、ポリマーLM−200の商標名で入手可能である。
【0082】
その他の好適なカチオン性ポリマーとしては、グアーヒドロキシプロピル塩化トリモニウムのようなカチオン性グアーガム誘導体が挙げられ、その具体例としては、ローヌ・プーラン社(Rhone-Poulenc Incorporated)より市販されているジャガー(Jaguar)シリーズ、及びハーキュレス社(Hercules,Inc.)のアクアロン部門(Aqualon Division)より市販されているN−ハンス(N-Hance)シリーズが挙げられる。その他の好適なカチオン性ポリマーには、四級窒素含有セルロースエーテルが挙げられ、その幾つかの例が米国特許第3,962,418号に記載されている。他の好適なカチオン性ポリマー類には、エーテル化セルロース、グアー及びデンプンのコポリマー類が挙げられ、そのいくつかの例が、米国特許第3,958,581号に記載されている。本明細書のカチオン性ポリマーを用いる場合、そのポリマーは本組成物に可溶性であるか、又はカチオン性ポリマーと上述のアニオン性、両性及び/若しくは双性イオン性の洗浄性界面活性剤成分とによって形成された組成物中の複合コアセルベート相に可溶性であるかのいずれかである。カチオン性ポリマーの複合コアセルベートはまた、組成物中の他の荷電物質で形成させることもできる。
【0083】
複合コアセルベートの形成の分析技術は、当該技術分野において既知である。例えば、選択したいかなる希釈段階においても、組成物の顕微鏡分析は、コアセルベート相が形成されたか否かを確認するために使用できる。このようなコアセルベート相は、組成物中の更なる乳化相として確認できる。染料の使用は、コアセルベート相を組成物中に分散されたその他の不溶性の相と区別する際の一助となり得る。
【0084】
2.非イオン性増粘ポリマー
本発明の組成物は、非イオン性ポリマーを含有してよい。パーソナルケア組成物で使用される非イオン性ポリマーの非限定的な実施例には、メチルヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、アルギン酸塩多糖類ジェランガム(CPケルコ(CP Kelco)社製ケルコゲル(Kelcogel))、多糖類ガム、ヒドロキシルプロピルセルロース(ダウ(Dow)社/アマコール(Amerchol)社製メソセル(Methocel))、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(ハーキュレス(Hercules)社製クルーセル(Klucel))、ヒドロキシルエチルセルロース、ポリアルキレングリコール、及びこれらの混合物が挙げられる。特に有用な非イオン性ポリマーには、多糖類ガム、ヒドロキシルプロピルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、あるいはこれらを組み合わせたものが含まれる。
【0085】
約1000を越える分子量を有するポリアルキレングリコール類が本明細書において有用である。以下の一般式を有するものが有用である:
【0086】
【化4】

式中、R95はH、メチル及びこれらの混合物から成る群から選択される。本明細書中で有用なポリエチレングリコールポリマーは、PEG−2M(ポリオックスWSR(Polyox WSR)(登録商標)N−10としても既知であり、ユニオンカーバイド(Union Carbide)から入手可能であり、PEG−2,000としても既知である)、PEG−5M(ユニオンカーバイドから入手可能なポリオックスWSR(登録商標)N−35及びポリオックスWSR(登録商標)N−80としても既知であり、PEG−5,000及びポリエチレングリコール300,000としても既知である)、PEG−7M(ユニオンカーバイドから入手可能なポリオックスWSR(登録商標)N−750としても既知である)、PEG−9M(ユニオンカーバイドから入手可能なポリオックスWSR(登録商標)N−3333としても既知である)、並びにPEG−14M(ユニオンカーバイドから入手可能なポリオックスWSR(登録商標)N−3000としても既知である)である。
【0087】
3.増粘剤のレオロジー
本発明で有用な増粘ポリマーは、好適な粘度及びレオロジー特性を前記組成物に提供できるものであることから、本組成物の組成物(the composition of the present composition)は、約0.0005s-1〜約0.005s-1のせん断速度で少なくとも約15Pa・s〜約20000Pa・sの好適な粘度を示す。好ましくは、本明細書の高粘性組成物は、約0.0005s-1〜約0.005s-1のせん断速度において少なくとも25Pa・s〜約10000Pa・s、より好ましくは少なくとも約40Pa・s〜約5000Pa・s、更により好ましくは約50Pa・s〜約2000Pa・sの粘度を有する。約10s-1〜約1000s-1の高いせん断速度において、粘度は約0.001Pa.s〜約50Pa.s、好ましくは約0.01Pa.s〜約20Pa.s、より好ましくは約1Pa.s〜約15Pa.sである。
【0088】
D.キャリア
本発明の組成物は、キャリアも含んでよい。本発明の組成物は、典型的には、流動可能な液体(周囲条件下で)の形態である。そのため組成物には典型的には水性キャリアが含まれており、水性キャリアは約20%〜約95%、好ましくは約60%〜約85%の濃度で存在している。水性キャリアには、水又は水と有機溶媒との混和性混合物を含めてもよいが、他の必須又は任意成分の微量成分として組成物中に別に付随的に組み込む場合を除き、最小限の有機溶媒を有するか、又は有意の濃度の有機溶媒を有さない水を含めるのが好ましい。
【0089】
好ましい実施形態では、キャリアは水である。好ましくは、本発明の組成物は、組成物の40重量%〜95重量%、好ましくは50重量%〜85重量%、更により好ましくは60重量%〜80重量%の水を含む。
【0090】
本発明の組成物は、局所適用組成物の形態としてもよく、これには局所用キャリアが含まれる。好ましくは、局所用キャリアは、形成される組成物の種類に応じて、従来の広範囲のパーソナルケアキャリアから選択される。適合性のあるキャリアを適切に選択することによって、このような組成物を、コンディショニングトリートメント、洗浄製品、例えば毛髪及び/又は頭皮シャンプー、ボディウォッシュ、手用洗剤、水が不要な手の消毒剤/洗剤、顔の洗剤などを含む日常の皮膚用又は毛髪用製品の形態で調製することが検討される。
【0091】
E.追加の成分
1.亜鉛イオノフォア物質(ZIM)
本発明の別の実施形態では、組成物は亜鉛イオノフォア物質を更に含む。本明細書において「亜鉛イオノフォア物質」及び「ZIM」は、亜鉛イオンへの細胞浸透性を高めることができる、疎水性分子である又は疎水性分子を形成する物質を意味する(即ち、亜鉛イオノフォア性を示す)。理論に束縛されるものではないが、ZIMは輸送される亜鉛イオンの電荷を遮蔽し、亜鉛イオンが脂質二分子層の疎水性の内部に浸透できるようにすると考えられている。ZIMはチャンネル形成イオノフォアであってもよいし、可動イオンキャリアであってもよい。ZIMは、亜鉛イオノフォアとして一般に知られているものであってもよいし、亜鉛イオノフォア性を所有する疎水性の亜鉛キレート化剤であるものであってもよい。疎水性の亜鉛キレート化剤は、亜鉛を結合し、また例えば亜鉛イオンが非水性溶媒中に分配するように亜鉛イオンの疎水性を高める物質である。組成物中に存在する亜鉛、又はZIMが存在する系内で利用できる亜鉛を含むZIMは有効であることができるが、好ましいZIMは亜鉛イオンを含有する;即ち、亜鉛イオノフォア性を示す物質の亜鉛塩の形態である。
【0092】
好ましい実施形態は、0.01%〜5%、より好ましくは0.1%〜2%のZIMを含む。
【0093】
亜鉛含有物質及びZIMを有する実施形態では、亜鉛含有物質とZIMとの比は、好ましくは5:100〜5:1、より好ましくは約2:10〜3:1、更により好ましくは1:2〜2:1である。
【0094】
本発明の好ましい実施形態では、ZIMは目標の微生物に対して、最小阻止濃度(「MIC」)が100万分の5000未満であるような効力を有する。MICは当業者によく理解された測定であり、抗真菌効果を示す。一般に、微生物の増殖を抑制する抗ふけ剤固有の能力の増加により、組成物の値が低くなるほど、その抗真菌の効力はより良くなる。増殖を生み出さない、抗菌活性物質の最低の試験希釈溶液が、MICとして定義される。
【0095】
本発明のZIMの有用な実施形態を以下に示す。
【0096】
【表2】

【0097】
好ましい実施形態では、ZIMはピリチオン又はピリチオンの多価金属塩である。小板状及び針晶構造などの、いかなる形態の多価金属のピリチオン塩も用いてよい。本明細書での使用に好ましい塩としては、多価金属のマグネシウム、バリウム、ビスマス、ストロンチウム、銅、亜鉛、カドミウム、ジルコニウム及びこれらの混合物から、より好ましくは亜鉛から形成されているものが挙げられる。本明細書で用いるのに更により好ましいのは、1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオンの亜鉛塩(「ジンクピリチオン」又は「ZPT」として知られている)であり、より好ましくは小板状粒子形態のZPTであり、その際、この粒子の平均の大きさは、約20μmまで、好ましくは約5μmまで、より好ましくは約2.5μmまでである。
【0098】
ピリジンチオン抗菌剤及び抗ふけ剤は、例えば、米国特許第2,809,971号、米国特許第3,236,733号、米国特許第3,753,196号、米国特許第3,761,418号、米国特許第4,345,080号、米国特許第4,323,683号、米国特許第4,379,753号、及び米国特許第4,470,982号に記載されている。
【0099】
ZPTを本明細書の抗菌組成物中の抗菌粒子として使用すると、付加的な効果である発毛若しくは再生が促進若しくは調節される場合があり、又はその両方である場合があり、又は脱毛が減少若しくは抑制される場合があり、又は毛髪がより濃く見える、若しくはよりに見える豊か場合があることが更に考えられる。
【0100】
ジンクピリチオンは、米国特許第2,809,971号に例証されているように、1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン(即ち、ピリチオン酸)又はその可溶性塩を亜鉛塩(例えば硫酸亜鉛)と反応させてジンクピリチオン沈殿を形成することによって製造されてもよい。
【0101】
2.抗カビ又は抗菌活性剤
本発明の組成物は更に、1以上の抗カビ又は抗菌剤活性物質を含んでよい。好適な抗菌活性物質には、コールタール、イオウ、ホイットフィールド(whitfield)の軟膏、カステラーニ(castellani)塗布剤、塩化アルミニウム、ゲンチアナバイオレット、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、シクロピロックスオラミン、ウンデシレン酸及びその金属塩、過マンガン酸カリウム、硫化セレン、チオ硫酸ナトリウム、プロピレングリコール、ビターオレンジオイル、尿素調製物、グリセオフルビン、8−ヒドロキシキノリンシロキノール、チオベンダゾール、チオカルバメート、ハロプロジン、ポリエン、ヒドロキシピリドン、モルホリン、ベンジルアミン、アリルアミン(例えば、テルビナフィン)、茶木油、クローブリーフ油、コリアンダー、パルマローサ、ベルベリン、タイムレッド、シナモン油、シンナミックアルデヒド、シトロネル酸、ヒノキトール(hinokitol)、イヒチオールペール、センシバ(Sensiva)SC−50、エレスタブ(Elestab)HP−100、アゼライン酸、リチカーゼ(lyticase)、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)、オクチルイソチアザリノンのようなイソチアザリノン及びアゾール、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい抗菌剤には、イトラコナゾール、ケトコナゾール、硫化セレン及びコールタールが挙げられる。
【0102】
a.アゾール類
アゾール抗菌剤としては、ベンズイミダゾールのようなイミダゾール、ベンゾチアゾール、ビフォナゾール、硝酸ブタコナゾール、クリムバゾール、クロトリマゾール、クロコナゾール、エベルコナゾール、エコナゾール、エルビオール、フェンチコナゾール、フルコナゾール、フルチマゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、メトロニダゾール、ミコナゾール、ネチコナゾール、オモコナゾール、硝酸オキシコナゾール、セルタコナゾール、硝酸サルコナゾール、チオコナゾール、チアゾール、並びにテルコナゾール及びイトラコナゾールのようなトリアゾール、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。アゾール抗菌活性物質は、組成物中に存在する時、組成物の約0.01重量%〜約5重量%、好ましくは約0.1重量%〜約3重量%、より好ましくは約0.3重量%〜約2重量%の量で含有させる。本明細書においては、ケトコナゾールが特に好ましい。
【0103】
b.硫化セレン
硫化セレンは、本発明の抗菌組成物に用いるのに好適な粒子状抗ふけ剤であり、その有効濃度は組成物の約0.1重量%〜約4重量%、好ましくは約0.3重量%〜約2.5重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約1.5重量%の範囲である。硫化セレンは一般にセレン1モル及びイオウ2モルを有する化合物とみなされるが、一般式Sexy(式中x+y=8)に従う環式構造であってよい。硫化セレンの平均粒子直径は、典型的には前方レーザー光散乱装置(forward laser light scattering device)(例えばマルバーン(Malvern)3600装置)で測定して15μm未満、好ましくは10μm未満である。硫化セレン化合物は、例えば、米国特許第2,694,668号、米国特許第3,152,046号、米国特許第4,089,945号、及び米国特許第4,885,107号に記載されている。
【0104】
c.イオウ
イオウもまた、本発明の抗菌組成物において粒子状抗菌/抗ふけ剤として使用してもよい。粒子状イオウの有効濃度は、典型的には当該組成物の約1重量%〜約4重量%、好ましくは約2重量%〜約4重量%である。
【0105】
d.角質溶解剤
本発明は、サリチル酸のような1つ以上の角質溶解剤を更に含んでよい。
【0106】
本発明の追加の抗菌活性物質は、コバノブラッシノキ(茶木)及び炭の抽出物を含んでよい。本発明はまた、抗菌活性物質の組み合わせを含んでよい。このような組み合わせは、オクトピロックスとジンクピリチオンとの組み合わせ、パインタールとイオウとの組み合わせ、サリチル酸とジンクピリチオンとの組み合わせ、オクトピロックスとクリムバゾールとの組み合わせ、及びサリチル酸とオクトピロックスとの組み合わせ、並びにこれらの混合物を含んでよい。
【0107】
3.任意成分
本発明は、一部の実施形態において、ヘアケア又はパーソナルケア製品に用いられることが知られているか、又はそうでなければ用いるのに有効である追加の任意成分を更に含んでもよい。このような任意成分の濃度は一般に、組成物の0〜約25重量%、より典型的には約0.05重量%〜約20重量%、更により典型的には約0.1重量%〜約15重量%の範囲である。このような任意成分はまた、本明細書に記載した必須成分と物理的及び化学的に適合性があるべきであり、そうでなければ過度に製品の安定性、審美性又は性能を損なわないものでなければならない。
【0108】
本発明に使用される任意成分の非限定的な実施例には、静電気防止剤(非水溶性カチオン性界面活性剤)、分散粒子、起泡増進剤(脂肪酸エステル(例えばC8〜C22)モノアルカノールアミド及びジアルカノールアミド(C1〜C5、特にC1〜C3))、上述の抗ふけ剤以外の抗ふけ剤、粘度調整剤及び増粘剤、懸濁液成分(例えば、EGDS、thixins)、pH調整剤(例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸、コハク酸塩、コハク酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、リンゴ酸、グリコール酸、塩酸、硫酸、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム)、キレート剤、防腐剤(例えばDMDMヒダントイン)、抗菌剤(例えばトリクロサン又はトリクロカーボン)、染料、有機溶剤又は希釈剤、真珠光沢助剤、芳香物質、脂肪アルコール、タンパク質、皮膚活性剤、日焼け止め剤、紫外線吸収剤、ビタミン(プロピオン酸レチノールを始めとするレチノイド、酢酸トコフェロールなどのビタミンE、パンテノール、ナイアシンアミドを始めとするビタミンB3化合物など)、ミネラル、乳化剤、揮発性キャリア、選択安定促進剤(select stability active)、スタイリングポリマー、有機スタイリングポリマー、シリコーングラフトスタイリングポリマー、カチオン性塗布剤、殺虫剤(pediculocide)、ポリアルキレングリコール、コンディショニング剤(炭化水素油、脂肪酸エステル、シリコーン)、追加界面活性剤又は非イオン補助界面活性剤、薬草/果物/食物抽出物、スフィンゴ脂質誘導体又は合成誘導体、粘土、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0109】
本発明の組成物には、例えばビタミンB1、B2、B6、B12、C、パントテン酸、パントテニルエチルエーテル、パンテノール、ビオチン及びこれらの誘導体のような水溶性ビタミン、例えばアスパラギン、アラニン、インドール、グルタミン酸及びこれらの塩のような水溶性アミノ酸、例えばビタミンA、D、E及びこれらの誘導体のような非水溶性ビタミン、例えばチロシン、トリプタミン及びこれらの塩のような非水溶性アミノ酸、といった他のビタミン及びアミノ酸を含有してもよい。
【0110】
本発明の組成物にはまた、C.I.名を有するもののような水溶性の成分を含む、無機、ニトロソ、モノアゾ、ジアゾ、カロチノイド、トリフェニルメタン、トリアリールメタン、キサンテン、キノリン、オキサジン、アジン、アントラキノン、インジゴイド、チオンインジゴイド、キナクリドン、フタロシアニン、植物の色、天然の色などの、顔料物質を含有してもよい。
【0111】
製造方法
本発明の組成物は、パーソナルケア組成物の調製に適した既知の又はそれ以外の有効な技術によって調製してよい。本発明の抗ふけ及びコンディショニングシャンプーの実施形態を調製する方法には、従来の配合及び混合技術が含まれている。米国特許第5,837,661号に記載されるような方法を採用することができるが、その際、本発明の抗菌剤は、典型的には、米国特許第5,837,661号の記載においてシリコーンプレミックスが添加されたのと同じ工程で添加される。
【0112】
本発明の組成物は、所望の多相製品形態を作成及び配合するのに好適な任意の既知又はその他有効な技術によって調製されてもよい。練り歯磨きチューブでの充填技術と回転台設計とを組み合わせることが、特に有効である。
【0113】
使用方法
本発明の組成物は、皮膚への直接適用において、又は皮膚及び毛髪を洗浄するための、並びに皮膚若しくは頭皮上の微生物感染症(真菌、ウイルス、又は細菌の感染症を含む)を制御するための従来の様式で用いてもよい。本明細書の組成物は、毛髪及び頭皮、並びに身体の他の部分(例えば、わきの下、足及び鼠径部)を洗浄するために、また処置を必要とする他の皮膚部分に対して有用である。本発明は動物の皮膚又は毛髪を同様に処置又は洗浄するために用いてもよい。本発明は、傷んだ皮膚を手当てするための治療特性及び回復特性を有してもよい。毛髪、皮膚又は身体の他の部分を洗浄するための組成物の有効量、典型的には組成物の約1g〜約50g、好ましくは約1g〜約20gを、好ましくは一般に水で濡らした毛髪、皮膚又は他の部分に局所的に適用し、その後、すすぎ落とす。毛髪への適用は、典型的には毛髪全体にシャンプー組成物を行き渡らせることを含む。
【0114】
シャンプーの実施形態で抗菌の(特に抗ふけの)効力をもたらすための好ましい方法は、(a)水で毛髪を濡らす工程と、(b)有効量の抗菌シャンプー組成物を毛髪に適用する工程と、(c)水を使用して毛髪から抗菌シャンプー組成物をすすぐ工程とを含む。これらの工程は、求められる洗浄、コンディショニング及び抗菌/抗ふけの効果を達成するために、望まれるだけ何回繰返してもよい。
【0115】
使用する抗菌活性物質がジンクピリチオンである場合、及び/又は他の任意の育毛調節剤を使用する場合、本発明の抗菌組成物は、毛髪の成長調節をもたらす場合があることも考えられる。そのようなシャンプー組成物を定期的に使用する方法は、(上記の)a、b及びcの工程を繰返すことを含む。
【0116】
本発明のさらなる実施形態は、本発明による組成物の使用を含む水虫を処置する方法、本明細書に記載される組成物の使用を含む微生物感染症を処置する方法、本発明による組成物の使用を含む頭皮の外観を改善する方法、本発明による組成物の使用を含む真菌感染症を処置する方法、本発明の組成物の使用を含むふけを処置する方法、本明細書に記載される本発明の組成物の使用を含むおむつ皮膚炎及びカンジダ症を処置する方法、本発明による組成物の使用を含む頭部白癬を処置する方法、本発明による組成物の使用を含むイースト菌感染症を処置する方法、本発明による組成物の使用を含む爪甲真菌症を処置する方法を含む。
【実施例】
【0117】
以下の実施例は、本発明の範囲内の好ましい実施形態について更に説明し、実証するものである。本発明の範囲から逸脱することなく本発明の多くの変形形態が可能であるため、これらの実施例は単に例示を目的とするものであり、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。成分(複数)は化学名又はCTFA名称により識別され、そうでない場合は以下に定義される。
【0118】
本発明の組成物は、適切な媒体若しくはキャリア中に1以上の選択された金属イオン源及び1以上のピリチオンの金属塩を混合することよって、又は個々の成分を別々に皮膚若しくは毛髪の洗浄組成物に加えることよって、作製することができる。有用なキャリアは、上記でより十分に議論されている。
【0119】
(実施例1〜10)
【0120】
【表3】

* 目標pHを達成する上で調整可能
** 目標粘度を達成する上で調整可能
(1) アクアロン社製N−ハンス(N-Hance)3269として入手可能
(2) ダウ社/アマコール社製LR400として入手可能
(3) CPケルコ社製ケルコゲルとして入手可能
(4) ダウ社/アマコール社製メソセルとして入手可能
(5) ハーキュレス社製クルーセルとして入手可能
(6) ゼネラル・エレクトリック・シリコーンズ(General Electric Silicones)社製ビスカシル330Mとして入手可能
(7) ブリュッゲマン・ケミカルズ(Bruggemann Chemicals)社製ブリュッゲマンZC(Bruggemann ZC)として入手可能
【0121】
【表4】

【0122】
(実施例11〜20)
【0123】
【表5】

* 目標pHを達成する上で調整可能
** 目標粘度を達成する上で調整可能
(1) アクアロン社製N−ハンス(N-Hance)3269として入手可能
(2) ダウ社/アマコール社製LR400として入手可能
(3) CPケルコ社製ケルコゲルとして入手可能
(4) ダウ社/アマコール社製メソセルとして入手可能
(5) ハーキュレス社製クルーセルとして入手可能
(6) ゼネラル・エレクトリック・シリコーンズ(General Electric Silicones)社製ビスカシル330Mとして入手可能
(7) ブリュッゲマン・ケミカルズ(Bruggemann Chemicals)社製ブリュッゲマンZC(Bruggemann ZC)として入手可能
【0124】
本発明の特定の実施形態が例示および説明されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0125】
「背景技術」「課題を解決するための手段」、及び「発明を実施するための最良の形態」で引用されるすべての文献は、その関連部分において、本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用もそれが本発明に関して先行技術であるという容認として解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルケア組成物であって、
a.好ましくは25℃にて組成物内で約25重量%未満の水性溶解度を有する、有効量の亜鉛含有物質と、
b.好ましくは前記パーソナルケア組成物の5%〜50%の量を占める界面活性剤と、
c.カチオン性増粘ポリマー、非イオン性増粘ポリマー、及びこれらの混合物から成る群から選択され、好ましくは前記パーソナルケア組成物の0.01%〜20%の量を占める増粘ポリマーと
を特徴とし、
前記増粘ポリマーが、前記亜鉛含有物質の亜鉛イオンとまったく結合しない、パーソナルケア組成物。
【請求項2】
前記パーソナルケア組成物のpHが7より高い、請求項1に記載の前記パーソナルケア組成物。
【請求項3】
前記亜鉛含有物質が、無機物質、天然亜鉛含有物質、鉱石、鉱物、有機塩、高分子塩、又は物理的に吸着された形態の物質及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記無機物質が、アルミン酸亜鉛、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、カラミン、リン酸亜鉛、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、ケイ酸亜鉛、ケイフッ化亜鉛、ホウ酸亜鉛、又は水酸化亜鉛及びヒドロキシ硫酸亜鉛、亜鉛含有層状物質、並びにそれらの混合物から成る群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記増粘ポリマーがカチオン性増粘ポリマーである、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項6】
前記カチオン性増粘ポリマーが、カチオン性グアーポリマー、ポリクオタニウムポリマー、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項5に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項7】
前記増粘ポリマーが非イオン性増粘ポリマーである、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項8】
前記非イオン性増粘ポリマーが、メチルヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、アルギン酸塩多糖類ジェランガム、多糖類ガム、ヒドロキシルプロピルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ポリアルキレングリコール、非イオン性ガムポリマー、非イオン性親水セルロースポリマー、非イオン性ポリエチレングリコールポリマー、及びそれらの混合物から成る群より選択される、請求項7に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項9】
亜鉛イオノフォア物質を含むことをさらなる特徴とする、請求項1記載のパーソナルケア組成物。
【請求項10】
前記亜鉛イオノフォア物質が、ピリチオンの多価金属塩、ジチオカルバメート、複素環式アミン、非ステロイド性抗炎症化合物、亜鉛イオノフォア性を有する天然起源物質、及びこれらの誘導体、生体分子及びペプチド、イオウ系化合物、輸送促進剤、並びにそれらの混合物から成る群から選択され、好ましくは前記亜鉛イオノフォア物質がピリチオン又はピリチオンの亜鉛塩である、請求項9に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項11】
前記パーソナルケア組成物の粘度が、せん断速度0.0005s-1〜0.005s-1において15Pa・s〜20,000Pa・s、より好ましくはせん断速度約10s-1〜1000s-1において0.001Pa・s〜50Pa・sである、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項12】
前記パーソナルケア組成物が多相パーソナルケア組成物である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項13】
多相パーソナルケア組成物であって、
少なくとも1つの相が、有効量の亜鉛含有物質と、少なくとも1つの界面活性剤と、カチオン性増粘ポリマー、非イオン性増粘ポリマー、及びそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つの増粘ポリマーとを含む少なくとも2つの相を特徴とし、
前記増粘ポリマーが、前記亜鉛含有物質の亜鉛イオンとまったく結合せず、前記少なくとも2つの相が、物理的に接して詰められて安定性を維持する視覚的に区別可能な相である、多相パーソナルケア組成物。
【請求項14】
前記視覚的に区別可能な相が、ストライプ模様、幾何学模様、大理石模様、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される模様を形成する、請求項14に記載の多相パーソナルケア組成物。
【請求項15】
前記相のうちの少なくとも1つの前記相が目に見えて透明である、請求項14に記載の多相パーソナルケア組成物。

【公表番号】特表2008−543928(P2008−543928A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517695(P2008−517695)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052286
【国際公開番号】WO2007/004201
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】