説明

金属ケイ酸塩−シリカ系多形蛍光体および発光装置

【課題】金属ケイ酸塩−シリカ系多系蛍光体および発光装置を提供すること。
【解決手段】特に、式、
[(BvSiO(MvSiO(Tv(SiO・(SiO:Rε,X (I)
の蛍光体が提供され、式中、x、y、zはx+y+z=1となる任意の値であり、Bvは1種または複数の二価のアルカリ土類金属イオンであり、Mvは1種または複数の一価のアルカリ金属イオンであり、Tvは1種または複数の三価金属イオンであり、RεはEu2+またはMn2+イオンから選択される1種または複数の活性剤であり、Xは1種または複数のハロゲン化物であり、mは1または0であり、但し、mが1であり、有用な発光を与えるのに有効なシリカの量を提供する場合、nは3よりも大きく、m=0の場合、nは1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ケイ酸塩−シリカ系多形蛍光体、蛍光体の製造方法、蛍光体で修正された半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光用途において、蛍光体は出力光の波長の修正または制御に使用することができる。例えば、UVまたは青色発光ダイオード(LED)は、発光路に沿って蛍光体を配置して光をより長い波長に変換することによって、可視光、すなわち、より青色の少ない光の生成を強化することができる。青色、緑色、赤色発光蛍光体はUV光を白色光に修正するのに用いることができる。黄色発光蛍光体は青色発光ダイオードまたは青色発光蛍光体からの光と混合して白色色度の光を生成することができる。本明細書に述べる蛍光体は、適切な光源と組み合わされるとき、それらの用途に用いることができる。
【0003】
半導体光源(LEDなど)を組み込んだ近UV発光固体発光装置は、光発光を適切な蛍光体で可視域に修正して、電子部品ならびに一般的な照明に使用するための広範囲の発光装置を提供する、コスト効率よく利用することのできる光を十分効率的に生成できるものと有望視された。これらの半導体発光ダイオードの格子は、電子と正孔が発光再結合するのに十分な欠陥を形成する、少量のマグネシウムをドープした典型的なInGaN系である。例えば、日亜化学工業株式会社(阿南市、日本)は、NCCU033Eと称する100mWのInGaN系半導体光源およびNCCU00IEと称する85mWのGaN系半導体光源を作製した。これらの近UV光源を発光製品に利用するには、適切な励起と発光特性を有する蛍光体が必要である。
【0004】
近UV−LED装置では、360〜420nmの一次発光波長を可視光、特に白色光に変換するために蛍光体が使用される。これらの蛍光体は、赤色発光成分、緑色発光成分、青色発光成分に分類することができる。これらは、他の用途のために開発された既存のいくつかの蛍光体であり、可視発光を可能にする励起プロファイルを有する。緑色発光の例には、(Ba1−x−y,CaSr(Mg1−zZn)Si:Eu,CaMg(SiO12:Eu,Mn,BaSiO:Eu,BaMgSi:Eu,BaZnSi:Eu,BaAl:Eu,SrAl:Eu,BaMgAl1627:Eu,およびCaMg(SiOCl:Eu,Mnがある。青色発光の例には、BaMgAl1627:Eu,(Sr,Ba,Ca)(POCl:EuおよびSrAl125:Euがある。これらの蛍光体は、波長360〜420nmの近UV光によってかなり効率よく励起される。赤色発光の例には、YS:Eu,Bi,Y:Eu,Biおよび3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mnがある。
【非特許文献1】Lehmann、J.Elect.Soc.22:748〜52、1975
【特許文献1】米国公開特許出願第2004/0145289号
【特許文献2】米国公開特許出願第2004/0145288号
【特許文献3】米国公開特許出願第2004/01450307号
【特許文献4】米国公開特許出願第2004/0159846号
【特許文献5】米国特許出願第60/665,458号
【特許文献6】米国特許出願第60/665,636号
【特許文献7】米国特許出願第60/665,456号
【特許文献8】米国特許出願第60/665,457号
【特許文献9】米国特許出願第60/684,373号
【特許文献10】米国特許出願第11/149,648号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらの蛍光体のいくつかは、波長変換に理想的に適用できず、多くの場合、典型的なUVLED波長400nmによって励起されるとき効率が低い。所望の発光特性を有し、UVLEDに理想的に適した励起プロファイルを有するように設計された蛍光体がやはり必要である。
【0006】
ある異性体二価ユーロピウムとマグネシウムで活性化された金属ハロゲン化物−シリカ蛍光体(Lehmann、J.Elect.Soc.22:748〜52、1975)について記述されたが、その使用の説明はない。ユーロピウムまたはユーロピウムとマンガンでドープした蛍光体は、「より大きな非発光SiO粒子内に小さな分晶で分散された発光ハロゲン化物」として(強調を加えて)説明された。著者によれば、X線回折データは、「通常SiOのαクリストバライト修飾に一致する線だけを示し、他に存在するものは非晶質であるか、または通常のx線分析で検出するには量が少なすぎる(検出可能限度:数%)はずである」。これらの蛍光体は、わずかに還元性の雰囲気中、過剰のハロゲン化アンモニウムの存在下焼成することによって製造されると説明された。この調製方法を再現する試みが急増した。以下に述べる方法で加工された材料は、XRD分析が金属イノケイ酸塩と結晶性酸化ケイ素組成物を有することを繰り返し示した生成物を生成した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
金属ケイ酸塩−シリカ系の多形蛍光体は、近UVまたは青色発光半導体またはLED光源での波長変換器として効果的に使用される。それらは、赤色発光蛍光体、桃色発光蛍光体、青色発光蛍光体、等を含んで、UV光で有用に励起される安定した蛍光体を提供することができる。本発明の異なる蛍光体、またはそれらの蛍光体および他の蛍光体を混合して、白色光を含む、異なる色度を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
活性化された金属ケイ酸塩−シリカ系多形蛍光体の群は、それらの用途に有用であると考えられる。一実施形態では、本発明の蛍光体は、下記式で表され、
[(BvSiO(MvSiO(Tv(SiO・(SiO:Rε,X (I)
【0009】
式中、Bvは1種または複数の二価金属イオンであり、Mvは1種または複数の一価金属イオンであり、Tvは1種または複数の三価金属イオンであり、x、y、zはx+y+z=1となる任意の値であり、RεはEu2+およびMn2+から選択される1種または複数の活性剤であり、XはF、Cl、Br、またはIから選択される1種または複数の一価ハロゲン化物である。Rεは、例えば発光に効果的な量存在する。mの値は1または0である。nの値は、m=1であれば>3であり、有用な発光を行うのに効果的なシリカの量を提供する。nの値は、m=0であれば1である。Bv、Mv、Tvは金属ケイ酸塩の形成を支える金属イオンである。本明細書に使用される用語「ハロゲン化物」または「複数のハロゲン化物」は、イオン結合したVII族の金属カチオンおよびアニオンから構成される結晶材料を指す。
【0010】
MvとBv、またはMvとTv、またはBvとTv、またはMv、Bv、Tv、の混合物が存在する場合、Mvケイ酸塩、Bvケイ酸塩、Tvケイ酸塩は分離した結晶相であると考えられる。金属ケイ酸塩はシリカ(SiOから分離した相であると考えられる。相は分離しているのでXRDデータで検出することができる。
【0011】
金属ケイ酸塩はホスト材料中に他の結晶の形成を支える量存在する。有用な量は、例えば、蛍光体組成物の1〜10%を含むことが考えられる。nはシリカ母材の量を表し、100%非晶質、100%クリストボライト、石英含有、またはその間の混合物とすることができる。nの値はMSiOの量の組成分析およびXRD予測から求めることができる。
【0012】
一実施形態では、Bvは、Be、Mg、Ca、Sr、またはBaの1種または複数のイオンなどのアルカリ土類金属イオンである。一実施形態では、Bvは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、またはHgの1種または複数のイオンである。一実施形態では、Bvは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、またはHgの1種または複数のイオンである。一実施形態では、TvはAl、Ga、In、Sc、Y、またはLaの1種または複数のイオンである。一実施形態では、MvはLi、Na、またはKなどの1種または複数のアルカリ金属イオンである。
【0013】
組成物は非常に安定とすることができ、85%相対湿度の下で、85℃、400時間後、その相対発光強度の85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上を維持する。
【0014】
ある実施形態では、組成物中のRεのモルパーセントは、シリカ(SiO)(またはいくつかの実施形態では、化学式成分の)0.001%〜10%である。ある実施形態では、Rεのモルパーセントの範囲は、次の下端点(含む)の1つから、または次の上端点(含む)の1つからである。下端点は、0.001%、0.01%、0.02%、0.05%、0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%である。上端点は、0.01%、0.02%、0.05%、0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、10%である。例えば、範囲は0.01%〜5%とすることができる。
【0015】
ある実施形態では、組成物中のXのモルパーセントは、シリカ(SiO)(またはいくつかの実施形態では、化学式成分の)0.002%〜5%である。ある実施形態では、Rεのモルパーセントの範囲は、次の下端点(含む)の1つから、または次の上端点(含む)の1つからである。下端点は、0.002%、0.01%、0.02%、0.05%、0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、3%、4%である。上端点は、0.01%、0.02%、0.05%、0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%である。例えば、範囲は0.01%〜5%とすることができる。
【0016】
ある実施形態では、BvSiOおよび/またはMvSiOおよび/またはTv(SiOのモルパーセントは、シリカ(SiO)(またはいくつかの実施形態では、化学式成分の)0.1%〜40%である。ある実施形態では、BvSiOおよび/またはMvSiOおよび/またはTv(SiOのモルパーセントの範囲は、次の下端点(含む)の1つから、または次の上端点(含む)の1つからである。下端点は、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.7%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、30%、40%である。上端点は、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.7%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%である。例えば、範囲は5%〜10%とすることができる。
【0017】
ある実施形態では、x=1である。ある実施形態では、y=1である。ある実施形態では、z=1である。ある実施形態では、x、y、zの1つまたは2つはゼロである。
【0018】
ある実施形態では、Xはハロゲン化物であり、所与の金属ハロゲン化物の≧99.9%(モル)であり、塩素を含む金属ハロゲン化物の≧99.9%(モル)であり、またはヨウ素を含む金属ハロゲン化物の≧99.9%(モル)であり、または臭素を含む金属ハロゲン化物の≧99.9%(モル)である。Xは一般に共有がRεを中和する量存在する。
【0019】
蛍光体のホスト材料は多形金属ケイ酸塩とシリカであると考えられる。シリカSiOはホスト材料の大部分を構成する。シリカはクリストバライト(cristobalite)に結晶化することができ、酸素原子を装填することによって互いに融着したSiO四面体ユニットから作ることができる。結晶は正方晶系のP42の空間群を有することができる。また、シリカは石英または非晶質の形で存在することもできる。金属ケイ酸塩BvSiOおよびMvSiOは、四面体重合がジェード輝石NaAl[Si]のような(SiO)に基づくイノケイ酸塩の形、および藍セン石(amphilbole glaucophane)に見られるような、四面体重合の二重鎖ケイ酸塩の形であると考えられる。典型的に、(SiO)単位はSiO四面体の酸素原子を共有することによって単鎖を形成し、単鎖はその四面体成長または遷移パターンを繰り返し、ウォラストナイト、方解石、またはガン火輝石(enstalite)の3つを多重に形成する。
【0020】
高温で蛍光体を形成する反応は、本発明の多くの実施形態では、活性剤Eu2+および/またはMn2+を結晶中に組み込みながら、シリカがクリストバライトへ結晶化することであると考えられる。この反応は焼成温度で液体の媒体によって支持される。言い換えれば「フラックス」によって。結晶化の温度範囲で溶融することのできる他の種類の金属ケイ酸塩がある。これらのケイ酸塩は、例えば約900〜約1300℃の温度で流体媒体を提供するフラックスとして機能することができる。
【0021】
合成は、例えば、(1)適切な前駆体の混合物(例えば、金属炭酸塩、および/または金属硝酸塩、および/または金属酸化物、および/またはフッ素、ヨウ素、臭素、および/またはCaClなどの塩素を含む金属ハロゲン化物、および/または場合によってハロゲンXの原料)を提供する(固相化学反応の容易な反応物成分を緊密に接触させるために、混合のある点でスラリーを使用することができる)ステップと、(2)無機固体の微粒子レベルでさらに接触を得るために場合によって混合物を粉砕するステップと、(3)場合によって混合された材料を乾燥するステップと、(4)場合によって所与の第1の温度で例えば水素などの還元性ガス中で加熱するステップと、(5)場合によってさらにXの前駆体を混合するステップと、(6)還元性ガス中で所与の第1の温度よりも高い温度で焼成するステップと、(7)場合によって未反応成分を有効に洗い流すために蛍光体を洗浄するステップと、(8)場合によって篩かけまたはサイズ分別などの後形成処理を加えるステップとを含む。
【0022】
形成反応に提供される材料は互いに式Iの形に変換されなくてもよく、全ての未反応材料は洗い流されなくてもよい(洗浄工程を用いるなら)ことが理解されるであろう。しかし、式Iは蛍光体の重要なホストとフラックスを提供する相を説明するものと考えられる。
【0023】
第1の温度は、例えば700〜1100℃とすることができる。例えば、それは、上限として700℃、710℃、720℃、730℃、740℃、750℃、760℃、770℃、780℃、790℃、800℃、810℃、820℃、830℃、840℃、850℃、860℃、870℃、880℃、890℃、900℃、910℃、920℃、930℃、940℃、950℃、960℃、970℃、980℃、990℃、または1000℃からの範囲とすることができる。あるいは、下限として、1100℃、1090℃、1080℃、1070℃、1060℃、1050℃、1040℃、1030℃、1020℃、1010℃、1000℃、990℃、980℃、970℃、960℃、950℃、940℃、930℃、920℃、910℃、900℃、890℃、880℃、870℃、860℃、850℃、840℃、830℃、820℃、810℃、800℃からの範囲とすることができる。
【0024】
焼成は、例えば900〜1300℃とすることができる。例えば、それは、上限として、900℃、910℃、920℃、930℃、940℃、950℃、960℃、970℃、980℃、990℃、1000℃、1010℃、1020℃、1030℃、1040℃、1050℃、1060℃、1070℃、1080℃、1090℃、1100℃、1110℃、1120℃、1130℃、1140℃、1150℃、1160℃、1170℃、1180℃、1190℃、または1200℃からの範囲とすることができる。あるいは、下限として、1300℃、1290℃、1280℃、1270℃、1260℃、1250℃、1240℃、1230℃、1220℃、1210℃、1200℃、1190℃、1180℃、1170℃、1160℃、1150℃、1140℃、1130℃、1120℃、1110℃、1100℃、1090℃、1080℃、1070℃、1060℃、1050℃、1040℃、1030℃、1020℃、1010℃、または1000℃からの範囲とすることができる。焼成は、例えば、フラックスの温度よりも40℃以上、50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上、90℃以上、100℃以上の温度とすることができる。
【0025】
ある実施形態では、SiO成分は実質上0%クリストボライトであり、残りは非晶質または石英であり、あるいは所与のモルパーセント以上のクリストボライトであり、残りは非晶質または石英である。所与のパーセントは、例えば、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100%である。あるいは、SiO成分は、所与のパーセント以下のクリストボライトとすることができる。第2の所与のパーセントは、例えば、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%とすることができる。
【0026】
ある実施形態では、xは実質上1である。他の実施形態では、xは実質上0である。ある実施形態では、zは実質上0である。ある実施形態では、z=0であり、xまたはyは0.01の増分で、0.50以下、0.49以下、0.48以下、0.47以下、0.46以下等であり、0.01以下までである。ある実施形態では、xまたはyまたはzは、0.01の増分で、0.50以下、0.49以下、0.48以下、0.47以下、0.46以下等であり、0.01以下までである。
【0027】
ある実施形態では、本発明の蛍光体の量子効果は40%以上である。
本発明の金属ケイ酸塩系の多形蛍光体の発光ピークは、300〜500nm±10nmの光である励起源で測定される。ある実施形態では、発光ピーク範囲は次の下端点(含む)の1つから、または次の上端点(含む)の1つからである。下端点は360、361、362、363、および各1nmの変化で799nmまでである。上端点は800、799、798、797、および各1nmの変化で361までである。
【0028】
いくつかの実施形態では、下端点は430、431、432、および各1nmの変化で489nmまでである。いくつかの実施形態では、上端点は490、489、488、および各1nmの変化で431nmまでである。
【0029】
いくつかの実施形態では、下端点は500、501、502、および各1nmの変化で559nmまでである。いくつかの実施形態では、上端点は560、559、558、および各1nmの変化で501nmまでである。
【0030】
いくつかの実施形態では、下端点は590、591、592、および各1nmの変化で659nmまでである。いくつかの実施形態では、上端点は660、659、658、および各1nmの変化で591nmまでである。
【0031】
ある実施形態では、蛍光体は波長400〜420nmの光で効果的に励起される(対応する半導体発光装置で使用するのに十分である)。
【0032】
Rεは実質上EuもしくはMnの全て、または両方からなるが、活性剤もしくは他の複数の活性剤の4%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.2%以下、0.1%以下など少量である。
【0033】
候補となる金属イオンMの中で、MgとBaのイオンはあまり好ましくない。ある実施形態では、Mは1つの金属(例えば、Caなど)の99%(モル)以上、99.1%以上、99.5%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上である。
【0034】
ある実施形態では、蛍光体は、[(CaSiO)]・(SiO:Eu2+,Mn2+,Iに従い、Eu2+とMn2+の濃度および比率は、600nm〜640nm、または620nm〜660nm(または前述の範囲の1つに含まれる範囲)のピーク発光、xの色度=0.62±0.06、yの色度=0.30±0.06を提供するように選択される。
【0035】
ある実施形態では、蛍光体は、[(CaSiO)]・(SiO:Eu2+,Iに従い、Eu2+の濃度は、445nm〜480nm、または455nm〜475nm、または445nm〜475nm(または前述の範囲の1つに含まれる範囲)のピーク発光、xの色度=0.20±0.06、yの色度=0.10±0.06を提供するように選択される。
【0036】
ある実施形態では、蛍光体は、[(CaSiO)]・(SiO:Eu2+,Mn2+,Clに従い、Eu2+とMn2+の濃度および比率は、xの色度=0.20±0.06、yの色度=0.20±0.06を提供するように選択される。
【0037】
発光装置に用いられるとき、蛍光体は、300nm〜420nmの波長を発光する半導体光源などの一次光源、または同じ波長範囲を発光する他の蛍光体からの二次光によって励起できることが理解されるであろう。励起光が二次である場合、本発明の蛍光体に関して、励起起因光は関連する光源の光である。本発明の蛍光体を使用する装置は、蛍光体によって形成された光を、装置の内部(一次光源など)ではなく、出力光のために導く誘電ミラーなどのミラーを含むことができる。
【0038】
ある実施形態では、半導体光源は、5nmの増分で300nm以上、または305nm以上、または310nm以上等であり、400nm以上までの光を発光することができる。ある実施形態では、半導体光源は、5nmの増分で420nm以下、または415nm以下、または410nm以下等であり、350nm以下までの光を発光することができる。
【0039】
蛍光体粒子は、結合剤または固化剤、分散剤(すなわち、光散乱材料)充填剤等とともに発光装置中に分散することができる。結合剤は、例えば、アクリル樹脂などの光硬化可能なポリマー、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ガラス、石英等とすることができる。蛍光体は、当技術分野に知られた方法によって結合剤中に分散することができる。例えば、ある場合において、蛍光体を溶媒中に懸濁させ、ポリマーを懸濁させ、溶媒中に溶解または部分的に溶解させ、発光装置にスラリーを分散させ、溶媒を蒸発させることができる。ある場合において、蛍光体を液体中に懸濁させ、前駆体を樹脂に対し予備硬化させ、スラリーを分散させ、ポリマーを硬化させることができる。例えば、硬化は熱、UV、または前駆体に混合した硬化剤(フリーラジカル開始剤など)によることができる。あるいは、他の例において、結合剤を熱で液化し、スラリーを形成させ、スラリーを分散させてin situ(その場)に固化させることができる。分散剤は、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、二酸化ケイ素等を含む。
【0040】
本発明の発光装置は、LEDなどの半導体光源を用いて、励起エネルギーを生成すること、または他の系を励起して蛍光体の励起エネルギーを提供することが考えられる。本発明を用いる装置は、例えば、白色光生成発光装置、藍色光生成発光装置、青色光生成発光装置、緑色光生成発光装置、黄色光生成発光装置、橙色光生成発光装置、桃色光生成発光装置、赤色光生成発光装置、または本発明の蛍光体の色度と1種または複数の二次光源の色度の間の線で画定される出力色度を有する発光装置を含むことができる。本発明の装置は車両用のヘッドライトまたは他の誘導灯を作製することができる。装置は、携帯電話およびPDAなどの小さな電子装置用の出力指示器とすることができる。また、発光装置は、携帯電話、PDA、およびラップトップコンピュータ用液晶表示器のバックライトとすることができる。適切な電源が与えられれば、室内照明は本発明の装置に基づくことができる。発光装置の暖かさ(すなわち、黄色/赤色色度の量)は二次光源からの光に対する本発明の蛍光体からの光の比率を選択することによって微調整することができる。
【0041】
適切な半導体光源は蛍光体を励起する光を生成する任意のもの、または蛍光体を励起する、すなわち本発明の蛍光体を励起する任意のものである。それらの半導体光源は、例えば、Ga−N型半導体光源、In−Al−Ga−N型半導体光源等とすることができる。いくつかの実施形態では、青色または近UV発光半導体光源が使用される。
【0042】
少なくとも2種の異なる蛍光体を用いる半導体光源では、蛍光体を互いに1つの母材中に分散する代わりに、分離して分散し、蛍光体層を重ね合わせることが有用である。それらの層形成は、複数の色彩変換工程によって最終的な発光色彩を得るために用いることができる。例えば、発光工程は、第1の蛍光体による半導体光源発光の吸収、第1蛍光体による発光、第2蛍光体による第1蛍光体の発光の吸収、および第2蛍光体による発光である。
【0043】
図15は、半導体光源の例示的層化構造を示す。青色半導体光は基板Sb、例えばサファイア基板を含む。例えば、バッファー層B、n型接点層NCt、n型クラッディング層NCd、多重量子井戸活性層MQW、p型クラッディング層PCd、p型接点層PCtが、この順序で窒化物半導体層として形成される。層は、例えば、有機金属化学的気相成長法(MOCVD)によって基板Sb上に形成することができる。その後、光に透明な電極LtEがp型接点層PCtの表面全体の上に形成され、p電極PElが光に透明な電極LtEの一部に形成され、n電極NElがn型接点層NCtの一部に形成される。これらの層は、例えば、スパッタまたは真空蒸着によって形成することができる。
【0044】
多重量子井戸構造は、縦に集積された1層以上の量子井戸構造を有する多層構造であり、例えば、p型クラッド層とn型クラッド層の間に挟まれた発光層を有する二重ヘテロ構造を含む。単一量子井戸構造は、間に量子井戸層をクラッドした2層のバリア層からなる3層構造である。量子井戸構造中の各層は、半導体材料から形成され、量子井戸層のバンドギャップは2層のバリア層のそれよりも大きい。
【0045】
バッファー層Bは、例えば、AlNから形成することができ、n型接点層NCtは、例えば、GaNから形成することができる。
【0046】
n型クラッディング層NCdは、例えば、AlGa1−rN(式中、0≦r<1)から形成することができ、p型クラッディング層PCdは、例えば、AlGa1−qN(式中、0<q<1)から形成することができ、p型接点層PCtは、例えば、AlGa1−sN(式中、0≦s<1およびs<q)から形成することができる。p型クラッディング層PCdのバンドギャップは、n型クラッディング層NCdのバンドギャップよりも大きく作られる。n型クラッディング層NCdおよびp型クラッディング層PCdは、各々単一組成物構造を有することができ、または、100オングストロームを超えない層厚さを有し、互いに組成物の異なる上述の窒化半導体層が互いの上に積み重ねられて超格子構造を提供するような構造を有することができる。層厚さが100オングストロームを超えないとき、層中のクラックの発生または結晶欠陥の発生を防止することができる。
【0047】
多重量子井戸活性層MQWは、複数のInGaN井戸層と複数のGaNバリア層からなることができる。井戸層およびバリア層は、超格子構造を構成するために100オングストロームを超えない層厚さ、好ましくは60〜70オングストロームを有することができる。InGaNの結晶はAlGaNなどの他のアルミニウム含有窒化半導体よりも柔らかいので、活性層MQWを構成する層中にInGaNを使用すると全ての積層された窒化半導体層でクラックの発生が少ないという利点を与えることができる。また、多重量子井戸活性層MQWは、複数のInGaN井戸層と複数のAlGaNバリア層から構成することができる。または、多重井戸活性層MQWは、複数のAlInGaN井戸層と複数のAlInGaNバリア層とから構成することができる。この場合、バリア層のバンドギャップエネルギーは、井戸層のバンドギャップエネルギーよりも大きくすることができる。
【0048】
反射層は、多重量子井戸活性層MQWから基板Sb側、例えば、n型接点層NCtのバッファー層B上に設けることができる。また、反射層は、基板Sbに積み重ねられた多重量子井戸活性層MQWから離れて、基板Sbの表面に設けることができる。反射層は、活性層MQWから発光された光に対して最大の反射率を有することができ、例えば、アルミニウムから形成することができ、または、薄いGaN層の多層構造を有することができる。反射層を設けることによって、活性層MQWからの発光光は反射層から反射することが可能になり、活性層MQWからの発光光の内部吸収を低減することができ、上方への出力光の量を増加することができ、劣化を防止するための光源用搭載部への光の入射を低減することができる。
【0049】
図13〜14に、いくつかの例示的半導体光源−蛍光体構造を示す。図13は、半導体光源チップ1と、リード2によって電力を供給され、半導体光源チップと出力光6の間に固定された蛍光体含有材料4を有する発光装置10を示す。反射器3は出力光を集中させる働きをすることができる。透明な容器5は半導体光源と蛍光体を環境から分離し、および/またはレンズを提供することができる。図14の発光装置20は、複数の半導体光源チップ11、リード12、蛍光体含有材料14、および透明容器15を有するパネル装置である。
【0050】
当業者であれば、蛍光体との相互作用によって半導体光源からの光を制御するように蛍光体を半導体光源に結合させるには、多くの任意の方法があることを理解するであろう。米国公開特許出願第2004/0145289号および第2004/0145288号は蛍光体が半導体光源の出力光から離れて配置された発光装置を示している。米国公開特許出願第2004/01450307号および第2004/0159846号は、更に制限することなく、本発明に使用することのできる発光装置を示している。
【0051】
半導体光源に基づく白色光装置は、例えば、予め定めたパターンまたは図形をオーディオシステム、家庭用器具、測定機器、医療器具等の表示器部分に表示するための自己発光型表示器に使用することができる。また、それらの半導体光源に基づく光装置は、例えば、LCD表示器のバックライト、プリンターヘッド、ファクシミリ、コピー装置等の光源として使用することができる。
【0052】
本発明の蛍光体と混合することのできる追加の蛍光体の中で有用であると考えられるものは、本明細書の最初の節で明らかにしたものを含む。
【0053】
本発明の蛍光体と混合することのできる追加の蛍光体の中で有用であると考えられるものは、YAl12:Ce3+(YAG)、LuGa(AlO:Ce3+、LaIn(AlO:Ce3+、CaGa12:Ce3+、SrAl12:Tb3+、BaYSAlO12:Ce3+、CaGa:Eu2+、SrCaSiO:Eu2+、ZnS:Cu、CaSiN:Eu2+、SrSiN:Eu2+、SrSiAl:Eu2+、BaMgSi:Eu2+、BaSiO:Eu2+、La・11Al:Mn2+、CaMg(SiOCl:Eu2+、Mn2+、(CaM)(Si,Al)12(O,N)16:Eu2+、Tb3+、Yb3+、YBO:Ce3+、Tb3+、BaMgAl1017:Eu2+、Mn2+、(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga):Eu2+、BaCaSi10:Eu2+、(SrBa)MgSi:Eu2+、(SrBa):Eu2+、(SrBa)Al1425:Eu2+、LaSi:Ce3+、(BaSr)MgAl1017:Eu2+、CaMgSi:Eu2+を含む。
【0054】
本明細書に記述される、多くの気相を含む合成工程の温度は、炉または他の反応容器のものであり、本質的に反応物のものではない。
【0055】
「白色光」は、ある色度値の光であり、当技術分野に知られ多数発表されている。
以下の実施例は本発明をさらに説明するが、無論、その範囲を制限するもの解釈すべきではない。
【0056】
〔実施例1a〕
CaSiO・(SiO:Eu2+,Mn2+,Iの調製
酸化ユーロピウムEu(1.14g、0.65モル%)、3.9gのCaO(7モル%)、0.78gのCaF(1モル%)、0.115gのMnCO(0.1モル%)、60.08gのケイ酸(100モル%)、21gのNHI(14.4モル%)を乾燥粉体の形で混合した。混合した粉体をさらに乾燥窒素中140℃で4時間乾燥した。次いで、粉体を形成ガス中(N中5%v/vのH)900℃で1時間焼成した。材料を冷却した後、14gのNHIを加え、粉体を再び混合した。混合した粉体を形成ガス中1000℃で1時間焼成した。得られた蛍光体は、(CaSiO)・(SiO):Eu2+,Mn2+,Iであった。図3のX線回折パターン(イノケイ酸ウォラストナイト(Wollastonite)、石英、クリソトバライトシリカに関して示される)から明らかなように、シリカSiOはクリストバライトの形であり、イノケイ酸カルシウムはウォラストナイトの形であった。図1に示すように、蛍光体は、410nmの光の励起で635nmのピークを有する明るい赤色光を発光した。蛍光体を85℃85%相対湿度に露出した長期安定性(耐久性)を図2に示す。
【0057】
〔実施例1b〜f〕
CaSiO・(SiO:Eu2+,Mn2+,Iの調製
以下の蛍光体を得るためにEu2+とMn2+の比を変化させたことを除いて、実施例1aの方法を用いた。
【0058】
【表1】

【0059】
〔実施例2〕
CaSiO・(SiO:Eu2+,Mn2+,Clの調製
乾燥粉砕によって酸化ユーロピウムEu(1.14g、0.65モル%)、3.9gのCaO(7モル%)、0.78gのCaF(1モル%)、0.115gのMnCO(0.1モル%)、60.08gのケイ酸(100モル%)、14gのNHCl(26モル%)を混合した。混合した粉体をさらに乾燥窒素中で140℃で4時間乾燥した。次いで、粉体を乾燥窒素中900℃で1時間焼成した。材料を室温まで冷却した後、14gのNHClを加え、粉体を再び混合した。混合した粉体を形成ガス中1000℃で1時間焼成した。得られた蛍光体は、CaSiO・(SiO:Eu2+,Mn2+,Clであった。図4に示すように、蛍光体は、410nmの光の励起で422nmと585nmのピークを有する明るい橙赤色光を発光した。
【0060】
〔実施例3a〕
CaSiO・(SiO:Eu2+,Iの調製
酸化ユーロピウムEu(1.14g、0.65モル%)、3.9gのCaO(7モル%)、0.78gのCaF(1モル%)、60.08gのケイ酸(100モル%)、14gのNHI(9.6モル%)を乾燥粉体の形で混合した。混合した粉体をさらに窒素中で140℃で4時間乾燥した。次いで、粉体を乾燥窒素中900℃で1時間焼成した。材料を冷却した後、14gのNHIを加え、再び混合した。混合した粉体を形成ガス中1000℃で1時間焼成した。得られた蛍光体は、(CaSiO)・(SiO:Eu2+,Iであり、図5に示すように、410nmの光の励起で465nmのピークを有する明るい青色光を発光した。蛍光体は、CaSiOのウォラストナイトとクリストバライトSiOを有する多形結晶組成物を示した。耐久性を図6に示す。
【0061】
〔実施例3b〜i〕
CaSiO・(SiO:Eu2+,Iの調製
以下の蛍光体を得るためにEu2+とMn2+の比を変化させたことを除いて、実施例3aの方法を用いた。
【0062】
【表2】

【0063】
〔実施例4〕
CaSiO・(SiO:Eu2+,Mn2+,Brの調製
酸化ユーロピウムEu(1.14g、0.65モル%)、3.9gのCaO(9.7モル%)、0.78gのCaF(1モル%)、0.115gのMnCO(0.1モル%)、60.08gのケイ酸(100モル%)、16gのNHBr(16モル%)を粉砕によって混合した。混合した粉体をさらに乾燥窒素中で140℃で4時間乾燥した。次いで、粉体を形成ガス中900℃で1時間焼成した。材料を冷却した後、14gのNHBrを加え、再び混合した。混合した粉体を形成ガス中1000℃で1時間焼成した。得られた蛍光体は、CaSiO・(SiO:Eu2+,Mn2+,Brであり、図7に示すように、400nmの光の励起で明るい青色(430nm)と橙色(584nm)を発光した。
【0064】
〔実施例5〕
MgSiO・(SiO)n:Eu2+,Mn2+,Iの調製
酸化ユーロピウムEu(1.14g、0.65モル%)、3.9gのMgO(7モル%)、0.115gのMnCO(0.1モル%)、60.08gのケイ酸(100モル%)、14gのNHI(15モル%)を乾燥粉体の形で混合した。混合した粉体をさらに乾燥窒素中で140℃で4時間乾燥した。次いで、粉体を形成ガス中900℃で1時間焼成した。材料を冷却した後、14gのNHIを加え、再び混合した。混合した粉体を乾燥形成ガス中1000℃で1時間焼成した。得られた蛍光体は、([Mg]SiO)・(SiO:Eu2+,Mn2+であった。図9のX線回折パターン(エンスタライトMgと石英に関して示す)から明らかなように、シリカSiOはクリストバライトの形に結晶化し、イノケイ酸マグネシウムはエンスタライトの形であった。この回折パターンは、シリカが大部分非晶質であることを示す。この蛍光体は図8に示すように、410nmの光励起によって(430nmで青色、644nmで赤色)発光された。
【0065】
〔実施例6〕
MgSiO・(SiO)n:Eu2+,Mn2+,Brの調製
酸化ユーロピウムEu(1.14g、0.65モル%)、3.9gのMgO(7モル%)、0.115gのMnCO(0.1モル%)、60.08gのケイ酸(100モル%)、16gのNHBr(16.3モル%)を乾燥粉砕によって混合した。混合した粉体をさらに乾燥窒素中で140℃で4時間乾燥した。次いで、粉体を形成ガス中900℃で1時間焼成した。材料を冷却した後、14gのNHBrを加え、再び混合した。混合した粉体を形成ガス中1000℃で1時間焼成した。得られた蛍光体は、MgSiO・(SiO:Eu2+,Mn2+Brであり、図10に示すように、400nmの光励起によって(410nmで青色、475nmで青色、620nmで赤色)を発光した。
【0066】
〔実施例7〕
CaSiO:Eu2+,Mn2+,Iの調製
酸化ユーロピウムEu(1.14g、0.65モル%)、3.9gのCaO(7モル%)、0.78gのCaF(1モル%)、0.115gのMnCO(0.1モル%)、60.08gのケイ酸(100モル%)、16gのNHI(11モル%)を乾燥粉砕によって混合した。混合した粉体をさらに乾燥窒素中で140℃で4時間乾燥した。次いで、粉体を形成ガス中900℃で1時間焼成した。材料を冷却した後、14gのNHIを加え、再び混合した。混合した粉体を形成ガス中1000℃で1時間焼成した。得られた蛍光体は、CaSiO:Eu2+,Mn2+,Iであり、図11に示すように、400nmの光励起によって(460nmで青色、610nmで赤色)を発光した。
【0067】
〔実施例8〕
(SiO)n:Eu2+,Mn2+,Iの調製
酸化ユーロピウムEu(1.14g、0.65モル%)、0.78gのCaF(1モル%)、0.115gのMnCO(0.1モル%)、60.08gのケイ酸(100モル%)、16gのNHI(11モル%)を乾燥粉砕によって混合した。混合した粉体をさらに乾燥窒素中で140℃で4時間乾燥した。次いで、粉体を形成ガス中900℃で1時間焼成した。材料を冷却した後、14gのNHBrを加え、再び混合した。混合した粉体を形成ガス中1000℃で1時間焼成した。得られた蛍光体は、(SiO:Eu2+,Mn2+,Iであり、図12に示すように、400nmの光励起によって(430nmで青色、640nmで赤色)を発光した。
【0068】
〔実施例9〕
410nm発光LEDチップおよび第1蛍光体混合物を有する白色光装置の作製
蛍光体混合物を、実施例1で作製した赤色発光金属ケイ酸−シリカ系多形蛍光体CaSiO・(SiO:Eu2+,Mn2+,Iと、緑色発光蛍光体BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+,(BAM:Eu,Mn)(G)と、実施例3で作製した青色発光蛍光体CaSiO・(SiO:Eu2+,I(B)とから作製する。3種の蛍光体を適切な重量比で混合し、さらに蛍光体とエポキシ樹脂を混合してスラリーを形成する。410nmを発光するInGaN系LEDチップ上にスラリーを塗工する。装置は白色の光を発生し、その色彩座標は3種類の蛍光体の比の変化によって変化させることができる。
【0069】
〔実施例10〕
410nm発光LEDチップおよび第2蛍光体混合物を有する白色光装置の作製
蛍光体混合物を、実施例1で作製した赤色発光金属ケイ酸塩−シリカ系多形蛍光体CaSiO・(SiO:Eu2+,Mn2+,Iと、緑色発光蛍光体SrGa:Eu2+(STG:Eu)(G)と、実施例3で作製した青色発光蛍光体CaSiO・(SiO:Eu2+,I(B)とから作製する。3種の蛍光体を適切な重量比で混合し、さらに蛍光体とエポキシ樹脂を混合してスラリーを形成する。410nmを発光するInGaN系LEDチップ上にスラリーを塗工する。装置は白色の光を発生し、その色彩座標は3種類の蛍光体の比の変化によって変化させることができる。装置構造は図13とすることができる。
【0070】
〔実施例11〕
410nm発光LEDチップおよび紫色発光蛍光体を有する紫色光装置の作製
実施例2で作製した単一蛍光体の紫色を発光するCaSiO・(SiO:Eu2+,Mn2+,Clをエポキシ樹脂と混合してスラリーを形成する。410nmを発光するInGaN系LEDチップ上にスラリーを塗工する。装置は紫色の光を発生する。この光の色は、娯楽的な環境におけるある種の照明に適している。
【0071】
特許および特許出願を含むがそれだけに限定されない、本明細書に引用された刊行物および参考文献は、引用された全部分においてその全体が参照により本明細書に組み込まれており、あたかも、各個別の刊行物または参考文献が参照によって具体的にかつ個別に本明細書に完全に記載されて組み込まれているかのようになっている。刊行物および参考文献について上述したのと同様、本出願が優先権を主張するいかなる特許出願も、参照により本明細書に組み込まれている。
【0072】
本発明は好ましい実施形態を強調して説明したが、当業者であれば、好ましい装置と方法の変形を用いることができ、本明細書に具体的に説明された形態以外で本発明を実施できることは明らかであろう。したがって、本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の精神と範囲内に包含されるすべての修正を含む。
【0073】
本出願は2005年3月25日に出願された以下の案件から優先権を主張するものである。米国特許出願第60/665,458号、第60/665,636号、第60/665,456号、第60/665,457号、2005年5月24日出願の米国特許出願第60/684,373号、2005年6月10日出願の米国特許出願第11/149,648号。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の蛍光体の励起および発光スペクトル(実施例1)を示す図である。
【図2】本発明の蛍光体の安定性データ(実施例1)を示す図である。
【図3】本発明の蛍光体のX線回折データ(実施例1)を示す図である。
【図4】本発明の蛍光体の励起および発光スペクトル(実施例2)を示す図である。
【図5】本発明の蛍光体の励起および発光スペクトル(実施例3)を示す図である。
【図6】本発明の蛍光体の安定性データ(実施例3)を示す図である。
【図7】本発明の蛍光体の励起および発光スペクトル(実施例4)を示す図である。
【図8】本発明の蛍光体の励起および発光スペクトル(実施例5)を示す図である。
【図9】本発明の蛍光体のX線回折データ(実施例5)を示す図である。
【図10】本発明の蛍光体の励起および発光スペクトル(実施例6)を示す図である。
【図11】本発明の蛍光体の励起および発光スペクトル(実施例7)を示す図である。
【図12】本発明の蛍光体の励起および発光スペクトル(実施例8)を示す図である。
【図13】発光装置を示す図である。
【図14】発光装置を示す図である。
【図15】近UV発光半導体光源の例示的層構造を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
300nm以上の波長を含む出力光を生成する半導体光源と、
28の間に配置された波長制御体とを含む発光装置であって、
前記装置の前記光源と前記出力光が、下記式で表される蛍光体を含む発光装置。
[(BvSiO(MvSiO)(Tv(SiO・(SiO:Rε,X (I)
(式中、
x、y、zはx+y+z=1となる任意の値であり、
Bvは1種または複数の二価のアルカリ土類金属イオンであり、
Mvは1種または複数の一価のアルカリ金属イオンであり、
Tvは1種または複数の三価の金属イオンであり、
RεはEu2+またはMn2+から選択される1種または複数の活性剤であり、
Xは1種または複数のハロゲン化物であり、
mは1または0であり、但し、mが1であり、有用な発光を与えるのに有効なシリカの量を提供する場合、nは3よりも大きく、または、m=0である場合、nは1である)
【請求項2】
MvがLi、Na、またはKから選択される1種または複数のイオンを含む請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
Bvが1種または複数の二価のアルカリ土類金属イオンを含む請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
Bvが1種または複数のCaまたはSrイオンを含む請求項2に記載の発光装置。
【請求項5】
Bvが、1種または複数のBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、またはHgイオンを含む請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
Tvが、Al、Ga、In、Sc、Y、またはLaイオンの1種または複数を含む請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
RεがEu2+イオンを含む請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
RεがMn2+イオンを含む請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
RεがEu2+およびMn2+イオンを含む請求項1に記載の発光装置。
【請求項10】
前記波長制御体が1種または複数の追加の蛍光体を含み、前記1種または複数の追加の蛍光体が前記装置によって生成される光を調節する請求項1に記載の発光装置。
【請求項11】
前記波長制御体が出力光を白色光に変化させる請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記半導体光源が、p型クラッド層とn型クラッド層の間に挟まれた発光層を含む量子井戸構造を含む請求項1に記載の発光装置。
【請求項13】
前記p型クラッド層がAlGa1−qN(式中、0<q<1)から形成され、
前記n型クラッド層がAlGa1−rN(式中、0≦r<1)から形成され、
前記p型クラッド層が前記n型クラッド層のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを場合によって有する請求項12に記載の発光装置。
【請求項14】
前記半導体光源が、インジウムおよび1つまたは複数の量子井戸構造を含む発光層をさらに含む請求項1に記載の発光装置。
【請求項15】
前記量子井戸構造が1つまたは複数のInGaNの井戸層および1種または複数のGaNのバリア層を場合によって含み、
前記量子井戸構造が1つまたは複数のInGaNの井戸層および1つまたは複数のAlGaNのバリア層を場合によって含み、
前記量子井戸構造が1種または複数のAlInGaNの井戸層および1種または複数のAlInGaNのバリア層を場合によって含み、
前記バリア層が前記井戸層の前記バンドギャップエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有し、
前記井戸層が100オングストロームを超えない厚さを場合によって有する請求項14に記載の発光装置。
【請求項16】
前記半導体光源が1つまたは複数の量子井戸構造を含む請求項1に記載の発光装置。
【請求項17】
前記量子井戸構造が単一量子井戸構造である請求項16に記載の発光装置。
【請求項18】
前記量子井戸構造が多重量子井戸構造である請求項16に記載の発光装置。
【請求項19】
前記半導体光源が基板上に1個を超える発光ダイオード(LED)を含む請求項1に記載の発光装置。
【請求項20】
前記蛍光体が、式、[(CaSiO)]・(SiO:Eu2+,Mn2+,Iを有し、前記Eu2+およびMn2+イオンが、約620nm〜約660nmのピーク発光と、x=0.62±0.06、y=0.30±0.06の色度を与える濃度および比率を有する請求項1に記載の発光装置。
【請求項21】
前記蛍光体が、式[(CaSiO)]・(SiO:Eu2+,Iを有し、Eu2+およびMn2+イオンが、約445nm〜約480nmのピーク発光と、x=0.20±0.06、y=0.10±0.06の色度を与える濃度および比率を有する請求項1に記載の発光装置。
【請求項22】
前記蛍光体が、式[(CaSiO)]・(SiO:Eu2+,Mn2+,Clを有し、Eu2+およびMn2+イオンが、x=0.40±0.06、y=0.20±0.06の色度を与える濃度および比率を有する請求項1に記載の発光装置。
【請求項23】
Bv、Mv、Tv、またはその混合物が、ウォラストナイトの形の金属ケイ酸塩を含む請求項1に記載の発光装置。
【請求項24】
前記シリカがクリストバライトの形を含む請求項23に記載の発光装置。
【請求項25】
Bv、Mv、Tv、またはその混合物が、方解石の形の金属ケイ酸塩を含む請求項1に記載の発光装置。
【請求項26】
前記シリカがクリストバライトの形を含む請求項25に記載の発光装置。
【請求項27】
Bv、Mv、Tv、またはその混合物が、エンスタライトの形の金属ケイ酸塩を含む請求項1に記載の発光装置。
【請求項28】
前記シリカがクリストバライトの形を含む請求項27に記載の発光装置。
【請求項29】
下記式の発光体。
[(BvSiO(MvSiO(Tv(SiO・(SiO:Rε,X (I)
(式中、
x、y、zはx+y+z=1となる任意の値であり、
Bvは1種または複数の二価のアルカリ土類金属イオンであり、
Mvは1種または複数の一価のアルカリ金属イオンであり、
Tvは1種または複数の三価の金属イオンであり、
RεはEu2+またはMn2+イオンから選択される1種または複数の活性剤であり、
Xは1種または複数のハロゲン化物であり、
mは1または0であり、但し、mが1であり、有用な発光を与えるのに有効なシリカの量を提供する場合、nは3よりも大きく、m=0である場合、nは1である)
【請求項30】
MvがLi、Na、またはKから選択される1種または複数のイオンを含む請求項29に記載の蛍光体。
【請求項31】
Bvが1種または複数のCaまたはSrイオンを含む請求項29に記載の蛍光体。
【請求項32】
Bvが、1種または複数のBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Cd、またはHgイオンを含む請求項29に記載の蛍光体。
【請求項33】
Tvが、Al、Ga、In、Sc、Y、またはLaイオンの1種または複数を含む請求項29に記載の蛍光体。
【請求項34】
RεがEu2+イオンを含む請求項29に記載の蛍光体。
【請求項35】
RεがMn2+イオンを含む請求項29に記載の蛍光体。
【請求項36】
RεがEu2+およびMn2+イオンを含む請求項29に記載の蛍光体。
【請求項37】
前記蛍光体が、式、[(CaSiO)]・(SiO:Eu2+,Mn2+,Iを有し、前記Eu2+およびMn2+イオンが、約620nm〜約660nmのピーク発光と、x=0.62±0.06、y=0.30±0.06の色度を与える濃度および比率を有する請求項29に記載の蛍光体。
【請求項38】
前記蛍光体が、式、[(CaSiO)]・(SiO:Eu2+,Iを有し、前記Eu2+イオンが、約445nm〜約480nmのピーク発光と、x=0.20±0.06、y=0.10±0.06の色度を与える濃度を有する請求項29に記載の蛍光体。
【請求項39】
前記蛍光体が、式、[(CaSiO)]・(SiO:Eu2+,Mn2+,Clを有し、前記Eu2+およびMn2+イオンが、x=0.40±0.06、y=0.20±0.06の色度を提供する濃度および比率を有する請求項29に記載の蛍光体。
【請求項40】
Bv、Mv、Tv、またはその混合物が、ウォラストナイトの形の金属ケイ酸塩を含み、前記シリカがクリストバライトの形を含む請求項29に記載の蛍光体。
【請求項41】
Bv、Mv、Tv、またはその混合物が、方解石の形の金属ケイ酸塩を含み、前記シリカがクリストバライトの形を含む請求項29に記載の蛍光体。
【請求項42】
Bv、Mv、Tv、またはその混合物が、エンスタライトの形の金属ケイ酸塩を含み、前記シリカがクリストバライトの形を含む請求項29に記載の蛍光体。
【請求項43】
Xが約5%以下のSiOのモルパーセントを有する請求項29に記載の蛍光体。
【請求項44】
下記式(I)の蛍光体を作製する方法。
[(BvSiO(MvSiO(Tv(SiO・(SiO:Rε,X (I)
(式中、
a)ハロゲン化物源を場合によって含む適切な前駆体混合物を提供することと、
b)第1の加熱の生成物を還元雰囲気中、ハロゲン化物源の存在下で、900℃〜1300℃で焼成することとを含み、前記方法が、
c)前記焼成の前に、前記適切な混合物を前記焼成の温度よりも低い温度で加熱することと、
d)還元雰囲気中に、700℃〜1100℃の温度のハロゲン化物源を含めることと、
e)前記蛍光体中のXを約5%以下のSiOのモルパーセントに維持することとのうちの1つまたは複数を含む、
x、y、zはx+y+z=1となる任意の値であり、
Bvは1種または複数の二価のアルカリ土類金属イオンであり、
Mvは1種または複数の一価のアルカリ金属イオンであり、
Tvは1種または複数の三価の金属イオンであり、
RεはEu2+またはMn2+から選択される1種または複数の活性剤であり、
Xは1種または複数のハロゲン化物であり、
mは1または0であり、但し、mが1であり、有用な発光を与えるのに有効なシリカの量を提供する場合、nは3よりも大きく、m=0である場合、nは1である)
【請求項45】
下記式(I)の蛍光体を作製する方法。
[(BvSiO(MvSiO(Tv(SiO・(SiO:Rε,X (I)
(式中、
a)適切な前駆体を混合することと、
b)スラリーを形成することと、
c)場合によって、前記スラリーを粉砕することと、
d)場合によって、前記スラリーを乾燥することと、
e)場合によって、前記スラリーを還元ガス中第1温度で加熱することと、
f)場合によって、Xの前駆体をさらに混合することと、
g)e)を行う場合、第1温度よりも高い第2温度で、b)〜f)のいずれかを還元ガス中で焼成することと、
h)場合によって、未反応成分を除去するのに有効な溶媒でg)を洗浄することと、
i)場合によって、後形成処理を適用することとを含む、
x、y、zはx+y+z=1となる任意の値であり、
Bvは1種または複数の二価のアルカリ土類金属イオンであり、
Mvは1種または複数の一価のアルカリ金属イオンであり、
Tvは1種または複数の三価の金属イオンであり、
RεはEu2+またはMn2+イオンから選択される1種または複数の活性剤であり、
Xは1種または複数のハロゲン化物であり、
mは1または0であり、但し、mが1であり、有用な発光を与えるのに有効なシリカの量を提供する場合、nは3よりも大きく、m=0である場合、nは1である)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−274263(P2006−274263A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−82970(P2006−82970)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(505316842)サーノフ コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】