金属ナノ粒子の生成方法
【課題】 金属ナノ粒子の生成方法に関し、不純物の混入のない金属ナノ粒子を粒径を揃えて且つ任意の位置に分散性良く生成する。
【解決手段】 金属錯体2にエネルギービーム3を照射することによって、金属錯体2を構成する金属からなる金属ナノ粒子4を生成する。
【解決手段】 金属錯体2にエネルギービーム3を照射することによって、金属錯体2を構成する金属からなる金属ナノ粒子4を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属ナノ粒子の生成方法に関するものであり、特に、粒径の揃った任意の粒径の金属ナノ粒子を任意の位置に分散性良く生成するための手法に特徴のある金属ナノ粒子の生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりナノメータオーダーのサイズの物質の物性を扱うナノテクノロジーが注目を集めているが、ナノ粒子は表面原子数の割合の増加や電子構造の離散化等の変化によってバルクとは異なる性質を有しているため、近年、各種の材料に関する研究が盛んになされている。
【0003】
例えば、NiやCoに代表される強磁性を有する元素は、粒径が小さくなると転移温度が小さくなっていき、ある粒径を下回ると常温において強磁性から超常磁性へと相変化することも報告されている。
【0004】
このような、ナノ構造を形成するためには各種の方法が提案されており、例えば、金属ナノ粒子を生成するために、液相還元法、CVD法、ガス中蒸発法、或いは、レーザ蒸着法が提案されている。
【0005】
このように生成されるナノ粒子は通常はランダムな粒径でランダムな位置に形成され、粒径を均一化したり任意の位置に配置することは困難であるが、ナノ粒子の有する特性を実用過程において再現性良く得るためには、ナノ粒子の粒径を均一化したり任意の位置に配置することが必要になる。
【0006】
上述の液相還元法においては、溶液状態で金属イオンを還元することによってコロイド状態の金属ナノ粒子を作り、自己組織化作用による金属ナノ粒子のパッキング現象を利用して所定の間隔で配列させている(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
この場合、パッキングの際には有機保護膜を用い、この有機保護膜の分子間力を利用して配列構造を形成しているため、間隔の制御のために有機保護膜に用いる分子の設計を行っている。
【0008】
この液相還元法において、金属ナノ粒子の粒径を均一化するために種々の有機試薬を混合することが試みられている。
【0009】
また、金属ナノ粒子の粒径を均一化する他の方法として微分型電気移動度分級法(DMA:Differential Mobility Analyzer)が提案されており、数nm程度の粒径の揃った金属ナノ粒子を基板上に蒸着することが可能になった(例えば、非特許文献2参照)。
【0010】
一方、ナノ粒子の具体的活用例としては、金属ナノ粒子を触媒として直径が1〜2nmの単層カーボンナノチューブ(SWCNT:Single−Walled Carbon Nano Tubes)を成長させることが報告されている(非特許文献3参照)。
【0011】
この場合、無機試薬の溶液を基板に滴下したのち、加熱による熱分解によって金属ナノ粒子の酸化物を作製し、次いで、この金属酸化物ナノ粒子をAr/H2 雰囲気中で高温還元することによって金属ナノ粒子とし、この金属ナノ粒子を触媒として炭化水素を原料としたCVD法によってSWCNTを成長させている。
【0012】
このSWCNTは、化学的に非常に安定である上に極めて高い強度を有するとともに高温時の導電性が高いという特長を有しており、CNTトランジスタやCNTスイッチ等への適用が期待される。
【非特許文献1】T.Teranishi,C.R.Chimic,Vol.6, p.979,2003
【非特許文献2】T.Seto,et.al.,Thin Solid Film s,Vol.437,p.230,2003
【非特許文献3】Y.Murakami,et.al.,Chem.Phys.L ett.,Vol.385,p.298−303,2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上述の液相還元法においては、間隔の制御のために有機保護膜の分子設計を行っているため、素子構造を変更する毎に新たな分子設計が必要となるため製造工程が複雑化するという問題がある。
【0014】
また、このような金属ナノ粒子をCNT成長用触媒等として使用する場合には有機保護膜の除去が必要になり、有機保護膜を除去するために加熱処理を行うとパッキング現象による位置制御が行えなくなるという問題がある。
【0015】
また、ナノ粒子は微量の不純物の混入により粒子の性質が劇的に変化する可能性があるが、液相還元法においては有機保護膜や粒径を制御するための有機試薬に起因する元素の混入が問題となる。
【0016】
したがって、本発明は、不純物の混入のない金属ナノ粒子を粒径を揃えて且つ任意の位置に分散性良く生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
図1は本発明の原理的構成図であり、ここで図1を参照して、本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
(1)上記課題を解決するために、本発明は、金属ナノ粒子の生成方法において、金属錯体2にエネルギービーム3を照射することによって、金属錯体2を構成する金属からなる金属ナノ粒子4を生成することを特徴とする。
【0018】
このように、金属ナノ粒子4の原料として金属錯体2を用いることにより、エネルギービーム3を照射するというドライ工程で金属ナノ粒子4を生成することができ、有機保護膜や有機試薬の除去工程が不要になるとともに、不純物混入を回避することができる。
【0019】
また、エネルギービーム3の照射箇所のみに金属ナノ粒子4が生成するので、エネルギービーム3の照射箇所を制御することによって、金属ナノ粒子4の生成箇所を制御することが可能になる。
また、金属錯体2の量或いは照射エネルギーを制御することによって、生成する金属ナノ粒子4の粒径を均一に制御することが可能になる。
【0020】
(2)また、本発明は、上記(1)において、エネルギービーム3が光ビームであることを特徴とする。
【0021】
このように、エネルギービーム3はレーザビーム等の光ビームでも良く、電子ビームでは困難な箇所や広い領域において均一な粒径で分散性の良好な金属ナノ粒子4を生成することができる。
【0022】
(3)また、本発明は、上記(1)において、エネルギービーム3が電子ビームであり、且つ、金属錯体2が基板1上に堆積した金属錯体膜であることを特徴とする。
【0023】
このように、エネルギービーム3として電子ビームを用いた場合には、基板1上に堆積した金属錯体膜を用いることによって、基板1上の所定の箇所に均一な粒径で分散性の良好な金属ナノ粒子4を生成することができる。
【0024】
(4)また、本発明は、上記(3)において、金属ナノ粒子4の粒径を、電子ビームの電流密度或いは金属錯体膜の膜厚の少なくとも一方で制御することを特徴とする。
【0025】
生成する金属ナノ粒子4の粒径は、照射エネルギーが大きいほど、また、金属錯体2の量が多いほど大きくなるので、電子ビームの電流密度或いは金属錯体膜の膜厚の少なくとも一方を制御することによって金属ナノ粒子4の粒径を制御することができる。
【0026】
(5)また、本発明は、上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、金属錯体2が、メタロセン錯体であることを特徴とする。
【0027】
本発明の金属ナノ粒子4の生成方法に用いる金属錯体2としては、常温での成膜が可能なメタロセン錯体〔M(C5 H5 )2 〕が望ましいが、触媒や磁気特性を利用するためには金属元素MがFe,Ni,Coのいずれかであるメタロセン錯体が好適である。
【0028】
このような粒径が均一化され且つ任意の位置に生成させたFe,Co,Ni等のFe族の金属ナノ粒子4を触媒として用いることによって、単層カーボンナノチューブのみを選択的に成長させることが可能になり、SET(シングルエレクトロントランジスタ)等を構成することが可能になる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、粒径が均一化されるとともに不純物が混入していない金属ナノ粒子を任意の位置に分散性良く生成することができ、特に、金属錯体としてメタロセンを用いることによって、室温近傍での蒸着/除去が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は、Ni(C5 H5 )2 等の金属錯体を、例えば、基板上に室温で成膜させたのち、電子ビーム等のエネルギービームを局所的に照射することによって、照射箇所に照射エネルギーと金属錯体膜厚に依存した粒径の金属ナノ粒子を分散性良く生成させるものである。
【実施例1】
【0031】
ここで、図2及び図3を参照して、本発明の実施例1の金属ナノ粒子の生成方法を説明する。
図2参照
図2は、本発明の実施例1に用いる生成装置の概念的構成図であり、この生成装置は、排気口12を備えたPyrex(登録商標)製のチャンバー11、チャンバー11にOリング13を介して取り付けられた窓部材14、チャンバー11内に収容された原料収容ボート15、Nd3+:YAGレーザ16、Nd3+:YAGレーザ16からの532nmのパルスレーザ光17を集束するレンズ18から構成される。
【0032】
原料収容ボート15には、粉体状のニッケロセン〔Ni(C5 H5 )2 〕19が収容されており、排気口12から排気してチャンバー11内の気圧を例えば、1×10-3Torrにし、室温においてニッケロセン19を蒸発させて気相にした状態でパルスレーザ光17をチャンバー11内に入射する。
【0033】
このパルスレーザ光17の照射により、気相のニッケロセン20或いは窓部材14に付着したニッケロセンを構成する配位子C5 H5 が解離して窓部材14の照射箇所においてNiナノ粒子21が生成されるとともに解離した配位子C5 H5 は排気口12から排出される。
【0034】
このパルスレーザ光17の照射を繰り返すことによってNiナノ粒子21は成長して、5時間程度にわたる1〜2×105 回の約15mJ/ショットのパルスレーザ光17の照射により、13±3nm程度の粒径の揃ったNiナノ粒子が21が得られる。
なお、この場合の532nmのパルスレーザ光17のエネルギー(2.33eV)は、ニッケロセン〔Ni(C5 H5 )2 〕の結合エネルギー(5.3−6.1eV)より小さいのでパルスレーザ光17によりニッケロセンが直接解離される反応は生じない。
【0035】
図3参照
図3は、生成したNiナノ粒子のXRD(X線回折)法によって得られたX線回折パターンであり、生成したNiナノ粒子21がバルクNiと同様の面心立方(fcc)構造であることが確認された。
【0036】
また、生成したNiナノ粒子21は、強磁性特性を有しており、300Kにおいて53〔Oe〕、5Kにおいて285〔Oe〕の保磁力が確認された。
【0037】
このように、本発明の実施例1においては、レーザ光を照射することによって窓部材14の照射箇所のみに選択的にNiナノ粒子21を生成することができ、また、この場合のNiナノ粒子21の粒径はレーザ光照射エネルギー、照射回数、ニッケロセンの蒸発量で制御することができる。
【実施例2】
【0038】
次に、図4乃至図11を参照して、本発明の実施例2の金属ナノ粒子の生成方法を説明する。
図4参照
図4は、本発明の実施例2に用いる生成装置の概念的構成図であり、基本的には生成状態を確認するために、HRTEM(高分解能透過型電子顕微鏡)を用いる。
基板31としては、Cuグリッド32をカーボン膜33で覆ったものを用い、この基板31上にニッケロセン膜34を堆積させる。
【0039】
このニッケロセン膜34に、例えば、10-6〜10-8Torrの真空度においてHRTEMの電子銃から、例えば、200keVの電子ビーム35を静電レンズ36で絞って局所的に照射してニッケロセンを下記の反応式(1)により金属ニッケルと配位子とに解離させ、次いで、反応式(2)により金属ニッケルから固相反応によってNiナノ粒子が生成される。
Ni(C5 H5 )2 +e- →Ni(固体)+2C5 H5 (気相) ・・・(1)
nNi(固体)→(Ni)n (Niナノ粒子) ・・・(2)
【0040】
なお、成長途中では配位子C5 H5 はNiナノ粒子の表面に付着しているが、最終的には電子ビームによってNi−(C5 H5 )2 の結合が切られてNiナノ粒子は純粋なNiナノ粒子となり、気相の配位子C5 H5 はHRTEMの排気系によって排出される。
【0041】
この実施例2においては、2種類の試料を用意したので説明する。
まず、試料1は、上述の基板31とニッケロセン源を対向配置して、室温においてまる1日ニッケロセンを蒸発させて基板31に設けたカーボン膜33上に堆積させてニッケロセン膜34を形成したものであり、試料2は同じ条件で4日間堆積させたものである。
【0042】
まず、この試料1に対して、200keVの加速エネルギーで、0.02A/cm2 、0.22A/cm2 、1A/cm2 、及び、4A/cm2 の電流密度で照射時間を変えて照射した。
【0043】
図5参照
図5は、試料1に0.02A/cm2 の電流密度の電子ビームを照射した場合の試料表面のTEM像であり、上図/中図/下図は、それぞれ、30秒、140秒、320秒の照射時間の場合を示している。
【0044】
図から明らかなように、あまり鮮明ではないが、非常に小さなNiナノ粒子が分散した状態で観察され、照射時間の増大とともに、Niナノ粒子の粒径が増大していることが分かる。
なお、TEM像を拡大するためには電流密度を増大する必要があるが、そうすると0.02A/cm2 の条件が保てなくなる。
【0045】
図6参照
図6は、試料1に0.22A/cm2 の電流密度の電子ビームを照射した場合の試料表面のTEM像であり、上図/中図/下図は、それぞれ、10秒、60秒、190秒の照射時間の場合を示している。
【0046】
図から明らかなように、この場合も、あまり鮮明ではないが、1〜2nm程度の小さなNiナノ粒子が分散した状態で観察され、照射時間の増大とともに、Niナノ粒子の粒径が増大していることが分かり、図5との対比からは、電流密度の増加に伴ってNiナノ粒子の生成率が高まっていることが分かる。
【0047】
図7参照
図7は、試料1に1A/cm2 の電流密度の電子ビームを10〜20秒照射した場合の試料表面の説明図であり、上図のTEM像に示すように、粒径が3nm程度のNiナノ粒子が高分散した状態で生成しているのが確認された。
【0048】
また、中図は上図の拡大図であり、格子間隔d、1.98Å及び1.64Åを示す右下がりの斜め方向の縞状の文様が見られる。
下図は、このNiナノ粒子のフリーエ変換像であり、ナノ粒子に特有な結晶構造であるIC(icosahedron)構造及びDC(decahedron)構造が観測され、上述の格子間隔d=1.98Å,1.64Åと矛盾のない結果が得られ、生成されたNiナノ粒子が純粋な金属Niから構成されていることが分かる。
【0049】
図8参照
図8は、試料1に4A/cm2 の電流密度の電子ビームを5〜10秒照射した場合の試料表面の説明図であり、上図のTEM像に示すように、粒径が3nm程度のNiナノ粒子が一部において重なった状態で生成しているのが確認された。
これは、電流密度を増大させたことによってナノ粒子の形成速度が速くなったため、成長核の位置とサイズが不斉一になったためと考えられる。
【0050】
また、下図はこのNiナノ粒子のフリーエ変換像であり、粉体状Niに特有な六方最密(hcp)構造或いはhcp構造とfcc構造との混合相が見られ、生成されたNiナノ粒子が純粋な金属Niから構成されていることが分かる。
なお、図からは、hcp構造の(012)相が明瞭に確認されたが、hcp構造の(011)相の格子間隔2.033Åとfcc構造の(111)相の格子間隔2.034Åとが非常に近くて区別できないためである。
【0051】
このように、試料1の結果からは、生成されるNiナノ粒子の粒径は、照射する電子ビームの電流密度とともに大きくなること、電子ビームの照射時間とともに大きくなることが確認され、また、高分散のNiナノ粒子を得るためには最適な電流密度範囲があることが確認された。
【0052】
図9参照
図9は、試料2に試料1における最適値である1A/cm2 の電流密度の電子ビームを10〜20秒照射した場合の試料表面のTEM像あり、下図は上図の拡大図であり、図に示すように、粒径が5〜8nm程度のNiナノ粒子が生成しているのが確認された。
【0053】
図10参照
図10は、試料2の白い破線の円内の領域Aを1A/cm2 の電流密度の電子ビームで10〜20秒照射したのち、全面に0.02A/cm2 の電流密度の電子ビームを200〜300秒照射した場合の試料表面のTEM像あり、領域Aにおいては大きな粒径のNiナノ粒子が生成されるが、領域Bにおいては相対的に小さな粒径のNiナノ粒子が生成しているのが確認された。
【0054】
図11参照
図11は、得られたNiナノ粒子の拡大図であり、fcc構造の(200)相の格子間隔d=1.75Åを示す右下がりの斜め方向の縞状の文様が見られ、生成されたNiナノ粒子が純粋な金属Niから構成されていることが分かる。
【0055】
このように、試料2の結果からは、生成されるNiナノ粒子の粒径は、ニッケロセンの量とともに大きくなること、この場合も電子ビームの電流密度とともに大きくなることが確認された。
【0056】
以上の実施例2からは、Niナノ粒子の粒径を制御するためには、電子ビームの照射時間、電流密度、及び、ニッケロセンの堆積量を制御すれば良いことが分かる。
【実施例3】
【0057】
次に、図12乃至図15を参照して、本発明の実施例3の金属ナノ粒子の生成方法を説明する。
この本発明の実施例3に用いる生成装置は上述の実施例2に用いる生成装置と全く同じであるが、この場合には、試料として、上述のCuグリッドをカーボン膜で覆った基板上にニッケロセンとフェロセン〔Fe(C5 H5 )2 〕とが混合した混合メタロセン膜を堆積させたものである。
【0058】
この場合、原料収容ボートには、重量比で1:3に混合した粉体状のニッケロセン〔Ni(C5 H5 )2 〕/フェロセン〔Fe(C5 H5 )2 〕を収容し、室温において2〜3日間混合メタロセンを蒸発させて混合メタロセン膜を堆積させる。
この場合、フェロセンの蒸気圧はニッケロセンの蒸気圧に比べて非常に低いので混合メタロセン膜中のフェロセン量は10%以下となる。
【0059】
図12参照
図12は、試料に200keVの加速エネルギーの電子ビームを1A/cm2 の電流密度で10〜20秒照射した場合の試料表面のTEM像であり、中図は、上図の2.5倍の拡大図であり、下図はさらに4倍に拡大した図である。
なお、上図における中央の三角形状の領域はCuグリッド像である。
【0060】
図から明らかなように、1〜4nmの粒径のNi−Feナノ粒子と10〜20nmの粒径のナノ粒子の2群のNi−Feナノ粒子が生成しているのが確認された。
【0061】
図13参照
図13は、Ni−Feナノ粒子のフーリエ変換像であり、格子間隔d=2.03Åのfcc構造と、d=1.93ÅのIC構造或いはd=1.98ÅのDC構造との混合相を示しており、純粋な金属ナノ粒子であることが確認された。
【0062】
図14参照
図14は、Ni−Feナノ粒子のSTEM(走査型TEM)像であり、上図はBF(bright field)モードのSTEM像であり、また、下図はDF(dark field)モードのSTEM像であり、Ni−Feナノ粒子は夫々白色と黒色で表されている。
【0063】
図15参照
図15は、図14の下図における白色の破線の円で印した〜15nmのNi−Feナノ粒子におけるA,B,Cの位置における組成及びDで示す小径のNi−Feナノ粒子の組成をエネルギー分散型X線スペクトロスコピー(EDX)で測定した結果を示したものである。
【0064】
図から明らかなように、〜15nmのNi−Feナノ粒子におけるFeの(Ni+Fe)に対するモル比は7〜7.5%と斉一な分散性を示しており、他の大径のNi−Feナノ粒子の組成比もほぼ同様であった。
なお、図におけるCuのピークは基板を構成するCuグリッドに由来するものである。
【0065】
一方、Dにおける小径のNi−Feナノ粒子におけるFeの(Ni+Fe)に対するモル比は5.5%であり、他の小径のNi−Feナノ粒子のFeの(Ni+Fe)に対するモル比も5〜6%程度であり、いずれにしても、大径のNi−Feナノ粒子に比べてFeの組成比が大幅に低下していることが確認された。
【0066】
この事実から、Ni−Feナノ粒子の粒径は、元になる混合メタロセン膜におけるNi/Fe比を制御することによって制御することができることが分かる。
また、混合メタロセン膜におけるNi/Fe比を制御するためには、原料収容ボートに収容する粉体状のニッケロセン〔Ni(C5 H5 )2 〕/フェロセン〔Fe(C5 H5 )2 〕の混合比を調整したり、或いは、原料を加熱して蒸気圧を変化させれば良い。
【0067】
なお、これらのNi−Feナノ粒子におけるFe組成比は、バルクのfcc構造のNiに対するFeの固溶度の〜4%に比べてかなり大きいが、これは、ナノ粒子に特有な表面収縮により固溶度が増大したためと考えられる。
【実施例4】
【0068】
次に、図16を参照して、本発明の実施例4の金属ナノ粒子を用いた単層カーボンナノチューブの成長方法を説明する。
図16参照
まず、ガラス基板41上に下部電極となるMo層42、SiO2 膜43、及び、ゲート電極となるMo層44を順次堆積させたのち、レジスト層45を塗布し、露光現像してレジスト層45に直径が例えば2μmの開口部を形成し、この開口部を設けたレジスト層45をマスクとしてMo層44及びSiO2 膜43を順次エッチングして開口部46を形成する。
【0069】
次いで、上記の実施例と同様にニッケロセンを室温で蒸発させて全面にニッケロセン膜47を堆積させる。
次いで、電子ビーム露光装置の電子銃を用いて開口部46の形状に整形した電子ビーム48を順次スポット的に照射して開口部46内に堆積したニッケロセン膜から例えば、粒径が〜3nmのNiナノ粒子49を生成する。
【0070】
次いで、レジスト層45を除去したのち、例えば、アセチレンを原料ガスとしたプラズマCVD法によって、Niナノ粒子49を触媒とすることによってカーボンナノチューブ50を成長させる。
【0071】
この場合のカーボンナノチューブ50は、触媒となるNiナノ粒子49の粒径を反映して単層カーボンナノチューブ(SWCNT)となるので、SWCNTのみからなる電界放出型電子源を構成することができる。
【0072】
このような電界放出型電子源をマトリクス状に配置して1ピクセル分の陰極を構成し、透明対向基板に陰極に対向するように陽極を形成するとともに、陽極上にRGBの各蛍光体層を設け、この透明対向基板を陰極と対向配置することによってSWCNTを電界放出型電子源とした電界放出ディスプレイを構成することができる。
【0073】
この場合、電界放出型電子源を特性の優れたSWCNTのみで構成しているので、高画質・高性能の電界放出ディスプレイが可能になる。
【0074】
以上、本発明の各実施例を説明したが、本発明は各実施例に記載した構成及び条件に限られるものではなく、各種の変更が可能であり、例えば、上記の実施例においては、金属ナノ粒子を構成する金属としてNi或いはNi−Feを用いているが、Fe、Co、Ni−Co、Fe−Co、或いは、Ni−Fe−Coを用いても良いものであり、さらには、磁性或いは触媒作用を必要としない場合には、他の非磁性金属元素を用いても良いものである。
【0075】
また、上記の各実施例においては、原料としてメタロセンを用いているがメタロセンに限られるものではなく、他の金属錯体を用いても良いものであり、室温における蒸気圧が低い場合には、原料を加熱すれば良い。
【0076】
また、上記の実施例2及び実施例3においては、金属ナノ粒子の生成状態を同時に観察するためにHRTEMを生成装置として用いているが、金属ナノ粒子の粒径制御条件が確立された場合には、実施例4のように、生成状態を確認することなく一般的な電子ビーム源を用いれば良いものである。
【0077】
したがって、その場合の基板は、Cuグリッドをカーボン膜で被覆した基板を用いる必要はなく、実施例4のように製造する装置構成に応じた基板を用いれば良いものである。
【0078】
また、上記の実施例1においては、チャンバー内においてメタロセンを蒸発させて窓部材の表面に金属ナノ粒子を生成しているが、実施例2等と同様に、予め基板の表面にメタロセン膜を堆積したのち、所定の位置或いは所定のパターンにレーザ光を照射して、照射箇所のみに金属ナノ粒子を生成させるようにしても良いものである。
【0079】
また、上記の実施例5においてはFEDを例にして説明しているが、金属ナノ粒子触媒の用途はFEDに限られるものではなく、SET(単電子トランジスタ)等にも適用されるものである。
【0080】
この場合には、電子ビーム径は数nm程度に絞ることができるので、シリコン基板上にSiO2 膜を設け、このSiO2 膜上の所定の位置に触媒となる1個の金属ナノ粒子を生成させ、この金属ナノ粒子を触媒として電界を印加して電界方向に一本のSWCNTを成長させ、このSWCNT上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を設けるとともに、ゲート電極の両側にソース・ドレイン電極を設けてSETを形成しても良いものである。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の活用例としては、トランジスタや電界放出型電子源となるCNTの成長用触媒となる金属ナノ粒子の生成が典型的なものであるが、強磁性体の特性が粒径によって急激に変化することを利用して高密度磁気メモリ等の磁気記憶媒体への適用も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の実施例1に用いる生成装置の概念的構成図である。
【図3】生成したNiナノ粒子のX線回折パターンである。
【図4】本発明の実施例2に用いる生成装置の概念的構成図である。
【図5】試料1に0.02A/cm2 の電流密度の電子ビームを照射した場合の試料表面のTEM像である。
【図6】試料1に0.22A/cm2 の電流密度の電子ビームを照射した場合の試料表面のTEM像である。
【図7】試料1に1A/cm2 の電流密度の電子ビームを10〜20秒照射した場合の試料表面の説明図である。
【図8】試料1に4A/cm2 の電流密度の電子ビームを5〜10秒照射した場合の試料表面の説明図である。
【図9】試料2に1A/cm2 の電流密度の電子ビームを10〜20秒照射した場合の試料表面のTEM像ある。
【図10】試料2の領域Aと領域Bに異なった電流密度の電子ビームを照射した場合の試料表面のTEM像ある。
【図11】得られたNiナノ粒子の拡大図である。
【図12】試料に200keVの加速エネルギーの電子ビームを1A/cm2 の電流密度で10〜20秒照射した場合の試料表面のTEM像である。
【図13】Ni−Feナノ粒子のフーリエ変換像である。
【図14】Ni−Feナノ粒子のSTEM像である。
【図15】図14の各スポットにおける組成比の説明図である。
【図16】本発明の実施例4の金属ナノ粒子を用いた単層カーボンナノチューブの成長方法の説明図である。
【符号の説明】
【0083】
1 基板
2 金属錯体
3 エネルギービーム
4 金属ナノ粒子
11 チャンバー
12 排気口
13 Oリング
14 窓部材
15 原料収容ボート
16 Nd3+:YAGレーザ
17 パルスレーザ光
18 レンズ
19 ニッケロセン
20 ニッケロセン
21 Niナノ粒子
31 基板
32 Cuグリッド
33 カーボン膜
34 ニッケロセン膜
35 電子ビーム
36 静電レンズ
41 ガラス基板
42 Mo層
43 SiO2 膜
44 Mo層
45 レジスト層
46 開口部
47 ニッケロセン膜
48 電子ビーム
49 Niナノ粒子
50 カーボンナノチューブ
【技術分野】
【0001】
本発明は金属ナノ粒子の生成方法に関するものであり、特に、粒径の揃った任意の粒径の金属ナノ粒子を任意の位置に分散性良く生成するための手法に特徴のある金属ナノ粒子の生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりナノメータオーダーのサイズの物質の物性を扱うナノテクノロジーが注目を集めているが、ナノ粒子は表面原子数の割合の増加や電子構造の離散化等の変化によってバルクとは異なる性質を有しているため、近年、各種の材料に関する研究が盛んになされている。
【0003】
例えば、NiやCoに代表される強磁性を有する元素は、粒径が小さくなると転移温度が小さくなっていき、ある粒径を下回ると常温において強磁性から超常磁性へと相変化することも報告されている。
【0004】
このような、ナノ構造を形成するためには各種の方法が提案されており、例えば、金属ナノ粒子を生成するために、液相還元法、CVD法、ガス中蒸発法、或いは、レーザ蒸着法が提案されている。
【0005】
このように生成されるナノ粒子は通常はランダムな粒径でランダムな位置に形成され、粒径を均一化したり任意の位置に配置することは困難であるが、ナノ粒子の有する特性を実用過程において再現性良く得るためには、ナノ粒子の粒径を均一化したり任意の位置に配置することが必要になる。
【0006】
上述の液相還元法においては、溶液状態で金属イオンを還元することによってコロイド状態の金属ナノ粒子を作り、自己組織化作用による金属ナノ粒子のパッキング現象を利用して所定の間隔で配列させている(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
この場合、パッキングの際には有機保護膜を用い、この有機保護膜の分子間力を利用して配列構造を形成しているため、間隔の制御のために有機保護膜に用いる分子の設計を行っている。
【0008】
この液相還元法において、金属ナノ粒子の粒径を均一化するために種々の有機試薬を混合することが試みられている。
【0009】
また、金属ナノ粒子の粒径を均一化する他の方法として微分型電気移動度分級法(DMA:Differential Mobility Analyzer)が提案されており、数nm程度の粒径の揃った金属ナノ粒子を基板上に蒸着することが可能になった(例えば、非特許文献2参照)。
【0010】
一方、ナノ粒子の具体的活用例としては、金属ナノ粒子を触媒として直径が1〜2nmの単層カーボンナノチューブ(SWCNT:Single−Walled Carbon Nano Tubes)を成長させることが報告されている(非特許文献3参照)。
【0011】
この場合、無機試薬の溶液を基板に滴下したのち、加熱による熱分解によって金属ナノ粒子の酸化物を作製し、次いで、この金属酸化物ナノ粒子をAr/H2 雰囲気中で高温還元することによって金属ナノ粒子とし、この金属ナノ粒子を触媒として炭化水素を原料としたCVD法によってSWCNTを成長させている。
【0012】
このSWCNTは、化学的に非常に安定である上に極めて高い強度を有するとともに高温時の導電性が高いという特長を有しており、CNTトランジスタやCNTスイッチ等への適用が期待される。
【非特許文献1】T.Teranishi,C.R.Chimic,Vol.6, p.979,2003
【非特許文献2】T.Seto,et.al.,Thin Solid Film s,Vol.437,p.230,2003
【非特許文献3】Y.Murakami,et.al.,Chem.Phys.L ett.,Vol.385,p.298−303,2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上述の液相還元法においては、間隔の制御のために有機保護膜の分子設計を行っているため、素子構造を変更する毎に新たな分子設計が必要となるため製造工程が複雑化するという問題がある。
【0014】
また、このような金属ナノ粒子をCNT成長用触媒等として使用する場合には有機保護膜の除去が必要になり、有機保護膜を除去するために加熱処理を行うとパッキング現象による位置制御が行えなくなるという問題がある。
【0015】
また、ナノ粒子は微量の不純物の混入により粒子の性質が劇的に変化する可能性があるが、液相還元法においては有機保護膜や粒径を制御するための有機試薬に起因する元素の混入が問題となる。
【0016】
したがって、本発明は、不純物の混入のない金属ナノ粒子を粒径を揃えて且つ任意の位置に分散性良く生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
図1は本発明の原理的構成図であり、ここで図1を参照して、本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
(1)上記課題を解決するために、本発明は、金属ナノ粒子の生成方法において、金属錯体2にエネルギービーム3を照射することによって、金属錯体2を構成する金属からなる金属ナノ粒子4を生成することを特徴とする。
【0018】
このように、金属ナノ粒子4の原料として金属錯体2を用いることにより、エネルギービーム3を照射するというドライ工程で金属ナノ粒子4を生成することができ、有機保護膜や有機試薬の除去工程が不要になるとともに、不純物混入を回避することができる。
【0019】
また、エネルギービーム3の照射箇所のみに金属ナノ粒子4が生成するので、エネルギービーム3の照射箇所を制御することによって、金属ナノ粒子4の生成箇所を制御することが可能になる。
また、金属錯体2の量或いは照射エネルギーを制御することによって、生成する金属ナノ粒子4の粒径を均一に制御することが可能になる。
【0020】
(2)また、本発明は、上記(1)において、エネルギービーム3が光ビームであることを特徴とする。
【0021】
このように、エネルギービーム3はレーザビーム等の光ビームでも良く、電子ビームでは困難な箇所や広い領域において均一な粒径で分散性の良好な金属ナノ粒子4を生成することができる。
【0022】
(3)また、本発明は、上記(1)において、エネルギービーム3が電子ビームであり、且つ、金属錯体2が基板1上に堆積した金属錯体膜であることを特徴とする。
【0023】
このように、エネルギービーム3として電子ビームを用いた場合には、基板1上に堆積した金属錯体膜を用いることによって、基板1上の所定の箇所に均一な粒径で分散性の良好な金属ナノ粒子4を生成することができる。
【0024】
(4)また、本発明は、上記(3)において、金属ナノ粒子4の粒径を、電子ビームの電流密度或いは金属錯体膜の膜厚の少なくとも一方で制御することを特徴とする。
【0025】
生成する金属ナノ粒子4の粒径は、照射エネルギーが大きいほど、また、金属錯体2の量が多いほど大きくなるので、電子ビームの電流密度或いは金属錯体膜の膜厚の少なくとも一方を制御することによって金属ナノ粒子4の粒径を制御することができる。
【0026】
(5)また、本発明は、上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、金属錯体2が、メタロセン錯体であることを特徴とする。
【0027】
本発明の金属ナノ粒子4の生成方法に用いる金属錯体2としては、常温での成膜が可能なメタロセン錯体〔M(C5 H5 )2 〕が望ましいが、触媒や磁気特性を利用するためには金属元素MがFe,Ni,Coのいずれかであるメタロセン錯体が好適である。
【0028】
このような粒径が均一化され且つ任意の位置に生成させたFe,Co,Ni等のFe族の金属ナノ粒子4を触媒として用いることによって、単層カーボンナノチューブのみを選択的に成長させることが可能になり、SET(シングルエレクトロントランジスタ)等を構成することが可能になる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、粒径が均一化されるとともに不純物が混入していない金属ナノ粒子を任意の位置に分散性良く生成することができ、特に、金属錯体としてメタロセンを用いることによって、室温近傍での蒸着/除去が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は、Ni(C5 H5 )2 等の金属錯体を、例えば、基板上に室温で成膜させたのち、電子ビーム等のエネルギービームを局所的に照射することによって、照射箇所に照射エネルギーと金属錯体膜厚に依存した粒径の金属ナノ粒子を分散性良く生成させるものである。
【実施例1】
【0031】
ここで、図2及び図3を参照して、本発明の実施例1の金属ナノ粒子の生成方法を説明する。
図2参照
図2は、本発明の実施例1に用いる生成装置の概念的構成図であり、この生成装置は、排気口12を備えたPyrex(登録商標)製のチャンバー11、チャンバー11にOリング13を介して取り付けられた窓部材14、チャンバー11内に収容された原料収容ボート15、Nd3+:YAGレーザ16、Nd3+:YAGレーザ16からの532nmのパルスレーザ光17を集束するレンズ18から構成される。
【0032】
原料収容ボート15には、粉体状のニッケロセン〔Ni(C5 H5 )2 〕19が収容されており、排気口12から排気してチャンバー11内の気圧を例えば、1×10-3Torrにし、室温においてニッケロセン19を蒸発させて気相にした状態でパルスレーザ光17をチャンバー11内に入射する。
【0033】
このパルスレーザ光17の照射により、気相のニッケロセン20或いは窓部材14に付着したニッケロセンを構成する配位子C5 H5 が解離して窓部材14の照射箇所においてNiナノ粒子21が生成されるとともに解離した配位子C5 H5 は排気口12から排出される。
【0034】
このパルスレーザ光17の照射を繰り返すことによってNiナノ粒子21は成長して、5時間程度にわたる1〜2×105 回の約15mJ/ショットのパルスレーザ光17の照射により、13±3nm程度の粒径の揃ったNiナノ粒子が21が得られる。
なお、この場合の532nmのパルスレーザ光17のエネルギー(2.33eV)は、ニッケロセン〔Ni(C5 H5 )2 〕の結合エネルギー(5.3−6.1eV)より小さいのでパルスレーザ光17によりニッケロセンが直接解離される反応は生じない。
【0035】
図3参照
図3は、生成したNiナノ粒子のXRD(X線回折)法によって得られたX線回折パターンであり、生成したNiナノ粒子21がバルクNiと同様の面心立方(fcc)構造であることが確認された。
【0036】
また、生成したNiナノ粒子21は、強磁性特性を有しており、300Kにおいて53〔Oe〕、5Kにおいて285〔Oe〕の保磁力が確認された。
【0037】
このように、本発明の実施例1においては、レーザ光を照射することによって窓部材14の照射箇所のみに選択的にNiナノ粒子21を生成することができ、また、この場合のNiナノ粒子21の粒径はレーザ光照射エネルギー、照射回数、ニッケロセンの蒸発量で制御することができる。
【実施例2】
【0038】
次に、図4乃至図11を参照して、本発明の実施例2の金属ナノ粒子の生成方法を説明する。
図4参照
図4は、本発明の実施例2に用いる生成装置の概念的構成図であり、基本的には生成状態を確認するために、HRTEM(高分解能透過型電子顕微鏡)を用いる。
基板31としては、Cuグリッド32をカーボン膜33で覆ったものを用い、この基板31上にニッケロセン膜34を堆積させる。
【0039】
このニッケロセン膜34に、例えば、10-6〜10-8Torrの真空度においてHRTEMの電子銃から、例えば、200keVの電子ビーム35を静電レンズ36で絞って局所的に照射してニッケロセンを下記の反応式(1)により金属ニッケルと配位子とに解離させ、次いで、反応式(2)により金属ニッケルから固相反応によってNiナノ粒子が生成される。
Ni(C5 H5 )2 +e- →Ni(固体)+2C5 H5 (気相) ・・・(1)
nNi(固体)→(Ni)n (Niナノ粒子) ・・・(2)
【0040】
なお、成長途中では配位子C5 H5 はNiナノ粒子の表面に付着しているが、最終的には電子ビームによってNi−(C5 H5 )2 の結合が切られてNiナノ粒子は純粋なNiナノ粒子となり、気相の配位子C5 H5 はHRTEMの排気系によって排出される。
【0041】
この実施例2においては、2種類の試料を用意したので説明する。
まず、試料1は、上述の基板31とニッケロセン源を対向配置して、室温においてまる1日ニッケロセンを蒸発させて基板31に設けたカーボン膜33上に堆積させてニッケロセン膜34を形成したものであり、試料2は同じ条件で4日間堆積させたものである。
【0042】
まず、この試料1に対して、200keVの加速エネルギーで、0.02A/cm2 、0.22A/cm2 、1A/cm2 、及び、4A/cm2 の電流密度で照射時間を変えて照射した。
【0043】
図5参照
図5は、試料1に0.02A/cm2 の電流密度の電子ビームを照射した場合の試料表面のTEM像であり、上図/中図/下図は、それぞれ、30秒、140秒、320秒の照射時間の場合を示している。
【0044】
図から明らかなように、あまり鮮明ではないが、非常に小さなNiナノ粒子が分散した状態で観察され、照射時間の増大とともに、Niナノ粒子の粒径が増大していることが分かる。
なお、TEM像を拡大するためには電流密度を増大する必要があるが、そうすると0.02A/cm2 の条件が保てなくなる。
【0045】
図6参照
図6は、試料1に0.22A/cm2 の電流密度の電子ビームを照射した場合の試料表面のTEM像であり、上図/中図/下図は、それぞれ、10秒、60秒、190秒の照射時間の場合を示している。
【0046】
図から明らかなように、この場合も、あまり鮮明ではないが、1〜2nm程度の小さなNiナノ粒子が分散した状態で観察され、照射時間の増大とともに、Niナノ粒子の粒径が増大していることが分かり、図5との対比からは、電流密度の増加に伴ってNiナノ粒子の生成率が高まっていることが分かる。
【0047】
図7参照
図7は、試料1に1A/cm2 の電流密度の電子ビームを10〜20秒照射した場合の試料表面の説明図であり、上図のTEM像に示すように、粒径が3nm程度のNiナノ粒子が高分散した状態で生成しているのが確認された。
【0048】
また、中図は上図の拡大図であり、格子間隔d、1.98Å及び1.64Åを示す右下がりの斜め方向の縞状の文様が見られる。
下図は、このNiナノ粒子のフリーエ変換像であり、ナノ粒子に特有な結晶構造であるIC(icosahedron)構造及びDC(decahedron)構造が観測され、上述の格子間隔d=1.98Å,1.64Åと矛盾のない結果が得られ、生成されたNiナノ粒子が純粋な金属Niから構成されていることが分かる。
【0049】
図8参照
図8は、試料1に4A/cm2 の電流密度の電子ビームを5〜10秒照射した場合の試料表面の説明図であり、上図のTEM像に示すように、粒径が3nm程度のNiナノ粒子が一部において重なった状態で生成しているのが確認された。
これは、電流密度を増大させたことによってナノ粒子の形成速度が速くなったため、成長核の位置とサイズが不斉一になったためと考えられる。
【0050】
また、下図はこのNiナノ粒子のフリーエ変換像であり、粉体状Niに特有な六方最密(hcp)構造或いはhcp構造とfcc構造との混合相が見られ、生成されたNiナノ粒子が純粋な金属Niから構成されていることが分かる。
なお、図からは、hcp構造の(012)相が明瞭に確認されたが、hcp構造の(011)相の格子間隔2.033Åとfcc構造の(111)相の格子間隔2.034Åとが非常に近くて区別できないためである。
【0051】
このように、試料1の結果からは、生成されるNiナノ粒子の粒径は、照射する電子ビームの電流密度とともに大きくなること、電子ビームの照射時間とともに大きくなることが確認され、また、高分散のNiナノ粒子を得るためには最適な電流密度範囲があることが確認された。
【0052】
図9参照
図9は、試料2に試料1における最適値である1A/cm2 の電流密度の電子ビームを10〜20秒照射した場合の試料表面のTEM像あり、下図は上図の拡大図であり、図に示すように、粒径が5〜8nm程度のNiナノ粒子が生成しているのが確認された。
【0053】
図10参照
図10は、試料2の白い破線の円内の領域Aを1A/cm2 の電流密度の電子ビームで10〜20秒照射したのち、全面に0.02A/cm2 の電流密度の電子ビームを200〜300秒照射した場合の試料表面のTEM像あり、領域Aにおいては大きな粒径のNiナノ粒子が生成されるが、領域Bにおいては相対的に小さな粒径のNiナノ粒子が生成しているのが確認された。
【0054】
図11参照
図11は、得られたNiナノ粒子の拡大図であり、fcc構造の(200)相の格子間隔d=1.75Åを示す右下がりの斜め方向の縞状の文様が見られ、生成されたNiナノ粒子が純粋な金属Niから構成されていることが分かる。
【0055】
このように、試料2の結果からは、生成されるNiナノ粒子の粒径は、ニッケロセンの量とともに大きくなること、この場合も電子ビームの電流密度とともに大きくなることが確認された。
【0056】
以上の実施例2からは、Niナノ粒子の粒径を制御するためには、電子ビームの照射時間、電流密度、及び、ニッケロセンの堆積量を制御すれば良いことが分かる。
【実施例3】
【0057】
次に、図12乃至図15を参照して、本発明の実施例3の金属ナノ粒子の生成方法を説明する。
この本発明の実施例3に用いる生成装置は上述の実施例2に用いる生成装置と全く同じであるが、この場合には、試料として、上述のCuグリッドをカーボン膜で覆った基板上にニッケロセンとフェロセン〔Fe(C5 H5 )2 〕とが混合した混合メタロセン膜を堆積させたものである。
【0058】
この場合、原料収容ボートには、重量比で1:3に混合した粉体状のニッケロセン〔Ni(C5 H5 )2 〕/フェロセン〔Fe(C5 H5 )2 〕を収容し、室温において2〜3日間混合メタロセンを蒸発させて混合メタロセン膜を堆積させる。
この場合、フェロセンの蒸気圧はニッケロセンの蒸気圧に比べて非常に低いので混合メタロセン膜中のフェロセン量は10%以下となる。
【0059】
図12参照
図12は、試料に200keVの加速エネルギーの電子ビームを1A/cm2 の電流密度で10〜20秒照射した場合の試料表面のTEM像であり、中図は、上図の2.5倍の拡大図であり、下図はさらに4倍に拡大した図である。
なお、上図における中央の三角形状の領域はCuグリッド像である。
【0060】
図から明らかなように、1〜4nmの粒径のNi−Feナノ粒子と10〜20nmの粒径のナノ粒子の2群のNi−Feナノ粒子が生成しているのが確認された。
【0061】
図13参照
図13は、Ni−Feナノ粒子のフーリエ変換像であり、格子間隔d=2.03Åのfcc構造と、d=1.93ÅのIC構造或いはd=1.98ÅのDC構造との混合相を示しており、純粋な金属ナノ粒子であることが確認された。
【0062】
図14参照
図14は、Ni−Feナノ粒子のSTEM(走査型TEM)像であり、上図はBF(bright field)モードのSTEM像であり、また、下図はDF(dark field)モードのSTEM像であり、Ni−Feナノ粒子は夫々白色と黒色で表されている。
【0063】
図15参照
図15は、図14の下図における白色の破線の円で印した〜15nmのNi−Feナノ粒子におけるA,B,Cの位置における組成及びDで示す小径のNi−Feナノ粒子の組成をエネルギー分散型X線スペクトロスコピー(EDX)で測定した結果を示したものである。
【0064】
図から明らかなように、〜15nmのNi−Feナノ粒子におけるFeの(Ni+Fe)に対するモル比は7〜7.5%と斉一な分散性を示しており、他の大径のNi−Feナノ粒子の組成比もほぼ同様であった。
なお、図におけるCuのピークは基板を構成するCuグリッドに由来するものである。
【0065】
一方、Dにおける小径のNi−Feナノ粒子におけるFeの(Ni+Fe)に対するモル比は5.5%であり、他の小径のNi−Feナノ粒子のFeの(Ni+Fe)に対するモル比も5〜6%程度であり、いずれにしても、大径のNi−Feナノ粒子に比べてFeの組成比が大幅に低下していることが確認された。
【0066】
この事実から、Ni−Feナノ粒子の粒径は、元になる混合メタロセン膜におけるNi/Fe比を制御することによって制御することができることが分かる。
また、混合メタロセン膜におけるNi/Fe比を制御するためには、原料収容ボートに収容する粉体状のニッケロセン〔Ni(C5 H5 )2 〕/フェロセン〔Fe(C5 H5 )2 〕の混合比を調整したり、或いは、原料を加熱して蒸気圧を変化させれば良い。
【0067】
なお、これらのNi−Feナノ粒子におけるFe組成比は、バルクのfcc構造のNiに対するFeの固溶度の〜4%に比べてかなり大きいが、これは、ナノ粒子に特有な表面収縮により固溶度が増大したためと考えられる。
【実施例4】
【0068】
次に、図16を参照して、本発明の実施例4の金属ナノ粒子を用いた単層カーボンナノチューブの成長方法を説明する。
図16参照
まず、ガラス基板41上に下部電極となるMo層42、SiO2 膜43、及び、ゲート電極となるMo層44を順次堆積させたのち、レジスト層45を塗布し、露光現像してレジスト層45に直径が例えば2μmの開口部を形成し、この開口部を設けたレジスト層45をマスクとしてMo層44及びSiO2 膜43を順次エッチングして開口部46を形成する。
【0069】
次いで、上記の実施例と同様にニッケロセンを室温で蒸発させて全面にニッケロセン膜47を堆積させる。
次いで、電子ビーム露光装置の電子銃を用いて開口部46の形状に整形した電子ビーム48を順次スポット的に照射して開口部46内に堆積したニッケロセン膜から例えば、粒径が〜3nmのNiナノ粒子49を生成する。
【0070】
次いで、レジスト層45を除去したのち、例えば、アセチレンを原料ガスとしたプラズマCVD法によって、Niナノ粒子49を触媒とすることによってカーボンナノチューブ50を成長させる。
【0071】
この場合のカーボンナノチューブ50は、触媒となるNiナノ粒子49の粒径を反映して単層カーボンナノチューブ(SWCNT)となるので、SWCNTのみからなる電界放出型電子源を構成することができる。
【0072】
このような電界放出型電子源をマトリクス状に配置して1ピクセル分の陰極を構成し、透明対向基板に陰極に対向するように陽極を形成するとともに、陽極上にRGBの各蛍光体層を設け、この透明対向基板を陰極と対向配置することによってSWCNTを電界放出型電子源とした電界放出ディスプレイを構成することができる。
【0073】
この場合、電界放出型電子源を特性の優れたSWCNTのみで構成しているので、高画質・高性能の電界放出ディスプレイが可能になる。
【0074】
以上、本発明の各実施例を説明したが、本発明は各実施例に記載した構成及び条件に限られるものではなく、各種の変更が可能であり、例えば、上記の実施例においては、金属ナノ粒子を構成する金属としてNi或いはNi−Feを用いているが、Fe、Co、Ni−Co、Fe−Co、或いは、Ni−Fe−Coを用いても良いものであり、さらには、磁性或いは触媒作用を必要としない場合には、他の非磁性金属元素を用いても良いものである。
【0075】
また、上記の各実施例においては、原料としてメタロセンを用いているがメタロセンに限られるものではなく、他の金属錯体を用いても良いものであり、室温における蒸気圧が低い場合には、原料を加熱すれば良い。
【0076】
また、上記の実施例2及び実施例3においては、金属ナノ粒子の生成状態を同時に観察するためにHRTEMを生成装置として用いているが、金属ナノ粒子の粒径制御条件が確立された場合には、実施例4のように、生成状態を確認することなく一般的な電子ビーム源を用いれば良いものである。
【0077】
したがって、その場合の基板は、Cuグリッドをカーボン膜で被覆した基板を用いる必要はなく、実施例4のように製造する装置構成に応じた基板を用いれば良いものである。
【0078】
また、上記の実施例1においては、チャンバー内においてメタロセンを蒸発させて窓部材の表面に金属ナノ粒子を生成しているが、実施例2等と同様に、予め基板の表面にメタロセン膜を堆積したのち、所定の位置或いは所定のパターンにレーザ光を照射して、照射箇所のみに金属ナノ粒子を生成させるようにしても良いものである。
【0079】
また、上記の実施例5においてはFEDを例にして説明しているが、金属ナノ粒子触媒の用途はFEDに限られるものではなく、SET(単電子トランジスタ)等にも適用されるものである。
【0080】
この場合には、電子ビーム径は数nm程度に絞ることができるので、シリコン基板上にSiO2 膜を設け、このSiO2 膜上の所定の位置に触媒となる1個の金属ナノ粒子を生成させ、この金属ナノ粒子を触媒として電界を印加して電界方向に一本のSWCNTを成長させ、このSWCNT上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を設けるとともに、ゲート電極の両側にソース・ドレイン電極を設けてSETを形成しても良いものである。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の活用例としては、トランジスタや電界放出型電子源となるCNTの成長用触媒となる金属ナノ粒子の生成が典型的なものであるが、強磁性体の特性が粒径によって急激に変化することを利用して高密度磁気メモリ等の磁気記憶媒体への適用も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の実施例1に用いる生成装置の概念的構成図である。
【図3】生成したNiナノ粒子のX線回折パターンである。
【図4】本発明の実施例2に用いる生成装置の概念的構成図である。
【図5】試料1に0.02A/cm2 の電流密度の電子ビームを照射した場合の試料表面のTEM像である。
【図6】試料1に0.22A/cm2 の電流密度の電子ビームを照射した場合の試料表面のTEM像である。
【図7】試料1に1A/cm2 の電流密度の電子ビームを10〜20秒照射した場合の試料表面の説明図である。
【図8】試料1に4A/cm2 の電流密度の電子ビームを5〜10秒照射した場合の試料表面の説明図である。
【図9】試料2に1A/cm2 の電流密度の電子ビームを10〜20秒照射した場合の試料表面のTEM像ある。
【図10】試料2の領域Aと領域Bに異なった電流密度の電子ビームを照射した場合の試料表面のTEM像ある。
【図11】得られたNiナノ粒子の拡大図である。
【図12】試料に200keVの加速エネルギーの電子ビームを1A/cm2 の電流密度で10〜20秒照射した場合の試料表面のTEM像である。
【図13】Ni−Feナノ粒子のフーリエ変換像である。
【図14】Ni−Feナノ粒子のSTEM像である。
【図15】図14の各スポットにおける組成比の説明図である。
【図16】本発明の実施例4の金属ナノ粒子を用いた単層カーボンナノチューブの成長方法の説明図である。
【符号の説明】
【0083】
1 基板
2 金属錯体
3 エネルギービーム
4 金属ナノ粒子
11 チャンバー
12 排気口
13 Oリング
14 窓部材
15 原料収容ボート
16 Nd3+:YAGレーザ
17 パルスレーザ光
18 レンズ
19 ニッケロセン
20 ニッケロセン
21 Niナノ粒子
31 基板
32 Cuグリッド
33 カーボン膜
34 ニッケロセン膜
35 電子ビーム
36 静電レンズ
41 ガラス基板
42 Mo層
43 SiO2 膜
44 Mo層
45 レジスト層
46 開口部
47 ニッケロセン膜
48 電子ビーム
49 Niナノ粒子
50 カーボンナノチューブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属錯体にエネルギービームを照射することによって、金属錯体を構成する金属からなる金属ナノ粒子を生成することを特徴とする金属ナノ粒子の生成方法。
【請求項2】
上記エネルギービームが光ビームであることを特徴とする請求項1記載の金属ナノ粒子の生成方法。
【請求項3】
上記エネルギービームが電子ビームであり、且つ、金属錯体が基板上に堆積した金属錯体膜であることを特徴とする請求項1記載の金属ナノ粒子の生成方法。
【請求項4】
上記金属ナノ粒子の粒径を、上記電子ビームの電流密度或いは上記金属錯体膜の膜厚の少なくとも一方で制御することを特徴とする請求項3記載の金属ナノ粒子の生成方法。
【請求項5】
上記金属錯体が、メタロセン錯体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の生成方法。
【請求項1】
金属錯体にエネルギービームを照射することによって、金属錯体を構成する金属からなる金属ナノ粒子を生成することを特徴とする金属ナノ粒子の生成方法。
【請求項2】
上記エネルギービームが光ビームであることを特徴とする請求項1記載の金属ナノ粒子の生成方法。
【請求項3】
上記エネルギービームが電子ビームであり、且つ、金属錯体が基板上に堆積した金属錯体膜であることを特徴とする請求項1記載の金属ナノ粒子の生成方法。
【請求項4】
上記金属ナノ粒子の粒径を、上記電子ビームの電流密度或いは上記金属錯体膜の膜厚の少なくとも一方で制御することを特徴とする請求項3記載の金属ナノ粒子の生成方法。
【請求項5】
上記金属錯体が、メタロセン錯体であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の生成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−328433(P2006−328433A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−149157(P2005−149157)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【Fターム(参考)】
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