説明

金属化合物の製造のための装置および方法

本発明は、チタン−アルミニウム化合物および数種のチタン合金ならびにチタン−アルミニウム金属間化合物および合金の製造のための段階的方法に関する。第1工程において、ある量のアルミニウムがある量の塩化アルミニウム(AlCl3)と混合され、ある量の四塩化チタン(TiCl4)が前記混合物に加えられる。前記混合物が220℃未満の温度に加熱され、TiCl3、アルミニウムおよびAlCl3の生成物が形成される。第2工程において、必要な場合さらなるアルミニウムを加えることができ、前記混合物は900℃を超える温度に再び加熱され、チタン−アルミニウム化合物が形成される。前記方法は、制御可能な組成を持つチタン−アルミニウム化合物の粉体化形態を製造する。好適な反応装置も記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属および金属化合物の製造のための方法および装置に関し、詳細には、しかし排他的にではなく、チタン系合金および金属間錯体の製造のための方法および装置に関し、より詳細には、しかし排他的にではなく、チタンアルミニウム系合金および金属間錯体の製造のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チタン−アルミニウム合金および金属間化合物(本願で一般的に「チタン−アルミニウム化合物」と称される)は非常に価値のある物質である。しかし、それらは、特に好ましい粉末形態において、調製が困難で費用がかかる。それらは自動車、航空宇宙および他の産業における使用に非常に望ましい性質を有するものの、この調製の費用がこれらの物質の幅広い使用を制限している。
【0003】
チタン鉱物は、非常に安定な酸化物(TiO2)の形態で天然に存在する。チタン製造の通常のプロセスは、クロール法およびハンター法である。クロール法は、TiCl4(酸化物から塩素化の予備処理により調製)を還元しTi金属を製造する還元剤としてマグネシウムの使用を必要とする。ハンター法は、還元剤としてナトリウムの使用を必要とする。TiCl4は熱力学的に安定なため、マグネシウムまたはナトリウムなどの高度に反応性のある還元剤が、TiCl4からチタン金属を製造するのに必要である。そのような高度に反応性のある還元剤は扱いが困難で費用がかかる。クノール法の場合の塩化マグネシウムは1300Kを超える温度まで安定であるので、生成物は、MgCl2およびMgとTiCl2の残物と混合したTiスポンジの形態であることが多い。純粋なTiを得るために、生成物には、洗浄および真空アーク炉での溶融による不純物全ての除去を含む、大規模な後処理が必要である。これが、チタン製造の現在の高コストの一因である。
【0004】
Ti−Al−Vなどのチタン合金およびTi3Al、TiAl、TiAl3、Ti−Al−(Cr、Nb、Moなど)などの金属間化合物およびこれらの化合物に基づく合金の製造のための公知の技術において、これらの合金を構成する金属の適量のスポンジ、インゴットまたは粉末が粉砕またはともに溶融され焼きなまされるので製造コストがかさむが、特にまず金属を入手することが必要であり、チタンの場合議論したとおり相当な出費を含む。これらチタン合金および金属間化合物の粉末の製造には、通常さらなる処理が必要であり、すでに高い製造コストを増す。
【0005】
過去数十年にわたり、電解採取、プラズマ水素還元およびアルミノテルミット還元などの技術を利用して既存のクノール技術およびハンター技術に替える多大な試みがあった。TiCl4のアルミニウムによる直接還元の実施において、例えば、Ti3Al、TiAl、TiAl3などの金属間化合物など、組成が大幅に異なる生成化合物の制御不可能な生成が起こる。制御不可能な気相反応に関連する障害のため、塩化チタンの直接還元によりチタンおよび/またはチタンアルミニウム化合物の単相物質の製造を達成するのは不可能であった。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によると、本発明は、以下の工程:
ある量の四塩化チタン(TiCl4)をある量のアルミニウムにより220℃未満の温度で還元し、第1反応領域において、チタン亜塩化物(複数可)および塩化アルミニウム(AlCl3)生成物を形成する反応を引き起こす第1工程、および
必要な場合さらにアルミニウムを加えて、前記生成物を混合し、前記混合物を第2反応領域において900℃を超える温度に加熱して気相中にAlCl3を形成し、チタン−アルミニウム化合物の反応最終生成物を製造する第2工程
を含んでなる、チタン−アルミニウム化合物を製造する段階的方法を提供する。
【0007】
本明細書においてチタン亜塩化物という用語が使用される場合、三塩化チタンTiCl3および/または二塩化チタンTiCl2あるいは本願において塩化チタンと称されるTiCl4を除くチタンと塩化物の他の組み合わせを意味する。
【0008】
本明細書においてチタン化合物という用語が使用される場合、チタン合金および/またはチタン/金属の金属間化合物を意味する。本願で言及される好ましい形態において、チタン化合物は、チタン−アルミニウム合金および/またはチタン−アルミニウム金属間化合物を含む。
【0009】
前記方法の一実施形態において、第1工程は200℃未満の温度で実施できる。
【0010】
前記方法の一実施形態において、第1工程は160℃未満の温度で実施できる。
【0011】
前記方法の一実施形態において、第1工程は136℃未満の温度で実施できる。
【0012】
前記方法の一実施形態において、第1工程は60℃未満の温度で実施できる。
【0013】
前記方法の一実施形態において、第1工程は、塩化チタン(TiCl4)の全てを還元するために存在する過剰量のアルミニウムにより実施でき、前記チタン亜塩化物(複数可)および塩化アルミニウム(AlCl3)生成物を形成できる。
【0014】
前記方法の一実施形態において、第1反応領域から漏れ出るチタン亜塩化物(複数可)および/または塩化チタンは、反応領域とは異なる温度で凝縮させることができる。この一形態において、前記方法は、凝縮したチタン亜塩化物(複数可)および/または塩化チタンを第1反応領域に戻す工程をさらに含むことがある。他の形態において、前記方法は、凝縮した塩化チタンの一部を別に回収する工程をさらに含むことがある。
【0015】
前記方法の一実施形態において、第1工程で、塩化チタンとアルミニウムの間の反応の触媒として作用する塩化アルミニウム(AlCl3)のある量とアルミニウムを混合できる。
【0016】
前記方法の一実施形態において、第1工程の生成物および必要な場合追加のアルミニウムは、第2工程における混合物の加熱の前に、得られる混合物中に未反応アルミニウムが実質的に均一に分布する程度まで混合できる。
【0017】
前記方法の一実施形態において、第2工程は、1000℃を超える温度で実施できる。
【0018】
前記方法の一実施形態において、第2工程は、チタン−アルミニウム化合物を生み出す正反応に有利となるよう第2反応領域からAlCl3を除去するように構成できる。この一形態において、第2反応領域からのAlCl3の除去は連続的でよい。1構成において、AlCl3を、第2反応領域よりも低い温度で凝縮させて第2反応領域から除くこともできる。
【0019】
前記方法の一実施形態において、第2反応領域から漏れ出るチタン亜塩化物(複数可)は、第2反応領域とは異なる温度で凝縮させることができる。この一形態において、前記方法は、前記の凝縮したチタン亜塩化物(複数可)を第2反応領域に戻す工程をさらに含むことがある。
【0020】
前記方法の一実施形態において、固体供給試薬(複数可)および/または固体反応最終生成物(複数可)の全体的に連続的な流れが第2反応領域を渡るように構成することができる。
【0021】
「全体的に連続的」という用語が本明細書で使用される場合、固定量の物質を利用して運転しバッチ式で運転しているプロセスとは異なり、物質の流れまたはスループットの点で連続または準連続(または段階的)式に運転しているプロセスを意味する。
【0022】
前記方法の一実施形態において、第2工程は、固体供給試薬(複数可)および/または固体反応最終生成物(複数可)が第2反応領域を通って一方向に移動するように構成することができる。
【0023】
前記方法の一実施形態において、第2工程は、第2反応領域内の熱伝導率を高めるため、ある量のヘリウムを含んでなる不活性ガス雰囲気の流れが第2反応領域を通って流れるように構成してもよい。
【0024】
一実施形態において、前記方法は、形成された塩化アルミニウムの少なくとも一部を第1工程で触媒として使用するために再利用する工程をさらに含んでよい。
【0025】
一実施形態において、前記方法は、形成された塩化アルミニウムの少なくとも一部を再利用してTiCl4を製造する工程もさらに含んでよい。この一形態において、塩化アルミニウムを使用して酸化チタンを還元し、TiCl4を製造できる。他の形態において、酸化チタンの還元により酸化アルミニウムを製造でき、酸化アルミニウムを電解して、上記請求項のいずれかの方法に使用するアルミニウム原料を製造できる。
【0026】
一実施形態において、前記方法は、1種または複数の元素の源を導入する工程も含むことがある。この一形態において、前記元素または各元素は、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)および炭素(C)を含んでなる群から選択でき、前記方法の生成物は、これら元素の1種または複数を含むチタン−アルミニウム化合物を含む。一形態において、前記元素または各元素の源は、第1反応領域での反応の前またはその間に塩化チタンおよびアルミニウムに加えられる。
【0027】
一形態において、前記元素(複数可)の源は、金属ハロゲン化物、亜ハロゲン化物、純粋な元素または前記元素を含む他の化合物でよい。一形態において、前記生成物は、1種または複数の金属間化合物、チタン−(選択された元素)−合金および中間体化合物を含むことがある。前記源は、要求される最終生成物によっては、要される合金添加剤を含む他の前駆体の源も含むことがある。
【0028】
前記方法の一実施形態において、前記源はバナジウム亜塩化物(三塩化バナジウムおよび/または二塩化バナジウムなど)を含むことがあり、前記方法の生成物は、チタン、アルミニウムおよびバナジウムを含む合金または金属間錯体である。この一形態において、前記方法は、前記源を適当な比率で加え、前記方法を実施してTi−6Al−4Vを製造する工程を含んでよい。
【0029】
前記方法の一実施形態において、前記源はジルコニウム亜塩化物を含むことがあり、前記方法の生成物は、チタン、アルミニウム、ジルコニウムおよびバナジウムを含む合金または金属間錯体であることがある。
【0030】
前記方法の一実施形態において、前記源はハロゲン化ニオブおよびハロゲン化クロムを含むことがあり、前記方法の生成物は、チタン、アルミニウム、ニオブおよびクロムを含む合金または金属間錯体であることがある。この一形態において、前記方法は、前記源を適当な比率で加え、前記方法を実施してTi−48Al−2Nb−2Crを製造する工程を含むことがある。
【0031】
一実施形態において、アルミニウムは、およその上位粒径(upper grain size)が約50μm未満の粉末の形態で加えることができる。
【0032】
別な実施形態において、アルミニウムは、およその上位粒径が約50μmを超える粉末の形態でもよく、前記方法は、アルミニウム粉末を粉砕してアルミニウム粉末の粒径を少なくとも1次元で低減する工程を含むことがある。この一形態において、アルミニウム粉末をAlCl3の存在下で粉砕できる。他の形態において、アルミニウムおよび塩化チタンを、第1工程の一部としてともに粉砕してもよい。
【0033】
さらに別な実施形態において、アルミニウムは、約50μm未満の1次元の厚さを有するフレークの形態でもよい。粉砕すべき比較的粗いアルミニウム粉末またはフレークはより安い原材料の代表である。
【0034】
一実施形態において、前記方法は不活性ガス雰囲気中または真空中で実施される。不活性ガスは通常ヘリウムまたはアルゴンあるいはそのようなガスの組み合わせを含んでなる。
【0035】
一実施形態において、ある量の塩化チタンをある量のアルミニウムで還元しチタン亜塩化物(複数可)および塩化アルミニウム生成物を形成する第1工程は、少なくとも部分的に粉砕機中で実施される。そのような構成は熱の形態でエネルギーを伝え、反応的に供給物質を粉砕してその大きさを低減すると同時に生成物を形成する反応を引き起こすことができる。
【0036】
発明者らは、段階的な方法を利用するといくつかの利点があることを見いだした。前駆体としての四塩化チタンから出発して1工程でこの前駆体をチタン−アルミニウム化合物に直接転化しようとする際に起こりうる様々な制御不可能な相の問題はない。段階的方法の利用は、最終生成物の組成が比較的制御可能であり、出発物質の比に依存することを意味する。出発物質の正確な比は前駆体物質に取り入れられ、生成物において成分の適切な比率を生み出す。
【0037】
発明者らは、新規な方法が、チタン−アルミニウム化合物の製造のためのより安くより制御可能なプロセスを可能にすると考える。例えば、チタン原鉱物を金属チタンにまず転化する公知の経路にしたがう必要はない。酸化チタン鉱物は、従来の技術を利用して塩素化でき、四塩化チタンを与える。本発明を利用して、次いでこの物質を、第1にアルミニウム(または他の還元剤)を利用して還元でき、チタン亜塩化物(主に三塩化チタン)を与え、それを次にチタン−アルミニウム化合物の形成に使用できる。
【0038】
本発明を利用して、Ti−6Al−4Vを形成可能であるが、これは利用される主なチタン合金の1つである。Ti−48Al−2Nb−2Crを形成することも可能である。Ti−Al−Nb−CおよびTi3Al系合金などの他の合金を形成することも可能である。アルミニウム含量が非常に低い(数分の1重量%まで)チタン−アルミニウム化合物を製造することも可能である。本発明の段階的方法は、さらなる物理的処理を全く必要とせずに、合金粉末が直接製造できるという利点も有する。
【0039】
第2の態様によると、本発明は第1の態様に定義のチタン−アルミニウム金属間化合物およびチタン−アルミニウム金属間化合物に基づく合金の粉末の製造の方法を提供し、前記方法のための出発物質はアルミニウム粉末および塩化チタンを含む。
【0040】
第3の態様によると、本発明は、以下の工程:
金属亜ハロゲン化物(複数可)およびアルミニウムを反応領域において、金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物がアルミニウムと反応するに十分な温度に加熱し、金属化合物およびハロゲン化アルミニウムを形成する工程、
反応領域から漏れ出る金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物を、前記反応領域の温度と、やはり反応領域から漏れ出るハロゲン化アルミニウムが凝縮する温度の間の温度で運転している凝縮領域において凝縮させる工程、および
前記の凝縮した金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物のみを凝縮領域から反応領域に戻す工程
を含む金属化合物を製造する方法を提供する。
【0041】
一実施形態において、反応領域は900℃を超える温度で運転できる。
【0042】
一実施形態において、凝縮領域は250℃と900℃の間の温度で運転できる。
【0043】
一実施形態において、前記方法は、反応領域から漏れ出る気体状ハロゲン化アルミニウムを、凝縮領域の温度より低い温度で別に凝縮させる工程もさらに含んでよい。この一形態において、ハロゲン化アルミニウムをおよそ50℃の温度で凝縮させてよい。
【0044】
一実施形態において、反応領域は第1の態様の第2反応領域でもよい。
【0045】
第4の態様によると、本発明は、アルミニウムを金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物と反応させ金属化合物を製造するための使用に構成された反応装置を提供し、前記反応装置は、
金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物をアルミニウムと反応させ金属化合物およびハロゲン化アルミニウムを形成するに十分な温度に加熱するために使用するようになっている反応領域、および
前記反応領域から漏れ出る金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物が凝縮領域で凝縮できるよう、前記反応領域の温度より低い温度で運転するように構成されている凝縮領域を含んでなり、
前記凝縮領域が、前記の凝縮した金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物のみを前記反応領域に戻すようになっている。
【0046】
そのような装置により、アルミニウムと金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物の間の反応の運転が、ハロゲン化アルミニウム反応生成物を継続的に除去し反応領域へ凝縮金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物を継続的に戻しながら起こる。事実上これは、運転期間の後、ハロゲン化アルミニウム反応生成物の継続的な除去により正方向に動かされている一方で、反応領域が、高い運転濃度の金属ハロゲン化物および亜ハロゲン化物(再利用されたか、または新しい供給物質から調達された)および比較的低濃度のアルミニウムおよびアルミニウム含有種を発生できることを意味する。これは、一般的に非常に低いアルミニウム含量を有する金属化合物または合金の製造につながる。
【0047】
一実施形態において、凝縮領域は、反応領域と流体連通するように構成された凝縮容器を含んでよい。
【0048】
一実施形態において、凝縮容器は、粒状金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物の凝縮および堆積のための複数の内部バッフルを含んでよい。
【0049】
一実施形態において、凝縮容器は、凝縮した金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物を除去し反応領域へ戻すための内部掻き取り装置(internal scraping deice)を含んでよい。そのような装置はマニュアル操作も自動化もできる。
【0050】
一実施形態において、凝縮領域は、ハロゲン化アルミニウム回収容器と流体連通するようにも構成されていてもよい。この一形態において、ハロゲン化アルミニウム回収容器は、ハロゲン化アルミニウムが凝縮領域から流れ、凝縮領域を経て反応領域へ戻らないように回収容器中に別々に凝縮されるように構成されてよい。使用時に、ガスの一方向への流れが、反応領域、凝縮領域および金属ハロゲン化物回収容器へ連続的に通るように構成されてよい。
【0051】
一実施形態において、反応領域は温度T1で運転し、凝縮領域は温度T1より低い温度T2で運転する。一形態において、金属ハロゲン化物回収容器はT1またはT2より低い温度T3で運転する。
【0052】
第5の態様によると、本発明は、以下の工程:
金属亜ハロゲン化物(複数可)およびアルミニウムの供給試薬を、反応領域において、ハロゲン化アルミニウムおよび金属化合物の反応生成物を製造するに十分な温度に加熱する工程、および
固体供給試薬および/または固体反応生成物を反応装置内で一方向に反応領域を通って移動させる工程
を含んでなる金属化合物を製造する方法を提供する。
【0053】
一実施形態において、供給試薬および/または反応生成物を反応装置内で移動させる工程は全体的に連続的でよい。
【0054】
第6の態様によると、本発明は、以下の工程:
金属亜ハロゲン化物(複数可)およびアルミニウムの供給試薬を、反応領域において、ハロゲン化アルミニウムおよび金属化合物の反応生成物を製造するに十分な温度に加熱する工程、および
固体供給試薬および/または固体反応生成物の全体的に連続的な流れを移動させ、反応領域を渡らせる工程
を含んでなる金属化合物を製造する方法を提供する。
【0055】
一実施形態において、反応領域を通る固体供給試薬および/または固体反応生成物の流れは一方向でよい。
【0056】
第5または第6の態様のいずれかの一実施形態において、固体供給試薬および/または固体反応生成物を反応装置内で移動させる方法工程は、反応装置内の低温領域からその高温領域に向かってでよい。
【0057】
第5または第6の態様のいずれかの一実施形態において、固体供給試薬および/または固体反応生成物を反応装置内で移動させる方法工程は、反応生成物の1つまたは複数の性質をモニターする制御システムにより自動制御することができる。
【0058】
第5または第6の態様のいずれかの一実施形態において、反応領域は、第1の態様の第2反応領域でよい。
【0059】
第7の態様によると、本発明は、アルミニウムおよび金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物の供給試薬を反応させハロゲン化アルミニウムおよび金属化合物の反応生成物を製造するに十分な温度に加熱されるようになっている反応領域を有する反応装置を提供するが、移動装置は、固体供給試薬および/または固体反応生成物を反応装置内で一方向に反応領域を通って移動させるように構成されている。
【0060】
第8の態様によると、本発明は、アルミニウムおよび金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物の供給試薬を反応させハロゲン化アルミニウムおよび金属化合物の反応生成物を製造するに十分な温度に加熱されるようになっている反応領域を有する反応装置を提供するが、移動装置は、固体供給試薬および/または固体反応生成物の流れを全体的に連続的な流れで反応装置内を移動させ、反応領域を渡るように構成されている。
【0061】
第7または第8の態様のいずれかの一実施形態において、前記移動装置は、供給試薬入口から反応生成物出口に固体供給試薬を運搬するように構成されていてよい。
【0062】
第7または第8の態様のいずれかの反応装置の一実施形態において、前記移動装置は、反応装置内で反応領域を通る移動の間に固体供給試薬を混合するように構成されていてよい。
【0063】
第7または第8の態様のいずれかの反応装置の一実施形態において、前記移動装置は、シャフトに沿って一定間隔に配置された複数の掻き取り突起を有するレーキを含んでよく、前記レーキは、反応装置の床に沿って個別な量の固体供給試薬および/または固体反応生成物を掻き取るように往復して操作可能である。
【0064】
この一形態において、前記レーキは、ある方向に引っ張られ個別な量の固体供給試薬および/または固体反応生成物を反応装置の床に沿って短い距離移動させ、次いで前記固体供給試薬および/または固体反応生成物に接触せずに前記の方向と反対の方向に動くよう方向付けられるように構成できる。
【0065】
第7または第8の態様のいずれかの反応装置の一実施形態において、前記移動装置は、コンベヤベルト、オーガー(またはスクリューフィーダー)およびロータリーキルンの1つを含んでよい。
【0066】
第9の態様によると、本発明は、以下の工程:
金属亜ハロゲン化物(複数可)およびアルミニウムの供給試薬を、反応領域において、ハロゲン化アルミニウムおよび金属化合物の反応生成物を製造するに十分な温度に加熱する工程、および
ある量のヘリウムを含んでなる不活性ガスの流れを、反応領域内の熱伝導率が増加するほど十分に反応領域に通す工程
を含んでなる金属化合物を製造する方法を提供する。
【0067】
この方法の一実施形態において、不活性ガスの流れを一方向に反応領域に通すことができる。この一形態において、不活性ガスの流れは、一方向の流れと一緒に気体状反応生成物を運搬するように構成されていてよい。
【0068】
この一形態において、固体供給試薬および/または固体反応生成物が反応装置内で一方向に反応領域を通って移動するように構成される場合、固体供給試薬および/または固体反応生成物の移動の方向に気体種が拡散しないよう、前記の不活性ガスの一方向の流れは反対の方向でよい。
【0069】
第9の態様の一実施形態において、反応領域は第1の態様の第2反応領域でよい。
【0070】
第10の態様によると、本発明は、アルミニウムおよび金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物の供給試薬を反応させハロゲン化アルミニウムおよび金属化合物の反応生成物を製造するに十分な温度に加熱されるようになっている反応領域を有する反応装置を提供するが、前記反応装置は、ガスの一方向の流れを反応領域に通すようになっている。
【0071】
一実施形態において、固体供給試薬および/または固体反応生成物が反応装置内で一方向に反応領域を通って移動するように構成されている場合、不活性ガスの一方向の流れは反対の方向に構成される。
【0072】
一実施形態において、反応装置は固体反応生成物出口に隣接して位置するガス入口をさらに含んでよい。
【0073】
一実施形態において、反応装置は固体供給試薬入口に隣接して位置するガス出口をさらに含んでよい。
【0074】
第11の態様によると、本発明は、以下の工程:
TiCl4とアルミニウムの混合物を、220℃未満の温度で加熱し、生成物TiCl3およびAlCl3を形成する第1工程、および
前記生成物を、必要な場合さらなるアルミニウムを加えて混合し、前記混合物を900℃より高い反応領域温度に加熱してAlCl3を反応領域から蒸発させ、チタン−アルミニウム化合物を形成する第2工程
を含んでなるチタン−アルミニウム化合物を製造する段階的方法を提供する。
【0075】
一実施形態において、第11の態様の方法は、あるいは第1の態様に定義されたとおりでよい。
【0076】
第12の態様によると、本発明は、以下の工程:
ある量の金属ハロゲン化物を還元する還元剤を加え、220℃未満の温度で金属亜ハロゲン化物(複数可)を形成する第1工程、および
前記金属亜ハロゲン化物(複数可)をアルミニウムと混合し、前記混合物を反応領域において900℃より高い温度に加熱して、気相中にハロゲン化アルミニウムを形成し、あるパーセンテージのアルミニウムを含む金属化合物を含んでなる最終生成物を反応領域に製造する第2工程
を含んでなる金属−アルミニウム化合物を製造する段階的方法を提供する。
【0077】
一実施形態において、還元剤は、亜鉛、マグネシウム、ナトリウム、アルミニウムまたは他の同様な金属を含んでなる群から選択できる。一実施形態において、金属ハロゲン化物は、三塩化チタンなどのチタン亜ハロゲン化物でよく、反応の生成物はチタン化合物を含む。
【0078】
一実施形態において、第12の態様の方法は、別様に第1の態様に定義されたとおりでよい。
【0079】
第13の態様によると、本発明は、以下の工程:
ある量のアルミニウムをある量の塩化アルミニウム(AlCl3)と混合し、混合物を形成する工程、
次いで、ある量の塩化チタン(TiCl4)を前記混合物に加え、220℃未満の温度に混合物を加熱し、TiCl3、アルミニウムおよびAlCl3の生成物を形成する第1工程、および
次いで、必要な場合さらなるアルミニウムを加え、前記混合物を再度加熱し、チタン−アルミニウム化合物を形成する第2工程
を含んでなるチタン−アルミニウム化合物を製造する段階的方法を提供する。
【0080】
前記方法の一実施形態において、第1工程は200℃未満の温度で実施できる。
【0081】
前記方法の一実施形態において、第1工程は160℃未満の温度で実施できる。
【0082】
前記方法の一実施形態において、第1工程は136℃未満の温度で実施できる。
【0083】
前記方法の一実施形態において、第1工程は110℃未満の温度で実施できる。
【0084】
前記方法の一実施形態において、第1工程は60℃未満の温度で実施できる。
【0085】
前記方法の一実施形態において、混合物形成の際に利用するアルミニウム対塩化アルミニウム(AlCl3)の質量比は、2:1と1:2の間でよい。
【0086】
前記方法の一実施形態において、第1工程は、大気圧の不活性ガスの存在下で実施できる。
【0087】
一実施形態において、第13の態様のそれぞれの加熱工程は、第1の態様の第1反応領域および第2反応領域でよい。
【0088】
第14の態様によると、本発明は、チタン化合物、他の金属化合物または生成物の少なくとも1つを製造するための装置であって、前記の態様のいずれかに定義の方法とともに利用される装置を提供する。
【0089】
第15の態様によると、本発明は、前記の態様のいずれかに定義の装置または方法により製造されるチタン化合物、金属化合物または生成物を提供する。
【0090】
記載された実施形態のいずれにおいても、前記方法は、前記方法の生成物に試薬を加えて、さらなる生成物を製造するさらなる工程を含んでよい。
【0091】
本発明の特徴および利点は、単に例示を目的として、添付図面を参照しながら以下の実施形態の説明より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0092】
以下の説明は、特定の組成を有する微細粉末およびインゴットを含む、金属化合物を製造するプロセスの実施形態についてである。前記プロセスは、制御可能な量のアルミニウムおよび制御可能な組成を有する、種々の形態のチタン、バナジウムおよびジルコニウムなどの金属ならびにこれらの金属の合金および金属間化合物の製造に有用である。例えば、Ti−Al、Ti3Al、TiAl3、Ti−Al−CrおよびTi−Al−Vなどのチタン化合物が、アルミニウム含量を変えることにより正確に製造できる。チタンとアルミニウムの相対量は、最終生成物の要求される組成により決まる。
【0093】
これらの化合物を生み出す段階的方法は、アルミニウムによる四塩化チタンの一段階還元を目指した従来技術のプロセスに対して改良点を提供し、Ti−6Al−4Vなどの従来のTi−Al合金とチタン−アルミニウム金属間系合金の両方の粉末を、低コスト材料から出発して直接的で正確に制御可能に製造できる。さらに、前記方法は、最終生成物への数多くの合金添加剤の取り込みを可能にもし、そのためチタン−アルミニウム系合金の低コスト粉末を製造する直接的な方法を提供する。
【0094】
チタン−アルミニウム合金を製造する段階的プロセスの実施形態を図1に示す概略ブロックフロー図に示す。この実施形態は、以下の簡単な反応スキームによる四塩化チタン(TiCl4)のアルミニウムによる還元に基づいている。
【0095】
TiCl4+1/3Al→TiCl3+AlCl3 ステップ1
TiCl3+(x+1)Al→Ti−Alx+AlCl3 ステップ2
前記プロセスのステップ1は、例えば200℃未満、さらには160℃未満の温度での、固体アルミニウム(Al(s))と塩化チタン(TiCl4(l)およびTiCl4(g))の間の制御可能な発熱反応に基づいている。ステップ1は、Al(s)とTiCl4(l)の間の反応に対し136℃未満の温度、さらには110℃未満で実施できる。
【0096】
ステップ2の反応は、チタン亜塩化物とアルミニウムの間の固−固および固−気反応の両方に基づいており、900℃より高い温度で、典型的には1000℃で実施される。
【0097】
図1を参照すると、アルミニウム材料(1)は適量のTiCl4(3)とともにセルに導入され、第1反応領域中で200℃未満の温度でプロセスのステップ1が実施される。ステップ1の反応に適当なセルの詳細をまもなく説明する。この還元工程の最後に、残っている未反応TiCl4(7)を、得られたTiCl3−Al−AlCl3固体中間体生成物とは別に回収し、この未反応TiCl4を図1に示すとおり再利用できる。図1に示す実施形態において、アルミニウムは、TiCl4に加えられる直前に、無水塩化アルミニウムAlCl3(2)と追加的に完全に混合される。触媒としてAlCl3のいくらかを使用する利点はまもなく詳細に議論する。
【0098】
次いでステップ2の反応が開始される。残っている未反応Alが大体均一に分布する粉末を得るように、ステップ1の固体中間体生成物が適当に混合される。次いで、混合物は、第2反応領域において900℃を超える温度(典型的には1000℃以上)に加熱され、反応を完了に向かわせる。ステップ2の反応に適当な反応装置の詳細はまもなく記載する。得られるAlCl3副生成物(8)は気相に生成し、第2反応領域から連続的に除去されるが、これはステップ2の反応を正方向に向ける効果がある。AlCl3は別な容器に回収されるが、これもまもなく記載する。
【0099】
ステップ1において、TiCl4およびAlならびに触媒としてのAlCl3の供給試薬混合物は、中間体固体粉末TiCl3−Al−AlCl3を得るように適量のAlとともに200℃未満の温度に第1反応領域中で加熱される。ある実施形態において、TiCl4とAlの間の固−液反応が優勢であるように、加熱温度は136℃未満でもよい(すなわち、TiCl4の沸点136℃より下)。TiCl4−Al−AlCl3の供給試薬混合物は、得られる生成物TiCl3−Al−AlCl3が粉体で均質であるように加熱しながら、第1反応領域において攪拌できる。要求される化学量論量を超える量のアルミニウムを加えることにより、塩化チタンの全てが還元され、生じる生成物TiCl3−Al−AlCl3を形成することができるが、これは、その後の反応ステップ2のためにさらなるアルミニウムを加えることが必要でないことを意味している。
【0100】
ステップ1を実施するために利用できる装置には、温度200℃未満でバッチまたは連続様式で操作できる反応装置容器がある。そのような反応装置の操作圧力は数気圧になることがあるが、典型的には1気圧付近である。塩化アルミニウム(AlCl3)の昇華点は200℃未満であり、ステップ1のこの反応生成物を溶解状態に保つことが望ましい。塩化アルミニウム(AlCl3)の昇華点は160℃付近なので、ある実施形態において発明者らは、ステップ1を160℃未満で実施することが有利であることを示した。塩化アルミニウム(AlCl3)は、塩化チタンとアルミニウムの間の反応の触媒として作用するので、そのような実施形態において、発明者らは、ステップ1の反応を塩化アルミニウム(AlCl3)の昇華点未満に維持することにより、AlCl3の固相が反応領域中にとどまり、気体状態に存在するよりも、向上した粒子表面反応が起こるのを可能とすることを見いだした。ステップ1の粒子/粉末混合の他の利点は本明細書中でまもなく議論する。
【0101】
また、第1反応領域の温度が220℃より高くなると、TiCl4とAlの間の反応が制御不可能に進行し、温度が制御不可能に上昇し、この早い段階でのAl粉末の塊の形成および/またはTiAl3化合物の形成につながることを発明者らは観察した。異なるTi−Al金属間化合物形態(TiAl3(s)、TiAl(s)およびTi3Al(s)など)がステップ1で早期に形成し、これら形態のそれぞれがその後ステップ2でTiCl3(g)と異なる程度反応すると、段階的プロセスから生じるチタン−アルミニウム生成物の性質に幅広い変動が生じることがある。これが起こると、反応速度が非常に遅くなることがあり、得られる生成物が、さらなる使用および良好な品質を持つ他のより望ましいTi−Al合金の製造に対して不適となる。これらの理由により、ステップ1の反応温度を220℃未満に、特には200℃未満に制御することは重要である。これは、実験的な実施例3に関連して本明細書で再びまもなく議論する。
【0102】
チタン−アルミニウム化合物が粉末形態で製造されることが有利である。粉末形態は、チタンアルミニウム合金製品の製造、例えば航空宇宙産業で使用される成形ファンブレードの製造においてはるかに融通が利く。本発明の発明者らは、ステップ1の反応がAl粉末の粒径により影響され、より小さな粒径で反応がより効率よいことを観察した。本願記載の段階的プロセスでは、生成物は微細粉末形態であることが典型的である。第1および第2反応領域での化学反応の終了時に、さらなる処理のため粉末は容器から放出される。あるいは、粉末は他の物質の製造のためその場でさらに処理されてもよい。あるいは、粉末をその場で加熱し粗い粒状粉末を作ることもできる。さらなる実施形態において、粉末がその場で圧縮および/または加熱され、次いで溶融されてインゴットを作ることもできる。
【0103】
ステップ1で塩化チタンと混合すべきアルミニウム(必要な場合、ステップ2でチタン亜塩化物に加える必要がある追加のアルミニウム)は、一実施形態において、通常直径で50μm未満のおよその粒子トップサイズを有する微細な粉末形態である。微細なアルミニウム粉末は通常、直径で50μm未満のトップサイズで入手可能であるが、そのような原材料は製造に非常に費用がかかるため、もし使用される場合、プロセスのコストを上昇させることがある。したがって、より粗いアルミニウム粉末を本方法に使用することが可能であり、その場合粉末は直径で50μmを超えるおよその粒子トップサイズを有する。そのような例において、塩化アルミニウムは粗いアルミニウム粉末に加えられ、次いで混合物が機械的に粉砕され、少なくとも1次元にアルミニウム粉末の寸法が低減される。これにより、50μm未満である少なくとも1次元の大きさを有し、チタン亜塩化物およびアルミニウムの間の満足できる反応を促進するに十分であるアルミニウムの「フレーク」が製造できる。フレークはより大きな反応表面積を提供し、フレークが薄いと生成物のより均一な組成を生み出す。
【0104】
さらに別な実施形態において、アルミニウム原材料はフレークの形態で得ることができ(すなわちすでに予備粉砕してある)、反応開始の前に塩化チタンと混合される。さらなる実施形態において、アルミニウムが最初により粗い粒径で(塊の形態など)利用可能な場合、アルミニウム原材料を塩化チタンとともに粉砕できる。このようにして、ステップ1の供給物質間の完全な混合が、第1反応領域での加熱の前に達成できる。
【0105】
これのさらなる実施形態において、より粗い(そしてより安い)アルミニウム原材料が塩化チタン(TiCl4)原材料とともに粉砕される場合、粉砕は、TiCl3およびAlCl3を形成する第1反応領域でのこれら2つの物質の反応と同時に起こるように構成することもできる。ステップ1反応が少なくとも部分的に粉砕機中で起こるように、粉砕プロセスが十分な熱を発する場合(または供給物質がある程度予備加熱してある場合)、そのような反応性粉砕が利用できる。もちろん、そのような反応性粉砕は、合金添加剤としてのさらなる元素の源を添加するための簡便なポイントを与え、第1反応領域でのそのような元素のTiCl3およびAlCl3生成物との完全な混合を促進し、新しい合金の場合多くの種類の形成につながるが、これはまもなくさらに議論する。
【0106】
さらなる実施形態において、粗いアルミニウム供給物質またはアルミニウムフレークの粉砕は、以下に説明する理由により、初期量の塩化アルミニウム(AlCl3)の存在下で実施できる。
【0107】
発明者らは、出発アルミニウム粉末にAlCl3を添加すると、ステップ1の反応の効率上昇を生み出すことを観察した。AlCl3は、TiCl4とアルミニウムの間の反応を触媒する効果があり、アルミニウム粉末に高度に吸着性でありTiCl4に高い親和性を有する。Al粉末とAlCl3を質量比2:1から1:2で混合することにより、発明者らは、これがAlとTiCl4の間の反応の早い活性化を可能にするらしいことを観察した。AlCl3の存在下で、ステップ1の反応の活性化温度は、TiCl4とAlの直接反応の場合の約200℃から、136℃未満の、さらにはわずか60℃の活性化温度に低下することがあり、運転コストおよび複雑さの著しい低減となる。
【0108】
反応プロセスを加圧する(そして加速する)ために数気圧の不活性ガスの圧力下でステップ1の反応装置を操作する必要がある代わりに、触媒としてAlCl3を使用する場合、1気圧でステップ1の反応装置を簡単に運転できることを発明者らが観察した。これは、反応装置設計の著しい単純化にもなり、さらに運転コストならびにスケールアップの複雑さも低減できる。
【0109】
上記で議論のとおり、ステップ1の反応はAl粉末の粒径に影響され、発明者らは、より小さい粒径で反応がより効率よいことを観察した。しかし、高価であることに加え、市販グレードの微細Al粉末は、最終製品のTi−Al合金に保持されたままになることもある高濃度の酸素を含み、これら合金の品質低下につながる。したがって、そのような市販グレードのアルミニウム粉末の使用をやめ、より粗いアルミニウムを出発物質として使用し上述のとおり粉砕する動機がある。AlCl3の早期の添加のさらなる利点として、本発明者らは、ある量のAlCl3の存在下で粗いAl粉末を粉砕する場合、粉砕の間アルミニウム粒子がともに塊になることを防止する界面活性剤としてAlCl3が作用することを観察した。
【0110】
ステップ1を実施するための反応装置の例を図2に示す。この例において、アルミニウムとTiCl4(および任意に塩化アルミニウム)の混合物が、円筒状攪拌バッチセル(20)(攪拌器図示せず)に導入され、前記セルは外壁の周りに配置された流体収納コイル(22)を備えており、それを通って熱油またはスチームが移動しセルに熱エネルギーを与え(セル中の反応領域内で吸熱反応が起こる場合)、あるいはそれを通って冷却流体またはガスが移動しセルから熱エネルギーを除くことができる(セル内で発熱反応が起こる場合)。さらなる実施形態において、セル内の試薬および反応の温度は、図2に示す流体を収納する単なる環状コイルよりもセル壁の周囲に配置された完全なジャケットなどの多くの他の物理的構成により制御できる。
【0111】
図2に示すセルは、最上部の圧力逃し弁(26)を備えた上方に延びる水冷凝縮管(24)も備えている。凝縮管は、TiCl4蒸気を凝縮し、液体形態で反応領域に戻し、TiCl4の沸点136℃より高い温度で加熱されている時セル内の適度な圧力を維持する役割を果たす。同様に、チタン亜塩化物がセルから漏れ出す場合、これらを凝縮させ反応に戻すこともできる。典型的には、セルは、反応物および生成物の上でアルゴンまたはヘリウムなどの不活性ガスの1気圧付近の通常の運転圧力を有する。この混合物では、物質を110℃に加熱すると熱暴走効果を起こし、容器の温度が170℃付近まで上がり通常90%超のTiCl4が還元される。
【0112】
図1のブロックダイアグラムに示される方法の特定の例において、ステップ1でアルミニウムおよびTiCl4は、当量のAlCl3とともに円筒状攪拌バッチセルに導入される。言及されたとおり、AlCl3の有益な効果は、プロセスを触媒して(i)反応時間、(ii)活性化温度、(iii)過圧要件および(iv)反応装置中のステップ1のアルミニウム粒子の塊の形成を大幅に低減することである。
【0113】
粒径が15μm未満のAl粒子では、反応時間が15分未満のことがある。反応時間は、セル中のAl粉末の量が増えるにつれ短くなり、ステップ1および2の反応に要求されるAl全体をステップ1に導入することがより有利となる。
【0114】
ステップ1反応装置セルの他の実施形態において、他の可能性のある構成は、連続製造ユニットを模する、連続的に運転するセルの自動化アレイを含む。供給物質を加熱してTiCl3およびAlCl3を形成する反応を引き起こすための異なる加熱構成があるであろう。ある実施形態において、開口部が、さらなるガスの導入または加圧のためにセルにあってもよい。開口部は、容器内の空気を抜いて低圧にするためにも与えられる。アルミニウム、塩化チタンおよび任意に塩化アルミニウムの出発物質の連続的供給によるTiCl3−Al−AlCl3のステップ1反応生成物製造に基づく他の構成には、スクリュータイプ反応装置および流動床反応装置などの構成がある。さらなる実施形態において、本願に言及したもの以外に多くの構成がある。
【0115】
ステップ1の反応から得た実験結果の概略を述べる。
【実施例】
【0116】
〔実施例1〕
15gのAl粉末<15μm
15gのAlCl3
125mlのTiCl4
110℃で熱暴走効果がある。温度は急速に176℃に上がる。次いでセルを冷却し、残りのTiCl4を除去する。239gの物質がセル中に残り、約122mlのTiCl4の還元に相当し、約97%の効率に相当する。得られた中間体生成物(TiCl3+Al+AlCl3)は紫色をしており、通常は凝集した粉末の形態であり、ステップ2の反応に進む前に破砕が必要である。
【0117】
〔実施例2〕
15のAlフレーク、厚さ1〜2μm
15gのAlCl3
125mlのTiCl4
図2に示すセルは、AlCl3触媒の有益な影響により、アルゴン下で1気圧に開放している。110℃で熱暴走効果がある。温度は172℃に急激に上がる。セルを冷却し、残りのTiCl4を除去する。230gの物質がセル中に残っており、約116mlのTiCl4の還元に相当し、約93%の効率に相当する。全反応時間は15分であった。
【0118】
〔実施例3〕
粒径が44μm未満のAl粉末では、出発物質にAlCl3を加えると、反応が1気圧で進むことができ、チタンアルミナイドの製造に適当な中間体生成物を製造する。例えば、15gのAl粉末(<15μm)および15gのAlCl3および125mlのTiCl4の混合物から出発して、136℃で1時間加熱した後約150gの中間体生成物(TiCl3+Al+AlCl3)が生じる。1気圧の運転で、AlCl3なしのTiCl4とAlの間の反応は、反応がほとんど液−固反応に限定されるであろうため、密閉容器中の高圧下よりも通常ゆっくりである。
【0119】
先に記載したとおり、220℃より高い温度でステップ1の反応を実施すると多くの問題がおこり、例えば、制御不可能に反応が進行し、温度が制御不可能に上昇し、望んでいない生成物の形成および反応速度の低下が起こる。この現象を研究するための実験において、発明者らは、反応装置中の測定温度が250℃を超えて急激に上昇した場合、TiCl4からTiCl2への部分的な還元を観察した。得られた生成物は、TiCl2の物理的外観と一致した固体の黒色物質の形態であり、そのため通常はTiCl4の還元率は非常に低くなる。実際に還元されたTiCl4の量は、残存する未反応TiCl4の除去により反応の合間の終点で容易に測定可能であるがそれは通常大量であり、実際の反応生成物質は少量に過ぎない。
【0120】
さらに、発明者らは、反応生成物質が焼結Al粉末を含んでいるらしいことも観察したが、これは反応から出た熱がAl粉末を焼結したことを示唆しており、TiCl4との反応に利用可能な接触表面積の著しい減少を起こし、そのため反応速度が低下する。
【0121】
高温で起こった反応の最後に得られた生成物の一部は多量のTiAl3も含んでおり、均一な組成を持つチタンアルミニウム生成物の製造には不適となる。特に、低Al含量のTi−Al合金の製造には、特に塊の形態で物質中にTiAl3が存在すると、均一な物質を得ることが非常に困難になり、有用な形態にするには通常延長した加熱およびさらなる処理が必要となる。TiCl4とAlの間の反応により生じる熱は、制御不可能な場合、500℃よりやや上に反応温度を上げることがあり、TiAl3の形成につながることが観察された。
【0122】
実施例4はこれの実例である。
【0123】
〔実施例4〕
15gのAl粉末<15μm
125ml TiCl4
これらの試薬を密閉セル中で混合し、反応温度が220℃に達するまで熱暴走効果は見られなかったが、その温度ではセルの外壁上で測定して温度が255℃に急上昇した。次いで、セル温度が急速に低下した。次いで、セルを250℃に12時間保ち、その後冷却し、残りのTiCl4を除去した。濃い黒色の外観を呈し非常に固い性質の固体物質が48gセル中に残っていた。この結果を計算すると、わずか33gのTiCl4の還元に相当した。
【0124】
得られた中間体生成物中のチタン亜塩化物と残存Alの間に、次のより高温のステップ2の1部として完全な反応があると仮定すると、第2の高温ステップの最後に得られるであろう生成物の全量は、約8.3gのTiおよび9gのAlであろう。そのような組成は、低Al含量の合金の製造には不適であり、1000℃での処理の後でTiAl3に富んだ生成物を生み出せるのみである。
【0125】
上述のステップ1の実施例のいずれかのTiCl3およびAlCl3反応生成物は反応装置に供給され、900℃より高い、典型的には1000℃付近またはそれ以上の温度で第2の反応ステップが実施される。中間体生成物中のAlの量は、要求される最終生成物および反応の効率の両方により調整する必要がある。この量は、ステップ1およびステップ2の反応の理論的化学量論要件により、両ステップの反応の効率を考慮に入れて決められる。必要な場合、追加のアルミニウムがステップ2のチタン亜塩化物に加えられる。
【0126】
TiCl3はアルミニウムと混合され、次いで900℃より高い温度に加熱され、その結果AlCl3が気相で形成され、AlCl3は反応領域温度よりも低いがAlCl3の凝縮温度より高い温度で凝縮され、反応装置の反応領域から除かれる。反応は、最終生成物に要求されるとおり、あるパーセンテージのアルミニウムを含む反応領域中のTiの粉末を残す。一実施形態において、塩化アルミニウムを反応領域から除くと反応の平衡が正方向に動き、すなわち塩化アルミニウムとTi−Al化合物(および反応条件および成分によって他の生成物)の形成へと動く。一般的に、使用される反応容器は、塩化アルミニウムが連続的に除かれ、塩化チタンおよびアルミニウム混合物の反応領域から離れた領域で凝縮するように構成されている。
【0127】
ステップ2は、単純化された反応、TiCl3+(1+x)Al→Ti−Alx+AlCl3を使用して表され、TiCl3とAl化合物との間の固−固反応にほとんど基づいている。しかし、600℃を超える温度では、チタン亜塩化物が分解および昇華してTiCl4(g)、TiCl3(g)およびTiCl2(g)の気体種の存在を生み出し、これらの種と固体物質中のAl系化合物の間に気−固反応が起こることがある。したがって、よりムラのない生成物を生み出すには、ステップ2は通常1000℃以上の温度で実施する方がよい。他のことは別にして、ステップ2は600℃で実施すると遅すぎるので、より高い温度がよい。
【0128】
γ−Ti−Alの製造には、AlとTiCl3の相対量(質量)は、効率100%を仮定して、0.35に等しくなくてはならない。MTiCl3には、0.35MTiCl3に等しいAl粉末の量が、化学両論的なTi−Alの製造に必要ということになる。Ti3Al、Ti−AlおよびTiAl3を含むある種類のアルミナイドでは、蒸発および/または分解によるチタン塩化物の損失はごくわずかである。TiCl3中間体物質中のTiの量に対する最終生成物中のTiの量の比として本願に定義されるプロセスの収率は、図3から分かるとおり90%を超えている。図3は、粒径が15μm未満のAl粉末を使用する出発物質中のAl含量の関数として最終生成物の組成を示している。対応する収率も図中に示してある。これらの結果から、出発物質の総重量は5g未満であり、実験は石英管を利用したバッチ様式で実施した。
【0129】
上述のプロセスにおいて、所望の組成の生成物を得るために他の物質の源を含むことも可能である。例えば、これらの源の物質には、塩化バナジウム(VCl4)および三塩化バナジウム(VCl3)および/または二塩化バナジウム(VCl2)などのバナジウム亜塩化物があり、生成物はチタン−アルミニウム−バナジウム化合物、例えばTi−6Al−4Vを含む(すなわち、6%のアルミニウムおよび4%のバナジウムを含むチタンであり、その組成のため、より良好な耐クリープ性および疲労強度などの向上した金属性質を有し、より高い運転温度に耐える能力を有する)。
【0130】
Ti−6Al重量%の製造には、図3の結果に示すとおり、ステップ2の前でAlとTiCl3の相対量が1未満でなくてはならない。例えば、Ti−6Alでは、[Al]/[TiCl3]の比は約0.5であり、TiCl3の1g当たり0.0875gのAl粉末が必要とされる。6重量%のAlを含む合金のこの特定の例では、物質が1000℃付近の高温領域に進むにつれ、[Al]/[TiCl3]の比が0.5に等しくなくてはならないことになる。0.0875を超えるMTiCl3を含む中間体生成物は、要求される低Al合金の製造には使用できない。
【0131】
Ti−6Al−4Vの製造には、VCl4、VCl3またはVCl2をステップ1の前に物質に加えることができる。あるいは、VCl3またはVCl2を、ステップ2の加熱前に中間体生成物に加えてもよい。所望の金属間生成物を得るための他の物質の源には、クロムハロゲン化物(例えばCrCl2)があり、生成物はチタン−アルミニウム−クロム化合物を含む。ニオブハロゲン化物(例えばNbCl5)も出発物質として加え、チタン−アルミニウム−ニオブ−クロム化合物、例えば、Ti−48Al−2Nb−2Crを製造できる。
【0132】
合金添加剤は、ステップ1またはステップ2のいずれか(または両方)の反応領域に含まれてもよい。例えば、これらの固体化学物質は、1000℃での加熱の前にステップ1の最後に得られるTiCl3−Al−AlCl3と混合されてよい。数多くの他の化合物がここでの含有に好適である。例えば、発明者らは、γ−TiAlに炭素を2つの異なる方法:(i)ステップ1の液体CCl4によりおよび(ii)ステップ2のCI6により、0.2原子%のレベルまで導入できた。炭素は、0.5原子%未満の低い溶解度によりチタンと合金化するのに最も困難な元素の1つである。
【0133】
すでに記載したものに加え、合金添加剤として好適な他の元素の源(ハロゲン化物、亜ハロゲン化物、純粋な元素または元素を含む他の化合物)は、ジルコニウム、ケイ素、ホウ素、モリブデンおよびタンタルを含んでよく、段階的方法の生成物は、これらの元素の1種または複数を含むチタン−アルミニウム化合物であり、それらのいくつかは恐らく未知の「新」合金である。段階的方法の生成物は、チタン−(選択された元素)合金および中間体化合物の形態もとりうる。
【0134】
段階的プロセスのステップ2高温工程を実施する反応装置の概略図を図4に示す。この反応装置はステンレス鋼管反応装置(30)の形態であって、前記管の中央部分を1000℃に加熱できる高温炉(32)の中に部分的に位置している反応装置である。ステップ1反応から得た粉末化金属ハロゲン化物(TiCl3など)およびアルミニウム生成物は、示されているステップ1反応セル(40)の特定のバージョンの底部に位置するバルブ(38)の下に配置されるロータリースクリューバルブ(36)を経て管反応装置(30)の一端(34)に供給される。スクリューフィーダー(36)は粉末化金属ハロゲン化物とアルミニウムを混合するよう機能でき、そのため、特に追加のアルミニウムがその時点で添加される場合、生じる混合物中に未反応アルミニウムが実質的に均一に分布する。これは、ステップ2から得る金属アルミナート生成物に含まれるべき他の元素の源(ハロゲン化物、亜ハロゲン化物、純粋な元素または元素を含む他の化合物など)を混ぜ込むのによい場所でもある。スクリューフィーダー(36)は、ステップ1反応からの生成物を、ステップ2の供給物質としてコンジット(42)および試薬入口を通して鋼管反応装置へ渡す。試薬入口は鋼管(34)の最上表面に位置する穴(44)の形態である。高温炉に囲まれておらず温度がわずか約300℃である、管反応装置(30)の比較的冷たい端領域(34)に穴が位置している。
【0135】
管反応装置(30)内に入ると、金属ハロゲン化物およびアルミニウム供給試薬は、反応装置内で一方向に管の冷たい端領域(34)から、高温炉(32)内部に位置する管のその領域中に位置する加熱反応領域(46)(本願において第2反応領域として知られる)へと移動する。固体の一方向の移動は、図4に示すとおり管反応装置(30)の左から右へと起こる。この時点で、供給試薬は加熱され、徐々にチタン−アルミニウム化合物およびAlCl3のステップ2反応生成物に転化する。炉の領域(46)を渡り管(48)のもう一方(反対の)冷たい端部に到達するための、反応装置(30)内の一方向の供給試薬および/または反応生成物の移動は移動装置を利用して遂げられる。この移動装置の一形態は、スクレーパー(52)の形態の一定間隔の一連の突起を有するレーキ(50)の形態で図4に示してある。レーキ(50)のスクレーパー(52)は、管反応装置(30)の軸に沿って延びるロッド(54)にそれぞれ固定されたモリブデン(またはステンレス鋼)の半円状円盤である。利用される特定の実施形態において、レーキ(50)は、それぞれ隣接するスクレーパーから40mmの距離だけ離れた、一連の23のスクレーパー(52)を有する。レーキ(50)を往復して操作し、管反応装置(30)の床(56)に沿ってある量の供給試薬および/または反応生成物を掻き取ることにより、管反応装置(30)に導入される物質は移動する。使用時に、レーキ(50)は軸に沿って外側に一方向に(図4の右側に)引かれ、23のスクレーパー(52)は下向きにされるので、各スクレーパー(52)は、個別な量の固体供給試薬および/または固体反応生成物を、反応装置の床(56)に沿って短い距離移動させることができる。スクレーパーがそれぞれ、管反応装置の床に沿ったその所定の最大移動距離40mmに達すると、ロッド(54)が回転し、それによりスクレーパー(52)が回転して、それらはそれぞれ垂直に上向きになる。この位置で、スクレーパー(52)は反応装置の床(56)上に位置する固体供給試薬および/または固体反応生成物に接触することなく、軸に沿って内方向に反応装置(30)中へ(図4の左方向に向かって)戻り移動距離40mmだけ押されることができる。次いで、ロッド(54)が回転し、スクレーパー(52)はもう一度垂直に下向きにされ、その出発位置に戻る。
【0136】
レーキ(50)およびそのスクレーパー(52)を動かすプロセスは往復して繰り返され、反応装置入口の穴(44)からその固体出口に向けて物質の個別な移動を可能にする。レーキ(50)が連続往復運動で操作されているとき、反応装置(30)を通る物質の流れは全体的に連続的であると考えることができる。これらの運動の頻度が、要求される最終生成物により、反応装置(30)内の高温での物質の滞留時間を決定する。これらの運動のタイミング、速度および頻度は制御システムにより自動的に制御される。このシステムは、反応装置または反応生成物のいずれかの物性をいくつかモニターしてステップ2反応の性能を最大にするモニタリングシステムに接続できるコンピュータを使用する。
【0137】
図4に示す反応装置構成内の固体の移動は、高温でのTiClxおよびAlの挙動に関連する問題を克服できる。発明者らは、供給試薬物質が700℃付近の温度に加熱されると、焼結して大きい塊になる傾向があり、固体反応生成物出口に向かう第2反応領域(46)を渡る物質の移動を妨げることに留意した。図4の実施形態に示すスクレーパー(52)構成はこの問題を克服するが、その理由は、粉末が管反応装置(30)の長さに沿って物理的に動かされ、掻き取りおよび移動も固体供給試薬の混合および焼結された塊の解体を促進し、よりムラのない反応生成物を与えるからである。
【0138】
本願記載のスクレーパーシステムは、連続的な、または全体的に連続的な運転の概念の説明を意図するのみであり、異なる設計も利用できる。さらなる実施形態において、移動装置は、他の形態において、例えばコンベヤベルトまたはオーガー(スクリューフィーダー)またはロータリーキルンとして、これらの形態のそれぞれにおいて供給試薬および/または固体反応生成物が反応装置内で第2反応領域を通って移動できるかぎり存在できる。
【0139】
レーキ(50)が供給試薬および/または固体反応生成物を、反応装置の床(56)の上で第2反応領域(46)を通って移動させると、チタン−アルミニウム合金粉末の固体反応生成物は、全体的に連続的に反応装置管の端領域から、傾斜のあるシュートまたは漏斗を降りて生成物容器(60)に放出される。
【0140】
不活性ガスは、低速で管反応装置(30)を通って、管反応装置(30)を通る固体供給試薬および/または固体反応生成物の動きとは反対の方向に流れる。反応装置を通って利用されるガス流速は、気体状塩素系種(AlCl3など)の拡散が固体流の方向に流れるのを防止するのに十分である。ガスは、端部入口の穴(62)を経て管に入り、管反応装置(30)内の第2反応領域(46)を通って流れ、図4に示すとおり固体供給試薬入口の穴(44)の近くに配置されたポート(64)を通って出る。不活性ガス流とともにAlCl3(g)および未反応TiCl3(g)を含むこれらのガスは、ガス出口ポート(64)を通り凝縮容器内の凝縮領域に進むが、これは図4において、管反応装置(30)から上向きに垂直に延びている凝縮管(66)の形態で示されている。凝縮管(66)には、管の内部温度を250℃より高く制御する冷却システムが備えてあり、AlCl3(g)が凝縮せず気体として保たれている(凝縮は約200℃より低温で起こる)。しかし、TiCl3(g)は430℃未満で凝縮するので、凝縮管(66)から出るガス流はAlCl3(g)および不活性ガスを含んでなり、ガス流中に存在したかも知れない金属ハロゲン化物また亜ハロゲン化物(もしあればTiCl3(g)およびTiCl4(g)など)は凝縮管(66)内で凝縮されるであろう。一形態において、凝縮管(66)は、管の内部温度を約250℃より高いが約430℃より低い温度に制御する冷却システムを備えている。凝縮管には、ガス流により管反応装置(30)から運ばれるチタン亜塩化物の微粒子を回収する一連の内部バッフルを備えることもできる。
【0141】
次いで、凝縮したTiCl3(g)の生じた粉末は直接管反応装置に戻され、アルミニウムおよびTiCl3(s)の供給物質と再混合される。これは、内部壁または壁のバッフル上に位置する凝縮または堆積したTiCl3(g)を払い落とす、凝縮管(66)の内部で軸に沿って往復運動できるプランジャー(68)の形態での内部掻き取り装置を利用して達成できる。次いで、払い落とされた物質は、管反応装置(30)中に落下し再利用される。除去された物質は、管反応装置(30)に供給された新しい供給物質と混合され、レーキ(50)の動きにより反応装置領域(46)に進む。
【0142】
AlCl3(g)および不活性ガス流を含む凝縮管から出るガスは、AlCl3(g)の凝縮温度未満の温度で運転するように構成された別なハロゲン化アルミニウム回収容器(70)を通って進む。この回収容器(70)は、典型的には室温で、または50℃未満で運転している。ここで、AlCl3(s)が粉末形態で引き抜かれる一方で、残ったガス流は、不活性ガス(ヘリウムまたはアルゴンなど)の再利用または大気への放出の前に水酸化ナトリウムスクラバーの中を通って処理される。回収容器(70)の物理的構成は、凝縮したAlCl3(g)またはAlCl3(s)がTiCl3(s)凝縮管(66)または管反応装置(30)に再び入る可能性がないことを意味する。このようにして、AlCl3は反応装置管から継続的に引き抜くことができるが、システムからのチタンの損失は実質的にないであろう。
【0143】
上述のとおり、TiCl3−Alは反応装置管(30)の一端に供給され、レーキスクレーパー(52)はこれらの供給物質を、1000℃以上の温度の反応装置の中央領域(第2反応領域(46))を通って、反応装置管(30)の反対の端(48)に位置する供給生成物粉末出口(58)に向かって移動させる。TiCl3とAlの間の反応が進行するにつれ、AlCl3が気相中に生じ、不活性ガス流によりガス出口に向かって運ばれ、そこで上述のとおり回収される。チタン亜塩化物の分解により反応装置中で形成するかもしれない非常に少量の四塩化チタン(TiCl4)が、これらの物質が生成物出口に向かって移動するにつれ、炉内でAl粉末と反応することがある。図5および6において、発明者らは、本願記載の方法では、チタン塩化物の損失が少ないことを示す理論計算を表した。管反応装置(30)の反応領域(46)の高温領域から発した気化チタン亜塩化物は、反応装置の低温部分(複数可)(34)に向かって移動するにつれ再び凝縮し、そこでそれらは反対方法に動くTiCl3およびAl供給物質の流れと再混合する。
【0144】
さらなる実施形態において、凝縮領域は別な凝縮容器以外のものでよい。外部凝縮管の形態である代わりに、前記領域は、例えば、供給物質入口領域(42、44)に一番近い管の端部(34)の「より冷たい」領域中にある、反応装置管の内部天井の温度制御部分を含んでよい。そのような配置は、ステップ2供給物質と混合するために、凝縮したTiCl3が管反応装置中に直接戻るのも可能にするであろう。
【0145】
反応装置管の第2反応領域中の物質の滞留時間は、要求される最終生成物の組成および性質により決まる。比較的Al含量の高いチタンアルミナイドでは、1000℃で短い滞留時間のみが必要である。対照的に、Ti−6Alなどの低Al含量の粉末生成物では、出口に向かって進行する前に粉末から除去される必要のあるチタン亜塩化物が過剰にある。結果として、より多くの熱が必要であり、処理される物質中の塩素含量を最低限にするため物質は1000℃でより長くとどまる必要がある。
【0146】
典型的には、ステップ1およびステップ2の反応のいずれかの気体雰囲気は、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノンなどの不活性ガスである。メタンまたは酸素などの反応性ガスは、混合物と化学的に反応して他の生成物を生み出すことがあるので望ましくない。気体雰囲気の非存在下でも反応が実施できる(例えば真空下)ことに留意されたい。ステップ2では、反応装置管への熱の流れが、供給物質および反応生成物が位置する内部領域に向かう反応装置管壁からの伝導により主に起こるため、発明者らは、ある量のヘリウム(例えばアルゴンの代わりに)を含む不活性ガス流を利用して管反応装置を運転することにより、反応装置中の滞留時間を五分の1以上減らし数分未満の滞留時間にできることも見いだした。この減少は、主に、向上した熱伝導性につながるアルゴンに対するヘリウムの熱伝導性の高さのためである。発明者らは、ステップ2の気体雰囲気中にある量のヘリウムが反応領域内の熱伝導性を高めるに十分な量であればよく、ガスの全組成がヘリウムである必要はなく、ヘリウムと他の不活性ガス、アルゴンなどとのブレンドでよいことを見いだした。チタンアルミナイドの形成にヘリウムが管反応装置中に使用される場合、1000℃での粉末の滞留時間は3分未満のこともあり、Ti−6Alでは発明者らは約6分の滞留時間を測定した。
【0147】
本願記載のプロセスが、チタンアルミナイドおよび低Al含量合金を含む、広範囲のTi−Al系合金を製造できることが示された。要求されるベース合金の組成は、出発物質中のアルミニウムおよびチタン塩化物の相対量により決まる。チタンアルミナイドでは、その比はステップ2の反応の終了に要する化学量論量より通常高く、関連するプロセス収率は典型的には90%を超え、チタン塩化物の損失が少ないことを示唆している。低Al含量の合金の製造では、Alに対して過剰量のチタン塩化物が通常ある。亜塩化物は処理の間に粉末から除去され、回収および再利用が必要となり、物質の製造コストを増す。
【0148】
ステップ1の反応からのチタン塩化物の損失は、四塩化チタンの形態でのみ起こりうる。TiCl4は室温で凝縮するので、第1反応工程の一部として再利用するのは比較的容易である。高温での第2工程で、2つの異なる方法で損失が起こることがある:(i)ガス流に運ばれる亜塩化物粉末および(ii)チタン亜塩化物の分解によるTiCl4の形成による損失。第1の損失因子は、反応装置の設計により最低限にできる。発明者らは、図4に示す反応装置を使用することにより、回収されたAlCl3副生成物の物理的外観およびプロセスの測定された収率から示唆されるとおり、TiCl3の損失が最低限であることを発見した。TiCl4の漏れ出しによる損失はより大きな問題であるが、TiCl4が塩化アルミニウムに吸着し、これら2つの物質の分離が幾分困難であるからである。発明者らは、AlCl3の低温真空蒸留によりTiCl4を除去できることを見いだしたが、これも製造コストを増す。この問題の重要性は、AlCl3副生成物の意図される用途に関連してのみ評価できる。例えば、前記プロセスに示唆されているとおりAlCl3が再利用されてTiCl4が製造される場合、上記で概説した問題は、高温反応装置中のチタン亜塩化物の分解に関連するほんのわずかなエネルギーの損失に変わる。発明者らは、以下を示す理論計算を行った:(1)1000℃を超える温度では、塩素系化合物は固相で存在できず、1000℃で処理される物質は当然残存塩素を含まない、(2)TiCl4の形成による損失は数パーセント程度であり主な損失因子の1つではない。
【0149】
図5および6は、300Kと3000Kの間の温度範囲で1気圧のアルゴン中のチタン亜塩化物に対して行った平衡組成の計算結果を示す。これらの図は、塩素を含む固体化合物が、1300K(約1000℃)を超える温度で固相中に存在できないことを示す。図4で、1000Kを超える温度で、固体のTiCl3が昇華し、部分的に分解して、1:1:1のTiCl3(g):TiCl2(s):TiCl4(g)の比で固体のTiCl2および気体のTiCl4になることが分かる。また、図6で、1100Kを超える温度で、固体のTiCl2が分解して、(58:34:4:3)の比でTiCl3(g)、Ti(s)、TiCl2(g)およびTiCl4(g)が形成することが分かる。不活性ガスが固体粉末と反対の方向に流れる本明細書で考察される反応装置構成では、気体状塩素系化合物はガス流とともに反応領域から離れるように流れ、塩素のないTi−Al粉末合金を残す。チタン亜塩化物は反応装置中の他の場所で凝縮されライン上で再処理されるが、AlCl3およびTiCl4は反応装置から適切な回収ユニットへ追い出される。チタン亜塩化物の分解から生じるTiCl4は、反応装置中へ供給されたAl粉末とさらに反応することがあり、これは反応装置から漏れ出るTiCl4の量を低減することがある。
【0150】
図7で、発明者らは、90%の化学量論的要件に相当する、1:0.9の比のTiCl3/Alの混合物に対する平衡組成のデータを示すが、亜塩化物の分解によるTiCl4の損失は出発TiCl3の1%未満であることを示唆している。温度1300Kでこの組成に関して、出発TiCl3の25%が未だ気相に存在しており、本願記載の選択された実験条件で反応領域から追い出されるであろう。
【0151】
図8で、発明者らは、50%の化学量論的要件に相当する、0.5:1のAl/TiCl3の比で、図4のものと類似な計算結果を表す。これらの結果は、50%の化学量論比でも、TiCl4を生じる分解による前駆体物質の損失は、出発物質の2%未満であることを示唆している。
【0152】
バッチ様式操作で実施された研究は、出発物質中のTiCl3に対するAlの量が、図3の結果に表されるステップ2の出口で得られる最終生成物の組成を決定することを示した。大きさ15μm未満のAl粉末に対する図3の結果は、TiCl3+Al→Ti+AlCl3に要求される通常の化学量論条件に対して、出発物質中のAl含量が60%未満の場合のみ、6重量%未満の低Al含量を持つチタン合金が得られることを示唆している。その場合、相当する単通収率はおよそ50%であろう。出発物質中に存在する過剰のTiCl3は回収および再処理される必要がある。これらの数字は、Al粉末のモルフォロジーおよび大きさにより変わり、例えば、アルミニウムフレークでは[Al]/[TiCl3]の比がおよそ80%で収率がおよそ75%である。
【0153】
図4に示す反応装置構成では、過剰のTiCl3を再利用すると、当分野に公知のとおり、過剰の塩化物を再利用または不均化を起こす必要なく、非常に高い収率でAl含量が2重量%未満の合金の製造が可能になる。これにより、プロセスが、90%を超える単通収率で、非常に低いAl含量(2%未満)の合金を製造できるようになる。非常に低い(数分の1重量%まで)アルミニウム含量のチタン−アルミニウム化合物を製造することも可能である。図4に示す反応装置構成により、アルミニウムハロゲン化物反応生成物が継続的に除去され、凝縮した金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物が反応領域に継続的に戻されながら、アルミニウムと金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物の間の反応が起こる。実際上、これは、ある運転期間の後、アルミニウムハロゲン化物反応生成物の継続的な除去により正方向に進められながら、反応領域が、高運転濃度の金属ハロゲン化物および亜ハロゲン化物(再利用または新しい供給物質から調達される)および比較的低濃度のアルミニウムおよびアルミニウム含有種を作り出せることを意味する。これは、一般的に非常に低いアルミニウム含量の金属化合物または合金の製造につながることがある。
【0154】
これは以下の例にさらに説明される:出発物質:127ccのTiCl4およびTiCl4+1.33Al→Ti+1.33AlCl3に要求される完全な化学量論量に対して90%に相当する37.2gのAlフレークおよびステップ1の触媒としての30gのAlCl3。TiCl4−Al−AlCl3混合物をまず加熱してTiCl3+Al+AlCl3につながるステップ1を実施し、得られた固体混合物を図4に示す高温反応装置に供給した。単一サイクル時間(反応装置中のスクレーパーを動かす間の時間)はこの実験では90秒に固定したが、1000℃の温度の反応装置の領域中でおよそ4−6分の全滞留時間(長さ15cmのセクション)に相当する。回収された粉末の全量は42gであり3つの異なる試料で回収した。図9は、これらの試料のXRDスペクトルである。試験の最後に反応装置に残っている亜塩化物(おそらくはTiCl2)は10gであった。回収されたAlCl3副生成物は深白色であり、TiCl3/TiCl2による汚染がないことを示していた。
【0155】
図9は、異なる時間に回収されたTi−Al試料のXRDスペクトルの結果を示す:(i)図9−aにおいて開始の直後、(ii)図9−bにおいて試験中の中程および(iii)図9−cにおいて試験の最後ごろ。
【0156】
これらの図は、Ti(Al)(Ti内に溶解しているAl)に対応する線の強度が、Ti3Alに対応する線に対して増加することを明らかに示しており、粉末中のTi含量が時間とともに上昇していることを示唆している。これらの結果は、図9−a、9−bおよび9−cに対応する物質に対して、それぞれ8.5%、7%および1.5%のAl含量を示す定量的EDX分析によりさらに確認される。その結果は、反応装置中を前進するチタン亜塩化物−Al混合物の流れの中で増加するチタン亜塩化物の量のため、図3の結果と一致して実験の終わり頃にAl対TiCl3の比が低下することを示唆している。これは、高温領域から反応装置の中央領域に向かって蒸発した亜塩化物が、ガス出口の方向に低温領域を通過する際に再凝縮する場合にのみ起こりうる。
【0157】
再び図1を参照すると、ステップ2の副生成物として生じた三塩化アルミニウム(8)は他の目的に使用できる。AlCl3の一部はステップ1反応を触媒するのに使用できる。そのような副生成物を電解して、アルミニウムおよび塩素を製造することができる(アルミニウムはステップ1に供給できる)。有利なことに、本発明の実施形態によると、AlCl3をチタン鉱石(ルチルまたは酸化チタン(9))と反応させ四塩化チタン(10)および酸化アルミニウム(13)を製造することにより、三塩化アルミニウムを再利用して四塩化チタンを製造することができる。このプロセスにより製造される酸化アルミニウムは販売できるが、電解してアルミニウム原材料を製造することもでき、このプロセスの供給物質に加えることができる。
【0158】
本願記載の方法は、金属ハロゲン化物または金属ハロゲン化物の混合物(塩化物、臭化物、ヨウ化物およびフッ化物)を混合して、TiCl4供給物質のために上述のプロセスを実施することにより金属および金属合金の製造に利用できる。例えば、ジルコニウムおよびジルコニウム合金を、それぞれTiおよびTi合金について上述された同じ手順を利用して製造できる。ジルコニウム系生成物では、出発物質は塩化ジルコニウムである。金属チタンは、チタン塩化物の大規模な再利用に続く上記プロセスにより製造可能である。
【0159】
さらなる実施形態において、金属亜ハロゲン化物とともに使用し金属化合物を製造できる、アルミニウム以外の還元剤には、亜鉛、マグネシウム、ナトリウムおよび他の同様な金属がある。
【0160】
本発明は、チタンについて上述したとおり、純粋な金属の化合物、バナジウムおよびジルコニウムなどの元素の酸化物、窒化物を含む種々の組成の、制御された粒径を持つ粉末の製造にも利用できる。
【0161】
当業者に明らかであろう修正および変更は、本発明の範囲内であると見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】図1は、本発明の実施形態によるチタン−アルミニウム化合物製造の段階的方法を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態によるチタン−アルミニウム化合物製造のための段階的方法の第1工程を実施するための装置の概略図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態による、製造される[Al]/[TiCl3]比の関数として、出発微細Al粉末(<15μm)を利用して製造されたTi−Al粉末中のTi濃度(重量%)を表す。収率および生成物中に確認された相も示してある。
【図4】図4は、本発明の実施形態による、チタン−アルミニウム化合物製造のための段階的方法の第1工程および第2工程の両方を実施するための装置のさらなる実施形態の概略図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態により製造された、最高3000Kの温度範囲で1気圧のアルゴン下でのTiCl3の計算された組成を表す。
【図6】図6は、本発明の実施形態により製造された、最高3000Kの温度範囲で1気圧のアルゴン下でのTiCl2の計算された組成を表す。
【図7】図7は、本発明の実施形態により製造された、[Al]/[TiCl3]=0.82の場合に最高3000Kの温度範囲で1気圧のアルゴン下でのTiCl3−Alの計算された組成を表す。
【図8】図8は、本発明の実施形態により製造された、[Al]/[TiCl3]=0.5の場合に最高3000Kの温度範囲で1気圧のアルゴン下でのTiCl3−Alの計算された組成を表す。
【図9−a】図9−aは、本発明の実施形態により製造された、127mlのTiCl4および37.2gのAlフレークから出発した、試験の開始時(8.5重量%Al)に得たXRDスペクトルを表す。
【図9−b】図9−bは、本発明の実施形態により製造された、127mlのTiCl4および37.2gのAlフレークから出発した、試験の中程近くに(7重量%Al)得たXRDスペクトルを表す。
【図9−c】図9−cは、本発明の実施形態により製造された、127mlのTiCl4および37.2gのAlフレークから出発した、試験の最後に(1.5重量%Al)得たXRDスペクトルを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
ある量の四塩化チタン(TiCl4)をある量のアルミニウムにより220℃未満の温度で還元し、第1反応領域において、チタン亜塩化物(複数可)および塩化アルミニウム(AlCl3)生成物を形成する反応を引き起こす第1工程、および
アルミニウムを必要ならさらに加えて、前記生成物を混合し、前記混合物を第2反応領域において900℃を超える温度に加熱して気相中にAlCl3を形成し、チタン−アルミニウム化合物の反応最終生成物を製造する第2工程
を含んでなるチタン−アルミニウム化合物を製造する段階的方法。
【請求項2】
前記の第1工程が200℃未満の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の第1工程が160℃未満の温度で実施される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記の第1工程が136℃未満の温度で実施される、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記の第1工程が60℃未満の温度で実施される、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記の第1工程が、塩化チタン(TiCl4)の全てを還元するために存在する過剰量のアルミニウムにより実施され、前記チタン亜塩化物(複数可)および塩化アルミニウム(AlCl3)生成物を形成する、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
第1反応領域から漏れ出るチタン亜塩化物(複数可)および/または塩化チタンが、前記反応領域とは異なる温度で凝縮する、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
凝縮したチタン亜塩化物(複数可)および/または塩化チタンを第1反応領域に戻すさらなる工程を含んでなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
凝縮した塩化チタンの一部を別に回収するさらなる工程を含んでなる、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記の第1工程で、塩化チタンとアルミニウムの間の反応の触媒として作用するある量の塩化アルミニウム(AlCl3)とアルミニウムが混合される、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
第1工程の生成物および必要な場合追加のアルミニウムが、前記第2工程における混合物の加熱の前に、得られる混合物中に未反応アルミニウムが実質的に均一に分布する程度まで混合される、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記第2工程が1000℃を超える温度で実施される、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記第2工程が、チタン−アルミニウム化合物を生み出す正反応に有利となるよう前記第2反応領域からAlCl3を除去するように構成される、上記請求項のいずれかに記載に記載の方法。
【請求項14】
前記第2反応領域からのAlCl3の除去が連続的である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
AlCl3が、前記第2反応領域の温度よりも低い温度で凝縮して第2反応領域から除かれる、請求項13または請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2反応領域から漏れ出るチタン亜塩化物(複数可)が、前記第2反応領域の温度とは異なる温度で凝縮する、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記の凝縮したチタン亜塩化物(複数可)を前記第2反応領域に戻すさらなる工程を含んでなる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2工程が、固体供給試薬(複数可)および/または固体反応最終生成物(複数可)の全体的に連続的な流れが前記第2反応領域を渡るように構成されている、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記第2工程が、固体供給試薬(複数可)および/または固体反応最終生成物(複数可)が前記第2反応領域を通って一方向に移動するように構成されている、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記第2工程が、第2反応領域内の熱伝導率を高めるため、ある量のヘリウムを含んでなる不活性気体雰囲気の流れが前記反応領域を通って流れるように構成されている、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
第1工程で触媒として使用するために、形成された塩化アルミニウムの少なくとも一部を再利用するさらなる工程を含んでなる、請求項10に従属する場合の請求項11から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
形成された塩化アルミニウムの少なくとも一部を再利用してTiCl4を製造するさらなる工程を含んでなる、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
塩化アルミニウムが使用されて酸化チタンが還元され、TiCl4が製造される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
酸化チタンの還元により酸化アルミニウムが製造され、前記酸化アルミニウムが電解されて、上記請求項のいずれかの方法に使用するアルミニウム原料が製造される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
1種または複数の元素の源を導入する工程も含んでなる、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記元素または各元素が、クロム、ニオブ、バナジウム、ジルコニウム、ケイ素、ホウ素、モリブデン、タンタルおよび炭素を含んでなる群から選択され、前記方法の生成物が、これら元素の1種または複数を含むチタン−アルミニウム化合物を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記元素または各元素の源が、前記第1反応領域での反応の前またはその間に塩化チタンおよびアルミニウムに加えられる、請求項25または請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記元素(複数可)の源が、金属ハロゲン化物、亜ハロゲン化物、純粋な元素または前記元素を含む他の化合物でよい、請求項25から請求項27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記生成物が、金属間化合物、チタン−(選択された元素)−合金および中間体化合物の1種または複数も含む、請求項25から請求項28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記源がバナジウム亜塩化物を含み、前記方法の生成物が、チタン、アルミニウムおよびバナジウムを含む合金または金属間錯体である、請求項25から請求項29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記源を適当な比率で加え、前記方法を実施してTi−6Al−4Vを製造する工程を含んでなる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記源がジルコニウム亜塩化物を含み、前記方法の生成物が、チタン、アルミニウム、ジルコニウムおよびバナジウムを含む合金または金属間錯体である。請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記源がハロゲン化ニオブおよびハロゲン化クロムを含み、前記方法の生成物が、チタン、アルミニウム、ニオブおよびクロムを含む合金または金属間錯体である、請求項25から29のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記源を適当な比率で加え、前記方法を実施してTi−48Al−2Nb−2Crを製造する工程を含んでなる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
およその上位粒径が約50μm未満の粉末の形態で前記アルミニウムが加えられる、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記アルミニウムが、およその上位粒径が約50μmを超える粉末の形態であり、前記方法が、アルミニウム粉末を粉砕してアルミニウム粉末の粒径を少なくとも1次元で低減する工程を含んでなる、請求項1から34のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記アルミニウム粉末がAlCl3の存在下で粉砕される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記アルミニウムおよび塩化チタンが前記第1工程の一部としてともに粉砕される、請求項36または請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記アルミニウムが、約50μm未満の1次元の厚さを有するフレークの形態である、請求項1から34のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記方法が不活性ガス雰囲気中または真空中で実施される、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
ある量の塩化チタンをある量のアルミニウムで還元しチタン亜塩化物(複数可)および塩化アルミニウム生成物を形成する第1工程が、少なくとも部分的に粉砕機中で実施される、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記方法のための出発物質がアルミニウム粉末および塩化チタンを含む、請求項1から41のいずれかに記載のチタン−アルミニウム金属間化合物およびチタン−アルミニウム金属間化合物に基づく合金の粉末の製造方法。
【請求項43】
以下の工程:
金属亜ハロゲン化物(複数可)およびアルミニウムを反応領域において、金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物がアルミニウムと反応するに十分な温度に加熱し、金属化合物およびハロゲン化アルミニウムを形成する工程、
前記反応領域から漏れ出る金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物を、前記反応領域の温度と、やはり反応領域から漏れ出るハロゲン化アルミニウムが凝縮する温度の間の温度で運転している凝縮領域において凝縮させる工程、および
前記の凝縮した金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物のみを前記凝縮領域から前記反応領域に戻す工程
を含んでなる金属化合物を製造する方法。
【請求項44】
前記反応領域が900℃を超える温度で運転する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記凝縮領域が250℃と900℃の間の温度で運転する、請求項43または請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記反応領域から漏れ出るハロゲン化アルミニウムを、凝縮領域の温度より低い温度で別に凝縮させる工程もさらに含んでなる、請求項43から45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
ハロゲン化アルミニウムがおよそ50℃の温度で凝縮する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記反応領域が、請求項1から42のいずれかの第2反応領域である、請求項43から47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
アルミニウムを金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物と反応させ金属化合物を製造するための使用に構成された反応装置であって、
金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物をアルミニウムと反応させ金属化合物およびハロゲン化アルミニウムを形成するに十分な温度に加熱するために使用するようになっている反応領域、および
前記反応領域から漏れ出る金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物が凝縮領域で凝縮できるよう、前記反応領域の温度より低い温度で運転するように構成されている凝縮領域を含んでなり、
前記凝縮領域が、前記の凝縮した金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物のみを前記反応領域に戻すようになっている反応装置。
【請求項50】
前記凝縮領域が、前記反応領域と流体連通するように構成された凝縮容器を含んでなる、請求項49に記載の反応装置。
【請求項51】
前記凝縮容器が、粒状金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物の凝縮および堆積のための複数の内部バッフルを含んでなる、請求項50に記載の反応装置。
【請求項52】
前記凝縮容器が、凝縮した金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物を除去し前記反応領域へ戻すための内部掻き取り装置を含んでなる、請求項50または請求項51に記載の反応装置。
【請求項53】
前記凝縮領域が、ハロゲン化アルミニウム回収容器と流体連通するようにも構成されている、請求項49から51のいずれかに記載の反応装置。
【請求項54】
前記ハロゲン化アルミニウム回収容器が、ハロゲン化アルミニウムが前記凝縮領域から流れ、前記凝縮領域を経て前記反応領域へ戻らないように回収容器中に別に凝縮されるように構成されている、請求項53に記載の反応装置。
【請求項55】
以下の工程:
金属亜ハロゲン化物(複数可)およびアルミニウムの供給試薬を、反応領域において、ハロゲン化アルミニウムおよび金属化合物の反応生成物を製造するに十分な温度に加熱する工程、および
固体供給試薬および/または固体反応生成物を反応装置内で一方向に前記反応領域を通って移動させる工程
を含んでなる金属化合物を製造する方法。
【請求項56】
前記の供給試薬および/または反応生成物を反応装置内で移動させる工程が全体的に連続的である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
以下の工程:
金属亜ハロゲン化物(複数可)およびアルミニウムの供給試薬を、反応領域において、ハロゲン化アルミニウムおよび金属化合物の反応生成物を製造するに十分な温度に加熱する工程、および
固体供給試薬および/または固体反応生成物の全体的に連続的な流れを移動させ、前記反応領域を渡らせる工程
を含んでなる金属化合物を製造する方法。
【請求項58】
前記の反応領域を通る固体供給試薬および/または固体反応生成物の流れが一方向である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記の固体供給試薬および/または固体反応生成物を反応装置内で移動させる工程が、反応装置内の低温領域からその高温領域に向かってである、請求項55から58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記の固体供給試薬および/または固体反応生成物を反応装置内で移動させる工程が、反応生成物の1つまたは複数の性質をモニターする制御システムにより自動制御される、請求項55から請求項59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記反応領域が、請求項1から42のいずれかの第2反応領域である、請求項55から60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
アルミニウムおよび金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物の供給試薬を反応させハロゲン化アルミニウムおよび金属化合物の反応生成物を製造するに十分な温度に加熱されるようになっている反応領域を有する反応装置であって、移動装置が、前記固体供給試薬および/または固体反応生成物を反応装置内で一方向に反応領域を通って移動させるように構成されている反応装置。
【請求項63】
アルミニウムおよび金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物の供給試薬を反応させハロゲン化アルミニウムおよび金属化合物の反応生成物を製造するに十分な温度に加熱されるようになっている反応領域を有する反応装置であって、移動装置が、固体供給試薬および/または固体反応生成物の流れを全体的に連続的な流れで反応装置内を移動させ、反応領域を渡らせるように構成されている反応装置。
【請求項64】
前記移動装置が、供給試薬入口から反応生成物出口に固体供給試薬を運搬するように構成されている、請求項62または請求項63に記載の反応装置。
【請求項65】
前記移動装置が、反応装置内で反応領域を通る移動の間に固体供給試薬を混合するように構成されている、請求項62から請求項64のいずれかに記載の反応装置。
【請求項66】
前記移動装置が、シャフトに沿って一定間隔に配置された複数の掻き取り突起を有するレーキを含んでなり、前記レーキが、反応装置の床に沿って個別な量の固体供給試薬および/または固体反応生成物を掻き取るように往復して操作可能である、請求項62から請求項65のいずれかに記載の反応装置。
【請求項67】
前記レーキが、ある方向に引っ張られ個別な量の固体供給試薬および/または固体反応生成物を反応装置の床に沿って短い距離移動させ、次いで前記固体供給試薬および/または固体反応生成物に接触せずに前記の方向と反対の方向に動くよう方向付けられるように構成されている、請求項66に記載の反応装置。
【請求項68】
前記移動装置が、コンベヤベルト、オーガー(またはスクリューフィーダー)およびロータリーキルンの1つを含んでなる、請求項62から請求項65に記載の反応装置。
【請求項69】
以下の工程:
金属亜ハロゲン化物(複数可)およびアルミニウムの供給試薬を、反応領域において、ハロゲン化アルミニウムおよび金属化合物の反応生成物を製造するに十分な温度に加熱する工程、および
ある量のヘリウムを含んでなる不活性ガスの流れを、前記反応領域内の熱伝導率が増加するほど十分に前記反応領域に通す工程
を含んでなる金属化合物を製造する方法。
【請求項70】
前記の不活性ガスの流れが一方向に前記反応領域に通る、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記不活性ガスの流れが、前記一方向の流れと一緒に気体状反応生成物を運搬するように構成されている、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記の固体供給試薬および/または固体反応生成物が反応装置内で一方向に前記反応領域を通って移動するように構成されている場合、前記の固体供給試薬および/または固体反応生成物の移動の方向に気体種が拡散しないよう、前記の不活性ガスの一方向の流れが反対の方向である、請求項70または請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記反応領域が請求項1から42のいずれかの第2反応領域である、請求項69から72のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
アルミニウムおよび金属ハロゲン化物または亜ハロゲン化物の供給試薬を反応させハロゲン化アルミニウムおよび金属化合物の反応生成物を製造するに十分な温度に加熱されるようになっている反応領域を有する反応装置であって、前記反応装置が、ガスの一方向の流れを反応領域に通すようになっている反応装置。
【請求項75】
前記固体供給試薬および/または固体反応生成物が反応装置内で一方向に前記反応領域を通って移動するように構成されており、前記不活性ガスの一方向の流れが反対の方向に構成されている、請求項74に記載の反応装置。
【請求項76】
固体反応生成物出口に隣接して位置するガス入口をさらに含んでなる、請求項74または請求項75に記載の反応装置。
【請求項77】
固体供給試薬入口に隣接して位置するガス出口をさらに含んでなる、請求項74から請求項76のいずれかに記載の反応装置。
【請求項78】
以下の工程:
TiCl4とアルミニウムの混合物を、220℃未満の温度で加熱し、生成物TiCl3およびAlCl3を形成する第1工程、および
前記生成物を、必要な場合さらなるアルミニウムを加えて混合し、前記混合物を900℃より高い反応領域温度に加熱してAlCl3を前記反応領域から蒸発させ、チタン−アルミニウム化合物を形成する第2工程
を含んでなるチタン−アルミニウム化合物を製造する段階的方法。
【請求項79】
別様に請求項2から42のいずれかに記載された、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
以下の工程:
ある量の金属ハロゲン化物を還元する還元剤を加え、220℃未満の温度で金属亜ハロゲン化物(複数可)を形成する第1工程、および
前記金属亜ハロゲン化物(複数可)をアルミニウムと混合し、前記混合物を反応領域において900℃より高い温度に加熱して、気相中にハロゲン化アルミニウムを形成し、あるパーセンテージのアルミニウムを含む金属化合物を含んでなる最終生成物を前記反応領域に製造する第2工程
を含んでなる金属−アルミニウム化合物を製造する段階的方法。
【請求項81】
前記還元剤が、亜鉛、マグネシウム、ナトリウム、アルミニウムまたは他の同様な金属を含んでなる群から選択される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
別様に請求項2から42のいずれかに記載された、請求項80または請求項81に記載の方法。
【請求項83】
以下の工程:
ある量のアルミニウムをある量の塩化アルミニウム(AlCl3)と混合し、混合物を形成する工程、
次いで、ある量の塩化チタン(TiCl4)を前記混合物に加え、220℃未満の温度に混合物を加熱し、TiCl3、アルミニウムおよびAlCl3の生成物を形成する第1工程、および
次いで、必要な場合さらなるアルミニウムを加え、前記混合物を再度加熱し、チタン−アルミニウム化合物を形成する第2工程
を含んでなるチタン−アルミニウム化合物を製造する段階的方法。
【請求項84】
前記の第1加熱工程が200℃未満の温度で実施される、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記の第1加熱工程が160℃未満の温度で実施される、請求項83または請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記の第1加熱工程が136℃未満の温度で実施される、請求項83から85のいずれかに記載の方法。
【請求項87】
前記の第1加熱工程が110℃未満の温度で実施される、請求項83から請求項86のいずれかに記載の方法。
【請求項88】
前記の第1加熱工程が60℃未満の温度で実施される、請求項83から請求項87のいずれかに記載の方法。
【請求項89】
混合物形成の際に利用するアルミニウム対塩化アルミニウム(AlCl3)の質量比が2:1と1:2の間である、請求項83から請求項88のいずれかに記載の方法。
【請求項90】
前記第1工程が大気圧の不活性ガスの存在下で実施される、請求項83から請求項89のいずれかに記載の方法。
【請求項91】
前記のそれぞれの加熱工程が、請求項1から42のいずれかに定義された第1反応領域および第2反応領域である、請求項83から90のいずれかに記載の方法。
【請求項92】
チタン化合物、他の金属化合物または生成物の少なくとも1つを製造するための装置であって、前記の方法請求項のいずれかに記載された方法とともに利用される装置。
【請求項93】
上記請求項のいずれかに記載された装置または方法により製造されるチタン化合物、金属化合物または生成物。
【請求項94】
前記方法の生成物に試薬を加えて、さらなる生成物を製造するさらなる工程を含んでなる、上記方法請求項のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−a】
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【図9−b】
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【図9−c】
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【公表番号】特表2009−531537(P2009−531537A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501778(P2009−501778)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000385
【国際公開番号】WO2007/109847
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(305039998)コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼイション (92)
【Fターム(参考)】