説明

金属性の第一の触媒および硫化された第二の触媒を用いる再生可能な源に由来する仕込原料の二工程水素化処理

本発明は、再生可能な源からの仕込原料のための二工程水素化処理方法であって、a)第一のいわゆる穏やかな予備水素化工程であって、第VIII族からの少なくとも1種の金属および/または第VIB族からの少なくとも1種の金属を含む少なくとも1種の水素化脱水素化活性相と無定形鉱物担体とを含む金属性の第一の触媒の存在下に行われる、工程と、b)第二のいわゆる処理工程であって、第VIII族の少なくとも1種の非貴金属および/または第VIB族の少なくとも1種の金属を含む少なくとも1種の水素化脱水素化活性相と無定形鉱物担体とを含む硫化された第二の触媒の存在下に行われる、工程とを包含する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
石油生成物の不足およびコスト増加により、代用品についての研究が促進されている。このような状況において、バイオマスからの生成物は選択の地位を占めている。現在、バイオマスの使用は、主として2つの経路に沿って向かわせられている:植物油をメチルエステルに変換した後に軽油プールに組み込むバイオエステル経路および糖およびデンプンをエタノールまたはETBE(ethyl tertio-butyl ether)に変換した後にガソリンプールに組み込むエタノール経路。現在、このようなバイオ生成物の製造費用は化石燃料と比較して依然として高く、それらは、大幅な財政上の構想が提供されるならばそれで初めて経済的に興味深い。
【0002】
さらに、専門家によると、栽培できる土地の利用性は、現在の燃料消費の10%超が生じさせられることを可能にしないだろう。
【背景技術】
【0003】
対照的に、食品産業、石油化学産業等の種々の産業において用いられ得る高純度のノルマルパラフィンの製造は、燃料のために必要とされるトン数よりはるかに低いトン数を必要とする。さらに、そのような生成物の製造は、燃料の方に向けられたものより収益性が高いことが判明し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故に、本明細書において記載された発明は、6〜25個の範囲、好ましくは10〜24個の範囲の多数の炭素原子を有する高純度のノルマルパラフィンを、好ましくは軽油(gas oil)または灯油(kerosene)の製造を目的として製造する状況に入ってくる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの態様において、本発明は、再生可能な源に由来する仕込原料を二工程水素化処理する方法であって、
a)穏やかな予備水素化工程と称される第一工程であって、第VIII族からの少なくとも1種の金属および/または第VIB族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相と1種の無定形鉱物担体とを含む金属性の第一の触媒の存在下に操作し、50〜300℃の範囲の温度、0.1〜10MPaの範囲の水素分圧、0.1〜10h−1の範囲の触媒上毎時空間速度で操作する、工程と、
b)第二処理工程と称される第二工程であって、第VIII族からの少なくとも1種の非貴金属および/または第VIB族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相と1種の無定形鉱物担体とを含む硫化された第二の触媒の存在下に操作し、200〜450℃の温度、1〜10MPaの範囲の圧力、0.1〜10h−1の範囲の触媒上毎時空間速度で操作し、仕込原料と混合された水素の全量は、水素対仕込原料の比が仕込原料の体積(m)当たり水素50〜1000Nmの範囲になるようにされる、工程と
を包含する方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の1つの利点は、本発明は、金属性の第一の触媒であって、水素化において選択的により活性であり、この工程の間により低い温度での操作を可能にする、金属性の第一の触媒と、これに続く、水素化の収率を最大にし得る硫化された第二の触媒とによって構成された連結を提供し得ることである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(発明の説明)
再生可能な源に由来する仕込原料の水素化処理のための二工程方法であって、
a)穏やかな予備水素化工程と称される第一工程であって、第VIII族からの少なくとも1種の金属および/または第VIB族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相と1種の無定形鉱物担体とを含む金属性の第一の触媒の存在下に操作し、50〜300℃の範囲の温度、0.1〜10MPaの範囲の水素分圧、および0.1〜10h−1の範囲の触媒上毎時空間速度で操作する、工程と、
b)第二処理工程と称される第二工程であって、第VIII族からの少なくとも1種の非貴金属および/または第VIB族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相と1種の無定形鉱物担体とを含む硫化された第二の触媒の存在下に操作し、200〜450℃の範囲の温度、1〜10MPaの範囲の圧力、0.1〜10h−1の範囲の触媒上毎時空間速度で操作し、仕込原料と混合される水素の全量は、水素対仕込原料の比が仕込原料の体積(m)当たり水素50〜1000Nmの範囲になるようにされる、工程と
を包含する、方法が今や発見された。
【0008】
本発明の方法の工程a)によると、金属性の第一の触媒は、第VIII族からの少なくとも1種の金属および/または第VIB族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相を含み、第VIII族からの金属は、好ましくは、ニッケルおよびコバルト、パラジウムおよび白金から選択され、より好ましくは、第VIII族からの金属はニッケルであり、第VIB族からの金属は、好ましくは、モリブデンおよびタングステンから選択され、より好ましくは、第VIB族からの金属はモリブデンである。
【0009】
有利には、以下の金属の組合せが用いられる:ニッケル−モリブデンおよびコバルト−モリブデン。
【0010】
本発明の方法の工程a)の非常に好ましい実施形態によると、第一工程である前記の穏やかな予備水素化工程において利用される前記金属性の第一の触媒は、無定形鉱物担体と、第VIII族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相とを含み、第VIII族からの金属はニッケルである。
【0011】
第VIII族からの金属(貴金属または非貴金属)の量は、触媒の全質量に対して有利には0.5〜20重量%の範囲、好ましくは5〜10重量%の範囲である。第VIB族からの金属の量は、触媒の全質量に対して有利には0.5〜20重量%の範囲、好ましくは7〜17重量%の範囲である。
【0012】
本発明の方法の工程a)の好ましい実施形態によると、第一工程である前記穏やかな予備水素化工程において用いられる前記金属性の第一の触媒は、アルミナ、シリカおよびシリカ−アルミナから選択される無定形鉱物担体を含む。
【0013】
本発明の方法によると、穏やかな予備水素化工程と称される第一工程は、金属性の第一の触媒であって、第VIII族からの少なくとも1種の金属および/または第VIB族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相と無定形鉱物担体とを含むものの存在下に行われ、その後に、第二処理工程と称される第二工程が行われ、これは、硫化された第二の触媒であって、第VIII族からの少なくとも1種の非貴金属および/または第VIB族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相と無定形鉱物担体とを含むものの存在下に行われる。
【0014】
本発明の方法の工程b)の好ましい実施形態によると、前記硫化された第二の触媒は、第VIII族からの少なくとも1種の非貴金属および/または第VIB族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相を含み、第VIII族からの該非貴金属は、好ましくは、ニッケルおよびコバルトから選択され、好ましくは、第VIII族からの非貴金属はニッケルであり、第VIB族からの金属は、好ましくは、モリブデンおよびタングステンから選択され、好ましくは、第VIB族からの金属はモリブデンである。
【0015】
本発明の方法の工程b)の非常に好ましい実施形態によると、第二処理工程と称される第二工程において用いられる前記硫化された第二の触媒は、無定形鉱物担体と、第VIII族からの少なくとも1種の非貴金属(第VIII族からの該非貴金属はニッケルである)および第VIB族からの少なくとも1種の金属(第VIB族からの金属はモリブデンである)によって構成された活性な水素化脱水素化相とを含む。
【0016】
前記硫化された第二の触媒中の第VIB族および第VIII族からの金属の酸化物の全量は、触媒の全質量に対して有利には5〜40重量%の範囲、好ましくは7〜30重量%の範囲である。
【0017】
前記硫化された第二の触媒中の第VIII族からの金属(単数種または複数種)に対する第VIB族からの金属(単数種または複数種)の金属酸化物として表される重量比は、有利には20〜1の範囲、好ましくは10〜2の範囲である。
【0018】
本発明の方法の工程b)において利用される好ましい硫化された第二の触媒は、有利には0.5〜10重量%の範囲、好ましくは1〜5重量%の範囲の含有量の酸化ニッケル(NiO)および1〜30重量%の範囲、好ましくは5〜25重量%の範囲の含有量の酸化モリブデン(MoO)を無定形鉱物担体上に含んでいる(百分率は、触媒の全質量に対する重量%として表されている)。
【0019】
本発明の方法の工程b)の好ましい実施形態によると、前記硫化された第二の触媒は、リン、ケイ素、フッ素およびホウ素から選択される少なくとも1種のドープ元素を含み、前記元素の酸化物の重量によるドープ元素の量は、触媒の全質量に対して20%未満、好ましくは10%未満である。
【0020】
このドープ元素は、有利にはマトリクスに導入されるか、または、好ましくは、担体上に担持させられ得る。ケイ素を、単独またはリンおよび/またはホウ素および/またはフッ素と共に担体上に担持させることも可能である。
【0021】
本発明の方法の工程b)の好ましい実施形態によると、前記硫化された第二の触媒は、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、マグネシアおよび粘土によって形成された群から選択され、単独でまたは混合物として用いられる無定形鉱物担体を含む。前記担体は、有利には他の化合物も含み得、例えば、酸化ホウ素、ジルコニア、酸化チタン、無水リン酸によって形成された群から選択され、単独でまたは混合物として用いられる酸化物である。
【0022】
非常に好ましくは、アルミナ担体が用いられ、一層より好ましくはη、δまたはγアルミナ担体である。
【0023】
本発明の方法の工程b)によると、前記第二の触媒は、硫化触媒である:それ故に、それを、反応温度で水素存在下に脱硫化を防ぐのに十分である分圧のHSと接触して維持することが望ましい。この目的のために、および従来の方法において、硫化水素または第二工程の条件下にHSに分解する少なくとも1種の硫黄含有化合物が仕込原料または直接的に反応器に加えられる。
【0024】
挙げられ得る硫黄含有化合物の例は、溶解したおよび/または部分的に懸濁状である、ジメチルジスルフィド(DMDS)、二硫化炭素(CS)、有機ポリスルフィド、チオール、スルフィド、ジスルフィド、酸素含有硫黄化合物および単体硫黄(elemental sulphur)である。
【0025】
本発明の方法の好ましい実施形態によると、穏やかな予備水素化工程と称される第一工程は、金属性の第一の触媒であって、アルミナ担体と、第VIII族からの少なくとも1種の金属(第VIII族からの金属はニッケルである)によって構成された活性な水素化脱水素化相とを含むものの存在下に操作され、第二処理工程と称される第二工程は、硫化された第二の触媒であって、アルミナ担体と、第VIII族からの少なくとも1種の非貴金属および第VIB族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相とを含むものの存在下に操作され、第VIIIからの非貴金属はニッケルであり、第VIB族からの金属はモリブデンである。
【0026】
本発明の水素化処理法において用いられる再生可能な源に由来する仕込原料は、有利には、トリグリセリドおよび/または脂肪酸および/またはエステルを含有している、動物または植物起源の油および脂肪またはそのような仕込原料の混合物によって構成される。含まれ得る可能な植物油は、以下の植物に由来する未精製のまたは完全にまたは部分的に精製された油である:アブラナ、ヒマワリ、ダイズ、ヤシ、ヤシ実、オリーブ、ココナッツ;このリストは制限的でない。挙げられ得る可能な脂肪は、あらゆる動物脂肪、例えば、ラード、食品産業からの残りからなるまたはレストラン産業に由来する脂肪である。
【0027】
本明細書により規定される仕込原料は、トリグリセリド構造および/または脂肪酸およびそれらのエステルを含有し、脂肪鎖は、6〜25個の範囲の炭素原子を含む。
【0028】
これらの仕込原料は、ほとんどまたは完全に硫黄含有および窒素含有化合物を含まず、芳香族炭化水素を含まない。
【0029】
有利には、本発明の二工程水素化処理方法の前に、仕込原料は、適切な処理によって、金属、アルカリ化合物、アルカル土類およびリン等の汚染物質を除去するために、例えば、イオン交換樹脂上の予備処理または予備精製の工程を経得る。
【0030】
適切な処理の例は、当業者に周知である加熱処理および/または化学処理である。
【0031】
本発明の水素化処理方法の好ましい実施形態によると、前記方法の第一工程である穏やかな予備水素化工程は、前記仕込原料の脂肪酸の炭化水素鎖中に含まれる二重結合の少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、一層より好ましくは少なくとも99%の穏やかな予備水素化からなり、その後に、第二処理工程が行われ、この第二処理工程は、前記仕込原料の脂肪酸の炭化水素鎖中に含まれるエステル官能基の少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、一層より好ましくは少なくとも99%の水素化からなる。
【0032】
炭化水素鎖の二重結合は、複数の分析法を用いて分析され得る:
・ヨウ素価の測定:これは、炭化水素鎖の不飽和結合に結合することができるヨウ素(I)の量を測定することからなる;この測定された値は、それ故に、100gの生成物に結合したIの重量(mg)で表される;脂肪酸に適用されると、ヨウ素価は、例えば、オレイン酸について90、リノール酸について181およびリノレン酸について274である。ヨウ素価は、植物油のメチルエステル(methyl ester of vegetable oils:MEVO)について、標準方法EN 14111を用いて測定される。挙げられ得る他の標準法はASTM D 1959およびASTM D 5554法である。
臭素指数(bromine index)または臭素価(bromine number):これは、電位差測定を用いて測定される。臭素指数は、標準ASTM D 2710を用いて1000mg/100g未満の生成物の含有量に適用可能である。臭素価は、標準ASTM D 1159を用いて、1g/100g超の生成物の含有量についての電位差測定によって分析することに関連する。
【0033】
エステル官能基の存在は、赤外分光法を用いて実証される。この方法の原理は、エステル官能基に特有の赤外線バンドの存在にある。それ故に、エステル官能基の水素化は、赤外において検出される特有バンドの消失をもたらす。
【0034】
穏やかな予備水素化からなる前記仕込原料の処理のための第一工程は、仕込原料の脂肪酸の炭化水素鎖中に含まれる二重結合を飽和させて、二重結合の二次的反応、例えば、コークスまたはガム状物の形成につながる重合化反応を防ぐことを目的とする。この第一の予備水素化工程は、有利には、上記の金属性の第一の触媒の存在下に、50〜300℃の範囲、好ましくは50〜200℃の範囲、より好ましくは100〜200℃の範囲の温度、および0.1〜10MPaの範囲の水素分圧で操作される。触媒上の毎時空間速度は、0.1〜10h−1の範囲である。
【0035】
この穏やかな予備水素下工程の間に消費される水素の量は仕込原料に対して水素0.5〜1重量%の範囲である。
【0036】
この第一の穏やかな予備水素化工程からの流出物は、次いで、前記仕込原料の処理のための第二工程において、上記の硫化された第二の触媒と接触させられ、前記第二処理工程は、200〜450℃の範囲、好ましくは220〜350℃の範囲の温度で操作される。圧力は1〜10MPaの範囲、好ましくは2〜6MPaの範囲である。触媒上の毎時空間速度は0.1〜10h−1の範囲である。仕込原料は、水素の存在下に触媒と接触させられる。仕込原料と混合される水素の全量は、仕込原料に対する水素の比が仕込原料の体積(m)当たり水素50〜1000Nmの範囲、好ましくは仕込原料の体積(m)当たり水素100〜500Nmの範囲になるようにされる。この第二工程の間の水素消費は、典型的には最初の仕込原料に対して2〜3重量%の範囲である。
【0037】
仕込原料の処理のための前記第二工程は、穏やかな予備水素化のための前記第一工程の操作条件より厳しい操作条件下に行われるものであり、仕込原料の脂肪酸の炭化水素鎖中に含まれるエステル官能基の有利には少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、一層より好ましくは少なくとも99%の水素化を達成する。
【0038】
エステル官能基の存在は、上記の赤外分光法を用いて実証される。
【0039】
本発明の二工程水素化処理法からの水素化処理された流出物の少なくとも一部、好ましくは全部は、次いで、1回以上の分離工程を経る。
【0040】
この工程の目的は、液体からガスを分離すること、特に、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)およびプロパン等のガスも含み得る水素リッチなガスおよび少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、一層より好ましくは少なくとも98重量%の直鎖n−パラフィンによって構成されかつ6〜25個の範囲の多数の炭素原子を有する少なくとも1種の液体炭化水素流出物を回収することである。
【0041】
パラフィン(ノルマルパラフィンおよびイソパラフィン)の量の測定は、クロマトグラフィー法を用いて行われる。それは、質量分析器と結び付けられる。この方法はまた、パラフィン、ナフテンおよび芳香族化合物の量への接近方法を提供する(PONA分析)。
【0042】
本発明の方法の再生可能な源に由来する仕込原料の水素化処理のための二工程方法の間に生じた水の一部は、液体炭化水素流出物中に含まれ、その少なくとも一部、好ましくは全部は、有利には、炭化水素液体流出物から分離される。それ故に、分離の後に、水を除去する工程が行われ得る。
【0043】
分離される水素ガス(H)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)およびプロパンの混合物は、次いで、有利には、一酸化炭素(CO)および二酸化炭素(CO)を除去しプロパンから水素を分離するために当業者に知られている処理を経得、このプロパンは、有利には、水蒸気分解液化ガス専用の水蒸気分解炉に送られ得る。
【0044】
(実施例1)
工程a)再生可能な源に由来する仕込原料の二工程水素化処理
(1)第一の穏やかな予備水素化工程)
アルミナ上のニッケルをベースとし15重量%(ニッケルとして計算される)のニッケルを含有し、予備還元された穏やかな予備水素化触媒40gの固定床が、等温操作を提供するように調節された反応器によって構成された第一段に装填された。100g/hの予備精製された、下記に与えられる組成を有するアブラナ油がこの固定床上に送られた。
【0045】
【表1】

【0046】
仕込原料の体積(リットル)当たり100:1のNTP(NTP=normal temperature and pressuer:標準的な温度および圧力)の水素が、150℃および4MPaの圧力で導入された。過剰な水素を分離除去した後、グリセリドの混合物が非常にわずかに100%を超える収率で得られた。予備水素化された流出物は、出発仕込原料と同一の鎖を含んでいたが、二重結合はほぼ完全に水素化されていた。結果としてもたらされた水素の消費は、仕込原料に対して0.9重量%程度のものであった。
【0047】
(2)第二の仕込原料処理工程)
この第一工程からの予備水素化された混合物は、直接的かつその全体において、等温条件下に機能しかつ第二仕込原料処理工程のための触媒89gにより装填された固定床を有する第二反応器に送られた。前記触媒は、水素化脱水素化相を含み、該水素化脱水素化相は、ニッケルおよびモリブデンによって構成され、アルミナ担体上に4.3重量%の酸化ニッケル含有量および21.5重量%の酸化モリブデン含有量を有し、該触媒は硫化されていた。仕込原料の体積(リットル)当たり150:1のNTPのHがこの反応器に導入され、4MPaの圧力で300℃に維持された。
【0048】
(工程b):工程a)からの流出物の分離)
本発明の方法の工程a)からの水素化処理された流出物の全体は、水素リッチなガスおよびパラフィン液体炭化水素流出物を回収するために分離された。パラフィン液体炭化水素流出物は、生じた水から分離された。得られた収率は、下記表に示されている。
【0049】
【表2】

【0050】
こうして得られたパラフィン性の炭化水素液体流出物は、質量分析器と結び付けられたガスクロマトグラフィーを用いて分析された:それは、6〜25個の多数の炭素原子を有するn−パラフィン98重量%およびC17−C21イソパラフィン2%によって構成されていた。95%超のn−パラフィンはC16−C22であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能な源に由来する仕込原料の二工程水素化処理方法であって、
a)穏やかな予備水素化工程と称される第一工程であって、第VIII族からの少なくとも1種の金属および/または第VIB族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相と無定形鉱物担体とを含む金属性の第一の触媒の存在下に操作し、50〜300℃の範囲の温度、0.1〜10MPaの範囲の水素分圧および0.1〜10h−1の範囲の触媒上毎時空間速度で操作する、工程と、
b)第二処理工程と称される第二工程であって、第VIII族からの少なくとも1種の非貴金属および/または第VIB族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相と無定形鉱物担体とを含む硫化された第二の触媒の存在下に操作し、200〜450℃の範囲の温度、1〜10MPaの範囲の圧力、0.1〜10h−1の範囲の触媒上毎時空間速度で操作し、仕込原料と混合される水素の全量は、水素対仕込原料比が仕込原料の体積(m)当たり水素50〜1000Nmの範囲になるようにされる、工程と
を包含する、方法。
【請求項2】
前記金属性の第一の触媒は、第VIII族からの少なくとも1種の金属および/または第VIB族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相を含み、第VIII族からの金属は、ニッケルおよびコバルト、パラジウムおよび白金から選択され、第VIB族からの金属は、モリブデンおよびタングステンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属性の第一の触媒は、第VIII族からの少なくとも1種の金属および/または第VIB族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相を含み、第VIII族からの金属はニッケルであり、第VIB族からの金属はモリブデンである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属性の第一の触媒は、無定形鉱物担体と、第VIII族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相とを含み、第VIII族からの金属はニッケルである、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
第VIII族からの金属の量は、触媒の全質量に対して0.5〜20重量%の範囲であり、第VIB族からの金属の量は触媒の全質量に対して0.5〜20重量%の範囲である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記金属性の第一の触媒は、アルミナ、シリカおよびシリカ−アルミナから選択される無定形鉱物担体を含む、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記硫化された第二の触媒は、第VIII族からの少なくとも1種の非貴金属および/または第VIB族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相を含み、第VIII族からの非貴金属は、ニッケルおよびコバルトから選択され、第VIB族からの金属はモリブデンおよびタングステンから選択される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
第VIII族からの非貴金属はニッケルであり、第VIB族からの金属はモリブデンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記硫化された第二の触媒は、無定形鉱物担体と、第VIII族からの少なくとも1種の非貴金属および第VIB族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相とを含み、第VIII族からの非貴金属はニッケルであり、第VIB族からの金属は、モリブデンである、請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記硫化された第二の触媒中の第VIB族および第VIII族からの金属の酸化物の全量は、触媒の全質量に対して5〜40重量%の範囲である、請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記硫化された第二の触媒は、触媒の全質量に対して0.5〜10重量%の範囲の量の酸化ニッケル(NiO)および触媒の全質量に対して1〜30重量%の範囲の量の酸化モリブデン(MoO)を無定形鉱物担体上に含む、請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記硫化された第二の触媒は、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、マグネシアおよび粘土によって形成された群から選択される無定形鉱物担体を単独でまたは混合物として含む、請求項7〜11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記担体はアルミナ担体である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第一工程は、アルミナ担体と、第VIII族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相とを含む金属性の第一の触媒の存在下に操作され、第VIII族からの金属はニッケルであり、第二工程は、アルミナ担体と、第VIII族からの少なくとも1種の非貴金属および第VIB族からの少なくとも1種の金属によって構成された活性な水素化脱水素化相とを含む硫化された第二の触媒の存在下に操作され、第VIII族からの非貴金属はニッケルであり、第VIB族からの金属はモリブデンである、請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
再生可能な源に由来する仕込原料は、トリグリセリドおよび/または脂肪酸および/またはエステルを含有する、動物または植物起源の油および脂肪またはそのような仕込原料の混合物であり、前記植物油は、場合によっては、未精製または完全にまたは部分的に精製され、前記仕込原料は、トリグリセリド構造および/または脂肪酸構造およびそのエステルを含有し、脂肪鎖は、6〜25個の範囲の炭素原子を含む、請求項1〜14のいずれか1つに記載の水素化処理方法。

【公表番号】特表2010−529981(P2010−529981A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511676(P2010−511676)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000754
【国際公開番号】WO2009/004180
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(591007826)イエフペ (261)
【Fターム(参考)】