金属板の製造方法
【課題】ウェットエッチングで突起を備えた金属板を成形する場合に、設計値にほぼ等しい製品形状を得ることができる金属板の製造方法、金属電極の製造方法、金属電極、帯電部材、除電部材、画像形成装置を得る。
【解決手段】金属電極の突起122における先端部122Aのレジストオフセット量は、先端部122Aの曲率半径に基づき、直線部122Bのレジストオフセット量より大きくされている。このため、先端部122Aの製品形状が設計値に近づく。つまり、ウェットエッチングで突起を成形する場合に、突起122の製品形状を設計値に近づけることができる。
【解決手段】金属電極の突起122における先端部122Aのレジストオフセット量は、先端部122Aの曲率半径に基づき、直線部122Bのレジストオフセット量より大きくされている。このため、先端部122Aの製品形状が設計値に近づく。つまり、ウェットエッチングで突起を成形する場合に、突起122の製品形状を設計値に近づけることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板の製造方法、金属板、金属電極、帯電部材、除電部材及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、のこ歯状の電極を備えた帯電部材が記載されている。つまり、この電極は、板状の金属板から成形され、のこ歯状の突起を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−137202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、ウェットエッチングで突起を備えた金属板を成形する場合に、設計値にほぼ等しい製品形状を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る金属板の製造方法は、先端部が円弧状の突起をウェットエッチングにより金属板に成形させるために前記金属板の板面にレジストを形成させる際に、前記先端部のレジストオフセット量が前記金属板の直線部のレジストオフセット量よりも大きくなるように、前記先端部の曲率半径に基づいて前記レジストを前記金属板の板面に形成するレジスト形成工程と、前記レジスト形成工程で前記レジストが形成された前記金属板にエッチング液を作用させて前記金属板をエッチングするエッチング工程と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る金属板の製造方法は、請求項1の記載において、前記突起の先端部の曲率半径をr〔μm〕とし、前記直線部のレジストオフセット量をs〔μm〕とし、前記先端部のレジストオフセット量をp〔μm〕とした場合に、
0.03r2−3.2r+90+s≦p≦ 0.03r2−3.2r+130+s
の関係を満たすことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る金属板は、請求項1又は2に記載の金属板の製造方法を用いて製造されることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る金属電極は、請求項1または2に記載の金属板の製造方法を用いて製造されることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る帯電部材は、請求項4に記載の金属電極と、前記金属電極に備えられた突起が被対象物を向くように、前記金属電極を支持する指示部材と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る除電部材は、請求項4に記載の金属電極と、前記金属電極に備えられた突起の先端部が被対象物に接するように、前記金属電極を支持する支持部材と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、請求項5に記載の帯電部材と、前記帯電部材によって帯電した像保持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光部材と、前記露光部材が形成した静電潜像をトナー画像として可視化する現像部材と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係る画像形成装置は、表面にトナー画像が形成される像保持体と、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材によってトナー画像が転写された記録媒体を除電する請求項6に記載の除電部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1の金属板の製造方法によれば、先端部のレジストオフセット量と、直線部のレジストオフセット量とが同じ場合と比して、ウェットエッチングで突起を備えた金属板を成形する場合に、設計値にほぼ等しい製品形状を得ることができる。
【0014】
本発明の請求項2の金属板の製造方法によれば、先端部のレジストオフセット量が、請求項2に記載された範囲外に設定されている場合と比して、効果的に設計値にほぼ等しい製品形状を得ることができる。
【0015】
本発明の請求項3の金属板によれば、請求項1又は2に記載の金属板の製造方法以外の製造方法で金属板を製造する場合と比して、金属板の製品形状を設計値とほぼ等しくすることができる。
【0016】
本発明の請求項4の金属電極によれば、請求項1または2に記載の金属板の製造方法以外の製造方法で製造された金属電極と比して、効果的に被対象物との間で放電を生じさせることができる。
【0017】
本発明の請求項5の帯電部材によれば、請求項4に記載の金属電極を備えていない場合と比して、効果的に被対象物を帯電させることができる。
【0018】
本発明の請求項6の除電部材によれば、請求項4に記載の金属電極を備えていない場合と比して、効果的に被対象物を除電させることができる。
【0019】
本発明の請求項7の画像形成装置によれば、請求項5に記載の帯電部材を備えていない場合と比して、出力画像の品質を向上させることができる。
【0020】
本発明の請求項8の画像形成装置によれば、請求項6に記載の除電部材を備えていない場合と比して、装置本体外に排出されて積載された場合には、記録媒体が互いに静電気力により引き付け合おうとするのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(A)(B)本発明の実施形態に係る金属電極の製造方法に用いられる突起パターンと突起の製品形状を示した説明図である。
【図2】(A)(B)本発明の実施形態の比較形態に係る金属電極の製造方法に用いられる突起パターンと突起の製品形状を示した説明図である。
【図3】(A)(B)本発明の実施形態に係る金属電極を示した平面図及び拡大平面図である。
【図4】(A)(B)(C)(D)(E)(F)本発明の実施形態に係る金属電極の製造方法の各工程を示した説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る帯電部材を示した分解斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る帯電部材を示した斜視図である。
【図7】(A)(B)本発明の実施形態に係る除電部材を示した分解斜視図及び斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る金属電極の製造方法においてレジストオフセット量を決める際に用いたシミュレーションの結果をグラフで示した図面である。
【図9】本発明の実施形態に係る金属電極の製造方法においてレジストオフセット量を決める際に用いたシミュレーションの結果を実測値に合せて補正した結果をグラフで示した図面である。
【図10】本発明の実施形態に係る金属電極の製造方法におけるレジストオフセット量の許容幅をグラフで示した図面である。
【図11】本発明の実施形態に係る金属電極の製造方法を用いた場合及び従来の比較例に係る製造方法を用いた場合の製品形状のバラツキをグラフで示した図面である。
【図12】本発明の実施形態に係る画像形成装置の像保持体近傍を示した側面図である。
【図13】本発明の実施形態に係る画像形成装置の像保持体近傍を示した側面図である。
【図14】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【図15】本発明の実施形態に係る金属電極の製造方法におけるレジストオフセット量の許容幅をグラフで示した図面である。
【図16】本発明の実施形態に係る金属電極の製造方法に用いられる突起パターンと突起の製品形状を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態の金属電極の製造方法、金属電極、帯電部材、除電部材及び画像形成装置の一例について図1〜図16に従って説明する。
〔第1実施形態〕
(全体構成)
図14に示されるように、本実施形態に係る画像形成装置10は、上下方向(矢印V方向)の下側から上側へ向けて、記録媒体の一例としてのシート部材Pが収容される収容部12と、収容部12の上に設けられ収容部12から供給されるシート部材Pに画像形成を行う画像形成部14と、画像形成部14の上に設けられ読取原稿Gを読み取る原稿読取部16と、画像形成部14内に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を含んで構成されている。なお、以後の説明では、画像形成装置10の装置本体10Aの上下方向(矢印V方向)を単に上下方向と、水平方向(矢印H方向)を単に水平方向と記載する。
【0023】
収容部12には、サイズの異なるシート部材Pが収容される第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26が設けられている。さらに、第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26には、収容されたシート部材Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路28に送り出す送り出しロール32が設けられている。
【0024】
そして、搬送路28において送り出しロール32に対してシート部材Pの搬送方向の下流側(以下単に搬送方向下流側と言う場合がある)には、シート部材Pを一枚ずつ搬送する搬送ロール34及び搬送ロール36がそれぞれ設けられている。また、搬送路28において搬送ロール36に対して搬送方向下流側には、シート部材Pを一端停止させるとともに、決められたタイミングでシート部材Pを後述する二次転写位置へ送り出す位置合せロール38が設けられている。
【0025】
さらに、画像形成部14の下側に設けられた搬送路28の下流側部分は、画像形成装置10の正面視において、画像形成部14の左側下部から画像形成部14の右側面に設けられた排紙部15まで設けられている。また、搬送路28には、シート部材Pの両面に画像形成を行うためにシート部材Pが搬送及び反転される両面搬送路29が接続されている。
【0026】
この両面搬送路29は、画像形成装置10の正面視において、搬送路28と両面搬送路29の切り替えが行われる第1切替部材31と、画像形成部14の右側下部から収容部12の右側まで上下方向に直線状に設けられた反転部33と、反転部33に搬送されたシート部材Pの後端が進入するとともに水平方向に搬送される搬送部37と、反転部33と搬送部37の切り替えが行われる第2切替部材35と、を有している。そして、反転部33には搬送ロール42が間隔をあけて複数箇所に設けられており、搬送部37には搬送ロール44が間隔をあけて複数箇所に設けられている。
【0027】
この第1切替部材31は断面三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が搬送路28又は両面搬送路29のいずれか一方に移動されることで、シート部材Pの搬送方向を切り替えるようになっている。同様に、第2切替部材35は断面三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が反転部33又は搬送部37のいずれか一方に移動されることで、シート部材Pの搬送方向を切り替えるようになっている。
【0028】
なお、搬送部37における搬送方向下流側の端部は、搬送路28に図示しない案内部材により接続されている。また、画像形成部14の左側の壁面には、折り畳み式の手差給紙部46が設けられており、手差給紙部46から搬送路28の位置合せロール38の手前までが接続されている。
【0029】
一方、画像形成装置10の上側に設けられた原稿読取部16には、読取原稿Gを1枚ずつ自動で搬送する原稿搬送装置52と、原稿搬送装置52の下側に配置され1枚の読取原稿Gが載せられるプラテンガラス54と、原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿G又はプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取る原稿読取装置56とが設けられている。
【0030】
この原稿搬送装置52は、搬送ロール53が複数配置された自動搬送路55を有しており、自動搬送路55の一部はシート部材Pがプラテンガラス54上を通るように配置されている。また、原稿読取装置56は、プラテンガラス54の左端部に静止した状態で原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿Gを読み取り、又は水平方向に移動しながらプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取るようになっている。
【0031】
さらに、原稿読取部16の下側に設けられた画像形成部14は、画像形成装置10の装置本体10Aの中央にトナー画像が表面に形成されて保持する円筒状の像保持体62が設けられている。
【0032】
図13および図14に示すように、像保持体62は、図示しない駆動手段によって矢印+R方向(図示の時計回り方向)に回転すると共に、光照射によって形成される静電潜像を保持するようになっている。また、像保持体62の上方で且つ像保持体62の表面と対向する位置には、像保持体62の表面を帯電するスコロトロン方式の帯電部材64が設けられている。
【0033】
さらに、像保持体62の回転方向における帯電部材64よりも下流側でかつ像保持体62の表面と対向する位置には、露光部材の一例としての露光装置66が設けられている。露光装置66は、LED(Light Emitting Diode)、レンズアレイ等で構成されたLEDプリントヘッドであり、帯電部材64により帯電した像保持体62の表面に各トナー色に対応した画像信号に基づき、光を照射(露光)して静電潜像を形成するようになっている。なお、露光装置66はLED方式のプリントヘッドに限らず、例えば、レーザ光をポリゴンミラーで走査する光偏向器を備えた光走査装置であってもよい。
【0034】
また、像保持体62の回転方向で露光装置66の露光光が照射される部位よりも下流側には、像保持体62の表面に形成された静電潜像を決められた色のトナーで現像して可視化させる回転切り替え式の現像部材の一例としての現像装置70が設けられている。
【0035】
図13に示されるように、現像装置70は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナー色にそれぞれ対応する現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが、周方向に(反時計回り方向にこの順番で)並んで配置されている。そして、回転手段であるモータ(図示省略)によって中心角で60°ずつ回転することで、現像処理を行う現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが切り替えられ、像保持体62の表面と対向するようになっている。なお、現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fは同様の構成となっているため、ここでは現像器72Yについて説明し、他の現像器72M、72C、72K、72E、72Fについては説明を省略する。
【0036】
現像器72Yは、本体となるケース部材76とを有しており、ケース部材76内にトナーカートリッジ78Y(図14参照)からトナー供給路(図示省略)を経由して供給されるトナー及びキャリアから成る現像剤(図示省略)が充填されている。また、ケース部材76には、像保持体62の表面と対向して矩形状の開口部76Aが形成されており、開口部76Aには、表面が像保持体62の表面と対向する現像ロール74が設けられている。さらに、ケース部材76内で開口部76Aに近い部位には、現像剤の層厚を規制するための板状の規制部材79が、開口部76Aの長手方向に沿って設けられている。
【0037】
現像ロール74は、回転可能に設けられた円筒状の現像スリーブ74Aと、現像スリーブ74Aの内側に固定された複数の磁極から成る磁性部材74Bとで構成されており、現像スリーブ74Aが回転することで現像剤(キャリア)の磁気ブラシが形成されると共に、規制部材79で層厚が規制されることで、現像スリーブ74Aの表面に現像剤層を形成するようになっている。そして、現像スリーブ74Aの表面の現像剤層は、像保持体62に対向する位置に搬送され、像保持体62の表面に形成された潜像(静電潜像)に応じたトナーを付着させて現像を行う。
【0038】
また、ケース部材76内には、螺旋状に形成された搬送オーガ77が2本回転可能に並列配置されており、この2本の搬送オーガ77が回転することで、ケース部材76内に充填された現像剤が、現像ロール74の軸方向(現像器72Yの長手方向)に循環搬送されるようになっている。なお、各現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fに設けられた6本の現像ロール74は、隣の現像ロール74との間隔が中心角60°となるように周方向に配置されており、現像器72の切り替えにより、次の現像ロール74が像保持体62の表面と対向するようになっている。
【0039】
さらに、像保持体62の回転方向で現像装置70よりも下流側であり、かつ像保持体62の下側には、像保持体62の表面に形成されたトナー画像が転写される中間転写ベルト68が設けられている。この中間転写ベルト68は、無端状であり、制御部20(図14参照)により回転駆動される駆動ロール61、中間転写ベルト68に張力を付与するための張力付与ロール63、中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する複数の搬送ロール65、及び中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する補助ロール69に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト68は、駆動ロール61が回転することにより、矢印−R方向(図示の反時計回り方向)に周回移動するようになっている。
【0040】
また、中間転写ベルト68を挟んで像保持体62の反対側には、像保持体62の表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写させる一次転写ロール67が設けられている。一次転写ロール67は、像保持体62と中間転写ベルト68とが接触する位置から中間転写ベルト68の移動方向下流側に離れた位置で、中間転写ベルト68の裏面に接触している。そして、一次転写ロール67は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている像保持体62との電位差で像保持体62のトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写するようになっている。
【0041】
さらに、中間転写ベルト68を挟んで補助ロール69の反対側には、中間転写ベルト68上に一次転写されたトナー画像をシート部材Pに二次転写させる転写部材の一例としての二次転写ロール71が設けられている。そして、二次転写ロール71と補助ロール69との間がシート部材Pへトナー画像を転写する二次転写位置とされている。二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の表面に接触している。そして、二次転写ロール71は接地されており、図示しない電源から軸にバイアス印加された補助ロール69と、接地された二次転写ロール71との電位差で、中間転写ベルト68のトナー画像をシート部材Pに二次転写するようになっている。
【0042】
また、中間転写ベルト68を挟んで駆動ロール61の反対側には、中間転写ベルト68の二次転写後の残留トナーを掻き落とすブレード90Aを備えたクリーニング装置90が設けられている。
【0043】
さらに、中間転写ベルト68の周囲で張力付与ロール63と対向する位置には、中間転写ベルト68の表面に付されたマーク(図示省略)を検知することで中間転写ベルト68上の予め定めた基準位置を検出し、画像形成処理の開始タイミングの基準となる位置検出信号を出力する位置検出センサ83が設けられている。
【0044】
また、像保持体62の回転方向で一次転写ロール67よりも下流側には、像保持体62の表面の帯電電位をマイナス側に帯電させて調整するコロトロン式の調整帯電器86が設けられている。さらに、像保持体62の回転方向で調整帯電器86よりも下流側には、中間転写ベルト68に一次転写されずに像保持体62の表面に残留した残留トナー等を清掃するクリーニング装置73が設けられている。
【0045】
また、像保持体62の回転方向でクリーニング装置73の下流側(帯電部材64よりも上流側)には、像保持体62の表面に光を照射して除電を行う除電装置75が設けられている。
【0046】
一方、図14に示されるように、二次転写ロール71によるトナー画像を搬送されるシート部材Pに転写する二次転写位置は、前述の搬送路28(図13、図14参照)の途中に設定されている。そして、二次転写ロール71よりも搬送方向下流側には、トナー画像が転写されることで帯電したシート部材Pを除電する除電部材88(図13参照)が設けられている。なお、この除電部材88については詳細を後述する。
【0047】
さらに、除電部材88(図13参照)の搬送方向下流側には、二次転写ロール71によってトナー画像が転写されたシート部材Pにトナー画像を定着させる定着装置80が設けられている。
【0048】
定着装置80は、シート部材Pのトナー画像面側(上側)に配置され、通電により発熱する熱源を有する加熱ロール82と、加熱ロール82の下側に配置されシート部材Pを加熱ロール82の表面に向けて加圧する加圧ロール84とで構成されている。なお、搬送路28におけるシート部材Pの搬送方向で定着装置80よりも下流側には、排紙部15又は反転部33へ向けてシート部材Pを搬送する搬送ロール39が設けられている。
【0049】
一方、原稿読取装置56の下側で現像装置70よりも上側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナーを収容するトナーカートリッジ78Y、78M、78C、78K、78E、78Fが水平方向に並んで交換可能に設けられている。第1特別色E及び第2特別色Fは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の特別色(透明を含む)から選択され、または、選択されないようになっている。そして、現像装置70では、第1特別色E及び第2特別色Fが選択された場合はY、M、C、K、E、Fの6色での画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fが選択されない場合はY、M、C、Kの4色での画像形成を行うようになっている。なお、本実施形態では、一例として、Y、M、C、Kの4色で画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fを未使用とした場合について説明するが、他の例として、Y、M、C、Kの4色と第1特別色E又は第2特別色Fを用いて5色で画像形成を行ってもよい。
【0050】
以上の構成により、図14に示されるように、画像形成装置10を作動させると、画像処理装置(図示省略)又は外部から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像データが露光装置66に順次出力される。このとき、一例として、現像装置70は、現像器72Y(図13参照)が像保持体62の表面と対向するように回転し保持されている。また、クリーニング装置90のブレード90A及び二次転写ロール71は、各色のトナー画像が中間転写ベルト68に多重(一次)転写されるまで、中間転写ベルト68の表面から離されている。
【0051】
続いて、露光装置66から画像データに応じて出射された光は、帯電部材64により帯電された像保持体62の表面を露光する。そして、例えば、像保持体62の表面にはイエローの画像データに対応した静電潜像が形成される。さらに、像保持体62の表面に形成された静電潜像は、現像器72Yによってイエローのトナー画像として現像される。そして、像保持体62の表面のイエローのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68に転写される。
【0052】
続いて、現像装置70が矢印+R方向に60°回転され、現像器72Mが像保持体62の表面と対向する。そして、帯電、露光、現像の各工程が行われ、像保持体62の表面のマゼンタのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68のイエローのトナー画像上に転写される。同様にして、シアン(C)、黒(K)のトナー画像が中間転写ベルト68上に順次多重転写される。中間転写ベルト68に対してトナー画像の転写が終了すると、クリーニング装置90のブレード90A及び二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の表面へ接する。
【0053】
一方、収容部12から送り出され、搬送路28を搬送されてきたシート部材Pは、位置合せロール38により、中間転写ベルト68への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて二次転写位置に搬送される。そして、中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、二次転写位置に搬送されてきたシート部材P上に二次転写ロール71によって二次転写される。さらに、中間転写ベルト68の表面に付着した残留トナーがブレード90Aで中間転写ベルト68から掻き落とされて回収される。
【0054】
続いて、トナー画像が転写されたシート部材Pは、定着装置80に向けて矢印A方向(図示の右方向)に搬送される。そして、定着装置80では、トナー画像が加熱ロール82及び加圧ロール84によって加熱、加圧されることでシート部材Pに定着される。さらに、トナー画像が定着されたシート部材Pは、一例として、排紙部15に排出される。
【0055】
なお、シート部材Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置80で表面に画像定着を行った後、シート部材Pを矢印−V方向に沿って反転部33に送り込むと共に矢印+V方向に沿って送り出すことで、シート部材Pの先端と後端を入れ替える。そして、シート部材Pを両面搬送路29によって矢印B方向(図示の左方向)に搬送し、さらに搬送路28に送り込んで、シート部材Pの裏面の画像形成及び定着を表面と同様に行う。
【0056】
(要部構成)
次に、除電部材88について説明する。
【0057】
<除電部材>
図7(A)(B)に示されるように、除電部材88は、複数個の突起122が鋸歯状に形成された板状の金属電極120と、この金属電極120を挟むように支持する支持部材124及び支持部材126とを備えている。
【0058】
金属電極120は、像保持体62の回転軸方向(以下、「軸方向」と言う。)に延びて設けられている。また、この金属電極120には、支持部材124、126に対する金属電極120の支持位置を決めるために用いられる円孔120A及び長孔120Bが形成されている。この長孔120Bは、円孔120Aとは離れた位置に配置され、軸方向に延びて形成されている。
【0059】
また、支持部材124は、軸方向に延びて設けられ、金属電極120を鉛直方向下側から支持するように配置されている。さらに、支持部材124には、金属電極120に形成された円孔120A及び長孔120Bに挿入される凸状の円柱部124Aが2個形成されている。
【0060】
これに対して、支持部材126は、支持部材124と同様に軸方向に延びて設けられ、金属電極120を挟んで支持部材124の反対側に配置されている。さらに、支持部材126には、支持部材124との間で金属電極120を挟み込んだ状態で、支持部材124に形成された凸状の円柱部124Aが挿入される凹状の凹部126Aが2個形成されている。なお、金属電極120の材質、詳細な形状及び製造方法等については後述する。
【0061】
<金属電極>
次に、金属電極120の材質、形状について説明する。
【0062】
図3(A)(B)に示されるように、金属電極120は、厚さ100μmのSUS304(ステンレス鋼板)を用いて成形されており、複数個の鋸歯状の突起122を備えている。
【0063】
突起122の外縁は、突起122の先端に設けられた円弧状の先端部122Aと、この先端部122Aから基端側にかけて直線状に延びる直線部122Bとで構成されている(図1参照)。
【0064】
そして、本実施形態では、一例として先端部122Aの曲率半径は、40〔μm〕とされ、この曲率半径の公差は±20〔μm〕に設定されている。さらに、金属電極120に形成された円孔120A及び長孔120Bが突起122の突出方向の基準(データム)とされている。そして、円孔120A及び長孔120Bから先端部122Aまでの距離(図中A寸法)が決められた範囲内に入るように管理されている。
【0065】
<金属電極の製造方法>
次に、金属板の製造方法の一例として金属電極の製造方法について説明する。
【0066】
図4(A)(B)に示されるように、先ず、レジスト塗布工程では、厚さ100〔μm〕のSUS304の板材150の両面に、ポジ型のフォトレジスト152を厚み1〔μm〕で塗布する。
【0067】
次に、図4(C)に示されるように、露光工程では、鋸歯状の突起パターン(エッチングパターン)が形成されたフイルム原版154をフォトレジスト152が塗布された板材150に密接させて固定する。そして、フイルム原版154に向けて露光を行い、突起パターン160(図1(A)参照)をフォトレジスト152に焼き付ける。なお、突起パターン160については詳細を後述する。
【0068】
次に、図4(D)に示されるように、現像工程では、突起パターン160がフォトレジスト152に露光転写された板材150に対して現像液を用いて現像処理を行う。これにより、露光されたエリアのフォトレジスト152は現像液に溶解し、フォトレジスト152が、鋸歯状の突起パターン160に形成される。
【0069】
次に、図4(E)に示されるように、エッチング工程では、板材150をエッチング液(本実施形態では一例として塩化第2鉄溶液)に浸漬、又は板材150にエッチング液を吹き掛ける(シャワーする)ことにより、現像により露出した板材150の露出部分をエッチングする。
【0070】
次に、図4(F)に示されるように、レジスト剥離工程では、水酸化ナトリウム溶液を用いて、板材150に塗布されているフォトレジスト152を除去する。このように、金属電極120を製造する。
【0071】
なお、金属電極120の円孔120A及び長孔120Bもエッチングにより同時に成形される。
【0072】
<突起パターン>
次に、フォトレジスト152に焼き付けられる突起パターン160について説明する。
【0073】
図1(A)に示されるように、二点鎖線で示される形状の突起122をウェットエッチングで得るためには、突起パターン160は、突起122の縁部より外側にオフセットさせる必要がある。
【0074】
これは、エッチング工程においてエッチング液が、突起パターン160の裏面に侵入して板材150を必要以上にエッチングする(所謂サイドエッチング)し、突起122が突起パターン160に対して小さく成形されるからである。なお、設計上の製品の縁部(図1(A)に示す二点鎖線)に対してフォトレジストをオフセットさせた量をレジストオフセット量と言う。
【0075】
そして、本実施形態では、突起122における先端部122Aのレジストオフセット量(図中C寸法)は、先端部122Aの曲率半径に基づいて、直線部122Bのレジストオフセット量(図中D寸法)と異なり、直線部122Bのレジストオフセット量より大きくされている。これは、先端部122Aでは、周囲からサイドエッチングが侵攻するため、サイドエッチングの侵攻量が直線部122Bに比して多いからである。
【0076】
つまり、図2(A)に示されるように、レジストオフセット量を先端部122Aと直線部122Bとで同じ量(距離)の突起パターン161とすると、図2(B)に示されるように、エッチング工程後に得られる先端部の形状(実線)が、設計上の先端部の形状(破線)に対して小さくなってしまう。
【0077】
ここで、突起122の先端部122Aのレジストオフセット量を決める手順について説明する。
【0078】
先ず、図8に示されるグラフについて説明する。図8に示すグラフの横軸は、突起122における先端部122Aの曲率半径〔μm〕とされ、縦軸は、サイドエッチングによりフォトレジストに対して製品端部が後退した後退量〔μm〕とされている。ここで、後退量〔μm〕とは、図1におけるE寸法(=C寸法−D寸法)のことである。そして、シミュレーションにより算出された曲率半径と後退量の関係が曲線で示されている。つまり、このシミュレーションの結果から先端部122Aの曲率半径〔μm〕が小さい程(先端が鋭利な程)後退量が大きくなることが分かる。
【0079】
なお、板材としては、前述したように、厚さ100〔μm〕のSUS304を用いることを考慮してシミュレーションを行っている。
【0080】
次に、図9に示されるグラフについて説明する。図9に示すグラフの横軸は、突起122における先端部122Aの曲率半径〔μm〕とされている。これに対し、縦軸は、先端部122Aを形成されるためのレジストオフセット量を、直線部122Bを形成させるためのレジストオフセット量(D寸法)に対して拡大させた拡大量〔μm〕(図1(A)に示すE寸法)とされている。
【0081】
詳細には、厚さ100〔μm〕のSUS304の板材の場合、一例として直線部122Bではレジストオフセット量を35〔μm〕とする(D寸法)。この35〔μm〕のフォトレジストに対してさらに拡大させた拡大量(E寸法)が縦軸に記載されている。つまり、拡大量70〔μm〕の場合には、レジストオフセット量は、35〔μm〕+70〔μm〕で105〔μm〕となる。
【0082】
図8に示した後退量を補うべく、当該後退量と同じ値の拡大量を設定すれば良いと考えられるため、実際に後退量=拡大量として板材のウェットエッチングを行なった(図15)。その結果、図8に示したシミュレーション結果を補正する必要が生じたため、図9に示される曲率半径と拡大量との関係(グラフ)は、図8に示される曲線(グラフ)に対して前記実際に板材のウェットエッチングを行って測定した値を加味して図8のシミュレーション結果を補正した曲線である。そして、この図9に示される曲線によると、先端部の曲率半径をr〔μm〕とすると、拡大量b〔μm〕は下記式(1)で近似できる。
【0083】
b=0.03r2−3.2r+110〔μm〕・・・・・(1)
【0084】
この式(1)は、図15に示した先端部122Aの曲率半径R(μm)毎に採取した複数のデータの平均値に基づいて近似したものである。つまり、曲率半径R=15μmの複数のデータの平均値と、曲率半径R=35μmの複数のデータの平均値と、曲率半径R=40μmの複数のデータの平均値と、曲率半径R=45μmの複数のデータの平均値と、曲率半径R=50μmの複数のデータの平均値に基づいて近似したものである。 尚、図15に示すグラフの横軸と縦軸の意味は、図9と同じである。
【0085】
また、図11の横軸には、突起122における先端部122Aの曲率半径〔μm〕が記載され、縦軸には、突起の高さ(図3(B)に示す寸法A)における設計値と製品形状との差(平均値)が記載されている。そして、本実施例のように先端部のレジストオフセット量を直線部のレジストオフセット量より式(1)で得たbの結果だけ大きくした場合を○で表し、先端部のレジストオフセット量と直線部のレジストオフセット量とを同じにした場合を比較形態とし△で表した。この図11から分かるように、図9に示す拡大量を先端部122Aのレジストオフセット量に加味する(直線部のレジストオフセット量に対して、図9の拡大量を加算して先端部122Aのレジストオフセット量にする)ことで設計値に近い製品形状が得られる。
【0086】
さらに、図10には、図9に記載する曲線と、拡大量b〔μm〕のバラツキに対する許容値の上限の曲線及び下限の曲線とが記載されている。そして、許容される拡大量b〔μm〕は、下記式(2)で表される。
【0087】
0.03r2−3.2r+90≦b≦0.03r2−3.2r+130〔μm〕・・・・(2)
【0088】
また、先端部のレジストオフセット量をp〔μm〕とすると、拡大量b〔μm〕に直線部のレジストオフセット量s〔μm〕が加えられる。このため、本実施形態において先端部でのレジストオフセット量p〔μm〕は、下記式(3)で表される。
【0089】
0.03r2−3.2r+90+s≦p≦ 0.03r2−3.2r+130+s・・・・・(3)
【0090】
このように、先端部でのレジストオフセット量p〔μm〕を規定することで、前述した先端部の曲率半径の許容公差±20〔μm〕に対する不良率が減らされる。
【0091】
次に、式(1)を用いた場合のレジスト形状の決定方法の一実施例を図16を用いて説明する。E寸法は拡大量b〔μm〕、D寸法はレジストオフセット量s〔μm〕、F寸法は先端部の曲率半径をr〔μm〕である。また、突起122の先端部Aは、点Pを中心とした半径がF寸法の円弧である。 まず、金属電極120の全体に対して一律にD寸法の仮想レジストを形成する。この場合、先端部122Aの仮想レジストは、点Pを中心として、半径をF寸法+D寸法とした円弧UVとなる(U,P,Vは一直線状の点)。尚、突起122の直線部122Bの仮想レジストと、金属電極120の本体の直線部122Cの仮想レジストとの交点をS、Tとする。
【0092】
次に、拡大量bが上記式(1)により決定した後、前記円弧UVをそのままの形状で寸法E突出させ、円弧UVの一端Uと交点S、他端Vと交点Tを直線で結ぶ。その結果形成された直線SU、円弧UV、直線VTによる形状が、突起122のレジストとなる。
【0093】
尚、ここで説明したレジスト形状の決定方法は、あくまで一実施例であって、本発明はこれに限定して解釈されるものではない。
【0094】
(要部構成の作用)
以上説明したように、本実施形態に係る金属電極の製造方法によれば、突起122における先端部122Aのレジストオフセット量は、先端部122Aの曲率半径に基づき、直線部122Bのレジストオフセット量より大きくされ、前述した式(3)を用いて先端部122Aのレジストオフセット量が決められている。このため、設計値にほぼ等しい製品形状にすることができる。
【0095】
また、先端部122Aの製品形状が設計値に近づくため、先端部122Aと被対象物(例えば、像保持体62、シート部材)との間で効果的に放電が生じる。
【0096】
また、本実施形態に係る金属電極の製造方法によれば、先端部122Aの曲率半径をrとし、直線部122Bのレジストオフセット量をs〔μm〕とし、先端部のレジストオフセット量をp〔μm〕とした場合に、
0.03r2−3.2r+90+s≦p≦ 0.03r2−3.2r+130+s
の関係が満たされる。このため、例えば、曲率半径の許容公差を±20〔μm〕とした場合に、製品の不良率が減らされる(歩留まりが向上する)。
【0097】
また、本実施形態に係る帯電部材64によれば、金属電極100の先端部と像保持体62との間で効果的に放電が生じるため、像保持体62の表面が効率よく帯電される。
【0098】
また、本実施形態に係る除電部材88によれば、金属電極120の先端部122Aとシート部材Pとの間で効果的に放電が生じるため、シート部材Pが効率良く除電される。
【0099】
また、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、帯電部材64を備えているため、出力画像の画像品質が向上する。
【0100】
また、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、除電部材88を備えているため、画像形成後に装置本体外に排出されて積載されたシート部材Pが互いに静電気力により引き付けようとするのは抑制される。
【0101】
〔第2実施形態〕
本発明の他の実施形態について以下に説明する。尚、説明を分かり易くするため、第1実施形態との相違点のみ説明し、第1実施形態と同一の部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0102】
第1実施形態は、帯電部材64としてコロトロンワイヤーを用いたスコロトロンタイプのものを示したが、本第2実施形態では、帯電部材164が針状電極で構成されている点で相違する。
【0103】
すなわち、図5、図6、図12に示されるように、帯電部材164は、複数個の突起102が鋸歯状に形成された板状の金属電極100と、この金属電極100を支持する支持部材104とを備えている。金属電極100は、像保持体62の回転軸方向に延びて設けられている。また、この金属電極100には、支持部材104に対する金属電極100の支持位置を決めるために用いられる第一溝100A及び第二溝100Bが形成されている。この第二溝100Bは、第一溝100Aとは離れた位置に配置され、第一溝100Aより幅広とされている(図5参照)。
【0104】
また、支持部材104は、像保持体62の回転軸方向に延びて設けられ、支持部材104の軸方向両端側には、像保持体62に向けて突出した突出部104Aが形成されている。さらに、支持部材104には、軸方向に延びると共に金属電極100が挿入される溝104Bが形成されている。また、この溝104Bの溝内には、金属電極100に形成された第一溝100A及び第二溝100Bが接触する図示せぬ接触部が設けられている。そして、この溝104Bに金属電極100が挿入されることで、突起102の先端部102Aが、像保持体62側に向くようになっている(図6、図12参照)。
【0105】
また、支持部材104に支持された金属電極100を金属電極100の板厚方向から挟み込むように支持部材104に取り付けられる一対の側板106が設けられている。さらに、支持部材104の突出部104Aの端面に取り付けられる網状のグリッド電極110は、金属電極100と像保持体62との間に配置されている。
【0106】
以上より、帯電部材164は、金属電極100、支持部材104、一対の側板106及びグリッド電極110を含んで構成されている。なお、金属電極100の材質、詳細な形状及び製造方法等については第1実施形態に記載したものと同様である。
【0107】
なお、金属電極100については、金属電極100の基準(データム)が、第一溝100A及び第二溝100Bとされている(図5参照)点で、金属電極120と異なるが、他の構成については、金属電極120とで同様である。
【0108】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、突起を備える金属電極の製造方法を例にとって説明したが、突起を備えるICリードフレーム、フィルタ、メッシュ、スクリーン、ブレード、メタルドーム、ネームプレート、メタルデコレーション等の製造に本実施形態に係る金属板の製造方法を用いてもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、厚さ100μmのSUS304の板材を用いて説明したが、他の厚さ及び材質の金属板を用いて突起をそなえる金属板を製造してもよい。
【符号の説明】
【0110】
10 画像形成装置
62 像保持体
64 帯電部材
66 露光装置(露光部材の一例)
70 現像装置(現像部材の一例)
71 二次転写ロール(転写部材の一例)
88 除電部材
100 金属電極
120 金属電極
122 突起
122A 先端部
122B 直線部
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板の製造方法、金属板、金属電極、帯電部材、除電部材及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、のこ歯状の電極を備えた帯電部材が記載されている。つまり、この電極は、板状の金属板から成形され、のこ歯状の突起を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−137202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、ウェットエッチングで突起を備えた金属板を成形する場合に、設計値にほぼ等しい製品形状を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る金属板の製造方法は、先端部が円弧状の突起をウェットエッチングにより金属板に成形させるために前記金属板の板面にレジストを形成させる際に、前記先端部のレジストオフセット量が前記金属板の直線部のレジストオフセット量よりも大きくなるように、前記先端部の曲率半径に基づいて前記レジストを前記金属板の板面に形成するレジスト形成工程と、前記レジスト形成工程で前記レジストが形成された前記金属板にエッチング液を作用させて前記金属板をエッチングするエッチング工程と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る金属板の製造方法は、請求項1の記載において、前記突起の先端部の曲率半径をr〔μm〕とし、前記直線部のレジストオフセット量をs〔μm〕とし、前記先端部のレジストオフセット量をp〔μm〕とした場合に、
0.03r2−3.2r+90+s≦p≦ 0.03r2−3.2r+130+s
の関係を満たすことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る金属板は、請求項1又は2に記載の金属板の製造方法を用いて製造されることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る金属電極は、請求項1または2に記載の金属板の製造方法を用いて製造されることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る帯電部材は、請求項4に記載の金属電極と、前記金属電極に備えられた突起が被対象物を向くように、前記金属電極を支持する指示部材と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る除電部材は、請求項4に記載の金属電極と、前記金属電極に備えられた突起の先端部が被対象物に接するように、前記金属電極を支持する支持部材と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、請求項5に記載の帯電部材と、前記帯電部材によって帯電した像保持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光部材と、前記露光部材が形成した静電潜像をトナー画像として可視化する現像部材と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係る画像形成装置は、表面にトナー画像が形成される像保持体と、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記転写部材によってトナー画像が転写された記録媒体を除電する請求項6に記載の除電部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1の金属板の製造方法によれば、先端部のレジストオフセット量と、直線部のレジストオフセット量とが同じ場合と比して、ウェットエッチングで突起を備えた金属板を成形する場合に、設計値にほぼ等しい製品形状を得ることができる。
【0014】
本発明の請求項2の金属板の製造方法によれば、先端部のレジストオフセット量が、請求項2に記載された範囲外に設定されている場合と比して、効果的に設計値にほぼ等しい製品形状を得ることができる。
【0015】
本発明の請求項3の金属板によれば、請求項1又は2に記載の金属板の製造方法以外の製造方法で金属板を製造する場合と比して、金属板の製品形状を設計値とほぼ等しくすることができる。
【0016】
本発明の請求項4の金属電極によれば、請求項1または2に記載の金属板の製造方法以外の製造方法で製造された金属電極と比して、効果的に被対象物との間で放電を生じさせることができる。
【0017】
本発明の請求項5の帯電部材によれば、請求項4に記載の金属電極を備えていない場合と比して、効果的に被対象物を帯電させることができる。
【0018】
本発明の請求項6の除電部材によれば、請求項4に記載の金属電極を備えていない場合と比して、効果的に被対象物を除電させることができる。
【0019】
本発明の請求項7の画像形成装置によれば、請求項5に記載の帯電部材を備えていない場合と比して、出力画像の品質を向上させることができる。
【0020】
本発明の請求項8の画像形成装置によれば、請求項6に記載の除電部材を備えていない場合と比して、装置本体外に排出されて積載された場合には、記録媒体が互いに静電気力により引き付け合おうとするのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(A)(B)本発明の実施形態に係る金属電極の製造方法に用いられる突起パターンと突起の製品形状を示した説明図である。
【図2】(A)(B)本発明の実施形態の比較形態に係る金属電極の製造方法に用いられる突起パターンと突起の製品形状を示した説明図である。
【図3】(A)(B)本発明の実施形態に係る金属電極を示した平面図及び拡大平面図である。
【図4】(A)(B)(C)(D)(E)(F)本発明の実施形態に係る金属電極の製造方法の各工程を示した説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る帯電部材を示した分解斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る帯電部材を示した斜視図である。
【図7】(A)(B)本発明の実施形態に係る除電部材を示した分解斜視図及び斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る金属電極の製造方法においてレジストオフセット量を決める際に用いたシミュレーションの結果をグラフで示した図面である。
【図9】本発明の実施形態に係る金属電極の製造方法においてレジストオフセット量を決める際に用いたシミュレーションの結果を実測値に合せて補正した結果をグラフで示した図面である。
【図10】本発明の実施形態に係る金属電極の製造方法におけるレジストオフセット量の許容幅をグラフで示した図面である。
【図11】本発明の実施形態に係る金属電極の製造方法を用いた場合及び従来の比較例に係る製造方法を用いた場合の製品形状のバラツキをグラフで示した図面である。
【図12】本発明の実施形態に係る画像形成装置の像保持体近傍を示した側面図である。
【図13】本発明の実施形態に係る画像形成装置の像保持体近傍を示した側面図である。
【図14】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【図15】本発明の実施形態に係る金属電極の製造方法におけるレジストオフセット量の許容幅をグラフで示した図面である。
【図16】本発明の実施形態に係る金属電極の製造方法に用いられる突起パターンと突起の製品形状を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態の金属電極の製造方法、金属電極、帯電部材、除電部材及び画像形成装置の一例について図1〜図16に従って説明する。
〔第1実施形態〕
(全体構成)
図14に示されるように、本実施形態に係る画像形成装置10は、上下方向(矢印V方向)の下側から上側へ向けて、記録媒体の一例としてのシート部材Pが収容される収容部12と、収容部12の上に設けられ収容部12から供給されるシート部材Pに画像形成を行う画像形成部14と、画像形成部14の上に設けられ読取原稿Gを読み取る原稿読取部16と、画像形成部14内に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を含んで構成されている。なお、以後の説明では、画像形成装置10の装置本体10Aの上下方向(矢印V方向)を単に上下方向と、水平方向(矢印H方向)を単に水平方向と記載する。
【0023】
収容部12には、サイズの異なるシート部材Pが収容される第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26が設けられている。さらに、第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26には、収容されたシート部材Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路28に送り出す送り出しロール32が設けられている。
【0024】
そして、搬送路28において送り出しロール32に対してシート部材Pの搬送方向の下流側(以下単に搬送方向下流側と言う場合がある)には、シート部材Pを一枚ずつ搬送する搬送ロール34及び搬送ロール36がそれぞれ設けられている。また、搬送路28において搬送ロール36に対して搬送方向下流側には、シート部材Pを一端停止させるとともに、決められたタイミングでシート部材Pを後述する二次転写位置へ送り出す位置合せロール38が設けられている。
【0025】
さらに、画像形成部14の下側に設けられた搬送路28の下流側部分は、画像形成装置10の正面視において、画像形成部14の左側下部から画像形成部14の右側面に設けられた排紙部15まで設けられている。また、搬送路28には、シート部材Pの両面に画像形成を行うためにシート部材Pが搬送及び反転される両面搬送路29が接続されている。
【0026】
この両面搬送路29は、画像形成装置10の正面視において、搬送路28と両面搬送路29の切り替えが行われる第1切替部材31と、画像形成部14の右側下部から収容部12の右側まで上下方向に直線状に設けられた反転部33と、反転部33に搬送されたシート部材Pの後端が進入するとともに水平方向に搬送される搬送部37と、反転部33と搬送部37の切り替えが行われる第2切替部材35と、を有している。そして、反転部33には搬送ロール42が間隔をあけて複数箇所に設けられており、搬送部37には搬送ロール44が間隔をあけて複数箇所に設けられている。
【0027】
この第1切替部材31は断面三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が搬送路28又は両面搬送路29のいずれか一方に移動されることで、シート部材Pの搬送方向を切り替えるようになっている。同様に、第2切替部材35は断面三角柱状の部材であり、図示しない駆動手段によって先端部が反転部33又は搬送部37のいずれか一方に移動されることで、シート部材Pの搬送方向を切り替えるようになっている。
【0028】
なお、搬送部37における搬送方向下流側の端部は、搬送路28に図示しない案内部材により接続されている。また、画像形成部14の左側の壁面には、折り畳み式の手差給紙部46が設けられており、手差給紙部46から搬送路28の位置合せロール38の手前までが接続されている。
【0029】
一方、画像形成装置10の上側に設けられた原稿読取部16には、読取原稿Gを1枚ずつ自動で搬送する原稿搬送装置52と、原稿搬送装置52の下側に配置され1枚の読取原稿Gが載せられるプラテンガラス54と、原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿G又はプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取る原稿読取装置56とが設けられている。
【0030】
この原稿搬送装置52は、搬送ロール53が複数配置された自動搬送路55を有しており、自動搬送路55の一部はシート部材Pがプラテンガラス54上を通るように配置されている。また、原稿読取装置56は、プラテンガラス54の左端部に静止した状態で原稿搬送装置52によって搬送された読取原稿Gを読み取り、又は水平方向に移動しながらプラテンガラス54に載せられた読取原稿Gを読み取るようになっている。
【0031】
さらに、原稿読取部16の下側に設けられた画像形成部14は、画像形成装置10の装置本体10Aの中央にトナー画像が表面に形成されて保持する円筒状の像保持体62が設けられている。
【0032】
図13および図14に示すように、像保持体62は、図示しない駆動手段によって矢印+R方向(図示の時計回り方向)に回転すると共に、光照射によって形成される静電潜像を保持するようになっている。また、像保持体62の上方で且つ像保持体62の表面と対向する位置には、像保持体62の表面を帯電するスコロトロン方式の帯電部材64が設けられている。
【0033】
さらに、像保持体62の回転方向における帯電部材64よりも下流側でかつ像保持体62の表面と対向する位置には、露光部材の一例としての露光装置66が設けられている。露光装置66は、LED(Light Emitting Diode)、レンズアレイ等で構成されたLEDプリントヘッドであり、帯電部材64により帯電した像保持体62の表面に各トナー色に対応した画像信号に基づき、光を照射(露光)して静電潜像を形成するようになっている。なお、露光装置66はLED方式のプリントヘッドに限らず、例えば、レーザ光をポリゴンミラーで走査する光偏向器を備えた光走査装置であってもよい。
【0034】
また、像保持体62の回転方向で露光装置66の露光光が照射される部位よりも下流側には、像保持体62の表面に形成された静電潜像を決められた色のトナーで現像して可視化させる回転切り替え式の現像部材の一例としての現像装置70が設けられている。
【0035】
図13に示されるように、現像装置70は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナー色にそれぞれ対応する現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが、周方向に(反時計回り方向にこの順番で)並んで配置されている。そして、回転手段であるモータ(図示省略)によって中心角で60°ずつ回転することで、現像処理を行う現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fが切り替えられ、像保持体62の表面と対向するようになっている。なお、現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fは同様の構成となっているため、ここでは現像器72Yについて説明し、他の現像器72M、72C、72K、72E、72Fについては説明を省略する。
【0036】
現像器72Yは、本体となるケース部材76とを有しており、ケース部材76内にトナーカートリッジ78Y(図14参照)からトナー供給路(図示省略)を経由して供給されるトナー及びキャリアから成る現像剤(図示省略)が充填されている。また、ケース部材76には、像保持体62の表面と対向して矩形状の開口部76Aが形成されており、開口部76Aには、表面が像保持体62の表面と対向する現像ロール74が設けられている。さらに、ケース部材76内で開口部76Aに近い部位には、現像剤の層厚を規制するための板状の規制部材79が、開口部76Aの長手方向に沿って設けられている。
【0037】
現像ロール74は、回転可能に設けられた円筒状の現像スリーブ74Aと、現像スリーブ74Aの内側に固定された複数の磁極から成る磁性部材74Bとで構成されており、現像スリーブ74Aが回転することで現像剤(キャリア)の磁気ブラシが形成されると共に、規制部材79で層厚が規制されることで、現像スリーブ74Aの表面に現像剤層を形成するようになっている。そして、現像スリーブ74Aの表面の現像剤層は、像保持体62に対向する位置に搬送され、像保持体62の表面に形成された潜像(静電潜像)に応じたトナーを付着させて現像を行う。
【0038】
また、ケース部材76内には、螺旋状に形成された搬送オーガ77が2本回転可能に並列配置されており、この2本の搬送オーガ77が回転することで、ケース部材76内に充填された現像剤が、現像ロール74の軸方向(現像器72Yの長手方向)に循環搬送されるようになっている。なお、各現像器72Y、72M、72C、72K、72E、72Fに設けられた6本の現像ロール74は、隣の現像ロール74との間隔が中心角60°となるように周方向に配置されており、現像器72の切り替えにより、次の現像ロール74が像保持体62の表面と対向するようになっている。
【0039】
さらに、像保持体62の回転方向で現像装置70よりも下流側であり、かつ像保持体62の下側には、像保持体62の表面に形成されたトナー画像が転写される中間転写ベルト68が設けられている。この中間転写ベルト68は、無端状であり、制御部20(図14参照)により回転駆動される駆動ロール61、中間転写ベルト68に張力を付与するための張力付与ロール63、中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する複数の搬送ロール65、及び中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する補助ロール69に巻き掛けられている。そして、中間転写ベルト68は、駆動ロール61が回転することにより、矢印−R方向(図示の反時計回り方向)に周回移動するようになっている。
【0040】
また、中間転写ベルト68を挟んで像保持体62の反対側には、像保持体62の表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写させる一次転写ロール67が設けられている。一次転写ロール67は、像保持体62と中間転写ベルト68とが接触する位置から中間転写ベルト68の移動方向下流側に離れた位置で、中間転写ベルト68の裏面に接触している。そして、一次転写ロール67は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている像保持体62との電位差で像保持体62のトナー画像を中間転写ベルト68に一次転写するようになっている。
【0041】
さらに、中間転写ベルト68を挟んで補助ロール69の反対側には、中間転写ベルト68上に一次転写されたトナー画像をシート部材Pに二次転写させる転写部材の一例としての二次転写ロール71が設けられている。そして、二次転写ロール71と補助ロール69との間がシート部材Pへトナー画像を転写する二次転写位置とされている。二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の表面に接触している。そして、二次転写ロール71は接地されており、図示しない電源から軸にバイアス印加された補助ロール69と、接地された二次転写ロール71との電位差で、中間転写ベルト68のトナー画像をシート部材Pに二次転写するようになっている。
【0042】
また、中間転写ベルト68を挟んで駆動ロール61の反対側には、中間転写ベルト68の二次転写後の残留トナーを掻き落とすブレード90Aを備えたクリーニング装置90が設けられている。
【0043】
さらに、中間転写ベルト68の周囲で張力付与ロール63と対向する位置には、中間転写ベルト68の表面に付されたマーク(図示省略)を検知することで中間転写ベルト68上の予め定めた基準位置を検出し、画像形成処理の開始タイミングの基準となる位置検出信号を出力する位置検出センサ83が設けられている。
【0044】
また、像保持体62の回転方向で一次転写ロール67よりも下流側には、像保持体62の表面の帯電電位をマイナス側に帯電させて調整するコロトロン式の調整帯電器86が設けられている。さらに、像保持体62の回転方向で調整帯電器86よりも下流側には、中間転写ベルト68に一次転写されずに像保持体62の表面に残留した残留トナー等を清掃するクリーニング装置73が設けられている。
【0045】
また、像保持体62の回転方向でクリーニング装置73の下流側(帯電部材64よりも上流側)には、像保持体62の表面に光を照射して除電を行う除電装置75が設けられている。
【0046】
一方、図14に示されるように、二次転写ロール71によるトナー画像を搬送されるシート部材Pに転写する二次転写位置は、前述の搬送路28(図13、図14参照)の途中に設定されている。そして、二次転写ロール71よりも搬送方向下流側には、トナー画像が転写されることで帯電したシート部材Pを除電する除電部材88(図13参照)が設けられている。なお、この除電部材88については詳細を後述する。
【0047】
さらに、除電部材88(図13参照)の搬送方向下流側には、二次転写ロール71によってトナー画像が転写されたシート部材Pにトナー画像を定着させる定着装置80が設けられている。
【0048】
定着装置80は、シート部材Pのトナー画像面側(上側)に配置され、通電により発熱する熱源を有する加熱ロール82と、加熱ロール82の下側に配置されシート部材Pを加熱ロール82の表面に向けて加圧する加圧ロール84とで構成されている。なお、搬送路28におけるシート部材Pの搬送方向で定着装置80よりも下流側には、排紙部15又は反転部33へ向けてシート部材Pを搬送する搬送ロール39が設けられている。
【0049】
一方、原稿読取装置56の下側で現像装置70よりも上側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナーを収容するトナーカートリッジ78Y、78M、78C、78K、78E、78Fが水平方向に並んで交換可能に設けられている。第1特別色E及び第2特別色Fは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の特別色(透明を含む)から選択され、または、選択されないようになっている。そして、現像装置70では、第1特別色E及び第2特別色Fが選択された場合はY、M、C、K、E、Fの6色での画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fが選択されない場合はY、M、C、Kの4色での画像形成を行うようになっている。なお、本実施形態では、一例として、Y、M、C、Kの4色で画像形成を行い、第1特別色E及び第2特別色Fを未使用とした場合について説明するが、他の例として、Y、M、C、Kの4色と第1特別色E又は第2特別色Fを用いて5色で画像形成を行ってもよい。
【0050】
以上の構成により、図14に示されるように、画像形成装置10を作動させると、画像処理装置(図示省略)又は外部から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像データが露光装置66に順次出力される。このとき、一例として、現像装置70は、現像器72Y(図13参照)が像保持体62の表面と対向するように回転し保持されている。また、クリーニング装置90のブレード90A及び二次転写ロール71は、各色のトナー画像が中間転写ベルト68に多重(一次)転写されるまで、中間転写ベルト68の表面から離されている。
【0051】
続いて、露光装置66から画像データに応じて出射された光は、帯電部材64により帯電された像保持体62の表面を露光する。そして、例えば、像保持体62の表面にはイエローの画像データに対応した静電潜像が形成される。さらに、像保持体62の表面に形成された静電潜像は、現像器72Yによってイエローのトナー画像として現像される。そして、像保持体62の表面のイエローのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68に転写される。
【0052】
続いて、現像装置70が矢印+R方向に60°回転され、現像器72Mが像保持体62の表面と対向する。そして、帯電、露光、現像の各工程が行われ、像保持体62の表面のマゼンタのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68のイエローのトナー画像上に転写される。同様にして、シアン(C)、黒(K)のトナー画像が中間転写ベルト68上に順次多重転写される。中間転写ベルト68に対してトナー画像の転写が終了すると、クリーニング装置90のブレード90A及び二次転写ロール71は、中間転写ベルト68の表面へ接する。
【0053】
一方、収容部12から送り出され、搬送路28を搬送されてきたシート部材Pは、位置合せロール38により、中間転写ベルト68への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて二次転写位置に搬送される。そして、中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、二次転写位置に搬送されてきたシート部材P上に二次転写ロール71によって二次転写される。さらに、中間転写ベルト68の表面に付着した残留トナーがブレード90Aで中間転写ベルト68から掻き落とされて回収される。
【0054】
続いて、トナー画像が転写されたシート部材Pは、定着装置80に向けて矢印A方向(図示の右方向)に搬送される。そして、定着装置80では、トナー画像が加熱ロール82及び加圧ロール84によって加熱、加圧されることでシート部材Pに定着される。さらに、トナー画像が定着されたシート部材Pは、一例として、排紙部15に排出される。
【0055】
なお、シート部材Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置80で表面に画像定着を行った後、シート部材Pを矢印−V方向に沿って反転部33に送り込むと共に矢印+V方向に沿って送り出すことで、シート部材Pの先端と後端を入れ替える。そして、シート部材Pを両面搬送路29によって矢印B方向(図示の左方向)に搬送し、さらに搬送路28に送り込んで、シート部材Pの裏面の画像形成及び定着を表面と同様に行う。
【0056】
(要部構成)
次に、除電部材88について説明する。
【0057】
<除電部材>
図7(A)(B)に示されるように、除電部材88は、複数個の突起122が鋸歯状に形成された板状の金属電極120と、この金属電極120を挟むように支持する支持部材124及び支持部材126とを備えている。
【0058】
金属電極120は、像保持体62の回転軸方向(以下、「軸方向」と言う。)に延びて設けられている。また、この金属電極120には、支持部材124、126に対する金属電極120の支持位置を決めるために用いられる円孔120A及び長孔120Bが形成されている。この長孔120Bは、円孔120Aとは離れた位置に配置され、軸方向に延びて形成されている。
【0059】
また、支持部材124は、軸方向に延びて設けられ、金属電極120を鉛直方向下側から支持するように配置されている。さらに、支持部材124には、金属電極120に形成された円孔120A及び長孔120Bに挿入される凸状の円柱部124Aが2個形成されている。
【0060】
これに対して、支持部材126は、支持部材124と同様に軸方向に延びて設けられ、金属電極120を挟んで支持部材124の反対側に配置されている。さらに、支持部材126には、支持部材124との間で金属電極120を挟み込んだ状態で、支持部材124に形成された凸状の円柱部124Aが挿入される凹状の凹部126Aが2個形成されている。なお、金属電極120の材質、詳細な形状及び製造方法等については後述する。
【0061】
<金属電極>
次に、金属電極120の材質、形状について説明する。
【0062】
図3(A)(B)に示されるように、金属電極120は、厚さ100μmのSUS304(ステンレス鋼板)を用いて成形されており、複数個の鋸歯状の突起122を備えている。
【0063】
突起122の外縁は、突起122の先端に設けられた円弧状の先端部122Aと、この先端部122Aから基端側にかけて直線状に延びる直線部122Bとで構成されている(図1参照)。
【0064】
そして、本実施形態では、一例として先端部122Aの曲率半径は、40〔μm〕とされ、この曲率半径の公差は±20〔μm〕に設定されている。さらに、金属電極120に形成された円孔120A及び長孔120Bが突起122の突出方向の基準(データム)とされている。そして、円孔120A及び長孔120Bから先端部122Aまでの距離(図中A寸法)が決められた範囲内に入るように管理されている。
【0065】
<金属電極の製造方法>
次に、金属板の製造方法の一例として金属電極の製造方法について説明する。
【0066】
図4(A)(B)に示されるように、先ず、レジスト塗布工程では、厚さ100〔μm〕のSUS304の板材150の両面に、ポジ型のフォトレジスト152を厚み1〔μm〕で塗布する。
【0067】
次に、図4(C)に示されるように、露光工程では、鋸歯状の突起パターン(エッチングパターン)が形成されたフイルム原版154をフォトレジスト152が塗布された板材150に密接させて固定する。そして、フイルム原版154に向けて露光を行い、突起パターン160(図1(A)参照)をフォトレジスト152に焼き付ける。なお、突起パターン160については詳細を後述する。
【0068】
次に、図4(D)に示されるように、現像工程では、突起パターン160がフォトレジスト152に露光転写された板材150に対して現像液を用いて現像処理を行う。これにより、露光されたエリアのフォトレジスト152は現像液に溶解し、フォトレジスト152が、鋸歯状の突起パターン160に形成される。
【0069】
次に、図4(E)に示されるように、エッチング工程では、板材150をエッチング液(本実施形態では一例として塩化第2鉄溶液)に浸漬、又は板材150にエッチング液を吹き掛ける(シャワーする)ことにより、現像により露出した板材150の露出部分をエッチングする。
【0070】
次に、図4(F)に示されるように、レジスト剥離工程では、水酸化ナトリウム溶液を用いて、板材150に塗布されているフォトレジスト152を除去する。このように、金属電極120を製造する。
【0071】
なお、金属電極120の円孔120A及び長孔120Bもエッチングにより同時に成形される。
【0072】
<突起パターン>
次に、フォトレジスト152に焼き付けられる突起パターン160について説明する。
【0073】
図1(A)に示されるように、二点鎖線で示される形状の突起122をウェットエッチングで得るためには、突起パターン160は、突起122の縁部より外側にオフセットさせる必要がある。
【0074】
これは、エッチング工程においてエッチング液が、突起パターン160の裏面に侵入して板材150を必要以上にエッチングする(所謂サイドエッチング)し、突起122が突起パターン160に対して小さく成形されるからである。なお、設計上の製品の縁部(図1(A)に示す二点鎖線)に対してフォトレジストをオフセットさせた量をレジストオフセット量と言う。
【0075】
そして、本実施形態では、突起122における先端部122Aのレジストオフセット量(図中C寸法)は、先端部122Aの曲率半径に基づいて、直線部122Bのレジストオフセット量(図中D寸法)と異なり、直線部122Bのレジストオフセット量より大きくされている。これは、先端部122Aでは、周囲からサイドエッチングが侵攻するため、サイドエッチングの侵攻量が直線部122Bに比して多いからである。
【0076】
つまり、図2(A)に示されるように、レジストオフセット量を先端部122Aと直線部122Bとで同じ量(距離)の突起パターン161とすると、図2(B)に示されるように、エッチング工程後に得られる先端部の形状(実線)が、設計上の先端部の形状(破線)に対して小さくなってしまう。
【0077】
ここで、突起122の先端部122Aのレジストオフセット量を決める手順について説明する。
【0078】
先ず、図8に示されるグラフについて説明する。図8に示すグラフの横軸は、突起122における先端部122Aの曲率半径〔μm〕とされ、縦軸は、サイドエッチングによりフォトレジストに対して製品端部が後退した後退量〔μm〕とされている。ここで、後退量〔μm〕とは、図1におけるE寸法(=C寸法−D寸法)のことである。そして、シミュレーションにより算出された曲率半径と後退量の関係が曲線で示されている。つまり、このシミュレーションの結果から先端部122Aの曲率半径〔μm〕が小さい程(先端が鋭利な程)後退量が大きくなることが分かる。
【0079】
なお、板材としては、前述したように、厚さ100〔μm〕のSUS304を用いることを考慮してシミュレーションを行っている。
【0080】
次に、図9に示されるグラフについて説明する。図9に示すグラフの横軸は、突起122における先端部122Aの曲率半径〔μm〕とされている。これに対し、縦軸は、先端部122Aを形成されるためのレジストオフセット量を、直線部122Bを形成させるためのレジストオフセット量(D寸法)に対して拡大させた拡大量〔μm〕(図1(A)に示すE寸法)とされている。
【0081】
詳細には、厚さ100〔μm〕のSUS304の板材の場合、一例として直線部122Bではレジストオフセット量を35〔μm〕とする(D寸法)。この35〔μm〕のフォトレジストに対してさらに拡大させた拡大量(E寸法)が縦軸に記載されている。つまり、拡大量70〔μm〕の場合には、レジストオフセット量は、35〔μm〕+70〔μm〕で105〔μm〕となる。
【0082】
図8に示した後退量を補うべく、当該後退量と同じ値の拡大量を設定すれば良いと考えられるため、実際に後退量=拡大量として板材のウェットエッチングを行なった(図15)。その結果、図8に示したシミュレーション結果を補正する必要が生じたため、図9に示される曲率半径と拡大量との関係(グラフ)は、図8に示される曲線(グラフ)に対して前記実際に板材のウェットエッチングを行って測定した値を加味して図8のシミュレーション結果を補正した曲線である。そして、この図9に示される曲線によると、先端部の曲率半径をr〔μm〕とすると、拡大量b〔μm〕は下記式(1)で近似できる。
【0083】
b=0.03r2−3.2r+110〔μm〕・・・・・(1)
【0084】
この式(1)は、図15に示した先端部122Aの曲率半径R(μm)毎に採取した複数のデータの平均値に基づいて近似したものである。つまり、曲率半径R=15μmの複数のデータの平均値と、曲率半径R=35μmの複数のデータの平均値と、曲率半径R=40μmの複数のデータの平均値と、曲率半径R=45μmの複数のデータの平均値と、曲率半径R=50μmの複数のデータの平均値に基づいて近似したものである。 尚、図15に示すグラフの横軸と縦軸の意味は、図9と同じである。
【0085】
また、図11の横軸には、突起122における先端部122Aの曲率半径〔μm〕が記載され、縦軸には、突起の高さ(図3(B)に示す寸法A)における設計値と製品形状との差(平均値)が記載されている。そして、本実施例のように先端部のレジストオフセット量を直線部のレジストオフセット量より式(1)で得たbの結果だけ大きくした場合を○で表し、先端部のレジストオフセット量と直線部のレジストオフセット量とを同じにした場合を比較形態とし△で表した。この図11から分かるように、図9に示す拡大量を先端部122Aのレジストオフセット量に加味する(直線部のレジストオフセット量に対して、図9の拡大量を加算して先端部122Aのレジストオフセット量にする)ことで設計値に近い製品形状が得られる。
【0086】
さらに、図10には、図9に記載する曲線と、拡大量b〔μm〕のバラツキに対する許容値の上限の曲線及び下限の曲線とが記載されている。そして、許容される拡大量b〔μm〕は、下記式(2)で表される。
【0087】
0.03r2−3.2r+90≦b≦0.03r2−3.2r+130〔μm〕・・・・(2)
【0088】
また、先端部のレジストオフセット量をp〔μm〕とすると、拡大量b〔μm〕に直線部のレジストオフセット量s〔μm〕が加えられる。このため、本実施形態において先端部でのレジストオフセット量p〔μm〕は、下記式(3)で表される。
【0089】
0.03r2−3.2r+90+s≦p≦ 0.03r2−3.2r+130+s・・・・・(3)
【0090】
このように、先端部でのレジストオフセット量p〔μm〕を規定することで、前述した先端部の曲率半径の許容公差±20〔μm〕に対する不良率が減らされる。
【0091】
次に、式(1)を用いた場合のレジスト形状の決定方法の一実施例を図16を用いて説明する。E寸法は拡大量b〔μm〕、D寸法はレジストオフセット量s〔μm〕、F寸法は先端部の曲率半径をr〔μm〕である。また、突起122の先端部Aは、点Pを中心とした半径がF寸法の円弧である。 まず、金属電極120の全体に対して一律にD寸法の仮想レジストを形成する。この場合、先端部122Aの仮想レジストは、点Pを中心として、半径をF寸法+D寸法とした円弧UVとなる(U,P,Vは一直線状の点)。尚、突起122の直線部122Bの仮想レジストと、金属電極120の本体の直線部122Cの仮想レジストとの交点をS、Tとする。
【0092】
次に、拡大量bが上記式(1)により決定した後、前記円弧UVをそのままの形状で寸法E突出させ、円弧UVの一端Uと交点S、他端Vと交点Tを直線で結ぶ。その結果形成された直線SU、円弧UV、直線VTによる形状が、突起122のレジストとなる。
【0093】
尚、ここで説明したレジスト形状の決定方法は、あくまで一実施例であって、本発明はこれに限定して解釈されるものではない。
【0094】
(要部構成の作用)
以上説明したように、本実施形態に係る金属電極の製造方法によれば、突起122における先端部122Aのレジストオフセット量は、先端部122Aの曲率半径に基づき、直線部122Bのレジストオフセット量より大きくされ、前述した式(3)を用いて先端部122Aのレジストオフセット量が決められている。このため、設計値にほぼ等しい製品形状にすることができる。
【0095】
また、先端部122Aの製品形状が設計値に近づくため、先端部122Aと被対象物(例えば、像保持体62、シート部材)との間で効果的に放電が生じる。
【0096】
また、本実施形態に係る金属電極の製造方法によれば、先端部122Aの曲率半径をrとし、直線部122Bのレジストオフセット量をs〔μm〕とし、先端部のレジストオフセット量をp〔μm〕とした場合に、
0.03r2−3.2r+90+s≦p≦ 0.03r2−3.2r+130+s
の関係が満たされる。このため、例えば、曲率半径の許容公差を±20〔μm〕とした場合に、製品の不良率が減らされる(歩留まりが向上する)。
【0097】
また、本実施形態に係る帯電部材64によれば、金属電極100の先端部と像保持体62との間で効果的に放電が生じるため、像保持体62の表面が効率よく帯電される。
【0098】
また、本実施形態に係る除電部材88によれば、金属電極120の先端部122Aとシート部材Pとの間で効果的に放電が生じるため、シート部材Pが効率良く除電される。
【0099】
また、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、帯電部材64を備えているため、出力画像の画像品質が向上する。
【0100】
また、本実施形態に係る画像形成装置10によれば、除電部材88を備えているため、画像形成後に装置本体外に排出されて積載されたシート部材Pが互いに静電気力により引き付けようとするのは抑制される。
【0101】
〔第2実施形態〕
本発明の他の実施形態について以下に説明する。尚、説明を分かり易くするため、第1実施形態との相違点のみ説明し、第1実施形態と同一の部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0102】
第1実施形態は、帯電部材64としてコロトロンワイヤーを用いたスコロトロンタイプのものを示したが、本第2実施形態では、帯電部材164が針状電極で構成されている点で相違する。
【0103】
すなわち、図5、図6、図12に示されるように、帯電部材164は、複数個の突起102が鋸歯状に形成された板状の金属電極100と、この金属電極100を支持する支持部材104とを備えている。金属電極100は、像保持体62の回転軸方向に延びて設けられている。また、この金属電極100には、支持部材104に対する金属電極100の支持位置を決めるために用いられる第一溝100A及び第二溝100Bが形成されている。この第二溝100Bは、第一溝100Aとは離れた位置に配置され、第一溝100Aより幅広とされている(図5参照)。
【0104】
また、支持部材104は、像保持体62の回転軸方向に延びて設けられ、支持部材104の軸方向両端側には、像保持体62に向けて突出した突出部104Aが形成されている。さらに、支持部材104には、軸方向に延びると共に金属電極100が挿入される溝104Bが形成されている。また、この溝104Bの溝内には、金属電極100に形成された第一溝100A及び第二溝100Bが接触する図示せぬ接触部が設けられている。そして、この溝104Bに金属電極100が挿入されることで、突起102の先端部102Aが、像保持体62側に向くようになっている(図6、図12参照)。
【0105】
また、支持部材104に支持された金属電極100を金属電極100の板厚方向から挟み込むように支持部材104に取り付けられる一対の側板106が設けられている。さらに、支持部材104の突出部104Aの端面に取り付けられる網状のグリッド電極110は、金属電極100と像保持体62との間に配置されている。
【0106】
以上より、帯電部材164は、金属電極100、支持部材104、一対の側板106及びグリッド電極110を含んで構成されている。なお、金属電極100の材質、詳細な形状及び製造方法等については第1実施形態に記載したものと同様である。
【0107】
なお、金属電極100については、金属電極100の基準(データム)が、第一溝100A及び第二溝100Bとされている(図5参照)点で、金属電極120と異なるが、他の構成については、金属電極120とで同様である。
【0108】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、突起を備える金属電極の製造方法を例にとって説明したが、突起を備えるICリードフレーム、フィルタ、メッシュ、スクリーン、ブレード、メタルドーム、ネームプレート、メタルデコレーション等の製造に本実施形態に係る金属板の製造方法を用いてもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、厚さ100μmのSUS304の板材を用いて説明したが、他の厚さ及び材質の金属板を用いて突起をそなえる金属板を製造してもよい。
【符号の説明】
【0110】
10 画像形成装置
62 像保持体
64 帯電部材
66 露光装置(露光部材の一例)
70 現像装置(現像部材の一例)
71 二次転写ロール(転写部材の一例)
88 除電部材
100 金属電極
120 金属電極
122 突起
122A 先端部
122B 直線部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部が円弧状の突起をウェットエッチングにより金属板に成形させるために前記金属板の板面にレジストを形成させる際に、前記先端部のレジストオフセット量が前記金属板の直線部のレジストオフセット量よりも大きくなるように、前記先端部の曲率半径に基づいて前記レジストを前記金属板の板面に形成するレジスト形成工程と、
前記レジスト形成工程で前記レジストが形成された前記金属板にエッチング液を作用させて前記金属板をエッチングするエッチング工程と、
を備える金属板の製造方法。
【請求項2】
前記先端部の曲率半径をr〔μm〕とし、前記直線部のレジストオフセット量をs〔μm〕とし、前記先端部のレジストオフセット量をp〔μm〕とした場合に、
0.03r2−3.2r+90+s≦p≦ 0.03r2−3.2r+130+s
の関係を満たす請求項1に記載の金属板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の金属板の製造方法を用いて製造された先端部が円弧状とされる突起を有する金属板。
【請求項4】
請求項1または2に記載の金属板の製造方法を用いて製造された先端部が円弧状とされる突起を有する金属電極。
【請求項5】
請求項4に記載の金属電極と、
前記金属電極に備えられた突起が被対象物を向くように、前記金属電極を支持する支持部材と、
を備える帯電部材。
【請求項6】
請求項4に記載の金属電極と、
前記金属電極に備えられた突起の先端部が被対象物に接するように、前記金属電極を支持する支持部材と、
を備える除電部材。
【請求項7】
請求項5に記載の帯電部材と、
前記帯電部材によって帯電した像保持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光部材と、
前記露光部材が形成した静電潜像をトナー画像として可視化する現像部材と、
を備える画像形成装置。
【請求項8】
表面にトナー画像が形成される像保持体と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材によってトナー画像が転写された記録媒体を除電する請求項6に記載の除電部材と、
を備える画像形成装置。
【請求項1】
先端部が円弧状の突起をウェットエッチングにより金属板に成形させるために前記金属板の板面にレジストを形成させる際に、前記先端部のレジストオフセット量が前記金属板の直線部のレジストオフセット量よりも大きくなるように、前記先端部の曲率半径に基づいて前記レジストを前記金属板の板面に形成するレジスト形成工程と、
前記レジスト形成工程で前記レジストが形成された前記金属板にエッチング液を作用させて前記金属板をエッチングするエッチング工程と、
を備える金属板の製造方法。
【請求項2】
前記先端部の曲率半径をr〔μm〕とし、前記直線部のレジストオフセット量をs〔μm〕とし、前記先端部のレジストオフセット量をp〔μm〕とした場合に、
0.03r2−3.2r+90+s≦p≦ 0.03r2−3.2r+130+s
の関係を満たす請求項1に記載の金属板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の金属板の製造方法を用いて製造された先端部が円弧状とされる突起を有する金属板。
【請求項4】
請求項1または2に記載の金属板の製造方法を用いて製造された先端部が円弧状とされる突起を有する金属電極。
【請求項5】
請求項4に記載の金属電極と、
前記金属電極に備えられた突起が被対象物を向くように、前記金属電極を支持する支持部材と、
を備える帯電部材。
【請求項6】
請求項4に記載の金属電極と、
前記金属電極に備えられた突起の先端部が被対象物に接するように、前記金属電極を支持する支持部材と、
を備える除電部材。
【請求項7】
請求項5に記載の帯電部材と、
前記帯電部材によって帯電した像保持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光部材と、
前記露光部材が形成した静電潜像をトナー画像として可視化する現像部材と、
を備える画像形成装置。
【請求項8】
表面にトナー画像が形成される像保持体と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記転写部材によってトナー画像が転写された記録媒体を除電する請求項6に記載の除電部材と、
を備える画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−11731(P2013−11731A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144322(P2011−144322)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【特許番号】特許第4985868号(P4985868)
【特許公報発行日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【特許番号】特許第4985868号(P4985868)
【特許公報発行日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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