説明

金属表面に緻密な飽和ポリエステル被膜を形成する方法とそれを実施するシステム

【課題】 本発明の課題は、亜鉛メッキが施された数mm以下の薄い鉄板に亜鉛メッキ層を痛めることなく、ピンホールの無い層を形成すると共に亜鉛メッキ層との密着性が高い飽和ポリエステルの被覆を施す新規な手法を提供することにある。更に、本発明は金属板に化粧板的要素を加え、金属表面に施された飽和ポリエステルの被覆層に適宜の模様をつける技術を提供する。
【解決手段】 本発明の金属表面を飽和ポリエステルで被覆する方法は、使用する飽和ポリエステルの融点以上に金属板を加熱する工程と、該金属板表面に飽和ポリエステルを塗装する工程と、塗装された飽和ポリエステルが軟化状態の下で金属表面にローラを圧着走査する工程とからなる。好ましくは金属板には亜鉛メッキが施された鋼材を、飽和ポリエステルには融点が260℃以下のものを、また、ローラには弾性を備えた素材の表面にテフロン(登録商標)被覆されたものを使用するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄板等金属表面に飽和ポリエステルの被膜を形成する方法及びその被覆方法を実行するためのシステムに関し、特に塩害や種々の腐食条件の厳しい場所でも防食性に優れた、飽和ポリエステル樹脂系の粉体塗料で被膜された鋼やステンレス等の鉄材のみならず他の金属板の製造方法、及びその方法を実施するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
野外設置の金属部品は耐食性を持たせるために、溶融亜鉛メッキを施したものが多く用いられている。しかし塩害等の影響が強い海岸地帯、温泉地域など腐食が発生しやすい環境において使用される金属部材には耐食性を向上させるため、溶融亜鉛メッキの上に更にプラスチックの塗装を施すことがなされている。従来広く使用されてきたポリ塩化ビニルは環境面から敬遠され、エポキシ系の樹脂は耐候性の面と亜鉛メッキ層との密着性が劣る点で野外使用には不向きである。これに対し、ポリエステル系の樹脂が耐候性に優れていることが知られているが、不飽和ポリエステルの場合、硬度が高くなるため、曲げ力が加わった場合亀裂を生じるなどの問題があり、振動や曲げ力が掛かる部材には不向きである。その点で飽和ポリエステル系の被覆が好適であることは非特許文献1に紹介されているところである。この文献には飽和ポリエステル、特殊ポリウレタン、軟質ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、鋼表面にポリウレタン塗装した5種類の試験片を6年間三宅島の試験場で暴露試験した結果が紹介されている。試験のまとめとして次のように報告されている。
「直接焼付け法による飽和ポリエステル樹脂の粉体焼付け塗装材及び各種市販材の二重防食塗装の防食性能について、三宅島での暴露試験を主体に評価を行った。直接焼付け法による飽和ポリエステル塗装材は、亜鉛めっき面への高い密着力に起因する優れた防食性能を発揮し、塩水噴霧試験においても、同様に良好な結果を得た。
暴露試験は、試験期間が長期に渡らざるを得ないが、実際の環境における塗装の寿命を直接把握することができる点で非常に重要である。今回、6年間の強腐食地域での暴露試験により、耐候性も含めた各樹脂の特徴を見出すことができた。
これまでの検討をもとに、腐食地帯用の各種屋外通信設備の防食塗装に溶融亜鉛めっきと各樹脂の二重防食がその特徴及び経済性等を考慮し適用されている。今後さらに、設備のメンテナンスフリー化を目指し、飽和ポリエステル塗装材をはじめ、環境にやさしい粉体焼付塗装の展開が期待される。」
【0003】
塩害が強い等の厳しい環境の中でも、飽和ポリエステルが耐候性に優れていることは既に知られているところであるが、この飽和ポリエステルの被覆を薄い鉄板に施そうと粉体焼付けをするとき、予熱処理によってまず鉄板を加熱し、その高温状態の中で粉体塗装を行うことになるが、薄い鉄板の場合質量に対する表面積が大きくなって構造的に冷めやすいためどうしても予熱温度を高くしなければならず、鉄板を350度以上に加熱すると亜鉛メッキ層にダメージを与えてしまうという問題が生じた。本発明者らは先に開発した260℃以下の低溶融点を持った飽和ポリエステル(特許文献1)を使用することによって、上記の問題を解決したのであるが、次に鉄板表面に飽和ポリエステルの被覆層を粉体塗装によって形成させると表面にはピンホールが散在して発生しやすく、広い表面を持った鉄板はその部分から腐食が進むという問題が生じた。
【特許文献1】特開平11−106701号公報 「粉体塗料、その塗装方法、および塗装金属製品」 平成11年4月20日公開
【特許文献2】特開平9−299877号公報 「合成樹脂粉体塗料の二重塗り被覆形成法」 平成9年11月25日公開
【非特許文献1】半田隆夫、高沢寿佳「亜鉛メッキ鋼材における焼付塗装の防食性能」粉体塗装Vol.19 粉体塗装研究会発行 1993. No.4
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、亜鉛メッキが施された数mm以下の薄い鉄板に亜鉛メッキ層を痛めることなく、ピンホールの無い層を形成すると共に亜鉛メッキ層との密着性が高い飽和ポリエステルの被覆を施す新規な手法を提供することにある。
更に、本発明は金属板に化粧板的要素を加え、金属表面に施された飽和ポリエステルの被覆層に適宜の模様をつける技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の金属表面を飽和ポリエステルで被覆する方法は、使用する飽和ポリエステルの融点以上に金属板を加熱する工程と、該金属板表面に飽和ポリエステルを被覆する工程と、被覆された飽和ポリエステルが軟化状態の下で金属表面にローラを圧着走査する工程とからなる。好ましくは金属板には亜鉛メッキが施された鋼材を、飽和ポリエステルには融点が235℃以下のものを、また、ローラには弾性を備えた素材の表面にテフロン(登録商標,以下同様)被覆されたものを使用するようにした。
本発明の金属表面を飽和ポリエステルで被覆する方法は、ローラには表面に100μm以下の凹凸からなる模様形状のあるものを使用し、被覆面に模様を形成するようにした。
本発明の金属表面を飽和ポリエステルで被覆するシステムは、被加工金属板を予熱する炉と、該予熱された金属板表面に飽和ポリエステルの塗装を施す装置と、飽和ポリエステルの層の上からローラを圧着する装置が配置され、各装置間をコンベアー機構で連結するようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明の金属表面を飽和ポリエステルで被覆する方法は、使用する飽和ポリエステルの融点以上に金属板を加熱する工程と、該金属板表面に飽和ポリエステルを被覆する工程と、被覆された飽和ポリエステルが軟化状態の下で金属表面にローラを圧着走査する工程とからなるものであり、金属板表面に塗装された飽和ポリエステルが加熱軟化状態においてローラで圧着処理されるものであるから、被覆層を均一にならすことにより、ピンホールをなくすことができる。
また、本発明の金属表面を飽和ポリエステルで被覆する方法において金属板には亜鉛メッキが施された鋼材を飽和ポリエステルの融点が235℃以下のものを使用したときは、金属板が構造的に冷めやすい薄板であっても予熱温度を高くする必要が無く、亜鉛メッキ層を痛めることがない。しかも、ローラの圧着という処理により、亜鉛メッキ層との親和性の良い飽和ポリエステルの層が更に密着性を高める効果を奏する。
また、本発明の金属表面を飽和ポリエステルで被覆する方法において、ローラには弾性を備えた素材の表面にテフロン被覆されたものを使用したときは、飽和ポリエステルの被覆層とローラとの剥離性が高く、滑らかで綺麗な表面が形成できる。
【0007】
本発明の金属表面を飽和ポリエステルで被覆する方法において、ローラには表面に100μm以下の凹凸からなる模様形状のあるものを使用したときは、被覆層を均一にならすことにより、ピンホールをなくすことができるという本発明の基本的作用効果を損なうことなく、被覆面に所望の模様を形成することができ、美しい模様の化粧板形態で金属表面を飽和ポリエステル被覆することができる。
本発明の方法によって飽和ポリエステル被覆された金属板は、その後金属板を波板形状等にプレス加工を施してもその密着性の高さと柔軟性を備えるため、被覆層を痛めることがない。
また、本発明の金属表面を飽和ポリエステルで被覆するシステムは、被加工金属板を予熱する炉と、該予熱された金属板表面に飽和ポリエステルの塗装を施す装置と、飽和ポリエステルの層の上からローラを圧着する装置が配置され、各装置間をコンベアー機構で連結するようにしたものであるから、耐候性に富んだ飽和ポリエステルの被覆層をピンホールのない上、密着性が良くかつ均一な形態で金属板に容易にライン生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の処理工程を図2に示すシステム基本構成図を参照しつつ、図1のフローチャートに沿って説明する。ステップ1は被加工物である金属板の錆や汚れを落とす工程であり、図2に示すシステム図の洗浄手段を備えた汚れ取り装置1で行う。好ましくは研磨剤を用い表面の汚れを洗い落とす。洗浄が行われたならばステップ2の予熱工程へ進む。システムではコンベア7で次の予熱炉2へ金属板を送り加熱する。用いる塗料が融点250℃の融点をもった飽和ポリエステルであれば、被加工物が亜鉛メッキされた薄鋼板であっても予熱温度は300℃程でよく、この温度であれば亜鉛メッキ層を痛めることはない。350度では亜鉛メッキ層にダメージを与えてしまうことから、余熱温度は340℃以下に抑えることが一つの目安となる。ステップ3で金属板表面に飽和ポリエステルを塗装する工程へ移る。飽和ポリエステルは粉体状のものを静電塗装しても良いし、ガン吹きつけであってもよい。金属表面に付着した飽和ポリエステルは融点以上に熱せられ、溶融形態で金属表面に積層される。システム上は塗装装置3でこの工程を行う。粉体は加熱物体に直接接した粒子から熔融し又そこへ重なった粉体もその熱を受けて溶け、順次層を厚くして付着する。これを実行するには、静電塗装機によって吹きつける手法と流動浸漬法で粉体が浮遊している所を通過させる手法とが採用できる。ステップ3の工程を所定時間施してから取り出せば金属板表面に飽和ポリエステル樹脂が被膜された状態となってでてくるが、その際の時間と温度をコントロールすることにより、所望の膜厚を得ることができる。
【0009】
次のステップ4の工程で本発明の最も特徴的なローラによる圧着処理が施される。金属板表面に塗装された飽和ポリエステルが金属の予熱により加熱され、軟化した被覆層状態においてローラで圧着処理されるものであるから、飽和ポリエステルの被覆層を均一にならすことにより、塗装時には存在していたピンホールを埋めることができる。そして、圧着という操作の結果として金属表面と飽和ポリエステルの境界面が密着され、もともとの金属表面や亜鉛メッキ層との親和性が高い飽和ポリエステルであるが、この処理を施したことにより更に密着性が高くなる。したがって、可動部分や振動部分に用いられる部材であっても長期間の使用に際し剥離という現象は生じない。この工程はシステム上はローラ圧着装置4によって行われる。ローラは金属の使用も可能であるが好ましくはそのような剛性の高いものではなく硬質ゴムやシリコンのようなやや柔軟性を持った耐熱性のあるものがよく、表面はテフロン被覆されたものがローラと飽和ポリエステルとの剥離を良くする点で好ましい。また、図面ではローラは表裏両面から圧着される形態を示しているが、片面被覆の場合には一方からローラを圧着する形態でも良い。ステップ5には冷却工程が入れられている。飽和ポリエステルの被覆が施された金属板を冷却することにより、飽和ポリエステル層を固化させ、安定させる処理である。システム上は水槽5を通すことで水冷が行われる。最後にステップ6の工程で乾燥処理を行う。すなわち、水冷で濡れた表面から水滴を気化させるのであるが、前工程の水冷時に常温まで冷却せず、やや高めの温度で取出しその余熱と乾燥したガスを吹き付けて乾燥させるのが合理的である。
【0010】
[試験例]
まず、被加工物に厚さ2mmの亜鉛メッキされた鋼板を準備し、飽和ポリエステルの素材として融点230℃の低融点ポリエステル粉体を採用して被覆を行った。予熱炉では250〜260℃に加熱し、塗装は流動浸漬法によって実施し、飽和ポリエステルの被覆層の厚みは200μmとした。表面温度が220℃に下がった状態でローラ圧着処理を施した。用いたローラはクロムメッキされた金属ローラとその金属ローラにテフロンテープを巻き付けたものを採用した。この二種類のローラによる圧着走査を施したものを試作し、冷却乾燥処理を行ってサンプルを得た。また、比較サンプルとしてローラ圧着処理を施さない通常の被覆処理のものも作製した。ローラで圧着処理した後の被覆厚さはやはり200μmで変化はみられなかった。
【0011】
ローラ圧着処理を施さない通常の被覆処理の試料片を試料1,クロムメッキされた金属ローラで圧着処理した試料片を試料2,金属ローラにテフロンテープを巻き付けたもので圧着処理した試料片を試料3としてそれぞれの表面状態を顕微鏡観察した。図3のもの(原版)は50倍で撮像した顕微鏡写真であり、上段が試料1のもの中段が試料2のものそして下段が試料3のものである。実際の倍率は画像右下の0.1mmの単位長さで判断されたい。一見して、本発明のローラ圧着処理を施した試料2は通常の被覆処理した試料1の表面と比較して表面状態が緻密であることが見て取れる。また、テフロンテープを巻いたローラで圧着した試料3はテープの表面文様が転写され、表面状態が全く異なって観察される。それぞれの表面状態をミクロ的に比較するため更に顕微鏡倍率を高くして撮像した顕微鏡写真を図4乃至6に示す。図4はローラの圧着加工を施していない従来の粉体塗装面であって、上段が100倍の画像(原版)、下段が200倍の画像(原版)である。実際の倍率は画像下帯欄の100μmの単位長さで判断されたい。上段画像からは表面が滑らかであるが所々に斑点模様が散在しているのが観察され、下段の拡大画像でそれらを詳細に観察すると、凹部形状となったピンホールであることが分かる。金属表面が直接露出した状態ではないにせよ被覆層の厚みに大きな差があることが確認できる。これに対して、図5に示したものはローラの圧着加工を施した本発明に係る粉体塗装面であって、上段が100倍の画像(原版)、下段が200倍の画像(原版)である。この図も実際の倍率は画像下帯欄の100μmの単位長さで判断されたい。まず上段画像で観察すると、全体的な表面の状態は図4のもののように滑らかではなく、壁面を鏝でならしたように凹凸が観察されるが、斑点模様は断然少なく数えるほどの数である。この斑点部分を下段の高倍率画像で詳細に観察すると、極めて浅い凹部形状となっており、ピンホールとしての腐食の心配はない状態であることが分かる。このように、ローラで圧着処理すると金属板表面に塗装された飽和ポリエステルが加熱軟化状態にあるため、被覆層を均一にならすこととなって表面に散在するピンホール形態の深い凹部が埋められるものと解される。表面状態はローラとの接触のため粉体塗装のままのものより平滑ではないが、鏝でならしたようなその凹凸形状は下段の高倍率画像で確認できるようになだらかな浅い凹凸であって、被覆層としては全く問題はないものである。
【0012】
次に、テフロンテープを巻き付けた金属ローラで圧着処理した試料を観察する。そもそも、ローラ表面にテフロンテープを巻いた意図は被覆された飽和ポリエステルがローラ表面に付着することを防止させるためであった。この付着の問題はローラの温度が高くなった場合に懸念されるもので試作段階の少量生産では生じないが、ラインで量産する場合には表面を付着防止作用のあるテフロン加工したり、ローラ部分の温度を所定範囲に維持することが有効となる。ローラ部分の温度を所定範囲に維持する具体的な手段としては噴霧機構や配管冷却機構等を採用することができる。
【0013】
ところで、図6の顕微鏡写真は、表面にテフロンテープを巻き付けたローラで圧着処理したものであるが、このテフロンテープには表面に細かい模様が形成されており、その模様が飽和ポリエステルの被覆面に転写されている。この試料の表面状態を上段の100倍画像で観察すると、全体に模様形状の凹凸が観察され、その中にやや暗い影となっている凹部が散見されるが斑点模様のピンホールは皆無である。これを更に高倍率の下段画像で観察すると、このやや暗い影となっている凹部も浅い凹部で被覆面として全く問題はないものであることが分かる。このことから、飽和ポリエステルの粉体塗装において本発明の樹脂軟化状態でのローラによる圧着走査の後処理はピンホール状の深い凹部を埋め、表面を均一化する作用効果があることが確認された。しかもローラの表面は平滑面である必要はなく、被覆層厚みに対して半分以下であれば凹凸があっても問題は生じないことも確認できた。従って、被覆面に模様を付けることが可能であり、化粧板的な要請に応えて所望の模様を100μm以下の凹凸形状で描くようにローラ表面を加工すればその模様を転写した飽和ポリエステルの被覆金属板を提供することができる。
【0014】
前述したように本発明は厚さが3mm以下の薄鋼板にピンホールがない安定した状態で飽和ポリエステルの被覆を施すことを課題に開発されたものである。薄鋼板には一般に亜鉛メッキが施されており、そのメッキ層と被覆層との親和性が求められるところであった。もともと飽和ポリエステルと亜鉛メッキとは親和性が高いのであるが、本発明において行われるローラの圧着走査という工程を踏むことにより亜鉛メッキ層と飽和ポリエステル層との境界面は密着性が増し、曲げ試験や振動試験においても剥離が起こることは皆無であった。この特性と飽和ポリエステル特に低融点飽和ポリエステルの特性が柔軟性に富んだものである特性とが相まって鋼板を波板にプレス加工する場合においても全く剥離の問題を生じることがないものである。
最近アスベスト公害が社会問題となっており、屋根部材としてアスベストが混入されているスレートが敬遠され、薄鋼板への需要が急増することが予測される。そのような状況下で屋根部材として耐候性に優れ、所望の色つけが可能(特許文献2参照)である飽和ポリエステル被覆の薄鋼板は本発明により亜鉛メッキ層との密着性に富み、ピンホールによる腐食劣化が防止され、更に所望の色つけと模様形成が可能となり、屋根部材や外壁材として有望である。しかも平板に限らず波板に加工できるという特有の効果を奏するものである。
【産業上の利用可能性】
【0015】
また、本発明はローラの圧着走査によって、層厚の均一化によるピンホールの除去や下地層との密着性が向上するという効果を奏するものであるので、被加工物は鋼板に限らず広く金属板等に適用できる。また、飽和ポリエステルの被覆についても粉体塗装に限らず、飽和ポリエステルフィルムのラミネート法においても応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の加工工程を説明するフローチャートである。
【図2】本発明の方法を実施するシステムの基本構成を示す図である。
【図3】本発明の方法と比較する従来方法のサンプルの顕微鏡写真である。
【図4】従来方法によって被覆した試料表面の高倍率顕微鏡写真である。
【図5】本発明の方法によって被覆した試料表面の高倍率顕微鏡写真である。
【図6】本発明の変形方法によって被覆した試料表面の高倍率顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0017】
1 汚れ取り装置 2 予熱炉
3 粉体塗装装置 4 ローラ圧着装置
5 冷却装置 6 乾燥装置
7 コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用する飽和ポリエステルの融点以上に金属板を加熱する工程と、該金属板表面に飽和ポリエステルを被覆する工程と、被覆された飽和ポリエステルが軟化状態の下で金属表面にローラを圧着走査する工程とからなる金属表面を飽和ポリエステルで被覆する方法。
【請求項2】
金属板には亜鉛メッキが施された鋼材を、飽和ポリエステルには融点が235℃以下の低融点のものを使用する請求項1に記載の金属表面を飽和ポリエステルで被覆する方法。
【請求項3】
ローラの表面がテフロン(登録商標)被覆されたものを使用する請求項1または2に記載の金属表面を飽和ポリエステルで被覆する方法。
【請求項4】
ローラには表面に被覆層厚さの半分以下の凹凸からなる模様形状のあるものを使用し、被覆面に模様を形成することを特徴とする請求項1乃至3に記載の金属表面を飽和ポリエステルで被覆する方法。
【請求項5】
被加工金属板を予熱する炉と、該予熱された金属板表面に飽和ポリエステルの塗装を施す装置と、飽和ポリエステルの層の上からローラを圧着する装置が配置され、各装置間をコンベアー機構で連結するようにした金属表面を飽和ポリエステルで被覆するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−38053(P2007−38053A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222406(P2005−222406)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(594047290)テリー工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】