説明

金属被覆用ポリマー組成物、それから作製した製品およびそのための方法

「フラット」ファイバー補強充填剤を含んでなる、金属被覆された熱可塑性組成物は、反復熱衝撃に対して、改良された耐性を有する。本明細書において自動車部品、玩具、家庭電化製品、電動工具、工業用機械などに有用な金属被覆組成物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
熱可塑性ポリマーおよび「フラット」補強ファイバーを含んでなる、金属被覆されるのに好適なポリマー組成物を本明細書に開示する。
【背景技術】
【0002】
金属によって熱可塑性ポリマー(TP)を被覆することは、当業界でよく知られており商業的に実施されている。このような被覆は、ポリマー基材の機械的性質を改良し、また、電磁遮蔽などの他の性質を提供するために、美観目的(すなわちクロムめっき)に利用される。金属は、無電解めっきまたは電気めっき、真空金属被覆、種々のスパッタリング法、熱可塑体上への金属箔の積層などの種々の方法を用いてTP上に被覆することができる。
【0003】
これらの方法のいずれかにおいて、得られる製品は、有用となる一定の性質を有する必要がある。一般的に云うと、金属被覆は、使用中に熱可塑性基材から分離しないように十分な接着性を有する必要がある。製品が室温以上および/または以下の反復的な加熱と冷却である温度サイクルを受けなければならない場合、このことは特に難しいかもしれない。たいていの熱可塑性組成物は、たいていの金属とは熱膨張率が異なり、反復的な加熱と冷却のサイクルは金属とTPとの間の界面に応力を加え、TPと金属被覆との間の界面を弱める結果となり、最終的には金属がTPから分離することになる。したがって、特に熱サイクル環境下でのTP類と金属コーティングとの接着を改良するための方法および/または組成物が求められている。
【0004】
熱可塑性樹脂における非円形断面ガラスの使用は当業界に知られており、例えば、欧州特許出願第246,620号明細書および欧州特許出願第376,616号明細書ならびに米国特許出願公開第20080132633号明細書を参照されたい。これらはいずれも金属被覆されるポリマー組成物を記載していない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
1.(a)少なくとも約30重量パーセントの熱可塑性樹脂と;(b)約5〜約70重量パーセントのフラット補強ファイバーとを含む組成物を含んでなる製品(重量パーセントは全組成物を基準にしている)であって、組成物の1つまたは複数の表面の少なくとも一部が金属で被覆されていることを条件とする製品が本明細書に開示されている。
【0006】
本明細書にはまた、熱可塑性組成物を金属で被覆することによる熱可塑性組成物の表面上に金属を被覆するための方法であって、前記組成物が、
(a)少なくとも約30重量パーセントの熱可塑性樹脂と;
(b)約5〜約70重量パーセントのフラット補強ファイバーと
を含む(前記重量パーセントは全組成物を基準にしている)ことを改良点とする方法が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書における一定の用語の使用法は下記のとおり定義される:
「フラット補強ファイバー」(FRF)とは、非円形断面を有するファイバーを意味する。断面の縦横比(最短断面長に対する最長断面長の比)は、好ましくは、約1.5以上、より好ましくは、約2.0以上である。断面は、円形以外の任意の形状でよく、限定はしないが、楕円形、卵形、長方形、三角形などが挙げられる。このようなファイバーはよく知られており、例えば、欧州特許出願第190,001号明細書および欧州特許出願第196,194号明細書を参照されたい。
【0008】
「熱可塑性ポリマー」(TP)は、架橋されておらず、30℃以上のガラス転移温度(Tg)および/または融点(Tm)を有する有機ポリマー材料を意味する。TmおよびTgは、25℃/分の加熱速度を用い、ASTM法D3418−82を用いて測定される。測定は二次熱上で行われる。Tmは融解吸熱のピークとし、Tgは転移の屈曲点とする。Tmを考慮すると、任意の融点での融解熱は少なくとも約1.0J/gでなければならない。
【0009】
「部分的芳香族ポリアミド」(PAP)とは、部分的に1種または複数種の芳香族ジカルボン酸から誘導されたポリアミドを意味し、ポリアミドが誘導された全芳香族ジカルボン酸が少なくとも50モルパーセント、好ましくは、少なくとも80モルパーセント、より好ましくは、ほとんど全てのジカルボン酸が芳香族ジカルボン酸である。好ましい芳香族ジカルボン酸はテレフタル酸およびイソフタル酸、ならびにそれらの組み合わせである。
【0010】
「脂肪族ポリアミド」(AP)とは、存在する全ジカルボン酸誘導単位のうち、60モルパーセント未満、より好ましくは、20モルパーセント未満、特に好ましくは、芳香族ジカルボン酸から誘導された単位がほとんど存在しないという条件で、1種または複数種の脂肪族ジアミンならびに1種または複数種のジカルボン酸、および/または1種または複数種の脂肪族ラクタムから誘導されたポリアミドを意味する。「半結晶質熱可塑性ポリマー」とは、30℃以上の融点を有し、少なくとも約2.0J/g、より好ましくは、少なくとも約5.0J/gの融解熱を有する熱可塑性樹脂を意味する。
【0011】
「金属による前記熱可塑性樹脂の被覆」とは、無電解被覆、電解被覆、真空金属被覆、種々のスパッタリング法、および金属箔の積層など、熱可塑性樹脂を金属被覆するための慣例的方法を意味する。被覆の方法は、金属がTPに「塗布」される単純なワンステップコーティング法であってもよいし、表面調製、接着剤の塗布などの他のステップを含んでもよい。このような方法はよく知られており、例えば、米国特許第5,762,777号明細書、米国特許第6,299,942号明細書、米国特許第6,570,085号明細書を参照されたい。これらは全て、本明細書に参照として援用されている。同一の、または異なる組成物の金属多層を適用できる。
【0012】
(酸、塩基、熱的な、溶剤、等)「エッチング可能な充填剤」とは、少なくとも部分的に除去され、および/または、ポリマー基材に有意に悪影響を与えない条件下で、その表面が適切な処理によって変化するポリマー基材中に存在する充填剤を意味する。充填剤は適用される処理によってポリマー部分の表面から、一部または全部除去される。例えば、充填剤は、塩酸によって除去(エッチング)できる炭酸カルシウムまたは酸化亜鉛などの材料、または除去される水性塩基であり得る酸化亜鉛またはクエン酸などの材料、または高温で解重合および除去できるポリ(メチルメタクリレート)などの材料、または水などの溶媒によって除去できるクエン酸または塩化ナトリウムであり得る。基材のポリマーマトリックスは、処理によって通常は大きな影響を受けないため、ポリマー部分の表面近くのエッチング可能な充填剤のみが影響を受ける(完全に、または部分的に除去される)。エッチング可能な充填剤になりうる材料は、エッチング剤(熱的、溶媒、化学的)を含むエッチングに用いられる条件によって、また、エッチングが実施される物理的条件によって決定される。例えば、何らかの特定のポリマーでは、エッチングはポリマーマトリックスの広範な熱的分解を引き起こすのに十分高い温度で実施すべきではないし、および/またはポリマーマトリックスを、ポリマーのマトリックスを広範に攻撃する化学剤、および/またはポリマーのマトリックスを容易に分解する溶媒に曝露すべきではない。ポリマーのマトリックスに対するいくらかの(きわめて小さな)傷または損傷は許容することができ、実際、ポリマー自体上への「攻撃」によるポリマーマトリックス表面自体の少量のエッチングは、コーティングおよび選択のコーティングプロセスにとって、接着性の改良に有用であり得る。
【0013】
本発明に有用なTP類としては、ポリ(オキシメチレン)およびそのコポリマー類;PET、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート)、およびポリ(1,3−プロピレンテレフタレート)などのポリエステル類;ナイロン−6,6、ナイロン−6、ナイロン−10、ナイロン−12、ナイロン−11などのポリアミド類、および部分的芳香族(コ)ポリアミド類;ポリエステル類およびポリエステル−アミド類などの液晶性ポリマー類;ポリエチレン(すなわち、低密度、線低密度、高密度などの全ての形態)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスチレン/ポリ(フェニレンオキシド)混合物などのポリオレフィン類、ポリ(ビスフェノール−Aカーボネート)などのポリカーボネート類;ペルフルオロポリマー類を含むフルオロポリマー類およびテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー類などの部分的フッ素化ポリマー類、ポリ(フッ化ビニル)、およびエチレンとフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニルとのコポリマー類;ポリ(p−フェニレンスルホン)などのポリスルホン類、ポリ(p−フェニレンスルフィド)などのポリスルフィド類;ポリ(エーテル−ケトン類)、ポリ(エーテル−エーテル−ケトン類)、およびポリ(エーテル−ケトン−ケトン類)などのポリエーテルケトン類;ポリ(エーテルイミド類);アクリロニトリル−1,3−ブタジネン−スチレンコポリマー類;ポリ(メチルメタクリレート)などの熱可塑性(メタ)クリルポリマー類;ポリ(塩化ビニル)、塩化ビニルコポリマー、およびポリ(塩化ビニリデン)などの塩素化ポリマー類が挙げられる。また、熱可塑性ポリウレタン類などの熱可塑性エラストマー、ポリエーテル類などの軟質ブロックを含有するブロックコポリエステル類、ならびにスチレン−ブタジエン−スチレンなどのブロックコポリマー、およびスチレン−エチレン/ブタジエン−スチレンブロックコポリマーも挙げられる。また、本明細書には、2種以上の半結晶質または非晶質ポリマーの混合物などの熱可塑性ポリマーの混合物、または半結晶質と非晶質熱可塑性樹脂の双方を含有する混合物も挙げられる。
【0014】
半結晶質TP類が好ましく、ポリ(オキシメチレン)およびそのコポリマー類などのポリマー類;ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4−シクロヘキシルジメチレンテレフタレート)、およびポリ(1,3−プロピレンテレフタレート)などのポリエステル類;ナイロン−6,6、ナイロン−6、ナイロン−10、ナイロン−12、ナイロン−11、それらの組み合わせおよび部分的芳香族(コ)ポリアミド類などのポリアミド類;ポリエステル類およびポリエステル−アミド類などの液晶性ポリマー類;ポリエチレン(すなわち、低密度、線低密度、高密度などの全ての形態)、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ペルフルオロポリマー類を含むフルオロポリマー類およびテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー類などの部分的フッ素化ポリマー類、ポリ(フッ化ビニル)、およびエチレンとフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニルとのコポリマー類;ポリ(p−フェニレンスルホン)などのポリスルホン類、ポリ(p−フェニレンスルフィド)などのポリスルフィド類;ポリ(エーテル−ケトン類)、ポリ(エーテル−エーテル−ケトン類)、およびポリ(エーテル−ケトン−ケトン類)などのポリエーテルケトン類が挙げられる。また、熱可塑性ポリウレタン類などの熱可塑性エラストマー、ポリエーテル類などのいわゆる軟質ブロックおよび硬質結晶質ブロックを含有するブロックコポリエステル類、およびスチレン−ブタジエン−スチレンなどのブロックコポリマー、およびスチレン−エチレン/ブタジエン−スチレンブロックコポリマーも挙げられる。
【0015】
TP類は、約90℃以上、好ましくは約140℃以上、特に好ましくは約200℃以上のTgおよび/またはTmを有することが好ましい。TPは、全組成物の少なくとも30重量パーセント、より好ましくは、全組成物を基準にして、少なくとも50重量パーセントであることが好ましい。当然のことながら、組成物中に1種以上のTPが存在してもよく、存在するTPの量は、存在するTPの全量と考えられる。
【0016】
本発明の製品に用いられる組成物に存在するFRFは、全組成物を基準にして、少なくとも約5重量パーセント、好ましくは、少なくとも約10重量パーセント、最も好ましくは、約20重量パーセントの最低値である。RFRは、全組成物の70重量パーセント以下、好ましくは、50重量パーセント以下、より好ましくは、40重量パーセント以下である。当然のことながら、FRFの好ましい濃度に関して、任意の好ましい最低濃度を任意の好ましい最高濃度と組み合わせでもよい。
【0017】
FRFは、カーボンファイバー、アラミドファイバーまたはグラスファイバーなどの任意の補強ファイバーであり得る。ファイバーは合成ファイバーであることが好ましい。FRFグラスファイバーが好ましい。
【0018】
好ましいFRFは、ファイバーの最大平均長が約1mm〜約20mm、好ましくは、約2mm〜約12mmであるチョップトファイバーである。ファイバーの最大断面寸法は、約20μm未満であることが好ましい。
【0019】
本発明の製品におけるTP組成物中に、他の成分が任意に存在してもよい。これらには、充填剤、補強剤、(FRF以外)、強化剤、顔料、着色剤、安定化剤、抗酸化剤、滑剤、難燃剤、および接着促進(特に、TP組成物と金属コーティングとの間)剤など、TP組成物中に一般的に見られる他の成分が含まれる。好ましい成分は、エッチング可能な充填剤であり、特に、金属被覆が無電解被覆および/または電解被覆によって行われる場合は好ましい。好ましいエッチング可能な充填剤は、アルカリ土類(IUPAC表記法で2族の元素)炭酸塩であり、炭酸カルシウムが特に好ましい。エッチング可能な充填剤の最少量は、好ましくは、0.5重量パーセント以上、より好ましくは、約1.0重量パーセント以上、きわめて好ましくは、約2.0重量パーセント以上、特に好ましくは、約5.0重量パーセント以上である。エッチング可能な充填剤の好ましい最多量は約30重量パーセント以下、より好ましくは、約15重量パーセント以下、特に好ましくは、約10重量パーセント以下である。これらの重量パーセントは全TP組成物を基準にしている。当然のことながら、エッチング可能な充填剤の好ましい重量範囲を形成するために、これらの最少重量パーセントのいずれかを最多重量パーセントのいずれかと組み合わせることができる。エッチング可能な充填剤の1種以上が存在してもよく、1種以上が存在する場合は、エッチング可能な充填剤の量は、存在するエッチング可能な充填剤の総計と見なされる。
【0020】
TP組成物は、一般にTP組成物を作製する当業界で用いられ、よく知られている方法によって作製できる。最も一般的には、TP自体を一軸スクリュー押出機もしくは二軸スクリュー押出機または混練機などの好適な装置において、種々の成分と溶融混合する。フラット補強ファイバー長の広範な分解を防ぐために、ファイバーを「サイドフィード」することが好ましいかもしれない。このために二軸スクリュー押出機が使用されてもよく、その結果、ファイバーは押出機全長の高せん断に晒されない。
【0021】
(被覆前)製品は、射出成形、押出し、ブロー成形、熱成形、ロト成形などのTP組成物に関する慣習的な形成方法によって形成できる。これらの方法は当業界によく知られている。
【0022】
金属被覆、TP組成物、および他の要素に用いられる方法に依って、TP組成物と金属被覆との間の良好な接着性を得ることができる。TP組成物の1つまたは複数の表面をコーティングすることができ、これらの表面は、部分的に、および/または完全に被覆できる。種々の金属被覆法を用いて良好な接着性を得るための方法は当業界に知られている。本明細書における実施例に示されるように、本明細書に開示された製品のTP組成物は、驚くべきことに、円形断面補強ファイバーを含有する組成物と比較した場合、加熱サイクリング試験において、金属に対する層間剥離抵抗性が改良されることが多い。
【0023】
本発明に用いられる金属は、用いられる方法によって様々である。例えば、銅、ニッケル、鉄、亜鉛、およびコバルトならびにそれらの合金は電解および/または無電解被覆法を用いて容易に被覆できるが、アルミニウムは一般に真空金属被覆において用いられる。被覆は種々の被覆法によって達成できる任意の厚さであり得るが、典型的には、約1μm〜約300μm、好ましくは、約1μm〜100μmの厚さになる。蒸着される金属の平均粒径は、1nm〜約10,000nmの範囲であり得る。好ましい平均粒径範囲の1つは、特に電解および/または無電解めっき金属では、1nm〜100nmである。金属被覆の効果は、例えば、美観の改良、機械的性質の改良、電磁遮蔽の増加、腐食環境からのTP保護の改良などのうちの1つ以上であり得る。
【0024】
「フラット」ファイバー補強充填剤を含有する熱可塑性組成物から調製され、金属で被覆された製品は、反復熱衝撃に対して、の改良された耐性を示す。金属被覆は、外観を改良するために、および/または機械的性質を改良するために、または他の理由で存在し得る。これらの金属被覆された組成物は、自動車部品、ハンドヘルド装置、コンピュータ、テレビ、ならびにハウジング、玩具、家庭電化製品、電動工具、工業用機械などの種々の製品において有用である。
【実施例】
【0025】
実施例1および比較例A〜B
本実施例における全ての部は重量部である。
【0026】
使用される材料は以下のとおりである:
Chimassorb(登録商標)944FDL−ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル]−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]ヒンダードアミン光安定剤(Ciba(Tarrytown、NY 10591 USA)から入手)。
【0027】
Irganox(登録商標)1098−フェノール性抗酸化剤(Ciba(Tarrytown、NY 10591 USA)から入手)。
【0028】
Licomont(登録商標)CAV102−結晶化促進剤(Clariant GmbH(85005 Augsburg、Germany)から入手)。
【0029】
Nittobo(登録商標)グラスCSGPA820−「フラット」グラスファイバー(チョップト)(日東紡績株式会社、東京、102−8489日本国から入手)。
【0030】
Panex(登録商標)35Type48−円形断面カーボンファイバー(チョップト)(Zoltek Corp.(St.Louis,MO 63044 USA)から入手)。
【0031】
ポリマーA ポリアミド6,6。
【0032】
ポリマーB 1,6−ヘキサンジミン、70モルパーセントのイソフタル酸および30モルパーセントのテレフタル酸(存在するジカルボン酸の全量を基準としたモルパーセント)から作製された非晶質ポリアミド。
【0033】
PPG3660 円形断面グラスファイバー(チョップト)(PPG Industries(Pittsburgh、PA 15272 USA)から入手)。
【0034】
Super−Pflex(登録商標)200 沈降炭酸カルシウム(Specialty Minerals,Inc.(Bethlehem、PA 18017 USA)から入手)。
【0035】
上記補強ファイバーの全ては、チョップトファイバーである。
【0036】
ポリマー組成物は、二軸スクリュー押出機内で表1に示すようにそれらの成分を溶融混合することによって調製し、グラスおよび/またはカーボンは、サイドフィーダを用いて溶融ポリマーマトリックスに送り込んだ。ストランドダイを出たら、これらを水中でクエンチし、造粒した。次にこのように調製された化合物を、除湿乾燥機内で100℃、6〜8時間乾燥してから、280℃〜300℃の溶融温度、および85〜105℃の成形温度で標準的ISO6cm×6cm×2mmの試験体(プラーク)に成形した。組成物を表1に示す。
【0037】
プラークをエッチングし、下表2に示すようにCr(VI)を用いない方法において活性化した。酸食液は、HCLおよびエチレングリコールを含んだ。エッチング後、プラークをすすいでからPd触媒を介して活性化し、Niで無電解めっきを行い、次いで20ミクロンのCu電気めっきを施した。表2は、調製とめっき方法の詳細を示している。
【0038】
剥離強度は、ISO試験方法34−1を用い、2.5kNのロードセルを備えたZwick(登録商標)(または等価装置)Z005引張り試験機により測定した。電気めっきされたプラークが、引張り試験機の一端に取り付けられている滑りテーブル上に固定された。表面上に1cm幅の金属バンドが作製されるように、1cm離れた2つの平行カットを金属表面に作製した。テーブルは、これらのカットと平行方向にスライドした。1cm幅の銅ストリップを、この機械の他端に取り付けて、金属ストリップを、50mm/分の試験速度(温度23℃、相対湿度50%)で(直角に)剥離させた。次いで剥離強度を算出した。剥離値は表1に示されている。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
熱衝撃試験は、試験体を180℃に加熱し、1時間180℃に温度を保持してから、−40℃に急冷し、1時間−40℃に温度を保持し、次いでこのサイクルを100サイクルまで反復するか、またはプラスチック基材と金属被覆との間の有意な層間剥離が、通常は膨れの形態で見られるまで反復することによりこの試験を実施した。使用される機器は、加熱装置および冷却装置を具備するチャンバからなり、特定の温度要件内で連続的に再現可能なサイクルを維持する能力およびそれぞれの温度間隔各々で一定温度を維持する能力を有する。サンプルは、チャンバ面または取付けラックとの接触を最少にし、エアフローを最大にするように配置した。この方法は、ASTM D6944−03を改変している。熱衝撃サイクル試験の結果を表3に示す。
【0042】
【表3】

【0043】
表3から見ることができるとおり、カーボンファイバーがグラスファイバーよりもはるかに高い弾性率を有している事実にもかかわらず、熱衝撃試験において、「フラット」グラス補強剤を有する組成物は、円形のカーボンファイバーまたはグラスファイバーよりもはるかに良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも約30重量パーセントの熱可塑性樹脂;および
(b)約5〜約70重量パーセントのフラット補強ファイバー
を含む組成物を含む製品であって、前記重量パーセントが全組成物を基準にしており、前記組成物の1つまたは複数の表面の少なくとも一部が金属で被覆されていることを条件とする製品。
【請求項2】
前記フラット補強ファイバーが、グラスファイバーである請求項1に記載の製品。
【請求項3】
0.5〜約30重量パーセントのエッチング可能な充填剤もまた存在する請求項1または2に記載の製品。
【請求項4】
前記エッチング可能な充填剤が、炭酸アルカリ金属またはアルカリ土類金属である請求項3に記載の製品。
【請求項5】
前記金属が、真空金属被覆、または電解および/または無電解めっきにより塗布される請求項1に記載の製品。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂が、部分的芳香族ポリアミドであるか、または脂肪族ポリアミドと組み合わせた部分的芳香族ポリアミドである請求項1に記載の製品。
【請求項7】
請求項7の前記ポリアミド前記部分的芳香族ポリアミドが、芳香族ジカルボン酸を含んでなる請求項1に記載の製品。
【請求項8】
前記ジカルボン酸が、テレフタル酸またはイソフタル酸またはそれらの組み合わせである請求項8に記載の製品。
【請求項9】
前記脂肪族ポリアミドが、ナイロン−6,6、ナイロン−6、ナイロン−10、ナイロン−12、ナイロン−11およびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項7に記載の製品。
【請求項10】
前記製品が、高温用途、自動車部品、電子装置、玩具、家庭電化製品、電動工具、または工業用機械における使用に好適である請求項1に記載の製品。
【請求項11】
請求項1に記載の製品を作製する方法であって、前記方法は前記製品に金属被覆を適用することを含み、前記組成物が、
(a)少なくとも約30重量パーセントの熱可塑性樹脂;および
(b)約5〜約70重量パーセントのフラット補強ファイバー
を含むことを改良点とし、前記重量パーセントが全組成物を基準にしている方法。
【請求項12】
前記フラット補強ファイバーが、グラスファイバーである請求項8に記載の方法。
【請求項13】
0.5〜約30重量パーセントの、エッチング可能な充填剤もまた存在する請求項8または9に記載の方法。
【請求項14】
前記エッチング可能な充填剤が、炭酸アルカリ金属またはアルカリ土類金属である請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記金属が、真空金属被覆、または電解および/または無電解めっきにより塗布される請求項7に記載の方法。

【公表番号】特表2012−513529(P2012−513529A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543622(P2011−543622)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/069111
【国際公開番号】WO2010/075337
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】