説明

金属触媒担持用カーボン担体

【課題】大きな比表面積を有すると共に、十分な取扱性を有し、且つ、水素化および脱水素反応の開始までの時間を短縮すると共に、反応効率を高め水素の貯蔵・放出量を増大させることのできる触媒に好適な担体を提供することにある。
【解決手段】金属触媒を担持するカーボン担体であって、担体厚み方向の通気性が200cm/cm・s以上、且つクランストン−インクレイ法により該担体の表面細孔直径3〜30nmにおける細孔容積が0.20cc/g以上であることに要旨を有する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属触媒を担持させるカーボン担体に関し、より詳細には、各種芳香族化合物を水素化(水添)して水素を吸蔵させると共に、必要に応じて該芳香族化合物から水素を放出させる水素貯蔵放出システムに用いられる触媒に好適なカーボン担体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2001年に開催された地球温暖化防止京都会議において、二酸化炭素排出量の大幅な削減目標が検討され、また将来の石油資源の枯渇に対する懸念もあって、近年、エネルギー利用の効率化や省エネルギー対策と共に、新たなエネルギー源の開発が急がれている。こうした背景から化学反応による燃料エネルギーを電力に変換して直接取出す燃料電池は、様々な分野において、二酸化炭素排出量削減に貢献する環境調和型電源として注目されている。特に自動車や家庭用の電源として、燃料電池の実用化研究は急速に発展してきている。
【0003】
こうした状況の下で燃料電池として使用される水素の貯蔵・供給システムについては様々な技術が提案されており、例えば水素を液体水素や圧縮水素として貯蔵する技術が提案されている。しかしながら液体水素は液化する際の消費エネルギーが大きいばかりでなく、液体水素を極低温に保持するためのコストが高く、しかも保存安全性の問題がある。また圧縮水素の場合、現在の高圧化技術では、実用レベルの貯蔵量を確保するための貯蔵タンクが大型化してしまうという問題に加えて、保存のための安全対策も十分に確立されていない。
【0004】
安全性の高い水素貯蔵手段として、水素吸蔵合金や、カーボンナノチューブなどの水素吸蔵材料を用いる技術が提案されている。
【0005】
しかし、水素吸蔵合金を用いる方法では、用いる合金質量当りの吸蔵量が少ないため、実用レベルの吸蔵量を確保するには膨大な量の合金が必要となり、設備が重くなるばかりか、合金に要するコストも高騰する。またカーボンナノチューブも、嵩密度が大きいため、体積当りの吸蔵量が少なく、やはり大型化しなければ実用レベルの吸蔵量を得ることはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く燃料電池の実用化に向けて様々な水素吸蔵・供給技術が開発されているが、自動車等の如く限られたスペースに燃料電池システムを設置しなければならない分野で燃料電池の実用化を達成するには、燃料供給部のコンパクト化と、軽量化が大きな課題であり、且つ、より短時間で大量の水素を発生させることのできる技術の確立が必要となる。
【0007】
この様な要望に適う比較的新しい技術として、芳香族化合物を水素の貯蔵・供給媒体として用いる技術が研究されている。例えばベンゼンやナフタレンなどの芳香族化合物を水素化し、シクロヘキサンやデカリンなどの水素化物として水素を貯蔵させ、使用時には該水素化物を脱水素反応させることによって水素を放出させて供給するシステムが提案されている。
【0008】
このシステムでは、例えばベンゼンを水素化してシクロヘキサンとして水素を吸蔵させる場合(水素化反応)、装置内には予め本発明の金属担持触媒を設置しておき、水素を該装置内に導入すると共に、ヒーター等を用いて任意の方法でベンゼンを沸点以上に加熱して発生させた蒸気を、水冷など任意の方法で凝縮し、滴下するベンゼンを金属担持触媒と接触させてベンゼンの水素化反応を促進することによって、ベンゼンに水素が貯蔵(吸蔵)される。そして該水素化されたベンゼン(シクロヘキサン)から水素を放出させる場合(脱水素反応)、シクロヘキサンを沸点以上に加熱して蒸気を発生させ、該蒸気を凝縮して滴下する凝縮液を金属触媒と接触させるとシクロヘキサンの脱水素反応が促進され、シクロヘキサンから水素が放出される。そして該水素は、燃料として燃料電池等、任意の装置に供給することができる。
【0009】
この様に水素化反応・脱水素反応を利用する技術においては、水素化(水添)・脱水素(水素放出)効率を高めるため各種の触媒が提案されている。例えばPtなどの金属触媒を粒状のシリカやアルミナに担持させた触媒が提案されている。しかしながらこれら粒状物は表面積が小さいため触媒担持量を十分に高めることができない。また表面積の大きな担体として粉末状活性炭を用いる技術も提案されているが、粉体間の空隙が小さいため十分な担持量は得られ難く、しかも粉末状活性炭は飛散し易く、取扱性が極めて悪いために実用的でない。尚、粉末状活性炭を造粒した粒状活性炭も提案されているが、耐久性が不充分で、粉化し易いという問題を有している。
【0010】
本発明はこれら従来技術に指摘される問題等に鑑みてなされたものであって、その目的は、大きな比表面積を有すると共に、十分な取扱性を有する担体、特に、水素化および脱水素反応の開始時間を短縮すると共に、反応効率を高め水素の貯蔵・放出量を増大させるのに有効な触媒担体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し得た本発明の触媒担体とは、金属触媒を担持するカーボン担体であって、該カーボン担体は細孔直径3〜30nmにおける細孔容積が0.20cc/g以上(但し、クランストン−インクレイ法に基づく)である活性炭からなり、且つ該担体厚み方向の通気性が200cm/cm・s(但し、JIS
L 1018に基づく)以上であることに要旨を有している。
【0012】
また前記担体の比表面積は1000〜3000m/gであることが好ましい。
【0013】
本発明のカーボン担体は繊維状カーボンによって構成されていることが好ましく、更にカーボン担体が編物であること、特に、リブ編み又は両面編みされた編物は優れた効果を発揮させる上で望ましい。
【0014】
本発明で用いるカーボン担体はトルエン吸着性能が25g/m(但し、温度:25℃)以上であることが好ましい。
【0015】
本発明の担体は、芳香族化合物の水素化反応を促進させ、また脱水素反応を促進させるための触媒担体として好適に用いることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明者らは前述した様な課題の解決を期して、鋭意研究を重ねた結果、金属触媒を担持するカーボン担体(活性炭担体)として、細孔直径3〜30nmにおける細孔容積が0.20cc/g以上(但し、クランストン−インクレイ法に基づく)である活性炭からなり、且つ該担体厚み方向の通気性が200cm/cm・s(但し、JIS L 1018に基づく)以上であるカーボン担体を使用すると、十分な取扱性を有し、特に、水素化反応及び脱水素反応の開始時間を短縮でき、しかも該反応を効率よく勧めるのに有効な触媒担体が得られることを見出し、本発明に至った。
【0017】
本発明では、担体厚み方向の通気性が200cm/cm・s以上であることが必要である。通気性が200cm/cm・s未満では、担体内への反応物質の拡散が不充分となって反応効率が低くなり、例えば脱水素反応時の水素放出開始までの時間が遅く、且つ水素放出量も少なくなる。好ましくは250cm/cm・s以上、より好ましくは300cm/cm・s以上である。尚、通気性が高いほど担体内での反応物質の拡散性が向上し、反応効率も向上するので、この様な観点からは上限は特に限定されないが、通気性を高くし過ぎると担体の強度が低下して取扱性が劣化することがあるので、圧力125Pa下での通気性が好ましくは600cm/cm・s以下、より好ましく550cm/cm・s以下であることが望ましい。ここで通気性とは、JIS L1018「ニット生地試験方法」に記載の方法に基づいて算出される値である。
【0018】
本発明の担体は、クランストン−インクレイ法に基づいて算出される細孔直径3〜30nmの細孔容積が0.20cc/g以上である活性炭担体であることが必要である。
【0019】
細孔は孔径によってミクロ孔(孔径2nm未満)、メソ孔(孔径2〜50nm)、マクロ孔(孔径50nm超)に分類され、通常は吸着性に優れているミクロ孔を有する活性炭が用いられている。しかしミクロ孔を有する活性炭は高い吸着性を示すものの、水素化・脱水素反応に用いると、細孔内に吸着された反応物が細孔から脱着されにくいため、反応効率が悪い。一方、マクロ孔(50nm超)の場合、反応物質に対する吸着力が弱く、また孔径が大きくなると細孔数自体が少なくなる結果、担持させた金属触媒と相互作用をなす担体の触媒活性点も少なくなるため水素化・脱水素反応効率が低くなるため望ましくない。本発明の意図する、高い反応効率を有し、且つ速い反応速度を有する担体とするには、メソ孔が適している。
【0020】
メソ孔であっても特に、細孔径が3〜30nmである細孔は、反応物に対して適度な吸着性を有し、且つ、水素化・脱水素反応時の温度(120〜200℃)で容易に吸着した反応物を脱着できるために、ミクロ孔やマクロ孔よりも反応効率に優れている。この様な細孔径を有する触媒は、反応物に対する吸着性と脱着性に優れており、しかも孔内への反応物の拡散性にも優れた特性を示し、反応速度が顕著に向上するので推奨される。
【0021】
尚、担体表面に形成されている細孔径が全て上記範囲内である必要はなく、上記範囲外の細孔(ミクロ孔および/またはマクロ孔)が存在していてもよいが、メソ孔と共にミクロ孔やマクロ孔が存在する場合、単に孔径3〜30nmの細孔が存在しているだけでは顕著な拡散性や反応速度の向上が得られるのではない。優れた拡散性と反応速度を得るためには、細孔径3〜30nmの細孔容積の総和が0.25cc/g以上であることが必要であり、より好ましくは0.30cc/g以上有することある。また拡散性と反応速度を向上させるには、担体の細孔分布におけるミクロ孔やマクロ孔の占める割合がメソ孔(但し、孔径3〜30nm)よりも少ないことが好ましく、更にマクロ孔やミクロ孔の細孔容積がメソ孔(但し、孔径3〜30nm)の細孔容積よりも小さいことが好ましい。
【0022】
反応物の拡散性を向上させるとともに、反応速度を速くする観点からは細孔容積の上限は特に限定されないが、細孔容積が大きくなりすぎると担体の強度が低下することがあるので、細孔径3〜30nmの細孔容積の総和は好ましくは1.5cc/g以下、より好ましくは1.0cc/g以下とすることが望ましい。
【0023】
本発明の孔径3〜30nmの細孔の容積の測定方法は、サンプル(担体)を12〜72時間、塩酸水溶液(1mol/L)で洗浄した後、十分に水洗して塩酸水溶液を除去から予備乾燥し、水分を除去してから、サンプルを0.1g採取し、更に120℃で12時間乾燥してから秤量し、液体窒素の沸点(−195.8℃)における窒素ガスの吸着量を、相対圧を0.0から1.0の範囲で徐々に高めながら数点(少なくとも20点以上)測定し、吸着等温線を作成する。得られた吸着等温線をクランストン−インクレイ(Kranston−Inkley)法に基づいて細孔径3〜30nmの細孔の総容積を算出する。尚、窒素ガス吸着量測定時の多分子吸着層厚さ(t)と相対厚(P/P)との関係は、フレンケル−ハルシー(Frenkel−Halsey)に基づいて算出する。ここで細孔直径とは、担体最表面に形成されている細孔の孔径である。
【0024】
カーボン担体には、好ましくは1000m/g以上、より好ましくは1200m/g以上の比表面積を有する活性炭を用いることが望ましい。比表面積が1000m/g未満では、芳香族化合物の吸着量が少ないため、水素化反応、脱水素反応の反応効率が十分に上がらず、転化率が不足となることがある。但し、比表面積が3000m/gを超えると、担体としての強度が低下し、取扱性が悪化すると共に耐久性も低下して、長期使用に耐えなくなることがある。好ましくは3000m/g以下、より好ましくは2000m/g以下である。
【0025】
上記比表面積とは、BET法によって求められる値である。具体的には、サンプル(担体)を12〜72時間、塩酸水溶液(1mol/L)で洗浄した後、十分に水洗して塩酸水溶液を除去し、12〜72時間予備乾燥させたサンプルを0.1g採取し、更に120℃で12時間乾燥してから秤量し、液体窒素の沸点(−195.8℃)における窒素ガスの吸着量を、相対圧を0.0から0.2の範囲で徐々に高めながら数点(少なくとも4点以上)測定し、B.E.Tプロットにより求めた単位質量当たりの比表面積(m/g)である。
【0026】
本発明のカーボン担体を構成するカーボンの形状は特に限定されないが、粉状カーボンの場合、飛散し易く取扱性が悪いため好ましくない。また粉状カーボンを造粒してなる粒状カーボンは強度が十分でなく、取扱性が悪い。したがって取扱性に優れ、十分な強度を有する担体としては繊維状カーボンを用いることが望ましい。また繊維状カーボンは反応物質との接触面積となる外表面積が粒状カーボンよりも大きく、反応速度も早いため好ましい。尚、本発明の上記要件(通気性,特定の細孔径における細孔容積)を満たす繊維状カーボンは、表面積が大きく、トルエン吸着力にも優れているにもかかわらず、繊維自身の強度の低下も抑制されているので、取扱性や耐久性にも優れている。繊維状カーボンの具体的なサイズについては限定されないが、例えば単繊維直径5〜15μm、単繊維長さ0.1mm以上であることが望ましい。
【0027】
繊維状カーボンを用いた担体の形態としては、例えば編物状、織物状、不織布状など各種の形態が挙げられる。これらの中でも繊維状カーボンを編物状に構成した担体を用いることが望ましい。担体として繊維状の活性炭で構成された編物を用いると、担体に適度な空隙と共に通気性が与えられ、芳香族化合物などの水素吸蔵媒体と触媒との接触面積を増大させることができ、また該空隙が脱水素反応によって放出させた水素を一次的に保持する空間としての機能も果たすので、装置内における水素保持スペース不足に起因する脱水素反応の効率低下を防ぐことができる。特に編組織がリブ編み又は両面編みのシートであるものは、本発明の担体を利用した触媒を水素貯蔵放出システムに充填した際に、より効果的な幾何表面積と空隙率を得ることができ、小さなスペースに充填した場合であっても脱水素反応によって放出した水素の存在スペースを十分に確保できるので望ましい。またフライス編みやスムース編みは、カーボン生地を焼成する際にコース方向に生じる収縮応力による該生地耳部の捲込みを殆ど生じないため、編物の利用可能有効幅を増大できるため望ましい。この際に使用する糸は、ステープルから得られる紡績糸、フィラメント糸状のいずれか、或いはこれらを混合した混繊糸状であってもよく、特に限定はされない。また単繊維繊度は好ましくは1.1dtex以上、より好ましくは1.4dtex以上であって、好ましくは5.5dtex以下、より好ましくは5.0dtex以下であることが取扱性を確保する観点から望ましい。更に撚合わせた糸状の繊度は好ましくは150dtex以上、より好ましくは295dtex以上であって、好ましくは590dtex以下、より好ましくは430dtex以下であることが望ましい。150dtex未満の場合、担体を編物状にした際に、編物が緻密であるために密度が高くなりすぎて十分な通気性を確保できないことがある。また担体の柔軟性が不足して、加工時や使用時に破損が生じて取扱性が悪化することがある。一方、590dtexを超えると編組織が剛直となるため、炭化・賦活処理して得られる担体の取扱性が著しく低下することがある。
【0028】
勿論、担体を織物状、或いは不織布状にして使用することも可能であるが、織物状の担体の場合、密度が高くなりすぎる傾向があるため、担体内に十分な空隙と、通気性が確保し難くなって、反応効率が低下し、また水素放出量が増大したときに、水素保持スペース不足に起因して脱水素反応が阻害される恐れもある。また不織布状の担体の場合、厚さ不足で十分な空隙を確保できず、また強度も不十分になることがある。
【0029】
本発明のカーボン担体は、目付(JIS L 1018に基づく)が80g/m以上、より好ましくは100g/m以上であって、好ましくは250g/m以下、より好ましくは230g/m以下であることが望ましい。目付が80g/m未満では強度が不足となって、取扱性に問題が生じることがある。また250g/mを超えると十分な通気性が得られないことがある。
【0030】
本発明のカーボン担体は活性炭の特性の一つである吸着性能を有する。吸着性能は賦活化条件等によっても変わってくるため特に限定されないが、トルエン吸着性能試験による値が25g/m以上、好ましくは27g/m以上であることが望ましい。トルエン吸着性能が25g/mより小さい場合、効率的な反応を行なうために触媒充填量を増大しなければならず、装置が大型化してしまう。また担体の組織的強度を維持し、取扱性を確保する観点から、好ましくは90g/m以下、より好ましくは85g/m以下であることが望ましい。尚、トルエン吸着性能は、JIS K1477「繊維状活性炭試験方法」の5.7項に記載のトルエン吸着性能試験(25℃、1/10希釈の条件下)に基づく値である。
【0031】
該担体に担持する金属触媒は特に限定されず、例えばNi,Co,Fe,Cr,Cu,V,Pr,Mg,Mo,W、Mn,Zn,Ga,Y,Ti,Ba、Re,Bi,Nb,Ta,La,Ag,Au,Pd、Pt、Rh、Ru、Os、Ir等が例示される。本発明では金属触媒(金属酸化物等の各種化合物を含む)を単独で、或いは任意に組み合わせて用いることができる。これらの中でも白金族元素(Pd、Pt、Rh、Ru、Os、Ir)は本発明の担体に担持することで、水素化、脱水素反応に対して高い触媒性能を発揮するため好ましい。また金属触媒の他にも助触媒など任意の添加物を担持させてもよい。
【0032】
金属触媒の担持量は特に限定されず、所望量担持させればよく、例えば担体に対して好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜9質量%担持させることが望ましい。担持量が少ない場合、十分な触媒性能を発揮できないことがある。また担持量を多くすると、高コストとなると共に、コスト増大に見合う効果が得られないことがある。
【0033】
担体に金属触媒を担持させる方法にも制限はなく、例えば所望の金属触媒をボールミル等により湿式粉砕してスラリーを製造し、該スラリーに担体を接触させればよい。或いは金属触媒を含む溶液に担体を接触させてもよい。金属触媒を均一に担持させる接触方法としては、担体をスラリーに浸漬させる方法が好適である。浸漬後、該担体を乾燥工程に付して水分を除去することが推奨される。この際の乾燥方法にも格別の限定はなく、任意の方法で水分を除去すればよい。乾燥時の条件も常温下、或いは高温下いずれであってもよい。また乾燥後に、焼成すると、金属触媒を担体に強固に定着できるので望ましい。焼成方法も特に限定されないが、例えば空気中、或いは任意の還元雰囲気下で400〜800℃で焼成すればよい。尚、上記担持方法で必要な担持量が得られない場合には、例えば焼成後に再度浸漬・乾燥・焼成を繰り返すことによって担持量を調整すればよい。また複数種の金属触媒を担持させるには、所望の金属触媒を含むスラリーや溶液を夫々製造し、浸漬・乾燥・焼成後、別のスラリーや溶液に浸漬させてから、乾燥・焼成してもよく、或いは金属触媒を複数種含むスラリーに浸漬させてもよく、任意の方法を採用できる。
【0034】
このように金属触媒を本発明の上記カーボン担体に担持させてなる触媒は、取扱性に優れると共に、水素放出量も多く、また水素放出速度、水素放出開始までの時間も速く、極めて効率的な水素化・脱水素反応を行なうことができ、燃料電池用として好適に利用できる。
【0035】
特に本発明の担体は、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの単環芳香族化合物、ナフタレン、メチルナフタレンなど2環芳香族、およびアントラセンなどの3環芳香族に水素を吸蔵(水添)させる水素化反応、あるいは水素化物であるシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンなどの単環水素化芳香族化合物、テトラリン、デカリン、メチルデカリンなどの2環水素化芳香族化合物、テトラデカヒドロアントラセン、テトラデカヒドロメチルアントラセンなどの3環水素化芳香族化合物を脱水素して水素を取出す際に使用する触媒の担体として有用である。
【0036】
芳香族化合物を触媒の存在下で水素化反応して、該化合物に水素を貯蔵させ、必要に応じて該水素化芳香族化合物を触媒存在下で脱水素反応させ、該化合物から水素を放出させる水素貯蔵放出システムにおいて、該触媒として上記の如き本発明の担体を用いた触媒を使用すると、該化合物の水素化が効率的行なわれると共に、水素が貯蔵された該化合物から効率的に水素を放出させることができる。特に本発明の担体に金属触媒を担持してなる触媒を使用すると、脱水素反応による水素発生開始時間を短縮できると共に、高効率で水素の放出を行なうことができるので、放出水素量(水素発生量)も多くなる。したがって本発明の触媒を利用した水素貯蔵放出システムは燃料供給の安定性や、水素要求量の変化に迅速に対応でき、極めて効率的である。また水素化反応効率も向上するため、燃料チャージに要する時間を短縮できると共に、高い転化率を有するので水素貯蔵量も多くなる。
【0037】
この様な水素貯蔵放出システムであれば、同一の装置で水素の添加・放出を行なうことができる。即ち水素の添加・放出に同一の触媒を使用するので、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0038】
以下、本発明のカーボン担体を製造方法に基づいて説明するが、本発明の担体は下記製造方法によって製造されたものに限定される趣旨ではなく、上記特性を付与できる製法あれば、いずれも採用できる。
【0039】
本発明のカーボン担体に用いる炭素質物質としては、多孔質で吸着性能を有する活性炭を用いることが望ましい。この様な活性炭の原料としては例えば、大鋸屑などの木質物;籾殻,豆類,ヤシガラなどの植物;塩化ビニリデン樹脂,フラン樹脂,フェノール樹脂などの合成樹脂などが挙げられる。本発明では上述の如く、繊維状カーボンが望ましいので、例えばセルロース系,フェノールノボラック系,ポリアクリロニトリル系,芳香族ポリアミド系,ポリビニルアルコール系,ポリ塩化ビニル系,石油または石炭ピッチ系の有機物などの様に、炭化処理によって繊維状炭化物が得られる原料が望ましい。これらの中でも特にセルロース系の原料は、上記メソ孔を簡易に形成できるため望ましい。活性炭はこれら原料を炭化処理した後、賦活処理して得ることができる。また編物状担体を製造するには、予め繊維状の原料をリブ編みや両面編みなど任意の方法で編物とし、該編物を炭化処理・賦活処理すればよい。
【0040】
炭化処理と賦活処理は、連続的に行なってもよく、或いは各工程をバッチ式に行なってもよいが、均一な品質の活性炭を効率的に製造するには、連続的に炭化処理・賦活処理を行なうことが望ましい。また炭化処理と賦活処理を同時に行なってもよい。
【0041】
炭化処理時の温度は、所望の原料を不活性ガス雰囲気下で600〜1200℃に加熱して炭化することが望ましい。600℃未満では十分に炭化できず、担体表面に形成される細孔径も十分に成長しない。また1200℃を超えると炭素結晶子の大型化、配向、緻密化が進行し、賦活が十分に行なえなくなることがある。好ましくは700℃以上、より好ましくは800℃以上であって、好ましくは1100℃以下、より好ましくは1000℃以下である。
【0042】
炭化処理時の昇温速度は好ましくは2〜50℃/分、より好ましくは10〜40℃/分とすることが望ましい。昇温速度が2℃/分未満の場合、賦活剤を用いてもメソ孔が形成されないことがある。また昇温速度が50℃/分を超えると十分な強度を確保できず、取扱性が劣化することがある。
【0043】
この様な昇温時間を採用した場合の到達温度(600〜1200℃)での好ましい保持時間は30分以下(0分含む)である。
【0044】
尚、耐炎化処理などの任意の処理を炭化処理に先立って行なう場合、該任意の工程終了時の温度から所望の温度に昇温して炭化処理してもよい。例えば耐炎化処理後に炭化処理を行なう場合、耐炎化処理終了温度から上記炭化処理温度に昇温させてもよい。
【0045】
炭化処理時の雰囲気としては、窒素などの不活性雰囲気が好ましい。勿論、炭化処理時に、担体に各種特性を付与するために公知の添加剤を付与してもよい。例えばセルロース系原料の場合、リン酸アンモニウムなどの耐炎化剤を用いて炭化処理して形状保持性を高めてもよい。
【0046】
この様に原料を炭化処理して得られた炭化物を、炭素と反応する水蒸気、酸素、二酸化炭素などの賦活雰囲気下での高温処理によって賦活処理する。
【0047】
賦活処理時の温度は、好ましくは800〜1000℃、より好ましくは850〜950℃である。1000℃を超えると異常収縮などによりしわが発生することがある。
【0048】
炭化処理に引き続いて賦活処理を行なう場合、上記炭化時間保持後、雰囲気を炭素と反応する水蒸気、酸素、二酸化炭素などの賦活雰囲気に変更し、引続き同温度で賦活処理することが望ましい。尚、水蒸気などの賦活剤を含有する活性雰囲気の場合、水蒸気の含有量は均一な賦活を行なうために5〜75vol%(残部はN)とすることが好ましい。好ましくは10〜60vol%である。水蒸気含有量が少ない場合、十分な賦活が行なわれない。一方、水蒸気含有量が多い場合、水蒸気の拡散が不均一となり、担体の賦活が十分におこなえないことがある。
【0049】
また該温度域での保持時間は、10〜60分、好ましくは15〜45分とすることが望ましい。保持時間が短い場合、得られる担体が十分に賦活されていないため、吸着力不足になることがある。また保持時間が長い場合、細孔径が大きくなりすぎ、上記範囲の細孔径が得られないことがある。
【0050】
尚、上記の如く3〜30nmの細孔径を形成するには、例えばアルカリ金属,アルカリ土類金属,重金属,希土類の塩化物(硫酸塩,硝酸塩,リン酸塩,炭酸塩,酢酸塩など)、臭化物、或いはヨウ化物を含む水溶液(または懸濁液)に原料を浸漬・乾燥させた後、炭化処理・賦活処理を行なうことが推奨される。また原料を炭化処理して得られた炭化物を該水溶液(または懸濁液)に浸漬・乾燥させた後、賦活処理を行なってもよい。或いは原料を溶融させて上記塩化物、臭化物、或いはヨウ化物等を練り込んで固化させたものを用いて炭化処理・賦活処理してもよい。また上記塩化物、臭化物、或いはヨウ化物等の微粉末を原料に混合したものを用いて炭化処理・賦活処理してもよい。勿論、賦活処理後の活性炭に上記粉末,水溶液,懸濁液等を付与した後、再度、炭化処理・賦活処理を行なうこともメソ孔形成には有効である。この様に金属塩等を利用することなく、炭化・賦活処理しても、細孔径が十分に成長せず、3〜30nmの細孔径を有する担体を得ることは困難である。
【0051】
また細孔径3〜30nmにおける担体の細孔容積を0.20cc/g以上とするには、上述の任意の金属塩等を1〜50質量%の割合で担体に添着させて処理することが推奨される。
【0052】
この様な製造方法を採用することによって、細孔直径3〜30nmにおける細孔容積が0.20cc/g以上(但し、クランストン−インクレイ法に基づく)である活性炭からなり、且つ該担体厚み方向の通気性が200cm/cm・s以上であるカーボン担体が製造できる。勿論、上記の如く製造されたカーボン担体はカーボン担体のトルエン吸着性能が25g/m(但し、温度:25℃)以上であり、しかも目付が80〜250g/m、比表面積が1000〜3000m/gを有する。
【0053】
【実施例】
試験方法は特に記載しない限り、上述の方法に基づくものである。
【0054】
実施例1
単繊維繊度3.3dtexで、糸状の繊度442dtexのポリノジック系繊維を使用し、22ゲージ両面丸編み機によりフライス編物を編成した。この編物は、目付340g/m、厚さ1.85mm、通気性は360cm/cm・sであった。この編物をリン酸アンモニウム水溶液(リン酸アンモニウム10質量%)に浸漬した後、浸漬前の編物質量の2倍になるように余剰水溶液を除去(絞り)した。更に大気雰囲気下で乾燥(100℃、15分間)させた後、該編物を不活性雰囲気下(N)、常温から300℃まで昇温(10℃/分)し、更に300℃で30分間保持して耐炎化処理を行った。該処理後、300℃から850℃まで1時間かけて昇温して編物を炭素化した。また850℃に達した時点で水蒸気50vol%を含む雰囲気(残部:N)とし、同温度(850℃)で30分間賦活処理し、繊維状活性炭からなる編物を得た。該活性炭編物を酢酸マグネシウム水溶液(酢酸マグネシウム15質量%)に浸漬し、浸漬前の編物質量の2倍になるように水溶液を除去し・乾燥(100℃、15分間)させた。乾燥後、該活性炭編物を水蒸気20wt%を含む雰囲気下(残部:N)、常温から890℃まで昇温(10℃/分)し、該温度(890℃)で60分間保持して繊維状活性炭からなる編物担体を得た。該担体の目付、厚み、通気性、比表面積、トルエン吸着量、細孔直径3〜30nmの細孔容積を表1に示す。
【0055】
実施例2
単繊維繊度3.3dtexで、糸状の繊度442dtexのポリノジック系繊維を使用し、22ゲージ両面丸編み機によりフライス編物を編成した。この編物は、目付340g/m、厚さ1.85mm、通気性は360cm/cm・sであった。この編物をリン酸カルシウム水溶液(リン酸カルシウム10質量%)に浸漬させた後、浸漬前の編物質量の2倍になるように余剰水分を除去し、乾燥(100℃、15分間)させた。その後、該編物を不活性雰囲気下(N)、常温から300℃まで昇温(10℃/分)し、該温度(300℃)で30分間保持して耐炎化処理を行った。その後、300℃から850℃まで昇温(10℃/分)して該編物を炭素化した。また850℃に達した時点で水蒸気50vol%を含む雰囲気(残部N)とし、該温度(850℃)で30分間賦活して維状活性炭からなる編物担体を得た。該担体の目付、厚み、通気性、比表面積、トルエン吸着量、細孔直径3から30nmの細孔容積を表1に示す。
【0056】
参考例1
単繊維繊度3.3dtexで、糸状の繊度442dtexのポリノジック系繊維を使用し、22ゲージ両面丸編み機によりフライス編物を編成した。この編物は、目付340g/m、厚さ1.85mm、通気性は360cm/cm・sであった。この編物をリン酸アンモニウム水溶液(リン酸アンモニウム10質量%)に浸漬した後、浸漬前の編物質量の2倍になるように余剰水分を除去してから、乾燥(100℃,15分)させた。乾燥後、該編物を不活性雰囲気下(N)、常温から300℃まで昇温(10℃/分)し、該温度(300℃)で30分間保持して耐炎化処理を行った。処理後、300℃から850℃まで昇温(10℃/分)して編物を炭素化した。また850℃に達した時点で水蒸気50vol%を含む雰囲気(残部:N)とし、該温度(850℃)で30分間賦活して維状活性炭からなる編物担体を得た。該担体の目付、厚み、通気性、比表面積、トルエン吸着量、細孔直径3から30nmの細孔容積、及び触媒担時後の水素ガス放出量、水素放出開始までの時間を表1に示す。
【0057】
参考例2
単繊維繊度3.3dtex、糸状の繊度442dtexのポリノジック系繊維を使用し、22ゲージ両面丸編み機によりスムース編物を編成した。この編物は、目付340g/m、厚さ1.85mm、通気性は360cm/cm・sであった。この編物をリン酸アンモニウム水溶液(リン酸アンモニウム10質量%)に浸漬した後、浸漬前の編物の質量の2倍なるように絞ってから乾燥(100℃,15分間)させた。乾燥後、該編物を不活性雰囲気下(N)、常温から300℃まで昇温(10℃/分)し、該温度(300℃)で30分間保持して耐炎化処理を行った。該処理後、更に850℃まで昇温(10℃/分)して編物を炭素化させた。また850℃に達した時点で、水蒸気50vol%を含む雰囲気(残部:N)とし、該温度(850℃)で30分間保持して賦活処理を行ない、繊維状活性炭からなる編物を得た。該編物を酢酸マグネシウム水溶液(酢酸マグネシウム15質量%)に浸漬した後、浸漬前の編物質量の2倍となる様に絞った後、乾燥させた。乾燥後、該編物を水蒸気20wt%を含む雰囲気(残部:N)下、常温から890℃まで昇温(10℃/分)し、該温度(890℃)で60分間保持し、繊維状活性炭からなる編物担体を得た。該担体の目付、厚み、通気性、比表面積、トルエン吸着量、細孔直径3から30nmの細孔容積を表1に示す。
【0058】
参考例3
単繊維繊度2.2dtex、糸状の繊度273dtexのポリアクリロニトリル系繊維を使用し、22ゲージ両面丸編み機によりフライス編物を編成した。該編物は、目付213g/m、厚さ1.55mm、通気性は306cm/cm・sであった。この編物を300℃に設定した処理装置内に設置し、大気(空気)雰囲気下、15分間保持して不融化処理を行なった後、不活性雰囲気(N)とし、更に850℃まで昇温(10℃/分)し、30分間該温度で保持して炭化した。また850℃に達した時点で水蒸気50vol%を含有する雰囲気(残部:N)とし、該温度(850℃)で60分間保持して賦活した。得られた繊維状活性炭からなる編物担体の目付、厚み、通気性、比表面積、トルエン吸着量、細孔直径3から30nmの細孔容積を表1に示す。
【0059】
参考例4
粒径250〜550μm、比表面積950g/mの粒状活性炭を酢酸マグネシウム水溶液(10%)に浸漬した後、浸漬前の活性炭質量の2倍となる様に水分を除去してから、24時間乾燥(100℃)させた。その後、該活性炭をN雰囲気下で850℃(10℃/分)まで昇温した後、雰囲気を水蒸気50vol%を含む雰囲気(残部N)に変更し、該温度(890℃)にて30分間賦活処理した。得られた活性炭にバインダー(ポリアミド系バインダー,粒径200〜700μm)を混合し(配合比は活性炭:バインダー=2:1)、該混合物をポリエステル系不織布(30g/m)に180g/mとなる様に均一に散布した後、200℃で10秒間加熱して活性炭シートを得た。得られた活性炭シートの目付、厚み、通気性、比表面積、トルエン吸着量、細孔直径3から30nmの細孔容積を表1に示す。
【0060】
水素放出量及び水素放出までの時間の測定方法
上記各担体に金属触媒(白金)を担持させた触媒を用いて水素ガス放出量、及び水素放出開始までの時間を調べた。尚、白金の担持方法は、いずれの実施例も、担体を5%KPtCl水溶液に48時間浸漬した後、脱水乾燥し、更に5%NaBH水溶液に浸漬した。浸漬後、予備乾燥して水分を除去してから、90℃にて還元して白金(5質量%)担持触媒とした。
【0061】
得られた触媒10cmを図1に示す様な容器1内に載置し、窒素を充填した後に容器1を密閉した。該容器1を200℃に加熱した帯状ヒーター3の上に載せ、5分間加熱した。加熱後、容器1内の触媒2に10ccのシクロヘキサンを触媒に均一に滴下(滴下時間:1分)し、水素ガス放出開始までの時間(分)、及び1時間経過後の水素ガス放出量(L)を測定(水素捕集管6)した。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】



【0063】
本発明の上記実施例の触媒は、装置内に充填する際に割れなどが生じず、取扱性に優れていた。また試験中、試験後も割れなどの不良が生じなかったために優れた取扱性を有していた。一方、参考例4の触媒は、柔軟性に乏しく、装置内に充填する際に割れが生じる等、取扱性が悪かった。また試験後、活性炭がポリエステル系不織布から剥がれ、装置内に充満した。
【0064】
【発明の効果】
上記の如く本発明によれば、担体の有効表面積を向上させつつ、十分な強度を確保し、取扱性にも優れている。また担体を構成する活性炭の細孔径及び該孔径を有する細孔の容積を特定することで、触媒の活性を向上させることができる。したがって、本発明の担体に金属を担持してなる触媒を用いると、高い触媒性能を発揮し、効率的に化合物の水素化、及び脱水素反応を行なうことができる。この様に本発明の担体は、芳香族化合物の水素化反応/脱水素反応用触媒の担体として好適である。
【0065】
また本発明の担体に触媒成分を担持させてなる触媒を用いた水素貯蔵放出システムは高効率で化合物に水素を添加、或いは水素の放出を行なうことができる。したがって本発明の担体に金属触媒を担持してなる触媒は、芳香族化合物を当該触媒の存在下で水素化して、該化合物に水素を貯蔵させると共に、必要に応じて該水素貯蔵物を該触媒の存在下で脱水素反応させ、該化合物から水素を放出させる機能を備えた水素貯蔵放出システムとして有効に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いた装置の概略図である。
【符号の説明】
1 丸底フラスコ
2 触媒担体
3 電気ヒーター
4 冷却管
5 コック
6 水素捕集管
7 冷却管
8 芳香族回収部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属触媒を担持するカーボン担体であって、該カーボン担体は細孔直径3〜30nmにおける細孔容積が0.20cc/g以上(但し、クランストン−インクレイ法に基づく)である活性炭からなり、且つ該担体厚み方向の通気性が200cm/cm・s(但し、JIS L 1018に基づく)以上であることを特徴とするカーボン担体。
【請求項2】
前記担体の比表面積が1000〜3000m/gである請求項1に記載のカーボン担体。
【請求項3】
前記カーボン担体が繊維状カーボンによって構成されている請求項1または2に記載のカーボン担体。
【請求項4】
前記カーボン担体が編物である請求項1〜3のいずれかに記載のカーボン担体。
【請求項5】
前記編物は、リブ編み又は両面編みされたものである請求項4に記載のカーボン担体。
【請求項6】
前記カーボン担体のトルエン吸着性能が25g/m(但し、温度:25℃)以上である請求項1〜5のいずれかに記載のカーボン担体。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2004−33892(P2004−33892A)
【公開日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−193773(P2002−193773)
【出願日】平成14年7月2日(2002.7.2)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】