説明

金属部品の流動成形方法

【解決手段】焼結金属部品を流動成形する方法。第1のステップは、一般的な粉体金属加工により円盤(15、16、17)を成形する。円盤(15、16、17)は、外円周の端部にフランジを有し、または有さない、ドーナツ型の部品である。円盤(15、16、17)はその後、必要に応じて銅含浸され、あるいはそのまま使用される。円盤(15、16、17)は、適切な金型(20)によりスピナーホールド(T)に固定され、溝がその外面に刻まれる。スピニングは、仕上げローラ、または仕上げローラに先立つプレ仕上げローラでなされうる。この工程は、非常に正確に部品を製造するだけでなく、スピニングにおいて加えられる圧力により密度を上げ、かつ溝構造全体および表面層の粉体金属鋳巣を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属部品、例えば焼結あるいは鋳造金属部品の流動成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体金属製造法は公知の方法である。金属粉の微粒子は、溶鉱炉で適当な形状に圧縮成形され、その後、焼結される。焼結は、部品を成形するために、それぞれの表面上で、粉体粒子の溶解と溶着を引き起こす。
【0003】
粉体金属工程には2つの固有の欠点がある。第1の問題は、全ての空隙と鋳巣を除去するために粉体金属を100%の材料密度に圧縮成形することは、例え不可能でないとしても、非常に困難である、ということである。空隙は部品の強度を低下させ、内部腐食を生じうる。この問題への解決策は、銅、レジン、あるいはその他の材料で空隙の含浸または溶浸をすることである。素材の特性を向上させず、例えば塗装オーブンの中における低い温度でも溶解するため、レジン含浸の用途は限定される。銅含浸は、素材強度に加算される一方でコストがかかり、より重要であることには、寸法精度を低下する、部品の寸法変化を引き起こす。
【0004】
粉体金属工程における第2の問題は、圧縮成形力に対して垂直である水平方向での粉体圧縮成形能力が、非常に限られていることである。多くの粉体金属工程は、粉体をモールドまたは金型に満たすために重力を用いている。圧縮成形方向は垂直方向である。これは、スプロケット歯は粉体金属/焼結工程を用いて製造されうる一方で、多重リブ付きプーリ溝は、粉体金属/焼結工程により作られ得ないことを示す。
【0005】
粉体金属(PM)の高密度化は、PM技術それ自身と同様に長く行きわたっている技術である。高密度化を達成するための多くの公知方法がある。最も良く知られている工程は冷間鍛造である。熱間鍛造および転造もまた高密度化のために公知である。
【0006】
スピニングもまた、金属成形方法として公知である。ワークピースが回されて、回転可能であり、ベアリングに取り付けられた工具がワークピースを成形するものとしてスピニングは一般的に定義される。最もありふれたスピニング方法は、板形状に板状金属ブランクを保ちつつ、その形状を変更する。この例は、ポットやフライパンの成形、溝付きプーリのスピニング、同様に、ジェットエンジンの前部曲形状のスピニング(チタン合金を成形することは困難)である。
【0007】
一般に、スピニングは他の方法よりもずっと容易に金属を流動する能力を有する。部品が回転すると、ローラは金属を塑性状態にし、流動化させ、そして離れる。材料のどの元素にも、部品が回転するにつれて、何度も可塑性流動がもたらされる。従って、スピニングは、実質的に限度なく、数千パーセントに金属を流動しうる。
【0008】
スピニングによる流動成形は、通常大きな負荷と圧力の下で行われる点を除けば、スピニングに関しては同様の手法でなされる。材料は、はじめに塑性状態になり、そのステップでは、陶磁器用粘土のように流動化する。スピニングのこのタイプの例は、平面ブランクから多重リブ付きプーリを製造すること、平面ブランクからハブをスピニングすること、平面ブランクからギアをスピニングすることである。
【0009】
他方、プレス成形は、おそらくは数千のステーションあるいはそれ以上の複数のステーションの使用を通じてのみ、同じことをなしうる。スピニングは1つの機械上で金属を流動化しうるが、それに対して圧力機は数千のステーションを必要として、双方の機械はサイクルごとに部品を次々と成形する。
【0010】
自動車のプーリは、慣習的に、公知技術である多数の異なった工程を用いて板金をスピニングすることにより製造される。しかしながら、クランク軸ダンパプーリでは、多くの場合において、プーリの重量はスピニングされた板金プーリが提供する質量よりも重くなければならない。高質量は、クランク軸の振動を弱めるために必要である適切な慣性重量を提供するために必要とされる。
【0011】
慣習的に、高質量は、スピニングされた板金の代わりに、鋳鉄プーリを使用することによって達成される。鋳鉄の問題は、その製造工程、すなわち、砂中の鋳造に起因し、適切な最終形状および寸法を成し遂げるためにはマシニングされなければならないことにある。マシニングは、廃棄物を出すのと同様に、時間的、人的費用を加算するため、比較的高価な作業である。さらに、多重リブ付きのあるいは他の形式のプーリのマシニングされた溝は、切削ヘッドにより引き起こされるマシニング跡(溝)の存在により、スピニング加工された部品よりも粗雑である。これは、ベルト寿命の減少につながる。
【0012】
さらに、マシニングは、鋳造に固有である鋳巣を露出する。開口した鋳巣の鋭利な端部は、溝の上を走るベルトに対して有害である。溝のマシニングは粒状組織を切り開いて、全体に弱い構造を作る。
【0013】
従来技術を代表するものは、ファーガソン(Ferguson)に付与された米国特許第3,874,049号(1975年)であり、焼結プリフォームは冷間成形され、その成形の間、可動金型がプリフォームの表面領域に沿って侵入しぬぐうことを引き起こすことにより、剪断力が、受け面であることが求められるプリフォームの表面に加えられる、粉体金属部品の成形方法を開示する。
【0014】
従来技術を代表するものは、ホジャトらに付与された、米国特許第5,947,853号(1999年)であり、ハブが板金の厚さよりも厚い厚さを有する、板金の円盤からスピニング成形された完全なハブを備えるプーリを開示する。
【0015】
必要とされるものは、焼結、あるいは鋳造金属部品を流動成形する方法である。必要とされるものは、スピニングにより焼結粉体金属部品を高密度化する方法である。必要とされるものは、焼結または鋳造金属部品を流動成形することにより、クランク軸ダンパのための、低コストでネットシェイプの高慣性プーリを製造する方法である。本発明はこれらの要求に合致する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の第1の特徴は、焼結または鋳造金属部品を流動成形する方法を提供することである。
【0017】
本発明のもうひとつの特徴は、流動成形によって焼結粉体金属部品の密度を上げる方法を提供することである。
【0018】
本発明のもうひとつの特徴は、流動成形された焼結または鋳造金属部品により、クランク軸ダンパーのための、低コストでネットシェイプの高慣性プーリを製造する方法を提供することである。
【0019】
本発明の他の特徴は、本発明に関する以下の記述および添付された図面により指摘され、あるいは明らかにされる。
【0020】
焼結金属部品を流動成形する方法。第1のステップは、一般的な粉体金属加工により円盤を成形する。円盤は、外円周の端部にフランジを有し、または有さない、ドーナツ型の部品である。円盤はその後、必要に応じて銅含浸され、あるいはそのまま使用される。円盤は、適切な金型によりスピナーホールドに固定され、溝がその外面に刻まれる。スピニングは、仕上げローラ、または仕上げローラに先立つプレ仕上げローラでなされうる。この工程は、非常に正確に部品を製造するだけでなく、スピニングにおいて加えられる圧力により密度を上げ、かつ溝構造全体および表面層の粉体金属鋳巣を除去する。
【0021】
明細書の一部に含まれ、かつ形成する添付図面は、本発明における好ましい実施形態を図示したものであり、詳細な説明とともに本発明の仕組みを表現するために供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
粉体金属(PM)は、鉄および非鉄部品を製造する公知の方法である。第1に、単元素あるいは合金の粉末が混合され、金型の中で圧縮成形される。結果物はその後、雰囲気調整炉の中で、焼結され又は熱されて粒子を金属的に結合する。PMは、一般的に低廃棄物の金属処理工程であるが、完成部品には始めの未加工品の97%以上が使用される。その結果、PMはエネルギーおよび材料節約型の方法である。PMは最終形状に部品を製造する能力があるが、部品を仕上げ精度にするために、多少の仕上げ加工が通常必要とされる。
【0023】
本発明の方法の第1のステップは、周知の粉体金属工程によって、円盤を形成することである。円盤はドーナツ型であり、外周の片側面にフランジを有しても良い。図1参照。フランジは、ブランクの外周の両側面に設けられうるが、金型の中でカム動作を必要とするため、粉体金属ではより困難な工程である。円盤はその後、必要により、公知の方法によって銅含浸され、またはそのまま使用される。
【0024】
本方法の発明において用いられうる、PM原料構成比率の例は以下の通りである。銅鉄および銅鋼鉄と同様に、銅含浸された鉄及び鋼鉄について多数の配合率すなわち混合率が公知であり、本方法の発明において好ましく用いられうる。これらの配合は、限定ではなく、例示という方法により提供される。
材料表示 Fe% Cu% C%
FC−0205−40 93.5 1.5 0.3
98.2 3.9 0.6
FX−1008−50 82.2 8.0 0.6
91.4 14.9 0.9
【0025】
上述の材料表示は、この方法において同等に有用であるいくつかの他の表示と同様に、金属粉体業界連盟(MPIF)標準35、1997年版において認められうる。本方法の発明は、焼結材料が、開示されたスピニング工程で流動成形されるほど十分に延び得る限り、実質上いかなるPM部品に対しても適用されうる。
【0026】
粉体金属は、粉体圧縮成形機の金型の中に入れられ、そして適切なリング形状におけるグリーンストレングスに圧縮成形される。圧力トン数は、リングの大きさ(直径および厚さ)に依存し、一定程度への部品高密度化に影響を与える。圧縮成形されたリングはその後、およそ1120から1150℃の間の温度で、酸化を防止するために不活性な雰囲気中で、コンベヤタイプの焼結炉に差し込まれる。炉は、3つの区域、予熱、含浸、冷却、を一般的に備える。およそ45から60分後、焼結部品は炉を出る。
【0027】
焼結工程では、粉体粒は表面が溶解し、これは通常発汗と呼ばれ、互いに恒久的な結合をして固体部品を製造する。しかしながら、粒子の幾何形状、形態、および大きさのため、100%の高密度化を達成することは不可能である。典型的なPM部品は、固体金属部品密度のおよそ85%から92%の範囲での密度を有する。残り15%から8%は、PM部品の中に分散する細穴を構成する。高密度化は、焼結後の機械作業によってのみ達成される。機械作業は、圧縮成形機による冷間鍛造により、通常なされる。機械作業は、一定の場合には、熱間鍛造、転造、およびその他の工程によってもなされ、あるいは本発明の場合には流動成形によりなされる。
【0028】
FC−0205−40材料では、一旦焼結されると、部品はスピニングマシンへ行く用意が整う。FX−1008−50材料では、部品は、銅の一片が公知の工程を用いてその頂点に置かれ、他の同様の炉を通過することにより、始めに銅含浸される。銅の一片は溶解し、そして毛細管現象によりPM部品全体に吸収される。
【0029】
含浸、非含浸を問わず、焼結部品は、スピナに移される。仕上げ品質により、スピニング前に、表面仕上げを改善し棘形状を除去するための回転操作がなされうる。上述の圧力および温度は、例示という方法によってのみ提供され、PM部品を製造するために用いられうる公知の圧力および温度の範囲を限定することを意図するものではない。
【0030】
図1はブランクとローラの斜視図である。本方法の発明の次のステップのために、焼結PMディスク10が、溝11を成形するため、あるいは歯を含む公知の他の形状を成形するために、公知であるスピニングマシンの回転マンドレルに置かれる。図3参照。スピニングマシンでは、部品は、駆動機すなわち主軸台H上の器具に置かれる。部品は器具にその内周面(ID)を配置する。主軸台器具は、部品10の底面を支持する。機器の上面である、芯押し台(T)は下がり、そして部品の上面を最小約40トンで固定する。主軸台(H)および芯押し台(T)は多くの場合、400から900rpmで回転(R)する。粗仕上げローラ20はその後、部品に水平に接近し(+D)、部品10を半完成溝形状に流動成形する。必要とされる最小ローラスライド力は、およそ12トンだが、これは流動成形される部位の求められる深さに基づき、変化しうる。力は、プーリの溝の数や溝の型式に依存し、それに応じて変更される。一旦粗い形状がディスク10にスピニングされると、粗仕上げローラはその後、後退し(−D)、そして粗仕上げローラと同じ経路上の仕上げローラがプーリ溝11の流動成形を完了するために動く。仕上げローラはその後納められ、芯押し台(T)は上昇し、完成されたプーリが排出される。
【0031】
溝、および溝の下部(流動成形により影響される領域)の部品密度は、粉体が作られている固体材料の密度の100%に近い。もし、内周面の高密度化が必要であれば、それは、平面、あるいは望まれるいかなる形状のどちらでも、内面スピニングされる。内面および外面スピニングは公知であり、同時、あるいは別個の操作で施されうる。
【0032】
スピニング前のPMリングは、高密度化を考慮した完成部品の正確な体積が計算されて設計される。これは、PMリングの体積と直径は、固体部品がスピニングされたとするよりもやや大きいことを意味し、これにより、PM部品から鋳巣を除去することにより体積変化が起こされることとなる。
【0033】
含浸PM部品は上述のように用いられうるが、含浸は高価であり、非含浸材料の高密度化が好ましい。さらに、含浸は、部品が寸法精度を失うことになる。従って、銅含浸部品が用いられると、スピニングは、大きさを正確にし、高密度化よりもプーリを成形するために、より多く行われる。
【0034】
記載されたスピニングの各ステップは、代表的なものであり、本発明による方法に用いられ、または、本発明の部品を完成するために用いられる、各ステップの数や形式を限定することを意図していない。ここに記載されたスピニング工程は、加熱されず十分に加圧されることを備える。スピニング中の部品の加温は、ローラと部品との相互作用により発生するが、これは、本工程に付随して起きるものであってほとんどあるいは全く影響がなく、すなわち、これは、多量の冷却液/潤滑液が、流動成形により発生される熱を除去するためにこの操作において用いられるためである。除熱は、過度の熱により成形ローラに損傷を与えることを避けるために必要である。冷却液/潤滑液による潤滑は、成形ローラと部品間の過度の摩擦を防止するために必要とされる。
【0035】
開示された工程は、非常な正確さをもって多重リブ付きプーリを製造するだけでなく、スピニングにより実現される圧力により、粉体金属の表面層における鋳巣を高密度化し、かつ除去をも行う。図2参照。結果物は、クランク軸ダンパプーリのための適切な慣性を有する、高精度、ネットシェイプ、そして低コストである多重リブ付きプーリ、あるいは他の部品である。
【0036】
プーリの慣性は、その質量をプーリの直径の二乗倍することにより計算される。限定要因は、プーリの厚さ、具体的には、部品の内周面に放射状である各溝の底部から計測される金属の厚さ、である。SAEおよび他の多くの国際規格は1.14mmの最小厚さを必要とする。多くのプーリは1.5mmの厚さで製作されている。適価な運転コストを有する公知の実在する工程に基づくと、例えば、ギャザリングおよびスピニング工程でより多くの回転を与えない場合には、溝の底部での素材の厚さの限度は、最大4.0mmである。これにより、直径および溝の数によって異なるプーリによって慣性値が異なることになる。
【0037】
対照的に、PMおよび鋳造部品は、溝の底部に、実質的な限定なくいかなる量の厚さ寸法差をも伴って作られうる。寸法差は、粉体の側方または水平圧縮成形は実際上および金銭的にも不可能であるため、多重リブ付きプーリの溝はPM工程で作られ得ない、という事実により生じる。このように、固体部品は製造され、溝は公知技術によって切削され、あるいは本発明の工程に記載されたように流動成形される。
【0038】
公知技術によるダンパはスピニング板金プーリで作られうるが、板金プーリによって与えられるよりも多くの慣性の要求がある。これは、多くの自動車ダンパに対して5mmから30mmの範囲で溝底部の厚さを必要とする。この厚さの範囲を板金加工により製作することは現在不可能である。
【0039】
この記載は、クランク軸ダンパプーリに関しては、部分的に鋳造される。しかしながら、それは単なる例示であり、本方法の発明が適用されうる生産物を限定することを意図するものではない。クランク軸ダンパは、シリンダの点火によりエンジンクランク軸に生じる振動を減衰する。クランク軸ダンパは、ハブと外部プーリと、それらの間に配される弾性部材とを一般的に備える。
【0040】
ねじれ振動振幅は、通常1から2度の間である。この振動は、過大であり、疲労によるクランク軸の破損を引き起こし、騒音を起こしうる。クランク軸ダンパは、通常、振動吸収エラストマ部材の形状中にあるスプリング、および、通常、プーリと結合する慣性質量、という2つの手段によりこの振動を減衰する。慣性質量は、振動に対抗し、エラストマの助けを借りて振動の振幅を減衰する。流動成形板金ダンパにとって慣性値の代表値は、通常およそ4,000から10,000kg.mmの範囲である。一方、本方法の発明を用いた流動成形鋳造およびPMプーリは、およそ8,000から30,000kg.mmの範囲である。これは、スピニング板金プーリを超えておよそ100から300%の増加を示している。この増加は、代表的なものであり、本方法の発明を用いて実現されうる慣性値の増加を限定することを意図するものではない。
【0041】
本方法の発明は、粉体金属工程のネットシェイプや低コストを利用して、ネットシェイプおよびスピニングの正確性と粉体金属工程とを結びつけ、同時に、粉体金属部品の望む部位を単に高密度化する。高密度化は、部品強度を増加し、内部腐食の可能性を減少する。
【0042】
ここに記載された予め成形された粉体金属部品をスピニングおよび流動成形することと同じ工程は、殆どの同様の利点を有して、予め成形された鋳物をスピニングおよび流動成形することにも適用されうる。鋳物は、流動成形する間、部品の金属を流動可能にするに足るほど延性のある素材を備えることのみを必要とする。鋳物材料は、鋼鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、チタニウム、マグネシウム、およびそれらの合金を含むが、限定はされない。
【0043】
PMおよび鋳物部品双方にとって、溝の流動成形は、長いベルト寿命を促進する滑らかな表面を生じる。反対に、マシニング溝は切削表面を被っているため、スピニング加工溝よりもずっと早くベルトを磨耗する。
【0044】
図2は本方法の発明を用いて製造された多重リブ付きプーリの断面図である。図2aは、図2の詳細図である。リブ領域における改良された粒状組織は図2aに示される。流動成形工程は、ボディ10の外部位における粒状組織部12を、リブ表面13と実質的に平行な方向に合わせる。リブを含む、外部位15における材料の密度は、実質的に鋳巣を除去する一方で、実質的に増加される。リブおよび外部位15の密度は、金属密度の100%にほぼ等しい。それゆえ、部位15は、流動成形されないPMボディ部17の密度よりも、8−15%の密度増加を備える。
【0045】
流動成形は、マシニングの間に起こる、鉄粒子の形成に対抗するそれらの切断により、部品の強度を改善する。さらに、流動成形は、50%あるいはそれ以上に材料の機械的特性を改良する、加工硬化を作り出す。降伏強さを超え、また最大抗張力(塑性領域)を下回る成形力は、組織的金属結晶配列を破壊し、混乱を作り出す。金属原子は、混乱領域において、高励起エネルギー準位にある。原子励起は、部品の強度の向上を含む、機械的特性を改善するように、材料中に示される。焼結金属の流動が塑性領域で起きると、PM工程あるいは鋳造によって作られた焼結金属中に存在する全ての細穴は、閉じられ、そして実際的に消滅する。降伏力、最大張力、および硬度のような機械的性質もまた、本方法の発明により改善される機械的強度の指標となる。
【0046】
ディスクの内部直径面14は、図2を参照すると、内部スピニング工程(板金スピニングにおいて公知である)において、同様に部位16の寸法精度を高めながら、内部16における材料を高密度化するために、スピニングされうる。いかなる望みうる形状、例えば、ダンパエラストマ部材(図示しない)と機械的に係合し受容するための曲面形状が、表面14にスピニングされうる。流動化した内部直径面14は、例えば、ベアリングを受けうる。部位15と同様に、流動成形部16は、流動成形されないPMボディ部17の密度よりも、8−15%の密度増加を備える。
【0047】
部位15および部位16の深さ、あるいは厚さは、スピニングの間に用いられる成形圧力の働きによるものであり、また、特定の設計の必要性に適合するために調節されうる。ここに一定の参照が‘表面‘に対して行われるが、ボディをスピニングする効果は、スピニング流動成形の間に用いられる圧力に依存して、ボディ中の一定の深さに達する。それゆえに、流動成形されない部位とは対照的に、スピニング部には大きな密度を有する体積を創る。
【0048】
流動成形は、仕上げマシニングの必要性なく、部品の全体、あるいは選択された部位を高密度化すると同時に、より高精度な水準で寸法許容誤差を狭くする。内面および外面スピニング両方は、必要であれば、ひとつのスピニングマシンで同時に実行されうる。もちろん、いかなる適切な表面をフィニッシュマシニングすることは、必要であれば、同様にして実行されうる。
【0049】
上記の記載は、説明の目的のためにのみなされ、従属請求項によって決定されるであろう発明の範囲を限定することを意図するものではない。さらに、ここに発明のひとつの実施形態が説明されたが、記載された発明の精神と範囲から逸脱することなく、変形が各部の構造と関係に施されることは、当業者にとって自明である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ブランクとローラの斜視図である。
【図2】本発明による方法を用いて製造された多重リブプーリの断面図である。
【図2a】図2の詳細である。
【図3】典型的なスピニングマシンの側面計画図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体金属混合物を用意し、
金型へ前記粉体金属混合物を入れ、
部品を成形するために前記粉体金属混合物を圧縮し、
前記金型から前記部品を取り出し、
加熱により前記部品を焼結し、
回転マンドレルで前記部品をスピニングし、
前記部品をスピニングする間、前記部品をローラに係合し、
ローラで前記部品を流動成形する、
各ステップを備える製造方法。
【請求項2】
前記部品の流動成形は、前記部品に多重リブ付き面を流動成形する請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記部品の内部直径面を流動成形するステップをさらに備える請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
ある密度を有する粉体金属ボディと、
スピニングによりボディ密度よりも高い密度を有する前記ボディの外部位とを備える部品。
【請求項5】
前記外部位は、多重リブ形状をさらに備える請求項4に記載の部品。
【請求項6】
スピニングにより、前記ボディ密度よりも高い密度を有する前記ボディの内部位をさらに備える請求項4に記載の部品。
【請求項7】
前記ボディの外部位の密度は、前記ボディの密度よりも約8から15%高い請求項4に記載の部品。
【請求項8】
前記ボディの前記内部位の前記密度は、前記ボディの密度よりも約8から15%大きい請求項6に記載の部品。
【請求項9】
粒状組織部はリブ表面と実質的に平行である請求項5に記載の部品。
【請求項10】
一定の密度を有する粉体金属と、
外部位に圧力を加えることのみにより、前記ボディ密度よりも高い密度を有する前記ボディの外部位とを備える部品。
【請求項11】
前記外部位は多重リブ付き形状をさらに備える請求項10に記載の部品。
【請求項12】
外部位に圧力を加えることのみにより、前記ボディ密度よりも高い密度を有する前記ボディの内部位をさらに備える請求項10に記載の部品。
【請求項13】
前記ボディの前記外部位の前記密度は、前記ボディの密度よりも約5から10%大きい、請求項10に記載の部品。
【請求項14】
前記ボディの前記内部位の前記密度は、前記ボディの密度よりも約8から15%大きい、請求項12に記載の部品。
【請求項15】
粒状組織部はリブ表面と実質的に平行である請求項11に記載の部品。
【請求項16】
ボディ密度を有する粉体金属部品と、
前記ボディ部に圧力を加えることのみにより、前記ボディ密度よりも高い密度を有する前記ボディ部とを備える部品。
【請求項17】
前記ボディ部は多重リブ付き形状をさらに備える請求項16に記載の部品。
【請求項18】
前記第2のボディ部に圧力を加えることのみにより、前記ボディ密度よりも高い密度を有する前記第2のボディ部をさらに備える請求項16に記載の部品。
【請求項19】
前記ボディ部の前記密度は、ボディ密度よりも約5から10%大きい請求項16に記載の部品。
【請求項20】
前記第2のボディ部の前記密度はボディ密度よりも約8から15%高い請求項18に記載の部品。
【請求項21】
ボディ部粒状組織はリブ表面と実質的に平行である請求項17に記載の部品。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−529003(P2006−529003A)
【公表日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521168(P2006−521168)
【出願日】平成16年7月19日(2004.7.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/023185
【国際公開番号】WO2005/009655
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(504005091)ザ ゲイツ コーポレイション (103)
【Fターム(参考)】