金属酸化物を含む組成物
組成物であって、
（ａ）１ｎｍ〜５０ｎｍの第１の数加重平均一次粒径を有する第１の金属酸化物粒子と、
（ｂ）５０ｎｍよりも大きく２００ｎｍ以下である第２の数加重平均一次粒径を有する第２の金属酸化物粒子と
を含み、
有機官能化シリコーン微細繊維が、前記第１及び第２の金属酸化物粒子の一方又は両方の表面に結合し、および前記第１及び第２の金属酸化物粒子の一方又は両方の表面から伸びる組成物を提供する。
（ａ）１ｎｍ〜５０ｎｍの第１の数加重平均一次粒径を有する第１の金属酸化物粒子と、
（ｂ）５０ｎｍよりも大きく２００ｎｍ以下である第２の数加重平均一次粒径を有する第２の金属酸化物粒子と
を含み、
有機官能化シリコーン微細繊維が、前記第１及び第２の金属酸化物粒子の一方又は両方の表面に結合し、および前記第１及び第２の金属酸化物粒子の一方又は両方の表面から伸びる組成物を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
第１の態様では、本出願は少なくとも２つの異なる平均一次粒径を有する金属酸化物粒子を含み、前記粒子の少なくとも一部は凝集を防ぐためにコーティングされている組成物に関する。第２の態様では、本出願は、本発明の第１の態様による組成物を含む化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【０００２】
種々の異なる利益、特に紫外線防止及び着色利益のような美容利益を提供するために、並びに皮膚の欠陥を覆い隠すため（例えば皮膚ファンデーションの場合）に、組成物内に金属酸化物粒子を組み込むことは既知である。日焼け止め及び皮膚の覆い隠しによる利益の両方に代表される利益を組み合わせるために、化粧用組成物に異なる粒径の金属酸化物粒子を組み込むことも既知である − 金属酸化物日焼け止め粒子は、約２００ｎｍよりも小さな粒径を有していてよく、一方金属酸化物顔料は２００ｎｍを超え、並びに、典型的には２００ｎｍを大幅に超える粒径を有する。１種類における利益の程度を改善するために、化粧用組成物に異なる粒径の金属酸化物粒子を組み込むこともまた、既知である。ＰＣＴ国際公開特許ＷＯ９０／１１０６７は、中波長紫外線のみならず長波長紫外線に対する効果的な遮断を提供するための、２つの異なる二酸化チタン粒径の組み合わせの使用を教示している。ＰＣＴ国際公開特許ＷＯ９０／１１０６７による組成物は、しかしながら、それらの組成物が可視光線の顕著な反射率を与えないように特に設計されている（それらは透明となるように設計されている）ため、皮膚を覆い隠すように設計された製品（化粧用皮膚ファンデーションのような）として使用されるのに好適ではない。
【０００３】
さらに、閉塞（水分保持）特性、改善された感触特性を提供するために、溶媒として、及び他の理由をもって、シリコーン類を包含する脂肪又は親油性物質を化粧品に包含させることが知られている。
【０００４】
金属酸化物粒子及び親油性物質双方の利益を結合させるために、双方の種類の構成成分の、単一組成物中への包含を検討することは自然なステップである。しかしこれは難題を提示することになり、金属酸化物粒子が、一般に疎水性マトリックスに容易に分散しないからである。この難題を克服するために、乳化剤を組成物に加えることによって、金属酸化物粒子を親油性相内で安定化することが知られている。
【０００５】
低誘電率媒質中の乳化剤は、安定化を提供して凝集を防止するために、立体効果を使用する場合がある。より具体的には、乳化剤は、粒子の自由表面を親水性端末でコーティングして親油性鎖を媒質の中へ伸ばし、鎖は、浸透性効果によりアグロメレーションを防ぐように作用する：２個の粒子が互いに近づくと、鎖が重なり合って、ポリマー濃度の一時的な増加を引き起こす。この増加は、粒子間の流体に力を加え得る浸透性応力を引き起こし、それによって粒子を分離させる。
【０００６】
しかし、組成物への遊離乳化剤の添加は、製品の寿命を通して粒子の良好な分散を確実にするのに十分ではない場合がある。乳化剤の濃度が低すぎる場合、浸透性応力はそれに応じて低くなり、２個の粒子が互いに近づくと、乳化剤が粒子に架橋して事実上アグロメレーションを促進することがある。一方で、乳化剤の濃度が高すぎる場合には、浸透性応力の挙動は逆転して、枯渇凝集をもたらすことがある。このシナリオにおいては、遊離乳化剤の濃度が非常に高いことがあるため、粒子が互いに近づくと、遊離乳化剤は粒子間から押し出される場合がある。濃度の差は、粒子の間の空間から流体を引き出す浸透性応力を作り出し、それによってアグロメレーションを促進する場合がある。
【０００７】
乳化剤の理想的なレベルは、あらゆる系で存在するが、その系における小さな変化が乳化剤の量を最適量から遠ざけ、それによって上記の問題をもたらす場合がある。特に使用時に乾燥することが必要な製品の場合、全ての時点で乳化剤の理想的なレベルを得ることはほとんど不可能であり、それは、乾燥プロセスの際に乳化剤の濃度が連続的に増加するからである。換言すれば、粒子の表面の非結合コーティングの使用は、あらゆる系にとって、乳化剤の濃度がその寿命の、ある段階において次善でなければならないことを意味する。
【０００８】
非結合乳化剤コーティングの欠点を克服するために、粒子の表面に結合しているコーティングの使用を採用してもよい。結合は、乳化剤の架橋を防ぐことがあり、溶液中に遊離乳化剤がないので、枯渇凝集が避けられることがある。加えて、表面からの乳化剤の拡散を防ぐ必要がないので、乳化剤の親水性／親油性バランス（ＨＬＢ）を制御する必要性がない。その結果、結合コーティング中の分子は、非結合乳化剤よりも長い端末を有してよく、このことが次には、立体安定性効果を増すことがある。
【０００９】
立体安定性を提供するために結合乳化剤でコーティングされた金属酸化物粒子を含む組成物を配合することは、既知である。そのような処方は、芳香剤ジャーナル（Fragrance Journal）、８１頁〜８５頁、２００２−６におけるマサネオ・カメイ（Masaneo Kamei）による表題「粉末表面処理のための新規シリコーンの開発（Development of Novel Silicones for Powder Surface Treatment）」の記事で開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
しかし、その記事で開示されている化粧用組成物は、皮膚に適用することが難しく、それにより、金属酸化物粒子有益剤により達成される利益が、予想されるものより劣る結果となる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明によれば、組成物であって、
（ａ）１ｎｍ〜５０ｎｍの第１の数加重平均一次粒径を有する第１の金属酸化物粒子と、
（ｂ）５０ｎｍよりも大きく２００ｎｍ以下である第２の数加重平均一次粒径を有する第２の金属酸化物粒子と
を含み、
有機官能化シリコーン微細繊維が、前記第１及び第２の金属酸化物粒子の一方又は両方の表面に結合し、および前記第１及び第２の金属酸化物粒子の一方又は両方の表面から伸びる組成物を含む。
【００１２】
本明細書で使用するとき、用語「結合」には、化学吸着及び共有結合のような化学結合が包含されるが、それらには限定されない。用語「結合される」は、適宜に解釈されるべきである。
【００１３】
本発明の第２の態様によると、本発明の第１の態様による組成物を含む化粧用組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
本明細書の全ての重量、測定値及び濃度は、特に指定のない限り、組成物全体に関して２５℃で測定される。
【００１５】
金属酸化物日焼け止め剤粒子に関して本明細書で使用するとき、ドーピング又はコーティング物質の全ての重量は、ドーピング又はコーティングされる下にある金属酸化物粒子の重量の百分率として示される。この定義は、さらに、ドーピング又はコーティング物質それ自体が金属酸化物である場合でも適用される。従って、粒子の重量がｘグラムであり、コーティング又はドーピング物質の重量がｙグラムである場合、コーティング又はドーピング物質の重量百分率はｙ／ｘ×１００である。
【００１６】
化粧用組成物に関して本明細書で使用するとき、金属酸化物日焼け止め剤粒子の重量百分率とは、基礎となる金属酸化物粒子とあらゆるドーピング又はコーティングとを合わせた重量を、化粧用組成物の全体重量により割ったものである。従って、粒子の重量がｘグラムであり、コーティング又はドーピング物質の重量がｙグラムであり、化粧用組成物の全体（コーティング又はドーピングされた金属酸化物粒子を包含する）の重量がｚグラムである場合、金属酸化物粒子の重量百分率は、（ｘ＋ｙ）／ｚ×１００である。
【００１７】
特に指示のない限り、本明細書で言及される組成物の百分率は全て組成物全体（すなわち、存在する構成成分全ての和）の重量百分率であり、全ての比は重量比である。
【００１８】
特に指示のない限り、全て、重合体分子量は数平均分子量である。
【００１９】
組成物中の架橋オルガノポリシロキサンエラストマーの重量百分率に対する本明細書での参照は、その組成物中の固体オルガノポリシロキサンエラストマーの重量百分率に対する参照であり、組成物中の固体オルガノポリシロキサンエラストマーに溶媒を足した重量の百分率に対する参照ではない。これは、市販のオルガノポリシロキサンエラストマー類が多くの場合に溶媒と組み合わされて市販されているので、疑いを避けるために記述されている。
【００２０】
特に指示のない限り、本文内で参照される全ての文献の内容は、その全てが本明細書に参考として組み込まれる。
【００２１】
実際に測定した値の特定例が提示されている場合を除いて、本明細書で言及する数値は「約」という語により修飾されていると考えるべきである。
【００２２】
ナノメートル及びマイクロメートルの大きさの範囲の金属酸化物一次粒子は、単位容量当たり高い表面積を有し、それに相応して反応性があり、それらのアグロメレーションをもたらして、二次粒子を形成する。このアグロメレーションは不可避であり、ある時点までは、望ましくないわけではない−微細なナノメートルサイズの粒子は光を拡散せず、そのためにそれらは長波長紫外線焼け止め剤としてはあまり好適ではない。しかし二次粒径が抑制されない場合には、生成された粒子は、要求される特性を有さない場合があり、組成物は、使用時に均一の利益を提供しない場合がある。加えて、特に日焼け止め剤の場合では、過剰なアグロメレーションは、得られる利益を変えるか、又は著しく低減する場合があって、一次粒径が二次粒子の全体の表面積を決定し、一般に、より小さい一次粒子がより大きい表面積の二次粒子を生じさせると考えられる。次に二次粒子の表面積は、中波長紫外線の吸収を決定すると考えられ、二次粒子の表面積が大きいほど、中波長紫外線吸収の程度が大きい。他方、二次粒径は、長波長紫外線の拡散を決定すると考えられ、粒径が大きいほどより多く拡散する。理論に束縛されるものではないが、二次粒子のアグロメレーションは中波長紫外線の吸収と長波長紫外線の拡散の両方を低減する場合があり、それによって日焼け止め利益に著しく影響を与えると考えられている。二次粒子のアグロメレーションは、二次粒子表面積全体を引き下げ、それによって中波長紫外線吸収の程度を低減し、加えて、長波長紫外線の反射は二次粒径と共に増加するが、二次粒子の全体数は、アグロメレーションが増大すると減少し、それによって長波長紫外線の反射も低減する。
【００２３】
本発明は、少なくとも２つの異なる数加重平均一次粒径を有する金属酸化物粒子の存在を必要とする。この方法では、紫外線拡散及び吸収効果の範囲は、広域スペクトルに渡って達成され得る。しかしながら、上述した欠点を引き起こす可能性のある、疎水性媒質におけるアグロメレーションの問題に対処することが依然として重要である。
【００２４】
アグロメレーションを低減する又は防止するために、第１の及び／又は第２の金属酸化物粒子には有機官能化シリコーン微細繊維のコーティングが提供され、微細繊維は、金属酸化物粒子の表面に結合され、金属酸化物粒子の表面からキャリア媒質中へと伸びている。既に考察されているように、コーティングされた金属酸化物粒子が互いに近づくと、それらの微細繊維が絡まることがあると考えられる。絡まりが起こっている領域の、得られた高濃度の有機官能化シロキサンポリマーは、高い浸透圧を生成し、キャリア流体を隣接する粒子間に流れ込ませ、粒子を分離させる。
【００２５】
金属酸化物粒子を、アミノ、イミノ、ハロゲン、ヒドロキシル、及びアルコキシルから成る群から選択される反応性部分を含む有機官能化シリコーンポリマーで処理することで、微細繊維が有利に付着し、それによって有機官能化シリコーンポリマーが金属酸化物ポリマーの表面に吸着される。
【００２６】
有機官能化シリコーンポリマーが、５〜１００、好ましくは２５〜５０のシリコーン反復単位を含むことが有利である。この大きさのポリマー類は、キャリア媒質中に突き出ており、その中で自由に流動する場合があり、それによって更にアグロメレーションを回避する。本明細書で使用する時、「シリコーン反復単位」又は「シリコーン単位」は、以下を意味し、
【００２７】
【化１】
式中、Ｘ及びＹの各々は、独立して、アルキル基又はいずれかの官能基である。
【００２８】
好ましくは、有機官能化シリコーンポリマーは、重量平均分子量（Ｍｗ）の数平均分子量（Ｍｎ）に対する比（Ｍｗ／Ｍｎ）１．０〜１．３を有する。理論に束縛されるものではないが、表面コーティングは、浸透圧を最大限にするために、また相対的により長いポリマー鎖による凝集を架橋することを避けるために、可能な限り均一であることが重要であると考えられる。
【００２９】
有機官能化シリコーンポリマーは、線状有機官能化シリコーンポリマーであってよい。この場合、反応性部分は、その分子鎖の一端に位置していることが好ましい。
【００３０】
あるいは、有機官能化シリコーンポリマーは、分枝鎖有機官能化シリコーンポリマーであってよい。この場合、反応性部分は、好ましくは側鎖上に位置している。有利には、反応性部分が見出される側鎖は、シリコーン骨格の一端の５シリコーン反復単位内、好ましくは３シリコーン反復単位内に位置している。
【００３１】
コーティングされた金属酸化物粒子を製造するためには、上記で特定された有機官能化シリコーンポリマー、前記有機官能化シリコーンポリマーを溶解する有機溶媒及び金属酸化物が混合され、次に加熱により乾燥される。有機官能化シリコーンポリマーは、処理される金属酸化物粒子の粒子直径及び比表面積に応じて、その金属酸化物粒子の０．１質量％〜３０質量％、好ましくは１質量％〜１５質量％、より好ましくは２質量％〜８質量％の量で使用されるべきである。
【００３２】
適切な有機溶媒は、表面処理のため、その引火点及び発火点、並びに金属酸化物粒子の表面活性及び熱安定性を考慮して選択されるべきである。有機溶媒の好ましい例には、エーテル類、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類、脂肪族炭化水素類、及びアルコール類、並びに水のような他の溶媒とのそれらの混合物が挙げられる。有機溶媒は、金属酸化物粒子に対して１〜５０質量％の量で使用されるべきである。
【００３３】
有機官能化シリコーンポリマー、有機溶媒、及び金属酸化物粒子の混合は、それらを通常の混合機の中に一緒に入れるか、又は有機官能化シリコーンポリマーを有機溶媒と金属酸化物粒子の混合物に噴霧することによって、実施されてもよい。混合物の加熱は、金属酸化物粒子の熱抵抗性及び使用される有機溶媒の種類を考慮して、適正な方法で実施されるべきである。
【００３４】
好適な有機官能化シリコーンポリマー類の例には、ジメチルポリシロキシシラザン、α−モノヒドロキシシロキサン、α，ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α−モノアルコキシポリジメチルシロキサン、α，ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α−ジアルコキシポリジメチルシロキサン、α−トリアルコキシポリジメチルシロキサン、α，ω−ヘキサ−アルコキシポリジメチルシロキサン、ジメチルポリシロキシクロリド、ジメチルポリシロキシブロミド、及びジメチルポリシロキシヨウ化物が挙げられる。それらの例のうち好ましいものは、α−モノアルコキシポリジメチルシロキサン、α−ジアルコキシポリジメチルシロキサン、α−トリアルコキシポリジメチルシロキサン、α−モノヒドロキシメチルフェニルシロキサン、α−トリアルコキシポリメチルヘキシルシロキサン、及びメチルスチリル／ジメチルポリシロキシブロミドである。それらは顔料に極めて容易に吸着され、吸着されると、それらは、処理された顔料に平滑な感触を付与する。有機官能化シリコーン中の反応性基は、ケイ素原子に直接的に結合してよく、又は置換基を通して間接的に結合してもよい。
【００３５】
金属酸化物粒子をコーティングするのに用いられてもよい市販の有機官能化シリコーンポリマー類には、次の物質が挙げられる：信越社（Shin Etsu Co. Ltd）により製造されるＸ−２４−９８２６、Ｘ−２４−９１７１及びＸ−２４−９１７４；東芝シリコーン社（Toshiba Silicone Co. Ltd.）により製造されるＴＳＬ８１８５及びＴＳＬ８１８６；チッソ社（Chisso Corporation）により製造されるＳＩＯ６６４５．０；信越化学社（Shin-Etsu Chemical Co. Ltd.）により製造されるＫＢＭ−３１０３；日本ユニカー社（Nippon Unicar Co. Ltd.）により製造されるＡ−１３７。
【００３６】
金属酸化物粒子に微細繊維を提供することに加えて、それらには、また、疎水性キャリア媒質中の粒子の分散性を改善するために、疎水性コーティングが提供されてもよい。疎水性コーティングは、微細繊維の提供の前に前処理として、又は微細繊維の提供の後に後処理として適用されてもよい。有利には、金属酸化物粒子は、その金属酸化物粒子の２〜２５重量％、好ましくは５重量％〜１５重量％、より好ましくは７重量％〜１２重量％の疎水性コーティングを含む。
【００３７】
有利には、疎水性コーティングは、１以上の次の材料及びイソプロピルアルコールの混合物を金属酸化物粉末上に適用し、１５０℃で３時間乾燥することによって行うことが可能である：反応性オルガノポリシロキサン、ポリオレフィン（ポリエチレン及びポリプロピレンを包含する）、水素添加レシチン及びそれらの塩類、Ｎ−アシルアミノ酸及びそれらの塩類、並びにデキストリン脂肪酸エステル類。好ましくは反応性オルガノポリシロキサンは、オルガノ水素ポリシロキサン、トリオルガノシロキシケイ酸、及びトリアルコキシ基で両方の末端が修飾されているオルガノポリシロキサンを含む。反応性オルガノポリシロキサン類の部類に入る市販の物質には、信越化学社（Shin-Etsu Chemical Company Ltd）により製造されるＫＦ−９９、ＫＦ−９９０１、ＫＦ−７３１２Ｆ、ＫＦ−７３１２−Ｊ、ＫＦ−７３１２Ｋ、ＫＦ−９００１、ＫＦ−９００２、Ｘ−２１−５２４９及びＸ−２１−５２５０；ダウ・コーニング東レシリコーン社（Dow Corning Toray Silicone Co. Ltd.）により製造されるＳＨ−１１０７、ＤＣ５９３、ＢＹ−１１−０１５、ＢＹ−１１−０１８及びＢＹ−１１−０２２；東芝シリコーン社（Toshiba Silicone Co. Ltd.）により製造されるＴＳＦ４８４、ＴＳＦ４８３及びＴＳＦ４６００；日本ユニカー社（Nippon Unicar Co. Ltd.）により製造されるＦＺ３７０４及びＡＺ６２００が挙げられる。
【００３８】
疎水性コーティングは、前の段落で記載されたものに限定されず、当業者に既知の代替的な疎水性コーティングが代わりに用いられてもよい。そのようなコーティングには、トリアルコイルイソプロピルチタネート、好ましくはトリイソステアロイルイソプロピルチタネート、及びペルフルオロコーティング、好ましくはポリペルフルオロエトキシメトキシＰＥＧ−２ホスフェートが挙げられる。
【００３９】
幾つかのコーティングは、立体安定化を提供して凝集を回避するために、疎水特性及び微細繊維提示の双方を提供してもよい。この部類に入る市販のコーティングには、信越社（Shin Etsu Co Ltd.）からのＫＦ９９０８（トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン）、ＫＦ９９０９（トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン）及びＫＰ５７５（アクリレート／トリデシルアクリレート／トリエトキシシリルプロピルメタクリレート／ジメチコンメタクリレートコポリマー）が挙げられる。
【００４０】
本発明による組成物の本質的な特徴は、１ｎｍ〜５０ｎｍの第１の数加重平均一次粒径を有する第１の金属酸化物粒子及び５０ｎｍより大きく２００ｎｍ以下である第２の数加重平均一次粒径を有する第２の金属酸化物粒子の存在である。任意で、１以上の追加の金属酸化物粒子もまた存在してもよく、前記追加の金属酸化物粒子又は前記追加の金属酸化物粒子の各々は、前記第１の、第２の及び存在するあらゆる他の金属酸化物粒子のものとは異なる数加重平均一次粒径を有する。
【００４１】
本発明による第１の及び第２の金属酸化物粒子は、（数加重平均一次粒径の条件に従う限り）あらゆる好適な金属酸化物類を含んでよく、第１の及び第２の金属酸化物の各々は、単一の金属又は２以上の金属類の混合物の酸化物であってよい。好ましくは、第１の及び第２の金属酸化物粒子は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラ、酸化クロム、水酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム及びそれらの混合物から成る群から選択される。より好ましくは、第１の及び第２の金属酸化物粒子は、二酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、及びそれらの混合物から選択される。尚より好ましくは、第１の及び第２の金属酸化物粒子は、二酸化チタン粒子を含む。
【００４２】
上述したように、一次粒径は第２の粒子の表面積を決定するのに重要であり、本発明によれば、第１の金属酸化物粒子は、１ｎｍ〜５０ｎｍの第１の数加重平均一次粒径を有し、第２の金属酸化物粒子は５０ｎｍよりも大きく２００ｎｍ以下である第２の数加重平均一次粒径を有する。第１の数加重平均一次粒径は５〜４０ｎｍ、好ましくは８〜３０ｎｍであることが有利である。第２の数加重平均一次粒径は５０ｎｍよりも大きく１５０ｎｍ以下であり、好ましくは５０ｎｍよりも大きく１２０ｎｍ以下であり、より好ましくは５５ｎｍ〜１００ｎｍであることが有利である。定義された小さい方の粒子及び大きい方の粒子の両方を存在させることによって、中波長紫外線防止効果、長波長紫外線防止効果、及び、大きい方の粒子による可視光線の反射の増加による皮膚被覆の改善、の３つの目的を同時に達成することがある。
【００４３】
さらに、第１の金属酸化物粒子は、組成物の０．１〜１０％、好ましくは０．５〜８％、より好ましくは１〜５％を構成するのが有利であり、第２の金属酸化物粒子は、組成物の０．１〜１０％、好ましくは０．５〜８％、より好ましくは２〜５％を構成するのが有利である。
【００４４】
本発明による組成物は第１の金属酸化物粒子よりも高い重量百分率の第２の金属酸化物粒子を含み、その重量比：
【００４５】
【数１】
が、１．０未満であり、０．９９〜０．１の範囲である。これは、化粧用皮膚ファンデーションのような、下にある皮膚をある程度まで覆い隠すことを意図した化粧用組成物の場合に特に有利であることがある：大きい方の粒子をより多く存在させることによって、３つの目的−中波長紫外線防止効果、長波長紫外線防止効果、及びより高い割合の大きい方の粒子によって可視光線の反射を増大させることによる皮膚被覆の改善が同時に達成され得る。
【００４６】
第１の金属酸化物粒子として使用してよい市販の物質としては、ケミラ社（Kemira Oy.）からのＭ２６２及びイシハラ社（Ishihara Corp.）からのＴＴＯ Ｓ−３、ＴＴＯ Ｓ−４、ＴＴＯ Ｖ−３が挙げられる。第２の金属酸化物粒子として使用してよい市販の物質としては、イシハラ社（Ishihara Corp.）からのＫＱ−１、ＭＰＴ−１４０、及びＭＰＴ１４１が挙げられる。好ましい実施形態では、約１５ｎｍの平均一次粒子を有する、ミヨシ化成（Miyoshi Kasei）からのＳＡＳ−ＴＴＯ Ｓ−３／Ｄ５（これは微細繊維でコーティングされたＴＴＯ Ｓ−３粒子を含む）、及び約６０ｎｍの一次粒径を有する、ＳＡＳ−ＫＱ−１（これは微細繊維でコーティングされたＫＱ−１粒子を含む）を、それぞれ第１の及び第２の金属酸化物粒子として組み合わせてよい。
【００４７】
本明細書で使用するとき、用語「一次粒径」は、Ｘ線回折により決定される、金属酸化物の結晶の大きさを意味する。これは、一番強いルチル線の広がりを測定することに基づいている。
【００４８】
本発明の組成物は化粧用組成物であることが有利であり、それらは化粧用皮膚ファンデーションであることが極めて有利である。
【００４９】
こうした化粧用組成物は、第１の金属酸化物粒子、第２の金属酸化物粒子、及び任意で０〜３０％の１以上の追加の金属酸化物粒子から成る組み合わされた金属酸化物粒子を０．１質量％〜５０質量％含むことが可能で、その追加の金属酸化物粒子、又はその追加の金属酸化物粒子の各々は、第１の、第２の、又は存在するあらゆる他の金属酸化物粒子類のものとは異なる数加重平均一次粒径を有する。例えば、金属酸化物顔料類が存在する場合には、化粧用組成物は、好ましくは、０．０５質量％〜３０質量％、好ましくは１質量％〜２０質量％の金属酸化物顔料類を含む。
【００５０】
使用してよい金属酸化物顔料類としては、ケミラ社（Kemira Oy）（フィンランド）からのＸ２００のようなアナターゼ顔料類、及びＩＳＫジャパン（ISK Japan）からのＣＲ５０又はＰＦ６７１のようなルチル顔料類が挙げられる。Ｘ２００は、ＦＡ６５ＵＭＬＯとしてコボ・プロダクツ社（Kobo Products Inc）から、６５％メチコン処理分散体として入手可能である。
【００５１】
好ましい実施形態では、ＳＡＳ−ＴＴＯ Ｓ−３／Ｄ５、ＳＡＳ−ＫＱ−１及びＦＡ６５ＵＭＬＯを、それぞれ第１、第２、及び第３の金属酸化物粒子として組み合わせてよい。
【００５２】
微細金属酸化物粒子は、不当な化学又は光化学反応を引き起こす可能性がある、極めて反応性の高い表面を有する。この効果に対抗するために、それらの表面を、シリカのような他の物質又はアルミナのような金属酸化物の１つ以上でドーピングして、表面の反応性を低減することが知られている。この表面処理は、典型的には金属酸化物粒子の１５〜３０重量％に相当し得る。有利には、本発明による化粧用組成物内に含まれる金属酸化物粒子は、前述のようにドーピングされてもよい。
【００５３】
最後に、金属酸化物粒子が二酸化チタンである場合には、それらの二酸化チタン粒子は有利には四塩化チタンプロセス−「クロライドプロセス（Chloride Process）」により製造される。更に、か焼されているこれらの物質が、特に好ましい。理論に束縛されるものではないが、クロライドプロセス（Chloride Process）により製造された二酸化チタン粒子は、特にそれがか焼された場合、多孔性の減少を引き起こし、疎水性を与え及び／又はアグロメレーションを防ぐ（porevent）ために少量のコーティングを必要とする。
【００５４】
有利には、本発明による化粧用組成物は疎水性相を含む。疎水性相は、架橋オルガノポリシロキサンエラストマー類、油類、ガム類、ワックス類、及び他の疎水性物質を含んでよい。好ましくは、疎水性相は架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを含む。
【００５５】
架橋オルガノポリシロキサンエラストマーは、化粧用組成物の１．７重量％よりも多く１５重量％まで、好ましくは２重量％〜１０重量％、より好ましくは２．２〜５重量％の量で存在してよい。上記で述べたように、これらは組成物中の固体オルガノポリシロキサンエラストマーの量である。驚くべきことに、本発明者らは、１．７％を超えるエラストマーにより、特に好ましい範囲において、金属酸化物粒子により提供される利益の均一性が改善するということを確立した。
【００５６】
本発明の組成物は、乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマー、非乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマー又はそれらの混合物を含んでよい。存在する場合、乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマーは、組成物の０．０１〜１５重量％、好ましくは０．０１〜１重量％の量で存在する。さらに、存在する場合は、非乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマーは、有利には化粧用組成物の０．０１〜１５重量％、好ましくは２〜５重量％の量で存在する。
【００５７】
本明細書で使用するとき、架橋オルガノポリシロキサンエラストマーに関連して使用される場合に「非乳化」という用語は、ポリオキシアルキレン又はポリグリセリル単位を全く含まない架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを含む。
【００５８】
本明細書で使用するとき、架橋オルガノポリシロキサンエラストマーに関連して使用される場合に「乳化」という用語は、少なくとも１つのポリオキシアルキレン（例えば、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン）又はポリグリセリルユニットを含む架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを含む。
【００５９】
架橋オルガノポリシロキサンエラストマーの出発物質としての機能を果たすことができる硬化性オルガノポリシロキサン組成物の種類には、特に制限はない。これに関連する例は、ＳｉＨ含有ジオルガノポリシロキサンとケイ素結合ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの付加反応により白金金属触媒下で硬化する付加反応硬化オルガノポリシロキサン組成物；ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンとＳｉＨ含有ジオルガノポリシロキサンとの脱水素反応により有機スズ化合物の存在下で硬化する縮合硬化オルガノポリシロキサン組成物；ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンと加水分解性オルガノシランの縮合反応（この縮合反応は、脱水、アルコール−遊離、オキシム−遊離、アミン−遊離、アミド−遊離、カルボキシル−遊離、及びケトン−遊離反応によって例示される）により有機スズ化合物又はチタン酸エステルの存在下で硬化する縮合硬化オルガノポリシロキサン組成物；オルガノペルオキシド触媒の存在下で熱硬化するペルオキシド硬化オルガノポリシロキサン組成物；及びガンマ線、紫外線、又は電子ビームのような高エネルギー放射線により硬化されるオルガノポリシロキサン組成物である。
【００６０】
好ましい非乳化オルガノポリシロキサン組成物は、ジメチコン／ビニルジメチコンクロスポリマー類である。そのようなジメチコン／ビニルジメチコンクロスポリマー類は、ダウ・コーニング（Dow Corning）（ＤＣ９０４０、ＤＣ９０４１）、ゼネラル・エレクトリック（General Electric ）（ＳＦＥ８３９及びベルベシル（Velvesil）材料）、信越（Shin Etsu）（ＫＳＧ−１５、１６、１８〔ジメチコン／フェニルビニルジメチコンクロスポリマー〕）、グラント社（Grant Industries）（グランシル（Gransil）（商標）材料ライン）を包含する多様な供給元により供給され、ラウリルジメチコン／ビニルジメチコンクロスポリマー類は信越（Shin Etsu）により供給される（例えば、ＫＳＧ−４１、ＫＳＧ−４２、ＫＳＧ−４３、及びＫＳＧ−４４）。
【００６１】
特に有用な乳化エラストマー類は、ジビニル化合物から、特に少なくとも２個の遊離ビニル基を持つシロキサンポリマー類から、ポリシロキサン骨格上でＳｉ−Ｈ結合と反応させて形成された、ポリオキシアルキレン変性エラストマー類である。好ましくは、エラストマー類は、分子球状ＭＱ樹脂のＳｉ−Ｈ部位で架橋しているジメチルポリシロキサン類である。市販の乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマー類の例には、信越化学社（Shin-Etsu Chemical Company Ltd.）からのＫＳＧ−２１（固体オルガノポリシロキサンエラストマーを２７％含む）、ＫＳＧ−２１０（固体オルガノポリシロキサンエラストマーを２４％含む）、ＫＳＧ−２４０、及びＫＳＧ−３１０、ＫＳＧ−３２０が挙げられる。ポリグリセリル単位を含む乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマー類の市販のものの例は、信越化学社（Shin-Etsu Chemical Company Ltd.）からのＫＳＧ７１０及びＫＳＧ−８００である。
【００６２】
本発明による化粧用組成物は油を含むことが有利である。油は、化粧用組成物の７重量％〜８０重量％の量で存在してよい。油は、揮発性油類、不揮発性油類、及びそれらの混合物から成る群から選択されてよい。
【００６３】
本明細書で使用するとき、用語「不揮発性」は、油と関連して用いられるとき、次の定義の少なくとも１つを満たす油類を包含する：（ａ）油は、２５℃及び０．１ＭＰａ（１気圧）で約２６．７Ｐａ（０．２ｍｍＨｇ）以下の蒸気圧を示す；（ｂ）油は、０．１ＭＰａ（１気圧）で少なくとも約３００℃の沸点を有する。
【００６４】
本明細書で使用するとき、用語「揮発性」は、油類と関連して用いられるとき、本明細書前記で定義された「不揮発性」ではない物質を包含する。
【００６５】
上記の定義に準拠するあらゆる不揮発性油が、本発明による化粧用組成物中に包含されてもよい。そのような不揮発性油類には、官能化と非官能化の両方のシリコーンオイル類、炭化水素油類、及びそれらの混合物を挙げてもよい。不揮発性油は、化粧用組成物の０〜２０重量％、好ましくは１〜１０重量％の量で存在してもよい。
【００６６】
本発明による化粧用組成物に包含されてもよい揮発性油類には、官能化と非官能化の両方のシリコーンオイル類、炭化水素油類、及びそれらの混合物を挙げることが可能である。本発明で有用な揮発性油は、次の性質の１つ以上を示してよい−飽和又は不飽和であってよく、直鎖又は分枝鎖又は環状構造を有し得る。
【００６７】
本発明による化粧用組成物に組み込まれてもよい揮発性炭化水素類の例には、イソドデカン及びイソデカン（例えば、プレスパース社（Presperse Inc.）から入手可能なペルメチル−９９Ａ（Permethyl-99A））のようなポリデカン類、並びにＣ7〜Ｃ15イソパラフィン類（例えば、エクソン・ケミカルズ（Exxon Chemicals）から入手可能なイソパー・シリーズ（Isopar Series））が挙げられる。
【００６８】
本発明による化粧用組成物に組み込まれてもよい揮発性シリコーン油類の例として、以下の式に対応する環状揮発性シリコーン類：
【００６９】
【化２】
（式中、ｎは、約３〜約７である）、及び以下の式に対応する線状揮発性シリコーン類：
（ＣＨ3）3Ｓｉ−Ｏ−〔Ｓｉ（ＣＨ3）2−Ｏ〕m−Ｓｉ（ＣＨ3）3
（式中、ｍは、約１〜約２０、好ましくは３〜１２である）が挙げられる。
【００７０】
好ましくは、環状揮発性シリコーン類は、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン及びそれらの混合物から選択される。
【００７１】
線状揮発性シリコーン類は、一般に、２５℃で約５Ｅ−６ｍ2／ｓ（５センチストークス）未満の粘度を有し、環状シリコーン類は、一般に、２５℃で約１Ｅ−５ｍ2／ｓ（１０センチストークス）未満の粘度を有する。
【００７２】
市販の揮発性シリコーン油類の例には、次のシクロメチコン類が挙げられる：ダウ・コーニング（Dow Corning）２００、ダウ・コーニング２４４、ダウ・コーニング２４５（Dow Coming 245）、ダウ・コーニング３４４、及びダウ・コーニング３４５（ダウ・コーニング社（Dow Corning Corp.）から市販されている）；ＳＦ−１２０４及びＳＦ−１２０２シリコーン・フルイッズ（Silicone Fluids）（Ｇ．Ｅシリコーンズ（G. E. Silicones）から市販されている）、ＧＥ７２０７及び７１５８（ゼネラル・エレクトリック社（General Electric Co.）から市販されている）；並びにＳＷＳ−０３３１４（ＳＷＳシリコーンズ社（SWS Silicones Corp.）から市販されている）。信越化学社（Shin-Etsu Chemical Co）からＴＭＦ１．５流体として入手可能なメチルシルセスキオキサン類；シルケア・シリコーンズ（SILCARE SILICONES）、例えば、それぞれクラリアント（Clariant）から、シルケア（Silcare）１５Ｍ６０として入手可能なフェニル置換シルセスキオキサン類（Silcare）、シルケア（Silcare）３１Ｍ６０及び３１Ｍ５０として入手可能なｎ−オクチル置換シルセスキオキサン類、シルケア（Silcare）４１Ｍ１０、４１Ｍ１５、及び４１Ｍ２０として入手可能なヘキシルメチコン、カプリリルメチコン、及びラウリルメチコンの市販されている他の例。
【００７３】
揮発性油は、化粧用組成物の７〜７０重量％、好ましくは１０重量％〜５０重量％、より好ましくは２０重量％〜４０重量％の量で存在してもよい。
【００７４】
一つの有利な実施形態において、揮発性油は、２〜５０×１０-6ｍ2／ｓ（２〜５０ｃｓｔ）、より好ましくは３〜５０×１０-6ｍ2／ｓ（３〜５ｃｓｔ）、なおより好ましくは３〜５０×１０-6ｍ2／ｓ（４ｃｓｔ）の粘度の、揮発性環状シリコーンと揮発性線状ジメチコンの混合物を含むことが好ましい。理論に束縛されるものではないが、乾燥する間、線状ジメチコンは皮膚に長く残って、金属酸化物粒子を濡れた状態に保ち、それによってアグロメレーションを低減する可能性があると考えられる。アグロメレーションは、顔料の場合では色ずれの原因であり、日焼け止め剤の場合では、太陽光線保護指数効果を低減する原因である。
【００７５】
有利には、揮発性環状シリコーンと揮発性線状ジメチコンの比は１：１〜２５：１、好ましくは５：１〜１０：１である。
【００７６】
有用な線状ジメチコン類の好ましい例には、ＤＣ２００ ５ｃｓｔ（５Ｅ−６ｍ2／ｓ）、ＤＣ１６３０及びＤＣ５−２１１７が挙げられる。より好ましくは、線状ジメチコンは、ＤＣ５−２１１７を含む。
【００７７】
本発明による化粧用組成物は、無水製品として又はエマルションとして配合されてもよい。化粧用組成物がエマルションとして配合される場合、それらのエマルションは、油中水型（シリコーン中水型）エマルション、又は水中油型（水中シリコーン型）エマルションであってもよいが、好ましくはシリコーン中水型エマルションである。
【００７８】
有利には、本発明による化粧用組成物は、０．１〜７０％、好ましくは１〜５０％、より好ましくは５〜４０％の水を含有する、シリコーン中水型エマルションとして配合される。
【００７９】
本発明による化粧用組成物は、エマルションの形態であるかどうかに関わらず、乳化剤を含んでよい。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、双極性イオン性、及び両性乳化剤、並びにそれらの混合物から成る群から選択されてよい。好適な乳化剤は、マカッチャンの洗剤及び乳化剤（McCutcheon's Detergents and Emulsifiers）、北アメリカ版（North American Edition）、３１７頁〜３２４頁に開示されている。
【００８０】
本発明による化粧用組成物がシリコーン中水型エマルションである場合では、好ましい乳化剤は、ポリオキシアルキレンコポリマー類（シリコーンポリエーテル類としても知られている）、ポリグリセリルコポリマー類、及びそれらの混合物から成る群から選択される。ポリオキシアルキレンコポリマー類は、米国特許第４，２６８，４９９号に詳細に記載されている。より好ましいポリエーテル類としては、ＤＣ５２２５Ｃ又はＤＣ５１８５としてシクロペンタシロキサンとのブレンドとして入手可能なＰＥＧ／ＰＰＧ−１８／１８ジメチコン；信越（Shin-Etsu）からＫＦ６０１７又はＫＦ６０２８として入手可能なＰＥＧ９ジメチコンが挙げられる。好ましいポリグリセリル乳化剤は、信越社（Shin-Etsu Inc.）からＫＦ６１００及びＫＦ６１０４として入手可能である。
【００８１】
一つの実施形態において、本発明による化粧用組成物は、ポリグリセリルコポリマー乳化剤類のみを含み、ポリオキシアルキレン乳化剤類を含まないことが好ましい。これは、ポリオキシアルキレン乳化剤類が分解してエチレングリコール及びアルデヒド類を放出する場合があり、これが一部の消費者の皮膚の感受性を増加させることがあるからである。
【００８２】
乳化剤の総濃度は、製剤の０．０１重量％〜約１５重量％、より好ましくは約０．１重量％〜約１０重量％、さらによりに好ましくは組成物の１．０重量％〜約５重量％、さらにより好ましくは約１．０重量％〜約３重量％であり得る。
【００８３】
本発明による化粧用組成物は、１〜５０μｍ、好ましくは５〜２０μｍの平均粒子直径を有する球状粒子を任意に含有してよい。球状粒子に関して本明細書で使用するとき、粒子直径は、一次粒子のものであることが理解される
好ましい球状粒子には、メチルシルセスキオキサン樹脂微小球から選択されるポリマー粒子、例えば、トスパール（Tospearl）１４５Ａ又はトスパール２０００の名称でＧＥシリコーン（GE silicone）により販売されているもの；ポリメチルメタクリレート類の微小球、例えば、ミクロパール（Micropearl）Ｍ１００の名称でセピック（Seppic）により販売されているもの；架橋ポリジメチルシロキサン類の球状粒子、特に、例えばトレフィル（Trefil）Ｅ５０６Ｃ又はトレフィル（Trefil）Ｅ５０５Ｃの名称でダウ・コーニング東レシリコーン（Dow Corning Toray Silicone）により販売されているもの；ポリアミド、より具体的にはナイロン（Nylon）１２の球状粒子、特に、例えばオルガソール（Orgasol）２００２Ｄ Ｎａｔ Ｃｏｓの名称でアトケム（Atochem）により販売されているもの；ポリスチレン微小球、例えば、ダイノスフィアズ（Dynospheres）の名称でダイノ・パーティクルズ（Dyno Particles）により販売されているもの；フロビード（FloBead）ＥＡ２０９の名称でコボ（Kobo）により販売されているエチレンアクリレートコポリマー、並びにそれらの混合物が挙げられるが、それらには限定されない。コボ社（Kobo Inc.）からのロナスフィア（Ronasphere）ＬＤＰ、コボ社により販売されているポリウレタン粒子ＢＰＤ５００、及びガンツ社（Ganz Inc.）により販売されているガンツパール（Ganzpearl）ＧＭＥ−０８３０、メチルメタクリレートクロスポリマーもまた使用され得る。
【００８４】
存在する場合、球状粒子は、約０．０１％〜約４０％、より好ましくは約１％〜約１０％、なおより好ましくは約１％〜約５％の濃度で本発明による化粧用組成物に包含され得る。
【００８５】
本発明による化粧用組成物は、皮膚コンディショニング剤を更に含んでもよい。それらの剤は、保湿剤、剥離剤又は皮膚軟化剤から選択されてもよく、化粧用組成物の約０．０１重量％〜３０重量％、好ましくは約１重量％〜約２０重量％、より好ましくは約１重量％〜１０重量％で存在してもよい。
【００８６】
本発明による化粧用組成物に包含され得る保湿剤には、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、１，３−ブチレングリコール、１，２，６−ヘキサントリオール、エトキシル化グリセリン、プロポキシル化グリセリン、及びそれらの混合物のような多価アルコール類が挙げられる。最も好ましくは、保湿剤はグリセリンを含む。
【００８７】
加えて、親水性ゲル化剤、例えば、アクリル酸／アクリル酸エチルコポリマー類、カルボキシビニルポリマー類（例えば、カーボポール（Carbopol）の商標でＢ．Ｆ．グッドリッチ社（B.F. Goodrich Company）により販売されているもの）、ポリアクリルアミド類（例えば、セピゲル（Seppigel）３０５としてセピック（Seppic）から入手可能なもの）、及びそれらの混合物から成る群から選択されるようなものが、本発明による化粧用組成物に含まれてもよい。
【００８８】
本発明による化粧用組成物は、有機日焼け止め剤をさらに含んでもよい。日焼け止め活性種の正確な量は、組成物の所望の太陽光線保護指数、すなわち「ＳＰＦ」、並びに所望の長波長紫外線保護レベルに応じて変わる。本発明の組成物は好ましくは、少なくとも１０、好ましくは少なくとも１５のＳＰＦを含む。ＳＰＦとは、一般に使用される、紅斑に対する日焼け止め剤の光防護指標である。ＳＰＦは、同じ個人における、保護された皮膚に最小限の紅斑を生じるのに必要な紫外線エネルギーと、保護されていない皮膚に同じ最小限の紅斑を生じるのに必要な紫外線エネルギーとの比として定義される（米国官報、第６４巻、９８号、２７６６６頁〜２７６９３頁、１９９９年５月２１日を参照）。
【００８９】
本発明による化粧用組成物は、約２重量％〜約２０重量％、好ましくは約４重量％〜約１４重量％の有機日焼け止め剤を含んでよい。好適な日焼け止め剤には、ＣＴＦＡ国際化粧品用成分事典及びハンドブック（CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook）、第７版、第２巻、１６７２頁、ウェニンガー（Wenninger ）及びマキューエン（McEwen）編（米国化粧品工業会（The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association, Inc.）、ワシントンＤ．Ｃ．、１９９７年）で見出されるものが挙げられるが、それらには限定されない。本組成物中に水溶性の又は水分散性の有機日焼け止め剤を包含させることは特に好ましい。水溶性有機日焼け止め剤の非限定例としては、ＰＢＳＡ（２−フェニルベンゾイミダゾール−５−スルホン酸）、ベンゾフェノン−４（２−ベンゾイル−５−メトキシ−１−フェノール−４−スルホン酸）、及びＰＡＢＡ（パラアミノ安息香酸）が挙げられる。水分散性有機日焼け止め剤の非限定例は、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール（チバ（Ciba）からチノソルブ（Tinosorb）Ｍとして５０％分散体中で入手可能）である。
【００９０】
種々の追加的な任意成分が本発明の組成物に組み込まれてもよい。それらの追加的な成分の非限定例には、ペプチド類（例えば、マトリキシル〔ペンタペプチド誘導体〕）、ファルネソール、ビサボロール、フィタントリオール、尿素、グアニジン（例えば、アミノグアニジン）のような追加のスキンケア活性物質；アスコルビン酸、ビタミンＡ（例えば、レチニルパルミテート又はレチニルプロプリオネートのようなレチノイド誘導体）、ビタミンＥ（例えば、酢酸トコフェロール）、ビタミンＢ3（例えば、ナイアシンアミド）及びビタミンＢ5（例えば、パンテノール）など、並びにそれらの混合物のようなビタミン類及びその誘導体； 抗ニキビ薬剤（レゾルシノール、サリチル酸など）；酸化防止剤（例えば、フィトステロール類、リポ酸）；フラボノイド類（例えば、イソフラボン類、フィトエストロゲン類）；アロエベラ抽出物、アラントインなどのような皮膚鎮静及び回復剤；キレート化剤及び金属イオン封鎖剤；並びに精油類、芳香剤、皮膚感覚剤、乳白剤、芳香族化合物（例えば、丁子油、メントール、カンファー、ユーカリ油、及びオイゲノール）のような審美的な目的に好適な剤が挙げられる。
【実施例】
【００９１】
以下の実施例は、本発明の範囲内の好ましい実施形態を更に説明し、実証する。本発明の範囲から逸脱することなく本発明の多くの変形形態が可能であるため、これらの実施例は単に例示を目的とするものであり、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。
【００９２】
本発明のリキッドファンデーションを次のように調製する：好適な容器にて、水、グリセリン、ＥＤＴＡ二ナトリウム及びベンジルアルコールを添加し、従来の技術を用いて澄んだ水相が得られるまで混合する。水相が清澄になると、メチルパラベン類が添加され、再び清澄になるまで混合される。得られた相は、シルバーソン（Silverson）ＳＬ２Ｔ又は同様の装置により高速（８３７．８ｒａｄ／ｓ（８，０００ｒｐｍ）、標準ヘッド）で混合される。別の容器の中に、ＫＳＧ２１、ＤＣ２４５、顔料分散体、他の油類及びパラベン類が添加され、混合物は、シルバーソン（Silverson）ＳＬ２Ｔを高速設定で使用して、均質の混合物が作製されるまで微粉砕される。
【００９３】
この工程の後、水相及びシリコーン相が合わされ、シルバーソン（Silverson）ＳＬ２Ｔを高速設定で使用して、水が完全に組み込まれ、エマルションが形成されるまで微粉砕される。次にエラストマーを添加し、混合物を再びシルバーソン（Silverson）を高速設定で使用して混合し、最終生成物を生成する。
【００９４】
【表１】
1ＤＣ９０４０は、シクロペンタシロキサン中に１１％の固体オルガノポリシロキサンエラストマーを含む。
2ＫＳＧ１５は、シクロペンタシロキサン中に９％の固体オルガノポリシロキサンエラストマーを含む。
3ＫＳＧ２１は、シクロペンタシロキサン中に２７％の固体オルガノポリシロキサンエラストマーを含む。
【技術分野】
【０００１】
第１の態様では、本出願は少なくとも２つの異なる平均一次粒径を有する金属酸化物粒子を含み、前記粒子の少なくとも一部は凝集を防ぐためにコーティングされている組成物に関する。第２の態様では、本出願は、本発明の第１の態様による組成物を含む化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【０００２】
種々の異なる利益、特に紫外線防止及び着色利益のような美容利益を提供するために、並びに皮膚の欠陥を覆い隠すため（例えば皮膚ファンデーションの場合）に、組成物内に金属酸化物粒子を組み込むことは既知である。日焼け止め及び皮膚の覆い隠しによる利益の両方に代表される利益を組み合わせるために、化粧用組成物に異なる粒径の金属酸化物粒子を組み込むことも既知である − 金属酸化物日焼け止め粒子は、約２００ｎｍよりも小さな粒径を有していてよく、一方金属酸化物顔料は２００ｎｍを超え、並びに、典型的には２００ｎｍを大幅に超える粒径を有する。１種類における利益の程度を改善するために、化粧用組成物に異なる粒径の金属酸化物粒子を組み込むこともまた、既知である。ＰＣＴ国際公開特許ＷＯ９０／１１０６７は、中波長紫外線のみならず長波長紫外線に対する効果的な遮断を提供するための、２つの異なる二酸化チタン粒径の組み合わせの使用を教示している。ＰＣＴ国際公開特許ＷＯ９０／１１０６７による組成物は、しかしながら、それらの組成物が可視光線の顕著な反射率を与えないように特に設計されている（それらは透明となるように設計されている）ため、皮膚を覆い隠すように設計された製品（化粧用皮膚ファンデーションのような）として使用されるのに好適ではない。
【０００３】
さらに、閉塞（水分保持）特性、改善された感触特性を提供するために、溶媒として、及び他の理由をもって、シリコーン類を包含する脂肪又は親油性物質を化粧品に包含させることが知られている。
【０００４】
金属酸化物粒子及び親油性物質双方の利益を結合させるために、双方の種類の構成成分の、単一組成物中への包含を検討することは自然なステップである。しかしこれは難題を提示することになり、金属酸化物粒子が、一般に疎水性マトリックスに容易に分散しないからである。この難題を克服するために、乳化剤を組成物に加えることによって、金属酸化物粒子を親油性相内で安定化することが知られている。
【０００５】
低誘電率媒質中の乳化剤は、安定化を提供して凝集を防止するために、立体効果を使用する場合がある。より具体的には、乳化剤は、粒子の自由表面を親水性端末でコーティングして親油性鎖を媒質の中へ伸ばし、鎖は、浸透性効果によりアグロメレーションを防ぐように作用する：２個の粒子が互いに近づくと、鎖が重なり合って、ポリマー濃度の一時的な増加を引き起こす。この増加は、粒子間の流体に力を加え得る浸透性応力を引き起こし、それによって粒子を分離させる。
【０００６】
しかし、組成物への遊離乳化剤の添加は、製品の寿命を通して粒子の良好な分散を確実にするのに十分ではない場合がある。乳化剤の濃度が低すぎる場合、浸透性応力はそれに応じて低くなり、２個の粒子が互いに近づくと、乳化剤が粒子に架橋して事実上アグロメレーションを促進することがある。一方で、乳化剤の濃度が高すぎる場合には、浸透性応力の挙動は逆転して、枯渇凝集をもたらすことがある。このシナリオにおいては、遊離乳化剤の濃度が非常に高いことがあるため、粒子が互いに近づくと、遊離乳化剤は粒子間から押し出される場合がある。濃度の差は、粒子の間の空間から流体を引き出す浸透性応力を作り出し、それによってアグロメレーションを促進する場合がある。
【０００７】
乳化剤の理想的なレベルは、あらゆる系で存在するが、その系における小さな変化が乳化剤の量を最適量から遠ざけ、それによって上記の問題をもたらす場合がある。特に使用時に乾燥することが必要な製品の場合、全ての時点で乳化剤の理想的なレベルを得ることはほとんど不可能であり、それは、乾燥プロセスの際に乳化剤の濃度が連続的に増加するからである。換言すれば、粒子の表面の非結合コーティングの使用は、あらゆる系にとって、乳化剤の濃度がその寿命の、ある段階において次善でなければならないことを意味する。
【０００８】
非結合乳化剤コーティングの欠点を克服するために、粒子の表面に結合しているコーティングの使用を採用してもよい。結合は、乳化剤の架橋を防ぐことがあり、溶液中に遊離乳化剤がないので、枯渇凝集が避けられることがある。加えて、表面からの乳化剤の拡散を防ぐ必要がないので、乳化剤の親水性／親油性バランス（ＨＬＢ）を制御する必要性がない。その結果、結合コーティング中の分子は、非結合乳化剤よりも長い端末を有してよく、このことが次には、立体安定性効果を増すことがある。
【０００９】
立体安定性を提供するために結合乳化剤でコーティングされた金属酸化物粒子を含む組成物を配合することは、既知である。そのような処方は、芳香剤ジャーナル（Fragrance Journal）、８１頁〜８５頁、２００２−６におけるマサネオ・カメイ（Masaneo Kamei）による表題「粉末表面処理のための新規シリコーンの開発（Development of Novel Silicones for Powder Surface Treatment）」の記事で開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
しかし、その記事で開示されている化粧用組成物は、皮膚に適用することが難しく、それにより、金属酸化物粒子有益剤により達成される利益が、予想されるものより劣る結果となる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明によれば、組成物であって、
（ａ）１ｎｍ〜５０ｎｍの第１の数加重平均一次粒径を有する第１の金属酸化物粒子と、
（ｂ）５０ｎｍよりも大きく２００ｎｍ以下である第２の数加重平均一次粒径を有する第２の金属酸化物粒子と
を含み、
有機官能化シリコーン微細繊維が、前記第１及び第２の金属酸化物粒子の一方又は両方の表面に結合し、および前記第１及び第２の金属酸化物粒子の一方又は両方の表面から伸びる組成物を含む。
【００１２】
本明細書で使用するとき、用語「結合」には、化学吸着及び共有結合のような化学結合が包含されるが、それらには限定されない。用語「結合される」は、適宜に解釈されるべきである。
【００１３】
本発明の第２の態様によると、本発明の第１の態様による組成物を含む化粧用組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
本明細書の全ての重量、測定値及び濃度は、特に指定のない限り、組成物全体に関して２５℃で測定される。
【００１５】
金属酸化物日焼け止め剤粒子に関して本明細書で使用するとき、ドーピング又はコーティング物質の全ての重量は、ドーピング又はコーティングされる下にある金属酸化物粒子の重量の百分率として示される。この定義は、さらに、ドーピング又はコーティング物質それ自体が金属酸化物である場合でも適用される。従って、粒子の重量がｘグラムであり、コーティング又はドーピング物質の重量がｙグラムである場合、コーティング又はドーピング物質の重量百分率はｙ／ｘ×１００である。
【００１６】
化粧用組成物に関して本明細書で使用するとき、金属酸化物日焼け止め剤粒子の重量百分率とは、基礎となる金属酸化物粒子とあらゆるドーピング又はコーティングとを合わせた重量を、化粧用組成物の全体重量により割ったものである。従って、粒子の重量がｘグラムであり、コーティング又はドーピング物質の重量がｙグラムであり、化粧用組成物の全体（コーティング又はドーピングされた金属酸化物粒子を包含する）の重量がｚグラムである場合、金属酸化物粒子の重量百分率は、（ｘ＋ｙ）／ｚ×１００である。
【００１７】
特に指示のない限り、本明細書で言及される組成物の百分率は全て組成物全体（すなわち、存在する構成成分全ての和）の重量百分率であり、全ての比は重量比である。
【００１８】
特に指示のない限り、全て、重合体分子量は数平均分子量である。
【００１９】
組成物中の架橋オルガノポリシロキサンエラストマーの重量百分率に対する本明細書での参照は、その組成物中の固体オルガノポリシロキサンエラストマーの重量百分率に対する参照であり、組成物中の固体オルガノポリシロキサンエラストマーに溶媒を足した重量の百分率に対する参照ではない。これは、市販のオルガノポリシロキサンエラストマー類が多くの場合に溶媒と組み合わされて市販されているので、疑いを避けるために記述されている。
【００２０】
特に指示のない限り、本文内で参照される全ての文献の内容は、その全てが本明細書に参考として組み込まれる。
【００２１】
実際に測定した値の特定例が提示されている場合を除いて、本明細書で言及する数値は「約」という語により修飾されていると考えるべきである。
【００２２】
ナノメートル及びマイクロメートルの大きさの範囲の金属酸化物一次粒子は、単位容量当たり高い表面積を有し、それに相応して反応性があり、それらのアグロメレーションをもたらして、二次粒子を形成する。このアグロメレーションは不可避であり、ある時点までは、望ましくないわけではない−微細なナノメートルサイズの粒子は光を拡散せず、そのためにそれらは長波長紫外線焼け止め剤としてはあまり好適ではない。しかし二次粒径が抑制されない場合には、生成された粒子は、要求される特性を有さない場合があり、組成物は、使用時に均一の利益を提供しない場合がある。加えて、特に日焼け止め剤の場合では、過剰なアグロメレーションは、得られる利益を変えるか、又は著しく低減する場合があって、一次粒径が二次粒子の全体の表面積を決定し、一般に、より小さい一次粒子がより大きい表面積の二次粒子を生じさせると考えられる。次に二次粒子の表面積は、中波長紫外線の吸収を決定すると考えられ、二次粒子の表面積が大きいほど、中波長紫外線吸収の程度が大きい。他方、二次粒径は、長波長紫外線の拡散を決定すると考えられ、粒径が大きいほどより多く拡散する。理論に束縛されるものではないが、二次粒子のアグロメレーションは中波長紫外線の吸収と長波長紫外線の拡散の両方を低減する場合があり、それによって日焼け止め利益に著しく影響を与えると考えられている。二次粒子のアグロメレーションは、二次粒子表面積全体を引き下げ、それによって中波長紫外線吸収の程度を低減し、加えて、長波長紫外線の反射は二次粒径と共に増加するが、二次粒子の全体数は、アグロメレーションが増大すると減少し、それによって長波長紫外線の反射も低減する。
【００２３】
本発明は、少なくとも２つの異なる数加重平均一次粒径を有する金属酸化物粒子の存在を必要とする。この方法では、紫外線拡散及び吸収効果の範囲は、広域スペクトルに渡って達成され得る。しかしながら、上述した欠点を引き起こす可能性のある、疎水性媒質におけるアグロメレーションの問題に対処することが依然として重要である。
【００２４】
アグロメレーションを低減する又は防止するために、第１の及び／又は第２の金属酸化物粒子には有機官能化シリコーン微細繊維のコーティングが提供され、微細繊維は、金属酸化物粒子の表面に結合され、金属酸化物粒子の表面からキャリア媒質中へと伸びている。既に考察されているように、コーティングされた金属酸化物粒子が互いに近づくと、それらの微細繊維が絡まることがあると考えられる。絡まりが起こっている領域の、得られた高濃度の有機官能化シロキサンポリマーは、高い浸透圧を生成し、キャリア流体を隣接する粒子間に流れ込ませ、粒子を分離させる。
【００２５】
金属酸化物粒子を、アミノ、イミノ、ハロゲン、ヒドロキシル、及びアルコキシルから成る群から選択される反応性部分を含む有機官能化シリコーンポリマーで処理することで、微細繊維が有利に付着し、それによって有機官能化シリコーンポリマーが金属酸化物ポリマーの表面に吸着される。
【００２６】
有機官能化シリコーンポリマーが、５〜１００、好ましくは２５〜５０のシリコーン反復単位を含むことが有利である。この大きさのポリマー類は、キャリア媒質中に突き出ており、その中で自由に流動する場合があり、それによって更にアグロメレーションを回避する。本明細書で使用する時、「シリコーン反復単位」又は「シリコーン単位」は、以下を意味し、
【００２７】
【化１】
式中、Ｘ及びＹの各々は、独立して、アルキル基又はいずれかの官能基である。
【００２８】
好ましくは、有機官能化シリコーンポリマーは、重量平均分子量（Ｍｗ）の数平均分子量（Ｍｎ）に対する比（Ｍｗ／Ｍｎ）１．０〜１．３を有する。理論に束縛されるものではないが、表面コーティングは、浸透圧を最大限にするために、また相対的により長いポリマー鎖による凝集を架橋することを避けるために、可能な限り均一であることが重要であると考えられる。
【００２９】
有機官能化シリコーンポリマーは、線状有機官能化シリコーンポリマーであってよい。この場合、反応性部分は、その分子鎖の一端に位置していることが好ましい。
【００３０】
あるいは、有機官能化シリコーンポリマーは、分枝鎖有機官能化シリコーンポリマーであってよい。この場合、反応性部分は、好ましくは側鎖上に位置している。有利には、反応性部分が見出される側鎖は、シリコーン骨格の一端の５シリコーン反復単位内、好ましくは３シリコーン反復単位内に位置している。
【００３１】
コーティングされた金属酸化物粒子を製造するためには、上記で特定された有機官能化シリコーンポリマー、前記有機官能化シリコーンポリマーを溶解する有機溶媒及び金属酸化物が混合され、次に加熱により乾燥される。有機官能化シリコーンポリマーは、処理される金属酸化物粒子の粒子直径及び比表面積に応じて、その金属酸化物粒子の０．１質量％〜３０質量％、好ましくは１質量％〜１５質量％、より好ましくは２質量％〜８質量％の量で使用されるべきである。
【００３２】
適切な有機溶媒は、表面処理のため、その引火点及び発火点、並びに金属酸化物粒子の表面活性及び熱安定性を考慮して選択されるべきである。有機溶媒の好ましい例には、エーテル類、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類、脂肪族炭化水素類、及びアルコール類、並びに水のような他の溶媒とのそれらの混合物が挙げられる。有機溶媒は、金属酸化物粒子に対して１〜５０質量％の量で使用されるべきである。
【００３３】
有機官能化シリコーンポリマー、有機溶媒、及び金属酸化物粒子の混合は、それらを通常の混合機の中に一緒に入れるか、又は有機官能化シリコーンポリマーを有機溶媒と金属酸化物粒子の混合物に噴霧することによって、実施されてもよい。混合物の加熱は、金属酸化物粒子の熱抵抗性及び使用される有機溶媒の種類を考慮して、適正な方法で実施されるべきである。
【００３４】
好適な有機官能化シリコーンポリマー類の例には、ジメチルポリシロキシシラザン、α−モノヒドロキシシロキサン、α，ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α−モノアルコキシポリジメチルシロキサン、α，ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α−ジアルコキシポリジメチルシロキサン、α−トリアルコキシポリジメチルシロキサン、α，ω−ヘキサ−アルコキシポリジメチルシロキサン、ジメチルポリシロキシクロリド、ジメチルポリシロキシブロミド、及びジメチルポリシロキシヨウ化物が挙げられる。それらの例のうち好ましいものは、α−モノアルコキシポリジメチルシロキサン、α−ジアルコキシポリジメチルシロキサン、α−トリアルコキシポリジメチルシロキサン、α−モノヒドロキシメチルフェニルシロキサン、α−トリアルコキシポリメチルヘキシルシロキサン、及びメチルスチリル／ジメチルポリシロキシブロミドである。それらは顔料に極めて容易に吸着され、吸着されると、それらは、処理された顔料に平滑な感触を付与する。有機官能化シリコーン中の反応性基は、ケイ素原子に直接的に結合してよく、又は置換基を通して間接的に結合してもよい。
【００３５】
金属酸化物粒子をコーティングするのに用いられてもよい市販の有機官能化シリコーンポリマー類には、次の物質が挙げられる：信越社（Shin Etsu Co. Ltd）により製造されるＸ−２４−９８２６、Ｘ−２４−９１７１及びＸ−２４−９１７４；東芝シリコーン社（Toshiba Silicone Co. Ltd.）により製造されるＴＳＬ８１８５及びＴＳＬ８１８６；チッソ社（Chisso Corporation）により製造されるＳＩＯ６６４５．０；信越化学社（Shin-Etsu Chemical Co. Ltd.）により製造されるＫＢＭ−３１０３；日本ユニカー社（Nippon Unicar Co. Ltd.）により製造されるＡ−１３７。
【００３６】
金属酸化物粒子に微細繊維を提供することに加えて、それらには、また、疎水性キャリア媒質中の粒子の分散性を改善するために、疎水性コーティングが提供されてもよい。疎水性コーティングは、微細繊維の提供の前に前処理として、又は微細繊維の提供の後に後処理として適用されてもよい。有利には、金属酸化物粒子は、その金属酸化物粒子の２〜２５重量％、好ましくは５重量％〜１５重量％、より好ましくは７重量％〜１２重量％の疎水性コーティングを含む。
【００３７】
有利には、疎水性コーティングは、１以上の次の材料及びイソプロピルアルコールの混合物を金属酸化物粉末上に適用し、１５０℃で３時間乾燥することによって行うことが可能である：反応性オルガノポリシロキサン、ポリオレフィン（ポリエチレン及びポリプロピレンを包含する）、水素添加レシチン及びそれらの塩類、Ｎ−アシルアミノ酸及びそれらの塩類、並びにデキストリン脂肪酸エステル類。好ましくは反応性オルガノポリシロキサンは、オルガノ水素ポリシロキサン、トリオルガノシロキシケイ酸、及びトリアルコキシ基で両方の末端が修飾されているオルガノポリシロキサンを含む。反応性オルガノポリシロキサン類の部類に入る市販の物質には、信越化学社（Shin-Etsu Chemical Company Ltd）により製造されるＫＦ−９９、ＫＦ−９９０１、ＫＦ−７３１２Ｆ、ＫＦ−７３１２−Ｊ、ＫＦ−７３１２Ｋ、ＫＦ−９００１、ＫＦ−９００２、Ｘ−２１−５２４９及びＸ−２１−５２５０；ダウ・コーニング東レシリコーン社（Dow Corning Toray Silicone Co. Ltd.）により製造されるＳＨ−１１０７、ＤＣ５９３、ＢＹ−１１−０１５、ＢＹ−１１−０１８及びＢＹ−１１−０２２；東芝シリコーン社（Toshiba Silicone Co. Ltd.）により製造されるＴＳＦ４８４、ＴＳＦ４８３及びＴＳＦ４６００；日本ユニカー社（Nippon Unicar Co. Ltd.）により製造されるＦＺ３７０４及びＡＺ６２００が挙げられる。
【００３８】
疎水性コーティングは、前の段落で記載されたものに限定されず、当業者に既知の代替的な疎水性コーティングが代わりに用いられてもよい。そのようなコーティングには、トリアルコイルイソプロピルチタネート、好ましくはトリイソステアロイルイソプロピルチタネート、及びペルフルオロコーティング、好ましくはポリペルフルオロエトキシメトキシＰＥＧ−２ホスフェートが挙げられる。
【００３９】
幾つかのコーティングは、立体安定化を提供して凝集を回避するために、疎水特性及び微細繊維提示の双方を提供してもよい。この部類に入る市販のコーティングには、信越社（Shin Etsu Co Ltd.）からのＫＦ９９０８（トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン）、ＫＦ９９０９（トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン）及びＫＰ５７５（アクリレート／トリデシルアクリレート／トリエトキシシリルプロピルメタクリレート／ジメチコンメタクリレートコポリマー）が挙げられる。
【００４０】
本発明による組成物の本質的な特徴は、１ｎｍ〜５０ｎｍの第１の数加重平均一次粒径を有する第１の金属酸化物粒子及び５０ｎｍより大きく２００ｎｍ以下である第２の数加重平均一次粒径を有する第２の金属酸化物粒子の存在である。任意で、１以上の追加の金属酸化物粒子もまた存在してもよく、前記追加の金属酸化物粒子又は前記追加の金属酸化物粒子の各々は、前記第１の、第２の及び存在するあらゆる他の金属酸化物粒子のものとは異なる数加重平均一次粒径を有する。
【００４１】
本発明による第１の及び第２の金属酸化物粒子は、（数加重平均一次粒径の条件に従う限り）あらゆる好適な金属酸化物類を含んでよく、第１の及び第２の金属酸化物の各々は、単一の金属又は２以上の金属類の混合物の酸化物であってよい。好ましくは、第１の及び第２の金属酸化物粒子は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラ、酸化クロム、水酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム及びそれらの混合物から成る群から選択される。より好ましくは、第１の及び第２の金属酸化物粒子は、二酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、及びそれらの混合物から選択される。尚より好ましくは、第１の及び第２の金属酸化物粒子は、二酸化チタン粒子を含む。
【００４２】
上述したように、一次粒径は第２の粒子の表面積を決定するのに重要であり、本発明によれば、第１の金属酸化物粒子は、１ｎｍ〜５０ｎｍの第１の数加重平均一次粒径を有し、第２の金属酸化物粒子は５０ｎｍよりも大きく２００ｎｍ以下である第２の数加重平均一次粒径を有する。第１の数加重平均一次粒径は５〜４０ｎｍ、好ましくは８〜３０ｎｍであることが有利である。第２の数加重平均一次粒径は５０ｎｍよりも大きく１５０ｎｍ以下であり、好ましくは５０ｎｍよりも大きく１２０ｎｍ以下であり、より好ましくは５５ｎｍ〜１００ｎｍであることが有利である。定義された小さい方の粒子及び大きい方の粒子の両方を存在させることによって、中波長紫外線防止効果、長波長紫外線防止効果、及び、大きい方の粒子による可視光線の反射の増加による皮膚被覆の改善、の３つの目的を同時に達成することがある。
【００４３】
さらに、第１の金属酸化物粒子は、組成物の０．１〜１０％、好ましくは０．５〜８％、より好ましくは１〜５％を構成するのが有利であり、第２の金属酸化物粒子は、組成物の０．１〜１０％、好ましくは０．５〜８％、より好ましくは２〜５％を構成するのが有利である。
【００４４】
本発明による組成物は第１の金属酸化物粒子よりも高い重量百分率の第２の金属酸化物粒子を含み、その重量比：
【００４５】
【数１】
が、１．０未満であり、０．９９〜０．１の範囲である。これは、化粧用皮膚ファンデーションのような、下にある皮膚をある程度まで覆い隠すことを意図した化粧用組成物の場合に特に有利であることがある：大きい方の粒子をより多く存在させることによって、３つの目的−中波長紫外線防止効果、長波長紫外線防止効果、及びより高い割合の大きい方の粒子によって可視光線の反射を増大させることによる皮膚被覆の改善が同時に達成され得る。
【００４６】
第１の金属酸化物粒子として使用してよい市販の物質としては、ケミラ社（Kemira Oy.）からのＭ２６２及びイシハラ社（Ishihara Corp.）からのＴＴＯ Ｓ−３、ＴＴＯ Ｓ−４、ＴＴＯ Ｖ−３が挙げられる。第２の金属酸化物粒子として使用してよい市販の物質としては、イシハラ社（Ishihara Corp.）からのＫＱ−１、ＭＰＴ−１４０、及びＭＰＴ１４１が挙げられる。好ましい実施形態では、約１５ｎｍの平均一次粒子を有する、ミヨシ化成（Miyoshi Kasei）からのＳＡＳ−ＴＴＯ Ｓ−３／Ｄ５（これは微細繊維でコーティングされたＴＴＯ Ｓ−３粒子を含む）、及び約６０ｎｍの一次粒径を有する、ＳＡＳ−ＫＱ−１（これは微細繊維でコーティングされたＫＱ−１粒子を含む）を、それぞれ第１の及び第２の金属酸化物粒子として組み合わせてよい。
【００４７】
本明細書で使用するとき、用語「一次粒径」は、Ｘ線回折により決定される、金属酸化物の結晶の大きさを意味する。これは、一番強いルチル線の広がりを測定することに基づいている。
【００４８】
本発明の組成物は化粧用組成物であることが有利であり、それらは化粧用皮膚ファンデーションであることが極めて有利である。
【００４９】
こうした化粧用組成物は、第１の金属酸化物粒子、第２の金属酸化物粒子、及び任意で０〜３０％の１以上の追加の金属酸化物粒子から成る組み合わされた金属酸化物粒子を０．１質量％〜５０質量％含むことが可能で、その追加の金属酸化物粒子、又はその追加の金属酸化物粒子の各々は、第１の、第２の、又は存在するあらゆる他の金属酸化物粒子類のものとは異なる数加重平均一次粒径を有する。例えば、金属酸化物顔料類が存在する場合には、化粧用組成物は、好ましくは、０．０５質量％〜３０質量％、好ましくは１質量％〜２０質量％の金属酸化物顔料類を含む。
【００５０】
使用してよい金属酸化物顔料類としては、ケミラ社（Kemira Oy）（フィンランド）からのＸ２００のようなアナターゼ顔料類、及びＩＳＫジャパン（ISK Japan）からのＣＲ５０又はＰＦ６７１のようなルチル顔料類が挙げられる。Ｘ２００は、ＦＡ６５ＵＭＬＯとしてコボ・プロダクツ社（Kobo Products Inc）から、６５％メチコン処理分散体として入手可能である。
【００５１】
好ましい実施形態では、ＳＡＳ−ＴＴＯ Ｓ−３／Ｄ５、ＳＡＳ−ＫＱ−１及びＦＡ６５ＵＭＬＯを、それぞれ第１、第２、及び第３の金属酸化物粒子として組み合わせてよい。
【００５２】
微細金属酸化物粒子は、不当な化学又は光化学反応を引き起こす可能性がある、極めて反応性の高い表面を有する。この効果に対抗するために、それらの表面を、シリカのような他の物質又はアルミナのような金属酸化物の１つ以上でドーピングして、表面の反応性を低減することが知られている。この表面処理は、典型的には金属酸化物粒子の１５〜３０重量％に相当し得る。有利には、本発明による化粧用組成物内に含まれる金属酸化物粒子は、前述のようにドーピングされてもよい。
【００５３】
最後に、金属酸化物粒子が二酸化チタンである場合には、それらの二酸化チタン粒子は有利には四塩化チタンプロセス−「クロライドプロセス（Chloride Process）」により製造される。更に、か焼されているこれらの物質が、特に好ましい。理論に束縛されるものではないが、クロライドプロセス（Chloride Process）により製造された二酸化チタン粒子は、特にそれがか焼された場合、多孔性の減少を引き起こし、疎水性を与え及び／又はアグロメレーションを防ぐ（porevent）ために少量のコーティングを必要とする。
【００５４】
有利には、本発明による化粧用組成物は疎水性相を含む。疎水性相は、架橋オルガノポリシロキサンエラストマー類、油類、ガム類、ワックス類、及び他の疎水性物質を含んでよい。好ましくは、疎水性相は架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを含む。
【００５５】
架橋オルガノポリシロキサンエラストマーは、化粧用組成物の１．７重量％よりも多く１５重量％まで、好ましくは２重量％〜１０重量％、より好ましくは２．２〜５重量％の量で存在してよい。上記で述べたように、これらは組成物中の固体オルガノポリシロキサンエラストマーの量である。驚くべきことに、本発明者らは、１．７％を超えるエラストマーにより、特に好ましい範囲において、金属酸化物粒子により提供される利益の均一性が改善するということを確立した。
【００５６】
本発明の組成物は、乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマー、非乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマー又はそれらの混合物を含んでよい。存在する場合、乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマーは、組成物の０．０１〜１５重量％、好ましくは０．０１〜１重量％の量で存在する。さらに、存在する場合は、非乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマーは、有利には化粧用組成物の０．０１〜１５重量％、好ましくは２〜５重量％の量で存在する。
【００５７】
本明細書で使用するとき、架橋オルガノポリシロキサンエラストマーに関連して使用される場合に「非乳化」という用語は、ポリオキシアルキレン又はポリグリセリル単位を全く含まない架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを含む。
【００５８】
本明細書で使用するとき、架橋オルガノポリシロキサンエラストマーに関連して使用される場合に「乳化」という用語は、少なくとも１つのポリオキシアルキレン（例えば、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン）又はポリグリセリルユニットを含む架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを含む。
【００５９】
架橋オルガノポリシロキサンエラストマーの出発物質としての機能を果たすことができる硬化性オルガノポリシロキサン組成物の種類には、特に制限はない。これに関連する例は、ＳｉＨ含有ジオルガノポリシロキサンとケイ素結合ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの付加反応により白金金属触媒下で硬化する付加反応硬化オルガノポリシロキサン組成物；ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンとＳｉＨ含有ジオルガノポリシロキサンとの脱水素反応により有機スズ化合物の存在下で硬化する縮合硬化オルガノポリシロキサン組成物；ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンと加水分解性オルガノシランの縮合反応（この縮合反応は、脱水、アルコール−遊離、オキシム−遊離、アミン−遊離、アミド−遊離、カルボキシル−遊離、及びケトン−遊離反応によって例示される）により有機スズ化合物又はチタン酸エステルの存在下で硬化する縮合硬化オルガノポリシロキサン組成物；オルガノペルオキシド触媒の存在下で熱硬化するペルオキシド硬化オルガノポリシロキサン組成物；及びガンマ線、紫外線、又は電子ビームのような高エネルギー放射線により硬化されるオルガノポリシロキサン組成物である。
【００６０】
好ましい非乳化オルガノポリシロキサン組成物は、ジメチコン／ビニルジメチコンクロスポリマー類である。そのようなジメチコン／ビニルジメチコンクロスポリマー類は、ダウ・コーニング（Dow Corning）（ＤＣ９０４０、ＤＣ９０４１）、ゼネラル・エレクトリック（General Electric ）（ＳＦＥ８３９及びベルベシル（Velvesil）材料）、信越（Shin Etsu）（ＫＳＧ−１５、１６、１８〔ジメチコン／フェニルビニルジメチコンクロスポリマー〕）、グラント社（Grant Industries）（グランシル（Gransil）（商標）材料ライン）を包含する多様な供給元により供給され、ラウリルジメチコン／ビニルジメチコンクロスポリマー類は信越（Shin Etsu）により供給される（例えば、ＫＳＧ−４１、ＫＳＧ−４２、ＫＳＧ−４３、及びＫＳＧ−４４）。
【００６１】
特に有用な乳化エラストマー類は、ジビニル化合物から、特に少なくとも２個の遊離ビニル基を持つシロキサンポリマー類から、ポリシロキサン骨格上でＳｉ−Ｈ結合と反応させて形成された、ポリオキシアルキレン変性エラストマー類である。好ましくは、エラストマー類は、分子球状ＭＱ樹脂のＳｉ−Ｈ部位で架橋しているジメチルポリシロキサン類である。市販の乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマー類の例には、信越化学社（Shin-Etsu Chemical Company Ltd.）からのＫＳＧ−２１（固体オルガノポリシロキサンエラストマーを２７％含む）、ＫＳＧ−２１０（固体オルガノポリシロキサンエラストマーを２４％含む）、ＫＳＧ−２４０、及びＫＳＧ−３１０、ＫＳＧ−３２０が挙げられる。ポリグリセリル単位を含む乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマー類の市販のものの例は、信越化学社（Shin-Etsu Chemical Company Ltd.）からのＫＳＧ７１０及びＫＳＧ−８００である。
【００６２】
本発明による化粧用組成物は油を含むことが有利である。油は、化粧用組成物の７重量％〜８０重量％の量で存在してよい。油は、揮発性油類、不揮発性油類、及びそれらの混合物から成る群から選択されてよい。
【００６３】
本明細書で使用するとき、用語「不揮発性」は、油と関連して用いられるとき、次の定義の少なくとも１つを満たす油類を包含する：（ａ）油は、２５℃及び０．１ＭＰａ（１気圧）で約２６．７Ｐａ（０．２ｍｍＨｇ）以下の蒸気圧を示す；（ｂ）油は、０．１ＭＰａ（１気圧）で少なくとも約３００℃の沸点を有する。
【００６４】
本明細書で使用するとき、用語「揮発性」は、油類と関連して用いられるとき、本明細書前記で定義された「不揮発性」ではない物質を包含する。
【００６５】
上記の定義に準拠するあらゆる不揮発性油が、本発明による化粧用組成物中に包含されてもよい。そのような不揮発性油類には、官能化と非官能化の両方のシリコーンオイル類、炭化水素油類、及びそれらの混合物を挙げてもよい。不揮発性油は、化粧用組成物の０〜２０重量％、好ましくは１〜１０重量％の量で存在してもよい。
【００６６】
本発明による化粧用組成物に包含されてもよい揮発性油類には、官能化と非官能化の両方のシリコーンオイル類、炭化水素油類、及びそれらの混合物を挙げることが可能である。本発明で有用な揮発性油は、次の性質の１つ以上を示してよい−飽和又は不飽和であってよく、直鎖又は分枝鎖又は環状構造を有し得る。
【００６７】
本発明による化粧用組成物に組み込まれてもよい揮発性炭化水素類の例には、イソドデカン及びイソデカン（例えば、プレスパース社（Presperse Inc.）から入手可能なペルメチル−９９Ａ（Permethyl-99A））のようなポリデカン類、並びにＣ7〜Ｃ15イソパラフィン類（例えば、エクソン・ケミカルズ（Exxon Chemicals）から入手可能なイソパー・シリーズ（Isopar Series））が挙げられる。
【００６８】
本発明による化粧用組成物に組み込まれてもよい揮発性シリコーン油類の例として、以下の式に対応する環状揮発性シリコーン類：
【００６９】
【化２】
（式中、ｎは、約３〜約７である）、及び以下の式に対応する線状揮発性シリコーン類：
（ＣＨ3）3Ｓｉ−Ｏ−〔Ｓｉ（ＣＨ3）2−Ｏ〕m−Ｓｉ（ＣＨ3）3
（式中、ｍは、約１〜約２０、好ましくは３〜１２である）が挙げられる。
【００７０】
好ましくは、環状揮発性シリコーン類は、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン及びそれらの混合物から選択される。
【００７１】
線状揮発性シリコーン類は、一般に、２５℃で約５Ｅ−６ｍ2／ｓ（５センチストークス）未満の粘度を有し、環状シリコーン類は、一般に、２５℃で約１Ｅ−５ｍ2／ｓ（１０センチストークス）未満の粘度を有する。
【００７２】
市販の揮発性シリコーン油類の例には、次のシクロメチコン類が挙げられる：ダウ・コーニング（Dow Corning）２００、ダウ・コーニング２４４、ダウ・コーニング２４５（Dow Coming 245）、ダウ・コーニング３４４、及びダウ・コーニング３４５（ダウ・コーニング社（Dow Corning Corp.）から市販されている）；ＳＦ−１２０４及びＳＦ−１２０２シリコーン・フルイッズ（Silicone Fluids）（Ｇ．Ｅシリコーンズ（G. E. Silicones）から市販されている）、ＧＥ７２０７及び７１５８（ゼネラル・エレクトリック社（General Electric Co.）から市販されている）；並びにＳＷＳ−０３３１４（ＳＷＳシリコーンズ社（SWS Silicones Corp.）から市販されている）。信越化学社（Shin-Etsu Chemical Co）からＴＭＦ１．５流体として入手可能なメチルシルセスキオキサン類；シルケア・シリコーンズ（SILCARE SILICONES）、例えば、それぞれクラリアント（Clariant）から、シルケア（Silcare）１５Ｍ６０として入手可能なフェニル置換シルセスキオキサン類（Silcare）、シルケア（Silcare）３１Ｍ６０及び３１Ｍ５０として入手可能なｎ−オクチル置換シルセスキオキサン類、シルケア（Silcare）４１Ｍ１０、４１Ｍ１５、及び４１Ｍ２０として入手可能なヘキシルメチコン、カプリリルメチコン、及びラウリルメチコンの市販されている他の例。
【００７３】
揮発性油は、化粧用組成物の７〜７０重量％、好ましくは１０重量％〜５０重量％、より好ましくは２０重量％〜４０重量％の量で存在してもよい。
【００７４】
一つの有利な実施形態において、揮発性油は、２〜５０×１０-6ｍ2／ｓ（２〜５０ｃｓｔ）、より好ましくは３〜５０×１０-6ｍ2／ｓ（３〜５ｃｓｔ）、なおより好ましくは３〜５０×１０-6ｍ2／ｓ（４ｃｓｔ）の粘度の、揮発性環状シリコーンと揮発性線状ジメチコンの混合物を含むことが好ましい。理論に束縛されるものではないが、乾燥する間、線状ジメチコンは皮膚に長く残って、金属酸化物粒子を濡れた状態に保ち、それによってアグロメレーションを低減する可能性があると考えられる。アグロメレーションは、顔料の場合では色ずれの原因であり、日焼け止め剤の場合では、太陽光線保護指数効果を低減する原因である。
【００７５】
有利には、揮発性環状シリコーンと揮発性線状ジメチコンの比は１：１〜２５：１、好ましくは５：１〜１０：１である。
【００７６】
有用な線状ジメチコン類の好ましい例には、ＤＣ２００ ５ｃｓｔ（５Ｅ−６ｍ2／ｓ）、ＤＣ１６３０及びＤＣ５−２１１７が挙げられる。より好ましくは、線状ジメチコンは、ＤＣ５−２１１７を含む。
【００７７】
本発明による化粧用組成物は、無水製品として又はエマルションとして配合されてもよい。化粧用組成物がエマルションとして配合される場合、それらのエマルションは、油中水型（シリコーン中水型）エマルション、又は水中油型（水中シリコーン型）エマルションであってもよいが、好ましくはシリコーン中水型エマルションである。
【００７８】
有利には、本発明による化粧用組成物は、０．１〜７０％、好ましくは１〜５０％、より好ましくは５〜４０％の水を含有する、シリコーン中水型エマルションとして配合される。
【００７９】
本発明による化粧用組成物は、エマルションの形態であるかどうかに関わらず、乳化剤を含んでよい。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、双極性イオン性、及び両性乳化剤、並びにそれらの混合物から成る群から選択されてよい。好適な乳化剤は、マカッチャンの洗剤及び乳化剤（McCutcheon's Detergents and Emulsifiers）、北アメリカ版（North American Edition）、３１７頁〜３２４頁に開示されている。
【００８０】
本発明による化粧用組成物がシリコーン中水型エマルションである場合では、好ましい乳化剤は、ポリオキシアルキレンコポリマー類（シリコーンポリエーテル類としても知られている）、ポリグリセリルコポリマー類、及びそれらの混合物から成る群から選択される。ポリオキシアルキレンコポリマー類は、米国特許第４，２６８，４９９号に詳細に記載されている。より好ましいポリエーテル類としては、ＤＣ５２２５Ｃ又はＤＣ５１８５としてシクロペンタシロキサンとのブレンドとして入手可能なＰＥＧ／ＰＰＧ−１８／１８ジメチコン；信越（Shin-Etsu）からＫＦ６０１７又はＫＦ６０２８として入手可能なＰＥＧ９ジメチコンが挙げられる。好ましいポリグリセリル乳化剤は、信越社（Shin-Etsu Inc.）からＫＦ６１００及びＫＦ６１０４として入手可能である。
【００８１】
一つの実施形態において、本発明による化粧用組成物は、ポリグリセリルコポリマー乳化剤類のみを含み、ポリオキシアルキレン乳化剤類を含まないことが好ましい。これは、ポリオキシアルキレン乳化剤類が分解してエチレングリコール及びアルデヒド類を放出する場合があり、これが一部の消費者の皮膚の感受性を増加させることがあるからである。
【００８２】
乳化剤の総濃度は、製剤の０．０１重量％〜約１５重量％、より好ましくは約０．１重量％〜約１０重量％、さらによりに好ましくは組成物の１．０重量％〜約５重量％、さらにより好ましくは約１．０重量％〜約３重量％であり得る。
【００８３】
本発明による化粧用組成物は、１〜５０μｍ、好ましくは５〜２０μｍの平均粒子直径を有する球状粒子を任意に含有してよい。球状粒子に関して本明細書で使用するとき、粒子直径は、一次粒子のものであることが理解される
好ましい球状粒子には、メチルシルセスキオキサン樹脂微小球から選択されるポリマー粒子、例えば、トスパール（Tospearl）１４５Ａ又はトスパール２０００の名称でＧＥシリコーン（GE silicone）により販売されているもの；ポリメチルメタクリレート類の微小球、例えば、ミクロパール（Micropearl）Ｍ１００の名称でセピック（Seppic）により販売されているもの；架橋ポリジメチルシロキサン類の球状粒子、特に、例えばトレフィル（Trefil）Ｅ５０６Ｃ又はトレフィル（Trefil）Ｅ５０５Ｃの名称でダウ・コーニング東レシリコーン（Dow Corning Toray Silicone）により販売されているもの；ポリアミド、より具体的にはナイロン（Nylon）１２の球状粒子、特に、例えばオルガソール（Orgasol）２００２Ｄ Ｎａｔ Ｃｏｓの名称でアトケム（Atochem）により販売されているもの；ポリスチレン微小球、例えば、ダイノスフィアズ（Dynospheres）の名称でダイノ・パーティクルズ（Dyno Particles）により販売されているもの；フロビード（FloBead）ＥＡ２０９の名称でコボ（Kobo）により販売されているエチレンアクリレートコポリマー、並びにそれらの混合物が挙げられるが、それらには限定されない。コボ社（Kobo Inc.）からのロナスフィア（Ronasphere）ＬＤＰ、コボ社により販売されているポリウレタン粒子ＢＰＤ５００、及びガンツ社（Ganz Inc.）により販売されているガンツパール（Ganzpearl）ＧＭＥ−０８３０、メチルメタクリレートクロスポリマーもまた使用され得る。
【００８４】
存在する場合、球状粒子は、約０．０１％〜約４０％、より好ましくは約１％〜約１０％、なおより好ましくは約１％〜約５％の濃度で本発明による化粧用組成物に包含され得る。
【００８５】
本発明による化粧用組成物は、皮膚コンディショニング剤を更に含んでもよい。それらの剤は、保湿剤、剥離剤又は皮膚軟化剤から選択されてもよく、化粧用組成物の約０．０１重量％〜３０重量％、好ましくは約１重量％〜約２０重量％、より好ましくは約１重量％〜１０重量％で存在してもよい。
【００８６】
本発明による化粧用組成物に包含され得る保湿剤には、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、１，３−ブチレングリコール、１，２，６−ヘキサントリオール、エトキシル化グリセリン、プロポキシル化グリセリン、及びそれらの混合物のような多価アルコール類が挙げられる。最も好ましくは、保湿剤はグリセリンを含む。
【００８７】
加えて、親水性ゲル化剤、例えば、アクリル酸／アクリル酸エチルコポリマー類、カルボキシビニルポリマー類（例えば、カーボポール（Carbopol）の商標でＢ．Ｆ．グッドリッチ社（B.F. Goodrich Company）により販売されているもの）、ポリアクリルアミド類（例えば、セピゲル（Seppigel）３０５としてセピック（Seppic）から入手可能なもの）、及びそれらの混合物から成る群から選択されるようなものが、本発明による化粧用組成物に含まれてもよい。
【００８８】
本発明による化粧用組成物は、有機日焼け止め剤をさらに含んでもよい。日焼け止め活性種の正確な量は、組成物の所望の太陽光線保護指数、すなわち「ＳＰＦ」、並びに所望の長波長紫外線保護レベルに応じて変わる。本発明の組成物は好ましくは、少なくとも１０、好ましくは少なくとも１５のＳＰＦを含む。ＳＰＦとは、一般に使用される、紅斑に対する日焼け止め剤の光防護指標である。ＳＰＦは、同じ個人における、保護された皮膚に最小限の紅斑を生じるのに必要な紫外線エネルギーと、保護されていない皮膚に同じ最小限の紅斑を生じるのに必要な紫外線エネルギーとの比として定義される（米国官報、第６４巻、９８号、２７６６６頁〜２７６９３頁、１９９９年５月２１日を参照）。
【００８９】
本発明による化粧用組成物は、約２重量％〜約２０重量％、好ましくは約４重量％〜約１４重量％の有機日焼け止め剤を含んでよい。好適な日焼け止め剤には、ＣＴＦＡ国際化粧品用成分事典及びハンドブック（CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook）、第７版、第２巻、１６７２頁、ウェニンガー（Wenninger ）及びマキューエン（McEwen）編（米国化粧品工業会（The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association, Inc.）、ワシントンＤ．Ｃ．、１９９７年）で見出されるものが挙げられるが、それらには限定されない。本組成物中に水溶性の又は水分散性の有機日焼け止め剤を包含させることは特に好ましい。水溶性有機日焼け止め剤の非限定例としては、ＰＢＳＡ（２−フェニルベンゾイミダゾール−５−スルホン酸）、ベンゾフェノン−４（２−ベンゾイル−５−メトキシ−１−フェノール−４−スルホン酸）、及びＰＡＢＡ（パラアミノ安息香酸）が挙げられる。水分散性有機日焼け止め剤の非限定例は、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール（チバ（Ciba）からチノソルブ（Tinosorb）Ｍとして５０％分散体中で入手可能）である。
【００９０】
種々の追加的な任意成分が本発明の組成物に組み込まれてもよい。それらの追加的な成分の非限定例には、ペプチド類（例えば、マトリキシル〔ペンタペプチド誘導体〕）、ファルネソール、ビサボロール、フィタントリオール、尿素、グアニジン（例えば、アミノグアニジン）のような追加のスキンケア活性物質；アスコルビン酸、ビタミンＡ（例えば、レチニルパルミテート又はレチニルプロプリオネートのようなレチノイド誘導体）、ビタミンＥ（例えば、酢酸トコフェロール）、ビタミンＢ3（例えば、ナイアシンアミド）及びビタミンＢ5（例えば、パンテノール）など、並びにそれらの混合物のようなビタミン類及びその誘導体； 抗ニキビ薬剤（レゾルシノール、サリチル酸など）；酸化防止剤（例えば、フィトステロール類、リポ酸）；フラボノイド類（例えば、イソフラボン類、フィトエストロゲン類）；アロエベラ抽出物、アラントインなどのような皮膚鎮静及び回復剤；キレート化剤及び金属イオン封鎖剤；並びに精油類、芳香剤、皮膚感覚剤、乳白剤、芳香族化合物（例えば、丁子油、メントール、カンファー、ユーカリ油、及びオイゲノール）のような審美的な目的に好適な剤が挙げられる。
【実施例】
【００９１】
以下の実施例は、本発明の範囲内の好ましい実施形態を更に説明し、実証する。本発明の範囲から逸脱することなく本発明の多くの変形形態が可能であるため、これらの実施例は単に例示を目的とするものであり、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。
【００９２】
本発明のリキッドファンデーションを次のように調製する：好適な容器にて、水、グリセリン、ＥＤＴＡ二ナトリウム及びベンジルアルコールを添加し、従来の技術を用いて澄んだ水相が得られるまで混合する。水相が清澄になると、メチルパラベン類が添加され、再び清澄になるまで混合される。得られた相は、シルバーソン（Silverson）ＳＬ２Ｔ又は同様の装置により高速（８３７．８ｒａｄ／ｓ（８，０００ｒｐｍ）、標準ヘッド）で混合される。別の容器の中に、ＫＳＧ２１、ＤＣ２４５、顔料分散体、他の油類及びパラベン類が添加され、混合物は、シルバーソン（Silverson）ＳＬ２Ｔを高速設定で使用して、均質の混合物が作製されるまで微粉砕される。
【００９３】
この工程の後、水相及びシリコーン相が合わされ、シルバーソン（Silverson）ＳＬ２Ｔを高速設定で使用して、水が完全に組み込まれ、エマルションが形成されるまで微粉砕される。次にエラストマーを添加し、混合物を再びシルバーソン（Silverson）を高速設定で使用して混合し、最終生成物を生成する。
【００９４】
【表１】
1ＤＣ９０４０は、シクロペンタシロキサン中に１１％の固体オルガノポリシロキサンエラストマーを含む。
2ＫＳＧ１５は、シクロペンタシロキサン中に９％の固体オルガノポリシロキサンエラストマーを含む。
3ＫＳＧ２１は、シクロペンタシロキサン中に２７％の固体オルガノポリシロキサンエラストマーを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
組成物であって、
（ａ）１ｎｍ〜５０ｎｍの第１の数加重平均一次粒径を有する第１の金属酸化物粒子と、
（ｂ）５０ｎｍよりも大きく２００ｎｍ以下である第２の数加重平均一次粒径を有する第２の金属酸化物粒子と
を含み、
有機官能化シリコーン微細繊維が、前記第１及び第２の金属酸化物粒子の一方又は両方の表面に結合し、および前記第１及び第２の金属酸化物粒子の一方又は両方の表面から伸びる組成物。
【請求項２】
有機官能化シリコーン微細繊維が、前記第１及び第２の金属酸化物粒子の両方の表面に結合し、および前記第１及び第２の金属酸化物粒子の両方の表面から伸びる、請求項１に記載の組成物。
【請求項３】
アミノ、イミノ、ハロゲン、ヒドロキシル、及びアルコキシルから成る群から選択される反応性部分を含む有機官能化シリコーンポリマーで、前記金属酸化物粒子を処理することによって前記微細繊維が付着される、請求項１又は２に記載の組成物。
【請求項４】
前記有機官能化シリコーンポリマーが、５〜１００、好ましくは２５〜５０のシリコーン単位を含む、請求項３に記載の組成物。
【請求項５】
前記有機官能化シリコーンポリマーの、重量平均分子量（Ｍｗ）の数平均分子量（Ｍｎ）に対する比率（Ｍｗ／Ｍｎ）が１．０〜１．３である、請求項３又は４に記載の組成物。
【請求項６】
前記有機官能化シリコーンが線状有機官能化シリコーンである、請求項３〜５のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項７】
前記反応性部分がその分子鎖の一端に位置する、請求項６に記載の組成物。
【請求項８】
前記有機官能化シリコーンは分枝鎖有機官能化シリコーンである、請求項３〜５のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項９】
前記反応性部分が側鎖上に位置する、請求項８に記載の組成物。
【請求項１０】
前記反応性部分が見出される前記側鎖は、シリコーン骨格の一端の５シリコーン反復単位内、好ましくは３シリコーン反復単位内に位置する、請求項９に記載の組成物。
【請求項１１】
前記第１の金属酸化物粒子及び前記第２の金属酸化物粒子は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄粒子及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項１〜１０のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１２】
前記第１の数加重平均一次粒径は、５〜４０ｎｍ、好ましくは８〜３０ｎｍである、請求項１〜１１のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１３】
前記第２の数加重平均一次粒径は５０ｎｍよりも大きく１５０ｎｍ以下であり、好ましくは５０ｎｍよりも大きく１２０ｎｍ以下であり、より好ましくは５５〜１００ｎｍである、請求項１〜１２のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１４】
前記組成物の０．１〜１０重量％、好ましくは０．５〜８重量％、より好ましくは１〜５重量％の第１の金属酸化物粒子を含む、請求項１〜１３のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１５】
前記組成物の０．１〜１０重量％、好ましくは０．５〜８重量％、より好ましくは２〜５重量％の第２の金属酸化物粒子を含む、請求項１〜１４のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１６】
重量比：
【数１】
が、１．０未満であり、好ましくは０．９９〜０．１の範囲である、請求項１〜１５のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１７】
化粧用組成物、好ましくは化粧用皮膚ファンデーションである、請求項１〜１６のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１８】
親油性相を含む、請求項１７に記載の化粧用組成物。
【請求項１９】
前記化粧用組成物の１．７重量％よりも多く１５重量％までの、好ましくは２重量％〜１０重量％の、より好ましくは２．２重量％〜５重量％の架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを含む、請求項１７又は１８に記載の化粧用組成物。
【請求項２０】
前記化粧用組成物の０．０１〜１５重量％、好ましくは２重量％〜５重量％の非乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを含む、請求項１７〜１９のいずれか１項に記載の化粧用組成物。
【請求項２１】
有機日焼け止め剤、好ましくは水溶性の又は水分散性の有機日焼け止め剤を更に含む、請求項１７〜２０のいずれか１項に記載の化粧用組成物。
【請求項２２】
日焼け止め剤として請求項１〜２１のいずれか１項に記載の組成物の使用。
【請求項１】
組成物であって、
（ａ）１ｎｍ〜５０ｎｍの第１の数加重平均一次粒径を有する第１の金属酸化物粒子と、
（ｂ）５０ｎｍよりも大きく２００ｎｍ以下である第２の数加重平均一次粒径を有する第２の金属酸化物粒子と
を含み、
有機官能化シリコーン微細繊維が、前記第１及び第２の金属酸化物粒子の一方又は両方の表面に結合し、および前記第１及び第２の金属酸化物粒子の一方又は両方の表面から伸びる組成物。
【請求項２】
有機官能化シリコーン微細繊維が、前記第１及び第２の金属酸化物粒子の両方の表面に結合し、および前記第１及び第２の金属酸化物粒子の両方の表面から伸びる、請求項１に記載の組成物。
【請求項３】
アミノ、イミノ、ハロゲン、ヒドロキシル、及びアルコキシルから成る群から選択される反応性部分を含む有機官能化シリコーンポリマーで、前記金属酸化物粒子を処理することによって前記微細繊維が付着される、請求項１又は２に記載の組成物。
【請求項４】
前記有機官能化シリコーンポリマーが、５〜１００、好ましくは２５〜５０のシリコーン単位を含む、請求項３に記載の組成物。
【請求項５】
前記有機官能化シリコーンポリマーの、重量平均分子量（Ｍｗ）の数平均分子量（Ｍｎ）に対する比率（Ｍｗ／Ｍｎ）が１．０〜１．３である、請求項３又は４に記載の組成物。
【請求項６】
前記有機官能化シリコーンが線状有機官能化シリコーンである、請求項３〜５のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項７】
前記反応性部分がその分子鎖の一端に位置する、請求項６に記載の組成物。
【請求項８】
前記有機官能化シリコーンは分枝鎖有機官能化シリコーンである、請求項３〜５のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項９】
前記反応性部分が側鎖上に位置する、請求項８に記載の組成物。
【請求項１０】
前記反応性部分が見出される前記側鎖は、シリコーン骨格の一端の５シリコーン反復単位内、好ましくは３シリコーン反復単位内に位置する、請求項９に記載の組成物。
【請求項１１】
前記第１の金属酸化物粒子及び前記第２の金属酸化物粒子は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄粒子及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項１〜１０のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１２】
前記第１の数加重平均一次粒径は、５〜４０ｎｍ、好ましくは８〜３０ｎｍである、請求項１〜１１のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１３】
前記第２の数加重平均一次粒径は５０ｎｍよりも大きく１５０ｎｍ以下であり、好ましくは５０ｎｍよりも大きく１２０ｎｍ以下であり、より好ましくは５５〜１００ｎｍである、請求項１〜１２のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１４】
前記組成物の０．１〜１０重量％、好ましくは０．５〜８重量％、より好ましくは１〜５重量％の第１の金属酸化物粒子を含む、請求項１〜１３のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１５】
前記組成物の０．１〜１０重量％、好ましくは０．５〜８重量％、より好ましくは２〜５重量％の第２の金属酸化物粒子を含む、請求項１〜１４のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１６】
重量比：
【数１】
が、１．０未満であり、好ましくは０．９９〜０．１の範囲である、請求項１〜１５のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１７】
化粧用組成物、好ましくは化粧用皮膚ファンデーションである、請求項１〜１６のいずれか１項に記載の組成物。
【請求項１８】
親油性相を含む、請求項１７に記載の化粧用組成物。
【請求項１９】
前記化粧用組成物の１．７重量％よりも多く１５重量％までの、好ましくは２重量％〜１０重量％の、より好ましくは２．２重量％〜５重量％の架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを含む、請求項１７又は１８に記載の化粧用組成物。
【請求項２０】
前記化粧用組成物の０．０１〜１５重量％、好ましくは２重量％〜５重量％の非乳化性架橋オルガノポリシロキサンエラストマーを含む、請求項１７〜１９のいずれか１項に記載の化粧用組成物。
【請求項２１】
有機日焼け止め剤、好ましくは水溶性の又は水分散性の有機日焼け止め剤を更に含む、請求項１７〜２０のいずれか１項に記載の化粧用組成物。
【請求項２２】
日焼け止め剤として請求項１〜２１のいずれか１項に記載の組成物の使用。
【公表番号】特表２００８−５３４６９１（Ｐ２００８−５３４６９１Ａ）
【公表日】平成２０年８月２８日（２００８．８．２８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−５０５５６５（Ｐ２００８−５０５５６５）
【出願日】平成１８年３月３１日（２００６．３．３１）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＵＳ２００６／０１２９９７
【国際公開番号】ＷＯ２００６／１０８１３２
【国際公開日】平成１８年１０月１２日（２００６．１０．１２）
【出願人】（５９０００５０５８）ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Ｆターム（参考）】
【公表日】平成２０年８月２８日（２００８．８．２８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年３月３１日（２００６．３．３１）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＵＳ２００６／０１２９９７
【国際公開番号】ＷＯ２００６／１０８１３２
【国際公開日】平成１８年１０月１２日（２００６．１０．１２）
【出願人】（５９０００５０５８）ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Ｆターム（参考）】
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