説明

金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法及び金属酸化物単結晶基板

【課題】 本発明は、金属酸化物単結晶基板について、ストレートステップ構造の基板を得ることができる新しい技術を提供する。
【解決手段】 LaAlO,MgO等の金属酸化物単結晶基板表面上にBi−Cu−O系酸化物を堆積し、高温真空下において液状化してフラックスとし、この材料を使用して単結晶基板を高温真空アニールしてフラックスを凝集させ、その後フラックスを除去し、場合により常圧下でポストアニールを行うと、従来の方法では作製することが難しかったSrTiO以外の金属酸化物単結晶基板においても、原子レベルで平坦な基板を作製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法及び表面が平坦な金属酸化物単結晶基板に関する。詳しくは、金属酸化物単結晶基板において、原子レベルでの表面平坦化方法及び原子レベルで表面が平坦化処理された基板に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、個々の原子の配列をコントロールしたデバイスの研究開発が行なわれており、このような原子配列をコントロールしたPN接合やFET(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)などの薄膜デバイスを作製する上で、原子レベルで平坦な界面や表面を作製する技術が必要不可欠になる。その方法の1つとして、原子層ステップ構造を有する基板の製作が注目されている。
【0003】
基板の表面の平坦化処理を行う技術として、エッチングと高温アニールが知られており、このような方法を用いてSrTiO等の原子レベルで表面が平坦な基板が作成されている。(特許文献1,2、非特許文献1,2参照)
【0004】
【特許文献1】特開平7−267800号公報(段落0006〜0007、図1、図5、図6等)
【特許文献2】特開2000−327493号公報(実施例等)
【非特許文献1】A−site Terminated Perovskite Substrate:NdGaO3 T.Ohnishi et al. Appl.Phys.Lett.74,2531−2533(1999)
【非特許文献2】Atomic Control of the SrTiO3 Crystal Surface M.Kawasaki,et al. Science,266,1540(1994)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまで、SrTiOについては面積約2cm角のストレートステップ構造の基板が得られているが、SrTiO以外の金属酸化物ではストレートステップ構造が得られたという報告が見当たらない。しかしながら、SrTiO基板は高価であり、これに対しLaAlO、MgOなどの基板は安価なので、これらの基板でストレートステップ構造が得られれば、多種のデバイスへの応用が考えられ、経済的な効果が大きい。
【0006】
本発明は、金属酸化物単結晶基板について、ストレートステップ構造の基板を得ることができる新しい技術を提供することを目的とする。
また、本発明は、SrTiO以外でストレートステップ構造の表面を有する金属酸化物単結晶基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
金属酸化物単結晶基板上にCuOを堆積させた後に、続けてBiを堆積させると、Biが高温真空下(例えば750度、800Pa)において液状化し、フラックス(単結晶の作製に使用される添加物で、高温で液状化し、結晶成長を促進させる)が形成される。この液状化現象に伴い、フラックスと基板との間の固液界面で反応が活性化され、フラックスに含まれるBiが基板表面をマイグレーションし、表面をエッチングし、結晶が再配列されると解釈され、これによって原子レベルで平坦な基板の作製ができることがわかった。現時点までの研究で、適用可能な基板材料としてはLaAlO,MgO,Nb−SrTiO,SrTiO等があげられ、他の酸化物金属材料にも適用できる可能性がある。
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法は、例えば図1及び図2に示すように、金属酸化物単結晶基板表面上にBi−Cu−O系酸化物を堆積する工程(ステップS002〜S003)と、真空中でBi−Cu−O系酸化物を加熱しフラックスを形成する工程(ステップS004)と、真空中で加熱し前記フラックスを凝集させる工程(ステップS005)と、凝集したフラックスを除去する工程(ステップS006)とを備える。
【0009】
ここにおいて、金属酸化物単結晶、Bi−Cu−O系酸化物は必ずしもストイキオメトリーなものに限られず、また、不純物や欠陥を含んでいても、実質的に当該酸化物の性質を保有しているものであれば良い。このことは、請求項2以降におけるLaAlO,MgO,Nb−SrTiO,SrTiO,CuO薄膜,Bi薄膜についても同様である。また、各工程は独立に行なわれても良いが、2以上の工程が同時進行しても良い。
【0010】
このように構成すると、フラックスと基板との間の固液界面で反応が活性化され、フラックスに含まれるBiが基板表面をマイグレーションし、表面をエッチングし、結晶が再配列されて、表面に原子レベルのステップ構造を有する金属酸化物単結晶基板を得ることができる。これにより、金属酸化物単結晶基板の新しい原子レベルの平坦化技術を提供できる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法において、例えば図9に示すように、基板を高温で加熱する工程(ステップS007)を備える。
このように構成すると、基板表面の結晶再配列を促進し、ストレートステップ構造を実現し易くなる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法において、加熱する工程(ステップS007)は、1000℃乃至1450℃、常圧下で行う。
ここにおいて、常圧下での加熱には、大気中での加熱の他に、窒素、酸素、不活性ガス又はこれらの混合ガス等の常圧に近い雰囲気下で、ガスを流しながら行う加熱も含むものとする。このように構成すると、真空や高圧にする必要がなく、高温での加熱を容易に実現できる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法において、例えば図1に示すように、金属酸化物は、LaAlO,MgO,Nb−SrTiO,SrTiOのいずれか1つである。
このように構成すると、SrTiO以外の金属酸化物結晶表面に原子レベルのステップ構造を得ることが可能になり、安価な原子レベルの表面平坦化基板を提供できる。なお、ストレートステップ構造は原子レベルのステップ構造のうち最も理想的なものである。また、SrTiOについて、新たな原子レベルの表面平坦化技術を適用でき、従来と同様な表面平坦化基板を提供できる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法において、例えば図1及び図4に示すように、Bi−Cu−O系酸化物を堆積する工程は、パルスレーザ堆積法により、最初にCuO薄膜2を堆積し(ステップS002)、次いでBi薄膜3を堆積する(ステップS003)。
このように構成すると、フラックス中のBiとCuの比率のコントロールが容易である。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法において、CuO薄膜2とBi薄膜3の膜厚比を1:5〜1:30とする。
このように構成すると、フラックスの凝集が促進され、原子レベルのステップ構造得るのに好適である。
【0016】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法において、例えば図4に示すように、フラックスを凝集させる工程は、加熱を700〜800℃、真空度を13.33〜1333Paで行なう。このように構成すると、フラックスと金属酸化物単結晶基板との反応を介してフラックスの凝集を促進させ、表面の平坦化を促進する。
【0017】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法において、凝集したフラックスを除去する工程は、真空中でフラックスを蒸発させる。
このように構成すると、蒸発によりフラックスを容易に除去できる。
【0018】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法において、例えば図6に示すように、凝集したフラックスを除去する工程は、真空中でフラックスを蒸発させた後に、塩酸でエッチングを行なう。
このように構成すると、蒸発によりフラックスを容易に除去でき、さらに蒸発で残ったフラックスを塩酸で容易にエッチング除去できるので、テラスが平坦で原子配列が整然とした原子レベルステップ構造の表面に仕上げることができる。
【0019】
上記課題を解決するために、請求項10に記載の金属酸化物単結晶基板は、例えば図1に示すように、基板表面に原子レベルのステップ構造6を有し、LaAlO,MgO,Nb−SrTiOのいずれか1つからなる。ここにおいて、原子レベルのステップ構造とは、理想的には、1ステップの高さが結晶構造の1ユニットに合致するが、サブユニット(ハーフユニット等)や2〜3ユニットに合致する場合も含まれる。また、理想的には段を示す線が直線的で向きが一方向に揃っているが、これに限られず、段を示す線が曲線的で滑らかであり、段にほぼ直交する断面で見た場合、隣り合う2つの段を示す線の接線のなす角度が小さいもの(例えば15度以下)も含まれる。このように構成すると、ストレートステップ構造の金属酸化物単結晶基板を比較的安価に供給でき、これらの基板を用いることにより、原子レベルの配列制御を行なう半導体デバイスや超伝導デバイスの形成に好適である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、金属酸化物単結晶基板について、ストレートステップ構造又は原子レベルのステップ構造の基板を得ることができる新しい技術を提供できる。
また、本発明によれば、SrTiO以外でストレートステップ構造又は原子レベルのステップ構造の表面を有する金属酸化物単結晶基板を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に図面に基づき本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0022】
図1に第1の実施の形態における金属酸化物単結晶基板表面の平坦化工程の例を示す。第1の実施の形態は、金属酸化物がLaAlOの例である。
まず、(100)面を研磨したLaAlOの単結晶基板1を準備する(図1(a)、ステップS001)。この(100)基板面は、マクロに見れば平坦であるが、原子レベルで見ると、平坦ではなく表面粗さ(凹凸)があり、しかも傾斜面(ミクロには階段状)になっている。
【0023】
次にパルスレーザ堆積法により、Bi−Cu−O系酸化物の堆積を行う。まず、基板1をパルスレーザ堆積装置内に挿入し、試料台にセットする。パルスレーザとしてKrFレーザを用い、ターゲットとしてCuOを使用し、まず、CuO薄膜2を50nm堆積させる(図1(b)、ステップS002)。堆積条件は6.666Pa(酸素雰囲気)、基板温度750℃である。
【0024】
次に、パルスレーザとしてKrFレーザを用い、ターゲットとしてBiを使用し、Bi薄膜3を800Pa(酸素雰囲気)、基板温度770℃の条件で1μm堆積させる(図1(c)、ステップS003)。この状態で、堆積膜は真空中で加熱されており、Bi薄膜3があらかじめ堆積されたCuO薄膜2と混じり合い、液状化してBi−Cu−O系酸化物のフラックス4を形成する(図1(d)、ステップS004)。この状態で、Bi−Cu−Oフラックス4は凝集し、凝集塊5が形成される(図1(e)、ステップS005)。
【0025】
次に、800Pa酸素雰囲気から高真空(1.333×10−3〜1.333×10−5Pa)に引き、基板温度750〜800℃で10分間アニールすると、蒸気圧の高いBi−Cu−Oフラックス凝集塊5は蒸発する。蒸発せずに残ったフラックス凝集塊5を塩酸(HCl)などのエッチャントでエッチングし、除去する(図1(e)、ステップS006)。これにより、LaAlO基板1の(100)面にストレートステップ構造6を実現できる。
【0026】
なお、図1(e)及び図1(f)では、基板表面を原子レベルで表現しており、原子レベル状態では表面に傾斜(ミクロには階段状)がある。
【0027】
ところで、CuO薄膜2及びBi薄膜3は堆積時から真空中で加熱状態にあり、Bi−Cu−O系酸化物のフラックス化(液状化)は、堆積時から同時進行している可能性がある。また、フラックス化と凝集も同時進行している可能性がある。また、この液状化現象に伴い、フラックスと基板との間の固液界面が溶融状態となって反応が活性化し、フラックスに含まれるBiが基板表面をマイグレーションし、基板表面においてLaAlOと反応して基板表面をエッチングすると共に結晶が再配列されると解釈され、これによって原子レベルで平坦な基板の作製ができると考えられる。
【0028】
Bi−Cu−Oフラックス凝集塊5の形成を確認するために、Bi薄膜3を堆積後、パルスレーザ堆積装置内に6.666×10Paの窒素を導入し、基板1を50℃/minで急冷(クエンチ)すると、凝集塊5がレーザ顕微鏡によって確認される。また、AFM(Atomic Force Microscope:原子間力顕微鏡)像を観察すると、フラックス凝集塊5の間隙では原子レベルのステップ構造を観察することができる。
【0029】
図2に、図1で説明した基板表面の平坦化工程をフロー図にまとめて示す。まず、(100)面を研磨したLaAlOの単結晶基板1を準備する(ステップS001)。次にパルスレーザ堆積法により、CuO薄膜2を堆積し(ステップS002)、次いでBi薄膜3を堆積する(ステップS003)。真空状態で加熱されることにより、Bi−Cu−O系酸化物は液状化し、フラックス4となる(ステップS004)。液状状態において、凝集反応が生じ、原子レベルのステップ構造上に凝集塊5が散在した状態が得られる(ステップS005)。この状態で高真空にするとフラックス凝集塊5が蒸発し、さらに凝集塊5の残りをエッチング除去するとストレートステップ構造6が得られる(ステップS006)。
【0030】
図3に、これらの工程を模式的に説明する図を示す。図3(a)はフラックスの形成を説明する模式図である。ターゲット7(先にCuO、後にBi)にKrFレーザ8をパルス照射し、CuO薄膜及びBi薄膜をLaAlO基板1上に堆積する。9はパルス照射されたターゲットの成分が広がる領域でプルームと称される。CuO薄膜及びBi薄膜は混じり合って液状のフラックス4となる。さらにフラックス4の凝集を経て基板表面が平坦化される。図3(b)、図3(c)にそれぞれ、CuO薄膜及びBi薄膜を堆積する前の基板表面1a(基板をAと表示)の状態、フラックス4を形成して平坦化処理した後の基板表面1b(基板をBと表示)の状態を模式的に示す。図3(b)では、基板表面に原子レベルでステップ構造が存在すると共に、表面粗さ(凹凸)が存在する。図3(c)では、ストレートステップ構造6が存在し、テラスの表面は段部分を除いて平坦になっている。
【0031】
図4に、基板上のフラックスの状態のCuO膜厚による変化の様子の例を示す。フラックスが凝集し、原子レベルの平坦な基板を実現するには、CuO薄膜、Bi薄膜を堆積しただけでは不十分で、両者の膜厚比が重要となる。図4(a)は、ターゲット7(先にCuO、後にBi)にKrFレーザ8を照射して、(100)面を研磨したLaAlOの単結晶基板1上に、CuO薄膜2を厚さを変えて堆積し、その上にBi薄膜3を堆積する様子を模式的に示す図である。CuO薄膜2は、基板温度770℃、真空度(酸素雰囲気)6.666Paで0〜50nmの範囲で膜厚を5段階変化させて堆積し、その上にBi薄膜3を、基板温度750℃、真空度(酸素雰囲気)800Paで1μm堆積する。したがって、CuO薄膜2とBi薄膜3の膜厚比を0〜1:20まで変化させている。
【0032】
図4(b)〜(f)は、両薄膜を堆積した後の、Bi−Cu−Oフラックスの凝集の様子を示すレーザ顕微鏡写真であり、CuO薄膜の膜厚が変化している。これらの写真は、Bi薄膜を堆積後、パルスレーザ堆積装置内に6.666×10Paの窒素を導入し、基板1を50℃/minで急冷(クエンチ)して、撮影したものである。図4(b)は膜厚0nm、図4(f)は膜厚50nmで、図4(b)から(f)になるにつれて膜厚が増加しており、CuO薄膜とBi薄膜の膜厚比も増加している。これらの図よりCuO薄膜の膜厚が増加するにつれて、フラックスの凝集が促進されていることが解る。図4(f)においては、約10〜50μmの凝集塊がみられる。
【0033】
また、図4(g)及び図4(h)には、それぞれCuO薄膜を堆積する前の基板表面のAFM像及びLEED(Low Energy Electron Diffraction 低速電子線回折)像を示す。図4(g)のAFM像では、ステップ構造はみられるが、ステップはストレートになっておらず、原子構造に乱れがあることが解る。図4(h)のLEED像では、像が暗くなっており、これを裏付けている。また、図4(i)及び図4(j)には、それぞれCuO膜厚50nmの時の基板表面のAFM像及びLEED像を示す。図4(i)のAFM像では、テラス幅約0.2μmのストレートステップ構造がみられる。図4(j)の基板表面のLEED像では、像が明るくなっており、これを裏付けている。したがって、CuO膜厚は約50nm(CuO薄膜とBi薄膜の膜厚比は約1:20)が好適といえる。
【0034】
図5に、平坦化工程におけるLaAlO単結晶基板の表面状態の例を示す。図5(a)は(100)面を研磨したLaAlO単結晶基板のAFM像(約50000倍)である。明るい部分が凸部に、暗い部分が凹部に対応するので、全体に0.02μm程度の凹凸が多数存在していると解される。図5(b)はCuO薄膜、Bi薄膜を堆積せずに、基板表面をアニールしたもので、図5(a)に比して平坦化が進み、凹凸が揃っているようであるが、なお多くの凹凸が見られる。図5(c)は本実施の形態の工程でフラックス蒸発を経た基板表面のAFM像(約150000倍)である。縦方向にほぼ真っ直ぐな線が横方向に周期的に並んでいるのが見られる。このことはストレートステップ構造の存在を示している。また、図5(d)はこれをレーザ顕微鏡写真で立体的に見たものである。図5(d)では、表面に多くのフラックス凝集塊が見られるが、凝集塊の隙間も表面部分は連続しており、平坦であることを示している。
【0035】
さらに、図5(e)はAFMデータを基に、フラックス凝集塊を蒸発した後の表面粗さを基板表面に対して(図5(c)の破線に沿って)プロットしたものである。これにより、1ステップが結晶構造の1ユニット(図5(e)中のI、0.379nm)に一致した原子レベルのステップ構造が示されている。また、図5(f)は塩酸(HCl)エッチングでフラックス凝集塊を除去した後の基板表面のAFM像(約150000倍)である。縦方向にほぼ真っ直ぐで、横方向に周期的な線が並んでいるのが見られる。また、図5(g)はこれをレーザ顕微鏡写真で立体的に見たものである。表面のフラックス凝集塊が微小になり、表面部分は連続しており、ストレートステップ構造が形成されていることが解る。なお、この状態でも図5(e)とほぼ同様な表面粗さプロットデータが得られる。
【0036】
図6にフラックスの除去工程における基板表面のレーザ顕微鏡写真の例を示す。図6(a)は除去工程の流れを示す図で、図(b)〜(d)に対応する記載がされている。図6(b)はフラックスを堆積した後に、窒素置換雰囲気中でクエンチした状態の像である。高さ10μm程度のフラックス凝集塊が多数できていることが解る。図6(c)はその後、1.333×10−3〜1.333×10−5Paの高真空中で、750〜800℃で10分間アニールした状態を示す。真空中で、凝集塊が蒸発して少なくなっている様子が解る。図6(d)は、その後、10%HCl溶液で10秒エッチング処理したものである。これにより凝集塊が除去され、表面が平坦になっていることが解る。
【0037】
次に、本発明の第2の実施の形態における金属酸化物単結晶基板表面の平坦化について説明する。金属酸化物がNb−SrTiOの例である。平坦化工程は図2と同様であり、膜厚、温度、真空度等のプロセスパラメータも第1の実施の形態と同様である。
【0038】
図7に、平坦化工程におけるNb−SrTiO(図中Nb−STOと表示)単結晶基板の表面状態の例を示す。図7(a)は(100)面を研磨したNb−SrTiO単結晶基板のAFM像(約50000倍)である。明るい部分が凸部に、暗い部分が凹部に対応するので、全体に0.02μm程度の凹凸が多数存在していると解される。図7(b)は本実施の形態の工程でフラックス蒸発を経た基板表面のAFM像(約150000倍)である。ストレートでないがステップ構造が局部的に見られる。さらに、図7(c)はAFMデータを基に、フラックス凝集塊を蒸発した後の表面粗さを基板表面に対してプロットしたものである。これにより、1ステップが結晶構造の1ユニット(図中のI)に一致した原子レベルの局所的ステップ構造(段差0.3905nm)が示されている。
以上より、処理後の基板は元の基板に比して表面が平坦化されており、原子レベルのステップ構造が局部的ではあるが実現されていることが解る。
【0039】
次に、本発明の第3の実施の形態における金属酸化物単結晶基板表面の平坦化について説明する。金属酸化物がMgOの例である。平坦化プロセスは図2と同様であり、膜厚、温度、真空度等のプロセスパラメータも第1の実施の形態と同様である。
【0040】
図8に平坦化工程におけるMgO単結晶基板表面の表面状態の例を示す。図8(a)は(100)面を研磨したMgO単結晶基板のAFM像(約50000倍)である。明るい部分が凸部に、暗い部分が凹部に対応するので、全体に0.02μm程度の凹凸が多数存在していると解される。図8(b)は本実施の形態の工程でフラックス蒸発を経た基板表面のAFM像(約150000倍)である。ストレートでないがステップ構造が局部的に見られる。さらに、図8(c)はAFMデータを基に、フラックス凝集塊を蒸発した後の表面粗さを基板表面に対してプロットしたものである。これにより、1ステップが結晶構造の1ユニット(図中のI、格子長0.42nm)に一致した原子レベルの局所的ステップ構造が示されている。
以上より、処理後の基板は元の基板に比して表面が平坦化されており、原子レベルのステップ構造が局部的ではあるが実現されていることが解る。
【0041】
次に、本発明の第4の実施の形態における金属酸化物単結晶基板表面の平坦化について説明する。金属酸化物がMgOの例であり、フラックス除去後にポストアニールを行なうものである。
これまで、MgO単結晶基板については、アニール処理と化学エッチングを組み合わせても、原子レベルのステップ構造を実現できなかったが、本実施の形態によれば、フラックス法と電気炉アニール処理を組み合わせることにより、原子レベルのステップ構造を実現できる。
【0042】
SrTiOは高価で誘電率が高いのに対して、MgOは安価で誘電率が低く、このため、例えばTMR(トンネル磁気抵抗)を用いたテラビット級のハードディスク記憶媒体(1〜2nmのトンネル接合を形成するので、原子レベルの平坦化が要求される)など、広範な応用が期待される。
【0043】
図9に第4の実施の形態における金属酸化物単結晶基板表面の平坦化工程の例を示す。図1に比して単結晶基板1であるLaAlOがMgOに代えられており、プロセスにおいては、フラックスの除去工程(ステップS006)の後に、ポストアニール工程(ステップS007)が追加されている。また、フラックスの除去工程(ステップS006)においては、エッチング工程が削除されている。
【0044】
まず、(100)面を研磨したMgOの単結晶基板1を準備する(図9(a)、ステップS001)。次にパルスレーザ堆積法により、Bi−Cu−O系酸化物の堆積を行う。パルスレーザとしてKrFレーザ(波長248nm)を用い、ターゲットとしてCuOを使用し、まず、CuO薄膜2を50nm堆積させる(図9(b)、ステップS002)。堆積条件は6.666Pa(酸素雰囲気)、基板温度750℃である。次に、ターゲットとしてBiを使用し、Bi薄膜3を800Pa(酸素雰囲気)、基板温度770℃の条件で1μm堆積させる(図9(c)、ステップS003)。
この状態で、堆積膜は真空中で加熱されており、液状化してBi−Cu−O系酸化物のフラックス4を形成する(図9(d)、ステップS004)。さらに、Bi−Cu−Oフラックス4は凝集し、凝集塊5が形成される(図9(e)、ステップS005)。
【0045】
次に、800Pa酸素雰囲気、基板温度770℃でアニールすると、蒸気圧の高いBi−Cu−Oフラックス凝集塊5は蒸発する(図9(e)、ステップS006)。その後、電気炉で高温でポストアニール、例えば大気中で1100℃で12時間ポストアニールすると(図9(f)、ステップS007)、これにより、MgO基板1の(100)面にストレートステップ構造6を実現できる。
【0046】
図10に、図9で説明した基板表面の平坦化工程をフロー図にまとめて示す。まず、(100)面を研磨したMgOの単結晶基板1を準備する(ステップS001)。次にパルスレーザ堆積法により、CuO薄膜2を堆積し(ステップS002)、次いでBi薄膜3を堆積する(ステップS003)。真空状態で加熱されることにより、Bi−Cu−O系酸化物は液状化し、フラックスとなる(ステップS004)。液状状態において、凝集反応が生じ、原子レベルのステップ構造上に凝集塊5が散在した状態が得られる(ステップS005)。この状態で高真空にするとフラックス凝集塊5が蒸発し(ステップS006)、さらに単結晶基板1を真空外に出してポストアニールする(ステップS007)とストレートステップ構造6が得られる。
【0047】
図11はフラックスを用いた溶融処理のメカニズムを説明するための図である。図11(a)はフラックス法を説明するための図であり、図11(b)は基板とフラックスとの界面状態を説明するための図である。前述のように、単結晶の作製に使用され、高温で液状化し、結晶成長を促進させる添加物のことをフラックスといい、図11(a)に示すように、原料にフラックスを添加して、比較的低温で高い結晶性のバルク単結晶を作製する手法をフラックス法という。
基板上に、溶融状態のフラックスを形成すると、基板とフラックスとの固液界面は、準・熱平衡状態になると考えられる。すなわち、図11(b)に示すように、基板1とフラックス4の界面では、基板1とフラックス4が反応し、固液界面で分解(原子の基板からの乖離)、再結晶が起こり、このため、基板表面が原子レベルで平坦になる可能性がある。
【0048】
図12に、MgO基板1上にBi−Cu−O系酸化物のフラックスを形成し、さらに1333Pa(酸素雰囲気)で900℃に加熱した液状化フラックスの、レーザ顕微鏡写真(約1333倍)の例を示す。フラックスは凝集し、2〜6μm位の凝集塊が多数形成されている。これらの凝集塊にはフラックス成分の他に、フラックスと基板との反応により基板から乖離してフラックスに取りこまれた原子も含まれる。また、一旦フラックスに取りこまれた原子が基板と再結合(再結晶)することもありうる。また、凝集塊が基板上を動き回ることにより、基板上の広い範囲でフラックスと基板との反応が促進される。
【0049】
MgOにはCaが不純物として入り易く、Ca等の不純物がMgのマイグレーションを妨げ、ストレートステップ構造の実現の阻害要因になっていると考えられる。しかるに、Caを化学エッチングで除去するのは困難であった。ところで、Bi−Cu−O系酸化物のフラックスを用いると、フラックス中に不純物、特にCaを吸収させることが可能である。さらに、表面から或る程度の深さまでの不純物を吸収し、真空中で蒸発して除去してしまうので、Mgのマイグレーションを促進しやすくすると解される。
【0050】
図13はフラックスとアニールを用いる平坦化処理のプロセスを説明するための図である。図13(a1)は平坦化処理前の基板の状態を示し、(a2)はその表面状態の顕微鏡写真(約3000倍)、(a3)はその表面状態のAFM像(約50000倍)である。基板の表面状態ではランダムな凹凸が形成され、粗い表面になっている。図13(b1)は基板上にフラックスが形成された状態を示し、(b2)はその表面状態の顕微鏡写真(約3000倍)でフラックスの凝集塊5が形成されている様子がわかる。(b3)はフラックス凝集塊を蒸発させて除去した後の基板表面のAFM像(約50000倍)であり、1〜2ユニット高さのステップ構造が局部的ではあるが実現されている。図13(c1)はアニーリングにより基板表面のフラックスを蒸発させた状態を示し、(c2)はその表面状態の顕微鏡写真(約3000倍)でフラックスの凝集塊が除去されている様子がわかる。(c3)はその基板表面のAFM像(約50000倍)であり、原子レベルのステップ構造が局部的ではあるが実現されており、図13(b3)と比較すると、ステップ高さが小さくなり、MgOで半ユニットのステップ構造が観察されている。
【0051】
図14は、電気炉によるポストアニール処理について説明するための図である。図14(a)は電気炉の温度コントロールプログラム(横軸は時間を示す)の例を示す。大気中で1100℃で12時間加熱し、昇温、降温に3時間かけている。なお、試料(平坦化処理中の基板)は電気炉内の温度分布の良好な位置に配置される。図14(b1)〜(e1)はフラックスによる融液処理のみで、ポストアニール処理前の状態でのAFM像であり、0.5〜3ユニットの段差が混在し、段の方向も不揃いである。図14(b2)〜(e2)は、これらの試料をポストアニール処理した状態のAFM像であり、それぞれ、0.5ユニットの段差が存在し、段の方向も揃ってきており、ストレートステップ構造に近い状態の原子レベルのステップ構造が存在する。また、段を示す線が曲線的であるが滑らかであり、段にほぼ直交する断面で見た場合、隣り合う2つの段を示す線の接線のなす角度が約10度以下で小さい。なお、図14(e1),(e2)はCuO薄膜とBi薄膜の膜厚比が1:6の場合である。また、これらの図中の明度は、黒を0nm、白を表示値として高さを表示している。
【0052】
ポストアニールは、Mgのマイグレーションを進め、MgO基板の再配列を推し進めるものである。このためには、1000℃以上の高温が好適であり、大気中に限られず、窒素、酸素、不活性ガス又はこれらの混合ガス等雰囲気下で、ガスを流しながらアニールしても良い。また、温度が高すぎると基板内部のCa等の不純物が表面にでてくるおそれがある。後述するように1400℃では良好な平坦化基板が得られていることから、1450℃以下で好適と考えられる。先のBi−Cu−O系酸化物のフラックス溶融工程で、Caなどの不純物が基板表面層から除去されるので、Mgのマイグレーションが進行し、MgO基板の再配列が推進され、これにより、ストレートステップ構造に近い原子レベルのステップ構造を実現できる。
【0053】
図15に基板表面の平坦化工程におけるAFM像とLEED像を示す。図15(a1)は基板の状態を示し、(a2)はその表面状態のAFM像(約50000倍)、(a3)はその表面状態のLEED(低速電子線回折)像である。基板の表面状態ではランダムな凹凸が形成され、LEED像も暗く、粗い表面になっている。図15(b1)は基板上のフラックスを蒸発させた状態を示し、(b2)はその表面状態のAFM像(約50000倍)であり、(b3)はその表面状態のLEED像である。原子レベルのステップ構造が局部的に実現されているが、LEED像は暗く、段の方向が整っていないことを裏付けている。図15(c1)はアニーリング後の基板表面の状態を示し、(c2)はその表面状態のAFM像(約50000倍)であり、(c3)はその基板表面のLEED像である。明るいLEED像が得られており、結晶性がよく、ストレートステップに近い原子レベルのステップ構造が実現されていることを裏付けている。
【0054】
図16に、本実施の形態で得られたMgO基板のストレートステップ構造に近い構造のAFM像(約50000倍)を示す。図16(a)はAFM像であり、(b)はMgO単結晶の格子構造である。MgO単結晶格子の格子長(1ユニット)は0.42nmである。ポストアニール条件は1100℃、12時間である。図16(a)では、半ユニット長(図中のI)に相当する0.21nmのストレートステップ構造が示されている。再現性も良く、このことから、フラックス法と電気炉アニール処理を組み合わせるとMgO(100)について、ストレートステップに近い原子レベルのステップ構造を作成可能なことがわかった。
【0055】
また、図17に、本実施の形態で得られたMgO基板の別の表面状態を示す。図17(a)はストレートステップ構造のAFM像(約50000倍)と言っても良く、図17(b)はAFM像に基づいて表面粗さをプロットした((a)の黒線上)ものである。ポストアニール条件は1400℃、12時間である。図では、1〜3ユニットのストレートステップ構造が示されている(図中のIは1ユニットの高さを示す)。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態に種々変更を加えられることは明白である。
【0057】
例えば、上記実施の形態においては、Bi−Cu−O系酸化物の堆積について、CuO薄膜とBi薄膜を別個のターゲットを用いて順次堆積する例を説明したが、例えば膜厚比1:6〜1:20に相等する組成のBi−Cu−O系酸化物ターゲットを用いて堆積しても良い。また、KrFレーザ以外のパルスレーザ(例えばYAGレーザ)を使用しても良く、MBE(分子線エピタキシャル)法やスパッタ法により堆積しても良い。
【0058】
また、上記実施の形態においては、Bi−Cu−O系酸化物の堆積、フラックスの形成、フラックスの凝集が重複して進行する例を説明したが、基板加熱をBi−Cu−O系酸化物の堆積後に行う等、一部の工程を切り分けて行っても良い。
【0059】
また、工程中の基板温度、真空度、アニール時間等のプロセスパラメータは適当な範囲で変更可能である。また、凝集したフラックスを除去する工程は、蒸発で完全に除去されれば、エッチングを省略できる。また、エッチングには塩酸以外のエッチャント(例えばフッ酸、リン酸、硝酸、硫酸)を使用しても良い。また、エッチングでフラックスを完全に除去できる場合でも、エッチング後にポストアニールを行ない、結晶の再配列を促進しても良い。
【0060】
また、上記実施の形態においては、金属酸化物単結晶基板表面が(100)面の場合を説明したが、他の面でもストレートステップ構造を実現できる可能性もある。また、実施の形態で示した以外の金属酸化物についても、原子レベルのステップ構造を実現できる可能性がある。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、金属酸化物単結晶基板表面の原子レベルの平坦化に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1の実施の形態におけるLaAlO単結晶基板表面の平坦化工程の例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態における基板表面の平坦化工程のフロー図である。
【図3】基板表面の平坦化工程を模式的に説明する図である。
【図4】基板上のフラックスの状態のCuO膜厚による変化の様子の例を示す図である。
【図5】平坦化工程におけるLaAlO単結晶基板の表面状態の例を示す図である。
【図6】フラックスの除去工程における基板表面のレーザ顕微鏡写真の例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態におけるNb−SrTiO単結晶基板表面の表面状態の例を示す図である。
【図8】第3の実施の形態におけるMgO単結晶基板表面の表面状態の例を示す図である。
【図9】第4の実施の形態におけるMgO単結晶基板表面の平坦化工程の例を示す図である。
【図10】第4の実施の形態における基板表面の平坦化工程のフロー図である。
【図11】フラックスを用いた溶融処理のメカニズムを説明するための図である。
【図12】MgO基板上に形成した液状化フラックスのレーザ顕微鏡写真の例を示す図である。
【図13】フラックスとアニールを用いる平坦化処理のプロセスを説明するための図である。
【図14】電気炉によるポストアニール処理について説明するための図である。
【図15】基板表面の平坦化工程におけるAFM像とLEED像を示す図である。
【図16】第4の実施の形態で得られたMgO基板のストレートステップ構造のAFM像を示す図である。
【図17】第4の実施の形態で得られたMgO基板の別の表面状態を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 金属酸化物単結晶基板
1a、1b 基板表面(界面)
2 CuO薄膜
3 Bi薄膜
4 Bi−Cu−Oフラックス
5 フラックスの凝集塊
6 ストレートステップ構造
7 ターゲット
8 KrFレーザ
9 プルーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物単結晶基板表面上にBi−Cu−O系酸化物を堆積する工程と;
真空中でBi−Cu−O系酸化物を加熱しフラックスを形成する工程と;
真空中で加熱し前記フラックスを凝集させる工程と;
凝集したフラックスを除去する工程とを備える;
金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法。
【請求項2】
基板を高温で加熱する工程を備える;
請求項1に記載の金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法。
【請求項3】
前記加熱する工程は、1000℃乃至1450℃、常圧下で行う;
請求項2に記載の金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法。
【請求項4】
前記金属酸化物は、LaAlO,MgO,Nb−SrTiO,SrTiOのいずれか1つである;
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法。
【請求項5】
前記Bi−Cu−O系酸化物を堆積する工程は、パルスレーザ堆積法により、最初にCuO薄膜を堆積し、次いでBi薄膜を堆積する;
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法。
【請求項6】
前記CuO薄膜と前記Bi薄膜の膜厚比を1:5〜1:30とする;
請求項5に記載の金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法。
【請求項7】
前記真空中でフラックスを加熱し凝集させる工程は、加熱を700〜800℃、真空度を13.33〜1333Paで行なう;
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法。
【請求項8】
凝集したフラックスを除去する工程は、真空中でフラックスを蒸発させる;
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法。
【請求項9】
凝集したフラックスを除去する工程は、真空中でフラックスを蒸発させた後に、塩酸でエッチングを行なう;
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の金属酸化物単結晶基板表面の平坦化方法。
【請求項10】
基板表面に原子レベルのステップ構造を有し、
LaAlO,MgO,Nb−SrTiOのいずれか1つからなる;
金属酸化物単結晶基板。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−96649(P2006−96649A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91840(P2005−91840)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】