説明

金属酸化物粒子の製造方法、金属酸化物粒子および樹脂組成物

【課題】
半導体素子・液晶表示素子の封止剤や歯科材料等として使用される樹脂の充填剤(フィラー)として好適に用いることができる金属酸化物粒子を、凝集体の生成を抑制しつつ製造する方法、該方法により得られる金属酸化物粒子および該金属酸化物粒子を含む樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 特定の金属酸化物からなる母粒子を、特定の金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物で表面処理した後、焼成することを特徴とする金属酸化物粒子の製造方法、該方法により得られたものであることを特徴とする金属酸化物粒子および該金属酸化物粒子を含むことを特徴とする樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物粒子の製造方法、金属酸化物粒子および樹脂組成物に関する。
さらに詳しくは、本発明は、半導体素子・液晶表示装置の封止剤や歯科材料等として使用される樹脂の充填剤(フィラー)として好適に用いることができる金属酸化物粒子を製造する方法、該方法により得られる金属酸化物粒子および該金属酸化物粒子を含む樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シリカ粒子等の焼成無機酸化物粒子は、例えば、半導体素子・液晶表示装置の封止剤や歯科材料等として使用される熱硬化性、光硬化性の樹脂組成物などの充填剤(フィラー)として用いられている。
【0003】
上記シリカ粒子は、例えば、テトラアルコキシシラン等をアルコール性溶媒中で加水分解・縮合した後、乾燥、焼成する方法により得ることができる。
【0004】
しかしながら、上記方法により得られたシリカ粒子の表面には、Si−OH(シラノール)基が多数存在するため、乾燥、焼成工程において、粒子間で縮合反応(凝集力の強い結合)が起こって凝集体を形成してしまい、樹脂などに充填する際に、容易に分散しないという課題を有していた。
【0005】
上記課題を解決するため、例えば、シリカ粒子等の微粒子合成時にエチレングリコールなどの比較的高沸点のアルコールを添加することにより、凝集体の発生を抑える方法が報告されている(例えば、特許文献1参照)が、この方法においても、シリカ粒子は、真空減圧下での加熱や数百度での焼成には耐えられず、少なからず凝集体を生成してしまうため、上記課題を解決する方法として十分なものとはいえなかった。
【特許文献1】特開平3−50105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情のもとで、半導体素子・液晶表示装置の封止剤や歯科材料等として使用される樹脂の充填剤(フィラー)として好適に用いることができる金属酸化物粒子を、凝集体の生成を抑制しつつ製造する方法、該方法により得られる金属酸化物粒子および該金属酸化物粒子を含む樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の金属酸化物から選ばれる少なくとも1種以上を含む母粒子を、特定の金属アルコキシド化合物で表面処理した後、焼成することにより、凝集体の生成を抑制しつつ金属酸化物粒子を作製し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)一般式(I)
・・・(I)
(式中、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、
がケイ素、チタン、又はジルコニウムである場合、x=1、y=2であり、Mがアルミニウムである場合、x=2、y=3である。)で表される金属酸化物から選ばれる少なくとも1種以上を含む母粒子を、
一般式(II)
(ORm−n ・・・(II)
(式中、Rは非加水分解性基、Rは炭素数1〜6のアルキル基、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、
mは、Mがケイ素、チタン又はジルコニウムである場合は4、Mがアルミニウムである場合は3であり、nは、mが4の場合は1〜3の整数、mが3の場合は1〜2の整数であり、
が複数ある場合、各Rはたがいに同一であっても異なっていてもよく、ORが複数ある場合、各ORはたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物で表面処理した後、焼成する
ことを特徴とする金属酸化物粒子の製造方法、
(2)一般式(I)で表される金属酸化物が、一般式(III)
(OR ・・・(III)
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、
はケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、
zは、Mがケイ素、チタン又はジルコニウムである場合は4、Mがアルミニウムである場合は3であり、
ORが複数ある場合、各ORはたがいに同一であっても異なっていてもよい。)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物を、加水分解、縮合させることにより得られたものである上記(1)に記載の金属酸化物粒子の製造方法、
(3)一般式(I)で表される金属酸化物が、シリカである上記(1)または(2)に記載の金属酸化物粒子の製造方法、
(4)一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物が、モノアルキルトリアルコキシシラン又はジアルキルジアルコキシシランである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の金属酸化物粒子の製造方法、
(5)前記表面処理が、一般式(I)で表される金属酸化物からなる母粒子を合成した後、該母粒子を含む合成溶液に一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物を添加することにより行われる上記(1)〜(4)のいずれかに記載の金属酸化物粒子の製造方法、
(6)前記焼成が、一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物中のR基が脱離し得る条件で行われる上記(1)〜(5)のいずれかに記載の金属酸化物粒子の製造方法、
(7)得られる金属酸化物粒子の平均粒径が0.01〜5μmである上記(1)〜(6)のいずれかに記載の金属酸化物粒子の製造方法、
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法により得られたものであることを特徴とする金属酸化物粒子、および
(9)上記(8)に記載の金属酸化物粒子を含むことを特徴とする樹脂組成物
を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特定の金属酸化物からなる母粒子を、特定の金属アルコキシド化合物で表面処理した後、焼成することにより、凝集体の生成を抑制しつつ金属酸化物粒子を製造する方法を提供することができる。また、本発明によれば、上記方法により得られる金属酸化物粒子および該金属酸化物粒子を含む樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
まず、本発明の金属酸化物粒子の製造方法について説明する。
本発明の金属酸化物粒子の製造方法は、
一般式(I)
・・・(I)
(式中、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、
がケイ素、チタン、又はジルコニウムである場合、x=1、y=2であり、Mがアルミニウムである場合、x=2、y=3である。)で表される金属酸化物から選ばれる少なくとも1種以上を含む母粒子を、
一般式(II)
(ORm−n ・・・(II)
(式中、Rは非加水分解性基、Rは炭素数1〜6のアルキル基、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、
mは、Mがケイ素、チタン又はジルコニウムである場合は4、Mがアルミニウムである場合は3であり、nは、mが4の場合は1〜3の整数、mが3の場合は1〜2の整数であり、
が複数ある場合、各Rはたがいに同一であっても異なっていてもよく、ORが複数ある場合、各ORはたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物で表面処理した後、焼成する
ことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の方法において用いられる、一般式(I)
・・・(I)
で表される金属酸化物において、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、Mがケイ素、チタン、又はジルコニウムである場合、x=1、y=2であり、Mがアルミニウムである場合、x=2、y=3である。すなわち、一般式(I)で表される金属酸化物は、具体的には、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)から選ばれるいずれかの金属酸化物を意味する。
【0012】
一般式(I)で表される金属酸化物は、好ましくは、一般式(III)
(OR ・・・(III)
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、
はケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、
zは、Mがケイ素、チタン又はジルコニウムである場合は4、Mがアルミニウムである場合は3であり、
ORが複数ある場合、各ORはたがいに同一であっても異なっていてもよい。)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物を、加水分解、縮合させることにより得られたものである。
【0013】
一般式(III)で表される金属アルコキシド化合物において、Rは炭素数1〜10のアルキル基であり、このアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0014】
また、一般式(III)で表される金属アルコキシド化合物において、zは、Mがケイ素、チタン又はジルコニウムである場合は4、Mがアルミニウムである場合は3であり、ORが複数ある場合、各ORはたがいに同一であっても異なっていてもよい。
【0015】
このような金属アルコキシド化合物として、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メトキシトリエトキシシラン、メトキシトリプロポキシシラン、メトキシトリイソプロポキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、プロポキシトリエトキシシラン、ブトキシトリメトキシシランなど、および上記各金属アルコキシド化合物におけるシランを、チタンまたはジルコニウムに置き換えた化合物を挙げることができる。加水分解反応の制御性などの点から、上記金属アルコキシド化合物としては、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランが好ましい。
【0016】
本明細書において、一般式(III)で表される金属アルコキシド化合物には、上記各種金属アルコキシド化合物が縮合したダイマーまたはオリゴマーも含まれるものとする。
【0017】
また、一般式(III)で表される金属アルコキシド化合物の部分加水分解物としては、上記各種金属アルコキシド化合物を部分加水分解した、モノヒドロキシトリアルコキシシラン、ジヒドロキシジアルコキシシラン等を挙げることができる。
【0018】
一般式(III)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物を、加水分解、縮合させることにより、一般式(I)で表される金属酸化物を得ることができる。
【0019】
上記加水分解、縮合反応は、アルカリ、アルコールおよび水を含むアルカリ水溶液中で行うことが好ましい。アルカリとしては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン等のアンモニア誘導体が好ましく、アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、t−プロパノール、t−アミルアルコール等が好ましい。
【0020】
アルカリ水溶液は、一般式(III)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物に対し、モル換算で、5倍以上の水を含むものであることが好ましく、10〜50倍の水を含むものであることがより好ましい。
【0021】
加水分解、縮合反応は、一般式(III)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物を、アルカリ水溶液に対して、0.1g/分〜300g/分程度の速度で添加しつつ攪拌して行うことが好ましい。一般式(III)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物は、アルカリ水溶液に対して逐次添加することが好ましく、反応温度は0〜60℃程度が好ましい。
【0022】
上記方法等によって得られる一般式(I)で表される金属酸化物の粒径が所望の粒径よりも小さい場合は、該金属酸化物をシード粒子として、さらに一般式(III)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物を、アルカリ等の触媒の存在下に添加することにより、所望粒径まで成長させることができる。
【0023】
上記方法によって得られる、一般式(I)で表される金属酸化物には、さらに焼成処理を施してもよく、焼成処理を施すことにより金属酸化物の強度および硬度を上昇させることができるが、焼成処理を施すことによって金属酸化物表面に存在するSi−OH(シラノール)基等の金属アルコキシル基の数が減少してしまい、一般式(I)で表される金属酸化物からなる母粒子と一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物との反応が進行しにくくなるため、焼成処理は行わないことが好ましい。
【0024】
本発明の方法において、一般式(I)
・・・(I)
(式中、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、Mがケイ素、チタン、又はジルコニウムである場合、x=1、y=2であり、Mがアルミニウムである場合、x=2、y=3である。)
で表される金属酸化物から選ばれる少なくとも1種以上を含む母粒子は、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)およびアルミナ(Al)から選ばれるいずれか1種以上の金属酸化物を含むものであり、このような母粒子として、具体的には、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)およびアルミナ(Al)から選ばれるいずれか1種の金属酸化物のみからなるものや、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)およびアルミナ(Al)から選ばれる金属酸化物の粒子を2種以上含むものが挙げられ、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)およびアルミナ(Al)から選ばれるいずれか1種の金属酸化物のみからなるものが好ましく、シリカ(SiO)のみからなるものがより好ましい。
【0025】
母粒子の粒径は10nm〜5μmが好ましく、10nm〜2μmがより好ましく、50nm〜1μmがさらに好ましい。
【0026】
母粒子がシリカ(SiO)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)およびアルミナ(Al)から選ばれるいずれか1種の金属酸化物のみからなるものである場合は、上述した金属酸化物の製法において、金属酸化物の粒径を所望粒径まで成長させることにより、母粒子を作製することができる。母粒子が上記金属酸化物の粒子を2種以上含むものである場合は、上述した金属酸化物の製法において、ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる2種以上の金属のアルコキシド化合物またはその部分加水分解物を同時に加水分解、縮合させる方法や、シリカ、チタニア、ジルコニアおよびアルミナの中から選ばれる金属酸化物からなる粒子を核粒子として作製したのち、この核粒子を構成する金属とは異なる金属のアルコキシド化合物またはその部分加水分解物を上記核粒子を含む溶液に添加して所望粒径まで成長させる方法を挙げることができる。
【0027】
本発明の方法においては、上記一般式(I)で表される金属酸化物からなる母粒子を、 一般式(II)
(ORm−n ・・・(II)
で表される金属アルコキシド化合物で表面処理する。
上記一般式(II)において、Rは非加水分解性基、例えば炭素数1〜20のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基もしくはエポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0028】
ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、またこのアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0029】
(メタ)アクリロイルオキシ基もしくはエポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基としては、これらの置換基を有する炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、またこのアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。この置換基を有するアルキル基の例としては、γ−アクリロイルオキシプロピル基、γ−メタクリロイルオキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基などが挙げられる。
【0030】
炭素数2〜20のアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、また、このアルケニル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このアルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基などが挙げられる。
【0031】
炭素数6〜20のアリール基としては、炭素数6〜10のものが好ましく、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0032】
炭素数7〜20のアラルキル基としては、炭素数7〜10のものが好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
【0033】
一方、Rは炭素数1〜6のアルキル基であって、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0034】
はケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは、Mがケイ素、チタン又はジルコニウムである場合は4、Mがアルミニウムである場合は3であり、nは、mが4の場合は1〜3の整数、mが3の場合は1〜2の整数であり、Rが複数ある場合、各Rはたがいに同一であっても異なっていてもよく、ORが複数ある場合、各ORはたがいに同一であっても異なっていてもよい。
【0035】
上記一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物において、Mがケイ素、チタン、ジルコニウムであって、mが4、nが1〜3の整数である金属アルコキシド化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシランなど、および上記化合物におけるシランを、チタンまたはジルコニウムに置き換えた化合物を挙げることができる。
【0036】
また、上記一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物において、Mがアルミニウムであって、mが3、nが1〜2の整数である金属アルコキシド化合物の具体例としては、メチルジメトキシアルミニウム、メチルジエトキシアルミニウム、メチルジプロポキシアルミニウム、エチルジメトキシアルミニウム、エチルジエトキシアルミニウム、プロピルジエトキシアルミニウムなどを挙げることができる。
【0037】
上記一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物としては、Mがケイ素であるモノアルキルトリアルコキシシラン又はジアルキルジアルコキシシランが好ましい。
【0038】
本明細書において、一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物には、上記各種金属アルコキシド化合物が縮合したダイマーまたはオリゴマーも含まれるものとする。
【0039】
上記一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物の部分加水分解物の具体例としては、上記各種金属アルコキシド化合物を構成する全アルコキシル基の内、一部のアルコキシル基を水酸基に置き換えたものを挙げることができる。
【0040】
一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 一般式(I)で表される金属酸化物からなる母粒子を、一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物で表面処理する方法としては、上記一般式(I)で表される金属酸化物からなる母粒子の含有液に、一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物を添加する方法を挙げることができる。特に、本発明の方法においては、上記一般式(I)で表される金属酸化物からなる母粒子を合成した後、該母粒子を含む合成溶液に一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物を添加する方法を採用することもでき、この方法によれば、母粒子を単離することなく合成溶液のまま反応に供することができることから、工程を簡略化することが可能になる。
【0041】
母粒子は、予めメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、t−プロパノール、t−アミルアルコール等から選ばれる1種以上のアルコールを含む溶媒中に分散させておくことが好ましく、上記一般式(I)で表される金属酸化物からなる母粒子をアルコールを含む溶媒中で合成した後、合成溶液中に分散する母粒子を溶液状態のまま用いることがより好ましい。
【0042】
また、表面処理は、触媒の存在下に行うことが好ましく、上記触媒としてはアルカリが好ましく、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン等から選ばれる1種以上のアンモニア誘導体がより好ましい。触媒は、水溶液の形で供することが好ましく、予め母粒子の含有液に添加しておくことが好ましい。
【0043】
一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物の添加量(g)は、例えば、下記式(α)により規定することができる。
{(A)/(B)}×添加倍率 (α)
(ここで、(A)は、一般式(I)で表される金属酸化物の量(g)×一般式(I)で表される金属酸化物の単位量(g)当たりの表面積、(B)は、一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物の最小被覆面積値を意味する)
上記式(α)中の添加倍率は0.01〜10であることが好ましく、0.1〜5であることがより好ましい。
【0044】
一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物は、母粒子の含有液中に逐次添加し、攪拌処理することが好ましい。反応温度は0〜60℃が好ましく、20〜40℃がより好ましい。
上記反応により得られた反応物含有液を、所望により乾燥処理等することにより濃縮して、固形状の表面処理母粒子を得ることができる。
【0045】
上記表面処理母粒子は、母粒子上に一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物が付着したものと考えることができ、その最表面には、一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物に起因するR基が多数存在していると考えられる。
【0046】
上記反応物は、次いで、焼成処理される。
焼成は、一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物中のR基が脱離し得る条件で行うことが好ましい。R基が脱離した後の母粒子の表面状態がどのようなものであるかは、分析が困難であるため現時点では明言できないが、粒子表面に、上記R基の脱離後の状態が存在することによって、上記表面処理母粒子の凝集を低減することができると考えられる。
【0047】
このような条件としては、例えば、焼成温度を、一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物中のR基の脱離開始温度−10℃以上にすることを挙げることができ、上記焼成温度を、300℃以上にすることが好ましく、500℃以上にすることがより好ましい。
【0048】
焼成処理は、例えば、上記反応物をアルミナルツボに入れてマッフル炉内にセットし、大気圧下、10〜72時間加熱することにより、行うことができる。
【0049】
得られる金属酸化物粒子は、平均粒径が0.01〜5μmであることが好ましい。
【0050】
次に、本発明の金属酸化物粒子について説明する。
本発明の金属酸化物粒子は、本発明の金属酸化物粒子の製造方法により得られたものであることを特徴とする。
本発明の金属酸化物粒子を製造する方法としては、上記本発明の金属酸化物粒子の製造方法と同様の方法を挙げることができ、金属酸化物粒子の平均粒径も、上記本発明の金属酸化物粒子の製造方法で得られる金属酸化物粒子と同様である。
【0051】
次に、本発明の樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、本発明の金属酸化物粒子を含むことを特徴とするものである。
【0052】
本発明の樹脂組成物は、本発明の金属酸化物粒子とともに、マトリクス樹脂を含んでおり、マトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂およびグリシジル(メタ)アクリレートを付加することにより、少なくとも1つの二重結合を導入したグリシジル(メタ)アクリレート変性アクリル樹脂から選ばれるいずれか1種以上を挙げることができる。
【0053】
上記マトリクス樹脂のうち、エポキシ樹脂は熱縮合硬化型樹脂であるが、それ以外の樹脂はラジカル硬化型樹脂であり、必要に応じ、重合性二重結合を一つ有する重合性単量体、例えば、スチレンや(メタ)アクリレート系単量体、あるいは重合性二重結合を2つ以上有する架橋性単量体である、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等を配合してもよいし、上記重合性単量体と架橋性単量体を併用してもよい。
【0054】
樹脂組成物が、半導体素子の封止剤として使用される場合、マトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂から選ばれる1種以上が好ましい。また、樹脂組成物が、歯科材料として使用される場合、マトリクス樹脂としては、グリシジル(メタ)アクリレート変性アクリル樹脂が好ましい。
【0055】
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、硬化剤、ラジカル重合開始剤等を含んでもよい。
【0056】
本発明の樹脂組成物は、本発明の金属酸化物粒子を1種類のみを含むものでもよく、また、平均粒子径や粒度分布の異なる2種類以上を含むものでもよい。
また、得られる樹脂組成物を100重量部とした場合、樹脂組成物中に含まれる金属酸化物粒子の含有量は、10〜90重量部が好ましい。
【0057】
本発明の樹脂組成物は、例えば、本発明の金属酸化物粒子と、マトリクス樹脂とを混練等することにより得ることができる。
【実施例】
【0058】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0059】
実施例1(金属酸化物粒子の製造例)
(1)シード粒子の製造
攪拌機を備えた50リットルの反応容器を恒温槽にセットし、反応容器中にメタノール14861g、25%アンモニア水10320g及びイオン交換水9288gを入れて混合液とし、攪拌機で攪拌しながら30℃に温度調節した。
上記混合液を撹拌しながら、テトラエトキシシラン2321gを毎分50gの速度で連続的に添加した。添加後、ロータリーエバポレーターで濃縮を行う事により、シリカからなるシード粒子の分散水溶液を得た。このシード粒子を走査型電子顕微鏡で測定したところ、平均粒径が98nm(0.098μm)であった。
【0060】
(2)シリカからなる母粒子の製造
攪拌機を備えた100リットルの反応容器を恒温槽にセットし、メタノール26578g、25%アンモニア水17454g及びイオン交換水7011gを入れ、さらに(1)で得られたシリカからなるシード粒子の水分散液(濃度21.9重量%)350gを添加することにより、シード粒子の分散液を得た。この分散液を30℃に温度調節し、攪拌機で混合しながらテトラエトキシシラン29165gを毎分50gの速度で添加して加水分解縮合反応を行うことによりシード粒子を成長させて、シリカからなる母粒子8243gを得た。このシリカからなる母粒子は、単位重量当たりの表面積が9.9m/gであり、走査型電子顕微鏡で測定した平均粒径が410nm(0.410μm)であった。
【0061】
(3)シリカからなる母粒子の表面処理
上記(2)で得たシリカからなる母粒子の分散液に、メチルトリメトキシシラン(メチル基の脱離温度340℃、最小被覆面積572m/g)440g(一般式(α)において、添加倍率3.08倍に相当する)を毎分50gの速度で添加して、シリカからなる母粒子の表面処理を行った。表面処理後、得られた反応物を走査型電子顕微鏡で測定したところ、平均粒径が414nm(0.414μm)であった。
【0062】
(4)乾燥処理
水封式真空ポンプ、コンデンサー、加熱用ジャケットが付いた振動乾燥機(中央化工機株式会社製VHS−30型)に、解砕用のナイロンボール(φ25mm)15kgと、上記(3)で得られた表面処理母粒子の水分散液25リットルを入れ、乾燥機内を105℃に加熱しながら、53kPaに減圧して濃縮操作を行った。
液量が15リットルまで濃縮された時点でさらに上記(3)で得られた表面処理母粒子の水分散液10リットルを乾燥機内に導入し濃縮操作を行った。このような濃縮操作を繰り返すことによって、最初に表面処理母粒子の水分散液を導入してから4時間後に、上記(3)で得た水分散液を25リットルまで濃縮した。
次に乾燥機中の濃縮液25リットルのうち5リットルのみを残し、これにメタノール20リットルを注入してさらに1時間濃縮操作を行い、アルコールおよびアンモニアを除去した。
上記メタノールの注入完了後に、振動乾燥機に520kgfの振動力による振動を加えながら濃縮操作を行うことにより、粉体化されたシリカ粒子を得ることができた。得られたシリカ粒子は、さらに引き続き105℃で3時間乾燥させた。
【0063】
(5)焼成処理
上記(4)で得たシリカ粒子をアルミナルツボに入れてマッフル炉内にセットし、大気圧下、室温から500℃まで3時間かけて昇温し、この温度で9時間保持した後、室温まで3時間かけて降温して、焼成シリカ粒子を得た。
【0064】
実施例2(樹脂組成物の製造例)
混練装置専用の蓋付きポリ容器に実施例1で得た焼成シリカ粒子10gを秤り取り、さらに共栄社化学株式会社製エポキシエステル3002Aを40g添加した。
株式会社シンキー製あわとり練太郎MX−201を用いて、上記容器中の焼成シリカ粒子とエポキシポリエステルを、2000rpmで、4分間づつ、2回混練して樹脂組成物を得た。
【0065】
得られた樹脂組成物を目視で観察し、以下の評価基準により焼成シリカ粒子塊の分散の有無を確認した。結果を表1に示す。
○:粒子塊は殆ど観察されない
△:粒子塊が観察される
×:粒子塊が多く観察される
【0066】
実施例3(金属酸化物粒子の製造例)
実施例1(3)において、メチルトリメトキシシラン440gに代えてジメチルジメトキシシラン(メチル基の脱離温度340℃、最小被覆面積650m/g)500g(一般式(α)において、添加倍率3.98倍に相当する)を用いることにより、平均粒径が414nm(0.414μm)の反応物の代わりに平均粒径が409nm(0.409μm)の反応物を得た以外は、実施例1と同様に処理して、焼成シリカ粒子を得た。
【0067】
実施例4(樹脂組成物の製造例)
実施例1で得た焼成シリカ粒子に代えて実施例3で得た焼成シリカ10gを用いた以外は、実施例2と同様の方法により樹脂組成物を得、実施例2と同様の基準により焼成シリカ粒子塊の分散の有無を確認した。結果を表1に示す。
【0068】
比較例1(金属酸化物粒子の製造例)
実施例1における、「(3)シリカからなる母粒子の表面処理」を行わなかった以外は、実施例1と同様にして焼成シリカ粒子を作製した。
【0069】
比較例2(樹脂組成物の製造例)
比較例1で得た焼成シリカを用いて、実施例2と同様にして樹脂組成物を作製し、得られた樹脂組成物を実施例2と同様の基準で評価した。結果を表1に示す。
【0070】
比較例3(金属酸化物粒子の製造例)
(1)シード粒子の製造
撹拌機、滴下口及び温度計を備えた2リットルのガラス製反応器にエタノール707.3g、28%アンモニア水275.3g及び水24.0gを添加して混合した。該混合液を30±0.5℃に調整し、撹拌しながらテトラエトキシシラン134.1gを滴下口より1時間かけて滴下し、滴下後も1時間撹拌を続けることにより、加水分解、縮合反応を行い、球状シリカ微粒子からなるシード粒子の懸濁体を得た。
【0071】
(2)エチレングリコール処理
上記(1)で得た懸濁液にエチレングリコール100gを添加し、エバポレーターを用いて常圧で濃縮し、内温が150℃になったところで1時間加熱を続け、エチレングリコールが2.0mmol/g結合したシード粒子のスラリー(微粒子濃度26.8重量%)を得、これを種粒子スラリーとした。得られたスラリー中の種粒子の平均粒子径は0.96μmだった。
【0072】
(3)粒径成長処理
撹拌機、滴下口及び温度計を備えた2リットルのガラス製反応器にメタノール586.9g、28%アンモニア水267.9g、エチレングリコール52gおよび上記(2)で得た種粒子スラリー33.2gを滴下、混合して混合液を得た。
上記混合液を20±1℃に調整し、撹拌しがら、メタノール187gにテトラエトキシシラン373gを溶解した液を滴下口より3時間かけて滴下し、滴下後も1時間撹拌を続け、加水分解、縮合反応により種粒子を成長させて球状シリカ微粒子の懸濁体を得、次いで乾燥処理することにより、平均粒子径が2.30μmである球状シリカ微粒子を得た。
【0073】
比較例4(樹脂組成物の製造例)
比較例3で得た球状シリカ微粒子を用いて、実施例2と同様にして樹脂組成物を作製し、得られた樹脂組成物を実施例2と同様の基準で評価した。結果を表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
表1に示すように、実施例2および実施例4で得られた本発明の樹脂組成物は、目視での観察結果では、樹脂組成物中に粒子塊が殆ど観察されなかった。
【0076】
これに対して、母粒子の表面を金属アルコキシドで処理することなく作製した焼成シリカを用いて樹脂組成物を作製した比較例2においては、目視での観察結果では、樹脂組成物中に粒子塊が多数観察された。また、反応液中にエチレングリコールを添加したが、粒子の表面を金属アルコキシドで処理したり、その後焼成処理したりせずに作製した球状シリカ粒子を用いて樹脂組成物を作製した比較例4においては、目視での観察結果では、樹脂組成物中に粒子塊が観察された。
【0077】
実施例2および実施例4と比較例2、比較例4とを対比することにより、母粒子の表面を金属アルコキシド化合物で処理し、該表面処理母粒子を焼成することによって、凝集体(粒子塊)の生成を抑制しつつ金属酸化物粒子を製造できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によれば、半導体素子の封止剤や歯科材料等として使用される樹脂の充填剤(フィラー)として好適に用いることができる金属酸化物粒子を、凝集体の生成を抑制しつつ製造する方法、該方法により得られる金属酸化物粒子および該金属酸化物粒子を含む樹脂組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
・・・(I)
(式中、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、
がケイ素、チタン、又はジルコニウムである場合、x=1、y=2であり、Mがアルミニウムである場合、x=2、y=3である。)で表される金属酸化物から選ばれる少なくとも1種以上を含む母粒子を、
一般式(II)
(ORm−n ・・・(II)
(式中、Rは非加水分解性基、Rは炭素数1〜6のアルキル基、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、 mは、Mがケイ素、チタン又はジルコニウムである場合は4、Mがアルミニウムである場合は3であり、nは、mが4の場合は1〜3の整数、mが3の場合は1〜2の整数であり、
が複数ある場合、各Rはたがいに同一であっても異なっていてもよく、ORが複数ある場合、各ORはたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物で表面処理した後、焼成する
ことを特徴とする金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項2】
一般式(I)で表される金属酸化物が、一般式(III)
(OR ・・・(III)
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、
はケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、
zは、Mがケイ素、チタン又はジルコニウムである場合は4、Mがアルミニウムである場合は3であり、
ORが複数ある場合、各ORはたがいに同一であっても異なっていてもよい。)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物を、加水分解、縮合させることにより得られたものである請求項1に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項3】
一般式(I)で表される金属酸化物が、シリカである請求項1または請求項2に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項4】
一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物が、モノアルキルトリアルコキシシラン又はジアルキルジアルコキシシランである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項5】
前記表面処理が、一般式(I)で表される金属酸化物からなる母粒子を合成した後、該母粒子を含む合成溶液に一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物またはその部分加水分解物を添加することにより行われる請求項1〜請求項4のいずれかに記載の金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項6】
前記焼成が、一般式(II)で表される金属アルコキシド化合物中のR基が脱離し得る条件で行われる請求項1〜請求項5のいずれかに記載の金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項7】
得られる金属酸化物粒子の平均粒径が0.01〜5μmである請求項1〜請求項6のいずれかに記載の金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の方法により得られたものであることを特徴とする金属酸化物粒子。
【請求項9】
請求項8に記載の金属酸化物粒子を含むことを特徴とする樹脂組成物。

【公開番号】特開2008−184371(P2008−184371A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20763(P2007−20763)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000120010)宇部日東化成株式会社 (203)
【Fターム(参考)】