説明

金属錯体を含む電子デバイス

本発明は、式(1)に従う金属錯体を含む有機エレクトロルミネセントデバイス、および有機エレクトロルミネセントデバイス中での使用のための金属錯体に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
有機半導体が機能的材料として用いられる有機エレクトロルミネセントデバイス(OLED)の構造は、例えばUS4539507、US5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載される。ここで用いられる発光材料は次第に、蛍光ではなくりん光を呈する有機金属錯体になってきている(M.A.Baldo et al.,Appl. Phys. Lett.1999,75,4−6)。量子力学的理由により、有機金属化合物をりん光発光体として用いてエネルギーおよび電力効率を最高4倍まで増加することが可能である。しかしながら一般に、三重項発光を呈するOLEDにおいて特に金属錯体の安定性、効率、動作電圧および寿命に関して依然として改善の必要性がある。従って、ここでさらなる改善が望まれている。有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて用いられる他の化合物、例えばマトリクス材料および電荷輸送材料の場合もまた依然として改善の必要性がある。
【0002】
先行技術に従って、りん光OLED中で用いられる三重項発光体は通常イリジウム錯体である。これらのOLEDにおける改善は多足の配位子またはクリプテート(cryptate)を有する金属錯体を用いることにより達成され、これは錯体がより高い熱安定性を有する結果であり、これによってより長い寿命のOLEDが得られる(WO 04/081017、WO 05/113563、WO 06/008069)。しかしながら、これらを高品質および長寿命のエレクトロルミネセントデバイス、例えばテレビまたはコンピューターのモニターに使用するため、錯体における更なる改善が依然として望まれている。
【0003】
金属錯体もまた、有機エレクトロルミネセントデバイスにおける他の機能、例えば電子輸送材料としてのAlq(アルミニウムトリス(ヒドロキシキノリネート))または三重項マトリクス材料もしくは正孔阻止材料としてのBAlq(例えば、T.Tsuji et al., Journal of the Society of Information Display 2005,13(2),117−122)に用いられる。これらの材料の場合、高品質のエレクトロルミネセントデバイスにおいて使用するための更なる改善もなお必要である。
【0004】
従って本発明の目的は、金属錯体を含む新規な有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することである。ここで金属錯体は、特に用いられる金属に応じて、発光体、マトリクス材料、正孔阻止材料、電子輸送材料として、またはOLEDの他の機能においても使用され得る。赤色、緑色、青色りん光金属錯体の場合は、依然として格別な改善の必要性がある。
【0005】
驚くべきことに、以下で詳細に記載する金属キレート錯体を含む特定の有機エレクトロルミネセントデバイスがこの目的を達成し、有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて特に寿命、効率および加熱に対する安定性に関して有意な改善をもたらすことが見出された。これは特に、緑色および青色りん光エレクトロルミネセントデバイスに当てはまる。従って本発明は、これらの錯体を含む有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。さらに本発明は、有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて使用され得る特に適切な金属錯体に関する。
【0006】
先行技術は、三座または多座配位子を有する金属錯体を含む有機エレクトロルミネセントデバイスを含み(WO 04/108857)、配位子は直鎖構造を示す。しかしながらこの開示からは、三座配位子を大環状分子の形態で用いることができること、およびこれが錯体の使用に関して利点を有することは明らかではない。
【0007】
三座配位子を有する特定の金属錯体はさらに、US 2008/0067925から既知である。これらにおいて、配位する3つのアリールまたはヘテロアリール基は2つの二価の連結基に結合して直鎖三座配位子を形成し、これは第8〜10族の金属、特にイリジウムまたは白金に配位する。これらの配位子は平面四角形錯体形状の単座配位子とともに白金に結合し、配位子の配位原子は金属原子と同じ平面内にある。しかしながらこの開示からは、これらの三座配位子を大環状分子の形態で用いることもできること、およびこれが錯体の使用について利点を有することは明らかではない。対応する大環状分子の配位子は、特に金属において異なる配位構造をもたらし、これはもはや平面四角形配位は可能でないこと、および八面体錯体における配位が面のみで起こり得ることを意味する。
【0008】
三座、多座配位子を有する金属錯体は一般に既知である(例えばWO 07/079585、EP 1531193)。しかしながらこれらの出願は、硬質表面の洗浄溶液中の無機過酸素化合物のための、および水含有系の酸素除去のための触媒活性な活性化因子としてこれらの金属錯体を使用することについて記載するにすぎない。有機電子デバイス、特に有機エレクトロルミネセントデバイスのための金属錯体の適合性は、これらの出願からは明らかではない。
【0009】
従って本願は、以下の式(1)の少なくとも1つの金属錯体を含む電子デバイスに関する。
【化1】

【0010】
これは、式(2)の配位子に配位する金属Mを含む。
【化2】

【0011】
式中、用いられる記号および指数には以下を適用する。
【0012】
Lは各々の存在について同じまたは異なり、置換または非置換の環状基であり、各々の場合において環中に少なくとも1つのドナー原子もしくはC原子または環外ドナー原子を含み、これを介して環状基が金属Mに結合し;基Lは基Yを介して互いに連結する;
Yは各々の存在について同じまたは異なり、第3、第4、第5または第6主族の置換または非置換の原子であり、各々の場合2つの基Lに連結する;
L1は各々の存在について同じまたは異なり、金属Mに結合する単座、二座、三座、四座、五座または六座配位子である;
nは各々の存在について同じまたは異なり、0、1、2、3、4、5または6であり、n=0は、基Yが存在せず、2つの基Lの間に単結合が存在することを意味する;
pは0、1、2、3、4、5、6、7、8または9である。
【0013】
ここで指数pは、金属に応じて金属Mでの配位数が全体的にこの金属の通常の配位数に相当するように選択される。主族および遷移金属について、これは通常金属に応じて配位数4、5または6である、即ちこれらの配位部位が配位子Lに結合するさらなるドナー基によって飽和していない場合、指数pは通常、主族および遷移金属について1、2または3である。特にランタニドについては最高12までの配位数も既知である。一般に、金属配位化合物は異なる配位数を有する、即ち金属および金属の酸化状態に応じて異なる数の配位子に結合することが既知である。有機金属化学または配位化学の分野の当業者の一般的専門知識には、異なる酸化状態の金属および金属イオンの好ましい配位数が含まれるので、適切な数の更なる配位子L1を用い、それによって金属およびその酸化状態ならびに式(2)の配位子の正確な構造に応じて、適切な方法で指数pを選択することは当業者にとって容易だろう。
【0014】
式(1)の化合物の金属Mは好ましくは遷移金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第3もしくは第4主族の主族金属、またはランタニドである。
【0015】
電子デバイスは、陽極、陰極および少なくとも1つの層を含む電子デバイスを意味するものとし、この層は少なくとも1つの有機もしくは有機金属化合物または金属配位化合物を含む。したがって本発明に従う有機電子デバイスは陽極、陰極および少なくとも1つの層を含み、これは少なくとも1つの上記式(1)の化合物を含む。ここで好ましい有機電子デバイスは、有機エレクトロルミネセントデバイス(=有機発光ダイオード、OLED、PLED)、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄層トランジスタ(O−TFT)、有機発光トランジスタ(O−LET)、有機太陽電池(O−SC)、有機光学検出器、有機光受容体、有機電界クエンチ(quench)デバイス(O−FQD)、発光電気化学電池(LEC)および有機レーザーダイオード(O−laser)からなる群より選択され、これは少なくとも1つの層に少なくとも1つの上記式(1)の化合物を含む。特に好ましいのは、有機エレクトロルミネセントデバイスである。
【0016】
本発明の目的のため、ドナー原子は少なくとも1つの自由電子対を有し、それ故金属原子または金属イオンに結合することができる原子を意味するものとする。ここでドナー原子は、中性であるかまたはマイナスもしくはプラスに荷電している。ドナー原子は好ましくは、中性であるかまたはマイナスに荷電している。中性のドナー原子の例は、複素環化合物、例えばピリジンなどにおける窒素、またはカルベンの形態の炭素である。陰イオン性のドナー原子の例は、芳香族または芳香族複素環基の一部である炭素、例えばフェニル基における炭素原子など、または五員環複素環基の一部である窒素、例えば窒素を介して結合するピロールにおける窒素である。本発明の目的のため、環外のドナー原子は環状基Lの一部ではないが、代わりに置換基としてLに結合し、少なくとも1つの自由電子対を有し、故に金属原子に結合することができるドナー原子を意味するものとする。環外のドナー原子の例は、フェノレート形態の酸素、チオレート形態の硫黄、ニトリル、アミン、イミン、アミドもしくはイミド形態の窒素、ホスフィンもしくはホスファイト形態のリン、またはイソニトリルもしくはアセチリド形態の炭素である。
【0017】
式(2)の配位子は、3つの基Lを介して金属Mに結合する少なくとも三座の大環状配位子である。本発明の目的のため、大環状分子は少なくとも10の環原子を有する環を意味するものとする。ここで、式(2)の配位子は3を超える配位部位を有してよく、例えば金属Mに同様に結合し得る置換基が以下に詳細に記載する基Yに結合し得る場合、例えば四座、五座または六座であってもよいことは強調すべきである。式(1)の錯体および式(2)の配位子は平面様式で描かれているが、これらの構造は必ずしも平面ではない。代わりに式(2)の配位子は典型的に、カリックスアレーンと同様にカップ形状の構造を取り、ここでドナー原子はカップの閉じた側に向き、従って金属に結合するために適切な構造である。故に、式(1)の構造においてL1により記載される更なる配位子が結合し得る更なる配位部位は、立体的に金属にアクセス可能である。従って例えば、式(2)の配位子が面に結合する八面体錯体と同様に、例えば四面体錯体が可能である。基Yに結合する置換基もまた同じ方法で、構造に応じて式(1)の化合物中の金属Mに結合する。式(1)の化合物の構造を以下に模式的に示し、式中Dは一般に金属に配位するドナー原子を表わす:
【化3】

【0018】
有機電子デバイスにおいて好ましく用いられる式(1)の化合物の実施形態について以下に記載する。
【0019】
好ましいのは式(1)の化合物であり、それらは非荷電である、即ち電気的に中性であることを特徴とする。これは、基Lおよび架橋単位Yの電荷ならびに存在するいずれかの配位子L1を、錯体形成した金属原子Mの電荷を補う方法で選択することにより達成される。
【0020】
好ましいのはさらに式(1)の化合物であり、金属原子の周りの価電子の合計が18であることを特徴とする。この選好は、これらの錯体の格別な安定性のためである(例えばElschenbrich,Salzer,Organometallchemie[Organometallic Chemistry],Teubner Studienbuecher,Stuttgart 1993を参照のこと)。
【0021】
環状基Lは単素環または複素環であってよく、飽和、オレフィン、不飽和または芳香族もしくは芳香族複素環であってよい。本発明の好ましい実施形態において、基Lは各々の存在について同じまたは異なり、置換または非置換のアリールもしくはヘテロアリール基であるか、または環状、飽和または不飽和カルベンである。好ましい置換基は以下に示す基Rである。
【0022】
本発明の好ましい実施形態は、式(3)の少なくとも1つの化合物を含む有機電子デバイスである。
【化4】

【0023】
式中、L1およびpは上記と同じ意味を有し、用いられる他の記号および指数には以下を適用する。
【0024】
Mは遷移金属、ランタニド、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または第3または第4主族の主族金属である;
Dは各々の存在について同じまたは異なり、C、N、P、C−O、C−S、C−NRまたはC−PRであり、上述の最後の4つの基は環外のドナー原子としてO、S、NもしくはPまたはC−NΞCを介して金属に結合し、この基は環外のイソニトリル基の炭素を介して金属に結合する;
Eは各々の存在について同じまたは異なり、CまたはNである;
Arは各々の存在について同じまたは異なり、基E−D−Eと共に5〜40の芳香環原子を有するアリールまたはヘテロアリール基を形成し、且つ1以上の基Rにより置換されてもよく;またはDがカルベン炭素原子を表わす場合、Arは基E−D−Eと共に5〜10の環原子を有する環状飽和基を形成する基である;
Yは各々の存在について同じまたは異なり、BR、B(R)、C(R)、C(R)、Si(R)、Si(R)、C(=O)、C(=NR)、N、NR、N(R)、PR、P(R)、AsR、As(R)、P(=O)R、As(=O)R、P(=S)R、As(=S)R、O、S、S(R)、Se、Te、S(=O)、S(=O)、Se(=O)、Se(=O)、Te(=O)またはTe(=O)である;
Rは各々の存在について同じまたは異なり、H、重水素、F、Cl、Br、I、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1〜40のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜40のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、または3〜40のC原子を有する分枝または環状アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、その各々が1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の非隣接CH基がRC=CR、CΞC、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRにより置換されてよく、1以上のH原子がF、Cl、Br、I、CNもしくはNOにより置換されてよい、または5〜60の芳香環原子を有する芳香族もしくは芳香族複素環系、これは各々の場合1以上の基Rにより置換されてよい、または5〜60の芳香族原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ、これは1以上の基Rにより置換されてよい、または10〜40の芳香環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基、これは1以上の基Rにより置換されてよい、またはこれらの系の組合せである;これらの置換基Rのうち2以上が互いに、単環もしくは多環、脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環系を形成する;
は各々の存在について同じまたは異なり、Rまたは基L2である;
は各々の存在について同じまたは異なり、H、Fもしくは1〜20のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または芳香族複素環炭化水素であり、ここでさらに1以上のH原子がFにより置換されてよい;ここで2以上の置換基Rは単環または多環の脂肪族もしくは芳香族環系を互いに形成してもよい;
L2は各々の存在について同じまたは異なり、1〜40のC原子を有するドナー基であり、これは金属Mに対してさらなる結合または配位を形成し、1以上の基Rにより置換されてよい;
nは各々の存在について同じまたは異なり、0、1、2、3、4、5または6であり、n=0は、基Yが存在せず、2つの基Lの間に単結合が存在することを意味し、但し全ての指数nは同時に0を表わさない。
【0025】
この時点で、同じ基Yに結合する基Rが互いに環系を形成してもよいことは明確に強調されるべきである。従って、例えば基YがC(Rを表わす場合、同じ炭素原子に結合する2つの基Rが互いに環系を形成してもよく、故にスピロ構造が得られる。ここで可能な環系の例は、両方のR基が互いに環系を形成するフェニル基を表わす場合、フルオレン様の基であり、または両方のR基が互いに環系を形成するアルコキシ基を表わす場合、1,3−ジオキソレンである。
【0026】
同様に、基Yに結合する基Rが基L2に結合する基Rと共に環系を形成してもよいことはこの時点で強調されるべきである。
【0027】
記号Dが炭素を表わす場合、これは実施形態に応じて形式的にマイナス電荷を有する、即ち金属Mを持たない対応する遊離配位子がこの時点でC−H基を含むか、あるいはそれは中性のカルベン炭素原子を表わす。記号Dが窒素を表わす場合、これは実施形態に応じて中性ドナー原子であるか、または形式的にマイナス電荷を有する、即ち金属Mを持たない対応する遊離配位子がこの時点でN−H基を含む。記号Dがリンを表わす場合、これは中性ドナー原子である。
【0028】
本発明の目的のため、L2について規定されるドナー基は金属Mに結合し得る少なくとも1つのドナー原子を有する置換基または化学基を意味するものとする。
【0029】
本発明の目的のため、アリール基は6〜40のC原子を含み;本発明の目的のため、ヘテロアリール基は2〜40のC原子および少なくとも1つのヘテロ原子を有し、但しC原子およびヘテロ原子の合計が少なくとも5である。ヘテロ原子は好ましくはN、Oおよび/またはSから選択される。アリール基またはヘテロアリール基はここで、単純な芳香環、即ちベンゼン、または単純な芳香族複素環、例えばピリジン、ピリミジン、チオフェンなど、または縮合アリールもしくはヘテロアリール基、例えばナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリンなどのいずれかを意味するものとする。本発明の目的のため、環状カルベンは中性C原子を介して金属に結合する環状基である。ここで環状基は飽和または不飽和であってよい。ここで好ましいのはArduengoカルベン、即ち2つの窒素原子がカルベンC原子に結合するカルベンである。五員環Arduengoカルベン環または他の不飽和五員環カルベン環は同様に、本発明のためアリール基とみなされる。
【0030】
本発明の目的のため、芳香環系は環系に6〜60のC原子を含む。本発明の目的のため、芳香族複素環系は環系に2〜60のC原子および少なくとも1つのヘテロ原子を含み、但しC原子の合計は少なくとも5である。ヘテロ原子は好ましくはN、Oおよび/またはSから選択される。本発明の目的のため芳香環または芳香族複素環系は、必ずしもアリールまたはヘテロアリール基のみを含まないが、代わりにさらに複数のアリールまたはヘテロアリール基が非芳香族単位(好ましくは10%未満のH以外の原子)、例えばsp混成C、NまたはO原子により中断されてもよい系を意味するものとする。従って例えば、9,9’−スピロビフルオレン、9,9−ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベンなどの系もまた本発明のため、芳香環系、また2以上のアリール基が例えば直鎖もしくは環状アルキル基、またはシリル基により中断される系を意味するものとする。
【0031】
本発明の目的のため、個々のH原子またはCH基がさらに上述の基により置換されてよいC−〜C40−アルキル基は好ましくは、基、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、tert−ペンチル、2−ペンチル、シクロペンチル、n−へキシル、s−ヘキシル、tert−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロへキシル、2−メチルペンチル、n−ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、4−ヘプチル、シクロヘプチル、1−メチルシクロヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、シクロオクチル、1−ビシクロ[2.2.2]オクチル、2−ビシクロ[2.2.2]オクチル、2−(2,6−ジメチル)オクチル、3−(3,7−ジメチル)オクチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは2,2,2−トリフルオロエチルを意味するものとする。アルケニル基は例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニルまたはシクロオクテニルを意味するものとする。アルケニル基は例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルまたはオクチニルを意味するものとする。C−〜C40−アルコキシ基は好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシまたは2−メチルブトキシを意味するものとする。5〜60の芳香環原子を有する芳香族または芳香族複素環系、これは各々の場合、上述の基Rにより置換されてもよく、いずれかの所望の位置を介して芳香族または芳香族複素環基に結合してよいが、これは特にベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ベンズアントラセン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオロアントラセン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シスもしくはトランスインデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントリミダゾール、ピリジミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5−ジアザアントラセン、2,7−ジアザピレン、2,3−ジアザピレン、1,6−ジアザピレン、1,8−ジアザピレン、4,5−ジアザピレン、4,5,9,10−テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールに由来する基を意味するものとする。
【0032】
好ましいのは、Mが遷移金属、特に四配位、五配位または六配位遷移金属を表わす式(1)および(3)の化合物であり、特に好ましくはクロム、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀および金、特にモリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、白金および金からなる群から選択される。特に非常に好ましいのは、イリジウムおよび白金である。ここで金属は種々の酸化状態にあってよい。上述の金属は好ましくは、Cr(0)、Cr(II)、Cr(III)、Cr(IV)、Cr(VI)、Mo(0)、Mo(II)、Mo(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、W(0)、W(II)、W(III)、W(IV)、W(VI)、Re(I)、Re(II)、Re(III)、Re(IV)、Ru(II)、Ru(III)、Os(II)、Os(III)、Os(IV)、Rh(I)、Rh(III)、Ir(I)、Ir(III)、Ir(IV)、Ni(0)、Ni(II)、Ni(IV)、Pd(II)、Pt(II)、Pt(IV)、Cu(I)、Cu(II)、Cu(III)、Ag(I)、Ag(II)、Au(I)、Au(III)およびAu(V) 酸化状態にあり;特に非常に好ましいのはMo(0)、W(0)、Re(I)、Ru(II)、Os(II)、Rh(III)、Ir(III)およびPt(II)である。
【0033】
好ましいのはさらに、Mがリチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびスズからなる群より選択される主族金属を表わすか、またはスカンジウム、イットリウムまたはランタンを表わす式(1)および(3)の化合物である。特に好ましいのは、Li(I)、Na(I)、Mg(II)、Al(III)、Ga(III)、In(III)、Sc(III)、Y(III)またはLa(III)であり、特に非常に好ましいのはAl(III)である。
【0034】
本発明の好ましい実施形態において、指数nは各々の存在について同じまたは異なり、0、1、2または3を表わし、但しすべての指数nは同時に0を表わさず、特に好ましいのは0、1または2を表わし、但しすべての指数nは同時に0を表わさない。本発明の特に非常に好ましい実施形態において、指数nは各々の存在について同じまたは異なり、1または2、特に1を表わす。
【0035】
本発明の好ましい実施形態において、Yは各々の存在について同じまたは異なり、C(R)、C(R)、C(=O)、NR、PR、P(=O)R、OまたはS、特に好ましくはC(R)、C(=O)またはNRを表わす。
【0036】
本発明の更に好ましい実施形態において基Y、または特に好ましい実施形態において2つの基Y、または特に非常に好ましい実施形態において3つの基Y全てが、BR、C(R)、Si(R)、NR、PR、AsR、P(=O)R、As(=O)R、P(=S)RまたはAs(=S)Rを表わし、置換基Rまたは、C(R)およびSi(R)の場合、置換基Rのうちの1つが基L2を表わす。
【0037】
従って本発明の好ましい実施形態は、以下の式(4)、(5)および(6)の化合物を含む有機電子デバイスである:
【化5】

【0038】
式中、Zは各々の存在について同じまたは異なり、B、B(R、C、CR、SiR、N、P、As、P(=O)、As(=O)、P(=S)またはAs(=S)、好ましくはCR、N、PまたはP(=O)Rを表わし、他の記号および指数は上述の意味を有する。
【0039】
式(5)および式(6)の化合物は、式(4)の化合物の特定の実施形態である。式(6)の化合物において、3つの芳香族環基がドナー原子Dを介してMに面で結合し、3つの基L2は金属に面で結合する。
【0040】
式(6)の化合物の好ましい実施形態は式(6a)の化合物である。
【化6】

【0041】
式中、用いられる記号は上述したのと同じ意味を有する。
【0042】
ここで、L2上の置換基RはZ上の置換基Rと環系を形成してよい。
【0043】
式(4)、(5)および(6)の化合物は平坦に描かれるが、これらもまた式(6)の化合物について下に模式的に示す通り、典型的に上記の式(1)の化合物と同様に三次元構造を取り、式中Dは一般にドナー原子を表わす:
【化7】

【0044】
異なる配位子基L2上の複数の置換基Rが互いに環系を形成する場合、以下に概略的に示される通りクリプテートの形成もまた可能であり、式中Vは一般的に複数の置換基Rの閉環により形成される架橋単位を表わす。
【化8】

【0045】
上記構造中の架橋基Vが基Zを表わす場合、上記式(6a)の化合物が得られる。
【0046】
式(1)の化合物のさらに好ましい実施形態において、指数p=1、2または3および配位子L1は式(2)の配位子であり、即ち金属錯体は2、3または4の式(2)の配位子を含む。式(1)の化合物のこの好ましい実施形態は式(7)により示される:
【化9】

【0047】
式中、用いられる記号および指数は上述した意味を有し、mは用いる金属に応じて2、3または4を表わす。主族および遷移金属について、mは好ましくは2を表わし;ランタニドについては、mは3または4を表わしてもよい。さらにこれらの錯体における式(2)の2以上の化合物は、互いに結合する2以上の基RまたはRによって架橋により結合されてもよい。
【0048】
式(7)の化合物はまた、m=2についてこれは以下に概略的に示される通り、典型的に上記の式(1)の化合物と同様に三次元構造を取り、式中Dは一般にドナー原子を表わす:
【化10】

【0049】
式(3)−(7)の化合物の好ましい実施形態において、記号Dは各々の存在について同じまたは異なり、CまたはNを表わす。ここで炭素は形式的にマイナスに荷電している、即ち金属を有さない配位子においてマイナス電荷を有するか、または中性であり、カルベン炭素原子である。記号DがNまたは形式的にマイナスの炭素原子を表わす場合、このDに結合する両方の記号Eは好ましくは同時にCを表わす。記号Dがカルベン炭素原子を表わす場合、少なくとも1つの記号E、特に好ましくはこのDに結合する両方の記号EはNを表わし、即ち好ましくはArduengoカルベンが存在する。この選好はこれらのカルベンの格別な安定性のためである。
【0050】
式(1)および(3)−(7)のさらに好ましい実施形態において、基LまたはArと共にE−D−Eにより形成されるアリールもしくはヘテロアリール基は5〜20の芳香環原子、特に好ましくは5〜14の芳香環原子を有するアリールまたはヘテロアリール基である。各々の場合においてこれは1以上の基Rにより置換されてよい。特に好ましいアリールまたはヘテロアリール基は、ベンゼン、フェノール、チオフェノール、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、チオフェン、ピロール、フラン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、ベンゾチオフェン、インドール、ベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、イミダゾール、ピラゾール、ベンズイミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ベンズオキサゾールまたはベンゾチアゾールであり、各々はRにより置換されてよい。特に好ましいのはさらに、Arduengoカルベンである。
【0051】
特に好ましいのは式(1)および(3)−(7)であり、式(1)の化合物中の基L、または基E−D−EとともにArにより形成される式(3)−(7)の化合物中のアリールまたはヘテロアリールが以下の式(8)−(20)の基を表わし、式中、各々の場合破線の結合は配位子中のこの基の結合、即ち基Yへの結合を表わし、各々の場合*は金属Mへの配位の位置を示す:
【化11】

【0052】
ここで用いられる記号は上述したのと同じ意味を有し、Xは各々の場合において同じまたは異なり、CRまたはNを表わし、但し各基において最大3つの記号XがNを表わす。好ましくは最大2つの記号XがNを表わし、特に非常に好ましくは記号X全てがCRを表わす。
【0053】
本発明のさらに好ましい実施形態において、式(1)または式(3)−(7)の化合物は少なくとも1つの直接的な金属−炭素結合、好ましくは少なくとも2つの直接的な金属−炭素結合、特に好ましくは3つの直接的な金属−炭素結合を含む。これらは式(2)の配位子の基Lからの結合または、これが炭素と同等である場合、ドナー原子から式(3)−(7)の化合物中の金属への結合であってよい。しかしながら、これらは基L2から式(4)−(6)の化合物中の金属への結合であってもよい。
【0054】
本発明のさらに好ましい実施形態において、基Lは各々の存在について同じまたは異なり、5〜40の芳香環原子を有するアリールまたはヘテロアリールであってよく、これは1以上の基Rにより置換されてよく、および/または環外のドナー原子を含んでもよく、または中性もしくは陰イオン性のドナー基であってよく、これは酸素、窒素、リンもしくは硫黄を介して金属に結合し、1以上の基Rにより置換されてよい。ここでアリールまたはヘテロアリール基は好ましくは、Zへの結合に対するオルソ位を介して金属に結合する。好ましいアリールおよびヘテロアリール基は、ベンゼン、2−フェノール、2−チオフェノール、ナフタレン、アントラセン、ファナントレン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピラジン、キノキサリン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピロール、インドール、イミダゾール、フラン、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、チオフェン、ベンゾチオフェン、ベンズオキサゾールまたはベンゾチアゾールであり、その各々は1以上の基Rにより置換されてよい。配位子の基Zへの結合および金属への結合は好ましくは、これらの基中の直接的に隣接した2つの原子を介して、即ちベンゼンなどのオルソ位を介してこれらの基において生じる。基に応じて上述の基は、中性的な様式で配位する基、例えば中性N原子を介して結合するピリジン、または陰イオン性の様式で配位する基、例えばマイナスに荷電したC原子またはO原子を介して結合するベンゼン、チオフェンおよびフェノールである。さらに好ましい基L2は不飽和または飽和環状Arduengoカルベン、特に不飽和環状Arduengoカルベン、その各々は1以上の基Rにより置換されてよい、およびアルケンまたはイミン、その各々は1以上の基Rにより置換されてよい、である。
【0055】
基L2がアリールもしくはヘテロアリール基、またはアルケンもしくはイミンを示す場合、これは特に好ましくは式(21)−(49)の基から選択され、式中各々の場合、破線の結合は配位子中のこの基の結合、即ち基Zへの結合を示し、式中*は各々の場合、金属Mへの配位の位置を示し、用いられる記号は上述の意味を有する:
【化12−1】

【化12−2】

【0056】
本発明の特に好ましい実施形態は、基(8)−(20)が基(21)−(49)に結合した化合物である。
【0057】
L2はさらに好ましくは、中性または陰イオン性のドナー基、好ましくは単座または二座キレート基、特に好ましくは単座の基を示す。ここでドナー原子は好ましくは炭素、酸素、窒素、リンまたは硫黄、特に好ましくは窒素または酸素である。
【0058】
好ましい炭素含有ドナー基は、アセチリドおよび脂肪族または芳香族イソニトリルである。
【0059】
上述の芳香族窒素複素環以外で好ましい窒素含有ドナー基は脂肪族アミン、これ好ましくはC−C20アルキル基、特に好ましくはC−C10アルキル基、特に非常に好ましくはC−Cアルキル基を含む、脂肪族環状アミン、例えばピロリジン、ピペリジン、またはモルホリン、ニトリル、アミド、イミドおよびイミン、その各々が基Rにより置換されてもされなくてもよい、である。
【0060】
好ましいリン含有ドナー基はPF、P(NRであり、式中Rは各々の存在について同じまたは異なり、C−C20アルキル基、または上述の意味においてアリールまたはヘテロアリール基、アルキル−、アリール−もしくは混合アルキルアリールホスフィン、アルキルハロ−、アリールハロ−もしくは混合アルキルアリールハロホスフィンを表わし、ここでハロゲンは各々の場合においてF、Cl、BrもしくはI、アルキル、アリールもしくは混合アルキルアリールホスファイトまたはホスファ芳香族化合物、例えばホスファベンゼンであってよく、その各々が基Rにより置換されてもされなくてもよい。ここでアルキル基は好ましくは、C−C20アルキル基、特に好ましくはC−C10アルキル基、特に非常に好ましくはC−Cアルキル基である。アリール基もまたヘテロアリール基を意味するものとする。これらの基は上記で定義した通りである。
【0061】
上述のフェノール以外で好ましい酸素含有ドナー基は、アルコール、アルコレート、開鎖または環状の脂肪族もしくは芳香族エーテル、酸素複素環、例えばフラン、アルデヒド、ケトン、ホスフィンオキシド基、ホスフェート、ホスフォネート、ボレート、シリケート、スルホキシド基、カルボキシレート、フェノール、フェノレート、オキシム、ヒドロキサメート、β−ケトケトネート、β−ケトエステルおよびβ−ジエステルであり、その各々が基Rにより置換されてもされなくてもよく、最後に述べた基は二座キレート配位子を示す。これらの基中のアルキル基は好ましくはC−C20アルキル基、特に好ましくはC−C10アルキル基、特に非常に好ましくはC−Cアルキル基である。アリール基もまたヘテロアリール基を意味するものとする。これらの基は上記で定義した通りである。
【0062】
上述の硫黄芳香族複素環以外で好ましい硫黄含有ドナー基は、脂肪族または芳香族チオールおよびチオレート、開鎖または環状チオエーテル、チオカルボニル基、ホスフィンスルフィドおよびチオカルボキシレートであり、その各々が基Rにより置換されてもされなくてもよい。これらの基中のアルキル基は好ましくはC−C20アルキル基、特に好ましくはC−C10アルキル基、特に非常に好ましくはC−Cアルキル基である。アリール基もまたヘテロアリール基を意味するものとする。これらの基は上記で定義した通りである。
【0063】
二座キレート基もまた、これらの基のうち2つを組み合わせることによりこれらのドナー基から形成され、これらは同じまたは異なってよく、同じまたは異なるドナー原子を有してよい。これら基もまた、1以上の基Rにより置換されてよい。このタイプの二座キレート基の例は、置換または非置換のβ−ケトネート、β−ケトエステル、β−ジエステル、アミノカルボン酸由来のカルボキシレート、例えばピリジン−2−カルボン酸、キノリン−2−カルボン酸、グリシン、ジメチルグリシン、アラニン、またはジメチルアミノアラニン、イミノアセトアセトネート、ヒドロキサメート、ピリジルホスフィン、α−ホスフィノカルボキシレート、グリコールエーテル、エーテルアルコレート、ジアルコール由来のジアルコレート、例えばエチレングリコールまたは1,3−プロピレングリコール、ジチオール由来のジチオレート、例えば1,2−エチレンジチオールまたは1,3−プロピレンジチオール、ジアミン、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、またはシスもしくはトランスジアミノシクロヘキサン、イミン、例えば2−[1−(フェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2,6−ジ−イソ−プロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(メチルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(エチルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(イソ−プロピルイミノ)エチル]ピリジンまたは2−[1−(tert−ブチルイミノ)エチル]ピリジン、ジイミン、例えば1,2−ビス(メチルイミノ)エタン、1,2−ビス(エチルイミノ)エタン、1,2−ビス(イソ−プロピルイミノ)エタン、1,2−ビス(tert−ブチルイミノ)エタン、2,3−ビス(メチルイミノ)ブタン、2,3−ビス(エチルイミノ)ブタン、2,3−ビス(イソ−プロピルイミノ)ブタン、2,3−ビス(tert−ブチルイミノ)ブタン、1,2−ビス(フェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2−メチルフェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2,6−ジ−イソ−プロピルフェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニルイミノ)エタン、2,3−ビス(フェニルイミノ)ブタン、2,3−ビス(2−メチルフェニルイミノ)ブタン、2,3−ビス(2,6−ジ−イソ−プロピルフェニルイミノ)ブタンまたは2,3−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニルイミノ)ブタンなど、ジホスフィン、例えばビス(ジフェニルホスフィノメタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)、ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、ビス(ジメチルホスフィノ)メタン、ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン、ビス(ジエチルホスフィノ)メタン、ビス(ジエチルホスフィノ)エタン、ビス(ジエチルホスフィノ)プロパン、ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)メタン、ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)エタン、ビス(tert−ブチルホスフィノ)プロパン、サリチルイミン由来のサリチルイミネート、例えばメチルサリチルイミン、エチルサリチルイミンまたはフェニルサリチルイミンなどである。
【0064】
三座または多座キレート基が完全に同じように形成されてもよい。
【0065】
配位子L1は好ましくは、中性、一価陰イオン性、二価陰イオン性または三価陰イオン性配位子であり、特に好ましくは中性または一価イオン性配位子である。それらは好ましくは単座、二座または三座、すなわち1、2または3つの配位部位を有する。
【0066】
好ましい中性単座配位子L1は、一酸化炭素、イソニトリル、例えばtert−ブチルイソニトリル、シクロヘキシルイソニトリル、アダマンチルイソニトリル、フェニルイソニトリル、メシチルイソニトリル、2,6−ジメチルフェニルイソニトリル、2,6−ジ−イソ−プロピルフェニルイソニトリル、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルイソニトリルなど、アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリンなど、ホスフィン、例えばトリフルオロホスフィン、トリメチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィンなど、ホスファイト、例えばトリメチルホスファイト、トリエチルホスファイトなど、アルシン、例えばトリフルオロアルシン、トリメチルアルシン、トリシクロヘキシルアルシン、トリ−tert−ブチルアルシン、トリフェニルアルシン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルシンなど、スチビン、例えばトリフルオロスチビン、トリメチルスチビン、トリシクロヘキシルスチビン、トリ−tert−ブチルスチビン、トリフェニルスチビン、トリス(ペンタフルオロフェニル)スチビンなど、および窒素含有複素環化合物、例えばピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジンなどから選択される。
【0067】
好ましい一価陰イオン性単座配位子L1は、ヒドリド、重水素化物、ハライドF、Cl、BrおよびI、アルキルアセチリド、例えばメチル−CΞC、tert−ブチル−CΞCなど、アリールアセチリド、例えばフェニル−CΞC、シアニド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネートなど、脂肪族または芳香族アルコレート、例えばメタノレート、エタノレート、プロパノレート、イソ−プロパノレート、tert−ブチレート、フェノレートなど、脂肪族または芳香族チオアルコレート、例えばメタンチオレート、エタンチオレート、プロパンチオレート、イソ−プロパンチオレート、tert−チオブチレート、チオフェノレートなど、アミド、例えばジメチルアミド、ジエチルアミド、ジ−イソ−プロピルアミド、モルホリドなど、カルボキシレート、例えばアセテート、トリフルオロアセテート、プロピオネート、ベンゾエートなど、陰イオン性窒素含有複素環化合物、例えばピロリド、イミダゾリド、ピラゾリドなどから選択される。これらの基におけるアルキル基は好ましくはC−C20アルキル基、特に好ましくはC−C10アルキル基、特に非常に好ましくはC−Cアルキル基である。アリール基もまたヘテロアリール基を意味するものとする。これらの基は上記で定義した通りである。
【0068】
好ましい二価または三価陰イオン性配位子はO2−、S2−、ニトレンであり、これによりR−N=M形態の配位がもたらされ、式中Rは一般に置換基またはN3−を表わす。
【0069】
好ましい中性または一価または二価陰イオン性の二座もしくは多座配位子L1は、ジアミン、例えばエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、プロピレンジアミン、N,N,N’,N’−タトラメチルプロピレンジアミン、シスもしくはトランスジアミノシクロヘキサン、シスもしくはトランスN,N,N’,N’−テトラメチルジアミノシクロヘキサンなど、イミン、例えば2−[1−(フェニルアミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2,6−ジ−イソ−プロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(メチルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(エチルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(イソ−プロピルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(tert−ブチルイミノ)エチル]ピリジンなど、ジイミン、例えば1,2−ビス(メチルイミノ)エタン、1,2−ビス(エチルイミノ)エタン、1,2−ビス(イソ−プロピルイミノ)エタン、1,2−ビス(tert−ブチルイミノ)エタン、2,3−ビス(メチルイミノ)ブタン、2,3−ビス(エチルイミノ)ブタン、2,3−ビス(イソ−プロピルイミノ)ブタン、2,3−ビス(tert−ブチルイミノ)ブタン、1,2−ビス(フェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2−メチルフェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2,6−ジ−イソ−プロピルフェニルイミノ)エタン、1,2−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニルイミノ)エタン、2,3−ビス(フェニルイミノ)ブタン、2,3−ビス(2−メチルフェニルイミノ)ブタン、2,3−ビス(2,6−ジ−イソ−プロピルフェニルイミノ)ブタン、2,3−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニルイミノ)ブタンなど、2つの窒素原子を含む複素環化合物、例えば2,2’−ビピリジン、o−フェナントロリンなど、ジホスフィン、例えばビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、ビス(ジメチルホスフィノ)メタン、ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン、ビス(ジエチルホスフィノ)メタン、ビス(ジエチルホスフィノ)エタン、ビス(ジエチルホスフィノ)プロパン、ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)メタン、ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)エタン、ビス(tert−ブチルホスフィノ)プロパンなど、1,3−ジケトン由来の1,3−ジケトネート、例えばアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、1,5−ジフェニルアセチルアセトン、ジベンゾイルメタン、ビス(1,1,1−トリフルオロアセチル)メタンなど、3−ケトエステル由来の3−ケトネート、例えばエチルアセトアセテートなど、アミノカルボン酸由来のカルボキシレート、例えばピリジン−2−カルボン酸、キノリン−2−カルボン酸、グリシン、N,N−ジメチルグリシン、アラニン、N,N−ジメチルアミノアラニンなど、サリチルイミン由来のサリチルイミネート、例えばメチルサリチルイミン、エチルサリチルイミン、フェニルサリチルイミンなど、ジアルコール由来のジアルコレート、例えばエチレングリコール、1,3−プロピレングリコールなど、ジチオール由来のジチオレート、例えば1,2−エチレンジチオール、1,3−プロピレンジチオールである。
【0070】
好ましい三座配位子は、窒素含有複素環化合物のボレート、例えばテトラキス(1−イミダゾリル)ボレートおよびテトラキス(1−ピラゾリル)ボレートなどである。
【0071】
好ましいのはさらに、一価陰イオン性二座配位子L1であり、これは金属を有し、少なくとも1つの金属−炭素結合を含むシクロメタレート化された(cyclometallated)五員環である。これらは特に、有機エレクトロルミネセントデバイスのためのりん光金属錯体の分野で一般に用いられる配位子、即ちフェニルピリジン、ナフチルピリジン、フェニルキノリン、フェニルイソキノリンなどのタイプの配位子であり、各々が1以上の基Rにより置換されてよい。前記配位子の多様性はりん光エレクトロルミネセントデバイスの分野の当業者にとって既知であり、当業者は進歩性なしに式(1)の化合物のための配位子L1としてこのタイプの更なる配位子を選択することができるだろう。式(21)−(49)により上で記載された2つの基の組合せは一般にこの目的に特に適しており、ここで1つの基は中性の窒素原子またはカルベン原子を介して結合し、他の基はマイナスに荷電した炭素原子またはマイナスに荷電した窒素原子を介して結合する。次に、配位子L1は式(21)−(49)の基から、各々の場合において破線の結合で示される結合でこれらの基を互いに結合することにより形成され得る。
【0072】
同様に好ましい配位子L1はη−シクロペンタジエニル、η−ペンタメチルシクロペンタジエニル、η−ベンゼンまたはη−シクロヘプタトリエニルであり、その各々は1以上の基Rにより置換されてよい。
【0073】
同様に好ましい配位子L1は、特に式(50)の1,3,5−シス−シクロヘキサン誘導体、特に式(51)の1,1,1−トリ(メチレン)メタン誘導体、および特に式(52)の1,1,1−三置換メタンである;
【化13】

【0074】
式中、金属Mへの配位は各々の式に記載され、Rは上述の意味を有し、Aは各々の存在について同じまたは異なり、O、S、COO、P(R)またはN(R)を表わす。
【0075】
本発明のさらに好ましい実施態様は、式(53)、(54)および(55)のうち少なくとも1つの化合物を含む有機電子デバイスである:
【化14】

【0076】
式中、M、X、Y、L1、R、R、nおよびpは上述の意味を有し、さらに:
Dは各々の存在について同じまたは異なり、C、NまたはC−Oを表わす。
【0077】
本発明の特に好ましい実施形態は、式(53)−(55)の化合物であり、1つの基Y、2つの基Yまたは3つの基Y全ては、BR、C(R)、Si(R)、NR、PR、AsR、P(=O)R、As(=O)R、P(=S)RまたはAs(=S)Rを表わし、置換基R、またはC(RおよびSi(Rの場合、置換基のうちの1つは基L2を表わす。本発明の特に好ましい実施形態は従って、以下の式(56)−(64)の化合物である:
【化15−1】

【化15−2】

【0078】
式中、記号および指数は上記の意味を有する。ここで基L2は好ましくは、各々の存在について同じまたは異なり、上記の式(21)−(49)の基である。
【0079】
式(8)の化合物のさらに特に好ましい実施形態は、以下の式(65)の化合物である:
【化16】

【0080】
式中、記号および指数は上述したのと同じ意味を有する。
【0081】
式(53)−(55)および(56)−(65)の化合物の好ましい実施形態は、式(3)−(7)の化合物について上で既に詳述したものである。
【0082】
好ましいのはさらに、式(3)−(7)および(53)−(65)の化合物であり、ここでRは各々の存在について同じまたは異なり、H、重水素、F、CN、1〜6の炭素原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基または3〜6のC原子を有する分枝もしくは環状のアルキルもしくはアルコキシ基、各々は1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の非隣接CH基はRC=CR、OまたはSにより置換されてよく、1以上のH原子はFにより置換されてよい、または5〜16の芳香環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基、これは各々の場合1以上の基Rにより置換されてよい、または10〜20のC芳香環原子を有するジアリールアミノ基、これは1以上の基Rにより置換されてよい、またはこれらの系の組合せを表わす;ここで2以上の置換基Rもまた単環または多環脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環系を互いに形成してよい。記号Rは特に好ましくは各々の存在について同じまたは異なり、H、重水素、F、1〜4のC原子を有する直鎖アルキル基または3または4のC原子有する分枝アルキル基、その各々は1以上の基Rにより置換されてよく、1以上のH原子がFにより置換されてよい、または6〜10の芳香環原子を有するアリール基、これは1以上の基Rにより置換されてよい、を表わす;ここで2以上の置換基Rもまた互いに単環または多環の脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環系を形成してよい。
【0083】
式(1)の錯体は原則として種々の方法により調製されるが、以下に記載する方法が特に適切であることがわかった。式(1)の錯体は、式(2)の配位子および任意のさらなる配位子L1の式(66)の金属アルコキシド、式(67)の金属ケトネートまたは式(68)の金属ハライドとの反応により得られる:
【化17】

【0084】
式中、MおよびRは上述したのと同じ意味を有し、他の記号および指数には以下を適用する:
Halは各々の存在について同じまたは異なり、F、Cl、BrまたはIである;
Ligは各々の存在について同じまたは異なり、中性または一価陰イオン性の単座もしくは二座配位子であり、例えばハライドまたは水酸化物である;
qは各々の存在について同じまたは異なり、0、1、2、3または4、好ましくは0、1または2である;
rは各々の存在について同じまたは異なり、1、2、3、4または5であり、式(66)および(68)においてrは金属Mの原子価を示す;
式(67)の化合物もまた荷電し、イオンを含んでいてもよく;式(66)−(68)の化合物、特に式(68)の化合物はさらに水和物の形態であってよい。
【0085】
配位子の錯体に類似する合成は、配位子の前駆体を式(66)、(67)または(68)の金属化合物と反応させ、次にこの方法で形成した金属錯体を完成した配位子に変換することにより可能である。
【0086】
合成は例えば、熱的に、光化学的に、またはマイクロ波照射により活性化し得る。トリス−オルソ−メタレート化金属錯体の合成については一般に、WO 02/060910、WO 04/085449、WO 04/108738およびWO 07/065523に記載される。これらの明細書に示される合成方法および好ましい反応条件は式(1)の化合物の合成に同様に適用し得る。イリジウム錯体のための好ましい出発物質は式(67)の化合物、特に化合物Na[IrCl(acac)]および水和物の形態の式(68)の化合物、特にIrClの水和物である。
【0087】
これらの方法によれば錯体を高純度、好ましくはH−NMRまたはHPLCによる純度>99%、特に好ましくは>99.9%で容易に得ることができる。
【0088】
式(1)の好ましい化合物の例は以下に示す化合物(1)−(307)である。これらの錯体はとりわけ上で説明した合成方法を用いて調製し得る。
【化18−1】

【化18−2】

【化18−3】

【化18−4】

【化18−5】

【化18−6】

【化18−7】

【化18−8】

【化18−9】

【化18−10】

【化18−11】

【化18−12】

【化18−13】

【化18−14】

【化18−15】

【化18−16】

【化18−17】

【化18−18】

【化18−19】

【化18−20】

【化18−21】

【化18−22】

【化18−23】

【化18−24】

【化18−25】

【化18−26】

【化18−27】

【化18−28】

【化18−29】

【化18−30】

【化18−31】

【化18−32】

【化18−33】

【化18−34】

【化18−35】

【化18−36】

【化18−37】

【化18−38】

【化18−39】

【化18−40】

【化18−41】

【化18−42】

【化18−43】

【化18−44】

【化18−45】

【化18−46】

【化18−47】

【化18−48】

【化18−49】

【0089】
式(1)および式(3)−(7)および上に示した好ましい実施形態の上記の錯体は、電子デバイスにおける活性成分として用いられる。活性成分は一般に、陽極と陰極との間に挿入される有機または無機材料、例えば電荷注入、電荷輸送または電荷阻止材料であるが、特に発光材料およびマトリクス材料である。本発明に従う化合物はこれらの機能、特に、以下でより詳細に記載する通り、有機エレクトロルミネセントデバイスの発光材料として格別に良好な特性を示す。従って本発明の好ましい実施形態は有機エレクトロルミネセントデバイスである。
【0090】
有機エレクトロルミネセントデバイスは、陰極、陽極および少なくとも1つの発光層を含む。これらの層以外にさらなる層、例えば各々の場合において1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、励起子阻止層、電荷発生層および/または有機もしくは無機p/n接合部もまた含んでよい。例えば励起子阻止機能を有する中間層は同様に、2つの発光層の間に挿入される。しかしながら、これらの層の各々が必ずしも存在しなければならないわけではない。有機エレクトロルミネセントデバイスは1つの発光層を含むか、または複数の発光層を含んでもよく、ここで少なくとも1つの発光層は少なくとも1つの式(1)または式(3)−(7)の化合物を含む。複数の発光層が存在する場合、これらは好ましくは380 nm〜750 nmに合計で複数の発光極大を有し、それによって全体として白色発光が得られる、即ち蛍光またはりん光を発することのできる種々の発光化合物が発光層で用いられる。特に好ましいのは三層系であり、ここで三層は青色、緑色およびオレンジまたは赤色発光を呈する(基本的な構造についてはWO 05/011013を参照のこと)。
【0091】
本発明の好ましい実施形態において、有機電子デバイスは式(1)もしくは式(3)−(7)の化合物、または上記の好ましい実施形態を発光層中の発光化合物として含む。これは特に、金属Mが遷移金属、特にパラジウムの場合である。
【0092】
式(1)または式(3)−(7)の化合物が発光層における発光化合物として用いられる場合、好ましくは1以上のマトリクス材料との組合せで用いられる。式(1)または式(3)−(7)の化合物とマトリクス材料との混合物は、発光体およびマトリクス材料を含む全体としての混合物に基づき1〜99重量%、好ましくは2〜90重量%、特に好ましくは3〜40重量%、特に5〜15重量%の式(1)または式(3)−(7)の化合物を含む。これに対応して混合物は、発光体およびマトリクス材料を含む全体としての混合物に基づき99〜1重量%、好ましくは98〜10重量%、特に好ましくは97〜60重量%、特に95〜85重量%のマトリクス材料を含む。
【0093】
適切なマトリクス材料は、例えばWO 04/013080、WO 04/093207、WO 06/005627もしくは未公開の出願DE 102008033943.1に従うケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、例えばWO 05/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527もしくはWO 08/0CBP51に開示されるCBP(N,N−ビスカルバゾリルビフェニル)もしくはカルバゾール誘導体、例えばWO 07/063754もしくはWO 08/056746に従うインドロカルバゾール誘導体、例えばEP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160に従うアザカルバゾール、例えばWO 07/137725に従う双極性マトリクス材料、例えば05/111172に従うシラン、例えばWO 06/117052に従うアザボロルもしくはボロン酸エステル、例えば未公開の出願DE 102008036982.9、WO 07/063754もしくはWO 08/056746に従うトリアジン誘導体、または例えばEP 652273もしくは未公開の出願DE 102007053771.0に従う亜鉛錯体である。マトリクス材料としてさらに適切なのは本出願の式(1)の化合物であり、これは以下でより詳細に記載される。
【0094】
本発明のさらに好ましい実施形態において、式(1)もしくは式(3)−(7)の化合物または上記の好ましい実施形態が発光層の発光化合物のためのマトリクス材料として用いられる。特にこれは、金属Mが主族金属、特にアルミニウム、ガリウムまたはインジウムの場合である。
【0095】
式(1)もしくは式(3)−(7)の化合物または上記の好ましい実施形態が、発光層の発光化合物のためのマトリクス材料として用いられる場合、好ましくは1以上のりん光材料(三重項発光体)との組合せで用いられる。本発明の目的のため、りん光は比較的高いスピン多重度、即ちスピン状態>1の励起状態から、特に励起三重項状態またはMLCT混合状態からの発光を意味するものとする。本発明の目的のため、第2および第3遷移金属の系列の全ての発光遷移金属錯体、特に全ての発光イリジウムおよび白金錯体は、三重項発光体とみなされるものとする。次に、式(1)もしくは式(3)−(7)の化合物または上記の好ましい実施形態と発光化合物との混合物は、発光体およびマトリクス材料を含む全体としての混合物に基づき、99〜1重量%、好ましくは98〜10重量%、特に好ましくは97〜60%、特に95〜85重量%の式(1)もしくは式(3)−(7)または上記の好ましい実施形態を含む。これに対応して混合物は、発光体およびマトリクス材料を含む全体としての混合物に基づき、1〜99重量%、好ましくは2〜90重量%、特に好ましくは3〜40重量%、特に5〜15重量%の発光体を含む。
【0096】
適切なりん光化合物は、適切な励起に際して特に光、好ましくは可視領域の光を発する化合物であり、20を超える、好ましくは38を超え且つ84未満、特に好ましくは56を超え且つ80未満の原子番号を有する少なくとも1つの原子をさらに含む。用いられるりん光発光体は好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユーロピウムを含む化合物、特にイリジウムまたは白金を含む化合物である。
【0097】
上記発光体の例は、出願WO 00/70655、WO 01/41512、WO 02/02714、WO 02/15645、EP 191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 05/033244または未公開の出願DE 102008015526.8により示される。発光体としてさらに適切なのは、上記の式(1)おしくは式(3)−(7)の化合物または上記の好ましい実施形態である。一般に、りん光OLEDのための先行技術に従って用いられ、有機エレクトロルミネセンスの分野の当業者にとって既知である全てのりん光錯体が適切であり、当業者は進歩性なしに更なるりん光錯体を用いることができるだろう。
【0098】
本発明のさらに好ましい実施形態において、式(1)もしくは式(3)−(7)の化合物または上記の好ましい実施形態が正孔阻止層の正孔阻止材料および/または電子輸送層の電子輸送材料として用いられる。これは特に金属Mが主族金属、特にアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、ガリウムまたはインジウムの場合である。ここで発光層は蛍光またはりん光性であってよい。
【0099】
本発明のさらに好ましい実施形態において、式(1)もしくは式(3)−(7)の化合物または上記の実施形態が正孔輸送層の正孔輸送材料および/または励起子阻止層の電子阻止または励起子阻止材料として用いられる。
【0100】
好ましいのはさらに、1以上の層が適切な方法により適用されることを特徴とする有機エレクトロルミネセントデバイスであり、ここにおいて材料は真空昇華ユニット内で10−5bar未満、好ましくは10−6bar未満の初期圧力で蒸着される。初期圧力がさらに低い、例えば10−7mbar未満でも可能である。
【0101】
同様に好ましいのは、1以上の層がOVPD(有機気相蒸着)法、またはキャリアガス昇華により適用されることを特徴とする有機エレクトロルミネセントデバイスであり、ここにおいて材料は10−5barから1barの圧力で適用される。この方法の特別な場合はOVJP(有機気相ジェット印刷)法であり、材料はノズルから直接的に適用され、故に構造化される(例えばM.S.Arnold et al.,Appl.Phys.Lett.2008,92,053301)。
【0102】
好ましいのはさらに、1以上の層が溶液から、例えばスピンコーティングなど、またはいずれかの所望の印刷方法、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷もしくはオフセット印刷など、特に好ましくはLITI(光有機熱イメージング、熱転写印刷)またはインクジェット印刷により製造されることを特徴とする有機エレクトロルミネセントデバイスである。溶解性の化合物がこの目的のために必要であり、これは例えば適切な置換により得られる。
【0103】
これらの方法は一般に当業者にとって既知であり、当業者により式(1)もしくは式(3)−(7)または上記の好ましい実施形態を含む有機エレクトロルミネセントデバイスに問題なく適用することができる。
【0104】
式(4)−(7)および(6a)の好ましい金属錯体は新規であり、従って同様に本発明の主題である。有機電子デバイスについての上記選好もまた、本発明に従う金属錯体に完全に同様に適用される。
【0105】
本発明はさらに、式(2)もしくは以下の式(69)−(71)の対応する自由配位子と上記式(66)、(67)または(68)の金属化合物との反応による式(4)−(7)および(6a)の化合物の製造方法に関する。
【0106】
本発明はさらに、以下の式(69)−(71)の化合物に関する。これらの化合物は、本発明の式(4)−(6)の金属錯体の自由配位子であり、従って本発明に従う金属錯体の合成のための有用な中間体である。
【化19】

【0107】
ここで本発明からは以下の化合物が除かれる。
【化20】

【0108】
ここで記号および指数は上記の意味を有し、式中、基DおよびL2は、錯体中の陰イオン性基として金属Mに結合する場合、さらに各々が水素原子を保持する。さらに金属錯体について上述したのと同じ選好が自由配位子に完全に同様に適用される。
【0109】
上述の本発明の化合物、特に反応性の遊離基、例えば臭素、ヨウ素、ボロン酸またはボロン酸エステルなどにより置換される化合物は、対応するオリゴマー、デンドリマーまたはポリマーの生成のためのモノマーとして使用され得る。
【0110】
従って本発明はさらに、式(1)または式(3)−(7)の化合物の1以上を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーに関し、ここで1以上の結合が式(1)または式(3)−(7)の錯体からポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーに存在する。したがって式(1)または式(3)−(7)の化合物の結合に応じて、錯体はオリゴマーまたはポリマーの側鎖を形成するかまたは主鎖中で結合する。ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーは共役するか、部分的に共役するか、または共役しなくてもよい。オリゴマーまたはポリマーが直鎖、分枝または樹状であってよい。
【0111】
上述したのと同じ選好が、オリゴマー、デンドリマーまたはポリマーにおける式(1)または式(3)−(7)の繰返し単位に完全に同様に適用される。
【0112】
オリゴマーまたはポリマーの調製のために、本発明に従うモノマーを同種重合するか、またはさらなるモノマーと共重合する。好ましいのはコポリマーであり、式(1)または式(3)−(7)の単位が好ましくは0.01〜50 mol%、特に好ましくは0.1〜20 mol%の範囲で存在する。ポリマー骨格を形成する適切且つ好ましいコモノマーはフルオレン(例えばEP 842208またはWO 00/22026に従う)、スピロビフルオレン(例えばEP 707020、EP 894107またはWO 06/061181に従う)、パラフェニレン(例えばWO 92/18552に従う)、カルバゾール(例えばWO 04/070772またはWO 04/113468に従う)、チオフェン(例えばEP 1028136に従う)、ジヒドロフェナントレン(例えばWO 05/014689に従う)、シスおよびトランスインデノフルオレン(例えばWO 04/041901またはWO 04/113412に従う)、ケトン(例えばWO 05/040302に従う)、フェナントレン(例えばWO 05/104264またはWO 07/17066)または複数のこれらの単位から選択される。これらの単位の合計の割合は好ましくは、少なくとも50 mol%である。ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーもまたさらなる単位、例えば正孔輸送単位、特にトリアリールアミンに基づくもの、および/または電子輸送単位を含んでもよい。
【0113】
さらに、本発明に従う金属錯体もまたさらに官能化され、故に拡張した金属錯体に変換されてよい。ここで言及してよい例は、SUZUKI法によるアリールボロン酸、またはHARTWIG−BUCHWALD法による第一級もしくは第二級アミンによる官能化である。
【0114】
本発明に従う有機電子デバイス、特に有機エレクトロルミネセントデバイスは、先行技術に対する驚くべき優位性により区別される:
1.昇華の際に部分的または完全な熱分解を経る先行技術に従う多くの金属錯体とは対照的に、本発明に従う化合物は高い熱安定性を有する。
【0115】
2.式(1)の化合物を発光材料として含む有機エレクトロルミネセントデバイスは良好な寿命を有する。
【0116】
3.有機エレクトロルミネセントデバイスにおける使用に際して深青発光色および長い寿命を有する青色りん光錯体が利用できる。これまで青色りん光デバイスは不十分な色および特に不十分な寿命で利用可能できるに過ぎなかったため、これは有意な進歩である。
【0117】
4.有機エレクトロルミネセントデバイスにおいて用いられる本発明に従う化合物により、高い効率、および急勾配の電流/電圧曲線が得られる。
【0118】
上述のこれらの優位性は他の電子特性の障害を伴わない。
【0119】
本発明は以下の例によってより詳細に説明され、それにより限定されることを意図しない。当業者は、当該記載から進歩性なしに本発明に従う更なる錯体を調製し、これらを有機電子デバイスにおいて用いるか、または本発明に従う方法を用いることができるだろう。
【0120】
例:
以下の合成は他に示さない限り、保護ガス環境下、乾燥溶媒中で行われる。溶媒および試薬はALDRICHまたはABCRから購入することができる。以下の配位子1−4の合成は示される文献に従って行われる:
配位子1:
【化21】

【0121】
M.Tatazona et al.,Macromolecules 1992,25,5020。
【0122】
配位子2:
【化22】

【0123】
Y.Suzuki et al.,Synlett 2005,2,263。
【0124】
配位子3:
【化23】

【0125】
G.R.Newkome et al.,Heterocycles 1978,9(11),1555。
【0126】
配位子4:
【化24】

【0127】
A.N.Vedernikov et al.,J.Org.Chem.2003,68,4806。
【0128】
さらなる配位子の合成:
例1:配位子5の合成
【化25】

【0129】
26.8g(50 mmol)の2,6−ビス[2−(6−ブロモ−2−ピリジニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]ピリジン(G.R.Newkome et al.,J.Am.Chem.Soc.1986,108(19),6074)および2.0g(50 mmol)の無水硫化水素ナトリウムの300 ml 1,2−プロパンジオール溶液を120℃で16時間攪拌する。冷却後、混合物を500 mlの水に注ぎ、さらに12時間攪拌する。固体を吸引により濾過し、50 mlのエタノールおよび50 mlの濃塩酸の混合物に加え、還流下48時間沸騰させる。次にエタノールを真空で除去し、固体の水酸化カリウムを用いて混合物をアルカリ性にし、50 mlのジクロロメタンで3回抽出し、混合した抽出物を100 mlの水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、蒸発乾固する。油状の残渣をシリカゲル上でクロマトグラフに供し(溶離剤 アセトン/トリエチルアミン98:2)、次にアセトンから再結晶する。収率:2.2g(7 mmol)、13.9%。H−NMRによる純度97%。
【0130】
例2:配位子6の合成
【化26】

【0131】
トリエチル水素化ホウ素カリウム(THF中、1N)の溶液20 ml(20 mmol)を激しく攪拌し、−78℃で、8.3 g(20 mmol)の錯体配位子3−CuClの200 mlのTHF懸濁液に加え、混合物をさらに10分攪拌する。続いてフェニルリチウム(ジ−n−ブチルエーテル中、2N)の溶液40 ml(80 mmol)を滴下し、混合物を−78℃でさらに1時間攪拌し、次に緩徐に室温まで昇温させる。50 mlの2Nシアン化ナトリウム水溶液を加え、混合物を室温で12時間攪拌し、水相を分離し、有機相を蒸発乾固する。残渣を200 mlのクロロホルムに溶解し、不溶性の画分を濾過し、32.0 g(240 mmol)のジメチルアミノサルファートリフルオライドの200 mlクロロホルム溶液を滴下し、混合物を還流下30分加熱する。冷却後、混合物を50 mlの氷水を用いて滴下し加水分解し、次に250 mlの4N水酸化ナトリウム水溶液を用いてアルカリ性にする。有機相を分離し、塩化カルシウム上で乾燥する。有機相を真空中で約10 mlに濃縮し、50 mlのメタノールを添加する。12時間放置した後、結晶を吸引により濾過し、クロロホルム/メタノールから再結晶する。収率:5.2 g(9 mmol)、48.8%。H−NMRによる純度97%。
【0132】
金属錯体の合成:
例3:錯体配位子1−CuIの合成
【化27】

【0133】
3.3 g(10 mmol)の配位子、1.9 g(10 mmol)のヨウ化銅(I)および50 gのガラスビーズ(直径4 mm)のジクロロメタン200 mlの懸濁液を室温で24時間攪拌する。ガラスビーズを粗い篩によって濾過し、ジクロロメタンを真空中で約20 mlに濃縮し、50 mlエタノールを滴下し、混合物をさらに2時間攪拌し、オレンジ色結晶を濾過し、各回20 mlのエタノールで2回洗浄し、DMSOから再結晶する。収率:4.7 g(9.1 mmol)、90.1%。H−NMRによる純度>99%。
【0134】
例4:錯体配位子2−CuIの合成
【化28】

【0135】
5.5 g(10 mmol)の配位子2を用いる、例3と同様の調製。収率:5.5 g(7.5 mmol)、74.6%。H−NMRによる純度>99%。
【0136】
例5:錯体配位子3−CuClの合成
【化29】

【0137】
3.2 g(10 mmol)の配位子3を用いる、例3と同様の調製。収率:3.9 g(9.3 mmol)、93.3%。H−NMRによる純度>98%。
【0138】
例6:錯体配位子4−Mo(CO)の合成
【化30】

【0139】
2.3 g(5 mmol)の配位子4および1.4 g(5 mmol)のシクロペンタトリエンモリブデントリカルボニルの50 mlトルエン溶液を還流下6時間加熱し、続いて真空中で約10 mlに濃縮し、50 mlのヘキサンを攪拌しながら添加する。12時間後、結晶を吸引により濾過し、各回10 mlのへキサンで2回洗浄する。収率:2.6 g(4.1 mmol)、81.8%。H−NMRによる純度>99%。
【0140】
例7:錯体配位子5−W(CO)の合成
【化31】

【0141】
1.6 g(5 mmol)の配位子5、1.8g(5 mmol)のタングステンヘキサカルボニル、および10 mgの酸化パラジウム(II)の50 mlトルエン溶液を還流下48時間加熱する。冷却後、溶液をセライトにより濾過し、濾液を蒸発させる。残渣をジクロロメタン/ヘキサンから再結晶する。収率:1.6 g(2.7 mmol)、54.0%。H−NMRによる純度>99%。
【0142】
例8:錯体配位子6−Irの合成
【化32】

【0143】
2.8 g(5 mmol)の配位子6、1.5 g(5 mmol)の塩化インジウム(III)水和物および10 mlのエチレングリコールの混合物を190℃で48時間攪拌する。冷却後、100 mlの水を添加し、褐色沈殿を濾過し、乾燥し、次にジクロロメタン/THF(1:1)により中性酸化アルミニウム上でクロマトグラフに供する。収率:820 mg(1.1 mmol)、22%。H−NMRによる純度>99%。
【0144】
例9:配位子7−Ir
a)配位子前駆体の合成:
【化33】

【0145】
120 mlのn−ブチルリチウム(ヘキサン中、2.5 M)を−78℃で激しく攪拌しながら10分に亘り、53.6g(100 mmol)のトリス(6−ブロモピリド−2−イル)フルオロメタン[760177−68−2]の1500 mlTHF溶液に添加し、混合物を−78℃でさらに30分攪拌し、次に32.0 ml(315 mmol)ベンズアルデヒドを滴下する。室温まで昇温した後、真空中でTHFを除去し、残渣を500 mlのジクロロメタンに入れ、200 mlの水により2回洗浄し、有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、次に真空中で蒸発乾固する。収率:54.3g(93.3 mmol)、93.0%、H−NMRによると約90%(ジアステレオマー混合物)。この方法により得られた粘性の油をさらに精製することなく用いる。
【0146】
b)配位子7−Irの合成:
【化34】

【0147】
100 mlのエチレングリコール中の5.8 g(10 mmol)の例9a)の配位子前駆体と2.4 g(5 mmol)のビスアセチルアセトナートジクロロイリジウムナトリウムの混合物を80℃で16時間、次に140℃で24時間連続的なアルゴン気流下で攪拌する。冷却後、200 mlの水を懸濁液に添加し、褐色固体を吸引により濾過し、水により洗浄し、続いて窒素気流中70℃で乾燥する。この方法により得られた固体を50 mlの氷酢酸に懸濁し、0.5 mlの硫酸を当該懸濁液に添加し、続いて混合物を還流下、2時間加熱する。冷却後、氷酢酸を真空中で除去し、残渣を500 mlのジクロロメタンに入れ、有機相を200 mlの飽和炭酸水素ナトリウムで一度、200 mlの水で一度洗浄し、その後硫酸マグネシウム上で乾燥する。ジクロロメタンの除去後、残渣をTHFによりシリカゲル上でクロマトグラフに供する。次にこの方法により得られた黄色固体を高真空下(p=10−5 mbar、T=340℃)で2度昇華する。収率:270 mg(0.37 mmol)。7.5%、H−NMRによると99.8%。
【0148】
例10:有機エレクトロルミネセントデバイスの製造および特性決定
LEDを以下で概説する一般的方法により製造する。もちろんこれは個々のケースにおいて特定の環境に適合させなければならない(例えば、最適効率または色を達成するための層の厚さのバリエーション)。
【0149】
OLEDの一般的な製造方法:
ITOをコーティングした基板(例えばガラス基板、PET薄膜)を適切な大きさに切った後、それらを超音波槽中で多くの洗浄工程で洗浄する(例えば、せっけん水、ミリポア水、イソプロパノール)。乾燥のため、それらをNガン(gun)により送風し、デシケータに保存する。有機層による蒸気コーティングの前に、それらを約20分オゾンプラズマデバイスにより処理する。第一有機層として高分子正孔注入層を用いることが望ましい。これは一般に共役した導電性高分子、例えばポリアニリン誘導体(PANI)またはポリチオフェン誘導体(例えばBAYERからのPEDOT、BAYTRON(商標)である)などである。次にこれをスピンコーティングにより適用する。高真空ユニット中で蒸着により有機層を連続的に適用する。各層の厚さおよび蒸着速度をモニターし、水晶振動子により調節する。個々の層が1以上の化合物からなることも可能である、即ち一般にホスト材料がゲスト材料によりドープされてもよい。これは2以上の原料からの共蒸着(co−evaporation)により達成される。電極もまた有機層に適用される。これは一般に熱蒸発により行われる(Balzer BA360またはPfeiffer PL S 500)。続いて透明ITO電極を陽極として、金属電極を陰極として接触させ、デバイスパラメータを決定する。
【0150】
以下の構造1を有するOLEDを上記の一般的方法と同様にして製造する:
PEDOT 20 nm(水からスピンコーティングされる;BAYER AGから購入したPEDOT;ポリ[3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン]
HIM1 20 nmの2,2’,7,7’−テトラキス(ジ−p−トリルアミノ)スピロ−9,9’−ビフルオレン(蒸着される)
NPB 20 nmの4,4’−ビス(1−ナフチルフェニルアミノ)ビフェニル(蒸着される)
mCP 本発明に従う三重項発光体10%によりドープされる20 nmの1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(蒸着される)、表を参照されたい
BCP 5 nmの2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(蒸着される)
AlQ3 30 nm(蒸着される)
Li/Al 5 nmのLiF、上部に陰極として150 nmのAl。
【0151】
このまだ最適化されていないOLEDは標準的な方法により特性が決定される。表に電圧500 cd/mでの効率および電圧ならびに色を示す。
【表1】

【0152】
さらに、以下の構造2を有するOLEDは上述の一般的方法と同様にして製造される。
【0153】
PEDOT 20 nm(水からスピンコーティングされる;BAYER AGから購入したPEDOT;ポリ[3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン]
PVK 60 nm(クロロベンゼンからスピンコーティングされる、Aldrichから購入したPVK Mw=1,100,000、例4に従う5重量%の発光体を含む溶液)
Ba/Ag 陰極としての10 nmのBa/150 nmのAg。
【0154】
このまだ最適化されていないOLEDは標準的な方法により特性が決定される。表に電圧500 cd/mでの効率および電圧ならびに色を示す。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(2)の配位子に配位する金属Mを含む式(1)の金属錯体を少なくとも1つ含む電子デバイス
【化1】

【化2】

式中、用いられる記号および指数には以下を適用する:
Lは各々の存在について同じまたは異なり、置換または非置換環状基であり、各々の場合に環中に少なくとも1つのドナー原子もしくはC原子または環外ドナー原子を含み、これを介して環状基が金属Mに結合し;基Lが基Yを介して互いに連結する;
Yは各々の存在について同じまたは異なり、第3、4、5または6主族の置換または非置換原子であり、各々の場合2つの基Lに連結する;
L1は各々の存在について同じまたは異なり、金属Mに結合する単座、二座、三座、四座、五座または六座配位子である;
nは各々の存在について同じまたは異なり、0、1、2、3、4、5または6であり、n=0は、基Yが存在せず、2つの基Lの間に単結合が存在することを意味する;
pは0、1、2、3、4、5、6、7、8または9である。
【請求項2】
陽極、陰極、および少なくとも1つの式(1)の化合物を含む少なくとも1つの層を含む請求項1に記載の電子デバイスであって、有機エレクトロルミネセントデバイス(OLED、PLED)、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄層トランジスタ(O−TFT)、有機発光トランジスタ(O−LET)、有機太陽電池(O−SC)、有機光学検出器、有機光受容体、有機電界クエンチ(quench)デバイス、発光電気化学電池(LEC)および有機レーザーダイオード(O−laser)、好ましくは有機エレクトロルミネセントデバイスからなる群より選択される電子デバイス。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子デバイスであって、環状基Lが置換または非置換アリールもしくはヘテロアリール基または環状飽和もしくは不飽和カルベンを示すことを特徴とする電子デバイス。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項以上に記載の電子デバイスであって、式(3)の化合物を少なくとも1つ含む電子デバイス
【化3】

式中、L1およびpは上述したのと同じ意味を有し、用いられる記号および指数については以下を適用する:
Mは遷移金属、ランタニド、アルカリ金属、アルカリ土類金属または第3または4主族の主族金属である;
Dは各々の存在について同じまたは異なり、C、N、P、C−O、C−S、C−NRまたはC−PRであり、上述の最後の4つの基はO、S、NもしくはPまたはC−NΞCを介して環外のドナー原子として金属に結合し、この基は環外のイソニトリル基の炭素を介して金属に結合する;
Eは各々の存在について同じまたは異なり、CまたはNである;
Arは各々の存在について同じまたは異なり、基E−D−Eと共に5〜40の芳香環原子を有するアリールまたはヘテロアリール基を形成し、1以上の基Rにより置換されてよく;またはDがカルベン炭素原子を表わす場合、Arは基E−D−Eと共に5〜10の環原子を有する環状飽和基を形成する基である;
Yは各々の存在について同じまたは異なり、BR、B(R)、C(R)、C(R)、Si(R)、Si(R)、C(=O)、C(=NR)、N、NR、N(R)、PR、P(R)、AsR、As(R)、P(=O)R、As(=O)R、P(=S)R、As(=S)R、O、S、S(R、Se、Te、S(=O)、S(=O)、Se(=O)、Se(=O)、Te(=O)またはTe(=O)である;
Rは各々の存在について同じまたは異なり、H、重水素、F、Cl、Br、I、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、OSO、1〜40のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、または3〜40のC原子を有する分枝もしくは環状アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、その各々は1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の非隣接CH基はRC=CR、CΞC、Si(R)、Ge(R)、Sn(R)、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRにより置換されてよく、1以上のH原子はF、Cl、Br、I、CNもしくはNOにより置換されてよい、または5〜60の芳香環原子を有する芳香族もしくは芳香族複素環系、これは各々の場合1以上の基Rにより置換されてよい、または5〜60の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、これは1以上の基Rにより置換されてよい、または10〜40の芳香環原子を有するジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基もしくはアリールヘテロアリールアミノ基、これは1以上の基Rにより置換されてよい、またはこれらの系の組合せである;これらの置換基Rのうち2以上もまた互いに単環または多環の脂肪族、芳香族および/またはベンゾ縮合環系を形成してよい;
は各々の存在について同じまたは異なり、Rまたは基L2である;
は各々の存在について同じまたは異なり、H、Fまたは1〜20のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または芳香族複素炭化水素基であり、1以上のH原子がさらにFにより置換されてよい;ここで2以上の置換基Rは互いに単環または多環の脂肪族もしくは芳香環系を形成してもよい;
L2は各々の存在について同じまたは異なり、1〜40のC原子を有するドナー基であり、金属Mに対してさらなる結合または配位を形成してよく、1以上の基Rにより置換されてよい;
nは各々の存在について同じまたは異なり、0、1、2、3、4、5または6であり、n=0は、基Yが存在せず、単結合が2つの基Lの間に存在することを意味し、但しすべての指数は同時に0を表わさない。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項以上に記載の電子デバイスであって、Mがジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銅、銀、金、スカンジウム、イットリウム、ランタン、アルミニウム、ガリウムまたはインジウムを表わすことを特徴とする電子デバイス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項以上に記載の電子デバイスであって、式(4)、(5)、(6)、(6a)または(7)の化合物を含む電子デバイス:
【化4】

式(4)−(6)中のZは各々の存在について同じまたは異なり、B、B(R、C、CR、SiR、N、P、As、P(=O)、As(=O)、P(=S)またはAs(=S)を表わし、mは2、3または4を表わし、他の記号および指数は請求項1および4に示した意味を有する。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子デバイスであって、式(1)の化合物中の基Lまたは式(3)−(7)の化合物中の基E−D−EとともにArにより形成されるアリールまたはヘテロアリール基は、以下の式(8)−(20)の基を表わし、式中、各々の場合における破線の結合は配位子中のこの基の結合、即ち基Yへの結合を示し、各々の場合において*は金属Mへの配位の位置を示す:
【化5】

式中、用いられる記号は請求項1および2で示された意味を有し、Xは各々の場合について同じまたは異なり、CRまたはNを表わし、但し各基において最大3つの記号XがNを表わす。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項以上に記載の有機電子デバイスであって、基L2がアリールまたはヘテロアリール基を示し、式(21)−(49)の基から選択され、各々の場合において破線の結合が配位子中のこの基の結合、即ち基Zへの結合を示し、各々の場合において*は金属Mへの配位の位置を示し、用いられる記号は請求項1および3で示される意味を有することを特徴とするか:
【化6−1】

【化6−2】

または、L2が、炭素含有ドナー基、脂肪族もしくは芳香族アセチリドまたは脂肪族もしくは芳香族イソニトリル;窒素含有ドナー基、脂肪族アミン、脂肪族環状アミン、ニトリル、アミド、イミドおよびイミン、各々は基Rにより置換されてもされなくてもよい;リン含有ドナー基、PF、P(NR、式中Rは各々の存在について同じまたは異なり、C−C20アルキル基またはアリールもしくはヘテロアリール基、アルキル、アリールもしくは混合したアルキルアリールホスフィン、アルキルハロ、アリールハロもしくは混合したアルキルアリールハロホスフィン、式中ハロゲンは各々の場合、F、Cl、FまたはIである、アルキル、アリールもしくは混合したアルキルアリールホスファイトまたはホスファ芳香族化合物、その各々は基Rにより置換されてもされていなくてもよい、を表わす;酸素含有ドナー基、アルコール、アルコレート、開鎖または環状の脂肪族もしくは芳香族エーテル、酸素複素環、アルデヒド、ケトン、ホスフィンオキシド基、ホスフェート、ホスフォネート、ボレート、シリケート、スルホキシド基、カルボキシレート、フェノール、フェノレート、オキシム、ヒドロキサメート、β−ケトケトネート、β−ケトエステルおよびβ−ジエステル、その各々は基Rにより置換されてもされていなくてもよい;硫黄含有ドナー基、脂肪族または芳香族チオールおよびチオレート、開鎖または環状チオエーテル、チオカルボニル基、ホスフィンスルフィド、およびチオカルボキシレート、その各々は置換基Rにより置換されてもされていなくてもよい;またはこれらの基から形成される二座配位キレート基から選択される中性または陰イオン性ドナー基を表わすことを特徴とする有機電子デバイス。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項以上に記載の電子デバイスであって、配位子L1が一酸化炭素、イソニトリル、アミン、イミン、ジイミン、ホスフィン、ホスファイト、アルシン、スチビン、窒素含有複素環化合物、ヒドリド、重水素化物、ハライドF、Cl、BrおよびI、アルキルアセチリド、アリールアセチリド、シアニド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、脂肪族もしくは芳香族アルコレート、脂肪族もしくは芳香族チオアルコレート、アミド、カルボキシレート、陰イオン性窒素含有複素環化合物、O2−、S2−、ニトレン、N3−、ジアミン、2つの窒素原子を含むヘテロ環化合物、ジホスフィン、1,3−ジケトン由来の1,3−ジケトネート、3−ケトエステル由来の3−ケトネート、アミノカルボン酸由来のカルボキシレート、サリチルイミン由来のサリチルイミネート、ジアルコール由来のジアルコレート、窒素含有複素環化合物のボレート、一価陰イオン性二座配位子、これは金属とともに少なくとも1つの金属−炭素結合を含むシクロメタレート化五員環を形成する、η−シクロペンタジエニル、η−ペンタメチルシクロペンタジエニル、η−ベンゼン、η−シクロヘプタトリエニル、各々はRにより置換されてよい、1,3,5−シス−シクロヘキサン誘導体、1,1,1−トリ(メチレン)メタン誘導体および1,1,1−三置換メタンから選択されることを特徴とする電子デバイス。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項以上に記載の電子デバイスであって、式(53)−(65)の化合物の少なくとも1つを含むことを特徴とする電子デバイス。
【化7−1】

【化7−2】

【化7−3】

式中、M、X、Y、Z、L1、R、R、nおよびpは請求項1、3および6に示した意味を有し、さらに:
Dは各々の存在について同じまたは異なり、C、NまたはC−Oを表わす。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項以上に記載の電子デバイスであって、それが陰極、陽極、および少なくとも1つの発光層、および各々の場合、任意に1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、励起子阻止層、電荷発生層および/または有機もしくは無機p/n接合部から選択されるさらなる層を含む有機エレクトルミネセントデバイスであることを特徴とする電子デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載の有機エレクトロルミネセントデバイスであって、式(1)または式(3)−(7)の化合物を発光層中の発光化合物として、好ましくは1以上のマトリクス材料と組み合わせて用いるか、式(1)または式(3)−(7)の化合物を発光層中の発光化合物のためのマトリクス材料として用いるか、式(1)または式(3)−(7)の化合物を正孔阻止層中の正孔阻止材料および/または電子輸送層中の電子輸送材料として用いるか、または式(1)または式(3)−(7)の化合物を正孔輸送層中の正孔輸送材料および/または励起子阻止層中の励起子阻止材料として用いることを特徴とする有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項13】
式(4)−(7)および(6a)の化合物:
【化8】

式中、用いられる記号および指数は請求項1、4および6に示される意味を有する。
【請求項14】
式(2)の配位子および任意のさらなる配位子L1を式(66)の金属アルコキシド、式(67)の金属ケトケトネート、または式(68)の金属ハライドと反応させることにより請求項13に記載の化合物を製造する方法:
【化9】

式中、MおよびRは請求項1および4に記載されたのと同じ意味を有し、他の記号および指数には以下を適用する:
Halは各々の存在について同じまたは異なり、F、Cl、BrまたはIである;
Ligは各々の存在について同じまたは異なり、中性または1価陰イオン性の単座もしくは二座配位子である;
qは各々の存在について同じまたは異なり、0、1、2、3または4、好ましくは0、1または2である;
rは各々の存在について同じまたは異なり、1、2、3、4または5であり、式(66)および(68)中のrは金属Mの原子価を示す;
式(67)の化合物もまた荷電していてよく、対イオンを含んでもよい;式(66)−(68)、特に式(68)の化合物はさらに水和物の形態であってもよい。
【請求項15】
式(69)−(71)の化合物:
【化10】

式中、記号および指数は請求項1、4および6で示した意味を有し;ここで基DおよびL2は、それらが錯体中で陰イオン性基として金属に結合する場合、それぞれさらに水素原子を保持する;以下の化合物は本発明から除かれる:
【化11】

【請求項16】
1以上の結合が、式(1)もしくは式(3)−(7)の錯体からポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーに存在する、式(1)もしくは式(3)−(7)の1以上の化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマー。

【公表番号】特表2011−524865(P2011−524865A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511992(P2011−511992)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003277
【国際公開番号】WO2009/146770
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】