説明

針組立体におけるリングの取付方法、針組立体

【課題】突出長を規定値に収めて歩留まりを向上させることのできる針組立体におけるリングの取付方法を提供する。
【解決手段】第1のリング31を設置部13の外周に配置し、第2のリング41を第1のリング31の外周に配置し、内針21を外套針61に挿通して外套針61の基端を第2のリング41に突き当て、第2のリング41を外套針61ととも内針21の軸方向へ移動させて内針21の先端に設けられた傾斜面22が外套針61の先端から突出する突出長Lを規定値に調整した後、第2のリング41を介して光吸収部位としての第2のリング31に光を照射して第1のリング31と第2のリング41とを光溶着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外套針を人体の血管に接続するために使用する針組立体におけるリングの取付方法、針組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
治療のために血液透析や輸液、輸血などを行うための器具として外套針が使用されるが、この外套針を人体の血管に接続するために針組立体が使用されている。
【0003】
この針組立体は、例えば、ハウジングの先端に、ハウジングの先端側へ突出するように配置された内針に外套針を外装した構成とされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−296022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、内針に外套針を単に外装しているので、各部品が設計通りに製作されていれば、内針の先端に設けられた傾斜面(刃面)が外套針の先端から突出する突出長を規定値(内)(例えば、0.0mm〜0.数mm)に収めることができる。
【0006】
しかしながら、各部品には製造誤差があるので、各部品を組み立てることにより、突出長を規定値(内)に収めることができず、歩留まりが悪い(不良率が高い)という問題があった。
【0007】
この発明は、上記した不都合を解消するためになされたもので、内針の先端に設けられた傾斜面(刃面)が外套針の先端から突出する突出長を規定値(内)に収めて歩留まりを向上させる(不良率を低下させる)ことのできる針組立体におけるリングの取付方法、針組立体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)この発明の針組立体におけるリングの取付方法は、先端側へ突出するように内針が配置されたハウジングの先端に設けられた設置部に、リングを固定する針組立体におけるリングの取付方法であって、前記リングの少なくとも一部を、光を透過する構成とし、前記設置部の外周面の少なくとも一部に、前記リングを透過した光を吸収する光吸収部位を設け、前記リングを前記設置部の外周に配置し、前記内針を外套針に挿通して前記外套針の基端を前記リングに突き当て、前記リングを前記外套針とともに前記内針の軸方向へ移動させて前記内針の先端に設けられた傾斜面が前記外套針の先端から突出する突出長を規定値に調整した後、前記リングを介して前記光吸収部位に光を照射して前記光吸収部位と前記リングとを光溶着することを特徴とする。
【0009】
(2)この発明の針組立体におけるリングの取付方法は、先端側へ突出するように内針が配置されたハウジングの先端に設けられた設置部に、リングを固定する針組立体におけるリングの取付方法であって、前記リングの少なくとも一部を、光を透過する構成とし、前記設置部の外周面の少なくとも一部に、前記リングを透過した光を吸収する光吸収部位を設け、前記リングを前記内針の軸方向へ移動させる移動機構を設け、前記リングを、前記移動機構を用いて前記設置部の外周に配置し、前記内針を外套針に挿通して前記外套針の基端を前記リングに突き当て、前記移動機構を動作させて前記リングを前記外套針とともに前記内針の軸方向へ移動させて前記内針の先端に設けられた傾斜面が前記外套針の先端から突出する突出長を規定値に調整した後、前記リングを介して前記光吸収部位に光を照射して前記光吸収部位と前記リングとを光溶着することを特徴とする。
【0010】
(3)この発明の針組立体におけるリングの取付方法は、先端側へ突出するように内針が配置されたハウジングの先端に設けられた設置部に配置した第1のリングに、第2のリングを固定する針組立体におけるリングの取付方法であって、前記第2のリングの少なくとも一部を、光を透過する構成とし、前記第1のリングの外周面の少なくとも一部を、前記第2のリングを透過した光を吸収する光吸収部位とし、前記第1のリングを前記設置部の外周に配置し、前記第2のリングを前記第1のリングの外周に配置し、前記内針を外套針に挿通して前記外套針の基端を前記第2のリングに突き当て、前記第2のリングを前記外套針とともに前記内針の軸方向へ移動させて前記内針の先端に設けられた傾斜面が前記外套針の先端から突出する突出長を規定値に調整した後、前記第2のリングを介して前記光吸収部位に光を照射して前記光吸収部位と前記第2のリングとを光溶着することを特徴とする。
【0011】
(4)この発明の針組立体におけるリングの取付方法は、先端側へ突出するように内針が配置されたハウジングの先端に設けられた設置部に配置した第1のリングに、第2のリングを固定する針組立体におけるリングの取付方法であって、前記第2のリングの少なくとも一部を、光を透過する構成とし、前記第1のリングの外周面の少なくとも一部を、前記第2のリングを透過した光を吸収する光吸収部位とし、前記第2のリングを前記内針の軸方向へ移動させる移動機構を設け、前記第1のリングを前記設置部の外周に配置し、前記第2のリングを、前記移動機構を用いて前記第1のリングの外周に配置し、前記内針を外套針に挿通して前記外套針の基端を前記第2のリングに突き当て、前記移動機構を動作させて前記第2のリングを前記外套針とともに前記内針の軸方向へ移動させて前記内針の先端に設けられた傾斜面が前記外套針の先端から突出する突出長を規定値に調整した後、前記第2のリングを介して前記光吸収部位に光を照射して前記光吸収部位と前記第2のリングとを光溶着することを特徴とする。
【0012】
(5)この発明の針組立体は、ハウジングの先端に、前記ハウジングの先端側へ突出するように配置された内針に外套針を外装した針組立体であって、前記ハウジングの先端に設けられた設置部と、前記設置部の外周面の少なくとも一部に設けられた光吸収部位と、前記外套針の基端に先端が当接した状態で前記設置部の外周に前記内針の軸方向へ移動可能に配置され、少なくとも一部が前記光吸収部位へ向けて光を透過させるリングとを備え、前記リングが、前記光吸収部位と前記リングとの間の光溶着によって前記設置部に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
(6)この発明の針組立体は、(5)に記載の針組立体において、前記設置部の外周面に設けられた雄ねじと、前記リングの内周面に設けられ、前記雄ねじに螺合する雌ねじとを備えていることを特徴とする。
【0014】
(7)この発明の針組立体は、ハウジングの先端に、前記ハウジングの先端側へ突出するように配置された内針に外套針を外装した針組立体であって、前記ハウジングの先端に設けられた設置部に配置した第1のリングと、前記第1のリングの外周面の少なくとも一部に設けられた光吸収部位と、前記外套針の基端に先端が当接した状態で前記第1のリングの外周に前記内針の軸方向へ移動可能に配置され、少なくとも一部が前記光吸収部位へ向けて光を透過させる第2のリングとを備え、前記第2のリングが、前記光吸収部位と前記第2のリングとの間の光溶着によって前記第1のリングに取り付けられていることを特徴とする。
【0015】
(8)この発明の針組立体は、(7)に記載の針組立体において、前記第1のリングの外周面に設けられた雄ねじと、前記第2のリングの内周面に設けられ、前記雄ねじに螺合する雌ねじとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明の針組立体におけるリングの取付方法、針組立体によれば、内針の先端に設けられた傾斜面(刃面)が外套針の先端から突出する突出長を調整した後にリングまたは第2のリングを光吸収部位に光溶着するので、突出長を規定値(内)に収めて歩留まりを向上させる(不良率を低下させる)ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施例である針組立体の分解斜視図である。
【図2】図1に示した各部品を組み立てた針組立体の拡大側面図である。
【図3】図2に示した針組立体の部分縦断面図である。
【図4】突出長を測定(計測)する説明図である。
【図5】突出長を規定値(内)に収める説明図である。
【図6】移動機構の他の例を示す説明図である。
【図7】移動機構のさらに他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【0019】
図1はこの発明の一実施例である針組立体の分解斜視図、図2は図1に示した各部品を組み立てた針組立体の拡大側面図、図3は図2に示した針組立体の部分縦断面図、図4は突出長を測定(計測)する説明図、図5は突出長を規定値(内)に収める説明図である。
【0020】
図1〜図3において、ハウジングは一部(先端部)のみが図示されている。
そして、針組立体には、内針を弾性体(例えば、コイルスプリング)の付勢力でハウジング内へ後退(収容)させる内針退避機構や、内針を弾性体の付勢力に抗してハウジングから突出するようにロックするロック機構や、このロック機構を解除し、内針をハウジング内へ退避させるロック解除機構などが設けられているが、これらの機構を省略した構成とされている。
【0021】
この発明の一実施例である針組立体Aは、フラッシュバック(血液の逆流)を確認できるように、透明または半透明とされるのが望ましく、図1に示すように、ハウジング11と、内針21と、第1のリングとしての基準リング31と、リングまたは第2のリングとしての調整リング41と、外套針61とで構成されている。
【0022】
上記したハウジング11は、例えば、ポリカーボネートで透明な円筒状に成形され、先端部に外側へ突出する円板状の鍔部12が設けられ、この鍔部12よりも先端側に小円筒状(小円柱状)の設置部13が連設され、この設置部13よりも先端側に設置部13よりも小円筒状(小円柱状)の筒部14が連設され、この筒部14よりも先端側に筒部14よりも小円筒状(小円柱状)で、外套針61のカテーテルハブ62が外周に嵌合する嵌合筒部15が連設されている。
【0023】
そして、設置部13の、軸心と直交する方向の鍔部12との境面が突き当て部(突き当て面)13aとされている。
そして、設置部13は、基準リング31を円周方向へ回転しないように取り付けるために、外周部が軸と平行する方向へ平行にダブルDカットされて回り止め13bとされている。
【0024】
上記した内針21は、金属で構成され、ハウジング11の先端部(例えば、設置部13〜嵌合筒部15)の軸心に、その軸心に沿って先端側へ突出するように配置され、先端に刺穿用の傾斜面(刃面)22(図2、図3参照)が設けられている。
【0025】
上記した基準リング31は、ハウジング11の設置部13が嵌合する円筒状に構成されるとともに、例えば、1060nm〜10600nmの光(レーザ光)を吸収して発熱する構成(光吸収部位または光吸収発熱部位)とされ、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニール、ポリエチレン、ポリアミド、ポリアセタールなどの熱可塑性樹脂で成形されている。
【0026】
そして、基準リング31の軸方向の他端(ハウジング11の基端側)が突き当て面(突き当て部)32とされ、基準リング31の外周面に雄ねじ33が設けられている(形成されている)。
そして、基準リング31は、ハウジング11の設置部13の外周に設置部13の円周方向へ回転しないように取り付けるために、内周部が軸と平行する方向へ平行に設置部13のダブルDカット(回り止め13b)に対応させて肉盛りされて回り止め34とされている。
【0027】
上記した調整リング41は、基準リング31の外周に一部(ハウジング11の基端側)が配置される円筒状に構成されるとともに、光を透過する構成(透明または半透明)とされ、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニール、ポリエチレン、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂で成形されている。
【0028】
そして、調整リング41は、ハウジング11の設置部13の外周に配置される筒部42と、この筒部42の軸方向の一端(ハウジング11の先端側)に連設された筒部42よりも小円筒状の緩衝筒部43とで構成されている。
【0029】
上記した筒部42の内周面に、基準リング31の雄ねじ33に螺合する雌ねじ42a(図3参照)が設けられている(形成されている)。
そして、緩衝筒部43の軸方向の一端(ハウジング11の先端側)の面が、外套針61を構成するカテーテルハブ62が突き当たる突き当て面43aとされている。
【0030】
上記した雌ねじ42aと、雄ねじ33とによって、移動機構が構成されている。
【0031】
上記した外套針61は、例えば、光を透過する(透明または半透明な)ポリ塩化ビニール製のカテーテルハブ62と、このカテーテルハブ62の軸方向の一端(ハウジング11の先端側)に連設された、例えば、光を透過する(透明または半透明な)フッ素樹脂製のカテーテル63とで構成されている。
【0032】
上記したカテーテルハブ62は、内針21が挿入されることにより、軸方向の他端部(ハウジング11の基端側)の内側にハウジング11の嵌合筒部15が嵌合し、軸方向の他端が調整リング41(緩衝筒部43)の突き当て面43aに突き当たる(当接する)。
【0033】
次に、針組立体1の組立について説明する。
【0034】
まず、基準リング31内にハウジング11を内針21側から挿入し、両回り止め13b,34を一致させて基準リング31に設置部13を嵌め、すなわち、設置部13の外周に基準リング31を配置して突き当て部(突き当て面)13a(鍔部12)に突き当て面(突き当て部)32を突き当てる(当接させる)。
【0035】
このように、設置部13の外周に基準リング31を配置したとき、基準リング31が設置部13の軸方向へ移動して設置部13から抜けないように配置(固定)されるのが望ましい。
【0036】
次に、調整リング41内にハウジング11を内針21側から挿入し、筒部42の雌ねじ42aと基準リング31の雄ねじ33とを螺合させ、調整リング41を基準リング31の外周に配置する。
【0037】
このように、調整リング41を基準リング31の外周に配置すると、調整リング41の一端(ハウジング11の先端側)から嵌合筒部15が僅かに突出する。
【0038】
そして、内針21を外套針61へカテーテルハブ62側から挿通してカテーテルハブ62に嵌合筒部15を嵌めて緩衝筒部43の突き当て面43aにカテーテルハブ62を突き当て、すなわち、カテーテルハブ62を調整リング41に突き当てるとともに、カテーテル63内に内針21を挿通することにより、図2および図3に示すように、組み立てることができる。
【0039】
このように、カテーテル63内に内針21を挿通すると、カテーテル63の一端から内針21の傾斜面22が突出する。
【0040】
また、カテーテルハブ62の内側に嵌合筒部15が嵌合するので、組立後の取り扱いにおいて、外套針61がハウジング11に対してぶらつかなくなることにより、取り扱い易くなる。
【0041】
上述したようにして組み立てた状態で、図4に示すように、内針21の先端に設けられている傾斜面22が、カテーテル63の先端から突出する突出長Lの規定値(例えば、0.0mm〜0.数mm)よりも長い場合は、雌ねじ42aの雄ねじ33に対する螺合を少なくするように緩め、すなわち、調整リング41を外套針61とともに(調整リング41と外套針61とを一体として)基準リング31(設置部13)に対してハウジング11の先端側(軸方向)(設置部13の軸方向、内針21の軸方向、基準リング31の軸方向)へ移動させることにより、突出長Lを、図5に示すように、規定値(内)に収めるように調整する。
【0042】
このようにして突出長Lを規定値(内)に収める調整が、突出長Lの規定値が短いことによって肉眼では判別できないときは、カメラで内針21およびカテーテル63の先端部分を撮影して画像処理した映像を利用することにより、突出長Lを規定値(内)に収める調整を容易に行うことができる。
【0043】
なお、組み立てた状態で突出長Lが規定値よりも短い場合、例えば、内針21の傾斜面22がカテーテル62の先端部で覆われている場合は、雌ねじ42aの雄ねじ33に対する螺合を多くするように締め込み、すなわち、調整リング41を外套針61とともに(調整リング41と外套針61とを一体として)基準リング31(設置部13)に対してハウジング11の基端側(軸方向)(設置部13の軸方向、内針21の軸方向、基準リング31の軸方向)へ移動させることにより、突出長Lを、図5に示すように、規定値(内)に収めるように調整する。
【0044】
そして、突出長Lを調整した後は、調整リング41を介して基準リング(光吸収部位、光吸収発熱部位)31に光(レーザ光)を複数点、例えば、2点以上5点以下照射して基準リング31の外周を溶融させて調整リング41と基準リング31とを光溶着する。
【0045】
上記した照射光は、レーザ光に限らず、非コヒーレント光を含む特定領域の波長を有する光であってもよい。
この場合、溶着個所に光を集光して照射するとよい。
【0046】
次に、針組立体1を使用する際の動作について説明する。
【0047】
上述したようにして組み立てられた針組立体1は、突出長Lが規定値(内)に収められているので、内針21を皮膚に穿刺し、内針21の先端とカテーテル63の先端とを血管内に位置させることができる。
【0048】
このように、内針21の先端とカテーテル63(外套針61)の先端とを血管内に位置させると、血液は内針21の内部から、図示を省略したハウジング11の内部空間へと逆流する。
【0049】
このように、血液が逆流するのを確認できたならば、例えば、カテーテル63(外套針61)を必要な深さまで進める。
【0050】
続いて、内針21を外套針61から抜き取るとともに、調整リング41を取り去り、カテーテルハブ62にチューブなどを接続する。
【0051】
この発明の一実施例によれば、突出長Lを調整した後に調整リング41をハウジング11の設置部13に配置された基準リング31に光溶着するので、突出長Lを規定値(内)に収めて歩留まりを向上させる(不良率を低下させる)ことができる。
また、移動機構を、設置部31の外周面に設けた雄ねじ33と、調整リング41の内周面に設けた雌ねじ42aとで構成したので、突出長Lの調整を容易に行うことができる。
【0052】
そして、設置部13の機能を有する基準リング31を、ハウジング11と別部品とするとともに、光吸収部位(または光吸収発熱部位)としたので、ハウジング11および基準リング31の製作が容易になる。
また、調整リング41とハウジング11の設置部13に配置された基準リング31とを全周ではなく、複数点で光溶着するので、調整リング41の変形部分が少なくなることにより、仕上がりの外観が綺麗になる。
【0053】
図6は移動機構の他の例を示す説明図であり、図1〜図5に示した部分に相当する部分または図1〜図5に示した部分と同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
なお、他の部分は、図1〜図5に示したように構成されている。
【0054】
図6において、基準リング31の外周には、軸方向に延びる移動機構としての被ガイド突起(または被ガイド突条)33A(被ガイド部)が設けられている(形成されている)。
【0055】
そして、調整リング41(筒部42)の内周には、ガイド突条33Aが嵌合、摺動するガイド溝42b(ガイド部)が、移動機構として軸方向へ延びるように設けられている(形成されている)。
【0056】
この移動機構を利用することにより、図1〜図5に示した実施例と同様に組み立てることができるとともに、図1〜図5に示した実施例と同様な効果を得ることができる。
【0057】
この移動機構の場合、基準リング31にガイド溝を設け、調整リング41に被ガイド突起(または被ガイド突条)を設けても、同様に機能させることができる。
【0058】
図7は移動機構のさらに他の例を示す説明図であり、この移動機構以外は図1〜図5に示したように構成されている。
【0059】
図7において、U字状をしたシム51は、例えば、金属製で、0.05mm〜0.1mmの厚さとされている。
このシム51は、ハウジング11の突き当て部(突き当て面)13a(鍔部12)と、調整リング41(筒部42)の軸方向の他端(ハウジング11の基端側)との間に挿入され、突出長Lを調整するものである。
【0060】
上記したシム51を使用(利用)する場合は、図6に示した被ガイド突起(または被ガイド突条)33Aとガイド溝42aとが設けられていてもよい。
【0061】
このシム51を利用することにより、図1〜図5に示した実施例と同様に組み立てることができるとともに、図1〜図5に示した実施例と同様な効果を得ることができる。
【0062】
上記した実施例では、基準リング31(第1のリング)全体を光吸収部位(または光吸収発熱部位)とした例を示したが、第1のリングの外周に二色成形などによって光吸収部材(または光吸収発熱部位)を複数個所設けたり、第1のリングの外周に不透明物質を塗布して光吸収部位(または光吸収発熱部位)を複数個所設ける構成としてもよい。
【0063】
また、溶着個所を複数個所とした例を示したが、溶着個所(光吸収部位、光吸収発熱部位)は1個所であっても、すなわち、1個所以上(数個所以下)あればよい。
【0064】
また、基準リング31(第1のリング)に対して調整リング41(第2のリング)をハウジング11の軸方向へ移動させる移動機構を設けた例を示したが、移動機構を設けずに、第1のリングに対して第2のリングをハウジングの軸方向へ移動させて突出長を調整することによって針組立体を同様に組み立てることができるとともに、同様な効果を得ることができる。
【0065】
また、基準リング31(第1のリング)をハウジング11と別部品として設け、この基準リング31に移動機構を構成する雄ねじ33または被ガイド突起(または被ガイド突条)33Aを設けた例を示したが、この基準リング31の雄ねじ33またはガイド突条(凸条)33Aに相当する部位をハウジング11の先端部の設置部13に設ける構成とし、基準リング31を設けないことによって針組立体を同様に組み立てることができるとともに、同様な効果を得ることができる。
このように、基準リング31を省略する場合は、設置部13の外周に二色成形などによって光吸収部位(または光吸収発熱部位)を複数個所設けたり、設置部13の外周に不透明物質を塗布して光吸収部位(または光吸収発熱部位)を複数個所設けたり、設置部13の外周全体を光吸収部位(または光吸収発熱部位)とする必要がある。
【0066】
また、基準リング31(第1のリング)をハウジング11と別部品として設け、この基準リング31に移動機構を構成する雄ねじ33または被ガイド突起(または被ガイド突条)33Aを設け、基準リング31に対して調整リング41(第2のリング)を軸方向へ移動させる移動機構を設けた例を示したが、基準リング31および移動機構を設けずに、設置部の外周に第2のリングを配置する構成とすることによって針組立体を同様に組み立てることができるとともに、同様な効果を得ることができる。
このように、基準リング31を省略する場合は、設置部13の外周に二色成形などによって光吸収部位(または光吸収発熱部位)を複数個所設けたり、設置部13の外周に不透明物質を塗布して光吸収部位(または光吸収発熱部位)を複数個所設けたり、設置部13の外周全体を光吸収部位(または光吸収発熱部位)とする必要がある。
【0067】
また、調整リング41(リング、第2のリング)全体が光を透過する例を示したが、光吸収部位へ向けて光を透過させることができればよいので、調整リングは少なくとも一部が光吸収部位へ向けて光を透過させる構成であっても、同様な効果を得ることができる。
【0068】
また、基準リング31(第1のリング)および調整リング41(リング、第2のリング)を、側面視で閉じたO形とした例を示したが、側面視でC形、U形などの一部が開放したリングであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
A 針組立体
11 ハウジング
12 鍔部
13 設置部
13a 突き当て部(突き当て面)
13b 回り止め
14 筒部
15 嵌合筒部
21 内針
22 傾斜面(刃面)
31 基準リング(第1のリング、光吸収部位、光吸収発熱部位)
32 突き当て面(突き当て部)
33 雄ねじ(移動機構)
33A 被ガイド突起(または被ガイド突条)(被ガイド部、移動機構)
34 回り止め
41 調整リング(リング、第2のリング)
42 筒部
42a 雌ねじ(移動機構)
42b ガイド溝(ガイド部、移動機構)
43 緩衝筒部
43a 突き当て面
51 シム(移動機構)
61 外套針
62 カテーテルハブ
63 カテーテル
L 突出長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側へ突出するように内針が配置されたハウジングの先端に設けられた設置部に、リングを固定する針組立体におけるリングの取付方法であって、
前記リングの少なくとも一部を、光を透過する構成とし、
前記設置部の外周面の少なくとも一部に、前記リングを透過した光を吸収する光吸収部位を設け、
前記リングを前記設置部の外周に配置し、
前記内針を外套針に挿通して前記外套針の基端を前記リングに突き当て、
前記リングを前記外套針とともに前記内針の軸方向へ移動させて前記内針の先端に設けられた傾斜面が前記外套針の先端から突出する突出長を規定値に調整した後、
前記リングを介して前記光吸収部位に光を照射して前記光吸収部位と前記リングとを光溶着する、
ことを特徴とする針組立体におけるリングの取付方法。
【請求項2】
先端側へ突出するように内針が配置されたハウジングの先端に設けられた設置部に、リングを固定する針組立体におけるリングの取付方法であって、
前記リングの少なくとも一部を、光を透過する構成とし、
前記設置部の外周面の少なくとも一部に、前記リングを透過した光を吸収する光吸収部位を設け、
前記リングを前記内針の軸方向へ移動させる移動機構を設け、
前記リングを、前記移動機構を用いて前記設置部の外周に配置し、
前記内針を外套針に挿通して前記外套針の基端を前記リングに突き当て、
前記移動機構を動作させて前記リングを前記外套針とともに前記内針の軸方向へ移動させて前記内針の先端に設けられた傾斜面が前記外套針の先端から突出する突出長を規定値に調整した後、
前記リングを介して前記光吸収部位に光を照射して前記光吸収部位と前記リングとを光溶着する、
ことを特徴とする針組立体におけるリングの取付方法。
【請求項3】
先端側へ突出するように内針が配置されたハウジングの先端に設けられた設置部に配置した第1のリングに、第2のリングを固定する針組立体におけるリングの取付方法であって、
前記第2のリングの少なくとも一部を、光を透過する構成とし、
前記第1のリングの外周面の少なくとも一部を、前記第2のリングを透過した光を吸収する光吸収部位とし、
前記第1のリングを前記設置部の外周に配置し、
前記第2のリングを前記第1のリングの外周に配置し、
前記内針を外套針に挿通して前記外套針の基端を前記第2のリングに突き当て、
前記第2のリングを前記外套針とともに前記内針の軸方向へ移動させて前記内針の先端に設けられた傾斜面が前記外套針の先端から突出する突出長を規定値に調整した後、
前記第2のリングを介して前記光吸収部位に光を照射して前記光吸収部位と前記第2のリングとを光溶着する、
ことを特徴とする針組立体におけるリングの取付方法。
【請求項4】
先端側へ突出するように内針が配置されたハウジングの先端に設けられた設置部に配置した第1のリングに、第2のリングを固定する針組立体におけるリングの取付方法であって、
前記第2のリングの少なくとも一部を、光を透過する構成とし、
前記第1のリングの外周面の少なくとも一部を、前記第2のリングを透過した光を吸収する光吸収部位とし、
前記第2のリングを前記内針の軸方向へ移動させる移動機構を設け、
前記第1のリングを前記設置部の外周に配置し、
前記第2のリングを、前記移動機構を用いて前記第1のリングの外周に配置し、
前記内針を外套針に挿通して前記外套針の基端を前記第2のリングに突き当て、
前記移動機構を動作させて前記第2のリングを前記外套針とともに前記内針の軸方向へ移動させて前記内針の先端に設けられた傾斜面が前記外套針の先端から突出する突出長を規定値に調整した後、
前記第2のリングを介して前記光吸収部位に光を照射して前記光吸収部位と前記第2のリングとを光溶着する、
ことを特徴とする針組立体におけるリングの取付方法。
【請求項5】
ハウジングの先端に、前記ハウジングの先端側へ突出するように配置された内針に外套針を外装した針組立体であって、
前記ハウジングの先端に設けられた設置部と、
前記設置部の外周面の少なくとも一部に設けられた光吸収部位と、
前記外套針の基端に先端が当接した状態で前記設置部の外周に前記内針の軸方向へ移動可能に配置され、少なくとも一部が前記光吸収部位へ向けて光を透過させるリングとを備え、
前記リングが、前記光吸収部位と前記リングとの間の光溶着によって前記設置部に取り付けられている、
ことを特徴とする針組立体。
【請求項6】
請求項5に記載の針組立体において、
前記設置部の外周面に設けられた雄ねじと、
前記リングの内周面に設けられ、前記雄ねじに螺合する雌ねじとを備えている、
ことを特徴とする針組立体。
【請求項7】
ハウジングの先端に、前記ハウジングの先端側へ突出するように配置された内針に外套針を外装した針組立体であって、
前記ハウジングの先端に設けられた設置部に配置した第1のリングと、
前記第1のリングの外周面の少なくとも一部に設けられた光吸収部位と、
前記外套針の基端に先端が当接した状態で前記第1のリングの外周に前記内針の軸方向へ移動可能に配置され、少なくとも一部が前記光吸収部位へ向けて光を透過させる第2のリングとを備え、
前記第2のリングが、前記光吸収部位と前記第2のリングとの間の光溶着によって前記第1のリングに取り付けられている、
ことを特徴とする針組立体。
【請求項8】
請求項7に記載の針組立体において、
前記第1のリングの外周面に設けられた雄ねじと、
前記第2のリングの内周面に設けられ、前記雄ねじに螺合する雌ねじとを備えている、
ことを特徴とする針組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−94227(P2013−94227A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237028(P2011−237028)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(596183321)メディキット株式会社 (8)
【出願人】(592148993)東郷メディキット株式会社 (3)
【Fターム(参考)】