説明

釣り情報表示装置

【課題】釣り情報表示装置において、気圧センサの密閉空間を容易で形成できるにようにする。
【解決手段】魚探モニタ60は、魚群探知機から送信されるエコー情報を表示可能な装置であり、電源47を内蔵可能なケース50と、モニタ表示部45と、気圧センサ44と、シール部材48と、を備えている。モニタ表示部45は、ケース50内に配置されている。気圧センサ44は、ケース50内に設けられ、ケース50の周囲の外気圧を測定可能である。シール部材48は気圧センサ44を密閉する弾性体製である。シール部材48は、気圧センサ44に対向して配置され気圧に応じて変形する変形部48aと、変形部44aの周囲に一体形成されケース50に着脱自在に密着する装着部48bと、を有する。モニタ表示制御部40は、エコー情報と気圧センサ44で得られた気圧とをモニタ表示部45に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示装置、特に、魚群探知機から得られるエコー情報を表示可能な釣り情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
釣り船に搭載された魚群探知機から得られたエコー画像を釣り人が釣りをしている場所で見ることができる釣り情報表示装置が従来知られている(例えば、特許文献1参照)。従来の釣り情報表示装置では、リールから得られる仕掛けの水深と、魚群探知機で得られる魚の群れている棚位置及び漁場の海底の水深を示すエコー画像と、を表示している。仕掛けの水深は、エコー画像の水深に応じた位置に配置される。
【0003】
このように、釣り人が釣りをしている場所で、画像及び仕掛けの位置を知ることができると、釣り対象の獲物が群れている領域と仕掛けの位置とが一目瞭然となる。この結果、仕掛けを棚位置に確実に配置することができ、釣果に大きな影響を及ぼす。
【0004】
釣果に影響する因子としてはその他にも種々考えられる。例えば、釣りをしている場所の気圧が釣果に影響を与えることがある。従来、気圧を測定する場合、気圧センサの検出面に外気を導入するための通気孔を設けている。しかし、海水が付着することがある釣り情報表示装置には通気孔を設けることはできない。そこで、センサケースにより構成された密閉空間内に気圧センサを配置する技術(例えば、特許文献2参照)を採用することが考えられる。従来のセンサケースは、天井部に窓を設け、窓をセンサケースと別の材質の可撓性薄膜で密閉している。センサケースの外側は、モールド部によりシールされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−160421号公報
【特許文献2】特開2005−307896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の構成では、モールド部によりシールされたセンサケースにより気圧センサが密閉空間内に配置されている。このため、気圧センサを装着した後にセンサケースを配置し、さらにモールド部を形成しなければならない。したがって気圧センサの密閉空間を容易に形成できない。
【0007】
本発明の課題は、釣り情報表示装置において、気圧センサを設けても気圧センサの密閉空間を容易で形成できるにようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明1に係る釣り情報表示装置は、魚群探知機から送信されるエコー情報を表示可能な携帯型の釣り情報表示装置である。釣り情報表示装置は、電源を内蔵可能なケースと、表示ユニットと、気圧センサと、シール部材と、を備えている。表示ユニットは、外部から視認可能にケース内に配置されている。気圧センサは、ケース内に設けられ、ケースの周囲の外気の気圧を測定可能である。シール部材は気圧センサを密閉する弾性体製である。シール部材は、気圧センサに対向して配置され気圧に応じて変形する変形部と、変形部の周囲に一体形成されケースに着脱自在に密着する装着部と、を有する。表示制御部は、エコー情報と気圧センサで得られた気圧とを表示ユニットとに表示させる。
【0009】
この釣り情報表示装置では、表示ユニットに魚群探知機から送信されエコーデータが表示される。また、気圧センサで検出された外気圧が表示ユニットに表示される。この気圧センサは、弾性体製のシール部材により密閉され、気圧センサへの液体の浸入が防止される。気圧が変動すると、変形部が変形してシールの内部の気圧が外気の気圧に応じて変化する。ここでは、変形部の周囲に一体形成された装着部が着脱自在にケースに密着する。このため、シール部材をケースに装着するだけで、気圧センサを密閉する空間を形成することができる。したがって、気圧センサを設けても気圧センサの密閉空間を容易で形成できる。
【0010】
発明2に係る釣り情報表示装置は、発明1に記載の装置において、ケースは、気圧センサを収納可能なセンサ収納空間と、センサ収納空間と連通口を有する隔壁を挟んで配置され、シール部材を収納可能なシール収納空間と、を有する。この場合には、気圧センサが収納されるセンサ収納空間ではなく、センサ収納空間と隔壁を挟んで配置されたシール収納空間にシール部材が配置される。このためシール部材を装着しやすくなり、密閉空間をさらに形成しやすくなる。
【0011】
発明3に係る釣り情報表示装置は、発明2に記載の装置において、シール収納空間は、円柱状に外部に開口する空間である。シール部材の装着部は、筒状でありシール収納空間に密着し、変形部は、シール収納空間の開口側で装着部と一体形成されている。この場合には、シール収納空間が円柱状の空間であるので、シール部材でシールしやすくなる。また、変形部が開口側で装着部と一体形成されているので、変形部がより変形しやすくなる。
【0012】
発明4に係る釣り情報表示装置は、発明3に記載の装置において、変形部は、シール部材でシールされる空間の気圧が外気の気圧に応じて変動するように変形可能である。この場合には、シール部材の変形により気圧を精度良く検出できる。
【0013】
発明5に係る釣り情報表示装置は、発明3又は4に記載の装置において、変形部は、装着部の中心を通る断面視波形でかつ平面視同芯円状の凹凸形状に形成されている。この場合には、変形部が複数の同芯円状の凹凸形状であるので、気圧の変動により変形しやすくなる。
【0014】
発明6に係る釣り情報表示装置は、発明1から5のいずれかに記載の装置において、外部に糸長データを送信可能な釣り用リールから糸長データを受信する第1受信部をさらに備える。表示制御部は、受信した糸長データをエコー情報の水深に応じた位置で表示ニットに表示させる。この場合には、仕掛けの水深もエコー情報とともに表示されるので、仕掛けを棚位置に配置しやすくなる。
【0015】
発明7に係る釣り情報表示装置は、発明1から6のいずれかに記載の装置において、外部に釣り糸に作用する張力データを送信可能な釣り用リールから張力データを受信する第2受信部をさらに備える。表示制御部は、受信した張力データを表示ユニットに表示させる。この場合には、釣り糸に作用する張力が表示ユニットに表示されるので、釣り糸を巻き取るときに釣り糸の切断をさらに防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、装着部が着脱自在にケースに密着するため、シール部材をケースに装着するだけで、気圧センサを密閉する空間を形成することができる。このため、気圧センサを設けても気圧センサの密閉空間を容易で形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態が採用された釣り情報表示システムのブロック図。
【図2】本発明の一実施形態による魚探モニタを上腕部に装着した状態を示す図。
【図3】魚探モニタの斜視図。
【図4】その平面図。
【図5】その背面図。
【図6】その分解斜視図。
【図7】図5のVII−VII断面図。
【図8】気圧センサ収納部分の分解斜視図。
【図9】シール部材の平面図。
【図10】図9のX−X断面図。
【図11】他の実施形態の図1に相当する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態が採用された釣り情報表示システムは、図1に示すように、電動リール10と、電動リール10と送受信可能に配置された本発明の一実施形態による携帯型の魚探モニタ(釣り情報表示装置の一例)60と、魚群探知機80とを備えている。
【0019】
電動リール10と魚探モニタ60とは、例えばZigBee(登録商標)等の規格を用いて無線により接続されている。また、魚探モニタ60は、魚群探知機80から、たとえば、特定小電力方式の無線通信により情報を受信する。なお、魚探モニタ60は、複数の魚群探知機80が周囲にあるとき、混信を防止するため、最も強い電波だけを受信するようになっている。
【0020】
電動リール10は、例えば、釣り船の船縁に竿受けにより装着された釣り竿に取り付けられる。電動リール10は、公知のものであり、ハンドル又はモータによりスプールを糸巻取方向に回転させることができる。電動リール10には、水深表示制御やモータ駆動制御等を行うCPU、RAM、ROM、I/Oインターフェイス等を含むマイクロコンピュータや液晶駆動回路からなるリール制御部20が設けられている。リール制御部20には、リール操作部21と、スプールセンサ23と、ポテンショメータ25と、が接続されている。また、リール制御部20には、ブザー27と、リール表示部29と、記憶部31と、PWM駆動回路33と、各種の入出力を行う他の入出力部と、が接続されている。
【0021】
リール操作部21は、複数の入力ボタンを有し、表示のオンオフ及び棚位置の設定等を各種の設定を行うために設けられている。スプールセンサ23は、スプールの回転速度及び方向を検出するために設けられている。ポテンショメータ25は、モータ37の回転を複数段階に制御するために設けられている。ブザー27は、各種の警報を出力するために設けられている。リール表示部29は、例えば液晶ディスプレイからなり、仕掛けの水深情報、棚位置、及び制御モードの設定値等を表示するために設けられている。記憶部31は、設定された棚位置、スプール回転数と糸長との関係データ等の各種のデータを記憶する。PWM駆動回路33は、モータ37をPWM駆動するFETを含んでいる。
【0022】
さらに、リール制御部20には、魚探モニタ60と情報をやり取りするリール通信部(第1受信部の一例)35が接続されている。リール通信部35は、前述したように無線通信によって、魚探モニタ60に設けられたモニタ通信部42と仕掛けの水深を含む各種の情報を送信又は受信する。
【0023】
携帯型の魚探モニタ60は、図2に示すように、例えば、釣人Pの上腕部Aに着脱自在に取付可能な取付ケース70内に装着して使用される。取付ケース70は、魚探モニタ60を収納可能な透明な袋部70aを有している。
【0024】
図1において、魚探モニタ60は、魚群探知機80から得られる漁場の底の水深及び魚群の位置を示す棚位置のエコー情報をそのままエコー表示可能である。また、魚探モニタ60は、電動リール10から得られる仕掛けの水深データをエコー表示された底の水深や棚位置とともに水深に応じた位置に図形により表示することができる。さらに、魚探モニタ60は、棚停止のオンオフや棚位置の設定、さそいモードのオンオフやさそい幅の設定、オートさそいのオンオフ、モータの糸繰り出し方向の回転により釣り糸を繰り出す糸送りのオンオフ、アタリ検知のオンオフ等の電動リール10に関する設定操作を行うことができる。なお、魚探モニタ60は、電動リール10と接続しないで単独使用することもできる。この場合は、魚群探知機80からの棚位置や底位置を表示する魚群探知機80の遠隔モニタとして機能する。
【0025】
魚探モニタ60には、エコー情報及び仕掛けの水深情報の表示制御を行うCPU、RAM、ROM、I/Oインターフェイス等を含むマイクロコンピュータや液晶駆動回路からなるモニタ表示制御部(表示制御部の一例)40が設けられている。モニタ表示制御部40には、リール通信部35及び魚群探知機80と無線通信するモニタ通信部42が接続されている。また、モニタ表示制御部40には、モニタ操作部43と、気圧センサ44と、モニタ表示部(表示ユニットの一例)45と、記憶部46と、他の入出力部とが接続されている。モニタ表示制御部40及びモニタ表示部45は、リチウムイオン充電池等の二次電池からなる電源47により動作する。
【0026】
モニタ操作部43は、モニタ表示部45の表示制御等の各種の操作を行う。モニタ操作部43は、図3及び図4に示すように、モニタ表示部45の下部に横方向に並べて配置された4個の第1ボタン43a,第2ボタン43b,第3ボタン43c,及び第4ボタン43dを有している。左側の第1ボタン43aは表示のオンオフ及び操作を決定するボタンである。第2ボタン43bは、キャンセルや戻るために使用するボタンである。第3ボタン43cは、アップ操作のためのボタンである。第4ボタン43dは、ダウン操作のためのボタンである。これらの第1ボタン43a〜第4ボタン43dを操作することによって、各種の設定操作や表示操作を行うことができる。
【0027】
また、モニタ操作部43では、魚探モニタ60側の制御だけでなく、電動リール10側の制御操作を行うことができる。たとえばモニタ操作部43の操作により、仕掛けの棚位置の設定、仕掛けの誘い動作の設定等を行って、モータ37のオンオフ制御を行うことができる。
【0028】
モニタ表示部45は、ドットマトリックス方式の液晶ディスプレイであって、例えば、4インチのカラーTFT方式の液晶ディスプレイである。モニタ表示部45は、電動リール10のリール表示部29で表示可能な仕掛けの水深情報と、魚群探知機80で得られた底位置及び棚位置のエコー情報を表示可能である。モニタ表示部45は、魚探画面のときは、図4に示すように、左側に配置された3桁のドット数字表示の仕掛けの水深表示領域45aと、水深表示領域45aの下方に配置されたドット数字表示の気圧表示領域45bと、気圧表示領域45bの下方に配置された仕掛回収時間表示領域45cとを有している。また、モニタ表示部45の画面のほぼ全体が、海底の水深及び魚が群れている棚位置のエコー情報を表示するエコー画像表示領域45dとなっている。
【0029】
記憶部46には、モニタ表示制御部40において使用される各種のデータが記憶されている。気圧センサ44は、例えば特定用途の半導体集積回路を用いた半導体圧力センサであり、デジタルで気圧を出力できる。
【0030】
図3、図4,図5及び図6に示すように、魚探モニタ60は、電源47を内蔵可能なケース50を備えている。このケース50内に外部から視認可能に配置されたモニタ表示部45と、モニタ表示制御部40と、が設けられている。
【0031】
ケース50は、図6に示すように、上ケース52と、下ケース53と、を有している。上ケース52には、矩形の表示開口52a及び長円形の操作開口52bが形成された筐体を半割した形状のABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)等の合成樹脂製の部材である。上ケース52の上面は僅かに凹んでおり、そこには、間に防水両面テープ54を挟んで透明な表示パネル55が接着されている。表示パネル55の裏面は、モニタ表示部45が露出する部分を除いて例えば黒色に印刷されている。表示開口52aに面してケース50の内部に液晶ディスプレイからなるモニタ表示部45が配置されている。操作開口52bには、モニタ操作部43が配置されている。
【0032】
モニタ表示部45の下側には、回路基板56が配置されている。回路基板56の下面には、モニタ表示制御部40が搭載されている。また、回路基板56の下面には、ブザー27とカメラ59とが固定されている。回路基板56の図6左端下面には、充電用及びデータ転送用の接続端子61が搭載されている。回路基板56の下側には、基板ホルダ57が配置されている。基板ホルダ57は、下ケース53に2本のネジ68により固定されている。基板ホルダ57には、回路基板56とモニタ表示部45が固定されている。
【0033】
下ケース53は、上ケース52と同じ材質である。下ケース53は、図7及び図8に示すように、気圧センサ44を収納する概ね正方形に凹んだセンサ収納空間53aを有している。気圧センサ44は、センサ基板58の下面に搭載されている。センサ基板58の下面には、カメラ59用のフラッシュとしての図示しない発光ダイオード及び照度センサが装着されている。照度センサは、照度に応じてモニタ表示部45のバックライトを制御するために使用される。センサ基板58は、センサ収納空間53aの上方で下ケース53に封止剤により固定されている。
【0034】
気圧センサ44の下面は、シール部材48によりシールされている。気圧センサ44の検出面である下面には、図示しない検出孔が形成されている。気圧センサ44の下面には、検出孔に連通する通気孔62aを有する防水両面テープ62が貼られており、防水両面テープ62によりセンサ収納空間53aの底部53bに固定されている。底部53bには、通気孔62aに連通する連通口53eが形成されている。センサ収納空間53aの図8左方には、電源47を収納される電源収納空間53hが設けられている。電源収納空間53h側の下ケース53の端面には、回路基板56に配置された接続端子61が露出する端子開口53iが形成されている。端子開口53iは、端子キャップ63により塞がれている。端子キャップ63は、端子開口53iに弾性係止されており、端子開口53iに対して着脱可能である。端子キャップ63は、金属製のフレーム部材と、弾性を有する軟質合成樹脂製の外装部材と、を有している。
【0035】
センサ収納空間53aの下方には、図7に示すように、シール収納空間53dが形成されている。シール収納空間53dは、連通口53e及び底部53bが形成された隔壁53cを挟んで配置されている。シール収納空間53dは、外部に開口する円柱状の空間である。シール収納空間53dには、連通口53eの外周側にシール部材48を位置決めするための環状突起53fが形成されている。
【0036】
シール部材48は、図7,図8,図9及び図10に示すように、例えば、アクリルゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム等の弾性体製の部材である。シール部材48は、気圧センサ44に対向して配置される変形部48aと、変形部48aと一体形成された装着部48bと、を有している。装着部48bは、筒状でありシール収納空間53dの内周面53gに密着する。変形部48aは、シール収納空間53dの開口側で装着部48bと一体形成されている。変形部48aは、シール部材48でシールされるシール収納空間53d及び連通口53eの気圧が外気の気圧と実質的に同じになるように変形可能である。図7に示すように、変形部48aは装着部48bより薄肉であり、筒状の装着部48bの中心を通る断面視波形でかつ平面視同芯円状の凹凸形状に形成されている。
【0037】
下ケース53のセンサ収納空間53a形成部分を含む下面は、他の部分より凹んで形成されている。この凹んだ部分には、防水両面テープ64によりバックパネル66が固定されている。防水両面テープ64には、シール部材48用の円形開口64aと、発光ダイオード用の円形開口64bと、照度センサ用の矩形開口64cと、カメラ59の円形開口64dとが形成されている。円形開口64aは、シール部材48の外径よりわずかに小さい。バックパネル66には、シール部材48用の円形開口66aと、発光ダイオード用の円形開口66bと、照度センサ用の矩形開口66cと、カメラ59の円形開口66dとが円形に形成されている。円形開口66aは、連通口53eと略同じ直径である。
【0038】
このように構成された魚探モニタ60では、第1ボタン43aにより表示がオンすると、図4に示すような魚探画面が表示される。この魚探画面では、前述したように、魚群探知機80で得られた海底の水深及び棚位置を示すエコー情報が表示される。また、気圧センサ44で計測された気圧が表示される。さらに、電動リール10等の釣り用リールと接続されると、仕掛けの水深を示す図形がエコー情報の水深に対応する位置に表示される。また、仕掛けの水深が数値でも表示される。
【0039】
<特徴>
(A)魚探モニタ60は、魚群探知機80から送信されるエコー情報を表示可能な装置である。魚探モニタ60は、電源47を内蔵可能なケース50と、モニタ表示部45と、気圧センサ44と、シール部材48と、を備えている。モニタ表示部45は、外部から視認可能にケース50に配置されている。気圧センサ44は、ケース50内に設けられ、ケース50の周囲の外気の気圧を測定可能である。シール部材48は弾性体製である。シール部材48は、気圧センサ44に対向して配置され気圧に応じて変形する変形部48aと、変形部48aと一体形成されケース50に着脱自在に密着する装着部48bと、を有する。シール部材48は、気圧センサ44を密閉する。モニタ表示制御部40は、エコー情報と気圧センサ44で得られた気圧とをモニタ表示部45に表示させる。
【0040】
この魚探モニタ60では、モニタ表示部45に魚群探知機80から送信されエコーデータが表示される。また、気圧センサ44で検出された気圧がモニタ表示部45に表示される。この気圧センサ44は、弾性体製のシール部材48により密閉され、気圧センサ44への液体の浸入が防止される。外気の気圧が変動すると、変形部48aが変形してシール部材48の内部の気圧が外気の気圧に応じて変化する。ここでは、変形部48aの周囲に一体形成された装着部48bが着脱自在にケース50に密着する。このため、シール部材48をケース50に装着するだけで、気圧センサ44を密閉する空間を形成することができる。したがって、気圧センサ44を設けても気圧センサの密閉空間を容易で形成できる。
【0041】
(B)魚探モニタ60において、ケース50は、気圧センサ44を収納可能なセンサ収納空間53aと、センサ収納空間53aと連通口53eを有する隔壁53cを挟んで配置され、シール部材48を収納可能なシール収納空間53dと、を有する。この場合には、気圧センサ44が収納されるセンサ収納空間53aではなく、センサ収納空間53aと隔壁53cを挟んで配置されたシール収納空間53dにシール部材48が配置される。このためシール部材48を装着しやすくなり、密閉空間をさらに形成しやすくなる。
【0042】
(C)魚探モニタ60において、シール収納空間53dは、円柱状に外部に開口する空間である。シール部材48の装着部48bは、筒状でありシール収納空間53dに密着し、変形部48aは、シール収納空間53dの開口側で装着部48bと一体形成されている。この場合には、シール収納空間53dが円柱状の空間であるので、シール部材48でシールしやすくなる。また、変形部48aが開口側で装着部48bと一体形成されているので、変形部48aがより変形しやすくなる。
【0043】
(D)魚探モニタ60において、変形部48aは、シール部材48でシールされる空間の気圧が外気の気圧に応じて変動するように変形可能である。この場合には、シール部材48の変形により気圧を精度良く検出できる。
【0044】
魚探モニタ60において、変形部48aは、装着部48bの中心を通る断面視波形でかつ平面視同芯円状の凹凸形状に形成されている。この場合には、変形部48aが複数の同芯円状の凹凸形状であるので、気圧の変動により変形しやすくなる。
【0045】
(E)魚探モニタ60において、外部に糸長データを送信可能な釣り用リールから糸長データを受信するモニタ通信部42をさらに備える。モニタ表示制御部40は、受信した糸長データをエコー情報の水深に応じた位置でモニタ表示部45に表示させる。この場合には、仕掛けの水深もエコー情報とともに表示されるので、仕掛けを棚位置に配置しやすくなる。
【0046】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0047】
(a)前記実施形態では、魚探モニタ60に電動リール10から送信された仕掛けの水深を表示させたが、本発明はこれに限定されない。
【0048】
例えば、図11に示すように、釣り用リールのスプールに巻き付けられた釣り糸に作用する張力を魚探モニタ60で表示するようにしてもよい。この場合、電動リール10にモータ37又はスプールに作用するトルクを検出可能なトルクセンサ36を電動リール100に設けてトルクを検出する。このトルクの検出値と、仕掛けの水深を求める際に算出可能な糸巻径とにより釣り糸に作用する張力を求める。そして、リール通信部(第2通信部の一例)35を介して釣り糸に作用する張力を魚探モニタ60に送信する。この張力の情報を魚探モニタ60が受信すると、その値をモニタ表示制御部40がモニタ表示部45にさせてもよい。この場合には、釣り糸に作用する張力が表示ユニットに表示されるので、釣り糸を巻き取るときに、釣り糸の切断を確実に防止できる。なお、モータ37に流れる電流によりトルクを検出してもよい。
【0049】
(b)前記実施形態では、釣り用リールとして電動リール10を開示した。しかし、釣り用リールは、電動リールに限定されない。仕掛けの水深又は釣り糸に作用する張力を送信可能な釣り用リールであれば、手巻きの釣り用リールでもよい。
【0050】
(c)前記実施形態では、シール部材48の変形部48aを同芯円状の凹凸形状にしたが、本発明はこの形状に限定されない。例えば、別素材の可撓性薄膜素材を装着部と例えばインサート成形により一体形成してもよい。
【符号の説明】
【0051】
40 モニタ表示制御部
44 気圧センサ
45 モニタ表示部
47 電源
48 シール部材
48a 変形部
48b 装着部
50 ケース
53a センサ収納空間
53b 底部
53c 隔壁
53d シール収納空間
53e 連通口
53g 内周面
60 魚探モニタ(釣り情報表示装置の一例)
80 魚群探知機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚群探知機から送信されるエコー情報を表示可能な携帯型の釣り情報表示装置であって、
電源を内蔵可能なケースと、
外部から視認可能に前記ケース内に配置された表示ユニットと、
前記ケース内に設けられ、前記ケースの周囲の外気の気圧を測定可能な気圧センサと、
前記気圧センサに対向して配置され前記気圧に応じて変形する変形部と、前記変形部の周囲に一体形成され前記ケースに着脱自在に密着する装着部と、を有し、前記気圧センサを密閉する弾性体製のシール部材と、
前記エコー情報と前記気圧センサで得られた気圧とを前記表示ユニットとに表示させる表示制御部と、
を備えた釣り情報表示装置。
【請求項2】
前記ケースは、
前記気圧センサを収納可能なセンサ収納空間と、
前記センサ収納空間と連通口を有する隔壁を挟んで配置され、前記シール部材を収納可能なシール収納空間と、を有する、請求項1に記載の釣り情報表示装置。
【請求項3】
前記シール収納空間は、円柱状に外部に開口する空間であり、
前記シール部材の装着部は、筒状であり前記シール収納空間の内周面に密着し、前記変形部は、前記シール収納空間の開口側で前記装着部と一体形成されている、請求項2に記載の釣り情報表示装置。
【請求項4】
前記変形部は、前記シール部材でシールされる空間の気圧が前記外気の気圧に応じて変動するように変形可能である、請求項3に記載の釣り情報表示装置。
【請求項5】
前記変形部は、前記装着部の中心を通る断面視波形でかつ平面視同芯円状の凹凸形状に形成されている、請求項3又は4に記載の釣り情報表示装置。
【請求項6】
外部に糸長データを送信可能な釣り用リールから前記糸長データを受信する第1受信部をさらに備え、
前記表示制御部は、受信した前記糸長データを前記エコー情報の水深に応じた位置で前記表示ニットに表示させる、請求項1から5のいずれか1項に記載の釣り情報表示装置。
【請求項7】
外部に釣り糸に作用する張力データを送信可能な釣り用リールから前記張力データを受信する第2受信部をさらに備え、
前記表示制御部は、受信した前記張力データを前記表示ユニットに表示させる、請求項1から6のいずれか1項に記載の釣り情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−139647(P2011−139647A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1031(P2010−1031)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】