鉄筋の定着構造
【課題】 ネジ部とナットとの接合部における引っ張り強さを適切に管理して、ネジ部が弱点とならずに、鉄筋の母材で確実に破断させることが可能な鉄筋の定着構造を提供する。
【解決手段】 鉄筋10の端部を塑性硬化させた後に先細り状に切削加工して形成したテーパーネジ部30と、当該テーパーネジ部30に螺着するナット40とを備える。テーパーネジ部30とナット40との接合部における引っ張り強さが、鉄筋母材の引っ張り強さを上回るように設定する。
【解決手段】 鉄筋10の端部を塑性硬化させた後に先細り状に切削加工して形成したテーパーネジ部30と、当該テーパーネジ部30に螺着するナット40とを備える。テーパーネジ部30とナット40との接合部における引っ張り強さが、鉄筋母材の引っ張り強さを上回るように設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート構造物に使用する鉄筋の定着構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄筋コンクリート構造物に鉄筋の端部を定着させるには、端部を90度折り曲げてL字状としたり、端部を180度折り曲げてU字状としたりして定着部を形成していた。また、摩擦圧接を用いて鉄筋の端部にプレートを取り付けて定着部を形成するものや、ネジ構造を用いて定着部を形成するものが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された技術は、鉄筋の一端部を180度曲げ加工してU字状のフック部を形成するとともに、鉄筋の他端部に雄ネジ部を形成し、この雄ネジ部に掛止板を取り付けてナットで固定することにより鉄筋の定着を行うようにしたものである。
【0004】
特許文献2に記載された技術は、板状の定着部と、定着部の片側表面に設けた突出部と、突出部に沿って設けた鉄筋螺着用の雌ネジ部とを有している。そして、ネジ鉄筋の端部を定着部に設けた雌ネジ部にネジ込むとともにグラウト材を注入して、鉄筋の定着を行うようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】特開平10−196120号公報
【特許文献2】特許第2662150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、鉄筋の端部を曲げ加工した定着構造では、柱と梁の接合部等のように鉄筋が密になる箇所や中間帯鉄筋の端部などにおいては配筋が極めて困難であるという問題があった。
また、摩擦圧接を用いて鉄筋の端部にプレートを取り付けた定着構造や、ネジを用いた定着構造では、大型の製作装置を用いた特殊な加工が必要であり、このような設備を備えた工場等でないと製作が困難であった。
【0007】
また、鉄筋にネジ加工を施す場合にはネジ部が弱点となるため、鉄筋母材よりも強度の大きいネジを用意して、このネジを鉄筋端部に接合したり、ネジ部の断面積を増加させたりすることにより、定着構造に必要とされるネジ部の強度を確保していた。この場合にも、大型の製作装置を用いた特殊な加工が必要であった。
さらに、ネジを用いた定着構造では、ネジ部が弱点となることを回避して鉄筋の母材で確実に破断させるためには、ネジ部とナットとの接合部における引っ張り強さを適切に管理する必要がある。そのためには、ネジ部の締め付けトルクを適切に管理することが必要である。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、ネジ部とナットとの接合部における引っ張り強さを適切に管理して、ネジ部が弱点とならずに、鉄筋の母材で確実に破断させることが可能な鉄筋の定着構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る鉄筋の定着構造は、上述した目的を達成するため、鉄筋端部を塑性硬化させた後に先細り状に切削加工して形成したテーパーネジ部と、当該テーパーネジ部に螺着するナットとを備えた定着構造であって、以下の特徴点を備えている。
【0010】
第1に、テーパーネジ部とナットとの接合部における引っ張り強さが、鉄筋母材の引っ張り強さを上回るように設定することを特徴とする。
【0011】
第2に、テーパーネジ部とナットとの接合部における引っ張り強さは、ナットの締め付けトルク及びテーパーネジ部の螺合ネジ長さに応じて設定することを特徴とする。なお、螺合ネジ長さとは、ナットの雌ネジ部に螺合するテーパーネジ部のネジ長さ、すなわち、雄ネジ部であるテーパーネジ部のうち、ナットの雌ネジ部と螺合する部分の長さのことをいう(以下同様)。
【0012】
第3に、ナットの締め付けトルクの増大に応じて、テーパーネジ部の螺合ネジ長さを短縮することを特徴とする。
【0013】
第4に、ナットは、締め付けトルクを調節可能なトルク管理機構を有することを特徴とする。
【0014】
第5に、ナットは、テーパーネジ部へ螺着する側に、鉄筋母材方向に延長した延長部を有することを特徴とする。
【0015】
第6に、ナットの雌ネジ部の長さは、鉄筋母材の直径の0.9〜1.25倍であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る鉄筋の定着構造では、テーパーネジ部とナットとの接合部における引っ張り強さを適切に設定することにより、ネジ部が弱点とならずに、鉄筋の母材で確実に破断させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る鉄筋の定着構造の実施形態を説明する。
本発明に係る鉄筋の定着構造は、鉄筋端部を塑性硬化させた後に先細り状に切削加工して形成したテーパーネジ部と、当該テーパーネジ部に螺着するナットとを備えている。
【0018】
まず、鉄筋端部の塑性硬化処理について説明する。
図1〜図3は加工前の鉄筋を示すもので、図1は鉄筋を平面視した模式図、図2は鉄筋を正面視した模式図、図3は図2において鉄筋をA−A断面視した模式図である。また、図4〜図6は塑性硬化処理を施した後の鉄筋を示すもので、図4は鉄筋を平面視した模式図、図5は鉄筋を正面視した模式図、図6は鉄筋を図5においてA−A断面視した模式図である。また、図7及び図8は、切削加工後の鉄筋を示すもので、図7は鉄筋を平面視した模式図、図8は鉄筋を正面視した模式図である。また、図9及び図10は、塑性硬化処理に用いる治具を示すもので、図9は治具を側面視した模式図、図10は治具を縦断面視した模式図である。さらに、図11は塑性硬化のイメージを示すもので、一般的な鉄筋の応力歪み関係の説明図である。
【0019】
<塑性硬化処理に用いる治具>
本発明の実施形態で用いる鉄筋は、一般的なコンクリート構造物に用いられるものであり、例えば図1〜図8に示すように、異径鉄筋を用いることができる。鉄筋10の端部に塑性硬化処理を施すための治具50は、図9及び図10に示すように、鉄筋10を挟み込むように二分割されている。二分割された各治具50は、内側へ向かって突出した凸部51を有している。治具50を組み合わせた状態で、対向する凸部51間の距離が塑性硬化処理後の鉄筋10の外径にほぼ等しくなっており、これ以外の箇所の距離が塑性硬化前の鉄筋10の外径にほぼ等しくなっている。また、図示しないが、一対の角柱状の部材を治具50としてもよい。なお、治具50の材質は、公知の塑性加工に用いられるものでよい。
【0020】
<塑性硬化処理>
鉄筋10の端部に塑性硬化処理を施すには、加工すべき箇所に治具50を取り付け、治具50をプレス機で挟み付けて圧力をかければよい。塑性硬化処理に用いるプレス機は、一般的に普及している公知の小型のプレス機を用いることができる。このようにして塑性硬化処理を施すと、図1〜図3に示すような形状を呈していた鉄筋10の端部が、図4〜図6に示すような形状に変化する。図4及び図5において、塑性加工処理を施した範囲を符号20で示す。
このように、鉄筋10の端部に塑性硬化処理を施すと、図11に示すように、加工前と比較して見かけ上の降伏点が増大して、鉄筋10の端部の強度を増加させることができる。なお、図11において、縦軸は応力、横軸は歪みを示す。
【0021】
<ネジ加工>
続いて、塑性硬化処理が施された鉄筋10の端部にネジ加工を施す。このネジ加工は、旋盤等の公知の切削機を用いて行うことができる。本実施形態では、図7及び図8に示すように、塑性硬化処理が施された箇所から先端部に向かって先細り状に切削加工することにより、テーパーネジ部30が形成される。
なお、上述した塑性硬化処理は、テーパーネジ部30の基端部分のみに施すことが好ましい。このように、テーパーネジ部30の基端部分のみに塑性硬化処理を施すことにより、塑性硬化処理を行うための治具50やプレス機等をさらに小型化することができる。
【0022】
<ナット>
図12〜図16は、本発明の実施形態に係る鉄筋の定着構造を示すもので、図12はテーパーネジ部及びナットの一例を示す側面図、図13はテーパーネジ部及びナットの他の例を示す側面図、図14は第1の実施形態に係るトルク管理機構を有するナットの側面図(a)、斜視図(b)、図15は第2の実施形態に係るトルク管理機構を有するナットの平面図(a)、側面図(b)、斜視図(c)、図16は第3の実施形態に係るトルク管理機構を有するナットの側面図である。
テーパーネジ部30に螺着するナット40は、図12〜図16に示すように、その雌ネジ部41がテーパーネジ部30の傾斜角度に応じて傾斜している。そして、鉄筋10のテーパーネジ部30にナット40を螺着することにより、定着構造を形成することができる。なお、図12〜図14、及び図16に示す例では、雌ネジ部41がナット40を貫通していないが、ナット40を貫通して雌ネジ部41を設けてもよい。
【0023】
<テーパーネジ部とナットとの接合部における引っ張り強さ>
図17は、ネジ長さと締め付けトルクとの関係を示す説明図である。
本発明では、テーパーネジ部30とナット40との接合部における引っ張り強さが、鉄筋母材の引っ張り強さを上回るように設定されている。この際、テーパーネジ部30とナット40との接合部における引っ張り強さは、ナット40の締め付けトルク及びテーパーネジ部30の螺合ネジ長さに応じて設定する。
【0024】
図17に示すように、テーパーネジ部30とナット40との接合部において、テーパーネジ部30からナット40がズリ抜けずに、鉄筋母材で破断させるためには、ナット40の締め付けトルクの増大に応じて、テーパーネジ部30の螺合ネジ長さを短縮すればよい。なお、図17では、19mm径の鉄筋10を用いた場合における螺合ネジ長さと締め付けトルクとの関係を示しているが、他の鉄筋径であっても、螺合ネジ長さと締め付けトルクとの関係は同様であるため、ナット40の締め付けトルクの増大に応じて、テーパーネジ部30の螺合ネジ長さを短縮することにより、テーパーネジ部30からナット40がズリ抜けずに、鉄筋母材で破断させることができる。
図17では、鉄筋端部に塑性硬化処理を施した定着構造を示しているが、鉄筋端部に塑性硬化処理を施さない場合には、螺合ネジ長さと締め付けトルクとの関係を示す直線が、上方にシフトすることになる。
【0025】
<ナットの延長部>
本実施形態のナット40は、図12及び図13に示すように、テーパーネジ部30へ螺着する側に、鉄筋母材方向に延長した延長部43を有している。
図12に示す例では、ナット40の基端部において、ナット本体部42と同軸であって、ナット本体部42の径よりも小さな径を有する延長部43を設けている。また、図13に示す例では、ナット本体部42をそのまま延長して延長部43を設けている。このように、延長部43を設けることにより、テーパーネジ部30の根元に嵌め合う雌ネジ部分を確保することができるので、引き抜き角度が付いたクサビ引っ張り試験においても、接合部の機械的性質が安定し、接合部の引っ張り強さが鉄筋母材の引っ張り強さを上回る定着構造となる。
【0026】
<ナットの雌ネジ部の長さ>
本実施形態のナット40の雌ネジ部41の長さは、鉄筋母材の直径の0.9〜1.25倍に設定されている。
このように、ナット40の雌ネジ部41の長さを、鉄筋母材の直径の0.9〜1.25倍に設定することにより、接合部の機械的性質が安定し、接合部の引っ張り強さが鉄筋母材の引っ張り強さを上回る定着構造となる。
【0027】
<トルク管理機構>
本発明のナット40は、締め付けトルクを調節可能なトルク管理機構を有している。
本発明の実施形態に用いるナット40は、図14〜図16に示すように、ナット40の本体部分と、このナット40の本体部分に連続して設けた締め付け作用部60とから構成される。
【0028】
<トルク管理機構・第1の実施形態>
第1の実施形態に係るナット40の締め付け作用部60は、図14(a)、(b)に示すように、ナット40と同軸であって、ナット40の径よりも小さな径となっており、その外周面には軸方向に凹凸部61が形成されている。
【0029】
<トルク管理機構/第2の実施形態・第3の実施形態>
第2の実施形態及び第3の実施形態に係るナット40は、それぞれ図15及び図16に示すように、締め付け作用部60がナット40と同軸に形成されている。この締め付け作用部60は、その横断面の外周形状がポリゴン曲線等の3葉曲線となっている。第2の実施形態に係るナット40は、図15に示すように、テーパーネジ部30の挿入側とは反対側に締め付け作用部60を設けている。また、第3の実施形態に係るナット40は、図16に示すように、テーパーネジ部30の挿入側に締め付け作用部60を設けている。
【0030】
なお、トルク管理機構は、特公平1−24925号公報(特開昭61−36510号公報)に詳細に記載されている。すなわち、トルク管理機構は、トルクリミット機能及びロック機能付きナットからなる。このトルク管理機構は、外周面にその横断面の外周形状が非円形(ナットの回転中心に対して非円形の形状)からなる接合部分を、内周面にボルトの雄ネジ部分に対応する雌ネジが形成されているナットであって、該ナットをそれに対応するボルトに締め付ける際に、一定(設定値)以上の回転トルクが作用すると、締め付け工具に係合するナットの係合部分のうち該締め付け工具の最小半径で回転する部分によって、それより外側に位置する部分が塑性変形されて、該締め付け工具がスリップするようになっている。また、ナット内周面の最小径となる雌ネジ部が、この部分と接触するボルトの雄ネジ部よりも小さく変形し、該ナットの内周面が螺合する雄ネジの外周面を押圧するようになっている。さらに、ナットの外周面の係合部分の横断面の外周形状を、多様曲線(例えばポリゴン曲線、ハイポリコイド曲線、エピトリコイド曲線で代表される3葉曲線)で構成している。
【0031】
このようなトルク管理機構では、ナットをテーパーネジ部に締め付ける際に、軸横断面の内周形状がナットの係合部分の軸横断面の外周線と相似で僅かに大きい凹部あるは貫通孔からなる係合部分を有するボックスレンチ等の締め付け工具を用いてナットを締め付ける。これにより、締め付けの回転トルクが所望の回転トルク以上になると、締め付け工具の最小の回転半径で回転する部分によって、それより外側(ボックスレンチの係合部分のうち、回転させた場合に最小回転半径となる部分の回転軌跡の外側)に位置するナットの係合部分の係合が解け、ナットとレンチとの間でスリップを生じ、それ以上回転しない。したがって、作業者は、ナットとレンチが相対的にスリップするまでレンチを締め付けることにより、所定の回転トルク(締め付けトルク)を得ることができる。
【0032】
また、ナットの係合部分を構成する軸横断面の外周形状の塑性変形に伴って、ナットの軸横断面の内周形状が塑性変形して、雌ネジ部分が形成されている内周面の軸横断面の内周形状が初期のナット外周形状に相似する形状に変形して、雄ネジ部分の外周面を押圧する。したがって、ナットとレンチとのスリップが生じた際に、ボルトに対するナットの回転は所定の力でロックされ、ナットの回り止めとして機能する。
また、ボルトと螺合するナットの軸横断面の内周面形状が当初の外周面形状に相似する多葉曲線となり、一部に極端な変形部分を形成しないため、必要に応じてロック機能を解除してナットを外すことができる。
【0033】
<作用>
従来の一般的な切削ネジでは、ネジ部が弱点となり鉄筋10の母材で破断させることができないおそれがあった。したがって、従来の工法では、鉄筋10の母材で破断させるために、鉄筋10に対して強度の高いネジを接合し、あるいは冷間でネジ山を形成することで鉄筋10の断面積を減少させないようにしていた。また、冷間でネジ山を形成するためには、非常に大がかりな製作装置を必要としていた。
【0034】
これに対して本発明では、鉄筋10の端部のみに塑性硬化処理を施し、この端部をテーパーネジ部30とし、さらに、テーパーネジ部30とナット40との接合部における引っ張り強さを適切に管理することにより、鉄筋10とナット40との間における応力の伝達が円滑なものとなり、ネジ部が弱点とならずに、鉄筋10の母材で破断させることができる。また、鉄筋10の端部のみを冷間加工し、ネジ山は切削によって形成しているため、製作装置を小型化することができる。
【0035】
したがって、本発明によれば、建築現場等で小型の製作装置を用いて鉄筋10の端部を加工することができる。また、ネジ部が弱点とならずに、鉄筋10の母材で破断させることができるので、品質の高い定着構造とすることができる。さらに、ナット40にトルク管理機構を設けることにより、締め付けトルクと螺合ネジ長さを適切に管理することができるため、現場において全数の品質管理を行うことが可能となる。
【0036】
<他の実施形態>
本発明に係る鉄筋の定着構造は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えて実施することができる。
例えば、鉄筋10の端部に対して塑性加工処理を施す範囲は、鉄筋10の材質、外径、素材等に応じて適宜変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態に用いる加工前の鉄筋を平面視した模式図。
【図2】本発明の実施形態に用いる加工前の鉄筋を正面視した模式図。
【図3】本発明の実施形態に用いる加工前の鉄筋を図2においてA−A断面視した模式図。
【図4】本発明の実施形態に用いる塑性硬化処理後の鉄筋を平面視した模式図。
【図5】本発明の実施形態に用いる塑性硬化処理後の鉄筋を正面視した模式図。
【図6】本発明の実施形態に用いる塑性硬化処理後の鉄筋を図5においてA−A断面視した模式図。
【図7】本発明の実施形態に用いる切削加工後の鉄筋を平面視した模式図。
【図8】本発明の実施形態に用いる切削加工後の鉄筋を正面視した模式図。
【図9】本発明の実施形態に用いる治具を側面視した模式図。
【図10】本発明の実施形態に用いる治具を縦断面視した模式図。
【図11】一般的な鉄筋の応力歪み関係の説明図。
【図12】本発明の実施形態に係るテーパーネジ部及びナットの一例を示す側面図。
【図13】本発明の実施形態に係るテーパーネジ部及びナットの他の例を示す側面図。
【図14】本発明の第1の実施形態に係るトルク管理機構を有するナットの側面図(a)、斜視図(b)。
【図15】本発明の第2の実施形態に係るトルク管理機構を有するナットの平面図(a)、側面図(b)、斜視図(c)。
【図16】本発明の第3の実施形態に係るトルク管理機構を有するナットの側面図。
【図17】ネジ長さと締め付けトルクとの関係を示す説明図。
【符号の説明】
【0038】
10 鉄筋
20 塑性加工処理を施した範囲
30 テーパーネジ部
40 ナット
41 雌ネジ部
42 ナット本体部
43 延長部
50 治具
51 凸部
60 締め付け作用部
61 凹凸部
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート構造物に使用する鉄筋の定着構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄筋コンクリート構造物に鉄筋の端部を定着させるには、端部を90度折り曲げてL字状としたり、端部を180度折り曲げてU字状としたりして定着部を形成していた。また、摩擦圧接を用いて鉄筋の端部にプレートを取り付けて定着部を形成するものや、ネジ構造を用いて定着部を形成するものが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された技術は、鉄筋の一端部を180度曲げ加工してU字状のフック部を形成するとともに、鉄筋の他端部に雄ネジ部を形成し、この雄ネジ部に掛止板を取り付けてナットで固定することにより鉄筋の定着を行うようにしたものである。
【0004】
特許文献2に記載された技術は、板状の定着部と、定着部の片側表面に設けた突出部と、突出部に沿って設けた鉄筋螺着用の雌ネジ部とを有している。そして、ネジ鉄筋の端部を定着部に設けた雌ネジ部にネジ込むとともにグラウト材を注入して、鉄筋の定着を行うようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】特開平10−196120号公報
【特許文献2】特許第2662150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、鉄筋の端部を曲げ加工した定着構造では、柱と梁の接合部等のように鉄筋が密になる箇所や中間帯鉄筋の端部などにおいては配筋が極めて困難であるという問題があった。
また、摩擦圧接を用いて鉄筋の端部にプレートを取り付けた定着構造や、ネジを用いた定着構造では、大型の製作装置を用いた特殊な加工が必要であり、このような設備を備えた工場等でないと製作が困難であった。
【0007】
また、鉄筋にネジ加工を施す場合にはネジ部が弱点となるため、鉄筋母材よりも強度の大きいネジを用意して、このネジを鉄筋端部に接合したり、ネジ部の断面積を増加させたりすることにより、定着構造に必要とされるネジ部の強度を確保していた。この場合にも、大型の製作装置を用いた特殊な加工が必要であった。
さらに、ネジを用いた定着構造では、ネジ部が弱点となることを回避して鉄筋の母材で確実に破断させるためには、ネジ部とナットとの接合部における引っ張り強さを適切に管理する必要がある。そのためには、ネジ部の締め付けトルクを適切に管理することが必要である。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、ネジ部とナットとの接合部における引っ張り強さを適切に管理して、ネジ部が弱点とならずに、鉄筋の母材で確実に破断させることが可能な鉄筋の定着構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る鉄筋の定着構造は、上述した目的を達成するため、鉄筋端部を塑性硬化させた後に先細り状に切削加工して形成したテーパーネジ部と、当該テーパーネジ部に螺着するナットとを備えた定着構造であって、以下の特徴点を備えている。
【0010】
第1に、テーパーネジ部とナットとの接合部における引っ張り強さが、鉄筋母材の引っ張り強さを上回るように設定することを特徴とする。
【0011】
第2に、テーパーネジ部とナットとの接合部における引っ張り強さは、ナットの締め付けトルク及びテーパーネジ部の螺合ネジ長さに応じて設定することを特徴とする。なお、螺合ネジ長さとは、ナットの雌ネジ部に螺合するテーパーネジ部のネジ長さ、すなわち、雄ネジ部であるテーパーネジ部のうち、ナットの雌ネジ部と螺合する部分の長さのことをいう(以下同様)。
【0012】
第3に、ナットの締め付けトルクの増大に応じて、テーパーネジ部の螺合ネジ長さを短縮することを特徴とする。
【0013】
第4に、ナットは、締め付けトルクを調節可能なトルク管理機構を有することを特徴とする。
【0014】
第5に、ナットは、テーパーネジ部へ螺着する側に、鉄筋母材方向に延長した延長部を有することを特徴とする。
【0015】
第6に、ナットの雌ネジ部の長さは、鉄筋母材の直径の0.9〜1.25倍であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る鉄筋の定着構造では、テーパーネジ部とナットとの接合部における引っ張り強さを適切に設定することにより、ネジ部が弱点とならずに、鉄筋の母材で確実に破断させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る鉄筋の定着構造の実施形態を説明する。
本発明に係る鉄筋の定着構造は、鉄筋端部を塑性硬化させた後に先細り状に切削加工して形成したテーパーネジ部と、当該テーパーネジ部に螺着するナットとを備えている。
【0018】
まず、鉄筋端部の塑性硬化処理について説明する。
図1〜図3は加工前の鉄筋を示すもので、図1は鉄筋を平面視した模式図、図2は鉄筋を正面視した模式図、図3は図2において鉄筋をA−A断面視した模式図である。また、図4〜図6は塑性硬化処理を施した後の鉄筋を示すもので、図4は鉄筋を平面視した模式図、図5は鉄筋を正面視した模式図、図6は鉄筋を図5においてA−A断面視した模式図である。また、図7及び図8は、切削加工後の鉄筋を示すもので、図7は鉄筋を平面視した模式図、図8は鉄筋を正面視した模式図である。また、図9及び図10は、塑性硬化処理に用いる治具を示すもので、図9は治具を側面視した模式図、図10は治具を縦断面視した模式図である。さらに、図11は塑性硬化のイメージを示すもので、一般的な鉄筋の応力歪み関係の説明図である。
【0019】
<塑性硬化処理に用いる治具>
本発明の実施形態で用いる鉄筋は、一般的なコンクリート構造物に用いられるものであり、例えば図1〜図8に示すように、異径鉄筋を用いることができる。鉄筋10の端部に塑性硬化処理を施すための治具50は、図9及び図10に示すように、鉄筋10を挟み込むように二分割されている。二分割された各治具50は、内側へ向かって突出した凸部51を有している。治具50を組み合わせた状態で、対向する凸部51間の距離が塑性硬化処理後の鉄筋10の外径にほぼ等しくなっており、これ以外の箇所の距離が塑性硬化前の鉄筋10の外径にほぼ等しくなっている。また、図示しないが、一対の角柱状の部材を治具50としてもよい。なお、治具50の材質は、公知の塑性加工に用いられるものでよい。
【0020】
<塑性硬化処理>
鉄筋10の端部に塑性硬化処理を施すには、加工すべき箇所に治具50を取り付け、治具50をプレス機で挟み付けて圧力をかければよい。塑性硬化処理に用いるプレス機は、一般的に普及している公知の小型のプレス機を用いることができる。このようにして塑性硬化処理を施すと、図1〜図3に示すような形状を呈していた鉄筋10の端部が、図4〜図6に示すような形状に変化する。図4及び図5において、塑性加工処理を施した範囲を符号20で示す。
このように、鉄筋10の端部に塑性硬化処理を施すと、図11に示すように、加工前と比較して見かけ上の降伏点が増大して、鉄筋10の端部の強度を増加させることができる。なお、図11において、縦軸は応力、横軸は歪みを示す。
【0021】
<ネジ加工>
続いて、塑性硬化処理が施された鉄筋10の端部にネジ加工を施す。このネジ加工は、旋盤等の公知の切削機を用いて行うことができる。本実施形態では、図7及び図8に示すように、塑性硬化処理が施された箇所から先端部に向かって先細り状に切削加工することにより、テーパーネジ部30が形成される。
なお、上述した塑性硬化処理は、テーパーネジ部30の基端部分のみに施すことが好ましい。このように、テーパーネジ部30の基端部分のみに塑性硬化処理を施すことにより、塑性硬化処理を行うための治具50やプレス機等をさらに小型化することができる。
【0022】
<ナット>
図12〜図16は、本発明の実施形態に係る鉄筋の定着構造を示すもので、図12はテーパーネジ部及びナットの一例を示す側面図、図13はテーパーネジ部及びナットの他の例を示す側面図、図14は第1の実施形態に係るトルク管理機構を有するナットの側面図(a)、斜視図(b)、図15は第2の実施形態に係るトルク管理機構を有するナットの平面図(a)、側面図(b)、斜視図(c)、図16は第3の実施形態に係るトルク管理機構を有するナットの側面図である。
テーパーネジ部30に螺着するナット40は、図12〜図16に示すように、その雌ネジ部41がテーパーネジ部30の傾斜角度に応じて傾斜している。そして、鉄筋10のテーパーネジ部30にナット40を螺着することにより、定着構造を形成することができる。なお、図12〜図14、及び図16に示す例では、雌ネジ部41がナット40を貫通していないが、ナット40を貫通して雌ネジ部41を設けてもよい。
【0023】
<テーパーネジ部とナットとの接合部における引っ張り強さ>
図17は、ネジ長さと締め付けトルクとの関係を示す説明図である。
本発明では、テーパーネジ部30とナット40との接合部における引っ張り強さが、鉄筋母材の引っ張り強さを上回るように設定されている。この際、テーパーネジ部30とナット40との接合部における引っ張り強さは、ナット40の締め付けトルク及びテーパーネジ部30の螺合ネジ長さに応じて設定する。
【0024】
図17に示すように、テーパーネジ部30とナット40との接合部において、テーパーネジ部30からナット40がズリ抜けずに、鉄筋母材で破断させるためには、ナット40の締め付けトルクの増大に応じて、テーパーネジ部30の螺合ネジ長さを短縮すればよい。なお、図17では、19mm径の鉄筋10を用いた場合における螺合ネジ長さと締め付けトルクとの関係を示しているが、他の鉄筋径であっても、螺合ネジ長さと締め付けトルクとの関係は同様であるため、ナット40の締め付けトルクの増大に応じて、テーパーネジ部30の螺合ネジ長さを短縮することにより、テーパーネジ部30からナット40がズリ抜けずに、鉄筋母材で破断させることができる。
図17では、鉄筋端部に塑性硬化処理を施した定着構造を示しているが、鉄筋端部に塑性硬化処理を施さない場合には、螺合ネジ長さと締め付けトルクとの関係を示す直線が、上方にシフトすることになる。
【0025】
<ナットの延長部>
本実施形態のナット40は、図12及び図13に示すように、テーパーネジ部30へ螺着する側に、鉄筋母材方向に延長した延長部43を有している。
図12に示す例では、ナット40の基端部において、ナット本体部42と同軸であって、ナット本体部42の径よりも小さな径を有する延長部43を設けている。また、図13に示す例では、ナット本体部42をそのまま延長して延長部43を設けている。このように、延長部43を設けることにより、テーパーネジ部30の根元に嵌め合う雌ネジ部分を確保することができるので、引き抜き角度が付いたクサビ引っ張り試験においても、接合部の機械的性質が安定し、接合部の引っ張り強さが鉄筋母材の引っ張り強さを上回る定着構造となる。
【0026】
<ナットの雌ネジ部の長さ>
本実施形態のナット40の雌ネジ部41の長さは、鉄筋母材の直径の0.9〜1.25倍に設定されている。
このように、ナット40の雌ネジ部41の長さを、鉄筋母材の直径の0.9〜1.25倍に設定することにより、接合部の機械的性質が安定し、接合部の引っ張り強さが鉄筋母材の引っ張り強さを上回る定着構造となる。
【0027】
<トルク管理機構>
本発明のナット40は、締め付けトルクを調節可能なトルク管理機構を有している。
本発明の実施形態に用いるナット40は、図14〜図16に示すように、ナット40の本体部分と、このナット40の本体部分に連続して設けた締め付け作用部60とから構成される。
【0028】
<トルク管理機構・第1の実施形態>
第1の実施形態に係るナット40の締め付け作用部60は、図14(a)、(b)に示すように、ナット40と同軸であって、ナット40の径よりも小さな径となっており、その外周面には軸方向に凹凸部61が形成されている。
【0029】
<トルク管理機構/第2の実施形態・第3の実施形態>
第2の実施形態及び第3の実施形態に係るナット40は、それぞれ図15及び図16に示すように、締め付け作用部60がナット40と同軸に形成されている。この締め付け作用部60は、その横断面の外周形状がポリゴン曲線等の3葉曲線となっている。第2の実施形態に係るナット40は、図15に示すように、テーパーネジ部30の挿入側とは反対側に締め付け作用部60を設けている。また、第3の実施形態に係るナット40は、図16に示すように、テーパーネジ部30の挿入側に締め付け作用部60を設けている。
【0030】
なお、トルク管理機構は、特公平1−24925号公報(特開昭61−36510号公報)に詳細に記載されている。すなわち、トルク管理機構は、トルクリミット機能及びロック機能付きナットからなる。このトルク管理機構は、外周面にその横断面の外周形状が非円形(ナットの回転中心に対して非円形の形状)からなる接合部分を、内周面にボルトの雄ネジ部分に対応する雌ネジが形成されているナットであって、該ナットをそれに対応するボルトに締め付ける際に、一定(設定値)以上の回転トルクが作用すると、締め付け工具に係合するナットの係合部分のうち該締め付け工具の最小半径で回転する部分によって、それより外側に位置する部分が塑性変形されて、該締め付け工具がスリップするようになっている。また、ナット内周面の最小径となる雌ネジ部が、この部分と接触するボルトの雄ネジ部よりも小さく変形し、該ナットの内周面が螺合する雄ネジの外周面を押圧するようになっている。さらに、ナットの外周面の係合部分の横断面の外周形状を、多様曲線(例えばポリゴン曲線、ハイポリコイド曲線、エピトリコイド曲線で代表される3葉曲線)で構成している。
【0031】
このようなトルク管理機構では、ナットをテーパーネジ部に締め付ける際に、軸横断面の内周形状がナットの係合部分の軸横断面の外周線と相似で僅かに大きい凹部あるは貫通孔からなる係合部分を有するボックスレンチ等の締め付け工具を用いてナットを締め付ける。これにより、締め付けの回転トルクが所望の回転トルク以上になると、締め付け工具の最小の回転半径で回転する部分によって、それより外側(ボックスレンチの係合部分のうち、回転させた場合に最小回転半径となる部分の回転軌跡の外側)に位置するナットの係合部分の係合が解け、ナットとレンチとの間でスリップを生じ、それ以上回転しない。したがって、作業者は、ナットとレンチが相対的にスリップするまでレンチを締め付けることにより、所定の回転トルク(締め付けトルク)を得ることができる。
【0032】
また、ナットの係合部分を構成する軸横断面の外周形状の塑性変形に伴って、ナットの軸横断面の内周形状が塑性変形して、雌ネジ部分が形成されている内周面の軸横断面の内周形状が初期のナット外周形状に相似する形状に変形して、雄ネジ部分の外周面を押圧する。したがって、ナットとレンチとのスリップが生じた際に、ボルトに対するナットの回転は所定の力でロックされ、ナットの回り止めとして機能する。
また、ボルトと螺合するナットの軸横断面の内周面形状が当初の外周面形状に相似する多葉曲線となり、一部に極端な変形部分を形成しないため、必要に応じてロック機能を解除してナットを外すことができる。
【0033】
<作用>
従来の一般的な切削ネジでは、ネジ部が弱点となり鉄筋10の母材で破断させることができないおそれがあった。したがって、従来の工法では、鉄筋10の母材で破断させるために、鉄筋10に対して強度の高いネジを接合し、あるいは冷間でネジ山を形成することで鉄筋10の断面積を減少させないようにしていた。また、冷間でネジ山を形成するためには、非常に大がかりな製作装置を必要としていた。
【0034】
これに対して本発明では、鉄筋10の端部のみに塑性硬化処理を施し、この端部をテーパーネジ部30とし、さらに、テーパーネジ部30とナット40との接合部における引っ張り強さを適切に管理することにより、鉄筋10とナット40との間における応力の伝達が円滑なものとなり、ネジ部が弱点とならずに、鉄筋10の母材で破断させることができる。また、鉄筋10の端部のみを冷間加工し、ネジ山は切削によって形成しているため、製作装置を小型化することができる。
【0035】
したがって、本発明によれば、建築現場等で小型の製作装置を用いて鉄筋10の端部を加工することができる。また、ネジ部が弱点とならずに、鉄筋10の母材で破断させることができるので、品質の高い定着構造とすることができる。さらに、ナット40にトルク管理機構を設けることにより、締め付けトルクと螺合ネジ長さを適切に管理することができるため、現場において全数の品質管理を行うことが可能となる。
【0036】
<他の実施形態>
本発明に係る鉄筋の定着構造は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えて実施することができる。
例えば、鉄筋10の端部に対して塑性加工処理を施す範囲は、鉄筋10の材質、外径、素材等に応じて適宜変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態に用いる加工前の鉄筋を平面視した模式図。
【図2】本発明の実施形態に用いる加工前の鉄筋を正面視した模式図。
【図3】本発明の実施形態に用いる加工前の鉄筋を図2においてA−A断面視した模式図。
【図4】本発明の実施形態に用いる塑性硬化処理後の鉄筋を平面視した模式図。
【図5】本発明の実施形態に用いる塑性硬化処理後の鉄筋を正面視した模式図。
【図6】本発明の実施形態に用いる塑性硬化処理後の鉄筋を図5においてA−A断面視した模式図。
【図7】本発明の実施形態に用いる切削加工後の鉄筋を平面視した模式図。
【図8】本発明の実施形態に用いる切削加工後の鉄筋を正面視した模式図。
【図9】本発明の実施形態に用いる治具を側面視した模式図。
【図10】本発明の実施形態に用いる治具を縦断面視した模式図。
【図11】一般的な鉄筋の応力歪み関係の説明図。
【図12】本発明の実施形態に係るテーパーネジ部及びナットの一例を示す側面図。
【図13】本発明の実施形態に係るテーパーネジ部及びナットの他の例を示す側面図。
【図14】本発明の第1の実施形態に係るトルク管理機構を有するナットの側面図(a)、斜視図(b)。
【図15】本発明の第2の実施形態に係るトルク管理機構を有するナットの平面図(a)、側面図(b)、斜視図(c)。
【図16】本発明の第3の実施形態に係るトルク管理機構を有するナットの側面図。
【図17】ネジ長さと締め付けトルクとの関係を示す説明図。
【符号の説明】
【0038】
10 鉄筋
20 塑性加工処理を施した範囲
30 テーパーネジ部
40 ナット
41 雌ネジ部
42 ナット本体部
43 延長部
50 治具
51 凸部
60 締め付け作用部
61 凹凸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート構造物に使用する鉄筋の定着構造であって、
鉄筋端部を塑性硬化させた後に先細り状に切削加工して形成したテーパーネジ部と、当該テーパーネジ部に螺着するナットと、を備え
前記テーパーネジ部と前記ナットとの接合部における引っ張り強さが、鉄筋母材の引っ張り強さを上回るように設定することを特徴とする鉄筋の定着構造。
【請求項2】
前記テーパーネジ部と前記ナットとの接合部における引っ張り強さは、前記ナットの締め付けトルク及び前記テーパーネジ部の螺合ネジ長さに応じて設定することを特徴とする請求項1に記載の鉄筋の定着構造。
【請求項3】
前記ナットの締め付けトルクの増大に応じて、前記テーパーネジ部の螺合ネジ長さを短縮することを特徴とする請求項2に記載の鉄筋の定着構造。
【請求項4】
前記ナットは、締め付けトルクを調節可能なトルク管理機構を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉄筋の定着構造。
【請求項5】
前記ナットは、前記テーパーネジ部へ螺着する側に、鉄筋母材方向に延長した延長部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉄筋の定着構造。
【請求項6】
前記ナットの雌ネジ部の長さは、鉄筋母材の直径の0.9〜1.25倍であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の鉄筋の定着構造。
【請求項1】
鉄筋コンクリート構造物に使用する鉄筋の定着構造であって、
鉄筋端部を塑性硬化させた後に先細り状に切削加工して形成したテーパーネジ部と、当該テーパーネジ部に螺着するナットと、を備え
前記テーパーネジ部と前記ナットとの接合部における引っ張り強さが、鉄筋母材の引っ張り強さを上回るように設定することを特徴とする鉄筋の定着構造。
【請求項2】
前記テーパーネジ部と前記ナットとの接合部における引っ張り強さは、前記ナットの締め付けトルク及び前記テーパーネジ部の螺合ネジ長さに応じて設定することを特徴とする請求項1に記載の鉄筋の定着構造。
【請求項3】
前記ナットの締め付けトルクの増大に応じて、前記テーパーネジ部の螺合ネジ長さを短縮することを特徴とする請求項2に記載の鉄筋の定着構造。
【請求項4】
前記ナットは、締め付けトルクを調節可能なトルク管理機構を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉄筋の定着構造。
【請求項5】
前記ナットは、前記テーパーネジ部へ螺着する側に、鉄筋母材方向に延長した延長部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉄筋の定着構造。
【請求項6】
前記ナットの雌ネジ部の長さは、鉄筋母材の直径の0.9〜1.25倍であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の鉄筋の定着構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−293267(P2009−293267A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147588(P2008−147588)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【出願人】(509093026)公立大学法人高知工科大学 (95)
【出願人】(592155832)ユニタイト株式会社 (17)
【上記1名の代理人】
【識別番号】100130362
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 嘉英
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【出願人】(509093026)公立大学法人高知工科大学 (95)
【出願人】(592155832)ユニタイト株式会社 (17)
【上記1名の代理人】
【識別番号】100130362
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 嘉英
【Fターム(参考)】
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