説明

鉄道車両の構体材溶接接合方法とそれに用いる継手構造

【課題】速度、歪み、ルートギャップ許容度の関係を良好にできるようにする。
【解決手段】アルミニウム系の押出し形材よりなりシングルスキン構造またはダブルスキン構造を有した構体材対1、2の側縁間において、面板10、20どうしの突き合せ部のグルーブ17を、レーザ・MIGハイブリッドの溶接ヘッド6により溶接して接合し屋根構体11などを形成するようにして、上記の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム系の押出し形材よりなりシングルスキンまたはダブルスキン構造を有した構体材を溶接接合して鉄道車両の台枠、側枠構体、屋根構体などを形成する構体材溶接接合方法とそれに用いる継手構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両、特に新幹線車両では昭和61年度国鉄技術課題から始り、高速性能性向上、ランニングコスト、製作コスト低減のために徹底した軽量化が必要であるとの認識から、アルミニウム合金大型中空押出形材を構体材として用い、従来構造の柱、梁、垂木、補強などの多数の内部骨組部材の全く無い車体が試作され、ダブルスキン構造をなす中空材とすることにより車体の内、外面を直接溶接するのみで、十分な溶接強度が確保され、熱影響による歪み発生もなく、全自動溶接、車体回転治具の採用も容易なものになったとされている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
前記のような構体材の溶接にはシングルスキン構造、ダブルスキン構造を問わずMIGのアーク溶接が一般的に採用され、溶接接合する構体材対は図7(a)(b)(非特許文献1の写真4−1−4)に示すように、一方の構体材aの側縁における外面板a1および内面板a2間に、他方の構体材bにおける外面板b1および内面板b2を嵌め合せる嵌合継手をなして突き合せ、外面板a1、b1間、内面板a2、b2間に形成した開先部cにてMIG溶接するようにしている。開先部cの角度θは一般に70°程度とされている。
【0004】
別に、同じような嵌合形式であるが、外面板どうし、内面板どうしをそれらの端部にてI型開先に突き合せ、FSW方式にて摩擦接合するようにしたものも知られている(例えば、特許文献1参照。)。一般に摩擦拡散接合などと称される溶接方法である。また、外面板どうしをI型開先に突き合せた部分を内面側から摩擦溶接することで、外面の後加工が不要になるようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照。)。なお、外面板どうしの突き合せ部を摩擦溶接するために内面板間に形成していた開放部は蓋板を当てがい両側の内面板と突き合せた2箇所を摩擦溶接するようにしている。
【0005】
また、別に、摩擦接合には時間が掛かることから、外面板どうし、内面板どうしの一方を摩擦溶接し、他方をMIGまたはTIGのアーク溶接するようにした技術も知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
さらに、突き合せ構造ではないが、鉄道車両にレーザ溶接を適用する技術も知られている(例えば、特許文献4、5参照。)。
【非特許文献1】軽金属車両委員会報告書No.5 昭和59年―平成2年、平成3 軟5月発行(軽金属車両委員会編集)41〜43頁
【特許文献1】特開2000−202650号公報
【特許文献2】特開2000−205218号公報
【特許文献3】特開2004−223587号公報
【特許文献4】特開2002−361454号公報
【特許文献5】特開平10−230845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、本発明者は鉄道車両のアルミニウム製でシングルスキン構造またはダブルスキン構造の構体材どうしを溶接接合して構体などを形成するのに、溶接の、特に、速度、歪み、ルートギャップの許容度の関係を最善にすべく研究、開発をするなか、既述した従来の溶接方法ではそれぞれに一長一短があり、現状の問題を回避するのは困難であることを知見した。
【0008】
例えば、MIG溶接は、図5の2)に示すように溶け込み幅が大きく、溶接強度、ルートギャップの許容度、継手の自由度は高いが、溶接速度を上げにくく、溶接歪みが大きくなってしまう。また、太く高いビードができるので溶接部の仕上げで削除する部分が多い。レーザ溶接では、図5の3)に示すように溶け込み幅が小さく、溶接速度が速く、溶接歪みが少なく、溶接強度も高いし、溶接部の仕上げの研削量が少なくなるのに、ルートギャップに対する許容度が低い。鉄道車両の構体を形成するための押出し形材は長尺であるため、波打ちなどがどうしても生じ、それが規格内であるにしても構体材どうしを突き合せた場合双方の波打ちが相乗しルートギャップが部分的に大きくなるような部分のギャップにはレーザ溶接では対応できないことがある。従って、部分的な溶接不良を生じることがある。これらの面からも継手の自由度が低い。FSW溶接では、溶接歪みや溶接強度の面では問題はないが、既述した溶接速度が遅いことのほか、特許文献1、3に記載の摩擦溶接部は仕上げに手間が掛かる。特許文献2に記載の外面は図5の4)に下向きに示すように熱拡散の影響がなく仕上げが要らなくても、内面側は2箇所摩擦溶接しなければならない不便がある。また、ルートギャップに対する許容度はレーザ溶接の場合と同様の問題がある。波打ちによるルートギャップに対する問題は構体材どうしの各部を強く押し付けて位置決めすることで幾分対応することはできるが、手間が掛かるし装置が大型で高価なものとなる。
【0009】
本発明の目的は、主として速度、歪み、ルートギャップ許容度の関係を良好にできる鉄道車両の構体材溶接接合方法とそれに用いる継手構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を達成するために、本発明の鉄道車両の構体材溶接接合方法は、
アルミニウム系の押出し形材よりなりシングルスキン構造またはダブルスキン構造を有した構体材対の側縁間において、面板どうしの突き合わせ部とを、レーザ・MIGハイブリッド溶接により溶接して接合し構体を形成することを1つの特徴としている。
【0011】
このような構成では、ルートの母材部に対し先行するレーザ溶接により高速で細く深い溶け込みを図りながら、その直後をMIG溶接により追随することでルートギャップの許容度を持った溶け込み幅と所定の溶け込み深さでの高速な溶け込みを実現し、しかも、先行するレーザ溶接により昇温し、また溶融している母材部部分からMIG溶接トーチ側に飛翔してくる電子によるアークの誘導と、このアークを誘導する電子の飛翔域つまり誘導域を開先によるグルーブの断面形状によって制限できることとで、アークの放電域をルートギャップの許容に対する必要最小限に見合う溶け込み幅域に制御することができる。
【0012】
本発明の鉄道車両の構体材溶接接合方法は、また、アルミニウム系の押出し形材よりなりシングルスキン構造またはダブルスキン構造を有した構体材対の側縁間において、面板どうしのMIG溶接による従来開先に比し狭開先とした突き合わせ部を、レーザ・MIGハイブリッド溶接によりMIG溶接の場合よりも高速で溶接して接合し構体を形成することを別の特徴としている。
【0013】
このような構成では、ルートの母材部に対し従来よりも狭開先なのを生かしながら先行するレーザ溶接により高速で細く深い溶け込みを図りながら、その直後をMIG溶接により追随することでルートギャップの許容度を持った溶け込み幅と所定の溶け込み深さでの高速な溶け込みと溶加材充填を実現し、しかも、先行するレーザ溶接により昇温し、また溶融している母材部部分からMIG溶接トーチ側に飛翔してくる電子によるアークの誘導と、このアークを誘導する電子の飛翔域つまり誘導域を従来よりも狭開先とした開先によるグルーブの断面形状によって制限し、アークの放電域をルートギャップの許容に必要な範囲に見合う溶け込み幅域に制御することができる。
【0014】
このような溶接接合方法には、面板に、MIG溶接による従来開先に比し狭開先とした突き合せ部を有していることを特徴とする鉄道車両の構体材の継手構造を用いればよい。
【0015】
本発明の鉄道車両の構体材溶接接合方法は、また、アルミニウム系の押出し形材よりなりシングルスキン構造またはダブルスキン構造を有した構体材対の側縁間において、面板どうしの50°未満またはグルーブ開口幅/板厚<0.9の狭開先とした突き合せ部を、レーザ・MIGハイブリッド溶接により溶接して接合し構体を形成することを他の特徴としている。
【0016】
このような構成では、ルートの母材部に対し従来よりもさらに狭開先なのを生かしながら先行するレーザ溶接により高速で細く深い溶け込みを図りながら、その直後をMIG溶接により追随することで必要なルートギャップの許容度を持った溶け込み幅と所定の溶け込み深さでの高速な溶け込みと溶加材充填を実現し、しかも、先行するレーザ溶接により昇温し、また溶融している母材部部分からMIG溶接トーチ側に飛翔してくる電子によるアークの誘導と、このアークを誘導する電子の飛翔域つまり誘導域をルートの50°未満または開先開口幅/板厚<0.9とより一層の狭開先によるグルーブの断面形状によって十分に制限し、アークの放電域をルートギャップの許容に必要な範囲に見合う溶け込み幅域に制御することができる。
【0017】
このような溶接接合方法には、面板に50°未満またはグルーブ開口幅/板厚<0.9の狭開先とした突き合せ部を有したことを特徴とする鉄道車両の構体材の継手構造を用いればよい。
【0018】
構体材対が、一方の構体材の側縁の面板の上に、他方の構体材の側縁の面板を上乗せした重なり状態にて開先が露出した突き合せ部を形成し、溶接を行う、さらなる構成では、
一方の構体材を作業治具の上に載置しておき、その側縁の面板の上に、他方の構体材の側縁の面板を上乗せするのに、シングルスキン構造、ダブルスキン構造の別を問わないが、特にダブルスキン構造において、他方の構体材を作業治具上にある一方の構体材の横に載置する動きの最終段階で治具上へ前記重なりのための横移動成分を持った斜め方向の動きを伴い斜め方向に載置しさえすれば、そのときの重なりによって面板どうしの各一方がルート部の当て板部となる開先を持った突き合わせを終えて、開先部での溶接接合を達成することができる。
【0019】
一方の構体材の面板に他方の構体材の面板を上乗せする際に、それら面板どうしの重なり境界面の一方に設けておいた凹部と他方に設けておいた凸部とを嵌め合せて、構体材対を所定の開先形成位置に位置決めし、この位置決め状態で溶接を行う、さらなる構成では、
一方の構体材の面板に他方の構体材の面板を上乗せするのと同時に、前記上乗せによって重なりあった面板どうしの重なり境界面にある凹凸部が互いに嵌り合うので、特別な動作なく双方の構体材を所定の位置関係に位置決めができ、ルートギャップが通常以上に開いてしまうのを防止することができる。また、ダブルスキン構造の構体材間では特に、内外面板どうしの一方を溶接接合すると、溶接部の凝固ないしは固化に伴なう収縮にて溶接接合していない側で構体材どうしが開く溶接接合部を基点としたいわゆる角折れ現象が生じるのを、溶接接合していない側での凹凸部の嵌め合いによって阻止し、この側の開先におけるルートギャップが通常以上に開いてしまうようなことを防止することができる。
【0020】
凹部は、面板間の開先によるルートへの当て板部がなす重なり境界面に形成し、凸部は、面板の前記当て板部上への重なり板部がなす重なり境界面に形成しておく、さらなる構成では、
凸部を、上乗せの重なり構造上、面板の当て板部上に重なる重なり板部に設けておくことにより、凸部による増厚分だけ溶接接合部近傍のウイークポイントを増強することができるし、凹部が上乗せの重なり構造上、面板のルートの当て板部がなす重なり境界面に形成される関係上、凹部による肉盗み部が溶接による接合域外になって溶接強度に影響しないようにすることができる。
【0021】
凸部は、面板の前記当て板部上への重なり板部における、開先の直近で溶接接合後の疲労強度弱点域に対応して設けておく、さらなる構成では、
凸部が増厚となって、開先の直近の溶接接合後の疲労強度弱点域を増強することができる。なお、凸部は開先端部に位置するほど増強効果は大きいが、開先先端部から少し離しておくことで溶加材が開先から凹凸嵌合部へ入り込むことを防止することができる。
【0022】
ダブルスキン構造の構体材であって、外面板、内面板の疲労強度弱点域に対応して、通常値よりも増厚する、さらなる構成では、
開先の直近の溶接接合後の疲労強度弱点域を、凸部なしの嵌め合い機能のない増厚だけでも増強することができる。
【0023】
この場合、増厚域は、外面板、内面板の開先から疲労破壊域よりも遠くに生じる静強度弱点域をも含む、さらなる構成では、
凸部に左右されない増厚によって、開先から疲労破壊域よりも遠くに生じる静強度弱点域をも増強することができる。
【0024】
増厚は通常値よりも3割以上とする、さらなる構成では、
A6N01−T5の熱処理アルミ系を採用した継手構造において、JIS E 4050が継手効率70%を許容限界とされているところを、3割以上の増厚による増強によってJIS基準での継手効率を100%以上とすることができる。
【0025】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴は、それ単独で、あるいは可能な限りにおいて種々な組合せで複合して用いることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の鉄道車両の構体材溶接接合方法の1つの特徴によれば、先行するレーザ溶接と、追随するMIG溶接との組合せにより、ルートギャップの許容度を持った溶け込み幅で所定深さの高速な溶け込みを実現して、高速度溶接、入熱量減少による歪みの低減、十分な溶接強度を確保し、かつ、レーザ溶接による昇温、溶融環境で飛翔電子がアークを誘導する誘導域をルートの断面形状で制限しアークの放電域、従って溶け込み幅をルートギャッを許容する必要最小限に制御し、溶け込み幅が徒に大きくなって前記溶接の品質が低下するのを防止しやすい。
【0027】
本発明の鉄道車両の構体材溶接接合方法の別の特徴によれば、1つの特徴の場合に加え、さらに、従来よりも狭開先としたルート断面形状によって電子のアーク誘導域に対する制限度を高め、アークの放電域がルートギャップの許容範囲以上になるのを確実に防止し、溶接速度の向上と入熱量の減少を限度一杯まで図れる。
【0028】
本発明の鉄道車両の構体材溶接接合方法の他の特徴によれば、別の特徴の場合に加え、さらに、開先が50°未満またはグルーブ開口幅/板厚<0.9と狭い分だけ、アークの放電域がルートギャップの許容範囲以上になるのを、板厚によって溶接強度上許容される、より狭く、あるいは開先0度にも対応して、溶接速度の向上と入熱量の減少を限度一杯まで図れる。
【0029】
また、上記の各場合において、一方の構体材を作業治具の上に載置しておき、他方の構体材をその横に寄せながら上乗せするだけで、そのときの重なりによって面板どうしの各一方がルートの当て板部となる開先を持った突き合わせを終え、開先部での溶接接合を達成し、従来の嵌合方式に比し作業性を高められる。
【0030】
また、前記上乗せ時に、面板どうしの重なり境界面にある凹凸部の嵌り合いにより、特別な動作なく双方の構体材を所定の位置関係に位置決めができ、ルートギャップが波打ちによる通常以上に開くのを防止し、板厚に応じた最小限度の開先角度での溶接性能を保証することができる。また、ダブルスキン構造の構体材間では特に、内外面板どうしの一方を溶接接合したときの角折れ現象で非溶接接合部側が開くのを前記凹凸部の嵌め合い部の引っ掛かりによって阻止し、ルートギャップが通常以上に開くのを防止し、板厚に応じた最小限度の開先角度での溶接性能を保証することができる。
【0031】
前記凸部を、上乗せの重なり構造上、面板の当て板部上に重なる重なり板部に設けて、凸部による増厚分だけ溶接接合部近傍のウイークポイントを増強することができるし、これにより凹部は面板のルートの当て板部がなす重なり境界面に設けられるが、凹部による肉盗み部が溶接強度に影響せず凹部のために増厚などの補強が不要になる。
【0032】
この凸部の位置によって、それがなす部分的な増厚分にて、開先の直近の溶接接合後の疲労強度弱点域を増強することができるし、凸部を開先先端部から少し離せば溶加材が凹凸嵌合部に入り込むのを防止できる。
【0033】
ダブルスキン構造の構体材で、開先の直近の溶接接合後の疲労強度弱点域を、凸部を設けない嵌め合い機能のない増厚だけで増強することができ、溶加材が入り込む心配もない。しかし、凸部の併用はできる。
【0034】
増厚域によっては、凸部に左右されない増厚にて、開先から疲労破壊域よりも遠くに生じる静強度弱点域をも増強することができる。
【0035】
A6N01−T5の熱処理アルミ系を採用した継手構造において、JIS E 4050が継手効率70%を許容限界とされているところを、3割以上の増厚による増強によってJIS基準での継手効率を100%以上とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の鉄道車両の構体材溶接接合方法とそれに用いる継手構造に係る実施の形態につき、図1〜図5を参照しながら具体的に説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載を限定するものではない。
【0037】
本実施の形態の鉄道車両の構体材溶接接合方法は、アルミニウム系の押出し形材よりなり、図1(a)、図3に示すようなダブルスキン構造、または図6に示すようなシングルスキン構造を有した構体材対1、2の側縁1a、2a間において、それらの面板10、20どうし、さらに具体的にはダブルスキン構造では図1(a),図3に示すように外面板1b、2bどうしの突き合せ部と、内面板1c、2cどうしの突き合わせ部とを、シングルスキン構造では図6に示すように面板10、20どうしの突き合せ部を、図3にダブルスキン構造で代表して示し、図4に共通して示すようにレーザ・MIGハイブリッド溶接により溶接して溶接接合し、図3に示すような屋根構体11を始めとする各種の構体を形成する。この溶接には例えば、図3に示すようなレーザビームヘッド6、MIG溶接トーチ4、位置決めセンサ5を持った溶接ヘッド6を自走式の溶接ロボット7に搭載し、屋根構体11の形状に合わせて設計し、あるいは調節した図示しない支持部を有する作業治具8上に載置し、寄せ合わせクランプ12、押さえクランプ13の組合せで屋根構体11の形状に位置決めした必要数の構体材1、2の隣合うものどうしにつき、それらの外面板1b、2b間、内面板1c、2c間の表面に露出しているルート17にて位置決めセンサ5による光学的な位置認識のもとに自動的に溶接し接合する。
【0038】
基本的には高速性、高性能の面から自動溶接とするが、溶接の作業方式を特にとうものではない。図3、図4に示すようにレーザビーム14の照射によるレーザ溶接を先行し、MIG溶接トーチ4からのアーク15の放電によるMIG溶接を追随させる。レーザビーム14の照射位置とアーク15の放電位置とは近接しているのがよく、通常は2〜3mm程度に設定される。これは先行するレーザ溶接により形成される図4に示すような細く深い溶け込みを呈するいわゆるキーホール16の存在を必要な溶け込み幅Bが得られるアーク溶接に生すためのレーザ・MIGハイブリッド溶接特有の条件である。レーザは半導体レーザ、ファイバーレーザ、YAGレーザなど種々なものを採用することができる。
【0039】
上記のような溶接接合によると、図1、図3、図4に示すグルーブ17ないしはそのルート17a部の母材部に対し図3、図4に示すように先行するレーザ溶接により高速で細く深い図4に示すようなキーホール16をなす溶け込みを図りながら、その直後をMIG溶接により追随することでルートギャップの許容度を持った溶け込み幅Bと所定の溶け込み深さHでの高速な溶け込みを実現し、しかも、先行するレーザ溶接により昇温し、また溶融している母材部部分からMIG溶接トーチ4側に飛翔してくる電子によるアーク15の誘導と、このアーク15を誘導する電子の飛翔域つまり誘導域をグルーブ17の図1、図2に例示するような断面形状によって制限できることとで、アーク15の図4に示す放電域18をルートギャップの許容に対する必要最小限に見合う溶け込み幅域に制御することができる。
【0040】
以上のような、先行するレーザ溶接と、追随するMIG溶接との組合せの結果、ルートギャップの許容度を持った溶け込み幅Bで所定深さHの高速な溶け込みを実現して、高速度溶接とそれによる構体製造コストの低減、入熱量減少による歪みの低減、十分な溶接強度を確保し、かつ、レーザ溶接による昇温、溶融環境で飛翔電子がアーク15を誘導する誘導域をルート17の断面形状で制限しアーク15の放電域18、従って溶け込み幅Bをルートギャッを許容する必要最小限に制御し、溶け込み幅Bが徒に大きくなって前記溶接の品質が低下するのを防止しやすい。また、溶接強度保証には溶接後の図3、図4に示すようにビード17aが盛り上がる程度の溶加材の供与が不可欠であっても、溶け込み幅Bを制限する分だけ溶接後の仕上げでの研削量が少なく作業が楽になる。
【0041】
また、グルーブ17をなす開先は、MIG溶接による図7に示すような従来開先に比し角度θが小さい図1、図2や図6に例示するような狭開先としてレーザ・MIGハイブリッド溶接することにより、グルーブ17の母材部に対しグルーブ17の従来よりも狭開先なのを生かしながら先行するレーザ溶接により高速で細く深い溶け込みを図りながら、その直後をMIG溶接により追随することでルートギャップの許容度を持った溶け込み幅と所定深さでの高速な溶け込みと溶加材充填を実現し、しかも、先行するレーザ溶接により昇温し、また溶融している母材部部分からMIG溶接トーチ側に飛翔してくる電子によるアーク15の誘導と、このアーク15を誘導する電子の飛翔域つまり誘導域をグルーブ17の従来よりも狭開先とした断面形状によって電子のアーク誘導域に対する制限度を高め、アーク15の放電域18がルートギャップの許容範囲以上になるのを確実に防止し、溶接速度の向上と入熱量の減少を限度一杯まで図れる。
【0042】
特に、グルーブ17の開先を、JISが50°以上とするのよりも小さい、50°未
満またはグルーブ開口幅/板厚<0.9の狭開先とすれば、先行するレーザ溶接により高速で細く深い溶け込みを図りながら、その直後をMIG溶接により追随することで必要なルートギャップの許容度を持った溶け込み幅Bと所定の溶け込み深さHでの高速な溶け込みと溶加材充填を実現し、しかも、先行するレーザ溶接により昇温し、また溶融している母材部部分からMIG溶接トーチ側に飛翔してくる電子によるアーク15の誘導と、このアーク15を誘導する電子の飛翔域つまり誘導域をルート17の50°未満またはグルーブ開口幅/板厚<0.9の狭開先とした断面形状によって十分に制限し、アーク15の放電域18をルートギャップの許容に必要な範囲に見合う溶け込み幅域に制御することができる。要するに、開先が狭くなった分だけ、アーク15の放電域18がルートギャップの許容範囲以上になるのを、板厚によって溶接強度上許容される、より狭く、あるいは開先0度にも対応して、溶接速度の向上と入熱量の減少を限度一杯まで図れる。本発明者の実験ではA6N01−T5の熱処理したアルミニウム合金よりなる板厚が3mmの構体材1、2を用いた場合、開先0°のI型として、図5の1)に例示する溶接状態が得られ、図5の3)に示すレーザ溶接の場合に比し、溶け込み幅Bは少し大きい程度で、溶け込み深さH全体の溶け込み幅の差が小さくなる良好な溶接状態が得られ、溶接強度に問題なく溶け込み幅Bを最小として高速溶接性、ひずみの大幅な低減が図れる。同時に仕上げでの研削の手間、具体的には研削量も低減するし、継手の自由度が向上する。
【0043】
図1、図3に示すダブルスキン構造の構体材1、2の場合を代表して、以下、さらに詳述するが、その多くは図6に示すようなシングルスキン構造の構態材1、2にも同様に適用できる。図1(a)(b)に示すように、構体材対1、2が、一方の構体材1の側縁1aの外面板1bと内面板1cとの上に、他方の構体材2の側縁の外面板2bと内面板2cとをそれぞれ上乗せした重なり状態にてグルーブ17を形成する開先が露出した突き合せ部を形成し、レーザ・MIGハイブリッド溶接を行うようにしている。このような上乗せは、一方の構体材1を図3に示すように作業治具8の上に載置しておき、その側縁1aの外面板1bと内面板1cとの上に、他方の構体材2の側縁2aの外面板2bと内面板2cを上乗せするのに、他方の構体材2を作業治具上にある一方の構体材1の横に載置する動きの最終段階で治具上へ前記重なりの横移動成分を持った斜め方向の動きを伴い載置しさえすれば、そのときの重なりによって外面板1b、2bどうし、内面板1c、2cどうしの各一方がグルーブ17底部への当て板部1d、2dとなる開先を持った突き合わせを終えて、グルーブ17をなす開先部での溶接接合を達成することができる。これにより、一方の構体材1を作業治具の上に載置しておき、他方の構体材2をその横に寄せながら上乗せするだけで、そのときの重なりによって外面板1b、2bどうし、内面板1c、2cどうしの各一方がグルーブ17部の当て板部1d、2dとなる開先を持った突き合わせを終え、グルーブ17の開先部での溶接接合を達成し、従来のダブルスキン構造での嵌合方式に比し作業性を高められ、これも製造コスト低減に貢献する。
【0044】
また、図1(a)(b)に示すように、一方の構体材1の外面板1bおよび内面板1cに他方の構体材2の外面板2bおよび内面板2cを上乗せする際に、それら外面板1b、2bどうし、内面板1c、2cどうしの重なり境界面1f、2fの一方に設けておいた凹部21と他方に設けておいた凸部22とを嵌め合せて、構体材対1、2を所定の開先形成位置に位置決めし、この位置決め状態で溶接を行うようにしている。これにより、一方の構体材1の外面板1bおよび内面板1cに他方の構体材2の外面板2bおよび内面板2cを上乗せするのと同時に、前記上乗せによって重なりあった外面板1b、2bどうし、内面板1c、2cどうしの重なり境界面1f、2fにある凹凸部21、22が互いに嵌り合うので、特別な動作なく双方の構体材1、2を所定の位置関係に位置決めができ、ルートギャップが通常以上に開いてしまうのを防止することができる。また、外面板1b、2bどうしまたは内面板1c、2cどうしの一方を溶接接合すると、溶接部の凝固ないしは固化に伴なう収縮にて溶接接合していない側で構体材1、2どうしが開く溶接接合部を基点としたいわゆる角折れ現象が生じるのを、溶接接合していない側での凹凸部21、22の嵌め合いによって阻止し、この側の開先におけるルートギャップが通常以上に開いてしまうようなことを防止することができる。
【0045】
この結果、前記上乗せ時に、外面板1b、2bどうし、内面板1c、2cどうしの重なり境界面1f、2fにある凹凸部21、22の嵌り合いにより、特別な動作なく双方の構体材1、2を所定の位置関係に位置決めができ、ルートギャップが構体材1、2の押出し成形時の波打ちによる通常以上に開くのを防止し、板厚に応じた最小限度の開先角度θでの溶接性能を保証することができる。また、外面板1b、2bどうしまたは内面板1c、2cどうしの一方を溶接接合したときの角折れ現象で非溶接接合部側が開くのを前記凹凸部21、22の嵌め合い部の引っ掛かりによって阻止し、ルートギャップが通常以上に開くのを防止し、板厚に応じた最小限度の開先角度での溶接性能を保証することができる。このことは、図2(b)に例示する従来の広い開先でのグルーブ17が左側のギャップ0からギャップΔGに拡大した場合の、ΔG/グルーブ開口幅G0の比に対し、図2(a)に示すように本実施の形態のように狭開先でのルート17が左側のギャップ0からギャップΔGに同じだけ拡大した場合の、ΔG/グルーブ開口幅Gの比の方が大きく、開き量ΔGでも溶接への影響度が大きいので、この開き量ΔGを通常の変化範囲に抑えられる意味は、狭開先の本実施の形態において特に重要であるし、構体材1、2どうしを強く押し付けあう必要がないので溶接設備も簡単で小型な低コストなものでよくなる利点もある。
【0046】
特に、前記凹部21は、重なり合う外面板1b、2b間、重なり合う内面板1c、2c間の開先によるグルーブ17の底部であるルート17aの当て板部1d、2dがなす重なり境界面1f、2fに形成し、凸部22は、外面板1b、2bまたは内面板1c、2cの前記当て板部11d、2d上への重なり板部1g、2gがなす重なり境界面1f、2fに形成してある。このように、凸部22を、上乗せの重なり構造上、外面板1b、2bまたは内面板1c、2cの当て板部1d、2dと重なる重なり板部1g、2gに設けておくことにより、凸部22による増厚分だけ溶接接合部近傍のウイークポイントを増強することができる。また、凹部21が上乗せの重なり構造上、外面板1b、2bまたは内面板1c、2cのグルーブ17のルート17aへの当て板部1d、2dがなす重なり境界面1f、2fに形成する関係上、凹部21による肉盗み部が溶接による接合域外となって溶接強度に影響せず、凹部21を設けても増厚などの補強は要らない利点がある。しかも、凸部22は、外面板1b、2bまたは内面板1c、2cの前記当て板部1d、2d上への重なり板部1g、2gにおける、開先の直近で溶接接合後の図1(b)に示す疲労強度弱点域31に対応して設けていることにより、凸部22が増厚となって、開先の直近の溶接接合後の疲労強度弱点域31を増強することができる。なお、凸部22は開先端部に位置するほど増強効果は大きいが、開先先端部から図示するように少し離しておくことで溶加材が開先から凹凸部21、22の嵌合部へ入り込み、グルーブ17での充填効率が低下するようなことを防止することができる。
【0047】
図1(c)に示す例では外面板1b、2b、内面板1c、2cの疲労強度弱点域31に対応して、仮想線で示す図1(b)の場合の凸部22に代えて、あるいは図1(d)に示す例では凸部22を持って、図1(c)に仮想線で示す通常値よりも増厚した増厚部41としている。これによると、グルーブ17の開先の直近を含む溶接接合後の疲労強度弱点域31を、凸部22による嵌め合い機能のない、あるいは嵌め合い機能をも満足した増厚によって増強することができる。要するに、凸部22の位置によって、それがなす部分的な増厚分にて、開先の直近の溶接接合後の疲労強度弱点域31を増強することができるし、凸部22を開先先端部に設けてもよいが、溶加材の流れ込みの原因になるので、図示するように開先から少し離せば溶加材が凹凸嵌合部に入り込むのを防止できる。ここで、増厚域の長さによっては、凸部22に左右されない増厚によって、図1(c)(d)に示すように開先から疲労強度弱点域31よりも遠くに生じる熱処理アルミニウムに特異な静強度弱点域32をも増強することができる。このような増厚は、A6N01−T5の熱処理アルミ系を採用した継手構造において、JIS E 4050が継手効率70%を許容限界とされているところを、3割以上とすることによってJIS基準での継手効率を100%以上とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は鉄道車両のアルミニウム系構体材どうしをレーザ・MIGハイブリッド溶接にて接合して必要な大きさの構体を得るのに実用でき、溶接の高速度性、溶接強度、歪みの低減、製造コストの低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態におけるレーザ・MIGハイブリッド溶接に用いる継手構造を有したダブルスキン構造の構体材の例を示し、(a)は溶接できる状態に突き合せた構体材対の端面図、(b)は突合せ部の拡大図、(c)は強度弱点域を増厚により増強した1つの例を示す突合せ部の一部拡大図、(d)は強度弱点域を増厚により増強した別の例を示す突合せ部の一部拡大図である。
【図2】本実施の形態での溶接を行うグルーブにおける開先の広狭によるルートギャップが開いたときの影響を示す説明図であり、(a)は広(大)開先の場合、(b)は狭(小)開先の場合の説明図である。
【図3】図1(a)の構体材対を必要数並べて自動溶接する様子を示す概略斜視図である。
【図4】本実施の形態におけるレーザ・MIGハイブリッド溶接の状態を模式的に示す説明図である。
【図5】本実施の形態におけるレーザ・MIGハイブリッド溶接を含む各種溶接での溶け込み状態の違いを示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるレーザ・MIGハイブリッド溶接に用いる継手構造を有したシングルスキン構造の構体材の例を示し、溶接できる状態に突き合せた構体材対の端面図である。
【図7】従来のMIG溶接に用いていた継手構造を有した構体材の例を示し、(a)は溶接できる状態に突き合せた構体材対の端面図、(b)は突合せ部の拡大端面図である。
【符号の説明】
【0050】
1、2 構体材
10、20 面板
1a、2a、10a、20a 側縁
1b、2b 外面板
1c、2c 内面板
1d、2d、20d 当て板部
1f、2f 重なり境界面
1g、2g、10g 重なり板部
6 溶接ヘッド
7 溶接ロボット
11 屋根構体
14 レーザビーム
15 アーク
16 キーホール
17 ルート
18 放電域
21 凹部
22 凸部
31 疲労強度弱点域
32 静強度弱点域
41 増厚部
B 溶け込み幅
H 溶け込み深さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム系の押出し形材よりなりシングルスキンまたはダブルスキン構造を有した構体材対の側縁間において、面板どうしの突き合せ部を、レーザ・MIGハイブリッド溶接により溶接して接合し構体を形成することを特徴とする鉄道車両の構体材溶接接合方法。
【請求項2】
アルミニウム系の押出し形材よりなりシングルスキンまたはダブルスキン構造を有した構体材対の側縁間において、面板どうしのMIG溶接による従来開先に比し狭開先とした突き合せ部を、レーザ・MIGハイブリッド溶接によりMIG溶接の場合よりも高速で溶接して接合し構体を形成することを特徴とする鉄道車両の構体材溶接接合方法。
【請求項3】
アルミニウム系の押出し形材よりなりシングルスキンまたはダブルスキン構造を有した構体材対の側縁間において、面板どうしの50°未満またはグルーブ開口幅/板厚<0.9の狭開先とした突き合せ部を、レーザ・MIGハイブリッド溶接により溶接して接合し構体を形成することを特徴とする鉄道車両の構体材溶接接合方法。
【請求項4】
構体材対は、一方の構体材の側縁の面板の上に、他方の構体材の側縁の面板を上乗せした重なり状態にて開先が露出した突き合せ部を形成し、溶接を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉄道車両の構体材溶接接合方法。
【請求項5】
一方の構体材の面板に他方の構体材の面板を上乗せする際に、それら面板どうしの重なり境界面の一方に設けておいた凹部と他方に設けておいた凸部とを嵌め合せて、構体材対を所定の開先形成位置に位置決めし、この位置決め状態で溶接を行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉄道車両の構体材溶接接合方法。
【請求項6】
凹部は、面板間の開先によるルートの当て板部がなす重なり境界面に形成し、凸部は、面板の前記当て板部上への重なり板部がなす重なり境界面に形成しておく請求項5に記載の鉄道車両の構体材溶接接合方法。
【請求項7】
凸部は、面板の前記当て板部への重なり板部における、開先の直近で溶接接合後の疲労強度弱点域に対応して設けておく請求項6に記載の鉄道車両の構体材溶接接合方法。
【請求項8】
ダブルスキン構造の構体材であって、外面板、内面板の、疲労強度弱点域に対応して、通常値よりも増厚する請求項4〜7のいずれか1項に記載の鉄道車両の構体材溶接接合方法。
【請求項9】
増厚域は、外面板、内面板の開先から疲労破壊域よりも遠くに生じる静強度弱点域をも含む請求項8に記載の鉄道車両の構体材溶接接合方法。
【請求項10】
増厚は通常値よりも3割以上とする請求項8、9のいずれか1項に記載の鉄道車両の構体材溶接接合方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の鉄道車両の構体材溶接接合方法によって溶接接合される構体材であって、面板に、MIG溶接による従来開先に比し狭開先とした突き合せ部を有していることを特徴とする鉄道車両の構体材の継手構造。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の鉄道車両の構体材溶接接合方法によって溶接接合される構体材であって、面板に50°未満またはグルーブ開口幅/板厚<0.9の狭開先とした突き合せ部を有したことを特徴とする鉄道車両の構体材の継手構造。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の鉄道車両の構体材溶接接合方法によって溶接接合される構体材であって、側縁の面板が、他の構体材の側縁の面板とそれぞれ載せ、あるいは載せられた重なり状態にて開先が露出した突き合せ部を形成し、前記溶接に供する鉄道車両の構体材の継手構造。
【請求項14】
前記構体材の面板に他の構体材の面板を載せる際に、それら面板どうしの重なり境界面間にて嵌り合う凹部または凸部を形成している請求項11〜13のいずれか1項に記載の鉄道車両の構体材の継手構造。
【請求項15】
凹部は、面板間の開先によるルートへの当て板部がなす重なり境界面に形成し、凸部は、面板の前記当て板部への重なり板部がなす重なり境界面に形成した請求項14に記載の鉄道車両の構体材の継手構造。
【請求項16】
凸部は、面板の前記当て板部上への重なり板部における、開先の直近で溶接接合後の疲労強度弱点域に対応している請求項15に記載の鉄道車両の構体材の継手構造。
【請求項17】
構体材がダブルスキン構造であって、外面板、内面板の疲労強度弱点域に対応して、通常値よりも増厚している請求項11〜14のいずれか1項に記載の鉄道車両の構体材の継手構造。
【請求項18】
増厚域は、外面板、内面板の開先から疲労破壊域よりも遠くに生じる静強度弱点域をも含む請求項17に記載の鉄道車両の構体材の継手構造。
【請求項19】
増厚は通常値よりも3割以上としてある請求項17、18のいずれか1項に記載の構体材の継手構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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