説明

鉄骨被覆構造

【課題】建築物における鉄骨の位置関係、鉄骨の厚みに依存することなく容易に施工することができ、火災等の熱にさらされた場合でも熱膨張性耐火シートの膨張残渣の厚みに薄い部分が生成することを防止できる鉄骨被覆構造を提供すること。
【解決手段】平行に対向する二本のフランジを有する断面H字状の鉄骨と、前記二本のフランジの少なくとも一方のフランジの両端に設置された拡張具と、前記鉄骨および前記拡張具を覆う熱膨張性耐火シートと、を有する鉄骨被覆構造であって、
前記拡張具が、前記フランジ端部にはめ合わせることのできる設置溝を有し、前記拡張具の設置溝が、前記拡張具の設置溝の一部または全部が変形された状態により、前記フランジ端部にはめ合わされて、前記拡張具が、前記フランジ端部から外部に突き出して設置され、
前記拡張具が、加熱された場合に変形することを特徴とする、鉄骨被覆構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨の耐火被覆構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の鉄骨被覆構造として、金属板と熱膨張性材料層とを積層一体化し折り曲げ加工してなる耐火被覆ユニットを、予め鉄骨に取り付けられた拡張具を介して固定した鉄骨被覆構造が提案されている(特許文献1)。
【0003】
図29は従来の鉄骨被覆構造に使用する拡張具を説明するための模式斜視図である。
図29(a)は拡張具200の斜視図を示し、水平部202と、前記水平部202の対向する端部からそれぞれ垂下する二つのL字状片204,204と、前記水平部202の別の端部から垂下する垂直片206とを具備し、水平部202とL字状片204,204との間には挿入部210がそれぞれ形成されている。上記水平部202の形状は、正方形や長方形である。
【0004】
上記拡張具200の材質は金属が好ましいとされ、例えば、図29(b)に示された形状に打ち抜かれた鋼板、亜鉛メッキ鋼板、ステンレス鋼板等を破線に沿って折り曲げ加工することにより作製することができる。
【0005】
図30は従来の鉄骨被覆構造を説明するための模式断面図であり、床スラブ500を支持しているH型鋼100に耐火被覆を施した構造を示したものである。
【0006】
まず、H型鋼100の一方のフランジ2端部を拡張具200の挿入部210に挿入することにより前記拡張具200をH型鋼100に取り付け、H型鋼100のもう一方のフランジ2端部を別の拡張具200の挿入部210に挿入することにより前記拡張具200をH型鋼100に取り付ける。同様にして、H型鋼100の両方のフランジ3端部にさらに別の拡張具200,200をそれぞれ取り付ける。
以上の作業により、H型鋼100のフランジ2および3に2個ずつ、計4個の拡張具200を取り付ける。
【0007】
次いで、図30に示したように、不燃材300を拡張具200に固定することにより、H型鋼100の三方を不燃材300により被覆した後、石膏ボード310上に金属板と熱膨張性材料とからなる耐火被覆ユニット320を熱膨張性材料層側を内側として被覆し拡張具200へ固定する。この様にして図30に示される従来の鉄骨被覆構造が得られる。
【0008】
図30に示される従来の鉄骨被覆構造は、鉄骨に突起物等があった場合でも前記拡張具を介して鉄骨に耐火被覆ユニットを取り付けることにより施工することができるから、簡便かつ安価に、効率よく施工することができるとされる。
しかし先に説明した従来の鉄骨被覆構造の場合には鉄骨に突起物等があった場合でも施工することができる利点がある反面、金属板と熱膨張性材料層とを積層一体化し折り曲げ加工してなる耐火被覆ユニットを予め準備しておく必要があった。
このため建築物内部に鉄骨が複雑に組み合わされた場所が存在すると施工が困難となる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−013224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一方、本発明者が検討したところ、熱膨張性耐火シートにより鉄骨を被覆した鉄骨被覆構造が火災等の熱にさらされた場合、鉄骨を覆う熱膨張性耐火シートのうち、鉄骨を垂直方向に覆う部分と鉄骨を水平方向に覆う部分との境界となる角部分において、熱により膨張した熱膨張性耐火シートの膨張残渣に亀裂が入ったり、膨張残渣の厚みが前記角部分以外の部分と比較して薄くなったりする問題があることを発見した。
【0011】
加えて、鉄骨に拡張具を設置する際に厚みの異なる複数の鉄骨が存在すると、拡張具を設置することができなない場合があったり、逆に拡張具を設置した後に容易に鉄骨から拡張具が抜けるため、鉄骨被覆構造の施工が困難になる問題があることも発見した。
【0012】
本発明の目的は、建築物における鉄骨の位置関係、鉄骨の厚みに依存することなく容易に施工することができ、火災等の熱にさらされた場合であっても熱膨張性耐火シートの膨張残渣の厚みに薄い部分が生成することを防止できる鉄骨被覆構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため本発明者が鋭意検討した結果、鉄骨のフランジに拡張具を設置し、その拡張具の上から鉄骨を熱膨張性耐火シートが覆う鉄骨被覆構造であって、前記拡張具が火災等により加熱された場合に変形するものであり、鉄骨のフランジ端部が、前記拡張具の設置溝の一部または全部が変形状態を維持して前記拡張具の設置溝に挿入されている鉄骨被覆構造が本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
すなわち本発明は、
[1]平行に対向する二本のフランジおよび前記フランジを両端に連結した一本のウェブからなる断面H字状の鉄骨と、
前記二本のフランジの少なくとも一方のフランジの両端に設置された拡張具と、
前記鉄骨および前記拡張具を覆う熱膨張性耐火シートと、
を有する鉄骨被覆構造であって、
前記拡張具が、前記フランジ端部を挿入することのできる設置溝を有し、
前記フランジ端部が、前記拡張具の設置溝に挿入されることにより、
前記拡張具が、前記拡張具の設置溝の一部または全部が変形された状態を維持して、前記フランジ端部に設置され、
かつ前記拡張具が、前記フランジ端部から外部に突き出して設置され、
前記拡張具が、加熱された場合に変形することを特徴とする、鉄骨被覆構造を提供するものである。
【0015】
また本発明の一つは、
[2]前記拡張具の設置溝の一部または全部を変形させることにより、変形された拡張具の設置溝が変形前の形状に戻ろうとする応力が生じ、この応力により、前記拡張部の設置溝と前記フランジ端部とが固定されている、上記[1]に記載の鉄骨被覆構造を提供するものである。
【0016】
また本発明の一つは、
[3]前記拡張具の設置溝が、次の(1)〜(5)からなる群より選ばれる少なくとも一つである、上記[1]または[2]に記載の鉄骨被覆構造を提供するものである。
(1)互いに対向する前記拡張具の設置溝の一方の内面(a)と他方の内面(b)の少なくとも一方の面に突起部が設けられた設置溝
(2)前記拡張具の設置溝の奥の内面(c)から前記設置溝の開口部方向に向かって、連続的または段階的に前記設置溝の開口部が狭くなる設置溝
(3)互いに対向する、前記拡張具の設置溝の一方の内面(a)と他方の内面(b)の少なくとも一方の面が、折れ曲がり部を有する設置溝
(4)互いに対向する、前記拡張具の設置溝の一方の内面(a)と他方の内面(b)の少なくとも一方の面が、波形部を有する設置溝
(5)板材を組み合わせてなる設置溝であって、前記設置溝を形成する板材の少なくとも一つが前記フランジに傾斜して接する設置溝
【0017】
また本発明の一つは、
[4]前記拡張具が、設置溝を備えた球、設置溝を備えた立方体、設置溝を備えた直方体、設置溝を備えた円柱、設置溝を備えた多角柱、設置溝を備えた楕円柱、設置溝を備えた板状折り曲げ成形体からなる群より選ばれる少なくとも一つである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の鉄骨被覆構造を提供するものである。
【0018】
また本発明の一つは、
[5]前記拡張具が、設置溝を備えた球、設置溝を備えた立方体、設置溝を備えた直方体、設置溝を備えた円柱、設置溝を備えた多角柱、設置溝を備えた楕円柱、設置溝を備えた板状成形体からなる群より選ばれる少なくとも二以上を連結部材により連結してなる、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の鉄骨被覆構造を提供するものである。
【0019】
また本発明の一つは、
[6]前記拡張具が、本体板と、前記本体板の両端に設置された相対する二つの側面板とを有し、
前記側面板が、支持部とフランジ保持部とを有し、
前記鉄骨のフランジ端部を挿入するための設置溝が、前記本体板、前記側面板の支持部および前記側面板のフランジ保持部により囲まれる切欠きにより形成され、
前記側面板の支持部と前記側面板のフランジ保持部との接合部に、前記側面板の支持部に対して前記側面板のフランジ保持部を傾斜可能に連結する切込みが形成されている、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の鉄骨被覆構造を提供するものである。
【0020】
また本発明の一つは、
[7]前記拡張具が、熱膨張性耐火シートの熱膨張開始温度以下の温度により変形する、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の鉄骨被覆構造を提供するものである。
【0021】
また本発明の一つは、
[8]前記拡張具が、紙材、木材、天然樹脂および合成樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の鉄骨被覆構造を提供するものである。
【0022】
また本発明の一つは、
[9]前記鉄骨が、建築物の仕切り部に設けられた区画に対して一方のフランジの外面を平行にして設置され、
前記拡張具が、前記一方のフランジとは反対側の他方のフランジの両端に設置され、
前記熱膨張性耐火シートが、前記鉄骨および前記拡張具を覆うと共に、前記鉄骨および前記区画の少なくとも一方に固定されている、
上記[1]〜[8]のいずれかに記載の鉄骨被覆構造を提供するものである。
【0023】
また本発明は、
[10]上記[1]〜[9]のいずれかに記載の鉄骨被覆構造に使用するための設置溝を有する拡張具であって、
前記拡張具の設置溝が、次の(1)〜(5)からなる群より選ばれる少なくとも一つである、拡張具を提供するものである。
(1)互いに対向する、前記拡張具の設置溝の一方の内面(a)と他方の内面(b)の少なくとも一方の面に突起部が設けられた設置溝
(2)前記拡張具の設置溝の奥の内面(c)から前記設置溝の開口部方向に向かって、連続的または段階的に前記設置溝の開口部が狭くなる設置溝
(3)互いに対向する、前記拡張具の設置溝の一方の内面(a)と他方の内面(b)の少なくとも一方の面が、折れ曲がり部を有する設置溝
(4)互いに対向する、前記拡張具の設置溝の一方の内面(a)と他方の内面(b)の少なくとも一方の面が、波形部を有する設置溝
(5)板材を組み合わせてなる設置溝であって、前記設置溝を形成する板材の少なくとも一つが前記フランジに傾斜して接する設置溝
【0024】
また本発明の一つは、
[11]前記拡張具が、本体板と、前記本体板の両端に設置された対向する二つの側面板とを有し、
前記側面板が、支持部とフランジ保持部とを有し、
前記鉄骨のフランジ端部を挿入するための設置溝が、前記本体板、前記側面板の支持部および前記側面板のフランジ保持部により囲まれる切欠きにより形成され、
前記側面板の支持部と前記側面板のフランジ保持部との連結部に、前記側面板の支持部に対して前記側面板のフランジ保持部を傾斜可能に連結する切込みが形成されていることを特徴とする、上記[10]に記載の拡張具を提供するものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の鉄骨被覆構造に使用する拡張具は、前記拡張具の設置溝の一部または全部が変形された状態により、前記フランジ端部が前記拡張具の設置溝に挿入されている。
このため前記拡張具の設置溝の一部または全部の変形の程度を調節することにより、前記鉄骨のフランジの厚みが異なる場合でも、前記拡張具を簡単に鉄骨に設置することができる。
【0026】
さらに本発明の鉄骨被覆構造に使用する拡張具は、前記拡張具の設置溝の一部または全部を変形させることにより変形された拡張具の設置溝が変形前の形状に戻るための応力が生じ、この応力により、前記拡張部の設置溝と前記フランジ端部とが固定されている。
このため、前記フランジ端部に設置した前記拡張具が、容易に前記フランジ端部から脱落することを防止することができる。このため本発明の鉄骨被覆構造を施工する際の前記拡張具の脱落に伴う作業遅延が少なく、本発明の鉄骨被覆構造は施工性に優れる。
【0027】
また本発明の鉄骨被覆構造は、鉄骨のフランジの端部に前記フランジから外部に突き出して拡張具が設置されている。
そして熱膨張性耐火シートが前記拡張具を介して前記鉄骨を覆っていることから、前記熱膨張性耐火シートと前記フランジの端部との間には一定の隙間が設けられている。
この一方、前記拡張具は火災等の熱により加熱された場合、変形する。
このため本発明の鉄骨被覆構造が火災等の熱にさらされた場合には、前記熱膨張性耐火シートが膨張すると共に、前記拡張具が変形することから、前記熱膨張性耐火シートと前記フランジの端部との隙間に前記熱膨張性耐火シートの膨張残渣が充填される。
この結果、前記鉄骨の周囲には前記熱膨張性耐火シートの膨張残渣が比較的均一に生成し、鉄骨に対して膨張残渣が極端に薄くなる部分が生成することはなく、火災等の熱が鉄骨に伝わる時間を有効に遅延させることができる。
これにより本発明の鉄骨被覆構造は耐火性に優れる。
【0028】
また本発明の鉄骨被覆構造は、前記鉄骨および拡張具を熱膨張性耐火シートにより覆うことにより施工することができ、従来の鉄骨被覆構造の様に金属板と熱膨張性材料層とを積層一体化し折り曲げ加工してなる耐火被覆ユニットを準備する必要がない。このため鉄骨が複雑に組み合わさっている建築物においても容易に施工することができる。
【0029】
さらに本発明の鉄骨被覆構造は、鉄骨に拡張具を設置し、前記鉄骨および拡張具を熱膨張性耐火シートにより覆うことにより施工することができることから、本発明の鉄骨被覆構造を施工する際に熟練作業者以外にも施工が可能である。
これにより本発明の鉄骨被覆構造は施工作業性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は本発明である鉄骨被覆構造の実施形態を説明するための模式断面図である。
【図2】図2は本発明の鉄骨被覆構造のうち、図1に示す鉄骨および拡張具の部分を示す模式部分断面図である。
【図3】図3は本発明である鉄骨被覆構造の実施形態を説明するための模式断面図である。
【図4】図4は本発明に使用する拡張具の形状を説明するための斜視図である。
【図5】図5は本発明に使用する拡張具の形状を説明するための斜視図である。
【図6】図6は本発明に使用する拡張具の変形例を説明するための斜視図である。
【図7】図7は本発明に使用する拡張具の変形例を説明するための斜視図である。
【図8】図8は本発明に使用する拡張具の変形例を説明するための断面図である。
【図9】図9は本発明に使用する拡張具の設置溝に設置される突起部の変形例を示す模式斜視図である。
【図10】図10は本発明に使用する拡張具の設置溝に設置される突起部の変形例を示す模式斜視図である。
【図11】図11は本発明に使用する拡張具の設置溝に設置される突起部の変形例を示す模式斜視図である。
【図12】図12は本発明に使用する拡張具の一実施形態を説明するための斜視図である。
【図13】図13は本発明に使用する拡張具の一実施形態を説明するための平面図である。
【図14】図14は本発明に使用する拡張具の一実施形態を説明するための斜視図である。
【図15】図15は本発明に使用する拡張具の一実施形態を説明するための平面図である。
【図16】図16は本発明に使用する拡張具の一実施形態を説明するための斜視図である。
【図17】図17は本発明に使用する拡張具を鉄骨に設置した状態を説明するための模式斜視図である。
【図18】図18は本発明に使用する拡張具を鉄骨に設置した状態を説明するための模式斜視図である。
【図19】図19は本発明に使用する拡張具の変形例を説明するための平面図である。
【図20】図20は本発明に使用する拡張具の一実施形態を説明するための平面図である。
【図21】図21は本発明に使用する拡張具の一実施形態を説明するための斜視図である。
【図22】図22は本発明に使用する拡張具の一実施形態を説明するための平面図である。
【図23】図23は本発明に使用する拡張具の一実施形態を説明するための斜視図である。
【図24】図24は本発明に追加して使用される拡張具の一実施形態を説明するための斜視図である。
【図25】図25は本発明に追加して使用される拡張具の一実施形態を説明するための斜視図である。
【図26】図26は本発明の実施例1の鉄骨被覆構造を説明するための模式断面図である。
【図27】図27は比較例1の鉄骨被覆構造を説明するための模式断面図である。
【図28】図28は比較例3の鉄骨被覆構造を説明するための模式断面図である。
【図29】図29は従来の鉄骨被覆構造に使用する拡張具を説明するための模式斜視図である。
【図30】図30は従来の鉄骨被覆構造を説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に図面を参照しつつ、本発明の鉄骨被覆構造の実施形態について説明する。
図1は、本発明である鉄骨被覆構造の実施形態を説明するための模式断面図である。
図1に例示された鉄骨1は、その断面がH字状の構造を有するものであり、2本のフランジ2,3と1本のウェブ4とを備えるものである。前記2本のフランジ2,3のうち、上フランジ2と下フランジ3とは平行に対向していて、上フランジ2および下フランジ3の中央部に前記ウェブ4の両端が接続されている。
この鉄骨1は公知であり、市販品等を適宜選択して使用することができる。
【0032】
ここで前記鉄骨1は建物の床や天井等の構造材5を支える梁としての機能を有するものであり、前記構造材5と直接または金属接続部材等を介してボルト、溶接等の固定手段により固定されている(図示せず)。
なお図1では前記鉄骨1が梁として水平方向に設置された場合について説明しているが、前記鉄骨1を柱として垂直方向に設置した場合も同様に本発明の鉄骨被覆構造を形成することが可能である。
【0033】
前記下フランジ3の両端には拡張具6,6が設置されている。前記拡張具6,6はそれぞれ前記下フランジ3の端部の厚みよりも狭い開口部の設置溝を有していて、その設置溝を広げて前記下フランジ3を挿入することにより、前記下フランジ3の両端に拡張具6,6を設置することができる。
前記拡張具6,6はそれぞれ前記下フランジ3の両端から、前記ウエブ4に対して垂直方向および水平方向に外部に突き出して設置されている。
ここで前記下フランジ3から外部に突き出すとは、前記下フランジ3の両端を基準として、鉄骨1の外部へ拡張部分を有することを意味する。
【0034】
図2は本発明の鉄骨被覆構造のうち、図1に示す鉄骨および拡張具の部分を示す模式部分断面図である。
前記鉄骨1のうち、一点破線a‐aおよびb‐bにより分けられる範囲のうち、参照符号A〜Hにより示される範囲が鉄骨1の外部を示す。
図2に示される様に、前記拡張具6,6はそれぞれ、参照符号A、BおよびC、ならびに参照符号C、DおよびEに拡張部分を有する。
本発明に使用する拡張具は、図2の場合で説明すると、参照符号A、BおよびCのうち少なくとも一つの範囲に拡張部分を有するものであり、また参照符号参照符号C、DおよびEのうち少なくとも一つの範囲に拡張部分を有するものである。
本発明に使用拡張具は、参照符号AおよびEに拡張部分を有するものであれば好ましい。
【0035】
再度図1に戻って説明する。
前記鉄骨1および拡張具6,6は熱膨張性耐火シート7により覆われている。
前記熱膨張性耐火シート7を、ビス、タッカー、溶接ピン、ボルト、タッピング螺子等の固定手段により前記鉄骨1に対して固定することができる。
図1の場合では溶接ピン8により、前記熱膨張性耐火シート7が前記鉄骨1に固定されている。
【0036】
必要に応じて前記熱膨張性耐火シート7の端面を、床や天井等の構造材5にボルト、ビス、タッカー、タッピングねじ等の固定手段により固定することにより本発明の鉄骨被覆構造が得られる。
前記構造材5に対して前記熱膨張性耐火シート7を固定する際には、例えば前記構造材5に予め埋込ピン等の突起物を設置しておき、外側から押して前記熱膨張性耐火シート7に前記突起物を貫通させ、前記突起物の貫通部分を曲げる等の固定手段等によっても、前記構造材5に対して前記熱膨張性耐火シート7を固定することが可能である。
【0037】
図3は本発明である鉄骨被覆構造の実施形態を説明するための模式断面図である。
図1は鉄骨1を切断した断面を示す断面図であったが、図3は鉄骨1のウエブ4(図3ではウエブ4は熱膨張性耐火シート7により覆われているため図示されていない)と平行な面により切断した断面を示す断面図である。
図3では250mm毎に前記熱膨張性耐火シート7が鉄骨1に対して溶接ピン8により固定されている。
また前記熱膨張性耐火シート7を二枚以上使用する場合には、図3に示される様に、前記熱膨張性耐火シート7,7同士の境界部分を重ね合わせて固定することが好ましい。
図3の場合では前記熱膨張性耐火シート7,7が100mmの幅に重ねられている。
図3に示される様に、鉄骨1に対する火災等の熱の影響を排除するために本発明の鉄骨構造は、前記熱膨張性耐火シート7により前記鉄骨1および拡張具6が隙間なく覆われていることが好ましい。
【0038】
本発明に使用される拡張具6は、火災等により加熱された場合に変形するものが用いられる。
前記拡張具6の変形は、体積の減少を伴うものが好ましく、前記熱膨張性耐火シート7が膨張を開始する前後の温度において前記6の変形や体積の減少が伴う変形が始まることがより好ましく、前記熱膨張性耐火シート7の熱膨張開始温度よりも低い温度において前記拡張具6の変形や体積の減少を伴う変形が始まることがさらに好ましい。
前記熱膨張性耐火シート7の熱膨張開始温度よりも低い温度において変形する拡張具を使用することにより、前記熱膨張性耐火シートが膨張する前に前記拡張具が前記熱膨張性耐火シートを保持すると共に前記熱膨張性耐火シートの位置が変動することを防止することができる。
【0039】
通常本発明に使用する熱膨張性耐火シート7は80〜300℃の温度範囲により膨張を開始するが、本発明に使用する拡張具6は前記熱膨張性耐火シートの膨張開始温度に合わせて、その熱膨張を妨げない温度範囲において変形するものを適宜選択されることが好ましい。
【0040】
図1に示される鉄骨被覆構造が火災等の熱にさらされた場合、前記鉄骨1および拡張具6,6を覆う前記熱膨張性耐火シート7が膨張すると共に前記拡張具6,6は、使用する熱膨張性耐火シートの熱膨張開始温度の前後の温度において変形を開始する。
前記拡張具6,6は60〜550℃の温度範囲において収縮、溶融、流出、気化、分解、焼失等により変形しながらその体積が減少するものを使用することが好ましく、前記熱膨張性耐火シート7の熱膨張開始温度以下の温度で変形しながらその体積が減少するものであればより好ましい。
火災等の熱により前記拡張具6,6が変形し、前記拡張具6,6が損なわれた場合であっても前記熱膨張性耐火シート7が膨張し、前記熱膨張性耐火シート7による膨張残渣が前記拡張具6,6の存在していた空間を含めて、前記鉄骨1の下ウエブ3と前記熱膨張性耐火シート7との隙間に配置される。
これにより前記鉄骨1の周囲は、前記拡張具6,6を使用しなかった場合と比較して前記熱膨張性耐火シートの膨張残渣により比較的均一に取り囲まれる。
前記鉄骨1の周囲には前記膨張残渣が極端に薄くなった部分が存在しないため、火災等の熱から鉄骨1を有効に保護することができる。
【0041】
次に本発明に使用する熱膨張性耐火シートについて説明する。
本発明に使用する熱膨張性耐火シートは、エポキシ樹脂やゴム等の樹脂成分、リン化合物、熱膨張性黒鉛、無機充填材等を含有する熱膨張性樹脂組成物をシート状に成形してなるものである。
前記熱膨張性耐火シートは、ガラスクロス等の無機繊維シート、アルミニウム箔、銅箔等の金属箔等の一種もしくは二種以上を積層したものを使用することができる。
【0042】
前記無機繊維シートに使用する無機繊維としては、例えば、グラスウール、ロックウール、セラミックウール、石膏繊維、炭素繊維、ステンレス繊維、スラグ繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。
前記無機繊維層は、前記無機繊維を用いた無機繊維クロスを使用することが好ましい。
また前記無機繊維シートに使用する無機繊維は、金属箔をラミネートしたものを使用することが好ましい。
金属箔ラミネート無機繊維の具体例としては、例えば、アルミニウム箔ラミネートガラスクロス、銅箔ラミネートガラスクロス等がさらに好ましい。
【0043】
前記熱膨張性耐火シートは、例えば金属箔層、熱膨張性樹脂層および無機繊維層等を積層すること等により得ることができる。これらの積層には溶融同時押出、熱プレス等の他、接着剤により各層を貼着する手段等を挙げることができる。本発明に使用する熱膨張性耐火シートは金属箔層が最外面にあることが好ましい。
【0044】
前記熱膨張性耐火シートは市販品を使用することができ、例えば積水化学工業社製フィブロック(商品名。エポキシ樹脂やゴムを樹脂成分とし、リン化合物、熱膨張性黒鉛および無機充填材等を含む熱膨張性樹脂組成物のシート状成形物)等を入手して使用することが可能である。
なお前記熱膨張性黒鉛は中和された熱膨張性黒鉛を使用することが好ましい。
【0045】
前記熱膨張性耐火シートは火災等の熱により膨張し、膨張残渣を形成する。この膨張残渣が前記鉄骨に対する火災等の炎を遮断する。このため火災等が発生した場合であっても前記鉄骨の強度が低下すること等を防止することができる。
【0046】
また本発明においては、前記鉄骨および拡張具を鉄骨被覆材により覆ってから熱膨張性耐火シートを重ねて覆うことができ、また前記熱膨張性耐火シート7の上から鉄骨被覆材により重ねて覆うこともできる。
【0047】
前記鉄骨用被覆材としては、例えば、ロックウール、グラスウール、セラミックウール等の無機繊維からなる無機繊維シート、
アルミ箔、鉄箔、ステンレス箔、錫箔、鉛箔、錫鉛合金箔、銅箔、クラッド箔、鉛アンチ箔等の金属や、アルミニウム薄板、銅薄板、ステンレス薄板、錫薄板、鉛薄板、錫鉛合金薄板、クラッド薄板、鉛アンチ薄板等の金属薄板、アルミガラスクロス、合成樹脂に対し、アルミニウム、マグネシウム等の金属粉を分散させたもの等からなる金属シート等を挙げることができる。
これらの前記無機繊維シート、前記金属シート等の一種もしくは二種以上を組み合わせて使用するか、あるいは積層させて使用することができる。
【0048】
次に本発明に使用する拡張具の詳細について説明する。
図4および図5は本発明に使用する拡張具の形状を説明するための斜視図である。
図4および図5に例示される様に、本発明に使用する拡張具の形状としては、例えば球、立方体、直方体等の他、円柱、四角柱、多角柱等の形状が挙げられる。
なお本発明においては、長手方向に200mm未満の長さのものを直方体と表現し、長手方向に200mm以上の長さのものを四角柱、多角柱等と表現する。
【0049】
図4および図5に例示される拡張具は設置溝10を備える。前記設置溝10は鉄骨のフランジ端部に前記拡張具を設置するために設けられている。
図4および図5の場合、鉄骨のフランジの厚みよりも前記設置溝の開口部の大きさが狭い。このため拡張具の設置溝の一部または全部を変形させることにより、拡張具の設置溝に本発明に使用する鉄骨のフランジの端部を挿入することができる。
【0050】
ここで鉄骨のフランジの厚みと前記設置溝の開口部の大きさとの関係を説明する。
前記設置溝の開口部の大きさは、鉄骨のフランジの厚みTmmを基準として、前記設置溝の開口部の大きさが、前記鉄骨のフランジの厚み方向に最も狭い部分を基準として(T−1)〜(T−30)mmの範囲にあることが好ましい。
前記設置溝の開口部の大きさは、(T−5)〜(T−20)mmの範囲であればより好ましく、(T−5)〜(T−10)mmの範囲であればさらに好ましい。
【0051】
拡張具の設置溝の一部または全部を変形させる際には、前記設置溝の開口部を広げるとよい。
前記球の拡張具の設置溝10を変形させることにより、変形された拡張具の設置溝10が変形前の形状に戻るための応力が生じる。この応力により、前記拡張部の設置溝10と前記フランジ端部とを固定することができる。
前記応力により、前記拡張部の設置溝10と前記フランジ端部とを固定することができる点は、以下の拡張具の場合も同様である。
【0052】
図6、図7、図9〜図11は、図4および図5に記載された拡張具の変形例を例示した斜視図である。また図8は図4および図5に記載された拡張具の変形例を例示した断面図である。
図6(a’)に例示される球の拡張具は設置溝10に加え、突起部40を備える。
図6(a’)に例示される設置溝10は、前記拡張具の設置溝10の一方の内面30および他方の内面31ならびに奥の内面32により形成されている。また前記拡張具の設置溝10の一方の内面30および他方の内面31は互いに対向する関係にある。
前記球の拡張具の設置溝10の内面30には突起部40が設けられている。前記突起部40の形状は先端が球面状の略円錐形状である。
本発明に使用する前記突起部の形状に限定はなく、目的に合わせて適宜選択して採用することができる。
【0053】
前記球の拡張具の設置溝10の内面31と前記突起部40の先端との距離は、本発明に使用する鉄骨のフランジ端部の厚みよりも小さい。
このため前記球の拡張具の設置溝10を本発明に使用する鉄骨のフランジ端部に設置する際には、前記球の拡張具の設置溝10を広げてから、前記球の拡張具の設置溝10に鉄骨のフランジの端部を挿入する。
前記立方体の拡張具の設置溝10を変形させることにより生じる、変形された拡張具の設置溝10が変形前の形状に戻るための応力により、前記拡張部の設置溝10と前記フランジ端部とを固定することができる。
【0054】
図6(b’)に例示される立方体の拡張具は設置溝10に加え、突起部41を備える。
図6(b’)に例示される設置溝10は、図6(a’)の場合と同様に前記拡張具の設置溝の一方の内面30および他方の内面31ならびに奥の内面32により形成されている。
前記立方体の拡張具の設置溝10の内面30および31にはそれぞれ突起部41,41が設けられている。前記突起部41,41の形状は直方体である。
【0055】
前記立方体の拡張具の設置溝10の内面30に設置された前記突起部41と、前記立方体の拡張具の設置溝10の内面31に設置された前記突起部41との距離は、本発明に使用する鉄骨のフランジ端部の厚みよりも小さい。
このため前記立方体の拡張具の設置溝10を本発明に使用する鉄骨のフランジ端部に設置する際には、前記立方体の拡張具の設置溝10を広げてから、前記立方体の拡張具の設置溝10に鉄骨のフランジの端部を挿入する。
前記立方体の拡張具の設置溝10を変形させることにより生じる、変形された拡張具の設置溝10が変形前の形状に戻るための応力により、先の球の拡張具の場合と同様に前記拡張部の設置溝10と前記フランジ端部とを固定することができる。
【0056】
図6(c’)に例示される直方体の拡張具は設置溝10を備える。
図6(c’)に例示される直方体の拡張具は、先の図6(b’)に例示した立方体の拡張具の場合と同様、前記立方体の拡張具の設置溝10の内面30に設置された前記突起部41と、前記立方体の拡張具の設置溝10の内面31に設置された前記突起部41とを有する。
図6(b’)に例示される立方体の拡張具の場合には、前記突起部41が前記設置溝10の内部に対称的に配置されているが、図6(c’)に例示される直方体の拡張具の場合には、前記突起部41は前記設置溝10の内面30と内面31にそれぞれ交互に配置されている点が異なる。
【0057】
図7(d’)〜(f’)に例示される柱状の拡張具は設置溝10に加え、突起部42を備える。
前記柱状の拡張具の設置溝10の内部にも突起部42,42が設置されている。前記突起部42,42間の距離は鉄骨の厚みより狭いが、前記柱状の拡張具の設置溝10を広げることにより、前柱状の拡張具の設置溝10に鉄骨のフランジの端部を挿入することができる。
【0058】
図8は、本発明に使用する拡張具の設置溝に設置される突起部の変形例を示す模式断面図である。
図8(d)および(e)に例示される様に、拡張具の設置溝10の内面30、内面31および奥の内面32のうち、内面30および内面31の少なくとも一方に突起部42を設置することができる。
【0059】
また図8(f)および(g)に例示される様に、前記拡張具の設置溝10の奥の内面32から前記設置溝10の開口部方向に向かって、前記設置溝10の開口部を狭くすることにより、拡張具の設置溝10の内面30および内面31に、図8(d)および(e)に例示される突起部42と同様の機能を与えることができる。
図8(d)および(e)に例示される突起部42は段階的に前記設置溝10の開口部方向に向かって隆起するのに対し、図6(f)および(g)に例示される突起部43は連続的に前記設置溝10の開口部方向に向かって隆起している。
【0060】
また図8(h)および(i)に例示される様に、拡張具の設置溝に設置される突起部として、拡張具の設置溝10の内面30および内面31の少なくとも一方の面に平面部分を有する突起部44、曲面部分を有する突起部45を設けることもできる。
【0061】
図9〜11は、本発明に使用する拡張具の設置溝に設置される突起部の変形例を示す模式斜視図である。
先に説明した図7の柱状の拡張具の場合は、突起部42が前記柱状の拡張具の長手方向に沿って設置されていたが、図9に例示する柱状の拡張具の場合は、突起部46が間隔をおいて、前記柱状の拡張具の長手方向に対して垂直方向に設置されている点が異なる。
なお図9に例示した柱状の拡張具の場合には前記突起部46は、設置溝10の内面30に設けられているが、設置溝10の内面31にも前記突起部46を設置することができる。
【0062】
また図10に例示される様に、本発明に使用する拡張具は、互いに対向する、前記拡張具の設置溝10の一方の内面30と他方の内面31との少なくとも一方の面に折れ曲がり部を設置することができる。
前記折れ曲がり部は、谷部47と山部48が繰り返す形状により形成されている。なお、前記折れ曲がり部は平面を含む形状であってもよい。
【0063】
また図11に例示される様に、本発明に使用する拡張具は、互いに対向する、前記拡張具の設置溝10の一方の内面30と他方の内面31との少なくとも一方の面に波形部を設置することができる。
なお、前記波形部は平面を含む形状であってもよい。
【0064】
図4〜11に例示した拡張具の設置溝10を広げることにより、前記拡張具10の設置溝10に鉄骨のフランジの端部を挿入することができる。
【0065】
また図12に例示される様に、本発明に使用する拡張具は、鉄骨のフランジ端部を挿入するためのフランジ接合部20,20と、前記フランジ接合部20,20同士を連結する連結部材21を有するものであってもよい。
【0066】
図13および図15は本発明に使用する拡張具の一実施形態を説明するための平面図であり、図14および図16は本発明に使用する拡張具の一実施形態を説明するための斜視図である。
図13および14に例示される様に、拡張具600は本体板610と、前記本体板610の両端に設置された対向する二つの側面板620,630とを有する。
前記側面620,630はそれぞれ前記本体板610に対して屈曲可能に接続されている。
前記側面620,630はそれぞれ支持部640,650ならびにフランジ保持部660,670を有する。
前記本体板610、前記側面板620の支持部640および前記側面板620のフランジ保持部660により囲まれる切欠き680、ならびに前記本体板610、前記側面板630の支持部650および前記側面板630のフランジ保持部670により囲まれる切欠き690が、鉄骨のフランジに設置するための設置溝を形成する。
【0067】
また前記側面板620の支持部640と前記側面板620のフランジ保持部660との接合部に、前記側面板620の支持部640に対して前記側面板620のフランジ保持部660を傾斜可能に連結する切込み700ならびに前記側面板630の支持部650と前記側面板630のフランジ保持部670との接合部に、前記側面板630の支持部650に対して前記側面板630のフランジ保持部670を傾斜可能に連結する切込み710が形成されている。
【0068】
図15および図16に示される拡張具601は図13および図14に示される拡張具600の変形例である。
前記拡張具601は、鉄骨に対する設置作業を高めるため側面板621,631の端部が丸く成形されている。
【0069】
図17および図18はそれぞれ本発明に使用する拡張具を鉄骨に設置した状態を説明するための模式斜視図である。
図17に例示される様に、前記拡張具600には前記鉄骨1のフランジ3の端部の外形よりも狭い設置溝を有する。前記フランジ保持部660,670を変形させて前記設置溝を前記鉄骨1のフランジ3の端部に挿入することにより、前記鉄骨1に対して前記拡張具600を設置することができる。
【0070】
また図18に例示される様に、前記側面板620のフランジ保持部660が前記側面板620の支持部640に対して傾斜可能に連結されていることから、前記側面板620のフランジ保持部660を前記側面板620の支持部640に対して傾斜させることにより、前記設置溝の幅が前記鉄骨1のフランジ3の端部の厚みより狭い場合であっても、前記拡張具600を前記鉄骨1のフランジ3の端部に設置することができる。
【0071】
同様に前記側面板630のフランジ保持部670が前記側面板630の支持部650に対して傾斜可能に連結されていることから、前記側面板630のフランジ保持部670を前記側面板630の支持部650に対して傾斜させることにより、前記設置溝の幅が前記鉄骨1のフランジ3の端部の厚みより狭い場合であっても、前記拡張具600を前記鉄骨1のフランジ3の端部に設置することができる。
【0072】
図19は本発明に使用する拡張具の変形例を説明するための平面図である。
図19に例示される拡張具604は、前記拡張具600の変形例を例示したものである。
拡張具604は本体板614と、前記本体板614の両端に設置された対向する二つの側面板624,634とを有する。
前記側面624,634はそれぞれ支持部644,654ならびにフランジ保持部664,674を有する。
前記本体板614、前記側面板624の支持部644および前記側面板624のフランジ保持部664により囲まれる切欠き684、ならびに前記本体板614、前記側面板634の支持部654および前記側面板634のフランジ保持部674により囲まれる切欠き694が、鉄骨のフランジに設置するための設置溝を形成する。
【0073】
またフランジ保持部664aに対してフランジ保持部664bを傾斜可能に連結する切込み704、およびフランジ保持部674aに対してフランジ保持部674bを傾斜可能に連結する切込み714が形成されている。
拡張具604に鉄骨のフランジ端部を挿入した場合には、フランジ保持部664aに対してフランジ保持部664bが変形する。
またフランジ保持部674aに対してフランジ保持部674bが変形する。
変形したフランジ部664bおよびフランジ部674bが元の形状に戻る際の応力により、前記拡張具604を鉄骨のフランジ端部に固定することができる。
【0074】
図20および図21に示される拡張具602は図13および図14に示される拡張具600の変形例である。
図20および20に例示される様に、拡張具602は本体板612と、前記本体板612の両端に設置された対向する二つの側面板622,632とを有する。
前記側面622,632はそれぞれ前記本体板612に対して屈曲可能に接続されている。
前記側面622,632はそれぞれ支持部642,652ならびにフランジ保持部662,672を有する。
前記本体板612、前記側面板622の支持部642および前記側面板622のフランジ保持部662により囲まれる切欠き682、ならびに前記本体板612、前記側面板632の支持部652および前記側面板632のフランジ保持部672により囲まれる切欠き692が、鉄骨のフランジに設置するための設置溝を形成する。
【0075】
図21に例示される様に、前記切欠き692により形成される設置溝は、内面30、内面31および奥の内面32により形成される。なお設置溝の内面31は本体板612により形成され、設置溝の内面31および奥の内面32はそれぞれ側面板632の端面により形成される。
前記拡張具の設置溝の奥の内面32から前記設置溝の開口部方向に向かって、前記設置溝の開口部が狭くなっている。
拡張具602に鉄骨のフランジ端部を挿入した場合には、本体板612および側面板622,632が変形する。
変形した本体板612および側面板622,632が元の形状に戻る際の応力により、前記拡張具602を鉄骨のフランジ端部に固定することができる。
【0076】
図22および図23に示される拡張具603は図20および図21に示される拡張具602の変形例である。
前記拡張具603は、側面板623,633と本体板613により形成される設置溝の内面30に突起部が設置されている。
この突起部を設置することにより、切り欠き683,693により形成される設置溝の厚みを鉄骨のフランジ端部より狭くすることができる。
側面板623,633と本体板613とを変形させることにより、拡張具603の設置溝に鉄骨のフランジ端部を挿入することができる。
【0077】
本発明の鉄骨被覆構造は、必要に応じて前記拡張具の設置溝を変形させることなく鉄骨のフランジ端部に設置することのできる拡張具を併用することもできる。
この様な拡張具の具体例としては、例えば、図24に例示される設置溝を備えた拡張具等が挙げられる。
図24に例示する設置溝10aを備えた形状の前記設置溝は段差10aを備えるものであってもよい。
この段差10aを前記鉄骨1に設置する際は耐熱粘着テープ等により、段差10aを、前記鉄骨1のフランジ3の両端部に貼着することにより設置することができる。
【0078】
図25に例示される拡張具は両端に段差10b,10cが設けられていて、これらをそれぞれ鉄骨1の上フランジ2の端部と下フランジ3の端部に設置することにより鉄骨1に設置することもできる。
【0079】
次に本発明に使用する拡張具の素材について説明する。
本発明に使用する拡張具は、先に説明した通り、火災等の熱により加熱された場合に変形するものである。
【0080】
前記拡張具の素材としては、例えば、紙材、木材、天然樹脂、合成樹脂等の一種もしくは二種以上を含むものが挙げられる。
【0081】
前記紙材としては、例えば、木材等の植物から取り出した繊維状物質や化学繊維を水等の分散媒中に分散させ、これを濾過して均一層を形成してから乾燥させた紙等が挙げられる。
前記紙に対して、塗料、撥水剤等を塗布して得られる加工紙、波状の紙をライナーと呼ばれる平面の紙により挟んで接着した段ボール等が挙げられる。
【0082】
前記木材としては、例えば、天然木材から得られる木素材に限られず、木素材を含む集成木材、積層木材、積層木板等が挙げられる。
【0083】
前記天然樹脂としては、例えば、セルロース誘導体、ゼラチン、アルギン酸塩、キトサン、プルラン、ペクチン、カラゲナン、タンパク質、タンニン、リグニン、ロジン酸等を主成分とする高分子、ろう、ワックス、天然ゴム等が挙げられる。
【0084】
前記合成樹脂としては、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ポリイソブチレンゴム、塩化ブチルゴム等の合成ゴム、
ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ(1−)ブテン樹脂、ポリペンテン樹脂等のポリオレフィン樹脂、
ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0085】
前記拡張具の素材は、火災等の熱に本発明の鉄骨被覆構造がさらされた場合に、本発明に使用する熱膨張性耐火シートの膨張を阻害しない範囲で適宜選択することが好ましい。
【0086】
次に本発明について図面に基づき実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0087】
図26は本発明の実施例1の鉄骨被覆構造を説明するための模式断面図である。
実施例1では構造材5として、ケイ酸カルシウム板が使用されている。また前記構造材5に対して鉄骨1が埋め込みボルト(図示せず)により固定されている。
実施例1に使用した拡張具600は、図14に示された拡張具と同一の形状を有していて、ポリプロピレンにより形成されている。
前記拡張具600はフランジ3に対して200〜800mm間隔に設置することが好ましく、400〜600mm間隔に設置すればさらに好ましい。
前記鉄骨1および拡張具600を覆う様に熱膨張性耐火シート7が設置されていて、長さが15mmの溶接ピン8により鉄骨1に溶接されている。
【0088】
実施例1に使用した熱膨張性耐火シート7は0.7mm厚の熱膨張性耐火材の両面を、アルミニウム箔ラミネートガラスクロスにより積層されたものであり、前記アルミニウム箔ラミネートガラスクロスのアルミ箔は前記熱膨張性耐火シート7の最外面に配置されているものである。
前記熱膨張性耐火シート7は端部の20mmが前記構造材5に接している。
また前記拡張具600は前記鉄骨1のフランジ3の両端から外側へ50mm突き出して設置されていて、前記熱膨張性耐火シート7が鉄骨1のフランジ3に対して直接接触しないようにされている。
また前記鉄骨1および前記拡張具600に対する前記熱膨張性耐火シート7の覆い方は先に示した図2の場合と同様であり、250mm間隔に溶接ピン8が鉄骨1のフランジ2に溶接されている。
【0089】
また熱膨張性耐火シート7,7との境界部分では、熱膨張性耐火シート7,7同士が100mmの幅で重なって固定されている。
実施例1に示される鉄骨被覆構造に対し、ISO 834の試験方法に準拠して耐火1時間の耐火性能試験を行い、前記断面H字状の鉄骨梁の表面最高温度を測定した。この結果、前記断面H字状の鉄骨1の表面最高温度は最大546℃、平均で529℃であった。
【0090】
なお、耐火性能試験後の熱膨張性耐火シートの膨張残渣は、ウエブに垂直方向に55〜60mmの範囲で膨張した。
また鉄骨1のフランジ3の両端では、前記フランジ3の両端から水平方向に25mmの膨張残渣が形成された。
また前記フランジ3の下面では、前記フランジ3に対して垂直下方向に65mm程度の膨張残渣が形成された。
前記鉄骨1全体を膨張残渣が覆っていて、外部に鉄骨1が露出した部分や膨張残渣が極端に薄くなった場所は観察することができなかった。
【実施例2】
【0091】
実施例1の場合において、ポリプロピレン製の拡張具600に代えて、図4(b)に示される形状の発泡スチロール製の拡張具を、前記鉄骨1のフランジ3の両端から外側へ50mm突き出して設置して使用した他は実施例1の場合と全く同様にISO 834の試験方法に準拠して耐火1時間の耐火性能試験を行った。
前記断面H字状の鉄骨1の表面最高温度は最大540℃、平均で526℃であった。
前記鉄骨1全体を膨張残渣が覆っていて、外部に鉄骨1が露出した部分や膨張残渣が極端に薄くなった場所は観察することができなかった。
【実施例3】
【0092】
実施例2の場合において、熱膨張性耐火シート7に代えて、0.5mm厚の熱膨張性耐火材の両面を、アルミニウム箔ラミネートガラスクロスにより積層されたものを使用した他は実施例1の場合と全く同様にISO 834の試験方法に準拠して耐火1時間の耐火性能試験を行った。
前記断面H字状の鉄骨1の表面最高温度は最大613℃、平均で594℃であった。
前記鉄骨1全体を膨張残渣が覆っていて、外部に鉄骨1が露出した部分や膨張残渣が極端に薄くなった場所は観察することができなかった。
【0093】
[比較例1]
図27は比較例1の鉄骨被覆構造を説明するための模式断面図である。
実施例1の場合において拡張具を使用しなかった点、鉄骨1のフランジ3の下面に熱膨張性耐火シート7のたるみ部分(中央部で40mmの隙間)を設けることにより、前記熱膨張性耐火シート7が直接前記鉄骨1のフランジ3の下面に接触しないようにした他は実施例1の場合と全く同様に耐火性能試験を行った。
この結果、試験開始後55分間で、前記断面H字状の鉄骨1の表面最高温度は623℃に達したため耐火性能試験を中止した。前記断面H字状の鉄骨1の表面最高温度は平均で482℃であった。
また鉄骨1のフランジ3の両端では、前記フランジ3の両端から水平方向に膨張残渣がほとんど形成されていないことが観察された。
【0094】
[比較例2]
比較例1の場合において、熱膨張性耐火シート7に代えて、0.5mm厚の熱膨張性耐火材の両面を、アルミニウム箔ラミネートガラスクロスにより積層されたものを使用した
他は比較例1の場合と全く同様にISO 834の試験方法に準拠して耐火1時間の耐火性能試験を行った。
この結果、試験開始後54分間で、前記断面H字状の鉄骨1の表面最高温度は635℃に達したため耐火性能試験を中止した。前記断面H字状の鉄骨1の表面最高温度は平均で615℃であった。
また鉄骨1のフランジ3の両端では、前記フランジ3の両端から水平方向に膨張残渣がほとんど形成されていないことが観察された。
【0095】
[比較例3]
図28は比較例3の鉄骨被覆構造を説明するための模式断面図である。
比較例2の場合において、熱膨張性耐火シート7のたるみ部分を設けなかった他は比較例2の場合と全く同様にISO 834の試験方法に準拠して耐火1時間の耐火性能試験を行った。
この結果、試験開始後52分間で、前記断面H字状の鉄骨1の表面最高温度は643℃に達したため耐火性能試験を中止した。前記断面H字状の鉄骨1の表面最高温度は平均で586℃であった。 また鉄骨1のフランジ3の両端では、前記フランジ3の両端から水平方向に膨張残渣がほとんど形成されていないことが観察された。
【0096】
本明細書は、2010年9月1日出願の特願2010−196263に基づく。この内容は全てここに含めておく。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は鉄骨を使用している建築物に対し、容易に耐火性を与えることができることから、広く建築用途の耐火構造に応用することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 鉄骨
2、3 フランジ
4 ウェブ
5 構造材
6、200、600〜604 拡張具
7 熱膨張性耐火シート
8 溶接ピン
10 設置溝
10a、10b、10c 段差
20 フランジ接合部
21 連結部材
30、31 内面
32 奥の内面
40〜46 突起部
47 谷部
48 山部
49 波形部
100 H型鋼
202 水平部
204 L字状片
206 垂直片
210 挿入部
300 不燃材
310 石膏ボード
320 耐火被覆ユニット
500 床スラブ
610、611 612、613、614 本体板
620、621、622、623、624、630、631、632、633、634 側面板
640、641、642、643、644、650、651、652、653、654 支持部
660、661、662、663、664、670、671、672、673、674 フランジ保持部
680、681、682、683、684、690、691、692、693、694 切欠き
700、701、704、710、711、714 切込み
参照符号A〜H 鉄骨の外部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に対向する二本のフランジおよび前記フランジを両端に連結した一本のウェブからなる断面H字状の鉄骨と、
前記二本のフランジの少なくとも一方のフランジの両端に設置された拡張具と、
前記鉄骨および前記拡張具を覆う熱膨張性耐火シートと、
を有する鉄骨被覆構造であって、
前記拡張具が、前記フランジ端部を挿入することのできる設置溝を有し、
前記フランジ端部が、前記拡張具の設置溝に挿入されることにより、
前記拡張具が、前記拡張具の設置溝の一部または全部が変形された状態を維持して、前記フランジ端部に設置され、
かつ前記拡張具が、前記フランジ端部から外部に突き出して設置され、
前記拡張具が、加熱された場合に変形することを特徴とする、鉄骨被覆構造。
【請求項2】
前記拡張具の設置溝の一部または全部を変形させることにより、変形された拡張具の設置溝が変形前の形状に戻ろうとする応力が生じ、この応力により、前記拡張部の設置溝と前記フランジ端部とが固定されている、請求項1に記載の鉄骨被覆構造。
【請求項3】
前記拡張具の設置溝が、次の(1)〜(5)からなる群より選ばれる少なくとも一つである、請求項1または2に記載の鉄骨被覆構造。
(1)互いに対向する前記拡張具の設置溝の一方の内面(a)と他方の内面(b)の少なくとも一方の面に突起部が設けられた設置溝
(2)前記拡張具の設置溝の奥の内面(c)から前記設置溝の開口部方向に向かって、連続的または段階的に前記設置溝の開口部が狭くなる設置溝
(3)互いに対向する、前記拡張具の設置溝の一方の内面(a)と他方の内面(b)の少なくとも一方の面が、折れ曲がり部を有する設置溝
(4)互いに対向する、前記拡張具の設置溝の一方の内面(a)と他方の内面(b)の少なくとも一方の面が、波形部を有する設置溝
(5)板材を組み合わせてなる設置溝であって、前記設置溝を形成する板材の少なくとも一つが前記フランジに傾斜して接する設置溝
【請求項4】
前記拡張具が、設置溝を備えた球、設置溝を備えた立方体、設置溝を備えた直方体、設置溝を備えた円柱、設置溝を備えた多角柱、設置溝を備えた楕円柱、設置溝を備えた板状折り曲げ成形体からなる群より選ばれる少なくとも一つである、請求項1〜3のいずれかに記載の鉄骨被覆構造。
【請求項5】
前記拡張具が、設置溝を備えた球、設置溝を備えた立方体、設置溝を備えた直方体、設置溝を備えた円柱、設置溝を備えた多角柱、設置溝を備えた楕円柱、設置溝を備えた板状成形体からなる群より選ばれる少なくとも二以上を連結部材により連結してなる、請求項1〜4のいずれかに記載の鉄骨被覆構造。
【請求項6】
前記拡張具が、本体板と、前記本体板の両端に設置された相対する二つの側面板とを有し、
前記側面板が、支持部とフランジ保持部とを有し、
前記鉄骨のフランジ端部を挿入するための設置溝が、前記本体板、前記側面板の支持部および前記側面板のフランジ保持部により囲まれる切欠きにより形成され、
前記側面板の支持部と前記側面板のフランジ保持部との接合部に、前記側面板の支持部に対して前記側面板のフランジ保持部を傾斜可能に連結する切込みが形成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の鉄骨被覆構造。
【請求項7】
前記拡張具が、熱膨張性耐火シートの熱膨張開始温度以下の温度により変形する、請求項1〜6のいずれかに記載の鉄骨被覆構造。
【請求項8】
前記拡張具が、紙材、木材、天然樹脂および合成樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の鉄骨被覆構造。
【請求項9】
前記鉄骨が、建築物の仕切り部に設けられた区画に対して一方のフランジの外面を平行にして設置され、
前記拡張具が、前記一方のフランジとは反対側の他方のフランジの両端に設置され、
前記熱膨張性耐火シートが、前記鉄骨および前記拡張具を覆うと共に、前記鉄骨および前記区画の少なくとも一方に固定されている、請求項1〜8のいずれかに記載の鉄骨被覆構造。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の鉄骨被覆構造に使用するための設置溝を有する拡張具であって、
前記拡張具の設置溝が、次の(1)〜(5)からなる群より選ばれる少なくとも一つである、拡張具を提供するものである。
(1)互いに対向する、前記拡張具の設置溝の一方の内面(a)と他方の内面(b)の少なくとも一方の面に突起部が設けられた設置溝
(2)前記拡張具の設置溝の奥の内面(c)から前記設置溝の開口部方向に向かって、連続的または段階的に前記設置溝の開口部が狭くなる設置溝
(3)互いに対向する、前記拡張具の設置溝の一方の内面(a)と他方の内面(b)の少なくとも一方の面が、折れ曲がり部を有する設置溝
(4)互いに対向する、前記拡張具の設置溝の一方の内面(a)と他方の内面(b)の少なくとも一方の面が、波形部を有する設置溝
(5)板材を組み合わせてなる設置溝であって、前記設置溝を形成する板材の少なくとも一つが前記フランジに傾斜して接する設置溝
【請求項11】
前記拡張具が、本体板と、前記本体板の両端に設置された対向する二つの側面板とを有し、
前記側面板が、支持部とフランジ保持部とを有し、
前記鉄骨のフランジ端部を挿入するための設置溝が、前記本体板、前記側面板の支持部および前記側面板のフランジ保持部により囲まれる切欠きにより形成され、
前記側面板の支持部と前記側面板のフランジ保持部との連結部に、前記側面板の支持部に対して前記側面板のフランジ保持部を傾斜可能に連結する切込みが形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の拡張具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−72649(P2012−72649A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190224(P2011−190224)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】