説明

銀粉及びその製造方法

【課題】ファインライン化が進む積層セラミックコンデンサの内部電極、回路基板の導体パターン、太陽電池・プラズマディスプレイパネル用基板の電極、及び回路等の電子部品に適用でき、生産性、及び感光性ペーストとしての特性が高い銀粉、及びその製造方法等の提供。
【解決手段】銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を加えることにより、銀粉を還元析出させ、その後、反応スラリーを濾過して得たケーキを気流式乾燥機にて乾燥することにより、目的とする銀粉を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀粉及びその製造方法に関し、特に、積層コンデンサの内部電極や回路基板の導体パターンや、プラズマディスプレイパネル用基板の電極や回路などの電子部品に使用する導電性ペースト用の銀粉、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、積層コンデンサの内部電極や、回路基板の導体パターンや、太陽電池・プラズマディスプレイパネル(PDP)用基板の電極や回路などの電子部品に使用する導電性ペーストとして、銀粉をガラスフリットとともに有機ビヒクル中に加えて混練することによって製造される導電性ペーストが使用されている。
このような導電性ペーストに用いられる銀粉は、電子部品の小型化、導体パターンの高密度化、ファインライン化に対応するため、粒径が適度に小さく、粒度が揃っていることが要求される。
【0003】
このような導電性ペーストに用いられる銀粉を製造する方法としては、銀塩含有水溶液にアルカリ、又は錯化剤を加えて、酸化銀含有スラリー、又は銀錯塩含有水溶液を生成した後、還元剤を加えることにより、銀粉を還元析出させ、その後に乾燥させることによって銀粉を得る方法が知られている。
しかし、このような従来の方法によって製造された銀粉は、凝集が激しく、近年のファインライン化が進んだ積層セラミックコンデンサの内部電極や回路基板の導体パターンや、プラズマディスプレイパネル用基板の電極や回路などの電子部品に適用できないという問題があった。
そのため、凝集が少なく分散性に優れた銀粉を生成するために、銀塩含有水溶液にアルカリ、又は錯化剤を加えて、酸化銀含有スラリー、又は銀錯塩含有水溶液を生成し、還元剤を加えて銀粒子を還元析出させた後、銀含有スラリー溶液、若しくは、ろ過中に分散剤として脂肪酸、脂肪酸塩、界面活性剤、有機金属、キレート剤、保護コロイドのいずれか1種以上を加えることにより、分散剤を表面に被覆させた銀粉を生成する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2、及び3参照)。
しかしながら、特許文献1、2、及び3に開示された銀粉の生成方法では、得られた銀粉を乾燥させる際に凝集が生じる場合があり、この対策として、油性樹脂を用いて、含水ケーキをペースト化した後に、有機溶剤で樹脂を除いた後、用いた有機溶剤を揮発させ、分散性のよい銀粉を得る技術が提案されている(特許文献4参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献4の方法では、銀イオンを含有する水性反応系に、還元剤を加えて銀粒子を析出させた後に、分散剤を使用するときに、該分散剤が有機溶剤により取り除かれたり、変質を受け、表面性が変化してペースト化した際に不具合を起こす場合がある。
特に、感光用途(感光性ペースト、感光性シート、レーザーによる直接ライン形成等)においては、表面性が、銀粉のペースト内における分散性だけでなく、感光特性にも影響が現れる。
また、一般に使用されている大気循環式の乾燥機や、真空式の乾燥機で乾燥した場合も、分散剤が変質を受け、上記と同様、表面性が変化してペースト化した際に不具合を起こす場合があった。
また、特許文献4に開示された方法は、工程が煩雑であるとともに、一般に使用されている大気循環式の乾燥機や、真空式の乾燥機は、乾燥に要する時間が長く、生産性がよいものではなかった。
【0005】
したがって、ファインライン化が進む積層セラミックコンデンサの内部電極や回路基板の導体パターンや、太陽電池・プラズマディスプレイパネル用基板の電極や回路などの電子部品に適用でき、生産性と感光特性に優れた銀粉、及びその製造方法は、未だ提供されていないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】特開平10−88206号公報
【特許文献2】特開平10−88207号公報
【特許文献3】特開2005−220380号公報
【特許文献4】特開2005−82817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、積層セラミックコンデンサの内部電極、回路基板の導体パターン、太陽電池・プラズマディスプレイパネル用基板の電極、及び回路などの電子部品に適用でき、生産性と感光特性とに優れた銀粉、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。即ち、銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を加えることにより銀粉を還元析出させた後に濾過して得たケーキを気流乾燥装置にて乾燥することにより、生産性と感光特性に優れた銀粉が得られるという知見である。
【0009】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 水分を含んだ銀粒子を気流乾燥装置にて乾燥することによって銀粉を得ることを特徴とする銀粉の製造方法である。
<2> 銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を加えて、銀粒子を析出させた後に、該銀粒子を含むスラリーを濾過して得たケーキを気流乾燥装置にて乾燥することによって銀粉を得ることを特徴とする銀粉の製造方法である。
<3> 気流乾燥装置内での計算滞留時間が、0.2sec以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の銀粉の製造方法である。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の銀粉の製造方法によって製造されたことを特徴とする銀粉である。
<5> タップ密度が、2g/cm以上であり、レーザー回折法による平均粒径が、0.1〜5μmであり、かつ比表面積が、0.1m/g以上、5m/g以下である前記<4>に記載の銀粉である。
<6> ペースト化した際、グラインドゲージにより測定した前記ペースト中の最大粒径が10μm以下である前記<4>に記載の銀粉である。
<7> 感光性ペーストとした際に、残渣及び剥がれが生じない前記<4>から<6>のいずれかに記載の銀粉である。
<8> 前記<4>から<7>のいずれかに記載の銀粉を用いて作製されたことを特徴とする導電性ペーストである。
<9> 前記<8>に記載の導電性ペーストを用いて作製されたことを特徴とする電子回路部品である。
<10> 前記<9>に記載の電子回路部品を用いて作製されたことを特徴とする電気製品である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、積層セラミックコンデンサの内部電極、回路基板の導体パターン、太陽電池・プラズマディスプレイパネル用基板の電極、及び回路などの電子部品に適用でき、生産性と感光特性とに優れた銀粉、及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(銀粉の製造方法)
本発明による銀粉の製造方法は、銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を加えることにより、銀粒子を析出させ、その後に、該水性反応系を濾過してケーキを得て、該ケーキを気流乾燥装置にて乾燥することにより、銀粉を得る方法である。
【0012】
銀イオンを含有する水性反応系としては、硝酸銀、銀塩錯体、及び銀中間体のいずれかを含有する水溶液、又はスラリーを使用することができる。
前記銀塩錯体は、アンモニア水、アンモニウム塩、キレート化合物等の添加により生成することができる。
また、前記銀中間体は、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの添加により生成することができる。
これらの中で、銀粉が適当な粒径と球形状とを有するためには、硝酸銀水溶液にアンモニア水を添加して得られるアンミン錯体を水性反応系として使用することが好ましい。
ここで、アンミン錯体の配位数は2であるため、銀1モル当たりアンモニアを2モル以上添加する。前記還元剤の添加量が多くなりすぎると錯体が安定化し過ぎ、還元が進みにくくなるので、銀1モル当たり8モル以下が望ましい。
なお、前記還元剤の添加量を多くする等の調整を行なえば、8モルを超える量であっても適当な粒径と球状銀粉を得ることは可能である。
【0013】
<還元剤>
前記還元剤としては、アスコルビン酸、亜硫酸塩、アルカノールアミン、過酸化水素水、ギ酸、ギ酸アンモニウム、ギ酸ナトリウム、グリオキサール、酒石酸、次亜燐酸ナトリウム、水素化硼素ナトリウム、ヒドラジン、ヒドラジン化合物、ヒドロキノン、ピロガロール、ぶどう糖、没食子酸、ホルマリン、無水亜硫酸ナトリウム、ロンガリットなどを含む水溶液を使用することができる。
これらの中で、アスコルビン酸、アルカノールアミン、ヒドロキノン、ヒドラジン、ホルマリンからなる群から選ばれる1種類以上を使用することが好ましい。
これらの還元剤を使用すれば、適当な粒子を得ることができる。
【0014】
前記還元剤の添加量は、銀の回収率を上げるためには、銀に対して1当量以上添加する必要がある。還元力の弱い還元剤を用いる場合等には、2当量以上、例えば、10〜20当量添加してもよい。
また、前記還元剤の添加方法については、銀粉の凝集を防ぐために、1当量/分以上の速さで添加することが好ましい。
この操作の理由は明確ではないが、前記還元剤を短時間で投入することで、銀粒子への還元析出が一挙に生じて、短時間で還元反応が終了し、発生した核同士の凝集が生じ難いため、分散性が向上すると考えられる。したがって、前記還元剤の添加時間は短いほど好ましい。また、還元の際には、より短時間で反応が終了するように反応液を攪拌することが好ましい。
【0015】
<分散剤>
本発明の銀粉の製造方法においては、より分散性を向上させるために、前記湿式還元法による銀粉の作製において、銀粒子の還元析出前、又は還元析出後のスラリー状の反応系に分散剤を添加するにより、該分散剤を表面に被覆させた銀粉を生成することができる。
前記分散剤としては、脂肪酸、脂肪酸塩、界面活性剤、有機金属、キレート形成剤、保護コロイド等が挙げられる。
【0016】
<<脂肪酸>>
前記脂肪酸の例としては、プロピオン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アクリル酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸等が挙げられる。
【0017】
<<脂肪酸塩>>
前記脂肪酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、バリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、コバルト、マンガン、鉛、亜鉛、スズ、ストロンチウム、ジルコニウム、銀、銅などの金属と脂肪酸とが塩を形成したものが挙げられる。
【0018】
<<界面活性剤>>
前記界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等の陰イオン界面活性剤、脂肪族4級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤等が挙げられる。
【0019】
<<有機金属>>
前記有機金属の例としては、アセチルアセトントリブトキシジルコニウム、クエン酸マグネシウム、ジエチル亜鉛、ジブチルスズオキサイド、ジメチル亜鉛、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリエチルインジウム、トリエチルガリウム、トリメチルインジイウム、トリメチルガリウム、モノブチルスズオキサイド、テトライソシアネートシラン、テトラメチルシラン、テトラメトキシシラン、ポリメトキシシロキサン、モノメチルトリイソシアネートシラン、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などが挙げられる。
【0020】
<<キレート形成剤>>
前記キレート形成剤の例としては、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、セレナゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、2H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、4H−1,2,4−トリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1H−1,2,3,4−テトラゾール、1,2,3,4−オキサトリアゾール、1,2,3,4−チアトリアゾール、2H−1,2,3,4−テトラゾール、1,2,3,5−オキサトリアゾール、1,2,3,5−チアトリアゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、及びベンゾトリアゾールと、これらの塩、また、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、酒石酸、リンゴ酸、タルトロン酸、ヒドロアクリル酸、マンデル酸、クエン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。
【0021】
<<保護コロイド>>
前記保護コロイドの例としては、ペプチド、ゼラチン、アルブミン、アラビアゴム、プロタルビン酸、リサルビン酸、膠などが挙げられる。
【0022】
<<分散剤の量>>
前記分散剤の量は、水性反応系に仕込まれる銀に対して、0.05〜2質量%の間で必要とされる特性に合わせて調整される。
【0023】
得られた銀含有スラリーを濾過、水洗することによって、ケーキが得られる。このケーキとは、銀に対して1質量%以上、200質量%以下の水を含むが、流動性がほとんどない塊である。
このケーキを、気流式乾燥機で乾燥する。気流式乾燥機としては、ThemaJet(Fluid Energy社製)や、フラッシュジェットドライヤー((株)セイシン企業製)が挙げられる。
ここで、本発明の気流乾燥装置とは、高温・高速の気流中で、ケーキや、スラリー状の含水粉体を瞬間的に分散・乾燥を行なう乾燥装置である。
具体的には、熱風が乾燥部に高速で吐出され、試料の状態によりスクリューフィーダー、スラリーポンプ等より定量的にドライヤーに供給され、ノズルを通過した高温気流により分散し、乾燥が行われる。
そして、乾燥された粉体は、空気輸送され、ドライヤー出口に取り付けられた分級部で乾燥品と、未乾燥品とに分離され、乾燥品のみサイクロン、及びバグフィルターで回収される。
【0024】
乾燥させた前記ケーキを解砕することにより、銀粉が得られる。解砕の代わりに、特開2002−80901号公報に記載されたように、粒子を機械的に流動化させることができる装置に銀粒子を投入して、粒子同士を機械的に衝突させることによって、銀粉の粒子表面の凹凸や角ばった部分を滑らかにする表面平滑化処理を行ってもよい。
また、解砕や平滑化処理の後に、特開2005−240092号公報に記載されているように分級処理を行ってもよい。
また、(株)ホソカワミクロン製のドライマイスタや、ミクロンドライヤのような一体型装置を用いて乾燥、粉砕、及び分級をまとめて行うこともできる。
分級、及び解砕の繰り返しのために、銀粉が装置内に長く滞留する場合は、分散剤が熱により変質し、ペーストにしたときの特性(分散性、感光性)が悪化するので、乾燥工程は独立して行うことが好ましい。
前記乾燥装置内の滞留時間は短いほどよく、計算滞留時間(乾燥機の有効体積(m)を風量(m/sec)で割った値)が、0.2sec以下であることが好ましい。また、同一計算滞留時間であれば、乾燥する限りは、乾燥温度は低いほうが好ましい。
【0025】
このようにして得られた銀粉は、タップ密度が2g/cm以上、レーザー回折法による平均粒径が0.1〜5μm、比表面積が0.1m/g以上、5m/g以下の物性を有するものである。このような銀粉は、優れた分散性を有する。
ここで、タップ密度が2g/cmより小さい場合、銀粒子同士の凝集が激しく、ファインラインへの対応は難しい。
また、レーザー回折法による平均粒径が、0.1μmより小さい場合、ファインラインへの対応は可能であるが、粒子活性が高く、500℃以上での焼成には適さない。一方、レーザー回折法による平均粒径が5μmより大きな場合、分散性が劣り、やはりファインラインへの対応は難しい。
さらに、比表面積が5m/gより大きい場合、ペーストの粘度が高すぎるため、印刷性等が劣ることとなる。また、0.1m/gより小さい場合、粒子が大きすぎ、ファインラインに対応することが難しい。
【0026】
このようにして得られた銀粉を、ビヒクルと混合して、ペースト化した後に、グラインドゲージにより銀粒子の粒度を評価すると、最大粒径Dmaxが10μm以下であり、優れた分散性を有する。
また、本発明の銀粉を、感光性ペーストとした際には、残渣や剥がれが生じない。このため、この感光性ペーストを用いて作製された電子部品、またこの電子部品を用いて作製された電気製品も良好な性能を有する。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
銀を54kg含む硝酸銀水溶液4,600kgに、25質量%のアンモニア水122kgと、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液4kgとを添加し、銀アンミン錯塩水溶液を得た。
この銀アンミン錯塩水溶液の液温を25℃とし、37質量%のホルマリン水溶液264kgを前記銀アンミン錯塩水溶液に加えて、銀粒子を析出させ銀含有スラリーを得た。
前記ホルマリン水溶液の添加終了後、銀の量に対して0.5質量%のベンゾトリアゾールのNa塩を前記銀含有スラリー中に添加した。このようにして得られた銀含有スラリーを濾過、水洗し、ケーキAを得た。該ケーキAの所要を表1に示す。
【0029】
表3に示すように、得られたケーキA25.0kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−4、(株)セイシン企業製)に1時間かけて投入し、乾燥粉20.5kgを得た。このとき、使用風量は7m/min(0.12m/sec)であり、入り口温度は120℃であり、出口温度は80℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。
【0030】
<銀粉の評価>
得られた銀粉は、タップ密度が4.7g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径は1.4μmであり、最大粒径は5.5μmであり、比表面積が0.71m/gであった。
なお、分級前のレーザー回折法による平均粒径は、1.8μmであり、最大粒径は6.5μmであった。
前記比表面積は、カウンタクローム社製モノソーブによりBET法で測定した。
また、前記レーザー回折法による平均粒径、及び最大粒径は、それぞれ銀粉0.3gをイソプロピルアルコール50mLに入れ、50W超音波洗浄器にて5分間分散処理後マイクロトラック9320−X100(ハネウエル−日機装製)により測定した際の、D50(累積50質量%粒径)、及びDmax(検出最大粒径)の値である。
また、前記タップ密度は、タップ密度測定装置(柴山科学製カサ比重測定装置SS−DA−2)を使用し、銀粉試料15gを計量して、容器(20mL試験管)に入れ、落差20mmで1000回タッピングし、タップ密度=試料重量(15g)/タッピング後の試料体積から算出した。
【0031】
<ペーストの評価>
次に、この銀粉をペースト化し、評価を行った。
ペーストは、アクリル樹脂(BR605、三菱レイヨン(株)製)と、エチルカルビトールアセテートとが30:70の割合からなるビヒクルと、得られた銀粉とを35:65の割合でよく混練し、3本ロールによって分散して得た。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが5μm、4thスクラッチが5μm、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
【0032】
<感光性ペーストの評価>
また、この銀粉を感光性ペースト化し、評価を行った。
該感光性ペーストは、65質量部の銀粉と、20質量部の感光性樹脂成分と、2質量部のガラスフリット(PbO−B−SiO系)と、13質量部の有機溶剤とを計量し、3本ロールで混練して作製した。
この感光性ペーストを、ガラス基板上にスクリーン印刷した。
その後、溶剤分を除去するため、大気乾燥機(DO−450FA、アズワン株式会社製)で、80℃にて30分間乾燥を行った。
次に、この感光性ペースト膜上に金属マスクを載せ、光強度25mW/cmで、2分間水銀ランプ光を照射した。なお、水銀ランプは、ピーク365nmの高圧水銀ランプ(HL100G、セン特殊光源(株)製)を使用した。
その後、感光性ペースト膜上から金属マスクを外し、炭酸ナトリウム水溶液に浸漬した。なお、評価基準として、この際にマスクした部分がきちんと洗い流されれば残渣なしとした。
次に、大気中マッフル炉にて、600℃で30分間焼成し、導体を得た。このとき、評価基準として、得られた導体に欠損がなければ、剥がれなしとした。
本実施例において感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0033】
(実施例2)
表3に示すように、実施例1で得られたケーキA30.0kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−4、(株)セイシン企業製)に1時間かけて投入し、乾燥粉24.6kgを得た。このとき、使用風量は7m/min(0.12m/sec)であり、入り口温度は130℃であり、出口温度は90℃であった。赤外水分計を用い、乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0034】
評価は、実施例1と同様に行い、タップ密度が4.8g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径は1.4μmであり、最大粒径は5.5μmであり、比表面積が0.71m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は1.9μmであり、最大粒径は7.8μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度をグラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが5μmであり、4thスクラッチが5μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0035】
(実施例3)
表3に示すように、実施例1で得られたケーキA29.2kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−4、(株)セイシン企業製)に30分間かけて投入し、乾燥粉24.2kgを得た。このとき、使用風量は15m/min(0.25m/sec)であり、入り口温度は90℃であり、出口温度は60℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0036】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が4.7g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が1.5μmであり、最大粒径が5.5μmであり、比表面積が0.69m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は1.7μmであり、最大粒径は6.5μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度をグラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが6μmであり、4thスクラッチが5μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0037】
(実施例4)
表3に示すように、実施例1で得られたケーキA20.3kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−4、(株)セイシン企業製)に15分間かけて投入し、乾燥粉16.9kgを得た。このとき、使用風量は20m/min(0.33m/sec)であり、入り口温度は100℃であり、出口温度は60℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0038】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が4.8g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が1.5μmであり、最大粒径は4.6μmであり、比表面積が0.68m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は1.7μmであり、最大粒径は5.5μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度をグラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが6μmであり、4thスクラッチが6μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0039】
(実施例5)
表3に示すように、実施例1で得られたケーキA31.3kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−4、(株)セイシン企業製)に、25分間かけて投入し、乾燥粉26.0kgを得た。このとき、使用風量は20m/min(0.33m/sec)であり、入り口温度は120℃であり、出口温度は80℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0040】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が4.7g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が1.5μmであり、最大粒径は5.5μmであり、比表面積が0.72m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は1.7μmであり、最大粒径は5.5μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが5μmであり、4thスクラッチが5μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0041】
(実施例6)
銀を65kg含む硝酸銀水溶液4,450kgに、25質量%のアンモニア水229kgと、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液8kgを添加し、銀アンミン錯塩水溶液を得た。
この銀アンミン錯塩水溶液の液温を20℃とし、37質量%のホルマリン水溶液317kgを前記銀アンミン錯塩水溶液に加えて、銀粒子を析出させ銀含有スラリーを得た。前記ホルマリン水溶液の添加終了後、銀の量に対して1.0質量%のベンゾトリアゾールのエタノール溶液を前記銀含有スラリー中に添加した。このようにして得られた銀含有スラリーを濾過、水洗し、ケーキBを得た。該ケーキBの所要を表1に示す。
表3に示すように、得られたケーキB15.0kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−4、(株)セイシン企業製)に10分間かけて投入し、乾燥粉12.6kgを得た。このとき、使用風量は12.5m/min(0.21m/sec)であり、入り口温度は130℃であり、出口温度は80℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕・平滑化処理後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0042】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が4.4g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が1.3μmであり、最大粒径が5.5μmであり、比表面積が0.75m2/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は1.6μmであり、最大粒径は6.5μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度をグラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが6μmであり、4thスクラッチが6μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0043】
(実施例7)
表3に示すように、実施例6で得られたケーキB18.0kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−4、(株)セイシン企業製)に15分間かけて投入し、乾燥粉15.1kgを得た。このとき、使用風量は15m/min(0.25m/sec)であり、入り口温度は100℃であり、出口温度は60℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0044】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が4.4g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が1.2μmであり、最大粒径が5.5μmであり、比表面積が0.76m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は1.5μmであり、最大粒径は5.5μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが5μmであり、4thスクラッチが5μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0045】
(実施例8)
表3に示すように、実施例6で得られたケーキB20.0kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−4、(株)セイシン企業製)に10分間かけて投入し、乾燥粉16.7kgを得た。このとき、使用風量は15m/min(0.25m/sec)であり、入り口温度は120℃であり、出口温度は80℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0046】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が4.6g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が1.3μmであり、最大粒径が5.5μmであり、比表面積が0.77m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は1.5μmであり、最大粒径は6.5μmであった。また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度をグラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが6μmであり、4thスクラッチが5μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0047】
(実施例9)
銀を54kg含む硝酸銀水溶液4,500kgに、25質量%のアンモニア水203kgを添加し、銀アンミン錯塩水溶液を得た。
この銀アンミン錯塩水溶液の液温を40℃とし、37質量%のホルマリン水溶液240kgを前記銀アンミン錯塩水溶液に加えて、銀粒子を析出させ銀含有スラリーを得た。前記ホルマリン水溶液の添加終了後、銀の量に対して0.2質量%のステアリン酸を含むステアリン酸エマルジョンを前記銀含有スラリー中に添加した。このようにして得られた銀含有スラリーを濾過、水洗し、ケーキCを得た。該ケーキCの所要を表1に示す。
表4に示すように、得られたケーキC15.0kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−4、(株)セイシン企業製)に20分間かけて投入し、乾燥粉13.6kgを得た。このとき、使用風量は6m/min(0.10m/sec)であり、入り口温度は230℃であり、出口温度は170℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0048】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が5.0g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が2.5μmであり、最大粒径が5.5μmであり、比表面積が0.39m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は3.0μmであり、最大粒径は7.8μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度をグラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが7μmであり、4thスクラッチが6μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0049】
(実施例10)
表4に示すように、実施例9で得られたケーキC15.0kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−4、(株)セイシン企業製)に10分間かけて投入し、乾燥粉13.6kgを得た。このとき、使用風量は8m/min(0.13m/sec)であり、入り口温度は150℃であり、出口温度は110℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0050】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が5.1g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が2.4μmであり、最大粒径が5.5μmであり、比表面積が0.41m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は2.9μmであり、最大粒径は7.8μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが6μmであり、4thスクラッチが6μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0051】
(実施例11)
銀を108kg含む硝酸銀水溶液4,200kgに、25質量%のアンモニア水404kgと、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液7kgとを添加し、銀アンミン錯塩水溶液を得た。
この銀アンミン錯塩水溶液の液温を30℃とし、37質量%のホルマリン水溶液406kgを前記銀アンミン錯塩水溶液に加えて、銀粒子を析出させ銀含有スラリーを得た。前記ホルマリン水溶液の添加終了後、銀の量に対して0.4質量%のオレイン酸を前記銀含有スラリー中に添加した。このようにして得られた銀含有スラリーを濾過、水洗し、ケーキDを得た。該ケーキDの所要を表1に示す。
表4に示すように、得られたケーキD15.0kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−6、(株)セイシン企業製)に10分間かけて投入し、乾燥粉12.2kgを得た。このとき、使用風量は20m/min(0.33m/sec)であり、入り口温度は100℃であり、出口温度は60℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0052】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が4.5g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が2.3μmであり、最大粒径が5.5μmであり、比表面積が0.50m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は2.5μmであり、最大粒径は6.5μmであった。また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが5μmであり、4thスクラッチが5μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0053】
(実施例12)
表4に示すように、実施例11で得られたケーキD40.0kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−6、(株)セイシン企業製)に10分間かけて投入し、乾燥粉32.6kgを得た。このとき、使用風量は30m/min(0.5m/sec)であり、入り口温度は200℃であり、出口温度は150℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0054】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が4.5g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が2.4μmであり、最大粒径が5.5μmであり、比表面積が0.49m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は2.6μmであり、最大粒径は5.5μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが6μmであり、4thスクラッチが5μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0055】
(実施例13)
銀を81kg含む硝酸銀水溶液4,050kgに、25質量%のアンモニア水295kgを添加し、銀アンミン錯塩水溶液を得た。
この銀アンミン錯塩水溶液の液温を15℃とし、銀の量に対して0.1質量%のシランカップリング剤TSL−8331(GE東芝シリコーン製)を前記銀アンミン錯塩水溶液中に添加した後で、18.5質量%のホルマリン水溶液676kgを前記銀アンミン錯塩水溶液に更に加えて、銀粒子を析出させ銀含有スラリーを得た。このようにして得られた前記銀含有スラリーを濾過、水洗し、ケーキEを得た。該ケーキEの所要を表1に示す。
表4に示すように、得られたケーキE25.0kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−6、(株)セイシン企業製)に10分間かけて投入し、乾燥粉22.7kgを得た。このとき、使用風量は25m/min(0.42m/sec)であり、入り口温度は120℃であり、出口温度は80℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0056】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が4.0g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が2.4μmであり、最大粒径が5.5μmであり、比表面積が0.75m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は2.6μmであり、最大粒径は6.5μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが6μmであり、4thスクラッチが6μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や、剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0057】
(実施例14)
銀を68kg含む硝酸銀水溶液4,150kgに、25質量%のアンモニア水253kgと、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液22kgを添加し、銀アンミン錯塩水溶液を得た。
この銀アンミン錯塩水溶液の液温を20℃とし、銀の量に対して0.2質量%のゼラチンを前記銀アンミン錯塩水溶液中に添加した後で、18.5質量%のホルマリン水溶液600kgを前記銀アンミン錯塩水溶液に更に加えて、銀粒子を析出させ銀含有スラリーを得た。このようにして得られた前記銀含有スラリーを濾過、水洗し、ケーキFを得た。該ケーキFの所要を表1に示す。
表4に示すように、得られたケーキF12.0kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−6、(株)セイシン企業製)に10分間かけて投入し、乾燥粉9.9kgを得た。このとき、使用風量は22.5m/min(0.38m/sec)であり、入り口温度は130℃であり、出口温度は90℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0058】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が4.1g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が2.2μmであり、最大粒径が5.5μmであり、比表面積が0.85m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は2.7μmであり、最大粒径は6.5μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが7μmであり、4thスクラッチが6μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0059】
(実施例15)
銀を81kg含む硝酸銀水溶液3,950kgに、25質量%のアンモニア水253kgと、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液27kgを添加し、銀アンミン錯塩水溶液を得た。
この銀アンミン錯塩水溶液の液温を20℃とした後で、18.5質量%のホルマリン水溶液720kgを前記銀アンミン錯塩水溶液に加えて、銀粒子を析出させ銀含有スラリーを得た。前記ホルマリン水溶液の添加終了後、銀の量に対して0.2質量%のゼラチン(ゼライス製E−200)の水溶液を前記銀含有スラリー中に添加した。このようにして得られた銀含有スラリーを濾過、水洗し、ケーキGを得た。該ケーキGの所要を表2に示す。
表5に示すように、得られたケーキG20.0kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−6、(株)セイシン企業製)に10分間かけて投入し、乾燥粉15.4kgを得た。このとき、使用風量は25m/min(0.42m/sec)であり、入り口温度は130℃であり、出口温度は90℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0060】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が3.9g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が1.7μmであり、最大粒径が7.8μmであり、比表面積が0.88m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は2.1μmであり、最大粒径は9.3μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが7μmであり、4thスクラッチが6μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0061】
(実施例16)
銀を54kg含む硝酸銀水溶液4,300kgに、25質量%のアンモニア水203kgと、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液18kgを添加し、銀アンミン錯塩水溶液を得た。
この銀アンミン錯塩水溶液の液温を20℃とし、銀の量に対して0.2質量%のコラーゲンペプチド(ゼライス製NCG−10)の水溶液を、前記銀アンミン錯塩水溶液中に添加した後で、18.5質量%のホルマリン水溶液480kgを前記銀アンミン錯塩水溶液に更に加えて、銀粒子を析出させ銀含有スラリーを得た。前記ホルマリン水溶液の添加終了後、銀の量に対して0.3質量%のベンゾトリアゾールのNa塩を前記銀含有スラリー中に添加した。このようにして得られた銀含有スラリーを濾過、水洗し、ケーキHを得た。該ケーキHの所要を表2に示す。
表5に示すように、得られたケーキH25.0kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−6、(株)セイシン企業製)に10分間かけて投入し、乾燥粉22.0kgを得た。このとき、使用風量は25m/min(0.42m/sec)であり、入り口温度は120℃であり、出口温度は80℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0062】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が4.4g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が1.5μmであり、最大粒径が5.5μmであり、比表面積が0.75m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は1.6μmであり、最大粒径は6.5μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが6μmであり、4thスクラッチが6μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0063】
(実施例17)
銀を68kg含む硝酸銀水溶液4,100kgに、25質量%のアンモニア水253kgと、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液22kgを添加し、銀アンミン錯塩水溶液を得た。
この銀アンミン錯塩水溶液の液温を20℃とし、銀の量に対して0.2質量%のコラーゲンペプチド(ゼライス製NCG−10)を前記銀アンミン錯塩水溶液中に添加した後で、18.5質量%のホルマリン水溶液600kgを前記銀アンミン錯塩水溶液に更に加えて、銀粒子を析出させ銀含有スラリーを得た。前記ホルマリン水溶液の添加終了後、銀の量に対して0.5質量%のベンゾトリアゾールのエタノール溶液を前記銀含有スラリー中に添加した。このようにして得られた銀含有スラリーを濾過、水洗し、ケーキIを得た。該ケーキIの所要を表2に示す。
表5に示すように、得られたケーキI25.0kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−6、(株)セイシン企業製)に10分間かけて投入し、乾燥粉22.2kgを得た。このとき、使用風量は25m/min(0.42m/sec)であり、入り口温度は90℃であり、出口温度は70℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0064】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が4.3g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が1.5μmであり、最大粒径が5.5μmであり、比表面積が0.68m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は1.7μmであり、最大粒径は7.8μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが6μmであり、4thスクラッチが5μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0065】
(実施例18)
銀を54kg含む硝酸銀水溶液4,550kgに、25質量%のアンモニア水203kgと、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液18kgを添加し、銀アンミン錯塩水溶液を得た。
この銀アンミン錯塩水溶液の液温を20℃とし、銀の量に対して0.5質量%のベンゾトリアゾールのエタノール溶液を前記銀アンミン錯塩水溶液中に添加した後で、37質量%のホルマリン水溶液240kgを前記銀アンミン錯塩水溶液に更に加えて、銀粒子を析出させ銀含有スラリーを得た。前記ホルマリン水溶液の添加終了後、銀の量に対して0.2質量%のコラーゲンペプチド(ゼライス製NCG−10)の水溶液を前記銀含有スラリー中に添加した。このようにして得られた銀含有スラリーを濾過、水洗し、ケーキJを得た。該ケーキJの所要を表2に示す。
表5に示すように、得られたケーキJ20.0kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−4、(株)セイシン企業製)に10分間かけて投入し、乾燥粉16.5kgを得た。このとき、使用風量は15m/min(0.25m/sec)であり、入り口温度は90℃であり、出口温度は60℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0066】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が4.3g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が1.4μmであり、最大粒径が4.6μmであり、比表面積が0.80m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は1.5μmであり、最大粒径は5.5μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが6μmであり、4thスクラッチが5μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0067】
(実施例19)
銀を54kg含む硝酸銀水溶液4,550kgに、25質量%のアンモニア水169kgと、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液16kgを添加し、銀アンミン錯塩水溶液を得た。
この銀アンミン錯塩水溶液の液温を20℃とし、銀の量に対して0.5質量%のベンゾトリアゾールのエタノール溶液を前記銀アンミン錯塩水溶液中に添加した後で、37質量%のホルマリン水溶液240kgを前記銀アンミン錯塩水溶液に更に加えて、銀粒子を析出させ銀含有スラリーを得た。前記ホルマリン水溶液の添加終了後、銀の量に対して0.2質量%のゼラチン(ゼライス製E−200)の水溶液を前記銀含有スラリー中に添加した。このようにして得られた銀含有スラリーを濾過、水洗し、ケーキKを得た。該ケーキKの所要を表2に示す。
表5に示すように、得られたケーキK25.0kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−6、(株)セイシン企業製)に10分間かけて投入し、乾燥粉20.9kgを得た。このとき、使用風量は25m/min(0.42m/sec)であり、入り口温度は100℃であり、出口温度は60℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0068】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が4.4g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が1.4μmであり、最大粒径が5.5μmであり、比表面積が0.71m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は1.5μmであり、最大粒径は6.5μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが6μmであり、4thスクラッチが6μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0069】
(実施例20)
銀を54kg含む硝酸銀水溶液4,390kgに、25質量%のアンモニア水185.4kgと、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液7kgを添加し、銀アンミン錯塩水溶液を得た。
この銀アンミン錯塩水溶液の液温を25℃とし、3.2質量%の含水ヒドラジン水溶液400kgを前記銀アンミン錯塩水溶液に加えて、銀粒子を析出させ銀含有スラリーを得た。
前記含水ヒドラジン水溶液の添加終了後、銀の量に対して1.5質量%のベンゾトリアゾールのNa塩を前記銀含有スラリー中に添加した。このようにして得られた銀含有スラリーを濾過、水洗し、ケーキLを得た。該ケーキLの所要を表2に示す。
得られたケーキL54.2kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−4、(株)セイシン企業製)に121分間かけて投入し、乾燥粉47.2kgを得た。このとき、使用風量は9.4m/min(0.16m/sec)であり、入り口温度は100℃であり、出口温度は60℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0070】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が3.3g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が0.4μmであり、最大粒径が1.0μmであり、比表面積が1.25m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は1.3μmであり、最大粒径は7.8μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが6μmであり、4thスクラッチが6μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0071】
(実施例21)
銀を54kg含む硝酸銀水溶液4,390kgに、25質量%のアンモニア水185.4kgと、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液7kgを添加し、銀アンミン錯塩水溶液を得た。
この銀アンミン錯塩水溶液の液温を25℃とし、3.2質量%の含水ヒドラジン水溶液400kgを前記銀アンミン錯塩水溶液に加えて、銀粒子を析出させ銀含有スラリーを得た。
前記含水ヒドラジン水溶液の添加終了後、銀の量に対して0.4質量%のオレイン酸のエタノール溶液を前記銀含有スラリー中に添加した。このようにして得られた銀含有スラリーを濾過、水洗し、ケーキMを得た。該ケーキMの所要を表2に示す。
得られたケーキL18.9kgを、気流式乾燥機(フラッシュジェットドライヤー FJD−4、(株)セイシン企業製)に60分間かけて投入し、乾燥粉17.4kgを得た。このとき、使用風量は10.4m/min(0.17m/sec)であり、入り口温度は100℃であり、出口温度は60℃であった。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕し、銀粉を得た。分級をせずとも良好な特性であったので、分級はしなかった。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0072】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が3.5g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が1.2μmであり、最大粒径が6.5μmであり、比表面積が1.17m/gであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが6μmであり、4thスクラッチが6μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
また、感光性ペーストを作製して評価した結果は、残渣や剥がれはなく、細線配線を描くペーストとして良好であった。
【0073】
(電子回路部品の作製)
上記実施例1〜19で作製された銀粉をペースト化して、電子回路部品(配線基板)を作製した。得られた配線基板においては、上記実施例1〜19で作製された銀粉を含むペーストで形成された配線に剥がれ等が生ずることがなく、高性能のものであった。
【0074】
(電気製品の作製)
上記で作製された電子回路部品(配線基板)を用い、電気製品を作製した。得られた製品においては、上記実施例1〜19で作製された銀粉を含むペーストで形成された配線に剥がれ等が生ずることがなく、高性能のものであった。
【0075】
(比較例1)
表5に示すように、実施例1で得られたケーキA10.0kgを、内容積50Lの真空乾燥機で乾燥し、乾燥粉8.2kgを得た。なお、表5に示すように、比較例1では、真空乾燥機を用いているので、入口温度、及び出口温度はなく、乾燥機内温度としての設定温度を90℃とした。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0076】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が4.8g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が1.4μmであり、最大粒径が5.5μmであり、比表面積が0.70m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は1.8μmであり、最大粒径は7.8μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが5μmであり、4thスクラッチが5μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
しかしながら、感光性ペーストを作製しての評価結果は、残渣や剥がれがあり、細線配線を描くペーストとしては不良であった。また、ケーキの乾燥時間(表5では、「投入時間」に相当する時間として表記)に18時間かかり、実施例1におけるケーキの乾燥時間に比較して、60倍を要しており、生産性の悪いものであった。
【0077】
(比較例2)
表5に示すように、実施例1で得られたケーキA10.0kgを、内容積50m3の箱型大気強制対流式乾燥機で乾燥し、乾燥粉8.2kgを得た。なお、表5に示すように、比較例2では、箱型大気強制対流式乾燥機を用いているので、入口温度、及び出口温度はなく、乾燥機内温度としての設定温度を70℃とした。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕後、分級を行い、銀粉を得た。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0078】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が3.5g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が1.4μmであり、最大粒径が5.5μmであり、比表面積が0.72m/gであった。
また、分級前のレーザー回折法による平均粒径は2.2μmであり、最大粒径は13.1μmであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが6μmであり、4thスクラッチが6μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
しかしながら、感光性ペーストを作製しての評価結果は、残渣や剥がれがあり、細線配線を描くペーストとしては不良であった。また、ケーキの乾燥時間(表5では、「投入時間」に相当する時間として表記)に12時間かかり、実施例1におけるケーキの乾燥時間に比較して、40倍を要しており、さらに、分級工程での収率も実施例1の約半分で、生産性の悪いものであった。
【0079】
(比較例3)
表5に示すように、実施例21で得られたケーキM35.2kgを、内容積100Lの真空乾燥機で乾燥し、乾燥粉32.4kgを得た。なお、表5に示すように、比較例3では、真空乾燥機を用いているので、入口温度、及び出口温度はなく、乾燥機内温度としての設定温度を65℃とした。赤外水分計を用い、前記乾燥粉が乾燥していることを確認した。得られた乾燥粉を解砕し、銀粉を得た。実施例21と同様に分級はしなかった。その後、実施例1と同様にして、該銀粉を含むペーストを作製した。
【0080】
評価は実施例1と同様に行い、タップ密度が4.2g/cmであり、レーザー回折法による平均粒径が1.3μmであり、最大粒径が11μmであり、比表面積が1.14m/gであった。
また、得られたペーストに含まれる銀粒子の粒度を、グラインドゲージにより評価すると、最大粒径Dmaxが6μmであり、4thスクラッチが6μmであり、平均粒径D50が3μmであり、良好な分散性が得られた。
しかしながら、ケーキの乾燥時間(表5では、「投入時間」に相当する時間として表記)に24時間かかり、実施例1におけるケーキの乾燥時間に比較して、23倍を要しており、生産性の悪いものであった。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
【表3】

【0084】
【表4】

【0085】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の銀粉の製造方法は、銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を加えて、銀粒子を析出させた後に、該銀粒子を含むスラリーを濾過して得たケーキを気流乾燥装置にて乾燥することによって行われるので、生産性の高い銀粉の製造方法を提供することができる。
また、本発明の製造方法により製造された銀粉は、ファインライン化が進む積層セラミックコンデンサの内部電極、回路基板の導体パターン、太陽電池・プラズマディスプレイパネル用基板の電極、及び回路等の電子部品に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分を含んだ銀粒子を気流乾燥装置にて乾燥することによって銀粉を得ることを特徴とする銀粉の製造方法。
【請求項2】
銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を加えて、銀粒子を析出させた後に、該銀粒子を含むスラリーを濾過して得たケーキを気流乾燥装置にて乾燥することによって銀粉を得ることを特徴とする銀粉の製造方法。
【請求項3】
気流乾燥装置内での計算滞留時間が、0.2sec以下である請求項1から2のいずれかに記載の銀粉の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の銀粉の製造方法によって製造されたことを特徴とする銀粉。
【請求項5】
タップ密度が、2g/cm以上であり、レーザー回折法による平均粒径が、0.1〜5μmであり、かつ比表面積が、0.1m/g以上、5m/g以下である請求項4に記載の銀粉。
【請求項6】
ペースト化した際、グラインドゲージにより測定した前記ペースト中の最大粒径が10μm以下である請求項4に記載の銀粉。
【請求項7】
感光性ペーストとした際、残渣及び剥がれが生じない請求項4に記載の銀粉。
【請求項8】
請求項4から7のいずれかに記載の銀粉を用いて作製されたことを特徴とする導電性ペースト。
【請求項9】
請求項8に記載の導電性ペーストを用いて作製されたことを特徴とする電子回路部品。
【請求項10】
請求項9に記載の電子回路部品を用いて作製されたことを特徴とする電気製品。

【公開番号】特開2008−1974(P2008−1974A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95056(P2007−95056)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000224798)DOWAホールディングス株式会社 (550)
【Fターム(参考)】