説明

銑鉄又は液状鋼半製品を生産するための方法及びプラント

銑鉄又は液状鋼半製品を生産するための方法及びプラントが開示され、金属酸化物を含有する供給材料と、場合によってはアグリゲートとが還元ガスによって還元領域において少なくとも部分的に還元され、次いで熔錬領域中に導入されて、炭素担持体と、酸素含有ガスとを加えつつ、還元ガスが形成されつつ溶融される。熔錬領域において形成された還元ガスは還元領域に供給されてそこで転換され、送出ガスとして引き抜かれ、COがこの送出ガスから分離され、プロダクトガスが形成され、このプロダクトガスは、熔錬領域中への粉体状炭素担持体の導入に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銑鉄又は液状鋼半製品を生産するための方法及びプラントに関し、金属、特に酸化鉄を含有する供給材料と、場合によってはアグリゲート(aggregates)とが還元ガスによって還元領域において少なくとも部分的に還元され、次いで熔融領域中に導入されて、炭素担持体、特にコークス及び/又は石炭と、酸素含有ガスとを加えた状態で溶融され、かつ還元ガスが形成され、形成された還元ガスが還元領域に供給されてそこで転換され、場合によっては洗浄の後に送出ガスとして引き抜かれる。
【背景技術】
【0002】
従来技術からは、例えば炭素担持体のような超微粒子状物質を噴射ガスによる噴射によって熔融アセンブリ中に導入できることが知られている。このように、例えば粉体状の石炭は、噴射ガス及び噴射装置によって例えばブラスト炉又は溶融ガス化炉中に導入することが出来る。これの欠点は、窒素、空気、又は天然ガスのような別の噴射ガスを使用しなければならないことであり、別の噴射ガスは、プロセス中の、特に追加的な内部ガス再循環の場合における不活性ガスの体積を増加させるか、又は(天然ガス、電力のための)高い操業コストをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、超微細粒子状の炭素担持体の導入中におけるこのような欠点を回避する方法及びプラントを使用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1に係る発明による方法及び請求項10に係るプラントによって解決される。
【0005】
本発明に係る方法によって、送出ガスの少なくとも一部分は、COの分離の後に粉体状炭素担持体の熔融領域への導入に使用される。その結果、還元アセンブリから炉頂ガスとして引き抜かれ、洗浄の後に送出ガスとして提供される還元ガスの量を減少させることができるか、又は本方法において使用することができる送出ガスの割合を増加することができる。従来の方法において慣例的な、例えば窒素のような推進ガスの代わりに、プロセスに特有のガスを適用し、結果として循環ガスの量を減少させるので、本方法において循環ガスとして使用される送出ガス、すなわち、本方法に対して改めて供給される送出ガスの量を同様に減少することができる。したがって、実質的により少ない不活性ガス成分しかプロセスガス中に存在せず、したがってプロセスガスの圧縮、加熱、及び冷却のために実質的により少ないエネルギーしか必要とされないので、本方法において送出ガスを搬送するために必要とされる(例えば圧縮のための電力のような)エネルギーを削減することができる。同様にプロセスにおいて使用することができない送出ガスの比率は減少し、さらに噴射ガスのかなりの量を節約することができ、したがって銑鉄生産用のプラントの操業費用を削減することができる。さらなる利点は、還元ガス又は循環ガスが推進ガスによって汚染されることがなく、よって還元能力もまた減少しないということである。さらに、COが分離された還元ガスを推進ガスとして導入することによって、酸素ノズル又は羽口を介するエネルギー投入量を増加させることができ、結果的にコークス又は石炭の形の還元剤を節約することができる。
【0006】
本発明による方法の有利な形態によれば、プロダクトガスは少なくとも1つの混合チャンバーにおいて、場合によっては搬送ガスとともに、粉体状の炭素担持体と混合され、次いで熔融領域に導入される。プロダクトガスは流速の大幅な増加をもたらし、この増加した流速で粉体状の炭素担持体が熔融領域中に導入される。粉体状の炭素担持体は、搬送ガスによって混合チャンバー内に導入することができる。プロダクトガスが供給されることによって、粉体状の炭素担持体は加速されて高速で熔融領域中に導入される。この射出速度の増加によって、例えば、スラグによる閉塞、又は銑鉄噴射装置による損傷を回避することができる。圧力及びプロダクトガスの量を介して、若しくは搬送ガスの量を介して、熔錬領域への導入を直接的に制御することができるか、又は、操業パラメータに適応させることができる。
【0007】
本発明による方法の特に有利な形態によれば、プロダクトガス及び粉体状の炭素担持体の、場合によっては搬送ガスと一緒の、熔融領域への導入は、酸素を多く含有するガスとともに行われる。粉体状の炭素担持体は、エネルギー担持体として、かつ還元ガスの形成のために使用される。この目的のために、導入時に直ちに酸素を多く含有するガスを添加することが有利であり、これによって燃焼を可能とし、したがってエネルギーの導入を可能とする。例えば、酸素を多く含むガスとして、熔融領域において必要とされる熱風又は酸素を多く含む熱風を提供すること、及び、それを粉体状の炭素担持体及び、場合によっては搬送ガスとともに熔融領域に導入することが有利である。
【0008】
本発明による方法のさらなる有利な形態によれば、プロダクトガス、粉体状の炭素担持体、場合によっては搬送ガス、及び酸素を多く含有するガスが一緒に、まず羽口又は酸素ノズル中に、次いで熔融領域に射出される。羽口は、ブラスト炉では通常の装置であり、この装置を通じて、高温の、特に酸素を多く含むガスを熔融領域に導入することができる。酸素ノズルは、溶融還元プラントにおける装置であり、この装置は高いO濃度、好ましくは90%以上のOを有する、酸素を含有ガスを例えば溶融ガス化炉のような熔融アセンブリの熔融領域中に導入する。これらは殆どの場合熔融領域の周りに環状に配置されて、ガスの均一な導入を達成する。有利には、上述のガス及び粉体状の炭素担持体は、熔融領域中に一緒に射出することができ、ガスの粉体状の炭素担持体との緊密な混合が行われる。
【0009】
本発明による方法の特別な形態によれば、送出ガスはCO分離装置における処理の前に、圧縮され、及び/又は冷却される。これら手段によって、一方でCO分離のために好都合な操業パラメータを設定することができ、他方ではプロダクトガスの圧力と温度とに影響を与えることができる。
【0010】
本発明による方法の適切な形態によれば、CO分離装置において分離されたCOを多く含むガスはテールガスとして排出され、特に還元領域からの送出ガスとともに中間貯蔵される。テールガスは殆どの場合、非常に変動する成分を有し、したがってその熱量値もまた一定ではない。中間貯蔵によって、テールガスの特性を補償することができる。プロダクトガスとして使用されることのない過剰な送出ガスが混合されることによって、送出ガスはまずテールガスとともに貯蔵することができ、続いて例えば熱的利用のためのような外部使用に使用可能とすることができる。
【0011】
本発明による方法の有利な形態によれば、CO分離装置において分離された、テールガスとしてのCOを多く含むガス及び/又は還元領域からの送出ガスを、プロダクトガスを加熱するために加熱装置において少なくとも部分的に燃焼する。燃焼によって、テールガス及び/又は送出ガスのエネルギー含有量を使用することができ、したがって送出ガスのコスト効率の良い加熱を達成することができる。燃焼中に生じる排気ガスは排出され、場合によっては洗浄にかけられる。
【0012】
本発明による方法のさらなる有利な形態によれば、加熱されたプロダクトガスは還元領域中及び/又は熔融領域中に導入される。したがって、この方法において、残留しており、還元領域及び熔融領域において循環ガスとして、又は熔融領域においてプロダクトガスとして再利用することができる送出ガスの比率は大幅に増加する。
【0013】
本発明による方法の有利な形態によれば、還元領域から引き抜かれた還元ガスは、乾式ダスト除去及び/又は湿式洗浄にかけられる。引き抜かれた還元ガスは大きな比率のダスト又は微細な固体粒子を有しているので、まず洗浄を行うことが有利であり、この場合には、乾式又は湿式の洗浄処理だけでなく、これら乾式及び湿式の洗浄処理の組み合わせもまた可能である。洗浄され、引き抜かれた還元ガスは、送出ガスとして本発明に従って使用することができるか、又は例えば熱的利用のためのような、さらなる用途のために供給することができる。
【0014】
銑鉄又は液状鋼半製品の生産用の本発明によるプラントは、還元アセンブリであって、この還元アセンブリ中で金属酸化物、特に酸化鉄を含有する供給材料と、場合によってはアグリゲートとを還元ガスによって少なくとも部分的に還元することができる、還元アセンブリと、熔錬アセンブリであって、この熔錬アセンブリ中に少なくとも部分的に還元された供給材料又はアグリゲートを導入し、炭素担持体、特にコークス及び/又は石炭と、酸素含有ガスとが供給されつつ、かつ還元ガスが形成されつつ溶融され得る、熔錬アセンブリと、を備える。熔錬アセンブリにおいて形成された還元ガスは、還元領域に供給することができ、そこで転換され、場合によっては洗浄の後に、送出ガスとして引き抜くことができる。このプラントは、送出ガスからCOを分離するとともにプロダクトガスを形成するためのCO分離装置をさらに備える。CO分離装置は、プロダクトガスラインを介して、粉体状炭素担持体の熔錬アセンブリ内への導入、特に射出のための少なくとも1つの導入装置に接続されている。熔錬プロセスにとって、又は、熔錬プロセス中に行われる還元ガスの生成及び還元領域における還元にとって、不利なCO及び、好ましくは残留している水蒸気(HO)もまた、CO分離装置によって分離することができ、これにより一酸化炭素(CO)及び水素(H)のような、還元成分の比率の大きな価値の高いプロダクトガスが準備される。粉体状炭素担持体は、例えば塊状の石炭の取り扱いのような複数の冶金学的方法においても大量に生じる。
【0015】
したがって、この種の炭素担持体を処理する可能性は、実質的に経済的な利点となる。同様に、還元アセンブリから引き抜かれた還元ガスの新たな利用によって、銑鉄生産法の全体的な効率を改善することができ、これによって、例えば1トンの銑鉄生産あたりの全炭素担持体量を削減することができる。プロダクトガスを、粉体状炭素担持体を熔錬アセンブリ中に導入するために使用することによって、例えば窒素、液状ガス、又は天然ガスのような普段であれば通常使用される射出ガスなしに運用することができる。したがって、低い不活性ガスの比率の故に、プロセスガスの量は全体的に減少し、これによってガスの処理又はガスの通流のためのプラントを小型にすることが可能になる。
【0016】
本発明による装置の代替的な形態によれば、導入装置は、プロダクトガスを粉体状炭素担持体と、場合によっては搬送ガスと混合するための混合チャンバーを有し、この混合チャンバーは、プロダクトガスラインと、粉体状炭素担持体の搬入のための搬送ラインとに接続されている。最初に、粉体状炭素担持体が混合チャンバーの中に導入され、この導入は例えば搬送ガスによって、又は搬送ラインを介して重力によっても行うことができる。プロダクトガスを、プロダクトガスラインを介して添加することによって、導入のために必要な射出速度及び射出エネルギーを利用することができ、これによって粉体状炭素担持体を熔錬アセンブリ中に導入することができる。混合チャンバーによて、プロダクトガスと粉体状炭素担持体との間の緊密な混合がもたらされ、これにより均一な導入が可能となる。
【0017】
本発明による装置の1つの可能な変形態においては、導入装置は導入ラインを有し、この導入ラインは混合チャンバーを少なくとも1つのノズルに接続することが意図されている。このノズルによって、流速の大幅な増加がもたらされ、これによって、従来の熔錬アセンブリの場合のような、高圧を有する空間への射出さえもが可能となる。さらに、粉体状炭素担持体の緊密な旋回がさらに増加し、これによって熔錬アセンブリにおける高度に均一な分散が可能となる。複数の混合チャンバー及び/又は複数のノズルが設けられることによって、熔錬アセンブリにおける粉体状炭素担持体の均等な分散を保証することができる。
【0018】
本発明による装置の特に有利な形態によれば、導入装置は、酸素含有ガスの導入のための供給ラインを有する。粉体状炭素担持体は、酸素含有ガスとともに導入することができ、粉体状炭素担持体及びプロダクトガスの直接燃焼、又は、熔錬アセンブリ中への進入の際の粉体状炭素担持体のガス化が達成される。
【0019】
本発明による装置のさらなる可能な形態によれば、供給ライン及び導入ラインは、ノズルの中で合流している。したがってノズルは、熔錬アセンブリに進入する事実上均一なノズルジェットを形成している。したがって、酸素含有ガスを導入するため、及び粉体状炭素担持体のための、個別の装置を設ける必要が無い。これらは統合することができる。したがって、粉体状炭素担持体の導入のために、酸素含有ガスを導入するためにいずれにせよ既に設けられている装置を使用することができる。
【0020】
本発明による装置の特に有利な形態によれば、ノズルは、ブラスト炉の羽口又は熔錬アセンブリの酸素ノズルである。羽口は、熔錬アセンブリ中に、たいていの場合は熱風を導入するために用いられる。酸素ノズルは、熔錬‐還元プラントにおける装置であり、高い酸素濃度、好ましくは90%以上の酸素濃度を有する酸素含有ガスを、熔錬アセンブリの熔錬領域中に導入する装置である。このために、熱風のできる限り均等な導入を可能にするため、たいていは環状の装置が設けられている。しかしながら、高温の空気の代わりに、例えば90%を超える酸素濃度を有する、酸素を多く含むガスを熔錬アセンブリ中に射出することも可能である。したがって、酸素を多く含むガス及び粉体状炭素担持体は、ともに熔錬アセンブリ中に射出することができる。この形態は、粉体状炭素担持体の特に効果的な転換を保証し、これによって粉体状炭素担持体を、エネルギー担持体として、及び還元ガスの形成のために、特に効果的に使用することができる。
【0021】
本発明による装置の有利な形態によれば、還元アセンブリは、ブラスト炉のシャフトとして、又は還元シャフトとして、又は流動床アセンブリとして、又は直列接続された流動床アセンブリの群として形成されており、熔錬アセンブリは、ブラスト炉の下部として、又は溶融ガス化炉として形成されている。したがって、非常に広い金属酸化物又は鉄酸化物を含有する供給材料及びアグリゲートのグループを処理することができ、還元アセンブリを、例えば金属酸化物又は鉄酸化物を含有する供給材料の粒子サイズ及び組成、若しくは塊状タイプの炭素担持体に適合させることができる。同様に、熔錬アセンブリの選択によって、プラント及び方法を、処理されるべき金属酸化物又は鉄酸化物を含有する供給材料に正確に順応させることができる。
【0022】
本発明による装置の1つの可能な変形態においては、戦場装置、特に乾式戦場装置及び/又は湿式洗浄装置が、還元アセンブリからの還元ガスを排出するための炉頂ガス排出ラインに設けられることが意図されている。洗浄装置によって、還元アセンブリから還元ガスとともに排出されるダスト負荷及び、例えば微細固体粒子が分離される。例えばダストバッグ、高温ガスサイクロン、織物フィルタ、又は高温ガスフィルタのような乾式洗浄装置に加えて、例えば環状ガススクラバー又はベンチュリスクラバーのような湿式洗浄装置を設けることができる。さらに、上述の洗浄プラントの組み合わせもまた可能である。還元アセンブリから引き抜かれた洗浄された還元ガスは、送出ガスとして本発明に従って使用されるか、又はさらなる用途又は使用のために供給することができる。
【0023】
本発明による装置の有利な形態によれば、洗浄装置は、送出ガスラインによってCO分離装置に接続され、圧縮装置及び/又は少なくとも1つの冷却装置はこの送出ガスラインに配置されている。送出ガスは、まず圧縮され、次いで冷却され、水蒸気(HO)の大きな比率もまた凝縮され、分離され、その結果、CO分離に対する最適な条件を設定することができる。
【0024】
本発明による装置の有利な形態によれば、還元アセンブリ及び/又は熔錬アセンブリ中への導入の前にプロダクトガスを加熱するための加熱装置が設けられ、該加熱装置を、テールガス及び/又は送出ガスの少なくとも部分的な燃焼によって加熱することができる。したがって、熔錬アセンブリ及び/又は還元アセンブリ中に導入されるべきプロダクトガスを、対応して熱的に適用することができる。テールガス又は送出ガスの加熱装置内における燃焼によって、プロダクトガスを特にコスト効率良く加熱することができる。加熱されたプロダクトガスを、加熱装置を熔錬アセンブリ及び還元アセンブリに接続するラインを介して導入することができる。また、熔錬アセンブリへの導入は、本発明による導入装置を介して行うことができる。
【0025】
本発明は、限定することなく、例示的に図1及び図2に基づいて以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ブラスト炉を有する、本発明によるプラントを示す図である。
【図2】導入装置の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、銑鉄REの生産のための、ブラスト炉を有する本発明によるプラントを示している。ブラスト炉の下部は、熔錬領域を有する熔錬アセンブリ2を形成し、ブラスト炉のシャフトは、還元領域を有する還元アセンブリ1を形成している。還元アセンブリ1から引き抜かれた還元ガスは、還元領域において既に転換されている。このことは、金属酸化物を含有する、又は鉄酸化物を含有する供給材料と、場合によってはアグリゲートとを、還元アセンブリ1内において還元ガスによって少なくとも部分的に還元することができ、使用済みの還元ガスが炉頂ガスとして引き抜かれるということを意味している。少なくとも部分的に還元された金属酸化物を含有する、又は鉄酸化物を含有する供給材料は、熔錬領域の中に導入され、そこで還元ガスの形成もまた行われている。
【0028】
炉頂ガスのさらなる使用のために、たいていは最初にガスに洗浄を施すことが必要である。これは、乾式戦場装置12及び後置きされた湿式洗浄装置13によって2段階にて有利に行うことができる。これら高純度化装置は、炉頂ガス出口ライン11中に配置されている。湿式洗浄装置13は、CO分離装置3に送出ガスライン14を介して接続されている。これは、例えば圧力スイング又は真空圧力スイング吸着法によって操業することができる。たいていは、圧縮装置15及びこれに後置きされた、例えば冷水器のような冷却装置16が送出ガスライン14に設けられ、よって送出ガスの温度を意図的な方法でCO分離のために設定することができ、送出ガス中に含まれる水蒸気の大部分を凝縮し分離することが出来る。CO分離において、COを多く含むガス、つまりテールガスが分離され、プロダクトガスが形成され、このプロダクトガスは、例えば水素及び一酸化炭素のような還元成分を高い比率で有している。
【0029】
図2は、導入装置5を詳細に示している。プロダクトガスは、プロダクトガスライン4を介して少なくとも1つの混合チャンバー6中に導入することが出来る。搬送ライン7を介して、例えば粉体状の石炭のような粉体状の炭素担持体が、例えば窒素のような搬送ガスによって混合チャンバー6中に搬入され、プロダクトガスによって導入ライン8を介してノズル9へ供給される。また、それを介して酸素を多く含有するガスを導入することができる供給ライン10もノズル9へ合流する。その結果、酸素を多く含有するガス、搬送ガス、プロダクトガス、及び粉体状の炭素担持体は、一緒に熔錬アセンブリ中に導入されるか、又は射出される。好都合に、複数のノズルを設けることができ、これら複数のノズルは、例えばブラスト炉のような熔錬アセンブリの羽口又は酸素ノズルの中に直接射出するように配置することができる。
【0030】
導入ライン8は、射出ランスとして実施することができ、射出ランスもまた、混合チャンバー6を備えることができる。さらにまた、導入ライン8を個別の射出ダクトとして形成することもでき、この射出ダクトはノズル9へ合流している。ノズル9は、ブラスト炉の羽口又は例えば溶融ガス化炉のような熔錬アセンブリの酸素ノズルを形成することができる。
【0031】
好ましくは、供給ライン10及び導入ライン8は、羽口の中又は酸素ノズルの中に突出している射出ランスの先端か、又は羽口若しくは酸素ノズル内の射出ダクトに合流される。どちらの形態も羽口又は酸素ノズルを使用しており、これら羽口又は酸素ノズルは既知の装置であり、よって本発明による方法又は装置は既存のプラントにおいても付け替えることができる。
【0032】
さらに、加熱装置17を設けることができ、この加熱装置においてプロダクトガスの少なくとも一部の加熱を、CO分離装置3からのテールガス及び/又は送出ガスの少なくとも部分的な燃焼によって行うことができる。プロダクトガスのこの加熱された部分は、還元アセンブリ1又は熔錬アセンブリ2の中に導入することができる。
【0033】
過剰な送出ガス又はテールガスはガスアキュムレータ18中に貯蔵することができ、これらガスの組成の均質化が行われる。圧力スイング吸着法又は真空スイング吸着法からのテールガスの組成が非常に急激に変動し、これによって、熱量値の変動もまた結果的に急激となるので、この均質化は必要である。ガス混合物は続いて、例えば熱的利用のために使用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1・・・還元アセンブリ
2・・・熔錬アセンブリ
3・・・CO分離装置
4・・・プロダクトガスライン
5・・・導入装置
6・・・混合チャンバー
7・・・搬送ライン
8・・・導入ライン
9・・・ノズル
10・・・供給ライン
11・・・炉頂ガス排出ライン
12・・・乾式洗浄装置
13・・・湿式洗浄装置
14・・・送出ガスライン
15・・・圧縮器
16・・・冷却装置
17・・・加熱装置
18・・・ガスアキュムレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銑鉄又は液状鋼半製品を生産するための方法であって、
金属を含有する、特に酸化鉄を含有する供給材料と、場合によってはアグリゲートと、が還元ガスによって還元領域において少なくとも部分的に還元され、次いで熔錬領域中に導入されて、塊状の炭素担持体、特にコークス及び/又は石炭と、酸素含有ガスを加えつつ、かつ還元ガスが形成されつつ溶融され、形成された前記還元ガスが前記還元領域に供給されてそこで転換され、場合によっては洗浄の後に、送出ガスとして引き抜かれる方法において、
前記送出ガスの少なくとも一部がCO分離装置においてCOが分離されつつ、かつプロダクトガスが形成されつつ処理され、場合によっては搬送ガスとともに、粉体状炭素担持体の前記熔錬領域内への導入、特に射出に、使用されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記プロダクトガスは場合によっては搬送ガス、特に窒素とともに、混合チャンバーにおいて粉体状炭素担持体と混合され、次いで前記熔錬領域中に導入されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロダクトガス及び前記粉体状炭素担持体の、場合によっては搬送ガスと一緒の前記熔錬領域への前記導入は、酸素を多く含むガスとともに行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記プロダクトガス、前記粉体状炭素担持体、場合によっては前記搬送ガス、及び前記酸素を多く含むガスはともに、まず羽口又は酸素ノズル中に射出され、次いで前記熔錬領域中に射出されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記送出ガスは、前記CO分離装置における処理の前に、圧縮され及び/又は冷却されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記CO分離装置中において分離された前記COを多く含むガスは、テールガスとして排出され、特に前記還元領域からの送出ガスとともに、中間的に貯蔵されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
テールガスとして前記CO分離装置中において分離された前記COを多く含むガス、及び/又は前記還元領域からの送出ガスを、プロダクトガスを加熱するために加熱装置中において少なくとも部分的に燃焼させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記加熱されたプロダクトガスは、前記還元領域及び/又は前記熔錬領域中に導入されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記還元領域から引き抜かれた前記還元ガスは、乾式ダスト除去及び/又は湿式洗浄にかけられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
還元アセンブリ(1)であって、該還元アセンブリ(1)中で金属、特に酸化鉄を含有する供給材料と、場合によってはアグリゲートとを還元ガスによって少なくとも部分的に還元することができる、還元アセンブリ(1)と、
熔錬アセンブリ(2)であって、該熔錬アセンブリ(2)中に、少なくとも部分的に還元された供給材料又はアグリゲートが導入され、炭素担持体、特にコークス及び/又は石炭と、酸素含有ガスとが供給されつつ、かつ還元ガスが形成されつつ溶融され得る、熔錬アセンブリ(2)と、
を有する、銑鉄又は液状鋼半製品の生産用のプラントであって、
前記形成された還元ガスが、前記還元アセンブリに供給され、前記還元アセンブリにおいて転換され、場合によっては洗浄の後に送出ガスとして引き抜くことができる、プラントにおいて、
前記送出ガスからCOを分離するとともにプロダクトガスを形成するためのCO分離装置(3)が設けられ、前記プロダクトガスはプロダクトガスライン(4)を介して、粉体状炭素担持体の前記熔錬アセンブリ(2)内への導入、特に射出のための少なくとも1つの導入装置(5)に接続されていることを特徴とするプラント。
【請求項11】
前記導入装置(5)は、前記プロダクトガスを粉体状炭素担持体と、場合によっては搬送ガスと、混合するための少なくとも1つの混合チャンバー(6)を有し、該混合チャンバー(6)は、前記プロダクトガスライン(4)と、前記粉体状炭素担持体の、搬入のための搬送ライン(7)と、に接続されていることを特徴とする請求項10に記載のプラント。
【請求項12】
前記導入装置(5)は導入ライン(8)を有し、該導入ライン(8)は前記混合チャンバーを少なくとも1つのノズル(9)に接続していることを特徴とする請求項10又は11に記載のプラント。
【請求項13】
前記導入装置(5)は、酸素含有ガスの導入のための供給ライン(10)を有することを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項14】
前記供給ライン(10)及び前記導入ライン(8)は、前記ノズル(9)中において合流していることを特徴とする請求項13に記載のプラント。
【請求項15】
前記ノズル(9)は、ブラスト炉の羽口又は熔錬アセンブリ(2)の酸素ノズルであることを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項16】
前記還元アセンブリ(1)は、ブラスト炉のシャフトとして、又は還元シャフトとして、又は流動床アセンブリとして、又は直列接続された流動床アセンブリの群として形成されており、前記熔錬アセンブリ(2)は、ブラスト炉の下部として、又は溶融ガス化炉として形成されていることを特徴とする請求項10〜15のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項17】
洗浄装置、特に乾式洗浄装置(12)及び/又は湿式洗浄装置(13)が、前記還元アセンブリ(1)からの還元ガスの排出用の炉頂ガス排出ライン(11)に設けられていることを特徴とする請求項10〜16のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項18】
前記洗浄装置は、送出ガスライン(14)によって前記CO分離装置(3)に接続され、圧縮装置(15)及び/又は少なくとも1つの冷却装置(16)は前記送出ガスライン(14)に配置されていることを特徴とする請求項17に記載のプラント。
【請求項19】
前記還元アセンブリ(1)及び/又は前記熔錬アセンブリ(2)中へのプロダクトガスの導入前に前記プロダクトガスを加熱するための加熱装置(17)が設けられ、該加熱装置(17)を、テールガス及び/又は送出ガスの少なくとも部分的な燃焼によって加熱することができることを特徴とする請求項10〜18のいずれか一項に記載のプラント。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−516389(P2012−516389A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546750(P2011−546750)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050374
【国際公開番号】WO2010/086229
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(595031362)シーメンス・ファオアーイー・メタルズ・テクノロジーズ・ゲーエムベーハー (23)
【Fターム(参考)】