説明

鋼帯の連続溶融メッキ及び連続熱処理設備

【課題】本発明は、例えば鋼帯の連続溶融亜鉛メッキ・熱処理設備または鋼帯の連続焼鈍設備の後段で連続熱処理を行う設備で、複数の保熱帯を配置する場合に、保熱帯の温度調整装置の設置に伴う設備費負担増と、設置スペース増を抑制できる鋼帯の連続溶融亜鉛メッキ・熱処理設備、鋼帯の連続熱処理設備を提供する。
【解決手段】例えば、鋼帯1に溶融亜鉛メッキを施した後に、合金化及び/または焼入れ処理する機能を有する一次加熱帯5、一次保熱帯6、一次冷却帯7、8を配置し、この一次冷却帯の後に、焼戻し処理する機能を有する二次加熱帯9と二次保熱帯10、二次冷却帯11を配置した、連続溶融亜鉛メッキ・熱処理設備で、一次保熱帯6と二次保熱帯10の温度調整装置20を共用し切替え使用可能に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鋼帯に合金化処理、焼入れ処理及び焼戻し処理を行うために複数の保熱帯を配置した鋼帯の連続溶融亜鉛メッキ・熱処理設備(ここでは、連続溶融亜鉛メッキと、メッキ付着量調整後の合金化処理及び焼入れ処理、焼戻し処理する機能を有する設備を意味する。)、あるいは鋼帯の連続焼鈍の後段に連設して、焼入れ処理、焼戻し処理などの熱処理を行うために複数の保熱帯を配置した鋼帯の連続熱処理設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、鋼帯の連続溶融亜鉛メッキ・合金化設備においては、例えば、特許文献1の図2に開示されるように、鋼帯sを溶融亜鉛メッキ槽aに浸漬して引上げながら、ガスワイピングノズルbから高圧ガスを吹き付けメッキ付着量を調整し、メッキ鋼帯szを、加熱帯c、保熱帯d、冷却帯eからなる合金化設備で合金化処理することが行われている。
この鋼帯の連続溶融亜鉛メッキ・合金化設備において、幅広い特性を有するメッキ鋼帯を得るために、例えば特許文献1では、合金化炉の後段に複数の冷却帯と複数の保熱帯を並列配置し、合金化炉で加熱されたメッキ鋼帯を、ただちに冷却するか、一定時間保熱してから冷却するか切替え可能にして、冷却、保熱特性の異なる各種のヒートパターンを切替えることが提案されている。
【0003】
また、特許文献2には、加熱帯の上方の保持帯(保熱帯)と冷却帯を水平に配置して、鉛直面方向の高さを低くして設備投資額の削減と、ガスワイピングの加熱源として使用した燃焼ガスが保有する熱エネルギを保持帯で再使用してエネルギの利用効率を向上させることが提案されている。
一般には、加熱帯では誘導加熱方式や燃焼ガス、またはそれらを併用した熱源装置が使用されている。
一方、保熱帯では、温度調整装置として、電気ヒータや、燃焼ガスを発生させる燃焼炉等が一般に用いられており、複数の保熱帯を配置する場合には、それぞれに独立した熱源装置が設置されており、この場合、設備費負担増、設置スペース増などの問題があった。
【特許文献1】特開平05−179415号公報
【特許文献2】特開平06−081093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、例えば鋼帯の連続溶融亜鉛メッキ・熱処理設備、あるいは、鋼帯の連続焼鈍の後段で焼入れ処理と焼戻し処理などの熱処理を行う設備などで、複数の保熱帯を配置する場合に、保熱帯の温度調整装置の設置に伴う設備費負担増と、設置スペース増を抑制できる鋼帯の連続溶融亜鉛メッキ・熱処理設備、あるいは鋼帯の連続熱処理設備を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を有利に解決するために以下の(1)〜(4)を要旨とするものである。
(1) 鋼帯の連続溶融亜鉛メッキの付着量調整装置の後に、メッキ合金化処理及び焼入れ処理する機能を有する一次加熱帯、一次保熱帯、一次冷却帯を配置し、この一次冷却帯の後に、焼戻し処理する機能を有する二次加熱帯、二次保熱帯、二次冷却帯を配置し、一次保熱帯と二次保熱帯間に温度調整装置を共用し切替え使用可能に配置したことを特徴とする鋼帯の連続溶融亜鉛メッキ・熱処理設備。
(2) (1)において、鋼帯の連続焼鈍設備の後段に連設されていることを特徴とする連続溶融亜鉛メッキ・熱処理設備。
(3) (2)において、メッキ槽の入側に連続焼鈍後の鋼帯通板路の切替装置が配置され、当該切替装置が、鋼帯がメッキ槽を通過する場合と迂回する場合とを切替える機能を有し、連続焼鈍・連続熱処理設備を兼用できることを特徴とする鋼帯の連続溶融亜鉛メッキ・熱処理設備。
(4) 鋼帯の連続焼鈍設備の後段に連設されている鋼帯の連続熱処理設備であって、鋼帯を焼入れ処理する機能を有する一次加熱帯、一次保熱帯、一次冷却帯を配置し、この一次冷却帯の後に、焼戻し処理する機能を有する二次加熱帯、二次保熱帯、二次冷却帯を配置し、一次保熱帯と二次保熱帯間に温度調整装置を共用し切替え使用可能に配置したことを特徴とする鋼帯の連続熱処理設備。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、例えば鋼帯の連続溶融亜鉛メッキ・熱処理設備で、メッキ合金化処理及び焼入れ処理工程に一次保熱帯を配置し、焼戻し処理工程に二次保熱帯を配置する場合に、一次保熱帯と二次保熱帯の雰囲気温度を調整する温度調整装置を、共用し切替え使用可能に配置するため、設備がコンパクトになり設備投資額を大幅に削減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の前記(1)〜(4)の設備で配置される一次保熱帯と二次保熱帯は、基本的には、加熱帯と冷却帯間に配置され、鋼帯の温度を加熱帯の出側温度に一定時間保定するためのものである。ただし、幅広いヒートパターンを選択できるように、保熱のための加熱、温度を下げるための冷却の他、通板帯(放冷帯)として放冷することも可能で、温度調整帯的な機能も有するものである。
本発明は、各保熱帯の各機能を確保するために、各保熱帯の雰囲気温度を調整可能な1基の温度調整装置を、一次保熱帯と二次保熱帯間に共用し切替え可能に配置し、一次保熱帯と二次保熱帯の両方に、または一次保熱帯と二次保熱帯のいずれか一方に切替え使用するものである。
【0008】
この温度調整装置は、各保熱帯単位で前記各機能(保熱、冷却、放冷機能など)を確保するために各機能間の切替えができる。また、保熱帯を通板帯(放冷帯)とする場合など、当該保熱帯に対する温度調整装置による温度調整のオン/オフの切替えもできる。
この温度調整装置は、幅広い温度領域で保熱帯の雰囲気温度を安定かつ精度よく確保・調整できるものが適性がある。例えば電気加熱装置、ガス加熱装置など(併用を含む)の加熱装置と、例えば冷却ブロワーなどの冷却装置を備え、直接または間接に保熱帯の雰囲気温度を調整可能なものを選択するものである。
【0009】
本発明の(1)の鋼帯の連続溶融亜鉛メッキ・熱処理設備で用いる温度調整装置は、鋼帯の材質(鋼種)、サイズ、メッキ条件、通板速度などにより決定される、メッキ合金化及び焼入れ処理、焼戻し処理などの熱処理のヒートパターンに応じて、使用する保熱帯で所定の雰囲気温度を得る投入熱量を決定し制御するものである。
前記(1)の設備を鋼帯の連続焼鈍設備の後段に連設した前記(2)の設備で用いる温度調整装置は、連続焼鈍設備から導入する焼鈍鋼帯の材質(鋼種)、サイズ、メッキ条件、通板速度などにより決定される、メッキの合金化及び焼入れ処理、焼戻し処理などの熱処理のヒートパターンに応じて、使用する保熱帯で所定の雰囲気温度を得る投入熱量を決定し制御するものである。
【0010】
また、前記(1)の鋼帯の連続溶融亜鉛メッキ・熱処理設備と鋼帯の連続熱処理設備に兼用する前記(3)の設備で用いる温度調整装置は、鋼帯の連続溶融亜鉛メッキ・熱処理操業及び鋼帯の連続熱処理操業のいずれの場合にも対応できるものである。すなわち、
鋼帯の連続溶融亜鉛メッキ・熱処理操業を行う場合の温度調整装置は、鋼帯の材質(鋼種)、サイズ、メッキ条件、熱処理条件、通板速度などにより決定される、メッキの合金化及び焼入れ処理、焼戻し処理などの熱処理のヒートパターンに応じて、使用する保熱帯で所定の雰囲気温度を得る投入熱量を決定し制御するものである。
また、鋼帯の連続熱処理操業を行う場合の温度調整装置は、焼鈍鋼帯の材質(鋼種)、サイズ、熱処理条件、通板速度などにより決定される、焼鈍鋼帯の焼入れ処理、焼戻し処理のヒートパターンに応じて、使用する保熱帯で所定の雰囲気温度を得る投入熱量を決定し制御するものである。
【0011】
前記(4)の鋼帯の連続熱処理設備で用いる温度調整装置は、焼鈍鋼帯の材質(鋼種)、サイズ、熱処理条件、通板速度などにより決定される、焼鈍鋼帯の焼入れ処理、焼戻し処理などの熱処理のヒートパターンに応じて、使用する保熱帯で所定の雰囲気温度を得る投入熱量を決定し制御するものである。
【実施例1】
【0012】
この実施例1は、本発明を鋼帯の連続溶融亜鉛メッキ・熱処理設備として適用した場合のものである。図1は、この設備配置例を概念的に示したものである。
図1において、1はメッキ対象の鋼帯であり、メッキ槽2の亜鉛メッキ浴3に浸漬し、ガスワイピングノズル4からの高圧ガスでメッキ付着量を調整後、一次加熱帯5、一次保熱帯6、一次冷却帯7、8からなる合金化・焼入れ処理工程で、メッキ合金化処理・焼入れ処理(ここでは合金化処理もしくは焼入れ処理または合金化処理及び焼入れ処理することを意味する。)してメッキ鋼帯1aとなる。このメッキ鋼帯1aは、二次加熱帯9と二次保熱帯10で所要のヒートパターンのメッキ鋼帯1bを得るために焼戻され、二次冷却帯11で冷却される。
一次保熱帯6、二次保熱帯10は、対象のメッキ鋼帯1a、1bの種類によって選択使用されるもので、保熱帯としてだけでなく、鋼帯の温度を下げる冷却帯、あるいは通板帯(放冷帯)としても使用するものである。
この一次保熱帯6と二次保熱帯10には、雰囲気温度を調整するための保熱(加熱)と冷却を行う温度調整装置20が、共用して切替え使用可能に接続されている。
この温度調整装置20は、ここでは燃焼ガスを発生する燃焼炉12、燃焼ガスまたは燃焼ガスと空気の混合ガスを供給するブロワー13、供給管18、供給分管14、15、切替弁16、16a、空気切替弁19、19a、19b、空気を供給するブロワー17などから構成されるものである。
【0013】
この温度調整装置20の加熱熱源は、ここでは一般的な構造を有する燃焼炉12で発生させた燃焼ガスであり、ブロワー13により燃焼炉12から供給管18、供給分管14、15を経て一次保熱帯6、二次保熱帯10に供給可能である。
また、温度調整装置20の冷却媒体は、ここではブロワー17による空気であり、単独で供給分管14、15経て、または供給管18から供給分管14、15を経て一次保熱帯6、二次保熱帯10に供給可能である。このとき供給分管14、15または供給管18の燃焼ガスに混入させ、それぞれ単独に、または両者同時に燃焼ガス温度を調整して一次保熱帯6、二次保熱帯10に供給することも可能である。
燃焼炉12は、一次保熱帯6と二次保熱帯10の加熱熱源となる燃焼ガスを発生するものである。この燃焼炉12は、一次保熱帯6と二次保熱帯10に供給分管14または供給分管15に切替弁16、16aを介して接続されており、切替弁16、16aを操作して、供給管18から供給分管14または15に、あるいは供給分管14と15の両方へ燃焼ガスを供給して、使用する一次保熱帯6、二次保熱帯10に供給することができる。
一方、ブロワー17による空気は、一次保熱帯6、二次保熱帯10の雰囲気温度を低温側に調整するためのものであり、切替弁19、19aを介して直接に供給分管14、15を経て、または切替弁19bを介して供給管18、供給分管14、15を経て一次保熱帯6、二次保熱帯10に供給することができる。
前記の各切替弁は、オン/オフの切替えが可能であり、流量調整も可能なものを選択することが好ましい。なお、ここでは、主要な切替弁にのみ符号を付けて説明し、他の各弁(流量調整可能なものを含む)については、符号及び説明を省略する。
【0014】
一次保熱帯6、二次保熱帯10では、要求される温度領域及び熱量領域が異なる場合が多いので、燃焼炉12では、燃焼ガスの温度、供給量を制御できることが要求される。
燃焼炉12からの燃焼ガスの温度及び熱量の調整は、基本的には燃焼炉12に供給する燃料ガスの種類の選択、燃料ガスと空気の量を制御することによって行うことができる。このとき、他の加熱装置、例えば電気ヒーターを併用して、燃焼ガスの温度領域及び熱量領域を広げることもできる。
【0015】
通常操業の場合で、一次保熱帯6、二次保熱帯10を保熱に機能させる場合は燃焼ガスにより、200〜600℃程度の保熱温度を確保する。
一次保熱帯6、二次保熱帯10を冷却(加熱帯5または9での加熱温度以下に下げる場合)に機能させる場合には、例えば供給分管14、15のいずれか一方または両方を経て供給される燃焼ガスに対して温度調整用ブロワー17により空気を混入させて燃焼ガスの温度を低温側に調整したり、燃焼ガスの供給を止め空気のみを供給するなどにより、一次保熱帯6、二次保熱帯10の雰囲気温度を加熱帯5または9からの鋼帯温度より低温側に調整することができる。
一次保熱帯6、二次保熱帯10を単に通板帯(放冷帯)とする場合には、基本的には、燃焼ガスや空気の供給の必要はない。
なお、一次保熱帯6や二次保熱帯10の熱源として使用後の燃焼ガス(排ガス)は、例えば、ガスワイピングノズル4からの高圧ガスを熱交換する熱源として有効利用することもできる。
【0016】
図2、図3は、実施例1による連続溶融亜鉛メッキ後の合金化処理及び熱処理での基本形になる各種ヒートパターン例を示したものである。
図2は、二次加熱帯9不使用の場合での一次加熱帯以降、二次冷却帯までの各帯(一次加熱帯5、一次保熱帯6、一次冷却帯7・8、二次加熱帯9、二次保熱帯10、二次冷却帯11)でのメッキ鋼帯の温度を示したものであり、一次保熱帯6と二次保熱帯10で、例えばA(保熱+保熱)、B(保熱+冷却)、C(冷却+保熱)、D(冷却+冷却)の4つのヒートパターンが得られることを示している。
また、図3は、二次加熱帯9使用の場合での一次加熱帯以降、二次冷却帯までの各帯(5、6、7・8、9、10、11)でのメッキ鋼帯の温度を示したものであり、例えばE(保熱+保熱)、F(保熱+冷却)、G(冷却+保熱)、H(冷却+冷却)の4つのヒートパターンが得られることを示している。
ここで、二次加熱帯9不使用の場合とは、二次加熱帯9でメッキ鋼帯の温度を上げない(再加熱しない)場合で、二次加熱帯9を通過帯(放冷帯)として使用する場合を含む。
また、二次加熱帯9使用の場合とは、二次加熱帯9でメッキ鋼帯の温度を上げる(再加熱する)場合である。
また、保熱帯6、10での冷却とは、前段の加熱帯5、9からのメッキ鋼帯の温度を下げる場合で、保熱帯を冷却帯、通板帯(放冷帯)として使用した場合の保熱帯での冷却を総称する。
【0017】
以下に、二次加熱帯9不使用の場合と二次加熱帯9使用の場合での各ヒートパターンの代表例を、以下に保熱帯主体に説明する。
(1)パターンA、Bの場合(図2)
Aの場合
合金化しにくい材質の場合で、合金化のために必要となる入熱量が大きいため、一次保熱帯6で保熱(450〜600℃、10〜60秒保持)し合金化終了後に、更に合金化を進行させるために二次加熱帯9を使用せずに二次保熱帯10で保熱(350〜500℃、1〜60秒保持)する。
Bの場合
Aの場合で、一次保熱帯6で保熱し合金化後、更に合金化を進行させない場合で、二次保熱帯10では保熱せず冷却する。
(2)パターンCの場合(図2)
Bの場合で、一次保熱帯6では冷却し、二次加熱帯9を使用しないで二次保熱帯10では保熱する。
(3)パターンDの場合(図2)
合金化しやすい材質の場合で、合金化のために必要となる入熱量が少ないため、一次保熱帯6で冷却(450〜600℃から、1℃/秒以上で冷却)し、二次加熱帯9では加熱せず、二次保熱帯10では冷却する。
【0018】
(4)パターンEの場合(図3)
焼戻し材の場合で、焼き入れ・焼戻し処理にて高延性の高強度メッキ鋼帯を得る場合で、一次加熱帯5の加熱と一次保熱帯6の保熱(450〜600℃、10〜60秒保持)で合金化を終了し、その後一次冷却帯7・8で焼入れ し、二次加熱帯9で加熱した後、二次保熱帯10で保熱(200〜500℃、1〜60秒保持)して焼戻し、二次冷却帯11で冷却して目標の材質を備えた合金化メッキ鋼帯を1bを得ることができる。
(5)パターンFの場合(図3)
焼戻ししやすい材質または焼戻しを途中でやめたい材質を対象とする場合で、一次保熱帯6で保熱し、その後一次冷却帯7・8で冷却して焼入れし、その後二次加熱帯9で加熱して焼戻し、二次保熱帯10、二次冷却帯11で冷却して目標の材質を備えた合金化メッキ鋼帯1bを得ることができる。
(6)パターンGの場合(図3)
合金化しやすい材質を対象とする場合で、一次保熱帯6で冷却し、その後一次冷却帯7・8で焼入れし、二次加熱帯9で加熱し二次保熱帯10で保熱して焼戻し、二次冷却帯11で冷却して目標の材質を備えた合金化メッキ鋼帯を1bを得ることができる。
(7)パターンHの場合(図3)
合金化しやすく、焼戻ししやすい材質または焼戻しを途中でやめたい材質を対象とする場合で、一次保熱帯6で冷却し、その後一次冷却帯7・8で冷却して焼入れし、二次加熱帯9で加熱して焼戻し、二次保熱帯10、二次冷却帯11で冷却して目標の材質を備えた合金化メッキ鋼帯1bを得ることができる。
【実施例2】
【0019】
図4は、本発明による鋼帯の連続焼鈍設備に後段に連設した本発明による鋼帯の溶融亜鉛メッキ・熱処理設備と鋼帯の連続熱処理設備の兼用設備列で、鋼帯の連続熱処理設備として切替え使用する場合で示しており、連続焼鈍設備で連続焼鈍した鋼帯1を切替装置21を介して一次加熱帯5に導入して、基本的には、一次加熱帯5、一次保熱帯6、一次冷却帯7・8、で焼入れし、二次加熱帯9と二次保熱帯10で焼戻し、二次冷却帯11で冷却するように構成している。
この実施例2の場合には、連続焼鈍した鋼帯1に熱処理を行うため、メッキ鋼帯を処理対象とする実施例1の場合とは、ヒートパターンが同じではないが、一次加熱帯5以降の熱処理設備自体の基本構成は実施例1の場合と変わりはない。
この実施例2の場合には、連続焼鈍鋼帯1においても実施例1同様の幅広いヒートパターンを得て、連続焼鈍・熱処理鋼帯1cを得ることができる。
なお、鋼帯の溶融亜鉛メッキ・熱処理設備として切替え使用する場合には、連続焼鈍設備で連続焼鈍した鋼帯1を切替装置21を介してメッキ槽2に導入し、実施例1の場合と同様の処理を行うことができる。
【実施例3】
【0020】
図5は、本発明による鋼帯の連続熱処理設備例の配置例を概念的に示したものである。
この鋼帯の連続熱処理設備は、連続焼鈍設備の後段に連設したものであり、連続焼鈍設備で連続焼鈍した鋼帯1を焼入れ、焼戻しの熱処理対象とするものである。
この実施例3の場合には、連続焼鈍した鋼帯1に熱処理を行うものであり、実施例2の場合と、ヒートパターンも概ね同じで、一次加熱帯5以降の熱処理設備自体の基本構成は実施例1、2の場合と概ね変わりはない。
この実施例3の場合には、鋼帯1に対して実施例2と同様の幅広いヒートパターンを得て、連続焼鈍・焼入れ、焼戻し処理した鋼帯1cを得ることができる。
【0021】
本発明は、上記の実施例の内容に限定されるものではない、連続溶融亜鉛メッキ・熱処理設備、連続焼鈍・熱処理設備(付帯設備を含む)を構成する温度調整装置を含む各種装置の種類及び構造、配置条件、操業条件などについては、処理対象の鋼帯条件、連続焼鈍・連続溶融メッキ及び熱処理の基本条件、操業スケジュールなどに応じて請求項の範囲を満足する範囲内で変更のあるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1の連続溶融メッキ・熱処理設備の主要設備配置を示す側面概念説明図。
【図2】本発明の実施例1で、二次加熱帯不使用の場合の各種ヒートパターン例を示す説明図。
【図3】本発明の実施例1で、二次加熱帯使用の場合の各種ヒートパターン例を示す説明図。
【図4】本発明の実施例2の鋼帯の連続溶融メッキ・熱処理設備及び鋼帯の連続熱処理設備の兼用設備の主要設備配置例を示す側面概念説明図。
【図5】本発明の実施例3の鋼帯の連続熱処理設備での主要設備配置例を示す側面概念説明図。
【符号の説明】
【0023】
1 鋼帯1 1a、1b メッキ鋼帯
1c 熱処理鋼帯
2 メッキ槽 3 溶融亜鉛メッキ浴
4 ガスワイピングノズル 5 一次加熱帯
6 一次保熱帯 7、8 一次冷却帯
9 二次加熱帯 10 二次保熱帯
11 二次冷却帯 12 燃焼炉(熱源装置)
13 燃焼ガス供給ブロワー 14、15 供給分管
16、16a 切替弁 17 空気供給ブロワー
18 供給管 19、19a、19b 切替弁
20 温度調整装置 21 切替装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼帯の連続溶融亜鉛メッキの付着量調整装置の後に、メッキ合金化処理及び焼入れ処理する機能を有する一次加熱帯、一次保熱帯、一次冷却帯を配置し、この一次冷却帯の後に、焼戻し処理する機能を有する二次加熱帯、二次保熱帯、二次冷却帯を配置し、一次保熱帯と二次保熱帯間に温度調整装置を共用し切替え使用可能に配置したことを特徴とする鋼帯の連続溶融亜鉛メッキ・熱処理設備。
【請求項2】
鋼帯の連続焼鈍設備の後段に連設されていることを特徴とする請求項1に記載の連続溶融亜鉛メッキ・熱処理設備。
【請求項3】
メッキ槽の入側に連続焼鈍後の鋼帯通板路の切替装置が配置され、当該切替装置が、鋼帯がメッキ槽を通過する場合と迂回する場合とを切替える機能を有し、連続焼鈍・連続熱処理設備を兼用できることを特徴とする請求項2に記載の鋼帯の連続溶融亜鉛メッキ・熱処理設備。
【請求項4】
鋼帯の連続焼鈍設備の後段に連設されている鋼帯の連続熱処理設備であって、鋼帯を焼入れ処理する機能を有する一次加熱帯、一次保熱帯、一次冷却帯を配置し、この一次冷却帯の後に、焼戻し処理する機能を有する二次加熱帯、二次保熱帯、二次冷却帯を配置し、一次保熱帯と二次保熱帯間に温度調整装置を共用し切替え使用可能に配置したことを特徴とする鋼帯の連続熱処理設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−247041(P2007−247041A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76074(P2006−76074)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】