説明

錠剤容器詰機

【課題】錠剤分包機の基本構造を踏襲しつつもコンパクトに実装できて確実な動作も期待できる錠剤容器詰機を実現する。
【解決手段】多数の錠剤フィーダ13から排出された錠剤1を導管14で案内して落下させるとともに小容器3を水平面内で移動させてそれに落下錠剤1を収容する錠剤容器詰機50であって、導管14が錠剤フィーダ13毎に設けられ、導管14の下端の直下には導管14ごとに下広がりの貯留管51が配設され、貯留管51の下端には何れも開閉部材52が付設される。また、導管14が鉛直な直管であり、上下の錠剤フィーダ13は導管14の逃げのため水平方向にずれて配置される。さらに、貯留管51の内容積が小容器3のそれより大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種の錠剤を保持するとともに所要数の錠剤を排出させて小容器に投入する錠剤容器詰機に関する。
錠剤としては、球状やそれを扁平にした玉剤が典型的であるが、カセット等の収容器に纏めて保持できるとともに一個ずつ落下排出できるものであれば、円板状錠剤や、円筒状錠剤、カプセル剤なども該当する。
小容器としては、プラスチック製ボトルやガラス製の小瓶などが典型的であるが、上面から錠剤を投入できる形状の容器であって個別搬送可能なものであれば該当する。なお、容器に小が付いているのは、錠剤カセット等の収容器よりは小さいボトル等の使用を想定しているからである。
【背景技術】
【0002】
錠剤分包機や注射薬払出装置などの自動調剤装置では、錠剤フィーダ等の錠剤カセットに各種の錠剤を種類分けして収容しておき、処方箋やそれに基づく調剤指示に従って所望の錠剤を所望の個数だけ取り出せるようになっている(例えば特許文献1参照)。また、多くの機種で、錠剤カセットへの錠剤補充が容易に行えるよう錠剤カセットが着脱可能となっている。図3は、そのような錠剤分包機10及びそれに多数組み込まれている錠剤フィーダ13の機械的構造を示しており、(a)が錠剤分包機10の外観斜視図、(b)が錠剤分包機10の内部構造を示す模式図、(c)が錠剤フィーダ13の左側面図、(d)が正面図、(e)が縦断左側面図、(f)が錠剤フィーダ13の作動部に対する制御ブロック図である。
【0003】
この錠剤分包機10は(図3(a),(b)参照)、各種の錠剤1を種類分けして収容した多数の錠剤フィーダ13と、これらの錠剤フィーダ13から排出された錠剤1を収集する錠剤収集機構14,15と、この錠剤収集機構14,15から受けた錠剤1を包装する包装装置17と、マイクロプロセッサシステム等からなるコントローラ18(錠剤分包機メインコントローラ、分包機本体の主制御装置)とを具えている。そして、コントローラ18の制御下、処方箋データや派生した調剤指示データ等に応じて該当する錠剤フィーダ13から必要個数の錠剤1を排出させ、それを錠剤収集機構14,15で収集して下方の錠剤投入部16へ送り込み、更に包装装置17で分包する。分包は服用単位や施用単位で区分しながら包装帯2(分包紙)で包装するようになっている。
【0004】
詳述すると、錠剤分包機10の筐体内には、上の方に薬品庫11(薬品棚部、錠剤収納庫格納部)が設けられるとともに、下の方に包装装置17が設けられ、さらに、これらの間を錠剤収集機構としての導管14(ダクト,シュート,案内路,上部錠剤収集経路)及び収集部材15(ホッパ状部材,漏斗状部材,下部錠剤収集経路)が連絡しているが、薬品庫11には、個々にスライドしうる複数の錠剤フィーダ格納庫12(錠剤収納庫)が横に並べて配設され、それぞれの錠剤フィーダ格納庫12には、数個から数十個の着脱式の錠剤フィーダ13が縦横に且つ前後に並べて格納されている。
【0005】
各錠剤フィーダ13は(図3(c)〜(e)参照)、多数の錠剤1を排出可能に収容する錠剤カセット20と、この錠剤カセット20を着脱可能に支持してその排出駆動を行うベース部30とに大別され、指定錠数だけ錠剤1を排出するようになっている。そのうち、ベース部30は(図3(f)参照)、駆動源としてのモータ31や,排出錠剤の落下検出手段としての排出センサ32,カセット着脱の検出手段としての着脱センサ33などを内蔵しており、これらが個別の棚内配線34にて棚制御回路35に接続されているので、錠剤フィーダ格納庫12の棚板に対し常態では固定的に取り付けられる。これに対し、錠剤フィーダ13のうち錠剤カセット20は、錠剤補充作業の容易化のため、着脱式のものとなっている。
【0006】
このような錠剤分包機10の自動調剤動作を統合管理するため、錠剤分包機10に添えて或いは成る可く近くに配置して(図3(a)参照)、上位卓9(調剤制御装置)が設置されることもある。上位卓9は、錠剤分包機10が単体の最小システムであれば一対一なので錠剤分包機10と一体的に設置されることが多いが、錠剤分包機10が複数台・多数台の中規模・大規模システムの場合、一台の上位卓9が複数台・多数台の錠剤分包機10を管理するので、すなわち一対多または少数対多数の管理体制なので、錠剤分包機10から分離した独立状態で設置されることが多い。通常はこの上位卓9を介して、処方箋の内容を電子データ化した処方箋データやそれから派生した調剤データが入力されるようになっている。
【0007】
このような従来の錠剤分包機では(例えば特許文献1参照)、上述したように、錠剤収集経路が上部錠剤収集経路と下部錠剤収集経路とからなり、下部錠剤収集経路が下すぼみのホッパ15からなり、上部錠剤収集経路が落下案内用の鉛直な導管14からなり、その導管14が幾つかの錠剤フィーダ13で共用されるようになっている。また、下部錠剤収集経路に水平搬送装置を採用するとともに上部錠剤収集経路の下端を開閉するようになったものもあるが(例えば特許文献2参照)、上部錠剤収集経路はやはり幾つかの錠剤フィーダで共用されるようになっている。さらに、錠剤でなく注射アンプルを払い出す装置では(例えば特許文献3参照)、カセット毎に落下案内用シュータが配設され、それらの下端には水平方向搬送ベルトコンベアが設けられている。また、カセットから薬品類を排出させる駆動を行うドライブギヤユニットが鉛直面内でXY移動するようになったものもある(例えば特許文献4参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2002−272812号公報
【特許文献2】特開2001−87353号公報
【特許文献3】特開平02−28406号公報
【特許文献4】特開2004−275550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した錠剤分包機は各種の錠剤を服用単位の少量ずつ混ぜて包装帯で分包するものであるが、それより多く例えば一週間分の錠剤を纏めてボトル等の小容器に収めて提供してほしいという要請もある。
そして、それに応えるには、実績のある上述の錠剤分包機をベースにし、従来の自動調剤装置から都合の良い部分を抽出して組み合わせるのが、開発コストや製造コスト更には動作信頼性等の観点からも有利である。
【0010】
具体的には、筐体の上側部分では多数の錠剤フィーダ13や上部錠剤収集経路部分の導管14を錠剤分包機から引き継ぐとともに処方箋データや調剤指示データ等に応じて所要の錠剤1を落下排出させるようにしたうえで、筐体の下側部分では、包装装置に代えて空容器供給部や容器蓋供給部などを収めたいので、下部錠剤収集経路の部分を、縦にも横にも大きいホッパでなく、比較的低い空間に収まる水平面内移動機構にすることが考えられる。このように小容器を水平面内でXY移動させることにすると、錠剤容器詰機の場合は錠剤分包機より多めの錠剤1を排出するので、無駄な待ち時間が増えそうであるが、導管14の下端を開閉式にして排出錠剤を一時貯留させれば、錠剤の排出と小容器の移動とを並行して行えるので、能率面では不都合がなく、空間効率の向上を享受できる。
【0011】
しかしながら、錠剤容器詰機の場合は、錠剤の貯留量が錠剤分包機よりも多くなることが多い。このため、従来のように内径一定か下すぼみの導管の下端を開閉するのでは、小容器への投入時に、錠剤が導管に詰まって落下しない、という不所望な事態の発生するおそれが払拭できない。
そこで、錠剤分包機の基本構造を踏襲しつつもコンパクトに実装できて確実な動作も期待できる錠剤容器詰機を実現することが技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の錠剤容器詰機は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、多数の錠剤フィーダから排出された錠剤を導管で案内して落下させるとともに小容器を水平面内で移動させてそれに落下錠剤を収容する錠剤容器詰機であって、前記導管が前記錠剤フィーダ毎に設けられ、前記導管の下端の直下には下広がりの貯留管が前記導管ごとに配設され、前記貯留管には何れもその下端を開閉する開閉部材が付設されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の錠剤容器詰機は(解決手段2)、上記解決手段1の錠剤容器詰機であって、前記導管が鉛直な直管であり、前記錠剤フィーダは上下に位置するものが前記導管のうち上側のフィーダのものを逃がすよう水平方向にずれて配置されている、ことを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の錠剤容器詰機は(解決手段3)、上記解決手段1,2の錠剤容器詰機であって、多数の錠剤の確実な貯留のため、前記貯留管の内容積が前記小容器のそれより大きくなっている、というものである。
【発明の効果】
【0015】
このような本発明の錠剤容器詰機にあっては(解決手段1)、多数の錠剤フィーダから排出された錠剤を導管で案内して落下させるという錠剤分包機の手法が踏襲されるとともに、移動して薬品類を排出させるといった手法が応用されて、小容器が水平面内で移動してそれに落下錠剤が収容されるようになっている。そのため、既述したように、コンパクトに実装することができるうえ、個々の部材や機構については確実な動作を期待することができる。
【0016】
また、それにとどまらず、導管を錠剤フィーダ毎に設けたうえで、導管の下端を開閉するのでなく、その直下に而も導管ごとに、下広がりの貯留管を配設して、その貯留管の下端が開閉されるようにもしたことにより、錠剤の貯留量が従来装置より多くなっても、多数の錠剤を貯留することができるとともに、詰まることなく円滑に錠剤を小容器に投入することができる。そのため、錠剤収集経路に係る各部の連携動作も確実なものとなる。
したがって、この発明によれば、錠剤分包機の基本構造を踏襲しつつも錠剤収集機構等がコンパクトに実装できるうえ錠剤排出や錠剤収集等の確実な動作も期待できる錠剤容器詰機を実現することができる。
【0017】
また、本発明の錠剤容器詰機にあっては(解決手段2)、導管の下に貯留管を個別配置したので、導管は錠剤を一個ずつ落下させることができれば役目が果たせる。そして、導管が鉛直な直管なので、導管がかなり細くても、導管は錠剤を一個ずつ落下させることができる。そのため、導管を細くすることができるので、上下の錠剤フィーダを導管から逃げるため水平方向にずらして配置しても、大きくずらさないで済むので、錠剤フィーダの実装数の減少を小さく抑えて錠剤フィーダの多段配置を実現することができる。
したがって、この発明によれば、錠剤分包機の基本構造を踏襲しつつ錠剤収集機構ばかりか錠剤フィーダまでコンパクトに実装できるうえ錠剤排出や錠剤収集等の確実な動作も期待できる錠剤容器詰機を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
このような本発明の錠剤容器詰機について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1〜2により説明する。
図1に示した実施例1は、上述した解決手段1〜3(出願当初の請求項1〜3)を具現化したものであり、図2に示した実施例2は、その変形例である。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や,ヒンジ等の連結具,タイミングベルト等の伝動部材,モータドライバ等の電気回路,コントローラ等の詳細な電子回路などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。また、それらの図示に際し従来と同様の構成要素には同一の符号を付して示したので、重複する再度の説明は割愛し、以下、従来との相違点を中心に説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の錠剤容器詰機の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、(a)が装置全体に係る正面図相当の縦断面模式図、(b)が装置全体に係る右側面図相当の縦断面模式図、(c)が錠剤収集経路の要部に係る右側面図相当の縦断面模式図である。
【0020】
錠剤容器詰機50は、上側部分が錠剤分包機10の薬品庫を踏襲していて、前方へ引き出し可能な錠剤フィーダ格納庫12が左右に列設され、それぞれの錠剤フィーダ格納庫12に対して多数の錠剤フィーダ13が配設されている(図1(a)参照)。
錠剤フィーダ13は、既述したのと同じもので良く、棚上で前後一列に複数個が並ぶとともに(図1(b)では9個)、上下には棚の数だけ多段に設けられている(図1(a)では4段)。
【0021】
ただし、錠剤フィーダ13や導管14の配置状態等は錠剤分包機10と異なり、錠剤フィーダ13毎に、上部錠剤収集経路として、導管14が設けられている。導管14は、何れも細めの直管からなり、錠剤フィーダ13の錠剤排出口から錠剤フィーダ格納庫12の下端まで鉛直に延びている。また、それぞれの錠剤フィーダ格納庫12において、多段に並ぶ錠剤フィーダ13は、導管14の幅より少し広めのピッチで水平方向にずれていて(図1(a)では下段のものほど左側へ寄っていて)、上側の錠剤フィーダ13から降りる導管14と下側の錠剤フィーダ13とが干渉しないようになっている。
【0022】
錠剤容器詰機50の筐体内の下側部分には、処方箋データや調剤指示データ等に基づいて錠剤排出等の制御を行う図示しないメインコントローラ等の電装品が設置される他、包装装置17に代えて、空の小容器3を多数ストックしていて錠剤投入に一つずつ供給する空容器供給部56と、重量計測や画像処理など適宜な手段で小容器3に錠剤が投入されたか否かを確認する監査部57と、小容器3に貼付するラベルを発行するラベル発行機58と、小容器3に適合した蓋(キャップ)を多数ストックしていて小容器3への蓋取付に一つずつ供給する容器蓋供給部59とが、設置されている。
【0023】
また、錠剤容器詰機50の筐体内の下側部分のうち下部錠剤収集経路のところには、ホッパは無く、その代わりに、移動体55を水平面内でXY移動・二次元移動させる水平面内移動機構54が設けられている。これは、XYテーブルのようにボールネジ機構などで具現化され、空の小容器3を受け取るときには移動体55を空容器供給部56のところへ移動させ、移動体55上の小容器3に錠剤1を収容するときには移動体55を前後左右に移動させ、小容器3への薬剤投入が済んだら移動体55を監査部57のところへ移動させるようになっている。
【0024】
さらに、その下部錠剤収集経路と上述した上部錠剤収集経路との間には中間部錠剤収集経路をなす貯留管51が設けられている。貯留管51は(図1(c)参照)、下広がりのテーパ状の筒体からなり、導管14毎に導管14の直下に配置されている。貯留管51の上端内径は小径であるといっても導管14の内径以上であり、貯留管51の下端内径は上端内径より大径であるといっても小容器3の上端開口すなわち錠剤投入口よりは小さくなっている。貯留管51は、何れも、その内容積が小容器3の内容積より大きく、下端にはシャッタ等の開閉部材52が付設され、下部の脇には開閉部材52を駆動するモータ53が設けられていて、図示しないメインコントローラの制御に従って貯留管51の下端面が開閉されるようになっている。
【0025】
水平面内移動機構54や,移動体55,空容器供給部56,監査部57,ラベル発行機58,容器蓋供給部59,容器蓋取付機構などもメインコントローラの制御に従って作動するようになっている。
また、図示や詳細な説明は割愛するが、錠剤投入済み小容器3の取出口や搬出機構の他、払出操作パネル19や上位卓9に相当するものも、適宜設けられる。
【0026】
この実施例1の錠剤容器詰機50について、その使用態様及び動作を説明する。
【0027】
メインコントローラの制御の下で処方箋データや調剤指示データに応じて該当する錠剤フィーダ13から必要個数の錠剤1を排出させるのは錠剤分包機10と同じであるが、錠剤容器詰機50では、貯留管51が錠剤フィーダ13毎に設けられていて剤種毎に分けて一時貯留できるようになっていることから、剤種の重複しない調剤は並行処理が可能なので、錠剤排出が一個の錠剤フィーダ13だけから行われることもあれば複数の錠剤フィーダ13から行われることもある。錠剤1を小容器3に詰める調剤では、同一剤種を数日の服用分たとえば14錠や42錠など多数個まとめて処理することが多いので、排出錠剤が貯留管51に貯まるまでに時間が掛かることも多い。
【0028】
そのため、通常は薬品庫で錠剤排出が並行して行われる。その間、薬品庫の下方では、やはりメインコントローラの制御の下、空の小容器3が空容器供給部56から移動体55に引き渡される。そして、錠剤1の一時貯留が最速で完了すると予測される貯留管51の直下へ、その小容器3が水平面内移動機構54によって移動体55と共に移動させられる。そこで、貯留管51への錠剤1の一時貯留が済むと、モータ53駆動の開閉部材52の作動によって貯留管51の下端が開閉されるので、錠剤1は一括して迅速かつ確実に貯留管51から小容器3に投入される。錠剤1を収容した小容器3は、監査部57に移送されて錠剤1の収容状態が確認され、さらに、ラベル発行機58から発行されたラベルが貼付され又は添付されるとともに、容器蓋供給部59から供給された蓋で上端開口が閉塞される。
【0029】
これで一つの小容器3への錠剤詰込みが完了するが、その小容器3が監査部57へ引き渡された後は、移動体55が空くので、移動体55には速やかに次の空の小容器3が空容器供給部56から渡されて、次に完了すると予測される錠剤に係る錠剤詰込み処理が開始されることから、次の錠剤詰込み処理が先の錠剤の監査等と並行して行われる。
こうして、薬品庫での錠剤排出も薬品庫下方での小容器操作も並行して行われるので、処方錠剤を詰めて蓋をした小容器が次々にできあがる。錠剤詰込み済み小容器3は、取出口から取り出されたり、適宜な搬器で搬出されたり、薬袋包装に移送されたり、適宜な後処理に供される。
【実施例2】
【0030】
錠剤収集経路の要部に係る右側面図相当の縦断面模式図を図2(a)に示した本発明の錠剤容器詰機が上述した実施例1のものと相違するのは、移動体55を上下移動させる昇降手段61が水平面内移動機構54に追加されている点である。移動体55の上下移動距離はほんの数mmで足りるので、昇降手段61は例えば電磁駆動などの簡便な方式でコンパクト且つ安価に具現化される。
【0031】
この場合、移動体55を水平移動させるときは、移動体55を下降させておくことにより、小容器3と貯留管51との間隙を広くすることができるので、貯留管51の直下以外のところでは高さに多少の不揃い(例えばモータ53の回転軸の突き出し)があっても、移動体55の移動が不都合なく行える。また、貯留管51から小容器3へ錠剤1を投入するときには、移動体55と共に小容器3を上昇させて小容器3の上端開口を貯留管51の下端に近づけておくことにより、錠剤1がこぼれ落ちるのを防止することができる。
【0032】
錠剤収集経路の要部に係る右側面図相当の縦断面模式図を図2(b)に示した本発明の錠剤容器詰機が上述した図2(a)のものと相違するのは、例えばバネからなる緩衝手段62が移動体55の内底に付設された点と、昇降手段61が移動体55を上昇させるとき小容器3の上端が貯留管51の下端に当接するようになった点である。
【0033】
この場合、移動体55を下降させれば上例と同様に小容器3と貯留管51との間隙が広がるのに対し、移動体55を上昇させると小容器3の上端が開閉部材52に近づくにとどまらず軽く当接する。そして、モータ53にて開閉部材52が駆動されると、開閉部材52が抜け出て、小容器3の上端開口と貯留管51の下端開口とが連通するので、錠剤1は総てがこぼれ落ちることなく小容器3に投入される。
小容器3の上昇位置は緩衝手段62によって或る程度まで調整されるので、貯留管51の下端の高さ位置が多少なら不揃いであっても、確実な錠剤投入が行われる。
【0034】
[その他]
上記実施例では開閉部材52毎にモータ53を設けたが、モータ53は共用でも良く、伝動部材や作動切替部材などを介在させても良い。
上記実施例では小容器3を移動体55上に載置して保持するようになっていたが、吸着や掴持などで保持するようにしても良い。
上記実施例では、各々の錠剤フィーダ格納庫12において錠剤フィーダ13と導管14とが一体的に構成されていて錠剤フィーダ格納庫12を引き出すとそれに格納されている錠剤フィーダ13と導管14が一緒に引き出されるようになっていたが、錠剤フィーダ13と導管14は、別体で分離可能に構成しても良く、さらには個別に引き出せるようにしても良い。
【0035】
小容器3として上面開口の異なる容器を使い分ける場合、投入される錠剤1の抜け出るほどの隙間ができないよう、貯留管51の下端に鍔を付けておくと良い。
導管14は、装置の運用動作状態で即ち装置が稼動しているときに排出錠剤の落下案内を行える管状をしていればよく、非動作状態では即ち装置が稼動していないときには、管状でなくてもよいので、管体を縦割りした半筒形状体を着脱可能に合わせたもので構成しても良く、例えば室内配線用のケーブル・ダクトやモール・カバー等と同様に組立可能な別体のダクト本体とカバー部とで構成して、清掃時に分離するようにしても良い。
落下した錠剤が損傷しないよう、導管14や貯留管51の材質を軟質樹脂等の緩衝材にしても、また、アルミニウム等の非鉄金属押出材で導管14や貯留管51を作って、それらの管体とは別途に作成した緩衝部材を導管14や貯留管51の内壁などに張設しても良く、さらに、導管14や貯留管51とは別途に作成した緩衝幕等を導管14や貯留管51に内装して錠剤同士の直接衝突を防止するのも良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施例1について、錠剤容器詰機の構造を示し、(a)が正面図相当の縦断面模式図、(b)が右側面図相当の縦断面模式図、(c)が錠剤収集経路の要部に係る右側面図相当の縦断面模式図である。
【図2】本発明の実施例2について、錠剤容器詰機の要部構造を示し、(a),(b)何れも錠剤収集経路の要部に係る右側面図相当の縦断面模式図である。
【図3】従来の自動調剤装置を示し(a)が錠剤分包機の外観斜視図、(b)が錠剤分包機の内部構造を示す模式図、(c)が錠剤フィーダの左側面図、(d)が正面図、(e)が縦断左側面図、(f)が錠剤フィーダの作動部に対する制御ブロック図である。
【符号の説明】
【0037】
1…錠剤、2…包装帯、3…小容器(ボトル,小瓶)、9…上位卓、
10…錠剤分包機、11…薬品庫、12…錠剤フィーダ格納庫、13…錠剤フィーダ、
14…導管(ダクト、シュート、落下案内路、上部錠剤収集経路)、
15…収集機構(ホッパ状・漏斗状部材、下部錠剤収集経路)、
16…錠剤投入部、17…包装装置、18…メインコントローラ、19…操作パネル、
20…錠剤カセット、30…ベース部、31…モータ、32…排出センサ、
33…着脱センサ、34…棚内配線、35…棚制御回路、
50…錠剤容器詰機(錠剤ボトル詰機)、
51…貯留管(テーパ筒、バッファ、中間部錠剤収集経路)、
52…開閉部材(シャッタ)、53…モータ(駆動源)、
54…水平面内移動機構(XYテーブル、下部錠剤収集経路)、55…移動体、
56…空容器供給部、57…監査部、58…ラベル発行機、59…容器蓋供給部、
61…昇降手段(往復動機構、リフタ)、62…緩衝手段(弾性部材、バネ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の錠剤フィーダから排出された錠剤を導管で案内して落下させるとともに小容器を水平面内で移動させてそれに落下錠剤を収容する錠剤容器詰機であって、前記導管が前記錠剤フィーダ毎に設けられ、前記導管の下端の直下には下広がりの貯留管が前記導管ごとに配設され、前記貯留管には何れもその下端を開閉する開閉部材が付設されていることを特徴とする錠剤容器詰機。
【請求項2】
前記導管が鉛直な直管であり、前記錠剤フィーダは上下に位置するものが前記導管のうち上側のフィーダのものを逃がすよう水平方向にずれて配置されていることを特徴とする請求項1記載の錠剤容器詰機。
【請求項3】
前記貯留管の内容積が前記小容器のそれより大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された錠剤容器詰機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−330411(P2007−330411A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164098(P2006−164098)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(000151472)株式会社トーショー (156)
【Fターム(参考)】