説明

錯化合物およびそれを含有する光記録媒体

【課題】溶液中での保存安定性等を有し光記録媒体に用いられ錯化合物等の提供。
【解決手段】下記一般式(I)で表される化合物と、金属と、アミン等と、からなる錯化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録媒体等に用いられる錯化合物等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、対物レンズの開口数NAを大きくする技術、レーザー波長λを小さくする技術等を用い、さらに超高密度記録が可能となる光記録媒体の開発が進んでいる。例えば、HDTV(高精細度テレビ)の映像情報を2時間以上記録するためには、DVDと同サイズで少なくとも23GB以上の容量をもつ光記録媒体が要望されている。こういった要望に応えるために、青紫色レーザー光を使用し、対物レンズのNAを0.85とし、レーザースポット径を小さくすることによって、より高密度の情報を記録する光記録媒体、いわゆるBlu-ray Disc(BD)が開発された。
【0003】
光記録媒体に用いられる色素には、優れた耐光性、溶液中での優れた保存安定性、記録用の青紫色レーザー光に対する高い光応答性等の特性が求められる。ヒドラジド化合物と金属原子からなる金属キレート錯体化合物が、青色レーザー光にも対応可能な光学記録媒体の記録層形成用色素として有用であることが知られている(特許文献1および2)。しかし、該金属キレート錯体化合物における耐光性、溶液中での保存安定性、光応答性等の特性は十分でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−223289号公報
【特許文献2】特開2008−45092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、光記録媒体に用いられる、優れた耐光性、溶液中での優れた保存安定性、記録用の青紫色レーザー光に対する高い光応答性等を有する錯化合物等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の[1]〜[10]を提供する。
[1]式(I)
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、R1およびR2は、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を表し、R1とR2が隣接するC=Cと一緒になって置換基を有していてもよい炭素環を形成してもよく、R3は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を表し、R4は式(II)
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、R5は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を表す)または式(III)
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、環Aは置換基を有していてもよい)を表す]で表される化合物と、
金属と、
アミンに1つ以上のプロトンが付加することにより生じるイオン、アンモニウムイオンおよび第4級アンモニウムイオンからなる群から選ばれる1種と、からなる錯化合物。
[2]RとRが隣接するC=Cと一緒になって置換基を有していてもよいベンゼン環を形成する[1]記載の錯化合物。
[3]R3が水素原子である[1]または[2]記載の錯化合物。
[4]金属がコバルト、ロジウム、イリジウム、アルミニウム、ガリウムまたは鉄である[1]〜[3]のいずれかに記載の錯化合物。
[5]金属がコバルト、ロジウム、イリジウム、ガリウムまたは鉄である[1]〜[3]のいずれかに記載の錯化合物。
[6]金属がコバルトである[1]〜[3]のいずれかに記載の錯化合物。
[7]アミンに1つ以上のプロトンが付加することにより生じるイオン、アンモニウムイオンおよび第4級アンモニウムイオンからなる群から選ばれる1種が、アミンに1つ以上のプロトンが付加することにより生じるイオンである[1]〜[6]のいずれかに記載の錯化合物。
[8]アミンが置換基を有していてもよい脂肪族第3アミンである[7]記載の錯化合物。
[9]アミンに1つ以上のプロトンが付加することにより生じるイオン、アンモニウムイオンおよび第4級アンモニウムイオンからなる群から選ばれる1種が第4級アンモニウムイオンである[1]〜[6]のいずれかに記載の錯化合物。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の錯化合物を含有する光記録媒体。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、光記録媒体に用いられる、優れた耐光性、溶液中での優れた保存安定性、記録用の青紫色レーザー光に対する高い光応答性等を有する錯化合物等を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、式(I)で表される化合物を化合物(I)という。他の式番号の化合物についても同様である。
一般式の各基の定義において、アルキル基およびアルコキシル基のアルキル部分としては、例えば、直鎖または分岐状の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、1-イソプロピル-2-メチルプロピル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、エイコシル基等が挙げられ、中でも炭素数が1〜10であるものが好ましい。
【0015】
アラルキル基としては、例えば、炭素数7〜15のアラルキル基が挙げられ、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、炭素数6〜14のアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基における脂環式炭化水素としては、例えば、炭素数3〜8のシクロアルカン、炭素数3〜8のシクロアルケン、3〜8員の環が縮合した二環または三環性の脂環式炭化水素等が挙げられる。
【0016】
炭素数3〜8のシクロアルカンの具体例としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等が挙げられる。
炭素数3〜8のシクロアルケンの具体例としては、例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等が挙げられる。
【0017】
3〜8員の環が縮合した二環または三環性の脂環式炭化水素の具体例としては、例えば、ジヒドロペンタレン、ジヒドロインデン、テトラヒドロナフタレン、ヘキサヒドロフルオレン等が挙げられる。
複素環基における複素環としては、芳香族複素環および脂環式複素環が挙げられる。
芳香族複素環としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環等が挙げられ、具体的には、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、シンノリン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、トリアジン環、テトラゾール環、チオフェン環、フラン環、チアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、プリン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、フェナントロリン環等が挙げられる。
【0018】
脂環式複素環としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5〜8員の単環性脂環式複素環、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂環式複素環等が挙げられ、具体的には、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ホモピペリジン環、ホモピペラジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、ジヒドロベンゾフラン環、インドリン環、テトラヒドロカルバゾール環等が挙げられる。
【0019】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
R1とR2が隣接するC=Cと一緒になって形成する炭素環としては、例えば、炭素数6〜14の芳香族炭素環、炭素数3〜8のシクロアルケン等が挙げられる。ここで、炭素数3〜8のシクロアルケンは前記と同義である。炭素数6〜14の芳香族炭素環の具体例としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、アズレン環等が挙げられる。
【0020】
環Aとしては、例えば、前記に挙げた複素環のうち-CH=N-を有するもの等が挙げられ、具体的には、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、シンノリン環、ピロール環(2H-ピロール環、3H-ピロール環)、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、トリアジン環、テトラゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、インドール環(3H-インドール環)、イソインドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、プリン環、テトラヒドロピリジン環(2,3,4,5-テトラヒドロピリジン環)等が挙げられる。
【0021】
アミノ基の置換基としては、1個または2個のアルキル基等が挙げられる。ここで、アルキル基は、前記と同義である。アミノ基が2個のアルキル基を置換基として有するとき、該2個のアルキル基は同一でも異なっていてもよい。
アルキル基およびアルコキシル基の置換基としては、例えば、同一または異なって1〜5個の置換基、具体的には、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、アルコキシル基、アルコキシアルコキシル基、アルカノイル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アロイル基、アリールオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、複素環基等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子、アルコキシル基および複素環基は、それぞれ前記と同義である。アルカノイル基、アルキルカルボニルオキシ基およびアルコキシカルボニル基のアルキル部分は、それぞれ前記のアルキル基と同義である。アルコキシアルコキシル基の2つのアルコキシ部分は、それぞれ前記のアルコキシル基と同義である。アロイル基、アリールオキシ基、アリールカルボニルオキシ基およびアリールオキシカルボニル基のアリール部分は、それぞれ前記のアリール基と同義である。
【0022】
アラルキル基、アリール基、ベンゼン環、脂環式炭化水素基およびR1とR2が隣接するC=Cと一緒になって形成する炭素環の置換基としては、例えば、同一または異なって1〜5個の置換基、具体的には、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、アラルキル基、アルカノイル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アロイル基、アリールオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、脂環式炭化水素基、複素環基等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、アラルキル基、アルカノイル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アロイル基、アリールオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、脂環式炭化水素基および複素環基は、それぞれ前記と同義である。
【0023】
複素環基および環Aの置換基としては、例えば、同一または異なって1〜5個の置換基、具体的には、ヒドロキシル基、オキソ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、アラルキル基、アルカノイル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリール基、アロイル基、アリールオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、複素環基等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、アラルキル基、アルカノイル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリール基、アロイル基、アリールオキシ基、アリールカルボニルオキシ基およびアリールオキシカルボニル基は、それぞれ前記と同義である。
【0024】
金属としては、例えば、コバルト、ロジウム、イリジウム、アルミニウム、ガリウム、鉄等が挙げられる。
アミンに1つ以上のプロトンが付加することにより生じるイオン(以下、アミンの陽イオンという)におけるアミンしては、塩基性の窒素原子を1個有するもの(モノアミン)または塩基性の窒素原子を2個以上有するもの(ポリアミン)を使用することができる。アミンの具体例としては、例えば、置換基を有していてもよい脂肪族第1アミンで炭素数1〜30のもの(例えば、ブチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン等)、置換基を有していてもよい脂肪族第2アミンで炭素数2〜30のもの(例えば、ジブチルアミン、ジエタノールアミン等)、置換基を有していてもよい脂肪族第3アミンで炭素数3〜30のもの(例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロピルエチルアミン等)、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の脂環式アミン、置換基を有していてもよい芳香族アミン、置換基を有していてもよい塩基性の含窒素複素環化合物(例えば、ピリジン、キノリン、インドール、ベンゾチアゾール、ビピリジン、フェナントロリン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン等)、ケイ素を含有するアミン(例えば、ヘプタメチルジシラザン等)等が挙げられる。
【0025】
脂環式アミンとしては、例えば、3〜8員の単環性脂環式炭化水素環を有し、塩基性の窒素原子上に脂肪族鎖を有していてもよく、塩基性の窒素原子と該単環性脂環式炭化水素環との間に脂肪族鎖を有していてもよいアミン等が挙げられる。ここで、塩基性の窒素原子上に有していてもよい脂肪族鎖としては、例えば、アルキル基として前記に挙げた基が例示される。塩基性の窒素原子と該単環性脂環式炭化水素環との間に有していてもよい脂肪族鎖としては、例えば、アルキル基として前記に挙げた基から炭素上の水素原子を1個除くことに生じるアルキレン基等が例示される。脂環式アミンの具体例としては、例えば、シクロヘキシルアミン、(シクロへキシルメチル)アミン等が挙げられる。
【0026】
芳香族アミンとしては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族炭化水素環を有し、塩基性の窒素原子上に脂肪族鎖を有していてもよく、塩基性の窒素原子と該芳香族炭化水素環との間に脂肪族鎖を有していてもよいアミン等が挙げられる。ここで、塩基性の窒素原子上に有していてもよい脂肪族鎖は前記と同義である。塩基性の窒素原子と該芳香族炭化水素環との間に有していてもよい脂肪族鎖としては、例えば、塩基性の窒素原子と該単環性脂環式炭化水素環との間に有していてもよい脂肪族鎖として前記に挙げた基等が例示される。芳香族アミンの具体例としては、例えば、アニリン、ナフチルアミン、ベンジルアミン、トリベンジルアミン等が挙げられる。
【0027】
脂肪族第1アミン、脂肪族第2アミンおよび脂肪族第3アミンの置換基としては、例えば、同一または異なって置換数1〜5の置換基、具体的にはヒドロキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、アルコキシル基、アルコキシアルコキシル基、アルカノイル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子、アルコキシル基、アルコキシアルコキシル基、アルカノイル基、アルキルカルボニルオキシ基およびアルコキシカルボニル基は、それぞれ前記と同義である。
【0028】
脂環式アミンおよび芳香族アミンの置換基のうち、脂環式アミンにおける環および芳香族アミンにおける環の置換基としては、例えば、脂肪族第1アミン、脂肪族第2アミンおよび脂肪族第3アミンの置換基として前記に挙げた基、置換基を有していてもよいアルキル基等が例示される。ここで、置換基を有していてもよいアルキル基は前記と同義である。脂環式アミンおよび芳香族アミンが脂肪族鎖を有するときの該脂肪族鎖の置換基としては、例えば、脂肪族第1アミン、脂肪族第2アミンおよび脂肪族第3アミンの置換基として前記に挙げた基等が例示される。
【0029】
塩基性の含窒素複素環化合物の置換基としては、例えば、同一または異なって1〜5個の置換基、具体的には、ヒドロキシル基、オキソ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、アラルキル基、アルカノイル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリール基、アロイル基、アリールオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいスチリル基等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、アラルキル基、アルカノイル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリール基、アロイル基、アリールオキシ基、アリールカルボニルオキシ基およびアリールオキシカルボニル基は、それぞれ前記と同義である。スチリル基における置換基としては、塩基性の含窒素複素環化合物の置換基として前記に挙げた基(但し、置換基を有していてもよいスチリル基を除く)が例示される。
【0030】
第4級アンモニウムイオンの具体例を以下に示す。式中、Phはフェニル基を表す。
【0031】
【化4】

【0032】
化合物(I)と、金属と、アミンの陽イオン、アンモニウムイオンおよび第4級アンモニウムイオンからなる群から選ばれる1種と、からなる錯化合物としては、例えば、式(X)
【0033】
【化5】

【0034】
(式中、R、R、R3およびR4は、それぞれ前記と同義であり、Mは金属を表し、Qn+はアミンの陽イオン、アンモニウムイオンおよび第4級アンモニウムイオンからなる群から選ばれる1種を表し、nは1〜3の整数を表す)で表される化合物等が挙げられる。ここで、金属、アミンの陽イオンおよび第4級アンモニウムイオンは、それぞれ前記と同義である。nは1または2であるのが好ましい。
【0035】
本発明の錯化合物において、金属がコバルト、ロジウム、イリジウム、ガリウムまたは鉄であるもの、および金属がアルミニウムであってアミンの陽イオン、アンモニウムイオンおよび第4級アンモニウムイオンからなる群から選ばれる1種が第4級アンモニウムイオンであるものが好ましく、金属がコバルトであるものがより好ましい。
次に、化合物(I)の製造法について例を挙げて説明する。
【0036】
化合物(I)は、例えば、反応式(1)
【0037】
【化6】

【0038】
(式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ前記と同義である)に従って製造することができる。具体的には、化合物(IV)と化合物(V)とを、要すれば化合物(V)に対して0.1〜10倍モルの酢酸の存在下、溶媒中、10〜100℃で、0.5〜30時間反応させて化合物(I)を製造することができる。
化合物(V)の使用量は、化合物(IV)に対して0.5〜5倍モル量であるのが好ましい。
【0039】
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、オクタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、デカン、テトラデカン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メトキシベンゼン、ジフェニルエーテル等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等の含硫黄系溶媒、アセトニトリル等が挙げられる。
【0040】
化合物(V)のうち、R3が置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基であるものは、市販品として入手するか、公知の方法、例えば、「Journal of Heterocyclic Chemistry」, 2004年,第41巻, 第4号, p.593-596、「Journal of Heterocyclic Chemistry」, 2004年, 第41巻, 第5号, p.681-690、「Tetrahedron Letters」, 2003年, 第44巻, 第8号, p.1599-1602等に記載の方法等に準じて製造することにより得ることができる。
【0041】
化合物(V)のうち、R3が水素原子であるものは、市販品として入手するか、公知の方法、例えば、「Journal of Heterocyclic Chemistry」, 2003年, 第40巻, 第2号, p.377-382等に記載の方法等に準じて製造することにより得ることができる。
化合物(IV)のうちR4が式(III)であるものは、市販品として入手するか、公知の方法、例えば、社団法人日本化学会編,「実験化学講座(第20巻)」,第4版,丸善株式会社,1991年,p.30-46,p.112-185,p.279-290,p.338-342、社団法人日本化学会編,「実験化学講座(第13巻)」,第5版,丸善株式会社,1991年,p.374-416、社団法人日本化学会編,「実験化学講座(第14巻)」,第5版,丸善株式会社,2003年,p.289-320、Buehler & Pearson編,「Survey of Organic Synthesis(第1巻)」,Wiley-Interscience,1970年,p.411-512、Buehler & Pearson編,「Survey of Organic Synthesis(第2巻)」,Wiley-Interscience,1977年,p.812-853、Saul Patai編,「The Chemistry of the amino group」,John Wiley & Sons,1968年,p.277-347等に記載の方法等に準じて製造することにより得ることができる。
【0042】
化合物(IV)のうちR4が式(II)であるものは、市販品として入手するか、公知の方法、例えば、社団法人日本化学会編,「実験化学講座(第20巻)有機化合物の合成と反応II」,第1版,丸善株式会社,1956年,p.347-389、社団法人日本化学会編,「新実験化学講座(第14巻) 有機化合物の合成と反応III」,第2版,丸善株式会社,1978年,p.1573-1584、Saul Patai編,「The Chemistry of the hydrazo, azo, and azoxy group(第1巻)」,John Wiley & Sons,1975年,p.69-107、Saul Patai編,「The Chemistry of the hydrazo, azo, and azoxy group(第2巻)」,John Wiley & Sons,1975年,p.599-723、Gilman編,「Organic Syntheses Collective(第1巻)」,Shriner & Shriner,1932年,p.450-453、Blatt編,「Organic Syntheses Collective(第2巻)」,Shriner & Shriner,1943年,p.85-87、Baumgarten編,「Organic Syntheses Collective(第5巻)」,Shriner & Shriner,1973年,p.166-170、Bryan Li他著,「Organic Syntheses(第81巻)」,2005年,p.1108-1111等に記載の方法等に準じて製造することにより得ることができる。
【0043】
反応後、必要に応じて、化合物(I)を有機合成化学で通常用いられる方法(各種クロマトグラフィー法、再結晶法、蒸留法等)で精製してもよい。
化合物(I)のうちR3が水素原子であるもの[化合物(Ia)]は、例えば、反応式(2)
【0044】
【化7】

【0045】
(式中、R1、R2およびR4は、それぞれ前記と同義であり、R11およびR12は、それぞれ同一または異なって、炭素数1〜4のアルキル基等を表す)に従って製造することもできる。具体的には、化合物(IV)と化合物(VI)とを、要すれば化合物(VI)に対して0.1〜10倍モルの酢酸の存在下、溶媒中、10〜100℃で、0.5〜30時間反応させて化合物(Ia)を製造することができる。
【0046】
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
化合物(VI)の使用量は、化合物(IV)に対して0.5〜5倍モル量であるのが好ましい。
溶媒としては、反応式(1)で使用できる溶媒として挙げたもの等が例示される。
化合物(IV)は、市販品として入手するか、公知の方法、例えば、「Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1」, 1992年, 第20巻, p.2603-2608、「Tetrahedron」, 2004年, 第60巻, 第39号, p.8633-8644等に記載の方法等に準じて製造することにより得ることができる。
【0047】
反応後、必要に応じて、化合物(Ia)を有機合成化学で通常用いられる方法(各種クロマトグラフィー法、再結晶法、蒸留法等)で精製してもよい。
次に、本発明の錯化合物の製造法について、例を挙げて説明する。
化合物(I)とコバルトとアミンの陽イオンとからなる錯化合物は、例えば、化合物(I)と、コバルトの塩または有機コバルト化合物と、アミンとを、溶媒中、空気雰囲気下、0〜120℃の温度で、0.5〜30時間反応させることにより製造することができる(以下、この方法を製造法1という)。
【0048】
コバルトの塩としては、例えば、酢酸コバルト(II)、塩化コバルト(II)、臭化コバルト(II)、ヨウ化コバルト (II)、フッ化コバルト(II)、フッ化コバルト(III)、炭酸コバルト(II)、シアン化コバルト(II)、これらの水和物等が挙げられる。
有機コバルト化合物としては、例えば、トリス(カルボネート)コバルト(III)酸ナトリウム、コバルト(II)アセチルアセトネート水和物、コバルト(III)アセチルアセトネート等が挙げられる。
【0049】
アミンは、市販品として入手するか、公知の方法、例えば、社団法人日本化学会編,「実験化学講座(第20巻) 有機化合物の合成と反応II」,第1版,丸善株式会社,1956年,p.391-582、社団法人日本化学会編,「新実験化学講座(第14巻)有機化合物の合成と反応III」,第2版,丸善株式会社,1978年,p.1332-1399、社団法人日本化学会編,「新実験化学講座(第20巻) 有機合成II」,第4版,丸善株式会社,1992年,p.299-313、社団法人日本化学会編,「新実験化学講座(第14巻) 有機化合物の合成II」,第5版,丸善株式会社,2005年,p.351-377、Buehler & Pearson編,「Survey of Organic Synthesis(第1巻)」,Wiley-Interscience,1970年,p.411-512、Buehler & Pearson編,「Survey of Organic Synthesis(第2巻)」,Wiley-Interscience,1977年,p.391-459、Saul Patai編,「The Chemistry of the amino group」,John Wiley & Sons,1968年,p.37-69、Barton & Ollis編,「Comprehensive Organic Chemistry The Synthesis and Reactions of Organic Compounds(第2巻)」,Pergamon Press,1979年,p.1-181、Katritzky & Rees編,「Comprehensive Heterocyclic Chemistry」,Pergamon Press,1984年,p.525-528等に記載の方法等に準じて製造することにより得ることができる。
【0050】
化合物(I)の使用量は、コバルトの塩または有機コバルト化合物におけるコバルト原子に対して0.3〜4倍モル量であるのが好ましい。
塩基性の窒素原子をm個有するアミンを使用するとき、該アミンの使用量は、コバルトの塩または有機コバルト化合物におけるコバルト原子に対して0.3/m〜20/m倍モル量であるのが好ましい。
【0051】
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、テトラヒドロフラン、メチル-tert-ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、これらの混合溶媒等が挙げられる。
【0052】
反応後、必要に応じて、有機合成化学で通常用いられる方法(各種カラムクロマトグラフィー法、再結晶法、溶媒による洗浄等)で得られた錯化合物を精製してもよい。
コバルトの塩または有機コバルト化合物の代わりに、コバルト以外の金属の塩または有機金属化合物であって金属がコバルト以外であるものを用いる以外は製造法1と同様に操作して、化合物(I)とコバルト以外の金属(例えば、ロジウム、イリジウム、アルミニウム、ガリウム、鉄等)とアミンの陽イオンとからなる錯化合物を製造することができる(以下、この方法を製造法2という)。
【0053】
コバルト以外の金属の塩または有機金属化合物であって金属がコバルト以外であるものとしては、例えば、ロジウムの塩、有機ロジウム化合物、イリジウムの塩、有機イリジウム化合物、アルミニウムの塩、有機アルミニウム化合物、ガリウムの塩、有機ガリウム化合物、鉄の塩、有機鉄化合物等が挙げられる。
ロジウムの塩としては、例えば、酢酸ロジウム(II)二量体、塩化ロジウム(III)、これらの水和物等が挙げられる。
【0054】
有機ロジウム化合物としては、例えば、ロジウム(III)アセチルアセトネート、ロジウム(II)ヘキサノネート等が挙げられる。
イリジウムの塩としては、例えば、塩化イリジウム(III)、臭化イリジウム(III)、これらの水和物等が挙げられる。
有機イリジウム化合物としては、例えば、イリジウム(III)アセチルアセトネート等が挙げられる。
【0055】
アルミニウムの塩としては、例えば、酢酸アルミニウム(III)、塩化アルミニウム(III)、塩化アルミニウム(III)=テトラヒドロフラン錯体、臭化アルミニウム(III)、ヨウ化アルミニウム(III)、水酸化アルミニウム(III)、これらの水和物等が挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウム(III)トリス(アセチルアセトネート)、アルミニウム(III)トリス(エチルアセトアセトネート)、アルミニウム(III)イソプロポキシド、アルミニウム(III)エチルアセトアセトネート=ジイソプロポキシド、アルミニウム(III)イソプロポキシド、アルミニウムsec-ブトキシド、アルミニウムエトキシド等が挙げられる。
【0056】
ガリウムの塩としては、例えば、塩化ガリウム(III)、臭化ガリウム(III)、ヨウ化ガリウム(III)、これらの水和物等が挙げられる。
有機ガリウム化合物としては、例えば、ガリウム(III)アセチルアセトネート等が挙げられる。
鉄の塩としては、例えば、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、フッ化鉄(II)、フッ化鉄(III)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、酢酸鉄(II)、これらの水和物等が挙げられる。
【0057】
有機鉄化合物としては、例えば、鉄(II)アセチルアセトネート、鉄(III)アセチルアセトネート、鉄(III)エトキシド等が挙げられる。
アミンの代わりにアンモニアを用いる以外は製造法1と同様に操作して、本発明の錯化合物のうち、化合物(I)とコバルトとアンモニウムイオンとからなる錯化合物を製造することができる。
【0058】
アミンの代わりにアンモニアを用いる以外は製造法2と同様に操作して、化合物(I)とコバルト以外の金属とアンモニウムイオンとからなる錯化合物を製造することができる。
化合物(I)と金属と第4級アンモニウムイオンとからなる錯化合物は、例えば、化合物(I)と金属とアミンの陽イオンとからなる錯化合物と、対応する第4級アンモニウム塩とを溶媒中、0〜120℃で、0.5〜30時間反応させることにより製造することができる。ここで、化合物(I)と金属とアミンの陽イオンとからなる錯化合物は、製造法1または2に準じて製造することにより得ることができる。
【0059】
第4級アンモニウム塩における陰イオンとしては、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酢酸イオン等が挙げられる。
第4級アンモニウム塩は、市販品として入手するか、公知の方法、例えば、Saul Patai編,「The Chemistry of the amino group」,John Wiley & Sons,1968年,p.161-199、Katritzky & Rees編,「Comprehensive Heterocyclic Chemistry」,Pergamon Press,1984年,p.99-164およびp.515-528等に記載の方法等に準じて製造することにより得ることができる。
【0060】
化合物(I)と金属とアミンの陽イオンとからなる錯化合物(ここで、アミンの陽イオンにおけるアミンは、塩基性の窒素原子をm個有する)と、n価の第4級アンモニウム塩とを反応させて、化合物(I)と金属とn価の第4級アンモニウムイオンとからなる錯化合物を製造するとき、使用するn価の第4級アンモニウム塩に含まれる第4級アンモニウムイオンと、使用する化合物(I)と金属とアミンの陽イオンとからなる錯化合物に含まれるアミンの陽イオンとのモル比は、0.3m/n〜10m/n(第4級アンモニウムイオン/アミンの陽イオン)であるのが好ましい。
【0061】
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、テトラヒドロフラン、メチル-tert-ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、これらの混合溶媒等が挙げられる。
【0062】
反応後、必要に応じて、有機合成化学で通常用いられる方法(各種カラムクロマトグラフィー法、再結晶法、溶媒による洗浄等)で得られた錯化合物を精製してもよい。
以下に、化合物(I)の具体例を例示する。
【0063】
【化8】

【0064】
以下、化合物番号(I-1)の化合物を化合物(I-1)という。その他の化合物番号の化合物についても同様である。
本発明の錯化合物の具体例を、表1〜3に示す。
表1〜3中、陽イオンは、アミンの陽イオン、アンモニウムイオンまたは第4級アンモニウムイオンを表し、モル比は、本発明の錯化合物中における各成分のモル比[化合物(I) : 金属 : 陽イオン]を表す。
【0065】
表1〜3中、A1およびA2は以下のアミンの陽イオンを表す。式中、Etはエチル基を表す。
【0066】
【化9】

【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
【表3】

【0070】
本発明の錯化合物は、光記録媒体用色素、紫外線吸収剤、3次元記録材料としての二光子吸収用色素、短波長レーザー(例えば青紫色レーザー等)光対応の増感色素等として使用することができる。
本発明の錯化合物は、例えば、溶媒(例えば、光記録媒体の記録層を形成するときに用いる溶媒として後述に挙げたもの等)に対する優れた溶解性、優れた塗膜性、溶液中での優れた保存安定性、記録用の青紫色レーザー光に対する高い光応答性等の特性を有する。
【0071】
本発明の錯化合物のうち金属がコバルトであるものは、優れた耐光性を有する。また、本発明の錯化合物のうち金属がアルミニウムであり、かつ、アミンの陽イオン、アンモニウムイオンおよび第4級アンモニウムイオンからなる群から選ばれる1種が第4級アンモニウムイオンであるものも、優れた耐光性を有する。
本発明の光記録媒体は本発明の錯化合物を含有し、優れた耐光性、記録用の青紫色レーザー光に対する高い光応答性等を有する。
【0072】
本発明の光記録媒体としては、例えば、基板、反射層、記録層、透明保護層およびカバー層を備えているもの等が挙げられ、基板上に、反射層、記録層、透明保護層およびカバー層がこの順に設けられているものが好ましい。本発明の光記録媒体としては、例えば、本発明の錯化合物を含有する記録層を有するもの等が挙げられる。本発明の錯化合物を用いて該記録層を形成するとき、本発明の錯化合物は単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0073】
本発明の錯化合物と他の色素とを併用して用いてもよい。他の色素としては、記録用のレーザー光の波長域に吸収を有するものが好ましい。また、情報記録(記録層、反射層または透明保護層、およびカバー層における熱的変形によりレーザー照射箇所に形成される記録マーク等)の形成が阻害されないようなものを他の色素として用いることが好ましい。他の色素としては、本発明の錯化合物以外の含金属アゾ系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、シアニン系色素、アゾ系色素、スクアリリウム系色素、含金属インドアニリン系色素、トリアリールメタン系色素、メロシアニン系色素、アズレニウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、キサンテン系色素、オキサジン系色素、ピリリウム系色素等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。他の色素のうち770〜830nmの近赤外レーザー光、620〜690nmの赤色レーザー光等のレーザー光を用いた記録に適する色素と本発明の錯化合物とを併用して、複数の波長域のレーザー光での記録が可能である光記録媒体を作製することもできる。
【0074】
記録層は、必要に応じてバインダーを含有してもよい。バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルブチラール、ケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
また、記録層は、記録層の安定性や耐光性向上のために、一重項酸素クエンチャーや記録感度向上剤等を含有してもよい。
【0075】
一重項酸素クエンチャーとしては、遷移金属キレート化合物(例えば、アセチルアセトネート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ-α-ジケトン等と遷移金属とのキレート化合物等)等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
記録感度向上剤としては、遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれるものをいい、例えば、エチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトネート系錯体、メタロセン系錯体、ポルフィリン系錯体等の有機金属化合物等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0076】
本発明の光記録媒体の記録層の膜厚は1nm〜5μmであるのが好ましく、5〜100nmであるのがより好ましく、さらには15〜60nmであるのが好ましい。
記録層は、真空蒸着法、スパッタリング法、ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の公知の薄膜形成法で形成することができるが、量産性、コスト面からスピンコート法が好ましい。スピンコート法により記録層を形成する場合、適切な膜厚を得るために、本発明の錯化合物の濃度を0.3〜2.5重量%に調整した溶液を用いることが好ましく、回転数を500〜10000rpmにするのが好ましい。スピンコート法により溶液を塗布した後、加熱、減圧乾燥、溶媒蒸気への曝露等の処理を行ってもよい。
【0077】
溶液を塗布することにより記録層を形成する場合(例えば、ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等)に用いる溶液の溶媒としては、基板および記録層を塗布する前に基板上に形成した層(例えば、反射層等)を侵さない溶媒であればよく、特に限定されない。例えば、ジアセトンアルコール、3-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブタノン等のケトンアルコール系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ系溶媒、n-ヘキサン、n-オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n-ブチルシクロヘキサン、tert-ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の炭化水素系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、テトラフルオロプロパノール(TFP)、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のフルオロアルキルアルコール系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチル、イソ酪酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0078】
本発明の光記録媒体の基板は、レーザー光による記録再生のため、表面上に螺旋状に形成される案内溝が形成されているものが好ましい。基板としては、狭トラックピッチである微細な溝を形成しやすいものが好ましく、具体的にはガラス、プラスチック等が挙げられる。プラスチックとしては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ニトロセルロース、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂等が挙げられるが、高生産性、コスト、耐吸湿性等の点からポリカーボネート樹脂であるのが好ましい。
【0079】
基板は前記のプラスチックを射出成形して作製するのが好ましい。射出成形により基板を作製する方法としては、案内溝が形成されたNi等の金属からなるスタンパーを用いる方法等が挙げられる。
該スタンパーを作製するための原盤は、例えば、以下のようにして作製される。円盤状のガラス基板の表面を平滑になるよう研磨する。その基板上に所望の溝深さに応じて厚さを調整したフォトレジストを塗布する。次いで青紫色レーザー光よりも短い波長のレーザー光または電子ビームを用いてフォトレジストを露光し、現像を行うことにより、案内溝が形成された原盤を作製する。
【0080】
次いで、この原盤表面にNi等の導電膜を真空製膜し、メッキ工程を経て、案内溝が形成されたNi等の金属からなるスタンパーを作製する。このスタンパーを用いて前記のプラスチックを射出成形することにより、表面上に案内溝が形成された基板を作製する。
該案内溝としては、凹凸の頂点面と底辺面の高低差(溝深さ)が15〜80nmであるのが好ましく、25〜50nmであるのがより好ましい。凸部と凹部の幅の比率としては40% : 60%〜60% : 40%(凸部:凹部)の範囲であるのが好ましい。
【0081】
反射層は金属であるのが好ましい。金属としては、金、銀、アルミニウムまたはそれらの合金等が挙げられるが、550nm以下の波長のレーザー光に対する反射率や表面の平滑性の点から、銀または銀を主成分とする合金が好ましい。該銀を主成分とする合金は銀を90%程度以上含むものが好ましく、銀以外の成分としてCu、Pd、Ni、Si、Au、Al、Ti、Zn、Zr、NbおよびMoの群から選ばれる1種類以上を含むものが好ましい。反射層は、例えば、蒸着法、スパッタリング法(例えば、DCスパッタリング法等)、イオンプレーティング法等によって基板上に形成することができる。記録再生特性を向上させるため、または反射率を調整する等の目的で、反射層と記録層との間に中間層を設けてもよい。中間層としては、具体的には金属、金属酸化物、金属窒化物等が挙げられる。反射層の膜厚は5〜300nmであるのが好ましく、30〜100nmであるのがより好ましい。
【0082】
透明保護層としては、記録再生時に使用するレーザー光に対して吸収を有しないか、わずかな吸収しか有しないものが好ましく、屈折率の実数部が比較的大きく、1.5〜2.0前後の値を有するものが好ましい。透明保護層としては、具体的には金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、これらの混合物等が挙げられる。
透明保護層の厚さは、5〜50nmであるのが好ましい。保護層の厚さが5nm以上の場合には、記録層に変形を生じさせて形成した記録マークがこの記録マーク間の未記録部分と明確に分離できるためより良好な信号が得られる。また、保護層の厚さが50nm以下の場合には、透明保護層の変形が生じやすいためより良好な信号が得られる。透明保護層はスパッタリング法(例えば、RFスパッタリング法等)等によって記録層の上に形成することができる。
【0083】
カバー層は、例えば、表面に記録再生レーザー光に対して透明、かつ、粘着力のある接着層を有する厚さ約0.1mmのポリカーボネート製のシートを用い、接着層を介してシートを透明保護層に加圧接着することにより、透明保護層の上に形成することができる。接着層としては、情報記録の際に記録層および透明保護層の変形を阻害しないものが好ましい。カバー層は紫外線硬化樹脂を用いて形成することもでき、該紫外線硬化樹脂としては、接着層と同様に、情報記録の際に記録層および透明保護層の変形を阻害しないものが好ましい。
【0084】
本発明の光記録媒体は本発明の錯化合物を含有することから、記録時に使用するレーザー光の波長は350〜530nmであるのが好ましい。一般的に、記録時に使用するレーザー光の波長が短いほど高密度な記録が可能となる。
レーザー光の具体例としては、例えば、中心波長が405nm、410nm等である青紫色レーザー光、中心波長が515nmである青緑色の高出力半導体レーザー光等が挙げられ、中でも中心波長が405nmである青緑色の高出力半導体レーザー光が好ましい。
【0085】
基本発振波長が740〜960nmである連続発振可能な半導体レーザー光、半導体レーザー光によって励起されかつ基本発振波長が740〜960nmである連続発振可能な固体レーザー光等を、第二高調波発生素子(SHG)により波長変換することによって得られる光を用いてもよい。SHGとしては、反射対称性を欠くピエゾ素子であればいかなるものでもよいが、KDP(KH2PO4)、ADP(NH4H2PO4)、BNN(Ba2NaNb5O15)、KN(KNbO3)、LBO(LiB3O5)、化合物半導体等が好ましい。
【0086】
SHGにより波長変換することによって得られる光(第二高調波)の具体例としては、基本発振波長が860nmである半導体レーザー光を波長変換した430nm光、基本発振波長が860nmである半導体レーザー励起の固体レーザー光を波長変換した430nm光等が挙げられる。
本発明の光記録媒体はBDであるのが好ましい。BDは波長405nmの青紫色レーザーを使用し、対物レンズのNAを0.85とすることによりレーザースポット径を小さくして、より高密度の情報を記録する光記録媒体である。BD-Rでは基板上に反射層と、記録層と、透明保護層と、基板よりも薄いカバー層とが順次積層されている。カバー層側から青紫色レーザー光を照射して記録再生を行う。
【実施例】
【0087】
以下、実施例および参考例により、本発明をさらに具体的に説明する。
略号の説明を、以下に示す。
TFP : 2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール
DMSO : ジメチルスルホキシド
DBU : 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン
[化合物(I)の原料の製造]
「Journal of Chemical Society, Perkin Transactions 1」, 1992年, 第20巻, p.2603-2608に記載の方法に準じて、4-ヒドロキシクマリンとN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタールとを反応させることにより3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオンを得た。
【0088】
「Journal of Organic Chemistry」, 1999年, 第64巻, p.5644-5649に記載の方法に準じて、2-クロロピリミジンとヒドラジン水和物とを反応させることにより2-ヒドラジノピリミジンを得た。2-ヒドラジノピリミジンの製造方法と同様にして、2-ヒドラジノ-4,6-ジメチルピリミジンおよび2-ヒドラジノ-4,6-ジメトキシピリミジンを得た。
「Journal of the American Chemical Society」, 1953年, 第75巻, p.712に記載の方法に準じて2-クロロベンゾオキサゾールとヒドラジン水和物とを反応させることにより2-ヒドラジノベンゾオキサゾールを得た。
【0089】
「Bioorganic and Medicinal Chemistry」, 2003年, 第11巻, p.1381-1387に記載の方法に準じて4-(トリフルオロメチル)安息香酸メチルとヒドラジン水和物とを反応させることにより4-(トリフルオロメチル)ベンゾヒドラジドを得た。4-(トリフルオロメチル)ベンゾヒドラジドの製造方法と同様にして、3-(トリフルオロメチル)ベンゾヒドラジド、4-フルオロベンゾヒドラジド、4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾヒドラジドおよびシクロヘキサンカルボヒドラジドを得た。
【0090】
「Journal of the American Chemical Society」, 1958年, 第80巻, p.862に記載の方法に準じて2,4,6-トリメチルベンゾイルクロリドとヒドラジン水和物とを反応させることにより2,4,6-トリメチルベンゾヒドラジドを得た。
「Journal of Materials Chemistry」, 2006年, 第16巻, p.345-347に記載の方法に準じて1,1’-ビス(2,4-ジニトロフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリドと2-アミノ-4-フェニルフェノールとを反応させることにより1,1’-ビス(2-ヒドロキシ-5-フェニルフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリドを得た。1,1’-ビス(2-ヒドロキシ-5-フェニルフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリドの製造方法と同様にして、1,1’-ビス[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-4,4’-ビピリジニウムジクロリド、1,1’-ビス(3-フルオロフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド、1,1’-ビス(4-フルオロフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド、1,1’-ビス(3-メトキシフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリドおよび1,1’-ビス(4-メトキシフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリドを得た
[化合物(I)の製造]
【0091】
合成例1: 化合物(I-1)
デヒドロ酢酸1.00g、2-ヒドラジノピリジン0.65gおよびメタノール10mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し析出した固体を濾取し、メタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-1)1.44g(収率93%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 2.13(3H, s), 2.61(3H, s), 5.88(1H, s), 6.96(1H, bs), 8.54(2H, bs), 10.65(1H, bs).
【0092】
合成例2: 化合物(I-2)
デヒドロ酢酸1.50g、2-ヒドラジノ-4,6-ジメチルピリミジン1.23gおよびメタノール15mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-2)2.47g(収率96%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 2.12(3H, s), 2.31(6H, s), 2.61(3H, s), 5.87(1H, s), 6.70(1H, bs), 10.56(1H, bs).
【0093】
合成例3: 化合物(I-3)
デヒドロ酢酸1.50g、2-ヒドラジノベンゾオキサゾール1.33gおよびメタノール15mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-3)1.60g(収率60%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 2.11(3H, s), 2.68(3H, s), 5.82(1H, s), 7.07 - 7.23(3H, m), 7.44(1H, d, J = 7.8Hz), 12.13(1H, bs).
【0094】
合成例4: 化合物(I-4)
デヒドロ酢酸1.50g、4-(トリフルオロメチル)ベンゾヒドラジド1.82gおよびメタノール15mlを混合し、50℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-4)2.66g(収率84%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 2.14(3H, s), 2.64(3H, s), 5.90(1H, s), 7.95(2H, d, J = 8.3Hz), 8.12(2H, d, J = 8.3Hz), 11.82(1H, bs).
【0095】
合成例5: 化合物(I-5)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン1.50g、2-ヒドラジノピリミビン0.76g、酢酸3mlおよびメタノール20mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-5)1.57g(収率80%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 6.94(1H, bs), 7.32 - 7.36(2H, m), 7.66(1H, t, J = 7.3Hz), 7.96(1H, d, J = 7.6Hz), 8.44(1H, s), 8.54(2H, bs), 11.52(1H, bs).
【0096】
合成例6: 化合物(I-6)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン1.50g、2-ヒドラジノベンゾオキサゾール1.03g、酢酸3mlおよびメタノール20mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-6)1.79g(収率81%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.12(1H, t, J = 7.8Hz), 7.18(1H, bs), 7.23(1H, t, 7.6Hz), 7.31 - 7.36(2H, m), 7.52(1H, d, J = 7.1Hz), 7.66(1H, t, J = 7.6Hz), 7.99(1H, d, J = 7.8Hz), 8.39(1H, bs), 12.22(1H, bs), 14.73(1H, bs).
【0097】
合成例7:化合物(I-7)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン1.00g、2-ヒドラジノ-4,6-ジメチルピリミジン0.64g、酢酸2mlおよびメタノール20mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-7)1.10g(収率77%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 2.31(6H, s), 6.60(1H, bs), 7.29 - 7.34(2H, m), 7.64(1H, t, J = 7.6Hz), 7.96(1H, d, J = 7.8Hz), 8.38(1H, s), 11.57(1H, bs).
【0098】
合成例8: 化合物(I-8)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン1.00g、2-ヒドラジノ-4,6-ジメトキシピリミジン0.78g、酢酸2mlおよびメタノール35mlを混合し、50℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-8)1.28g(収率81%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 3.93(6H, s), 5.75(1H, s), 7.34 - 7.37(2H, m), 7.65 - 7.70(1H, m), 7.95 - 7.97(1H, m), 8.42(1H, bs), 11.70(1H, bs).
【0099】
合成例9: 化合物(I-9)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン1.00g、ベンゾヒドラジド0.63g、酢酸2mlおよびメタノール10mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-9)1.15g(収率81%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.33 - 7.37(2H, m), 7.57(2H, t, J = 7.6Hz), 7.64 - 7.71(2H, m), 7.93(2H, d, J = 7.4Hz), 7.96 - 7.99(1H, m), 8.61(1H, s), 12.50(1H, bs).
【0100】
合成例10: 化合物(I-10)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン2.00g、4-メトキシベンゾヒドラジド1.53g、酢酸1mlおよびメタノール35mlを混合し、50℃で1.5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-10)2.40g(収率77%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 3.86(3H, s), 7.12(2H, d, J = 8.5Hz), 7.34 - 7.38(2H, m), 7.68 - 7.71(1H, m), 7.92(2H, d, J = 8.6Hz), 7.98(1H, d, J = 7.6Hz), 8.61(1H, s), 12.37(1H, bs).
【0101】
合成例11: 化合物(I-11)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン2.00g、2-クロロベンゾヒドラジド1.57g、酢酸1mlおよびメタノール25mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-11)2.18g(収率69%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.35 - 7.40(2H, m), 7.50 - 7.53(1H, m), 7.57 - 7.63(2H, m), 7.69 - 7.74(2H, m), 7.98 - 8.00(1H, m), 8.51(1H, s), 12.47(1H, bs).
【0102】
合成例12: 化合物(I-12)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン2.00g、4-フルオロベンゾヒドラジド1.42g、酢酸1mlおよびメタノール40mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-12)2.30g(収率77%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.32 - 7.37(2H, m), 7.41(2H, t, J = 8.8Hz), 7.66 - 7.70(1H, m), 7.96 - 8.01(3H, m), 8.59(1H, s).
【0103】
合成例13: 化合物(I-13)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン2.00g、2-フルオロベンゾヒドラジド1.42g、酢酸1mlおよびメタノール20mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-13)2.00g(収率67%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.34 - 7.43(4H, m), 7.65 - 7.72(2H, m), 7.80 - 7.84(1H, m), 7.99(1H, d, J = 7.8Hz), 8.60(1H, s), 12.30(1H, bs).
【0104】
合成例14: 化合物(I-14)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン2.00g、2,4,6-トリメチルベンゾヒドラジド1.64g、酢酸1mlおよびメタノール25mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-14)2.15g(収率67%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 2.27(6H, s), 2.57(3H, s), 6.94(2H, s), 7.33 - 7.37(2H, m), 7.67 - 7.71(1H, m), 7.97 - 7.99(1H, m), 8.42(1H, s).
【0105】
合成例15: 化合物(I-15)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン2.00g、4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾヒドラジド1.65g、酢酸1mlおよびメタノール20mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-15)2.65g(収率82%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 3.02(6H, s), 6.79(2H, d, J = 9.0Hz), 7.33 - 7.37(2H, m), 7.66 - 7.70(1H, m), 7.79(2H, d, J = 9.0Hz), 7.97 - 7.99(1H, m), 8.60(1H, s), 12.25(1H, bs).
【0106】
合成例16: 化合物(I-16)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン2.00g、4-(トリフルオロメチル)ベンゾヒドラジド1.88g、酢酸1mlおよびメタノール20mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-16)2.78g(収率80%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.32 - 7.36(2H, m), 7.67(1H, t, J = 6.6Hz), 7.94 - 7.98(3H, m), 8.11(2H, d, J = 8.1Hz), 8.62(1H, s).
【0107】
合成例17: 化合物(I-17)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン1.00g、3-(トリフルオロメチル)ベンゾヒドラジド0.94g、酢酸1mlおよびメタノール10mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-17)1.47g(収率85%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.31 - 7.36(2H, m), 7.66(1H, t, J = 7.3Hz), 7.77(1H, t, J = 7.8Hz), 7.92(1H, d, J = 7.8Hz), 7.98(1H, d, J = 7.6Hz), 8.24 - 8.36(2H, m), 8.56(1H, s).
【0108】
合成例18: 化合物(I-18)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン2.00g、シクロヘキサンカルボヒドラジド1.31g、酢酸1mlおよびメタノール20mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-18)1.86g(収率64%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.17 - 1.46(5H, m), 1.63 - 1.82(5H, m), 2.20 - 2.27(1H, m), 7.32 - 7.36(2H, m), 7.68(1H, t, J = 8.3Hz), 7.95(1H, d, J = 7.8Hz), 8.38(1H, s).
【0109】
合成例19: 化合物(I-19)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン2.00g、3-フェニルプロパノヒドラジド1.51g、酢酸1mlおよびメタノール20mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-19)2.43g(収率79%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 2.55(2H, t, J = 7.3Hz), 2.91(2H, t, J = 7.3Hz), 7.18 - 7.35(7H, m), 7.65 - 7.69(1H, m), 7.93 - 7.95(1H, m), 8.31(1H, s), 11.85(1H, bs).
【0110】
合成例20: 化合物(I-20)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン2.00g、フェニルアセトヒドラジド1.38g、酢酸1mlおよびメタノール20mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-20)2.40g(収率76%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 3.59(2H, s), 7.25 - 7.35(7H, m), 7.65 - 7.69(1H, m), 7.92 - 7.94(1H, m), 8.37(1H, s), 12.00(1H, bs).
【0111】
合成例21: 化合物(I-21)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン2.00g、2-チオフェンカルボヒドラジド1.31g、酢酸1mlおよびメタノール20mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-21)2.33g(収率81%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.27(1H, t, J = 4.9Hz), 7.34 - 7.38(2H, m), 7.70(1H, t, J = 7.3Hz), 7.87(1H, d, J = 4.7Hz), 7.95 - 7.99(2H, m), 8.56(1H, m).
【0112】
合成例22: 化合物(I-22)
3-(ジメチルアミノメチレン)クロマン-2,4-ジオン2.00g、ニコチノヒドラジド1.26g、酢酸1mlおよびメタノール20mlを混合し、50℃で10分間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより化合物(I-22)2.04g(収率72%)を得た。
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.34 - 7.38(2H, m), 7.62 - 7.73(2H, m), 7.98(1H, d, J = 7.8Hz), 8.29(1H, d, J = 8.1Hz), 8.62(1H, s), 8.82(1H, d, J = 4.6Hz), 9.09(1H, s).
(錯化合物の製造)
【実施例1】
【0113】
錯化合物(1)
化合物(I-1)0.30g、トリエチルアミン0.12gおよびメタノール5mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.14gを加え、混合物を50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物にtert-ブチルメチルエーテル20mlを加え、析出した固体を濾取しtert-ブチルメチルエーテルで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(1)0.25g(収率75%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 363.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.17(9H, t, J = 7.3Hz), 1.96(6H, s), 3.06 - 3.12(12H, m), 5.78(2H, s), 5.90(2H, m), 6.62(2H, d, J = 5.9Hz), 7.89(2H, bs).
【実施例2】
【0114】
錯化合物(2)
錯化合物(1)0.30g、1,1’-ビス(2-ヒドロキシ-5-フェニルフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.13gおよびメタノール5mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(2)0.34g(収率93%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 361.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.95(12H, s), 3.11(12H, s), 5.77(4H, s), 5.88 - 5.91(4H, m), 6.62(4H, d, J = 5.9Hz), 7.32(2H, d, J = 8.5Hz), 7.39(2H, d, J = 7.3Hz), 7.50(4H, t, J = 7.6Hz), 7.74(4H, d, J = 8.5Hz), 7.88 - 7.92(6H, m), 8.11(2H, d, J = 2.4Hz), 9.03(4H, d, J = 7.1Hz), 9.67(4H, d, J = 6.8Hz).
【実施例3】
【0115】
錯化合物(3)
化合物(I-2)0.50g、DBU 0.79gおよびメタノール10mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.22gを加え、混合物を50℃で1.5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物にシクロヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒(体積比2:1)45mlを加え、析出した固体を濾取しシクロヘキサンで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(3)0.47g(収率69%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 363.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.60 - 2.01(26H, m), 2.63(2H, m), 2.89(6H, s), 3.25 - 3.54(6H, m), 5.60(2H, m), 5.67(2H, s).
【実施例4】
【0116】
錯化合物(4)
錯化合物(3)0.30g、1,1’-ビス(2-ヒドロキシ-5-フェニルフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.11gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(4)0.23g(収率69%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 354.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.61(12H, s), 1.97(12H, s), 2.03(12H, s), 2.89(12H, s), 5.64(4H, s), 5.68(4H, s), 7.24(2H, bs), 7.36(2H, t, J = 6.8Hz), 7.48(4H, t, J = 8.1Hz), 7.72(4H, d, J = 7.3Hz), 7.84(2H, bs), 8.05(2H, bs), 8.99(4H, bs), 9.65(4H, bs).
【実施例5】
【0117】
錯化合物(5)
化合物(I-3)0.30g、トリエチルアミン0.30gおよびメタノール5mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.13gを加え、混合物を50℃で1.5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物にtert-ブチルメチルエーテル20mlを加え、析出した固体を濾取しtert-ブチルメチルエーテルで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(5)0.33g(収率88%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 379.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.17(9H, t, J = 7.1Hz), 1.93(6H, s), 3.07(6H, bs), 3.18(6H, s), 5.83(2H, s), 6.26(2H, d, J = 7.8Hz), 6.67(2H, t, J = 7.8Hz), 6.87(2H, t, J = 7.6Hz), 6.98(2H, d, J = 7.8Hz).
【実施例6】
【0118】
錯化合物(6)
錯化合物(5)0.30g、1,1’-ビス(2-ヒドロキシ-5-フェニルフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.11gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物に水18mlを加え、析出した固体を濾取し水とメタノールの混合溶媒(体積比2:1)で洗浄後、乾燥することにより錯化合物(6)0.29g(収率79%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 377.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.93(12H, s), 3.18(12H, s), 5.83(4H, s), 6.27(4H, d, J = 7.8Hz), 6.67(4H, t, J = 7.8Hz), 6.87(4H, t, J = 7.8Hz), 6.98(4H, d, J = 7.8Hz), 7.32(2H, d, J = 8.5Hz), 7.39(2H, t, J = 7.3Hz), 7.50(4H, t, J = 7.3Hz), 7.73(4H, d, J = 7.3Hz), 7.91(2H, d, J = 7.4Hz), 8.12(2H, s), 9.03(4H, d, J = 6.8Hz), 9.67(4H, d, J = 7.1Hz).
【実施例7】
【0119】
錯化合物(7)
化合物(I-4)0.50g、トリエチルアミン0.43gおよびメタノール10mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.18gを加え、混合物を50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物に水20mlを加え、析出した固体を濾取し水とメタノールの混合溶媒(体積比2:1)で洗浄後、乾燥することにより錯化合物(7)0.54g(収率89%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 365.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.17(9H, t, J = 7.3Hz), 1.97(6H, s), 3.09(6H, q, J = 7.3Hz), 3.36(6H, s), 5.82(2H, s), 7.65(4H, d, J = 8.1Hz), 8.06(4H, d, J = 8.1Hz).
【実施例8】
【0120】
錯化合物(8)
錯化合物(7)0.30g、1,1’-ビス(2-ヒドロキシ-5-フェニルフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.10gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(8)0.30g(収率87%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 363.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.96(12H, s), 3.37(12H, s), 5.82(4H, s), 7.33(2H, d, J = 8.8Hz), 7.39(2H, t, J = 7.3Hz), 7.50(4H, t, J = 7.6Hz), 7.65(8H, d, J = 8.3Hz), 7.74(4H, d, J = 7.3Hz), 7.91(2H, d, J = 8.6Hz), 8.06(8H, d, J = 8.1Hz), 8.12(2H, s), 9.04(4H, d, J = 7.1Hz), 9.67(4H, d, J = 7.1Hz), 11.40(2H, bs).
【実施例9】
【0121】
錯化合物(9)
化合物(I-5)1.00g、トリエチルアミン1.07gおよびメタノール10mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.44gを加え、混合物を50℃で1.5時間分攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物にシクロヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒(体積比2:1)90mlを加え、析出した固体を濾取しシクロヘキサンで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(9)1.10g(収率86%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 397.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.16(9H, t, J = 7.3Hz), 3.08(6H, q, J = 7.3Hz), 5.95 - 5.98(2H, m), 6.89 - 6.91(2H, m), 7.13(2H, t, J = 7.6Hz), 7.18(2H, d, J = 8.3Hz), 7.41 - 7.45(2H, m), 7.48 - 7.50(2H, m), 7.94(2H, s), 8.82(2H, s).
【実施例10】
【0122】
錯化合物(10)
錯化合物(9)0.30g、1,1’-ビス(2-ヒドロキシ-5-フェニルフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.12gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(10)0.28g(収率77%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 395.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 5.98 - 6.00(2H, m), 6.94 - 6.96(4H, m), 7.13 - 7.21(8H, m), 7.32 - 7.52(16H, m), 7.73 - 7.74(4H, m), 7.91 - 7.93(2H, m), 7.97(4H, s), 8.12(2H, d, J = 2.4Hz), 8.84(4H, s), 9.05(4H, d, J = 7.1Hz), 9.67(4H, d, J = 7.1Hz), 11,40(2H, bs).
【実施例11】
【0123】
錯化合物(11)
化合物(I-6)1.00g、トリエチルアミン0.94gおよびメタノール15mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.39gを加え、混合物を50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物から溶媒を留去した後、残渣にシクロヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒(体積比2:1)90mlを加え、析出した固体を濾取しシクロヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒(体積比2:1)で洗浄後、乾燥することにより錯化合物(11)1.10g(収率86%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 404.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.17(9H, t, J = 7.3Hz), 3.09(6H, q, J = 7.3Hz), 6.61(2H, d, J = 7.8Hz), 6.73(2H, t, J = 7.8Hz), 6.96(2H, t, J = 7.8Hz), 7.05(2H, d, J = 7.8Hz), 7.15 - 7.20(4H, m), 7.44 - 7.47(2H, m), 7.59(2H, d, J = 7.8Hz), 8.91(2H, s).
【実施例12】
【0124】
錯化合物(12)
化合物(I-7)0.70g、DBU 1.03gおよびメタノール7mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.28gを加え、混合物を50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(12)0.82g(収率88%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 398.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.68(6H, m), 1.90 - 2.02(14H, m), 2.62(2H, s), 3.24(2H, m), 3.46(2H, m), 3.53(2H, m), 5.66(2H, s), 7.16 - 7.17(4H, m), 7.43 - 7.46(4H, m), 8.50(2H, s).
【実施例13】
【0125】
錯化合物(13)
化合物(I-8)0.50g、DBU 0.67gおよびメタノール7mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.18gを加え、混合物を50℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(13)0.50g(収率78%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 391.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.58 - 1.67(6H, m), 1.89 - 1.94(2H, m), 2.62 - 2.65 (2H, m), 3.23 - 3.26(2H, m), 3.46(6H, s), 3.47(2H, m), 3.54 - 3.56(2H, m), 3.72(6H, s), 4.84(2H, s), 7.14 - 7.17(4H, m), 7.42(2H, t, J = 7.6Hz), 7.47(2H, d, J = 7.6Hz), 8.53(2H, s).
【実施例14】
【0126】
錯化合物(14)
化合物(I-9)1.00g、DBU 1.46gおよびメタノール15mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.40gを加え、混合物を50℃で3時間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(14)1.13g(収率86%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 379.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.56 - 1.65(6H, m), 1.86 - 1.93(2H, m), 2.60 - 2.62(2H, m), 3.22(2H, t, J = 5.8Hz), 3.45(2H, t, J = 5.8Hz), 3.51 - 3.53(2H, m), 7.11(2H, t, J = 7.3Hz), 7.21(2H, d, J = 8.1Hz), 7.28(4H, t, J = 7.3Hz), 7.33 - 7.37(2H, m), 7.36 - 7.50(4H, m), 7.87(4H, d, J = 7.3Hz), 9.11(2H, s).
【実施例15】
【0127】
錯化合物(15)
錯化合物(14)0.30g、1,1’-ビス[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.10gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(15)0.27g(収率81%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 379.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.12(4H, t, J = 7.8Hz), 7.22(4H, d, J = 8.3Hz), 7.29(8H, t, J = 7.3Hz), 7.35 - 7.38(4H, m), 7.44 - 7.51(8H, m), 7.88 - 7.90(12H, m), 8.13(4H, bs), 9.12(8H, m), 9.72(4H, bs).
【実施例16】
【0128】
錯化合物(16)
錯化合物(14)0.30g、1,1’-ビス(3-フルオロフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.08gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(16)0.27g(収率88%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 379.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.12(4H, t, J = 7.3Hz), 7.22(4H, d, J = 8.3Hz), 7.30(8H, t, J = 7.3Hz), 7.35 - 7.38(4H, m), 7.44 - 7.51(8H, m), 7.88 - 7.90(16H, m), 9.13(8H, m), 9.75(4H, bs).
【実施例17】
【0129】
錯化合物(17)
化合物(I-9)0.30g、トリエチルアミン0.20gおよびメタノール6mlの混合物にトリス(2,4-ヘキサンジオナト)アルミニウム0.18gを加え、混合物を50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物にジエチルエーテル60mlを加え、析出した固体を濾取しジエチルエーテルで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(17)0.31g(収率85%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 367.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.17(9H, t, J = 7.1Hz), 3.09(6H, q, J = 7.3Hz), 7.20(2H, t, J = 7.3Hz), 7.28(2H, d, J = 8.3Hz), 7.32 - 7.41(6H, m), 7.54(2H, t, J = 8.3Hz), 7.67(2H, d, J = 7.8Hz), 7.93(4H, d, J = 6.8Hz), 8.81(2H, s).
【実施例18】
【0130】
錯化合物(18)
化合物(I-9)0.30g、DBU 0.30gおよびメタノール3mlの混合物にトリス(2,4-ヘキサンジオナト)アルミニウム0.18gを加え、混合物を50℃で1時間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、析出した固体を濾取しジエチルエーテルで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(18)0.15g(収率38%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 367.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.62 - 1.64(6H, m), 1.87 - 1.94(2H, m), 2.61 - 2.64(2H, m), 3.23 - 3.26(2H, m), 3.45 - 3.48(2H, m), 3.52 - 3.55(2H, m), 7.20(2H, t, J = 7.8Hz), 7.28(2H, d, J = 7.6Hz), 7.32 - 7.42(6H, m), 7.55(2H, t, J = 8.5Hz), 7.67(2H, d, J = 7.8Hz), 7.93(4H, d, J = 6.8Hz), 8.81(2H, s).
【実施例19】
【0131】
錯化合物(19)
錯化合物(17)0.30g、1,1’-ビス[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.11gおよびメタノール6mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(19)0.33g(収率93%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 367.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.20(4H, t, J = 8.1Hz), 7.28(4H, d, J = 7.6Hz), 7.32 - 7.41(12H, m), 7.55(4H, t, J = 8.3Hz), 7.67(4H, d, J = 7.8Hz), 7.87(4H, bs), 7.92 - 7.94(12H, m), 8.81(4H, s), 9.12(4H, bs), 9.73(4H, bs).
【実施例20】
【0132】
錯化合物(20)
化合物(I-10)1.00g、DBU 1.37gおよびメタノール10mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.37gを加え、混合物を50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物に水20mlを加え、析出した固体を濾取し水とメタノールの混合溶媒(体積比2:1)で洗浄後、乾燥することにより錯化合物(20)1.14g(収率86%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 383.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.60(6H, m), 1.90(2H, s), 2.61(2H, s), 3.24(2H, bs), 3.45(2H, s), 3.52(2H, s), 3.73(6H, s), 6.84(4H, d, J = 8.3Hz), 7.11 - 7.14(2H, m), 7.22(2H, d, J = 7.8Hz), 7.44 - 7.50(4H, m), 7.83(4H, d, J = 8.1Hz), 9.08(2H, s).
【実施例21】
【0133】
錯化合物(21)
錯化合物(20)0.30g、1,1’-ビス(2-ヒドロキシ-5-フェニルフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.10gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(21)0.27g(収率81%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 379.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 3.72(12H, s), 6.83(8H, d, J = 7.8Hz), 7.12(4H, t, J = 7.3Hz), 7.21(4H, d, J = 8.1Hz), 7.30(2H, d, J = 8.6Hz), 7.38(2H, t, J = 7.3Hz), 7.44 - 7.52(12H, m), 7.73(4H, d, J = 7.8Hz), 7.82(8H, d, J = 7.8Hz), 7.89(2H, d, J = 9.0Hz), 8.11(2H, s), 9.03(4H, d, J = 5.9Hz), 9.07(4H, s), 9.66(4H, d, J = 5.9Hz).
【実施例22】
【0134】
錯化合物(22)
錯化合物(20)0.30g、1,1’-ビス[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.09gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で1.5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(22)0.26g(収率78%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 379.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 3.72(12H, s), 6.83(8H, d, J = 8.6Hz), 7.12(4H, t, J = 7.6Hz), 7.21(4H, d, J = 8.1Hz), 7.44 - 7.49(8H, m), 7.81 - 7.83(12H, m), 8.12(4H, bs), 9.07(8H, m), 9.71(4H, bs).
【実施例23】
【0135】
錯化合物(23)
化合物(I-11)1.00g、DBU 0.88gおよびメタノール10mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.36gを加え、混合物を50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物に水40mlを加え、析出した固体を濾取し水とメタノールの混合溶媒(体積比4:1)で洗浄後、乾燥することにより錯化合物(23)1.25g(収率96%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 370.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.58 - 1.65(6H, m), 1.86 - 1.90(2H, m), 2.50 - 2.51(2H, m), 3.17 - 3.19(2H, m), 3.42 - 3.44(2H, m), 3.49 - 3.51(2H, m), 7.17 - 7.21(2H, m), 7.25 - 7.30(4H, m), 7.34 - 7.37(4H, m), 7.44 - 7.46(2H, m), 7.49 - 7.54(2H, m), 7.60 - 7.63(2H, m), 9.00(2H, s).
【実施例24】
【0136】
錯化合物(24)
錯化合物(23)0.30g、1,1’-ビス(3-フルオロフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.07gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(24)0.21g(収率69%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 369.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.19(4H, t, J = 7.6Hz), 7.24 - 7.29(8H, m), 7.33 - 7.38(8H, m), 7.45(4H, d, J = 7.1Hz), 7.49 - 7.53(4H, m), 7.61(4H, d, J = 7.8Hz), 7.88(8H, bs), 9.00(8H, m), 9.71(4H, bs).
【実施例25】
【0137】
錯化合物(25)
錯化合物(23)0.30g、1,1’-ビス(4-フルオロフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.07gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(25)0.26g(収率84%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 369.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.19(4H, t, J = 7.8Hz), 7.24 - 7.29(8H, m), 7.33 - 7.38(8H, m), 7.44 - 7.46(4H, m), 7.49 - 7.53(4H, m), 7.61(4H, d, J = 7.8Hz), 7.69(4H, bs), 8.04(4H, bs), 9.00(4H, s), 9.06(4H, bs), 9.68(4H, bs).
【実施例26】
【0138】
錯化合物(26)
化合物(I-12)1.00g、DBU 0.93gおよびメタノール10mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.38gを加え、混合物を50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(26)1.15g(収率87%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 379.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.59(6H, m), 1.90(2H, m), 2.60(2H, m), 3.22(2H, s), 3.45(2H, m), 3.52(2H, s), 7.08 - 7.14(6H, m), 7.21(2H, d, J = 8.3Hz), 7.44 - 7.49(4H, m), 7.90 - 7.94(4H, m), 9.10(2H, s).
【実施例27】
【0139】
錯化合物(27)
化合物(I-13)1.00g、DBU 0.93gおよびメタノール10mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.38gを加え、混合物を50℃で3時間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(27)1.01g(収率77%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 375.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.60 - 1.67(6H, m), 1.89 - 1.92(2H, m), 2.61 - 2.64(2H, m), 3.24(2H, t, J = 5.6Hz), 3.46(2H, t, J = 5.6Hz), 3.52 - 3.55(2H, m), 7.10 - 7.18(6H, m), 7.24(2H, d, J = 7.6Hz), 7.37 - 7.44(2H, m), 7.47 - 7.55(4H, m), 7.62 - 7.67(2H, m), 9.08(2H, s).
【実施例28】
【0140】
錯化合物(28)
錯化合物(27)0.30g、1,1’-ビス[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.10gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(28)0.19g(収率57%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 371.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.10 - 7.18(12H, m), 7.24(4H, d, J = 8.0Hz), 7.37 - 7.43(4H, m), 7.47 - 7.51(4H, m), 7.54(4H, d, J = 7.8Hz), 7.65(4H, t, J = 7.3Hz), 7.86(4H, bs), 8.14(4H, bs), 9.07(4H, s), 9.08(4H, bs), 9.72(4H, bs).
【実施例29】
【0141】
錯化合物(29)
錯化合物(27)0.30g、1,1’-ビス(3-フルオロフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.08gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(29)0.26g(収率82%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 374.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.10 - 7.17(12H, m), 7.24(4H, d, J = 8.3Hz), 7.38 - 7.44(4H, m), 7.47 - 7.55(8H, m), 7.63 - 7.67(4H, m), 7.86(8H, bs), 9.08(8H, m), 9.71(4H, bs).
【実施例30】
【0142】
錯化合物(30)
化合物(I-14)1.00g、DBU 0.88gおよびメタノール10mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.36gを加え、混合物を50℃で3時間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(30)0.97g(収率74%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 369.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.61 - 1.64(6H, m), 1.83(12H, s), 1.91(2H, m), 2.16(6H, s), 2.61 - 2.62(2H, m), 3.24 - 3.26(2H, m), 3.46 (2H, m), 3.53 - 3.55(2H, m), 6.71(4H, s), 7.20(2H, t, J = 7.6Hz), 7.26(2H, d, J = 8.3Hz), 7.49 - 7.53(2H, m), 7.63(2H, d, J = 7.8Hz), 8.93(2H, s).
【実施例31】
【0143】
錯化合物(31)
錯化合物(30)0.30g、1,1’-ビス(4-メトキシフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.08gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(31)0.25g(収率77%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 371.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.83(24H, s), 2.16(12H, s), 3.92(6H, s), 6.71(16H, s), 7.20 - 7.64(12H, m), 7.93(4H, bs), 8.94(8H, m), 9.61(4H, bs).
【実施例32】
【0144】
錯化合物(32)
化合物(I-15)1.00g、DBU 0.85gおよびメタノール15mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.35gを加え、混合物を50℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(32)1.16g(収率91%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 392.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.61(6H, m), 1.91(2H, m), 2.62(2H, m), 2.89(12H, s), 3.24(2H, m), 3.47(2H, m), 3.53(2H, m), 6.57(4H, d, J = 8.8Hz), 7.11(2H, t, 7.3Hz), 7.21(2H, d, J = 8.0Hz), 7.42 - 7.48(4H, m), 7.70(4H, d, J = 8.6Hz), 9.03(2H, s).
【実施例33】
【0145】
錯化合物(33)
錯化合物(32)0.30g、1,1’-ビス[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.09gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(33)0.28g(収率83%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 391.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 2.87(24H, s), 6.55(8H, d, J = 9.0Hz), 7.09(4H, t, J = 7.8Hz), 7.19(4H, d, J = 8.0Hz), 7.41 - 7.47(8H, m), 7.69(8H, d, J = 9.0Hz), 7.85(4H, bs), 8.09(4H, bs), 9.01(8H, m), 9.65(4H, bs).
【実施例34】
【0146】
錯化合物(34)
錯化合物(32)0.30g、1,1’-ビス(3-フルオロフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.07gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(34)0.28g(収率89%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 392.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 2.89(24H, s), 6.56(8H, d, J = 9.0Hz), 7.11(4H, t, J = 7.6Hz), 7.20(4H, d, J = 8.1Hz), 7.42 - 7.48(8H, m), 7.70(8H, d, J = 8.8Hz), 7.87(8H, bs), 9.02(8H, m), 9.69(4H, bs).
【実施例35】
【0147】
錯化合物(35)
化合物(I-16)1.00g、トリエチルアミン0.54gおよびメタノール10mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.33gを加え、混合物を50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物に水10mlを加え、析出した固体を濾取し水とメタノールの混合溶媒(体積比1:1)で洗浄後、乾燥することにより錯化合物(35)1.12g(収率92%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 384.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.14(9H, t, J = 7.1Hz), 3.02(6H, q, J = 7.1Hz), 7.12(2H, t, J = 7.3Hz), 7.22(2H, d ,J = 8.3Hz), 7.45 - 7.50(4H, m), 7.64(4H, d, J = 8.6Hz), 8.08(4H, d, J = 8.1Hz), 9.15(2H, s).
【実施例36】
【0148】
錯化合物(36)
化合物(I-16)1.00g、DBU 0.61gおよびメタノール10mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.17gを加え、混合物を50℃で1.5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物に水20mlを加え、析出した固体を濾取し水とメタノールの混合溶媒(体積比2:1)で洗浄後、乾燥することにより錯化合物(36)0.57g(収率90%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 383.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.52 - 1.60(9H, m), 1.82(3H, bs), 2.43 - 2.49(2H, m), 3.07(2H, bs), 7.13(2H, t, J = 7.6Hz), 7.23(2H, d ,J = 8.1Hz), 7.45 - 7.51(4H, m), 7.65(4H, d, J = 8.1Hz), 8.08(4H, d, J = 8.1Hz), 9.16(2H, s).
【実施例37】
【0149】
錯化合物(37)
錯化合物(35)0.30g、1,1’-ビス[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.10gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(37)0.32g(収率89%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 379.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.14(4H, t, J = 7.1Hz), 7.24(4H, d, J = 8.1Hz), 7.46 - 7.52(8H, m), 7.66(8H, d, J = 8.6Hz), 7.87(4H, bs), 8.09 - 8.11(12H, m), 9.12(4H, bs), 9.17(4H, s), 9.73(4H, bs).
【実施例38】
【0150】
錯化合物(38)
錯化合物(36)0.30g、1,1’-ビス(3-メトキシフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.07gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(38)0.29g(収率87%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 383.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 3.92(6H, s), 7.13(4H, t, J = 7.6Hz), 7.23(4H, d, J = 8.3Hz), 7.37(2H, bd, J = 8.3Hz), 7.46 - 7.53(10H, m), 7.61(2H, bs), 7.66(8H, d, J = 8.5Hz), 7.71(2H, bt, J = 8.1Hz), 8.09(8H, d, J = 8.5Hz), 9.05(4H, d, J = 6.3Hz), 9.17(4H, s), 9.69(4H, d, J = 6.3Hz).
【実施例39】
【0151】
錯化合物(39)
錯化合物(36)0.30g、1,1’-ビス(4-メトキシフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.07gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(39)0.27g(収率81%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 384.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 3.92(6H, bs), 7.13(4H, t, J = 7.6Hz), 7.23(4H, d, J = 8.3Hz), 7.32(4H, bs), 7.46 - 7.52(8H, m), 7.66(8H, d, J = 8.6Hz), 7.93(4H, bs), 8.09(8H, d, J = 8.6Hz), 9.01(4H, bs), 9.17(4H, s), 9.63(4H, bs).
【実施例40】
【0152】
実施例40: 錯化合物(40)の製造
錯化合物(35)0.30g、2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]-3,6-ジメチルベンゾチアゾリウムクロリド (セトフラビンT) 0.11gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(40)0.28g(収率79%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 406.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 2.53(3H, s), 3.11(6H, s), 4.21(3H, s), 6.96(2H, d, J = 9.0Hz), 7.13(2H, t, J = 7.8Hz), 7.23(2H, d, J = 7.6Hz), 7.46 - 7.52(4H, m), 7.65 - 7.71(5H, m), 7.80(2H, d, J = 9.0Hz), 8.09 - 8.15(6H, m), 9.17(2H, s).
【実施例41】
【0153】
錯化合物(41)
化合物(I-17)1.00g、トリエチルアミン0.81gおよびメタノール20mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.33gを加え、混合物を50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(41)0.81g(収率67%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 382.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.18(9H, t, J = 7.3Hz), 3.10(6H, q, J = 7.3Hz), 7.14(2H, t, J = 7.8Hz), 7.24(2H, d ,J = 8.1Hz), 7.46 - 7.52(4H, m), 7.57(2H, d, J = 7.8Hz), 7.76(2H, d, J = 8.3Hz), 8.15(2H, s), 8.18(2H, d, J = 7.8Hz), 9.19(2H, s).
【実施例42】
【0154】
錯化合物(42)
錯化合物(41)0.30g、1,1’-ビス[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.09gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(42)0.29g(収率86%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 379.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 7.14(4H, t, J = 7.6Hz), 7.23(4H, d, J = 8.3Hz), 7.46 - 7.52(8H, m), 7.57(4H, t, J = 7.8Hz), 7.76(4H, d, J = 8.5Hz), 7.87(4H, bs), 8.15 - 8.19(12H, m), 9.11(4H, bs), 9.19(4H, s), 9.73(4H, bs).
【実施例43】
【0155】
錯化合物(43)
化合物(I-18)1.00g、DBU 0.97gおよびメタノール10mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.40gを加え、混合物を50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物に水100mlを加え、析出した固体を濾取し水とメタノールの混合溶媒(体積比10:1)で洗浄後、乾燥することにより錯化合物(43)1.24g(収率93%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 369.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.09 - 1.27(10H, m), 1.49 - 1.61(16H, m), 1.90(2H, s), 2.19(2H, m), 2.60(2H, s), 3.23(2H, s), 3.45(2H, s), 3.52(2H, s), 7.13(2H, t, J = 7.6Hz), 7.19(2H, d, J = 7.8Hz), 7.43 - 7.47(4H, m), 8.80(2H, s).
【実施例44】
【0156】
錯化合物(44)
錯化合物(43)0.30g、1,1’-ビス(2-ヒドロキシ-5-フェニルフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.10gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物に水27mlを加え、析出した固体を濾取し水とメタノールの混合溶媒(体積比3:1)で洗浄後、乾燥することにより錯化合物(44)0.22g(収率65%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 361.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.11 - 1.28(20H, m), 1.50 - 1.58(20H, m), 2.20(4H, m), 7.14(4H, t, J = 7.6Hz), 7.20(4H, d, J = 8.0Hz), 7.26(2H, bd, J = 6.1Hz), 7.37(2H, t, J = 7.8Hz), 7.44 - 7.51(12H, m), 7.72(4H, d, J = 7.8Hz), 7.87(2H, bd, J = 7.8Hz), 8.09(2H, s), 8.81(4H, s), 9.00(4H, d, J = 4.4Hz), 9.65(4H, d, J = 4.2Hz).
【実施例45】
【0157】
錯化合物(45)
錯化合物(43)0.30g、1,1’-ビス[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.10gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物に水80mlを加え、析出した固体を濾取し水とメタノールの混合溶媒(体積比10:1)で洗浄後、乾燥することにより錯化合物(45)0.25g(収率75%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 366.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.11 - 1.28(20H, m), 1.50 - 1.55(20H, m), 2.20(4H, m), 7.14(4H, t, J = 7.6Hz), 7.20(4H, d, J = 8.0Hz), 7.44 - 7.48(8H, m), 7.81(4H, bs), 8.10(4H, bs), 8.81(4H, s), 9.10(4H, bs), 9.72(4H, bs).
【実施例46】
【0158】
錯化合物(46)
錯化合物(43)0.20g、1,1’-ビス(3-メトキシフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.05gおよびメタノール6mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(46)0.17g(収率81%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 368.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.11 - 1.31(20H, m), 1.53 - 1.54(20H, m), 2.17 - 2.23(4H, m), 3.92(6H, s), 7.12 - 7.16(4H, m), 7.20(4H, d, J = 7.8Hz), 7.37(2H, bd, J = 7.8Hz), 7.44 - 7.48(8H, m), 7.52(2H, bd, J = 8.3Hz), 7.61(2H, bs), 7.71(2H, bt, J = 7.6Hz), 8.81(4H, s), 9.05(4H, d, J = 5.6Hz), 9.69(4H, d, J = 5.1Hz).
【実施例47】
【0159】
錯化合物(47)
錯化合物(43)0.20g、1,1’-ビス(4-メトキシフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.05gおよびメタノール6mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物に水18mlを加え、析出した固体を濾取し水とメタノールの混合溶媒(体積比2:1)で洗浄後、乾燥することにより錯化合物(47)0.17g(収率81%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 371.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.11 - 1.28(20H, m), 1.50 - 1.55(20H, m), 2.20 - 2.23(4H, m), 3.91(6H, s), 7.12 - 7.16(4H, m), 7.20(4H, d, J = 7.8Hz), 7.32(4H, bs), 7.44 - 7.48(8H, m), 7.92(4H, bs), 8.81(4H, s), 9.02(4H, bs), 9.63(4H, bs).
【実施例48】
【0160】
錯化合物(48)
錯化合物(43)0.30g、2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]-3,6-ジメチルベンゾチアゾリウムクロリド (セトフラビンT) 0.11gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物に水27mlを加え、析出した固体を濾取し水とメタノールの混合溶媒(体積比3:1)で洗浄後、乾燥することにより錯化合物(48)0.22g(収率63%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 419.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.11 - 1.28(10H, m), 1.50 - 1.55(10H, m), 2.23(2H, m), 2.51(3H, s), 3.12(6H, s), 4.22(3H, s), 6.97(2H, d, J = 9.0Hz), 7.15(2H, t, J = 7.6Hz), 7.21(2H, d, J = 8.0Hz), 7.44 - 7.49(4H, m), 7.70(1H, d, J = 9.0Hz), 7.81(2H, d, J = 9.0Hz), 8.12 - 8.16(2H, m), 8.82(2H, s).
【実施例49】
【0161】
錯化合物(49)
化合物(I-19)1.00g、DBU 0.91gおよびメタノール10mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.37gを加え、混合物を50℃で3時間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、反応混合物に水200mlを加え、析出した固体を濾取し乾燥することにより錯化合物(49)1.06g(収率80%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 369.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.52 - 1.61(6H, m), 1.89(2H, m), 2.46 - 2.49(4H, m), 2.60 - 2.67(2H, m), 2.69(4H, t, J = 7.3Hz), 3.23(2H, m), 3.42(2H, m), 3.51(2H, m), 7.00(10H, s), 7.16(2H, t, J = 7.6Hz), 7.22(2H, d, J = 7.8Hz), 7.46 - 7.50(4H, m), 8.83(2H, s).
【実施例50】
【0162】
錯化合物(50)
錯化合物(49)0.30g、1,1’-ビス(4-メトキシフェニル)-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.08gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物に水18mlを加え、析出した固体を濾取し水とメタノールの混合溶媒(体積比3:1)で洗浄後、乾燥することにより錯化合物(50)0.26g(収率85%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 370.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 2.45 - 2.49(8H, m), 2.70(8H, t, J = 7.1Hz), 3.92(6H, bs), 7.01(20H, s), 7.17(4H, t, J = 7.1Hz), 7.22(4H, d, J = 7.8Hz), 7.33(4H, bs), 7.47 - 7.51(8H, m), 7.93(4H, bs), 8.84(4H, s), 9.01(4H, bs), 9.62(4H, bs).
【実施例51】
【0163】
錯化合物(51)
化合物(I-20)1.00g、DBU 0.94gおよびメタノール10mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.38gを加え、混合物を50℃で3時間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、反応混合物に水100mlを加え、析出した固体を濾取し乾燥することにより錯化合物(51)1.09g(収率82%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 370.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.60 - 1.65(6H, m), 1.89(2H, m), 2.60(2H, m), 3.23(2H, m), 3.46 - 3.50(6H, m), 3.63(2H, d, J = 15.4Hz), 6.77(4H, t, J = 7.4Hz), 6.91(6H, d, J = 9.0Hz), 7.20(2H, t, J = 7.8Hz), 7.26(2H, d, J = 8.1Hz), 7.51 - 7.57(4H, m), 8.83(2H, s).
【実施例52】
【0164】
錯化合物(52)
錯化合物(51)0.30g、1,1’-ビス[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-4,4’-ビピリジニウムジクロリド0.10gおよびメタノール9mlを混合し、50℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、反応混合物に水12mlを加え、析出した固体を濾取し水とメタノールの混合溶媒(体積比2:1)で洗浄後、乾燥することにより錯化合物(52)0.29g(収率86%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 368.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 3.48(4H, d, J = 15.1Hz), 3.63(4H, d, J = 15.1Hz), 6.77(8H, t, J = 7.6Hz), 6.91(12H, d, J = 7.8Hz), 7.20(4H, t, J = 7.3Hz), 7.25(4H, d, J = 8.3Hz), 7.51 - 7.57(8H, m), 7.87(4H, s), 8.12(4H, s), 8.82(4H, s), 9.09(4H, s), 9.71(4H, s).
【実施例53】
【0165】
錯化合物(53)
化合物(I-21)0.50g、DBU 0.49gおよびメタノール5mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.20gを加え、混合物を50℃で1.5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(53)0.56g(収率83%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 388.0nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.60 - 1.67(6H, m), 1.89 - 1.92(2H, m), 2.60 - 2.63(2H, m), 3.22 - 3.25(2H, m), 3.45 - 3.48(2H, m), 3.53 - 3.55(2H, m), 6.96 - 6.98(2H, m), 7.14(2H, t, J = 7.8Hz), 7.23(2H, d, J = 7.6Hz), 7.45 - 7.55(8H, m), 9.02(2H, s).
【実施例54】
【0166】
錯化合物(54)
化合物(I-22)0.50g、DBU 0.49gおよびメタノール5mlの混合物に酢酸コバルト(II)4水和物0.20gを加え、混合物を50℃で1時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した固体を濾取しメタノールで洗浄後、乾燥することにより錯化合物(53)0.51g(収率76%)を得た。
吸収極大波長(TFP): 383.5nm
1H-NMR(400 MHz)δ(DMSO-d6)ppm : 1.61 - 1.67(6H, m), 1.89 - 1.95(2H, m), 2.62 - 2.64(2H, m), 3.23 - 3.26(2H, m), 3.46 - 3.49(2H, m), 3.54 - 3.56(2H, m), 7.14(2H, t, J = 7.3Hz), 7.25(2H, d, J = 8.1Hz), 7.33 - 7.36(2H, m), 7.47 - 7.52(4H, m), 8.15(2H, d, J = 8.1Hz), 8.60(2H, bs), 9.11 - 9.17(4H, m).
【0167】
(溶解性試験)
10mgの錯化合物(1)〜(54)のそれぞれにTFP990mgを加え、室温で3分間超音波振動を加えた。10mgの錯化合物(1)〜(54)がTFP990mgに完全に溶解していることを目視により確認した。
【0168】
(塗膜性試験)
20mgの錯化合物(1)〜(54)のそれぞれをTFP980mgに溶解し、テフロン(登録商標)製フィルター(Whatman社製、孔径0.20μm)で濾過し、錯化合物(1)〜(54)の溶液をそれぞれ得た。基板としてポリカーボネート板(太佑機材社製;直径2インチ、厚さ1mm)を用いて、ミカサ社製1H-SXを用いてスピンコート法(3000rpm、30秒間、溶液の使用量;10〜15滴)にて該溶液を基板上に塗布し、70℃で30分間オーブン中にて乾燥して、錯化合物の薄膜をそれぞれ得た。得られた錯化合物(1)〜(54)の薄膜にはむらがなく、均質に製膜されていることを目視により確認した。
【0169】
(耐光性試験)
基板としてポリカーボネート板の代わりにガラス板(太佑機材社製;2cm×2cm、厚さ2mm)を用いる以外は塗膜性試験と同様にして、錯化合物(1)〜(54)の薄膜をそれぞれ得た。紫外線蛍光燈(スガ試験機社製SUGA-FS40:ピーク波長313nm、照度分布282〜373nm)を備えたスガ試験機社製デューパネル光コントロールウェザーメーターDPWL-5R型を用いて、該薄膜に15W/m2の光量にて45℃で10時間光照射した。耐光性試験の前後の薄膜において、分光光度計を用いて、紫外可視吸収スペクトルを測定した。耐光性試験前の吸収極大波長における吸光度(I0)に対する耐光性試験後の吸収極大波長における吸光度(I)の比(I/I0)を表4〜6に示す。ここで、耐光性試験後の吸収極大波長は、耐光性試験後の吸収スペクトルにおける吸収極大波長を表す。I/I0が大きいものほど、優れた耐光性を有することを表す。
【0170】
錯化合物(1)〜(16)および(19)〜(54)の薄膜は、それぞれ優れた耐光性を有することがわかる。
【0171】
【表4】

【0172】
【表5】

【0173】
【表6】

【0174】
(溶液中での保存安定性試験)
13mgの錯化合物(1)〜(54)のそれぞれをTFP 1mlに溶解し、テフロン(登録商標)製フィルター(Whatman社製、孔径0.20μm)で濾過して、錯化合物(1)〜(54)の溶液をそれぞれ得た。得られた溶液のそれぞれを蓋の付いた褐色瓶に移して、25℃で3日間保存した。保存安定性試験前後において、分光光度計を用いて、錯化合物(1)〜(54)の溶液を1250倍に希釈したものの紫外可視吸収スペクトルを測定した。保存安定性試験前の吸収極大波長における吸光度(I’0)に対する保存安定性試験後の吸収極大波長における吸光度(I’)の比(I’/I’0)、および保存安定性試験前後の吸収極大波長の変化 (Δλmax)を表7〜9に示す。ここで、保存安定性試験後の吸収極大波長は、保存安定性試験後の吸収スペクトルにおける吸収極大波長を表す。I’/I’0が1に近いほど、また、Δλmaxが小さいほど、溶液中での優れた保存安定性を有することを表す。
【0175】
錯化合物(1)〜(54)は、それぞれ溶液中での優れた保存安定性を有することがわかる。
【0176】
【表7】

【0177】
【表8】

【0178】
【表9】

【0179】
(青紫色レーザー光を用いた記録試験)
塗膜性試験と同様にして、錯化合物(2)、(9)、(15)、(16)、(18)、(21)、(22)、(24)、(33)、(34)、(36)および(37)の薄膜をそれぞれ得た。波長405nm、開口数NA0.85のピックアップヘッドをもつナノ加工装置(パルステック工業社製NEO-1000)を用いて、記録試験を行った。記録マークの間隔として、半径方向のドット間隔(トラックピッチ)を0.64μmに、回転方向のドット間隔を0.50μmに設定した。該ナノ加工装置に該薄膜を設置した後、線速度9.84m/秒にて出力4mWのレーザー光を前記薄膜に照射した。
【0180】
レーザー光を照射した後の該薄膜の表面を走査型顕微鏡(SEM)で観察したところ、該薄膜の表面に該薄膜の熱的変形による記録マークが形成されていることを確認した。
錯化合物(2)、(9)、(15)、(16)、(18)、(21)、(22)、(24)、(33)、(34)、(36)および(37)の薄膜は、それぞれ青紫色レーザー光に対する高い光応答性を有することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0181】
本発明により、光記録媒体に用いられる、優れた耐光性、溶液中での優れた保存安定性、記録用の青紫色レーザー光に対する高い光応答性等を有する錯化合物等を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、R1およびR2は、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を表し、R1とR2が隣接するC=Cと一緒になって置換基を有していてもよい炭素環を形成してもよく、R3は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を表し、R4は式(II)
【化2】

(式中、R5は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基または置換基を有していてもよい複素環基を表す)または式(III)
【化3】

(式中、環Aは置換基を有していてもよい)を表す]で表される化合物と、
金属と、
アミンに1つ以上のプロトンが付加することにより生じるイオン、アンモニウムイオンおよび第4級アンモニウムイオンからなる群から選ばれる1種と、からなる錯化合物。
【請求項2】
RとRが隣接するC=Cと一緒になって置換基を有していてもよいベンゼン環を形成する請求項1記載の錯化合物。
【請求項3】
R3が水素原子である請求項1または2記載の錯化合物。
【請求項4】
金属がコバルト、ロジウム、イリジウム、アルミニウム、ガリウムまたは鉄である請求項1〜3のいずれかに記載の錯化合物。
【請求項5】
金属がコバルト、ロジウム、イリジウム、ガリウムまたは鉄である請求項1〜3のいずれかに記載の錯化合物。
【請求項6】
金属がコバルトである請求項1〜3のいずれかに記載の錯化合物。
【請求項7】
アミンに1つ以上のプロトンが付加することにより生じるイオン、アンモニウムイオンおよび第4級アンモニウムイオンからなる群から選ばれる1種が、アミンに1つ以上のプロトンが付加することにより生じるイオンである請求項1〜6のいずれかに記載の錯化合物。
【請求項8】
アミンが置換基を有していてもよい脂肪族第3アミンである請求項7記載の錯化合物。
【請求項9】
アミンに1つ以上のプロトンが付加することにより生じるイオン、アンモニウムイオンおよび第4級アンモニウムイオンからなる群から選ばれる1種が第4級アンモニウムイオンである請求項1〜6のいずれかに記載の錯化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の錯化合物を含有する光記録媒体。

【公開番号】特開2011−126815(P2011−126815A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286553(P2009−286553)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000162607)協和発酵ケミカル株式会社 (60)
【Fターム(参考)】