説明

鍵盤装置

【課題】組立時における部品点数を削減し、組立作業の簡素化および装置全体の低価格を図ることができる鍵盤装置を提供する。
【解決手段】鍵盤シャーシ1と、この鍵盤シャーシ1上に上下方向に回転可能に設けられた鍵2と、鍵盤シャーシ1上に設けられたスイッチ基板15と、このスイッチ基板15上に設けられ、鍵2が押鍵されて鍵2のスイッチ押圧部8によって押圧された際に、ドーム状の膨出部が弾性変形してオン動作するスイッチ部16と、このスイッチ部16に設けられ、鍵2が押鍵された際に鍵2のスイッチ押圧部8が上方から弾接して鍵2の下限位置を規制する下限ストッパ部20、21とを備えている。従って、下限ストッパ部20、21とスイッチ部16とを一体化することができ、これにより鍵盤シャーシ1にスイッチ部16を取り付ける際に、下限ストッパ部20、21をスイッチ部16と同時にスイッチ基板15に組み付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子ピアノや電子オルガンなどの鍵盤楽器に用いられる鍵盤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子ピアノなど鍵盤楽器においては、特許文献1に記載されているように、鍵盤シャーシに鍵を上下方向に回転可能に設け、この鍵を押鍵操作した際に、鍵のスイッチ押圧部が鍵盤シャーシに設けられたスイッチ基板上のスイッチ部を押圧してオン動作させ、この後、鍵のストッパ片の上片部が鍵盤シャーシに配置された下限ストッパ部に当接して下限位置が規制され、この鍵が初期位置に戻る際に、鍵のストッパ片の下片部が鍵盤シャーシに配置された上限ストッパ部に当接して上限位置が規制されるように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−13966号公報
【0004】
この場合、下限ストッパ部は、鍵盤シャーシ上に設けられたスイッチ基板の端部における上面に設けられて鍵盤シャーシに配置されており、上限ストッパ部は、スイッチ基板の端部における下面に下限ストッパ部と対応して設けられて鍵盤シャーシに配置されている。また、スイッチ部は、ゴムシートにドーム状の膨出部を形成したものであり、スイッチ基板の上面に設けられ、膨出部の内部に可動接点が設けられ、この可動接点がスイッチ基板の固定接点に接離可能に接触することにより、オン動作するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の鍵盤楽器では、上下の各ストッパ部のうち、例えば下限ストッパ部とスイッチ部とが別々に形成されているので、部品点数が多くなり、部品管理が煩雑になるばかりか、下限ストッパ部とスイッチ部とをそれぞれスイッチ基板の異なる位置に個別に配置しなければならないため、組立作業が煩雑で面倒であり、生産性が悪く、製作コストが高くなるなどの問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、組立時における部品点数を削減し、組立作業の簡素化および装置全体の低価格を図ることができる鍵盤装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に上下方向に回転可能に設けられ、且つスイッチ押圧部を有する鍵と、前記鍵盤シャーシ上に設けられたスイッチ基板と、このスイッチ基板上に設けられ、前記鍵が押鍵されて前記スイッチ押圧部によって押圧された際に、ドーム状の膨出部が弾性変形してオン動作するスイッチ部と、このスイッチ部に設けられ、前記鍵が押鍵された際に、前記鍵の一部が上方から弾接して前記鍵の下限位置を規制する下限ストッパ部とを備えていることを特徴とする鍵盤装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記下限ストッパ部が、前記鍵の前後方向における前記スイッチ部の前記膨出部の前後部に位置する箇所に設けられており、前記鍵の一部は、前記鍵の前後方向における前記スイッチ押圧部の前後部であることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤装置である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記下限ストッパ部が、前記鍵の配列方向における前記スイッチ部の前記膨出部の両側部に位置する箇所に設けられており、前記鍵の一部は、前記鍵の配列方向に位置する前記鍵の側壁部であることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤装置である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記スイッチ部に、前記スイッチ基板の上面から下面に延出され、押鍵された前記鍵が初期位置に戻る際に、前記鍵に設けられたストッパ片が前記スイッチ基板の下面に位置する部分に下側から弾接して、前記鍵の上限位置を規制する上限ストッパ部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の鍵盤装置である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に上下方向に回転可能に設けられ、且つスイッチ押圧部とストッパ片とを有する鍵と、前記鍵盤シャーシ上に設けられたスイッチ基板と、このスイッチ基板上に設けられ、前記鍵が押鍵されて前記スイッチ押圧部によって押圧された際に、ドーム状の膨出部が弾性変形してオン動作するスイッチ部と、このスイッチ部に設けられ、前記スイッチ基板の上面から下面に延出され、押鍵された前記鍵が初期位置に戻る際に、前記ストッパ片が前記スイッチ基板の下面に位置する部分に下側から弾接して、前記鍵の上限位置を規制する上限ストッパ部とを備えていることを特徴とする鍵盤装置である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記上限ストッパ部が、前記スイッチ部に一体に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の鍵盤装置である。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記上限ストッパ部が、前記スイッチ部の端部から前記スイッチ基板の上面に沿って延び、この延びた端部が前記スイッチ基板の端部に位置する側面を経て前記スイッチ基板の下面に回り込んで、前記スイッチ基板の端部を上下に挟む形状に形成されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の鍵盤装置である。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、鍵の下限位置を規制する下限ストッパ部、または鍵の上限位置を規制する上限ストッパ部とスイッチ部とを一体化することができ、これによりスイッチ部をスイッチ基板に取り付ける際に、下限ストッパ部または上限ストッパ部をスイッチ部と同時にスイッチ基板に組み付けることができる。このため、下限ストッパ部または上限ストッパ部を備えていても、組立時における部品点数を削減することができ、これにより組立作業の簡素化および装置全体の低価格を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態1において、鍵盤部の一部を破断して示した要部の平面図である。
【図2】図1に示された鍵盤楽器の鍵盤部のA−A矢視における拡大断面図である。
【図3】図2に示された鍵盤楽器のスイッチ部を示した拡大断面図である。
【図4】図2に示された鍵盤楽器において鍵を押鍵操作した状態を示した拡大断面図である。
【図5】この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態2において、鍵盤部の一部を破断して示した要部の平面図である。
【図6】図5に示された鍵盤楽器の鍵盤部のB−B矢視における拡大断面図である。
【図7】図6に示された鍵盤部のスイッチ部を示し、(a)はその拡大側面図、(b)はその拡大平面図である。
【図8】図5に示された鍵盤楽器の鍵盤部のC−C矢視における拡大断面図である。
【図9】この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態2において、鍵盤部の一部を破断して示した要部の平面図である。
【図10】図9に示された鍵盤楽器の鍵盤部のD−D矢視における拡大断面図である。
【図11】図10に示された鍵盤楽器のスイッチ部を示した拡大断面図である。
【図12】図10に示された鍵盤楽器において鍵を押鍵操作した状態を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態1)
以下、図1〜図4を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態1について説明する。
この鍵盤楽器は、図1および図2に示すように、楽器ケースの下部ケースを兼ねる鍵盤シャーシ1を備えている。この鍵盤シャーシ1の上部には、複数の鍵2が音階順に並列に配列された状態で、上下方向に回転可能に取り付けられている。
【0017】
この複数の鍵2は、図1および図2に示すように、複数の白鍵2aと複数の黒鍵2bとからなっている。この場合、白鍵2aは黒鍵2bよりも前後方向に長く形成されており、黒鍵2bは白鍵2aの高さよりも高く形成されている。これ以外は、白鍵2aおよび黒鍵2bは同じ構成になっている。
【0018】
この白鍵2aおよび黒鍵2bの各鍵2は、図1および図2に示すように、その後端部(図2では左端部)に回転支点である肉厚の薄い屈曲部3がそれぞれ設けられ、この各屈曲部3が鍵2の配列方向に連続する連結部4にそれぞれ連結され、この連結部4が鍵盤シャーシ1の後端部(図2では左端部)に設けられた鍵搭載部5上にビス6によって取り付けられた構成になっている。
【0019】
この場合、連結部4は、複数の白鍵2aを連結する白鍵用の連結部4と、複数の黒鍵2bを連結する黒鍵用の連結部4とを有し、これらが上下に重ね合わされた状態で、鍵搭載部5上にビス6によって取り付けられている。これにより、白鍵2aおよび黒鍵2bの各鍵2は、図2および図4に示すように、押鍵操作された際に、回転支点である屈曲部3が上下方向に弾性変形することにより、この屈曲部3を中心に上下方向に回転するように構成されている。
【0020】
また、この鍵2の前後方向(図2では左右方向)における中間部の前側、つまり黒鍵2bの前端部(図2では右端部)に位置する箇所には、図2に示すように、ストッパ片7が下側に突出して設けられている。このストッパ片7の下部には、フック部7aが後方(図2では左側)に向けて突出して設けられている。
【0021】
さらに、この鍵2の中間部おける後側、つまり黒鍵2bの前後方向におけるほぼ中間部には、図2に示すように、スイッチ押圧部8が下側に突出して設けられている。このスイッチ押圧部8は、その横断面が十字形状をなすリブ部を鍵2の前後方向に沿って複数個(この実施形態では3個)連続させた形状に形成されている。これにより、スイッチ押圧部8は、その中間部に位置するリブ部がスイッチ当接部8aに形成され、このスイッチ当接部8aの前後に位置する各リブ部がストッパ当接部8bに形成された構成になっている。
【0022】
ところで、鍵盤シャーシ1の前端部(図2では右端部)には、図2に示すように、複数の鍵2の前端面を覆う鍵カバー部9が、鍵搭載部5よりも低い高さで上方に突出して設けられている。この鍵カバー部9の後側(図2では左側)に位置する鍵盤シャーシ1上には、鍵ガイド部10が鍵カバー部9とほぼ同じ高さで設けられている。また、この鍵盤シャーシ1の前後方向(図2では左右方向)における中間部の前側、つまり鍵2のストッパ片7に対応する箇所には、立上り部11が鍵盤シャーシ1の底部から上方に起立して設けられている。
【0023】
この立上り部11は、図2に示すように、その高さが鍵カバー部9とほぼ同じ高さに形成されている。この立上り部11には、鍵2のストッパ片7のフック部7aが上下方向に移動可能に挿入する開口部11aが設けられている。また、この立上り部11の上部には、上限ストッパ搭載部12が設けられている。この上限ストッパ搭載部12の下面には、鍵2のストッパ片7のフック部7aが下側から当接する上限ストッパ部13が設けられている。
【0024】
さらに、この上限ストッパ搭載部12の後部側(図2では左側)には、図2に示すように、基板搭載部14が上限ストッパ搭載部12とほぼ同じ高さで設けられている。この基板搭載部14上には、図1および図2に示すように、スイッチ基板15が鍵2の配列方向に沿って連続した状態で設けられている。このスイッチ基板15上には、スイッチ部16が鍵2のスイッチ押圧部8に対応して設けられている。
【0025】
このスイッチ部16は、図1〜図3に示すように、ゴムシート17にドーム状の膨出部18が各鍵2のスイッチ押圧部8にそれぞれ対応して形成され、この状態でスイッチ基板15の上面に鍵2の配列方向に連続して設けられた構成になっている。この場合、ゴムシート17は、鍵2の配列方向に沿って連続する帯状に形成されており、このゴムシート17の下面には、図2および図3に示すように、スイッチ基板15の取付孔15aに差し込まれて、ゴムシート17をスイッチ基板15に取り付けるための差込ピン17aが下側に突出して設けられている。
【0026】
また、ドーム状の膨出部18は、図4に示すように、鍵2が押鍵されてスイッチ押圧部8によって押圧された際に、弾性変形するように構成されている。このドーム状の膨出部18の内部には、図3に示すように、可動接点18aが設けられている。この可動接点18aは、図3および図4に示すように、膨出部18がスイッチ押圧部8によって押圧されて弾性変形した際に、スイッチ基板15の上面に設けられた一対の固定接点18bに接離可能に接触するように構成されている。
【0027】
ところで、このスイッチ部16には、図1〜図4に示すように、鍵2の下限位置を規制する一対の下限ストッパ部20、21が設けられている。この一対の下限ストッパ部20、21は、スイッチ部16のゴムシート17における鍵2の前後方向(図2では左右方向)に位置する前後部にそれぞれ設けられている。
【0028】
すなわち、この一対の下限ストッパ部20、21のうち、前側の下限ストッパ部20は、図3に示すように、ドーム状の膨出部18の前側(図3では右側)に位置する箇所のゴムシート17上に配置されている。この前側の下限ストッパ部20は、鍵2が押鍵操作されて鍵2のスイッチ押圧部8のスイッチ当接部8aがドーム状の膨出部18を押圧してオン動作した後に、スイッチ押圧部8の前部(図3では右側)に位置するストッパ当接部8bが上方から弾接するように構成されている。
【0029】
また、後側の下限ストッパ部21は、ドーム状の膨出部18の後側(図3では左側)に位置する箇所のゴムシート17上に配置されている。この後側の下限ストッパ部21も、前側の下限ストッパ部20と同様、鍵2が押鍵操作されて鍵2のスイッチ押圧部8がドーム状の膨出部18を押圧してオン動作した後に、スイッチ押圧部8の後部(図3では左側)に位置するストッパ当接部8bが上方から弾接するように構成されている。
【0030】
この場合、一対の下限ストッパ部20、21は、図4に示すように、鍵2が押鍵操作されて屈曲部3を中心に下側に回転した際に、鍵2が前下がり(図2では右下がり)に傾くため、前後の各下限ストッパ部20、21の各高さが異なる高さで形成されている。すなわち、鍵2の前側に位置する下限ストッパ部20は、図3に示すように、その高さが鍵2の後側に位置する下限ストッパ部21の高さよりも低く形成されている。
【0031】
これにより、一対の下限ストッパ部20、21は、図4に示すように、鍵2が押鍵操作されて鍵2のスイッチ押圧部8の中間部に位置するスイッチ当接部8aがドーム状の膨出部18を押圧してオン動作した後に、スイッチ押圧部8のスイッチ当接部8aの前後に位置する各ストッパ当接部8bがほぼ同時に弾接するように構成されている。
【0032】
次に、このような鍵盤楽器を組み立てる場合について説明する。
この場合には、予め、スイッチ部16のゴムシート17の前後部、つまりゴムシート17に膨出形成されたドーム状の膨出部18の前後部に位置する箇所のゴムシート17上に一対の下限ストッパ部20、21を貼り付ける。これにより、一対の下限ストッパ部20、21とスイッチ部16のゴムシート17とを一体化する。
【0033】
この後、スイッチ部16をスイッチ基板15に取り付ける。このときには、図2および図3に示すように、ゴムシート17の下面に設けられた差込ピン17aを、スイッチ基板15の各取付孔15aに上方から差し込む。これにより、スイッチ部16のゴムシート17が下限ストッパ部20、21と共にスイッチ基板15上に取り付けられ、各ドーム状の膨出部18内の可動接点がスイッチ基板15上の固定接点に接離可能な状態で対応する。
【0034】
次に、このスイッチ基板15を鍵盤シャーシ1の基板搭載部14上に取り付けると共に、上限ストッパ部13を鍵盤シャーシ1の上限ストッパ搭載部12の下面に取り付ける。この後、鍵盤シャーシ1上に複数の鍵2を取り付ける。このときには、まず、各鍵2のストッパ片7の下部に設けられたフック部7aを鍵盤シャーシ1の立上り部11に設けられた各開口部11a内に前側(図2では右側)から後方に向けて挿入させる。
【0035】
この状態で、複数の鍵2が各屈曲部3を介して連結された連結部4を鍵盤シャーシ1の後端部(図2では左端部)に設けられた鍵搭載部5上にビス6によって取り付ける。これにより、複数の鍵2は、図2および図4に示すように、回転支点である屈曲部3を中心に上下方向に回転するように鍵盤シャーシ1上に取り付けられる。
【0036】
この状態では、各鍵2にそれぞれ設けられた各スイッチ押圧部8がスイッチ部16のゴムシート17に設けられた各ドーム状の膨出部18の上部にそれぞれ対応して配置される。すなわち、スイッチ押圧部8は、図2に示すように、その中間部のスイッチ当接部8aが膨出部18上に対応して配置されると共に、このスイッチ当接部8aの前後に位置する各ストッパ当接部8bが、ゴムシート17上に設けられた一対の下限ストッパ部20、21に対応した状態で上方に配置される。
【0037】
これにより、図2に示すように、鍵2のスイッチ押圧部8がゴムシート17に設けられたドーム状の膨出部18の弾性力によって押し上げられ、これに伴って鍵2のストッパ片7のフック部7aが鍵盤シャーシ1の上限ストッパ部13に下側から弾接し、鍵2が初期位置である上限位置に位置規制されている。これにより、鍵盤楽器が組み立てられる。
【0038】
次に、このように組み立てられた鍵盤楽器を使用する場合について説明する。
まず、鍵2を押鍵操作すると、鍵2が屈曲部3を中心に下側に回転する。このときには、鍵盤シャーシ1に設けられた鍵ガイド部10によって鍵2の前部がガイドされながら下側に回転する。これにより、鍵2が横振れを起すことなく、円滑に且つ良好に下側に回転する。
【0039】
また、このときには、鍵2のスイッチ押圧部8の中間部に位置するスイッチ当接部8aがスイッチ部16のゴムシート17に設けられたドーム状の膨出部18を押し下げて、このドーム状の膨出部18を押し潰すように弾性変形させる。すると、ドーム状の膨出部18は、その内部に設けられた可動接点18aがスイッチ基板15上に設けられた一対の固定接点18bに接触する。これにより、スイッチ部16がスイッチ動作する。
【0040】
この状態で、鍵2が更に押し下げられると、鍵2のスイッチ押圧部8の前後部に位置する各ストッパ当接部8bが、スイッチ部16に設けられた一対の下限ストッパ部20、21にほぼ同時に弾接する。すなわち、鍵2は、図4に示すように、屈曲部3を中心に下側に回転すると、前下がり(図2では右下がり)に傾き、これに伴ってスイッチ押圧部8の下面も前側下りに傾く。
【0041】
しかし、このときには、一対の下限ストッパ部20、21のうち、前側の下限ストッパ部20の高さが後側の下限ストッパ部21の高さよりも低く形成されているので、スイッチ押圧部8の前後部に位置する各ストッパ当接部8bが前下がりに傾いても、一対の下限ストッパ部20、21にほぼ同時に弾接して、鍵2を下限位置に規制する。
【0042】
このときには、押鍵された鍵2の衝撃が下限ストッパ部20、21によって吸収されるので、押鍵された鍵2による衝撃音の発生を防ぐことができると共に、鍵2のタッチ感を良好に維持して、鍵2の下限位置を確実に且つ良好に規制することができる。
【0043】
この後、鍵2が初期位置に戻る際には、スイッチ部16の弾性変形した膨出部18が元の形状に弾性復帰するので、その弾性復帰力によってスイッチ押圧部8が押し上げられる。これにより、鍵2は屈曲部3を中心に上側に回転し、これに伴って鍵2のストッパ片7のフック部7aが鍵盤シャーシ1の上限ストッパ部13に下側から弾接し、鍵2が初期位置である上限位置に位置規制されている。
【0044】
このように、この鍵盤楽器によれば、鍵盤シャーシ1と、この鍵盤シャーシ1上に上下方向に回転可能に設けられてスイッチ押圧部8を有する鍵2と、鍵盤シャーシ1上に設けられたスイッチ基板15と、このスイッチ基板15上に設けられ、鍵2が押鍵されてスイッチ押圧部8によって押圧された際に、ドーム状の膨出部18が弾性変形してオン動作するスイッチ部16と、このスイッチ部16に設けられ、鍵2が押鍵された際に鍵2の一部であるスイッチ押圧部8が上方から弾接して鍵2の下限位置を規制する下限ストッパ部20、21とを備えているので、組立時における部品点数を削減し、組立作業の簡素化および装置全体の低価格を図ることができる。
【0045】
すなわち、この鍵盤楽器では、予め、鍵2の下限位置を規制する下限ストッパ部20、21がスイッチ部16に設けられていることにより、下限ストッパ部20、21とスイッチ部16とを一体化することができ、これにより組立時における部品点数を削減することができると共に、部品管理を簡素化することができる。このため、スイッチ基板15上にスイッチ部16を取り付ける際に、鍵2の下限位置を規制する下限ストッパ部20、21をスイッチ部16と同時にスイッチ基板15に組み付けることができるので、組立作業性が良く、組立作業の簡素化を図ることができる。
【0046】
また、このスイッチ部16を鍵盤シャーシ1に取り付ける際には、下限ストッパ部20、21とスイッチ部16とをスイッチ基板15と共に同時に鍵盤シャーシ1に組み付けることができる。これにより、下限ストッパ部20、21を備えていても、組立時における部品点数を削減することができ、これにより組立作業の簡素化を図ることができると共に、装置全体の低価格をも図ることができる。
【0047】
この場合、下限ストッパ部20、21は、鍵2の前後方向におけるスイッチ部16の前後部に位置する箇所に設けられており、この下限ストッパ部20、21に弾接する鍵2の一部は、鍵2の前後方向におけるスイッチ押圧部8の前後部に設けられたストッパ当接部8bであることにより、鍵2が押鍵された際に、鍵2のスイッチ押圧部8がスイッチ部16を押圧してオン動作させた後に、スイッチ押圧部8の各ストッパ当接部8bを下限ストッパ部20、21に弾接させることができ、これにより鍵2の下限位置を確実に且つ良好に規制することができる。
【0048】
すなわち、スイッチ押圧部8は、鍵2の前後方向における中間部にスイッチ当接部8aがスイッチ部16の膨出部18に対応して設けられ、このスイッチ当接部8aの前後部にストッパ当接部8bがそれぞれ設けられているので、鍵2が押鍵された際に、スイッチ押圧部8の中間部に位置するスイッチ当接部8aがスイッチ部16を押圧してオン動作させた後に、このスイッチ押圧部8における前後に位置する各ストッパ当接部8bを下限ストッパ部20、21に弾接させることができ、これにより鍵2の下限位置を確実に且つ良好に規制することができる。
【0049】
この場合、スイッチ部16におけるドーム状の膨出部18の前後に位置する一対の下限ストッパ部20、21のうち、鍵2の前側に位置する下限ストッパ部20は、その高さが鍵2の後側に位置する下限ストッパ部21の高さよりも低く形成されているので、鍵2が押鍵操作されて屈曲部3を中心に下側に回転した際に、鍵2が前下がり(図2では右下がり)に傾き、これに伴ってスイッチ押圧部8も前下がりに傾いても、スイッチ押圧部8のスイッチ当接部8aが膨出部18を押圧してオン動作した後に、スイッチ押圧部8の前後の各ストッパ当接部8bを一対の下限ストッパ部20、21にほぼ同時に弾接させることができ、これにより鍵2の下限位置を確実に且つ良好に規制することができる。
【0050】
このときには、一対の下限ストッパ部20、21によって押鍵された鍵2の衝撃を吸収することができるので、押鍵された鍵2による衝撃音の発生を防ぐことができると共に、鍵2のタッチ感を良好に維持して、鍵2の下限位置を規制することができる。この場合、下限ストッパ部20、21を大きく形成することにより、安定した緩衝効果を得ることができると共に、このように下限ストッパ部20、21を大きく形成しても、ドーム状の膨出部18を小さく形成することにより、ゴムシート17のサイズを既存のもの同じサイズに維持することができるので、スイッチ部16全体の小型化を図ることができ、これにより楽器全体の小型化を図ることができる。
【0051】
なお、上述した実施形態1では、一対の下限ストッパ部20、21を異なる高さで形成した場合について述べたが、これに限らず、例えばスイッチ押圧部8の下面を鍵2の前後方向に沿って前下がりに傾斜する傾斜面に形成することにより、一対の下限ストッパ部20、21を同じ高さに形成しても良い。
【0052】
また、上述した実施形態1では、一対の下限ストッパ部20、21をスイッチ部16の膨出部18の前後部に位置する箇所のゴムシート17上に貼り付けた構成である場合について述べたが、これに限らず、ゴムシート17を成形するときに、一対の下限ストッパ部20、21をゴムシート17と一体に成形しても良い。このように一体に形成すれば、より一層、生産性を高めることができる。
【0053】
(実施形態2)
次に、図5〜図8を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図4に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この鍵盤楽器は、図5に示すように、下限ストッパ部25、26の設置位置が実施形態1と異なり、これに伴って鍵2のストッパ当接部27、28が実施形態1と異なる構成になっており、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0054】
すなわち、この下限ストッパ部25、26は、図5〜図8に示すように、スイッチ部16のゴムシート17に設けられたドーム状の膨出部18における左右両側、つまり鍵2の配列方向における膨出部18の左右両側に位置する個所のゴムシート17上にそれぞれ設けられている。
【0055】
この場合、膨出部18の右側に位置する下限ストッパ部25は、図5および図7に示すように、膨出部18における鍵2の前後方向の前側に位置する箇所と、膨出部18における鍵2の前後方向の後側に位置する箇所とにそれぞれ設けられている。また、膨出部18の左側に位置する下限ストッパ部26も、膨出部18における鍵2の前後方向の前側に位置する箇所と、膨出部18における鍵2の前後方向の後側に位置する箇所とにそれぞれ設けられている。
【0056】
また、これら下限ストッパ部25、26は、図5および図8に示すように、互いに隣接するドーム状の膨出部18間にそれぞれ設けられている。すなわち、各下限ストッパ部25、26は、互いに隣接する2つの鍵2の各側壁部2cの両方に跨った状態で設けられている。これにより、各下限ストッパ部25、26は、図8に示すように、互いに隣接する2つの鍵2の下限位置を兼用して規制するように構成されている。
【0057】
この場合にも、これら下限ストッパ部25、26のうち、膨出部18における鍵2の前後方向の前側に位置する下限ストッパ部25、26は、その両者の各高さが同じ高さに形成され、膨出部18における鍵2の前後方向の後側に位置する下限ストッパ部25、26の高さよりも低く形成されている。この膨出部18における鍵2の前後方向の後側に位置する下限ストッパ部25、26も、その両者の各高さが同じ高さに形成されている。
【0058】
一方、白鍵2aおよび黒鍵2bの各鍵2のストッパ当接部27、28は、図6に示すように、鍵2の配列方向における鍵2の左右両側に位置する各側壁部2cの下部にそれぞれ設けられている。すなわち、このストッパ当接部27、28のうち、ストッパ当接部27は、図8に示すように、鍵2の配列方向において右側に位置する側壁部2cの下部に設けられ、スイッチ部16の膨出部18の右側に位置する下限ストッパ部23、24に上方から弾接するように構成されている。
【0059】
また、ストッパ当接部27、28のうち、ストッパ当接部28は、鍵2の配列方向において左側に位置する側壁部2cの下部に設けられ、スイッチ部16の膨出部18の左側に位置する下限ストッパ部25、26に上方から弾接するように構成されている。この場合にも、各ストッパ当接部27、28は、鍵2が押鍵操作されて鍵2のスイッチ押圧部8の中間部に位置するスイッチ当接部8aがドーム状の膨出部18を押圧してオン動作した後に、各下限ストッパ部25、26にほぼ同時に弾接するように構成されている。
【0060】
このような鍵盤楽器によれば、実施形態1と同様、予め、鍵2の下限位置を規制する各下限ストッパ部25、26がスイッチ部16に設けられていることにより、下限ストッパ部25、26とスイッチ部16とを一体化することができ、これにより組立時における部品点数を削減することができると共に、部品管理を簡素化することができる。このため、スイッチ基板15上にスイッチ部16を取り付ける際に、鍵2の下限位置を規制する下限ストッパ部25、26をスイッチ部16と同時にスイッチ基板15に組み付けることができるので、組立作業性が良く、組立作業の簡素化を図ることができる。
【0061】
また、このスイッチ部16を鍵盤シャーシ1に取り付ける際には、下限ストッパ部25、26とスイッチ部16とをスイッチ基板15と共に同時に鍵盤シャーシ1に組み付けることができるので、下限ストッパ部25、26を備えていても、組立時における部品点数を削減することができ、これにより組立作業の簡素化を図ることができると共に、装置全体の低価格をも図ることができる。
【0062】
この場合、下限ストッパ部25、26は、鍵2の配列方向におけるスイッチ部16の膨出部18間にそれぞれ設けられており、この下限ストッパ部25、26に弾接する鍵2の一部は、鍵2の配列方向における鍵2の左右両側に位置する各側壁部2cに設けられた各ストッパ当接部27、28であることにより、鍵2が押鍵された際に、鍵2のスイッチ押圧部8がスイッチ部16を押圧してオン動作させた後に、鍵2の各ストッパ当接部27、28が各下限ストッパ部25、26にそれぞれ弾接するので、鍵2の下限位置を確実に且つ良好に規制することができる。
【0063】
すなわち、ストッパ当接部27、28は、鍵2の配列方向における鍵2の左右両側に位置する側壁部2cの各下部に設けられており、各下限ストッパ部25、26は、鍵2の配列方向におけるスイッチ部16の膨出部18間に位置した状態で、膨出部18の両側に位置すると共に、鍵2の前後方向における膨出部18の前後部に位置して設けられているので、鍵2が押鍵された際に、スイッチ押圧部8がスイッチ部16を押圧してオン動作させた後に、鍵2の各スイッチ当接部27、28をスイッチ部16の膨出部18の近傍に位置する下限ストッパ部25、26に弾接させることができ、これにより鍵2を確実に且つ良好に下限位置に位置規制することができる。
【0064】
この場合、スイッチ部16におけるドーム状の膨出部18の近傍に位置する各下限ストッパ部25、26のうち、膨出部18の前側に位置する下限ストッパ部25、26は、その高さが膨出部18の後側に位置する下限ストッパ部25、26の高さよりも低く形成されているので、実施形態1と同様、鍵2が押鍵操作されて屈曲部3を中心に下側に回転した際に、鍵2が前下がり(図2では右下がり)に傾いても、スイッチ押圧部8のスイッチ当接部8aが膨出部18を押圧してオン動作した後に、鍵2の各ストッパ当接部27、28を各下限ストッパ部25、26にほぼ同時に弾接させることができ、これにより鍵2の下限位置を確実に且つ良好に規制することができる。
【0065】
なお、上述した実施形態2では、一対の下限ストッパ部25、26のうち、前側に位置する下限ストッパ部25、26と後側に位置する下限ストッパ部25、26とを異なる高さで形成した場合について述べたが、これに限らず、例えば鍵2の各側壁部2cの下部に設けられた各ストッパ当接部27、28の下部を鍵2の前後方向に沿って前下がりに傾斜する傾斜部に形成することにより、各下限ストッパ部25、26を同じ高さに形成しても良い。
【0066】
また、上述した実施形態2では、各下限ストッパ部25、26をスイッチ部16の膨出部18の左右両側で且つ膨出部18の前後部に位置する箇所のゴムシート17上に貼り付けた構成である場合について述べたが、これに限らず、ゴムシート17を成形するときに、各下限ストッパ部25、26をゴムシート17と一体に成形しても良い。このように一体に形成すれば、より一層、生産性を高めることができる。
【0067】
さらに、上述した実施形態2では、各下限ストッパ部25、26をスイッチ部16の各膨出部18間において、膨出部18の左右両側で且つ膨出部18の前後部に位置する箇所にそれぞれ設けた構成である場合について述べたが、これに限らず、膨出部18の前後部に位置する箇所において、鍵2の配列方向に連続させて設けた構成であっても良い。
【0068】
(実施形態3)
次に、図9〜図11を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態3について説明する。この場合にも、図1〜図4に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この鍵盤楽器は、図9および図10に示すように、上限ストッパ部30をスイッチ部16に設けた構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0069】
この上限ストッパ部30は、図9〜図11に示すように、スイッチ基板15の上面から下面に延出され、押鍵された鍵2が初期位置に戻る際に、鍵2に設けられたストッパ片7のフック部7aがスイッチ基板15の下面に位置する部分に下側から弾接して、鍵2の上限位置を規制するように構成されている。この場合、上限ストッパ部30は、スイッチ基板15に配置されたスイッチ部16のゴムシート17に、鍵2の配列方向に連続した状態で一体に形成されている。
【0070】
すなわち、この上限ストッパ部30は、図9および図10に示すように、鍵2の前側に位置するスイッチ部16のゴムシート17の前端部(図10では右端部)からスイッチ基板15の上面に沿って前側(図10では右側)に向けて延び、この延びた前端部がスイッチ基板15の前側に位置する側面(図10では右側面)を経てスイッチ基板15の下面に回り込んで、スイッチ基板15の前端部を上下に挟む形状に形成されている。
【0071】
これにより、上限ストッパ部30は、図10に示すように、スイッチ基板15の下面に回り込んだ下面部30aに鍵2のストッパ片7のフック部7aが下側から弾接することにより、鍵2の上限位置を規制するように構成されている。
【0072】
この場合にも、スイッチ部16のゴムシート17上には、図9および図10に示すように、鍵2の下限位置を規制する一対の下限ストッパ部20、21が設けられている。この一対の下限ストッパ部20、21も、実施形態1と同様、スイッチ部16のゴムシート17における鍵2の前後方向(図2では左右方向)に位置するドーム状の膨出部18の前後部に、異なる高さで設けられている。
【0073】
また、鍵2のスイッチ押圧部8も、実施形態1と同様、その中間部に位置するリブ部がスイッチ当接部8aに形成され、このスイッチ当接部8aの前後に位置する各リブ部がストッパ当接部8bに形成された構成になっている。これにより、スイッチ押圧部8は、図11に示すように、鍵2が押鍵操作されてスイッチ当接部8aがドーム状の膨出部18を押圧してオン動作した後に、スイッチ押圧部8の前後部に位置する各ストッパ当接部8bが下限ストッパ部20、21に上方から弾接して、鍵2の下限位置が規制されるように構成されている。
【0074】
次に、このような鍵盤楽器を使用する場合について説明する。
まず、鍵2が押鍵されていない初期状態では、鍵2のスイッチ押圧部8がスイッチ部16のドーム状の膨出部18の弾性復帰力によって押し上げられている。これにより、鍵2は屈曲部3を中心に上側に回転し、図10に示すように、鍵2に設けられたストッパ片7のフック部7aが、スイッチ基板15に設けられたスイッチ部16の上限ストッパ部30の下面部30aに下側から弾接している。これにより、鍵2は、初期位置である上限位置に位置規制されている。
【0075】
この状態で、鍵2を押鍵操作すると、鍵2が屈曲部3を中心に下側に回転する。このときには、図11に示すように、鍵2に設けられたストッパ片7のフック部7aが、鍵2の下側への回転に伴って、スイッチ基板15に設けられたスイッチ部16の上限ストッパ部30の下面部30aから下側に離れる。
【0076】
また、このときには、実施形態1と同様、鍵2のスイッチ押圧部8の中間部に位置するスイッチ当接部8aがスイッチ部16のゴムシート17に設けられたドーム状の膨出部18を押し下げて、このドーム状の膨出部18を押し潰すように弾性変形させる。これにより、ドーム状の膨出部18は、スイッチ動作して、その内部に設けられた可動接点18aがスイッチ基板15上に設けられた一対の固定接点18bに接触する。
【0077】
この状態で、鍵2が更に押し下げられると、実施形態1と同様、鍵2のスイッチ押圧部8の前後部に位置するストッパ当接部8bがスイッチ部16に設けられた一対の下限ストッパ部20、21にほぼ同時に弾接する。すなわち、鍵2は、実施形態1と同様、屈曲部3を中心に下側に回転し、前下がり(図12では右下がり)に傾く。
【0078】
これに伴ってスイッチ押圧部8の下面も前側下りに傾むいても、一対の下限ストッパ部20、21のうち、前側の下限ストッパ部20の高さが後側の下限ストッパ部21の高さよりも低く形成されているので、スイッチ押圧部8の前後部に位置するストッパ当接部8bが一対の下限ストッパ部20、21にほぼ同時に弾接し、鍵2の下限位置を規制する。
【0079】
この後、鍵2が初期位置に戻る際には、スイッチ部16の弾性変形した膨出部18が弾性復帰するので、その弾性復帰力によってスイッチ押圧部8が押し上げられる。これにより、図10に示すように、鍵2は屈曲部3を中心に上側に回転し、これに伴って鍵2のストッパ片7のフック部7aがスイッチ基板15に設けられたスイッチ部16の上限ストッパ部30に下側から弾接し、鍵2が初期位置である上限位置に規制されている。
【0080】
このように、この鍵盤楽器によれば、鍵盤シャーシ1と、この鍵盤シャーシ1上に上下方向に回転可能に設けられてスイッチ押圧部8とストッパ片7とを有する鍵2と、鍵盤シャーシ1上に設けられたスイッチ基板15と、このスイッチ基板15上に設けられ、鍵2が押鍵されてスイッチ押圧部8によって押圧された際に、ドーム状の膨出部18が弾性変形してオン動作するスイッチ部16と、このスイッチ部16に設けられ、スイッチ基板15の下面に延出され、押鍵された鍵2が初期位置に戻る際にストッパ片7が下側から弾接して、鍵2の上限位置を規制する上限ストッパ部30とを備えているので、組立時における部品点数を削減し、組立作業の簡素化および装置全体の低価格を図ることができる。
【0081】
すなわち、この鍵盤楽器では、予め、鍵2の上限位置を規制する上限ストッパ部30がスイッチ部16に設けられていることにより、上限ストッパ部30とスイッチ部16とを一体化することができ、これにより組立時における部品点数を削減することができると共に、部品管理を簡素化することができる。このため、スイッチ基板15上にスイッチ部16を取り付ける際に、鍵2の上限位置を規制する上限ストッパ部30をスイッチ部16と同時にスイッチ基板15に組み付けることができるので、組立作業性が良く、組立作業の簡素化を図ることができる。
【0082】
また、このスイッチ部16を鍵盤シャーシ1に取り付ける際には、上限ストッパ部30とスイッチ部16とをスイッチ基板15と共に同時に鍵盤シャーシ1に組み付けることができるので、上限ストッパ部30を備えていても、組立時における部品点数を削減することができ、これにより組立作業の簡素化を図ることができると共に、装置全体の低価格をも図ることができる。
【0083】
この場合、上限ストッパ部30は、スイッチ部16のゴムシート17に一体に形成されているので、スイッチ部16を製作するときに、同時に製作することができる。すなわち、スイッチ部16のゴムシート17にドーム状の膨出部18を成形するとき、またはゴムシート17を成形するときに、同時に上限ストッパ部30を成形することができ、これにより、より一層、生産性を高めることができる。
【0084】
また、この上限ストッパ部30は、スイッチ部16の前端部からスイッチ基板15の上面に沿って延び、この延びた前端部がスイッチ基板15の前端に位置する側面を経てスイッチ基板15の下面に回り込んで、スイッチ基板15の前端部を上下に挟む形状に形成されていることにより、スイッチ部16をスイッチ基板15上に配置する際に、上限ストッパ部30をスイッチ基板15の縁部に挟み付けるだけで、簡単に且つ容易にスイッチ基板15にスイッチ部16と共に取り付けることができる。
【0085】
また、この鍵盤楽器では、スイッチ部16に下限ストッパ部20、21が実施形態1と同様に設けられているので、鍵盤シャーシ1にスイッチ部16を取り付ける際に、スイッチ部16と同時に、鍵2の上限位置を規制する上限ストッパ部30と、鍵2の下限位置を規制する下限ストッパ部20、21とを、スイッチ基板15にスイッチ部16と共に組み付けることができる。
【0086】
このため、下限ストッパ部20、21および上限ストッパ部30を備えていても、スイッチ基板15を鍵盤シャーシ1に取り付ける際に、スイッチ部16と共に、下限ストッパ部20、21および上限ストッパ部30を一度に組み付けることができるので、組立時における部品点数を実施形態1よりも更に削減することができ、これにより、より一層、組立作業の簡素化を図ることができると共に、装置全体の更なる低価格を図ることができる。
【0087】
なお、上述した実施形態3では、上限ストッパ部30が、スイッチ部16の前端部からスイッチ基板15の上面に沿って延び、この延びた前端部がスイッチ基板15の前端に位置する側面を経てスイッチ基板15の下面に回り込んで、スイッチ基板15の前端部を上下に挟む形状に形成されている場合について述べたが、これに限らず、スイッチ基板15にスリット状の挿入孔を設け、この挿入孔を通してゴムシート17の一部をスイッチ基板15の上面から下面に露出させた構成でも良い。
【0088】
また、上述した実施形態1〜3では、下限ストッパ部20、21または25、26および上限ストッパ部30の各ストッパ面、つまり鍵2のスイッチ押圧部8や鍵2の側壁部2cまたはストッパ片7が弾接する各面が平坦面に形成されている場合について述べたが、これに限らず、細かな凹凸が形成された面であっても良い。このように形成すれば、より一層、緩衝性を高めることができる。
【0089】
さらに、上述した実施形態1〜3では、鍵2がその後端部に設けられた屈曲部3を中心に上下方向に回転する構成である場合について述べたが、必ずしも屈曲部3の屈曲によって鍵2が上下方向に回転する構成である必要はなく、鍵2の後端部を支持軸に回転可能に取り付け、この支持軸を鍵盤シャーシ1上に支持した構成であっても良い。
【符号の説明】
【0090】
1 鍵盤シャーシ
2 鍵
2a 白鍵
2b 黒鍵
2c 側壁部
3 屈曲部
4 連結部
7 ストッパ片
7a フック部
8 スイッチ押圧部
8a スイッチ当接部
8b ストッパ当接部
15 スイッチ基板
16 スイッチ部
17 ゴムシート
18 ドーム状の膨出部
20、21、25、26 下限ストッパ部
27、28 側壁部のストッパ当接部
30 上限ストッパ部
30a 上限ストッパ部の下面部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵盤シャーシと、
この鍵盤シャーシ上に上下方向に回転可能に設けられ、且つスイッチ押圧部を有する鍵と、
前記鍵盤シャーシ上に設けられたスイッチ基板と、
このスイッチ基板上に設けられ、前記鍵が押鍵されて前記スイッチ押圧部によって押圧された際に、ドーム状の膨出部が弾性変形してオン動作するスイッチ部と、
このスイッチ部に設けられ、前記鍵が押鍵された際に、前記鍵の一部が上方から弾接して前記鍵の下限位置を規制する下限ストッパ部と
を備えていることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項2】
前記下限ストッパ部は、前記鍵の前後方向における前記スイッチ部の前記膨出部の前後部に位置する箇所に設けられており、
前記鍵の一部は、前記鍵の前後方向における前記スイッチ押圧部の前後部であることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤装置。
【請求項3】
前記下限ストッパ部は、前記鍵の配列方向における前記スイッチ部の前記膨出部の両側部に位置する箇所に設けられており、
前記鍵の一部は、前記鍵の配列方向に位置する前記鍵の側壁部であることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤装置。
【請求項4】
前記スイッチ部には、前記スイッチ基板の上面から下面に延出され、押鍵された前記鍵が初期位置に戻る際に、前記鍵に設けられたストッパ片が前記スイッチ基板の下面に位置する部分に下側から弾接して、前記鍵の上限位置を規制する上限ストッパ部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の鍵盤装置。
【請求項5】
鍵盤シャーシと、
この鍵盤シャーシ上に上下方向に回転可能に設けられ、且つスイッチ押圧部とストッパ片とを有する鍵と、
前記鍵盤シャーシ上に設けられたスイッチ基板と、
このスイッチ基板上に設けられ、前記鍵が押鍵されて前記スイッチ押圧部によって押圧された際に、ドーム状の膨出部が弾性変形してオン動作するスイッチ部と、
このスイッチ部に設けられ、前記スイッチ基板の上面から下面に延出され、押鍵された前記鍵が初期位置に戻る際に、前記ストッパ片が前記スイッチ基板の下面に位置する部分に下側から弾接して、前記鍵の上限位置を規制する上限ストッパ部と
を備えていることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項6】
前記上限ストッパ部は、前記スイッチ部に一体に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の鍵盤装置。
【請求項7】
前記上限ストッパ部は、前記スイッチ部の端部から前記スイッチ基板の上面に沿って延び、この延びた端部が前記スイッチ基板の端部に位置する側面を経て前記スイッチ基板の下面に回り込んで、前記スイッチ基板の端部を上下に挟む形状に形成されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の鍵盤装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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