説明

鎮痛性5,9−メタノシクロオクタ(b)ピリジン−2−(1H)−オン誘導体、その作成方法と用途

【課題】哺乳類の疼痛、機能性疼痛症候群、器官疼痛症候群、組織疼痛症候群の治療
【解決手段】
、R、R11及びR12はそれぞれH又はハイドロカルボニル;R、R、R及びRはそれぞれH、ハロゲン又はC1−4のハイドロカルボニル;RはC1−6のハイドロカルボニル又はAr;又は=CRはシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、1−メチルピペリジン−4−イリデン、又はインデン−1−イリデン、RはそれぞれH、1−4の同一又は異なるF、Cl、Br、CF、R、OR、NR10、NO、CN、COOR、OCR、CONR10、NRC(O)R10、ヘテロ環、アリール、又は化学式IIの基;R及びR10はH又はC1−6のハイドロカルボニル;Arは芳香族環;mは0、1又は2;nは0、1、2、3又は4である、化学式Iで表される化合物、又はそれらの塩、水和物、及びそれらの作成方法。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鎮痛性5,9-メタノシクロオクタ[b]ピリジン-2-(1H)-オン誘導体、鎮痛剤の活性成分としての応用およびその作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
疼痛は、患者の癌組織の拡大による神経の圧迫または損傷によって、ヒトの組織または臓器の損傷によって、炎症(関節炎、胃炎、肝炎)などの自己免疫反応によって、または中枢神経系(脳組織)の異常によって引き起こされ、無数の患者に影響を与え、社会に大きな損失を招く。それ故、疼 痛管理は最も普及している対症療法の手法のみならず進行癌患者の看護において最新の分野になってきている。
【0003】
従来の鎮痛薬には2つの主要なタイプ、強い鎮痛効果を有するが中毒を起こしがちなモルヒネを典型例とするアヘン剤受容体リガンド、アスピリン誘導パラセタモールを典型例とする非麻薬性鎮痛薬がある。多様な作用機序を有し、ドラッグデザイン、スクリーニングおよび開発の近代的なプロセスを経て着想され成功裏に生産されたこのタイプの薬剤は鎮痛効果が弱いが、殆ど依存症にならない。これらの鎮痛剤のいくつかは、消化管への損傷など別の重大な副作用をもたらすが、広く使用されており、その市場占有率は合算で約100億米ドルとも推定される。
【0004】
最初に発見された神経伝達物質はアセチルコリンであった。しかし、鎮痛薬のターゲットとしてのアセチルコリン、アセチルコリン受容体およびアセチルコリンエステラーゼの領域は殆ど研究されてこなかった。しかしながら、ヨーロッパ特許No.EP413667Aおよび米国特許No.5,010,083に、記憶喪失および疼痛緩和の治療に用いられる化合物が開示され、記憶の改善が鎮痛とある関連性を持つことを示している。更に、ストヤン(Stoyan)はかつてアルカロイド類ニバリンおよびシントスチグミンが偏頭痛を軽減できることを報告した(Stoyan, Archives Suisses de Neurologie, Neurochirurgie et de Psychiatrie, 1968, 102, pp. 299-312)。これら2つの化合物はアセチルコリンエステラーゼの活性を抑制し得ることが後に見出された。アセチルコリンエステラーゼの低い抑制作用または血液脳関門を透過する低い能力故に、これら2つの化合物のより高い投与量、および続いて試験された他のアセチルコリンエステラーゼ抑制剤が治療効果をもたらすために必要となる。高濃度を実現するために、これらの化合物は注射により投与されなければならない。それ故一方では、血中薬物濃度が高いために多くの副作用があり、他方では注射による投与は不便である。結果として、偏頭痛治療に使用されるアセチルコリンエステラーゼ抑制剤に関する研究はお蔵入りにされた。これが、アセチルコリンエステラーゼ抑制剤が偏頭痛の治療に使用できることを提示した最初であった。
【0005】
この分野におけるブレークスルーはアセチルコリンエステラーゼの新規な抑制剤の研究開発によってもたらされた。ドネペジルなどのこれら新規な抑制剤は、高い活性、アセチルコリンエステラーゼを抑制する高度な選択性および血液脳関門を通過する高い透過性を有するため、偏頭痛治療に関する上述の第一世代アセチルコリンエステラーゼ抑制剤の欠点を克服することが出来る。米国特許No.6,608,088に開示されているように、ドネペジルは臨床試験において偏頭痛に効果を有することが認められた。
【0006】
ヒューペルジンAはアセチルコリンエステラーゼ(ACHE)選択性を抑制することができ、高活性を有し、血液脳関門および脊髄液関門を容易に通過する。更に、ヒューペルジンAは記憶再現の改善および記憶保持の強化に効果を有する。最近、我々はヒューペルジンAおよびその誘導体が強い鎮痛効果(中国特許公開200510014685.6)および偏頭痛の治療効果を有することを見出した。しかし、ヒューペルジンAには、高い毒性、低い治療指数(TI)、最大耐容量と治効量間のウィンドウの狭さといった欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ヨーロッパ特許No.EP413667A
【特許文献2】米国特許No.5,010,083
【特許文献3】米国特許No.6,608,088
【特許文献4】中国特許公開200510014685.6
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Stoyan, Archives Suisses de Neurologie, Neurochirurgie et de Psychiatrie, 1968, 102, pp. 299-312
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、一連の鎮痛性5,9-メタノシクロオクタ[b]ピリジン-2-(1H)-オン誘導体に関する。動物毒性試験および動物鎮痛性薬力学試験を通じて、我々は5,9-メタノシクロオクタ[b]ピリジン-2-(1H)-オン誘導体が高い鎮痛効果および長い薬効期間を有することを見出した。さらに重要なことには、5,9-メタノシクロオクタ[b]ピリジン-2-(1H)-オン誘導体はヒューペルジンAよりもはるかに毒性が低い。その結果、ヒューペルジンAに比べ、より安全、効果的で便利な鎮痛剤である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明の1実施態様によると、提供されるのは疼痛、機能性疼痛症候群、または臓器痛症候群の治療に有用である化学式Iの化合物、薬学的に許容される塩、またはそれらの水和物であり、RはHまたはC1−4アルキル;RおよびRは独立してH、ハロゲンまたはC1−4アルキル;RはC1−6アルキル、Ar;または=CRはシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、1−メチルピペリデン−4−イリデン、またはインデン−1−イリデンである。

【0011】
は出現別に独立してH、1−4の同一または異なるF、Cl、Br、CF、R、OR、NR10、NO、CN、COOR、OCR、CONR10、NRC(O)R10、複素環基、アリール、または化学式IIの基である。

【0012】
およびRは独立してH、ハロゲン、またはC1−4アルキル;R,R11およびR12は独立してH、C1−4アルキル;RおよびR10は独立してH、またはC1−6アルキル;Arはアリール環であり;mは0,1,または2である;
【0013】
R5がH、1−4の同一または異なるF、Cl、Br、CF、R、OR、NR10、NO、CN、COOR、OCR、CONR10、NRC(O)R10、複素環基、またはアリールの場合、nは1,2,3,または4であり;Rが1−4の同一または異なる化学式IIの基である場合、nは0,1,2,3または4である。
【0014】
上記C1−4アルキル、C1−6アルキルは直鎖状アルキル、分岐鎖または環状アルキル基、飽和または不飽和アルキル基であってよく、また1つまたはそれ以上のF、Cl、OH、C1−4アルコキシ、C(O)OC1−4アルキル、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、C(O)NH、C(O)NHC1−4アルキル、C(O)N(C1−4アルキル)、COOH、フェニルまたは置換フェニルで任意に置換されていてもよい。
【0015】
シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、1−メチルピペリジン−4−イリデン、インデン−1−イリデンは1つまたはそれ以上のF、Cl、OH、C1−4アルコキシ、C(O)OC1−4アルキル、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、C(O)NH、C(O)NHC1−4アルキル、C(O)N(C1−4アルキル)、COOH、フェニル、または置換フェニルで任意に置換されてよい。
【0016】
Arがアリール環の場合、それは5員環または6員環であってよく、また単一の環または2つまたは3つの融合した環であってよく;それは1,2,または3のO,N,S原子を含んでよく、また1つまたはそれ以上のF、OH、C1−4アルコキシ、COOC1−4アルキル、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、C(O)NH、C(O)NHC1−4アルキル、C(O)N(C1−4アルキル)、COOHで置換されてよい。
【0017】
化学式Iに2つまたはそれ以上のRがある場合、それらは同一または異なる置換基であってよい。
【0018】
化学式Iに2つまたはそれ以上のR10がある場合、それらは同一または異なる置換基であってよい。
【0019】
化学式Iによって表される化合物の単回投与による鎮痛効果は、フォルタノディンおよびアスピリンを陽性対照として、予め単一の時点においてホットプレートテストを通してスクリーニングしている。全化合物は胃内投与する。その結果は表3に纏めている。表3のデータは化学式Iの全化合物が鎮痛効果を有するであろうことを示している。
【0020】
予備的なスクリーニング結果に基づき、数個の代表的な化合物を鎮痛持続期間を試験するために選択し、その結果の一部を表4に掲載している。結果は殆どの化合物の鎮痛持続期間は単回経口投与後2時間より長いこと、および化合物のいくつかは4時間より長く続く鎮痛持続期間をもつことを示している。結果の統計処理により、試験された全化合物が有意な鎮痛効果をもつことが示されている。
【0021】
更に、2つの化合物の鎮痛モデルに関する投与量―効果の関係を試験し、結果を表5に示している。両化合物ともに投与量―効果関係を表し、鎮痛効果が試験した化合物の薬理学的な作用によることを示している。
【0022】
本発明は、疼痛、機能性疼痛症候群、器官疼痛症候群、または組織疼痛症候群の治療に使用される、化学式Iの化合物、薬学的に許容される無機塩、有機塩、水和物、溶媒和物、またはそれらの結晶形態に関する。このタイプの化合物の好適な投与量は0.001と500mgの間、特に0.01と100mgの間、さらに特別には0.05と50mgの間である。
【0023】
化学式Iの化合物は純粋な異性体であってもよく、種々な異性体の混合物であってもよい。
【0024】
疼痛、機能性疼痛症候群、器官疼痛症候群、または組織疼痛症候群を治療する薬剤の有効成分として好適な化学式Iの化合物は、RがH、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはブチルであり、その中で特にRがHである化合物を含む。
【0025】
疼痛、機能性疼痛症候群、器官疼痛症候群、または組織疼痛症候群を治療する薬剤の有効成分として好適な化学式Iの化合物は、RがH、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、またはブチルである、特にRがH、クロロ、メチル、またはエチルである、更に特別にはRがH、フルオロ、クロロ、メチル、またはトリフルオロメチルである化合物を含む。
【0026】
疼痛、機能性疼痛症候群、器官疼痛症候群、または組織疼痛症候群を治療する薬剤の有効成分として好適な化学式Iの化合物は、RがH、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ジフルオロメチル、またはトリフルオロメチルである、特にRがH、フルオロ、クロロ、またはメチルである、更に特別にはRがH、フルオロ、またはメチルである化合物を含む。
【0027】
疼痛、機能性疼痛症候群、器官疼痛症候群、または組織疼痛症候群を治療する薬剤の有効成分として好適な化学式Iの化合物は、=CRがシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、1−メチルピペリジン−4−イリデン、またはインデン−1−イリデンである化合物を含む。
【0028】
疼痛、機能性疼痛症候群、器官疼痛症候群、または組織疼痛症候群を治療する薬剤の有効成分として好適な化学式Iの化合物は、Rがメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである化合物を含む。
【0029】
疼痛、機能性疼痛症候群、器官疼痛症候群、または組織疼痛症候群を治療する薬剤の有効成分として好適な化学式Iの化合物は、Arがフェニル、ナフタレニル、アントラセニル、ピリジニル、フラニル、インドリル、チエニル、またはピロリルである化合物を含む。
【0030】
疼痛、機能性疼痛症候群、器官疼痛症候群、または組織疼痛症候群を治療する薬剤の有効成分として好適な化学式Iの化合物は、RがH、1−4の同一または異なるF、Cl、Br、CF、メチル、エチル、プロピル、OH、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、NH、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、NO、CN、COOMe、COOEt、OCMe、CONH、CONHMe、CONMe、NHC(O)Me、NHC(O)H、N(Me)C(O)Me、N(Me)C(O)H、OCH、COOH、または化学式IIの基である化合物を含む。

【0031】
ここでRおよびRは独立して、H、Me、またはClを表し、R11およびR12は独立してHであり、mは0、1、または2である。
【0032】
疼痛、機能性疼痛症候群、器官疼痛症候群、または組織疼痛症候群を治療する薬剤の有効成分として好適な化学式Iの化合物は、RがHである化合物を含む。
【0033】
疼痛、機能性疼痛症候群、器官疼痛症候群、または組織疼痛症候群を治療する薬剤の有効成分として好適な化学式Iの化合物は、以下の化合物を含むがこれに限定されるものではない。
【0034】
1)(5R,9R,11E)−5−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0035】
2)(5R,9R,11E)−5−(3−(4−メチルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0036】
3)(5R,9R,11E)−5−(3−(2−メチルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0037】
4)(5R,9R,11E)−5−(3−(3−メチルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0038】
5)(5R,9R,11E)−5−(3−(4−メトキシルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0039】
6)(5R,9R,11E)−5−(3−(2−メトキシルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0040】
7)(5R,9R,11E)−5−(3−(3−メトキシルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0041】
8)(5R,9R,11E)−5−(3−(2−クロロフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0042】
9)(5R,9R,11E)−5−(3−(3−クロロフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0043】
10)(5R,9R,11E)−5−(3−(4−クロロフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0044】
11)(5R,9R,11E)−5−(3−(2−ブロモフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0045】
12)(5R,9R,11E)−5−(3−(3−ブロモフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0046】
13)(5R,9R,11E)−5−(3−(4−ブロモフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2−(1H)−オン、
【0047】
14)(5R,9R,11E)−5−(3−(2−エチルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0048】
15)(5R,9R,11E)−5−(3−(3−エチルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0049】
16)(5R,9R,11E)−5−(3−(4−エチルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0050】
17)(5R,9R,11E)−5−(3−(2−プロピルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0051】
18)(5R,9R,11E)−5−(3−(3−プロピルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0052】
19)(5R,9R,11E)−5−(3−(4−プロピルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0053】
20)(5R,9R,11E)−5−(3−(2−イソプロピルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0054】
21)(5R,9R,11E)−5−(3−(3−イソプロピルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0055】
22)(5R,9R,11E)−5−(3−(4−イソプロピルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0056】
23)(5R,9R,11E)−5−(3−(ナフタレン−2−イル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0057】
24)(5R,9R,11E)−5−(3−(ナフタレン−1−イル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0058】
25)(5R,9R,11E)−5−(3−(フラン−2−イル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0059】
26)(5R,9R,11E)−5−(3−(2−ジメチルアミノフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0060】
27)(5R,9R,11E)−5−(3−(3−ジメチルアミノフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0061】
28)(5R,9R,11E)−5−(3−(4−ジメチルアミノフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0062】
29)(5R,9R,11E)−5−(3−(3,4−ジメトキシルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0063】
30)(5R,9R,11E)−5−(3−(1H−インドール−3−イル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0064】
31)(5R,9R,11E)−5−(3−(ピリジン−4−イル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0065】
32)(5R,9R,11E)−5−(3−(ピリジン−2−イル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0066】
33)(5R,9R,11E)−5−(3−(ピリジン−3−イル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0067】
34)(5R,9R,11E)−5−(3−(チオフェン−2−イル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0068】
35)(5R,9R,11E)−5−(3−2−(メトキシカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0069】
36)(5R,9R,11E)−5−(3−3−(メトキシカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0070】
37)(5R,9R,11E)−5−(3−4−(メトキシカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0071】
38)(5R,9R,11E)−5−(3−2−(エトキシカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0072】
39)(5R,9R,11E)−5−(3−3−(エトキシカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0073】
40)(5R,9R,11E)−5−(3−4−(エトキシカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0074】
41)(5R,9R,11E)−5−(3−2−(メチルアミノカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0075】
42)(5R,9R,11E)−5−(3−3−(メチルアミノカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0076】
43)(5R,9R,11E)−5−(3−4−(メチルアミノカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0077】
44)(5R,9R,11E)−5−(3−2−(ジメチルアミノカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0078】
45)(5R,9R,11E)−5−(3−3−(ジメチルアミノカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0079】
46)(5R,9R,11E)−5−(3−4−(ジメチルアミノカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0080】
47)(5R,9R,11E)−5−(3−2−(プロポキシカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0081】
48)(5R,9R,11E)−5−(3−3−(プロポキシカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0082】
49)(5R,9R,11E)−5−(3−4−(プロポキシカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0083】
50)(5R,9R,11E)−5−(3−2−(イソプロポキシカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0084】
51)(5R,9R,11E)−5−(3−3−(イソプロポキシカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0085】
52)(5R,9R,11E)−5−(3−4−(イソプロポキシカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0086】
53)(5R,9R,11E)−5−(3−2−(エチルアミノカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0087】
54)(5R,9R,11E)−5−(3−3−(エチルアミノカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0088】
55)(5R,9R,11E)−5−(3−4−(エチルアミノカルボニル)フェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0089】
56)(5R,9R,11E)−5−(3−(2−フルオロフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0090】
57)(5R,9R,11E)−5−(3−(3−フルオロフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0091】
58)(5R,9R,11E)−5−(3−(4−フルオロフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0092】
59)(5R,9R,11E)−5−(3−(2−アセチルアミノフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0093】
60)(5R,9R,11E)−5−(3−(3−アセチルアミノフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0094】
61)(5R,9R,11E)−5−(3−(4−アセチルアミノフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0095】
62)(5R,9R,11E)−5−(3−(2−ジエチルアミノフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0096】
63)(5R,9R,11E)−5−(3−(3−ジエチルアミノフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0097】
64)(5R,9R,11E)−5−(3−(4−ジエチルアミノフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0098】
65)(5R,9R,11E)−5−(3−(2−ニトロフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0099】
66)(5R,9R,11E)−5−(3−(アントラセン−9−イル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0100】
67)(5R,9R,11E)−5−(3−メチル−3−フェニルプロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0101】
68)(5R,9R,11E)−5−(2−メチル−3−フェニルプロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0102】
69)(5R,9R,11E)−5−(2−クロロ−3−フェニルプロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0103】
70)(5R,9R,11E)−5−(3−クロロ−3−フェニルプロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0104】
71)(5R,9R,11E)−5−(5−フェニルペント−2,4−ジエン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、
【0105】
72)(5R,9R,11E)−5−(7−フェニルヘプト−2,4,6−トリエン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン、および
【0106】
73)(5R,9R,11E)−5−(2−(インダン−1−イリデン)エチリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン。
【0107】
化学式Iの化合物は胃液中でヒューペルジンAを放出する。実施例2の化合物の投与後、人工胃液中で種々の時間間隔で放出されたヒューペルジンAの量を表2に掲載している。表2のデータは、実施例2においてヒューペルジンAの等価量が3時間で完全に放出されていることを示しており、このことは本発明の化学式Iの化合物がヒューペルジンAのプロドラッグであることを示しており、化学式Iの化合物の毒性がヒューペルジンAに比べて低いことを十分に説明するものである(表1参照)。更に、このことは化学式Iの化合物の鎮痛効果がヒューペルジンAよりも長い持続期間を持つことの理由を明らかにしている。
【0108】
【表1】

要約すれば、化学式Iの化合物は、有意な、持続性のある鎮痛効果を持つ一連の低毒性鎮痛薬を含む。
【0109】
別の見方をすれば、本発明は化学式Iの化合物を作成する方法に関している。

【0110】
はH、またはC1−4アルキル;RおよびRは独立してH、ハロゲン、またはC1−4アルキル;RはC1−6アルキルまたはAr;または=CRはシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、1−メチルピペリジン−4−イリデン、またはインデン−1−イリデン;Rは独立して各出現時においてH、1−4の同一または異なるF、Cl、Br、CF、R、OR、NR10、NO、CN、COOR、OCR、CONR10、NRC(O)R10、ヘテロ環基、アリール、または化学式IIの基である。

【0111】
およびRは独立してH、ハロゲン、またはC1−4アルキル;R、R11およびR12は独立してH、またはC1−4アルキル;RおよびR10は独立してH、またはC1−6アルキル;Arはアリール環;mは0,1,または2であり;RがH、1−4の同一または異なるF,Cl,Br,CF,R,OR,NR10,NO,CN,COOR,OCR,CONR10,NRC(O)R10,ヘテロ環基、またはアリールの場合は、nは1,2,3または4;Rが1−4の化学式IIの同一または異なる基の場合、nは0,1,2,3,または4である。
【0112】
化学式Iの化合物を作成する方法は以下のステップからなる:(a)(i)化学式IIIの化合物をマロン酸と接触させ、化学式Vの化合物を得る;または(ii)化学式IIIの化合物をトリメチルホスホノアセテートと接触させて化学式IVの化合物を得、化学式IVの化合物を加水分解して化学式Vの化合物を得る;(b)化学式Vの化合物をカルボニルジイミダゾールと接触させて対応するアシル化イミダゾールを得、得られたアシル化イミダゾールを還元して化学式IVの化合物を得る;(c)化学式VI化合物を酸化して化学式VIIの化合物を得る;そして(d)化学式VIIの化合物を化学式VIIIの化合物と接触させ化学式Iの化合物を得る。
【0113】

【0114】
本発明の薬剤の調合は化学式Iの少なくとも1つの化合物に加えて、1つまたはそれ以上の担体物質、充填剤、溶媒、希釈剤、顔料、および/または接着剤からなる。これら補助剤のタイプと量の選択は、胃腸、経口、口腔、静脈内、腹部、皮膚、筋肉内、鼻、目、肺、肛門、膣、経皮的、皮下、または経皮性を含む投与の様式に依存する。
【0115】
本発明に従う薬剤の調合は徐放型でありうる。
【0116】
本発明の薬剤の調合は他の好適な有効成分と混合することが出来、複合調剤として使用することができる。
【発明の効果】
【0117】
本発明の方法によって治療される疼痛は痛みのある不快感、機能性疼痛症候群、器官疼痛症候群、または組織疼痛症候群からなり、神経障害性頭痛、偏頭痛、原発性線維筋肉痛、術後疼痛、内臓痛、歯痛、神経痛、筋肉痛、関節痛、生理痛、または切断、腫瘍除神経、外傷性除神経、神経損傷、炎症、または自己免疫疾患からくる痛みを含むがこれに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】人工胃液中でH064−5−2によって放出されたヒューペルジンAの量を表す時間曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0119】
人工胃液中においてH064−5−2(実施例2のタイトル化合物)によって放出されるヒューペルジンAの試験
装置および試薬
高圧液体クロマトグラフィー:島津SCL−10Avp、LC−10Atvpポンプ、SPD−M10Avp、DGU−14A。
【0120】
紫外―可視分光計:島津UV−260。ヒューペルジンAチェック試料(純度99%)。H064−5−2(実施例2のタイトル化合物:Tianjin Hemay Bio Tech Co.LTDにより製造)。メタノール(クロマトグラフ用グレード)。純水。他の全試薬は分析的に純粋である。
【0121】
実験および結果
1)波長の決定:1mgのシンナムアルデヒド、1mgのH064−5−2および1mgのヒューペルジンAチェック試料を正確に計量する。次いで、10mLの一定容量になるようにメタノールを加える。次に溶液0.5mLを元の溶液から採取し、一定容量10mLになるようにメタノールを加える。メタノールをブランクとして吸収を同定するために190−500nmで試料のスキャンを行う。結果は以下の通りである:H064−5−2の吸収ピークは204.4nmおよび286.8nmである。シンナムアルデヒドの吸収ピークは205.8nm、210.6nm、223.2nmおよび285.0nmである。ヒューペルジンAの吸収ピークは202.2nm、228.6nm、311.0nm、354.2nmおよび373.6nmである。
【0122】
結論:H064−5−2は287nmに特性吸収ピークを持つ。
【0123】
2)クロマトグラフィーの条件:C18(150×4.6mm、5μm)、0.002%トリエタノールアミンを含む移動相としてのメタノール/水(1:1)。流速1mL/min。検出条件は以下の通り:検出器SPD−M10Avp;検出波長:287nm;注入試料容量:20μl。
【0124】
3)ブランクテスト:胃液0.3mLを抽出し定容量にするために5mLのメタノールを追加、注入試料は20μl、対照試料の保持時間にピークは現れず、干渉も認めず。
【0125】
4)ヒューペルジンAのクロマトグラム:
A)ヒューペルジンAチェック試料1.0mgを正確に秤量し10mLの容量フラスコに加え、一定容量にするためにメタノールを加える。0.05mLを正確に抽出しメタノール10mLを加えて10mLの定容量を得、注入試料容量は20μl。クロマトグラムを記録した。
B)ヒューペルジンAチェック試料1.0mgを正確に秤量し10mLの容量フラスコに加え、定容量になるように胃液を加えた。0.05mLを取り出し、メタノールを加えて濃度0.5ng/μlの10mLの定容量を得た。注入試料容量は20μlである。クロマトグラムを記録した。
【0126】
5)シンナムアルデヒドのクロマトグラム:シンナムアルデヒドチェック試料の小量をメタノールに溶かし、クロマトグラムを記録した。
【0127】
6)標準曲線:ヒューペルジンAチェック試料1.0mgを正確に秤量し10mLの容量フラスコに加え、メタノールを加えて定容量にした。0.05mLを取り出しメタノールを加えて10mLの定容量にした。濃度は0.5ng/μlである。2,4,5,10,25,および50μl溶液を別々に取り出し、上述のクロマトグラフ条件に従って注入した。線形回帰分析を実施した後、ヒューペルジンAチェック試料の注入量(ng)をY軸に、主ピークの面積をX軸にして、標準曲線をプロットした。結果を以下に示す。

【0128】
7)試料測定:1.0mgのH064−5−2試料を正確に秤量し、胃液に2分間超音波をあてて溶解した;次に濃度0.1mg/mLの定容量10mLを得た。所定の時間に0.03mLを正確に抽出し、メタノールを加えて定容量5mLを得て測定した。ヒューペルジンAの主ピークの面積を記録し、濃度を0.6ng/μlと決定した。注入した試料容量は20μl(12ng)であった。結果を表2および図1に記載する。
【表2】

【0129】
物質
1)動物
重量20±2gの雌ICRマウスを北京大学動物科学研究部から購入した。動物ライセンスナンバー:SCXK2002−0001。
【0130】
2)医薬品
A)試料:試料はマウスへの胃内投与のために0.9%NaCl溶液との混合物として調合した。
B)フォルタノディン:30mg/錠(TianJin LiSheng Pharmaceutical Co.Ltd,lot number:0201001)、マウスへの胃内投与のために0.9%NaCl溶液との1.5mg/mL溶液を調合した。
【0131】
実験方法
マウスにはホットプレートテストを採用した。温度自動調節ウオーターバスを55±0.5℃に調節し、水面に接している金属板の底部を加熱後刺激として用いた。マウスがホットプレートに置かれた時点からマウスがメタペーデス(metapedes)を舐め始める時点までの時間間隔を疼痛閾値とし、ストップウオッチで記録した。20±2gの雌マウスを試験した。投与前に各マウスの疼痛閾値を2回測定し、適格なマウスは平均疼痛閾値が30秒未満のものとした。
【0132】
適格なマウスを10匹のグループにランダムに分けた。投与前の疼痛閾値を基準疼痛閾値とした。薬剤投与の組に、異なる投与量の薬剤を胃内投与で与え、一方対照群には0.9%NaCl溶液を与えた。投与容量は体重10g毎に0.2mLであった。各群の疼痛閾値は投与後1時間で測定した。結果を表3に示す。
【0133】
【表3】

投与後、異なる時間での各群の疼痛閾値を測定した。結果は表4および表5に示す。実験データはSPSS10統計ソフトウエアを使用してt検定により統計的に処理した。
【0134】
【表4】

【表5】

中間体1
3−(3−メチルフェニル)プロプ−2−エン−1−酸
1.2gの3−メチルベンズアルデヒドおよび1.04gのマロン酸を5mLのピリジンに混合し、オイルバス中で7時間加熱し、冷却した。40mLの水および5mLのNaCO飽和水溶液を粗反応混合物に加え、その後2度酢酸エチルで抽出した。水相のpHは固体が沈殿しなくなるまで6N塩酸で調整し、濾過した後、濾過沈殿物を1.5N塩酸で洗浄し、乾燥させた。330mgの白色固体が得られた。
【0135】
中間体2
3−(3−メチルフェニル)プロプ−2−エン−1−オール
中間体1を20mL無水テトラヒドロフラン(THF)に溶解し、500mgのカルボジイミドを室温で攪拌しながら加え、24時間室温で攪拌した。この反応混合物をAと呼ぶ。539mgのNaBHを40mLのTHF/水(1:1)に溶解し、この溶液をBとする。溶液Aを溶液Bに液滴状で加え、40分攪拌し、この混合物のpHを6N塩酸で3に調整した。この混合物を酢酸エチルで2度抽出し、酢酸エチル層を1.5N塩酸で2度、飽和NaCOで3度、水で1度、飽和NaCl溶液で1度、混合・洗浄し、無水MgSOで2時間乾燥し、濾過した後、濾液を減圧乾燥し、210mgの表題生成物を得た。
【0136】
中間体3
3−(3−メチルフェニル)プロプ−2−エン−1−アール
中間体2を20mLのアセトンに溶解し、1.111gのMnOを加え、3日間室温で攪拌し、濾過した後、濾液を減圧乾燥して230mgの粗表題生成物を得た。
【0137】
中間体1−3の調製に使用した合成プロセスを表6に記載の化合物を得るために採用した。
【0138】
【表6】

中間体23
メチル2−シクロヘキシリデンアセテート
2.184gのトリメチルホスホノアセテートをジクロロメタン(DCM)に溶解し、氷水バスで攪拌し、384mgのNaHを加えた。6時間後980mgのシクロヘキサノンを反応フラスコ内に加え、室温で一晩攪拌した。翌日、反応混合物を水で2回、飽和NaCl水溶液で1回洗浄し、無水MgSO上で2時間乾燥し、濾過した後、濾過液を減圧乾燥して1.227gの表題生成物を得た。
【0139】
中間体24
2−シクロヘキシリデン酢酸
粗中間体23を15mLのTHFおよび15mLのメタノールに溶解した。30mLの1NLiOH水溶液を加え、室温で一晩攪拌した。翌日、反応系のpHを6N塩酸で1に調整し、反応混合物を酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル層を、水で1回、飽和NaCl水溶液で1回混合・洗浄し、無水MgSO上で2時間乾燥し、濾過した後、濾液を減圧乾燥し0.796gの油状の粗表題生成物を得た。
【0140】
中間体25
2−シクロヘキシリデンアセトアルデヒド
[0146]中間体2−3の調製に使用した合成プロセスを、中間体24から出発して2−シクロヘキシリデンアセトアルデヒドを得るために採用した。
【0141】
中間体26
3−メチル−3−フェニルプロプ−2−エン−1−アール
中間体23−25の調製に使用した合成プロセスを3−メチル−3−フェニルプロプ−2−エン−1−アールを得るために採用した。
【0142】
中間体27
2−ブロモ−3−フェニルプロプ−2−エンー1−アール
1.33g(10mmol)の桂皮アルデヒドを5mLの氷酢酸に溶解し氷水バスで冷却した。1.62gの臭素を加え、次いで攪拌しながらガスが発生しなくなるまで無水KCOを加えた。30分間還流した後、反応混合物を攪拌下で100mLの冷水中に注ぎ、50mLのエチルエーテルで3回抽出した。混合エチルエーテル層を水で1回、飽和NaCl水溶液で1回洗浄し、MgSO上で2時間乾燥し、濾過した後、濾液を減圧乾燥し、無水エチルエーテル:石油エーテル(1:1)で洗浄して淡黄色粉末の表題生成物を得た。
【実施例1】
【0143】
(5R,9R,11E)−5−アミノ−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン((−)−ヒューペルジンA)
表題化合物はShanghai Tauto Biotech Co.,LTD.から購入した。
【実施例2】
【0144】
(5R,9R,11E)−5−(3−フェニルプロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
20mgのヒューペルジンA、77mgの桂皮アルデヒドを2mLのイソプロパノール中で3時間還流し、次いで減圧下で溶媒を除去し、3mLの無水THFを加え調製薄層クロマトグラフィー(CHCl:メタノール=9:1)で精製し、28mgの表題生成物を得た。質量分析値:357(M+H)。
【実施例3】
【0145】
(5R,9R,11E)−5−(2−メチル−3−フェニルプロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって2−メチル−3−フェニルプロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:371(M+H)。
【実施例4】
【0146】
(5R,9R,11E)−5−(3−(3−メチルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(3−メチルフェニル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:371(M+H)。
【実施例5】
【0147】
(5R,9R,11E)−5−(3−(2−メチルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(2−メチルフェニル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:371(M+H)。
【実施例6】
【0148】
(5R,9R,11E)−5−(3−(4−メチルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(4−メチルフェニル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:371(M+H)。
【実施例7】
【0149】
(5R,9R,11E)−5−(3−メチル−3−フェニルプロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−メチル−3−フェニルプロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:371(M+H)。
【実施例8】
【0150】
(5R,9R,11E)−5−(5−フェニルペンタ−2,4−ジエン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって5−フェニルペンタ−2,4−ジエン−1−アールから作成した。質量分析値:383(M+H)。
【実施例9】
【0151】
(5R,9R,11E)−5−(7−フェニルヘプタ−2,4,6−トリエン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって7−フェニルヘプタ−2,4,6−トリエン−1−アールから作成した。質量分析値:409(M+H)。
【実施例10】
【0152】
(5R,9R,11E)−5−(2−ブロモ−3−フェニルプロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって2−ブロモ−3−フェニルプロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:435(M+H)。
【実施例11】
【0153】
(5R,9R,11E)−5−(3−(3−ブロモフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(3−ブロモフェニル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:435(M+H)。
【実施例12】
【0154】
(5R,9R,11E)−5−(3−(2−ブロモフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(2−ブロモフェニル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:435(M+H)。
【実施例13】
【0155】
(5R,9R,11E)−5−(3−(4−ブロモフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(4−ブロモフェニル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:435(M+H)。
【実施例14】
【0156】
(5R,9R,11E)−5−(3−(4−クロロフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(4−クロロフェニル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:391(M+H)。
【実施例15】
【0157】
(5R,9R,11E)−5−(3−(3−クロロフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(3−クロロフェニル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:391(M+H)。
【実施例16】
【0158】
(5R,9R,11E)−5−(3−(2−クロロフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(2−クロロフェニル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:391(M+H)。
【実施例17】
【0159】
(5R,9R,11E)−5−(3−(4−メトキシルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(4−メトキシルフェニル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:387(M+H)。
【実施例18】
【0160】
(5R,9R,11E)−5−(3−(2−メトキシルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(2−メトキシルフェニル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:387(M+H)。
【実施例19】
【0161】
(5R,9R,11E)−5−(3−(3−メトキシルフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(3−メトキシルフェニル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:387(M+H)。
【実施例20】
【0162】
(5R,9R,11E)−5−(3−(ピリジン−4−イル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(ピリジン−4−イル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:358(M+H)。
【実施例21】
【0163】
(5R,9R,11E)−5−(3−(フラン−2−イル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−7−メチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(フラン−2−イル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:347(M+H)。
【実施例22】
【0164】
(5R,9R,11E)−5−(3−(ナフタレン−2−イル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−1,7−ジメチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(ナフタレン−2−イル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:407(M+H)。
【実施例23】
【0165】
(5R,9R,11E)−5−(3−(ナフタレン−1−イル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−1,7−ジメチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(ナフタレン−1−イル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:407(M+H)。
【実施例24】
【0166】
(5R,9R,11E)−5−(2−(シクロヘキシリデン)エチリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−テトラヒドロ−1,7−ジメチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって2−(シクロヘキシリデン)アセトアルデヒドから作成した。質量分析値:381(M+CHOH+H)。
【実施例25】
【0167】
(5R,9R,11E)−5−(3−(4−ジメチルアミノフェニル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−1,7−ジメチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(4−ジメチルアミノフェニル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:400(M+H)。
【実施例26】
【0168】
(5R,9R,11E)−5−(3−(アントラセン−9−イル)プロプ−2−エン−1−イリデンアミノ)−11−エチリデン−5,6,9,10−1,7−ジメチル−5,9−メタノシクロオクタ[b]ピリジン−2(1H)−オン
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わって3−(アントラセン−9−イル)プロプ−2−エン−1−アールから作成した。質量分析値:457(M+H)。
【実施例27】
【0169】
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わる(E)−4−(2−フォルミルビニル)ベンズアルデヒドと2当量のヒューペルジンAとの反応から作成した。質量分析値:609(M+H)。
【実施例28】
【0170】
実施例2の方法によって、表題化合物を桂皮アルデヒドに代わる(E)−3−((E)−4−(2−フォルミルビニル)フェニル)-2-エン−プロパノールと2当量のヒューペルジンAとの反応から作成した。質量分析値:635(M+H)。
【0171】
本発明の特別な実施態様を示し記述したが、本技術分野の専門家にとって変更および修正はそのより広い見地において本発明から逸脱することなく可能であることは自明であり、それ故、添付の特許請求の範囲の目的はそのような全ての変更および修正が本発明の真の精神および範囲内に収まるように網羅することである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疼痛、機能性疼痛症候群、または器官疼痛症候群の治療に有効な化学式Iの化合物、薬学的に許容される塩、またはそれらの水和物、およびその作成方法であって、

はH、またはC1−4アルキル;
はH、ハロゲン、またはC1−4アルキル;
はH、ハロゲン、またはC1−4アルキル、およびRはC1−6アルキル、またはAr、または=CRはシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、1−メチルピペリジン−4−イリデン、またはインデン−1−イリデンであって;
は出現ごとに独立してH、または1−4の同一または異なるF、Cl、Br、CF、R、OR、NR10、NO、CN、COOR、OCR、CONR10、NRC(O)R10、ヘテロ環基、アリール、または化学式IIの基;

はH、ハロゲン、またはC1−4アルキル;
はH、ハロゲン、またはC1−4アルキル;
はH、またはC1−4アルキル;
はH、またはC1−6アルキル;
10はH、またはC1−6アルキル;
11はH、またはC1−4アルキル;
12はH、またはC1−4アルキル;
Arはアリール環;
mは0,1,または2;
がH、または1−4の同一または異なるF、Cl、Br、CF、R、OR、NR10、NO、CN、COOR、OCR、CONR10、NRC(O)R10、ヘテロ環基、アリール環の場合はnは1,2,3,または4であり、
がH、または1−4の同一または異なる化学式IIの基の場合、nは0,1,2,3または4である。
【請求項2】
疼痛、機能性疼痛症候群、または器官疼痛症候群の治療に有効な、RがHである、請求項1に記載の化学式Iの化合物、薬学的に許容される塩、またはそれらの水和物。
【請求項3】
疼痛、機能性疼痛症候群、または器官疼痛症候群の治療に有効な、RがH、F、Cl、Br、メチル、またはトリフルオロメチルである、請求項1に記載の化学式Iの化合物、薬学的に許容される塩、またはそれらの水和物。
【請求項4】
疼痛、機能性疼痛症候群、または器官疼痛症候群の治療に有効な、RがH、F、またはメチルである、請求項1に記載の化学式Iの化合物、薬学的に許容される塩、またはそれらの水和物。
【請求項5】
疼痛、機能性疼痛症候群、または器官疼痛症候群の治療に有効な、Arがフェニル、ナフタレニル、アントラセニル、ピリジニル、フラニル、インドリル、チエニル、またはピロリルである、請求項1に記載の化学式Iの化合物、薬学的に許容される塩、またはそれらの水和物。
【請求項6】
疼痛、機能性疼痛症候群、または器官疼痛症候群の治療に有効な、=CRがシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、1−メチルピペリジン−4−イリデン、またはインデン−1−イリデンである、請求項1に記載の化学式Iの化合物、薬学的に許容される塩、またはそれらの水和物。
【請求項7】
疼痛、機能性疼痛症候群、または器官疼痛症候群の治療に有効な、RがH、または1−4の同一または異なるF、Cl、CF、メチル、エチル、プロピル、OH、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、NH、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、NO、CN、COOMe、COOEt、OCMe、CONH、CONHMe、CONMe、NHC(O)Me、NHC(O)H、N(Me)C(O)Me、N(Me)C(O)H、OCH、またはCOOHである、請求項1に記載の化学式Iの化合物、薬学的に許容される塩、またはそれらの水和物。
【請求項8】
疼痛、機能性疼痛症候群、または器官疼痛症候群の治療に有効な、Rが化学式IIの基であって、R、Rが独立してHまたはMeであり、R11、R12が独立してHであり、mが0、1、または2である、請求項1に記載の化学式Iの化合物、薬学的に許容される塩、またはそれらの水和物。

【請求項9】
疼痛、機能性疼痛症候群、または器官疼痛症候群の治療に有効な、

がH、またはC1−4アルキル;
がH、またはC1−4アルキル;
がH、ハロゲン、またはC1−4アルキル、およびRがC1−6アルキル、Ar、または=CRがシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、1−メチルピペリジン−4−イリデン、またはインデン−1−イリデンであり;
が出現ごとに独立にH、または1−4の同一または異なるF、Cl、Br、CF、R、OR、NR10、NO、CN、COOR、OCR、CONR10、NRC(O)R10、ヘテロ環基、アリール、または化学式IIの基であって、

はH、ハロゲン、またはC1−4アルキル;
はH、ハロゲン、またはC1−4アルキル;
はH、またはC1−4アルキル;
はH、またはC1−6アルキル;
10はH、またはC1−6アルキル;
11はH、またはC1−4アルキル;
12はH、またはC1−4アルキル;
Arはアリール環;
mは0,1,または2;
がH、または1−4の同一または異なるF、Cl、Br、CF、R、OR、NR10、NO、CN、COOR、OCR、CONR10、NRC(O)R10、ヘテロ環基、またはアリール環の場合はnは1,2,3,または4であり、
がH、または1−4の同一または異なる化学式IIの基の場合、nは0,1,2,3または4であり;
化学式Iの少なくとも1つの化合物に加えて、該薬学的な調剤はさらに薬学的に許容される、担体物質、充填剤、溶媒、希釈剤、顔料、または接着剤からなる添加剤を含み、そして該薬学的調剤は、経口、口腔、静脈内、腹部、真皮内、筋肉内、鼻、目、肺、肛門、膣、経皮、皮下、または経皮性を含む、投与の様式にあわせて配合される;請求項1に記載の化学式Iの化合物、薬学的に許容される塩、またはそれらの水和物。
【請求項10】
疼痛、機能性疼痛症候群、または器官疼痛症候群の治療に有効な、該化合物が患者に10μgと100mgとの間の投与量で投与される、請求項1または請求項9に記載の化学式Iの化合物、薬学的に許容される塩、またはそれらの水和物。
【請求項11】
疼痛、機能性疼痛症候群、または器官疼痛症候群の治療に有効な、該疼痛、機能性疼痛症候群、または器官疼痛症候群が、神経障害性頭痛、原発性線維筋肉痛、切断、腫瘍除神経、外傷性除神経、炎症、術後障害、自己免疫疾患からくる痛みから選ばれる、請求項1または請求項9に記載の化学式Iの化合物、薬学的に許容される塩、またはそれらの水和物。
【請求項12】
疼痛、機能性疼痛症候群、または器官疼痛症候群の治療に有効な、該疼痛、機能性疼痛症候群、または器官疼痛症候群が、偏頭痛である、請求項1または請求項9に記載の化学式Iの化合物、薬学的に許容される塩、またはそれらの水和物。
【請求項13】
化学式Iの化合物を作成する方法であって、

はH、またはC1−4アルキル;
はH、ハロゲン、またはC1−4アルキル;
はH、ハロゲン、またはC1−4アルキル、およびRはC1−6アルキル、またはAr、または=CRはシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、1−メチルピペリジン−4−イリデン、またはインデン−1−イリデンであって;
は出現ごとに独立してH、または1−4の同一または異なるF、Cl、Br、CF、R、OR、NR10、NO、CN、COOR、OCR、CONR10、NRC(O)R10、ヘテロ環基、アリール、または化学式IIの基であって;

はH、ハロゲン、またはC1−4アルキル;
はH、ハロゲン、またはC1−4アルキル;
はH、またはC1−4アルキル;
はH、またはC1−6アルキル;
10はH、またはC1−6アルキル;
11はH、またはC1−4アルキル;
12はH、またはC1−4アルキル;
Arはアリール環;
mは0,1,または2であって;
がH、または1−4の同一または異なるF、Cl、Br、CF、R、OR、NR10、NO、CN、COOR、OCR、CONR10、NRC(O)R10、ヘテロ環基、アリール環の場合、nは1,2,3,または4であり、
がH、または1−4の同一または異なる化学式IIの基の場合、nは0,1,2,3または4であり;
以下のステップからなる方法:
(a)(i)化学式IIIの化合物をマロン酸と接触させ、化学式Vの化合物を得、ここでn、R、R、R、Rの定義は化学式Iのそれと同じであり;または
(ii)化学式IIIの化合物をトリメチルホスホノアセテートと接触させて化学式IVの化合物を得た後、化学式IVの化合物を加水分解して化学式Vの化合物を得、ここでn、R、R、R、Rの定義は化学式Iのそれと同じであり;
(b)化学式Vの化合物をカルボニルジイミダゾールと接触させて対応するアシル化イミダゾールを得、得られたアシル化イミダゾールを還元して化学式IVの化合物を得、ここでn、R、R、R、Rの定義は化学式Iのそれと同じであり;
(c)化学式VIの化合物を酸化して化学式VIIの化合物を得、ここでn、R、R、R、Rの定義は化学式Iのそれと同じであり;そして
(d)化学式VIIの化合物を化学式VIIIの化合物と接触させて化学式Iの化合物を得、ここでn、R、R、R、Rの定義は化学式Iのそれと同じである。


【図1】
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【公表番号】特表2009−541368(P2009−541368A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516859(P2009−516859)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【国際出願番号】PCT/CN2007/001919
【国際公開番号】WO2008/006286
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(507328405)天津和美生物技▲術▼有限公司 (12)
【Fターム(参考)】