説明

鎮静・鎮痛システムにおいて直交性のある冗長なモニタリングを提供する方法およびシステム

本発明は、診断および治療アルゴリズムに対する高感度および高特異性を有する鎮静・鎮痛システムを備え、高感度および高特異性を、単一の患者パラメータに対し複数のモニタを提供することによって取得してもよい。本発明はまた、単一も患者パラメータに対する複数のモニタを含み、それぞれのモニタからのモニタリングされたデータを、そのモニタリングされたデータが信頼性のあるものか否かを確かめるために、コントローラにより他のモニタのデータと比較する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の背景]
本発明は、一般的には、臨床上の発見的方法(heuristics)における直交性のある冗長性(orthogonal redundancy)に関し、特に、鎮静・鎮痛システムのモニタリング機能に直交性のある冗長性を組み込むことに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
この出願は、米国特許法第119条(e)項(35 U.S.C. §119(e))に基づき、参照により本明細書に援用される2002年10月3日に出願された「鎮静・鎮痛システムにおいて直交性のある冗長なモニタリングを提供する方法およびシステム」と題する米国仮特許出願第60/415,522号に対する優先権を主張する。
【0003】
[連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載]
適用なし
【0004】
[「マイクロフィッシュ付録」への参照]
適用なし
【0005】
[関連技術の説明]
苦痛、不快、もしくは驚くべき(不安を駆り立てる)医学的または外科的処置を受けている患者が、鎮静剤、鎮痛剤および/または記憶消失剤(amnestic drug)を、資格を有する麻酔担当者がいてもいなくても過剰投薬の危険性を低減する方法で、安全に受容する手段を提供するために、鎮静・鎮痛システムが開発されている。技術の著しい進歩により、鎮静・鎮痛システムを、病院および外来環境(ambulatory environments)で安全に使用することができ、たとえば、C.R.N.A.、訓練を受けた医師または他の訓練を受けた技師のように、訓練を受けた麻酔医以外の人が操作することができる。鎮静・鎮痛システムは、安全かつ効果的な鎮静および鎮痛が恐怖および苦痛の影響を実質的に軽減することのできるすべての処置に対し、麻酔担当者を手配することのできない開業医のニーズを満たすのに貢献している。これらの目的に向けられた鎮静・鎮痛システムの出現により、麻酔機器の操作に必要な認識的かつ手作業による作業負荷を低減する患者モニタリングシステムに統合された薬剤送達システムを、これらの人々に提供するが、それでも臨床医は依然として患者の管理の中心に居続ける。臨床医は、「臨床医が一番知っている」という原理に従った最終的な判断を行う責任を保持する。この高度な技術により、麻酔担当者がいなくても、全身麻酔より低い薬物濃度効果で鎮静・鎮痛システムを操作することが可能となり、費用効率がよく容易に利用可能な鎮静、記憶消失および/または鎮痛の手段を、患者に提供することが可能となる。
【0006】
米国特許出願第09/324,759号明細書に記載されている鎮静・鎮痛システムは、一般的に、患者の1つ以上の生理学的状態を電子的にモニタリングしながら、たとえば、1つ以上の鎮静剤、鎮痛剤および/または記憶消失剤の送達と、エアウェイ陽圧(positive airway pressure)の送達と、薬剤送達の減少または増加と、酸素の送達と、たとえばオピオイド拮抗薬(opioid antagonist)への薬剤の変更と、患者モニタからのさらなる情報の要求と、警報の誘発(triggering)とを電子的に統合する。米国特許出願第09/324,759号明細書は1999年6月3日に出願され、その全体が参照により本明細書に援用される。このシステムは、患者およびシステムの状態を反映する格納されたデータ定義パラメータ(data-defining parameters)の1つ以上のセットを使用しており、そのパラメータは、ソフトウェアを通して薬剤送達を控えめに管理し、かつ意識のある患者の生命徴候および他の生理学的状態に関する安全で費用効率がよく最適化された値に相関させるために、アクセスされる。
【0007】
一般に、鎮静・鎮痛システムは、患者のモニタリングを薬剤送達と統合することにより患者の安全を保証するのに役立ってきたが、患者モニタの故障、モニタリングされた偽の(spurious)データまたは他の要因により、鎮静・鎮痛システムが潜在的に危険である処置を行い、重大な状況において処置をし損ない、または不必要に警報を与える可能性がある。たとえば、鎮静・鎮痛システムは、心電計(ECG)が不安定になっているときに患者の心拍数をモニタリングしている場合がある。鎮静・鎮痛システムは、単一の患者モニタに基づいて、不安定なECGデータが実際には偽である場合、たとえば危険なまでに低い心拍数を示す警報を通知する可能性がある。誤検出警報(false positive alarms)の頻度が高いことにより、臨床医が当惑する可能性があり、真の生死にかかわる状態に対してそれほど注意が向けられないことになる可能性がある。
【0008】
[発明の概要]
本発明は、診断および治療アルゴリズムに対して高感度及び高特異性をともに有する鎮静・鎮痛システムを備える。高感度システムにより、真に重大な事象が発生した場合に、その事象が確実に見逃されなることのないようにすることが保証される。高特異性システムでは、警報が事象を通知した場合、その警報は、真に重大な状態を表し、偽のデータに基づくものではない。心拍数をモニタリングするためにECGのような単一の患者モニタを提供することにより、鎮静・鎮痛システムの特異性が低くなる可能性があり、その場合、単一のモニタが偽のデータを提供すると、誤検出警報が発生する可能性がある。現行の生理学的モニタリングシステムを用いる臨床状況(clinical settings)では、誤警報はよく発生する。本発明は、高度の感度を維持しながら、システムの特異性を向上させるモニタリングシステムを提供する。
【0009】
本発明は、高感度および高特異性を有する鎮静・鎮痛システムを備え、高感度および高特異性を、たとえば心拍数のような単一の患者パラメータに対する複数のモニタを提供することによって取得してもよい。本発明はまた、単一の患者パラメータに対する複数のモニタを備え、それぞれのモニタからのモニタリングされたデータを、そのモニタリングされたデータが信頼性のあるものか否かを確かめるために、コントローラにより他のモニタのデータと比較する。それらモニタが患者の状態に一致する場合は所定の処置を行い、一致しない場合は異なる一連の処置を行うようにコントローラをプログラムすることは、さらに有利である。モニタが一致しない状況では、本発明の鎮静・鎮痛システムは、迅速に追加のデータを収集し、収集されている追加のデータを分析するために所定期間待機し、誘発された警報状態が間違いであったことが判明した場合は、後に逆転される「容易に逆転可能な(readily reversible)」治療的介入を提供し、一時的に静かな初期介入を提供し、または見逃し誤警報(false negative alarm)の発生を低減(感度が向上)するとともに誤検出警報の発生を低減(特異性が向上)するアルゴリズム、及び誤警報状態によって与えられるユーザの不快感および注意散漫を軽減する他のアルゴリズムを提供してもよい。
【0010】
[発明の詳細な説明]
図1は、ユーザインタフェース12、ソフトウェア制御されたコントローラ14、周辺機器15、電源16、外部通信10、圧力送達部11、患者インタフェース17および薬剤送達部19を有する、本発明による鎮静・鎮痛システム22の一実施形態のブロック図を示している。ここで、鎮静・鎮痛システム22は、患者18に鎮静および/または鎮痛を与えるために、ユーザ13によって操作される。鎮静・鎮痛システム22の例は、1999年6月3日に出願され、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願第09/324,759号明細書により開示され、使用可能にされている。ユーザインタフェース12の実施形態は、2002年11月1日に出願され、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願第10/285,689号明細書によって開示され、使用可能にされている。
【0011】
患者インタフェース17は、限定されないが、非侵襲性血圧モニタ、脈拍酸素濃度計(pulse oximeters)、カプノメータ(capnometers)、ECG、患者意識評価システム(patient consciousness assessment systems)、換気流モニタ、換気圧モニタ、インピーダンスプレスチモグラフィ(impedance plethysmogrophers)(IPG)、ガス分析器、換気温度モニタ、換気湿度モニタおよび聴覚モニタ(acoustical monitors)を含む、生命徴候モニタ(vital sign monitors)および意識モニタ(consciousness monitors)のような2つ以上の患者の健康状態モニタ装置(patient health monitors)を備える。患者インタフェース17の患者モニタは、コントローラ14に電気的に結合され、(たとえば、A−Dコンバータによって)患者の生理学的状態を表す信号をフィードバックしてもよい。本発明の一実施形態では、2つ以上の患者モニタが、心拍数のような単一の患者パラメータをモニタリングし、単一の生理学的パラメータを複数でモニタリングすることにより、直交性のある冗長性と、より高レベルの感度および特異性とが提供される。コントローラ14は、患者インタフェース17からの電子フィードバックを、メモリ装置に格納されたデータと比較してもよく、かかるデータは、たとえば安全な酸素飽和状態および望ましくない酸素飽和状態のような、1つ以上の安全な患者の生理学的状態パラメータおよび望ましくない患者の生理学的状態パラメータのセットを表してもよい。これらのデータのセットを、まとめて安全データセットと呼び、データは、生の数値データ(たとえば、ECGからの電気的活動の測定値)または情報(たとえば、生の数値データから導出される心拍数読み値)を含んでもよい。その比較に基づき、コントローラ14は、安全で費用効率がよく最適化された値である、このようなパラメータに合わせて、薬剤送達の慎重な(conservative)適用を命令してもよい。
【0012】
図2は、本発明による直交性のある冗長システム30の一実施形態を示し、直交性のある冗長システム30は、患者パラメータ31と、患者モニタ32および33と、コントローラ14と、作動部(effector)34とを備える。患者パラメータ31は、心拍数または呼吸数のような任意の適当な患者パラメータであってもよく、そのパラメータは、患者の状態の重大な指標である。患者モニタ33および32は、患者パラメータ31をモニタリングし、互いに独立して患者パラメータ31に関するデータを収集する。患者モニタ32および33は、患者パラメータ31を異なる方法でモニタリングすることができる異なるタイプのモニタであってもよく、あるいは、同じタイプのモニタであるが互いに独立してデータを収集してもよい。たとえば、患者パラメータ31は呼吸数であってもよく、その場合、患者モニタ32はカプノメータであり、患者モニタ33は圧力センサである。患者パラメータ31が呼吸数である場合、患者モニタ32および33はまた、インピーダンスプレスチモグラフィ(IPG)、換気聴覚モニタ、換気湿度モニタ、換気温度モニタ、流量計、ガス分析器、胸壁または腹部径の変化を検出するモニタ、脈波変化(pulse wave variation)(PWV)モニタ(PWVモニタは、呼吸に対応する心拍出量(cardiac output)の変化を測定する)または他の任意の適当な呼吸モニタであってもよい。直交性のある冗長システム30はさらに、任意の適当な数のモニタを備え、その場合、かかるモニタは、互いに類似していてもよくまたは異なっていてもよい。圧力および吐出される二酸化物の波形のような、モニタリングされた情報を、コントローラ14に送信してもよい。
【0013】
コントローラ14は、たとえば、患者モニタ32および33からのデータが送信される鎮静・鎮痛システム22(図1)に統合されたマイクロコントローラであってもよい。コントローラ14を、作動部34を制御するようにプログラムしてもよく、本明細書において、プログラムされた発見的方法のさらなる実施形態についてさらに説明する。コントローラ14はさらに、本明細書においてさらに説明する安全データセットを含み、患者が潜在的に危険な状況にあるか否かを確かめるために、患者モニタ32および33からのデータを安全データセットからのデータと比較してもよい。作動部34は、患者の安全と臨床医の認識とを確実にすることのできる任意の適当な制御機能であってもよい。作動部34は、限定されないが、薬剤の減少、薬剤の増加、エアウェイ陽圧の変化、警報、事前警報、酸素送達、患者モニタ32および33からの追加のデータサンプリングの誘発、たとえば二酸化炭素およびオピオイド拮抗薬への薬剤の変化および患者の反応の問合せを含む。作動部34は、担当医に警報を与えることなく静かに開始してもよく、ユーザインタフェース12によって信号が送られてもよく、かつ/または開始される前にユーザからの確認を必要としてもよい。
【0014】
本明細書では直交性のある冗長性として知られる、別々のモニタリング技法を使用して単一の患者パラメータを複数でモニタリングすることにより、鎮静・鎮痛システム22およびユーザは、一方のモニタに存在するデータを他方に提示されたデータを用いて確認できる。たとえば、不安定なECGの読み値に基づいて警報を与える代りに、鎮静・鎮痛システム22は、脈拍酸素濃度計および非侵襲性血圧(NIBP)を監視して、ECGに提示されたデータを否定または肯定してもよい。冗長モニタリングシステムを同時に使用することにより、鎮静・鎮痛システム22は、誤検出の読み値を少なくすることにより、システムの特異性を向上させる。
【0015】
本発明による鎮静・鎮痛システムは、さまざまなモニタの冗長能力を利用してもよい。たとえば、通常、主機能が血液飽和データおよび情報を提供することである脈拍酸素濃度計がまた、心拍数データも提供し、それをECGモニタのような別のモニタからの心拍数データおよび情報と比較することができる。このように、本システムは、すべてのモニタリングされたパラメータに対し冗長サブシステムを有することにより、機器の費用を増大するのではなく、既存のデータおよび情報を効率的に利用することができる。
【0016】
図3は、鎮静・鎮痛システム22に、直交性のある冗長性を提供する方法100の一実施形態を示す。ステップ101は、単一の患者パラメータ31(図2)の複数のモニタを準備するものであり、ステップ101の複数のモニタは患者モニタ32および33(図2)であってもよく、または他の任意の適当な数の患者モニタであってもよい。ステップ102は、複数のモニタにより患者パラメータ31をモニタリングするものであり、患者パラメータは、たとえば心拍数であってもよく、複数のモニタは、ECG、脈拍酸素濃度計および非侵襲性血圧(NIBP)であってもよい。直交性のある冗長性を提供する方法100は、処置の期間を通して連続して問合せ103を行い、問合せ103では、患者モニタからコントローラ14に送信されたデータのいずれかが、コントローラ14に保持される安全データセット外であるか否かを確かめる。モニタのいずれも、患者パラメータ31がデータセット外にあることを示さない場合、鎮静・鎮痛システム22はステップ108に進み、ステップ108では、通常の鎮静・鎮痛システム22の機能を提供する。通常の鎮静・鎮痛システム22の機能は、たとえば、非侵襲性血圧(NIBP)を3分毎に循環させること、および臨床医によって確定された目標濃度(たとえば、目標効果部位濃度)の薬剤を送達することのような、事前に確定されたモニタリング特性であってもよい。問合せ103に対し「YES」の応答が与えられた場合、モニタのうちの少なくとも1つは、患者のモニタリングされたパラメータが安全データセットの外にあることを示し、直交性のある冗長性を提供する方法100は問合せ104に進む。
【0017】
問い合わせ104では、患者パラメータ31が安全データセット外にあるか否かに関して、ステップ101に関連する複数のモニタが一致しているか否かを確かめる。両モニタが一致している場合、各モニタは、患者が実際に安全データセット外にあることを示しており、直交性のある冗長性を提供する方法100はステップ105に進む。ステップ105では、患者パラメータ31が潜在的に危険である状態を緩和しようとするために、鎮静・鎮痛システム22に関連する作動部を開始する。ステップ105に関連する作動部は、限定されないが、薬剤目標濃度を低下させること、薬剤目標濃度を上昇させること、エアウェイ陽圧を送達すること、ステップ101に関連するモニタを作動させて、より多くの情報を選別すること、警報を与えること、薬剤をプロポフォルからたとえばオピオイド拮抗薬に変更すること、酸素を送達すること、及び切迫した悪い(negative)患者の状態を示す傾向に基づいて、事前警報を開始することを備える。
【0018】
患者パラメータ31が安全データセット外になる原因を緩和するために、ステップ105に従った任意の適当な処置をとるように、コントローラ14をプログラムしてもよい。心拍数および呼吸数の場合、これは薬剤の過剰投与の結果である可能性があり、鎮静・鎮痛システム22は、たとえば、薬剤送達を減少させ、担当医に警告し、迅速(stat)モニタリングシステムを介してより多くのデータを収集してもよく、鎮静・鎮痛システム発見的方法に組み込まれた迅速モニタリング機能の例は、米国特許出願第09/324,759号明細書において開示されている。ステップ105がアクティブである間、方法100はステップ102に戻り、直交性のある冗長性を提供する方法100がステップ108に進む場合、ステップ105の起動された作動部を停止させてもよい。ステップ108では、ステップ105に関連する作動部の開始に続いて通常の機能に戻るのを確認するように、臨床医に要求する。
【0019】
問合せ104に戻ると、ステップ101に関連するモニタが一致していない場合、すなわち、少なくとも1つが、患者パラメータ31が安全データセット外であることを示している場合、直交性のある冗長性を提供する方法100はステップ106に進む。ステップ106では、患者モニタから追加の情報を収集し、その場合、鎮静・鎮痛システム22は、不安定なデータの最初の兆候が見られた時点で警報を与えるのではなく、臨床医に警告する前に追加のデータを分析するために所定期間待機してもよい。追加のモニタリングのたとえば15秒後、直交性のある冗長性を提供する方法100は問合せ107に進む。
【0020】
問合せ107では、ステップ101に関連するモニタが、ステップ106の後、患者パラメータ31が依然として安全データセット外にあることを示すか否かを確かめる。患者パラメータ31が患者モニタのうちの少なくとも1つまたはモニタの大部分において依然として安全データセット外にある場合、直交性のある冗長性を提供する方法100はステップ105に進み、すべてのモニタがその時点で、患者パラメータ31が安全データセット外であるということに一致する場合、ステップ105の作動部は上述したように続行する。しかしながら、患者モニタは一致していないが、少なくとも1つのモニタは、患者パラメータ31が安全データセット外にあることを示す場合、ステップ105はさらに別のプロトコルを開始する。たとえば、患者パラメータ31が呼吸数であり、カプノメータおよび圧力モニタによってモニタリングされている場合に、圧力モニタは安全データセット外にあるデータを示すがカプノメータはこのようなデータを示さない場合、鎮静・鎮痛システム22は臨床医に警告するが、このようなことの確認を受け取るまで他の作動部を開始しない。臨床医をこのループ内にとどめておくことにより、たとえば患者を鎮静の状態でないようにする不要な作動部を回避することができ、モニタリング問題を依然として有効に評価しかつ/または訂正することができる。問合せ107に戻ると、すべてのモニタからのデータがすでに安全データセット外にない場合、直交性のある冗長性を提供する方法100はステップ102に進む。医療処置の間の任意の適当な時に、直交性のある冗長性を提供する方法100を終了してもよく、そこでは、臨床医の命令によりいかなる処置も迅速に中断してもよい。
【0021】
図4は、本発明による直交性のある冗長システム40のさらなる実施形態を示す。直交性のある冗長システム40は、患者パラメータ41と、副モニタ44と、主モニタ42および43と、コントローラ14と、作動部45とを備える。患者パラメータ31は、患者の心拍数、呼吸数または別の重大な生理学的パラメータであってもよい。副モニタ44は任意の適当なモニタであってもよく、たとえば、それは、患者パラメータ41に関するデータを提供するが、アーチファクトや外乱が生じる傾向があり、かつ/または他の理由で常に患者の状態の信頼性のある指示器であるとは限らない。患者パラメータ31が呼吸数である場合、副モニタ44は聴覚換気モニタであってもよく、このようなモニタはよく偽のデータを提供する。主モニタ42および43は、限定されないが、カプノメータ、圧力モニタ、流量計およびガス分析器のような、より信頼性のあるモニタリング装置であってもよい。処置において最も正確であると見なされるモニタは、処置によって異なる可能性があると考えられるが、ある場合の情報をさらに追加する聴覚モニタのように、それほど正確でないモニタを、より正確なモニタと協働するように提供することが有益である場合がある。
【0022】
直交性のある冗長システム40を、直交性のある冗長性を提供する方法100に示す方法で動作させてもよいが、鎮静・鎮痛システムがその慎重な意思決定において主モニタ43、42のみを考慮してもよい。直交性のある冗長性により、コントローラ14によって処理されると共に臨床医に提示されるデータが真の患者の状態を表すことを確実にするために、複数のモニタが単一の生理学的特性をモニタリングすることが保証される。すべてのモニタが正確なデータまたは情報を提供している場合、単一の患者パラメータのモニタの数が多いほど、臨床医に対して追加の情報を提供することができるが、モニタによっては、アーチファクトの影響を非常に受け易く、定常動作において鎮静・鎮痛システム22の慎重な意思決定プロセスに直接統合することができない場合がある。これを考慮して、直交性のある冗長システム40は、たとえばユーザインタフェース12を介して臨床医に表示してもよい副モニタ44を追加することを備えるが、それらは、システムの慎重な意思決定プロセスにおいて主モニタ42および43とは統合されない。本発明は、任意の適当な主モニタおよび副モニタの追加を備え、このようなモニタのうちの一部は鎮静・鎮痛システム22の意思決定プロセスに統合されるが、その他は単に臨床医にデータを提示するたけでもよい。
【0023】
図5は、鎮静・鎮痛システム22に統合されたモニタに、ポイントまたは重みを割り当てる(ascribe)ことを含む、本発明による直交性のある冗長システム50のさらなる実施形態を示す。このようなポイントは、鎮静・鎮痛システム22に対し、それぞれのモニタから受信されたデータの重要度(criticality)を示す。たとえば、モニタ54および55を、モニタ52および53より重要でなくかつ/または正確でないとみなしてもよく、したがって、モニタ54および55を10ポイントモニタと指定する一方、モニタ52および53を5ポイントモニタと指定してもよい。4つのモニタすべて(任意の適当な数のモニタを使用してもよい)が同じ患者パラメータ51をモニタリングしてもよく、その場合、患者パラメータ51は、たとえば心拍数または呼吸数であってもよい。モニタ52、53、54および55は、鎮静・鎮痛システムのコントローラ14と通信し、コントローラ14は、その組み込まれたプログラミングに基づいて作動部56を開始する。直交性のある冗長システム50のポイントシステムを利用する発見的方法について、図6を参照してさらに説明する。さらに、直交性のある冗長性モニタの重要性を分類する、任意の適当なポイントシステムまたは手段が、本発明に従うものであるということが考えられる。
【0024】
図6は、直交性のある冗長システム50(図5)を採用する方法200の一実施形態を示し、ステップ201では、複数のモニタ52、53、54および55を準備し、このようなモニタは、患者パラメータ51をモニタリングする際に、それらの重要性および/または精度に関してポイント値が割り当てられる。たとえば、患者パラメータ51が呼吸数である場合、モニタ55は聴覚モニタであると共にモニタ54は換気湿度モニタであってもよく、このような両モニタには、それらが偽のデータを提供する傾向があるため、モニタ52および53より低い5ポイントが割り当てられる。モニタ53はカプノメータであると共にモニタ52は換気圧力モニタであってもよく、このような両モニタには、それらが患者パラメータ51をモニタリングする際の重要性および/または精度がより高いため、モニタ54および55より高い10ポイントが割り当てられる。
【0025】
ステップ202では、複数のモニタ52、53、54および55を使用して選択された患者パラメータをモニタリングする。問合せ203では、モニタ52、53、54および55のうちのいずれかが安全データセット外であるデータを示すか否かを確かめる。モニタのいずれも潜在的に危険である患者の状況を表すデータを示さない場合、直交性のある冗長システム50を採用する方法200はステップ206に進む。ステップ206では、警報、酸素送達およびエアウェイ陽圧の適用を行わずに、たとえば目標濃度のような通常の機能を維持する。ステップ206は、連続してステップ202に戻ることにより、患者パラメータ51が処置の期間を通して確実に許容可能な範囲内にあるようにする。モニタ52、53、54および55のうちの少なくとも1つが、安全データセット外にあるデータを示す場合、直交性のある冗長システム50を採用する方法200は問合せ204に進む。
【0026】
問合せ204では、潜在的に危険である患者の状態を示すモニタの割り当てられたポイント値が、合計して所定閾値より大きい数になるか否かを確かめる。たとえば、潜在的に重要であるデータを表示するモニタのポイント値が合計して15以上の数になる場合に、たとえば警報を与え薬剤送達を中止するようにコントローラ14をプログラムしてもよい。たとえば、モニタ55(5ポイントモニタ)とモニタ53(10ポイントモニタ)とがともに、安全データセット外のデータを示す場合、所定ポイント閾値が満たされており、鎮静・鎮痛システム22は警報を与えて薬剤送達を中止する。しかしながら、モニタ55およびモニタ54(ともに5ポイントモニタ)が、安全データセット外のデータを示す場合、所定ポイント閾値は満たされておらず、鎮静・鎮痛システム22は、ステップ206に従って通常の機能を継続する。
【0027】
より信頼性のあるかつ/またはより重要なモニタから受信された情報に重みを与えることにより、鎮静・鎮痛システム22は、患者パラメータ51の状態をより正確に確かめることができる可能性がある。モニタ52、53、54および55が同じ患者パラメータをモニタリングしているため、患者パラメータ51における実際の変化が、4つのすべてのモニタにおいて示されるはずである。このような変化が例示したモニタのうちの1つのみにおいて発生する場合、すなわち、同じ患者パラメータをモニタリングしている他のモニタが同じ変化を検出しない場合、他のモニタとは異なるデータを送信しているモニタが不正確である可能性がある。鎮静・鎮痛システム22および臨床医に、できる限り正確なデータを提供するために、慎重な意思決定プロセスにおいて、重要かつ正確なモニタほど、より多くのポイントまたは重みを与えてもよい。
【0028】
ステップ205では、患者パラメータ31の潜在的に危険である状態を緩和しようとして、鎮静・鎮痛システム22に関連する作動部を開始する。ステップ205に関連する作動部は、限定されないが、薬剤目標濃度を低下させること、薬剤目標濃度を上昇させること、エアウェイ陽圧を送達すること、ステップ201に関連するモニタを、より多くの情報を選別するように誘発すること、警報を与えること、薬剤をプロポフォル(propofol)からたとえばオピオイド拮抗薬に変更すること、酸素を送達すること、および悪い患者の状態が切迫していることを示す傾向に基づき事前警報を開始することを含む。
【0029】
所定ポイント閾値を超えるのに十分な数のモニタにおいて、患者パラメータ31が安全データセット外になる原因を緩和するように、ステップ205に従って任意の適当な処置を行うように、コントローラ14をプログラムしてもよい。心拍数および呼吸数の場合、悪い患者の状態は、薬剤の過剰投与の結果である可能性があり、鎮静・鎮痛システム22は、たとえば、薬剤送達を減少させ、担当医に警告を与え、かつ迅速モニタリングシステムを介してより多くのデータを収集してもよい。ステップ205がアクティブである間、直交性のある冗長システム50を採用する方法200はステップ202に戻り、この場合に直交性のある冗長システム50を採用する方法200がステップ206に進むと、ステップ205の起動された作動部を停止してもよい。ステップ206では、ステップ205に関連する作動部の開始に続き、通常の機能に戻ることを確認するように臨床医に要求する。
【0030】
本発明は、任意の適当な患者または鎮静・鎮痛システムパラメータをモニタリングするために、直交性のある冗長性を採用することを備える。さらに、鎮静・鎮痛システム22の技術的要素が、直交性のある冗長性を採用してもよいということが考えられ、たとえばソフトウェア機能のようなさまざまなシステム機能を、本発明の方法によって機能するさまざまな冗長性のある独立したモニタリングシステムによってモニタリングしてもよい。本発明は、作動部と、モニタと、モニタリングされた患者の安全を確実にするために必要な患者パラメータとの任意の適当な組合せを備える。本発明はさらに、患者の状態がいかに重症であると判断されるかに基づき、悪い患者の状況を克服するように異なる作動部を開始することまたは異なるレベルの作動部を開始することを備える。このようなさまざまな閾値の例は、米国特許出願第09/324,759号明細書に開示されており、任意の適当な作動部、モニタおよび患者パラメータに対する任意の適当な閾値は本発明に従うものである。
【0031】
本明細書において、本発明の例示的な実施形態を示し記載したが、当業者には、このような実施形態が単に例として与えられていることが明らかであろう。当業者には、出願人が本明細書で開示する本発明の範囲から逸脱することなく、多数の実質的でない変形、変更および代用が明らかであろう。したがって、本発明は、許可されるような特許請求の範囲による精神および範囲によってのみ限定されるということが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による鎮静・鎮痛システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明による直交性のある冗長システムの一実施形態を示す図である。
【図3】鎮静・鎮痛システムに直交性のある冗長性を提供する方法の一実施形態を示す図である。
【図4】本発明による直交性のある冗長システムのさらなる実施形態を示す図である。
【図5】鎮静・鎮痛システムに統合されたモニタにポイントを割り当てることを備える、本発明による直交性のある冗長システムのさらなる実施形態を示す図である。
【図6】直交性のある冗長システムを採用する方法のさらなる実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に結合すると共に該患者の1つ以上の生理学的状態を反映する信号を生成するように適合された2つ以上の患者の健康状態モニタ装置であって、該患者の健康状態モニタ装置のそれぞれの動作原理は異なっている患者の健康状態モニタ装置と、
ユーザインタフェースと、
1つ以上の薬剤を前記患者に供給する薬剤送達コントローラと、
モニタリングされた前記患者の前記生理学的状態のうちの少なくとも1つの、安全なパラメータおよび望ましくないパラメータを反映する安全データセットを格納するメモリ装置と、
患者の安全と臨床医の認識とを確実にする1以上の作動部と、
前記患者の健康状態モニタ装置、前記ユーザインタフェース、前記薬剤送達コントローラ、前記安全データセットを格納する前記メモリ装置、及び前記作動部が相互に接続され、前記信号を受信し、該信号に応じて前記安全データセットに従って前記作動部を制御する電子コントローラと
を備える鎮静・鎮痛システム。
【請求項2】
前記患者の健康状態モニタ装置はタイプが異なる請求項1に記載の鎮静・鎮痛システム。
【請求項3】
前記患者の健康状態モニタ装置はそれぞれ、前記患者の類似した生理学的状態を反映する信号を生成する請求項2に記載の鎮静・鎮痛システム。
【請求項4】
前記患者の健康状態モニタ装置の少なくとも1つは高感度を提供し、
他の前記患者の健康状態モニタ装置の少なくとも1つは高特異性を提供する
請求項3に記載の鎮静・鎮痛システム。
【請求項5】
前記患者の健康状態モニタ装置は、互いに独立して、前記患者の前記生理学的状態に関するデータを収集する請求項1に記載の鎮静・鎮痛システム。
【請求項6】
前記患者の健康状態モニタ装置は、
2つ以上の主モニタと、
少なくとも1つの副モニタと
を備え、
前記主モニタは前記鎮静・鎮痛システムの意思決定プロセスに組み込まれ、前記副モニタは前記臨床医にデータを提示する請求項1に記載の鎮静・鎮痛システム。
【請求項7】
前記患者の健康状態モニタ装置の少なくともいくつかには、患者パラメータをモニタリングする重要性および精度のうちの少なくとも一方に関するポイント値が割り当てられる請求項1に記載の鎮静・鎮痛システム。
【請求項8】
前記作動部は、
薬剤目標濃度を低下させることと、
薬剤目標濃度を上昇させることと、
エアウェイ陽圧を送達することと、
前記患者の健康状態モニタ装置を作動させて、より多くの情報を選別することと、
警報することと、
薬剤を変更することと、
酸素を送達することと、
切迫した悪い患者の状態を示す傾向に基づいて、事前警報を開始することと
のうちの少なくとも1つを備える請求項1に記載の鎮静・鎮痛システム。
【請求項9】
患者の健康状態をモニタリングする第1の手段と、
前記患者の健康状態をモニタリングする第2の手段であって、該第2の手段は前記第1の手段とは異なり、該第1の手段及び該第2の手段のそれぞれは、前記患者の1つ以上の生理学的状態を反映する信号を生成する第2の手段と、
ユーザインタフェースと、
1つ以上の薬剤を前記患者に供給する薬剤送達コントローラと、
モニタリングされた前記患者の前記生理学的状態のうちの少なくとも1つの、安全なパラメータおよび望ましくないパラメータを反映する安全データセットを格納するメモリ手段と、
患者の安全と臨床医の認識とを確実にする1つ以上の作動部と、
前記第1の手段と前記第2の手段、前記ユーザインタフェース、前記薬剤送達コントローラ、前記メモリ手段、及び前記作動部が相互に接続され、前記信号を受信し、該信号に応じて前記安全データセットに従って前記作動部を制御する電子コントローラと
を備える鎮静・鎮痛システム。
【請求項10】
鎮静・鎮痛システムに直交性のある冗長性を提供する方法であって、
単一の患者パラメータに関する患者データを送信する、複数のモニタを準備するステップと、
前記モニタで前記患者パラメータをモニタリングするステップと、
前記モニタから送信されたデータのいずれかが所定の安全データセット外であるか否かを確かめるステップと、
前記データのいずれもが前記安全データセット外でない場合、通常の鎮静・鎮痛システム機能を提供するステップと、
前記データのうちの少なくともいくつかが前記安全データセット外である場合、前記モニタは、前記データが前記安全データセット外であるか否かに関して一致しているか否かを確かめるステップと、
前記モニタが、データが前記安全データセット外であることに一致する場合、鎮静・鎮痛システムに関連する作動部を始動するステップと
を備える方法。
【請求項11】
前記モニタが、データが前記安全データセット外であることに一致しない場合、前記モニタから追加の情報を収集し、少なくとも1つのモニタからのデータが前記安全データセット外であり続けるか否かを確かめるステップと、
前記モニタが、データが前記安全データセット外であることに一致しないままである場合、別の所定のプロトコルを開始するステップと
をさらに備える請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記別の所定のプロトコルは、臨床医に警告するステップを備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】
作動部を開始するために、前記臨床医の確認を必要とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記作動部は、
薬剤目標濃度を低下させることと、
薬剤目標濃度を上昇させることと、
エアウェイ陽圧を送達することと、
前記モニタを作動させて、より多くの情報を選別することと、
警報することと、
薬剤を変更することと、
酸素を送達することと、
切迫した悪い患者の状態を示す傾向に基づいて、事前警報を開始することと
のうちの少なくとも1つを備える請求項10に記載の方法。
【請求項15】
鎮静・鎮痛システムと使用するために、直交性のある冗長システムを採用する方法であって、
患者パラメータをモニタリングする重要性と精度とのうちの少なくとも1つに関してポイント値が割り当てられる、複数のモニタを準備するステップと、
前記モニタで前記患者パラメータをモニタリングするステップと、
前記モニタから送信されたデータのいずれかが所定の安全データセット外であるか否かを確かめるステップと、
前記データのいずれもが前記安全データセット外でない場合、通常の鎮静・鎮痛システム機能を提供するステップと
を備える方法。
【請求項16】
前記データのうちの少なくともいくつかが前記安全データセット外である場合、潜在的に危険である患者の状態を示す、割り当てられた前記モニタのポイント値が、合計して所定閾値より大きい数になるか否かを確かめるステップと、
前記割り当てられたポイント値の前記合計が所定値を越える場合、前記鎮静・鎮痛システムに関連する作動部を始動するステップと
を備える方法。
【請求項17】
前記作動部は、
薬剤目標濃度を低下させることと、
薬剤目標濃度を上昇させることと、
エアウェイ陽圧を送達することと、
前記モニタを作動させて、より多くの情報を選別することと、
警報することと、
薬剤を変更することと、
酸素を送達することと、
切迫した悪い患者の状態を示す傾向に基づいて、事前警報を開始することと
のうちの少なくとも1つを備える請求項16に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に結合すると共に該患者の1つ以上の生理学的状態を反映する信号を生成するように適合された2つ以上の患者の健康状態モニタ装置であって、該患者の健康状態モニタ装置のそれぞれの動作原理は異なっている患者の健康状態モニタ装置と、
ユーザインタフェースと、
1つ以上の薬剤を前記患者に供給する薬剤送達コントローラと、
モニタリングされた前記患者の前記生理学的状態のうちの少なくとも1つのパラメータを反映する安全データセットを格納するメモリ装置と、
患者の安全と臨床医の認識とを確実にする1以上の作動部と、
前記患者の健康状態モニタ装置、前記ユーザインタフェース、前記薬剤送達コントローラ、前記安全データセットを格納する前記メモリ装置、及び前記作動部が相互に接続され、前記信号を受信し、該信号に応じて前記安全データセットに従って前記作動部を制御する電子コントローラと
を備える鎮静・鎮痛システム。
【請求項2】
前記患者の健康状態モニタ装置はタイプが異なる請求項1に記載の鎮静・鎮痛システム。
【請求項3】
前記患者の健康状態モニタ装置はそれぞれ、前記患者の類似した生理学的状態を反映する信号を生成する請求項2に記載の鎮静・鎮痛システム。
【請求項4】
前記患者の健康状態モニタ装置の少なくとも1つは高感度を提供し、
他の前記患者の健康状態モニタ装置の少なくとも1つは高特異性を提供する
請求項3に記載の鎮静・鎮痛システム。
【請求項5】
前記患者の健康状態モニタ装置は、互いに独立して、前記患者の前記生理学的状態に関するデータを収集する請求項1に記載の鎮静・鎮痛システム。
【請求項6】
前記患者の健康状態モニタ装置は、
2つ以上の主モニタと、
少なくとも1つの副モニタと
を備え、
前記主モニタは前記鎮静・鎮痛システムの意思決定プロセスに組み込まれ、前記副モニタは前記臨床医にデータを提示する請求項1に記載の鎮静・鎮痛システム。
【請求項7】
前記患者の健康状態モニタ装置の少なくともいくつかには、患者パラメータをモニタリングする重要性および精度のうちの少なくとも一方に関するポイント値が割り当てられる請求項1に記載の鎮静・鎮痛システム。
【請求項8】
前記作動部は、
薬剤目標濃度を低下させることと、
薬剤目標濃度を上昇させることと、
エアウェイ陽圧を送達することと、
前記患者の健康状態モニタ装置を作動させて、より多くの情報を選別することと、
警報することと、
薬剤を変更することと、
酸素を送達することと、
切迫した悪い患者の状態を示す傾向に基づいて、事前警報を開始することと
のうちの少なくとも1つを備える請求項1に記載の鎮静・鎮痛システム。
【請求項9】
患者の健康状態をモニタリングする第1の手段と、
前記患者の健康状態をモニタリングする第2の手段であって、該第2の手段は前記第1の手段とは異なり、該第1の手段及び該第2の手段のそれぞれは、前記患者の1つ以上の生理学的状態を反映する信号を生成する第2の手段と、
ユーザインタフェースと、
1つ以上の薬剤を前記患者に供給する薬剤送達コントローラと、
モニタリングされた前記患者の前記生理学的状態のうちの少なくとも1つの、患者の状態を反映するパラメータを格納するメモリ手段と、
患者の安全と臨床医の認識とを確実にする1つ以上の作動部と、
前記第1の手段と前記第2の手段、前記ユーザインタフェース、前記薬剤送達コントローラ、前記メモリ手段、及び前記作動部が相互に接続され、前記信号を受信し、該信号に応じて前記患者の状態を反映するパラメータに従って前記作動部を制御する電子コントローラと
を備える鎮静・鎮痛システム。
【請求項10】
前記安全データセットは、心電計からの電気的活動の測定値の安全パラメータを反映する請求項1に記載の鎮静・鎮痛システム。
【請求項11】
前記安全データセットは、心拍数の読み値の安全パラメータを反映する請求項1に記載の鎮静・鎮痛システム。
【請求項12】
医学的および/または外科的処置の間に、麻酔医でないユーザが、全身麻酔下ではなく鎮静を必要としている患者に対し、鎮静を提供するために使用する装置であって、
前記処置の間に、ある薬剤投与率の鎮静剤を前記患者に送達する薬剤送達装置と、
前記処置の間に患者に結合されるように適合された2つ以上の患者の健康状態モニタ装置であって、それぞれは、前記患者の少なくとも1つのモニタリングされた生理学的状態の測定値を反映する信号を生成し、前記患者の健康状態モニタ装置のそれぞれの動作原理は異なる、患者の健康状態モニタ装置と、
該患者の健康状態モニタ装置のそれぞれと前記薬剤送達装置とに動作可能に接続されたプロセッサであって、前記モニタリングされた生理学的状態の前記患者の状態を反映するアクセス可能なパラメータを有し、該パラメータは前記処置に関連する、ある範囲の患者の状態と相関するプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、前記処置の間に前記患者の健康状態モニタ装置のそれぞれによって生成される前記信号を受信し、正常範囲外で、ある患者の状態の兆候または兆候の可能性のあるものを特定するために、前記パラメータを使用して前記信号において反映された前記測定値を分析し、前記患者の状態の該兆候または兆候の可能性のあるものを治療するために、前記薬剤投与率のあり得る変更を示す信号を生成するソフトウェアに従って動作し、
前記プロセッサの前記信号は、前記測定値が前記正常範囲外の程度に依存した処置を示す装置。
【請求項13】
前記患者の健康状態モニタ装置はタイプが異なる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記患者の健康状態モニタ装置はそれぞれ、前記患者の類似した生理学的状態を反映する信号を生成する請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記患者の健康状態モニタ装置の少なくとも1つは高感度を提供し、他の前記患者の健康状態モニタ装置の少なくとも1つは高特異性を提供する請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
前記患者の健康状態モニタ装置は、互いに独立に前記患者の生理学的状態に関するデータを収集する請求項12〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記患者の健康状態モニタ装置は、
2つ以上の主モニタと、
少なくとも1つの副モニタと
を備え、
前記主モニタは前記鎮静・鎮痛システムの前記意思決定プロセスに組み込まれ、
前記副モニタは臨床医にデータを提示する請求項12に記載の装置。
【請求項18】
前記患者の健康状態モニタ装置の少なくともいくつかには、患者パラメータをモニタリングする際のそれらの重要性および精度のうちの少なくとも一方に関するポイント値が割り当てられる請求項12〜17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記作動部は、
薬剤目標濃度を低下させることと、
薬剤目標濃度を上昇させることと、
エアウェイ陽圧を送達することと、
前記患者の健康状態モニタ装置を作動させて、より多くの情報を選別することと、
警報を与えることと、
薬剤を変更することと、
酸素を送達することと、
切迫した悪い患者の状態を示す傾向に基づいて、事前警報を開始することと
のうちの少なくとも1つを備える請求項12〜18のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−501900(P2006−501900A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−541713(P2004−541713)
【出願日】平成15年10月3日(2003.10.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/031908
【国際公開番号】WO2004/030724
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(502451904)スコット・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】SCOTT LABORATORIES, INC.
【住所又は居所原語表記】2804 N. Loop 289, Lubbock, Texas 79415, United States of America
【Fターム(参考)】