説明

鏝塗り作業性が向上したセメント組成物

【課題】 左官工によるモルタル塗仕上げ工法では、モルタルを下塗りした後、鏝押えを行って平滑な表面に仕上げる工法が一般的にとられている。本発明は、鏝を用いたモルタルの下塗り過程から、下塗りした表面を仕上げる鏝押えの過程を通して、良好な鏝塗り作業性と優れたモルタル仕上げ面の形成を両立できるセメント組成物の提供を目的とした。
【解決手段】 本発明のセメント組成物は、セメント、細骨材、保水剤及び増粘剤を含み、保水剤がアミローゼとアミロペクチンとを含む天然多糖類を加工した化工澱粉であり、セメント100質量部に対して保水剤が0.02〜0.18質量部であるセメント組成物であり、良好な鏝塗り作業性と優れたモルタル仕上げ面が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏝離れ性が良好で、良好な施工仕上げ面の形成に適した保水性を有しつつ、水浮きがないモルタルの調製に好適なセメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート表面のモルタル塗仕上げは、施工が簡易であり経済的にも安価であることから多く用いられている。モルタル塗仕上げ工法は、使用材料としてポルトランド系セメントと砂を用いて、これに適当量の水を加えたセメントモルタルをコンクリートの表面に塗布する方法である。
【0003】
モルタル塗仕上げ表面の粗さを改善して平滑性、光沢性を向上させる方法として、特許文献1には、皮膜形成剤としてオリゴ糖あるいは澱粉糖をセメントに添加したセメント組成物が開示されている。
【0004】
流動性を低下させることなく、低温時の凝結時間の遅れがなく、連行空気を増加させることもなく、ブリーディングや材料分離を防止する方法として、特許文献2には、セメント添加材にエーテル結合を有し、水酸化カルシウム飽和溶液中での膨潤度が2〜8重量%の架橋澱粉を用いたセメント組成物が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平6−92705号公報
【特許文献2】特開平8−26803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
左官工によるモルタル塗仕上げ工法では、壁面あるいは床面に鏝を使用してモルタルを下塗りした後、鏝押えを行って平滑な表面に仕上げる工法が一般的にとられている。
本発明は、左官工が、鏝を用いて壁面あるいは床面に、モルタルを下塗りしたのち、再度鏝を用いて平滑な表面に仕上げる鏝押えの2段階の作業を踏むことを想定して、良好な鏝塗り作業性と優れたモルタル仕上げ面が得られるセメント組成物の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、セメントと細骨材に、特定の保水剤と増粘剤とを組合わせて用い、モルタルを下塗りする過程で適度な保水性と適正なモルタル粘性を付与することによって、良好な鏝ばなれ性と次の仕上作業に適した微小な凹凸を有した表面状態が形成できること、さらに仕上げの鏝押え作業の過程でも、モルタル仕上げ面に対して良好な鏝ばなれ性を有しつつ、平滑な仕上げ面が得られ、仕上げ面の表面からの水浮きがなく、良好な鏝塗り作業性と優れたモルタル仕上げ面が得られることを見出して本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明に係るセメント組成物は、セメント、細骨材、保水剤及び増粘剤を含み、保水剤がアミローゼとアミロペクチンとを含む天然多糖類を加工した化工澱粉であり、セメント100質量部に対して保水剤が0.02〜0.18質量部であることを特徴とするセメント組成物である。
さらに、本発明に係るセメント組成物は、セメント100質量部に対して、細骨材が50〜200質量部、増粘剤が0.02〜0.18質量部であることを特徴とするセメント組成物である。
【0009】
本発明のセメント組成物の好ましい様態を示し、これらは複数組合わせることができる。
1)増粘剤がメチルセルロース系増粘剤であること。
2)セメント組成物が、さらに膨張材と滑性骨材と軽量骨材とから選ばれる少なくとも1種を含み、コンクリートの断面修復に用いられること。
3)セメント組成物と水とを混練して得られるモルタルであること。
4)セメント組成物と水との配合物を硬化させて得られる硬化物であること。
【発明の効果】
【0010】
本発明のセメント組成物は、セメントに保水剤と増粘剤とを組合わせて用い、モルタルを粗塗りする過程で適度な保水性と適正なモルタル粘性を付与することによって、良好な鏝ばなれ性と次の仕上作業に適した微小な凹凸を有した表面状態が形成できること、さらに仕上げの鏝作業の過程でも、モルタル仕上げ面に対して良好な鏝ばなれ性を有しつつ、平滑な仕上げ面が得られ、仕上げ面の表面からの水浮きがなく、良好な鏝塗り作業性と優れたモルタル仕上げ面が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のセメント組成物は、セメント、細骨材、保水剤及び増粘剤の配合割合を適宜選択することができ、好ましくはセメント100質量部に対し、細骨材が50〜200質量部、さらに好ましくは52〜180質量部、より好ましくは54〜160質量部、特に好ましくは55〜150質量部含み、保水剤が0.02〜0.18質量部、さらに好ましくは0.02〜0.15質量部、より好ましくは0.025〜0.12質量部、特に0.03〜0.12質量部含むことが好ましく、増粘剤が0.02〜0.18質量部、さらに好ましくは0.02〜0.15量部、より好ましくは0.025〜0.12質量部、特に0.03〜0.12質量部含むことが好ましい。
保水剤及び増粘剤の配合割合が、それぞれ0.18質量部を超えると、下塗り作業時のコテ離れ性及び仕上げのコテ押え性が悪くなるため好ましくない。
【0012】
特に細骨材、保水剤及び増粘剤の配合量は、上記範囲が保水性とモルタル粘性のバランスに優れ、良好な鏝離れ性と表面性状に優れたモルタル硬化体が得られる。
【0013】
本発明のセメント組成物に使用するセメントは特に限定されるものではなく、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメントなどのポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメントなどの混合セメントを使用することができる。
【0014】
本発明に使用する細骨材としては、珪砂、川砂、海砂、山砂、陸砂、寒水石、炭カルなどの砂類が使用でき、細骨材の粒度は、好ましくは0.05〜3.5mm、さらに好ましくは0.075〜2mm、特に好ましくは0.075〜1.5mmのものを好ましく用いることができる。
【0015】
本発明に使用する保水剤は、馬鈴薯及びタピオカなどを主原料とした、アミローゼとアミロペクチンとを含む天然多糖類系の化工澱粉を用いることが好ましい。
本発明に好適に使用される保水剤は、馬鈴薯及びタピオカなどを主原料とする天然多糖類系の化工澱粉であり、分子構造にアミロースの直鎖構造とアミロペクチンの分枝構造を有していて、その重合度は好ましくは1800〜7000、より好ましくは2000〜6500、特に好ましくは2200〜6000の範囲のものである。
本発明に使用される保水剤は、天然多糖類系の化工澱粉であり、その乾燥状態での脂質含有量は、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.25%以下、特に好ましくは0.2%以下のものが好適に使用でき、コーンスターチや小麦澱粉のように乾燥状態の脂質含有量が0.5%を超えるものは本発明の保水剤として好ましくない。
上記のような天然多糖類系の化工澱粉を保水剤として用いることにより、施工面に下塗りすると、下塗り面の表面が適度な凹凸面を有する状態となり、その後の仕上げ作業に適した水分状態を保持しており、仕上げの鏝押えによって平滑な仕上面を形成できる。
【0016】
本発明に使用する増粘剤は、セルロース系、蛋白質系、ラテックス系、及び水溶性ポリマー系などを用いることが出来、本発明の特性を損なわない範囲で一種又は二種以上を添加することができる。本発明では、特にメチルセルロース系増粘剤を好適に用いることができる。
増粘剤を用いることによって、特に床面に厚塗り施工するような場合に、ブリーディング水の発生を大幅に抑制することができる。
【0017】
本発明のセメント組成物は、細骨材、保水剤及び増粘剤のほかに、必要に応じて、膨張材と滑性骨材と軽量骨材とから選ばれる少なくとも1種を配合することが好ましい。
【0018】
本発明のセメント組成物のモルタルを壁面あるいは床面に鏝塗り施工する場合、無収縮性で硬化中の体積変化が極めて小さいことが必要であるが、本発明では、膨張材を配合することにより、モルタルの硬化時に起こる体積変化を抑制することができる。
【0019】
膨張材としては、カルシウムサルフォアルミネート系、石灰−石膏系及び石灰系などの膨張材の使用が好ましく、一種又は二種以上の混合物として使用できる。特に石灰−石膏系の膨張材を用いることが好ましい。
【0020】
膨張材の配合量は、セメント100質量部に対して、石灰−石膏系膨張材では、好ましくは1〜20質量部、さらに好ましくは1.5〜15質量部、より好ましくは2〜12質量部、特に3〜10質量部を用いることが好ましい。
【0021】
本発明のセメント組成物では、鏝塗作業性およびモルタル面の仕上りが重要な要素となり、作業性改良効果を有する滑性骨材及び/又は軽量骨材を配合することにより鏝離れ性などの作業性や仕上り面の平滑性などを改良することができる。
【0022】
滑性骨材は、鏝塗り作業において壁面や床面に塗布されたモルタルと、鏝表面との摩擦を適度に低減する効果があると考えられる。
滑性骨材としては、ろう石、滑石、タルク、パイロフィライトなどの軟質無機成分を好ましく用いることができ、滑性骨材の粒度は、好ましくは0.05〜1500μm、さらに好ましくは0.1〜1000μm、特に好ましくは0.15〜500μmのものを好ましく用いることができる。
滑性骨材の配合量は、セメント100質量部に対して、好ましくは1〜10質量部、さらに好ましくは2〜9質量部、特に好ましくは3〜8質量部の範囲が、滑性付与効果が適正で、鏝塗作業性の改善効果が高く好ましい。
【0023】
本発明のセメント組成物では、軽量骨材を配合することにより、鏝塗りや鏝押えの過程で、軽量骨材自体の形状が一部崩壊することによって、吸水していた水分の一部がモルタル表面に開放されて作業鏝の滑りが向上し、鏝離れ性などの作業性や仕上がり面の平滑性などが改善される効果を得ることができる。
軽量骨材としては、黒曜石や真珠岩を加熱発泡させたパーライトや、石炭ガス化スラグを加熱発泡させた軽量骨材などを好適に用いることができ、特にパーライトを用いた場合、優れた鏝塗り作業性が得られることから好ましい。
本発明で用いる軽量骨材の粒度は、好ましくは0.1〜5mm、さらに好ましくは0.2〜4mm、特に好ましくは0.3〜3mmのものを好ましく用いることができる。
軽量骨材の配合量は、セメント100質量部に対して、好ましくは50〜200リットル、さらに好ましくは80〜180リットル、特に好ましくは100〜150リットルの範囲で良好な鏝塗り作業性を得ることができる。
【0024】
本発明のセメント組成物では、滑性骨材と軽量骨材とを合わせて用いることが好ましい。これは、滑性骨材が有する効果、即ちモルタルと鏝表面との摩擦を適度に低減する効果と、軽量骨材が吸水していた水分の一部をモルタル表面に開放する効果が、相乗的に機能し合うものと考えられ、それぞれを単独で用いるよりも優れた鏝離れ性などの作業性と仕上がり面の平滑性を得ることができる。
【0025】
本発明のセメント組成物は、細骨材、保水剤及び増粘剤のほかに、必要に応じて本発明の特性を損なわない範囲で、流動化剤、凝結速度調整剤、高分子エマルジョン、有機短繊維などの成分を配合することができる。
【0026】
本発明のセメント組成物は、水の添加量を調整することにより、流動性、保水量、鏝塗り作業性などを調整することができる。
【0027】
水の添加量は、セメント組成物100質量部に対し、好ましくは20〜50質量部、さらに好ましくは23〜45質量部、より好ましくは25〜42質量部、特に好ましくは25〜40質量部加えて用いることが好ましい。
【実施例】
【0028】
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例により制限されるものでない。
【0029】
(特性の評価方法)
1)フロー値(mm):
JIS R 5201 セメントの物理試験方法のフロー試験に準ずる。
2)保水性(mm):
厚さ5mmの磨き板ガラスの上にJIS P 3801に規定する5Aろ紙(直径11cm)をのせ、その中央部にリング型枠(真ちゅう製で内径50mm、高さ10mm、厚さ3mm)を設置し、練り混ぜたモルタルを型枠内に平滑に詰め込む。その後、直ちにリング型枠上部に、ろ紙およびガラス板を当て上下を逆さにひっくり返して静置する。5分後に上部ろ紙へにじみ出た水分の広がりが最大と認められた方向と、これに直角な方向の長さをスケール用いて1mmまで測定し、二方向の測定値の平均長さを保水性とする。
3)下塗りの表面状態(凹凸状態)および仕上げ鏝押えの表面状態(平滑性):
練り上がったモルタルをコテ板に取り、左官用コテを用いてコンクリート壁面および床面に、充分にコテ圧をかけて擦り付け(地ごすり)、下地とセメント組成物とを馴染ませた後、下塗りを想定して10mm厚さに一回で塗り付け、そのモルタル表面の凹凸状態を観察する。
次に、下塗りしたモルタル表面の水分(水引き)状態を確認し、仕上コテにて下塗りモルタル表面を押さえて、仕上りの平滑状態を確認する。
4)塗り付け後の表面の水浮き:
JIS R 5201セメントの物理試験方法の機械練り用練混ぜ機を用い、試料1kgを練り鉢に入れ、練混ぜ機を始動させながら、適正フロー値が得られる量の混練水を注ぎ入れ3分間練混ぜる。練り上がったモルタル表面を軽く均した後、練り鉢内で静置し、1時間後のモルタル表面の水浮き(ブリーディング水)の有無を確認する。
5)鏝離れ(施工性):
練り上がったモルタルを、左官用コテを用いて壁面および床面に塗り付けた際のモルタルとコテとの付着度合・粘着度合で評価する。高粘性のベタベタしたモルタルは鏝離れが悪く、作業性が不良となる。
【0030】
原料は以下のものを使用した。
1)セメント:
・ポルトランドセメント(宇部普通ポルトランドセメント、ブレーン比表面積3300cm/g)。
2)細骨材:
・珪砂 :7号珪砂(瓢屋製、粒度:<0.3mm、平均粒径=0.075mm)
・寒水石:日立寒水石製。
・炭カル:日立寒水石製。
3)保水剤:
・天然多糖類系保水剤(AVEBE社製 ATOCEL301)。
4)増粘剤:
・メトローズ系増粘剤(信越化学社製 SB30004YP)。
5)膨張材:
・石灰−石膏系膨張材(太平洋セメント社製 太平洋ジプカル)。
6)滑性骨材
・ろう石(埼玉鉱業製、粒度0.3〜100μm)
7)軽量骨材
・パーライトa(東邦パーライト社製 6F)。
・パーライトb(東邦パーライト社製 TM3)。
8)有機短繊維:
・ビニロン短繊維(クラレ社製 繊維長:6mm)。
【0031】
[実施例1〜4及び比較例1〜4]
表1に示す成分を、ロッキングミキサを使用して混合し、セメント、細骨材及び混和材料からなるセメント組成物を得た。
【0032】
温度20℃、相対湿度65%の条件下で、セメント組成物100質量部に対し、表1に示す混練水を加え、ホバートミキサーを用いて低速3分間混練し、混練物を調製した。
得られた混練物のフロー値、保水性、塗り付け後の表面粗さ、塗り付け後の表面の水浮き、鏝離れ(施工性)を評価した結果を表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
保水剤と増粘剤とを含まない比較例1の場合、モルタルの保水性が悪く、また図3に示す通り、モルタル塗り付け後の下塗りの表面には凸凹が殆ど見られない(細細な状態)。 続いて、仕上げの鏝押えを行うと、鏝押えの過程で鏝が下塗りモルタルの表面に粘着しすぎ、鏝塗作業性が著しく低下して平滑な表面状態を形成できなかった。
【0035】
保水剤のみを添加し、増粘剤を用いない比較例3の場合、保水剤と増粘剤との相乗効果による保水性の改善が得られず、また、モルタル表面からの水浮きが見られる。
【0036】
増粘剤のみを添加した比較例4の場合、モルタル塗り付け後の下塗りモルタルの表面状態が、図2に示すように凸凹が少なく(細な状態)、仕上げ鏝押えの時にべたつき感が強く、良好な作業性及び良好な仕上表面状態が得られにくい。
【0037】
保水剤と増粘剤とを適正範囲で添加した実施例4の場合、モルタルの保水性は良好であり、また、図1に示すようにモルタル塗り付け後の下塗り表面に1.5〜3mm程度の微小な凸凹が多数形成されていた(粗な状態)。このように下塗りモルタルの表面に凸凹が多数形成されていると、次の鏝押え作業時に、良好な鏝離れ性が得られるとともに、平滑な仕上げ面が形成できる。さらに、モルタル表面からの水浮きも見られず、モルタル施工の下塗り〜仕上げ鏝押えの2段階の作業を通じて良好な鏝塗り作業性が得られた。
【0038】
保水剤と増粘剤とを適正範囲で添加した実施例1〜3についても、モルタルの保水性が良好で、実施例4の場合と同様にモルタル塗り付け後の表面凹凸が数多く見られた。また、モルタル表面の水浮きは見られず、モルタルの下塗り〜仕上げ鏝押えの2段階の作業で良好な鏝塗り作業性が得られた。
【0039】
また、保水剤と増粘剤とを含む実施例1〜4と、保水剤と増粘剤とを含まない比較例1とを比較すると、実施例1〜4は練置き1時間後においても、フロー値、保水性の変化が非常に小さい。
保水剤と増粘剤とを適正範囲を超えて添加した比較例2の場合は、モルタルの保水性はさらに向上するものの、モルタルの粘性が高くなり過ぎて施工時の鏝離れ性が極度に悪化している。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例4の配合条件で調製したモルタルを、鏝を用いてコンクリート面に下塗りした状態を観察したものである。(表面状態:凹凸が多い、鏝離れ性:良好)
【図2】比較例4の配合条件で調製したモルタルを、鏝を用いてコンクリート面に下塗りした状態を観察したものである。(表面状態:凹凸が少ない、鏝離れ性:良くない)
【図3】比較例1の配合条件で調製したモルタルを、鏝を用いてコンクリート面に下塗りした状態を観察したものである。(表面状態:凹凸が極めて少ない、鏝離れ性:悪い)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント、細骨材、保水剤及び増粘剤を含み、保水剤がアミローゼとアミロペクチンとを含む天然多糖類を加工した化工澱粉であり、セメント100質量部に対して保水剤が0.02〜0.18質量部であることを特徴とするセメント組成物。
【請求項2】
セメント100質量部に対して、細骨材が50〜200質量部、増粘剤が0.02〜0.18質量部であることを特徴とする請求項1に記載のセメント組成物。
【請求項3】
増粘剤がメチルセルロース系増粘剤であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセメント組成物。
【請求項4】
セメント組成物が、さらに膨張材と滑性骨材と軽量骨材とから選ばれる少なくとも1種を含み、コンクリートの断面修復に用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメント組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のセメント組成物と水とを混練して得られるモルタル。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のセメント組成物と水との配合物を硬化させて得られる硬化物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−269501(P2007−269501A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93599(P2006−93599)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】