説明

長い持続性、耐水性、及び洗浄性を有するマスカラ組成物

本発明は:(a)少なくとも一のポリアミン;(b)少なくとも一の油溶性の極性修飾ポリマー;(c)少なくとも一の油溶性の高炭素極性修飾ポリマー;(d)水;(e)場合によっては、極性修飾ポリマーを可溶化可能な少なくとも一の非揮発性油;(d)場合によっては、少なくとも一の揮発性溶媒;(e)場合によっては、少なくとも一の着色剤;及び(f)場合によっては、少なくとも一の高融点ロウを含有する、長時間にわたる持続性、洗浄性及び耐水性があり、独特のテクスチャーと感触を有する、アイメークアップ用組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に新規なマスカラ組成物及び眼のメークアップ方法に関する。より特定的には、本発明は、長い持続性、耐水性があり、洗浄可能であるマスカラ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
耐水性と長時間にわたる持続性の双方を有し、無水にされているマスカラ組成物を作製するための一方法が、本産業においてはよく知られている。よって、組成物は、典型的には、揮発性溶媒と皮膜形成ポリマーを含有している。しかしながら、この種の組成物は水で洗浄できない。
【0003】
耐水性があり、長時間にわたる持続性があるマスカラ組成物を製造する一つの方法はそれを無水にすることであることは工業的によく知られている。よって、組成物は、典型的には、揮発性溶媒と皮膜形成ポリマーを含有するであろう。しかしながら、この種の組成物は水で洗浄できない。
洗浄性と長時間にわたる持続性の双方を有するが、耐水性のない一般的なマスカラ組成物は、水中油型エマルションと組合せて、ラテックス皮膜形成剤を使用することが必要とされている。
【0004】
このようなマスカラ組成物を形成するためのラテックス皮膜形成剤の使用には、多くの欠点がある。第一に、ラテックス皮膜形成剤は幾分高価で、使用に際しては多くの量が必要であり、従って、最終製品のコストが増す結果となる。第二に、ラテックス皮膜形成剤は、多量の固形含量の充填が必要であるため、処方するのが困難であり、よって、そのままでは不安定であるか、又は添加成分に影響を受けやすい。
【0005】
よって、ラテックス皮膜形成剤、他の合成皮膜形成剤及び/又は乳化剤を使用する必要なく、耐水性、長時間にわたる持続性、洗浄性があり、独特のゲル状のテクスチャーと感触を有する、アイメークアップ用組成物を提供することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、
(a)少なくとも一のポリアミン;
(b)少なくとも一の油溶性の極性修飾ポリマー;
(c)少なくとも一の油溶性の高炭素極性修飾ポリマー;
(d)水;
(e)場合によっては、油溶性の極性修飾ポリマーを可溶化可能な少なくとも一の非揮発性油;
(f)少なくとも一の揮発性溶媒;及び
(g)場合によっては、少なくとも一の着色剤;及び
(h)場合によっては、少なくとも一の高融点ロウ;
を含有する組成物に関する。
【0007】
また本発明は、
(a)少なくとも一のポリアミン、少なくとも一の油溶性の極性修飾ポリマー、及び少なくとも一の油溶性の高炭素極性修飾ポリマーの反応生成物;
(b)水;
(c)場合によっては、油溶性の極性修飾ポリマーを可溶化可能な少なくとも一の非揮発性油;
(d)少なくとも一の揮発性溶媒;及び
(e)場合によっては、少なくとも一の着色剤;及び
(f)場合によっては、少なくとも一の高融点ロウ;
を含有する組成物に関する。
【0008】
さらに本発明は、
(a)少なくとも一のポリアミン;
(b)少なくとも一の油溶性の極性修飾ポリマー;
(c)少なくとも一の油溶性の高炭素極性修飾ポリマー;
(d)水;
(e)場合によっては、油溶性の極性修飾ポリマーを可溶化可能な少なくとも一の非揮発性油;
(f)少なくとも一の揮発性溶媒;及び
(g)場合によっては、少なくとも一の着色剤;及び
(h)場合によっては、少なくとも一の高融点ロウ;
を含む成分を組合せることにより作製される組成物に関する。
【0009】
好ましくは、組成物は、ラテックス皮膜形成剤、他の合成皮膜形成剤及び/又は乳化剤を必要としないか又は含有しない。
【0010】
また本発明は、上に開示した組成物を眼(睫毛)に適用することを含む、眼(睫毛)をメークアップする方法に関する。
【0011】
本発明は、睫毛から組成物を除去するのに十分な量でマスカラ組成物に水を適用することにより、睫毛から上に開示したマスカラ組成物を除去することに関する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例以外の箇所又は特に示していない場合は、成分の量及び/又は反応条件を表すあらゆる数値は、全ての場合において、「約」なる用語が修飾していると理解されなければならない。
【0013】
ここで使用される「皮膜形成剤(film former)」又は「皮膜形成剤(film forming agent )」又は「皮膜形成樹脂」は、少なくとも一の溶媒(例えば、水及び有機溶媒)に溶解させた後、少なくとも一の溶媒が蒸発し、吸収し及び/又は消散した後に、それが適用された基体に皮膜を残すポリマーを意味する。
【0014】
ここで使用される「粘着性」とは、2つの物質の間の付着性を意味する。例えば、2つの物質間の粘着性が大きければ大きい程、物質間の付着性が増す。
【0015】
ここで使用される「ケラチン基質」には、限定されるものではないが、皮膚、毛髪及び爪が含まれる。
【0016】
ここで使用される「置換された」とは、少なくとも一の置換基を含むことを意味する。置換基の非限定的例には、原子、例えば酸素原子及び窒素原子、並びに官能基、例えばヒドロキシル基、エーテル基、アルコキシ基、アシルオキシアルキル基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、カルボン酸基、アミン基、アシルアミノ基、アミド基、ハロゲン含有基、エステル基、チオール基、スルホナート基、チオスルファート基、シロキサン基、及びポリシロキサン基が含まれる。置換基(群)はさらに置換されていてもよい。
【0017】
ここで定義されるところでは、安定性は、25℃で8週間、制御された環境チャンバー中に組成物を配することによって試験される。この試験では、試料の物理的状態を、チャンバー中に配したときに検査する。次に、試料を24時間、3日、1週、2週、4週及び8週目に再び検査する。各検査では、試料を、組成物の異常、例えば組成物がエマルションの形態ならば相分離、組成物がスティックの形態ならば屈曲性又は傾き、融解性、又は離液性(シネレシス)(又はスウェッティング(発汗性))について調査する。さらに、安定性を、37℃、40℃、45℃、50℃、及び凍結解凍状態で、8週間試験を繰り返すことにより、さらに試験する。これらの試験のいずれにおいても、組成物の機能を妨害する異常が観察される場合は、組成物は安定性を欠くものと考えられる。当業者であれば、意図される用途に基づき、組成物の機能を妨害する異常が直ぐに分かるであろう。
【0018】
ここで使用される「揮発性」とは、約100℃未満の引火点を有することを意味する。
【0019】
ここで使用される「非揮発性」とは、約100℃以上の引火点を有することを意味する。
【0020】
ここで使用される場合、「少なくとも一の」なる表現は一又は複数を意味し、よって個々の成分並びに混合物/組合せ物を含む。
【0021】
実施例以外の箇所又は特に示していない場合は、成分の量及び/又は反応条件を表すあらゆる数値は、全ての場合において、示された数字の10%〜15%以内を意味する、「約」なる用語により修飾されていると理解されなければならない。
【0022】
ここで使用される「耐水性」とは、撥水能力、及び水に対する耐性(permanence)を意味する。耐水性は、このような特性を評価するための当該分野で知られている任意の方法により、評価することができる。例えば、マスカラ組成物をつけまつげに適用し、これをついで所定時間、例えば20分間、水中に配してもよい。予め確定されている時間の経過後、つけまつげを水から取り出し、例えばペーパーシート等の材料上にさっと接触させる。ついで、材料上に残った残留物の程度を評価し、他の組成物、例えば商業的に入手可能な組成物と比較することができる。同様に、例えば組成物を皮膚に適用し、所定時間、皮膚を水に浸してもよい。ついで、予め確定されている時間後、皮膚上に残存する組成物の量を評価し、比較することができる。例えば、製品のほとんどが使用者、例えば睫毛、皮膚等に残っているならば、組成物は耐水性があるとされる。本発明の好ましい実施態様では、組成物はほとんど又は全く使用者から移らない。
【0023】
ここで使用される「長時間にわたる持続性」を有する組成物とは、長時間経過後、裸眼で見て、適用時と同じか又は実質的に同じ色調が残っている組成物を意味する。長時間にわたる持続性は、このような特性を評価するための当該分野で知られている任意の方法により評価され得る。例えば、長時間にわたる持続性は、ヒトの毛髪、皮膚又は唇に組成物を適用し、長時間経過後の組成物の色調を評価することを含む試験により評価することができる。例えば、組成物の色調を、毛髪、皮膚又は唇への適用直後に評価し、所定時間後に、これらの特徴を再評価して比較してもよい。さらに、これらの特徴は、他の組成物、例えば商業的に入手可能な組成物に対して評価してもよい。
【0024】
油溶性の高炭素極性修飾ポリマー
本発明によれば、少なくとも一の油溶性の高炭素極性修飾ポリマーを含有する組成物が提供される。ここで使用される場合、「極性修飾ポリマー(Polar modified polymer)」は、親水性単位で修飾されている疎水性のホモポリマー又はコポリマーを意味する。ここで使用される「油溶性」とは、極性修飾ポリマーが油に可溶性であることを意味する。「高炭素」とは、20を越える炭素原子を意味する。
【0025】
疎水性ホモポリマー及び/又はコポリマーの適切なモノマーには、限定されるものではないが、全ての範囲及びそれらの間の部分的範囲を含む、環状、直鎖状又は分枝状で、置換又は未置換のC22−C40化合物、例えばC22−C28化合物、C24−C26化合物、C26−C28化合物、及びC30−C38化合物が含まれる(その全範囲及びその間の部分範囲を含む)。好ましくは、モノマーは、C24−26化合物、C26−C28化合物、又はC30−C38化合物である。
【0026】
適切な親水性単位には、限定されるものではないが、無水マレイン酸、アクリラート類、アクリル酸アルキル類、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、及びアクリル酸ブチル、及びポリビニルピロリドン(PVP)が含まれる。
【0027】
好ましい実施態様によれば、油溶性の高炭素極性修飾ポリマーはロウである。また好ましくは、油溶性の高炭素極性修飾ポリマーロウは、次の特性の一又は複数を有する:
30000g/mol以下、好ましくは500〜10000g/mol、及び特に好ましくは1000〜5000g/molの重量平均分子量Mw(その全範囲及びその間の部分範囲を含む);
15000g/mol以下、好ましくは500〜12000g/mol、特に好ましくは1000〜5000g/molの数平均分子量Mn(その全範囲及びその間の部分範囲を含む);
1.5〜10、好ましくは1.5〜5、特に好ましくは1.5〜3、さらに好ましくは2〜2.5の範囲のモル質量分布Mw/Mn(その全範囲及びその間の部分範囲を含む);及び/又は
示差走査熱量測定により測定して、8%〜60%、好ましくは9%〜40%、より好ましくは10%〜30%の結晶化度(その全範囲及びその間の部分範囲を含む)。
【0028】
コポリマーロウに関して好ましい実施態様によれば、コポリマー骨格の全重量に基づき、一方のモノマーに由来する0.1〜30.0重量%の構造単位と、他方のモノマーに由来する70.0〜99.9重量%の構造単位を有していることが好ましい。
【0029】
本発明のロウは、例えば、その全内容が出典明示によりここに援用される欧州特許出願公開第571882号に記載された方法により作製されるホモポリマー又はコポリマーに基づくものとできる。適切な調製方法には、例えば触媒の存在下におけるオレフィンの懸濁重合、溶液重合、及び気相重合が含まれ、モノマーの重合がまた可能である。
【0030】
油溶性の高炭素極性修飾ポリマーロウは、酸素含有ガス、例えば空気を用いて酸化させることにより、又は極性モノマー、例えばマレイン酸又はアクリル酸又はこれらの酸の誘導体をグラフト反応させることにより、上述のホモポリマー及びコポリマーから、既知の方法で製造することができる。空気での酸化によるポリオレフィンロウの極性修飾は、例えば欧州特許出願公開第0890583A1号に記載されており、グラフト化による修飾は、例えば米国特許第5998547号に記載されており、双方の全内容は、それらの全てが出典明示によりここに援用される。
【0031】
許容可能な油溶性の高炭素極性修飾ポリマーロウには、限定されるものではないが、C24、C25及び/又はC26基のホモポリマー及び/又はコポリマー、C26、C27及び/又はC28基のコポリマー、又はC30−C38基のコポリマーで、親水性単位、例えば無水マレイン酸、アクリレート、メタクリレート、ポリビニルピロリドン(PVP)等で変性されているものが含まれる。好ましくは、油溶性の高炭素極性修飾ポリマーロウは、ロウの重量に対して、約5%〜約30%の親水性単位、より好ましくは約10%〜約25%の親水性単位を有する(全ての範囲及びそれらの間の部分的範囲を含む)。特に好ましい親水的に変性されたロウは、無水マレイン酸単位で変性されたC26、C27及び/又はC28のホモポリマー及びコポリマーである。
【0032】
本発明で使用される特に好ましい油溶性の高炭素極性修飾ポリマーロウは、リコケア(LICOCARE)又はリコセン(LICOCENE)の商品名で、クラリアント社(Clariant)から商業的に入手可能な、C26−C28のαオレフィン無水マレイン酸コポリマーロウである。このようなロウの特定の例には、2025のMwと11%の結晶化度を有する、無水マレイン酸の修飾ロウであり、例えばCM401の標記を有するリコケアなる名称でクラリアント社から市販されている生成物、パーフォーマ(Performa)(登録商標)V1608の名称で、ベイカー・ヒューズ社(Baker Hughes)から販売されているC30−C38オレフィン/イソプロピルマレエート/無水マレイン酸のコポリマー、及び交互エステルとカルボン酸基を有するC24−C26側鎖のある極性骨格をベースにした、リコケアCA301 LP3346の商品名で、クラリアント社から商業的に入手可能なC24−C26のαオレフィンアクリレートコポリマーロウが含まれる。
【0033】
本発明の他の実施態様によれば、極性修飾ポリマーは、ロウではない。本発明のこれらの実施態様によれば、極性修飾ポリマーは、疎水性モノマーのホモポリマー及び/又はコポリマーをベースにしており、1000000g/mol以下、好ましくは1000〜250000g/mol、特に好ましくは5000〜50000g/molの重量平均分子量Mwを有する(その全範囲及びその間の部分範囲を含む)。
【0034】
これらの実施態様によれば、極性修飾ポリマーは、ブロックコポリマー、グラフト化コポリマー、又は交互コポリマー等の、ポリマーに典型的には関連する任意の形態とすることができる。例えば、極性修飾ポリマーは、例えばグラフト化を含む任意の手段により親水性基(例えば、無水マレイン酸)が結合させられる疎水性骨格(例えば、ポリプロピレン及び/又はポリエチレン)を含むことができる。結合基は任意の配向(例えば、骨格に沿って、アタクティック、アイソタクティック又はシンジオタクティック)を有することができる。
【0035】
好ましくは、油溶性の高炭素極性修飾ポリマーは、組成物の全重量に対して約1%〜約30%、好ましくは組成物の全重量に対して約2.5%〜約15%、最も好ましくは約5%〜約10%である(その全範囲及びその間の部分範囲を含む)。
【0036】
油溶性の極性修飾ポリマー
本発明においては、少なくとも一の油溶性の極性修飾ポリマーを含有する組成物が提供される。ここで使用される場合、「極性修飾ポリマー(Polar modified polymer)」は、親水性単位で修飾されている疎水性ホモポリマー又はコポリマーを意味する。ここで使用される「油溶性」とは、極性修飾ポリマーが油に可溶性であることを意味する。
【0037】
疎水性ホモポリマー及び/又はコポリマーの適切なモノマーには、限定されるものではないが、環状、直鎖状又は分枝状で、置換又は未置換のC2−C20化合物、例えばスチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、イソペンテン、イソプレン、ヘキセン、イソヘキセン、デセン、イソデセン、及びオクタデセンが含まれる(その全範囲及びその間の部分範囲を含む)。好ましくは、モノマーは、C2−C8化合物、より好ましくはC2−C6化合物、最も好ましくはC2−C4化合物、例えばエチレン、プロピレン及びブチレンである。
【0038】
適切な親水性単位には、限定されるものではないが、無水マレイン酸、アクリラート類、アクリル酸アルキル類、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、及びアクリル酸ブチル、及びポリビニルピロリドン(PVP)が含まれる。
【0039】
本発明によれば、極性修飾ポリマーは油溶性である;すなわち、ポリマーは、ポリマー全体を水可溶性又は油不溶性にするのに十分な量の疎水性単位を含んでいない。好ましい実施態様によれば、極性修飾ポリマーは、親水性単位と同量の疎水性モノマー(1:1の比率)、又は親水性単位よりも多くの疎水性モノマーを含む。特に好ましい実施態様によれば、極性修飾ポリマーは、50%以下の親水性単位(ポリマーの重量基準)、40%以下の親水性単位、30%以下の親水性単位、20%以下の親水性単位、10%以下の親水性単位、5%以下の親水性単位、4%以下の親水性単位、又は3%以下の親水性単位を含んでいる。
【0040】
好ましくは、極性修飾ポリマーは、ポリマーの重量に対して約0.5%〜約10%の親水性単位、好ましくは約1%〜約8%の親水性単位を有する(その全範囲及びその間の部分範囲を含む)。特に好ましい親水的に修飾したポリマーは、エチレン及び/又はプロピレンのホモポリマー及びコポリマーで、無水マレイン酸単位で修飾されたものである。
【0041】
本発明の好ましい実施態様によれば、極性修飾ポリマーはロウである。特に好ましい実施態様によれば、極性修飾ロウは、メタロセン触媒を介して製造され、極性基又は単位、並びに疎水性骨格を含む。適切な修飾ロウには、その全内容が出典明示よりここに援用される米国特許出願公開第20070031361号に開示されているものが含まれる。特に好ましい極性修飾ロウはC2−C3極性修飾ロウである。
【0042】
本発明の好ましい実施態様によれば、極性修飾ロウは、疎水性モノマーのホモポリマー及び/又はコポリマーロウに基づいており、25000g/mol以下、好ましくは1000〜22000g/mol、特に好ましくは4000〜20000g/molの重量平均分子量Mw、15000g/mol以下、好ましくは500〜12000g/mol、特に好ましくは1000〜5000g/molの数平均分子量Mn、1.5〜10、好ましくは1.5〜5、特に好ましくは1.5〜3、さらに好ましくは2〜2.5の範囲のモル質量分布Mw/Mnを有し、メタロセン触媒により得られる。また、極性修飾ロウは、好ましくは75℃以上、好ましくは90℃以上の融点、例えば90℃〜160℃、好ましくは100℃〜150℃の融点を有する(その全範囲及びその間の部分範囲を含む)。
【0043】
コポリマーロウの場合、コポリマー骨格の全重量に基づき、一方のモノマーに由来する0.1〜30.0重量%の構造単位と、他方のモノマーに由来する70.0〜99.9重量%の構造単位を有していることが好ましい。このようなホモポリマー及びコポリマーロウは、例えばここで特定されたメタロセン触媒を使用し、その全内容が出典明示によりここに援用される欧州特許出願公開第571882号に記載された方法により製造することができる。適切な調製方法には、例えば、メタロセン触媒の存在下におけるオレフィンの懸濁重合、溶液重合、及び気相重合が含まれ、モノマーの重合がまた可能である。
【0044】
極性修飾ロウは、酸素含有ガス、例えば空気を用いて酸化させることにより、又は極性モノマー、例えばマレイン酸又はアクリル酸又はこれらの酸の誘導体をグラフト反応させることにより、上述のホモポリマー及びコポリマーから、既知の方法で製造することができる。空気での酸化によるメタロセンポリオレフィンロウの極性修飾は、例えば欧州特許出願公開第0890583A1号に記載されており、グラフト化による修飾は、例えば米国特許第5998547号に記載されており、双方の全内容は、それらの全てが出典明示によりここに援用される。
【0045】
許容可能な極性修飾ロウには、限定されるものではないが、無水マレイン酸、アクリラート、メタクリラート、ポリビニルピロリドン(PVP)等、親水性単位で修飾されている、エチレン及び/又はプロピレン基のホモポリマー及び/又はコポリマーが含まれる。好ましくは、C2−C3ロウは、ロウの重量に関して、約0.5%〜約10%の親水性単位、好ましくは約1%〜約8%の親水性単位を有する(その全範囲及びその間の部分範囲を含む)。特に好ましくは、親水的に修飾されたロウは、無水マレイン酸単位で修飾されたエチレン及び/又はプロピレンのホモポリマー及びコポリマーである。
【0046】
本発明で使用される特に好ましいC2−C3極性修飾ロウは、リコケア(LICOCARE)又はリコセン(LICOCENE)の商品名でクラリアント社(Clariant)から商業的に入手可能な、ポリプロピレン及び/又はポリエチレン-無水マレイン酸の変性ロウ(「PEMA」、「PPMA」、「PEPPMA」)であり、このようなロウの特定の例には、例えばPP207との命名を有し、リコケアなる名称でクラリアント社から市販されている製品が含まれる。
【0047】
他の適切な極性修飾ポリマーには、限定されるものではないが、ハネウェル社(Honeywell)のA-C573A(エチレン-無水マレイン酸コポリマー;Drop Point, Mettler :106℃)、ハネウェル社のA-C596A(プロピレン-無水マレイン酸コポリマー;Drop Point, Mettler:143℃)、ハネウェル社のA-C597(プロピレン-無水マレイン酸コポリマー;Drop Point, Mettler:141℃)、エチレンと無水マレイン酸の1:1コポリマーであるゼマック(ZeMac)(登録商標)コポリマー(ヴェルテルス社(VERTELLUS))、イソバム(ISOBAM)の商品名で(クラレ社(Kuraray)から)販売されているポリイソブチレン-無水マレイン酸、シグマ・アルドリッチ社(Sigma Aldrich)から販売されているポリイソプレン-グラフト-無水マレイン酸、シェブロン・フィリップ・ケミカル社(Chevron Philips Chemcial Co.,)から販売されているポリ(無水マレイン酸-オクタデセン)、アルケマ社(Arkema)からロタダー(Lotader)(例えば、2210、3210、4210、及び3410グレード)の商品名で販売されているポリ(エチレン-コ-アクリル酸ブチル-コ-無水マレイン酸)、ロタダーの名称でアルケマ社から販売されている、アクリル酸ブチルが他のアクリル酸アルキル(アクリル酸メチル[グレード3430、4404、及び4503]、及びアクリル酸エチル[グレード6200、8200、3300、TX8030、7500、5500、4700、及び4720])で置き換えられてるコポリマー、及びISP社からACO-5013の名称で販売されている、無水マレイン酸イソブチレンコポリマーが含まれる。
【0048】
本発明の他の実施態様によれば、極性修飾ポリマーは、ロウではない。本発明のこれらの実施態様によれば、極性修飾ポリマーは、疎水性モノマーのホモポリマー及び/又はコポリマーをベースにしており、1000000g/mol以下、好ましくは1000〜250000g/mol、特に好ましくは5000〜50000g/molの重量平均分子量Mwを有する(その全範囲及びその間の部分範囲を含む)。
【0049】
これらの実施態様によれば、極性修飾ポリマーは、ブロックコポリマー、グラフト化コポリマー、又は交互コポリマー等の、ポリマーに典型的には関連する任意の形態とすることができる。例えば、極性修飾ポリマーは、例えばグラフト化を含む任意の手段により親水性基(例えば、無水マレイン酸)が結合させられる疎水性骨格(例えば、ポリプロピレン及び/又はポリエチレン)を含むことができる。結合基は任意の配向(例えば、骨格に沿って、アタクティック、アイソタクティック又はシンジオタクティック)を有することができる。
【0050】
好ましくは、極性修飾ポリマーは、組成物の全重量に対して約1%〜約30%、好ましくは組成物の全重量に対して約2.5%〜約15%、最も好ましくは約5%〜約10%である(その全範囲及びその間の部分範囲を含む)。
【0051】
ポリアミン化合物
本発明によれば、少なくとも一のポリアミン化合物を含有する組成物が提供される。本発明によれば、ポリアミン化合物は、油溶性の極性修飾ポリマーの親水性基と反応するのに利用可能な少なくとも2の第1級アミン基を有する。
【0052】
特に好ましい実施態様によれば、ポリアミン化合物は、ポリアルキレンイミン、好ましくはC2−C5ポリアルキレンアミン化合物、より好ましくはポリエチレンイミン又はポリプロピレンイミンである。最も好ましくは、ポリアルキレンアミンはポリエチレンイミン(「PEI」)である。ポリアルキレンアミン化合物は、好ましくは500−200000の範囲の平均分子量を有する(その全範囲及びその間の部分範囲を含む)。
【0053】
好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、分枝状ポリマーの形態のポリエチレンイミン化合物を含む。このようなポリマーの商業的に入手可能な例は、ルパソール(LUPASOL)又はポリイミン(POLYIMIN)の商品名でBASF社から入手可能である。このようなポリエチレンイミンの非限定的例には、ルパソール(登録商標)PS、ルパソール(登録商標)PL、ルパソール(登録商標)PR8515、ルパソール(登録商標)G20、ルパソール(登録商標)G35が含まれる。
【0054】
本発明の他の実施態様によれば、ポリアミン類、例えばポリエチレンイミン類及びポリプロピレンイミン類は、デンドリマーの形態でありうる。このようなデンドリマーの非限定的例は、DSM社により製造されるか、及び/又はその内容が出典明示によりここに援用される米国特許第5530092号及び米国特許第5610268号に開示されている。このようなポリマーの商業的に入手可能な例には、スターバースト(STARBURST)(登録商標)の名称で販売されているデンドリテック社(DENDRITECH)のポリアミドアミン又はポリプロピレンイミンポリマーが含まれる。
【0055】
本発明の他の実施態様によれば、ポリアルキレンアミンの誘導体は適切なポリアミンである。このような誘導体には、限定されるものではないが、アルキル化誘導体、ポリアルキレンアミン類へのアルキルカルボン酸の付加生成物、ポリアルキレンアミン類へのケトン類及びアルデヒド類の付加生成物、ポリアルキレンアミン類へのイソシアナート類及びイソチオシアナート類の付加生成物、ポリアルキレンアミン類へのアルキレンオキシド又はポリアルキレンオキシドブロックポリマーの付加生成物、ポリアルキレンアミン類の第4級化誘導体、ポリアルキレンアミン類へのシリコーンの付加生成物、及びポリアルキレンアミン類へのジカルボン酸のコポリマーが含まれる。さらに適切なポリアミン類には、限定されるものではないが、ポリビニルイミダゾール類(ホモポリマー又はコポリマー)、ポリビニルピリジン類(ホモポリマー又はコポリマー)、ビニルイミダゾールモノマーを含有する化合物(例えば、出典明示によりここに援用される米国特許第5677384号を参照)、及び塩基性側鎖を有するアミノ酸をベースとしたポリマー(好ましくは、ヒスチジン、リジン及びアルギニンから選択される少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%のアミノ酸を含有するタンパク質及びペプチドから選択)が含まれる。上述したこのような適切なポリアミンには、その内容が出典明示によりここに援用される米国特許第6162448号に開示及び記載のものが含まれる。このようなポリマーの商業的に入手可能な例には、ポリビニルアミン/ホルムアミド、例えばBASF社からルパミン(Lupamine)(登録商標)の名称で販売されているもの、植物由来のキトサン、例えばISP社からキオスメチン(Kiosmetine)(登録商標)又はキトザイム(Kitozyme)(登録商標)の名称で販売されているもの、又はコポリマー845が含まれる。
【0056】
好ましい実施態様によれば、少なくとも一のポリアミン化合物は、組成物の全重量に対して約0.05〜約20重量%、好ましくは約0.2〜約10重量%、より好ましくは約0.5〜約5重量%の範囲の量で、本発明の組成物に存在している(その全範囲及びその間の部分範囲を含む)。
【0057】
好ましくは、油溶性の極性修飾ポリマーと反応せしめられるポリアミン化合物の量は、ポリアミン化合物の少なくとも2のアミン基が、油溶性の極性修飾ポリマーと反応して、油溶性の極性修飾ポリマーの親水性基とアミン基との間に連結又は結合を形成するような量である。反応生成物を得るために油溶性の極性修飾ポリマーと反応させられるポリアミン化合物の適切な量は、ポリアミン化合物の反応性アミン基の数/量、及び油溶性の極性修飾ポリマーの対応する反応性基(例えば、無水マレイン酸基)の数/量に鑑み、容易に決定することができる。好ましい実施態様によれば、過剰の油溶性の極性修飾ポリマー(ポリアミンの反応性アミン基に対する、ポリマーの対応する反応性基の相対的な数/量により決定)が、ポリアミンと反応させられる。好ましくは、油溶性の極性修飾ポリマーに対するポリアミンの比率は、0.005〜1、好ましくは0.006〜0.5、さらに好ましくは0.007〜0.1である(その全範囲及びその間の部分範囲を含む)。
【0058】
反応生成物
本発明の好ましい実施態様によれば、極性修飾ポリマーは、最小でもポリアミンを可溶化させるのに十分な量で、水の存在でポリアミンと反応し、反応生成物を形成する。好ましい実施態様によれば、反応生成物は水不溶性である。
【0059】
如何なる特定の理論にも縛られることを望むものではないが、100℃以下の温度での、極性修飾ポリマーとポリアミンの第1級アミン基との反応により、無水物環が開環し、半酸・半アミド架橋生成物が形成されると考えられている。しかしながら、100℃以上の温度での、極性修飾ポリマーとポリアミンの第1級アミン基との反応により、無水物環が開環し、イミド架橋生成物が形成される。前者の生成物は後者の生成物よりも好ましい。全てのアミノ基と全ての親水性基とが互いに反応して反応生成物を形成するのが必要であるわけではない。むしろ、組成物は、反応生成物に加えて、遊離のポリアミン及び/又は遊離の極性修飾ポリマーを含みうる可能性がある。
【0060】
また、如何なる特定の理論にも縛られることを望むものではないが、ポリアミンは、ポリアミンのアミン基と高炭素極性修飾ポリマーの親水性基(例えば、無水マレイン酸基と結合するカルボン酸基)との間の静電気的相互作用により、高炭素極性修飾ポリマーと非共有的に会合し、超分子が形成可能であると考えられる。例えば、特に無水マレイン酸基に関して、水の存在下、これらの基が開環し、超分子カプセルとして作用する疎水性ネットワーク及び親水性コア架橋剤とのポリマー-ポリマー複合体を形成するイオン性相互作用を介して、ポリアミンのプロトン化第1級アミン類と相互作用可能なジカルボン酸基が形成可能である。多量の無水マレイン酸基が存在する場合、ポリアミンの第2級アミン基はプロトン化され、カルボン酸アルキルと相互作用する。
【0061】
好ましい実施態様によれば、極性修飾ポリマーは油性担体に存在し、ポリアミン化合物は水性担体に存在し、反応は油性担体と水性担体とを組合せることにより生じる。極性修飾ポリマーは、典型的には室温で固体であるため、油性担体は水性担体と組合せる前にポリマーを液化するため、好ましくは加熱される。好ましくは、油性担体は油溶性の極性修飾ポリマーの融点を超えて、典型的には約80℃、90℃又は100℃まで加熱される。
【0062】
如何なる特定の理論に縛られることを意図するものではないが、この理由は、極性修飾ポリマーがポリアミンと組合せられる際に生じる、化学的及び物理的反応のためであり、形成される後続の反応生成物は、驚くべきことに、また予期しないことに、その疎水性マトリックスの内部に多量の水分子を捕捉することができると考えられる。得られる生成物は、際だって皮膜を形成可能であり、自己乳化し、耐水性もある。さらに、生成物は安定しており、種々のタイプの成分を担持することができる。
【0063】
極性修飾ポリマー用の非揮発性油
本発明の化粧品用組成物は、好ましくは、しかし場合によっては、極性修飾ポリマーを可溶化可能な少なくとも一の非揮発性溶媒を含有する。ここで使用される場合、「非揮発性」なる用語は、約100℃以上の沸点を有することを意味する。少なくとも一の非揮発性溶媒は少なくとも一の非揮発性油を典型的には含有する。
【0064】
本発明で使用可能な非揮発性油の例には、限定されるものではないが、極性油、例えば以下のものが含まれる:
− グリセロールの脂肪酸エステルからなる高含有量のトリグリセリドを有し、その脂肪酸が可変長さの鎖を有することができ、これらの鎖が直鎖状又は分枝状で、飽和又は不飽和とできる、炭化水素ベースの植物性油;これらの油は、特に小麦胚芽油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、カリテバター、ヒマシ油、スイートアルモンド油、マカダミア油、アプリコット油、大豆油、菜種油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ油、マロー油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、グレープシード油、クロフサスグリの種油、マツヨイグサ油、穀類油、大麦油、キノア油、オリブ油、ライ麦油、ベニバナ油、ククイノキ油、トケイソウ油、又はマスクローズ油;又はカプリル/カプリン酸のトリグリセリド、例えばステアリネリーズ・デュボア社(Stearineris Dubois)から販売されているもの、又はダイナミットノーベル社(Dynamit Nobel)からミグリオール(Miglyol)810、812及び818の名称で販売されているものである。
− Rが7〜19の炭素原子を含む、1〜40の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の高級脂肪酸残基を表し、Rが3〜20の炭素原子を含む、1〜40の炭素原子を有する分枝状の炭化水素ベース鎖を表し、R+R≧10である、式RCOORの合成油又はエステル、例えばプルセリン油(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、C12〜C15の安息香酸アルキル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、及びアルコール又は多価アルコールのオクタノアート、デカノアート又はリシノレアート;ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル又はリンゴ酸ジイソステアリル;及びペンタエリトリトールエステル;
【0065】
− 10〜40の炭素原子を含む合成エーテル;
【0066】
− C〜C26脂肪アルコール、例えばオレイルアルコール;及び
【0067】
− その混合物。
【0068】
さらに、本発明で使用可能な非揮発性油の例には、限定されるものではないが、非極性油、例えば分枝状及び非分枝状の炭化水素、及びポリオレフィン類を含む炭化水素ロウ、特にワセリン(ペトロラタム)、パラフィン油、スクワラン、スクワレン、水素化ポリイソブテン、水素化ポリデセン、ポリブテン、鉱物性油、ペンタヒドロスクワレン、及びそれらの混合物が含まれる。
【0069】
もし存在するならば、少なくとも一の非揮発性溶媒は、約0.5重量%〜約15重量%、例えば約1重量%〜約10重量%、例えば約2重量%〜約5重量%の量(その全範囲及びその間の部分範囲を含む)で、本発明の組成物に好ましくは存在し、全ての重量は組成物の全重量に基づく。
【0070】

また、本発明の組成物は、水をさらに含有する。好ましくは、水は組成物に存在するポリアミンを可溶化するのに十分な量で存在する。さらに好ましくは、十分な水は、油中水型エマルションを形成させるために存在する。水は、典型的には、約5重量%〜約50重量%、例えば約10重量%〜約40重量%、例えば約25重量%〜約35重量%の量で使用され、全ての重量は組成物の全重量に基づく(その全範囲及びその間の部分範囲を含む)。
【0071】
揮発性溶媒
またさらに本発明の組成物は、少なくとも一の揮発性溶媒を含有する。少なくとも一の揮発性溶媒は、好ましくは揮発性シリコーン油又は揮発性非シリコーン油から選択される。
【0072】
適切な揮発性シリコーン油には、限定されるものではないが、2〜7のケイ素原子を有し、室温で6cSt以下の粘度を有する直鎖状又は環状のシリコーン油が含まれ、これらのシリコーン類は1〜10の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ基で置換されていてもよい。本発明で使用され得る特定の油には、オクタメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン及びそれらの混合物が含まれる。使用され得る他の揮発性油には、6cStの粘度を有するKF96A、94℃の引火点を有する信越社の市販品が含まれる。好ましくは、揮発性シリコーン油は少なくとも40℃の引火点を有する。
【0073】
揮発性シリコーン油の非限定的例を、以下の表1に列挙する。

【0074】
適切な揮発性非シリコーン油は、揮発性の炭化水素油、アルコール、揮発性エステル及び揮発性エーテルから選択される。このような揮発性の非シリコーン油の例には、限定されるものではないが、8〜16の炭素原子を有する揮発性の炭化水素油、及びそれらの混合物、特に分枝状のC〜C16アルカン類、例えばC〜C16イソアルカン類(イソパラフィン類としても知られている)、イソドデカン、イソデカン、例えばアイソパー(Isopar)又はペルメチル(Permethyl)の商品名で販売されている油、分枝状のC〜C16エステル、例えばイソヘキシル又はイソデシルのネオペンタノアート、及びそれらの混合物が含まれる。好ましくは、揮発性の非シリコーン油は少なくとも40℃の引火点を有する。
【0075】
揮発性非シリコーン油の非限定的例を、以下の表2に列挙する。

【0076】
一般的に、少なくとも一の揮発性溶媒は、約5〜約80重量%、例えば約10〜約60重量%、及び約20〜約40重量%の量で、組成物に好ましくは存在し、全ての重量は組成物の全重量に基づく(その全範囲及びその間の部分範囲を含む)。
【0077】
任意的な成分
本発明の組成物は、任意の一又は複数の任意的な成分をさらに含有することができる。それらの例には、限定されるものではないが、着色料、例えば顔料及び染料、共溶媒、可塑剤、防腐剤、フィラー、活性成分、皮膜形成剤、高融点のロウ(75℃以上の融点を有するロウ)、及びサンスクリーン剤が含まれる。
【0078】
驚くべきことに、本発明の組成物は、エマルションを形成させるために、乳化剤を使用する必要なく、独特のテクスチャー及び感触を有する、安定性、耐水性、洗浄性を有するエマルションを形成することが見出された。さらに、組成物は、従来からのラテックス皮膜形成ポリマーを使用する必要なく、水で洗浄可能であり、また合成の皮膜形成体の必要なく、長時間にわたる持続性、耐移動性、耐水性、及び耐汚性を有する。
【0079】
本発明を、次の非限定的例によってさらに説明する。特に示さない限りは、全ての部及びパーセントは、重量に対する重量のパーセントを基準とする。
【実施例】
【0080】

【0081】
手順
1.主ビーカーA中に次のものを加えた:C20−C40パレス−10、イソドデカン、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、ポリレンエチレン無水マレイン酸コポリマーロウ、C26-C28アルファオレフィン無水マレイン酸コポリマー、プロピルパラベン。ついで全ての固形物が溶解するまで、内容物を90℃まで加熱した。
2.主ビーカーに酸化鉄を添加し、850RPMで1時間、バッチのホモジナイズを開始した(温度を85−90℃に維持)。
3.他のビーカーB中に脱イオン水、EDTA二ナトリウム、セチルリン酸カリウム、メチルパラベン、NaOH、ペンチレングリコールを添加した。均質になるまで混合した。90℃まで加熱し続けた。
4.ビーカーBにPEIを添加した後、PEIが溶解するまで混合した(温度を85−90℃で維持)。
5.ビーカーBの内容物をビーカーAにゆっくりと添加した。ついで、混合物にシメチコンを添加した。500RPMの混合速度を使用し、20分混合した。
6.スイープブレイドに交換し、50RPMを使用して冷却を開始した。
7.35℃で、フェノキシエタノール(及び)メチルパラベン(及び)イソプロピルパラベン(及び)イソブチルパラベン(及び)ブチルパラベンを添加した。
8.25℃まで冷却を継続した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも一のポリアミン;
(b)少なくとも一の油溶性の極性修飾ポリマー;
(c)少なくとも一の油溶性の高炭素極性修飾ポリマー;及び
(d)水;
を含有する組成物。
【請求項2】
少なくとも一の着色剤をさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも一の高融点ロウをさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
組成物が、ラテックス皮膜形成剤、合成皮膜形成剤、及び/又は乳化剤を含有しない、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも一のポリアミンが分枝状ポリエチレンイミンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
組成物が、組成物の重量に基づき0.05〜20重量%のポリアミンを使用して製造される請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
組成物が、組成物の重量に基づき1〜30重量%の、各極性修飾ポリマーを使用して製造される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
水が、組成物の重量に基づき5〜50重量%の量で存在している請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
組成物の重量に基づき、0.5重量%〜15重量%の量で存在している、極性修飾ポリマーを可溶化可能な、少なくとも一の非揮発性油をさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
組成物の重量に基づき、5重量%〜80重量%の量で存在している、少なくとも一の揮発性溶媒をさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物を睫毛に適用することを含む、睫毛をメークアップする方法。
【請求項12】
(a)少なくとも一のポリアミン、少なくとも一の油溶性の極性修飾ポリマー、及び少なくとも一の油溶性の高炭素極性修飾ポリマーの反応生成物;及び
(b)水;
を含有する組成物。
【請求項13】
少なくとも一の高融点ロウをさらに含有する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも一のポリアミンが分枝状ポリエチレンイミンである、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
組成物が、組成物の重量に基づき0.05〜20重量%のポリアミンを使用して製造される請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
組成物が、組成物の重量に基づき1〜30重量%の、各極性修飾ポリマーを使用して製造される、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
水が、組成物の重量に基づき、5重量%〜50重量%の量で存在している、請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
睫毛から組成物を除去するのに十分な量、マスカラ組成物に水を適用することを含む、睫毛から請求項1に記載のマスカラ組成物を除去する方法。

【公表番号】特表2012−512180(P2012−512180A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540981(P2011−540981)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/068151
【国際公開番号】WO2010/075122
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】