説明

長期持続性抗新脈管形成ペプチド

【課題】新脈管形成に関する疾患の処置のための長期間の作用を有する改変クリングル5ペプチドを提供すること。
【解決手段】本発明によって、改変抗新脈管形成ペプチドが提供され、このペプチドは、血液成分のアミノ基、ヒドロキシル基、またはチオール基と反応して、安定な共有結合を形成する反応性基を有する。別の実施形態において、このペプチドはクリングル5ペプチドである。本発明の別の実施形態は、抗新脈管形成ペプチドのインビボ半減期を延長するための方法であって、この方法は、以下:反応性基をこのペプチドに結合し、そしてこの反応性基を血液成分の官能基と反応させて共有結合を形成する工程、それによって、この抗新脈管形成ペプチドのみのインビボ半減期よりも長いインビボ半減期を有する安定なインビボ結合体を形成する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、改変抗新脈管形成ペプチドに関する。詳細には、本発明は、新脈管形成に関する疾患の処置のための長期間の作用を有する改変クリングル5ペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
新脈管形成、新しい血管の発達は、高度に調整され、そして内皮細胞増殖の本質的なプロセスである。新脈管形成は、正常な条件下で高度に調整されたプロセスであるが、多くの疾患(「新脈管形成疾患」として特徴付けられる)は、持続的に調整されていない新脈管形成により引き起こされる。調整されていない新脈管形成は、特定の疾患を直接引き起こすか、または現存の病的状態を悪化させ得る。例えば、眼性新生血管形成は、失明の最も一般的な原因として関係し、そして約20の眼性疾患の首位を占めている。関節炎のような特定の現状において、新しく形成された毛細血管は、関節に侵入し、そして軟骨を破壊する。糖尿病において、網膜内で形成された新しい毛細管は、硝子体に侵入し、出血し、そして失明を引き起こす。固形腫瘍の増殖および転移はまた、新脈管形成依存性である(非特許文献1非特許文献2)。
【0003】
抗新脈管形成分子を同定するために、多くの研究が行われている。特に関心のもたれる1つの新脈管形成分子はプラスミノゲンである。特に関心がもたれるのは、プラスミノゲンのクリングル5領域、およびそのクリングル5領域内の様々なペプチドである。プラスミノゲンおよびプラスミノゲンのクリングル5領域の両方は、新脈管形成プロセスを妨害することが示され、従って抗新脈管形成ペプチドとして知られている。
【0004】
有用であるものの、クリングル5ペプチドは、他のペプチドと同様に、迅速な腎臓排泄、肝臓代謝、および内因性ペプチダーゼの分解を受け、非常に短い血漿の半減期を導き、それにより抗新脈管形成薬としてのそれらの有用性が減少する。それらの短い半減期の結果として、クリングル5のようなペプチドは、効果的な治療に十分な適切な血漿レベルに達するまでの持続注入を必要とする。
【0005】
結果として、クリングル5のような抗新脈管形成ペプチドを長く持続する必要性がある。このような長く持続するペプチドは、哺乳動物における新脈管形成関連性疾患を処置する際に有用である。
【非特許文献1】Folkman,J.,Cancer Research(1986)46:467−473
【非特許文献2】Folkman,J.,Journal of the National Cancer Institute(1989)82:4−6
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
これらの必要性を達成するために、本発明は、改変抗新脈管形成ペプチドに関する。詳細には、本発明は、改変クリングル5ペプチドに関する。本発明は、移動性血液タンパク質上の有用な官能基と反応して、共有結合を形成し得る、抗新脈管形成ペプチドの新規の化学反応性誘導体に関する。詳細には、本発明は、移動性血液タンパク質上の有用な官能基と反応して、共有結合を形成し得る、クリングル5ペプチドのような新脈管形成ペプチドの新規な化学反応性誘導体に関する。抗新脈管形成ペプチドの化学反応性誘導体は、ペプチダーゼ安定性抗新脈管形成ペプチドを形成し得る。
【0007】
本発明は、クリングル5ペプチドのような抗新脈管形成ペプチドの誘導体に関し、ここでこの誘導体は、血液タンパク質上のアミノ基、ヒドロキシル基またはチオール基と反応して、安定な共有結合を形成する、反応性基を含む。好ましい形態において、抗新脈管形成ペプチドは、スクシンイミジル反応性基またはマレイミド反応性基を含む。
【0008】
本発明は、改変クリングル5ペプチド、およびそれらの誘導体、ならびに抗新脈管形成薬としてのそれらの使用に関する。クリングル5ペプチドは、移動性血液タンパク質との共有結合を形成し得る反応性基を含む。
【0009】
特に、本発明は、以下の改変クリングル5ペプチドに関する:
【0010】
【化1】

および他の改変クリングル5ペプチド。
【0011】
これらの改変抗新脈管形成ペプチドは、ヒトにおける新脈管形成の処置における用途を見出す。
したがって、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1) 改変抗新脈管形成ペプチドであって、このペプチドは、血液成分のアミノ基、ヒドロキシル基、またはチオール基と反応して、安定な共有結合を形成する反応性基を有する、改変抗新脈管形成ペプチド。
(項目2) 上記ペプチドが、クリングル5ペプチドである、項目1に記載の改変ペプチド。
(項目3) 誘導体が、血液タンパク質と反応性である、項目2に記載のクリングル5ペプチド。
(項目4) 上記誘導体が、血液タンパク質のチオール基と反応性である、項目3に記載のクリングル5ペプチド。
(項目5) 上記ペプチドが、以下からなる群から選択される、項目2に記載のクリングル5ペプチド:配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、および配列番号9。
(項目6) 上記ペプチドが、以下からなる群から選択される、項目2に記載のクリングル5ペプチド:配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、および配列番号16。
(項目7) クリングル5ペプチドに誘導体またはそのアナログを含む組成物であって、この誘導体は、ヒトにおける新脈管形成を処置する方法に使用するために、血液成分のアミノ基、ヒドロキシル基、またはチオール基と反応して、安定な共有結合を形成する反応性基を含む、組成物。
(項目8) 上記誘導体が、血液タンパク質と反応性である、項目7に記載の組成物。
(項目9) 上記誘導体が、血液タンパク質のチオール基と反応性である、項目7に記載の組成物。
(項目10) クリングル5ペプチドの誘導体であって、この誘導体は、ヒト血清アルブミンのチオール基と反応して、共有結合形成するをマレイミド基を含む、誘導体。
(項目11) 上記ペプチドが、以下から選択される、項目10に記載の誘導体:配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、および配列番号9。
(項目12) 上記ペプチドが、以下から選択される、項目10に記載の誘導体:配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、および配列番号16。
(項目13) 抗新脈管形成ペプチドの誘導体を含む組成物であって、この誘導体は、ヒトにおける新脈管形成を処置する方法に使用するために、ヒト血清アルブミンのチオール基と反応して、共有結合を形成するマレイミド基を含む、組成物。
(項目14) 上記ペプチドが、クリングル5ペプチドである、項目13に記載の組成物。
(項目15) 上記ペプチドが、以下から選択される、項目14に記載の組成物:配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、および配列番号9。
(項目16) 上記ペプチドが、以下から選択される、項目14に記載の組成物:配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、および配列番号16。
(項目17) 抗新脈管形成効果を提供するために、クリングル5ペプチドの患者におけるインビボ半減期を延長させる薬剤の製造者のための組成物の使用であって、この組成物は、クリングル5ペプチドの誘導体またはそのアナログを含み、この誘導体は、血液成分のアミノ基、ヒドロキシル基、またはチオール基と反応して、安定な共有結合を形成する反応性基を含む、使用。
(項目18) ヒトにおける新脈管形成を処置するための項目14に記載の組成物の使用であって、ここで、上記抗新脈管形成クリングル5ペプチドの誘導体が、血液タンパク質と反応する、使用。
(項目19) 以下からなる群から選択される改変クリングル5ペプチド:(MPA−AEEA)−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−NH2および(MPA)−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−NH2
(項目20) 以下からなる群から選択される改変クリングル5ペプチド:NAc−Tyr−Thr−Thr−Asn−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−Lys−(Nε−MPA)−NH2;(MPA−AEEA)−Tyr−Thr−Thr−Asn−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−NH2;MPA)−Tyr−Thr−Thr−Asn−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−NH2;NAc−Arg−Asn−Pro−Asp−Gly−Asp−Val−Gly−Gly−Pro−Trp−Ala−Tyr−Thr−Thr−Asn−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−Lys−(Nε−MPA)−NH2;(MPA−AEEA)−Arg−Asn−Pro−Asp−Gly−Asp−Val−Gly−Gly−Pro−Trp−Ala−Tyr−Thr−Thr−Asn−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−NH2;および(MPA)−Arg−Asn−Pro−Asp−Gly−Asp−Val−Gly−Gly−Pro−Trp−Ala−Tyr−Thr−Thr−Asn−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−NH2
(項目21) 以下からなる群から選択される改変クリングル5ペプチド:NAc−Arg−Asn−Pro−Asp−Gly−Asp−Val−Gly−Gly−Pro−Trp−Lys−(Nε−MPA)−NH2;MPA−AEEA)−Arg−Asn−Pro−Asp−Gly−Asp−Val−Gly−Gly−Pro−Trp−NH2;(MPA)−Arg−Asn−Pro−Asp−Gly−Asp−Val−Gly−Gly−Pro−Trp−NH2;NAc−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−Lys−(Nε−MPA)−NH2;(MPA−AEEA)−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−NH2;(MPA)−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−NH2;NAc−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Lys−(Nε−MPA)−NH2;(MPA−AEEA)−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−NH2;(MPA)−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−NH2;NAc−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−Lys−(Nε−AEEA−MPA)−NH2;およびNAc−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−Lys−(Nε−AEEAn−MPA)−NH2
(項目22) 項目1に記載の改変抗新脈管形成ペプチドであって、ここで、上記反応性基が、スクシンイミジル基またはマレイミド基を含む、ペプチド。
(項目23) 項目7に記載の組成物であって、ここで、上記反応性基が、スクシンイミジル基またはマレイミド基を含む、ペプチド。
(項目24) 項目17に記載の使用であって、ここで、上記反応性基が、スクシンイミジル基またはマレイミド基を含む、使用。
(項目25) 項目1〜6、10〜12および19〜21のいずれか1つに記載の改変ペプチドを含む結合体であって、このペプチドは、血液成分に共有結合され、この結合体は、インビボで安定である、結合体。
(項目26) 抗新脈管形成ペプチドのインビボ半減期を延長するための方法であって、この方法は、以下:反応性基をこのペプチドに結合し、そしてこの反応性基を血液成分の官能基と反応させて共有結合を形成する工程、それによって、この抗新脈管形成ペプチドのみのインビボ半減期よりも長いインビボ半減期を有する安定なインビボ結合体を形成する工程を包含する、方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明の完全な理解を保証するために、以下の定義が提供される:
反応性基:反応性基とは、共有結合を形成し得る化学基である。このような反応性基は、抗新脈管形成剤、すなわち、より詳細には、目的のクリングル5ポリペプチドに連結または結合される。反応性基は、一般に、水性環境内で安定であり、そして通常、カルボキシ基、ホスホリル基、または従来のアシル基であり、エステルまたは混合無水物のいずれか、あるいはイミデートとして存在し、これによって、移動性の血液成分の標的部位の、アミノ基、ヒドロキシまたはチオールのような官能基と共有結合を形成し得る。大部分において、これらのエステルは、フェノール性化合物を含むか、またはチオールエステル、アルキルエステル、リン酸エステルなどである。反応性基としては、スクシンイミジル(succimidyl)基およびマレイミド基が挙げられる。
【0013】
官能基: 官能基とは、反応性基が反応して共有結合を形成する、血液成分上の基である。官能基は、エステル反応性基との結合のためのヒドロキシル基、イミデートおよびチオールエステル基との結合のためのチオール基;カルボキシル基、ホスホリル基または反応性基上のアシル基との結合のためのアミノ基、およびアミノ基との結合のためのカルボキシル基を含む。
【0014】
血液成分: 血液成分は、固定されていても可動であってもいずれでもよい。固定された血液成分は、非可動性の血液成分であり、そして組織、膜レセプター、介在タンパク質、フィブリンタンパク質、コラーゲン、血小板、内皮細胞、上皮細胞およびこれらが結合する膜および膜レセプター、身体の細胞(somatic body cell)、骨格細胞および平滑筋細胞、神経成分、骨細胞および破骨細胞ならびに全ての身体組織(特に、循環系およびリンパ系に関連するもの)を含む。可動性血液成分とは、いかなる延長した期間にわたっても(一般的には5分を超えず、より通常には1分)固定された位置を有さない、血液成分である。これらの血液成分は、膜結合しておらず、そして延長した期間にわたって血液中に存在し、そして少なくとも0.1μg/mlの最小濃度で存在する。可動性血液成分としては、血清アルブミン、トランスフェリン、フェリチン、ならびにIgMおよびIgGのような免疫グロブリンが挙げられる。可動性血液成分の半減期は、少なくとも約12時間である。
【0015】
保護基: 保護基とは、ペプチド誘導体をそれ自体と反応しないよう保護するために利用される、化学部分である。種々の保護基が、米国特許第5,493,007号(これは、本明細書中に参考として援用される)に開示される。このような保護基としては、アセチル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)などが挙げられる。特定の保護されたアミノ酸を、表1に示す。
【0016】
【表1】

感受性官能基: 感受性官能基とは、抗新脈管形成ペプチド上の潜在的な反応部位を提供する、原子の群である。存在する場合には、感受性官能基は、リンカー−反応性基修飾のための付着点として、選択され得る。感受性官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、チオール基、およびヒドロキシル基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
改変ペプチド: 改変抗新脈管形成ペプチドとは、反応性基の結合により改変されたペプチドであり、血液成分への結合によりペプチダーゼ安定化ペプチドを形成し得る。反応性基は、連結基を介してか、または必要に応じて連結基を使用せずにかのいずれかで、抗新脈管形成ペプチドに結合され得る。1つ以上のさらなるアミノ酸が抗新脈管形成ペプチドに付加されて、反応性基の付着を容易にし得ることもまた、考慮される。改変ペプチドは、血液成分との結合体化がインビボで起こるように、インビボで投与され得るか、またはこれらは、最初に血液成分とインビトロで結合体化され、そして得られるペプチダーゼに対して安定化されたペプチド(以下に定義されるような)が、インビボで投与され得る。用語「改変抗新脈管形成ペプチド」および「改変ペプチド」は、本願において交換可能に使用され得る。
【0018】
ペプチダーゼに対して安定化された抗新脈管形成ペプチド: ペプチダーゼに対して安定化された抗新脈管形成ペプチドとは、連結基のありまたはなしで、改変されたペプチドの反応性基と血液成分の官能基との間に形成される共有結合を介して、血液成分に結合体化された、改変されたペプチドである。ペプチダーゼに対して安定化されたペプチドは、インビボでペプチダーゼの存在下で、安定化されていないペプチドより安定である。ペプチダーゼに対して安定化された抗新脈管形成ペプチドは、一般に、同じ配列の安定化されていないペプチドと比較して、少なくとも10〜50%増加した半減期を有する。ペプチダーゼ安定性は、血清または血液中の改変されていない抗新脈管形成ペプチドの半減期と、血清または血液中の改変された対応する抗新脈管形成ペプチドの半減期とを比較することにより、決定される。半減期は、改変されたペプチドおよび改変されていないペプチドの投与後の血清または血液をサンプリングし、そしてそのペプチドの活性を決定することにより、決定される。活性を決定することに加えて、抗新脈管形成ペプチドの長さもまた、HPLCおよび質量分析計によって測定され得る。
【0019】
連結基: 連結基とは、反応性基を抗新脈管形成ペプチドに結合または連結する、化学部分である。連結基は、1つ以上のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基アルキル基で置換されたアミノ基、シクロアルキル基、多環式基、アリール基、ポリアリール基、置換アリール基、複素環式基、および置換複素環式基を含み得る。連結基はまた、AEA((2−アミノ)エトキシ酢酸)または好ましい連結基であるAEEA([2−(2−アミノ)エトキシ)]エトキシ酢酸)のような、ポリエトキシアミノ酸を含み得る。好ましい連結基は、AEEA([2−(2−アミノ)]エトキシ酢酸)である。
【0020】
(発明の詳細な説明)
これらの定義を考慮して、本発明の焦点は、抗新脈管形成特性を改変することなく、タンパク質キャリアにペプチドを結合することにより、抗新脈管形成ペプチド、特にクリングル5ペプチドを改変し、バイオアベイラビリティーを改良し、インビボにおけるペプチドの半減期および分布を延ばすことである。本発明で選択したキャリア(しかし、本発明に限定されない)は、マレイミド部分で誘導体化されたクリングル5ペプチドにより、遊離チオールを介して結合されたアルブミンである。
【0021】
(1.クリングル5ペプチド)
本明細書中で使用される場合、用語「クリングル5」とは、哺乳動物プラスミノゲン分子の第5のクリングル領域により規定される特定の三次元構造に寄与する、3つのジスルフィド結合を有する哺乳動物プラスミノゲンの領域をいう。1つのこのようなジスルフィド結合は、アミノ酸位462および541に位置するシステイン残基を結合し、第2のジスルフィド結合は、アミノ酸位483および524に位置するシステイン残基を結合し、そして第3のジスルフィド結合は、アミノ酸位512および536に位置するシステイン残基を結合する。哺乳動物の完全なプラスミノゲン分子(ヒトプラスミノゲン分子)のアミノ酸配列(そのクリングル5領域を含む)は、(配列番号1)で表される。
【0022】
用語「クリングル5ペプチドフラグメント」とは、以下の哺乳動物プラスミノゲンの対応するペプチドフラグメントに対して実質的な配列相同性を有する、4個と104個との間のアミノ酸(4と104を含む)の抗新脈管形成活性を有するペプチドをいう:インタクトな哺乳動物プラスミノゲンのアミノ酸位約443のα−N−末端、および配列番号1のアミノ酸位約546のα−C−末端;インタクトな哺乳動物プラスミノゲンのアミノ酸位約513のα−N−末端、および配列番号1のアミノ酸位約523のα−C−末端;インタクトな哺乳動物プラスミノゲンのアミノ酸位約525のα−N−末端、および配列番号1のアミノ酸位約535のα−C−末端;インタクトな哺乳動物プラスミノゲンのアミノ酸位約529のα−N−末端、および配列番号1のアミノ酸位約535のα−C−末端;インタクトな哺乳動物プラスミノゲンのアミノ酸位約529のα−N−末端、および配列番号1のアミノ酸位約534のα−C−末端;ならびにインタクトな哺乳動物プラスミノゲンのアミノ酸位約150のα−N−末端、および配列番号1のアミノ酸位約156のα−C−末端。
【0023】
好ましい形態において、本発明のクリングル5ペプチドは、1つ以上の以下の配列を有する:
【0024】
【化2】


従って、本発明は、抗新脈管形成活性を有するクリングル5ペプチドフラグメントの任意の誘導体または改変物を包含することが意図され、そして本明細書中に記載されるクリングル5ペプチドフラグメントのクラス全体、ならびにこれらのクリングル5ペプチドフラグメントの誘導体および改変物を含むことが理解されるべきである。
【0025】
(2.改変クリングル5ペプチド)
本発明は、改変抗新脈管形成ペプチド、特に改変クリングル5ペプチドに関する。本発明の改変クリングル5ペプチドは、共有結合を介して血液成分の利用可能な反応性官能基と反応し得る。本発明はまた、このような改変物、血液成分とのこのような組み合わせおよびそれらの使用方法に関する。これらの方法は、改変クリングル5ペプチドの効果的な治療インビボ半減期を延ばす工程を包含する。
【0026】
タンパク質上の官能性と共有結合を形成するために、化学反応性基(反応物)として広範な種々の活性なカルボキシル基、特にエステルを使用し得、ここで、ヒドロキシル部分は、クリングル5ペプチドを改変するために必要とされるレベルで生理学的に受容可能である。多くの異なるヒドロキシル基がこれらの連結剤において使用され得るが、最も通常のものは、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N−ヒドロキシ−スルホスクシンイミド(sulfo−NHS)、マレイミド−ベンゾイル−スクシンイミド(MBS)、γ−マレイミド−ブチリルオキシスクシンイミドエステル(GMBS)およびマレイミドプロピオン酸(MPA)である。
【0027】
第一級アミンは、以下のスキームに図示されるようにNHSエステルに対する重要な標的である。タンパク質のN末端に存在するアクセス可能なα−アミン基が、NHSエステルと反応する。しかし、タンパク質のα−アミノ基は、NHSカップリングについて望ましくないかまたは利用可能でないかもしれない。5個のアミノ酸がその側鎖に窒素を有するが、リジンのε−アミンのみが、有意にNHSエステルと反応する。アミド結合は、NHSエステルが、結合反応において、以下のスキームに示されるように、第一級アミンと反応し、N−ヒドロキシスクシンイミドを放出する場合に形成される。これらの反応性基を有するスクシンイミドは、本明細書中においてスクシンイミジル基として言及される。
【0028】
【化3】

本発明の好ましい実施形態において、タンパク質の官能基はチオール基であり、化学反応性基は、γ−マレイミド−ブチルアミド(GMBA)またはMPAのようなマレイミド含有基である。このようなマレイミド含有反応性基は、本明細書中で「マレイミド基」として言及される。マレイミド基は、反応混合物のpHが6.5と7.4の間で維持される場合、ペプチドのスルフヒドリル基について最も選択的である。pH7.0において、マレイミド基とスルフヒドリルとの反応速度は、アミンとの反応より1000倍速い。マレイミド基とスルフヒドリルとの間の安定なチオエーテル結合が形成され、これは、以下のスキームに示されるように生理学的な条件下では切断され得ない。
【0029】
【化4】

本発明のクリングル5ペプチドおよびペプチド誘導体は、血液成分の特異的標識化および非特異的標識化のために改変され得る。
【0030】
(A.特異的標識化)
好ましくは、本発明の改変新脈管形成ペプチドは、移動性血液タンパク質のチオール基と特異的に反応するように設計される。このような反応は、好ましくは、血清アルブミンまたはIgGのような移動性血液タンパク質のチオール基へのマレイミド連結(例えば、GMBS、MPAまたは他のマレイミドから調製される)を用いて改変される抗新脈管形成ペプチドの共有結合によって確立される。
【0031】
特定の条件下において、マレイミド(マレイミド基)との特異的な標識化は、NHSおよびスルホ−NHSのような基を用いる移動性タンパク質の非特異的な標識化に比べていくつかの利点を提供する。チオール基は、インビボにおいてアミノ基よりもあまり豊富ではない。従って、本発明のマレイミド誘導体は、より少ないタンパク質に共有結合する。例えば、アルブミン(最も豊富な血液タンパク質)において、一つのチオール基のみが存在する。従って、ペプチドマレイミド−アルブミン結合体は、ペプチド対アルブミンを約1:1のモル比で含む傾向がある。アルブミンに加えて、IgG分子(クラスII)もまた、遊離チオールを有する。IgG分子および血清アルブミンが血液において可溶なタンパク質の大部分を構成するので、これらはまた、マレイミド改変ペプチドに共有結合するのに利用可能な血液中の遊離チオール基の大部分を構成する。
【0032】
さらに、遊離チオール含有血液タンパク質の間でさえ、マレイミドを用いた特異的標識化は、アルブミン自体の独特の特徴付けに起因して、ペプチド−マレイミド−アルブミン結合体の優先的な形成に導く。アルブミンの単一の遊離チオール基は、種間において高度に保存され、アミノ酸残基34(Cys34)に位置する。最近、アルブミンのCys34が他の遊離チオール含有タンパク質の遊離チオールと比べて高い反応性を有することが示されている。これは、アルブミンのCys34に対する非常に低いpK値(5.5)に一部起因する。これは、一般的にシステイン残基の典型的なpK値(典型的には約8)よりもずっと低い。この低いpKに起因して、正常な生理学的条件下でアルブミンのCys34は、主にイオン化された形態であり、これは、その反応性を劇的に増加させる。Cys34の低いpK値に加えて、Cys34の反応性を高める別の因子はその位置であり、その位置は、アルブミンのV領域の一つのループの表面に近接した間隙である。この位置は、Cys34を全ての種類のリガンドに対してまさしく利用可能にし、遊離ラジカルトラップおよび遊離チオール捕捉剤としてCys34の生物学的役割において重要な因子である。これらの性質は、Cys34をマレイミドに非常に反応性にし、反応速度の加速は、他の遊離チオール含有タンパク質とマレイミドペプチドの反応の反応速度に比べて、1000倍であり得る。
【0033】
ペプチド−マレイミド−アルブミン結合体の別の利点は、ペプチドとアルブミン(特異的にCys34)が1:1で含むことに関連する再現性である。グルタルアルデヒド、DCC、EDCおよび例えば、遊離アミンについての他の化学活性化のような他の技術は、この選択性を欠いている。例えば、アルブミンは、52個のリジン残基を含み、このうちの25〜30個は、アルブミンの表面に位置し、そして結合のためにアクセス可能である。これらのリジン残基の活性化、あるいはこれらのリジン残基を通して結合するペプチドの改変は、結合体の不均一な集団を生じる。ペプチド対アルブミンの1:1のモル比が使用される場合でさえ、生成物は、複数の結合体産物からなり、そのいくつかは、1つのアルブミン当たり0、1、2以上のペプチドを含み、それぞれは、25〜30個の利用可能なリジン部位のいずれか1つにランダムに結合されるペプチドを有する。多くの組み合わせが可能である場合、抽出組成およびそれぞれのバッチの性質の特徴付けは困難になり、バッチ間の再現性はほとんど不可能であり、このような結合体を抗新脈管形成ペプチドとしてあまり望ましくなくする。さらに、アルブミンのリジン残基を介する結合体化が、1アルブミン分子当たりの抗新脈管形成剤のより多くを送達する利点を少なくとも有するようであるが、研究によって、抗新脈管形成剤対アルブミンの1:1の比が好ましいことが示された。Stehleら、「The Loading Rate Determines Tumor Targeting Properties of Methotrexate−Albumin Conjugates in Rats」、Anti−Cancer Drugs,第8巻,677−685頁(1997)による論文(その全体において本明細書中で援用される)において、著者らは、抗癌剤メトトレキサート対グルタルアルデヒドを介して結合されるアルブミンの1:1の比が最も有望な結果を与えたことを報告した。これらの結合体は腫瘍細胞によって取り込まれたが、5:1〜20:1のメトトレキサート分子を有する結合体は、変化したHPLCプロフィールを有し、そしてインビボで肝臓に迅速に取り込まれた。これらの高い比において、アルブミンに対するコンフォメーションの変化は、治療キャリアとしてのその有効性を減少することが推論される。
【0034】
マレイミド−ペプチドのインビボでの制御された投与を通して、アルブミンおよびIgGのインビボでの特異的な標識化を制御し得る。典型的な投与において、80〜90%の投与されたマレイミド−ペプチドが、アルブミンを標識し、5%未満がIgGを標識する。グルタチオンのような遊離チオールの微量標識がまた、生じる。このような特異的な標識化は、インビボ用途に好ましい。なぜなら、これは、投与された薬剤の見積もられた半減期の正確な計算を可能にするからである。
【0035】
制御された特異的なインビボ標識化を提供することに加えて、マレイミド−ペプチドは、血清アルブミンおよびIgGのエキソビボでの特異的標識化を提供し得る。このようなエキソビボの標識化は、血清アルブミンおよび/またはIgGを含む血液、血清または生理食塩水へのマレイミド−ペプチドの添加を包含する。一旦、マレイミド−ペプチドを用いてエキソビボで改変すると、血液、血清または生理食塩溶液は、インビボ処置のために血液に再投与され得る。
【0036】
NHS−ペプチドと対照的に、マレイミド−ペプチドは、一般的に、水性溶液の存在下および遊離アミンの存在下において、非常に安定である。マレイミド−ペプチドが遊離チオールとのみ反応するので、マレイミド−ペプチドがそれ自体と反応することを防ぐために、保護基は、一般的に必要ではない。さらにペプチドの増加した安定性によって、インビボ用途に適切な非常に精製された産物を調製するためのHPLCのようなさらなる精製工程の使用が可能になる。最後に、増加した化学的安定性は、より長い有効期限を有する製品を提供する。
(B.非特異的標識)
本発明のクリングル5ペプチドはまた、血液成分の非特異的標識のために改変され得る。アミノ基との結合が一般的に使用され得、特に非特異的標識のためのアミド結合の形成を伴う。そのような結合を形成するために、クリングル5ペプチドと結合した化学反応性基として、広範に種々の活性カルボキシル基、特にエステルを使用し得、ここでそのヒドロキシル部分は、必要とされるレベルにおいて生理学的に受容可能である。多数の異なるヒドロキシル基がこれらの結合剤中で使用され得るが、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)およびN−ヒドロキシ−スルホスクシンイミド(スルホ−NHS)が最も都合が良く、この使用によりスクシンイミジル基を形成する。
【0037】
利用され得る他の結合剤は、米国特許第5,612,034号(これは、本明細書中に参考として援用される)において記載される。
【0038】
本発明のクリングル5ペプチド誘導体の化学反応性基がインビボで反応し得る種々の部位としては、細胞、特に赤血球(成熟赤血球)および血小板、ならびにタンパク質(例えば、免疫グロブリン(IgGおよびIgMを含む)、血清アルブミン、フェリチン、ステロイド結合タンパク質、トランスフェリン、サイロキシン結合蛋白、α−2−マクログロブリンなど)が挙げられる。誘導体化されたクリングル5ペプチドが反応するそれらのレセプター(これは、長命ではない)は、一般的に、およそ3日以内にヒト宿主から除去される。上記に示されるタンパク質(細胞のタンパク質を含む)は、血中濃度に基づいて、特に半減期に関しては、少なくとも3日間残存し、そして5日間以上残存し得る(一般的に、60日間を超えず、より一般的には30日間を超えない)。
【0039】
ほとんどの部分について、反応は、血液中の移動性成分、詳細には血液タンパク質および細胞、より詳細には血液タンパク質および成熟赤血球を伴う。「移動性」とは、その成分が、任意の長期間(一般的には5分間を超えず、より一般的には1分間である)一定の場所にいないことを意図するが、いくつかの血液成分は、長期間、比較的停止し得る。最初は、官能体化されたタンパク質および細胞の比較的不均一な集団が存在する。しかし、ほとんどの部分について、投与後数日以内でその集団は、血流中の官能体化されたタンパク質の半減期に依存して、最初の集団とは実質的に異なってくる。従って、通常、およそ3日以内もしくはそれ以上の期間内に、IgGは、血流において優勢な官能体化されたタンパク質となる。
【0040】
通常、投与後5日までに、IgG、血清アルブミンおよび成熟赤血球は、血液中の結合成分の少なくとも約60mol%、通常は少なくとも約75mol%となり、IgG、IgM(実質的により少ない程度まで)および血清アルブミンは、非細胞性結合成分の少なくとも約50mol%、通常は少なくとも約75mol%、より一般には約80mol%となる。
【0041】
好ましくは、クリングル5ペプチド誘導体は、アルブミンに結合される。
【0042】
血液成分に対する非特異的クリングル5ペプチドの所望の結合体は、患者にそのクリングル5ペプチド誘導体を投与することによって、インビボにて調製され得る。この患者は、ヒトまたは他の哺乳動物であり得る。その投与は、ボーラス形態でなされるか、または流れを計器で調節して注入することなどによって、ゆっくりと長期間で導入され得る。
【0043】
所望される場合、本発明の結合体はまた、血液と本発明の誘導体化クリングル5ペプチドとを組み合わせることによって、エキソビボで調製され得、血液成分上の反応性官能基と誘導体化クリングル5ペプチドとの共有結合を可能にし、次いで、宿主にその結合体化血液を戻すか、または投与する。さらに、上記のことは、初めに、個々の血液成分または限られた数の成分(例えば、赤血球細胞、免疫グロブリン、血清アルブミンなど)を精製し、そしてその成分または複数の成分をエキソビボにて化学的に反応性のクリングル5ペプチド誘導体と組み合わせることによって達成され得る。次いで、官能体化された血液または血液成分は、治療的に有効な結合体をインビボで被験体に提供するために宿主に戻され得る。その血液はまた、エキソビボで操作する間の凝固を予防するために処理され得る。
【0044】
(3.改変クリングル5ペプチドの合成)
(A.クリングル5ペプチドの合成)
クリングル5ペプチドフラグメントは、当業者に公知の固相ペプチド化学の標準的な方法によって、合成され得る。例えば、クリングル5ペプチドフラグメントは、アプライドバイオシステムシンセサイザー(Applied Biosystem synthesizer)を使用する、StewardおよびYoung(Steward,J. M.およびYoung,J.D.,Solid Phase Peptide Synthesis,第2版.,Pierce Chemical Company,Rockford,III.,(1984))により記載される手順に従がう固相化学技術によって合成され得る。次いで、同様に、複数のフラグメントが共に結合して合成されて、より大きなフラグメントを形成する。これらの合成ペプチドフラグメントはまた、特定の位置におけるアミノ酸置換を伴って作製され得る。
【0045】
固相ペプチド合成について、多くの技術の概要が、J.M.StewartおよびJ.D.Young,Solid Phase Peptide Synthesis,W.H.Freeman Co.(San Francisco),1963およびJ.Meienhofer,Hormonal Proteins and Peptides,第2巻 46頁、Academic Press(New York),1973において見出され得る。伝統的な溶液合成については、G.SchroderおよびK.Lupke,The Peptides,第1巻、Acacemic Press(New York)を参照のこと。一般的にこれらの方法は、1つ以上のアミノ酸または適切に保護されたアミノ酸を連続的に付加してペプチド鎖に成長させることを含む。通常、第1のアミノ酸のアミノ基またはカルボキシル基のいずれかが、適切な保護基によって保護される。次いで、その保護されたアミノ酸または誘導体化されたアミノ酸は、不活性固体支持体に付着されるか、あるいは、アミド結合を形成するために適切な条件下において、適切に保護されたコンプリメンタリー(complimentary)(アミノもしくはカルボキシル)基を有する配列中に次のアミノ酸を付加することによって溶液中で利用される。次いで、保護基をこの新たに付加されたアミノ酸残基から除去し、そして次のアミノ酸(適切に保護された)が付加などされる。
【0046】
全ての所望のアミノ酸が、適切な配列内に結合された後、全ての残りの保護基(および任意の固体支持体)が連続的にか、または同時に除去されて、最終的なポリヌクレオチドができる。この一般的手順の単純な改変によって、1つよりも多くのアミノ酸を一度に付加させて、鎖を成長させることが可能となる(例えば、保護トリペプチドを適切に保護されたジペプチドに(キラル中心をラセミ化しない条件下で)結合させ、脱保護の後、ペンタペプチドを形成させることによる)。
【0047】
本発明の化合物を調製する特に好ましい方法は、固相ペプチド合成を含み、ここでアミノ酸α−N−末端は、酸感受性基または塩基感受性基によって保護される。そのような保護基は、ペプチド結合形成の条件に対して安定であるという特性を有するべき一方で、成長するペプチド鎖の破壊またはその中に含まれる任意のキラル中心のラセミ化を伴わずに容易に除去可能である。適切な保護基は、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、ビフェニルイソプロピルオキシカルボニル、t−アミルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、o−ニトロフェニルスルフェニル、2−シアノ−t−ブチルオキシカルボニルなどである。9−フルオレニル−メチルオキシカルボニル(Fmoc)保護基は、クリングル5ペプチドフラグメントの合成のために特に好ましい。他の好ましい側鎖保護基は、リジンおよびアルギニンのような側鎖アミノ基に関しては、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル(pmc)、ニトロ基、p−トルエンスルホニル基、4−メトキシベンゼン−スルホニル基、Cbz基、Boc基、およびアダマンチルオキシカルボニル基であり;チロシンに関しては、ベンジル基、o−ブロモベンジルオキシカルボニル基、2,6−ジクロロベンジル基、イソプロピル基、t−ブチル(t−Bu)基、シクロヘキシル基、シクロペニル基およびアセチル(Ac)基であり;セリンに関しては、t−ブチル基、ベンジル基およびテトラヒドロピラニル基であり;ヒスチジンに関しては、トリチル基、ベンジル基、Cbz基、p−トルエンスルホニル基および2,4−ジニトロフェニル基であり;トリプトファンに関しては、ホルミル基であり;アスパラギン酸およびグルタミン酸に関しては、ベンジル基およびt−ブチル基であり;そしてシステインに関しては、トリフェニルメチル(トリチル)基である。
【0048】
固相ペプチド合成方法において、α−C−末端アミノ酸は、適切な固体支持体または樹脂に付着される。上記合成のために有用な適切な固体支持体は、段階的な縮合−脱保護反応の試薬および反応条件に対して不活性であり、ならびに使用される媒体に不溶性である材料である。α−C−末端カルボキシペプチドの合成のための好ましい固体支持体は、4−ヒドロキシメチルフェノキシメチル−コポリ(スチレン−1%ジビニルベンゼン)である。α−C−末端アミドペプチドのための好ましい固相支持体は、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmoc−アミノメチル)フェノキシアセトアミドエチル樹脂である(Applied
Biosystems(Foster City,Calif.)から入手可能)。このα−C−末端アミノ酸は、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェート(BOP)またはビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィンクロリド(BOPCl)を伴うか、または伴わずに、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)またはO−ベンゾトリアゾル−1−イル−N,N,N’,N’,−テトラメチルウロニウム−ヘキサフロオロホスフェート(HBTU)によって樹脂に結合され、結合は、ジクロロメタンまたはDMFのような溶媒中で10℃と50℃との間の温度にて約1時間〜24時間の間媒介される。
【0049】
固体支持体が、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmoc−アミノメチル)フェノキシ−アセトアミドエチル樹脂である場合、Fmoc基は、上記のα−C−末端アミノ酸とのカップリングの前に、第二級アミン、好ましくはピペリジンで切断される。脱保護された4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmoc−アミノメチル)フェノキシ−アセトアミドエチル樹脂へのカップリングのための好ましい方法は、DMF中O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’,−テトラメチルウロニウム−ヘキサフロオロホスフェート(HBTU、1当量)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT、1当量)である。保護されたアミノ酸の連続的なカップリングは、当該分野において周知の自動ポリペプチドシンセサイザーにおいて実行され得る。好ましい実施形態において、成長するペプチド鎖のα−N−末端アミノ酸は、Fmocで保護される。成長するペプチドのα−N−末端側からのFmoc保護基の除去は、第二級アミン、好ましくはピペリジンを用いて処理することによって達成される。次いで、各々の保護アミノ酸は、およそ3倍の過剰なモル濃度で導入され、そして好ましくは、カップリングはDMF中で実行される。カップリング剤は、通常、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’,−テトラメチルウロニウム−ヘキサフロオロホスフェート(HBTU、1当量)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT、1当量)である。
【0050】
固相合成の終点において、このポリペプチドは、連続的にか、または1回の操作でのいずれかで、樹脂から取り出されて、そして脱保護される。ポリペプチドの取り出しおよび脱保護は、チオアニソール(thianisole)、水、エタンジチオールおよびトリフルオロ酢酸を含む切断試薬(cleavage reagent)を用いて、樹脂結合ポリペプチドを処理することにより1回の操作で達成され得る。ポリペプチドのα−C−末端がアルキルアミドである場合、樹脂は、アルキルアミンを用いるアミノ分解によって切断される。あるいは、ペプチドは、例えば、メタノールを用いるエステル交換反応、続いてアミノ分解または直接的アミド基交換によって取り出され得る。保護ペプチドは、この時点で精製され得るか、または次の工程に直接使用され得る。側鎖保護基の除去は、上記の切断カクテル(cocktail)を使用して達成される。完全に脱保護されたペプチドは、任意または全ての以下の型:弱塩基樹脂上のイオン交換(アセテート形態);非誘導体化ポリスチレン−ジビニルベンゼン上の疎水性吸着クロマトグラフィー(例えば、Amberlite XAD);シリカゲル吸着クロマトグラフィー;カルボキシメチルセルロース上のイオン交換クロマトグラフィー;分配クロマトグラフィー(例えば、Sephadex G−25、LH−20)または向流分配;高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(特に、オクチル−もしくはオクタデシルシリル−シリカ結合相充填剤上の逆相HPLC)を利用する一連のクロマトグラフィー工程により精製される。
【0051】
これらのクリングル5ペプチドの分子量は、高速原子衝撃(FAB)質量分析法を使用して決定される。
【0052】
本発明のクリングル5ペプチドは、N末端保護基およびC末端保護基を用いて合成され得る。
【0053】
(1.N末端保護基)
用語「N保護基」とは、アミノ酸もしくはペプチドのα−N末端を保護すること、さもなくばアミノ酸もしくはペプチドのアミノ基を、合成手順の間の望ましくない反応物に対して保護することが意図されるそれらの基をいう。一般的に、使用されるN保護基は、Greene、「Protective Groups
In Organic Synthesis」(John Wiley&Sons、New York(1981))(これは、本明細書中に参考として援用される)に開示される。さらに、保護基を、例えば、酵素的加水分解によって容易にインビボで切断されるプロドラッグとして使用して、生物学的に活性なペアレント(parent)を放出し得る。α−N保護基は、低級アルカノイル基(例えば、ホルミル基、アセチル基(「Ac」)、プロピオニル基、ピバロイル基、t−ブチルアセチル基など;2−クロロアセチル基、2−ブロモアセチル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基、フタリル基、o−ニトロフェノキシアセチル基、クロロブチリル基、ベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基、4−ブロモベンゾイル基、4−ニトロベンゾイル基などを含む他のアシル基;例えば、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基などのようなスルホニル基;例えば、ベンジルオキシカルボニル基、p−クロロベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、2−ニトロベンジルオキシカルボニル基、p−ブロモベンジルオキシカルボニル基、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、4−エトキシベンジルオキシカルボニル基、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル基、1−(p−ビフェニルイル)−1−メチルエトキシカルボニル基、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、ベンズヒドリルオキシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、ジイソプロピルメトキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、4−ニトロフェノキシカルボニル基、フルオレニル−9−メトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、フェニルチオカルボニル基などのカルバメート形成基;例えば、ベンジル基、トリフェニルメチル基、ベンジルオキシメチル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)などのようなアリールアルキル基ならびに例えば、トリメチルシリルなどのようなシリル基を含む。
【0054】
好ましいN保護基は、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、ピバロイル基、t−ブチルアセチル基、フェニルスルホニル基、ベンジル基、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)基およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)基である。例えば、リジンは、酸不安定基(例えば、Boc)によって、α−N末端で保護され得、そして塩基不安定基(例えば、Fmoc)によって、N末端で保護され得、次いで、合成の間に選択的に脱保護され得る。
【0055】
(2.カルボキシル保護基)
用語「カルボキシル保護基」とは、化合物の他の官能基部位に関与する反応が実施されながらカルボン酸官能基をブロックもしくは保護するために使用されるカルボン酸保護エステル基またはアミド基のことをいう。カルボキシ保護基は、Greene、「Protective Groups in Organic
Synthesis」152〜186頁(1981)(これは、本明細書中に参考として援用される)に開示される。さらに、カルボキシ保護基は、プロドラッグとして使用され得、これによって、このカルボキシ保護基は、例えば、酵素的加水分解によって容易にインビボで切断され、生物学的に活性なペアレントを放出し得る。そのようなカルボキシ保護基は、当業者に周知であり、米国特許第3,840,556号および同第3,719,667号にて記載されるように、ペニシリンおよびセファロスポリンの分野におけるカルボキシル基の保護において広範囲に使用されている。これらの開示は、本明細書中に参考として援用される。代表的なカルボキシ保護基は、C1−C8低級アルキル基(例えば、メチル基、エチル基またはt−ブチル基など);例えば、フェネチル基またはベンジル基のようなアリールアルキル基ならびに例えば、アルコキシベンジル基またはニトロベンジル基などのようなそれらの置換誘導体;例えば、フェニルエテニル基などのアリールアルケニル;アリールおよび例えば、5−インダニル基などのようなその置換誘導体で;例えば、ジメチルアミノエチル基などのようなジアルキルアミノアルキル基;例えば、アセトキシメチル基、ブチリルオキシメチル基、バレリルオキシメチル基、イソブチリルオキシメチル基、イソバレリルオキシメチル基、1−(プロピオニルオキシ)−1−エチル基、1−(ピバロイルオキシ)−1−エチル基、1−メチル−1−(プロピオニルオキシ)−1−エチル基、ピバロイルオキシメチル基、プロピオニルオキシメチル基などのようなアルカノイルオキシアルキル基;例えば、シクロプロピルカルボニルオキシメチル基、シクロブチルカルボニルオキシメチル基、シクロペンチルカルボニルオキシメチル基、シクロヘキシルカルボニルオキシメチル基などのようなシクロアルカノイルオキシアルキル基;例えば、ベンゾイルオキシメチル基、ベンゾイルオキシエチル基などのようなアロイルオキシアルキル基;例えば、ベンジルカルボニルオキシメチル基、2−ベンジルカルボニルオキシエチル基などのようなアリールアルキルカルボニルオキシアルキル基;例えば、メトキシカルボニルメチル基、シクロヘキシルオキシカルボニルメチル基、1−メトキシカルボニル−1−エチル基などのようなアルコキシカルボニルアルキル基またはシクロアルキルオキシカルボニルアルキル基;例えば、メトキシカルボニルオキシメチル基、t−ブチルオキシカルボニルオキシメチル基、1−エトキシカルボニルオキシ−1−エチル基、1−シクロへキシルオキシカルボニルオキシ−1−エチル基などのようなアルコキシカルボニルオキシアルキル基またはシクロアルキルオキシカルボニルオキシアルキル基;例えば、2−(フェノキシカルボニルオキシ)エチル基、2−(5−インダニルオキシカルボニルオキシ)エチル基などのようなアリールオキシカルボニルオキシアルキル基;例えば、2−(1−メトキシ−2−メチルプロパン−2−オイルオキシ)エチル基などのようなアルコキシアルキルカルボニルオキシアルキル基;例えば、2−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)エチル基などのようなアリールアルキルオキシカルボニルオキシアルキル基;例えば、2−(3−フェニルプロペン−2−イルオキシカルボニルオキシ)エチル基などのようなアリールアルケニルオキシカルボニルオキシアルキル基;例えば、t−ブチルオキシカルボニルアミノメチル基などのようなアルコキシカルボニルアミノアルキル基;例えば、メチルアミノカルボニルアミノメチル基などのようなアルキルアミノカルボニルアミノアルキル基;例えば、アセチルアミノメチル基などのようなアルカノイルアミノアルキル基;例えば、4−メチルピペラジニルカルボニルオキシメチル基などのような複素環式カルボニルオキシアルキル基;例えば、ジメチルアミノカルボニルメチル基、ジエチルアミノカルボニルメチル基などのようなジアルキルアミノカルボニルアルキル基;例えば、(5−t−ブチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基などのような(5−(低級アルキル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)アルキル基;ならびに、例えば、(5−フェニル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基などのような(5−フェニル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)アルキル基である。
【0056】
代表的なアミドカルボキシ保護基は、アミノカルボニル基および低級アルキルアミノカルボニル基である。
【0057】
本発明の好ましいカルボキシ保護化合物には複数の化合物があり、ここでその保護カルボキシ基は、低級アルキルエステル、シクロアルキルエステルもしくはアリールアルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、sec−ブチルエステル、イソブチルエステル、アミルエステル、イソアミルエステル、オクチルエステル、シクロヘキシルエステル、フェニルエチルエステルなど)またはアルカノイルオキシアルキルエステル、シクロアルカノイルオキシアルキルエステル、アロイルオキシアルキルエステルもしくはアリールアルキルカルボニルオキシアルキルエステルである。好ましいアミドカルボキシ保護基は、低級アルキルアミノカルボニル基である。例えば、アスパラギン酸は、酸不安定基(例えば、t−ブチル基)によりα−C末端にて保護され得、そして水素化不安定基(例えば、ベンジル基)によりβ−C末端にて保護され得、次いで、合成中に選択的に脱保護され得る。
【0058】
(B.クリングル5ペプチドの改変)
本発明の改変されたクリングル5ペプチドを生成する様式は、その分子を含む種々の要素の性質に依存して、広範に変動する。合成手順は、単純であるように、高収率を提供するように、そして高度に精製された生成物を可能とするように、選択される。通常、化学反応基は、最終段階で、例えば、カルボキシル基を用いて作製され、活性エステルを形成するためのエステル化が、合成の最終工程である。本発明の誘導体化されたクリングル5ペプチドの生成のための特定の方法を、以下の実施例に記載する。
【0059】
リンカーおよび反応性薬剤での誘導体化を受けさせるために選択された各クリングル5ペプチドを、以下の基準に従って改変する:薬理学的活性の保持に重要ではないカルボン酸基(carboxylic group)が、本来の分子において利用可能であり、そして他の反応性官能基がこの分子に存在しない場合、カルボン酸を、リンカー反応基改変のための結合部位として選択する。カルボン酸が利用可能ではない場合、薬理学的活性の保持に重要ではない任意の他の官能基を、リンカー反応基改変のための結合部位として選択する。いくつかの官能基がクリングル5ペプチドにおいて利用可能である場合、リンカー/反応基の付加および保護されたすべての官能基の脱保護後に、薬理学的活性の保持がなお得られるような様式で、保護基の組み合わせが使用される。反応性官能基が治療剤において利用可能ではない場合、合成的な試みが、生物学的活性の保持およびレセプター特異性または標的特異性の保持が得られるような様式での本来のペアレント薬物の改変を可能にする。
【0060】
化学的反応性基は、1つの部位に存在し、その結果、ペプチドが、血液成分に結合する場合、ペプチドは、ペアレント化合物のインヒビター活性の実質的な比率を保持する。
【0061】
さらにより詳細には、リンカーおよび反応基での誘導体化を受けさせるために選択された各クリングル5ペプチドを、以下の基準に従って改変する:末端のカルボン酸基が、クリングル5ペプチドにおいて利用可能であり、そしてこの末端のカルボキシル基が薬理学的活性の保持に重要ではなく、そして他の感受性官能基がクリングル5ペプチドに存在しない場合、このカルボン酸を、リンカー反応基改変のための結合部位として選択する。末端のカルボン酸基が薬理学的活性に関与している場合、またはカルボン酸が利用可能ではない場合、薬理学的活性の保持に重要ではない任意の他の感受性官能基を、リンカー反応基改変のための結合部位として選択する。いくつかの感受性官能基がクリングル5ペプチドにおいて利用可能である場合、リンカー/反応基の付加および保護されたすべての感受性官能基の脱保護後に、薬理学的活性の保持がなお得られるような様式で、保護基の組み合わせが使用される。感受性官能基が治療用ペプチドにおいて利用可能ではない(またはより単純な改変経路が所望される場合)合成的な試みが、生物学的活性の保持およびレセプター特異性または標的特異性の保持が得られるような様式での本来のクリングル5ペプチドの改変を可能にする。この場合、改変は、ペプチドの反対の末端において生じる。
【0062】
NHS誘導体は、クリングル5ペプチドにおいて、他の感受性官能基の不在下でカルボン酸から合成され得る。特に、このようなクリングル5ペプチドは、無水CH2Cl2およびEDC中でN−ヒドロキシスクシンイミドと反応し、そしてこの生成物は、クロマトグラフィーによって精製されるか、またはNHS誘導体を与えるに適切な溶媒系から再結晶化される。
【0063】
あるいは、NHS誘導体は、アミノ基および/またはチオール基、ならびにカルボン酸を含むクリングル5ペプチドから合成され得る。分子中に遊離のアミノ基またはチオール基が存在する場合、NHS誘導体の付加を実施する前に、これらの感受性官能基を保護することが好ましい。例えば、分子が遊離アミノ基を含む場合、Fmocまたは好ましくはtBoc保護アミンへのアミンの転換が、上記化学を実施する前に必要とされる。アミン官能基は、NHS誘導体の調製後に脱保護されない。従って、この方法は、所望される薬理学的効果を誘導するために、アミン基が遊離状態であることが必要とされないペプチドのみに対して適用される。
【0064】
さらに、NHS誘導体は、アミノ基またはチオール基を含み、そしてカルボン酸を含まないクリングル5ペプチドから合成され得る。選択された分子が、カルボン酸を含まない場合、一連の二官能性リンカーを使用して、その分子を反応性NHS誘導体へと変換し得る。例えば、DMF中に溶解され、そして遊離アミノ含有分子に付加されたエチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシネート)(EGS)およびトリエチルアミン(EGSの方が有利なように、10:1の比率で)は、モノNHS誘導体を生成する。チオール誘導体化分子からNHS誘導体を生成するためには、DMF中のN−[γ−マレイミドブチリルオキシ]スクシンイミドエステル(GMBS)およびトリエチルアミンが使用され得る。マレイミド基は、遊離チオールと反応し、そしてNHS誘導体は、シリカでのクロマトグラフィーによってか、またはHPLCによって反応混合物から精製される。
【0065】
NHS誘導体はまた、複数の感受性官能基を含むクリングル5ペプチドから合成され得る。各々の場合に、異なる様式で分析および解明がなされなければならない。しかし、上記のような市販されている多量の保護基および二官能性リンカーのために、本発明は、ペプチドを誘導体化するために、好ましくはわずか1つの化学的工程で、または感受性基の予めの保護による2工程もしくは3工程(保護、活性化、および脱保護)で、任意のペプチドに適用可能である。例外的な状況下でのみ、クリングル5ペプチドを活性NHSまたはマレイミド誘導体に転換するために、複数の(3工程を超える)合成工程を使用することが必要とされる。
【0066】
マレイミド誘導体はまた、遊離アミノ基および遊離カルボン酸を含むクリングル5ペプチドから合成され得る。アミノ誘導体化分子からマレイミド誘導体を生成するためには、DMF中のN−[γ−マレイミドブチリルオキシ]スクシンイミドエステル(GMBS)およびトリエチルアミンが使用され得る。スクシンイミドエステル基は遊離アミノと反応し、そしてマレイミド誘導体は、結晶化によってか、またはシリカでのクロマトグラフィーによってか、またはHPLCによって、反応混合物から精製される。
【0067】
最後に、マレイミド誘導体は、複数の他の感受性官能基を含み、そして遊離カルボン酸を含まないクリングル5ペプチドから合成され得る。選択された分子が、カルボン酸を含まない場合、一連の二官能性架橋試薬を使用して、分子を反応性NHS誘導体に変換し得る。例えば、DMF中でのHBTU/HOBt/DIEA活性化を使用して、マレイミドプロピオン酸(MPA)を、遊離アミンにカップリングし、遊離アミンとMPAのカルボン酸基との反応を通してマレイミド誘導体を生成し得る。
【0068】
多数の二官能性化合物が、実体(entity)への架橋のために利用可能である。例示的な実体としては、以下が挙げられる:アジドベンゾイルヒドラジド、N−[4−(p−アジドサリチルアミノ)ブチル]−3’−[2’−ピリジルジチオ)プロピオンアミド)、ビス−スルホスクシンイミジルスベレート(suberate)、ジメチルアジピイミデート(adipimidate)、ジスクシンイミジル酒石酸塩、N−y−マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシスルホスクシンイミジル−4−アジドベンゾエート、N−スクシンイミジル[4−アジドフェニル]−1,3’−ジチオプロピオネート、N−スクシンイミジル[4−ヨードアセチル]アミノベンゾエート、グルタルアルデヒド、およびスクシンイミジル4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート。
【0069】
(4.改変クリングル5ペプチドの使用)
上記のように、新脈管形成は、組織の新生血管形成(「出芽(sprouting)」を含む)、脈管形成または脈管拡張を含む種々のプロセスを含む。外傷性創傷治癒、黄体(corpus leuteum)形成および胚形成を除いて、大半の新脈管形成プロセスが疾患プロセスに関連し、従って、本発明の治療方法の使用が、疾患について選択的であり、そして有害な副作用を有さないことが考えられる。
【0070】
新脈管形成が重要であると考えられる種々の疾患が存在し、これらの疾患は、本発明の改変されたペプチドを用いて処置可能であり得る。これらの疾患としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:例えば、免疫性炎症および非免疫性炎症、慢性関節リウマチならびに乾癬のような炎症性障害、例えば、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、再狭窄、アテローム硬化症斑(atherosclerotic plaque) における毛細管増殖および骨粗しょう症のような脈管の不穏当または不適当な浸潤に関連した障害、ならびに例えば、固形腫瘍、固形腫瘍転移、血管線維腫、水晶体後線維増殖症、血管腫、カポージ肉腫および新生血管形成を必要とし、腫瘍増殖を支持する同様の癌のような癌関連障害。
【0071】
本発明の改変されたクリングル5ペプチドは、罹患した組織における新脈管形成を阻害し、疾患の症状を改善し、そして疾患に依存して、疾患の治癒に寄与し得る方法における使用を見出す。本発明の改変されたペプチドは、インビボでより安定であり、そしてそれ自体で、より少量の改変されたペプチドが、有効な処置のために投与され得る。1つの実施形態において、本発明は、それ自体で組織における新脈管形成の阻害を意図する。組織における新脈管形成の程度、従って、本発明の方法によって達成された阻害の程度は、免疫組織化学によって、α53−免疫陽性の未成熟な脈管構造および発生期の脈管構造を検出するための種々の方法によって評価され得る。
【0072】
本明細書中に記載されるように、任意の種々の組織、または組織された組織から構成される器官は、皮膚、筋肉、消化管、結合組織、関節、骨および血管が、新脈管形成刺激で浸潤し得る同様の組織を含む疾患状態における新脈管形成を支持し得る。
【0073】
1つの関連する実施形態では、本発明の改変クリングル5ペプチドで処理される組織は、炎症性組織であり、そして阻害されるべき新脈管形成は、炎症組織の新生血管形成が存在する炎症性組織の新脈管形成である。このクラスでは、この方法は、例えば、慢性関節リウマチの患者、免疫または非免疫の炎症性組織、乾癬組織などで、関節炎組織の新脈管形成の阻害を企図する。
【0074】
本発明の原理は、本発明は全ての哺乳動物に関して効果的であることと示すことが理解されているが、本発明の多くの実施形態において本発明で処置される患者は、望ましくはヒト患者であり、用語「患者」に含まれるように意図されている。この文脈では、哺乳動物は、新脈管形成に関連した疾患の処置が所望である哺乳動物種、特に農業のおよび家畜の哺乳動物種、である任意の哺乳動物種を含むことが理解される。
【0075】
別の関連した実施形態では、本発明の改変クリングル5ペプチドで処置される組織は、糖尿病網膜症、黄斑変性または血管新生緑内障
を有する患者の網膜組織であり、阻害される新脈管形成は、網膜組織の新生血管形成が存在する網膜組織の新脈管形成である。
【0076】
さらに関連した実施形態では、本発明の改変クリングル5ペプチドで処置される組織は、固形腫瘍、転移、皮膚癌、乳癌、血管腫異常または血管繊維腫およびその他の癌などを有する患者の腫瘍組織であり、そして阻害される新脈管形成は、腫瘍組織の新生血管形成が存在する腫瘍組織の新脈管形成である。本発明の方法によって処置可能な代表的な固形腫瘍組織としては、肺、膵臓、胸部、結腸、咽頭、卵巣、およびその他の組織が挙げられる。
【0077】
腫瘍増殖において新生血管形成が果たす重要な役割のために、腫瘍組織の新脈管形成の阻害は、特に好ましい実施形態である。腫瘍組織の新生血管形成が存在しなければ、腫瘍組織は、要求される養分を獲得できず、増殖が遅れ、さらなる増殖を止めてしまい、後退し、そして最終的に壊死し、腫瘍は死ぬ。
【0078】
従って本発明は、本発明の改変クリングル5ペプチドを使用し、本発明の方法に従って、腫瘍の新脈管形成を阻害することによって、腫瘍の新生血管形成を阻害する方法を提供する。同様に、本発明は、新脈管形成阻害法を実施することによって、腫瘍の増殖を阻害する方法を提供する。この方法はまた、転移の形成に対して特に有効である。なぜなら、(1)転移癌細胞が、一次腫瘍から去り得るように、転移の形成は、一次腫瘍の血管新生を必要とし、そして(2)転移の増殖を支援するために、第二の部位での転移の確立には、新生血管形成を必要とするからである。
【0079】
関連した実施形態では、本発明は、他の治療法(例えば、固形腫瘍に対して標的化する、転移の確立の制御のための慣例的な化学療法など)と結合した、この方法の実施を企図する。本発明の改変クリングル5ペプチドの投与は、代表的に化学療法の間または後に行なわれるが、数回にわたる化学療法レジメンの後に、新脈管形成を阻害し、ここで、腫瘍組織に血液供給および養分を提供することによって回復する新脈管形成の誘導によって、腫瘍組織が毒素攻撃に応答する。さらに、転移に対する予防として、固形腫瘍が除去された手術の後に、改変クリングル5ペプチドが、投与されることが好ましい。本発明の方法が、腫瘍の新生血管形成の阻害に適用する限り、本発明の改変クリングル5ペプチドを使用して、この方法はまた、腫瘍組織の増殖の阻害、腫瘍転移の形成の阻害、および確立した腫瘍の後退に適用し得る。
【0080】
再狭窄は、血管形成の成功を妨げる、経皮的経管的冠動脈形成の部位での、平滑筋細胞(SMC)移動および増殖のプロセスである。SMCの再狭窄の間の移動および増殖は、本発明の改変クリングル5ペプチドによって阻害される新脈管形成のプロセスとして考えられ得る。従って、本発明はまた、血管形成の手順に従って、患者の新脈管形成を阻害することによる再狭窄の阻害を企図する。再狭窄の阻害には、改変クリングル5ペプチドは、この手順に従って、血管形成の手順の後に、約2日〜28日間代表的に投与され、さらに典型的には、最初の約14日間にわたって投与された。
【0081】
組織中の新脈管形成を阻害する本発明の方法は、新脈管形成が起こるか、または起こる危険のある組織を、治療有効量の改変クリングル5ペプチドを含む組成物と接触させる工程を包含する。さらに本明細書で記載されるように、改変クリングル5ペプチドの投与のための用量範囲は、ペプチドの形態、およびその能力に依存し、そして新脈管形成および新脈管形成によって媒介される疾患の兆候が改善される、所望の効果を生成するのに、十分に多い量である。用量は、有害な副作用(例えば、過粘稠度症候群、肺水腫、うっ血性心不全など)を起こすほど多くはないべきである。概して、用量は、患者の年齢、状態、性別および疾患の程度によって変化し、そして当業者によって決定され得る。その用量はまた、任意の合併症の場合には、個々の内科医によって調節され得る。
【0082】
新生血管形成のインヒビターとして、そのような改変クリングル5ペプチドは、初期および転移性の固形腫瘍の両方ならびに以下の癌の処置において有用である:胸部;結腸;直腸;肺;口腔咽頭部;下咽頭;食道;胃;膵臓;肝臓;胆嚢;胆管;小腸;腎臓、膀胱および尿路上皮を含む尿路;頸部、子宮、卵巣、絨毛癌および妊娠性栄養膜疾患を含む女性の生殖管;前立腺、精嚢、精巣および生殖細胞腫瘍を含む男性の生殖管;甲状腺、副腎、および下垂体を含む内分泌腺;血管腫、黒色腫、骨または柔組織から生じる肉腫およびカポージの肉腫を含む皮膚;脳、神経、眼、および星状細胞腫、グリオーム、グリア芽細胞腫、網膜芽腫、神経腫、神経芽腫、神経鞘腫および髄膜腫を含む髄膜腫瘍;白血病のような造血悪性疾患から生じる固形腫瘍であって、そして緑色腫、プラズマ細胞腫、菌状息肉腫および皮膚のT細胞リンパ腫/白血病のプラークおよび腫瘍を含む;ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫の両方を含むリンパ腫;慢性関節リウマチ、免疫性関節炎および変形性関節症を含む、自己免疫疾患の予防法;糖尿病性網膜症、未熟網膜症、角膜移植拒絶、水晶体後線維増殖症、血管新生緑内障、ルベオーシス、黄斑変性に起因する新生血管形成および低酸素を含む眼疾患;眼の異常な新生血管形成状態;乾癬を含む皮膚病;アテローム硬化性プラーク中の血管腫(hemagioma)および毛細管増殖を含む血管疾患;オスラー−ウェーバー症候群;心筋の新脈管形成;プラーク新生血管形成;毛細管拡張;血友病性関節;血管繊維腫;創傷の肉芽化;腸の癒着、クローン病、アテローム硬化症、強皮症および過形成性の瘢痕(すなわち、ケロイド)を含む内皮細胞の過度のまたは異常な刺激によって特徴付けられる疾患ならびにネコスクラッチ疾患および潰瘍(ヘリコバクターピロリ)を含む病理学的結果としての新脈管形成を有する疾患(ロシェル)。別の使用は、出産制限薬剤としてであり、排卵および胎盤の確立を阻害する。
【0083】
本発明の改変クリングル5ペプチドはまた、単独で、または新脈管形成疾患を処置するために、患者に慣例的に投与される、放射線療法および/または他の化学療法処置と組み合わせて使用されるかのどちらかの場合、上記記載の腫瘍からの転移の予防のために有用であり得る。例えば、固形腫瘍の処置で使用されるとき、本発明の改変クリングル5ペプチドは、化学治療剤(例えば、αインターフェロン(inteferon)、COMP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、メトトレキサートおよびプレドニゾン)、エトポシド、mBACOD(メトトレキサート、ブレオマイシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびデキサメタゾン)、PRO−MACE/MOPP(プレドニゾン、メトトレキサート(w/ロイコビン(leucovin)レスキュー)、ドキソルビシン、シクロホスファミド、タキソール、エトポシド/メクロレタミン、ビンクリスチン、プレドニゾンおよびプロカルバジン)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、血管インヒビン(angioinhibin)、TNP−470、ペントサンポリスルフェート、血小板第4因子、アンギオスタチン(angiostatin)、LM−609、SU−101、CM−101、テクガラン(Techgalan)、サリドマイド、SP−PGなどと一緒に投与され得る。他の化学治療剤としては、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミドおよびイホスファミド(ifosfamide)を含む窒素マスタード);カルムスチン、ロムスチン、セムスチンおよびストレプトゾシンを含むニトロソ尿素類;ブスルファンを含むアルキルスルホネート;ダカルバジンを含むトリアジン;チオテパおよびヘキサメチルメラミンを含むエチレンイミン(ethyenimine);メトトレキサートを含む葉酸アナログ;5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシドを含むピリミジンアナログ;6−メルカプトプリンおよび6−チオグアニンを含むプリンアナログ;アクチノマイシンDを含む抗腫瘍抗生物質;ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシンCおよびミトラマイシン(methramycin)を含むアントラサイクリン;タモキシフェンおよびコルチコステロイド(cortiosteroid)を含むホルモンならびにホルモンアンタゴニストおよびシスプラチンならびにブレキナー(brequinar)を含む種々雑多な薬剤が挙げられる。例えば、腫瘍は、手術、放射線または化学療法およびクリングル5の投与で慣例的に処置され得、微小転移の休止を延長し、そして任意の残留の一次腫瘍を安定化し、そして阻害するために、続いてクリングル5の投与がなされ得る。
【0084】
(5.改変クリングル5ペプチドの投与)
改変クリングル5ペプチドは、生理学的に受容可能な媒体(例えば、脱イオン水、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、生理食塩水、水性エタノールまたは他のアルコール、血漿、蛋白様溶液、マンニトール、水性グルコース、アルコール、植物油など)中で投与される。含まれ得る他の添加物としては、緩衝液(この媒体は、約5〜10の範囲のpHで一般的に緩衝化され、緩衝液は一般に約50〜250mMの濃度の範囲である)、塩(塩の濃度は、一般に約5〜500mMの範囲である)、生理的に受容可能な安定剤などが挙げられる。組成物は、都合の良い保存および輸送のために凍結乾燥され得る。
【0085】
本発明の改変クリングル5ペプチドは、大部分について、経口的に、非経口的に(例えば、脈管内に(IV)、動脈内に(IA)、筋肉内に(IM)、皮下に(SC)など)投与される。投与は、適切な場合には、輸注により得る。いくつかの場合において(ここで、官能基の反応は比較的緩慢である)、投与は、経口的、経鼻的、直腸的、経皮的またはエアロゾルであり得、ここで結合体の性質は、脈管系への移動を可能にする。通常、一回の注入が使用されるが、所望の場合、1回より多い注入が用いられ得る。改変クリングル5ペプチドは、任意の都合のよい手段(注射器、トロカール、カテーテルなどを含む)により投与され得る。投与の特定の様式は、投与されるべき量、1回のボーラスであるかまたは継続的な投与であるかなどに依存して変化する。好ましくは、投与は、脈管内であり(この導入の部位は、本発明に対して重要なものではない)、好ましくは急速な血流が存在する部位(例えば、静脈内、末梢静脈または中心静脈)である。他の経路は、投与が、遅延性放出技術または保護マトリックスと結びつけられる使用を見出し得る。この意図は、クリングル5ペプチド、アナログまたは誘導体が血液中で効果的に分布されることであり、その結果、血液成分と反応し得る。結合体の濃度は、一般的に約1pg/ml〜50mg/mlで、広範に変化する。脈管内に投与される総量は、一般に約0.1mg/ml〜約10mg/ml、より通常では、約1mg/ml〜約5mg/mlの範囲である。
【0086】
血液の永続成分(例えば、免疫グロブリン、血清アルブミン、赤血球および血小板)を結合することにより、多数の利点が結果として生じる。改変クリングル5ペプチド化合物の活性は、数日〜数週間延長される。1回の投与のみ、この期間に与えられる必要がある。活性化合物は、大きい分子に主に結合されることから(ここでは、他の生理学的プロセスを妨げるように脈管的に取り込まれる可能性が低い)、より優れた特異性が達成され得る。
【0087】
血液成分間の共有結合の形成は、インビボまたはエキソビボで生じ得る。エキソビボの共有結合形成に関して、改変クリングル5ペプチドが、血液、血清あるいはヒト血清アルブミンまたはIgGを含む生理食塩水溶液に添加され、改変クリングル5ペプチドと血液成分との間の共有結合形成を可能にする。好ましい様式において、クリングル5ペプチドは、マレイミドを用いて改変され、そして生理食塩水溶液中でヒト血清アルブミンと反応される。一旦、改変クリングル5ペプチドが血液成分と反応して、クリングル5ペプチド−タンパク質結合体を形成すると、この結合体は、患者に投与され得る。
【0088】
あるいは、改変クリングル5ペプチドは、直接患者に投与され得、その結果、共有結合が、インビボにおいて、改変クリングル5ペプチドと結合成分との間で形成する。
【0089】
(6.改変クリングル5ペプチドの存在のモニタリング)
哺乳動物宿主の血液は、改変クリングル5ペプチド化合物の存在について、1回以上モニタリングされ得る。宿主の血液の一部分またはサンプルととることによって、当業者は、クリングル5ペプチドが、永続血液成分に、治療的に活性であるのに十分な量で結合されているか否かを決定し得、そしてその後、クリングル5ペプチド化合物の、血液中でのレベルを決定し得る。所望ならば、当業者はまた、血液成分のどれに、クリングル5ペプチド誘導体分子が結合されるのかを決定し得る。これは、非特異的クリングル5ペプチドを使用する場合に、特に重要である。特定のマレイミド−クリングル5ペプチドに対して、血清アルブミンおよびIgGの半減期を計算することは、はるかに簡単である。
【0090】
改変クリングル5ペプチドは、HPLC−MSまたはクリングル5ペプチドに対する抗体を用いてモニターされ得る。
【0091】
(A.HPLC−MS)
質量分析法(MS)に連結したHPLCは、当業者に周知なように、ペプチドおよび改変されたペプチドの存在のためのアッセイに利用され得る。代表的には、2つの移動局相が利用される:0.1%TFA/水および0.1%TFA/アセトニトリル。カラム温度と勾配条件は、変化され得る。特定の詳細は、以下の実施例のセクションに概略を示す。
【0092】
(B.抗体)
本発明の別の局面は、クリングル5ペプチドまたはペプチドアナログまたはそれらの誘導体および結合体に対して特異的な抗体を使用して、生物学的サンプル(例えば、血液)におけるクリングル5ペプチドおよび/またはアナログ、あるいはそれらの誘導体および結合体の濃度を決定する方法、ならびにこのようなクリングル5ペプチドおよび/もしくはそれらの誘導体または結合体と潜在的に関連する毒性に対する処置としてのこのような抗体の使用に関する。これは、患者において、インビボで、クリングル5ペプチドの安定性および寿命の増加が、処置の間の新規の問題(毒性に関する可能性の増加を含む)を導き得るので有利である。そのアナログまたは誘導体に特異性を有する抗体(モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれか)の使用は、任意のこのような問題を仲裁する際に補助し得る。抗体は、特定の改変クリングル5ペプチドを用いて、またはその因子の免疫原性フラグメント、あるいはこの因子の抗原決定基に対応する合成された免疫原を用いて免疫された宿主から生成され得るか、またはそれらに由来し得る。好ましい抗体は、改変クリングル5ペプチドのネイティブな形態、誘導体化形態、および結合体化形態に対して、高い特異性および親和性を有する。このような抗体はまた、酵素、蛍光色素、または放射性標識を用いて標識され得る。
【0093】
改変クリングル5ペプチドに特異的な抗体は、誘導体化されたクリングル5ペプチド特異的抗体の誘導のために精製されたクリングル5ペプチドを使用するすることにより、産生され得る。抗体の誘導により、動物中への注射による免疫応答の刺激のみならず、合成抗体または他の特異的結合分子の産生における類似の工程(例えば、組換え免疫グロブリンライブラリーのスクリーニング)も意図される。モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の両方が、当該分野で周知の手順により産生され得る。
【0094】
これらの抗体を使用して、血流中のクリングル5ペプチドの存在をモニターし得る。血液および/または血清(surum)サンプルは、SDS−PAGEおよびウェスタンブロッティングによって分析され得る。このような技術は、血液または血清の分析が、改変クリングル5ペプチドの血液成分への結合を決定することを可能にする。
【0095】
抗治療剤抗体はまた、クリングル5ペプチドの投与により誘導された毒性を処置するために使用され得、そしてエキソビボまたはインビボで使用され得る。エキソビボの方法は、固体支持体に固定された抗治療剤抗体を使用する、毒性に対する免疫透析処置を含む。インビボの方法は、抗体−薬剤複合体のクリアランスを誘導するのに有効な量の抗治療剤抗体の投与を含む。
【0096】
抗体は、滅菌条件下で、エキソビボで、血液を抗体と接触させることによって、改変クリングル5ペプチドおよびその結合体を、患者の血液から除去するために使用され得る。例えば、抗体は、カラムマトリックスに固定化され得るか、またはそうでなければ、固定化され得、そして患者の血液は、患者から除去され得、そしてマトリックスに通され得る。改変クリングル5ペプチドは、抗体に結合し、そして低濃度のクリングル5ペプチドを含む血液は、次いで患者の循環系に戻され得る。除去された改変クリングル5ペプチドの量は、圧力および流速を調整することによって、制御され得る。患者の血液の血漿成分から改変クリングル5ペプチドを優先的に除去することは、例えば、半透膜の使用によって、またはそうでなければ、抗治療抗体を含むマトリックス上に血漿成分を通す前に、当該分野に公知の方法によって、細胞成分から血漿成分を最初に分離することによって、実施され得る。あるいは、クリングル5ペプチドが結合した血球(赤血球を含む)の優先的な除去は、患者の血液中の血球を回収しそして濃縮し、そして患者の血液の血清成分が除去されるまで、固定化した抗治療抗体とこれらの細胞を接触させることによって実施され得る。
【0097】
抗治療抗体は、処置のために、改変されたクリングル5ペプチドまたは結合体を受容している患者に、インビボで非経口的に投与され得る。抗体は、クリングル5ペプチド化合物および結合体に結合する。一旦結合されると、クリングル5ペプチド活性は、完全にはブロックされないとしても、妨げられ、それにより患者の血流中のクリングル5ペプチド化合物の生物学的有効濃度を低減し、そして有害な副作用を最少にする。さらに、結合された抗体−クリングル5ペプチド複合体は、患者の血流からのクリングル5ペプチド化合物および結合体のクリアランスを容易にする。
【0098】
十分に説明された本発明は、ここで以下の非制限的な実施例によって、例示される。
【実施例】
【0099】
(概要)
100μmolスケールでのクリングル5ペプチドの固相ペプチド合成を、以下を使用する手動の固相合成およびSymphony Peptide Synthesizerを使用して実施した:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中のFmoc保護Rink Amide MBHA樹脂、Fmoc保護アミノ酸、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム(uronium)ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびN−メチルモルホリン(NMM)での活性化、ならびにFmoc基のピペリジン脱保護(工程1)。必要とされる場合、Lys(Aloc)基の選択的脱保護を手動で実施し、そして樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)に溶解された3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成した(工程2)。次いで、樹脂を、CHCl3(6×5mL)、DCM中の20% HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄した。いくつかの例において、次いで、合成は、1つのAEEA(アミノエトキシエトキシ酢酸)基の添加、酢酸の添加、または3−マレイミドプロピオン酸(MPA)の添加に対して再自動化された(工程3)。樹脂切断および生成物単離を85% TFA/5% TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した:9.5mL/分での180分にわたる30〜55% B(H2O中の0.045% TFA(A)およびCH3CN中の0.045% TFA(B))の勾配溶離(Phenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax UVD II)を使用する)。純度を、ダイオードアレイ検出器を備えそしてエレクトロスプレーイオン化を使用するHewlett Packard LCMS−1100シリーズ分析計を使用するRP−HPLC質量分析法によって95%と決定した。
【0100】
(実施例1)
(NAc−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Lys−NH2.3TFAの調製)
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Pro−OH。樹脂結合アミノ酸のN末端のFmoc基の脱ブロック化を、DMF中の20%ピペリジンを用いて、約15〜20分実施した。酢酸のカップリングを、アミノ酸カップリングと類似の条件下で実施した。樹脂からの最終的な切断を、上記のような切断混合物を使用して実施した。その生成物を沈澱によって単離し、そして分取HPLCによって精製して、所望の生成物を、凍結乾燥の際に白色固体として得た。
【0101】
(実施例2)
(NAc−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−Lys−NH2.3TFAの調製)
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH。樹脂結合アミノ酸のN末端のFmoc基の脱ブロック化を、DMF中の20%ピペリジンを用いて、約15〜20分実施した。酢酸のカップリングを、アミノ酸カップリングと類似の条件下で実施した。樹脂からの最終的な切断を、上記のような切断混合物を使用して実施した。その生成物を沈澱によって単離し、そして分取HPLCによって精製して、所望の生成物を、凍結乾燥の際に白色固体として得た。
【0102】
(実施例3)
(Nac−Tyr−Thr−Thr−Asn−Pro−Arg−Lys−Leu−Try−Asp−Tyr−Lys−NH2.3TFAの調製)
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Thr(tBu)OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH。樹脂結合アミノ酸のN末端のFmoc基の脱ブロック化を、DMF中の20%ピペリジンを用いて、約15〜20分実施した。酢酸のカップリングを、アミノ酸カップリングと類似の条件下で実施した。樹脂からの最終的な切断を、上記のような切断混合物を使用して実施した。その生成物を沈澱によって単離し、そして分取HPLCによって精製して、所望の生成物を、凍結乾燥の際に白色固体として得た。
【0103】
(実施例4)
(NAc−Arg−Asn−Pro−Asp−Gly−Asp−Val−Gly−Gly−Pro−Trp−Ala−Tyr−Thr−Thr−Asn−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−Lys−NH2.4TFAの調製)
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OHFmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Thr(tBu)OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Ala−OH、Fmoc−Trp−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Val−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH。樹脂結合アミノ酸のN末端のFmoc基の脱ブロック化を、DMF中の20%ピペリジンを用いて、約15〜20分実施した。酢酸のカップリングを、アミノ酸カップリングと類似の条件下で実施した。樹脂からの最終的な切断を、上記のような切断混合物を使用して実施した。その生成物を沈澱によって単離し、そして分取HPLCによって精製して、所望の生成物を、凍結乾燥の際に白色固体として得た。
【0104】
(実施例5)
(NAc−Arg−Asn−Pro−Asp−Gly−Asp−Val−Gly−Gly−Pro−Trp−Lys−NH2.2TFAの調製)
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Trp−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Val−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH。樹脂結合アミノ酸のN末端のFmoc基の脱ブロック化を、DMF中の20%ピペリジンを用いて、約15〜20分実施した。酢酸のカップリングを、アミノ酸カップリングと類似の条件下で実施した。樹脂からの最終的な切断を、上記のような切断混合物を使用して実施した。その生成物を沈澱によって単離し、そして分取HPLCによって精製して、所望の生成物を、凍結乾燥の際に白色固体として得た。
【0105】
(実施例6)
(NAc−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−Lys−(Nε−MPA)−NH2.2TFAの調製)
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Pro−OH。樹脂結合アミノ酸のN末端のFmoc基の脱ブロック化を、DMF中の20%ピペリジンを用いて、約15〜20分実施した。酢酸のカップリングを、アミノ酸カップリングと類似の条件下で実施した。樹脂からの最終的な切断を、上記のような切断混合物を使用して実施した。その生成物を沈澱によって単離し、そして分取HPLCによって精製して、所望の生成物を、凍結乾燥の際に白色固体として得た。
【0106】
Lys(Aloc)基の選択的脱保護を、手動で実施し、そして樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)に溶解された3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成した(工程2)。次いでこの樹脂を、CHCl3(6×5mL)、DCM中の20% HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄した。次いで、合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加に対して再自動化した(工程3)。樹脂切断および生成物単離を85% TFA/5% TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oを使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した:9.5mL/分での180分にわたる30〜55% B(H2O中の0.045% TFA(A)およびCH3CN中の0.045% TFA(B))の勾配溶離(Phenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax UVD II)を使用する)。
【0107】
(実施例7)
((MPA−AEEA)−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−NH2.2TFAの調製)
100μmolスケールでの改変クリングル5ペプチドの固相ペプチド合成を、以下を使用するSymphony Peptide Synthesizerで実施した:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中のFmoc保護Rink Amide MBHA樹脂、Fmoc保護アミノ酸、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびN−メチルモルホリン(NMM)での活性化、ならびにFmoc基のピペリジン脱保護(工程1)。
【0108】
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Pro−OH。末端Fmoc基の脱保護を、20%ピペリジン(工程2)、続いてFmoc−AEEAのカップリングを使用して達成する。DMF中でのピペリジン20%での得られたFmoc−AEEA−ペプチドの脱保護は、3−MPAのその後の付加を可能にする(工程3)。樹脂切断および生成物単離を86% TFA/5% TIS/5% H2O/2%チオアニソールおよび2%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した(Dynamax C18、60Å、8μmガードモジュール、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax UVD II)を備えたDynamax C18、60Å、8μm、21mm×25cmカラムを使用する)。この生成物は、ダイオードアレイ検出器を備えそしてエレクトロスプレーイオン化を使用するHewlett Packard LCMS−1100シリーズ分析計を使用するRP−HPLC質量分析法によって決定された、>95%純度を有した。
【0109】
(実施例8)
((MPA)−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−NH2.2TFA調製)
100μmolスケールでの改変クリングル5ペプチドの固相ペプチド合成を、以下を使用するSymphony Peptide Synthesizer上で実施した:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中のFmoc保護Rink AmideMBHA樹脂、Fmoc保護アミノ酸、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびN−メチルモルホリン(NMM)での活性化、ならびにFmoc基のピペリジン脱保護(工程1)。自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Pro−OH。末端Fmoc基の脱保護を、20%ピペリジン(工程2)、続いて3−MPAのカップリング(工程3)を使用して達成する。樹脂切断および生成物単離を86% TFA/5% TIS/5% H2O/2%チオアニソールおよび2%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した(Dynamax C18、60Å、8μmガードモジュール、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian
Dynamax UVD II)を備えたDynamax C18、60Å、8μm、21mm×25cmカラムを使用する)。この生成物は、ダイオードアレイ検出器を備えそしてエレクトロスプレーイオン化を使用するHewlett Packard LCMS−1100シリーズ分析計を使用するRP−HPLC質量分析法によって決定された、>95%純度を有した。
【0110】
(実施例9)
(NAc−Tyr−Thr−Thr−Asn−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−Lys−(Nε−MPA)−NH2.2TFAの調製)
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Thr(tBu)OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH。樹脂結合アミノ酸のN末端のFmoc基の脱ブロック化を、DMF中の20%ピペリジンを用いて、約15〜20分実施した。樹脂からの最終的な切断を、上記のような切断混合物を使用して実施した。その生成物を沈澱によって単離し、そして分取HPLCによって精製して、所望の生成物を、凍結乾燥の際に白色固体として得た。
【0111】
Lys(Aloc)基の選択的脱保護を、手動で実施し、そして樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)に溶解された3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成した(工程2)。次いでこの樹脂を、CHCl3(6×5mL)、DCM中の20% HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄した。次いで、合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加に対して再自動化した(工程3)。樹脂切断および生成物単離を85% TFA/5% TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した:9.5mL/分での180分にわたる30〜55% B(H2O中の0.045% TFA(A)およびCH3CN中の0.045% TFA(B))の勾配溶離(Phenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax
UVD II)を使用する)。
【0112】
(実施例10)
((MPA−AEEA)−Tyr−Thr−Thr−Asn−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−NH2.2TFAの調製)
100μmolスケールでの改変クリングル5ペプチドの固相ペプチド合成を、以下を使用するSymphony Peptide Synthesizerで実施した:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中のFmoc保護Rink Amide MBHA樹脂、Fmoc保護アミノ酸、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム(uronium)ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびN−メチルモルホリン(NMM)での活性化、ならびにFmoc基のピペリジン脱保護(工程1)。
【0113】
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Thr(tBu)OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH。末端Fmoc基の脱保護を、20%ピペリジン(工程2)、続いてFmoc−AEEAのカップリングを使用して達成する。DMF中でのピペリジン20%での得られたFmoc−AEEA−ペプチドの脱保護は、3−MPAのその後の付加を可能にする(工程3)。樹脂切断および生成物単離を86% TFA/5% TIS/5% H2O/2%チオアニソールおよび2%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した(Dynamax C18、60Å、8μmガードモジュール、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax UVD II)を備えたDynamax C18、60Å、8μm、21mm×25cmカラムを使用する)。この生成物は、ダイオードアレイ検出器を備えそしてエレクトロスプレーイオン化を使用するHewlett Packard LCMS−1100シリーズ分析計を使用するRP−HPLC質量分析法によって決定された、>95%純度を有した。
【0114】
(実施例11)
((MPA)−Tyr−Thr−Thr−Asn−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−NH2.2TFAの調製)
100μmolスケールでの改変クリングル5ペプチドの固相ペプチド合成を、以下を使用するSymphony Peptide Synthesizerで実施した:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中のFmoc保護Rink AmideMBHA樹脂、Fmoc保護アミノ酸、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびN−メチルモルホリン(NMM)での活性化、ならびにFmoc基のピペリジン脱保護(工程1)。自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH。末端Fmoc基の脱保護を、20%ピペリジン(工程2)、続いて3−MPAのカップリング(工程3)を使用して達成する。樹脂切断および生成物単離を86% TFA/5% TIS/5% H2O/2%チオアニソールおよび2%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した(Dynamax C18、60Å、8μmガードモジュール、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax UVD II)を備えたDynamax C18、60Å、8μm、21mm×25cmカラムを使用する)。この生成物は、ダイオードアレイ検出器を備えそしてエレクトロスプレーイオン化を使用するHewlett Packard LCMS−1100シリーズ分析計を使用するRP−HPLC質量分析法によって決定された、>95%純度を有した。
【0115】
(実施例12)
(NAc−Arg−Asn−Pro−Asp−Gly−Asp−Val−Gly−Gly−Pro−Trp−Ala−Tyr−Thr−Thr−Asn−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−Lys−(Nε−MPA)−NH2.3TFAの調製)
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Ala−OH、Fmoc−Trp−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Val−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH。樹脂結合アミノ酸のN末端のFmoc基の脱ブロック化を、DMF中の20%ピペリジンを用いて、約15〜20分実施した。酢酸のカップリングを、アミノ酸カップリングと類似の条件下で実施した。樹脂からの最終的な切断を、上記のような切断混合物を使用して実施した。その生成物を沈澱によって単離し、そして分取HPLCによって精製して、所望の生成物を、凍結乾燥の際に白色固体として得た。
【0116】
Lys(Aloc)基の選択的脱保護を、手動で実施し、そして樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)に溶解された3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成した(工程2)。次いでこの樹脂を、CHCl3(6×5mL)、DCM中の20% HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄した。次いで、合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加に対して再自動化した(工程3)。樹脂切断および生成物単離を85% TFA/5% TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した:9.5mL/分での180分にわたる30〜55% B(H2O中の0.045% TFA(A)およびCH3CN中の0.045% TFA(B))の勾配溶離(Phenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax
UVD II)を使用する)。
【0117】
(実施例13)
((MPA−AEEA)−Arg−Asn−Pro−Asp−Gly−Asp−Val−Gly−Gly−Pro−Trp−Ala−Tyr−Thr−Thr−Asn−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−NH2.3TFAの調製)
100μmolスケールでの改変クリングル5ペプチドの固相ペプチド合成を、以下を使用するSymphony Peptide Synthesizer上で実施した:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中のFmoc保護Rink Amide MBHA樹脂、Fmoc保護アミノ酸、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびN−メチルモルホリン(NMM)での活性化、ならびにFmoc基のピペリジン脱保護(工程1)。
【0118】
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Thr(tBu)OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Ala−OH、Fmoc−Trp−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Val−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH。末端Fmoc基の脱保護を、20%ピペリジン(工程2)、続いてFmoc−AEEAのカップリングを使用して達成する。DMF中でのピペリジン20%での得られたFmoc−AEEA−ペプチドの脱保護は、3−MPAのその後の付加を可能にする(工程3)。樹脂切断および生成物単離を86% TFA/5% TIS/5% H2O/2%チオアニソールおよび2%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した(Dynamax C18、60Å、8μmガードモジュール、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax UVD II)を備えたDynamax C18、60Å、8μm、21mm×25cmカラムを使用する)。この生成物は、ダイオードアレイ検出器を備えそしてエレクトロスプレーイオン化を使用するHewlett Packard LCMS−1100シリーズ分析計を使用するRP−HPLC質量分析法によって決定された、>95%純度を有した。
【0119】
(実施例14)
((MPA)−Arg−Asn−Pro−Asp−Gly−Asp−Val−Gly−Gly−Pro−Trp−Ala−Tyr−Thr−Thr−Asn−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−NH2.3TFAの調製)
100μmolスケールでの改変クリングル5ペプチドの固相ペプチド合成を、以下を使用するSymphony Peptide Synthesizerで実施した:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中のFmoc保護Rink Amide MBHA樹脂、Fmoc保護アミノ酸、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびN−メチルモルホリン(NMM)での活性化、ならびにFmoc基のピペリジン脱保護(工程1)。自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Ala−OH、Fmoc−Trp−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Val−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH。
【0120】
末端Fmoc基の脱保護を、20%ピペリジン(工程2)、続いて3−MPAのカップリング(工程3)を使用して達成する。樹脂切断および生成物単離を86% TFA/5% TIS/5% H2O/2%チオアニソールおよび2%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した(Dynamax C18、60Å、8μmガードモジュール、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax UVD II)を備えたDynamax C18、60Å、8μm、21mm×25cmカラムを使用する)。この生成物は、ダイオードアレイ検出器を備えそしてエレクトロスプレーイオン化を使用するHewlett Packard LCMS−1100シリーズ分析計を使用するRP−HPLC質量分析法によって決定された、>95%純度を有した。
【0121】
(実施例15)
(NAc−Arg−Asn−Pro−Asp−Gly−Asp−Val−Gly−Gly−Pro−Trp−Lys−(Nε−MPA)−NH2.TFAの調製)
100μmolスケールでの改変クリングル5ペプチドの固相ペプチド合成を、以下を使用するSymphony Peptide Synthesizer上で実施した:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中のFmoc保護Rink Amide MBHA樹脂、Fmoc保護アミノ酸、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびN−メチルモルホリン(NMM)での活性化、ならびにFmoc基のピペリジン脱保護(工程1)。
【0122】
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−Trp−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Val−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を、手動で実施し、そして樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)に溶解された3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成した(工程2)。次いでこの樹脂を、CHCl3(6×5mL)、DCM中の20%
HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄した。次いで、合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加に対して再自動化した(工程3)。樹脂切断および生成物単離を85% TFA/5% TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した:9.5mL/分での180分にわたる30〜55% B(H2O中の0.045% TFA(A)およびCH3CN中の0.045% TFA(B))の勾配溶離(Phenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian
Dynamax UVD II)を使用する)。
【0123】
(実施例16)
((MPA−AEEA)−Arg−Asn−Pro−Asp−Gly−Asp−Val−Gly−Gly−Pro−Trp−NH2.TFAの調製)
100μmolスケールでの改変クリングル5ペプチドの固相ペプチド合成を、以下を使用するSymphony Peptide Synthesizerで実施した:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中のFmoc保護Rink Amide MBHA樹脂、Fmoc保護アミノ酸、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム(uronium)ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびN−メチルモルホリン(NMM)での活性化、ならびにFmoc基のピペリジン脱保護(工程1)。
【0124】
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Trp−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Val−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Arg (Pbf)−OH。末端Fmoc基の脱保護を、20%ピペリジン(工程2)、続いてFmoc−AEEAのカップリングを使用して達成する。DMF中でのピペリジン20%での得られたFmoc−AEEA−ペプチドの脱保護は、3−MPAのその後の付加を可能にする(工程3)。樹脂切断および生成物単離を86% TFA/5% TIS/5% H2O/2%チオアニソールおよび2%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した(Dynamax C18、60Å、8μmガードモジュール、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax UVD II)を備えたDynamax C18、60Å、8μm、21mm×25cmカラムを使用する)。この生成物は、ダイオードアレイ検出器を備えそしてエレクトロスプレーイオン化を使用するHewlett Packard LCMS−1100シリーズ分析計を使用するRP−HPLC質量分析法によって決定された、>95%純度を有した。
【0125】
(実施例17)
((MPA)−Arg−Asn−Pro−Asp−Gly−Asp−Val−Gly−Gly−Pro−Trp−NH2.TFAの調製)
100μmolスケールでの改変クリングル5ペプチドの固相ペプチド合成を、以下を使用するSymphony Peptide Synthesizer上で実施した:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中のFmoc保護Rink Amide MBHA樹脂、Fmoc保護アミノ酸、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびN−メチルモルホリン(NMM)での活性化、ならびにFmoc基のピペリジン脱保護(工程1)。自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Trp−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Val−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH。末端Fmoc基の脱保護を、20%ピペリジン(工程2)、続いて3−MPAのカップリング(工程3)を使用して達成する。樹脂切断および生成物単離を86% TFA/5% TIS/5% H2O/2%チオアニソールおよび2%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した(Dynamax C18、60Å、8μmガードモジュール、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax UVD II)を備えたDynamax C18、60Å、8μm、21mm×25cmカラムを使用する)。この生成物は、ダイオードアレイ検出器を備えそしてエレクトロスプレーイオン化を使用するHewlett Packard LCMS−1100シリーズ分析計を使用するRP−HPLC質量分析法によって決定された、>95%純度を有した。
【0126】
(実施例18)
(NAc−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−Lys−(Nε−MPA)−NH2.2TFAの調製)
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH。樹脂結合アミノ酸のN末端のFmoc基の脱ブロック化を、DMF中の20%ピペリジンを用いて、約15〜20分実施した。酢酸のカップリングを、アミノ酸カップリングと類似の条件下で実施した。樹脂からの最終的な切断を、上記のような切断混合物を使用して実施した。その生成物を沈澱によって単離し、そして分取HPLCによって精製して、所望の生成物を、凍結乾燥の際に白色固体として得た。
【0127】
Lys(Aloc)基の選択的脱保護を、手動で実施し、そして樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)に溶解された3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成した(工程2)。次いでこの樹脂を、CHCl3(6×5mL)、DCM中の20% HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄した。次いで、合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加に対して再自動化した(工程3)。樹脂切断および生成物単離を85% TFA/5% TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した:9.5mL/分での180分にわたる30〜55% B(H2O中の0.045% TFA(A)およびCH3CN中の0.045% TFA(B))の勾配溶離(Phenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax
UVD II)を使用する)。
【0128】
(実施例19)
((MPA−AEEA)−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−NH2.2TFAの調製)
100μmolスケールでの改変クリングル5ペプチドの固相ペプチド合成を、以下を使用するSymphony Peptide Synthesizer上で実施した:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中のFmoc保護Rink Amide MBHA樹脂、Fmoc保護アミノ酸、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム(uronium)ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびN−メチルモルホリン(NMM)での活性化、ならびにFmoc基のピペリジン脱保護(工程1)。
【0129】
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH。末端Fmoc基の脱保護を、20%ピペリジン(工程2)、続いてFmoc−AEEAのカップリングを使用して達成する。DMF中でのピペリジン20%を用いた得られたFmoc−AEEA−ペプチドの脱保護は、3−MPAのその後の付加(工程3)を可能にする。樹脂切断および生成物単離を86% TFA/5% TIS/5% H2O/2%チオアニソールおよび2%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した(Dynamax C18、60Å、8μmガードモジュール、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax
UVD II)を備えたDynamax C18、60Å、8μm、21mm×25cmカラムを使用する)。この生成物は、ダイオードアレイ検出器を備えそしてエレクトロスプレーイオン化を使用するHewlett Packard LCMS−1100シリーズ分析計を使用するRP−HPLC質量分析法によって決定された、>95%純度を有した。
【0130】
(実施例20)
((MPA)−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−NH2.2TFAの調製)
100μmolスケールでの改変クリングル5ペプチドの固相ペプチド合成を、以下を使用するSymphony Peptide Synthesizer上で実施した:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中のFmoc保護Rink Amide MBHA樹脂、Fmoc保護アミノ酸、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム(uronium)ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびN−メチルモルホリン(NMM)での活性化、ならびにFmoc基のピペリジン脱保護(工程1)。自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH。末端Fmoc基の脱保護を、20%ピペリジン(工程2)、続いて3−MPAのカップリング(工程3)を使用して達成する。樹脂切断および生成物単離を86% TFA/5% TIS/5%
2O/2%チオアニソールおよび2%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した(Dynamax C18、60Å、8μmガードモジュール、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax UVD II)を備えたDynamax C18、60Å、8μm、21mm×25cmカラムを使用する)。この生成物は、ダイオードアレイ検出器を備えそしてエレクトロスプレーイオン化を使用するHewlett Packard LCMS−1100シリーズ分析計を使用するRP−HPLC質量分析法によって決定された、>95%純度を有した。
【0131】
(実施例21)
(NAc−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Lys−(Nε−MPA)−NH2.2TFAの調製)
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Pro−OH。樹脂結合アミノ酸のN末端のFmoc基の脱ブロック化を、DMF中の20%ピペリジンを用いて、約15〜20分実施した。酢酸のカップリングを、アミノ酸カップリングと類似の条件下で実施した。樹脂からの最終的な切断を、上記のような切断混合物を使用して実施した。その生成物を沈澱によって単離し、そして分取HPLCによって精製して、所望の生成物を、凍結乾燥の際に白色固体として得た。
【0132】
Lys(Aloc)基の選択的脱保護を、手動で実施し、そして樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)に溶解された3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成した(工程2)。次いでこの樹脂を、CHCl3(6×5mL)、DCM中の20% HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄した。次いで、合成を、3−マレイミドプロピオン酸の添加に対して再自動化した(工程3)。樹脂切断および生成物単離を85% TFA/5% TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した:9.5mL/分での180分にわたる30〜55% B(H2O中の0.045% TFA(A)およびCH3CN中の0.045% TFA(B))の勾配溶離(Phenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax
UVD II)を使用する)。
【0133】
(実施例22)
((MPA−AEEA)−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−NH2.2TFAの調製)
100μmolスケールでの改変クリングル5ペプチドの固相ペプチド合成を、以下を使用するSymphony Peptide Synthesizer上で実施した:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中のFmoc保護Rink Amide MBHA樹脂、Fmoc保護アミノ酸、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびN−メチルモルホリン(NMM)での活性化、ならびにFmoc基のピペリジン脱保護(工程1)。
【0134】
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、 Fmoc−Pro−OH(工程1)。末端Fmoc基の脱保護を、20%ピペリジン(工程2)、続いてFmoc−AEEAのカップリングを使用して達成する。DMF中でのピペリジン20%を用いて得られたFmoc−AEEA−ペプチドの脱保護は、3−MPAのその後の付加を可能にする(工程3)。樹脂切断および生成物単離を86% TFA/5% TIS/5% H2O/2%チオアニソールおよび2%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した(Dynamax C18、60Å、8μmガードモジュール、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax UVD II)を備えたDynamax C18、60Å、8μm、21mm×25cmカラムを使用する)。この生成物は、ダイオードアレイ検出器を備えそしてエレクトロスプレーイオン化を使用するHewlett Packard LCMS−1100シリーズ分析計を使用するRP−HPLC質量分析法によって決定された、>95%純度を有した。
【0135】
(実施例23)
((MPA)−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−NH2.2TFAの調製)
100μmolスケールでの改変クリングル5ペプチドの固相ペプチド合成を、以下を使用するSymphony Peptide Synthesizer上で実施した:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中のFmoc保護Rink Amide MBHA樹脂、Fmoc保護アミノ酸、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム(uronium)ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)およびN−メチルモルホリン(NMM)での活性化、ならびにFmoc基のピペリジン脱保護(工程1)。自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Pro−OH。末端Fmoc基の脱保護を、20%ピペリジン(工程2)、続いて3−MPAのカップリング(工程3)を使用して達成する。樹脂切断および生成物単離を86% TFA/5% TIS/5% H2O/2%チオアニソールおよび2%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した(Dynamax C18、60Å、8μmガードモジュール、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax UVD II)を備えたDynamax C18、60Å、8μm、21mm×25cmカラムを使用する)。この生成物は、ダイオードアレイ検出器を備えそしてエレクトロスプレーイオン化を使用するHewlett Packard LCMS−1100シリーズ分析計を使用するRP−HPLC質量分析法によって決定された、>95%純度を有した。
【0136】
(実施例24)
(NAc−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−Lys−(Nε−AEEA−MPA)−NH2.2TFAの調製)
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Pro−OH(工程1)。樹脂結合アミノ酸のN末端のFmoc基の脱ブロック化を、DMF中の20%ピペリジンを用いて、約15〜20分実施した。酢酸のカップリングを、アミノ酸カップリングと類似の条件下で実施した。Lys(Aloc)基の選択的脱保護を、手動で実施し、そして樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)に溶解された3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成した(工程2)。次いでこの樹脂を、CHCl3(6×5mL)、DCM中の20% HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄した。次いで、合成を、AEEA(アミノエトキシエトキシ酢酸)基および3−マレイミドプロピオン酸(MPA)の添加に対して再自動化した(工程3)。樹脂切断および生成物単離を85% TFA/5% TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した:9.5mL/分での180分にわたる30〜55% B(H2O中の0.045% TFA(A)およびCH3CN中の0.045% TFA(B))の勾配溶離(Phenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax UVD II)を使用する)。
【0137】
(実施例25)
(NAc−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Tyr−Lyε−(N−AEEAn−MPA)−NH2.2TFAの調製)
自動化ペプチド合成を使用して、以下の保護アミノ酸をRink Amide
MBHA樹脂に連続的に添加した:Fmoc−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Pro−OH(工程1)。樹脂結合アミノ酸のN末端のFmoc基の脱ブロック化を、DMF中の20%ピペリジンを用いて、約15〜20分実施した。酢酸のカップリングを、アミノ酸カップリングと類似の条件下で実施した。
【0138】
Lys(Aloc)基の選択的脱保護を、手動で実施し、そして樹脂を、5mLのCHCl3:NMM:HOAc(18:1:0.5)に溶解された3当量のPd(PPh34の溶液で2時間処理することにより達成した(工程2)。次いでこの樹脂を、CHCl3(6×5mL)、DCM中の20% HOAc(6×5mL)、DCM(6×5mL)、およびDMF(6×5mL)で洗浄した。次いで、合成を、n個のAEEA(アミノエトキシエトキシ酢酸)基および3−マレイミドプロピオン酸(MPA)の添加に対して再自動化した(工程3)。樹脂切断および生成物単離を85% TFA/5% TIS/5%チオアニソールおよび5%フェノール、続いてドライアイス冷却Et2Oによる沈澱を使用して実施した(工程4)。生成物を、Varian(Rainin)分取二元HPLC系を使用する分取逆相HPLCによって精製した:9.5mL/分での180分にわたる30〜55% B(H2O中の0.045% TFA(A)およびCH3CN中の0.045% TFA(B))の勾配溶離(Phenomenex Luna 10μフェニル−ヘキシル、21mm×25cmカラムおよびλ214および254nmでのUV検出器(Varian Dynamax UVD II)を使用する)。
【0139】
(実施例26)
(ペプチド安定性アッセイ)
ペプチド安定性アッセイを実施した。(MPA)−Pro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Lys−NH2.2TFAを上記のように合成し、そしてMPA−K5と同定した。改変されていない対応ペプチドPro−Arg−Lys−Leu−Tyr−Asp−Lys−NH2をまた、3−MPAを付加することなく上記のように合成し、そしてK5と同定した。
【0140】
K5(MW=1260.18、918.12フリーベース)を、100mMのストック水溶液として調製した。MPA−K5(MW=1411.17、1069.11フリーベース)を、100mMのストック水溶液として調製した。ヒト血清アルブミン(HSA)を、Alpha Therapeuticから入手可能なAlbutein(登録商標)としての25%溶液(約250mg/ml、3.75mM)として得た。ヒト血漿を、Golden West Biologicalsから得た。
【0141】
(a.ヒト血漿におけるK5の安定性)
K5を1μM溶液として調製し、そして25%ヒト血清アルブミンに溶解した。次いで、この混合物をヒト血清の存在下で37℃でインキュベートして、160mMのK5の最終濃度にした。100μlのアリコートを、0時間、4時間および24時間で血漿から取り出した。この100μlのアリコートを、全てのタンパク質を沈澱させるために、100μlのブロッキング溶液(5容積の5%ZnSO4/3容積のアセトニトリル/2容積のメタノール)と混合した。このサンプルを、10,000gで5分間遠心分離し、ペプチドを含む上清を回収し、そして0.22μmのフィルターを通して濾過した。フリーのインタクトなK5ペプチドの存在を、HPLC/MSによってアッセイした。血清中のK5ペプチドの検出のためのHPLCパラメータは以下の通りであった。
【0142】
HPLC方法は、以下の通りであった:Vydac C18 250X4.6mm、5μ粒子サイズカラムを使用した。このカラム温度は30℃で、流速は0.5ml/分であった。移動層Aは、0.1%TFA/水であった。移動相Bは、0.1%TFA/アセトニトリルであった。注入体積は、10μlであった。
【0143】
勾配は以下の通りであった:
時間(分) %A %B
0 95 5
20 70 30
25 10 90
30 10 90
35 95 5
45 95 5。
【0144】
これらのタンパク質を、214、254および334nmで検出した。マススペクトル分析について、イオン化モードは、300〜2000のM/Z範囲でのAPI−エレクトロスプレー(ポジティブモード)であった。ゲインは3.0、フラグメンターは120v、閾値は20、ステップサイズは0.1であった。気体温度は、350℃であり、そして乾燥気体体積は、10.0l/分であった。先端(Neb)圧力は、24psiであり、そしてVcapは、3500Vであった。HPLC方法は、以下の通りであった:Vydac C18 250X4.6mm、5μ粒子サイズカラムを使用した。このカラム温度は30℃で、流速は0.5ml/分であった。移動層Aは、0.1%TFA/水であった。移動相Bは、0.1%TFA/アセトニトリルであった。注入体積は、10μlであった。
【0145】
勾配は、以下の通りであった:
時間(分) %A %B
0 95 5
20 70 30
25 10 90
30 10 90
35 95 5
45 95 5。
【0146】
これらのタンパク質を、214、254および334nmで検出した。マススペクトル分析について、イオン化モードは、300〜2000のM/Z範囲でのAPI−エレクトロスプレー(ポジティブモード)であった。ゲインは3.0、フラグメンターは120v、閾値は20、ステップサイズは0.1であった。気体温度は、350℃であり、そして乾燥気体体積は、10.0l/分であった。先端圧力は、24psiであり、そしてVcapは、3500Vであった。
【0147】
時間 血漿中の%K5ペプチド
0時間 100%
4時間 9%
24時間 0%。
【0148】
血漿における4時間のみのインキュベーション後、9%のみの本来のK5ペプチドが残った。これらの結果は、改変されていないK5ペプチドは、おそらくプロテアーゼ活性の結果として、血清中で不安定であることを示す。
【0149】
(b.血漿中でのMPA−K5−HSA結合体の安定性)
MPA−K5(改変K5ペプチド)を、室温で2時間25%HSAとともにインキュベートした。次いで、MPA−K5−HSA結合体を、160μmの最終濃度でヒト血清の存在下で、37℃でインキュベートした。特定のインキュベーション期間(0、4および24時間)の後、100μlのアリコートを取り出し、そして0.22μmのフィルターを通して濾過した。インタクトな結合体の存在をHPLC−MSによってアッセイした。
【0150】
カラムは、Aquapore RP−300、250x4.6mm、7μ粒子サイズであった。このカラム温度は、50℃であった。移動相Aは、0.1%TFA/水であった。移動相Bは、0.1%TFA/アセトニトリルであった。注入体積は、1μlであった。勾配は以下の通りであった:
時間(分) %A %B 流速(ml/分)
0 66 34 0.700
1 66 34 0.700
25 58.8 41.2 0.700
30 50 50 0.70
35 5 95 1.00
41 5 95 1.00
45 66 34 1.00
46 66 34 0.70。
【0151】
ペプチドを、定量のために214nmで検出した。このペプチドのマススペクトル分析について、イオン化モードは、1280〜1500m/zの範囲のAPI−エレクトロスプレーであり、ゲインは1.0、フラグメンターは125V、閾値は100、ステップサイズは0.40であった。気体温度は、350℃であり、乾燥気体は13.0l/分であった。圧力は、60psiであり、そしてVcapは、6000Vであった。これらの結果を以下に示す。
【0152】
血流中で循環するアルブミンの約33%は、メルカプトアルブミン(SH−アルブミン)であり、これは、内因性スルフヒドリル化合物(例えば、システインまたはグルタチオン)によってブロックされず、従って、マレイミド基との反応に利用可能である。循環するアルブミンの残りの66%は、スルフヒドリル化合物によってキャップされるか、またはブロックされる。HPLC MSアッセイは、キャップされたHSA、SH−アルブミンおよびK5−MPA−アルブミンの同定を可能にする。MPAは、アルブミン上のフリーなチオールに共有結合する。血漿中のアルブミンの3つの形態の安定性を以下に示す。
【0153】
【表2】

ヒト血清アルブミンの3つの形態の割合は、24時間のアッセイ期間を通して比較的一定のままであった。特に、K5−MPA−HSAの割合は、24時間の血漿アッセイを通して比較的一定のままであった。これらの結果は、わずか4時間の間に、血漿中のK5の本来の量の9%に減少する非改変K5で得られる結果と比較して、劇的である。これらの結果は、血漿中でかなり不安定であるK5とは対照的に、K5−MPA−HSAは、血漿中でペプチダーゼ活性からかなり安定であることを示す。
【0154】
(実施例27)
(内皮細胞移動アッセイ)
改変抗新血形成ペプチド活性は、内皮細胞移動アッセイを用いて決定され得る。この内皮細胞移動アッセイは、Polverini,P.J.ら、Methods Enzymol,198:440−450(1991)(これは、本明細書中で参考として援用される)によって記載されるように実施され得る。簡潔に、ウシ毛細管(腎傍の)内皮細胞(BCE、これは、Judah Folkman,Harvard University Medical Schoolから得られ得る)は、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むDMEMにおいて一晩飢餓させる。次いで、細胞を、トリプシンを用いて回収し、そして0.1%BSAを含むDMEM中に1.5×106細胞/mLの濃度で再懸濁させる。細胞を、48ウェル改変Boydenチャンバー(例えば、Nucleopore Corporation,Cabin John,Md.からの)の底部に添加する。このチャンバーを集め、そして逆さにし、そして細胞を、37℃で2時間の間、ポリカーボネート化学走性膜(5μm孔サイズ)(0.1%ゼラチンに一晩浸し、そして乾燥した)に付着させた。次いで、このチャンバーを、再び逆さにし、そして試験物質を、上部チャンバーのウェルに添加する(50μlの総体積まで);次いで、装置を37℃で4時間インキュベートする。膜を回収し、固定し、そして染色し(DiffQuick,Fisher Scientific,Pittsburgh,Pa.)、そして10の高出力場当たりの、上部チャンバーに移動された細胞の数を計数する。DMEM+0.1%BSAへのバックグラウンドの移動が引かれ得、そしてデータは、10の高出力場(400×)当たりの移動した細胞の数として、または複数の実験からの結果を合わせた場合には、ポジティブコントロールと比較した移動の%阻害として、報告され得る。
【0155】
(実施例28)
(HSA−クリングル5結合体の調製)
改変クリングル5ペプチドを、蒸留水に溶解し、100mMの最終濃度にする。結合体化反応のために、1容量の100mMの改変されたクリングル5ペプチドを、99容量の25%HSA(Albutein(登録商標)、25%溶液、Alpha Therapeutic inc.)に添加し、1mMの改変K5:3.75mM HSA結合体を得る。この混合物を、室温で2時間インキュベートする。結合体の存在および未反応の改変K5ペプチドの本明細書中で非存在を、質量分析法と連結したHPLCによって決定する。
【0156】
(実施例29)
(インビトロでの内皮細胞増殖に対する改変クリングル5ペプチドの効果)
遊離およびHSA結合体化クリングル5ペプチドの生物学的活性は、内皮細胞増殖アッセイを使用して、インビトロで決定され得る。ウシ大動脈内皮細胞を、10%熱不活性化仔ウシ血清を含むDulbecco改変Eagle培地(DMEM,Gibco)において、96ウェルプレート中のウェル当たり2500細胞の密度でプレーティングする。この細胞を、5%CO2インキュベータ中で、37℃で24時間付着させる。次いで、培地を、種々の濃度のインヒビター(遊離K5ペプチドおよびHSA−クリングル5ペプチド)を含む新鮮なDMEM(血清を含まない)で置換する。37℃で30分後、次いで、bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)を、1ng/mLの最終濃度になるように添加して、増殖を刺激し得る。72時間後、細胞数を、比色定量基質WST−1(Boehringer Mannheim)を使用して測定して、インビトロでの内皮細胞増殖に対する改変K5ペプチドの効果を決定し得る。
【0157】
本発明をその特定の実施形態と関連させて記載してきたが、さらなる改変が可能であり、そしてこの出願は、一般に、本発明の原理に従い、そして本発明が属する当該分野内での公知または慣習的な実施内にあり、そして本明細書中に記載された本質的な特性に適用され得、そして添付の特許請求の範囲の範囲に従うような本発明の開示からのそのような発展を含んで、本発明の任意の変化、用途、または適応を包含することを意図することが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の改変抗新脈管形成ペプチド。

【公開番号】特開2008−110986(P2008−110986A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8554(P2008−8554)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【分割の表示】特願2000−619018(P2000−619018)の分割
【原出願日】平成12年5月17日(2000.5.17)
【出願人】(507340636)コンジュケム バイオテクノロジーズ インコーポレイテッド (18)
【Fターム(参考)】