説明

長繊維状複合材及び繊維集合体

【課題】触媒成分を脱離し難い状態で含有する長繊維状複合材、これを用いた繊維集合体、繊維複合体及びディーゼルパティキュレートフィルターを提供すること。
【解決手段】柱状の長繊維基材と、この長繊維基材に含まれる触媒成分を有する長繊維状複合材である。その平均繊維径が5〜30μmである。触媒成分は希土類元素を含有する酸化物である。長繊維基材は、アルミニウムを構成元素として含有する酸化物である。アルミニウムとケイ素を構成元素として含有する酸化物であってもよい。
繊維集合体は、長繊維状複合材から成る。繊維複合体は、長繊維状複合材と、支持体を備える。ディーゼルパティキュレートフィルターは、繊維集合体及び繊維複合体の少なくとも一方から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長繊維状複合材及び繊維集合体に係り、更に詳細には、触媒成分を含有するとともに該触媒成分の剥離を抑制ないしは防止し得る長繊維状複合材、これを用いた繊維集合体、繊維複合体及びディーゼルパティキュレートフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガソリンエンジンと比較して燃費効率が良く、二酸化炭素の排出量を低減可能であることから、ディーゼルエンジンが注目されている。
かかるディーゼルエンジンにおいては、排ガス中に含まれる粒状物質(パティキュレートマター(PM))の低減が技術的課題となっており、これに対し、従来は、触媒を担持させた無機繊維成形体から成るディーゼルパティキュレートフィルターを用い、粒状物質を捕集して浄化する方法が採用されていた。
【0003】
また、ディーゼルエンジンが排出する排ガス温度では、粒状物質(PM)を十分に酸化できないことがあることから、助触媒を用いることも検討されており、セリウム−プラセオジム酸化物、セリウム−ジルコニウム酸化物などの希土類元素酸化物が有効であるとの報告がされている(非特許文献1参照)。
一方、触媒成分や助触媒成分を無機繊維体に担持する方法としては、これらの成分の有機酸塩と界面活性剤とを含む水溶液に無機繊維体をディッピングし、乾燥・焼成する方法が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−326036号公報
【非特許文献1】原田 浩一郎,對尾 良則,高見 明秀,Journal of the Japan Petroleum Institute,Vol.48,No.4,p.216(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の触媒成分や助触媒成分を無機繊維体に担持したパティキュレートフィルターでは、これらの成分を無機繊維の表面に均一に担持することが困難であるばかりか、触媒成分などが繊維表面から剥離し易いという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、触媒成分を脱離し難い状態で含有する長繊維状複合材、これを用いた繊維集合体、繊維複合体及びディーゼルパティキュレートフィルターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、所定の長繊維基材と触媒成分を混合して製造を行うことにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の長繊維状複合材は、柱状の長繊維基材と、この長繊維基材に含まれる触媒成分を有する長繊維状複合材であって、その平均繊維径が50μm以下であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の長繊維状複合材の好適形態は、上記長繊維基材が、少なくともアルミニウムとケイ素を構成元素として含有する酸化物であることを特徴とする。
【0009】
一方、本発明の繊維集合体は、上述の如き長繊維状複合材から成ることを特徴とする。
更に、本発明の繊維複合体は、上述の如き長繊維状複合材と、支持体を備えることを特徴とする。
また、本発明のディーゼルパティキュレートフィルターは、上述の如き繊維集合体及び繊維複合体の少なくとも一方から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、所定の長繊維基材と触媒成分を混合して製造を行うこととしたため、触媒成分を剥離し難い状態で含有する長繊維状複合材、これを用いた繊維集合体、繊維複合体及びディーゼルパティキュレートフィルターを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の長繊維状複合材につき詳細に説明する。なお、本明細書において、濃度、含有量及び配合量などのついての「%」は、特記しない限り質量百分率を表すものとする。
【0012】
上述の如く、本発明の長繊維状複合材は、柱状の長繊維基材と、この長繊維基材に含まれる触媒成分を有する長繊維状複合材であって、その平均繊維径が50μm以下である。
本発明の繊維状複合体は、熱劣化や熱による収縮、衝撃などによる触媒成分の脱落や剥離が抑制ないし防止されたものである。
【0013】
ここで、「柱状」とは、当該長繊維基材が分岐を有していないことを意味しているが、その断面形状は、必ずしも円形である必要はなく、楕円形や角形状などであってもよい。
【0014】
なお、この長繊維状複合材の平均繊維径は、例えば、試料50gをプレス機により20.6MPaに加圧し、圧砕した後、走査型電子顕微鏡(SEM)(JEOL社製「JSM−5300」)を用いて写真撮影し(倍率:1500倍、枚数:約25枚)、任意に選ばれた繊維1000本の繊維径を市販の測定具(ミツトヨ社製デジタルノギス)を用いて測定し、その平均値を算出することによって求められる。
【0015】
本発明では、長繊維状複合材の平均繊維径を50μm以下で好ましくは7〜15μmとすることにより、後述する繊維集合体や繊維複合体などを製造する際に粉塵の発生が抑制できることや、繊維強度を高く維持できるといった利点が得られる。
【0016】
また、本発明においては、触媒成分が希土類元素を含有する酸化物であることが望ましい。これにより、PM酸化には高価な貴金属を用いなくても酸化物を用いることで、酸化物からの酸素ストレージでPM酸化を効率的に行うことが可能となる。
【0017】
なお、かかる希土類元素含有酸化物の含有量は、5〜50%とすることが好ましく、8〜30%がより好ましい。
希土類元素含有酸化物の含有量が5%未満では、十分な助触媒機能が得られないことがある。また、50%を超えると、長繊維状複合材を構成するアルミナシリカ成分が少なくなり、繊維強度が低下する蓋然性が高い。
【0018】
上述の希土類元素としては、例えばセリウム(Ce)、イットリウム(Y)、プラセオジム(Pr)、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、マンガン(Mn)、ジルコニウム(Zr及びガリウム(Ga)などを挙げることができ、これらを単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。特に、セリウムとプラセオジムとが含まれていることが好ましい。
【0019】
触媒成分として、このような希土類元素含有酸化物が含まれていると、繊維化が容易であり、助触媒機能に優れるという利点があり、例えばディーゼルパティキュレートフィルターに用いた場合には、ディーゼルパティキュレートフィルターにおけるパティキュレートマターの燃焼開始温度の低温化を図ることができる。
【0020】
また、本発明の長繊維状複合材においては、長繊維基材が少なくともアルミニウムを構成元素として含有する酸化物であることが望ましく、これにより、触媒の脱落を防止できる。
【0021】
更に、この長繊維状複合材では、アルミニウムを構成元素として含有する酸化物は、α−アルミナ、γ−アルミナ、δ−アルミナ又はθ−アルミナ、及びこれらの任意の組合せに係る1種のものを含有するすることが、耐熱性向上の観点から望ましい。
【0022】
また、本発明の長繊維状複合材においては、長繊維基材が少なくともアルミニウムとケイ素を構成元素として含有する酸化物であることが望ましい。
これにより、繊維の強度を維持できる。
【0023】
本発明における長繊維状複合材のアルミナとシリカの組成は、Al:SiO=99.5:0.5〜50:50、好ましくは85:15〜70:30となるように調製する。
アルミナとシリカの組成がAl:SiO=99.5:0.5よりアルミナ成分が多くなると、繊維の強度が低下し、アルミナとシリカの組成がAl:SiO=50:50よりアルミナ成分が少なくなると、耐熱性が低下する。
触媒成分を混合した紡糸液の調製及びその紡糸液からの長繊維状複合材前駆体の製造方法は、従来のアルミナ繊維前駆体製造方法に従って行うことができる。
例えば、オキシ塩化アルミニウム水溶液に、シリカゾル、触媒成分塩水溶液を加え、紡糸助剤として水溶性有機重合体を加える。この液を所定の粘度になるまで濃縮し、乾式紡糸することで、長繊維状複合材前駆体を得ることができる。
この長繊維状複合材前駆体を、1100℃以上で焼成することで、長繊維状複合材が得られる。
【0024】
なお、長繊維状複合材は、例えば、以下の操作によって製造することができる。
オキシ塩化アルミニウム水溶液に、シリカゾルをAl:SiO=80:20となるように加え、さらに、硝酸セリウム水溶液と硝酸プラセオジム水溶液を酸化物の含有率として12%となるように加えた。
この水溶液を良く攪拌し、ポリビニルアルコール水溶液を加えた後、濃縮して粘度200Pa・sの紡糸液を調製した。この紡糸液を乾式紡糸して430dtex/160f長繊維状複合材前駆体を巻き取った。
この長繊維状複合材前駆体を昇温速度100℃/hで450℃まで加熱し、次いで、昇温速度300℃/hで1150℃まで加熱し、1150℃で1時間焼成した。
得られた長繊維状複合材は、繊維径10μm/f、強度80kgf/mmを有していた。
【0025】
次に、本発明の繊維集合体について詳細に説明する。
上述の如く、本発明の集合体は、上記本発明の長繊維状複合材から成るものである。このような構成とすることにより、PMを捕集し易くなるとともに取り扱いが容易となる。
このような繊維集合体は、例えば織物、編み物又は抄造法などによって得ることができる。例えば織物は平織り、朱子織りなど、編み物はたて編み、よこ編みなどに加工できる。更に抄造法としては、丸網抄造機、長網抄造機等の連続抄造設備を用いる方式、抄造ボックスにスラリーを流し込むバッチ抄造方式、スラリーから平網で漉き上げる方式等が採用できる。
【0026】
抄造法の場合は、例えばアクリルエマルジョン、塩化ビニルエマルジョン、ポリスチレンエマルジョン、NBRラテックス等の有機質バインダーを長繊維状複合材100重量部に対して3〜20重量部混合することが好ましい。
有機質バインダーの混合は、予め長繊維状複合材と有機質バインダーとを所定量混ぜる方法、長繊維状複合材のみのスラリーを抄造し、ケーキとした後、その上方から有機質バインダーを含む溶液をスプレーし、下方より吸引する方法、又はそれらを併用する方法により行うことができる。この場合、スラリーには触媒成分を含有させることもできる。
【0027】
次に、本発明の繊維複合体について詳細に説明する。
上述の如く、本発明の繊維複合体は、上記本発明の長繊維状複合材と、支持体とを備えるものである。このような構成とすることにより、長繊維状複合材に所望の形状や強度を付与し易くなり、取り扱いも容易になる。
このような複合体としては、具体的には、上述した長繊維状複合材と、ステンレス金網、ステンレスメタル箔、セラミック板(コージェライト、SiC)、いわゆるウォールフロー型DPF(コージェライト、SiC)、ストレートフローハニカム、セラミックス発泡板、セラミックスマット(コージェライト、SiC)などの支持体とを複合化したものを例示することができる。
【0028】
次に、本発明のディーゼルパティキュレートフィルターについて詳細に説明する。
上述の如く、本発明のディーゼルパティキュレートフィルターは、上記本発明の繊維集合体及び繊維複合体のすくなくとも一方から成るものである。
このような構成とすることにより、所望の形状や強度を有し、更にパティキュレートマターを捕集しやすいディーゼルパティキュレートフィルターとなる。
例えば蛇腹形状やハニカム形状に成形したディーゼルパティキュレートフィルターを上げることができる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0030】
(実施例1)
アルミナシリカ繊維原料としてオキシ塩化アルミニウム溶液に、シリカゾルをAl:SiO=80:20となるように加え、ポリビニルアルコール水溶液、また触媒成分として硝酸セリウム水溶液を酸化物の含有として6%になるように加え、粘度を調整し紡糸前駆体溶液を乾式紡糸した。また、得られる触媒成分担持アルミナシリカ繊維前駆体に紡糸した。乾式紡糸した触媒成分担持繊維前駆体を1150℃で1時間焼成し、触媒成分担持アルミナシリカ繊維(繊維径30μm/f)を得た。
【0031】
(実施例2)
実施例1の触媒成分を硝酸セリウムとして、実施例1の工程を経て触媒成分担持アルミナシリカ繊維を得た(繊維径15μm/f)。
【0032】
(実施例3)
実施例1の触媒成分を硝酸セリウムとして、実施例1の工程を経て触媒成分担持アルミナシリカ繊維を得た(繊維径7μm/f)。なお、この触媒成分担持アルミナシリカ繊維の強度は110kgf/mmであった。
【0033】
(実施例4)
実施例1の触媒成分を硝酸セリウムとして、実施例1の工程を経て触媒成分担持アルミナシリカ繊維を得た(繊維径5μm/f)。
【0034】
(実施例5)
実施例1の触媒成分を硝酸セリウムと硝酸プラセオジウムとして、実施例1の工程を経て触媒成分担持アルミナシリカ繊維を得た(繊維径30μm/f)。
【0035】
(実施例6)
実施例1の触媒成分を硝酸セリウムと硝酸プラセオジウムとして、実施例1の工程を経て触媒成分担持アルミナシリカ繊維を得た(繊維径15μm/f)。
【0036】
(実施例7)
実施例1の触媒成分を硝酸セリウムと硝酸プラセオジウムとして、実施例1の工程を経て触媒成分担持アルミナシリカ繊維を得た(繊維径7μm/f)。
【0037】
(実施例8)
実施例1の触媒成分を硝酸セリウムと硝酸プラセオジウムとして、実施例1の工程を経て触媒成分担持アルミナシリカ繊維を得た(繊維径5μm/f)。
【0038】
(比較例1)
アルミナシリカ繊維原料に触媒成分として硝酸セリウム水溶液を担持し、CeO成分を担持した繊維を得た。触媒成分を担持した繊維を400℃で1時間焼成し、触媒成分担持アルミナシリカ繊維を得た(繊維径30μm/f)。
【0039】
(比較例2)
アルミナシリカ繊維原料に、比較例1の触媒成分を硝酸セリウムとして、比較例1の工程を経て触媒成分担持アルミナシリカ繊維を得た(繊維径15μm/f)。
【0040】
(比較例3)
アルミナシリカ繊維原料に、比較例1の触媒成分を硝酸セリウムとして、比較例1の工程を経て触媒成分担持アルミナシリカ繊維を得た(繊維径7μm/f)。
【0041】
(比較例4)
アルミナシリカ繊維原料に、比較例1の触媒成分を硝酸セリウムとして、比較例1の工程を経て触媒成分担持アルミナシリカ繊維を得た。繊維径5μm/f)。
【0042】
(比較例5)
アルミナシリカ繊維原料に、比較例1の触媒成分を硝酸セリウムと硝酸プラセオジウムとして、比較例1の工程を経て触媒成分担持アルミナシリカ繊維を得た(繊維径30μm/f)。
【0043】
(比較例6)
アルミナシリカ繊維原料に、比較例1の触媒成分を硝酸セリウムと硝酸プラセオジウムとして、比較例1の工程を経て触媒成分担持アルミナシリカ繊維を得た(繊維径15μm/f)。
【0044】
(比較例7)
アルミナシリカ繊維原料に、比較例1の触媒成分を硝酸セリウムと硝酸プラセオジウムとして、比較例1の工程を経て触媒成分担持アルミナシリカ繊維を得た(繊維径7μm/f)。
【0045】
(比較例8)
アルミナシリカ繊維原料に、比較例1の触媒成分を硝酸セリウムと硝酸プラセオジウムとして、比較例1の工程を経て触媒成分担持アルミナシリカ繊維を得た(繊維径5μm/f)。
【0046】
(比較例9)
アルミナシリカ繊維原料を用いて、アルミナシリカ繊維を得た(繊維径30μm/f)。
【0047】
(比較例10)
アルミナシリカ繊維原料を用いて、アルミナシリカ繊維を得た(繊維径15μm/f)。
【0048】
(比較例11)
アルミナシリカ繊維原料を用いて、アルミナシリカ繊維を得た(繊維径7μm/f)。
【0049】
上記実施例1〜8及び比較例1〜11の触媒成分担持アルミナシリカ繊維の仕様を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
[性能評価]
上記実施例1〜8及び比較例1〜11の触媒成分担持アルミナシリカ繊維の性能を下記のようにして評価した。
【0052】
(触媒構造体の作製)
上記各実施例及び比較例で作製した触媒成分担持アルミナシリカ繊維を約15mmで裁断し、紙すき器にて不織布を作製した。この不織布の厚さは約5mmであった。この不織布を10枚重ね合わせて触媒構造体を作製した。
(すす堆積)
得られた各例の触媒構造体を、日産自動車(株)製の直列4気筒、排気量2500ccエンジンに装着し、すすを堆積させた。
(触媒性能評価)
上述のようにすすを堆積させた各例の触媒構造体につき、固定床流通式反応装置を用いて触媒性能評価を行った。
反応ガスは酸素濃度5vol%でバランスガスには窒素を用いた。触媒入りガス温度500℃、空間速度50,000/hrの条件において5分間に生成したCO、CO2の生成量で触媒性能を評価した。得られた結果を表1に併記する。
【0053】
(実施例9)
オキシ塩化アルミニウム水溶液に、シリカゾルをAl:SiO=80:20となるように加え、更に硝酸セリウム水溶液を酸化物の含有量として12%となるように加えた。この水溶液を良く攪拌し、ポリビニルアルコール水溶液を加えた後、濃縮して粘度400Pa・sの紡糸液を調製した。
この紡糸液を乾式防止して220dtex/160f繊維状複合材前駆体を巻き取った。この繊維状複合材前駆体を昇温速度100℃/hで450℃まで加熱し、次いで、昇温速度300℃/hで1150℃まで加熱し、1150℃で1時間焼成した。
得られた繊維状複合材は、繊維径約7μm/f、強度90kgf/mmを有していた。
【0054】
(実施例10)
硝酸セリウム添加量を18%とした以外は、実施例9と同様の操作を繰り返した。得られた繊維状複合材は、繊維径約7μm/f、強度30kgf/mmを有していた。
【0055】
(実施例11)
オキシ塩化アルミニウム水溶液に、シリカゾルをAl:SiO=80:20となるように加え、更に硝酸セリウム水溶液と硝酸プラセオジム水溶液を酸化物の含有量として12%となるように加えた。この水溶液を良く攪拌し、ポリビニルアルコール水溶液を加えた後、濃縮して粘度200Pa・sの紡糸液を調製した。
この紡糸液を乾式紡糸して220dtex/160f繊維状複合材前駆体を巻き取った。この繊維状複合材前駆体を昇温速度100℃/hで450℃まで加熱し、次いで、昇温速度300℃/hで1150℃まで加熱し、1150℃で1時間焼成した。
得られた繊維状複合材は、繊維径約7μm/f、強度80kgf/mmを有していた。
【0056】
(実施例12)
オキシ塩化アルミニウム水溶液に、シリカゾルをAl:SiO=99.5:0.5となるように加え、焼成温度を1200℃とした以外は、実施例11と同様の操作を繰り返した。
得られた繊維状複合材は、繊維径約15μm/f、強度70kgf/mmを有していた。
【0057】
(実施例13)
オキシ塩化アルミニウム水溶液に、シリカゾルをAl:SiO=70:30となるように加えた以外は、実施例11と同様の操作を繰り返した。
得られた繊維状複合材は、繊維径約7μm/f、強度90kgf/mmを有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状の長繊維基材と、この長繊維基材に含まれる触媒成分を有する長繊維状複合材であって、その平均繊維径が50μm以下であることを特徴とする長繊維状複合材。
【請求項2】
上記触媒成分が、希土類元素を含有する酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の長繊維状複合材。
【請求項3】
上記希土類元素含有酸化物の含有率が、5〜50%であることを特徴とする請求項2に記載の長繊維状複合材。
【請求項4】
上記希土類元素が、セリウム、イットリウム、プラセオジム、ランタン、ネオジム、マンガン、ジルコニウム及びガリウムから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項2又は3に記載の長繊維状複合材。
【請求項5】
上記長繊維基材は、少なくともアルミニウムを構成元素として含有する酸化物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の長繊維状複合材。
【請求項6】
上記アルミニウムを構成元素として含有する酸化物が、α−アルミナ、γ−アルミナ、δ−アルミナ及びθ−アルミナから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項5に記載の長繊維状複合材。
【請求項7】
上記長繊維基材は、少なくともアルミニウムとケイ素を構成元素として含有する酸化物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の長繊維状複合材。
【請求項8】
上記少なくともアルミニウムとケイ素を構成元素として含有する酸化物のAl/Si比が重量比で50/50〜99.5/0.5であることを特徴とする請求項7に記載の長繊維状複合材。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の長繊維状複合材から成ることを特徴とする繊維集合体。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の長繊維状複合材と、支持体を備えることを特徴とする繊維複合体。
【請求項11】
請求項9に記載の繊維集合体及び請求項10に記載の繊維複合体の少なくとも一方から成ることを特徴とするディーゼルパティキュレートフィルター。

【公開番号】特開2008−264684(P2008−264684A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−111220(P2007−111220)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(000134936)株式会社ニチビ (13)
【Fターム(参考)】