説明

長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体及び分散剤

【課題】カラーフィルター製造などにおける加熱が必要な塗膜工程において、黄変の無い耐熱性に優れた分散剤を提供すること。
【解決手段】特定の長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体を有効成分とすることにより、カラーフィルターなどの製造工程において優れた耐熱性を有する分散剤を提供できるようになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体及びこれを有効成分として含有することを特徴とする分散剤に関するものであり、着色塗料、印刷インキ、複写用トナー、磁気テープ、ゴムマグネット、カラープラスチック成形品、シーリング剤等の製造などの分野に広く利用することができる技術である。さらに詳しくは、カラーフィルター製造などにおける加熱が必要な塗膜工程において、色調の変化が少ない、耐熱性に優れた長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体に関する技術である。因みに、長鎖分岐は、後記一般式(10)及び/または(11)によって共重合体に導入される。
【背景技術】
【0002】
液晶をカラーディスプレイとしてモジュール化、パネル化するためには、もちろん液晶素材を始め、ガラス基板、偏光板、光位相差板、カラーフィルターなど数多くの構成部品を必要とする。特にカラーフィルターは、液晶ディスプレイのカラー表示品質を直接的に左右する重要な部材である。RGB(赤・緑・青)の三原色画素を含む微小な樹脂膜を透明なガラス基板上に配列させたもので、求められる要求品質として、高い光透過性、高コントラスト、色度などの色表示に関する性能があることから、染料が用いられていた。
【0003】
現在では耐光性、平滑性などパネル構成に要する特性、そして耐熱性、耐薬品性、寸法安定性などパネル組立の上で必要とされる特性などの多岐にわたる特性が要求されることから、顔料が多く用いられている。顔料でその要求性能をクリアするためには、一次粒子に近い状態まで顔料を微分散することが必要であり、分散性に優れた分散剤を添加する。
着色剤として顔料を用いた際のカラーフィルターの製造方法である顔料分散法には、現在主に着色感材法、エッチング法の2通りがある。着色感材法では、透明な感光性樹脂溶液中に、顔料分散剤を用いて微細化した顔料を均一に分散させたものをガラスなどの基板に塗布し、溶剤を乾燥後に1色目のフィルターのパターン露光を行う。次に現像により未露光部分を除去して1色目のパターンを形成した後に、加熱等の処理を行う。他のフィルター色についてもこれと同様に塗布・露光・現像の操作を繰り返すことによりパターンを形成し、カラーフィルターを製造する。エッチング法では、顔料分散剤を用いて透明樹脂溶液中に顔料を分散させたものを、ガラスなどの透明基板に塗布し、溶剤を乾燥後に塗膜上にポジレジストを塗布し、1色目のフィルターのパターン露光を行い、現像してレジストパターンを形成する。これをエッチングレジストとしてレジストパターンの付着していない顔料分散塗膜をエッチング液で除去し、1色目のパターンを形成した後に、加熱等の処理を行う。他のフィルター色についてもこれと同様の操作を繰り返す事によりパターンを形成し、カラーフィルターを製造する。
この製造工程においては200℃以上で20分〜2時間の加熱を行う為、耐熱性に劣る分散剤が使用されていた場合、この様な高温プロセス後に画像が黄変し、色純度が低下するという問題があった。このため、分散剤は加熱により色調の変化が少なく耐熱性に優れていることが必要であり、これまでに、種々の顔料分散剤や分散助剤が提案され、顔料分散の改良が試みられてきた。
【0004】
例えば、後掲特許文献1に記載のアミンオキシド基含有無水マレイン酸コポリマーを自動車塗装のような高価な工業塗装等に用いる分散剤として利用する方法が開示されている。これは生産性や、分散剤そのものの色調の改良はされているが、耐熱性に関しては触れられていない。
【0005】
また、後掲特許文献2には、ポリアリルアミンのアミノ基にポリエステル等が導入されたポリアリルアミン誘導体が、着色塗料、印刷インキ、プラスチックの着色等に用いられる分散剤として提案されているが、耐熱性に関しては触れられていない。
【0006】
また、後掲特許文献3には、リン酸エステル系顔料分散剤をカラーフィルター用分散剤として用いた着色組成物が開示されているが、この着色組成物は塗膜形成時の作業性や耐熱性に優れるものの、顔料を分散させる際に、特定の塩基性基を有する顔料誘導体を必須成分とするものである。
【0007】
また、後掲特許文献4には、4級アンモニウム塩基を含有する分散剤を使用したカラーフィルター用組成物が提案されているが、この組成物は耐熱性、分散性、現像性に優れるものの、対アニオンを含んでおり、電子材料用途によってはマイグレーション発生の原因となりうるイオン性不純物を嫌う為、使用が限定される場合が考えられた。
【特許文献1】特開2000−226414号公報
【特許文献2】特開平9−169821号公報
【特許文献3】特開2003−294935号公報
【特許文献4】特開2003−35815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前項記載の背景技術の下において、本発明の目的は、カラーフィルター製造などにおける加熱が必要な製造工程において、黄変の無い耐熱性に優れた分散剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定の長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体を有効成分とすることにより、カラーフィルターなどの製造工程において優れた耐熱性を有する分散剤を提供することを見出し、本発明の完成に至った。
【0010】
すなわち、本発明は、特定の、長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体、およびこれを有効成分とする塗膜工程における優れた耐熱性を有する分散剤に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の特定の長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体を有効成分とすることにより、塗膜工程において、黄変なく耐熱性に優れた分散剤を提供することが可能となった。これにより、顔料含有樹脂組成物、更には、塗料、印刷インキ、複写用トナー、ゴムマグネット、磁気テープ、カラープラスチック成形品、シーリング剤等の顔料を使用している各種樹脂製品を提供できるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体及びこれを有効成分とすることを特徴とする分散剤について詳細に説明する。因みに、本発明の長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸重合体は新規物質である。
【0013】
第一に、本発明の長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体について説明する。
【0014】
本発明の長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体は、下記一般式(A)、(B)および(C)でそれぞれ表わされる構成単位A、BおよびCからなり、共重合体1分子中、構成単位A及びBは必須成分である。なお、以下、本明細書において、「共重合体1分子」および「共重合体分子」をそれぞれ単に「1分子」および「分子」と略称する。
【0015】
【化1】

【0016】
1分子中のそれぞれの総数の関係は構成単位A:(構成単位B+構成単位C)=1:3〜3:1であり、1分子中の一般式(A)、(B)及び(C)でそれぞれ表わされる構成単位A、BおよびCの総数は2〜100個である。
【0017】
一般式(A)中、Rは分子内で同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜50の脂肪族系もしくは芳香族系の炭化水素基、または水素原子を表す。Rとしては特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基などが挙げられる。また、Rは分子内で同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素原子数1〜5の炭化水素基または水素原子を表す。Rとしては特に限定されるものではないが、例えば、水素原子、メチル基などが挙げられる。
【0018】
一般式(B)中、X及びXはそれぞれ独立に下記一般式(2)〜(6)のいずれかで表わされ、分子内で同一でも異なっていてもよい。
【0019】
【化2】

【0020】
一般式(2)及び(3)中のn、R、R、R及びRは前記一般式(C)のものと同様である。一般式(2)中のRは分子内で同一でも異なっていてもよく置換基を有してもよい炭素原子数1〜5の炭化水素基または水素原子を表す。一般式(2)としては特に限定されるものではないが、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミノ基などを挙げることができる。一般式(3)としては特に限定されるものではないが、例えば、N,N−ジメチルアミノプロポキシ基、N,N−ジエチルアミノエトキシ基などを挙げることができる。
【0021】
一般式(4)中のRは分子内で同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素原子数1〜5の炭化水素基または水素原子を表す。一般式(4)及び(5)中のRは分子内で同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素原子数10〜20の脂肪族系もしくは芳香族系の炭化水素基、数平均分子量1,000〜20,000のポリ(オキシアルキレンカルボニル)基、または数平均分子量1,000〜20,000のポリ(オキシアルキレン)基を表す。炭化水素基としては特に限定されるものではないが、有機マトリクスとの相溶性の点から、炭素原子数10以上のものが好ましい。例えば、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基などを挙げることができる。ポリ(オキシアルキレンカルボニル)基としては特に限定されるものではないが、置換基を有してもよく、例えば、置換基を有してもよいヒドロキシカルボン酸の縮合物、及びその末端水酸基エステル化物またはその末端カルボキシル基エステル化物などを挙げることができる。ポリ(オキシアルキレン)基としては特に限定されるものではなく、置換基を有してもい。
【0022】
共重合体1分子中の構成単位Bの総数に対する一般式(2)または(3)で表されるX及びXの総数の比が、構成単位B:((2)+(3))=1.0:0.2〜1.0:1.8である。1分子中の構成単位Bの総数に対する一般式(4)または(5)で表されるX及びXの総数の比は、B:((4)+(5))=1.0:0.2〜1.0:1.8である。
【0023】
一般式(C)中、nは0〜3の整数を表す。R及びRは分子内で同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素原子数2〜6の脂肪族系炭化水素基または置換基を有してもよい炭素原子数6〜10の芳香族系炭化水素基を表す。R及びRとしては特に限定されるものではないが、例えばプロピレン基、ブチレン基、フェニレン基などが挙げられる。R及びRは分子内で同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素原子数1〜5の炭化水素基または水素原子を表す。R及びRとしては特に限定されるものではないが、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、sec−ブチル基などが挙げられるが、顔料に対する吸着性の理由からはメチル基が好ましい。構成単位Cとしては特に限定されるものではないが、例えばN,N−ジメチルアミノプロピルアミノ基がイミド結合によりマレイン酸のカルボキシル基部分に結合したものなどが挙げられる。
【0024】
本発明の長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体を合成するために、出発原料としてα−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体を用いるが、α−オレフィンとしては特に制限はなく、例えば、スチレン、ジイソブチレン、アルキル化スチレン化合物、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アルキルビニルエーテル、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラエイコセン、1−ヘキサエイコセン、1−オクタエイコセン、1−トリアコンテン、1−ドトリアコンテン、1−テトラトリアコンテン、1−ヘキサトリアコンテン、1−オクタトリアコンテン、1−テトラコンテン等、並びにその混合物が挙げられる。混合物を用いた場合は、得られる共重合体1分子中においても、複数の構成単位Aは,RおよびRにおいて異なるものとなる。また、α−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体の重合比は特に限定されるものではないが、α−オレフィン:無水マレイン酸=1:3〜3:1である。このような無水マレイン酸共重合体の例として、「SMAレジン1000」(サトーマー社製、平均分子量5,500、理論酸価465〜495mgKOH/g、市販品)、「T−YP103」(星光PMC株式会社製、平均分子量11,000、理論酸価407mgKOH/g)等が挙げられる。
【0025】
本発明の長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体の製造方法は、以下のA〜Cからなる3つの工程の全てを経なければならないが、各工程の順序は特に限定されるものではない。
【0026】
工程A:マレイン酸誘導体モノマーと一般式(7)で表される1種又は2種以上のα−オレフィンを、モル比1:3〜3:1で共重合する工程。
【0027】
【化3】

【0028】
ただし、一般式(7)中のRは、分子内で同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜50の脂肪族系もしくは芳香族系の炭化水素基、または水素原子を表す。また、Rは、置換基を有してもよい炭素原子数1〜5の炭化水素基または水素原子を表す。先に述べたように、2種以上のα−オレフィンを混用した場合は、得られる共重合体1分子においても複数の構成単位Aは,RおよびRにおいて異なるものとなる。
【0029】
工程B:マレイン酸誘導体モノマーまたはマレイン酸共重合体中のマレイン酸由来のカルボニル基部分に、一般式(8)で表される1種若しくは2種以上のアミン又は/及び一般式(9)で表される1種若しくは2種以上のアルコールをそれぞれアミド結合もしくはイミド結合又は/及びエステル結合する工程。
【0030】
【化4】

【0031】
ただし、一般式(8)及び(9)中のnは0〜3の整数を表す。R及びRは、置換基を有してもよい炭素原子数2〜6の脂肪族系炭化水素基または置換基を有してもよい炭素原子数6〜10の芳香族系炭化水素基を表す。R及びRは、置換基を有してもよい炭素原子数1〜5の炭化水素基または水素原子を表す。Rは、置換基を有してもよい炭素原子数1〜5の炭化水素基または水素原子を表す。上記アミンおよびアルコールを2種以上混用した場合は、得られる共重合体1分子における複数の構成単位BおよびCは異なるものとなる。
【0032】
工程C:マレイン酸誘導体モノマーまたはマレイン酸共重合体中のマレイン酸由来のカルボニル基部分に、一般式(10)で表される1種若しくは2種以上のアミン又は/及び一般式(11)で表されるアルコールをそれぞれアミド結合もしくは/及びイミド結合又は/及びエステル結合する工程。
【0033】
【化5】

【0034】
ただし、一般式(10)中のRは、置換基を有してもよい炭素原子数1〜5の炭化水素基または水素原子を表す。一般式(10)及び(11)中のRは置換基を有してもよい炭素原子数10〜20の脂肪族系もしくは芳香族系の炭化水素基、数平均分子量1,000〜20,000のポリ(オキシアルキレンカルボニル)基、または数平均分子量1,000〜20,000のポリ(オキシアルキレン)基を表す。上記アミンおよびアルコールを2種以上混用した場合は、得られる共重合体1分子における複数の構成単位B及びCは異なるものとなることは上と同じである。
【0035】
工程A中のマレイン酸誘導体モノマーとしては、工程A〜Cの順序により異なる。工程Aが最初の工程である場合、マレイン酸もしくは無水マレイン酸を挙げることができる。また、工程Aが最初の工程でない場合のマレイン酸誘導体モノマーとしては、例えば工程B→A→Cの順序の場合、マレイン酸及び/または無水マレイン酸を一般式(8)で表されるアミンと反応させて得られるマレイン酸のモノアミド化物もしくはジアミド化物又はイミド化物、又は/及び一般式(9)で表されるアルコールと反応させて得られるマレイン酸のモノエステル、ジエステルなどの3級アミノ基含有マレイン酸誘導体であり、工程C→A→Bの順序の場合、マレイン酸及び/または無水マレイン酸を一般式(10)で表されるアミンと反応させて得られるマレイン酸のモノアミド化物もしくはジアミド化物又はイミド化物、又は/及び一般式(11)で表されるアルコールと反応させて得られるマレイン酸のモノエステル、ジエステル等の長鎖分岐を有するマレイン酸誘導体であり、工程B→C→AまたはC→B→Aの順序の場合、マレイン酸及び/または無水マレイン酸を一般式(8)で表されるアミン及び/又は一般式(9)で表されるアルコール、及び一般式(10)で表されるアミン及び/又は一般式(11)で表されるアルコールと反応させて得られるマレイン酸のモノエステルモノアミド等の長鎖分岐及び3級アミノ基含有マレイン酸誘導体を挙げることができる。
【0036】
マレイン酸誘導体モノマーと一般式(7)で表されるα−オレフィンのモル比は1:3〜3:1であるが、この範囲よりもマレイン酸誘導体のモル比が小さいと、顔料に対する吸着基の数が少なくなり分散性が低下し、この範囲よりも大きいと有機溶剤などに溶解しにくくなるので好ましくない。
【0037】
工程Aでマレイン酸誘導体モノマーと一般式(7)で表されるα−オレフィンを共重合する反応で使用する重合触媒としては、トリエチルアミン、トリエチルアンモニウムクロライド、トリフェニルホスフィン等が挙げられ、反応温度としては50〜100℃以下が好ましい。これより温度が低いと反応速度が遅くなり、これより高いと反応の制御が困難となるので好ましくない。
【0038】
工程B中のマレイン酸誘導体モノマーまたはマレイン酸共重合体であるが、工程Bが最初の工程の場合、マレイン酸もしくは無水マレイン酸などのマレイン酸誘導体を挙げることができる。また、工程Aが最初の工程でない場合のマレイン酸誘導体モノマーまたはマレイン酸共重合体としては、工程C→B→Aの順序の場合、マレイン酸及び/または無水マレイン酸を一般式(10)で表されるアミンと反応させて得られるマレイン酸のモノアミド化物若しくはジアミド化物又はイミド化物、又は/及び一般式(11)で表されるアルコールと反応させて得られるマレイン酸のモノエステル若しくはジエステル等の長鎖分岐を有するマレイン酸誘導体であり、工程A→B→Cの順序の場合、マレイン酸−α−オレフィン共重合体であり、工程A→C→BまたはC→A→Bの順序の場合、マレイン酸−α−オレフィン共重合体の一般式(10)で表されるアミンと反応させて得られるマレイン酸のモノアミド化物若しくはジアミド化物又はイミド化物、又は/及び一般式(11)で表されるアルコールと反応させて得られるエステル化物である。
【0039】
工程Bでの反応は、原料が酸無水物基を含むものであれば加熱や触媒の必要なく、0℃以上であれば進行する。原料がカルボキシル基を含むものであればルイス酸触媒などを使用すると反応速度が速くなるが、反応温度が100℃以上であれば、無触媒でも充分に反応が進行し、後工程で触媒を除去する必要もないので好ましい。ただし、240℃を超えると、原料や生成物の分解が始まり好ましくない。
【0040】
工程C中のマレイン酸誘導体モノマーまたはマレイン酸共重合体であるが、工程Cが最初の工程の場合、マレイン酸もしくは無水マレイン酸などのマレイン酸誘導体を挙げることができる。また、工程Cが最初の工程でない場合のマレイン酸誘導体モノマーまたはマレイン酸共重合体としては、工程B→C→Aの順序の場合、マレイン酸または/及び無水マレイン酸を一般式(8)で表されるアミンと反応させて得られるマレイン酸のモノアミド化物若しくはジアミド化物又はイミド化物、又は/及び一般式(9)で表されるアルコールと反応させて得られるマレイン酸のモノエステル又はジエステルなどの3級アミノ基含有マレイン酸誘導体であり、工程A→C→Bの順序の場合、マレイン酸−スチレン共重合体であり、工程A→B→Cの順序の場合、マレイン酸−スチレン共重合体を一般式(8)で表されるアミンと反応させて得られるアミド化物又はイミド化物、又は/及び一般式(9)で表されるアルコールと反応させて得られるエステル化物である。
【0041】
本発明の長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体の製造方法の好ましい形態を例示すると次の通りである。
【0042】
まず、原料である無水マレイン酸共重合体に、前記一般式(8)で表されるアミンを反応させる。反応は無溶剤でも、また有機溶剤を併用してもよい。有機溶剤は原料が溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、などのエステル類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、n−ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類などを挙げることができる。
【0043】
反応温度は、無水マレイン酸共重合体と前記一般式(2)及び/または(3)で表されるアミン化合物が反応する温度であれば特に限定はされないが、10〜240℃が好ましい。
【0044】
反応時間は無水マレイン酸共重合体と前記一般式(2)及び/または(3)で表されるアミン化合物が反応する時間であれば特に限定されるものではないが、1分〜24時間が好ましい。
【0045】
また、反応後得られた化合物にマレイン酸無水物が随伴していても何ら差し支えない。
【0046】
次に、無水マレイン酸共重合体とアミンの反応物を、一般式(11)で表される置換基を有してもよい炭素原子数10〜20の脂肪族系及び/または芳香族系の炭化水素基、及び/または数平均分子量1,000〜20,000のポリ(オキシアルキレンカルボニル)基、及び/または数平均分子量1,000〜20,000のポリ(オキシアルキレン)基と反応させるが、反応は、前記無水マレイン酸共重合体とアミン化合物の反応物を乾燥させたものを用いても、反応後そのまま用いてもよく、反応は無溶剤でも、また有機溶剤を併用してもよい。有機溶剤は特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、などのエステル類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、n−ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類などを挙げることができる。
【0047】
反応温度は、無水マレイン酸共重合体とアミンの反応物が炭化水素基及び/またはポリ(オキシアルキレンカルボニル)基及び/またはポリ(オキシアルキレン)基を有する化合物と反応する温度であれば特に限定はされないが、10〜240℃が好ましい。更には、無溶剤の場合は溶融、有機溶剤を併用する場合は溶解している条件がより好ましい。
【0048】
反応時間は無水マレイン酸共重合体とアミンの反応物と炭化水素基及び/またはポリ(オキシアルキレンカルボニル)基及び/またはポリ(オキシアルキレン)基を有する化合物が反応する時間であれば特に限定されるものではないが、1分〜24時間が好ましい。
【0049】
このようにして得られた長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体は、差支えがなければ反応混合物のまま、マレイン酸無水物が随伴したまま、または分液操作、イオン交換などにより精製し活性炭処理により脱色をして、例えば分散剤として流通に置くことができる。分散剤として流通に置く場合は、反応混合物をそのままとしても、必要に応じて溶剤、樹脂、顔料、その他添加剤を加えても良い。
【0050】
本発明の長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体は、用途は特に限定されないが、分散剤として使用することができる。具体的には、二酸化チタン、酸化鉄、硫化カドミウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、黄鉛、カーボンブラック、カドミウムエロー、カドミウムレッド、弁柄、鉄黒、亜鉛華、紺青、群青などの無機顔料、ならびにモノアゾ系、ジアゾ系、アゾレーキ系、縮合アゾ系、キレートアゾ系、インジゴ系、チオインジゴ系、アンスラキノン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、アンサンスロン系、ベンゾイミダゾロン系、ピランスロン系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、フラバンスロン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、インダンスロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、キノフタロン系、ペリレン系、ペリノン系、酸性染料系、塩基性染料系、アジン系、昼光けい光系、ニトロソ系、ニトロ系などの有機顔料等に適用する分散剤が挙げられる。分散剤には、本発明の効果を阻害しない程度に、通常使用される成分として、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、分散助剤などの添加剤を配合することができる。
【0051】
本発明の分散剤は、用途は特に限定されないが、上記顔料表面を処理することにより処理顔料の形態として使用することができる。処理顔料には、本発明の効果を阻害しない程度に、通常使用される成分として、有機溶剤、塗料インキ用樹脂などの分散媒を配合することができる。
【0052】
本発明の分散剤及び/または処理顔料は、用途は特に限定されないが、顔料含有樹脂組成物として使用することができる。具体的には、塗料、インキ、顔料分散プラスチックコンパウンドの顔料含有樹脂組成物が挙げられる。顔料含有樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない程度に、通常使用される成分として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン、可塑剤、難燃剤などの添加剤を配合することができる。
【0053】
本発明の顔料含有樹脂組成物は、用途は特に限定されないが、塗料またはインキ組成物として使用することができる。具体的な用途としては、建築用、自動車用、船舶用、航空機用、電気製品用等、基材の種類としては木材用、金属用、ガラス用、セメント用等の塗料、グラビアインキ、オフセットインキ、カラーフィルターや他の電子機器用のレジストインキ、プリンター用インキ等のインキ組成物などが挙げられる。塗料またはインキ組成物には、本発明の効果を阻害しない程度に、通常使用される成分として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン、可塑剤、難燃剤、消泡剤、硬化剤、レベリング剤、増粘剤などの添加剤を配合することができる。また特にカラーフィルター製造工程においては200℃以上で20分〜2時間の加熱を行う為、耐熱性に劣る分散剤が使用されていた場合、この様な高温プロセス後に画像が黄変し、色純度が低下するという問題があるため、耐熱性に優れている本分散剤を使用することにより、この問題を解決することができる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明について、その内容を実施例及び比較例を挙げて詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0055】
(実施例1)
撹拌子を入れたフラスコ内に反応溶媒として酢酸エチル(純正化学株式会社製)138重量部をとり、撹拌させながらα−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体「SMAレジン1000」(サトーマー社製、平均分子量5,500、理論酸価465〜495mgKOH/g)40.6重量部を加え、溶解させた。ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA、東京化成販売株式会社製)17.75重量部を滴下ロートに採取し、「SMAレジン1000」を溶解させたフラスコに備え付け、撹拌させながら20分かけて滴下した。滴下終了後、滴下ロートを酢酸エチル2.7重量部で洗い込み、室温で1時間撹拌した。
【0056】
その後、ロータリーエバポレーターにより溶媒を除去、減圧乾燥(80℃、8時間)し白色粉末を得た。
【0057】
撹拌子を入れたフラスコ内に得られた白色粉末3.06重量部とポリ(カルボニルアルキレンオキシ)酸「PCAO3000」(武生ファインケミカル株式会社製)を25.78重量部とり、220℃に調整したオイルバス中で撹拌した。溶融後、15分間撹拌した後に、オイルバスからとりあげ、減圧乾燥(100℃、8時間)し化合物1を得た。
【0058】
(実施例2)
撹拌子を入れたフラスコ内に「SMAレジン1000」(サトーマー社製、平均分子量5,500、理論酸価465〜495mgKOH/g)40.6重量部とジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA、東京化成販売株式会社製)8.87重量部を加え、220℃に調整したオイルバス中で撹拌した。
【0059】
その後、減圧乾燥(120℃、8時間)し白色粉末を得た。
【0060】
撹拌子を入れたフラスコ内に得られた白色粉末4.95重量部と「PCAO3000」(武生ファインケミカル株式会社製)を25.78重量部とり、220℃に調整したオイルバス中で撹拌した。溶融後、15分間撹拌した後に、オイルバスからとりあげ、減圧乾燥(100℃、8時間)し化合物2を得た。
【0061】
(実施例3)
撹拌子を入れたフラスコ内に反応溶媒として酢酸エチル(純正化学株式会社製)230重量部をとり、撹拌させながらα−オレフィンと無水マレイン酸の共重合体「T−YP103」(星光PMC株式会社製、平均分子量11,000、理論酸価407mgKOH/g)30.0重量部を加え、溶解させた。ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA、東京化成販売株式会社製)12.976重量部を滴下ロートに採取し、滴下ロートを「T−YP103」を溶解させたフラスコに備え付け、撹拌させながら20分かけて滴下した。滴下終了後、滴下ロートを酢酸エチル2.7重量部で洗い込み、室温で1時間撹拌した。
【0062】
その後、ロータリーエバポレーターにより溶媒を除去、減圧乾燥(80℃、8時間)し白色粉末を得た。
【0063】
撹拌子を入れたフラスコ内に得られた白色粉末4.30重量部と「PCAO3000」(武生ファインケミカル株式会社製)を37.70重量部とり、220℃に調整したオイルバス中で撹拌した。溶融後、15分間撹拌した後に、オイルバスからとりあげ、減圧乾燥(100℃、8時間)し化合物3を得た。
【0064】
(比較例1)
撹拌子を入れたフラスコ内に反応溶媒として酢酸エチル(純正化学株式会社製)138重量部をとり、撹拌させながら「SMAレジン1000」(サトーマー社製、平均分子量5,500、理論酸価465〜495mgKOH/g)40.6重量部を加え、溶解させた。ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA、東京化成販売株式会社製)17.75重量部を滴下ロートに採取し、「SMAレジン1000」を溶解させたフラスコに備え付け、撹拌させながら20分かけて滴下した。滴下終了後、滴下ロートを酢酸エチル2.7重量部で洗い込み、室温で1時間撹拌した。
その後、ロータリーエバポレーターにより溶媒を除去、減圧乾燥(80℃、8時間)し化合物4を得た。
【0065】
(比較例2)
撹拌子を入れたフラスコ内に「SMAレジン1000」(サトーマー社製、平均分子量5,500、理論酸価465〜495mgKOH/g)2.00重量部と「PCAO3000」(武生ファインケミカル株式会社製)を25.40重量部とり、220℃に調整したオイルバス中で撹拌した。溶融後、15分間撹拌した後に、オイルバスからとりあげ、減圧乾燥(100℃、8時間)し化合物5を得た。
【0066】
(顔料分散性厚み評価)
試験管に化合物1〜3の分散剤0.25gと溶剤としてシクロヘキサノン10mlを採取した後に分散剤を良く溶解させた。そこに顔料としてフタロシアニンブルーを500mg加え超音波を30分間照射して顔料を分散させた後に試験管を静置し、一定時間経過後に試験管底からの顔料分散層の厚みを計測し、顔料分散層の厚みの初期値を100%とした時の変化量を調べ、顔料の分散性を評価した。既存商品である高分子系顔料分散剤「PB821」(味の素ファインテクノ株式会社製)を基準に下記表1の評価を定めた。
【0067】

【0068】
(耐熱性評価)
分散剤0.9gを溶媒50mlに溶解させ、それをシリカゲル20.0gに加えた。シリカゲルと分散剤を良く撹拌し、なじませた後にシリカゲルをシャーレ上に移した。シリカゲルを室温で乾燥後、窒素雰囲気下で250℃のオーブンで1時間加熱した。加熱前後の色差を測定し、加熱によるシリカゲルの色調の変化を調べ分散剤の耐熱性を評価した。既存商品である「PB821」(味の素ファインテクノ株式会社製)を基準に下記表2の評価を定めた。
【0069】

【0070】
評価結果を下記表3に示す。

【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体により、様々な分散剤、処理顔料、顔料含有樹脂組成物、塗料またはインキ組成物を提供できるようになった。特に本発明の分散剤は耐熱性に優れており、黄変しないカラーフィルターを提供できるようになった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(A)、(B)および(C)でそれぞれ表される構成単位A、BおよびCからなり、共重合体1分子中、構成単位A及びBを必須成分とする、長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体。
【化1】

(ただし、共重合体1分子中のそれぞれの総数の関係は構成単位A:(構成単位B+構成単位C)=1:3〜3:1であり、共重合体1分子中の一般式(A)、(B)及び(C)でそれぞれ表される構成単位A、BおよびCの総数は2〜100個である。
一般式(A)中、Rは共重合体分子内で同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜50の脂肪族系もしくは芳香族系の炭化水素基、または水素原子を表す。また、Rは共重合体分子内で同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素原子数1〜5の炭化水素基または水素原子を表す。
一般式(C)中、nは0〜3の整数を表す。R及びRは共重合体分子内で同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素原子数2〜6の脂肪族系炭化水素基または置換基を有してもよい炭素原子数6〜10の芳香族系炭化水素基を表す。R及びRは共重合体分子内で同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素原子数1〜5の炭化水素基または水素原子を表す。
一般式(B)中、X及びXはそれぞれ独立に下記一般式(2)〜(6)のいずれかで表わされ、共重合体分子内で同一でも異なっていてもよい。
【化2】

一般式(2)及び(3)中のn、R、R、R及びRは前記一般式(C)のものと同様である。一般式(2)中のRは共重合体分子内で同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素原子数1〜5の炭化水素基または水素原子を表す。
一般式(4)中のRは共重合体分子内で同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素原子数1〜5の炭化水素基または水素原子を表す。一般式(4)及び(5)中のRは共重合体分子内で同一でも異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素原子数10〜20の脂肪族系もしくは芳香族系の炭化水素基、数平均分子量1,000〜20,000のポリ(オキシアルキレンカルボニル)基、または数平均分子量1,000〜20,000のポリ(オキシアルキレン)基を表す。
共重合体1分子中の構成単位Bの総数に対する一般式(2)及び(3)で表されるXおよびXの総数の比が、構成単位B:((2)+(3))=1.0:0.2〜1.0:1.8である。1分子中の構成単位Bの総数に対する一般式(4)または(5)で表されるXの総数の比は、構成単位B:((4)+(5))=1.0:0.2〜1.0:1.8である。)
【請求項2】
一般式(A)中のRがフェニル基であり、なおかつRが水素原子であるもので、一般式(B)中のX及びXがそれぞれ独立に一般式(2)で表されるN,N−ジメチルアミノアルキルアミノ基又は一般式(5)中のRがポリ(オキシアルキレンカルボニル)基で表されるポリエステル鎖であることを特徴とする請求項1記載の長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体。
【請求項3】
下記A〜C工程をすべて経て得られることを特徴とする長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体の製造方法。
工程A:マレイン酸誘導体モノマーと一般式(7)で表される1種または2種以上のα−オレフィンとを、モル比1:3〜3:1で共重合する工程。
【化3】

ただし、一般式(7)中のRは、共重合体分子内で同一でも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜50の脂肪族系もしくは芳香族系の炭化水素基、または水素原子を表す。また、Rは、置換基を有してもよい炭素原子数1〜5の炭化水素基または水素原子を表す。
工程B:マレイン酸誘導体モノマーまたはマレイン酸共重合体中のマレイン酸由来のカルボニル基部分に、一般式(8)で表される1種若しくは2種以上のアミン又は/及び一般式(9)で表される1種若しくは2種以上のアルコールをそれぞれアミド結合もしくはイミド結合又は/及びエステル結合する工程。
【化4】

ただし、一般式(8)及び(9)中のnは0〜3の整数を表す。R及びRは、置換基を有してもよい炭素原子数2〜6の脂肪族系炭化水素基または置換基を有してもよい炭素原子数6〜10の芳香族系炭化水素基を表す。R及びRは、置換基を有してもよい炭素原子数1〜5の炭化水素基または水素原子を表す。Rは、置換基を有してもよい炭素原子数1〜5の炭化水素基または水素原子を表す。
工程C:マレイン酸誘導体モノマーまたはマレイン酸共重合体中のマレイン酸由来のカルボニル基部分に、一般式(10)で表される1種若しくは2種以上のアミン及び/又は一般式(11)で表される1種若しくは2種以上のアルコールをそれぞれアミド結合もしくは/及びイミド結合又は/及びエステル結合する工程。
【化5】

ただし、一般式(10)中のRは、置換基を有してもよい炭素原子数1〜5の炭化水素基または水素原子を表す。一般式(10)及び(11)中のRは置換基を有してもよい炭素原子数10〜20の脂肪族系もしくは芳香族系の炭化水素基、数平均分子量1,000〜20,000のポリ(オキシアルキレンカルボニル)基、または数平均分子量1,000〜20,000のポリ(オキシアルキレン)基を表す。
【請求項4】
請求項3に記載の方法によって得られることを特徴とする長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体。
【請求項5】
請求項1、2および4のいずれかに記載の長鎖分岐を有するアミノ基含有マレイン酸共重合体を含有することを特徴とする分散剤。
【請求項6】
請求項5に記載の分散剤で処理することを特徴とする処理顔料。
【請求項7】
請求項5または6に記載の分散剤及び/または処理顔料を含有することを特徴とする顔料含有樹脂組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の顔料含有樹脂組成物を含有することを特徴とする塗料。
【請求項9】
請求項7に記載の顔料含有樹脂組成物を含有することを特徴とするインキ組成物。


【公開番号】特開2006−28252(P2006−28252A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205988(P2004−205988)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】