説明

閉塞キャップ

外側周縁ウェブ(5)と、周縁ウェブ(5)を越えて突出するシールド部(4)と、シールド部(4)の領域に配置されて軟化温度より高い温度に熱せられたときに塑性変形可能な熱溶解接着部(11)とからなる閉塞キャップ(1)が開示されている。数多くの保持するための当接部材(7)が周縁ウェブ(5)に形成されており、低い曲げ剛性を有する結合領域(3)が周縁ウェブ(5)とシールド部(4)との間に形成されている。当接部材(7)と熱溶解接着部における周縁ウェブ(5)に対向する底面との間の距離は、開口部の領域においてベース部材(13)の肉厚よりも小さく、よって閉塞キャップ(1)が開口部内に挿入された際に結合領域(3)に初期応力が生じ、その結果、熱溶解接着部(11)を加熱した後、簡易な自動封止処理が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベース部材の開口部を封止(シール)するための閉塞キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
ベース部材に形成された開口部に挿入することが可能な周縁ウェブが外側に形成されている閉塞キャップが従来から知られている。かかる閉塞キャップには、更に周縁ウェブを越えて突出したシールド部が存在している。これによって軟化温度よりも高い温度に熱せられた際に塑性変形可能な熱溶解接着部が、周縁ウェブとシールド部との間に配置され、よって熱溶解接着部を少なくとも軟化温度まで熱した後、重力を利用した重しによって若しくは閉塞キャップを押付けることによって、例えばベース部材としての自動車の車体パネルの開口部が気密且つ低騒音となるように封止される。
【0003】
しかしながら従来から知られている閉塞キャップは、重力を利用した重しや押付けの際に人間による介在が必要であるために、処理工程上の信頼性が比較的低いという欠点がある。
【発明の開示】
【0004】
本発明は閉塞キャップにおいて示唆されているかかる課題に鑑みてなされたものであり、閉塞キャップの設置以外に更なる介在を要しない処理工程であって、その結果、熱溶解接着部の加熱後に信頼性を有しつつ自動的に開口部が封止される。
【0005】
本発明によれば、かかる課題は閉塞キャップによって解決され、該閉塞キャップはベース部材の開口部の封止用であって、開口部内に挿入され得る外側周縁ウェブと、周縁ウェブを越えて突出したシールド部と、シールド部の領域に配置されて軟化温度より高い温度に加熱された際に塑性変形可能な熱溶解接着部と、を備えている。該閉塞キャップが開口部内に挿入された際にベース部材を保持する数多くの当接部材が周縁ウェブに形成されており、シールド部の曲げ剛性より低い曲げ剛性を有する結合領域が周縁ウェブとシールド部との間に形成されており、当接部材のグリップ接触領域と熱溶解接着部における周縁ウェブに対向する底面との間の距離が開口部の境界領域においてベース部材の厚みよりも短く、よって閉塞キャップが開口部内に挿入された際に結合領域に初期応力が生じることを特徴としている。
【0006】
熱溶解接着部と接触領域との間に生ずる距離の大きさによって結合領域に初期応力が生ずるという事実の結果、かかる距離の大きさは開口部の境界領域においてベース部材の厚みに適合されるものであるが、少なくとも軟化温度まで熱溶解接着部を加熱して少なくとも部分的に該初期応力を低減せしめた後、シールド部はベース部材の方向に移動し、よって熱溶解接着部はベース部材を押圧し、同時に熱溶解接着部のない空間に移動する。かかる方法は、自動的であって開口部を気密且つ騒音の減少するように封止し、処理工程に際して高い信頼性を有している。
【0007】
製造技術の観点から容易に行われる実用的な更なる改良は、隣接する内部領域に比べて肉厚の薄い溝部を結合領域に設けることである。その結果、材料を消費する充填を回避すべく溝部は有利に周縁ウェブから離間する向きに開放している。
【0008】
シールド部と熱溶解接着部との間の良好な結合を実現すべく、他の実用的な改良においては、熱溶解接着部によって充填され且つシールド部の外側縁部の方向に開放している溝状推移領域がシールド部と結合領域との間に存在している。
【0009】
更なる改良においては、当接部材は有利にスナップイン係合部を備えており、該スナップイン係合部は周縁ウェブに対して横方向に移動可能であって且つ周縁ウェブに結合している。かかる構成は境界領域における肉厚が実質的に同等な開口部の封止に特に良く適合している。
【0010】
更なる改良においては、当接部材は周縁ウェブに形成されている数多くの鋸歯状突出部からなる。かかる構成は境界領域における肉厚が異なる開口部に特に良く適合している。
【実施例】
【0011】
図1は本発明による閉塞キャップ1の実施例の斜め上からの斜視図を示している。該閉塞キャップ1はベース部材における開口部の封止用に用いられ、該ベース部材は、例えば、自動車の車体パネルを構成するものである。閉塞キャップ1は扁平で比較的広大な閉塞部2を有しており、該閉塞部2は縁部において環状の溝部3に隣接しており、よって結合領域を形成する。更に、閉塞キャップ1はシールド部4を伴って形成されており、該シールド部4は溝部3の外側から連続して閉塞キャップ1の外縁を構成している。
【0012】
閉塞部2と、溝部3と、シールド部4との間の推移領域において、閉塞キャップ1は環状の周縁ウェブ5を有しており、該周縁ウェブ5は閉塞部2から離間する方向に延びている。該周縁ウェブ5は、封止されるべき開口部の周辺に適合すべく適切な閉塞キャップ1のサイズを伴って開口部に挿入され得る。
【0013】
図2は図1による閉塞キャップ1の斜め下からの斜視図を示している。図2における図から判るように、数多くの補強用リブ6が環状の周縁ウェブ5に形成されており、よって閉塞キャップ1において、特に閉塞部2の領域に比較的強い補強を提供している。更に、図2から明確に判るように、数多くの当接部材7が周縁ウェブ5の周囲に形成されている。
【0014】
図3は図1及び2における閉塞キャップ1であって、当接部材7領域の周縁ウェブ5及びシールド部4の断面が示されている。
【0015】
図3から判るように、当接部材7は接触領域9と共に周縁ウェブ5を越えて突出したスナップインラッチ8を形成しており、3側面に形成されている凹部10によって当接部材7は周縁ウェブ5に対して横方向に可動である。図3から更に判るように、シールド部は周縁ウェブ5に向かう方向から傾斜している。
【0016】
図3においては、閉塞キャップ1は熱溶解接着部11と共に形成されており、該熱溶解接着部11はシールド部4の周縁ウェブ5に対向する面に沿って密着して並んでいる。熱溶解接着部11は室温若しくは僅かに高い温度において本質的に固体であり、一般に約100℃から約150℃以上の軟化温度に熱することによって塑性変形可能となる。実施例に示すような閉塞キャップ1の場合においては、熱溶解接着部11は溝状推移領域12内に係合し、シールド部4の外側縁部を越えて突出している。溝状推移領域12はシールド部4と溝部3との間に配置されており、外側に向けて開放している。これによって、熱溶解接着部11の突出部と当接部材7の接触領域9との間に応力を除去する間隔が周縁ウェブ5の長手方向に存在する。
【0017】
更に図3における表示から判るように、閉塞部2とシールド部4との間に形成されている溝部3によって、閉塞部2と周縁ウェブ5との間の推移領域の肉厚に対して肉厚が薄くなる部分が存在し、これにより、周縁ウェブ5に対してほぼ平行に延在する遷移部12と共に、結合領域の曲げ剛性が弱まる。
【0018】
図4は図1乃至3における閉塞キャップ1を示し、図3に対応して表示されており、ベース部材13において封止される開口部に挿入された後であって、熱溶解接着部11を熱する前の室温状態であり、ベース部材13に関し、封止される開口部に隣接した境界領域14の一面のみが示されている。ここにおいて、境界領域14の厚みは応力を除去する間隔よりも厚い。図4における表示から判るように、シールド部4を越えて突出した熱溶解接着部11の一部がベース部材13の接触側に沿って並んでおり、当接部材7の接触領域9はベース部材13の境界領域14を保持している。これによって、初期応力が特に溝部3に生じ、同様に遷移領域12にある程度応力が生じる。境界領域14の肉厚は応力を除去する間隔よりも厚いため、シールド部4は周縁ウェブ5から離間する方向に変形する。
【0019】
図5は図1乃至4における閉塞キャップ1を示しており、図4に対応して表示されており、 熱溶解接着部11を室温よりも遥かに高く、熱溶解接着部11の軟化温度に対応する処理温度まで熱した後である。図5から判るように、図4における状態と比較したとき、熱溶解接着部11の塑性変形及びそれによる初期応力の減少によって、シールド部4の特に溝部3において、自動的に、従って設置位置に依存することなく、閉塞キャップ1がベース部材13の接触側15の近傍に引き寄せられ、熱溶解接着部11はシールド部4の周縁ウェブ5に対向する側面と接触側15との間の空間に充填され、所定の処理温度及び処理時間を経て硬化することによって、熱溶解接着部11の材料の一部が周縁ウェブ5の方向に向かって変形する。その結果、操作性において信頼性があり、処理工程の管理工学の観点において比較的容易に、閉塞キャップ1の開口部への挿入以外の更なる取扱い手段を要しない方法によって問題の開口部を封止することが達成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による閉塞キャップの実施例の斜め上からの斜視図であって、周縁ウェブから離間する向きに開放されている溝部と周縁ウェブを越えて外側に突出するシールド部とが示されている。
【図2】図1による閉塞キャップの斜め下からの斜視図であって、可動当接部材が周縁ウェブに形成されている。
【図3】図1及び2による実施例であって、当接部材の領域における周縁ウェブ及びシールド部の断面がシールド部の領域に設置される熱溶解接着部と共に示されている。
【図4】図1乃至3による閉塞キャップであって、図3に対応して表示されており、封止される開口部に挿入した後であって且つ熱溶解接着部の加熱前が示されている。
【図5】図1乃至4による閉塞キャップであって、図4に対応して表示されており、熱溶解接着部の加熱後が示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材(13)の開口部を封止する閉塞キャップであって、前記開口部内に挿入され得る外側周縁ウェブ(5)と、前記周縁ウェブ(5)を越えて突出したシールド部(4)と、前記シールド部(4)の領域に配置されて軟化温度より高い温度に加熱された際に塑性変形可能な熱溶解接着部(11)と、を備えており、前記閉塞キャップ(1)が前記開口部内に挿入された際に前記ベース部材(13)を保持する数多くの当接部材(7)が前記周縁ウェブ(5)に形成されており、前記シールド部(4)の曲げ剛性より低い曲げ剛性を有する結合領域(3)が前記周縁ウェブ(5)と前記シールド部(4)との間に形成されており、前記当接部材(7)のグリップ接触領域(9)と前記熱溶解接着部(11)における前記周縁ウェブ(5)に対向する底面との間の距離が前記開口部の境界領域(14)において前記ベース部材(13)の厚みよりも短く、よって前記閉塞キャップ(1)が前記開口部内に挿入された際に前記結合領域(3)に初期応力が生じることを特徴とする閉塞キャップ。
【請求項2】
前記結合領域は溝部(3)を有し、前記溝部(3)の肉厚が隣接する内部領域に比べて薄いことを特徴とする請求項1記載の閉塞キャップ。
【請求項3】
前記溝部(3)は前記周縁ウェブ(5)から離間する向きに開放していることを特徴とする請求項2記載の閉塞キャップ。
【請求項4】
熱溶解接着部(11)によって充填され前記シールド部(4)の前記外側縁部の方向に開放する溝状推移領域(12)が前記シールド部(4)と前記結合領域(3)との間に存在していることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1に記載の閉塞キャップ。
【請求項5】
前記当接部材(7)はスナップイン係合部(8)を有し、該係合部(8)は前記周縁ウェブ(5)に対して横方向に移動可能であって、前記周縁ウェブ(5)に結合していることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1に記載の閉塞キャップ。
【請求項6】
前記当接部材(7)は、前記周縁ウェブ(5)に形成されている数多くの鋸歯状突出部からなることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1に記載の閉塞キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−515098(P2009−515098A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519789(P2006−519789)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006767
【国際公開番号】WO2005/018998
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(505003193)
【Fターム(参考)】