説明

閉塞検出に基づく画素の時間的補間

時間的に第1の画像と第2の画像との中間に位置する特定の画像の特定の画素について値を決定する方法が開示される。前記方法は、前記第1の画像に対応する第1の動きベクトル場(D(x,n−1))の第1の動きベクトル(D)及び第2の動きベクトル(Dpp)に基づいて第1の動きベクトル差を計算するステップと、前記第2の画像に対応する第2の動きベクトル場(D(x,n))の第3の動きベクトル(D)及び第4の動きベクトル(Dnn)に基づいて第2の動きベクトル差を計算するステップと、前記第1の動きベクトル差が前記第2の動きベクトル差よりも小さい場合、前記第1の画像の第1の画素の第1の値に基づいて前記特定の画素の値を確立し、前記第2の動きベクトル差が前記第1の動きベクトル差よりも小さい場合、前記第2の画像の第2の画素の第2の値に基づいて前記特定の画素の値を確立するステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間的に第1の画像と第2の画像との中間に位置する特定の画像の特定の画素について値を決定する方法に関する。
【0002】
本発明は更に、時間的に第1の画像と第2の画像との中間に位置する特定の画像の特定の画素について値を決定するための画素値決定ユニットに関する。
【0003】
本発明は更に、かような画素値決定ユニットを有する画像処理機器に関する。
【0004】
本発明は更に、コンピュータ装置によってロードされるコンピュータプログラムであって、時間的に第1の画像と第2の画像との中間に位置する特定の画像の特定の画素について値を決定する命令を有するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0005】
閉塞(occlusion)エリアとは、取り込まれた場面の一部であって、一連の連続する画像の或る画像においては可視であるが、次の又は前の画像においては可視でない部分に対応するエリアを意味する。このことは、場面において、背景のオブジェクトよりもカメラに近く位置する前景のオブジェクトが、前記背景のオブジェクトの一部をカバーし得るという事実によって引き起こされる。例えば前景のオブジェクトの移動の場合には、背景のオブジェクトの幾分かの部分が閉塞させられ、一方該背景のオブジェクトの他の部分はカバーされない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
閉塞エリアは、時間的補間においてアーティファクトを引き起こし得る。例えば上方変換(up-conversion)の場合、閉塞エリアは所謂ハロー(halo)に帰着し得る。上方変換の場合、時間的補間によって上方変換された出力画像を計算するため動きベクトルが推定される。例えばO. Ojo及びG. de Haanによる論文「Robust motion-compensated video upconversion」(「IEEE Transactions on Consumer Electronics」、Vol. 43、No. 4、1997年11月、1045-1056頁)を参照されたい。時間的補間、即ち2つの元の入力画像の中間の新たな画像の計算のため、好ましくは同一のオブジェクトに関する幾つかの画素が、連続する画像からとられる。このことは、閉塞エリアの場合には簡単に為されることができない。なぜなら、連続する画像の両方において関連する画素が見出されないからである。典型的には前又は次の元画像のみの画素値の補間に基づく、他の補間戦略が必要とされる。閉塞エリアについて適切な動きベクトルの推定が重要であることは明らかであろう。
【0007】
本発明の目的は、最初のパラグラフに記載された種類の方法であって、比較的頑強な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の本目的は、前記方法が、
前記第1の画像に対応する第1の動きベクトル場の第1及び第2の動きベクトルに基づいて第1の動きベクトル差を計算するステップを有し、前記第1の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記特定の画素について推定された特定の動きベクトルとに基づいて、前記第1の動きベクトル場から選択され、前記方法は更に、
前記第2の画像に対応する第2の動きベクトル場の第3及び第4の動きベクトルに基づいて第2の動きベクトル差を計算するステップを有し、前記第3の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記特定の画素について推定された特定の動きベクトルとに基づいて、前記第2の動きベクトル場から選択され、前記方法は更に、
前記第1の動きベクトル差が前記第2の動きベクトル差よりも小さい場合、前記第1の画像の第1の画素の第1の値に基づいて前記特定の画素の値を確立し、前記第2の動きベクトル差が前記第1の動きベクトル差よりも小さい場合、前記第2の画像の第2の画素の第2の値に基づいて前記特定の画素の値を確立するステップを有することにより達成される。
【0009】
本発明者は、第1の動きベクトル場の2つの適切に選択された動きベクトル間の第1の差と、第2の動きベクトル場の2つの適切に選択された動きベクトル間の第2の差とを比較することにより、前記特定の画素の値を確立するため1以上の画素値を取得するために、2つのそれぞれの画像のうちどちらが選択されるべきかを決定することが可能となることを認識した。一般に、2つの動きベクトル場のうちの一方の、2つの選択された動きベクトルは、略相互に等しい。このことは、これら2つの動きベクトルが共に背景に関連するか、又は同一の前景オブジェクトに関連する確率が比較的高いことを示唆するものである。この場合、これら2つの動きベクトルの1つを用いれば、中間画像のために適切な画素を取得できる確率が比較的高い。閉塞の場合には、一般にこれら2つの動きベクトルは共に背景に関連する。
【0010】
動きベクトルの適切な選択は、前記特定の画素の特定の空間的位置、及び前記特定の画素について推定された特定の動きベクトルに基づく。好ましくは、前記特定の画素の特定の空間位置と第1の動きベクトルとに基づいて、第1の動きベクトル場から第2の動きベクトルが選択される。また、前記特定の画素の特定の空間的位置と第3の動きベクトルとに基づいて、第2の動きベクトル場から第4の動きベクトルが選択される。
【0011】
値は、輝度又は色のような、人間にとって可視であるいずれかのタイプの情報を表す。
【0012】
本発明による方法の実施例は、前記第1の動きベクトル差及び前記第2の動きベクトル差が所定の閾値よりも小さい場合、前記第1の画素の第1の値と前記第2の画素の第2の値とに基づいて、前記特定の画素の値を確立するステップを有する。2つの画像のいずれかから画素値を選択する代わりに、本発明による本実施例においては、前記特定の画素の値は任意に両方の画像の画素値に基づく。このことは、2つの動きベクトル差が共に所定の閾値よりも小さいか否かを確認するテストに依存する。好ましくは、該テストは、前記2つの動きベクトル差のうち大きい方を、前記所定の閾値と比較することにより実行される。該テストは、暗に閉塞検出を意味する。前記動きベクトル差のうちの一方のみが前記所定の閾値よりも小さい場合、前記特定の空間的位置は閉塞エリアに位置すると見なされる。閉塞のタイプ、即ちカバーしているか又はしていないかは、前記2つのうちどちらが前記所定の閾値よりも小さいかに依存する。しかしながら、両方の動きベクトル差が共に前記所定の閾値よりも小さい場合には、前記特定の空間的位置は閉塞エリア中に位置しないと見なされる。後者の場合には、前記特定の画素の値は、両方の入力画像の画素値に基づく。
【0013】
本発明による方法の実施例は、前記第1の画素の第1の値と、前記第1の画素の空間的な近隣における更なる画素の更なる値との補間により、前記特定の画素の値を確立するステップを有する。換言すれば、本発明による本実施例においては、複数の画素値の補間によりサブ画素の精度が達成される。
【0014】
本発明の更なる目的は、最初のパラグラフに記載された種類の画素値決定ユニットであって、比較的頑強な画素値決定ユニットを提供することにある。
【0015】
本発明の本目的は、前記画素値決定ユニットが、
前記第1の画像に対応する第1の動きベクトル場の第1及び第2の動きベクトルに基づいて第1の動きベクトル差を計算する第1の計算手段を有し、前記第1の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記特定の画素について推定された特定の動きベクトルとに基づいて、前記第1の動きベクトル場から選択され、前記画素値決定ユニットは更に、
前記第2の画像に対応する第2の動きベクトル場の第3及び第4の動きベクトルに基づいて第2の動きベクトル差を計算する第2の計算手段を有し、前記第3の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記特定の画素について推定された特定の動きベクトルとに基づいて、前記第2の動きベクトル場から選択され、前記画素値決定ユニットは更に、
前記第1の動きベクトル差が前記第2の動きベクトル差よりも小さい場合、前記第1の画像の第1の画素の第1の値に基づいて前記特定の画素の値を確立し、前記第2の動きベクトル差が前記第1の動きベクトル差よりも小さい場合、前記第2の画像の第2の画素の第2の値に基づいて前記特定の画素の値を確立する確立手段を有することよって達成される。
【0016】
本発明の更なる目的は、最初のパラグラフに記載された種類の画像処理機器であって、比較的頑強な画素値決定ユニットを有する画像処理機器を提供することにある。
【0017】
本発明の本目的は、前記画素値決定ユニットが、
前記第1の画像に対応する第1の動きベクトル場の第1及び第2の動きベクトルに基づいて第1の動きベクトル差を計算する第1の計算手段を有し、前記第1の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記特定の画素について推定された特定の動きベクトルとに基づいて、前記第1の動きベクトル場から選択され、前記画素値決定ユニットは更に、
前記第2の画像に対応する第2の動きベクトル場の第3及び第4の動きベクトルに基づいて第2の動きベクトル差を計算する第2の計算手段を有し、前記第3の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記特定の画素について推定された特定の動きベクトルとに基づいて、前記第2の動きベクトル場から選択され、前記画素値決定ユニットは更に、
前記第1の動きベクトル差が前記第2の動きベクトル差よりも小さい場合、前記第1の画像の第1の画素の第1の値に基づいて前記特定の画素の値を確立し、前記第2の動きベクトル差が前記第1の動きベクトル差よりも小さい場合、前記第2の画像の第2の画素の第2の値に基づいて前記特定の画素の値を確立する確立手段を有することによって達成される。
【0018】
任意に、前記画像処理機器は更に、出力画像を表示するための表示装置を有する。前記画像処理機器は、例えばTV、セットトップボックス、VCR(Video Cassette Recorder)プレイヤ、衛星チューナ、DVD(Digital Versatile Disk)プレイヤ又はレコーダであっても良い。
【0019】
本発明の更なる目的は、最初のパラグラフに記載された種類のコンピュータプログラムであって、比較的頑強なコンピュータプログラムを提供することにある。
【0020】
本発明の本目的は、前記コンピュータプログラムが、ロードされた後に、
前記第1の画像に対応する第1の動きベクトル場の第1及び第2の動きベクトルに基づいて第1の動きベクトル差を計算する機能を処理手段に備えさせ、前記第1の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記特定の画素について推定された特定の動きベクトルとに基づいて、前記第1の動きベクトル場から選択され、前記コンピュータプログラムは更に、ロードされた後に、
前記第2の画像に対応する第2の動きベクトル場の第3及び第4の動きベクトルに基づいて第2の動きベクトル差を計算する機能を前記処理手段に備えさせ、前記第3の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記特定の画素について推定された特定の動きベクトルとに基づいて、前記第2の動きベクトル場から選択され、前記コンピュータプログラムは更に、ロードされた後に、
前記第1の動きベクトル差が前記第2の動きベクトル差よりも小さい場合、前記第1の画像の第1の画素の第1の値に基づいて前記特定の画素の値を確立し、前記第2の動きベクトル差が前記第1の動きベクトル差よりも小さい場合、前記第2の画像の第2の画素の第2の値に基づいて前記特定の画素の値を確立する機能を前記処理手段に備えさせることにより達成される。
【0021】
画素値決定ユニットの変更及び変形例は、記載された画像処理機器、方法及びコンピュータプログラムの変更及び変形例に対応しても良い。
【0022】
画素値決定ユニット、画像処理機器、方法及びコンピュータプログラムのこれらの及び他の態様は、以下に説明される実装及び実施例に関して、及び添付する図を参照しながら説明され、明らかとなるであろう。
【0023】
図を通して、同一の参照番号が類似の部分を示すために利用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、場面における前景オブジェクト118の動き及び背景の動きを模式的に示す。図1においては、時間的位置n−1及びnにおける、2つの元画像100及び104が示されている。これらの画像内のオブジェクト118は、上方向
【数1】

に移動しており、実線106及び108によって接続された灰色の長方形によって示される。長い点線矢印110及び112は、下方向である、背景の動き
【数2】

を示す。網掛けされた領域114及び116は、閉塞エリアを示す。時間的位置n+α(−1≦α≦0)に生成されるべき新たな画像102が、破線120により示される。
【0025】
図2は、図1に示された画像について推定された動きベクトル場を模式的に示す。即ち、前記推定された動きベクトル場は、矢印によって表される。第1の動きベクトル場は、前記2つの元画像の第1のもの100について推定され、第2の動きベクトル場は、前記2つの元画像の第2のもの104について推定される。これら2つの動きベクトル場は、3フレーム動き推定器により計算される。前記第1の動きベクトル場は、
【数3】

によって示される。該第1の動きベクトル場は、輝度フレーム
【数4】


【数5】

及び
【数6】

の間で推定される。前記第2の動きベクトル場は、
【数7】

によって示される。該第2の動きベクトル場は、輝度フレーム
【数8】


【数9】

及び
【数10】

の間で推定される。これに加え、前記第1の動きベクトル場と前記第2の動きベクトル場との中間の時間的位置n+αについて、初期動きベクトル場が計算される。該初期動きベクトル場
【数11】

は、輝度フレーム
【数12】

及び
【数13】

の間で推定される。前記3フレーム動き推定器の動きベクトル場
【数14】

及び
【数15】

は、前景オブジェクト118と略合致し、一方2フレーム動き推定器の動きベクトル場
【数16】

は、背景の中へと延在する前景ベクトルを示すことに留意されたい。
【0026】
本発明の方法によれば、時間的に第1の入力画像と第2の入力画像との中間に位置する画像が、3つの動きベクトル場
【数17】


【数18】

及び
【数19】

を利用することにより計算されることができる。このことは、背景ベクトルが閉塞エリアにおいて決定され、前記2つの入力画像のうちの1つからの画素を取得するために適用されることを意味する。
【0027】
図3は、空間的位置
【数20】

及び
【数21】

における2つの画素の例についての本発明による方法を模式的に示す。最初に、位置
【数22】

における画素の周囲の状況を考える。動きベクトル場
【数23】

からの動きベクトル
【数24】

が、第1の動きベクトル場
【数25】

及び第2の動きベクトル場
【数26】

から、それぞれ動きベクトル
【数27】

及び
【数28】

を取得するために利用される。
【数29】


【数30】

該選択プロセスは、それぞれ太線矢印300及び302によって示される。動きベクトル
【数31】

及び
【数32】

は共に背景ベクトルである。
【数33】

を用いて、ベクトル
【数34】


【数35】

から取得され、
【数36】

を用いて、ベクトル
【数37】


【数38】

から取得される。
【数39】

【数40】

該取得は、太点線矢印301及び303によって示される。
【数41】

もまた背景ベクトルであるが、
【数42】

は前景ベクトルであることが分かる。このことは、
【数43】

及び
【数44】

が略相互に等しいこと、即ち第1の動きベクトル差が所定の閾値Tよりも小さいことを意味する。しかしながら、
【数45】


【数46】

との間にはかなりの差がある。即ち、第2の動きベクトル差は所定の閾値Tよりも大きい。それ故、中間画像102の空間的位置
【数47】

における画素の値は、時間的位置nにおける第2の画像104の画素の値に基づくであろう。なぜなら、前記第2の動きベクトル差は前記第1の動きベクトル差よりも小さいからである。
【0028】
同様のプロセスが、位置
【数48】

における他の画素について適切な動きベクトルを確立するために利用されることができる。動きベクトル場
【数49】

からの動きベクトル
【数50】

は、第1の動きベクトル場
【数51】

及び第2の動きベクトル場
【数52】

から、それぞれ動きベクトル
【数53】

及び動きベクトル
【数54】

を取得するために利用される。
【数55】

【数56】

該選択プロセスは、それぞれ太線矢印304及び306によって示される。ここで、取得された動きベクトル
【数57】

及び
【数58】

は、それぞれ背景及び前景ベクトルである。
【数59】

を用いて、ベクトル
【数60】


【数61】

から取得され、
【数62】

を用いて、ベクトル
【数63】


【数64】

から取得される。
【数65】

【数66】

該取得は、太線矢印304及び307によって示される。
【数67】

及び
【数68】

は共に背景ベクトルであることが分かる。このことは、
【数69】

及び
【数70】

が略相互に等しいこと、即ち第2の動きベクトル差が所定の閾値Tよりも小さいことを意味する。しかしながら、
【数71】


【数72】

との間にはかなりの差がある。即ち、第1の動きベクトル差は所定の閾値Tよりも大きい。それ故、中間画像102の空間的位置
【数73】

における画素の値は、時間的位置n−1における第1の画像100の画素の値に基づくであろう。なぜなら、前記第1の動きベクトル差は前記第2の動きベクトル差よりも小さいからである。
【0029】
一般に、
【数74】

である場合に閉塞が検出される。閉塞が検出された場合、カバー及び非カバーへの分類が為される。
【数75】

である場合、画素は非カバーエリア中にあり、
【数76】

である場合、カバーエリア中にある。従って、空間的位置
【数77】

における画素は非カバーエリア中に位置し、空間的位置
【数78】

における画素はカバーエリア中に位置する。
【0030】
図4は、閉塞エリアに位置しない画素の例
【数79】

についての本発明による方法を模式的に示す。動きベクトル場
【数80】

からの動きベクトル
【数81】

は、第1の動きベクトル場
【数82】

及び第2の動きベクトル場
【数83】

から、それぞれ動きベクトル
【数84】

及び
【数85】

を取得するために利用される。
【数86】

【数87】

該選択プロセスは、それぞれ太線矢印400及び402によって示される。動きベクトル
【数88】

及び
【数89】

は共に前景ベクトルである。
【数90】

を用いて、ベクトル
【数91】


【数92】

から取得され、
【数93】

を用いて、ベクトル
【数94】


【数95】

から取得される。
【数96】

【数97】

該取得は、太線矢印400及び402によって示される。
【数98】

及び
【数99】

もまた前景ベクトルであることが分かる。このことは、
【数100】

及び
【数101】

が略相互に等しいこと、即ち第1の動きベクトル差が所定の閾値Tよりも小さいことを意味する。これに加え、
【数102】

及び
【数103】

が略相互に等しい。即ち第2の動きベクトル差が所定の閾値Tよりも小さい。それ故、中間画像102の空間的位置
【数104】

における画素の値は、時間的位置n−1における第1の画像100の第1の画素の第1の値に、及び時間的位置nにおける第2の画像104の第2の画素の第2の値に基づくであろう。
【0031】
図5は、本発明による画素値決定ユニット500の実施例を模式的に示す。該画素値決定ユニット500は、時間的に第1の画像と第2の画像との中間に位置する画像を計算するように構成され、中間画像は時間位置n+αに位置する。画素値決定ユニット500は、3つの動きベクトル場を供給される。これら供給される動きベクトル場のうちの第1のもの
【数105】

及び第2のもの
【数106】

は、3フレーム動き推定器512により計算される。3フレーム動き推定器512の例は、米国特許US6011596に開示されている。第3の供給される動きベクトル場
【数107】

は、2フレーム動き推定器514により計算される。2フレーム動き推定器508は、例えばG. de Haanらによる論文「True-Motion Estimation with 3-D Recursive Search Block Matching」(「IEEE Transactions on circuits and systems for video technology」、Vol. 3、No. 5、1993年10月、368-379頁)に記載されている。
【0032】
動き推定器512及び514並びに画素値決定ユニット500は、前記第1の画像及び第2の画像並びに他の入力画像を表す入力ビデオ信号を供給される。画素値決定ユニット500は、出力コネクタ518において、前記第1及び第2の画像並びに中間画像を表す出力ビデオ信号を供給する。画素値決定ユニット500は、所定の閾値T0を表す制御信号を受信するための制御インタフェース520を有する。
【0033】
本発明による画素値決定ユニット500は、
−動きベクトル比較ユニット502と、
−決定ユニット504と、
−画素値計算ユニット506と、
を有する。
【0034】
動きベクトル比較ユニット502は、3つの動きベクトル場
【数108】


【数109】

及び
【数110】

から、対応する動きベクトルを取得するように構成される。動きベクトル比較ユニット502は、
−前記第1の画像に対応する第1の動きベクトル場
【数111】

の第1の動きベクトル
【数112】

及び第2の動きベクトル
【数113】

に基づいて第1の動きベクトル差を計算する第1の計算ユニット508を有し、第1の動きベクトル
【数114】

は、特定の画素の特定の空間的位置
【数115】

と該特定の画素について推定された特定の動きベクトル
【数116】

とに基づいて、第1の動きベクトル場
【数117】

から選択され、動きベクトル比較ユニット502は更に、
−前記第2の画像に対応する第2の動きベクトル場
【数118】

の第3の動きベクトル
【数119】

及び第4の動きベクトル
【数120】

に基づいて第2の動きベクトル差を計算する第2の計算ユニット510を有し、第3の動きベクトル
【数121】

は、特定の画素の特定の空間的位置
【数122】

と該特定の画素について推定された特定の動きベクトル
【数123】

とに基づいて、第2の動きベクトル場
【数124】

から選択される。
【0035】
決定ユニット504は、前記特定の画素が位置するエリアのタイプを決定するように構成される。従って、決定ユニット504は、2つの前記動きベクトル差が、所定の閾値Tよりも小さいか否かをチェックするように構成される。このとき、前記エリアのタイプは、式9乃至11において示されたように確立される。決定ユニット504は更に、前記中間画像の前記特定の画素の画素値の計算のため、前記第1又は第2の画像から画素値を取得するために、どの動きベクトル又は任意にどの複数の動きベクトルが利用されるべきであるかをチェックするように構成される。一般に、前記第1の動きベクトル差が前記第2の動きベクトル差よりも小さい場合には、前記特定の画素の値は前記第1の画像の第1の画素の第1の値に基づき、前記第2の動きベクトル差が前記第1の動きベクトル差よりも小さい場合には、前記特定の画素の値は前記第2の画像の第2の画素の第2の値に基づく。前記第1の動きベクトル差及び前記第2の動きベクトル差が所定の閾値Tよりも小さい場合には、前記特定の画素の値は前記第1の画素の第1の値及び前記第2の画素の第2の値に基づく。
【0036】
画素値計算ユニット506は、前記特定の画素の実際の値を決定するように構成される。該値は、前記第1及び第2の画像の画素値の直接のコピーであっても良い。好ましくは前記値は、とりわけ前記動きベクトルがサブ画素精度である場合には、複数の画素値の補間に基づく。
【0037】
本発明による画素値決定ユニット500の動作は、図3及び図4と関連して説明される。
【0038】
動きベクトル比較ユニット502、決定ユニット504、画素値計算ユニット506、3フレーム動き推定器512及び2フレーム動き推定器514は、1つのプロセッサを利用して実装されても良い。通常、これらの機能は、ソフトウェアプログラムの制御下で実行される。実行の間、通常前記ソフトウェアプログラムは、RAMのようなメモリにロードされ、該メモリから実行される。前記プログラムは、ROM、ハードディスク又は磁気及び/又は光記憶装置のようなバックグラウンドメモリからロードされても良いし、又はインターネットのようなネットワークを介してロードされても良い。任意に、特定用途向け集積回路が、開示される機能を提供する。
【0039】
異なる時間的位置n−1、n+α及びnについての動きベクトルの計算は好ましくは、前記中間画像の画素値の計算と同時に実行される。このことは、例えば時間的位置n−1についての特定の動きベクトル場が、対応する元の入力ビデオ画像の全ての画素の動きを合わせて表す動きベクトルの群に、必ずしも対応しないことを意味する。換言すれば、動きベクトル場は、対応する元の入力ビデオ画像の画素の一部(例えば10%のみ)の動きを合わせて表す動きベクトルの群に対応しても良い。
【0040】
図6は、本発明による画像処理機器600の実施例を模式的に示す。該画像処理機器600は、
−ビデオ画像のシーケンスに対応する信号を受信する受信手段602と、
−前記ビデオ画像の第1のものについて第1の動きベクトル場を、及び前記ビデオ画像の第2のものについて第2の動きベクトル場を推定する、第1の動き推定器512と、
−時間的に前記ビデオ画像の第1のものと前記ビデオ画像の第2のものとの中間に位置する出力画像について第3の動きベクトル場を推定する、第2の動き推定器512と、
−図5と共に説明されたような画素値決定ユニット500と、
−画素値決定ユニット500の出力画像を表示する表示装置606と、
を有する。
【0041】
前記信号は、アンテナ又はケーブルを介して受信される放送信号であっても良いが、VCR(Video Cassette Recorder)又はディジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)のような記憶装置からの信号であっても良い。前記信号は入力コネクタ608において供給される。画像処理機器600は、例えばTVであっても良い。代替として、画像処理機器600は、任意の表示装置を有しないが、表示装置606を有する機器に前記出力画像を供給する。このとき画像処理機器600は、例えばセットトップボックス、衛星チューナ、VCRプレイヤ、DVDプレイヤ又はレコーダであっても良い。任意に、画像処理機器600は、ハードディスクのような記憶手段、又は例えば光ディスクのような着脱可能な媒体に記憶するための手段を有する。画像処理機器600は、映画スタジオ又は放送局によって利用されるシステムであっても良い。
【0042】
上述の実施例は、本発明を限定するものではなく説明するものであって、当業者は添付される請求の範囲から逸脱することなく代替の実施例を設計することが可能であろうことは留意されるべきである。請求項において、括弧に挟まれたいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。「有する(comprising)」なる語は、請求項に列挙されていない要素又はステップの存在を除外するものではない。要素に先行する「1つの(a又はan)」なる語は、複数のかような要素の存在を除外するものではない。本発明は、幾つかの別個の要素を有するハードウェアによって、及び適切にプログラムされたコンピュータによって実装されても良い。幾つかの手段を列記するユニット請求項において、これらの手段の幾つかは、同一のハードウェアのアイテムによって実施化されても良い。第1、第2及び第3等の語の使用は、いずれの順序をも示すものではない。これらの語は名前として解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】場面における前景オブジェクトの動き及び背景の動きを模式的に示す。
【図2】図1に示された画像について推定された動きベクトル場を模式的に示す。
【図3】共に閉塞エリアに位置する2つの画素の例についての本発明による方法を模式的に示す。
【図4】閉塞エリアに位置しない画素の例についての本発明による方法を模式的に示す。
【図5】3つの動きベクトル場を供給される、本発明による画素値決定ユニットの実施例を模式的に示す。
【図6】本発明による画像処理機器の実施例を模式的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間的に第1の画像と第2の画像との中間に位置する特定の画像の特定の画素について値を決定する方法であって、前記方法は、
前記第1の画像に対応する第1の動きベクトル場の第1及び第2の動きベクトルに基づいて第1の動きベクトル差を計算するステップを有し、前記第1の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記特定の画素について推定された特定の動きベクトルとに基づいて、前記第1の動きベクトル場から選択され、前記方法は更に、
前記第2の画像に対応する第2の動きベクトル場の第3及び第4の動きベクトルに基づいて第2の動きベクトル差を計算するステップを有し、前記第3の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記特定の画素について推定された特定の動きベクトルとに基づいて、前記第2の動きベクトル場から選択され、前記方法は更に、
前記第1の動きベクトル差が前記第2の動きベクトル差よりも小さい場合、前記第1の画像の第1の画素の第1の値に基づいて前記特定の画素の値を確立し、前記第2の動きベクトル差が前記第1の動きベクトル差よりも小さい場合、前記第2の画像の第2の画素の第2の値に基づいて前記特定の画素の値を確立するステップを有する方法。
【請求項2】
前記第2の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記第1の動きベクトルとに基づいて、前記第1の動きベクトル場から選択される、請求項1に記載の特定の画素について値を決定する方法。
【請求項3】
前記第4の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記第3の動きベクトルとに基づいて、前記第2の動きベクトル場から選択される、請求項2に記載の特定の画素について値を決定する方法。
【請求項4】
前記第1の動きベクトル差及び前記第2の動きベクトル差が所定の閾値よりも小さい場合、前記第1の画素の第1の値と前記第2の画素の第2の値とに基づいて、前記特定の画素の値を確立するステップを有する、請求項1に記載の特定の画素について値を決定する方法。
【請求項5】
前記第1の画素の第1の値と、前記第1の画素の空間的な近隣における更なる画素の更なる値との補間により、前記特定の画素の値を確立するステップを有する、請求項1に記載の特定の画素について値を決定する方法。
【請求項6】
時間的に第1の画像と第2の画像との中間に位置する特定の画像の特定の画素について値を決定する画素値決定ユニットであって、前記画素値決定ユニットは、
前記第1の画像に対応する第1の動きベクトル場の第1及び第2の動きベクトルに基づいて第1の動きベクトル差を計算する第1の計算手段を有し、前記第1の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記特定の画素について推定された特定の動きベクトルとに基づいて、前記第1の動きベクトル場から選択され、前記画素値決定ユニットは更に、
前記第2の画像に対応する第2の動きベクトル場の第3及び第4の動きベクトルに基づいて第2の動きベクトル差を計算する第2の計算手段を有し、前記第3の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記特定の画素について推定された特定の動きベクトルとに基づいて、前記第2の動きベクトル場から選択され、前記画素値決定ユニットは更に、
前記第1の動きベクトル差が前記第2の動きベクトル差よりも小さい場合、前記第1の画像の第1の画素の第1の値に基づいて前記特定の画素の値を確立し、前記第2の動きベクトル差が前記第1の動きベクトル差よりも小さい場合、前記第2の画像の第2の画素の第2の値に基づいて前記特定の画素の値を確立する確立手段を有する画素値決定ユニット。
【請求項7】
ビデオ画像のシーケンスに対応する信号を受信する受信手段と、
前記ビデオ画像の第1のものについて第1の動きベクトル場を、及び前記ビデオ画像の第2のものについて第2の動きベクトル場を推定する動き推定手段と、
時間的に前記ビデオ画像の第1のものと前記ビデオ画像の第2のものとの中間に位置する特定の画像の特定の画素について値を決定する画素値決定ユニットと、
を有する画像処理機器であって、前記画素値決定ユニットは、
前記第1の画像に対応する第1の動きベクトル場の第1及び第2の動きベクトルに基づいて第1の動きベクトル差を計算する第1の計算手段を有し、前記第1の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記特定の画素について推定された特定の動きベクトルとに基づいて、前記第1の動きベクトル場から選択され、前記画素値決定ユニットは更に、
前記第2の画像に対応する第2の動きベクトル場の第3及び第4の動きベクトルに基づいて第2の動きベクトル差を計算する第2の計算手段を有し、前記第3の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記特定の画素について推定された特定の動きベクトルとに基づいて、前記第2の動きベクトル場から選択され、前記画素値決定ユニットは更に、
前記第1の動きベクトル差が前記第2の動きベクトル差よりも小さい場合、前記ビデオ画像の第1ものの第1の画素の第1の値に基づいて前記特定の画素の値を確立し、前記第2の動きベクトル差が前記第1の動きベクトル差よりも小さい場合、前記ビデオ画像の第2のものの第2の画素の第2の値に基づいて前記特定の画素の値を確立する確立手段を有する画像処理機器。
【請求項8】
出力画像を表示する表示装置を更に有する、請求項7に記載の画像処理機器。
【請求項9】
TVである、請求項8に記載の画像処理機器。
【請求項10】
時間的に第1の画像と第2の画像との中間に位置する特定の画像の特定の画素について値を決定する命令を有する、コンピュータ装置によってロードされるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、ロードされた後に、
前記第1の画像に対応する第1の動きベクトル場の第1及び第2の動きベクトルに基づいて第1の動きベクトル差を計算する機能を処理手段に備えさせ、前記第1の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記特定の画素について推定された特定の動きベクトルとに基づいて、前記第1の動きベクトル場から選択され、前記コンピュータプログラムは更に、ロードされた後に、
前記第2の画像に対応する第2の動きベクトル場の第3及び第4の動きベクトルに基づいて第2の動きベクトル差を計算する機能を前記処理手段に備えさせ、前記第3の動きベクトルは、前記特定の画素の特定の空間的位置と前記特定の画素について推定された特定の動きベクトルとに基づいて、前記第2の動きベクトル場から選択され、前記コンピュータプログラムは更に、ロードされた後に、
前記第1の動きベクトル差が前記第2の動きベクトル差よりも小さい場合、前記第1の画像の第1の画素の第1の値に基づいて前記特定の画素の値を確立し、前記第2の動きベクトル差が前記第1の動きベクトル差よりも小さい場合、前記第2の画像の第2の画素の第2の値に基づいて前記特定の画素の値を確立する機能を前記処理手段に備えさせるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−504700(P2007−504700A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524499(P2006−524499)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051530
【国際公開番号】WO2005/022922
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】