説明

閉環重合モノマーおよびポリマー

【課題】 新規な閉環重合モノマーと、そのようなモノマーから誘導されたポリマーおよびコポリマーを得る。
【解決手段】 一般式(I)の化合物:
【化1】


(式中、XおよびYは、独立に、CN、P(O)(OR およびSO よりなる群から選ばれる;ただし、XおよびYの少なくとも一つはCNである;R,R〜R は種々の基である。そのような化合物から誘導されるポリマーおよびコポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な閉環重合モノマーと、そのようなモノマーから誘導されたポリマーおよびコポリマーとに関する。
【背景技術】
【0002】
「親」(parent)化合物、2,6−ジカルボメトキシ−1,6−ヘプタジエン(1)[式(I);X=Y=H;R =R =COOCH ]は公知であり、Marvelらによりフリーラジカル閉環重合条件下で研究されている(非特許文献1参照) 。最近、Choiらは原子団転移反応を用いる親化合物の閉環重合を報告している(非特許文献2参照)。この反応における親化合物に至る合成経路は非常に難しいけれども、親化合物は多段合成によりほどほどの(約50%)収率で調製されている。
【0003】
これに対して、式(I)の化合物の合成方法は、簡単で、全ての化合物が容易に入手できる原料から高収率で合成することができる。
【0004】
【非特許文献1】C.S. Marvel, R.D. Vest, J. Amer. Chem. Soc., 1957, 79, p.5771
【非特許文献2】S.K. Choi et al, Macromolecules, 1991, 24, p. 5006-8
【非特許文献3】S.E. Drewes, G. Loizou and G.H.P. Roos, Synthetic Communications, 1987,17(3), 291-298
【非特許文献4】J.W. Stansbury, J.Dent. Res., 1990, 69, p.844-848
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、新規な4,4−二置換1,6−ジエン・モノマーであって交互の分子内−分子間連鎖成長反応による重合をすることができるモノマーに関する。これらのモノマーから誘導されるポリマーおよびコポリマーも新規である本発明の一部分をなす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は一般式(I)の化合物を提供する。
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、R およびR は、独立に、COOR、CN、アリール、置換アリール、COOH、C(O)NHR 、C(O)NR よりなる群から選ばれる;
XおよびYは、独立に、COOH、COOR、CN、R CO−、C(O)NHR 、C(O)NR 、P(O)(OR およびSO よりなる群から選ばれる;あるいは
【0009】
XおよびYは、それらが結合している炭素原子と一緒に、酸素原子、硫黄原子もしくは窒素原子を含有していることのある炭素環系またはヘテロ環系を、形成する;
【0010】
Rは、C 〜C18アルキル;C 〜C18アルケニル;C 〜C12アルキニル;C 〜C シクロアルキル;あるいは、上述に任意のものであって、ヒドロキシ、アミノ、アジド、シアノ、ニトロ、アルデヒド、チオエーテル、スルホニル、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、エポキシ、シリル、シリロキシ、アジリジン、アシロキシ、カルボキシ、エステル、カルバモイル、C 〜C ジアルコキシホスホリル、C 〜C ジアルコキシチオホスホリル、トリ(C 〜C アルコキシ)シリル、C 〜C アルコキシ、フェニルよりなる群から選ばれる置換基で置換されているもの;置換アリール、ハロゲン、−[(CH O] −Hおよび−[(CH O] −アルキル(ここに、mおよびnは整数である);あるいは、上述の基の任意のものの任意の組合せ;
【0011】
は、C 〜C アルキル基、シクロアルキル基または置換アリール基である;
は、H、C 〜C18アルキル、C 〜C18アルケニル、C 〜C12アルキニル;C 〜C シクロアルキル;あるいは、上述のものの任意のものであって、ヒドロキシ、アミノ、アジド、シアノ、シアナト、イソシアナト、エポキシ、シリル、シリロキシ、カルボキシ、エステル、カルバモイル、C 〜C アルコキシ、フェニル、置換アリールおよびハロゲンよりなる群から選ばれる置換基で置換されているもの;あるいは、上述の基の任意のものの任意の組合せ;
およびR は、独立に、C 〜C18アルキル;C 〜C シクロアルキル、アラルキルおよびアルキルアリールから選ばれる;
は、H、C 〜C18アルキルよりなる群から選ばれる;
は、C 〜C18アルキル、アリールまたは置換アリールよりなる群から選ばれる。
【0012】
XおよびYが環系を形成しているときは、適当な環系としては、ジメドン環、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン環、バルビツール酸環、3−アルキル−イソオキサゾール−5(4H)−オン、3−アリール−イソオキサゾール−5(4H)−オン環が含まれる。
【0013】
「置換アリール」という用語は、ここでは、アリール基であって、重合方法に干渉しない置換基を一種以上含有するものを意味するものとして使われる。そのような置換基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、エステル基、アシロキシ基、アミド基、ニトリル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、シリル基またはシリロキシ基がある。
【0014】
好ましくは、アリール基はフェニル基である。好適なハロゲン原子はClまたはBrである。
【0015】
式(I)の化合物でR とR が同じであるものは式(V)の化合物と2モル当量以上の式(VI)を有機塩基または無機塩基の存在下に反応させることにより最適に合成することができる。
【0016】
【化2】

【0017】
式(I)の化合物でR とR が異なるものは、2段階法で、ほぼ当モル量の式(V)の化合物と式(VI)の化合物とを有機塩基または無機塩基の存在下に反応させた後、生成物を式(VII)の化合物と有機塩基または無機塩基の存在下に反応させることにより合成される。
【0018】
【化3】

【0019】
例えば、閉環重合可能なモノマー2,4,4,6−テトラキス(エトキシカルボニル)−1,6−ヘプタジエン(2)[式(I);R =R =X=Y=COOEt]は、マロン酸ジエチルと2−(ブロモメチル)プロペン酸エチル[非特許文献3の変法により得られた]とをアセトニトリル中水素化ナトリウムの存在下に1段階反応で反応させることにより収率87%で合成された。
【0020】
式(I)のモノマーは容易に単独重合または共重合する。例えば、上述のモノマーのフリーラジカル単独重合はo−キシレン中でAIBNを開始剤として用いて起き、64時間後の風率は91%であるNMR( Hおよび13C)分析は残留オレフィン共鳴がないことを示しており、閉環重合体のNMRスペクトルは下記の構造(II)と一致している。
【0021】
【化4】

【0022】
(式中、R =R =X=Y=COOEt)
上述の単独重合体はジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、トルエン、o−キシレンなどに溶解性であるけれども、n−ヘキサンとn−ヘプタンには不溶性である(これらはポリマーを沈殿させるための非溶媒として使用することができる)。
【0023】
本発明のモノマー/ポリマーは、対応するポリ(アルキルメタクリレート)に比べて、Tgが高く、おそらくは質量損失が低い(環構造のため熱的により安定である)ポリマーを得る可能性を提供する。また、重合収縮を低減する可能性もある(非特許文献4参照)。
【0024】
アクリル酸エステル基(または他のR 基およびR 基)と4−置換基(X,Y)は所望の物理化学的性質をもつポリマーを提供するように選択することができる。従って、本発明は下記の潜在的用途を有するモノマーおよびポリマーを提供する:
新規な機能性モノマーおよび機能性ポリマー
重合中の体積収縮が減少したモノマー
熱安定性ポリマー
下記構造の疎水性−親水性ポリマー:
【0025】
【化5】

【0026】
(式中、例えば、R 基とR 基は親水性基であり、XとYは疎水性基であってもよい(逆であってもよい)。)
【0027】
モノマー(I)は、また、公知のモノマーと共重合させることもできる。そのようなモノマーとしては、例えば、アクリルモノマー類、スチレンモノマー類、アクリルアミドモノマー類がある。そのようなモノマー類の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸エチルトリエチレングリコール、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸1−テトラデシル、アクリル酸1−ヘキサデシル、メタクリル酸1−ヘキサデシル、アクリル酸n−オクタデシル、メタクリル酸n−オクタデシル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸テトラヒドロピラニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸2−シアノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、メタクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、ポリ(エチレングリコール)(n)モノメタクリレート(n=200および400)、ポリ(エチレングリコール)(n)モノメチルエーテルモノメタクリレート(n=200;400および1000)、アクリル酸2−シアノエチル、メタクリル酸2−シアノエチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−スルホエチル、アクリル酸3−スルホプロピル、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、スチレン、α−メチルスチレン、4−シアノスチレン、4−クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ハロゲン化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、ヒドロキシメチルジアセトンアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明を、下記の非限定的な実施例を参照して、さらに説明する。
モノマーの合成
【実施例1】
【0029】
2,4,4,6−テトラキス(エトキシカルボニル)−1,6−ヘプタジエン(2)
[式(I);R =R =X=Y=COOEt](本発明に含まれない)
【0030】
水素化ナトリウム(13.5g、45mmol、油中80%分散液)のアセトニトリル(50mL)に懸濁した懸濁液にマロン酸ジエチル(3.20g、20mmol)を添加した。得られた混合物を4℃で15分間撹拌してから、2−(ブロモメチル)プロペン酸エチル(7.72g、40mmol)をアセトニトリル(10mL)に溶解した溶液を添加した。この反応混合物を室温で2時間撹拌した。飽和塩化ナトリウム溶液(50mL)を添加して、混合物を3回ジエチルエーテル(計200mL)で抽出した。結合した有機相を水洗し、次いで塩水(ブライン)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発乾固して、標記化合物(2)を得た(7.05g、収率92%)。 H−NMR(CDCl )δ(ppm)1.20(t,6H)、1.25(t,6H)、2.95(s,4H)、4.10(q,4H)、4.15(q,4H)、5.65(s,2H)、6.25(s,2H)
【実施例2】
【0031】
2,6−ジエトキシカルボニル−4,4−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,6−ヘプタジエン(3)
[式(I);R =R =COOEt;X=Y=COOC(CH ](本発明に含まれない)
【0032】
この化合物は、上述の実施例1の手順と同様の手順で、マロン酸ジエチルの代わりにマロン酸ジ−t−ブチルを用いて調製した。標記化合物(3)を収率90%で得た。 H−NMR(CDCl )δ(ppm)1.27(t,6H)、1.45(s,18H)、2.95(s,4H)、4.20(q,4H)、5.70(s,2H)、6.25(s,2H)
【実施例3】
【0033】
2,2−ジメチル−5,5−ビス(2−エトキシカルボニル−2−プロペニル)−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(4)
[式(I);R =R =COOEt;X,Yはメルドルム(Meldrum) の酸(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン)環として](本発明に含まれない)
【0034】
メルドルムの酸(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン;マロン酸イソプロピリデン)(1.44g、10mmol)をクロロホルム(15mL)に溶解し、撹拌した溶液に乾燥炭酸カリウム(4.15g、30mmol)と臭化セチルトリメチルアンモニウム(10.93g、30mmol)を添加した。次いで、2−(ブロモメチル)プロペン酸エチル(3.86g、20mmol)をクロロホルム(15mL)に溶解した溶液を滴下して添加した。得られた混合物を室温で16時間撹拌した。次いで水(20mL)を添加し、有機層を分離し、水層をクロロホルム(3x30mL)で抽出した。結合した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発乾固して標記の化合物を収率83%で得た。
【0035】
H−NMR(CDCl )δ(ppm):1.25(t,6H);1.75(s,6H);3.10(s,4H);4.15(q,4H);5.70(s,2H);6.30(s,2H)。13C−NMR(CDCl )δ(ppm):14.0、29.3、39.1、54.0、61.2、107.0、129.9、135.1、167.0、168.0。
【実施例4】
【0036】
4,4−ジ−t−ブトキシカルボニル−2,6−ジフェニル−1,6−ヘプタジエン(5)
[式(I);R =R =フェニル、X=Y=COOC(CH ](本発明に含まれない)
【0037】
水素化ナトリウム(0.20g)をアセトニトリル(15mL)に懸濁した、撹拌した懸濁液にマロン酸ジエチル(0.55g)を添加した。得られた混合物を室温で15分間撹拌してから、α−(ブロモメチル)スチレン(1.00g)をアセトニトリル(5mL)に溶解した溶液を添加し、3時間撹拌した。水(20mL)を添加して、混合物を酢酸エチル(50mL)で抽出した。結合した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。シリカゲルカラムで10%酢酸エチルのn−ヘキサン溶液を溶出液として用いてクロマトグラフィーを行い、純粋な標記化合物(5)を得た(0.82g、収率72%)。生成物は放置すると固化した。 H−NMR(CDCl )δ(ppm)1.35(s,18H)、3.10(s,4H)、5.15(s,2H)、5.25(s,2H)、7.20(m,10H)。
【実施例5】
【0038】
2,6−ジベンジルオキシカルボニル−4,4−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,6−ヘプタジエン(6)
[式(I);R =R =COOCH ;X=Y=COOC(CH ](本発明に含まれない)
【0039】
水素化ナトリウム(5.12g、0.17mol、油中80%分散液)をアセトニトリル(300mL)に懸濁した懸濁液にマロン酸ジ−t−ブチル(14.78g、0.0684mol)を添加した。得られた混合物を4℃で15分間撹拌してから、2−(ブロモメチル)プロペン酸ベンジル(34.90g、0.137mol)をアセトニトリル(100mL)に溶解した溶液を添加した。この反応混合物を室温で2時間撹拌した。飽和塩化ナトリウム溶液(200mL)を添加して、混合物を3回ジエチルエーテル(計600mL)で抽出した。結合した有機相を水洗し、次いで塩水(ブライン)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発乾固し、シリカゲルカラム(Merck60、70−230メッシュ;10%ジエチルエーテルのペトロリウムスピリット溶液を溶出液とする)でクロマトグラフィーを行って、標記化合物(6)を得た(16.90g、収率44%)。 H−NMR(CDCl )δ(ppm)1.45(s,18H);2.98(s,4H);5.15(s,4H);5.75(s,2H);6.30(s,2H);7.35(br.s,10H)
注:2−(ブロモメチル)プロペン酸ベンジルは、アクリル酸ベンジルとパラホルムアルデヒドとをDABCO の存在下でベイリス−ヒルマン(Baylis-Hilmann)反応させた生成物の臭素化反応により得られた。2−(ブロモメチル)プロペン酸ベンジルの H−NMRデータ:δ(ppm)(CDCl )4.20(s,2H);5.25(s,2H);6.00(s,1H);7.40(br.s,5H)。
【実施例6】
【0040】
4,4−ジベンジルオキシカルボニル−2,6−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,6−ヘプタジエン(7)
[式(I);R =R =COOC(CH
X=Y=COOCH ](本発明に含まれない)
【0041】
原料の2−(ブロモメチル)プロペン酸t−ブチルは、アクリル酸ベンジルとパラホルムアルデヒドとをDABCOの存在下でベイリス−ヒルマン(Baylis-Hilmann)反応させた生成物の臭素化反応により得られた。
【0042】
水素化ナトリウム(2.02g、0.056mol、油中80%分散液)をアセトニトリル(150mL)に懸濁した懸濁液にマロン酸ジベンジル(7.98g、0.028mol)を添加した。得られた混合物を4℃で15分間撹拌してから、2−(ブロモメチル)プロペン酸t−ブチル(12.41g、0.056molをアセトニトリル(20mL)に溶解した溶液を添加した。この反応混合物を室温で2時間撹拌した。水(250mL)を添加して、混合物を室温で激しく撹拌した。標記の化合物(7)が沈殿したのでこれを濾過により収集し(15.80g、〜100%)、風乾した。純粋な生成物(7)はジクロロメタン(またはクロロホルム)からメタノールにいれて再結晶して得ることができる。融点108−109℃。 H−NMR(CDCl )δ(ppm):
1.48(s,18H);3.00(s,4H);5.08(s,4H);
5.58(s,2H);6.17(s,2H);7.25(br.s,10H)。13C−NMR(CDCl )δ(ppm):28.0、34.7、57.7、67.2、80.7、127.9、128.1、128.4、135.4、137.3、166.2、170.1。
【実施例7】
【0043】
4,4−ジベンジルオキシカルボニル−2,6−ジブロモ−1,6−ヘプタジエン(8)
[式(I);R =R =Br;X=Y=COOCH ](本発明に含まれない)
【0044】
水素化ナトリウム(0.66g、0.022mol、油中80%分散液)をアセトニトリル(25mL)に懸濁した懸濁液に室温でアセトニトリル(5mL)に溶解したマロン酸ジベンジル(3.10g、0.011mol)を添加した。ついで、2,3−ジブロモプロペン(4.36g、0.022mol)をアセトニトリル(5mL)に溶解した溶液を窒素下やはり室温で徐々に添加した。この反応混合物を一夜(〜16時間)撹拌した。水(100mL)を添加して、混合物を3回ジエチルエーテル(合計150mL)で抽出した。結合した有機層を一度飽和塩化ナトリウム溶液(40mL)で洗浄し、ついで無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過し、蒸発乾固した後、粗生成物(8)(〜100%)を茶色がかった油として得た。 H−NMR(CDCl )δ(ppm):3.35(s,4H);5.10(s,4H);5.58(s,2H);5.70(s,2H);7.30(m,10H)。
【実施例8】
【0045】
2,4,4−トリ(エトキシカルボニル)−6−フェニル−1,6−ヘプタジエン(9)
[式(I);R =フェニル;X=Y=R =COOEt](本発明に含まれない)
【0046】
水素化ナトリウム(70mg、油中80%分散液)とエチル2,4−ビス(エトキシカルボニル)ペント−4−エノエート[等モル量のマロン酸ジエチルと2−(ブロモメチル)プロペン酸エチルとの反応により得られた](544mg、2mmol)とをアセトニトリル(5mL)に懸濁した懸濁液に、α−(ブロモメチル)スチレン(400mg、2mmol)をアセトニトリル(5mL)に溶解した溶液を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。水(20mL)を添加して、混合物をジエチルエーテルで3回抽出した(3x20mL)。結合した有機層を飽和塩化ナトリウム溶液で一度洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発乾固して粗生成物を濃い油として得た(760mg、98%)。シリカゲルの短いカラムでジエチルエーテル:ペトロリウムスピリット40−60℃(1:4)を溶出液として用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して標記の化合物(9)(560mg、72%)を得た。 H−NMR(CDCl )δ(ppm):1.17(t,6H);1.26(t,3H);2.90(s,2H);3.18(s,2H)、3.85(m,4H);
4.15(q,2H);5.18(s,1H);5.25(s,1H);
5.62(s,1H);6.20(s,1H);7.30(m,5H)。
【実施例9】
【0047】
4−シアノ−2,4,6−トリス(エトキシカルボニル)−1,6−ヘプタジエン(10)
[式(I);R =R =X=COOEt;Y=CN](本発明に含まれない)
【0048】
水素化ナトリウム(13.5g、0.045mol、油中80%分散液)をアセトニトリル(50mL)に懸濁した懸濁液に、シアノ酢酸エチル(2.26g、0.02mol)をアセトニトリル(10mL)に溶解した溶液を室温で激しく撹拌しながら添加した。得られた混合物を10分間撹拌してから、2−(ブロモメチル)プロペン酸エチル(7.72g、0.04mol)をアセトニトリル(20mL)に溶解した溶液を添加し、さらに室温で一夜(16時間)撹拌した。この反応混合物を室温で2時間撹拌した。この反応は最初は発熱反応である。水(50mL)を添加し、混合物を3回ジエチルエーテル(計200mL)で抽出した。有機相を水洗し、次いで塩水(ブライン)で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、溶媒を除去し、酢酸エチル:n−ヘキサン(1:9)を溶出液として用いたシリカゲルカラムでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記の生成物(10)(3.20g、48%)を無色液体として得た。( H−NMR(CDCl )δ(ppm):1.24(2xt,6H);2.95(q,4H);4.20(2xq,4H);5.80(s,2H);6.39(s,2H)。
【実施例10】
【0049】
5,5−ビス(2−エトキシカルボニル−2−プロペニル)−1,3−ジメチル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン(11)
[式(I);R =R =COOEt;X,YはN,N−ジメチルバルビツール酸(1,3−ジメチル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン)環として](本発明に含まれない)
【0050】
水素化ナトリウム(0.75g、油中80%分散液)と1,3−ジメチルバルビツール酸(1.56g,0.01mol)とをアセトニトリル(10mL)に懸濁した懸濁液に、2−(ブロモメチル)プロペン酸エチル(3.86g、0.02mol)をアセトニトリル(5mL)に溶解した溶液を添加した。得られた混合物を窒素下室温で一夜撹拌した。薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル/ペトロリウムスピリット:1/4)はすべての原料が消費されたことを示している。水(30mL)を添加し、やや桃色の溶液を3回酢酸エチル(3x30mL)で抽出した。結合した有機層を水洗し、次いで塩水(ブライン)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル100g;酢酸エチル:ペトロリウムスピリット40−60℃、1:4)により純粋な標記の化合物(11)(3.20g、84%)を無色液体として得た。このものはフリーザー内に貯蔵したところ固化した。 H−NMR(CDCl )δ(ppm):1.22(t,6H);3.00(s,4H);3.20(s,6H);4.08(q,4H);5.50(s,2H);6.15(s,2H)。13C−NMR(CDCl )δ(ppm):
13.9、28.2、39.9、55.4、61.0、128.2、135.2、151.0、166.2、169.9。
【実施例11】
【0051】
5,5−ビス(2−t−ブトキシカルボニル−2−プロペニル)−1,3−ジメチル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン(12)
[式(I);R =R =COO(CH ;X,YはN,N−ジメチルバルビツール酸(1,3−ジメチル−2,4,6(1H,3H,5H)−ピリミジントリオン)環として](本発明に含まれない)
【0052】
水素化ナトリウム(0.75g、油中80%分散液)と1,3−ジメチルバルビツール酸(1.56g,0.01mol)とをアセトニトリル(10mL)に懸濁した懸濁液に、2−(ブロモメチル)プロペン酸t−ブチル(4.42g、0.02mol)をアセトニトリル(5mL)に溶解した溶液を添加した。得られた混合物を窒素下室温で一夜撹拌した。薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル/ペトロリウムスピリット:1/4)はすべての原料が消費されたことを示し ている。水(30mL)を添加し、やや桃色の溶液を3回酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。結合した有機相を水洗し、次いで塩水(ブライン)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル100g;酢酸エチル:ペトロリウムスピリット40−60℃、1:9)により純粋な標記の化合物(12)(3.02g、69%)を無色固体、融点90−91℃、として得た。 H−NMR(CDCl )δ(ppm):1.40(s,18H);2.97(s,4H);3.20(s,6H);5.40(s,2H);6.05(s,2H)。13C−NMR(CDCl )δ(ppm):27.9、28.4、40.1、56.0、74.0、81.2、127.4、136.7、151.5,166.0、170.3。
【実施例12】
【0053】
2,4,4,6−テトラキス(t−ブトキシカルボニル)−1,6−ヘプタジエン(13)
[式(I);R =R =X=Y=COOC(CH ](本発明に含まれない)
【0054】
この化合物は実施例1に上述した手順と同様の手順を用いて調製した。マロン酸ジ−t−ブチルと2−(ブロモメチル)プロペン酸t−ブチルとを原料として用いた。酢酸エチル:ペトロリウムスピリット、1:9を溶出液として用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより標記の化合物(13)を透明液体として収率50.4%で得た。 H−NMR(CDCl )δ(ppm):1.43(s,18H);1.48(s,18H);2.92(s,4H);5.58(s,2H);6.15(s,2H)。
【実施例13】
【0055】
2,4,4,6−テトラキス(ベンジルオキシカルボニル)−1,6−ヘプタジエン(14)
[式(I);R =R =X=Y=COOCH ](本発明に含まれない)
【0056】
この化合物は実施例1に上述した手順と同様の手順を用いて調製した。マロン酸ジベンジルと2−(ブロモメチル)プロペン酸t−ブチルとを原料として用いた。酢酸エチル:ペトロリウムスピリット、1:4を溶出液として用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより標記の化合物(14)を透明液体として収率50.5%で得た。 H−NMR(CDCl )δ(ppm):3.06(s,4H);4.97(s,4H);5.11(s,4H);5.67(s,2H);6.29(s,2H);7.15−7.40(m,20H)。
【実施例14】
【0057】
2,6−ジ−n−ブトキシカルボニル−4,4−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,6−ヘプタジエン(15)
[式(I); R =R =COO(CH CH ; X=Y=COOC(CH ](本発明に含まれない)
【0058】
原料の2−(ブロモメチル)プロペン酸n−ブチル(沸点81−82℃/1.1mmHg)は、アクリル酸n−ブチルとパラホルムアルデヒドをDABCOの存在下でベイリス−ヒルマン反応させた生成物の臭素化により得られた。2−(ブロモメチル)プロペン酸n−ブチルの H−NMRデータ:δ(ppm)(CDCl )0.93(t、3H);1.40(tq,2H);1.70(tt,2H);4.20(s,2H);4.23(t,2H);5.94(s、1H);6.30(s、1H)。
【0059】
標記化合物(15)は、上述した実施例1の手順と同様の手順を用いて調製した。マロン酸ジ−t−ブチルと2−(ブロモメチル)プロペン酸n−ブチルとを原料として用いた。ジエチルエーテル:ペトロリウムスピリット、3:17を溶出液として用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより標記の化合物(15)を収率97%で得た。 H−NMR(CDCl )δ(ppm):0.93(t,6H,2xCH CH );1.38(m,4H,2xCH CH CH );1.43(s,18H,6xCH );1.63(m,4H,2xOCH CH CH );2.93(s,4H);4.10(t,4H,2xOCH CH );5.68(s,2H,ビニル性−H);6.25(s,2H),ビニル性−H)。
【実施例15】
【0060】
4,4−ジベンジルオキシカルボニル−2,6−ジカルボキシ−1,6−ヘプタジエン(16)
[式(I);R =R =COOH;X=Y=COOCH ](本発明に含まれない)
【0061】
4,4−ジベンジルオキシカルボニル2,6−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,6−ヘプタジエン(7)[式(I);R =R =COOC(CH ; X=Y=COOCH ](5.64g、0.01mol)をジクロロメタン(100mL)に溶解した。蟻酸(50mL)を添加し、得られた溶液を43時間加熱還流した。その後、過剰の蟻酸と溶媒を回転蒸発器で除去した。ジエチルエーテルを用いて粉砕し、濾過し、2回ジエチルエーテルで洗浄し、風乾して、標記の生成物(16)を無色の固体として単離した。 H−NMR(DMSO−d )δ(ppm):2.86(s,4H);5.00(s,4H,2xOCH );5,63(s,2H,ビニル性−H);6.15(s,2H,ビニル性−H)and 7.26(m,10H,ArH)。13C−NMR(CDCl )δ(ppm):34.3、56.6、66.7、127.9、128.0、128.3、128.6、135.2、136.0、167.9、169.5。
【実施例16】
【0062】
4−ジエトキシホスフォリル−2,4,6−トリス(エトキシカルボニル)−1,6−ヘプタジエン(17)
[式(I);R =R =X=COOEt;Y=P(O)(OEt) ](本発明に含まれない)
【0063】
水素化ナトリウム(3.60g、油中80%分散液)をアセトニトリル(150mL)に懸濁した懸濁液に、アセトニトリル(25mL)に溶解したトリエチルホスホノアセテート(11.2g、0.05mol)を、室温で、激しく撹拌しながら、添加した。得られた混合物を10分間撹拌してから、2−(ブロモメチル)プロペン酸エチル(19.30g、0.10mol)をアセトニトリル(25mL)に溶解した溶液を添加し、さらに室温、窒素下で一夜(16時間)撹拌した。この反応は最初は発熱反応である。水(100mL)を添加し、混合物を3回ジエチルエーテル(計350mL)で抽出した。有機相を水洗し、次いで塩水(ブライン)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、溶媒を除去し、酢酸エチル:n−ヘキサン(3:1)を溶出液として用いたシリカゲルカラムでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記の生成物(17)(21.0g、94%)を無色液体として得た。( H−NMR(CDCl )δ(ppm):1.26(m,15H);2.85(dd,2H);3.06(dd,2H);4.08(m,10H);5.63(s,2H);6.20(s,2H)。13C−NMR(CDCl )δ(ppm):
13.8,14.1,16.2,16.3,34.2,51.3,54.1,60.7,61.5,62.4,62.6,127.9,136.3,136.5,167.1,170.1。
【実施例17】
【0064】
4−シアノ−4−ジエトキシホスフォリル−2,6−ビス(エトキシカルボニル)−1,6−ヘプタジエン(18)
[式(I);R =R =COOEt;X=CN;Y=P(O)(OEt)
【0065】
標記の化合物(18)は実施例16に上述した手順と同様の手順を用いて調製した。トリエチルホスフォノアセテートの替わりにシアノメチルホスホン酸ジエチルを用いた。酢酸エチル:n−ヘキサン、119を溶出液として用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより、標記の化合物(18)を非常に淡い黄色液体として収率50%で得た。 H−NMR(CDCl )δ(ppm):1.26(t,6H);1.32(t,6H);2.78(dd,2H);3.05(dd,2H);4.20(m,8H);
5.90(br.s,2H);6.43(br.s,2H)。13C−NMR(CDCl )δ(ppm):14.1,16.2,33.4,40.9,43.6,61.1,64.4,117.7,130.5,134.7,166.4。
【実施例18】
【0066】
4,4−ビス(ジエトキシホスフォリル)−2,6−ビス(エトキシカルボニル)−1,6−ヘプタジエン(19)
[式(I);R =R =COOEt;X=Y=P(O)(OEt) ](本発明に含まれない)
【0067】
原料のメチレンジホスホン酸テトラエチルは、ジブロモエタンと亜燐酸トリエチルとの反応から調製された無色の液体である。沸点132℃(0.25mmHg)、 H−NMR(CDCl )δ(ppm)1.28(t、12H,4xCH CH );2.40(t,2H,PCH P);4.10(m,8H,4xOCH ),13C−NMR(CDCl )δ(ppm):16.2,22.5,25.3,28.0,62.5。
【0068】
水素化ナトリウム(0.66g、油中80%分散液)をアセトニトリル(20mL)に懸濁した懸濁液に、アセトニトリル(5mL)に溶解したテトラエチルメチレンジホスホネート(2.26g、0.0078mol)を、室温で、激しく撹拌しながら、添加した。得られた混合物を10分間撹拌してから、2−(ブロモメチル)プロペン酸エチル(3.86g、0.016mol)をアセトニトリル(5mL)に溶解した溶液を添加した。次に、得られた混合物を64℃、窒素下で一夜(16時間)加熱した。その後、水(50mL)を添加し、混合物を3回酢酸エチル(計150mL)で抽出した。有機相を水洗し、次いで塩水(ブライン)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、溶媒を除去し、シリカゲルカラムでのカラムクロマトグラフィーにより溶出液として、最初、酢酸エチルを用い、徐々に酢酸エチル注のエタノール濃度を4%精製した。精製生成物(19)(2.40g,60%)は非常に淡い黄色液体として得られた。 H−NMR(CDCl )δ(ppm):1.30(t,18H,6xCH CH );3.05(t,4H,2xアリル性CH );4.14(m,12H,6xOCH );5.90(s,2H,ビニル性H);6.26(s,2H,ビニル性H)。13C−NMR(CDCl )δ(ppm):
14.1,16.2,32.2,44.9,47.6,50.2,60.6,62.6,127.6,129.4,136.5,167.7。
【実施例19】
【0069】
4−ベンジルオキシカルボニル−2,6−ビス(エトキシカルボニル)−4−メトキシカルボニル−1,6−ヘプタジエン(20)
[式(I);R =R =COOEt;X=COOCH
Y=COOCH ](本発明に含まれない)
【0070】
水素化ナトリウム(1.32g、0.044mol、油中80%分散液)をアセトニトリル(20mL)に懸濁した懸濁液に、アセトニトリル(50mL)に溶解したメチルマロン酸ベンジル(4.16g、0.02mol)を、室温で、激しく撹拌しながら、添加した。得られた混合物を10分間撹拌してから、2−(ブロモメチル)プロペン酸エチル(7.72g、0.04mol)をアセトニトリル(5mL)に溶解した溶液を添加し、さらに室温で一夜(16時間)撹拌した。この反応は最初は発熱反応である。水(30mL)を添加し、混合物を3回酢酸エチル(計200mL)で抽出した。有機相を水洗し、次いで塩水(ブライン)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下、溶媒を除去し、酢酸エチル:n−ヘキサン(1:9)を溶出液として用いたシリカゲルカラムでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、精製生成物(20)(6.25g、72.4%)を無色液体として得た。 H−NMR(CDCl )δ(ppm):1.27(t,6H、2xCH CH );2.96(s,4H,2xアリル性CH );3.58(s,3H,OCH );4.14(q,4H,2xOCH CH );5.08(s,2H,OCH Ph);5.65(s,2H,ビニル性H);6.23(s,2H,ビニル性H)および7.30(m,5H,ArH)。13C−NMR(CDCl )δ(ppm):14.1,35.0,52.1,57.5,60.9,67.0,128.0,128.2,128.4,128.8,135.7,135.9,166.9,170.0,170.6。
【実施例20】
【0071】
4−ベンジルオキシカルボニル−2−t−ブトキシカルボニル−6−エトキシカルボニル−4−メトキシカルボニル−1,6−ヘプタジエン (21)
[式(I);R =COOC(CH ;R =COOEt;
X=COOCH ;Y=COOCH ](本発明に含まれない)
【0072】
標記の化合物を段階的に調製した。第1の工程では、メチルマロン酸ベンジルを2−(ブロモメチル)プロペン酸エチルと水素化ナトリウムのアセトニトリル溶液との等モル量と反応させ、生成物、ベンジル2−メトキシカルボキシ−4−エトキシカルボニル−ペント−4−エノエートを収率43%で得た[ H−NMR(CDCl )δ(ppm):
【0073】
1.28(t,3H);2.92(d,2H);3.60(s,3H);3.83(t,1H);4.20(q,2H);5.17(s,2H);5.58(s,1H);6.18(s,1H)および7.32(m,5H)]。第2の工程では、水素化ナトリウム(0.30g、0.01mol、油中80%分散液)をアセトニトリル(20mL)に懸濁した懸濁液に、ベンジル2−メトキシカルボキシ−4−エトキシカルボニル−ペント−4−エノエート(2.68g、0.0084mol)を添加した。得られた混合物を10分間撹拌してから、2−(ブロモメチル)プロペン酸t−ブチル(1.85g)をアセトニトリル(5mL)に溶解した溶液を添加し、室温、窒素下で一夜撹拌し続けた。撹拌終了後、標記生成物(21)が収率72%で透明液体として得られた。 H−NMR(CDCl )δ(ppm):1.28(t,3H);1.46(s,9H);2.94(s,2H);2.96(s,2H);3.58(s,3H);4.16(q,2H);5.10(s,2H);5.60(s,1H);5.67(s,1H);6.17(s,1H);6.26(s,1H);7.32(m,5H)。
【実施例21】
【0074】
2,2−ビス(2−エトキシカルボニル−2−プロペニル)−5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン(22)
[式(I);R =R =COOEt;X、Yは5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン(ジメドン)環として](本発明に含まれない)
【0075】
水素化ナトリウム(0.72g、油中80%分散液)をアセトニトリル(20mL)に懸濁した冷却懸濁液に、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン(ジメドン)(1.40g、0.01mol)を窒素下で激しく撹拌しながら添加した。得られた混合物をさらに10分間撹拌した後、2−(ブロモメチル)プロペン酸エチル(3.86g、0.02mol)をアセトニトリル(5mL)に溶解した溶液を添加し、4℃で1時間、次いで室温で一夜(16時間)撹拌を続けた。水(30mL)を添加し、混合物を3回酢酸エチル(全量で120mL)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を除去した後、シリカゲルカラムでのカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル:n−ヘキサン=2:3)により純粋な標記の化合物(22)(2.20g、60.4%)を無色液体として得た。 H−NMR(CDCl )δ(ppm): 0.97(s,6H);1.30(t,6H);2.63(s,4H);2.82(s,4H);4.18(q,4H);5.54(s,2H);6.12(s,2H)。
【実施例22】
【0076】
2,6−ビス(エトキシカルボニル)−4,4−ビス(フェニルスルホニル)−1,6−ヘプタジエン(23)
[式(I);R =R =COOEt;X=Y=SO Ph](本発明に含まれない)
【0077】
ビス(フェニルスルホニル)メタン(1.0g、3.38mmol)をアセトニトリル(20mL)に溶解し、水素化ナトリウム(0.233g、7.44mmol)を添加しながら撹拌した。得られた懸濁液を室温で1時間撹拌し、次いで、α−(ブロモメチル)アクリル酸エチル(1.31g、6.76mmol)を滴下しながら10分間氷冷した。添加が完了したら、混合物を室温まで暖め、撹拌を3時間続けた。アセトニトリルを減圧下で除去し、水を添加し、生成物をジエチルエーテル(3x50mL)で抽出した。結合した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発乾固して、淡黄色の油を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムにかけ、ジエチルエーテル:ペトロリウムスピリット(1:1)で溶出した。低いRf成分から所望の生成物であることがわかり、白色固体(融点:112〜114℃)として単離した。 H−NMR(CDCl )δ(ppm):1.20(t,6H);3.30(s,4H);4.10(q,4H);5.95(s,2H);6.30(s,2H);7.50−8.05(m,10H)。
【0078】
実施例2のモノマーのフリー・ラジカル閉環重合
(2)(0.9M)のフリー・ラジカル単独重合は、酸素不存在下、o−キシレン中でα,α′−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を開始剤として60℃で用いて行った。20時間後および64時間後に、このポリマーを沈殿させ(n−ヘキサン中にこのo−キシレン溶液をゆっくりと注加することによる)、白色粉体として各々40%および91%の収率で単離した。このポリマーの少量を、6本のμ−スチラゲル(Styragel)カラム(106−,105−,104−、103−、500および100オングストロームの孔径)に連結させたウォーターズ・インスツルメント(Waters Instrument) を用いたGPC(溶出液:THF;流速1mL/min)により試験した。結果を表1にまとめて示す。
【0079】
【表1】

【0080】
これらの環状ポリマーは一般的な有機溶媒の大部分(例えばジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、o−キシレン等)に可溶性であるが、n−ペンタンおよびn−ヘキサンには不溶性である。
【0081】
NMR( Hおよび13C)による分析では残留するオレフィン共鳴を全く示さず、スペクトルは式(II)で表されるポリマーの環状構造と一致する。
【0082】
上記の環状ポリマーを示差走査熱量計(DSC)により分析したところ、Tg77.4℃(開始温度)およびTg84.9℃(中点値)となり、これはポリエチルメタクリレート(Tg:65℃)よりも幾分高いものである。
【0083】
この環状ポリマーは、ガラス板上に容易に溶液流延されて、均一で透明な薄膜を形成する。
【0084】
“準リビング”ラジカル技術を用いたモノマー(2)の閉環重合
N−(2−tert−ブトキシ−1−フェニルエトキシ)−N,N−ジ−
tert−ブチルアミンの溶液[リザード(Rizzardo)らによる欧州特許出願第135,280号(1985)参照](160.5mg、0.5mmol)、モノマー2,4,4,6−テトラキス(エトキシカルボニル)−1,6−ヘプタジエン(2)(1.92g、5mmol)およびo−キシレン(2.5mL)を、3段階の連続した凍結−減圧−解凍サイクルにより抜気し、次いで100℃に1.5時間加熱した。この後、反応混合物をペトロリウムスピリット中に注加(30〜40℃)して、環状ポリマーを沈殿させた(0.25g、12%の転化率)。この沈殿物は、 H−NMRおよびGPCにより、環状ポリマー(2)(平均数:12単位)からなることがわかった。GPC:Mn4,700;Mw8,015;分散度1.69。 H−NMRスペクトル(d 0.8〜1.4)により、ジ−t−ブチルアミノキシ末端基の存在が示された。
【0085】
その他の4,4−二置換1,6−ジエンモノマーのフリー・ラジカル閉環重合
60〜90℃の温度範囲にわたる、AIBNで開始された本発明の新規な1,6−ジエンの閉環重合に関する研究結果を表2にまとめた。この重合は円滑に進行し、高い転化率においても架橋が起こったという証拠は全くなかった。得られたシクロホモポリマーは一般的な有機溶媒の大部分に可溶性である。
【0086】
【表2】

【0087】
モノマー(2)およびメタクリル酸メチルのフリーラジカル閉環共重合
α,α′−アゾビスイソブチロニトリル(19.96mg)が蒸留されたばかりのメタクリル酸(10.0mL)の中に溶解された。アリコート(2.0mL)が取り出され、表3に示されている量のモノマー(2)を含むアンプルに移された。その混合物は、酸素の不存在下、60℃、1時間で重合された。アンプルの内容物は、次いでエチルアセテート(2mL)中に希釈され、n−ヘキサン中に注がれ、そして沈殿した環状コポリマーが、集められ、真空中で定常の重さになるまで乾燥された。ポリマーの少量部分が、分子量データおよび多分散度(polydispersities)を得るために前に述べたGPC によりテストされた(表3参照)。モノマー(2)とMMAとの閉環共重合のNMR分析結果から、モノマー(2)はMMAの2倍の速度(rate)で消費されている。
【0088】
【表3】

【0089】
モノマー(16)およびエトキシトリエチレングリコールメタクリレート(ETEGMA) のフリーラジカル閉環共重合
4,4−ジベンジルオキシカルボニル−2,6−ジカルボキシ−1,6−ヘプタジエンモノマー(16)(2.26g、5mmol)およびエトキシトリエチレングリコールメタクリレート(ETEGMA)(0.41g、1.67mmol)の脱酸素された混合物の閉環共重合が、アセトン(30mL)中で、開始剤としてAIBN(21.8mg、2mol%)を用いながら、60℃で20時間行われた。アセトン溶剤のいくらかを除去した後、コポリマー(2.60g、97%)が、n−ヘキサン中への沈殿により単離された。GPC:Mn28,800;Mw68,600および分散度(dispersity)2.38。
【0090】
モノマー(17)およびメチルメタクリレートのフリーラジカル閉環共重合
4−ジエトキシホスホリル−2,4,6−トリス(エトキシカルボニル)−1,6−ヘプタジエン(17)(2.10g、4.68mmol)、蒸留されたばかりのメチルメタクリレート(MMA、5mL、46.80mmol)、およびエチルアセテート(20mL)中のAIBN(84.4mg、1mol%)のモノマー混合物が、凍結ー抜気ー融解の3逐次サイクルを経て脱ガスされた。閉環共重合が、60℃で65時間行われた。コポリマーが定量的収率(quantitative yield)で得られた。
GPC:Mn20,600;Mw76,000および分散度(dispersity)3.68。
【0091】
この明細書および以下の請求の範囲を通して、特にことわらない限り、“含む”(“comprise”あるいは“comprises ”) あるいは“含んでいる”(“comprising”)という語は、記載された整数あるいは整数のグループを含み、その他の整数あるいは整数のグループを排除するものでないと理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物:
【化1】

(式中、R およびR は、独立に、COOR、CN、アリール、置換アリール、COOH、C(O)NHR 、C(O)NR よりなる群から選ばれる;
XおよびYは、独立に、CN、P(O)(OR およびSO よりなる群から選ばれる;ただし、XおよびYの少なくとも一つはCNである;
Rは、C 〜C18アルキル;C 〜C18アルケニル;C 〜C12アルキニル;C 〜C シクロアルキル;あるいは、前記のものの任意のものであって、ヒドロキシ、アミノ、アジド、シアノ、ニトロ、アルデヒド、チオエーテル、スルホニル、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、エポキシ、シリル、シリロキシ、アジリジン、アシロキシ、カルボキシ、エステル、カルバモイル、C 〜C ジアルコキシホスホリル、C 〜C ジアルコキシチオホスホリル、トリ(C 〜C アルコキシ)シリル、C 〜C アルコキシ、フェニルよりなる群から選ばれる置換基で置換されているもの;置換アリール、ハロゲン、−[(CH O] −Hおよび−[(CH O] −アルキル(ここに、mおよびnは整数である);
は、H、C 〜C18アルキル、C 〜C18アルケニル、C 〜C12アルキニル;C 〜C シクロアルキル;あるいは、前記のものの任意のものであって、ヒドロキシ、アミノ、アジド、シアノ、シアナト、イソシアナト、エポキシ、シリル、シリロキシ、カルボキシ、エステル、カルバモイル、C 〜C アルコキシ、フェニル、置換アリールおよびハロゲンよりなる群から選ばれる置換基で置換されているもの;
およびR は、独立に、C 〜C18アルキル;C 〜C シクロアルキル、アラルキルおよびアルキルアリールから選ばれる;
は、H、C 〜C18アルキルよりなる群から選ばれる;
は、C 〜C18アルキル、アリールまたは置換アリールよりなる群から選ばれる;
前記置換アリールは、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、エステル基、アシロキシ基、アミド基、ニトリル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、シリル基またはシリロキシ基よりなる群から選ばれた一種以上の基で任意に置換されているアリールである)。
【請求項2】
前記置換アリール基が、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、エステル基、アシロキシ基、アミド基、ニトリル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、シリル基またはシリロキシ基よりなる群から選ばれた一種以上の基で任意に置換されているフェニル基であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
下記化合物からなる請求項1記載の化合物:
4−シアノ−4−ジエトキシホスホリル−2,6−ビス(エトキシカルボニル)−1,6−ヘプタジエン。
【請求項4】
請求項1に記載の式(I)の少なくとも一種のモノマーから誘導されることを特徴とするポリマーまたはコポリマー。
【請求項5】
請求項1に記載の式(I)の少なくとも一種のモノマーとアクリルモノマー類、スチレンモノマー類およびアクリルアミドモノマー類よりなる群から選ばれる一種以上のモノマーとから誘導されることを特徴とするコポリマー。
【請求項6】
下記の構造:
【化2】

(式中、R ,R ,XおよびYは請求項1に定義されている通りである)を有するユニットを含有することを特徴とするポリマーまたはコポリマー。
【請求項7】
基およびR基が親水性基であり、かつX基およびY基が疎水性基である;あるいは、R基およびR基が疎水性基であり、かつX基およびY基が親水性基であることを特徴とする請求項6に記載のポリマーまたはコポリマー。
【請求項8】
ほぼ当モル量の式(V)の化合物と式(VI)の化合物
【化3】

(式中、R,XおよびYは請求項1に定義されている通りであり、Aは式(V)のメチレン基(−CH−)と反応することができる活性原子または脱離基である)とを有機塩基または無機塩基の存在下に反応させた後、生成物を有機塩基または無機塩基の存在下に式(VII )の化合物
【化4】

(式中、Rは請求項1に定義されている通りであり、Aは上記と同じである)と反応させることを特徴とする請求項1に記載の式Iの化合物においてRおよびRが異なる化合物の製造方法。

【公開番号】特開2006−22338(P2006−22338A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230786(P2005−230786)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【分割の表示】特願平7−505451の分割
【原出願日】平成6年7月29日(1994.7.29)
【出願人】(591269435)コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼーション (23)
【氏名又は名称原語表記】COMMONWEALTH SCIENTIFIC AND INDUSTRIAL RESEARCH ORGANIZATION
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】