説明

開閉弁装置及びそれを備えた水栓装置

【課題】 小さな操作力で流量調整を行うことができる開閉弁装置及びそれを備えた水栓装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、開閉弁装置(20)であって、弁座(30b)と、止水状態と吐水状態を切り替える、圧力開放穴が設けられた主弁体(34)と、この主弁体と共に移動される圧力開放穴の開度を変化させるために、主弁体の移動方向に移動可能に設けられたパイロット弁(40)と、このパイロット弁の移動によって圧力開放穴の開度が変化すると、主弁体を弁座に近づき又は離れるように移動させる圧力室と、吐水操作、止水操作、流量調整操作を行うための操作部(22)と、操作部の止水操作によりパイロット弁を圧力開放穴に押し付け、吐水操作によりパイロット弁を圧力開放穴から引き離し、流量調整操作によりパイロット弁を主弁体の移動方向に連続的に移動させるパイロット弁移動機構(23、24、38)と、を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉弁装置及びそれを備えた水栓装置に係わり、特に、流量調整機能を備えた開閉弁装置及びそれを備えた水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、押し釦の操作により止水と吐水を切り替えるプッシュ式の水栓装置が普及し始めている。これらの水栓装置に使用されている開閉弁装置の多くは、吐水時の流量は固定されており、吐水流量を調整することはできない。特開2001−98596号公報には、吐止水操作部を押すことにより吐水と止水を切り替え、流調操作部を回転させることにより流量を調整することができる吐水装置(開閉弁装置)が記載されている。
【0003】
図27は、特開2001−98596号公報に記載の吐水装置の断面図である。図27に示すように、吐水装置100は、本体102と、本体102に取り付けられた主弁体104と、主弁体104に設けられた圧力開放穴104aを閉鎖するパイロット弁106と、パイロット弁106を上下に移動させるパイロット弁駆動機構107及び吐止水操作部108と、主弁体104を押えるスリーブ109と、を有する。さらに、吐水装置100は、流量調整部材110と、流量調整部材110を上下に移動させるための流調操作部112と、を有する。
【0004】
また、主弁体104の上方には圧力室形成部材105が配置され、主弁体104と圧力室形成部材105との間に圧力室が形成される。主弁体104には、本体102の流入側と圧力室とを連通させる連通孔104bが形成されている。また、吐止水操作部108を押圧操作すると、パイロット弁106はパイロット弁駆動機構107によって上下に移動され、主弁体104の圧力開放穴104aが開閉される。流量調整部材110は、圧力室の内部から外部へ延びるように配置され、流調操作部112を回転操作するとネジ機構により上下に移動されるように構成されている。
【0005】
止水状態においては、パイロット弁106が圧力開放穴104aを閉鎖しているため、本体102の上流側から連通孔104bを通って圧力室内に流入した水が圧力室内に溜まるので、圧力室内の圧力が高くなり、主弁体104が下方の弁座に押し付けられて止水される。次に、吐止水操作部108を押すと、パイロット弁駆動機構107によってパイロット弁106は上方に引き上げられ、圧力開放穴104aが開放される。圧力開放穴104aが開放されると、圧力室内の圧力は低下するので、主弁体104を弁座に押し付ける力は作用しなくなり、主弁体104が開放されて吐水状態となる。吐水状態においては、主弁体104は、上方に上がり、流量調整部材110の下端に当接した位置に止まる。
【0006】
流量調整部材110は、流調操作部112を回転操作することによって上下に移動されるので、流量調整部材110が上方に位置する場合には、主弁体104は大きく移動して弁座と主弁体104との間隔が広くなる。これに対して、流量調整部材110が下方に位置する場合には、上方にあまり移動しない位置で流量調整部材110に当接するので、弁座と主弁体104との間隔は狭くなる。従って、吐水状態における主弁体104の位置は、流量調整部材110の位置によって規制され、吐水時における流量が流量調整部材110によって調整される。
【0007】
また、特開2001−95710号公報には、シャワーヘッドに設けられた操作部によって、シャワーヘッドからの吐水又は止水を操作すると共に、流量調整を行うことができる吐水装置が記載されている。図28は、特開2001−95710号公報に記載されている吐水装置の断面図である。図28に示すように、吐水装置120は、本体部122と、この本体部122の中に摺動可能に配置されたピストン式の主弁体124と、本体部122から延びるホース126と、このホース126の先端に取り付けられたシャワーヘッド128と、ホース126の内部に延びる圧力導管130と、を有する。さらに、シャワーヘッド128の先端には、圧力導管130の先端部130aを開閉するためのパイロット弁132と、このパイロット弁132を移動させるためのパイロット弁移動機構134と、このパイロット弁移動機構134を作動させる操作部136と、を有する。
【0008】
主弁体124は、本体部122の中に配置され、本体部122内に圧力室122bを画定する。また、圧力導管130の基端部は主弁体124に接続されており、圧力導管130は、圧力室122bと連通している。圧力導管130の先端部130aはシャワーヘッド128の内部に固定されており、この固定された先端部130aにパイロット弁132が着座することにより、圧力導管130の先端部130aが閉鎖される。
【0009】
この吐水装置120において、パイロット弁132が圧力導管130の先端部130aを閉鎖している状態では、本体部122の流入口122aから流入した水が、主弁体124に設けられた小孔124aを通って圧力室122bに流入すると、圧力室122b内部の圧力が上昇する。圧力室122b内部の圧力が上昇すると、圧力室122b内の圧力によって、主弁体124が本体部122の内部に設けられた弁座122cに押し付けられて、止水状態になる。次いで、操作部136を押圧操作すると、パイロット弁132は、パイロット弁移動機構134によって圧力導管130の先端部130aから引き離される。圧力導管130の先端部130aが開放されると、圧力室122b内部の圧力が低下するので、主弁体124は、本体部122内に配置されたコイルバネ124bによって開弁方向に押され、吐水状態になる。
【0010】
また、吐水状態において、操作部136を回転操作すると、パイロット弁移動機構134は、操作部136の回転操作量に応じて、パイロット弁132を、圧力導管130の先端部130aに近づく方向又は遠ざかる方向に移動させる。圧力導管130の先端部130aとパイロット弁132の間の距離が変化すると、それらの間を流れる水の抵抗が変化する。これにより、圧力室122b内部の圧力が変化するので、主弁体124の開度が変化し、シャワーヘッド128からの吐水流量も変化する。
【0011】
【特許文献1】特開2001−98596号公報
【特許文献2】特開2001−95710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特開2001−98596号公報記載の吐水装置では、主弁体104の開度を、主弁体104を流量調整部材110に当接させることによって変化させている。従って、吐水状態において吐水流量を低下させるように流量調整を行う場合、吐水されている水の動圧により上方に押されている主弁体104を、この力に抗して下方に押す必要がある。このため、吐水状態において、流量調整部材110によって主弁体104を押し下げて流量を調節するには、非常に大きな操作力が必要になるという問題がある。
【0013】
また、特開2001−95710号公報記載の吐水装置では、パイロット弁の開度により、流量調整を行っているので、調整に必要な操作力を比較的小さくすることは可能である。しかしながら、調整される吐水流量の、最大吐水流量と最少吐水流量の間の全範囲の調整をパイロット弁の開度、即ち、パイロット弁132と圧力導管130の先端部130aとの間の隙間の変化によって行う必要があるので、パイロット弁の開度の非常に精密な調整が要求されるという問題がある。このため、特開2001−95710号公報記載の吐水装置では、吐水流量の微妙な調整が困難になり、又は、非常に複雑なパイロット弁移動機構134が必要になるという問題がある。
【0014】
従って、本発明は、小さな操作力で流量調整を行うことができる開閉弁装置及びそれを備えた水栓装置を提供することを目的としている。
また、本発明は、簡単な機構で、微妙な流量調整を行うことができる開閉弁装置及びそれを備えた水栓装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するために、本発明は、止水状態と吐水状態を切り替え且つ吐水流量を調整することができる開閉弁装置であって、弁座と、この弁座に着座し又はこの弁座から離れるように移動されることによって、止水状態と吐水状態を切り替える、圧力開放穴が設けられた主弁体と、この主弁体と共に移動される圧力開放穴の開度を変化させるために、主弁体の移動方向に移動可能に設けられたパイロット弁と、このパイロット弁の移動によって圧力開放穴の開度が変化すると、内部の圧力が変化して、主弁体を弁座に近づき又は離れるように移動させる圧力室と、吐水操作、止水操作、及び/又は流量調整操作を行うための操作部と、操作部の止水操作によりパイロット弁を圧力開放穴に押し付け、操作部の吐水操作によりパイロット弁を圧力開放穴から引き離し、操作部の流量調整操作によりパイロット弁を主弁体の移動方向に連続的に移動させるパイロット弁移動機構と、を有することを特徴としている。
【0016】
このように構成された本発明においては、操作部を止水操作すると、パイロット弁が主弁体の圧力開放穴に押し付けられ、圧力開放穴が閉鎖される。圧力開放穴が閉鎖されると、圧力室内部の圧力が上昇するので、この圧力による力によって主弁体は弁座に着座される。また、操作部を吐水操作すると、パイロット弁が主弁体の圧力開放穴から引き離され、圧力開放穴が開放される。圧力開放穴が開放されると、圧力室内部の圧力が低下するので、主弁体を弁座に着座させる圧力による力が作用しなくなり、主弁体は弁座から離れる。また、吐水状態において、操作部を流量調整操作すると、パイロット弁が移動され、圧力開放穴の開度が変化する。圧力開放穴の開度が大きくなると、圧力室内部の圧力が低下するので、主弁体は弁座から離れる方向に移動する。主弁体がこのように移動すると、主弁体に設けられ、主弁体と共に移動される圧力開放穴は、パイロット弁に近づき、圧力開放穴の開度が小さくなる。圧力開放穴の開度が小さくなると、圧力室内部の圧力が上昇するので、主弁体は逆に弁座に近づく方向に移動する。これらの作用の結果、主弁体は、圧力室内部の圧力による力の作用によって、パイロット弁移動機構によって移動されるパイロット弁に近接した位置に移動される。このため、パイロット弁移動機構により、パイロット弁が流量調整操作により連続的に移動されると、主弁体はパイロット弁の位置に追従するように移動して、主弁体と弁座との間の距離が変化し、吐水流量が変化する。
【0017】
このように構成された本発明によれば、圧力室内部の圧力による力によって主弁体が移動されるので、パイロット弁を移動させる小さな操作力で流量調整操作を行うことができる。また、このように構成された本発明によれば、主弁体はパイロット弁の位置に追従するように移動されるので、簡単な機構で、微妙な流量調整を行うことができる。
【0018】
また、本発明において、好ましくは、主弁体は、ダイヤフラム式の弁体である。
このように構成された本発明によれば、開閉弁装置全体をコンパクトに構成することができる。
【0019】
また、本発明において、好ましくは、パイロット弁移動機構は、操作部を押圧操作することにより、パイロット弁を圧力開放穴に押し付け又は圧力開放穴から引き離し、操作部を回転操作することにより、パイロット弁を主弁体の移動方向に連続的に移動させる。
このように構成された本発明によれば、単一の操作部の、2種類の操作によって、吐・止水操作及び流量調整操作を行うことができるので、開閉弁装置の操作性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明において、好ましくは、パイロット弁移動機構は、操作部を所定の角度回転操作したときのパイロット弁の移動距離がパイロット弁の位置により異なるように構成されている。
このように構成された本発明においては、主弁体と弁座の間の距離と吐水流量が比例しない場合においても、操作部の回転角度と吐水流量がほぼ比例する開閉弁装置を構成することができる。
【0021】
また、本発明において、好ましくは、さらに、操作部の偶発的な回転を防止するための回転抵抗手段を有する。
このように構成された本発明においては、操作部の押圧操作等により、偶発的に操作部が回転してしまい、吐水流量の設定が変化するのを防止することができる。
【0022】
また、本発明において、好ましくは、さらに、操作部を回転操作することができる範囲を規制する回転規制手段を有し、吐水状態において、操作部を吐水流量が最少になる位置に操作した場合においても、圧力開放穴は開放されている。
このように構成された本発明においては、吐水状態において、操作部を吐水流量が最少になる位置に設定した場合にも、圧力開放穴かパイロット弁によって完全に閉鎖されることはなく、開放されているので、主弁体が弁座に完全に着座されることがない。このため、開閉弁装置の使用者は、開閉弁装置が止水状態にあるのではなく、吐水状態において吐水流量が絞られた状態であることを確実に認識することができる。
【0023】
また、本発明において、好ましくは、回転規制手段は、吐水流量が最少になるように操作部を操作した場合における吐水流量を設定するための最少吐水流量設定手段を有する。
このように構成された本発明においては、操作部を吐水流量が最少になるように操作したときの吐水流量を正確に設定することができる。
【0024】
また、本発明において、好ましくは、さらに、パイロット弁とパイロット弁移動機構の間に配置された緩衝バネを有し、パイロット弁移動機構が、パイロット弁を止水状態の位置又は吐水状態の位置に保持するラッチ機構を有し、操作部の流量調整操作により、ラッチ機構の止水状態の位置と吐水状態の位置との間の距離は変化し、止水状態における緩衝バネの撓み量は操作部の流量調整操作によらず一定である。
【0025】
このように構成された本発明においては、流量調整操作によりラッチ機構によって保持される止水状態の位置と吐水状態の位置の間の距離が変化するので、パイロット弁が主弁体に当接して緩衝バネが圧縮される止水状態における緩衝バネの撓み量は流量調整操作によらず一定となる。
このように構成された本発明によれば、止水状態における緩衝バネの撓み量は流量調整操作によらず一定になるため、流量調整機能を実現するために緩衝バネを大型化する必要がなく、開閉弁装置全体を小型化することができる。
【0026】
また、本発明において、好ましくは、さらに、パイロット弁とパイロット弁移動機構の間に配置された緩衝バネを有し、パイロット弁移動機構が、パイロット弁を止水状態の位置又は吐水状態の位置に保持するラッチ機構を有し、操作部の流量調整操作により、止水状態における緩衝バネの撓み量は変化し、ラッチ機構の止水状態の位置と吐水状態の位置との間の距離は操作部の流量調整操作によらず一定である。
【0027】
このように構成された本発明においては、流量調整操作によりラッチ機構によって保持される止水状態の位置と吐水状態の位置の間の距離は変化しないので、パイロット弁が主弁体に当接して緩衝バネが圧縮される止水状態における緩衝バネの撓み量は、流量を絞るように調整されているときは大きく、流量を絞っていないときは小さくなる。
このように構成された本発明によれば、操作部が、吐水流量が最少になるように操作されているときに止水操作又は吐水操作を行っても、吐水流量が最大になるように操作されているときに止水操作又は吐水操作を行ってもラッチ機構が作動する距離に変化がないため、開閉弁装置の操作性を良くすることができる。
【0028】
また、本発明の水栓装置は、本発明の開閉弁装置と、この開閉弁装置を受け入れる水栓本体と、この水栓本体と連通する吐水口を備えたスパウト部又はシャワーヘッドと、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0029】
本発明の開閉弁装置及びそれを備えた水栓装置によれば、小さな操作力で流量調整を行うことができる。
また、本発明の開閉弁装置及びそれを備えた水栓装置によれば、簡単な機構で、微妙な流量調整を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による水栓装置を説明する。
まず、図1乃至図10を参照して、本発明の第1実施形態による水栓装置を説明する。図1は、本発明の第1実施形態による水栓装置全体を示す斜視図であり、図2は、水栓装置の本体部を拡大して示す斜視断面図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態による水栓装置1は、本体部2と、この本体部2に取り付けられたシャワー用ツマミ4、カラン用ツマミ6、及び温度調整用ツマミ8と、を有する。さらに、本体部2には、シャワーヘッド10と、スパウト部であるカラン吐水口12が取り付けられている。本実施形態による水栓装置1は、シャワー用ツマミ4を押すとシャワーヘッド10から吐水され、シャワー用ツマミ4を回転させるとシャワーヘッド10からの吐水量が変化するように構成されている。同様に、カラン用ツマミ6を押すとカラン吐水口12から吐水され、カラン用ツマミ6を回転させるとカラン吐水口12からの吐水量が変化するように構成されている。さらに、吐水状態において、シャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6を再度押すと、止水状態となるように構成されている。また、温度調整用ツマミ8を回転させると、シャワーヘッド10又はカラン吐水口12からの吐水温度が変化するように構成されている。
【0031】
図2に示すように、本発明の第1実施形態による水栓装置1の本体部2は、温度調整部本体14と、この温度調整部本体14の両側にそれぞれ配置された、2つの開閉弁部本体16と、を有する。本実施形態において、温度調整部本体14及び開閉弁部本体16は、水栓本体を構成する。また、温度調整部本体14には、温度調整用バルブ18が受け入れられ、2つの開閉弁部本体16には、開閉弁装置20がそれぞれ受け入れられている。温度調整部本体14には、水流入口14a及び湯流入口14bが夫々形成されている。水流入口14a及び湯流入口14bから夫々温度調整部本体14に流入した水及び湯は、温度調整用ツマミ8による温度調整用バルブ18の設定により所定の割合に混合され、適当な水温に調整されるように構成されている。温度調整用バルブ18は、温度調整用ツマミ8を回転させることによって水と湯の混合割合を変化させ、温度調整用ツマミ8の位置によって吐水される水の温度を所定の温度に設定できるように構成されている。
【0032】
温度調整用バルブ18によって適温に調整された水は、温度調整部本体14と各開閉弁部本体16を連通させる水路14c又は14dを通って、シャワー側又はカラン側の開閉弁部本体16に流入するように構成されている。各開閉弁部本体16に流入した水は、各開閉弁部本体16に受け入れられている開閉弁装置20によって止水される。この状態において、シャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6を押すと、開閉弁装置20が吐水状態となり、シャワーヘッド10又はカラン吐水口12から適温の水が吐水されるように構成されている。また、シャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6を廻すと開閉弁装置20の弁開度が変化し、シャワーヘッド10又はカラン吐水口12から吐水される流量が変化するように構成されている。吐水状態において、再度シャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6を押すと、開閉弁装置20が止水状態となり、シャワーヘッド10又はカラン吐水口12からの吐水が停止されるように構成されている。
【0033】
図3は本発明の第1実施形態による水栓装置1の開閉弁装置20の部分を拡大した上面図である。また、図4は図3のIV−IV線に沿って切断された開閉弁装置20の部分の断面図であり、図5は図3のV−V線に沿って切断された開閉弁装置20の部分の断面図である。図6は図5のVI−VI線に沿って切断された開閉弁装置20の部分の断面図である。
図3乃至図5に示すように、開閉弁装置20は、操作部22と、この操作部22の内側に螺合された操作力伝達部材23と、この操作力伝達部材23の内側に配置されたガイド部材24と、このガイド部材24の内側に挿入されたパイロット弁支持部材26と、を有する。さらに、開閉弁装置20は、パイロット弁支持部材26の下側に配置され、圧力室を形成する主弁体押え部材28と、この主弁体押え部材28の下側に配置されたバルブ台座部材30と、以上の部材を包囲して、各部材を所定の位置に拘束するカバー32と、を有する。
【0034】
また、主弁体押え部材28とバルブ台座部材30の間には、主弁体34が挟み込まれ、主弁体34を所定の位置に位置決めしている。また、ガイド部材24の中心軸線上には、下方に向って押し棒38が取り付けられている。この押し棒38は、ガイド部材24の内側に配置されたパイロット弁支持部材26の中に挿入されている。押し棒38の下端には、パイロット弁支持部材26によって摺動可能に支持されたパイロット弁40が摺動自在に取り付けられ、このパイロット弁40の先端にはパッキン42が取り付けられている。本実施形態において、操作力伝達部材23、ガイド部材24、押し棒38は、パイロット弁移動機構を構成する。
【0035】
操作部22は、上端部が閉鎖された概ね円筒状の形状であり、頂部にはシャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6をネジ止めするためのネジ部22aが形成されている。また、操作部22の内側面には、操作力伝達部材23と螺合させるための雌ネジ部22bが形成されている。さらに、操作部22の下端にはフランジが形成されており、肩部22cを構成している。
操作力伝達部材23は、概ね円筒状の形状を有し、その上部には、操作部22の雌ネジ部22bと螺合させるための雄ネジ部23aが形成されている。また、操作力伝達部材23の下部は、直径が拡大しており、その中にガイド部材24を受け入れている。さらに、操作力伝達部材23の下部には、更に直径が拡大した段部が設けられ、肩部23bを形成している。また、操作力伝達部材23の外側側面2箇所にはカバー32のガイド溝32dに受け入れられる突起部23cが形成されている。
【0036】
ガイド部材24は、円周上の4箇所が切り欠かれた概ね円筒状の形態を有する。ガイド部材24の側面2箇所には爪部24a(図4参照)が形成されている。この爪部24aは、ガイド部材24が操作力伝達部材23の中に受け入れられたとき、ガイド部材24から半径方向外方に向って突出して、ガイド部材24を操作力伝達部材23の中に固定する。これにより、ガイド部材24は、操作力伝達部材23に対して、平行移動も、回転も拘束される。さらに、ガイド部材の上端面には、ハートカム機構を構成するピン部材44(図5参照)を受け入れるための溝24bが形成されている。ラッチ機構であるハートカム機構については後述する。
【0037】
パイロット弁支持部材26は、概ね十字型の断面を有する上側部と、この上側部の下に形成された概ね円板状の鍔部と、を有する。十字型断面の上側部は、ガイド部材24の中に摺動自在に受け入れられる。従って、パイロット弁支持部材26は、ガイド部材24に対して軸線方向に摺動することは許容されるが、ガイド部材24に対する回転は拘束される。また、上側部の両側側面には、概ね門形に折り曲げられたピン部材44の先端を受け入れるためのハートカム溝26aが形成されている。パイロット弁支持部材26の中心軸線上には、パイロット弁支持部材26を貫通するボア26bが形成されている。さらに、パイロット弁支持部材26の鍔部と操作力伝達部材23の肩部23bとの間には、付勢用バネ46が配置されており、操作力伝達部材23をパイロット弁支持部材26に対して上方に付勢している。
【0038】
主弁体押え部材28は、上端面が閉鎖した概ね円筒状の形状を有し、上端面にはパイロット弁支持部材26の下部を受け入れるための穴が形成されている。パイロット弁支持部材26と主弁体押え部材28の間には、パッキン(図示せず)が配置され、圧力室内の水密性を保持している。また、さらに、主弁体押え部材28の下端面には、主弁体34を押さえるための環状の溝28aが形成されている。
【0039】
主弁体34は概ね円板状であり、その中心部には圧力開放穴34aが形成され、外周部にはダイヤフラム部34bが構成されている。ダイヤフラム部34bの最外周部は、主弁体押え部材28の下端面に形成された環状の溝28aの中に受け入れられ、主弁体34と主弁体押え部材28の間の水密性が確保されている。また、主弁体34の円周上の1箇所には、クリーニングピン50を通す穴34cが形成されている。クリーニングピン50は、主弁体34の穴34cを貫通するように配置され、穴34cの詰まりを防止する。
【0040】
バルブ台座部材30は、下部で連結された二重の円筒状の形状を有し、主弁体押え部材28の下側に配置される。外側の円筒の側面には、水が流入する流入口30aが4つ形成されており、外側の円筒の上端部と主弁体押え部材28の下端面との間に主弁体34が挟まれる。また、内側の円筒の上端は、主弁体34が着座する弁座30bとして形成されている。流入口30aから流入した水は、一旦上方へ上り、弁座30bと主弁体34との間を通って内側の円筒の中に入り、内側の円筒の下端から流出するように構成されている。
【0041】
カバー32は、下側が拡張した段付きの円筒状の形状を有する。カバー32の上端には縁部32aが形成されており、この縁部32aには、カバー32の内部に受け入れられた操作部22の外側の肩部22cが係合するようになっている。また、カバー32の側面2箇所には、長孔32b(図5参照)が形成されており、パイロット弁支持部材26の側面2箇所から外方に突出した爪部26c(図5参照)を受け入れるようになっている。さらに、カバー32の下方2箇所にも長孔32cが形成されている。この長孔32cは、バルブ台座部材30の上部側面2箇所から外方に突出した爪部30cを受け入れるようになっている。さらに、カバー32の内側側面2箇所には、操作力伝達部材23の突起部23cを受け入れるガイド溝32dが形成されている。各長孔32b、32cが各爪部26c、30cを夫々受け入れることにより、パイロット弁支持部材26、主弁体押え部材28及びバルブ台座部材30は、カバー32の中の適所に保持される。また、これにより、ガイド部材24及び操作力伝達部材23、操作部22も、カバー32とパイロット弁支持部材26の間に挟まれて適所に保持される。
【0042】
操作部22は、カバー32によって、上下方向の平行移動及び軸線を中心とする回転可能に保持される。操作力伝達部材23は、その突起部23cがカバー32のガイド溝32dに受け入れられているので、カバー32に対する上下方向の平行移動が許容され、カバー32に対する回転が拘束される。また、操作力伝達部材23の中に受け入れられたガイド部材24は、操作力伝達部材23に対する回転が拘束され、ガイド部材24の中に受け入れられたパイロット弁支持部材26は、ガイド部材24に対する回転が拘束されているので、操作力伝達部材23、ガイド部材24、及びパイロット弁支持部材26は、カバー32に対する回転が拘束されている。従って、操作部22を時計回りに回転させると、操作部22と螺合され、回転が拘束されている操作力伝達部材23が、これに受け入れられているガイド部材24と共に下方に下がり、操作力伝達部材23とパイロット弁支持部材26の間に配置された付勢用バネ46が圧縮される。
【0043】
また、図6に示すように、操作部22の外周の1箇所には、半径方向外方に突出したストッパー22dが形成されている。さらに、カバー32の上端部内周には、半径方向内方に張り出した、ストッパー22dと当接するストッパー当接部32d、32eが形成されている。これにより、操作部22のカバー32に対する回転は、ストッパー22dの一端が一方のストッパー当接部32dに当接する位置から、ストッパー22dの他端が他方のストッパー当接部32eに当接する位置までの範囲に規制される。本実施形態において、ストッパー22d、及びストッパー当接部32d、32eは、回転規制手段を構成する。
【0044】
押し棒38は、その上端がガイド部材24の中心に取り付けられ、下端は、パイロット弁支持部材26のボア26bの中へ延びている。押し棒38とボア26bの間には、Oリング52が配置され、圧力室内部の水密性が確保されている。押し棒38の下端には拡張部38aが形成されている。
【0045】
パイロット弁40は概ね円柱状の形状を有し、パイロット弁支持部材26のボア26bの中に配置されている。パイロット弁40の内部には中空部40aが形成されており、中空部40aは、押し棒38下端の拡張部38aを摺動可能に受け入れている。また、中空部40aの中には、緩衝バネであるコイルバネ54が配置されており、押し棒38を、パイロット弁40に対して上方に付勢している。また、パイロット弁40の下端には、パッキン42が取り付けられている。パイロット弁40が下方に押し下げられると、パッキン42が主弁体34に当接して、圧力開放穴34aを閉鎖するように構成されている。
【0046】
なお、本実施形態においては、主弁体34の上側の面、主弁体押え部材28の内壁面、及びパイロット弁支持部材26のボア26bの内壁によって囲まれた空間が、圧力室として作用する。主弁体34と主弁体押え部材28の間は、主弁体34のダイヤフラム部34bの最外周部が、主弁体押え部材28の環状の溝28aの中に嵌め込まれることによって水密性が確保されている。また、主弁体押え部材28とパイロット弁支持部材26の間の水密性はパッキン(図示せず)によって、パイロット弁支持部材のボア26bと押し棒38の間の水密性はOリング52によって水密性が確保されている。
【0047】
次に、図7を参照して、ハートカム機構について説明する。ハートカム機構はパイロット弁支持部材26の上側部の両側面に形成されたハートカム溝26aと、ガイド部材24に保持されたピン部材44によって構成される。図7は、パイロット弁支持部材26の上側部の両側面に形成されたハートカム溝26aの拡大図である。ハートカム機構は、ピン部材44の下端の内側に折り曲げられた端部44aが、ハートカム溝26a内の種々の位置を取ることによって、操作部22を所定の位置に保持するものである。まず、開閉弁装置20が止水状態にある場合には、ピン部材44の端部44aは、ハートカム溝26aのAの位置に保持されている。次いで、付勢用バネ46の付勢力に抗して、操作部22を最大押し込み位置まで押し込むと、ピン部材44は操作部22と共に押し下げられ、ピン部材44の端部44aは、ハートカム溝26aの下方のBの位置に移動する。この状態で操作部22から手を放すと、操作部22は、付勢用バネ46の付勢力によって、操作部22の外側の肩部22cとカバー32の縁部32aが係合する位置まで押し上げられる。このとき、ピン部材44の端部44aは、ハートカム溝26aの上方のCの位置に移動し、開閉弁装置20は、吐水状態となる。この吐水状態から、付勢用バネ46の付勢力に抗して、操作部22を最大押し込み位置まで押し込むと、ピン部材44は操作部22と共に押し下げられ、ピン部材44の端部44aは、ハートカム溝26aの下方のDの位置に移動する。この状態で操作部22から手を放すと、操作部22は、付勢用バネ46の付勢力によって上方に押し上げられるが、この際、ピン部材44の端部44aが、ハートカム溝26dのAの位置に保持されるため、操作部22もこの位置に保持され、止水状態となる。
【0048】
次に、図5乃至図10を参照して、本発明の第1実施形態による水栓装置1の作用を説明する。図5は吐水流量を最大にした吐水状態にある開閉弁装置20を示し、図8は、図5の状態の開閉弁装置20の操作部22を押圧操作して止水状態にした開閉弁装置20の断面図を示す。また、図9は、吐水状態において、流量調節を行い、吐水流量を最少とした開閉弁装置20の断面図を示す。さらに、図10は、図5の状態の開閉弁装置20の操作部22を押圧操作して、操作部22を最大に押し込んだ開閉弁装置20の断面図を示す。
【0049】
まず、図8に示す止水状態においては、ピン部材44の端部44aは、ハートカム溝26aのAの位置に保持されており、この位置では、操作部22及びそれに取り付けられたシャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6は、引っ込んだ状態にある。また、この位置では、パイロット弁40のパッキン42は、主弁体34に当接して、圧力開放穴34aを閉鎖している。圧力開放穴34aが閉鎖された状態においては、流入口30aから穴34cを通って圧力室内に流入した水は、流出することができないので、圧力室内の圧力が高くなり、主弁体34は弁座30bに押し付けられて、開閉弁装置20が閉鎖される。
【0050】
次に、シャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6を一旦押圧して手を放すと、ピン部材44の端部44aは、ハートカム溝26aのCの位置に移動し、図5に示すように、操作部22も上方に移動する。このとき、操作部22に取り付けられたシャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6も突出した状態になる。この状態では、パイロット弁40も押し棒38によって操作部22と共に上方に引き上げられるので、パイロット弁40のパッキン42は、主弁体34から引き離され、圧力開放穴34aが開放される。圧力開放穴34aが開放された状態では、穴34cを通って圧力室内に流入した水は、圧力開放穴34aを通って流出するので、圧力室内の圧力は低下する。圧力室内の圧力が低下すると、主弁体34を弁座30bに押し付ける力が作用しなくなり、主弁体34は上方に移動する。主弁体34が弁座30bから離れて開閉弁装置20が開くと、流入口30aから流入した水は、弁座30bを通って下方に流出し、シャワーヘッド10又はカラン吐水口12から吐水される。
【0051】
図5に示す吐水状態では、パイロット弁40は、圧力室内で最も上方の位置にあり、主弁体押え部材28に当接する位置にある主弁体34は、弁座30bから最も離れた位置にある。この状態では、開閉弁装置20からの吐水流量が最大になる。また、図5に示す吐水流量が最大になる状態では、図6に示すように、カバー32のストッパー当接部32dと、操作部22のストッパー22dの一方の端部が当接するので、操作部22をカバー32に対してそれ以上回転させることができず、パイロット弁40を圧力室内でそれ以上上方に引き上げることができなくなる。
【0052】
吐水状態において、シャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6を回転させると、それに固定された操作部22も回転される。操作力伝達部材23はカバー32によって回転が拘束されているので、操作部22が回転されると、操作部22に螺合されている雄ネジ部23aの作用によって上方又は下方に移動される。これにより、操作力伝達部材23に取り付けられているガイド部材24も移動し、ガイド部材24に取り付けられている押し棒38、押し棒38に取り付けられているパイロット弁40も移動する。図5に示す状態から、シャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6を右に回転させると、操作部22も右に回転し、操作力伝達部材23、ガイド部材24、押し棒38、パイロット弁40は下方に移動する。
操作部22を回転させることにより、パイロット弁40を下方に移動させると、パイロット弁40のパッキン42が、主弁体34の圧力開放穴34aに接近するので、圧力室内に流入した水が、圧力開放穴34aを通って流出しにくくなる。圧力室内の水が流出しにくくなると、圧力室内の圧力は上昇するので、圧力室内の圧力によって主弁体34は下方に押され、移動される。さらに、パイロット弁40を下方に移動させると、再びパイロット弁40のパッキン42と圧力開放穴34aの間の隙間が小さくなるので、圧力室内の圧力が上昇し、主弁体34は下方に移動される。なお、本明細書において、パイロット弁40のパッキン42と圧力開放穴34aの間の隙間の大小の度合いを、圧力開放穴34aの開度と呼んでいる。
【0053】
このように、操作部22を回転させることにより、パイロット弁40を連続的に下方に移動させていくと、主弁体34は、パイロット弁40のパッキン42との間に微小な隙間を維持しながら、連続的に下方に移動される。また、操作部22を急激に回転させ、パイロット弁40を急激に下方に移動させた場合には、パイロット弁40のパッキン42が圧力開放穴34aと当接することも考えられる。この場合には、圧力室内の圧力も上昇し、これにより主弁体34は下方に移動されるので、パッキン42と圧力開放穴34aの間に再び隙間が形成される。従って、操作部22を回転させパイロット弁40を下方に移動させたとき、主弁体34は、パイロット弁40によって下方に押されるのではなく、主に圧力室内の圧力による力によって下方に移動される。このため、非常に小さな操作力によってパイロット弁40を下方に移動させることができる。
【0054】
また、操作部22を逆方向に回転させることにより、パイロット弁40を上方に移動させた場合には、パイロット弁40のパッキン42と圧力開放穴34aの間の隙間が大きくなるので、圧力室内の圧力が低下し、主弁体34は上方に移動される。従って、パイロット弁40を上方に連続的に移動させた場合には、主弁体34は、パイロット弁40のパッキン42との間に微小な隙間を維持しながら、連続的に上方に移動される。
【0055】
図6に示す状態から、操作部22を右に回転させていくと、操作部22のストッパー22dは、カバー32のストッパー当接部32eに当接し、これ以上右に回転させることができなくなる。この状態では、図9に示すように、パイロット弁40は、最も下方の位置に移動する。図9に示す状態では、主弁体34は、弁座30bに非常に近い位置に保持されるので、主弁体34の圧力開放穴34aが完全に閉鎖されていない状態であっても、開閉弁装置20から吐水される流量は非常に少なくなる。本実施形態においては、ストッパー22dによって操作部22の回転を規制しているので、パイロット弁40が最も下方の位置に移動したときでも、主弁体34は弁座30bに完全に着座することはない。従って、本実施形態においては、操作部22の回転操作により、吐水流量を最も少なくした状態においても、毎分約1リットルの水が吐水される。このため、吐水量を最も絞った状態においても、開閉弁装置20が吐水状態にあることが、水栓装置1の使用者に認識される。
【0056】
次に、吐水状態において、シャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6を再び押圧操作すると、ピン部材44の端部44aは、ハートカム溝26aのAの位置に移動し、図8に示すように、操作部22も下方に移動する。このとき、シャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6は、引っ込んだ状態になる。この状態では、パイロット弁40も押し棒38によって操作部22と共に大きく下方に押し下げられるので、パイロット弁40のパッキン42によって主弁体34の圧力開放穴34aが閉鎖される。止水操作により、操作部22が大きく下方に下がった状態では、パッキン42が主弁体34に押し付けられ、押し棒38の先端に配置されたコイルバネ54も押し縮められた状態になるので、主弁体34が下方に移動したとしてもパッキン42と主弁体34の間に隙間ができることはなく、圧力開放穴34aが閉鎖された状態が維持される。圧力開放穴34aが閉鎖されると、圧力室内の圧力が高くなるので、主弁体34は下方に押されて弁座30bに完全に着座し、止水状態となる。また、操作部22の回転位置は、押圧操作によって変化しないので、もう一度シャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6を押圧操作して、開閉弁装置20を吐水状態としたときには、パイロット弁40は前回の流量調整で設定された位置まで引き上げられる。このため、水栓装置1からは、前回設定された吐水流量で吐水される。
【0057】
次に、図7を参照して、ハートカム機構の作用を説明する。まず、開閉弁装置20が、図8に示すように、止水状態にあるときは、ピン部材44の端部44aは、ハートカム溝26aのAの位置に保持されている。この状態では、パイロット弁40の内部に配置されたコイルバネ54は、押し棒38によって圧縮された状態にある。次に、操作部22を押圧操作して、操作部22を最大に押し込んだ状態では、ピン部材44の端部44aは、ハートカム溝26aのBの位置に移動される。この状態では、図10に示すように、押し棒38は最も下方に下がった位置に移動し、コイルバネ54は、最大限圧縮される。このとき、操作部22と共に下方に移動する押し棒38のストロークは、コイルバネ54によって吸収されるので、パイロット弁40は、コイルバネ54の圧縮力によって主弁体34に押し付けられ、押し棒38に伝えられた操作力が直接主弁体34に作用することはない。本実施形態においては、コイルバネ54として非常にバネ定数の小さいバネが使用されているので、パイロット弁40が主弁体34に押し付けられる力は非常に小さい。
【0058】
次に、操作部22を押圧する力を除去すると、操作部22は、付勢用バネ46の付勢力によって上方に押し上げられ、ピン部材44の端部44aは、ハートカム溝26aのCの位置に移動される。この状態では、図5に示すように、押し棒38は最も上方に上がった位置に移動し、コイルバネ54はパイロット弁40の内部で最大限伸長され、パイロット弁40は主弁体34から離れ、吐水状態となる。
【0059】
図5に示す吐水状態から、操作部22を時計回りに回転操作して吐水流量を減少させると、操作力伝達部材23及びガイド部材24が下方に移動される。これに伴い、押し棒38及びパイロット弁40も下方に下がるが、主弁体34もパイロット弁40のパッキン42との間に微小な隙間を維持しながら下方に移動するので、図9に示すように、パイロット弁40の中のコイルバネ54が圧縮されることはない。また、ピン部材44の端部44aは、ハートカム溝26aのCの位置よりも下方のC1の位置に移動される。
【0060】
ピン部材44の端部44aがハートカム溝26aのC1の位置にある状態において、止水状態にするために操作部22を押圧操作すると、操作部22と共に操作力伝達部材23及びガイド部材24がさらに下方に移動される。これに伴い、押し棒38及びパイロット弁40も下方に下がり、パイロット弁40のパッキン42が主弁体34に押し付けられてコイルバネ54が圧縮される。さらに操作部22を押圧して、操作部22を最大に押し込んだ状態では、ピン部材44の端部44aは、ハートカム溝26aのDの位置に移動される。この状態においては、図10に示す場合と同様に、押し棒38は最も下方に下がった位置に移動し、コイルバネ54は最大限圧縮されて押し棒38のストロークを吸収する(ただし、この状態では、操作力伝達部材23に対する操作部22の位置が、図10とは異なる)。次に、操作部22を押圧する力を除去すると、操作部22は、付勢用バネ46の付勢力によって上方に押し上げられ、ピン部材44の端部44aは、ハートカム溝26aのAの位置に移動され、止水状態となる。
【0061】
本実施形態では、流量調整を最大吐水量に設定した場合には、吐止水操作時の操作部22のストロークは図7の点C−A間の距離となり、流量調整を最少吐水量に設定した場合には、吐止水操作時のストロークは点C1−A間の距離となる。従って、本実施形態では、流量調整の設定位置によって操作部22のストローク及びハートカム機構の作動する距離が変化する。一方、コイルバネ54は、図5に示す最大伸長の状態から、図10に示す最大圧縮の状態まで圧縮されるので、コイルバネ54の最大撓み量は、吐水流量の設定によらず一定である。
【0062】
本発明の第1実施形態の水栓装置によれば、流量調整時において、主弁体は、主に水圧による力で移動されるので、小さな操作力で流量調整を行うことができる。
また、本実施形態の水栓装置によれば、流量調整時において、主弁体はパイロット弁の位置を追従するように移動されるため、パイロット弁の開度に比例して主弁体が移動される流量調整機構に比べ、簡単な機構で、微妙な流量調整を行うことができる。
さらに、本実施形態の水栓装置によれば、パイロット弁の中に配置されたコイルバネの圧縮量が、吐水流量の設定によらず一定であるため、流量調整を可能にするためにコイルバネのストロークを大きくする必要がなく、開閉弁装置を小型化することができる。
【0063】
また、上述した実施形態では、主弁体としてダイヤフラム式のものを使用していたが、変形例として、ピストン式の弁体を主弁体として使用することもできる。
【0064】
次に、図11乃至図14を参照して、本発明の第2実施形態による水栓装置を説明する。本発明の第2実施形態による水栓装置は、使用されている開閉弁装置が、第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、第2実施形態の第1実施形態とは異なる部分のみを説明し、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図11は、本発明の第2実施形態による水栓装置に使用されている開閉弁装置の吐水状態における断面図である。同様に、図12は止水状態、図13は流量を絞った吐水状態、図14は操作部を最大に押し込んだ状態における開閉弁装置の断面図である。
【0065】
図11乃至図14に示すように、本発明の第2実施形態による水栓装置に使用されている開閉弁装置60は、操作部62と、この操作部62と第2付勢用バネ72で係合された操作力伝達部材64と、この操作力伝達部材64の内側に配置されたガイド部材24と、このガイド部材24の内側に挿入されたパイロット弁支持部材66と、を有する。また、開閉弁装置60は、パイロット弁支持部材66の下側に配置された主弁体押え部材28と、バルブ台座部材30とを、有する。さらに、開閉弁装置60は、操作部62、操作力伝達部材64、ガイド部材24、及びパイロット弁支持部材66を包囲して、各部材を所定の位置に拘束する内側カバー68と、この内側カバー68の外側に配置され、内側カバー68と螺合された外側カバー70と、を有する。また、開閉弁装置60は、主弁体34、押し棒38、パイロット弁40、及びパッキン42、を有する。本実施形態において、操作力伝達部材64、ガイド部材24、押し棒38は、パイロット弁移動機構を構成する。
【0066】
操作部62と操作力伝達部材64の間には第2付勢用バネ72が配置され、これらの部材は互いに遠ざかるように付勢されている。また、操作部62の下部には、多角形フランジ62aが形成されている。この多角形フランジ62aは、内側カバー68の上端に形成された多角形穴68aに嵌め込まれて、操作部62から内側カバー68に回転力が伝達されるように構成されている。
パイロット弁支持部材66の上部には、第1実施形態と同様のハートカム溝66aが形成されている。また、パイロット弁支持部材66の下部には、円筒部66cが形成されており、この円筒部66cは、主弁体押え部材28の上部の穴に摺動可能に挿入されている。円筒部66cと主弁体押え部材28の間には、Oリング74が配置され、圧力室の水密性を保持している。
【0067】
内側カバー68は、概ね円筒形の形状を有し、操作力伝達部材64、ガイド部材24、及びパイロット弁支持部材66を包囲して、これらを位置決めしている。また、内側カバー68の外周面には、外側カバー70の内周面に形成された雌ネジと螺合する雄ネジ部68bが形成されている。
【0068】
外側カバー70は、内側カバー68及び主弁体押え部材28を包囲し、主弁体押え部材28及びバルブ台座部材30を位置決めするように構成されている。また、外側カバー70の内周面には雌ネジ部70aが形成され、内側カバー68の外周面の雄ネジ部68bと螺合されている。この構成により、操作部62が回転されると、内側カバー68も共に回転される。内側カバー68が回転されると、その雄ネジ部68bと外側カバー70の雌ネジ部70aの作用により、内側カバー68が上下方向に移動される。これにより、内側カバー68の中に位置決めされた操作力伝達部材64、ガイド部材24、及びパイロット弁支持部材66も内側カバー68と共に回転され、上下方向に移動される。この上下方向の移動により、パイロット弁支持部材66は主弁体押え部材28に対して摺動する。一方、操作部62は第2付勢用バネ72によって上方に付勢されているので、内側カバー68の回転により操作力伝達部材64が下方に移動しても、操作部62は下方には移動されない。
【0069】
次に、図11乃至図14を参照して、本発明の第2実施形態による水栓装置の作用を説明する。
まず、図12に示す止水状態においては、ピン部材44の端部44aは、ハートカム溝66aのAの位置(図7参照)に保持され、パイロット弁支持部材66は下方に下がった位置にある。これに対して、操作部62は、第2付勢用バネ72によって上方に付勢されているので、操作部62及びそれに取り付けられたシャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6は、突出した位置にある。また、この位置では、パイロット弁40のパッキン42は、主弁体34に当接して、圧力開放穴34aを閉鎖し、主弁体34は弁座30bに着座している。
次に、シャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6を一旦押圧して手を放すと、操作部62は、第2付勢用バネ72によって突出した位置に戻る。一方、この操作により、ピン部材44の端部44aは、ハートカム溝66aのCの位置に移動するので、図11に示すように、操作力伝達部材64も上方に移動する。この状態では、パイロット弁40のパッキン42は、主弁体34から引き離され、圧力室内の圧力が低下して吐水状態になる。
【0070】
図11に示す吐水状態では、内側カバー68が外側カバー70に対して最も上方に上昇した位置にあるので、パイロット弁40は、圧力室内で最も上方の位置にある。従って、このとき主弁体34は、弁座30bから最も離れた位置にあり、開閉弁装置60からの吐水流量が最大になる。
【0071】
吐水状態において、シャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6を回転させ、操作部62を回転させると、内側カバー68及びその中に位置決めされた部材は、上方又は下方に移動される。これにより、内側カバー68に対して位置決めされているパイロット弁支持部材66及びパイロット弁40も移動される。図11に示す状態から、シャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6を時計回りに回転させると、操作部62は時計回りに回転され、図13に示すように、内側カバー68、操作力伝達部材64、パイロット弁支持部材66、ガイド部材24、押し棒38、及びパイロット弁40は時計回りに回転されて、下方に移動する。パイロット弁40が下方に移動されると、これに追従するように主弁体34も下方に移動し、開閉弁装置60からの吐水流量が減少する。
【0072】
このとき、パイロット弁40の中に配置されたコイルバネ54は、最大限伸長した状態のままである。また、流量調整時において、ハートカム溝66aが形成されたパイロット弁支持部材66はガイド部材24と共に移動するので、流量調整を行っても、ガイド部材24に取り付けられたピン部材44の端部44aは、ハートカム溝66aのCの位置にとどまる。
【0073】
次に、吐水状態において、シャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6を押圧して、最大限押し込むと、ピン部材44の端部44aは、ハートカム溝66aのDの位置に移動する。次いで、ツマミを押圧する力を除去すると、操作部62は、付勢用バネ46及び第2付勢用バネ72の付勢力によって上方に押し上げられ、ピン部材44の端部44aは、ハートカム溝26aのAの位置に移動され、止水状態となる。また、内側カバー68の外側カバーに対する位置は、押圧操作によって変化しないので、もう一度シャワー用ツマミ4又はカラン用ツマミ6を押圧操作して、開閉弁装置60を吐水状態としたときには、パイロット弁40は前回の流量調整で設定された位置まで引き上げられる。このため、水栓装置からは、前回設定された吐水流量で吐水される。
【0074】
また、図14に示すように、操作部62を最大限押し込んだ位置では、パイロット弁40の中に配置されたコイルバネ54は、圧縮される。図14は、流量調整を最大吐水流量に設定し、操作部62を最大限押し込んだ状態を示す図である。これに対して、吐水流量を減少させるように流量調整を行った場合には、内側カバー68が更に下方に位置するため、操作部62を最大限押し込むと、押し棒38が図14の場合よりも下方に下がり、コイルバネ54の圧縮量が大きくなる。このように、本実施形態の水栓装置では、流量調整の設定により、コイルバネ54の圧縮量が変化する。一方、ラッチ機構であるハートカム機構が作動する距離は、本実施形態においては、流量調整を最大吐水流量に設定した場合、最少吐水流量に設定した場合とも、図7の点C−A間の垂直方向の距離となり、一定である。
【0075】
本発明の第2実施形態の水栓装置によれば、ハートカム機構が作動する距離が、吐水流量の設定によらず一定であるため、水栓装置の操作性を向上させることができる。
【0076】
次に、図15乃至図26を参照して、本発明の第3実施形態による水栓装置を説明する。本発明の第3実施形態による水栓装置は、主に開閉弁装置のパイロット弁移動機構が、第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、第3実施形態の第1実施形態とは異なる部分のみを説明し、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
図15は、本発明の第3実施形態による水栓装置全体を示す斜視図である。また、図16は本実施形態による水栓装置のヘッド部の斜視図であり、図17はその断面図である。図18は水栓装置のヘッド部に組み込まれた開閉弁装置の上面図であり、図19は図18におけるXIX−XIX線に沿って切断した断面図であり、図20は図18におけるXX−XX線に沿って切断した断面図である。また、図21及び図22は、開閉弁装置の分解斜視図である。
【0078】
図15に示すように、本発明の第3実施形態による水栓装置200は、シンクや洗面台(図示せず)上に据え付けられる本体部201aと、この本体部201aから上方に延びるネック部201bと、このネック部201bの先端に配置されたヘッド部202と、を有する。また、本体部201aには吐出される湯の温度を調節するための温度調整部206が設けられ、ヘッド部202には止水、吐水を切替え、吐出流量を調整するための操作ツマミ204が設けられている。ネック部201bは、本体部201aから鉛直上方に延びた後、湾曲して下方に延びる、所謂グースネック状に形成されている。
【0079】
さらに、本体部201aの下部には、本体部201aに水道水を供給するための水用供給管208a及び湯を供給するための湯用供給管208bが接続されている。また、水用供給管208a及び湯用供給管208bの途中には、調圧弁210a、210b、及び逆止弁212a、212bが夫々配置されている。
【0080】
水用供給管208a及び湯用供給管208bから供給された水及び湯は、温度調整部206の設定によって、本体部201a内で適宜混合され、ヘッド部202の先端から吐出されるようになっている。また、ヘッド部202の操作ツマミ204を押圧操作することによって、ヘッド部202からの止水及び吐水の切替えを行うことができるようになっている。さらに、操作ツマミ204を回転操作することにより、吐水流量を調整することができるようになっている。
【0081】
また、ヘッド部202の基端には、フレキシブルホース(図示せず)が接続されており、使用者がヘッド部202を掴んでネック部201bからフレキシブルホースを引き出すことにより、ヘッド部202を自由に動かすことが可能になる。また、ヘッド部202の下端のシャワー切替え操作部205aを回転させることにより、ヘッド部202からの吐水をシャワー又は直流に切替えることができる。
【0082】
次に、図16乃至図22を参照して、本実施形態による水栓装置200のヘッド部202及びそれに内蔵されている開閉弁装置を説明する。
図16及び図17に示すように、ヘッド部202は、水栓本体であるヘッド本体部203と、このヘッド本体部203の中に受け入れられた開閉弁装置220と、この開閉弁装置220の操作部を操作するための操作ツマミ204と、開閉弁装置220を通過した湯をシャワー又は直流で流出させるシャワー切替え部205と、を有する。なお、本実施形態において、シャワー切替え部205は、スパウト部及びシャワーヘッドとして機能する。
【0083】
ヘッド本体部203は、湾曲した管状部分から円柱状の操作部分を突出させた形態を有する。湾曲した管状部分の基端203aにはフレキシブルホース(図示せず)が接続され、この基端203aから湯水混合水を流入させるようになっている。また、湾曲した管状部分の先端203bにはシャワー切替え部205が取り付けられている。さらに、湾曲した管状部分から突出する円柱状の操作部分には、開閉弁装置220を受け入れるための開閉弁装置受入部203cが形成されている。また、開閉弁装置受入部203cの底には、開閉弁装置220の主弁体234を着座させるための弁座である主弁座203dが形成されている。ヘッド本体部203の基端203aから流入した湯は、開閉弁装置受入部203cに受け入れられている開閉弁装置220の主弁体234と主弁座203dの間を通って先端203bに到達し、シャワー切替え部205によってシャワー又は直流にされて吐出される。
【0084】
操作ツマミ204は、概ね円筒キャップ状の形状を有し、開閉弁装置220の操作部222に取り付けられ、使用者が操作部222を押圧操作及び回転操作できるように構成されている。
シャワー切替え部205は、ヘッド本体部203の先端に取り付けられており、リング状のシャワー切替え操作部205aを回転操作することにより、吐出される湯をシャワー又は直流に切替えることができるように構成されている。また、シャワー切替え部205は、開閉弁装置220の上流側の圧力が異常上昇した場合に、開閉弁装置220をバイパスして湯を流出させるためのバイパス弁205bを備えている。
【0085】
次に、図17乃至図22を参照して、開閉弁装置220を説明する。開閉弁装置220は、操作部222と、この操作部222の外側を包囲する操作部押え部材223と、操作部222の内側に配置され、操作部222の操作に伴って移動する操作力伝達部材224と、この操作力伝達部材224の内側に配置された中間部材228と、この中間部材228の内壁面に沿うように配置される圧力室形成部材226と、操作部押え部材223の外側に配置されたカバー232と、を有する。
【0086】
また、開閉弁装置220は、操作力伝達部材224に取り付けられた2本の棒部材238と、これらの棒部材238と摺動可能に係合するパイロット弁240と、このパイロット弁240の先端に取り付けられたパッキン242と、パイロット弁240によって開閉される圧力開放穴234aが設けられた主弁体234と、を有する。さらに、開閉弁装置220は、主弁体234を中間部材228との間に挟んで固定するための台座部材230を有する。なお、本実施形態において、操作力伝達部材224、及び棒部材238は、パイロット弁移動機構を構成する。
【0087】
操作部222は、上端が閉鎖した概ね円筒状の形状に形成され、その上端面には十字形の隆起部222aと、隆起部222aの間に配置された4つの爪部222bが形成されている。この爪部222bによって操作部222は操作ツマミ204にスナップ止めされ、また、隆起部222aが操作ツマミ204の裏側に形成された溝(図示せず)に受け入れられることによって、操作ツマミ204と操作部222の相対的な回転が阻止されるようになっている。また、操作部222の下端には外方に突出したフランジ部222cが形成され、このフランジ部の円周上の2箇所にストッパー突起222dが夫々形成されている。
【0088】
また、操作部押え部材223は、概ね円筒状の形状を有し、操作部222を包囲するように配置されている。操作部押え部材223の下端にはフランジ部223aが、上端には2つの突起223bが夫々形成されている。また、操作部押え部材223の上端には内方に張り出した張り出し部223c(図20)が形成されており、この張り出し部223cが操作部222のフランジ部222cと係合することによって、操作部222が上方に飛び出すのを防止している。また、操作部押え部材223の内壁面には、上下方向に延びる細長い突起であるストッパー当接部223d(図20)が、2箇所に形成されている。このストッパー当接部223dは、操作部222のフランジ部222cに形成されたストッパー突起222dと係合することにより、操作部222の回転を所定範囲に規制している。なお、本実施形態において、ストッパー突起222d及びストッパー当接部223dは、回転規制手段を構成する。
【0089】
操作力伝達部材224は、切欠を設けた円板状の上部分224aと、この上部分224aから下方に延びる4本の脚部224bと、を有し、操作部222の内側に配置されている。上部分224aの上面は、操作部222の内壁面上部に形成されたカム222fと係合されており、操作部222が回転されると、このカム222fに摺動する操作力伝達部材224が上下に移動されるように構成されている。また、上部分224aには、門型に曲げられたピン部材244が取り付けられている。さらに、2本の棒部材238が、上部分224aから下方に延びるように、取り付けられている。さらに、付勢用バネ246が、上部分224aの下面に当接するように配置されており、操作力伝達部材224及び操作部222を中間部材228に対して上方に押し上げるように付勢している。
【0090】
中間部材228は、操作力伝達部材224の下側に、操作力伝達部材224の脚部224bの間に受け入れられるように配置されている。中間部材228は、長円形断面の筒状の上部分228aと、外周にスプラインが形成された円筒状の第2段部228bと、第2段部228bよりも直径が大きい第3段部228cと、を有する。上部分228aは、操作力伝達部材224の脚部224bの間に摺動可能に受け入れられており、これにより、中間部材228と操作力伝達部材224は上下方向に相対移動可能であるが、それらの間の相対的な回転は拘束される。また、上部分228aの平面状の両側面には、ラッチ機構であるハートカム機構の一部を構成するハートカム溝228dが形成されている。このハートカム溝228dの中にピン部材244の先端が受け入れられ、ハートカム溝228dに沿って操作力伝達部材224が移動することによって、操作力伝達部材224は所定の高さに保持される。また、第2段部228bに形成されたスプラインは、操作部押え部材223の下端内周部に形成されたスプラインと係合し、操作部押え部材223と中間部材228の相対的な回転位置が調整できるように構成されている。
【0091】
圧力室形成部材226は、長円形断面の筒状の上部分226aと、この下側に形成された円筒状の下部分226bと、を有し、中間部材228の内壁面に沿うように配置されている。圧力室形成部材226の上面と中間部材228の天井面の間には、2つのOリング252が配置されている。これらのOリング252は、操作力伝達部材224から中間部材228及び圧力室形成部材226を貫通して延びる2本の棒部材238と中間部材228の間の水密性を確保するために配置されている。
【0092】
主弁体234は、中間部材228及び圧力室形成部材226の下端と、台座部材230の上端との間に挟まれて位置決めされ、圧力室形成部材226の内壁面との間に圧力室を形成するように構成されている。主弁体234は、概ね円板状のダイヤフラム式の弁体であり、その中央には圧力開放穴234aが設けられ、外周部にはダイヤフラム部234bが設けられている。また、主弁体234には、上流側の水を流入させるための穴234cが形成されており、この穴234cには、クリーニングピン250が貫通されている。
【0093】
パイロット弁240は、概ねT字形の部材であり、その中心部にはパイロット弁付勢バネ254を受け入れるための凹部240aが形成されている。また、T字形の両側のアーム部240bには穴が形成され、その中に棒部材238が貫通されている。パイロット弁付勢バネ254は、その上端が圧力室形成部材226の天井面に当接し、その下端が凹部240aの底面に当接しているため、パイロット弁240は、パイロット弁付勢バネ254によって常に下方に付勢されている。この付勢力により、パイロット弁240の先端のパッキン242が、主弁体234の圧力開放穴234aに当接され、圧力開放穴234aは閉鎖される。
【0094】
また、パイロット弁240は、それを貫通している2本の棒部材238に沿って上下方向に摺動することができるように配置されている。さらに、棒部材238の先端には、直径が拡張された拡張部238aが形成されており、棒部材238が上方に引き上げられると拡張部238aとパイロット弁240が係合される。このため、棒部材238が操作力伝達部材224と共に上方に上昇されると、棒部材238の拡張部238aとパイロット弁240が係合し、パイロット弁240がパイロット弁付勢バネ254の付勢力に抗して上方に引き上げられる。これにより主弁体234の圧力開放穴234aが開放される。
【0095】
カバー232は、概ね円筒状であり、操作部押え部材223の周囲を取り囲むように配置されている。カバー232の外周上部には、多数の縦方向の溝であるクリック溝232aが形成されている。また、カバー232の外周下部には、雄ネジ山が形成されており、この雄ネジ山がヘッド本体部203の開閉弁装置受入部203cに形成された雌ネジ山に螺合されることにより、開閉弁装置220をヘッド本体部203に固定している。一方、操作ツマミ204の内側の側面には、筒状の板バネ256が取り付けられており、この板バネ256は、クリック溝232aに対向する位置でカバー232を包囲している。板バネ256の円周上の2箇所には、内方に突出するように曲げられた隆起部256aが形成されており、これら隆起部256aは、カバー232のクリック溝232aに夫々受け入れられている。この構成により、操作ツマミ204をカバー232に対して上下方向に移動させるときは、弱い力で操作ツマミ204を移動させることができるが、操作ツマミ204を回転させるには、板バネ256を弾性変形させてクリック溝232aを乗り越える必要があるため、ある程度の操作力が必要になる。このため、使用者が操作ツマミ204を回転させる際にはクリック感があり、操作ツマミ204の偶発的な回転は阻止される。なお、本実施形態において、クリック溝232a及び板バネ256は、回転抵抗手段を構成する。
【0096】
また、カバー232の内周上部には、スプライン232bが形成されている。さらに、カバー232の上部には、環状の押え部材248が嵌め込まれており、この押え部材248の外周に形成されたスプライン248aが、カバー232のスプライン232bと係合するように構成されている。また、押え部材248の円周上の2箇所には、切欠部248bが形成されており、これらの切欠部248bの中に操作部押え部材223の上端の突起223bが受け入れられるようになっている。この構成により、押え部材248、カバー232及び操作部押え部材223の間の相対的な回転は阻止される。
【0097】
次に、図23及び図24を参照して、開閉弁装置220のパイロット弁移動機構を説明する。図23は、主弁体234と主弁座203dの間の距離と、開閉弁装置220を流れる湯の流量の関係を示すグラフである。また、図24は、開閉弁装置220における操作ツマミ204の回転角度とパイロット弁240の位置の関係を実線に、回転角度と流量の関係を破線に示すグラフである。
【0098】
本実施形態において使用されている開閉弁装置220は、第1、第2実施形態と同様に、パイロット弁移動機構によってパイロット弁240を上下に連続的に移動させ、主弁体234をその移動に追従させることによって流量を調整している。図23に示すように、開閉弁装置220から流出する湯の流量は、主弁体234と主弁座203dの間の距離には比例していない。即ち、主弁体234と主弁座203dが近接している領域では、それらが離れると流量は急激に増加し、主弁体234と主弁座203dが離れている領域では、それらの間の距離が変化してもあまり流量は変化しない。従って、パイロット弁移動機構が操作ツマミ204の回転角度に比例してパイロット弁240を移動させたとすると、最少流量付近では操作ツマミ204の所定の回転角度に対して大きく流量が変化し、最大流量付近では所定の回転角度に対して殆ど流量が変化しなくなる。このような構成では、吐出流量の微調整が困難となる。
【0099】
そこで、本実施形態においては、図24の実線に示すように、操作ツマミ204の回転角度に対するパイロット弁240の移動を、図23の曲線とは逆の傾向の特性を持つように、即ち、操作部222を所定の回転角度操作したときのパイロット弁240の移動距離が、パイロット弁240の位置により異なるように構成されている。従って、本実施形態においては、最少流量付近では操作ツマミ204の所定の回転角度に対するパイロット弁240の移動距離が小さく、最大流量付近では所定の回転角度に対する移動距離が大きくなる。この構成により、図24の破線に示すように、操作ツマミ204の回転角度と吐出流量はほぼ比例するようになる。従って、操作ツマミ204の所定の回転角度に対する吐出流量の増加量はほぼ一定となり、吐出流量の微調整が可能になる。具体的には、操作部222の内壁面に形成されたカム222fの曲線を、図24の実線のように形成する。即ち、本実施形態においては、カム222fを平面に展開すると、その曲線は図24の実線のようになっている。
【0100】
次に、図15、図17、図25、及び図26を参照して、本発明の第3実施形態による水栓装置200の作用を説明する。図17は、本実施形態による水栓装置200に使用されている開閉弁装置220が止水状態にある場合を示している。また、図25は開閉弁装置220を吐水状態とし、吐出流量を最大にした場合、図26は吐出流量をある程度絞った場合を夫々示している。
【0101】
まず、図17において、開閉弁装置220の止水状態においては、操作部222はハートカム機構により下降した位置に保持されており、操作部222と連動する棒部材238も下降した位置にある。なお、ハートカム機構の作用は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。棒部材238が下降した状態では、その拡張部238aとパイロット弁240のアーム部240bは係合せず、パイロット弁240のパッキン242は、パイロット弁付勢バネ254の付勢力によって主弁体234に押し付けられる。パッキン242が主弁体234に押し付けられ、主弁体234の圧力開放穴234aが閉鎖された状態では、穴234cを通って流入する湯の圧力により圧力室内の圧力が高くなる。この圧力により主弁体234は下方に移動され、主弁座203dに着座する。これにより止水状態が維持される。
【0102】
次に、操作ツマミ204を1回押圧操作すると、ハートカム機構による保持が解除され、操作力伝達部材224及びこれと連動する操作部222、棒部材238は、付勢用バネ246の付勢力により上方に移動される(図25)。棒部材238が引き上げられると、その先端の拡張部238aとパイロット弁240のアーム部240bが係合し、パイロット弁付勢バネ254の付勢力に抗してパイロット弁240も上方に引き上げられる。パイロット弁240が引き上げられると、パッキン242が主弁体234から離れ、圧力開放穴234aが開放される。これにより、圧力室内の圧力が低下し、主弁体234は主弁座203dから離座する。
【0103】
主弁体234が離座すると、水用供給管208aに供給された水道水は、調圧弁210a及び逆止弁212aを通って温度調整部206に流入する。一方、湯用供給管208bに供給された水道水は、調圧弁210b及び逆止弁212bを通って温度調整部206に流入する。温度調整部206では、そのダイヤルの設定により、水及び湯を流入させる流路断面積を変化させ、これにより水と湯の混合割合が変化される。温度調整部206に流入した水及び湯は、温度調整部206のダイヤルの設定に応じた割合で混合され、適温に調整される。なお、本実施形態の水栓装置200においては、水及び湯が夫々調圧弁210a、210bを通って温度調整部206に流入するため、水及び湯の供給圧力がほぼ等しく、水及び湯が流入する流量の割合は、それらの流路断面積の割合に比例する。このため、温度調整部206により設定することができる温度調整範囲は非常に広くなる。
【0104】
温度調整部206により適温に調整された湯は、ネック部201bを通ってヘッド部202に至り、ヘッド本体部203内の主弁座203dと主弁体234の間を通過する。主弁座203dと主弁体234の間を通った湯は、シャワー切替え部205に流入し、シャワー又は直流としてヘッド部202から吐出される。
【0105】
吐出流量を調整する場合には、操作ツマミ204を回転操作する。図25は、開閉弁装置220の吐出流量を最大にした状態を示しているが、この状態から吐出流量を減少させる場合には、操作ツマミ204を時計回りに回転操作する。操作ツマミ204を回転させると、それに固定されている操作部222も同様に回転される。操作部222の内壁面のカム222fに係合されている操作力伝達部材224は、上下方向に摺動可能であるが、その回転は拘束されている。このため、操作力伝達部材224は、操作部222が時計回りに回転されるとカム222fに沿って下方に移動される。操作力伝達部材224が下方に移動されると、これに取り付けられている棒部材238も下降する。棒部材238が下降すると、パイロット弁240は、そのアーム部240bと棒部材238の拡張部238aが係合した状態を維持しながら、パイロット弁付勢バネ254の付勢力により下降される(図26)。このパイロット弁240の下降に追従して、主弁体234も下降し、吐出流量が減少する。主弁体234がパイロット弁240に追従するように移動される作用は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。なお、カム222fは図24の実線に示す曲線に形成されているため、操作ツマミ204の回転角度と吐出流量はほぼ比例する。
【0106】
操作ツマミ204を時計回りにさらに回転操作すると、操作部222の外周に形成されたストッパー突起222dと、操作部押え部材223の内壁面に形成されたストッパー当接部223dが係合し、操作ツマミ204の回転が阻止される。本実施形態においては、操作ツマミ204を回転操作し、吐出流量を最少に絞った場合でも、毎分1リットル程度吐水されるように構成されている。なお、このような少量の吐水を実現するためのパイロット弁240の位置決めは、図23に示した主弁体−主弁座間距離と流量の関係からも明らかなように、高い精度が要求される。
【0107】
本実施形態における開閉弁装置220では、最少流量時のパイロット弁240の位置決めを調整可能としている。即ち、中間部材228と操作部押え部材223は、それらに形成されているスプラインによって係合され、操作部押え部材223の回転位置が拘束されている。このため、スプラインによる係合位置を変化させ、中間部材228に対する操作部押え部材223の回転位置を調整することによって、その内壁面に形成されたストッパー当接部223dの位置を調整することができる。従って、パイロット弁240が適切な位置まで下降したとき、ストッパー当接部223dと操作部222のストッパー突起222dが当接するように、ストッパー当接部223dの位置を、開閉弁装置220の組み立て時等において調整して最少流量を設定しておく。本実施形態において、中間部材228及び操作部押え部材223に形成されているスプラインは、最少吐水流量設定手段として機能する。
【0108】
逆に、吐出流量を増加させる場合には、操作ツマミ204を反時計回りに回転操作し、パイロット弁240を上昇させることによって主弁体234を上昇させる。また、止水状態に切替える場合には、再度操作ツマミ204を押圧操作し、操作部222を下降した位置に保持させる。これにより、主弁体234の圧力開放穴234aは閉鎖され、主弁体234は主弁座203dに着座し、止水状態となる。なお、この際、操作部222の回転位置は変化しないため、開閉弁装置220を次回吐水状態に切替えたときは、前回設定された流量で吐水される。さらに、操作ツマミ204には、操作ツマミ204に取り付けられた板バネ256とカバー232に形成されたクリック溝232aによるクリックストップ機構が設けられているため、操作ツマミ204の偶発的な回転が阻止される。また、操作部222を押圧操作した際に、操作力伝達部材224に係合しているカム222fの作用により、操作部222が回転されるのを防止することができる。
【0109】
本発明の第3実施形態による水栓装置によれば、操作ツマミを所定の角度回転操作したときのパイロット弁の移動距離がパイロット弁の位置により異なるように構成されているので、主弁体と弁座の間の距離と吐水流量が比例しない場合においても、操作部の回転角度と吐水流量をほぼ比例させることができる。
また、本実施形態による水栓装置によれば、操作部の偶発的な回転を防止するための回転抵抗手段が設けられているので、操作部の押圧操作等により、偶発的に操作部が回転してしまい、吐水流量の設定が変化するのを防止することができる。
さらに、本実施形態による水栓装置によれば、吐水流量を最少にした場合における吐水流量を設定する最少吐水流量設定手段が設けられているので、最少の吐水流量を正確に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の第1実施形態による水栓装置全体を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による水栓装置の本体部を拡大して示す斜視断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による水栓装置の開閉弁装置の部分を拡大した上面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿って切断された開閉弁装置の部分の断面図である。
【図5】図3のV−V線に沿って切断された開閉弁装置の部分の断面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿って切断された開閉弁装置の部分の断面図である。
【図7】開閉弁装置に使用されているパイロット弁支持部材に形成されたハートカム溝の拡大図である。
【図8】図5の状態の開閉弁装置を押圧操作して止水状態にした開閉弁装置の断面図である。
【図9】吐水状態において流量調節を行い、吐水流量を最少とした開閉弁装置の断面図である。
【図10】図5の状態の開閉弁装置を押圧操作して、操作部を最大に押し込んだ開閉弁装置の断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態による水栓装置に使用されている開閉弁装置の吐水状態における断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態による水栓装置に使用されている開閉弁装置の止水状態における断面図である。
【図13】本発明の第2実施形態による水栓装置に使用されている開閉弁装置の流量を絞った状態における断面図である。
【図14】本発明の第2実施形態による水栓装置に使用されている開閉弁装置の操作部を最大に押し込んだ状態における断面図である。
【図15】本発明の第3実施形態による水栓装置全体を示す斜視図である。
【図16】本発明の第3実施形態による水栓装置のヘッド部の斜視図である。
【図17】本発明の第3実施形態による水栓装置のヘッド部の断面図である。
【図18】ヘッド部に組み込まれた開閉弁装置の上面図である。
【図19】図18におけるXIX−XIX線に沿って切断した断面図である。
【図20】図18におけるXX−XX線に沿って切断した断面図である。
【図21】開閉弁装置の分解斜視図である。
【図22】開閉弁装置の分解斜視図である。
【図23】主弁体−主弁座間距離と湯の流量の関係を示すグラフである。
【図24】操作ツマミの回転角度とパイロット弁の位置の関係を実線に、回転角度と流量の関係を破線に示すグラフである。
【図25】開閉弁装置を吐水状態とし、吐出流量を最大にした状態を示す断面図である。
【図26】開閉弁装置を吐水状態とし、吐出流量をある程度絞った状態を示す断面図である。
【図27】従来の流量調整機能を有する吐水装置の断面図である。
【図28】従来の流量調整機能を有する他の吐水装置の断面図である。
【符号の説明】
【0111】
1 本発明の第1実施形態による水栓装置
2 本体部
4 シャワー用ツマミ
6 カラン用ツマミ
8 温度調整用ツマミ
10 シャワーヘッド
12 カラン吐水口
14 温度調整部本体
16 開閉弁部本体
18 温度調整用バルブ
20 開閉弁装置
22 操作部
23 操作力伝達部材
24 ガイド部材
26 パイロット弁支持部材
28 主弁体押え部材
30 バルブ台座部材
32 カバー
34 主弁体
38 押し棒
40 パイロット弁
42 パッキン
44 ピン部材
46 付勢用バネ
50 クリーニングピン
60 本発明の第2実施形態の水栓装置に使用されている開閉弁装置
62 操作部
64 操作力伝達部材
66 パイロット弁支持部材
68 内側カバー
70 外側カバー
200 本発明の第3実施形態による水栓装置
201a 本体部
201b ネック部
202 ヘッド部
203 ヘッド本体部
203a 基端
203b 先端
203c 開閉弁装置受入部
203d 主弁座
204 操作ツマミ
205 シャワー切替え部
205a シャワー切替え操作部
205b バイパス弁
206 温度調整部
208a 水用供給管
208b 湯用供給管
210a、210b 調圧弁
212a、212b 逆止弁
220 開閉弁装置
222 操作部
222a 隆起部
222b 爪部
222c フランジ部
222d ストッパー突起
222f カム
223 操作部押え部材
223a フランジ部
223b 突起
223c 張り出し部
223d ストッパー当接部
224 操作力伝達部材
224a 上部分
224b 脚部
226 圧力室形成部材
228 中間部材
228a 上部分
228b 第2段部
228c 第3段部
228d ハートカム溝
230 台座部材
232 カバー
232a クリック溝
232b スプライン
234 主弁体
234a 圧力開放穴
234b ダイヤフラム部
234c 穴
238 棒部材
238a 拡張部
240 パイロット弁
240a 凹部
240b アーム部
242 パッキン
246 付勢用バネ
248 押え部材
248a スプライン
250 クリーニングピン
252 Oリング
254 パイロット弁付勢バネ
256 板バネ
256a 隆起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
止水状態と吐水状態を切り替え且つ吐水流量を調整することができる開閉弁装置であって、
弁座と、
この弁座に着座し又はこの弁座から離れるように移動されることによって、止水状態と吐水状態を切り替える、圧力開放穴が設けられた主弁体と、
この主弁体と共に移動される上記圧力開放穴の開度を変化させるために、上記主弁体の移動方向に移動可能に設けられたパイロット弁と、
このパイロット弁の移動によって上記圧力開放穴の開度が変化すると、内部の圧力が変化して、上記主弁体を上記弁座に近づき又は離れるように移動させる圧力室と、
吐水操作、止水操作、及び/又は流量調整操作を行うための操作部と、
上記操作部の止水操作により上記パイロット弁を上記圧力開放穴に押し付け、上記操作部の吐水操作により上記パイロット弁を上記圧力開放穴から引き離し、上記操作部の流量調整操作により上記パイロット弁を上記主弁体の移動方向に連続的に移動させるパイロット弁移動機構と、
を有することを特徴とする開閉弁装置。
【請求項2】
上記主弁体が、ダイヤフラム式の弁体である請求項1記載の開閉弁装置。
【請求項3】
上記パイロット弁移動機構が、上記操作部を押圧操作することにより、上記パイロット弁を上記圧力開放穴に押し付け又は上記圧力開放穴から引き離し、上記操作部を回転操作することにより、上記パイロット弁を上記主弁体の移動方向に連続的に移動させる請求項1又は2に記載の開閉弁装置。
【請求項4】
上記パイロット弁移動機構が、上記操作部を所定の角度回転操作したときの上記パイロット弁の移動距離が上記パイロット弁の位置により異なるように構成されている請求項3記載の開閉弁装置。
【請求項5】
さらに、上記操作部の偶発的な回転を防止するための回転抵抗手段を有する請求項3又は4に記載の開閉弁装置。
【請求項6】
さらに、上記操作部を回転操作することができる範囲を規制する回転規制手段を有し、吐水状態において、上記操作部を吐水流量が最少になる位置に操作した場合においても、上記圧力開放穴が開放されている請求項3乃至5の何れか1項に記載の開閉弁装置。
【請求項7】
上記回転規制手段が、吐水流量が最少になるように上記操作部を操作した場合における吐水流量を設定するための最少吐水流量設定手段を有する請求項6記載の開閉弁装置。
【請求項8】
さらに、上記パイロット弁と上記パイロット弁移動機構の間に配置された緩衝バネを有し、上記パイロット弁移動機構が、上記パイロット弁を止水状態の位置又は吐水状態の位置に保持するラッチ機構を有し、上記操作部の流量調整操作により、上記ラッチ機構の止水状態の位置と吐水状態の位置との間の距離は変化し、止水状態における上記緩衝バネの撓み量は上記操作部の流量調整操作によらず一定である請求項3乃至7の何れか1項に記載の開閉弁装置。
【請求項9】
さらに、上記パイロット弁と上記パイロット弁移動機構の間に配置された緩衝バネを有し、上記パイロット弁移動機構が、上記パイロット弁を止水状態の位置又は吐水状態の位置に保持するラッチ機構を有し、上記操作部の流量調整操作により、止水状態における上記緩衝バネの撓み量は変化し、上記ラッチ機構の止水状態の位置と吐水状態の位置との間の距離は上記操作部の流量調整操作によらず一定である請求項3乃至7の何れか1項に記載の開閉弁装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の開閉弁装置と、
この開閉弁装置を受け入れる水栓本体と、
この水栓本体と連通する吐水口を備えたスパウト部又はシャワーヘッドと、
を有することを特徴とする水栓装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
止水状態と吐水状態を切り替え且つ吐水流量を調整することができる開閉弁装置であって、
弁座と、
この弁座に着座し又はこの弁座から離れるように移動されることによって、止水状態と吐水状態を切り替える、圧力開放穴が設けられた主弁体と、
この主弁体と共に移動される上記圧力開放穴の開度を変化させるために、上記主弁体の移動方向に移動可能に設けられたパイロット弁と、
このパイロット弁を取り囲むように形成され、上記パイロット弁の移動によって上記圧力開放穴の開度が変化すると、内部の圧力が変化して、上記主弁体を上記弁座に近づき又は離れるように移動させる圧力室と、
吐水操作、止水操作、及び/又は流量調整操作を行うための操作部と、
上記操作部の止水操作により上記パイロット弁を上記圧力開放穴に押し付け、上記操作部の吐水操作により上記パイロット弁を上記圧力開放穴から引き離し、上記操作部の流量調整操作により上記パイロット弁を上記主弁体の移動方向に連続的に移動させるパイロット弁移動機構と、を有し、
上記主弁体は、上記パイロット弁が流量調整操作により連続的に移動されると、上記圧力室内の圧力により上記パイロット弁と同一の方向に連続的に移動されることを特徴とする開閉弁装置。
【請求項2】
上記主弁体が、ダイヤフラム式の弁体である請求項1記載の開閉弁装置。
【請求項3】
上記パイロット弁移動機構が、上記操作部を押圧操作することにより、上記パイロット弁を上記圧力開放穴に押し付け又は上記圧力開放穴から引き離し、上記操作部を回転操作することにより、上記パイロット弁を上記主弁体の移動方向に連続的に移動させる請求項1又は2に記載の開閉弁装置。
【請求項4】
上記パイロット弁移動機構が、上記操作部を所定の角度回転操作したときの上記パイロット弁の移動距離が上記パイロット弁の位置により異なるように構成されている請求項3記載の開閉弁装置。
【請求項5】
さらに、上記操作部の偶発的な回転を防止するための回転抵抗手段を有する請求項3又は4に記載の開閉弁装置。
【請求項6】
さらに、上記操作部を回転操作することができる範囲を規制する回転規制手段を有し、吐水状態において、上記操作部を吐水流量が最少になる位置に操作した場合においても、上記圧力開放穴が開放されている請求項3乃至5の何れか1項に記載の開閉弁装置。
【請求項7】
上記回転規制手段が、吐水流量が最少になるように上記操作部を操作した場合における吐水流量を設定するための最少吐水流量設定手段を有する請求項6記載の開閉弁装置。
【請求項8】
さらに、上記パイロット弁と上記パイロット弁移動機構の間に配置された緩衝バネを有し、上記パイロット弁移動機構が、上記パイロット弁を止水状態の位置又は吐水状態の位置に保持するラッチ機構を有し、上記操作部の流量調整操作により、上記ラッチ機構の止水状態の位置と吐水状態の位置との間の距離は変化し、止水状態における上記緩衝バネの撓み量は上記操作部の流量調整操作によらず一定である請求項3乃至7の何れか1項に記載の開閉弁装置。
【請求項9】
さらに、上記パイロット弁と上記パイロット弁移動機構の間に配置された緩衝バネを有し、上記パイロット弁移動機構が、上記パイロット弁を止水状態の位置又は吐水状態の位置に保持するラッチ機構を有し、上記操作部の流量調整操作により、止水状態における上記緩衝バネの撓み量は変化し、上記ラッチ機構の止水状態の位置と吐水状態の位置との間の距離は上記操作部の流量調整操作によらず一定である請求項3乃至7の何れか1項に記載の開閉弁装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の開閉弁装置と、
この開閉弁装置を受け入れる水栓本体と、
この水栓本体と連通する吐水口を備えたスパウト部又はシャワーヘッドと、
を有することを特徴とする水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2006−22638(P2006−22638A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132867(P2005−132867)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】