説明

開閉検出装置

【課題】固定ユニットと可動ユニットとで構成可能な開閉体において、固定ユニットと可動ユニットとの距離又は方向に拘わらず、開閉体の開閉状態を高精度に検出する。
【解決手段】開閉体の固定部に設けられた固定ユニットと、固定部により支持される開閉体の可動部に設けられた可動ユニットとを備える開閉検出装置である。可動ユニットは、磁界発生部を有する。固定ユニットは、可動ユニットの磁界発生部からの磁界を検出する複数の磁界検出部と、複数の磁界検出部により検出された各磁界に基づく各出力電圧に応じて、開閉体の開閉状態を判定する開閉状態判定部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉、ドア又は窓等に例示される開閉体の開閉状態を検出する開閉検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家屋又はオフィスビル等における高度な安全性及び防犯性の向上を図るための対策として、扉、ドア又は窓等に例示される開閉体に、開閉体の開閉状態を検出するための開閉検出センサが取り付けられることが少なくない。この様な開閉検出センサには、リミットスイッチ又はマグネットスイッチが主に用いられてきた。
【0003】
リミットスイッチは、接触型の検出器であり、動作対象である開閉体の動きによってアクチュエータを操作して、マイクロスイッチにアクチュエータの動きを伝達して開閉体の備える電気回路を開閉する機械的なスイッチである。リミットスイッチは、開閉体の位置の検出等に用いられる。
【0004】
マグネットスイッチは、非接触型の検出器であり、例えば可動ユニットと固定ユニットとで構成可能な開閉体に設けられる。例えば、マグネットスイッチは、固定ユニットにリードスイッチ部と、可動ユニットに永久磁石であるマグネット部とが設けられる。リードスイッチ部は、単一の磁気センサ素子で構成され、マグネット部を構成する永久磁石により発生された磁力線(磁界)を検出する。
【0005】
マグネットスイッチは、リードスイッチ部がマグネット部の磁界を検出したときに接点を閉じ、マグネット部の磁界を検出しなくなったときに接点を開くことにより、開閉体の開閉動作を制御する(例えば、特許文献1参照)。この場合、開閉体の閉状態において、可動ユニットの永久磁石と、固定ユニットの単一の磁気センサ素子とが、対向して配置される様に構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−36476号公報(段落0005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来のマグネットスイッチでは固定ユニットに単一の磁気センサ素子が設けられただけであった。このため、図14に示す様に、固定ユニットFzの磁気センサ素子Szと可動ユニットMzの永久磁石PMzとの物理的な距離に応じて、磁気センサ素子Szが永久磁石PMzからの磁界を検出する精度が劣化するという課題がある。
【0008】
図14は、従来のマグネットスイッチにおける開閉体の開閉状態を検出する際の説明図である。同図(a)は、可動ユニットMzのスライド動作前の状態を示す説明図である。同図(b)は、可動ユニットMzのスライド動作後の状態を示す説明図である。図14において、磁気センサ素子Szは、永久磁石PMzから放射された磁力線(磁界)を検出し易くするために、固定部Fzの中央部分に配置されている。
【0009】
図14(a)の状態では、磁気センサ素子Szは、永久磁石PMzから放射された磁力線(磁界)を検出することが可能である。しかし、図14(b)の状態では、可動部Mzがスライド動作又は回転動作した場合に、永久磁石PMzと磁気センサ素子Szとの物理的な距離又は方向に応じて、磁気センサ素子Szにおける磁界の検出精度が劣化することがあった。
【0010】
また、図15(b)に示す様に、固定ユニットFzにおける磁気センサ素子の配置場所を中央部分からずらした場合を考える。図15は、従来のマグネットスイッチにおける開閉体の開閉状態を検出する際の説明図である。同図(a)は、可動ユニットMzのスライド動作前の状態を示す説明図である。同図(b)は、可動ユニットMzのスライド動作後の状態を示す説明図である。図15において、磁気センサ素子Szは、固定部Fzの中央部分ではなく、当該固定部Fzの端部近傍に配置されている。
【0011】
図15(a)の状態では、図14(a)に示す状態と同様に、磁気センサ素子Szは、永久磁石PMzから放射された磁力線(磁界)を検出することが可能である。しかし、図15(b)の状態では、可動ユニットMzがスライド動作又は回転動作した場合に、永久磁石PMzと磁気センサ素子Szとの物理的な距離又は方向に応じて、磁気センサ素子Szにおける磁界の検出精度が劣化することがあった。
【0012】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、固定ユニットと可動ユニットとで構成可能な開閉体において、固定ユニットと可動ユニットとの距離又は方向に拘わらず、開閉体の開閉状態を高精度に検出する開閉検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明の開閉検出装置は、開閉体の固定部に設けられた固定ユニットと、固定部により支持される開閉体の可動部に設けられた可動ユニットとを備える開閉検出装置であって、可動ユニットは、磁界発生部を有し、固定ユニットは、可動ユニットの磁界発生部からの磁界を検出する複数の磁界検出部と、複数の磁界検出部により検出された各磁界に基づく各出力電圧に応じて、開閉体の開閉状態を判定する開閉状態判定部と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上述した開閉検出装置であって、複数の各磁界検出部は、可動ユニットの磁界発生部からの磁界の着磁方向に対して垂直に並べられていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上述した開閉検出装置であって、固定ユニットは、複数の各磁界検出部により検出された各磁界に基づく各出力電圧の差分と、所定の閾値電圧とを比較する電圧差分比較部と、を更に有し、開閉状態判定部は、各出力電圧の差分が所定の閾値電圧を超えると判定された場合に、開閉体は閉状態であると判定することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上述した開閉検出装置であって、開閉状態判定部は、各出力電圧の差分が所定の閾値電圧未満であると判定された場合に、開閉体は開状態であると判定することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上述した開閉検出装置であって、固定ユニットは、可動ユニットの移動量と、複数の磁界検出部により検出された各磁界に基づく各出力電圧の差分との関係を示す移動量情報を記憶する第1メモリ部と、第1メモリ部に記憶されている移動量情報に基づいて、電圧差分比較部により演算された各出力電圧の差分に対応する可動ユニットの移動量を推定する移動量推定部と、を更に有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上述した開閉検出装置であって、磁界発生部は、永久磁石であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上述した開閉検出装置であって、磁界発生部は、電磁石であり、可動ユニットは、開閉体が閉状態である際に開閉体の施錠又は解錠を制御する電気錠部と、電気錠部により施錠又は解錠された開閉体の施解錠の状態を示す施解錠状態情報を記憶する第2メモリ部と、電磁石の動作を制御する電磁石制御部と、第2メモリ部に記憶されている施解錠状態情報に応じて、施解錠状態情報に対応する信号波形に従って電磁石制御部を制御する信号処理部とを更に有し、固定ユニットは、電気錠部により施錠又は解錠された開閉体の施解錠の状態に応じた信号波形を記憶する第3メモリ部と、複数の各磁界検出部により検出された各磁界に基づいて、施解錠状態情報に対応する信号波形を抽出する信号抽出部と、第3メモリ部に記憶されている信号波形に基づいて、信号抽出部により抽出された信号波形に対応する開閉体の施解錠状態を判定する電気錠施解錠状態判定部と、を更に有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上述した開閉検出装置であって、固定ユニットは、無線通信部を更に有し、無線通信部は、開閉体が閉状態であると判定された場合に、開閉体の開閉状態の判定が終了した旨を可動ユニットに送信し、信号処理部は、無線通信部により開閉体の開閉状態の判定が終了した旨を受信した場合に、電磁石制御部の制御を開始することを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、上述した開閉検出装置であって、複数の各磁界検出部の近傍には、磁性材料が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、固定ユニットと可動ユニットとで構成可能な開閉体において、固定ユニットと可動ユニットとの距離又は方向に拘わらず、開閉体の開閉状態を高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態の開閉検出装置が取り付けられた開閉体の閉状態の様子の一例を示す説明図
【図2】第1の実施形態の開閉検出装置が取り付けられた開閉体の開状態の様子の一例を示す説明図
【図3】第1の実施形態の開閉検出装置が取り付けられた開閉体の閉状態の様子の別の一例を示す説明図
【図4】第1の実施形態の開閉検出装置が取り付けられた開閉体の開状態の様子の別の一例を示す説明図
【図5】第1の実施形態の開閉検出装置を構成する固定ユニット及び可動ユニットの内部構成を示すブロック図
【図6】可動ユニットの回転角度と固定ユニットの各磁気センサ素子により検出された磁界に基づく各出力電圧との関係を示した説明図
【図7】可動ユニットの回転角度に応じた固定ユニットの開閉状態の検出の概要を示す説明図、(a)可動ユニットが反時計回りに回転した場合の説明図、(b)可動ユニットが時計周りに回転した場合の説明図
【図8】可動ユニットのスライド方向に応じた固定ユニットの開閉状態の検出の概要を示す説明図、(a)可動ユニットが固定ユニットに向かって左側にスライドした場合、(b)可動ユニットが固定ユニットに向かって右側にスライドした場合
【図9】第1の実施形態の変形例の開閉検出装置を構成する固定ユニット及び可動ユニットの内部構成を示すブロック図
【図10】第2の実施形態の開閉検出装置を構成する固定ユニット及び可動ユニットの内部構成を示すブロック図
【図11】電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を示す施解錠状態情報の信号波形の一例を示す説明図、(a)電気錠部が制御した扉が施錠状態であることを示す信号波形、(b)電気錠部が制御した扉が解錠状態であることを示す信号波形
【図12】第2の実施形態の開閉検出装置の動作を示すシーケンス図
【図13】第2の実施形態の変形例の開閉検出装置を構成する固定ユニット及び可動ユニットの内部構成を示すブロック図
【図14】従来のマグネットスイッチにおける開閉体の開閉状態を検出する際の説明図、(a)可動ユニットのスライド動作前の状態を示す説明図、(b)可動ユニットのスライド動作後の状態を示す説明図
【図15】従来のマグネットスイッチにおける開閉体の開閉状態を検出する際の説明図、(a)可動ユニットのスライド動作前の状態を示す説明図、(b)可動ユニットのスライド動作後の状態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。また、後述の各実施形態において、窓、ドア又は扉等に例示される様に、固定ユニットと可動ユニットとで構成され、可動ユニットが固定ユニットから離れて開閉動作を行うものを「開閉体」と定義する。本発明に係る開閉検出装置は、開閉体に取り付けられている。
【0025】
なお、後述の各実施形態において、開閉体が開いている状態を「開状態」と記載し、開閉体が閉じている状態を「閉状態」と記載する。
【0026】
なお、後述の各実施形態において、可動ユニットは、固定部及び可動部で構成される開閉体の可動部に設けられ、開閉検出装置を構成するものである。同様に、固定ユニットは、固定部及び可動部で構成される開閉体の固定部に設けられ、開閉検出装置を構成するものである。
【0027】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の開閉検出装置では、固定ユニットは、複数の磁界検出部を有し、可動ユニットに設けられた磁界発生部としての永久磁石からの磁界を検出した場合に、当該磁界に基づく出力電圧に応じて、開閉体の開閉状態を判定する。
【0028】
図1又は図2に示す様に、第1の実施形態の開閉検出装置20は、固定部としての扉枠100と可動部としての扉200とで構成可能な開閉体Kに取り付けられている。図1は、第1の実施形態の開閉検出装置20が取り付けられた開閉体Kの閉状態の様子の一例を示す説明図である。図2は、第1の実施形態の開閉検出装置20が取り付けられた開閉体Kの開状態の様子の一例を示す説明図である。
【0029】
開閉検出装置20は、図1又は図2に示す様に、開閉体Kの扉枠100の例えば紙面右側領域に設けられた固定ユニット20Bと、扉200の例えば紙面右側領域に設けられた可動ユニット20Aとにより構成されている。なお、扉200は、扉枠100に蝶番30を介して開閉自在に支持されている。
【0030】
また、図3又は図4に示す様に、開閉検出装置20は、窓等に例示される引き戸タイプの開閉体Lに取り付けられても良い。図3は、第1の実施形態の開閉検出装置20が取り付けられた開閉体Lの閉状態の様子の別の一例を示す説明図である。図4は、第1の実施形態の開閉検出装置20が取り付けられた開閉体Lの開状態の様子の別の一例を示す説明図である。
【0031】
開閉検出装置20は、図3又は図4に示す様に、固定部としての窓枠300の例えば紙面右側領域に設けられた固定ユニット20Bと、可動部としてのサッシ400の例えば紙面右側領域に設けられた可動ユニット20Aとにより構成されている。なお、サッシ400は、窓枠300に沿って紙面左右方向にスライド可能に設けられている。
【0032】
以下の各実施形態において、本発明に係る開閉検出装置が取り付けられる開閉体は、図1及び図2に示した扉枠100及び扉200により構成される開閉体Kであるとする。なお、開閉体Lの説明に関しては、必要に応じて、図3及び図4を参照する。
【0033】
開閉検出装置20の構成について図5を参照して説明する。図5は、第1の実施形態の開閉検出装置20を構成する固定ユニット20B及び可動ユニット20Aの内部構成を示すブロック図である。
【0034】
図5に示す様に、可動ユニット20Aは、固定ユニット20Bに対して磁界を発生させるための磁界発生部として、永久磁石1Aを有する。可動ユニット20Aは、磁界発生部として永久磁石1Aを有することで、有線配線された電源設備を磁界発生部として設ける必要がなくなり、可動ユニット20Aの配線が簡易になる。
【0035】
更に、可動ユニット20Aによれば、磁界発生部として永久磁石1Aを有することで、開閉体Kの開閉動作の回数が多くなることにより発生する配線の断線を低減し、可動ユニット20Aの外観を損なうことがなくなるという効果もある。
【0036】
図5に示す様に、固定ユニット20Bは、複数の例えば2つの磁気センサ素子5B1,5B2、電圧差分比較部6B、閾値電圧保持部7B及び開閉状態判定部8Bを有する。
【0037】
磁気センサ素子5B1,5B2は、例えばホール素子又はMR(magneto resistance)素子で構成され、可動ユニット20Aの永久磁石1Aにより放射された磁力線(磁界)を検出する。磁気センサ素子5B1,5B2は、それぞれ検出された磁界に基づく各出力電圧を電圧差分比較部6Bに出力する。
【0038】
また、磁気センサ素子5B1,5B2は、可動ユニット20Aの永久磁石1Aに基づいて発生した磁界の着磁方向に対して垂直に並べられる様に配置されることが好ましい。なお、この磁気センサ素子5B1,5B2の配置は、後述の各実施形態においても同様である。
【0039】
これにより、開閉検出装置20は、磁気センサ素子を複数用いることで、可動ユニット20Aが回転動作又はスライド動作した場合でも、単一の磁気センサ素子を用いる従来の開閉検出装置よりも、開閉体Kの開閉状態を高精度に検出可能である。
【0040】
電圧差分比較部6Bは、コンパレータ回路で構成され、磁気センサ素子5B1,5B2により出力された各出力電圧の信号波形を入力する。電圧差分比較部6Bは、当該入力された各出力電圧の差分を演算し、更に、当該演算された各出力電圧の差分と、閾値電圧保持部7Bにより予め保持されている所定の閾値電圧とを比較する。電圧差分比較部6Bは、当該比較の結果に相当する信号を開閉状態判定部8Bに出力する。
【0041】
電圧差分比較部6Bによる比較の結果は、各出力電圧の差分が所定の閾値電圧より大きいという結果、又は、各出力電圧の差分が所定の閾値電圧より小さいという結果である。
【0042】
閾値電圧保持部7Bに予め保持されている所定の閾値電圧は、開閉体Kが開状態又は閉状態であるか否かを定める閾値である。この所定の閾値電圧は、任意に設定可能である。
【0043】
図6に示す様に、磁気センサ素子5B1,5B2により出力された各出力電圧の差分が当該所定の閾値電圧より大きい場合には、開閉体Kは開状態である。同様に、磁気センサ素子5B1,5B2により出力された各出力電圧の差分が当該所定の閾値電圧より小さい場合には、開閉体Kは閉状態である。図6は、可動ユニット20Aの回転角度と固定ユニット20Bの各磁気センサ素子5B1,5B2により検出された各磁界に基づく各出力電圧との関係を示した説明図である。
【0044】
開閉状態判定部8Bは、電圧差分比較部6Bにより出力された比較の結果に相当する信号を入力する。開閉状態判定部8Bは、当該入力された信号に応じて、開閉体Kの開閉状態を判定する。
【0045】
具体的には、開閉状態判定部8Bは、電圧差分比較部6Bにより出力された信号に応じて、磁気センサ素子5B1,5B2により出力された各出力電圧の差分が当該所定の閾値電圧より大きい場合には、開閉体Kは開状態と判定する。
【0046】
また、開閉状態判定部8Bは、電圧差分比較部6Bにより出力された信号に応じて、磁気センサ素子5B1,5B2により出力された各出力電圧の差分が当該所定の閾値電圧より小さい場合には、開閉体Kは閉状態と判定する。
【0047】
第1の実施形態の開閉検出装置20では、固定ユニット20Bは、可動ユニット20Aに設けられた永久磁石1Aからの磁界を検出した場合に、当該磁界に基づく出力電圧に応じて、開閉体の開閉状態を判定する。
【0048】
図7は、可動ユニット20Aの回転角度に応じた固定ユニット20Bの開閉状態の検出の概要を示す説明図である。同図(a)は、可動ユニット20Aが反時計回りに回転した場合の説明図である。同図(b)は、可動ユニット20Aが時計周りに回転した場合の説明図である。
【0049】
図8は、可動ユニット20Aのスライド方向に応じた固定ユニット20Bの開閉状態の検出の概要を示す説明図である。同図(a)は、可動ユニット20Aが固定ユニット20Bに向かって左側にスライドした場合である。同図(b)は、可動ユニット20Aが固定ユニット20Bに向かって右側にスライドした場合である。
【0050】
図7(a),(b)に示す様に、可動ユニット20Aが固定ユニット20Bから離れる様に回転動作した場合でも、固定ユニット20Bは、複数の例えば2つの磁気センサ素子5B1,5B2のうちいずれかが永久磁石1Aからの磁界を検出する。
【0051】
図8(a),(b)に示す様に、可動ユニット20Aが固定ユニット20Bから離れる様にスライド動作した場合でも、固定ユニット20Bは、複数の例えば2つの磁気センサ素子5B1,5B2のうちいずれかが永久磁石1Aからの磁界を検出する。
【0052】
これにより、開閉検出装置20は、固定ユニット20Bと可動ユニット20Aとで構成可能な開閉体Kにおいて、固定ユニット20Bと可動ユニット20Aとの距離又は方向に拘わらず、開閉体Kの開閉状態を高精度に検出することができる。
【0053】
(第1の実施形態の変形例)
なお、図9に示す様に、開閉検出装置20aの固定ユニット20Baは、移動量推定部9B及びメモリ部10Bを更に有しても良い。図9は、第1の実施形態の変形例の開閉検出装置20aを構成する固定ユニット20Ba及び可動ユニット20Aaの内部構成を示すブロック図である。
【0054】
固定ユニット20Baは、磁気センサ素子5B1,5B2、電圧差分比較部6Ba、閾値電圧保持部7B、開閉状態判定部8B、移動量推定部9B及びメモリ部10Bを有する。図5において、第1の実施形態の開閉検出装置20の固定ユニット20Bと同様の構成及び動作を行うものには、同一の符号が付されている。以下の説明において、第1の実施形態の開閉検出装置20の固定ユニット20Bと同一の構成及び動作に関する説明は省略し、当該固定ユニット20Bと異なる構成及び動作をするものについて説明する。
【0055】
電圧差分比較部6Baは、磁気センサ素子5B1,5B2により出力された各出力電圧の信号波形を入力する。電圧差分比較部6Baは、当該入力された各出力電圧の差分を演算し、更に、当該演算された各出力電圧の差分と、閾値電圧保持部7Bにより予め保持されている所定の閾値電圧とを比較する。電圧差分比較部6Baは、当該比較の結果に相当する信号を開閉状態判定部8Bに出力する。
【0056】
更に、電圧差分比較部6Baは、当該演算された各出力電圧の差分に相当する信号を移動量推定部9Bに出力する。
【0057】
移動量推定部9Bは、電圧差分比較部6Baにより出力された信号を入力する。移動量推定部9Bは、メモリ部10Bに記憶されている移動量情報(後述参照)に基づいて、電圧差分比較部6Baから入力した信号に応じて、固定ユニット20Baの移動量を推定する。この移動量は、開閉体Kが閉状態である場合を起点とし、可動ユニット20Aaが固定ユニット20Baから離れる様に回転動作又はスライド動作した距離又は回転角度等を示す。
【0058】
メモリ部10Bは、磁気センサ素子5B1,5B2により出力された各出力電圧の差分と、可動ユニット20Aaの移動量との関係を示す移動量情報を記憶する。
【0059】
開閉検出装置20aは、開閉体Kに取り付けられた可動ユニット20Aa及び固定ユニット20Baの施工状態が悪い場合でも、可動ユニット20Aaの移動量を推定する。これにより、開閉検出装置20aによれば、第1の実施形態の開閉検出装置20に比べて、開閉体Kの開閉状態を高精度に検出することができる。
【0060】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の開閉検出装置では、固定ユニットは、複数の磁界検出部を有し、可動ユニットに設けられた磁界発生部としての電磁石からの磁界を検出した場合に、当該磁界に基づく出力電圧に応じて、開閉体の開閉状態を判定する。
【0061】
更に、第2の実施形態の開閉検出装置では、開閉体が閉状態であると判定された後に、可動ユニットは、可動ユニットに取り付けられている電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を、磁界発生部を用いて固定ユニットに送信する。固定ユニットは、電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を可動ユニットから受信し、その後、電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を判定する。
【0062】
図10は、第2の実施形態の開閉検出装置20bを構成する固定ユニット20Bb及び可動ユニット20Abの内部構成を示すブロック図である。
【0063】
可動ユニット20Abは、信号処理部2A、メモリ部3A、電磁石制御部4A、電磁石5A、無線通信部6A及び電気錠部8Aを有する。
【0064】
信号処理部2Aは、固定ユニット20Bbと可動ユニット20Abとの間で開閉体Kの開閉状態を判定するため、予め定められた所定の周期毎に、電磁石5Aが磁力線(磁界)を放射するために必要な励磁電流を電磁石制御部4Aに流す。電磁石制御部4Aは、信号処理部2Aからの励磁電流に基づいて、電磁石5Aを用いて、固定ユニット20Bbに対して磁力線を放射させる。
【0065】
信号処理部2Aは、開閉体Kが閉状態である旨の開閉状態情報を固定ユニット20Bbから受信した場合に、電気錠部8Aが制御した開閉体Kの扉200の施解錠状態を示す施解錠状態情報をメモリ部3Aから読み込む。
【0066】
信号処理部2Aは、当該読み込まれた施解錠状態情報に応じて、電磁石5Aから磁力線(磁界)を放射させる様に、電磁石制御部4Aを制御する。具体的には、信号処理部2Aは、メモリ部3Aから読み込んだ施解錠状態情報のビット列(図11参照)に従って、当該ビット列が1である期間に、電磁石5Aが磁力線(磁界)を放射させるために必要な励磁電流を電磁石制御部4Aに流す。
【0067】
メモリ部3Aは、可動ユニット20Abに取り付けられている電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を示す施解錠状態情報を記憶する。
【0068】
電磁石制御部4Aは、トランジスタ又はサイリスタ等で構成され、信号処理部2Aからの励磁電流を流入すると、電磁石5Aに電流を流すことによって電磁石5Aから磁力線(磁界)を放射させる。
【0069】
電磁石5Aは、電磁石制御部4Aからの電流に応じて、固定ユニット20Bbに対して磁力線(磁界)を放射する。これにより、可動ユニット20Abの周囲には磁界が発生する。
【0070】
例えば電磁石制御部4Aがトランジスタで構成されている場合、信号処理部2Aからの励磁電流が電磁石制御部4Aのゲート端子に流入され、電磁石制御部4Aのコレクタ−エミッタ間が導通する。これにより、電磁石制御部4Aを介して、電磁石5Aに電流が流れ、結果的に電磁石5Aは磁力線(磁界)を放射する。
【0071】
無線通信部6Aは、アンテナ7Aを介して、固定ユニット20Bbの無線通信部14Bとの間で無線通信を行う。無線通信部6Aは、開閉体Kの開閉状態が判定された結果を含む開閉状態情報を、無線通信部14Bから受信する。無線通信部6Aは、当該開閉状態情報を信号処理部2Aに出力する。
【0072】
電気錠部8Aは、可動ユニット20Abに取り付けられ、開閉体Kが閉状態である場合に、扉枠100と扉200との間で、開閉体Kの扉200の施錠又は解錠の動作を制御する。電気錠部8Aは、扉枠100と扉200との間で、当該扉200の施錠又は解錠の動作が行われた場合に、当該扉200の施錠又は解錠の状態を示す施解錠状態情報をメモリ部3Aに書き込む。これにより、メモリ部3Aは、電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を示す施解錠状態情報を記憶することになる。
【0073】
固定ユニット20Bbは、磁気センサ素子5B1,5B2、電圧差分比較部6B、閾値電圧保持部7B、開閉状態判定部8Bb、信号抽出部11B、電気錠施解錠状態判定部12B、メモリ部13B及び無線通信部14Bを有する。
【0074】
図10において、第1の実施形態の開閉検出装置20の固定ユニット20Bと同様の構成及び動作を行うものには、同一の符号が付されている。以下の説明において、第1の実施形態の開閉検出装置20の固定ユニット20Bと同一の構成及び動作に関する説明は省略し、当該固定ユニット20Bと異なる構成及び動作をするものについて説明する。
【0075】
開閉状態判定部8Bbは、電圧差分比較部6Bにより出力された比較の結果に相当する信号を入力する。開閉状態判定部8Bは、当該入力された信号に応じて、開閉体Kの開閉状態を判定する。
【0076】
具体的には、開閉状態判定部8Bbは、電圧差分比較部6Bにより出力された信号に応じて、磁気センサ素子5B1,5B2により出力された各出力電圧の差分が当該所定の閾値電圧より大きい場合には、開閉体Kは開状態と判定する。
【0077】
開閉状態判定部8Bbは、電圧差分比較部6Bにより出力された信号に応じて、磁気センサ素子5B1,5B2により出力された各出力電圧の差分が当該所定の閾値電圧より小さい場合には、開閉体Kは閉状態と判定する。
【0078】
また、開閉状態判定部8Bbは、開閉体Kの開閉状態を判定した後、開閉体Kの開閉状態を含む開閉状態情報を無線通信部14Bに出力する。
【0079】
信号抽出部11Bは、任意の信号波形において所定の周波数帯域の成分を抽出可能なBPF(band pass filter)又はLPF(Low pass filter)等で構成され、磁気センサ素子5B1,5B2からの出力電圧の信号波形を入力する。信号抽出部11Bは、当該入力された出力電圧の信号波形から所望の出力電圧の信号波形を抽出する。
【0080】
これにより、固定ユニット20Bbは、磁気センサ素子5B1,5B2が固定ユニット20Bbの周囲のノイズ信号を検出した場合でも、電磁石5Aにより発生された磁力線(磁界)に基づく出力電圧の再現性を向上することができる。
【0081】
信号抽出部11Bは、当該抽出された出力電圧の信号波形を電気錠施解錠状態判定部12Bに出力する。
【0082】
なお、信号抽出部11Bは、複数の例えば2つの磁気センサ素子5B1,5B2からの各出力電圧に対し、当該各出力電圧を平均化して電気錠施解錠状態判定部12Bに出力しても良い。これにより、固定ユニット20Bbは、電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を高精度に判定することができる。
【0083】
なお、信号抽出部11Bは、複数の例えば2つの磁気センサ素子5B1,5B2からの各出力電圧に対し、当該各出力電圧のいずれかを選択して電気錠施解錠状態判定部12Bに出力しても良い。これにより、固定ユニット20Bbは、電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を高精度に判定することができる。
【0084】
なお、信号抽出部11Bは、複数の例えば2つの磁気センサ素子5B1,5B2からの各出力電圧に対し、当該各出力電圧に対して所定のウェイトを乗じて加重平均を演算した上で、電気錠施解錠状態判定部12Bに出力しても良い。これにより、固定ユニット20Bbは、電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を高精度に判定することができる。
【0085】
なお、図10においては、固定ユニット20Bbは、信号抽出部11Bを有するものとなっているが、信号抽出部11Bを有さなくても良い。この場合、磁気センサ素子5B1,5B2からの出力電圧の信号波形は、電気錠施解錠状態判定部12Bに出力される。これにより、固定ユニット20Bbの回路構成を簡易にすることができる。
【0086】
電気錠施解錠状態判定部12Bは、信号抽出部11Bにより出力された出力電圧の信号波形を入力する。電気錠施解錠状態判定部12Bは、電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態の信号波形をメモリ部13Aから参照し、信号抽出部11Bにより出力された出力電圧の信号波形に応じて、電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を判定する。
【0087】
メモリ部13Bは、図11に示す様な電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を示す信号波形を記憶する。図11は、電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を示す施解錠状態情報の信号波形の一例を示す説明図である。同図(a)は、電気錠部8Aが制御した扉200が施錠状態であることを示す信号波形である。同図(b)は、電気錠部8Aが制御した扉200が解錠状態であることを示す信号波形である。
【0088】
図11(a)に示す様に、信号抽出部11Bにより抽出された信号波形が信号波形P1である場合には、電気錠施解錠状態判定部12Bは、電気錠部8Aが制御した扉200は施錠状態であると判定する。同様に、図11(b)に示す様に、信号抽出部11Bにより抽出された信号波形が信号波形P2である場合には、電気錠施解錠状態判定部12Bは、電気錠部8Aが制御した扉200は解錠状態であると判定する。
【0089】
無線通信部14Bは、開閉状態判定部8Bbにより出力された開閉状態情報を取得する。無線通信部14Bは、アンテナ15Bを介して、当該開閉状態情報を、可動ユニット20Abの無線通信部6Aに送信する。
【0090】
次に、第2の実施形態の開閉検出装置20bの動作について、図12を参照して説明する。図12は、第2の実施形態の開閉検出装置20bの動作を示すシーケンス図である。
【0091】
信号処理部2Aは、固定ユニット20Bbと可動ユニット20Abとの間で開閉体Kの開閉状態を判定するため、予め定められた所定の周期毎に、電磁石5Aが磁力線(磁界)を放射するために必要な励磁電流を電磁石制御部4Aに流す(S11)。
【0092】
電磁石制御部4Aは、当該励磁電流に基づいて、電磁石5Aを用いて、固定ユニット20Bbに対して磁力線を放射させる(S12)。
【0093】
磁気センサ素子5B1,5B2は、ステップS12により電磁石5Aにより放射された磁力線(磁界)を検出し(S13)、それぞれ検出された磁界に基づく各出力電圧を電圧差分比較部6Bに出力する。
【0094】
電圧差分比較部6Bは、磁気センサ素子5B1,5B2により出力された各出力電圧の信号波形を入力する。電圧差分比較部6Bは、当該入力された各出力電圧の差分を演算し、更に、当該演算された各出力電圧の差分と、閾値電圧保持部7Bにより予め保持されている所定の閾値電圧とを比較する(S14)。電圧差分比較部6Bは、当該比較の結果に相当する信号を開閉状態判定部8Bbに出力する。
【0095】
開閉状態判定部8Bは、電圧差分比較部6Bにより出力された比較の結果に相当する信号を入力する。開閉状態判定部8Bは、当該入力された信号に応じて、開閉体Kの開閉状態を判定する(S15)。
【0096】
具体的には、開閉状態判定部8Bbは、電圧差分比較部6Bにより出力された信号に応じて、磁気センサ素子5B1,5B2により出力された各出力電圧の差分が当該所定の閾値電圧より大きい場合には、開閉体Kは開状態と判定する。
【0097】
また、開閉状態判定部8Bbは、電圧差分比較部6Bにより出力された信号に応じて、磁気センサ素子5B1,5B2により出力された各出力電圧の差分が当該所定の閾値電圧より小さい場合には、開閉体Kは閉状態と判定する。
【0098】
開閉状態判定部8Bbは、開閉体Kの開閉状態を判定した後、開閉体Kの開閉状態を含む開閉状態情報を無線通信部14Bに出力する。
【0099】
開閉状態判定部8Bbにより出力された開閉状態情報を取得する。無線通信部14Bは、アンテナ15Bを介して、当該開閉状態情報を、可動ユニット20Abの無線通信部6Aに送信する(S16)。
【0100】
無線通信部6Aは、アンテナ7Aを介して、固定ユニット20Bbの無線通信部14Bとの間で無線通信を行う。無線通信部6Aは、開閉体Kの開閉状態が判定された結果を含む開閉状態情報を、無線通信部14Bから受信する(S17)。無線通信部6Aは、当該開閉状態情報を信号処理部2Aに出力する。
【0101】
信号処理部2Aは、開閉体Kが閉状態である旨の開閉状態情報を固定ユニット20Bbから受信した場合に(S17)、電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を示す施解錠状態情報をメモリ部3Aから読み込む(S18)。
【0102】
信号処理部2Aは、当該読み込まれた施解錠状態情報に応じて、電磁石5を動作する様に電磁石制御部4Aを制御する。具体的には、信号処理部2Aは、メモリ部3Aから読み込んだ施解錠状態情報のビット列(図11参照)に従って、当該ビット列が1である期間に、電磁石5が磁界を発生するために必要な励磁電流を電磁石制御部4Aに流す(S19)。
【0103】
電磁石制御部4Aは、信号処理部2Aからの励磁電流に基づいて、電磁石5Aを用いて、固定ユニット20Bbに対して磁力線を放射させる(S20)。
【0104】
磁気センサ素子5B1,5B2は、ステップS20により電磁石5Aにより放射された磁力線(磁界)を検出し(S21)、それぞれ検出された磁界に基づく各出力電圧を信号抽出部11Bに出力する。この信号抽出部11Bに入力された出力電圧の信号波形は、ステップS13で検出された磁界に対する出力電圧の信号波形とは異なる。
【0105】
即ち、信号抽出部11Bに入力された出力電圧の信号波形は、図11に示す信号波形の様に、電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を示す施解錠状態情報のビット列に従って信号処理部2Aから出力された励磁電流の信号波形と同様である。
【0106】
信号抽出部11Bは、磁気センサ素子5B1,5B2からの出力電圧の信号波形を入力する。信号抽出部11Bは、当該入力された出力電圧の信号波形から所望の出力電圧の信号波形を抽出する(S22)。信号抽出部11Bは、当該抽出された出力電圧の信号波形を電気錠施解錠状態判定部12Bに出力する。
【0107】
電気錠施解錠状態判定部12Bは、信号抽出部11Bにより出力された出力電圧の信号波形を入力する。電気錠施解錠状態判定部12Bは、電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を示す信号波形をメモリ部13Bから参照し、信号抽出部11Bにより出力された出力電圧の信号波形に応じて、電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を判定する(S23)。
【0108】
なお、ステップS23以降では、信号処理部2Aが上述した予め定められた周期毎に、ステップS11以降の動作を行い、ステップS11〜ステップS23の動作が同様に繰り返される。
【0109】
以上により、開閉検出装置20bは、固定ユニット20Bと可動ユニット20Aとで構成可能な開閉体Kにおいて、同様に固定ユニット20Bと可動ユニット20Aとの距離又は方向に拘わらず、開閉体Kの開閉状態を高精度に検出することができる。
【0110】
更に、開閉検出装置20bによれば、可動ユニット20Abに取り付けられた電気錠部8Aの施解錠状態情報を、電磁石5Aから放射された磁力線(磁界)を介して、固定ユニット20Bbに伝達することができる。この場合、開閉検出装置20bは、固定ユニット20Bbにより、当該伝達された電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を示す施解錠状態情報を把握することができる。
【0111】
(第2の実施形態の変形例)
第2の実施形態では、電磁石制御部4A及び電磁石5Aを用いて、可動ユニット20Abに取り付けられている電気錠部8Aが制御した扉200の施解錠状態を示す施解錠状態情報を、固定ユニット20Bbに伝達した例を説明した。
【0112】
第2の実施形態の変形例では、図13に示す様に、個人認証のために可動ユニット20Acに取り付けられているリーダ部9Aが読み取った情報を、電磁石制御部4及び電磁石5を用いて、固定ユニット20Bbに伝達する例を説明する。図13は、第2の実施形態の変形例の開閉検出装置20cを構成する固定ユニット20Bc及び可動ユニット20Acの内部構成を示すブロック図である。
【0113】
可動ユニット20Acは、信号処理部2A、電磁石制御部4A、電磁石5A、無線通信部6A及びリーダ部8Aを有する。図13において、第2の実施形態の開閉検出装置20bの固定ユニット20Bbと同様の構成及び動作を行うものには、同一の符号が付されている。以下の説明において、第2の実施形態の開閉検出装置20bの固定ユニット20Bbと同一の構成及び動作に関する説明は省略し、当該固定ユニット20Bbと異なる構成及び動作をするものについて説明する。
【0114】
リーダ部8Aは、例えばオフィスビル、工場又は家屋等の入り口付近の開閉体Kの可動ユニット20Acに取り付けられ、従業員等の個人認証を行うため、セキュリティカード(例:ICカード等)のカード情報を読み取る。リーダ部8Aは、当該読み取られたカード情報を信号処理部2Aに出力する。
【0115】
固定ユニット20Bcは、磁気センサ素子5B1,5B2、電圧差分比較部6B、閾値電圧保持部7B、開閉状態判定部8Bc、信号抽出部11B、カード情報判定部12Bc、メモリ部13Bc及び無線通信部14Bを有する。図13において、第2の実施形態の開閉検出装置20bの固定ユニット20Bbと同様の構成及び動作を行うものには、同一の符号が付されている。以下の説明において、第2の実施形態の開閉検出装置20bの固定ユニット20Bbと同一の構成及び動作に関する説明は省略し、当該固定ユニット20Bbと異なる構成及び動作をするものについて説明する。
【0116】
信号抽出部11Bにより抽出された出力電圧の信号波形は、カード情報判定部12Bcに出力される。
【0117】
カード情報判定部12Bcは、信号抽出部11Bにより出力された出力電圧の信号波形を入力する。カード情報判定部12Bcは、セキュリティカードのID情報を示す信号波形をメモリ部13Bcから参照し、信号抽出部11Bにより出力された出力電圧の信号波形に応じて、セキュリティカードのID情報を判定する。
【0118】
メモリ部13Bcは、図11に示す様なセキュリティカードのID情報を示す信号波形を記憶する。例えば、図11(a)又は図11(b)に示す様な信号波形は、セキュリティカードのID情報毎に予め設定されているものとする。
【0119】
図11(a)に示す様に、信号抽出部11Bにより抽出された信号波形が信号波形P1である場合には、カード情報判定部12Bcは、セキュリティカードのID情報を、例えば従業員AさんのID情報と判定する。同様に、図11(b)に示す様に、信号抽出部11Bにより抽出された信号波形が信号波形P2である場合には、カード情報判定部12Bcは、セキュリティカードのID情報を、例えば従業員BさんのID情報と判定する。
【0120】
これにより、開閉検出装置20cによれば、可動ユニット20Acに取り付けられたリーダ部9Aが読み取ったセキュリティカードのID情報を、電磁石5Aから放射された磁力線(磁界)を介して、固定ユニット20Bcに伝達することができる。この場合、開閉検出装置20cは、固定ユニット20Bcにより、当該伝達されたセキュリティカードのID情報を把握することができる。
【0121】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0122】
なお、上述した各実施形態において、各磁気センサ素子5B1,5B2の近傍に、鉄等の磁性材料が配置されても良い。これにより、各磁気センサ素子5B1,5B2により検出された磁界の磁路のパーミアンスが向上し、可動ユニットの磁界発生部(永久磁石、電磁石等)の構成を簡易にすることができる。例えば、可動ユニットにおける磁界発生部を小型化することができ、更に、磁界を発生させるための励磁電流を低減することができる。
【0123】
なお、上述した第2の実施形態及び第2の実施形態の変形例を適宜組み合わせても良い。具体的には、図10に示した可動ユニット20Abは、図13に示したリーダ部9Aを有する。更に、図10に示した固定ユニット20Bbは、図13に示したカード情報判定部12Bc及びメモリ部13Bcを有する。
【0124】
この場合、信号処理部は、電気錠部が制御した扉200の施解錠状態を示す施解錠状態情報のビット列と、リーダ部が読み取ったセキュリティカードのID情報のビット列とを重畳する。更に、信号処理部は、当該重畳された信号のビット列に従って、重畳された信号のビット列が1である期間に、励磁電流を電磁石制御部に流す。これにより、電磁石は、信号処理部からの励磁電流に基づいて、磁力線(磁界)を放射する。
【0125】
固定ユニットでは、当該放射された磁力線(磁界)が検出され、当該検出された磁界に基づく出力電圧の信号波形が信号抽出部に入力される。信号抽出部は、電気錠部が制御した扉200の施解錠状態を示す施解錠状態情報のビット列と、セキュリティカードのID情報のビット列とを各メモリ部から参照する。
【0126】
更に、信号抽出部は、当該入力された信号波形から、電気錠部が制御した扉200の施解錠状態を示す施解錠状態情報のビット列と、リーダ部が読み取ったセキュリティカードのID情報のビット列とを抽出して分離する。この分離されたビット列は、共に電気錠施解錠状態判定部及びカード情報判定部に出力される。
【0127】
電気錠施解錠状態判定部及びカード情報判定部は、それぞれ入力されたビット列と、各メモリ部に記憶されている電気錠部が制御した扉200の施解錠状態を示す施解錠状態情報のビット列及びセキュリティカードのID情報のビット列を参照する。更に、電気錠施解錠状態判定部は電気錠部が制御した扉200の施解錠状態を判定し、更に、カード情報判定部はリーダ部が読み取ったセキュリティカードのID情報を判定する。
【0128】
これにより、開閉検出装置は、電気錠部の施解錠状態を示す施解錠状態情報と、リーダ部が読み取ったセキュリティカードのID情報とを、電磁石制御部及び電磁石を用いて、同時に固定ユニットに伝達し、把握することができる。
【符号の説明】
【0129】
1A 永久磁石
2A 信号処理部
3A、10B、13B メモリ部
4A 電磁石制御部
5A 電磁石
5B1,5B2 磁気センサ素子
6B 電圧差分比較部
7B 閾値電圧保持部
8B 開閉状態判定部
9B 移動量推定部
11B 信号抽出部
12B 電気錠施解錠状態判定部
6A、14B 無線通信部
7A、15B アンテナ
20 開閉検出装置
20A、20Aa、20Ab 可動ユニット
20B,20Ba,20Bb 固定ユニット
30 蝶番
100 扉枠
200 扉
300 窓枠
400 サッシ
K、L 開閉体
P1、P2 信号波形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体の固定部に設けられた固定ユニットと、前記固定部により支持される開閉体の可動部に設けられた可動ユニットとを備える開閉検出装置であって、
前記可動ユニットは、磁界発生部を有し、
前記固定ユニットは、
前記可動ユニットの磁界発生部からの磁界を検出する複数の磁界検出部と、
前記複数の磁界検出部により検出された各磁界に基づく各出力電圧に応じて、前記開閉体の開閉状態を判定する開閉状態判定部と、を有する開閉検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉検出装置であって、
前記複数の各磁界検出部は、前記可動ユニットの磁界発生部からの磁界の着磁方向に対して垂直に並べられている開閉検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の開閉検出装置であって、
前記固定ユニットは、
前記複数の各磁界検出部により検出された各磁界に基づく各出力電圧の差分と、所定の閾値電圧とを比較する電圧差分比較部と、を更に有し、
前記開閉状態判定部は、
前記各出力電圧の差分が前記所定の閾値電圧を超えると判定された場合に、前記開閉体は閉状態であると判定する開閉検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の開閉検出装置であって、
前記開閉状態判定部は、
前記各出力電圧の差分が前記所定の閾値電圧未満であると判定された場合に、前記開閉体は開状態であると判定する開閉検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の開閉検出装置であって、
前記固定ユニットは、
前記可動ユニットの移動量と、前記複数の磁界検出部により検出された各磁界に基づく各出力電圧の差分との関係を示す移動量情報を記憶する第1メモリ部と、
前記第1メモリ部に記憶されている移動量情報に基づいて、前記電圧差分比較部により演算された前記各出力電圧の差分に対応する前記可動ユニットの移動量を推定する移動量推定部と、を更に有する開閉検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の開閉検出装置であって、
前記磁界発生部は、永久磁石である開閉検出装置。
【請求項7】
請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の開閉検出装置であって、
前記磁界発生部は、電磁石であり、
前記可動ユニットは、
前記開閉体が閉状態である際に前記開閉体の施錠又は解錠を制御する電気錠部と、
前記電気錠部により施錠又は解錠された開閉体の施解錠の状態を示す施解錠状態情報を記憶する第2メモリ部と、
前記電磁石の動作を制御する電磁石制御部と、
前記第2メモリ部に記憶されている施解錠状態情報に応じて、前記施解錠状態情報に対応する信号波形に従って前記電磁石制御部を制御する信号処理部と、を更に有し、
前記固定ユニットは、
前記電気錠部により施錠又は解錠された開閉体の施解錠の状態に応じた信号波形を記憶する第3メモリ部と、
前記複数の各磁界検出部により検出された各磁界に基づいて、前記施解錠状態情報に対応する信号波形を抽出する信号抽出部と、
前記第3メモリ部に記憶されている信号波形に基づいて、前記信号抽出部により抽出された信号波形に対応する前記開閉体の施解錠状態を判定する電気錠施解錠状態判定部と、を更に有する開閉検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の開閉検出装置であって、
前記固定ユニットは、無線通信部を更に有し、
前記無線通信部は、
前記開閉体が閉状態であると判定された場合に、前記開閉体の開閉状態の判定が終了した旨を前記可動ユニットに送信し、
前記信号処理部は、
前記無線通信部により前記開閉体の開閉状態の判定が終了した旨を受信した場合に、前記電磁石制御部の制御を開始する開閉検出装置。
【請求項9】
請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の開閉検出装置であって、
前記複数の各磁界検出部の近傍には、磁性材料が配置されている開閉検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−154065(P2012−154065A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12826(P2011−12826)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】