間接的に加熱されるカソードイオン源に使用されるカソード組立体
【課題】アークチェンバー内のプラズマからフィラメントをシールドする機能を果たすカソードイオン源に使用されるカソード組立体を提供する。
【解決手段】間接的に加熱されるカソードイオン源が、アークチェンバーを定めるアークチェンバーハウジング、間接的に加熱されるカソードおよびカソードを加熱するフィラメントを含む。カソードは、正面、背面および周囲を有する放出部分、放出部分の背面に取り付けられる支持ロッド、ならびに放出部分の背面から伸長するスカートを含む。カソード組立体がカソード、フィラメントおよびカソードとフィラメントとを固定した空間関係で取り付けるため、さらにカソードおよびフィラメントに電気的エネルギーを伝えるクランプ組立体を含む。フィラメントは、放出部分およびカソードのスカートにより定められる空洞内に配置される。
【解決手段】間接的に加熱されるカソードイオン源が、アークチェンバーを定めるアークチェンバーハウジング、間接的に加熱されるカソードおよびカソードを加熱するフィラメントを含む。カソードは、正面、背面および周囲を有する放出部分、放出部分の背面に取り付けられる支持ロッド、ならびに放出部分の背面から伸長するスカートを含む。カソード組立体がカソード、フィラメントおよびカソードとフィラメントとを固定した空間関係で取り付けるため、さらにカソードおよびフィラメントに電気的エネルギーを伝えるクランプ組立体を含む。フィラメントは、放出部分およびカソードのスカートにより定められる空洞内に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイオン注入器での使用に適したイオン源に関し、特に間接的に加熱されるカソードを有するイオン源に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン源はイオン注入器の重要な要素である。イオン源はイオン注入器のビームラインにそって進むイオンビームを発生させ、種々の異なるイオン種および抽出電圧に対して、よく形成された適切なビームを発生させるために必要となる。半導体製造の業界で、イオン源を含むイオン注入器は、維持管理または修理を必要とせずに、長期間運転できるように要求されている。
【0003】
イオン注入器は、従来から、直接的に加熱されるカソード(ここで、電子放出フィラメントが、イオン源のアークチェンバー内に配置され、そのアークチェンバー内の、非常に浸食性のあるプラズマに晒される)を有するイオン源を使用してきた。このような直接に加熱されるカソードは典型的に、比較的直径が細いフィラメントを構成し、したがって、比較的短期間でも、アークチェンバー内で浸食環境下にあると、劣化し、または機能しなくなる。その結果、直接に加熱されるカソードの寿命は限定される。ここで使用するイオン源の「寿命」とはイオン源の修復や交換の前までの時間をいうものとする。
【0004】
間接的に加熱されるカソードイオン源がイオン注入器において、イオン源の寿命を改善するために開発された。間接的に加熱されるカソードは、フィラメントからの電子衝突により加熱され、電子を熱電子として放出する比較的大きなカソードを含む。フィラメントはチャンバー内のプラズマから分離され、したがってその寿命が長い。カソードはアークチャンバーの浸食環境に晒されてはいるが、その比較的大きな構造物は、確実に動作する期間を長くする。
【0005】
間接的に加熱されるカソードイオン源のカソードは、電源に電気的に接続された周囲部から電気的に分離されなければならず、また放出電子を停止させる冷却化を防止するために周囲部から熱的に分離されなければならない。間接的に加熱される従来技術のカソードの設計として、ディスクと同じ直径の、肉薄の管により、外周囲で支持されるディスクが採用された。管は断面積を減らすために肉厚が薄く、このことにより、厚いカソードからの熱伝導が減少する。肉薄の管は典型的に、絶縁遮断器として機能するように、かつカソードからの熱伝導を減少するために、その長さにそってカットオフ(安全器)を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第01/088946号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カソードを支持するために使用される管は電子を放出しないが、非常に広い表面領域をもち、そのほとんどが高温状態となる。この領域は、輻射により熱を失うが、これが、カソードが熱を失う主要な要因となっている。管の大きな直径はカソードを留め付け、接続するために使用される構造を大きくし、複雑にする。ひとつの既知のカソード支持体は三つの部分を含み、組み立てのためのネジ部を必要とする。
【0008】
間接的に加熱されるカソードの他の構成が、特許文献1(2001年11月22日に国際公開)に開示されている。ディスク形状のカソードがその中心付近で、ひとつのロッドにより支持されている。カソード絶縁体がアークチェンバーハウジングからカソードを電気的におよび熱的に分離している。開示のカソード組立体は種々の動作条件の下で、非常に満足のゆく動作をなす。しかし、ある応用例では、絶縁体に付着した汚染物が、カソードとアークチャンバーハウジングとの間の回路をショートさせ、このことによりイオン源の修理や交換が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様にしたがって、カソード組立体が、間接的に加熱されるカソードイオン源での使用のために設けられる。カソード組立体は、放出部分を含むカソード、該放出部分に取り付けられる支持ロッドおよび放出部分の周囲から伸長するスカート(スカートと放出部分が空洞を定める)、空洞内でカソードの放出部分の近傍に配置されたカソードの放出部分を加熱するフィラメント、ならびにカソードおよびフィラメントを固定した空間関係で取り付け、カソードおよびフィラメントに電気的エネルギーを伝えるための留め付け組立体を含む。
【0010】
ある応用では、カソードの放出部分はディスク形状であり、正面および背面を有する。支持ロッドは放出部分の背面の中心または中心付近に取り付けられてもよい。スカートは円筒状でもよく、放出部分の周囲から後方に伸長したものでもよい。スカートはイオン源のアークチェンバー内で、フィラメントをプラズマからシールドする機能をもつが、カソードの機械的な取り付けのため、カソードへの電気的なエネルギーの伝達のために使用はされない。
【0011】
クランプ組立体は、カソードの支持ロッドの固定されるカソードクランプ、フィラメントの第一および第二の接続リード線に固定される第一および第二のフィラメントクランプ、ならびに絶縁体ブロックを含む。カソードクランプならびに第一および第二のフィラメントクランプは絶縁体ブロックの固定位置に取り付けられる。
【0012】
本発明の他の態様にしたがって、カソードが、間接的に加熱されるイオン源に使用するために設けられる。カソードは、正面、背面および周囲を有する放出部分、放出部分の背面に取り付けられる支持ロッド、ならびに放出部分の周囲から伸長するスカートを含む。
【0013】
本発明の他の態様にしたがって、間接的に加熱されるカソードイオン源が設けられる。間接的に加熱されるカソードイオン源は、アークチェンバーを定めるアークチェンバーハウジング、アークチェンバー内に配置される、間接的に加熱されるカソード、間接的に加熱されるカソードを加熱するためのフィラメントを含む。間接的に加熱されるカソードは、正面、背面および周囲を有する放出部分、放出部分の背面に取り付けられる支持ロッド、ならびに放出部分の周囲から伸長するスカートを含む。
【0014】
本発明の他の態様にしたがって、間接的に加熱されるカソードイオン源が設けられる。間接的に加熱されるカソードイオン源は、アークチェンバーを定めるアークチェンバーハウジング、アークチェンバー内に配置される、間接的に加熱されるカソード、間接的に加熱されるカソードを加熱するための、アークチェンバーの外側に配置されるフィラメント、ならびにアークチェンバーの外側で、フィラメントおよび間接的に加熱されるカソードの近傍に配置されるシールドを含む。
【0015】
イオン源は、アークチェンバー、間接的に加熱されるカソード、フィラメントおよびシールドを包含する真空容器を含む。フィラメントおよび間接的に加熱されるカソードはシールドの一方の側に位置し、そのシールドの他方の側に真空容器の隣接部分が位置する。一実施例では、アークチェンバーハウジングおよび真空容器は、共通電位にあり、シールドはフィラメント電位にある。他の実施例では、真空容器は基準電位に接続され、シールドは電気的に浮動状態にある。
【0016】
イオン源はさらに、カソードおよびフィラメントを固定した空間関係に取り付け、かつ電気的エネルギーをカソードおよびフィラメントに伝えるためのクランプ組立体を含んでもよい。シールドはクランプ組立体に取り付けることができる。クランプ組立体は、フィラメントの第一および第二の接続線のそれぞれに取り付けられる第一および第二のフィラメントを含むことができる。ある応用例では、シールドはフィラメントクランプのひとつに、機械的かつ電気的に接続される。他の実施例では、シールドはフィラメントクランプのひとつに、電気絶縁体により機械的に取り付けられる。
【0017】
本発明の他の態様にしたがって、間接的に加熱されるカソードイオン源が設けられる。間接的に加熱されるカソードイオン源は、アークチェンバーを定めるアークチェンバーハウジング、アークチェンバー内に配置され、間接的に加熱されるカソード、アークチェンバーの外に配置され、間接的に加熱されるカソードを加熱するためのフィラメント(間接的に加熱されるカソードはアークチェンバー内で、プラズマを発生させる電子を提供する)、およびアークチェンバーの外側でフィラメントおよび間接的に加熱されるカソードの近傍の領域から電子およびプラズマが逃げるのを防止するための手段を含む。
【0018】
本発明の他の態様にしたがって、イオン源を操作する方法が与えられる。本方法は、アークチェンバーを定めるアークチェンバーハウジングを用意する工程、アークチェンバー内に、間接的に加熱されるカソードを配置する工程、アークチェンバー内でプラズマを発生させる電子を与えるために、アークチャンバーの外に配置されるフィラメントで、間接的に加熱されるカソードを加熱する工程、およびフィラメントおよびアークチェンバーの外側で、間接的に加熱されるカソードの近傍の領域から電子およびプラズマが逃げることを防止する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は本発明の実施例にしたがって、間接的に加熱されるカソードイオン源の略示ブロック図である。
【図2A】図2Aは本発明の実施例にしたがって、間接的に加熱されるカソードイオン源の断面図である。
【図2B】図2Bは、アークチェンバーおよび関連要素を示す、図2Aの、間接的に加熱されるカソードイオン源の拡大断面図である。
【図3】図3は図2Aおよび図2Bのイオン源に利用されたカソード組立体の正面図である。
【図4】図4は図3の線4−4にそったカソード組立体の断面図である。
【図5】図5は図2Aおよび図2Bのイオン源に利用される、間接的に加熱されるカソードの側面図(一部破線で示されている)である。
【図6】図6は図2Aおよび図2Bのイオン源に使用されるフィラメントの斜視図である。
【図7】図7は図2Aおよび図2Bの、間接的に加熱されるカソードイオン源の斜視図である。
【図8】図8は第一の実施例にしたがったシールドおよび真空容器の電気的接続を示す略示ブロック図である。
【図9】図9は第一の実施例において、シールドをフィラメントクランプに取り付けることを図示するイオン源の部分断面図である。
【図10】図10は第二の実施例にしたがって、シールドおよび真空容器の電気的接続を示す略示図である。
【図11】図11は第二の実施例において、シールドをフィラメントに取り付けることを示すイオン源の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例にしたがった、間接的に加熱されるカソードイオン源が図1に示されている。抽出開口12を有するアークチャンバーハウジング10がアークチェンバー14を定める。カソード20およびリペラ電極22がアークチェンバー14内に配置されている。アークチャンバー14の外側でカソード20の近傍に位置するフィラメント30がカソード20を加熱する。
【0021】
イオン化されたガスが、ガス源32から、ガス入口34を通ってアークチャンバー14へと与えられる。他の構成(図示せず)では、アークチェンバー14は、アークチェンバー14内で、イオン化される材料を気化させる気化器に連結される。
【0022】
アーク電源50がアークチェンバーハウジング10に接続される正のターミナルおよびカソード20に接続される負のターミナルを有する。リペル電極22は図1に示されているように浮遊状態でもよく、またアーク電源50の負のターミナルに接続されてもよい。アーク電源50は25アンペアで100ボルトの定格出力をもち、約70ボルトで動作することができる。アーク電源50はカソード20により放出された電子をアークチェンバー14内のプラズマへ加速する。
【0023】
バイアス電源52はカソード20に接続された正のターミナル、およびフィラメント30に接続された負のターミナルを有する。バイアス電源52は4アンペアで600ボルトの定格出力をもち、電流が約2.5アンペアで、電圧が350ボルトで動作する。バイアス電源52は、フィラメント30により放出された電子をカソード20に加速し、カソード20の加熱を行う。
【0024】
フィラメント電源54がフィラメント30に接続された出力ターミナルを有する。フィラメント電源54は200アンペアで6ボルトの定格出力をもち、約140から170アンペアのフィラメント電流で動作する。フィラメント電源54はフィラメントの加熱を行う(カソードの加熱のためにカソード20へ加速される電子を順次発生させる)。
【0025】
ソース磁石60がアークチェンバー14内に、矢印62により示された方向に、磁場Bを形成する。典型的に、ソース磁石60はアークチェンバー14の両端に極をもつ。磁場Bの方向は、イオン源の操作に影響を与えることなく反転させることができる。ソース磁石60は磁石電源64(60アンペアで20ボルトの定格出力をもつ)に接続されている。磁場は、カソード20により放出された電子とアークチェンバー14内のプラズマとの間の相互作用を増加させる。
【0026】
電源50、52、54および64の電圧および電流の定格出力、ならびに動作電圧は単に例示であり、本発明を限定するものではない。
【0027】
抽出電極70および抑制電極72が抽出開口12の正面に配置されている。抽出電極70および抑制電極72のそれぞれは、非常によく定められたイオンビーム74の抽出用の抽出開口12と整合した開口を有する。抽出電極70および抑制電極72は各電源(図示せず)に接続されている。
【0028】
イオン源制御器100がイオン源を、分離回路を介して制御する。他の実施例では、分離機能を実行する回路が電源50、52および54に組み込まれてもよい。イオン源制御器100はプログラムされた制御器または専用の制御器であってもよい。一実施例では、イオン源制御器はイオン注入器の主要な制御コンピュータに組み込まれる。
【0029】
イオン源が動作するとき、フィラメント30はフィラメント電流IFにより、熱電子放出温度(2200℃のオーダ)に抵抗加熱される。フィラメント30により放出される電子はフィラメント30とカソード20との間のバイアス電圧VBにより加速され、カソード20に衝突し、加熱する。カソード20は電子の衝突により、熱電子放出温度に加熱される。カソード20により放出された電子は、アーク電圧VAにより、アークチェンバー内でガス源32からのガス分子をイオン化し、プラズマ放電を生成する。リペル電極22は入射電子のために負の電荷をもつようになり、ついには、電子をアークチェンバー14に戻し、さらにイオン化衝突を発生させるのに十分な負の電荷をもつ。図1のイオン源は、フィラメント30がアークチェンバー14内のプラズマに晒されず、カソード20が従来の直接加熱するカソードよりも大きなものとなることから、良いイオン源の寿命を呈する。
【0030】
本発明の実施例にしたがったイオン源が図2Aないし図9に示されている。図1ないし図9の同様の要素には同じ符号が付されている。電源50、52、54および64、制御器100、分離回路102、ガス源32およびソース電源60が図2Aないし図9には示されてはいない。
【0031】
図2Aおよび図2Bに示されているように、アークチェンバー10はイオン源本体150およびアークチェンバーベース152により支持されている。プレート154(イオン源本体150の一部)がイオン源の真空領域と外部環境との間の境界を定める。アークチェンバー14のガス入口34とガス源32(図1)との間の連結は管160より与えられる。
【0032】
図2Aおよび図2Bに示されているように、リペル電極22は伝導性支持部材170および絶縁体172により、アークチェンバーベース152に取り付けられている。リペル電極22は絶縁体174により、アークチェンバー10から電気的に分離される。
【0033】
図2A、図2B、図3および図4に示されているように、カソード組立体200が、カソード20、フィラメント30並びにカソード20とフィラメント30とを固定した空間関係で取り付け、かつカソード20およびフィラメント30へ電気的エネルギーを伝えるためのクランプ組立体を含む。図2Aおよび図2Bに示されているように、カソード20は、アークチェンバーハウジング10の一端の開口内に設けられているが、アークチェンバーハウジング10に物理的に接していない。好適に、カソード20とアークチェンバーハウジング10との間隙は約0.050インチ(0.127cm)のオーダである。
【0034】
図5にカソード20の例が示されている。カソード20は、正面222,背面224および対称軸22を有する、ディスク形状の放出部分220を含む。支持ロッド230が背面224から後方に伸長し、好適には軸226にそって位置する。スカート232が放出部分220の外側周囲から後方に伸長している。スカート232は円筒形状でもよく、好適には熱エネルギーの伝達を制限するために、比較的薄壁部を有する。放出部分220およびスカート232は放出部分220の背面224に隣接して、カップ形状の空洞240を定める。下述するように、フィラメント30は背面224の近傍に、空洞240内に配置され、スカート232により、アークチェンバー14内のプラズマからシールドされる。一実施例として、カソード20はタングステンから作られる。
【0035】
支持ロッド230はカソード20の機械的な取り付けのために使用され、電気的エネルギーをカソード20に伝える。好適に、支持ロッド230は、熱伝導および放射を制限するために、放出部分220に対して小さな直径をもつ。一実施例では、支持ロッド230は、直径が0.125インチ(0.32cm)で、長さが0.759インチ(1.93cm)で、放出部分220の背面224の中心に取り付けられている。
【0036】
スカート232はアークチェンバー14内のプラズマからフィラメント30をシールドする機能を果たすが、カソード20の機械的な取り付け、またはカソード20への電気的エネルギーの伝達のためには使用されない。特に、スカート232はアークチェンバー内にカソード20を取り付けるために使用されるクランプ組立体に物理的に接することなく、アークチェンバーハウジング10に物理的に接することもない。一実施例として、スカート232は壁厚が約0.050インチ(0.127cm)、軸方向の長さが約0.56インチ(1.42cm)である。
【0037】
放出部分220は比較的厚く、イオン源の主要な電子放出器として機能する。一実施例として、放出部分220は直径が0.855インチ(2.17cm)で厚さが0.200インチ(0.51cm)である。これらの寸法は単に例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0038】
フィラメント30の例が図6に示されている。この例では、フィラメント30は伝導性ワイヤから作られ、加熱ループ270および接続線272、274を含む。接続線272および274は、図2A、図2B、図3および図4に示されているように、フィラメント30をクランプ組立体210に取り付けのための適切な曲がり部を備えている。図6の例において、加熱ループ270は内径が0.360インチ(0.91cm)で、外径が0.54インチ(1.37cm)である。フィラメント30は0.090インチ(0.23cm)を有するタングステンワイヤから作ることができる。好適には、加熱ループ270の長さにそってワイヤはアースされるか、またはカソード20の近傍で加熱を高め、接続線272および274の加熱を減少させるために、カソード20の近傍領域で、断面積を小さくする。加熱ループ270は、約0.024ないし0.028インチ(0.06ないし0.071cm)だけ、放出部分220の背面から間隔があけられている。
【0039】
図3によく示されているように、クランプ組立体210はカソードクランプ300、フィラメントクランプ302および304、ならびに絶縁体ブロック310を有することができる。カソードクランプ300ならびにフィラメントクランプ302および304は、絶縁体ブロック310に固定した位置で取り付けられ、互いに電気的に分離されている。クランプ300、302および304の各々は、広がり可能なフィンガー316および318を形成するための、縦方向のスリット312およびひとつ以上の穴314をもつ伝導性金属ストリップのように作られてもよい。広がり可能なフィンガー316および318は、フィラメントクランプ302および304のときはそのフィラメント接続線を受け入れるため、カソードクランプ300のときは支持ロッド230を受け入れるための穴を含んでもよい。フィラメントクランプ302および304はカソード20に対してフィラメント20を配置するための大きさをもつ止まり穴324をそれぞれ有することができる。カソードクランプ300は、フィラメント30に対してカソード20を適切に配置した後に、カソードクランプ300のフィンガーを留め付けるためのネジ320を含むことができる。カソードクランプ300ならびにフィラメント302および304は図1に示され、上述したように、それぞれの電源への電気的な接続のために、絶縁体ブロック310の下へと伸長している。
【0040】
図2Aおよび図2Bに示されているように、スカート232がアークチェンバー14でプラズマからフィラメント30を有効にシールドすることが分かる。したがって、フィラメント30のスパッタリングおよび損傷は制限される。カソード20とアークチェンバーハウジング10との間に間隙があるが、フィラメント30の加熱ループは、カップ形状の空洞240内に位置し、アークチェンバー14からのプラズマのフィラメント30への移動が最小となる。したがって、長時間の動作寿命が達成でき、従来技術のイオン源に使用されたカソード絶縁体が不要となる。
【0041】
イオン源は図2A、図2Bおよび図7に示されているように、シールド400をさらに含んでもよい。シールド400はアークチェンバー14の外側で、カソード20およびフィラメント30の近傍の領域を実質的に覆う。シールド400の機能は、カソード20およびフィラメント30の周囲で、電子およびプラズマに対する障壁を形成することである。シールド400は、電子およびプラズマに対する障壁を形成するが領域402をシールはしないという意味で、実質的に領域402を覆う。
【0042】
シールド400は箱形状の構造物でもよく、超硬合金から作られてもよい。図2A、図2Bおよび図7の実施例において、シールド400は二段主壁部410、頂部壁部412、第一の側壁部414および第二の側壁部(図示せず)を含む。二段主壁部410は、シールド400がフィラメントクランプ304に電気的かつ機械的に接続できるように、そしてフィラメントクランプ302およびカソードクランプ300から離れるようにする。種々のシールド構成が利用できることは理解できるであろう。たとえば、シールド400は平坦な主壁部を有してもよく、絶縁体を使用してフィラメントクランプ304に取り付けられてもよい。さらに、シールド400はイオン源の他の要素に取り付けられてもよい。
【0043】
上述したように、シールド400は、アークチェンバー14の外側で、カソード20およびフィラメント30の近傍の領域402を実質的に覆う。イオン源の動作は、フィラメント30およびカソード20による電子の発生、およびアークチェンバー14内でのプラズマの形成に関連する。理想的な条件では、フィラメント30により発生された電子はカソード20に衝突し、カソード20により発生された電子はアークチェンバー14内に残り、プラズマはアークチェンバー14内に残る。しかし、実際のイオン源では、イオン源を含む真空容器、抽出システムの要素のような種々の要素における電位は不所望の電子放出、アーク放電および/またはプラズマ形成をもたらす。このような不所望の条件下では、イオン源の安定が悪くなり、その寿命が短くなる。カソード20とアークチェンバーハウジング10との間の空間は、アークチェンバー14からプラズマが逃げる路を与える。シールド400は真空容器および抽出システムの要素を、フィラメント30、カソード20およびアークチェンバー14から有効に分離する。
【0044】
シールド400および関連したイオン源要素の第一の実施例が図8および図9に示されている。真空容器430の一部が図示のために示されている。真空容器430はイオンソースの要素を含み、イオン源の制御された環境と外部雰囲気との間の境界を定める。この実施例では、真空容器430はアークチェンバーハウジング10の電位と電気的に接続されている。シールド400がない場合、フィラメント30およびカソード20からの電子は真空容器430と衝突し、真空容器430にダメージを与えよう。図8および図9の実施例において、シールド400はフィラメント30の正のターミナルに電気的に接続される。図9に示されているように、シールド400はフィラメントクランプ304に機械的かつ電気的に取り付けられる。二段主壁部410により、シールド400は図7および図9に示されているようにフィラメントクランプ304に直接取り付けることができる一方で、シールド400とフィラメントクランプ302またはカソードクランプ300との間の物理的な接触は防止される。図8に示されているように、シールド400は、アークチェンバー14の外側で、フィラメント30およびカソード20の近傍の領域402を実質的に覆う。シールド400は実質的に障壁として機能する。カソード20およびフィラメント30はシールド400により形成される障壁の一方の側に位置し、真空容器430および電極70および72のような抽出システムの要素は障壁の他方の側に位置する。
【0045】
シールド400および関連したイオン源の要素の第二の実施例が図10および図11に示されている。図10および図11の実施例では、真空容器430はアースされ、シールド400は電気的に浮遊状態にある。図11に示されているように、シールド400は、シールド400とフィラメントクランプ304との間の取り付けを確実にするために、絶縁分離体450および452ならびに絶縁取り付けハードウエア454を使用してフィラメントクランプ304に取り付けられている。これに代えて、シールド400は絶縁分離体を使用して、イオン源の他の要素に取り付けてもよい。第一の実施例において、シールド400は、アークチェンバー14の外側で、フィラメント30およびカソード20の近傍の領域を実質的に覆い、障壁の機能を果たす。
【0046】
シールド400は適当な大きさ、形状を取ることができ、箱形状に限定されない。シールド400は実質的に、たとえばタンタル、タングステン、モリブデンまたはニオビウムのような超硬金属から作られてもよい。イオン源の厳しい環境下で、シールド400は高温、腐食に耐えるものでなければならない。
【0047】
シールド400はカソード20とアークチェンバーハウジング10との間の絶縁体(アークチェンバーハウジング10からカソードを電気的に分離する一方で、アークチェンバー14からプラズマが逃げるのを防止するために使用されてきた)を不要にする。この位置の絶縁体はイオン源の寿命を短くする伝導性付着物の影響を受ける。
【0048】
イオン源は、絶縁体ブロック310とカソード20との間に絶縁体シールド460を含むことができる(図2A、図2Bおよび図7を参照)。絶縁体シールド460はイオン源本体150に取り付けられる超硬金属要素のものであってもよい。絶縁体シールド460は、カソードクランプ300ならびにフィラメントクランプ302および304から電気的に分離するためのカットオフ(安全器)を有する。絶縁体シールド460は絶縁体ブロック310上に付着物の形成(一つ以上のカソードクランプ300とフィラメントクランプ302および304との間をショートさせてしまう)を防止する。
【0049】
上記の記載は例示であり、網羅的なものではない。この記載により、当業者であれば種々の変形、変更が可能であることは分かるであろう。これら変形、変更は特許請求の範囲内に含まれるものである。当業者であれば、他の同等なものもがその記載から認めることができ、その同等なものは特許請求の範囲に含まれるものである。さらに、本発明が、特許請求の範囲の従属項にある特徴の可能な組み合わせをもつ他の実施例を通しも理解できるように、特許請求の範囲の独立項にある特徴は、本発明の範囲内で互いに組み合わせることがでる。
【符号の説明】
【0050】
10 アークチャンバーハウジング
12 抽出開口
14 アークチャンバー
20 カソード
22 リペラ電極
30 フィラメント
34 ガス入口
150 イオン源本体
160 管
170 伝導性支持部材
172 絶縁体
210
240 空洞
300 カソードクランプ
310 絶縁体ブロック
400 シールド
402 領域
410 二段主壁部
412 頂部壁部
414 第一の側壁部
460 絶縁体シールド
【技術分野】
【0001】
本発明はイオン注入器での使用に適したイオン源に関し、特に間接的に加熱されるカソードを有するイオン源に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン源はイオン注入器の重要な要素である。イオン源はイオン注入器のビームラインにそって進むイオンビームを発生させ、種々の異なるイオン種および抽出電圧に対して、よく形成された適切なビームを発生させるために必要となる。半導体製造の業界で、イオン源を含むイオン注入器は、維持管理または修理を必要とせずに、長期間運転できるように要求されている。
【0003】
イオン注入器は、従来から、直接的に加熱されるカソード(ここで、電子放出フィラメントが、イオン源のアークチェンバー内に配置され、そのアークチェンバー内の、非常に浸食性のあるプラズマに晒される)を有するイオン源を使用してきた。このような直接に加熱されるカソードは典型的に、比較的直径が細いフィラメントを構成し、したがって、比較的短期間でも、アークチェンバー内で浸食環境下にあると、劣化し、または機能しなくなる。その結果、直接に加熱されるカソードの寿命は限定される。ここで使用するイオン源の「寿命」とはイオン源の修復や交換の前までの時間をいうものとする。
【0004】
間接的に加熱されるカソードイオン源がイオン注入器において、イオン源の寿命を改善するために開発された。間接的に加熱されるカソードは、フィラメントからの電子衝突により加熱され、電子を熱電子として放出する比較的大きなカソードを含む。フィラメントはチャンバー内のプラズマから分離され、したがってその寿命が長い。カソードはアークチャンバーの浸食環境に晒されてはいるが、その比較的大きな構造物は、確実に動作する期間を長くする。
【0005】
間接的に加熱されるカソードイオン源のカソードは、電源に電気的に接続された周囲部から電気的に分離されなければならず、また放出電子を停止させる冷却化を防止するために周囲部から熱的に分離されなければならない。間接的に加熱される従来技術のカソードの設計として、ディスクと同じ直径の、肉薄の管により、外周囲で支持されるディスクが採用された。管は断面積を減らすために肉厚が薄く、このことにより、厚いカソードからの熱伝導が減少する。肉薄の管は典型的に、絶縁遮断器として機能するように、かつカソードからの熱伝導を減少するために、その長さにそってカットオフ(安全器)を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第01/088946号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カソードを支持するために使用される管は電子を放出しないが、非常に広い表面領域をもち、そのほとんどが高温状態となる。この領域は、輻射により熱を失うが、これが、カソードが熱を失う主要な要因となっている。管の大きな直径はカソードを留め付け、接続するために使用される構造を大きくし、複雑にする。ひとつの既知のカソード支持体は三つの部分を含み、組み立てのためのネジ部を必要とする。
【0008】
間接的に加熱されるカソードの他の構成が、特許文献1(2001年11月22日に国際公開)に開示されている。ディスク形状のカソードがその中心付近で、ひとつのロッドにより支持されている。カソード絶縁体がアークチェンバーハウジングからカソードを電気的におよび熱的に分離している。開示のカソード組立体は種々の動作条件の下で、非常に満足のゆく動作をなす。しかし、ある応用例では、絶縁体に付着した汚染物が、カソードとアークチャンバーハウジングとの間の回路をショートさせ、このことによりイオン源の修理や交換が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様にしたがって、カソード組立体が、間接的に加熱されるカソードイオン源での使用のために設けられる。カソード組立体は、放出部分を含むカソード、該放出部分に取り付けられる支持ロッドおよび放出部分の周囲から伸長するスカート(スカートと放出部分が空洞を定める)、空洞内でカソードの放出部分の近傍に配置されたカソードの放出部分を加熱するフィラメント、ならびにカソードおよびフィラメントを固定した空間関係で取り付け、カソードおよびフィラメントに電気的エネルギーを伝えるための留め付け組立体を含む。
【0010】
ある応用では、カソードの放出部分はディスク形状であり、正面および背面を有する。支持ロッドは放出部分の背面の中心または中心付近に取り付けられてもよい。スカートは円筒状でもよく、放出部分の周囲から後方に伸長したものでもよい。スカートはイオン源のアークチェンバー内で、フィラメントをプラズマからシールドする機能をもつが、カソードの機械的な取り付けのため、カソードへの電気的なエネルギーの伝達のために使用はされない。
【0011】
クランプ組立体は、カソードの支持ロッドの固定されるカソードクランプ、フィラメントの第一および第二の接続リード線に固定される第一および第二のフィラメントクランプ、ならびに絶縁体ブロックを含む。カソードクランプならびに第一および第二のフィラメントクランプは絶縁体ブロックの固定位置に取り付けられる。
【0012】
本発明の他の態様にしたがって、カソードが、間接的に加熱されるイオン源に使用するために設けられる。カソードは、正面、背面および周囲を有する放出部分、放出部分の背面に取り付けられる支持ロッド、ならびに放出部分の周囲から伸長するスカートを含む。
【0013】
本発明の他の態様にしたがって、間接的に加熱されるカソードイオン源が設けられる。間接的に加熱されるカソードイオン源は、アークチェンバーを定めるアークチェンバーハウジング、アークチェンバー内に配置される、間接的に加熱されるカソード、間接的に加熱されるカソードを加熱するためのフィラメントを含む。間接的に加熱されるカソードは、正面、背面および周囲を有する放出部分、放出部分の背面に取り付けられる支持ロッド、ならびに放出部分の周囲から伸長するスカートを含む。
【0014】
本発明の他の態様にしたがって、間接的に加熱されるカソードイオン源が設けられる。間接的に加熱されるカソードイオン源は、アークチェンバーを定めるアークチェンバーハウジング、アークチェンバー内に配置される、間接的に加熱されるカソード、間接的に加熱されるカソードを加熱するための、アークチェンバーの外側に配置されるフィラメント、ならびにアークチェンバーの外側で、フィラメントおよび間接的に加熱されるカソードの近傍に配置されるシールドを含む。
【0015】
イオン源は、アークチェンバー、間接的に加熱されるカソード、フィラメントおよびシールドを包含する真空容器を含む。フィラメントおよび間接的に加熱されるカソードはシールドの一方の側に位置し、そのシールドの他方の側に真空容器の隣接部分が位置する。一実施例では、アークチェンバーハウジングおよび真空容器は、共通電位にあり、シールドはフィラメント電位にある。他の実施例では、真空容器は基準電位に接続され、シールドは電気的に浮動状態にある。
【0016】
イオン源はさらに、カソードおよびフィラメントを固定した空間関係に取り付け、かつ電気的エネルギーをカソードおよびフィラメントに伝えるためのクランプ組立体を含んでもよい。シールドはクランプ組立体に取り付けることができる。クランプ組立体は、フィラメントの第一および第二の接続線のそれぞれに取り付けられる第一および第二のフィラメントを含むことができる。ある応用例では、シールドはフィラメントクランプのひとつに、機械的かつ電気的に接続される。他の実施例では、シールドはフィラメントクランプのひとつに、電気絶縁体により機械的に取り付けられる。
【0017】
本発明の他の態様にしたがって、間接的に加熱されるカソードイオン源が設けられる。間接的に加熱されるカソードイオン源は、アークチェンバーを定めるアークチェンバーハウジング、アークチェンバー内に配置され、間接的に加熱されるカソード、アークチェンバーの外に配置され、間接的に加熱されるカソードを加熱するためのフィラメント(間接的に加熱されるカソードはアークチェンバー内で、プラズマを発生させる電子を提供する)、およびアークチェンバーの外側でフィラメントおよび間接的に加熱されるカソードの近傍の領域から電子およびプラズマが逃げるのを防止するための手段を含む。
【0018】
本発明の他の態様にしたがって、イオン源を操作する方法が与えられる。本方法は、アークチェンバーを定めるアークチェンバーハウジングを用意する工程、アークチェンバー内に、間接的に加熱されるカソードを配置する工程、アークチェンバー内でプラズマを発生させる電子を与えるために、アークチャンバーの外に配置されるフィラメントで、間接的に加熱されるカソードを加熱する工程、およびフィラメントおよびアークチェンバーの外側で、間接的に加熱されるカソードの近傍の領域から電子およびプラズマが逃げることを防止する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は本発明の実施例にしたがって、間接的に加熱されるカソードイオン源の略示ブロック図である。
【図2A】図2Aは本発明の実施例にしたがって、間接的に加熱されるカソードイオン源の断面図である。
【図2B】図2Bは、アークチェンバーおよび関連要素を示す、図2Aの、間接的に加熱されるカソードイオン源の拡大断面図である。
【図3】図3は図2Aおよび図2Bのイオン源に利用されたカソード組立体の正面図である。
【図4】図4は図3の線4−4にそったカソード組立体の断面図である。
【図5】図5は図2Aおよび図2Bのイオン源に利用される、間接的に加熱されるカソードの側面図(一部破線で示されている)である。
【図6】図6は図2Aおよび図2Bのイオン源に使用されるフィラメントの斜視図である。
【図7】図7は図2Aおよび図2Bの、間接的に加熱されるカソードイオン源の斜視図である。
【図8】図8は第一の実施例にしたがったシールドおよび真空容器の電気的接続を示す略示ブロック図である。
【図9】図9は第一の実施例において、シールドをフィラメントクランプに取り付けることを図示するイオン源の部分断面図である。
【図10】図10は第二の実施例にしたがって、シールドおよび真空容器の電気的接続を示す略示図である。
【図11】図11は第二の実施例において、シールドをフィラメントに取り付けることを示すイオン源の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例にしたがった、間接的に加熱されるカソードイオン源が図1に示されている。抽出開口12を有するアークチャンバーハウジング10がアークチェンバー14を定める。カソード20およびリペラ電極22がアークチェンバー14内に配置されている。アークチャンバー14の外側でカソード20の近傍に位置するフィラメント30がカソード20を加熱する。
【0021】
イオン化されたガスが、ガス源32から、ガス入口34を通ってアークチャンバー14へと与えられる。他の構成(図示せず)では、アークチェンバー14は、アークチェンバー14内で、イオン化される材料を気化させる気化器に連結される。
【0022】
アーク電源50がアークチェンバーハウジング10に接続される正のターミナルおよびカソード20に接続される負のターミナルを有する。リペル電極22は図1に示されているように浮遊状態でもよく、またアーク電源50の負のターミナルに接続されてもよい。アーク電源50は25アンペアで100ボルトの定格出力をもち、約70ボルトで動作することができる。アーク電源50はカソード20により放出された電子をアークチェンバー14内のプラズマへ加速する。
【0023】
バイアス電源52はカソード20に接続された正のターミナル、およびフィラメント30に接続された負のターミナルを有する。バイアス電源52は4アンペアで600ボルトの定格出力をもち、電流が約2.5アンペアで、電圧が350ボルトで動作する。バイアス電源52は、フィラメント30により放出された電子をカソード20に加速し、カソード20の加熱を行う。
【0024】
フィラメント電源54がフィラメント30に接続された出力ターミナルを有する。フィラメント電源54は200アンペアで6ボルトの定格出力をもち、約140から170アンペアのフィラメント電流で動作する。フィラメント電源54はフィラメントの加熱を行う(カソードの加熱のためにカソード20へ加速される電子を順次発生させる)。
【0025】
ソース磁石60がアークチェンバー14内に、矢印62により示された方向に、磁場Bを形成する。典型的に、ソース磁石60はアークチェンバー14の両端に極をもつ。磁場Bの方向は、イオン源の操作に影響を与えることなく反転させることができる。ソース磁石60は磁石電源64(60アンペアで20ボルトの定格出力をもつ)に接続されている。磁場は、カソード20により放出された電子とアークチェンバー14内のプラズマとの間の相互作用を増加させる。
【0026】
電源50、52、54および64の電圧および電流の定格出力、ならびに動作電圧は単に例示であり、本発明を限定するものではない。
【0027】
抽出電極70および抑制電極72が抽出開口12の正面に配置されている。抽出電極70および抑制電極72のそれぞれは、非常によく定められたイオンビーム74の抽出用の抽出開口12と整合した開口を有する。抽出電極70および抑制電極72は各電源(図示せず)に接続されている。
【0028】
イオン源制御器100がイオン源を、分離回路を介して制御する。他の実施例では、分離機能を実行する回路が電源50、52および54に組み込まれてもよい。イオン源制御器100はプログラムされた制御器または専用の制御器であってもよい。一実施例では、イオン源制御器はイオン注入器の主要な制御コンピュータに組み込まれる。
【0029】
イオン源が動作するとき、フィラメント30はフィラメント電流IFにより、熱電子放出温度(2200℃のオーダ)に抵抗加熱される。フィラメント30により放出される電子はフィラメント30とカソード20との間のバイアス電圧VBにより加速され、カソード20に衝突し、加熱する。カソード20は電子の衝突により、熱電子放出温度に加熱される。カソード20により放出された電子は、アーク電圧VAにより、アークチェンバー内でガス源32からのガス分子をイオン化し、プラズマ放電を生成する。リペル電極22は入射電子のために負の電荷をもつようになり、ついには、電子をアークチェンバー14に戻し、さらにイオン化衝突を発生させるのに十分な負の電荷をもつ。図1のイオン源は、フィラメント30がアークチェンバー14内のプラズマに晒されず、カソード20が従来の直接加熱するカソードよりも大きなものとなることから、良いイオン源の寿命を呈する。
【0030】
本発明の実施例にしたがったイオン源が図2Aないし図9に示されている。図1ないし図9の同様の要素には同じ符号が付されている。電源50、52、54および64、制御器100、分離回路102、ガス源32およびソース電源60が図2Aないし図9には示されてはいない。
【0031】
図2Aおよび図2Bに示されているように、アークチェンバー10はイオン源本体150およびアークチェンバーベース152により支持されている。プレート154(イオン源本体150の一部)がイオン源の真空領域と外部環境との間の境界を定める。アークチェンバー14のガス入口34とガス源32(図1)との間の連結は管160より与えられる。
【0032】
図2Aおよび図2Bに示されているように、リペル電極22は伝導性支持部材170および絶縁体172により、アークチェンバーベース152に取り付けられている。リペル電極22は絶縁体174により、アークチェンバー10から電気的に分離される。
【0033】
図2A、図2B、図3および図4に示されているように、カソード組立体200が、カソード20、フィラメント30並びにカソード20とフィラメント30とを固定した空間関係で取り付け、かつカソード20およびフィラメント30へ電気的エネルギーを伝えるためのクランプ組立体を含む。図2Aおよび図2Bに示されているように、カソード20は、アークチェンバーハウジング10の一端の開口内に設けられているが、アークチェンバーハウジング10に物理的に接していない。好適に、カソード20とアークチェンバーハウジング10との間隙は約0.050インチ(0.127cm)のオーダである。
【0034】
図5にカソード20の例が示されている。カソード20は、正面222,背面224および対称軸22を有する、ディスク形状の放出部分220を含む。支持ロッド230が背面224から後方に伸長し、好適には軸226にそって位置する。スカート232が放出部分220の外側周囲から後方に伸長している。スカート232は円筒形状でもよく、好適には熱エネルギーの伝達を制限するために、比較的薄壁部を有する。放出部分220およびスカート232は放出部分220の背面224に隣接して、カップ形状の空洞240を定める。下述するように、フィラメント30は背面224の近傍に、空洞240内に配置され、スカート232により、アークチェンバー14内のプラズマからシールドされる。一実施例として、カソード20はタングステンから作られる。
【0035】
支持ロッド230はカソード20の機械的な取り付けのために使用され、電気的エネルギーをカソード20に伝える。好適に、支持ロッド230は、熱伝導および放射を制限するために、放出部分220に対して小さな直径をもつ。一実施例では、支持ロッド230は、直径が0.125インチ(0.32cm)で、長さが0.759インチ(1.93cm)で、放出部分220の背面224の中心に取り付けられている。
【0036】
スカート232はアークチェンバー14内のプラズマからフィラメント30をシールドする機能を果たすが、カソード20の機械的な取り付け、またはカソード20への電気的エネルギーの伝達のためには使用されない。特に、スカート232はアークチェンバー内にカソード20を取り付けるために使用されるクランプ組立体に物理的に接することなく、アークチェンバーハウジング10に物理的に接することもない。一実施例として、スカート232は壁厚が約0.050インチ(0.127cm)、軸方向の長さが約0.56インチ(1.42cm)である。
【0037】
放出部分220は比較的厚く、イオン源の主要な電子放出器として機能する。一実施例として、放出部分220は直径が0.855インチ(2.17cm)で厚さが0.200インチ(0.51cm)である。これらの寸法は単に例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0038】
フィラメント30の例が図6に示されている。この例では、フィラメント30は伝導性ワイヤから作られ、加熱ループ270および接続線272、274を含む。接続線272および274は、図2A、図2B、図3および図4に示されているように、フィラメント30をクランプ組立体210に取り付けのための適切な曲がり部を備えている。図6の例において、加熱ループ270は内径が0.360インチ(0.91cm)で、外径が0.54インチ(1.37cm)である。フィラメント30は0.090インチ(0.23cm)を有するタングステンワイヤから作ることができる。好適には、加熱ループ270の長さにそってワイヤはアースされるか、またはカソード20の近傍で加熱を高め、接続線272および274の加熱を減少させるために、カソード20の近傍領域で、断面積を小さくする。加熱ループ270は、約0.024ないし0.028インチ(0.06ないし0.071cm)だけ、放出部分220の背面から間隔があけられている。
【0039】
図3によく示されているように、クランプ組立体210はカソードクランプ300、フィラメントクランプ302および304、ならびに絶縁体ブロック310を有することができる。カソードクランプ300ならびにフィラメントクランプ302および304は、絶縁体ブロック310に固定した位置で取り付けられ、互いに電気的に分離されている。クランプ300、302および304の各々は、広がり可能なフィンガー316および318を形成するための、縦方向のスリット312およびひとつ以上の穴314をもつ伝導性金属ストリップのように作られてもよい。広がり可能なフィンガー316および318は、フィラメントクランプ302および304のときはそのフィラメント接続線を受け入れるため、カソードクランプ300のときは支持ロッド230を受け入れるための穴を含んでもよい。フィラメントクランプ302および304はカソード20に対してフィラメント20を配置するための大きさをもつ止まり穴324をそれぞれ有することができる。カソードクランプ300は、フィラメント30に対してカソード20を適切に配置した後に、カソードクランプ300のフィンガーを留め付けるためのネジ320を含むことができる。カソードクランプ300ならびにフィラメント302および304は図1に示され、上述したように、それぞれの電源への電気的な接続のために、絶縁体ブロック310の下へと伸長している。
【0040】
図2Aおよび図2Bに示されているように、スカート232がアークチェンバー14でプラズマからフィラメント30を有効にシールドすることが分かる。したがって、フィラメント30のスパッタリングおよび損傷は制限される。カソード20とアークチェンバーハウジング10との間に間隙があるが、フィラメント30の加熱ループは、カップ形状の空洞240内に位置し、アークチェンバー14からのプラズマのフィラメント30への移動が最小となる。したがって、長時間の動作寿命が達成でき、従来技術のイオン源に使用されたカソード絶縁体が不要となる。
【0041】
イオン源は図2A、図2Bおよび図7に示されているように、シールド400をさらに含んでもよい。シールド400はアークチェンバー14の外側で、カソード20およびフィラメント30の近傍の領域を実質的に覆う。シールド400の機能は、カソード20およびフィラメント30の周囲で、電子およびプラズマに対する障壁を形成することである。シールド400は、電子およびプラズマに対する障壁を形成するが領域402をシールはしないという意味で、実質的に領域402を覆う。
【0042】
シールド400は箱形状の構造物でもよく、超硬合金から作られてもよい。図2A、図2Bおよび図7の実施例において、シールド400は二段主壁部410、頂部壁部412、第一の側壁部414および第二の側壁部(図示せず)を含む。二段主壁部410は、シールド400がフィラメントクランプ304に電気的かつ機械的に接続できるように、そしてフィラメントクランプ302およびカソードクランプ300から離れるようにする。種々のシールド構成が利用できることは理解できるであろう。たとえば、シールド400は平坦な主壁部を有してもよく、絶縁体を使用してフィラメントクランプ304に取り付けられてもよい。さらに、シールド400はイオン源の他の要素に取り付けられてもよい。
【0043】
上述したように、シールド400は、アークチェンバー14の外側で、カソード20およびフィラメント30の近傍の領域402を実質的に覆う。イオン源の動作は、フィラメント30およびカソード20による電子の発生、およびアークチェンバー14内でのプラズマの形成に関連する。理想的な条件では、フィラメント30により発生された電子はカソード20に衝突し、カソード20により発生された電子はアークチェンバー14内に残り、プラズマはアークチェンバー14内に残る。しかし、実際のイオン源では、イオン源を含む真空容器、抽出システムの要素のような種々の要素における電位は不所望の電子放出、アーク放電および/またはプラズマ形成をもたらす。このような不所望の条件下では、イオン源の安定が悪くなり、その寿命が短くなる。カソード20とアークチェンバーハウジング10との間の空間は、アークチェンバー14からプラズマが逃げる路を与える。シールド400は真空容器および抽出システムの要素を、フィラメント30、カソード20およびアークチェンバー14から有効に分離する。
【0044】
シールド400および関連したイオン源要素の第一の実施例が図8および図9に示されている。真空容器430の一部が図示のために示されている。真空容器430はイオンソースの要素を含み、イオン源の制御された環境と外部雰囲気との間の境界を定める。この実施例では、真空容器430はアークチェンバーハウジング10の電位と電気的に接続されている。シールド400がない場合、フィラメント30およびカソード20からの電子は真空容器430と衝突し、真空容器430にダメージを与えよう。図8および図9の実施例において、シールド400はフィラメント30の正のターミナルに電気的に接続される。図9に示されているように、シールド400はフィラメントクランプ304に機械的かつ電気的に取り付けられる。二段主壁部410により、シールド400は図7および図9に示されているようにフィラメントクランプ304に直接取り付けることができる一方で、シールド400とフィラメントクランプ302またはカソードクランプ300との間の物理的な接触は防止される。図8に示されているように、シールド400は、アークチェンバー14の外側で、フィラメント30およびカソード20の近傍の領域402を実質的に覆う。シールド400は実質的に障壁として機能する。カソード20およびフィラメント30はシールド400により形成される障壁の一方の側に位置し、真空容器430および電極70および72のような抽出システムの要素は障壁の他方の側に位置する。
【0045】
シールド400および関連したイオン源の要素の第二の実施例が図10および図11に示されている。図10および図11の実施例では、真空容器430はアースされ、シールド400は電気的に浮遊状態にある。図11に示されているように、シールド400は、シールド400とフィラメントクランプ304との間の取り付けを確実にするために、絶縁分離体450および452ならびに絶縁取り付けハードウエア454を使用してフィラメントクランプ304に取り付けられている。これに代えて、シールド400は絶縁分離体を使用して、イオン源の他の要素に取り付けてもよい。第一の実施例において、シールド400は、アークチェンバー14の外側で、フィラメント30およびカソード20の近傍の領域を実質的に覆い、障壁の機能を果たす。
【0046】
シールド400は適当な大きさ、形状を取ることができ、箱形状に限定されない。シールド400は実質的に、たとえばタンタル、タングステン、モリブデンまたはニオビウムのような超硬金属から作られてもよい。イオン源の厳しい環境下で、シールド400は高温、腐食に耐えるものでなければならない。
【0047】
シールド400はカソード20とアークチェンバーハウジング10との間の絶縁体(アークチェンバーハウジング10からカソードを電気的に分離する一方で、アークチェンバー14からプラズマが逃げるのを防止するために使用されてきた)を不要にする。この位置の絶縁体はイオン源の寿命を短くする伝導性付着物の影響を受ける。
【0048】
イオン源は、絶縁体ブロック310とカソード20との間に絶縁体シールド460を含むことができる(図2A、図2Bおよび図7を参照)。絶縁体シールド460はイオン源本体150に取り付けられる超硬金属要素のものであってもよい。絶縁体シールド460は、カソードクランプ300ならびにフィラメントクランプ302および304から電気的に分離するためのカットオフ(安全器)を有する。絶縁体シールド460は絶縁体ブロック310上に付着物の形成(一つ以上のカソードクランプ300とフィラメントクランプ302および304との間をショートさせてしまう)を防止する。
【0049】
上記の記載は例示であり、網羅的なものではない。この記載により、当業者であれば種々の変形、変更が可能であることは分かるであろう。これら変形、変更は特許請求の範囲内に含まれるものである。当業者であれば、他の同等なものもがその記載から認めることができ、その同等なものは特許請求の範囲に含まれるものである。さらに、本発明が、特許請求の範囲の従属項にある特徴の可能な組み合わせをもつ他の実施例を通しも理解できるように、特許請求の範囲の独立項にある特徴は、本発明の範囲内で互いに組み合わせることがでる。
【符号の説明】
【0050】
10 アークチャンバーハウジング
12 抽出開口
14 アークチャンバー
20 カソード
22 リペラ電極
30 フィラメント
34 ガス入口
150 イオン源本体
160 管
170 伝導性支持部材
172 絶縁体
210
240 空洞
300 カソードクランプ
310 絶縁体ブロック
400 シールド
402 領域
410 二段主壁部
412 頂部壁部
414 第一の側壁部
460 絶縁体シールド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間接的に加熱されるカソードイオン源に使用されるカソード組立体であって、
放出部分、放出部分に取り付けられる支持ロッド、および前記放出部分の周囲から伸長し、前記放出部分とともに空洞を定めるスカートを有するカソードと、
前記空洞内で、前記カソードの放出部分の近傍に配置される、前記カソードの放出部分を加熱するフィラメントと、
前記カソードと前記フィラメントを固定した空間関係で取り付け、前記カソードおよび前記フィラメントに電気的エネルギーを伝えるためのクランプ組立体と、
を含むカソード組立体。
【請求項2】
前記カソードの放出部分がディスク形状である、請求項1に記載のカソード組立体。
【請求項3】
前記ディスク形状の放出部分が正面および背面を有し、前記支持ロッドが放出部分の背面の中心またはその付近に取り付けられる、請求項2に記載のカソード組立体。
【請求項4】
前記スカートが円筒状で、前記放出部分の周囲から後方に伸長する、請求項3に記載のカソード組立体。
【請求項5】
前記スカートは、長さが0.560インチ(1.422cm)で、壁厚が0.050インチ(0.127)である請求項4に記載のカソード組立体。
【請求項6】
前記クランプ組立体が前記カソードの支持ロッドに取り付けられるカソードクランプを含む、請求項1に記載のカソード組立体。
【請求項7】
前記クランプ組立体がさらに、第一および第二の接続線に、それぞれ取り付けられた第一および第二のフィラメントクランプを含む、請求項6に記載のカソード組立体。
【請求項8】
前記クランプ組立体が絶縁体ブロックを有し、前記カソードクランプおよび前記第一および第二のフィラメントクランプが前記絶縁体ブロックの固定位置に取り付けられる、請求項7に記載のカソード組立体。
【請求項9】
前記カソードのスカートが前記カソードの放出部分にのみ接触する、請求項1に記載のカソード組立体。
【請求項10】
間接的に加熱されるカソードイオン源に使用されるカソードであって、
正面、背面および周囲を有する放出部分と、
前記放出部分の背面に取り付けられる支持ロッドと、
前記放出部分の周囲から伸長するスカートと、
を含む、カソード。
【請求項11】
前記カソードの放出部分がディスク形状である、請求項10に記載のカソード組立体。
【請求項12】
前記支持ロッドが前記ディス形状の放出部分の背面の中心から後方に伸長する、請求項2に記載のカソード組立体。
【請求項13】
前記スカートが円筒状シェルからなる、請求項12に記載のカソード。
【請求項14】
前記スカートおよび前記放出部分がカップ形状の空洞を定める、請求項11に記載のカソード。
【請求項1】
間接的に加熱されるカソードイオン源に使用されるカソード組立体であって、
放出部分、放出部分に取り付けられる支持ロッド、および前記放出部分の周囲から伸長し、前記放出部分とともに空洞を定めるスカートを有するカソードと、
前記空洞内で、前記カソードの放出部分の近傍に配置される、前記カソードの放出部分を加熱するフィラメントと、
前記カソードと前記フィラメントを固定した空間関係で取り付け、前記カソードおよび前記フィラメントに電気的エネルギーを伝えるためのクランプ組立体と、
を含むカソード組立体。
【請求項2】
前記カソードの放出部分がディスク形状である、請求項1に記載のカソード組立体。
【請求項3】
前記ディスク形状の放出部分が正面および背面を有し、前記支持ロッドが放出部分の背面の中心またはその付近に取り付けられる、請求項2に記載のカソード組立体。
【請求項4】
前記スカートが円筒状で、前記放出部分の周囲から後方に伸長する、請求項3に記載のカソード組立体。
【請求項5】
前記スカートは、長さが0.560インチ(1.422cm)で、壁厚が0.050インチ(0.127)である請求項4に記載のカソード組立体。
【請求項6】
前記クランプ組立体が前記カソードの支持ロッドに取り付けられるカソードクランプを含む、請求項1に記載のカソード組立体。
【請求項7】
前記クランプ組立体がさらに、第一および第二の接続線に、それぞれ取り付けられた第一および第二のフィラメントクランプを含む、請求項6に記載のカソード組立体。
【請求項8】
前記クランプ組立体が絶縁体ブロックを有し、前記カソードクランプおよび前記第一および第二のフィラメントクランプが前記絶縁体ブロックの固定位置に取り付けられる、請求項7に記載のカソード組立体。
【請求項9】
前記カソードのスカートが前記カソードの放出部分にのみ接触する、請求項1に記載のカソード組立体。
【請求項10】
間接的に加熱されるカソードイオン源に使用されるカソードであって、
正面、背面および周囲を有する放出部分と、
前記放出部分の背面に取り付けられる支持ロッドと、
前記放出部分の周囲から伸長するスカートと、
を含む、カソード。
【請求項11】
前記カソードの放出部分がディスク形状である、請求項10に記載のカソード組立体。
【請求項12】
前記支持ロッドが前記ディス形状の放出部分の背面の中心から後方に伸長する、請求項2に記載のカソード組立体。
【請求項13】
前記スカートが円筒状シェルからなる、請求項12に記載のカソード。
【請求項14】
前記スカートおよび前記放出部分がカップ形状の空洞を定める、請求項11に記載のカソード。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−192454(P2010−192454A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91583(P2010−91583)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【分割の表示】特願2004−508365(P2004−508365)の分割
【原出願日】平成15年5月22日(2003.5.22)
【出願人】(500324750)バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド (88)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【分割の表示】特願2004−508365(P2004−508365)の分割
【原出願日】平成15年5月22日(2003.5.22)
【出願人】(500324750)バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド (88)
【Fターム(参考)】
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