間欠的に結合された繊維ウェブ積層体
熱可塑性裏材の繊維ウェブへの積層体が提供される。この積層体は、例えば、フック・ループ式締着装置において使用するためのループ積層体として、又は間欠的に結合された弾性の繊維積層体として使用することもできる。積層体は、第一面及び第二面を有する熱可塑性裏材層を含む。裏材層は、裏材の少なくとも第一面から延びる複数の突出部を有する。突出部の少なくとも幾つかの場所において繊維ウェブが裏材に取付けられている。裏材の熱可塑性材料は、突出部の場所において繊維ウェブに貫入し、繊維ウェブの繊維を少なくとも部分的に封入する。繊維ウェブは、好ましくは、突出部の少なくとも幾つかに貫入する。繊維ウェブは、隣接した突出部間の距離の少なくとも一部にわたって、一般に裏材層に取付けられない、又は非常に軽く取り付けられる。これは、取り付けられた突出部間の繊維ウェブの性能を損なうことなく、裏材と直接的に押出し形成できる、低コスト繊維ウェブ積層体を見込んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景と概要)
本発明は、フック・ループ式ファスナ用のループ材料として使用することもできるような、一般的にはフィルムである構造化された裏材に間欠的に押出し結合された可撓性繊維ウェブ材の少なくとも1枚のシートを有する、積層体に関する。本発明は更に、これらの積層体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布をフィルムに積層することにより形成されてループなどとして使用するための繊維性積層体は、既知である。そのような積層体は、繊維性の表面が望ましい使い捨て衣類及び物品中で使用されることが多い。より嵩高い繊維性表面を作り出すために、繊維材料が、裏材に間欠的に結合されることが多い。弾性積層体の場合、このことは、積層体をより容易に伸び可能とするために望ましい。ループ積層体にあっては、間欠結合は、適切なフックを取り付けるために繊維材料をオープンに保つことが望ましい。例えば、米国特許第5,032,122号では、配向可能な材料の裏材が寸法的に不安定な状態で設けられる。複数のフィラメントが、フィラメントのそれぞれに沿って離間された固定領域で裏材に結合される。固定領域は、固定領域の各対の間に、非固定捕捉領域を画定する。配向可能な材料は、一方向に沿ってその寸法安定状態に復帰し、これにより、捕捉領域においてフィラメントを並行に寄せて、固定領域の間で裏材から突き出る繊維要素を形成する。これがループ布地として使用される。
【0003】
米国特許第5,547,531号には、弛緩配向及び伸長配向がある第一の接着面と前記第一の接着面と反対側の第二の接着面とを有する弾性の感圧性接着剤フィルムを含む第一の薄層を用意する工程と、前記第一の薄層を前記弛緩配向から前記伸長配向まで延伸させる工程と、不織ウェブを含む第二の薄層を前記伸長配向にある前記第一の薄層の前記第一面に接触させ、それにより、前記第二の薄層と前記第一の薄層を直接的に接合させて積層体を形成する工程と、前記第一の薄層を弛緩させて、前記第二の薄層がギャザーを並行に寄せるようにして、補完的な雄型締着構成要素のフックに絡み合い可能な捕捉領域を形成する工程と、を含む方法によってループを形成することが記載されている。
【0004】
米国特許第5,595,567号においても不織ウェブが用いられており、好ましくは、裏材が伸長されて不安定な配向にある間に、裏材に接合される。建設用ボンドが、不織ウェブを裏材に接合させるボンドパターンを形成する。裏材が伸長配向から弛緩配向へ収縮する時、不織ウェブの非固定領域が、ギャザーを並行に寄せるとともに裏材から外向きに延びて、補完的な雄型締着コンポーネントの係合要素に絡み合い可能な捕捉領域を形成する。
【0005】
米国特許第5,256,231号には、ループ材のシートを提供する方法が記載されており、シートが片に分断されて解除可能に係合可能なフック及びループ部分を含むタイプのファスナのためのループ部分を形成し、使い捨て衣類又はおむつなどの品目に組み込まれるように適合されたものである。ループ材のシートには、固定部分と固定部分から離れて一方向に突き出る弓状部分とを有する長手方向に向く繊維のシート、並びに固定部分に結合するように固定部分の上に押し出されてループ材用の裏材の少なくとも一部を形成する熱可塑性の裏材層が含まれる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、熱可塑性裏材の繊維ウェブへの積層体を対象とする。この積層体は、例えば、フック・ループ式締着装置において使用するためのループ積層体として、又は間欠的に結合された弾性の繊維積層体として、使用することもできる。積層体は、第一面及び第二面を有する熱可塑性裏材層を含む。裏材層は、裏材の少なくとも第一面から延びる複数の突出部を有する。突出部の少なくとも幾つかの場所で、繊維ウェブが裏材に取付けられる。裏材の熱可塑性材料は、突出部の場所で繊維ウェブに貫入し、繊維ウェブの繊維を少なくとも部分的に封入する。繊維ウェブは、好ましくは、突出部の少なくとも幾つかに貫入する。繊維ウェブは、隣接した突出部間の距離の少なくとも一部にわたって、一般に裏材層に取り付けられない、又は非常に軽く取り付けられる。これは、取り付けられた突出部間の繊維ウェブの性能を損なうことなく、裏材と直接的に押出し形成できる、低コスト繊維ウェブ積層体を見込んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の繊維ウェブ積層体は、複数の立ち上がった突出部を有する熱可塑性裏材を供給し、次に、突出部の少なくとも幾つかの場所で、裏材を形成する熱可塑性材料の中へ可撓性の繊維ウェブを埋め込むことによって、形成されてもよい。これを選択的押出し結合プロセスと呼ぶ。この選択的押出し結合が、裏材の突出部を有する場所においてなされるのは、一般に裏材のこれらの場所におけるポリマー質量がより大きいためである。このより大きいポリマー質量によって、ポリマーがこれらの領域で流体状により長く維持可能になる。これによって次に、繊維ウェブの繊維が、これらの場所において裏材を形成するポリマーの中へ選択的に貫入可能になる。繊維ウェブは、好ましくは、突出部そのものの熱可塑性ポリマーの中へ埋め込まれるが、突出部の場所において突出部を有する面と反対の裏材の面に埋め込みが可能である。これが可能であるのは、突出部によって作り出されたより大きい熱質量部が裏材の両面上の裏材ポリマーの冷却を遅くするからであり、ポリマーへの繊維埋め込みによる選択的結合が両面上で可能になるが、繊維ウェブの繊維の埋め込みは、当然突出部を含む面上ではるかによいであろう。突出部間の繊維ウェブは、裏材に接触するが、好ましくは結合しない、又は非常にわずかに結合する。
【0008】
裏材層は、設けられた突出部によって繊維ウェブに選択的に押出し結合可能ないかなる層にもすることができる。裏材層は、そのようなものであるので、連続フィルムに又は不連続フィルムに又はストリップにすることも可能なフィルムにすることもでき、あるいは本発明に従って選択的押出し結合に利用できる突出部を提供可能な好適な繊維にすることもできる。裏材は、一般に複数の離間された突出部を有し、この離間された突出部の少なくとも幾つかの間に、突出部の無い裏材の中間領域があることもある。例えば、網目構造が押出し形成されて、これが網目の交差するストランド上に突出部を有することもできる。網目の幾つかの場所が、突出部を有して、突出部(例えば、網目を形成するスタンド上の突出部)の間に裏材の中間領域があることもある。網目の幾つかの場所には、突出部の間に裏材の中間領域が無く、むしろ網目の穴があることもある。
【0009】
裏材は、非弾性及び/又は弾性の熱可塑性材料にすることもでき、そして幾つかの実施形態では、突出部が部分的に突出部の無い領域の裏材とは異なる熱可塑性ポリマー又はブレンドで形成される。裏材は又、別個の要素の組にすることもできる。例えば、裏材が、一連の別個の要素であって、それぞれに1つより多い突出部を、好ましくは3つ以上の突出部を設けることもできる。それぞれに1つの突出部だけを設けた別個の要素で裏材が形成される場合、別個の要素は、繊維ウェブから離れて旋回して任意の意味のある支持体を提供しない傾向となっている。突出部間の裏材の平均厚さは、一般に、少なくとも10ミクロン、又は20ミクロンであり、そして時には、突出部により作り出される取り付け点の間で、裏材が繊維ウェブに対して支持体を提供するように、裏材上の突出部より厚いこともある。裏材は、一実施形態では、図4に示されるように、繊維ウェブ6に取り付けられるフィルム裏材5の少なくとも1つの面の上に直立した突出部8の配列を有する連続フィルム1である。突出部8は、押出しプロセス中などに同時に形成されるので、一般にフィルム裏材5と一体になっている。そのようなものであるので、突出部と裏材の間に結合線又は継ぎ手は無く、裏材上には一体形成された突出部だけがある。言い換えれば、これらが一体形成されているので、裏材材料と突出部を形成する材料は突出部が裏材と合体する場所では同一である。幾つかの裏材形成方法では、突出部はそれらの端部において、全体的に又は部分的に、裏材とは異なるポリマー又はブレンドで形成可能であるが、突出部の基部においては裏材及び突出部は1つの連続的な材料である。
【0010】
繊維ウェブ積層体は、図1に示されるような方法によって作成可能である。押出しダイ52が、フィルム1を形成する熱可塑性材料を押し出しており、フィルム1は、直立した突出部8の配列を有するフィルム裏材5を含むように形成される。ダイを出るポリマーは、米国特許公開出願第2003/111767A1号にて開示されるように、形成工具4などの形成面上で形成される突出部8を有することもでき、その特許内容が全体を参考として組み入れられる。熱可塑性の成型可能な材料が、押出しにより形成工具4に供給されて、図3に概略的に示されるように、工具面4のキャビティ7の複写である突出部8を有するフィルム1が作り出される。フィルム裏材5は、形成工具4とバックアップ面の間の隙間2により作り出されたものであり、バックアップ面は、図1に示されるように、平滑ロール20の表面である。或いは、これらの突出部8は、ダイリップにおいて直接成形して、長手方向に延びる突出部を有する裏材が付いた構造化フィルムを形成することもできる。これは、一般に一連の連続的な突起を有するフィルムとなる。
【0011】
この隙間2は、いかなる好適な幅にもすることができる。不連続の裏材が望まれる場合、形成工具4の一部をロール20などのバックアップ面に係合させることによって、領域内で隙間を無くすこともできる。
【0012】
フィルム1は、次に、突出部の場所において繊維ウェブの繊維をフィルムポリマーに押し込む程度の圧力を提供するニップ12において、繊維ウェブ6に接合される。繊維ウェブ6は、ロールなどの供給形体11から供給することができ、又はフィルム裏材5とインラインで作成することもできる。繊維ウェブ6は、押出しからの残留熱を主として用いて突出部8の場所においてフィルムポリマーに結合されており、突出部8の場所で優先的に押出し積層されて、突出部8間の中間部分13では繊維ウェブのフィルム1への押出し積層結合が殆ど又は全く無いという結果が得られるようになっている。突出部8における熱可塑性材料のより大きな質量が、これらの場所の熱可塑性材料の冷却をより遅くし、溶融又は流体状でより長時間のままであるという結果になる。繊維ウェブ6の繊維は、そういうものとして、突出部の場所においてフィルムの熱可塑性材料を貫くことができる。フィルム裏材の中間部分13は、好ましくは、より早く固体化され、これらの部分において繊維が熱可塑性フィルム裏材に貫入することを殆ど不可能にする。繊維ウェブは、そういうものとして、これらの中間部分13においてその元の嵩高さを実質的に均一に保持する一方、フィルム裏材5の強度を突出部の場所で維持する。結果として得られる繊維ウェブ積層体10は、ロール16などの好適な形体で収集される。本発明の押出し結合法は、外部から加えられる熱又は超音波を用いたポイントボンディング法により積層されるフィルムと繊維のウェブとは対照的である。これらの外部熱又は音波ポイントボンディング組立て法を用いれば、下層フィルムが、ボンドポイントにおいて脆弱化され、及び繊維ウェブが、ボンドポイントにおいて裏材に押し付けられ、これによりボンドポイント間でも繊維ウェブが圧縮される。対照的に、本発明の方法の場合、繊維ウェブは、ボンドポイントにおいてもボンドポイント間と同程度の厚さにすることができる。言い換えれば、ボンドポイントは、繊維ウェブを実質的に圧縮しない。一般に、ボンドポイントにおける繊維ウェブは、ボンドポイント間の繊維ウェブの厚さの少なくとも50%、又は80%、又は90%でさえある。
【0013】
所望により、繊維ウェブ積層体10は、形成の後で、当該技術分野において既知のように、長さ又は幅に配向させることができる。そのような配向がいずれかの押出しボンドを横切る方向に実施される場合、積層体は、より大きい厚さ及び強さのために押出しボンドポイントを伸ばすことなく、押出しボンドポイントの間で伸ばすことができる(ポイントとは、いずれかの別個のボンドを意味し、積層体に沿って通る連続的なボンドの場合もある)非弾性の裏材の場合、これによって、安定的に高強度ボンドポイントとの組み合わせでは直接積層することができない坪量を有する繊維ウェブを製造することもできる。嵩高い繊維ウェブ布地との低坪量フィルム不織積層体は、直接製造するのは困難である。これは、ある程度は、低坪量フィルム及び/又は不織布の低い強度及び取り扱い性のためである。また、ある程度は、低坪量積層体又は積層体を形成する個々のフィルム若しくは繊維ウェブを貫いて脆弱化する又は焦がす場合もある、従来の熱又は音波ポイントボンディング技術の破壊的な性質のためでもある。長さ配向は、例えば、異なる速度で駆動される2対のニップローラーの間とすることもでき、又はインクレメンタル・リングローリング(ring rolling)技術を使用することもできる。幅方向伸張は、横断方向に発散するウェブ経路又はインクレメンタル・リングローリング(ring rolling)技術により実施することもできる。更にまた、繊維ウェブ積層体は、長さ及び横断方向に延伸して、2軸配向された繊維ウェブ積層体を提供することもできる。
【0014】
裏材が弾性である場合には、弾性裏材の結合場所間で繊維ウェブを脆弱化して、積層体を弾性的に回復させ並びに引き続いて配向の方向に及び配向の拡がりまで容易に伸張可能にすることによって、上記のような配向を弾性の繊維ウェブ積層体を活性化する方法として用いることもできる。弾性裏材が回復する時、取り付けられた繊維ウェブは、より嵩高になり、そしてより多くの繊維を裏材表面から突き出させることになる。この場合、繊維ウェブは、伸びのために、結合場所よりも結合場所間で嵩高化(低密度化)が進み、したがって、結合場所では嵩高化が生じない可能性がある。この嵩高化効果は、ループとして使用するための、より嵩高い繊維ウェブ積層体の作り出しに用いることもできる。
【0015】
裏材を形成するための代替方法が図5に示されている。これは、突出部を形成するのに形成面を使用する点で図1の実施形態に類似しているが、この場合、形成工具14の表面は平滑であって、形成面25は、形成ロール20の表面である。形成ロール20には、構造化された表面25が設けられており、これが図7に示されるような突出部31を裏材30上に成型する。図示される裏材30は、3つの部分を有する、すなわち突出部31並びに2つの異なる高さ又は厚さの中間部分33及び32を有するフィルムである。裏材30の反対面34は、図2に示されるように、形成ロール20から離された隙間2を供給するように配置された、形成工具14によって作られる平滑面である。この場合、裏材30は、ニップ12において繊維ウェブ6と接合される前に、移転ロール21に移転される必要がある。突出部は、この場合、ロール温度を押し出されたポリマーの溶融温度のより近くに調節することによって、流体のような状態をより長く保持することもできる。移転ロール21は、好ましくは、裏材30を固体に保つために、加熱されないこともある。再び、ロール20の一部に沿って部分的に隙間を無くすことによって、不連続の裏材構造体を形成することもできる。これにより、例えば、部分33が形成ロール表面のこれらの部分の隙間2を無くすことによって削除される場合、別個の構造体を形成することもできる。部分33が(隙間2の削除により)削除される場合には、長手方向に通る連続裏材が無いので、移転ロールは、別個の要素を形成面25から引き離す必要があり、それにもかかわらず、この場合、別個の要素を繊維ウェブに固定するために、1つより多い突出部が設けられるべきである。このことは、移転ロールと裏材30の間に軽い結合を有することによって、例えば、裏材30を形成するポリマーに対して接着特性のある表面を有する移転ロールを使用することによって実施することもできる。
【0016】
図8は、突出部31にて繊維ウェブ6に接合された図7のフィルム裏材を示す。このことは、同様に、ニップ内などの圧力下で実施されるであろう。
【0017】
本発明で用いるフィルム裏材を直接形成する、押出しダイ42を使用する代替方法が、図9に模式的に示される。ダイ42は、突出部を有する裏材を作り出すのに好適なダイリップ46を有して、フィルムを押し出している。この突出部を有する裏材43は、次にニップ12内などの圧力下で、裏材43の片方又は両方の面の上の1つ又は2つの繊維ウェブ6に接合される。このために好適なダイリップ46は、形成工具4のものと類似の形成面を有することもでき、これは一般に、フィルム裏材の方向に通る突起を形成するであろう。しかしながら、ユニークなプロセスを従来の多層流れストリームと共に使用することができ、これにより、突出部の間で裏材を形成する熱可塑性材料(突出部におけるポリマーの熱状態以外の特性)とは異なる結合特性を有する熱可塑性突出部が形成可能なる。一般に、この方法には、まず初期溶融ストリーム50を予め定められた流路に沿って押し出すことが含まれ、これは好ましくは、図10及び11に示されるダイリップインサート10のようなダイリップ46を通る、多層又は多成分溶融ストリーム50とすることができる。予め定められた流路は、好ましくは、一次元であり、及び流路の一部に沿って連続である。一次元とは、溶融ストリームが、直線など任意の一次元線形形状にすることもできるが、曲がった線にもでき、この曲線は、それ自体と交差することも、そして楕円又は円形体(例えば、円筒形のダイ)を形成することもできることを意味する。一実施形態では、溶融ストリームが、少なくとも1つのダイインサートを有するダイ42を通って従来型押出し機(図示せず)から放出され、ダイインサート100が、図12に示されるようにプロファイルを形成した非直線の入口開口部104を有する。非直線とは、ダイインサート入口開口部が全体としては矩形以外の形体であるが、ダイ入口開口部は部分的に、矩形の形体であり得ることを意味する。ダイインサート入口開口部104は、少なくとも流入初期溶融ストリームの部分を断続させて、断続された溶融ストリームの部分を溶融ストリームの予め定められた初期溶融ストリーム形態からダイインサート入口開口部により画定される流路(単数又は複数)の形態に方向変更させる。断続されて且つ方向変更された溶融ストリームは、次に出口105にてダイインサートを出る。ダイインサート出口105は、ダイインサート入口104に類似にすることができ、又はダイインサートにより画定される流路をダイインサート入口開口部におけるプロファイルを形成した形状からダイインサート出口105におけるプロファイル形成の少ない形状に収束させることもでき、溶融ストリームの収束した流路は、溶融ストリームの元の予め定められた流路に近づくが、矩形開口部にはならない。この方法に使用されるダイインサートは、横断方向において少なくとも部分的に、初期溶融流れストリームの再分配を引き起こす。これも、溶融ストリームの少なくとも1つの層又は部分を複数の独特の可能な流路に再分配させており、これにより一般に、ダイインサート出口におけるダイインサート横断方向若しくはダイインサート厚さ寸法のいずれか又は両寸法で、これらの流路中の流れが、結果的に異なる流量、ひいては、異なるレベルの溶融体誘起配向を有することになる。異なる流量は又、ポリマー質量がより多い区域を作り出して、フィルム裏材上に突出部区域を作り出すのに役立つ。これらの流量増区域は、一般に、ダイインサート104のピーク108及び109の区域にある。ダイインサート出口における溶融ストリームは、次いでダイリップ出口105におけるプロファイル形成面よりもむしろ、流れ再分配によって作り出された取り付け突出部を有する裏材として押し出される。しかしながら、両方法を組み合せで使用することもできる。
【0018】
インサートは、上で説明された実施形態では、図10及び11に示されるように、ダイ内に配置された別個の要素として示されている。インサートは、説明された特徴を有する限り、配置されるダイ及び/又はフィードブロックと一体に形成することもできる。
【0019】
好ましい実施形態では、例えば図12〜14に示されるようなプロファイルを形成したダイリップは、多層溶融流れストリームとの組み合せで使用される。この結果により、ダイリップピーク108及び109中で及びこれらにより形成される突出部に外側ポリマー層が優先的に流量再分配されることによって、1種のポリマーで支配的に形成される突出部と異なるポリマーで支配的に形成されるフィルム裏材をもたらすことができる。多層又は多成分溶融ストリームは、いずれかの従来方法により形成可能である。多層溶融ストリームは、米国特許第4,839,131号に示されるもののような、多層フィードブロックにより形成できる。米国特許第6,767,492号に示されるもののように、インクルージョン共押出しダイ(inclusion co-extrusion die)又は他の既知の方法を使用することによって形成可能であるような、異なる成分のドメイン又は領域を有する多成分溶融ストリームを使用することもできる。
【0020】
溶融ストリームは、インサート入口において方向変更又は再分配される。前駆体溶融ストリームの1つ以上の層又は領域を形成する材料(単数又は複数)は、再分配又は方向変更されるが、方向は、初期の予め定められた材料の流路又は形態に対して横断方向及び/又は他の寸法であり得る。方向変更された流れは、少なくとも部分的に、インサート入口における材料の流れの一部の分裂又は中断によって引き起こされる。インサートは、ダイリップの構造により、流入ポリマー溶融流れストリームの一部を再分配する。
【0021】
ダイインサートは、図12及び14に示されるように、第一及び第二の半分割体などの複数の分解可能な構成要素で形成される場合、図10に示されるようなコートハンガーダイなどの従来型ダイに容易に取り付け可能であり、そして容易に取り外し、交換、及び洗浄可能である。ダイインサートを形成するのに複数のダイ構成要素を使用すると、より複雑な流路も、放電ワイヤ加工などの従来方法により形成可能になる。二分割型ダイインサートが示されているが、多分割型ダイインサートも可能であり、より複雑な流れチャネル又は流路が、組み立てられたダイインサート中に形成可能になる。ダイインサートは、全体的に又は部分的に、ダイの他の部品と共に形成することもできる。しかしながら、ダイインサート中の流路は、好ましくは、ダイ中の流路の少なくとも一部が直線的に先細になるように、実質的に連続であり、且つ収束する。
【0022】
インサート入口領域は、図12に示されるように、上境界98及び下境界99により境界を定められる、二次元の非平面的構造を有することにより特徴づけられる。上境界98(又はピーク108)及び下境界99(又はピーク109)により画定される入口領域内には、図12及び13に示されるように、閉ざされた区域により分離されたオープン区域のインサート入口100があって、インサート開口部104を形成している。オープン区域は、幅寸法「P」を有する構造により特徴づけられ、幅寸法「P」はもちろん、全ての寸法が可能であるように、オープン区域構造に沿って変化可能である。これらの構造は、(図12に示されるもののように)実質的に連続の開口部、分岐された開口部、及び/又は断続的な開口部にすることができる。入口領域の少なくとも一部の開口面積は、一般に、インサート入口の少なくとも一部の上と下の境界98と99の間に画定される総面積の10〜90%の間(上及び下の境界は、ダイインサート入口のその領域内の構造の境界を定めるものとしてとられる)、或いは20〜80%の間を構成する。逆に、閉じた面積は、ダイインサート入口の90〜10%を、或いは80〜20%を、或いは10、20、又は30%を超えて、50%超までを占める。インサート入口の閉じた面積がより多くなるにつれて、初期材料流路中の材料のより多くの割合が、インサート入口開口部104に流入するために、代わりの流路を見つけることを余儀なくされる。一般に、初期の材料流路の断面積は、インサート入口領域と同程度かこれより大きくすることができるが、インサート入口領域よりも狭い場合もある。
【0023】
インサート入口開口部(又はその部分)は、同等の矩形ダイインサート開口部(同一長さ及び同一平均幅寸法Pを有する開口部)に対するインサート入口開口部の断面の周辺の比によっても特徴づけることができる。同等の矩形インサート入口開口部の周辺に対する本発明のインサート入口開口部の周辺の比は、1.1〜10の間、又は1.1若しくは1.5若しくは2.3を超えるが一般に8若しくは5未満とすることができる周辺比である。より大きな周辺又は周辺比を有する構造は、より高度に構造化された開口部と言える。より高度に構造化された開口部の場合、一般に、溶融流れが、多層又は多成分流れなどの入ってくる初期溶融流れストリームからより劇的に再分配される。これは、一般に、所与の中断された流路に対して可能なより多くの代替流路のためである。しかしながら、比較的低い比率の閉じた面積を有する非常に大きな周辺比の場合、溶融物の多くが著しく再分配されるわけではない。より多くの閉じた面積(より低いパーセントの開口面積)が、特により高度に構造化された連続開口部又は不連続開口部と組み合わされたときに、流入溶融流れストリームの少なくとも一部のより劇的な再分配に繋がる。
【0024】
一般に、図13に示されるような、閉じた区域11のために溶融流れストリーム中の所与の点における一部の材料は、代替流路を見つけることを余儀なくされる。高度に構造化された開口部の場合、2つの境界98及び99によって境界を定められる領域中に、多種多様で独特の可能な流路がある。平均的な流路から偏移する多数の可能な流路がある時、材料はより容易に方向転換させられる。
【0025】
一般に、ダイインサート入口開口部は、ダイインサートの所与の領域上に、その領域に対して上境界98の少なくとも一部分から下境界99までの間を延びる要素を有することによって特徴づけられる。これらの要素93は、上と下の境界の間の距離「H」未満であり得る、及び一般に「H」の10〜100%である、又は「H」の20〜90%である高さを有する。その要素は、上と下の境界の間を延びる平均流路から2〜90度、又は5〜80度、又は10〜90度の角度βで延びることができる。図13では、これらの要素93は、波状構造の脚であるが、腕又は何か他の構造体でもあり得る。
【0026】
図12〜14に示されるような波状入口開口部の場合、その要素は、上ピーク109と隣接した下ピーク108の間の、高さ「H」を有する脚101を構成する。個々の要素は、上境界98から下境界99まで延びてもよく、又は上と下の境界の間でどこかの別の開口部の延長であってもよい。
【0027】
図15は、前駆体溶融ストリームの断面図を示しており、これがインサートの入口開口部へ供給される場合もある。図15の3層溶融ストリーム52は、比較的厚い層53と、より厚い層53の両面上の2つのより薄い層51及び54とによって特徴付けられる。この溶融ストリ−ム52がインサートの入口開口部104に阻まれる時、より厚い層53は、主として入口開口部104の連続チャネルに仕切られ、これが実質的に連続のフィルム裏材を形成することもできる。溶融ストリームのより厚い層53の一部は、ピーク108及び109へも分配される。最も外側の溶融ストリーム層51及び54は、要素93により形成されるピーク108及び109へ再分配される傾向となる。中間層53は、要素93中へ均等に仕切る傾向となる。最も外側の層51及び54は、一般に、入口開口部への最短流路に追従しており、最外層51の場合、一般にピーク109、最外層54の場合、ピーク108となる。一般に、材料流れの任意の所与の部分の場合でも、材料は、入口104により提供される最も近い開口部へ流れる傾向となる。インサート出口開口部105において、図14に示されるように、3種類の材料の溶融ストリーム層は、再集結した形態になる。結果として得られる突出部を有する裏材43が、押し出されて不織ウェブ6に接合されて積層体60を形成した後を、図16に示される。中間溶融層53が、連続フィルム裏材53’を形成し、並びに2つの最も外側の層51及び54は、外側層がダイ入口104のピークに再分配された結果として、裏材43の突出部51’及び54’を形成する。有利なことに、これらの突出部は、化学的適合性又はより低い粘性が理由で(これらが突出部51’又は54’を形成する材料中への繊維ウェブ布地のより大きな貫入を可能にする)繊維ウェブ布地6への結合性がより大きいポリマーで形成される。
【0028】
3つ以上の材料層の場合、仕切りは、前駆体材料の押出し層の相対割合及びインサート100の開口部104の形状により支配される。インサートが規則的に波打つ開口部を有する場合、仕切りは、図16に示されるような裏材43という結果になり得る(共押出しされた材料の溶融ストリームが溶融ストリームを横切る比較的一定の材料厚さを有すると想定して)。インサート開口部が、図13に示されるような、幅P、角度「β」、振幅「H」、波長「W」、又はこれらのいずれかの組み合せで変化する場合、材料層の仕切りは変化するが、流れストリームは依然としてインサートのピーク108と109の間で仕切られる。仕切りの程度は、インサートの山と谷開口部の脚間の角度βにも依存する。角度βが90度未満の場合、層の少なくとも1つは、押出物又は形成されたフィルム中で不連続に分配されるように、完全に仕切られる傾向がある。このことは、材料流れの50%未満を形成する外側流れ層がある場合、特にあてはまる。角度βが90度を超えるとき、特に、層が材料の50%以下である場合に、層は不連続層が無いように仕切られる傾向がある。角度βは、一般に、170度〜5度、140〜10度、110度〜20度、又は90度〜30度の範囲にある。対向するピーク構造は、図示されるような規則的波状曲線、階段関数曲線、又は任意の他の変形体とすることもできる。
【0029】
突出部を有する裏材を形成する上記方法に対する代替方法が、図17に示される。この場合、ダイインサートは、より矩形の入口開口部204と構造化された出口205とを有する。その結果は、図16のものに類似する突出部を有する図18に示されるようなフィルムであるが、多層入口流れに対して、外側層51”及び54”と中間層53”の横断方向再分配が全く又は殆ど無く、結果的に得られたフィルム中のより均一に層化された構造をもたらす。
【0030】
裏材形成方法は、有利なことには、他の押出し方法と組み合せで使用されて、異なる特性の異なる領域を有する裏材を製造することもできる。例えば、使い捨て衛生用製品又はガウンのような使い捨て衣類及び物品に使用される積層された繊維性弾性裏材の場合、非弾性領域を有するのが望ましいことが多い。これらの非弾性領域は、物品に他の要素を接合するための又は弾性の繊維積層体を接合するための、取り付け点として働くことが多い。例えば、おむつ若しくは他の衛生物品上で使用される弾性のパネル、耳、又はタブは、物品への取り付けのために及び/又は機械的ファスナ又は接着剤などの締結要素を取り付けるために、安定な表面を有する必要があることが多い。積層体のこれらの非弾性領域は、裏材上の弾性領域の隣に非弾性領域を設けることによって、直接形成することもできる。非弾性領域及び弾性領域は、単一の連続裏材上に形成することもでき、又は別個に形成することもできる。それぞれに突出部を設けることもでき、又は1つの領域だけが間欠的結合を要する場合、その領域だけが突出部を有する必要がある。非弾性領域は、非弾性の熱可塑性ポリマーで形成することもでき、或いは、繊維ウェブに連続的に結合された熱可塑性エラストマーで形成することもできる。連続的な裏材が望まれる場合、上の例示の突出部を有する裏材の形成方法が組み合わされた従来のサイド・バイ・サイド押出し法を使用することによって、これを実施することもできる。或いは、図8〜10の実施形態に対して説明された方法を、ダイの更に裏側で、例えばマニホールド又はフィードブロック区域で、実施することもできる。この区域では、ポリマー供給ストリームの幅対高さの比がはるかにより大きいので、ポリマー流れを再分配するために非常に少数のピークしか設けることができないが、ポリマーのより多くの質量が再分配される。再分配されたポリマー流れは、後でダイ(例えば、コートハンガーダイ)内で幅を広げられて、結果的に再分配されたポリマー領域の拡幅をもたらす。多層ポリマー流れの場合、層(複数)は、弾性及び非弾性にすることもできる。多層ポリマー流れの場合には又、再分配されたポリマー(例えば、弾性及び非弾性)の大きな領域を有するポリマー流れがダイリップにおいて作り出され、これが次に押し出されて、上の説明のような突出部を形成することもできる。非弾性及び弾性の領域は、例えば、5mm又は10mmを超える幅を有することもできる。
【0031】
本発明の押し出された裏材又は繊維ウェブを製造可能である好適なポリマー材料には、いずれかの熱可塑性樹脂が含まれる。熱可塑性樹脂には、非エラストマー又はエラストマーの熱可塑性ポリマーのいずれか又は両方が含まれてもよい。非エラストマーの熱可塑性ポリマーは、繰り返して溶融処理可能であって、周囲条件(例えば、室温及び圧力)でゴム状弾性を呈さないポリマーである。本発明に関連して使用されるとき、「非エラストマー」は、材料が伸張された後でその当初形状を実質的に回復しないことを意味する。更に、非エラストマーポリマーは、好ましくは、変形して弛緩後に永久歪を維持してもよく、その歪は、例えば約50%(破壊又は他の破損なしに50%までも伸長可能である材料について)の適度な伸び率において、当初長さの好ましくは少なくとも約20%以上、より好ましくは少なくとも約30%以上である。本発明に関連して使用されてもよい非エラストマー又は非弾性の熱可塑性組成物の幾つかの例としては、ポリウレタン類、ポリオレフィン類(例えば、ポリプロピレン類、ポリエチレン類等)、ポリスチレン類、ポリカーボネート類、ポリエステル類、ポリメタクリレート類、エチレンビニルアセテートコポリマー類、エチレンビニルアルコールコポリマー類、ポリ塩化ビニル類、アクリレート変性エチレンビニルアセテートポリマー類、エチレンアクリル酸コポリマー類、ナイロン類、フルオロカーボン類などが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、ポリオレフィン類が、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレンなどが、並びにこれらのコポリマー類及びブレンド類が、好ましい。
【0032】
エラストマーの(又は弾性の)熱可塑性ポリマーは、溶融して周囲条件(例えば、室温及び圧力)でゴム状弾性を呈するポリマーである。本発明に関連して使用されるとき、「エラストマー」は、材料が伸張された後でその当初形状を実質的に回復することを意味する。更に、エラストマーポリマーは、好ましくは、変形して弛緩後にわずかな永久歪のみを維持してもよく、この歪は、例えば約50%の適度な伸び率において、好ましくは当初長さの約30%以下、より好ましくは約20%以下である。本発明のエラストマー熱可塑性組成物は、純エラストマー類と、室温においてほぼゴム状弾性を依然として呈するエラストマー相又はコンテントとのブレンド類の両方にすることができる。米国特許第5,501,679号(クルーガー(Krueger)ら)が、本発明に関連して使用が考えられてもよいエラストマー材料に関して、幾つかの更なる解説を提供している。
【0033】
エラストマーの熱可塑性材料は、フィルム又はフィルム層形体又は繊維などのような裏材に押し出し可能な1種以上のエラストマー材を包含することができ、これらにはABAブロックコポリマー類、ポリオレフィンエラストマー類、ポリウレタンエラストマー類、メタロセンポリオレフィンエラストマー類、ポリアミドエラストマー類、エチレンビニルアセテートエラストマー類、ポリエステルエラストマー類などが挙げられる。ABAブロックコポリマーエラストマーは、一般にAブロックがポリビニルアレーン、好ましくはポリスチレンであり、Bブロックが共役ジエン類、特に低級アルキレンジエンである、エラストマーである。Aブロックは、一般に、4,000〜50,000のブロック分子量分布を有する、支配的にモノアルキレンアレーン類で、好ましくはスチレン部分類で、最も好ましくはスチレンで形成される。Bブロック(単数又は複数)は、一般に、支配的に共役ジエン類で形成され、そして約5,000〜500,000の平均分子量を有し、このBブロック(単数又は複数)モノマーは更に、水素添加又は官能化が可能である。A及びBブロックは、従来から、他のものの中でも線状、放射状、又は星形に構成されており、ブロックコポリマーは、少なくとも1つのAブロックと1つのBブロックとを含むが、好ましくは複数のA及び/又はBブロックを含み、これらのブロックは同種でも異種でもよい。この種の典型的なブロックコポリマーは、Aブロックが同種でも異種でもよい線状ABAブロックコポリマー、又は支配的に末端Aブロックを有するマルチブロック(4つ以上のブロックを有するブロックコポリマー)コポリマーである。これらのマルチブロックコポリマーは、ある比率のAB二元ブロックコポリマーを含むこともできる。AB二元ブロックコポリマーは、粘着性がより高いエラストマー性フィルム層を形成する傾向がある。弾性材料のゴム状弾性に悪影響を与えないのであれば、他のエラストマーをブロックコポリマーエラストマー(単数又は複数)とブレンドすることができる。Aブロックは、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、および他の主要なアルキル化スチレン類、並びにそれらの混合物およびコポリマーから形成することもできる。Bブロックは、一般に、イソプレン、1,3−ブタジエン、エチレン−ブチレン、又はエチレン−プロピレンのモノマーから形成することができる。
【0034】
本発明に関連して使用される熱可塑性組成物は又、所望の効果のための様々な添加物と組み合せが可能である。例えば、充填剤、粘性低下剤、可塑剤、粘着性付与剤、着色剤(例えば染料または顔料)、酸化防止剤、帯電防止剤、結合助剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、安定剤(例えば熱および紫外線)、発泡剤、ミクロスフェア、ガラスバブル、強化繊維(例えばマイクロファイバー)、内部剥離剤、熱伝導性粒子、導電性粒子などが挙げられる。熱可塑性組成物において有用であり得るこのような材料の量は、このような材料を加工および使用する分野の当業者により容易に決定できる。
【0035】
多層構造体は、米国特許第5,501,675号、同第5,462,708号、同第5,354,597号、及び同第5,344,691号にて開示されているような、いずれかの多層又は多成分フィルム押出しプロセスを利用することができ、その特許内容を参考として本明細書に実質的に組み入れる。これらの参考文献は、少なくとも1つの弾性層と1つ又は2ついずれかの比較的非弾性の層とを有する、様々な形体の多層又は共押出しされたエラストマー積層体を教示する。しかしながら、多層フィルムは、これらの既知の多層多成分共押出し技術の利用で、2つ以上の弾性層又は2つ以上の非弾性層又はそれらのいずれかの組み合せで形成することもできる。
【0036】
本発明に関連して使用されてもよい不織繊維ウェブを作成するのに好適なプロセスとして、エアレイング、スパンボンド、スパンレース、結合されたメルトブロウン・ウェブ、及び結合されたカードウエブの形成プロセスが挙げられるが、これらに限定されない。繊維は、編み、織り、又は網目形成によっても、好適な繊維ウェブに形成することができる。繊維ウェブは又、連続でほぼ平行のフィラメント又はヤーンなどの、分離性で絡みの無い繊維で形成することもできる。スパンボンド不織ウェブは、溶融された熱可塑性プラスチックを紡糸口金の一連の細密ダイオリフィスからフィラメントとして押し出すことによって製造される。押し出されたフィラメントの直径は、例えば、米国特許第4,340,563号(アペル(Appel)ら);米国特許第3,692,618号(ドルシュナー(Dorschner)ら);米国特許第3,338,992号及び第3,341,394号(キニー(Kinney));米国特許第3,276,944号(レビ(Levy));米国特許第3,502,538号(ピーターソン(Peterson));米国特許第3,502,763号(ハルトマン(Hartman))、並びに米国特許第3,542,615号(ドボ(Dobo)ら)に記載されるものなどの、非抽出若しくは抽出式流体取り出し又は他の既知のスパンボンド機構による張力下で、急速に減少される。スパンボンドウェブは、好ましくは結合される(ポイント結合または連続結合)。
【0037】
不織ウェブ層は又、結合されたカードウェブから製造されてもよい。カードウェブは、分離された短繊維で製造されるものであり、この繊維が、コーミング(combing)又はカーディング(carding)ユニットを通して送られ、短繊維が分離されて機械方向に整列され、概ね機械方向に配向された繊維の不織ウェブが形成されるようになっている。しかしながら、ランダマイザー(randomizer)を使用して、この機械方向配向を減少することができる。
【0038】
カードウェブが形成されると、次いで幾つかの結合方法の1つ以上により結合して、適切な引張特性を付与する。1つの結合方法は、粉末接着であって、粉末接着剤がウェブを通して分配され、次いで通常は熱風でウェブ及び接着剤を加熱することによって活性化される。別の結合方法は、加熱カレンダーロール又は超音波ボンディング装置を使用して繊維を共に結合するパターンボンディングであり、通常は局部的ボンドパターンであるが、所望であれば、ウェブを全表面にわたり結合することができる。一般的に、ウェブのより多くの繊維が共に結合されるほど、不織ウェブの引張特性が大きくなる。
【0039】
エアレイングは、本発明において有用な繊維性不織ウェブの製造が可能な別のプロセスである。エアレイングプロセスにおいて、通常は6〜19ミリメートルの範囲の長さを有する小繊維の束が分離されて、供給空気に同伴され、次いでしばしば真空提供の補助を受けながら、形成スクリーン上に沈積される。次に、ランダムに蓄積された繊維が、例えば熱風又はスプレー接着剤の使用で、相互に結合される。
【0040】
メルトブロウン不織ウェブは、複数のダイオリフィスから熱可塑性ポリマーを押し出すことにより形成されてもよく、このポリマー溶融ストリームは、ポリマーがダイオリフィスから出る位置の直後のダイの2面に沿う高速熱風または蒸気によって直ちに細径化される。得られた繊維は、収集面上に収集される前に、結果として得られる乱流空気ストリーム中で絡み合って凝集性ウェブになる。一般的に、本発明に十分な一体性及び強度を得るために、メルトブロウン・ウェブは、上記したように空気通過ボンディング、熱又は超音波ボンディングなどによって、更に結合されなければならない。
【0041】
ウェブは、例えばPCT国際公開特許WO96/10481(アブト(Abuto)ら)にて開示されているように、スキップスリッティング(skip slitting)によって伸長可能にすることができる。弾性で伸長可能な積層体が所望される場合、スリットは不連続であり、及びウェブがいずれかの弾性裏材に取り付けられる前に、一般に、ウェブ上に切り込まれる。より困難ではあるが、非弾性ウェブが弾性裏材に積層された後で、非弾性ウェブ層にスリットを作り出すことも可能である。非弾性ウェブ中のスリットの少なくとも一部は、弾性裏材層の伸長性または弾性を意図された方向(少なくとも第一の方向)に対してほぼ垂直である(又は実質的に垂直のベクトルを有する)べきである。「ほぼ垂直」とは、選択されたスリット(単数又は複数)の長手軸と伸長性の方向との間の角度が、60度〜120度の間であることを意味する。積層体全体が弾性であるようにするには、説明されたスリットの十分な数をほぼ垂直にする。弾性積層体が少なくとも2つの異なる方向に弾性であるように意図されるときは、2つの方向のスリットを提供すると有利である。
【0042】
本発明に関連して使用される不織ウェブは又、米国特許第4,965,122号;同第4,981,747号;同第5,114,781号;同第5,116,662号;及び同第5,226,992号(全てモルマン(Morman))に記載されるような、絞り部付き又は両面絞り部付き不織ウェブにすることができる。これらの実施形態では、不織ウェブは、伸長性が望まれる方向に対して垂直方向に伸長される。不織布ウェブは、この伸長状態におかれるとき、伸長性の方向に伸縮性および復元特性を有する。
【0043】
本明細書で使用する時、用語「繊維」には、無限長さの繊維(例えばフィラメント)及び不連続長さの繊維(例えばステープルファイバー)が含まれる。本発明に関連して使用される繊維は、多成分繊維であってもよい。用語「多成分繊維」は、繊維の横断面で少なくとも2つの別個の長手方向に同じ拡がりをもつ(longitudinally coextensive)構造化されたポリマードメインを有する繊維を指しており、ドメインが分散、ランダム、又は構造化されていない傾向にあるブレンドと対照的である。別個の領域は、したがって、異なるポリマー部類(例えば、ナイロンとポリプロピレン)からのポリマーで形成されてもよく、又は同一のポリマー部類(例えば、ナイロン)であるが性質又は特性が異なるポリマーで形成されてもよい。したがって、用語「多成分繊維」は、同心及び偏心のシース/コア形繊維構造、対称及び非対称のサイド・バイ・サイド形繊維構造、アイランド・イン・シー形繊維構造、パイウェッジ形繊維構造、並びにこれらの構造の中空繊維を包含すると意図されているが、これらに限定されない。
【0044】
繊維ウェブの形成に好適な繊維は、繊維を形成することが既知である、広範な熱可塑性ポリマーで製造可能である。好適な熱可塑性繊維を形成するポリマーは、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類、アクリルモノマー類が含まれるコポリマー類、並びにこれらのブレンド及びコポリマー類から選択される。好適なポリオレフィン類としては、ポリエチレン、例えば、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び中密度ポリエチレン;ポリプロピレン、例えば、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、これらのブレンドと、アイソタクチックポリプロピレン及びアタクチックポリプロピレンのブレンド;ポリブチレン、例えば、ポリ(1−ブテン)及びポリ(2−ブテン);ポリペンテン、例えば、ポリ−4−メチルペンテン−1及びポリ(2−ペンテン);並びにこれらのブレンド及びコポリマー類が挙げられる。好適なポリアミド類としては、ナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン10、ナイロン4/6、ナイロン10/10、ナイロン12、ナイロン6/12、ナイロン12/12、並びにカプロラクタム及びアルキレンオキシド例えばエチレンオキシドのコポリマー類とヘキサメチレンアジポアミド及びアルキレンオキシドのコポリマー類のような親水性ポリアミドコポリマー類、並びにこれらのブレンド及びコポリマー類が挙げられる。好適なポリエステル類としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、並びにこれらのブレンド及びコポリマー類が挙げられる。アクリルコポリマー類としては、エチレンアクリル酸、エチレンメタクリル酸、エチレンメチルアクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレンブチルアクリレート、及びこれらのブレンドが挙げられる。突出部は、好ましい実施形態において、自己的に結合可能であるように、繊維ウェブを形成する繊維の少なくとも一部と融和性のあるポリマーで形成される。
【0045】
繊維ウェブの坪量は、一般に10〜100g/m2、好ましくは10〜50g/m2であり、幾つかの実施形態では、自己的に結合するのに好適な熱可塑性繊維を少なくとも部分的に含む。一般に、繊維の少なくとも10%が、結合可能な熱可塑性タイプであり、特定の実施形態では、20〜100%が、結合可能な熱可塑性繊維である。繊維ウェブを形成する個々の繊維の大部分は、好ましくは、平均直径が1〜70μmである。裏層は、一般に15〜150g/m2、好ましくは20〜50g/m2の坪量を有する。不織布が使用される場合、好ましい実施形態における不織積層体全体が、30〜300g/m2、好ましくは40〜100g/m2の坪量を有する。
【0046】
繊維性のループウェブは、好ましくは、合わせフック式ファスナのフックヘッドが繊維の開口面積の間を貫通するのに十分な空間がループウェブの繊維間にあるように、比較的低い坪量を有すべきである。
【0047】
ループウェブは、好ましくは、比較的長い繊維からなる。繊維が長いほど、これらの繊維が相互に、及び、裏材層の突出部に結合し易くなる。過度に短い繊維を用いると、結合の無い緩い繊維、又は、部分的に結合する繊維(例えば、その末端部の1つだけ結合する繊維)の数が過剰になる可能性がある。そのような繊維は、フック式ファスナのフックヘッドに絡み合って保持することができなくなる。不織ウェブの繊維の長さは、不織ループウェブを製造するのに用いられるプロセスの種類によって決まる。例えば、カード加工された不織ウェブが使用される場合、そのようなウェブを構成する繊維は、約1cm(約0.5インチ)〜約13cm(約5インチ)の範囲に及び得る長さを有することができる。繊維の長さは、好ましくは、約5cm(約2インチ)〜約8cm(約3インチ)の間である。これに対して、スパンボンド不織ウェブが使用される場合、そのようなウェブの繊維又はフィラメントは通常、連続長さである。
【0048】
繊維の直径は、ループウェブの強度、及び適切なフックヘッドとの係合可能性を決定する1つの要因である。直径の一般的な尺度は、デニールとして知られている。(デニールは、9,000メートル当たりのグラム数を計量する糸の細かさの単位であり、したがって、100デニールの糸は、150デニールの糸よりも細かい。)一般に、繊維の直径が大きいほど、繊維がより強くなるが、繊維に係合するために必要とされるフックヘッドのオーバハング49が大きくなる。使用可能な繊維の最大直径は、図6cに示されるように、繊維間の開口部の大きさとフックヘッド(46)のオーバハング(49)に係合する繊維に、部分的には左右される。繊維の直径は、フックヘッドが繊維を掴めない及び絡み合いできないほど大きくてはならない。典型的には、現在利用可能なフック成分に対しては、不織ループウェブの繊維は、約2〜約15のデニールを有すべきである。大幅により小さいフックであれば、約0.5〜約15の間など、あるいはそれ以下の、より小さいデニールの繊維と共に使用することもできる。約0.5〜約1.0、あるいはそれ以下であるほど低いデニールの繊維であれば、より小さいフックヘッドと共に使用できる可能性がある。このような繊維は、「マイクロデニール」繊維と称されることがある。
【0049】
不織ループウェブの繊維間の繊維間結合の量が、部分的には、不織ループウェブの一体性に加えて、フックヘッドが貫通するために利用可能な繊維間の開口面積を決定する。繊維間の結合によって作り出される結合部位は、内部的な繊維対繊維の結合又は全体的なウェブのポイント結合のいずれでも、フックヘッドを収容するために繊維が広がる自由度を減少させる傾向がある。しかし、結合部位が増加すると、ウェブの一体性が向上し、そして緩んだ繊維の数が減少する。繊維間結合の程度は、ループの形成に使用される不織布材料の種類、及びウェブの一体性を向上させるために用いられるポイント結合の程度によって決まる。不織ウェブは、最初は非結合にすることができ、それから後になって、積層体を製造するプロセス中で、突出部に、又は突出部との結合部位のそばのいずれかに結合する前に、ポイント結合することもできる。結合の程度は一般に、ウェブ及び/又は繊維ウェブ積層体が製造プロセス中の取り扱いに十分な一体性のものになれるように、そしてウェブに一体性を与えるように選択される。フックヘッドは、個々の繊維と係合する。これらの個々の繊維が少なくとも2点で結合又は絡み合っているので、繊維ウェブが不織布であろうと他のタイプの繊維ウェブであろうと、フックは、フック式ファスナの係合解除中に、係合した繊維を容易に引き抜くことは無いに違いない。不織繊維ウェブの場合、繊維間結合は、一般に、不織繊維ウェブの面積の約10%未満、好ましくは約6%未満、最も好ましくは約2.5%未満を占めるべきである。これによって、繊維間結合によって占められる空間が、合わせフック式ファスナのフックヘッドの貫通を妨げることは確実になくなるであろう。不織繊維ウェブ材が、カード、ランド(Rando)ウェブ、エアレイドウェブ、スパンレースウェブ、スパンボンドウェブなどにより提供される場合、繊維間の開口面積を最大化するために、不織繊維性材料は、事前結合又は一体強化させないことが好ましい。しかしながら、プリフォームウェブの取り扱いを可能にするために、適切なポイント結合などを提供する必要性が時々あるが、このことは、プリフォームウェブをロールから巻き戻して、本発明の繊維ウェブ積層体を作り出すための形成プロセスに一体性をもたらすのに十分なだけのレベルにすべきである。
【0050】
ループ積層体のために裏材突出部に結合していない繊維ウェブの部分は、一般に、不織ウェブの表面積の50〜0.5%が結合面積という条件で、裏材の表面積の99.5〜50%であるが、好ましくは、不織ウェブの全結合面積は20〜2%である。結合面積には、ウェブの一体性を高めるために設けられたいずれかの事前結合又は一体強化の面積に加えて、裏材層突出部に結合している繊維シートの面積が含まれる。特定の結合部分又は裏材層の突出部に結合した区域は、一般に、任意の幅にすることもできるが、その最も狭い幅寸法において(突出部の基部で測定する時)、好ましくは0.01〜0.2cmである。隣接する結合突出部は、平均して一般に50μm〜1000μm、好ましくは50μm〜500μmの間隔をあけている。
【0051】
繊維ウェブ積層体の所望の柔らかさを維持するために、フィルム状の裏材層(単数又は複数)は、柔らかな繊維積層体であるなら、突出部は別にして、一般に10〜300ミクロン、好ましくは20〜100ミクロンの厚さを有する。積層体は、寸法的に安定な材料を必要とする連続製造技術において信頼性のある使用がなされるために十分な引張強さを有するものであり、一般に少なくとも0.5kg/cm、好ましくは少なくとも1.0kg/cmの引張強さを有する。
【0052】
「フック」という用語は、本明細書で使用する時、フック式ファスナの係合要素を指すものとして用いられる。係合要素が補完的なループ材に係合するように適合されている限り、当該技術分野において既知のいかなる形状であってもよいという意味で、「フック」という用語は非限定的である。フック式ファスナは、第一面及び第二面を有する基部層と、基部の少なくとも第一面から延びる複数のフックとを含む。フックのそれぞれは、好ましくは、基部上の一端部にて支持される茎部と、基部と反対側で茎部の端部に位置する拡大ヘッドとを含む。本発明の繊維ウェブ積層体と共に使用されるフック式ファスナは、従来型の市販されているフック材とすることができる。
【0053】
(実施例1)
共押出しされてプロファイルを形成した不織布/弾性の積層ウェブが、図9に示されるものに類似の装置を使用して製造された。2台の押出し機を使用して、第一の「A」ポリプロピレン層と第二の「B」弾性層とからなる、2層押出物を製造した。第一の層は、ポリプロピレンホモポリマー(99%の3762、12MFI、アトフィナ社(Atofina Inc.)、テキサス州ヒューストン(Houston, TX))と、1%のポリプロピレン系赤色濃縮物とで製造された。第二の弾性層は、70%のクラトン(KRATON)G1657SEBSブロックコポリマー(クラトンポリマーズ社(Kraton Polymers Inc.)、テキサス州ヒューストン(Houston, TX))と、30%のエンゲージ(Engage)8200超低密度ポリエチレン−ULDPE(ダウケミカル社(Dow Chemical Co.)、ミシガン州ミッドランド(Midland, MI))とのブレンドで製造された。3762ポリプロピレンを第一層に供給するために、3.81cmの1軸押出し機(8RPM)が使用され、クラトン(KRATON)/ULDPEブレンドを第二層に供給するために、6.35cmの1軸押出し機(10RPM)が使用された。両押出し機のバレル温度プロファイルはほぼ同じであり、供給域の215℃から徐々に上昇してバレルの端部において238℃であった。両押出し機の溶融ストリームが、ABA3層共押出しフィードブロック(クロエレン社(Cloeren Co.)、テキサス州オレンジ(Orange, TX))に供給された。フィードブロックは、図12〜14に示されるものに類似のプロファイルを形成したダイリップを装備する20cmダイに取り付けられた。フィードブロック及びダイは238℃に維持された。ダイリップは、2つの連続するチャネルセグメント間の角度(β)が67度であるように、繰り返し正弦波パターンで機械加工された。繰り返しパターンの波長(W)は、1250ミクロンであった。このダイリップについては、入口形状寸法は、出口形状寸法と同一であった。このダイリップの形状寸法は、結果的に連続する弾性コア層の上にポリプロピレンのリブからなる不連続のスキン「A」層を有する押出物をもたらした。ダイリップにより成形された後、押出物は、入口材料の厚さよりもわずかに薄い隙間に設定されたニップ中で、2層の不織布(31g/m2のカード加工されたポリプロピレン、BBA不織布(BBA Nonwovens)、サウスカロライナ州シンプソンビル(Simpsonville, SC))に、1層を押出物の各側にして積層された。積層体は、約45℃の水温に維持された水タンク中を12m/分の速度で急冷され且つ引き抜かれた。ウェブを風乾し、ロールに収集した。結果として得られたウェブは、図16に示されるものに類似であった。
【0054】
(実施例2)
プロファイルを形成した不織/弾性積層体が、図1に示されるものに類似のシステムを使用して製造された。歯車ポンプを装備した40mm直径の2軸押出し機が使用されて、溶融ポリプロピレンポリマー(7C05N、ハンツマン(Huntsman))を約246℃の溶融温度でダイに送り出した。ダイは、溶融ポリマーのフィルムが下向き方向に垂直に、加熱されたドクターブレード(形成工具)4と冷却された平滑スチールロール20の中間面領域内に押し出されるように位置決めされた。
【0055】
ドクターブレード4は、線cm当たり163ニュートン(線インチ当たり93ポンド)の圧力(溶融ポリマーがブレード4とロール20の間に隙間2を作り出すことができる圧力、この隙間が基材フィルムの厚さを画定する)で平滑ロールに当てて押し付けられた。ドクターブレードは、246℃の温度に維持され、平滑ロールは、ロール内部に冷却水を循環させることによって4℃の温度に維持された。
【0056】
ドクターブレード4の下側(平滑ロールに面する側)は、図3に示されるような一連の溝7(5mm間隔、0.25mm深さ、0.98mm幅)を有するように機械加工されたものであった。平滑ロールの回転によって、ドクターブレードが、溶融ポリマーをぬぐい取り、ドクターブレード中の溝に対応する高さ約120ミクロンの機械方向突起を有する約75ミクロン厚さの基材フィルム層にし、構造化された押出し物を作り出した。ドクターブレードのぬぐい取り作用の後、平滑ロールは回転を続け、最後に、構造化された押出物が、25ニュートン/線cm(線インチ当たり14ポンド)のニップ圧を使用する順応性のあるバックアップロール(75ショアAジュロ硬さ)を背にして、ポリプロピレンの不織布基材(31g/m2、BBA不織布(BBA Nonwovens)、サウスカロライナ州シンプソンビル(Simpsonville, SC))に強制接触させられた。
【0057】
押出物中の厚い突起はより薄い連続基部フィルムよりも急冷により長い時間がかかるので、突起は依然として十分に柔らかい又は溶融しており、突起の上面において不織布と良好な結合を形成した。より薄い基部フィルムは、不織布に結合しなかった。結果として得られた積層体が、図4に模式的に示されている。
【0058】
添付図面を参照しながら本発明を更に説明するが、幾つかの図面において類似参照番号が類似部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の繊維ウェブ積層体を形成する方法の概略図。
【図2】本発明に従って用いられる、前駆体フィルム裏材を形成するのに使用される形成工具の断面図。
【図3】図2の形成工具の正面図。
【図4】本発明に従う発明品の繊維ウェブ積層体の正面図。
【図5】発明品の繊維ウェブ積層体を形成する第二の方法の概略図。
【図6】ロール表面の分解図を付した図5の形成ロールの斜視図。
【図7】図6の形成ロールを使用して形成された前駆体フィルム裏材の正面図。
【図8】図7の裏材を使用する、発明品の繊維ウェブ積層体の斜視図。
【図9】発明品の繊維ウェブ積層体を形成する第三の方法の概略図。
【図10】図9の方法で使用されるダイの切欠斜視図。
【図11】ダイリップインサートを有する、図10のダイの断面図。
【図12】ダイリップインサートの入口面からの斜視図。
【図13】図12のダイリップインサートの切欠断面図。
【図14】図12のダイリップインサートの出口面からの斜視図。
【図15】本発明に従って使用される、3層を有するポリマー流れストリームの側面図。
【図16】図9の方法により形成された裏材を使用する、発明品の繊維ウェブ積層体の側面図。
【図17】第二のダイリップインサートの入口面からの斜視図。
【図18】図17のダイインサートを用いて図9の方法により形成された裏材を使用する、発明品の繊維ウェブ積層体の側面図。
【技術分野】
【0001】
(背景と概要)
本発明は、フック・ループ式ファスナ用のループ材料として使用することもできるような、一般的にはフィルムである構造化された裏材に間欠的に押出し結合された可撓性繊維ウェブ材の少なくとも1枚のシートを有する、積層体に関する。本発明は更に、これらの積層体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布をフィルムに積層することにより形成されてループなどとして使用するための繊維性積層体は、既知である。そのような積層体は、繊維性の表面が望ましい使い捨て衣類及び物品中で使用されることが多い。より嵩高い繊維性表面を作り出すために、繊維材料が、裏材に間欠的に結合されることが多い。弾性積層体の場合、このことは、積層体をより容易に伸び可能とするために望ましい。ループ積層体にあっては、間欠結合は、適切なフックを取り付けるために繊維材料をオープンに保つことが望ましい。例えば、米国特許第5,032,122号では、配向可能な材料の裏材が寸法的に不安定な状態で設けられる。複数のフィラメントが、フィラメントのそれぞれに沿って離間された固定領域で裏材に結合される。固定領域は、固定領域の各対の間に、非固定捕捉領域を画定する。配向可能な材料は、一方向に沿ってその寸法安定状態に復帰し、これにより、捕捉領域においてフィラメントを並行に寄せて、固定領域の間で裏材から突き出る繊維要素を形成する。これがループ布地として使用される。
【0003】
米国特許第5,547,531号には、弛緩配向及び伸長配向がある第一の接着面と前記第一の接着面と反対側の第二の接着面とを有する弾性の感圧性接着剤フィルムを含む第一の薄層を用意する工程と、前記第一の薄層を前記弛緩配向から前記伸長配向まで延伸させる工程と、不織ウェブを含む第二の薄層を前記伸長配向にある前記第一の薄層の前記第一面に接触させ、それにより、前記第二の薄層と前記第一の薄層を直接的に接合させて積層体を形成する工程と、前記第一の薄層を弛緩させて、前記第二の薄層がギャザーを並行に寄せるようにして、補完的な雄型締着構成要素のフックに絡み合い可能な捕捉領域を形成する工程と、を含む方法によってループを形成することが記載されている。
【0004】
米国特許第5,595,567号においても不織ウェブが用いられており、好ましくは、裏材が伸長されて不安定な配向にある間に、裏材に接合される。建設用ボンドが、不織ウェブを裏材に接合させるボンドパターンを形成する。裏材が伸長配向から弛緩配向へ収縮する時、不織ウェブの非固定領域が、ギャザーを並行に寄せるとともに裏材から外向きに延びて、補完的な雄型締着コンポーネントの係合要素に絡み合い可能な捕捉領域を形成する。
【0005】
米国特許第5,256,231号には、ループ材のシートを提供する方法が記載されており、シートが片に分断されて解除可能に係合可能なフック及びループ部分を含むタイプのファスナのためのループ部分を形成し、使い捨て衣類又はおむつなどの品目に組み込まれるように適合されたものである。ループ材のシートには、固定部分と固定部分から離れて一方向に突き出る弓状部分とを有する長手方向に向く繊維のシート、並びに固定部分に結合するように固定部分の上に押し出されてループ材用の裏材の少なくとも一部を形成する熱可塑性の裏材層が含まれる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、熱可塑性裏材の繊維ウェブへの積層体を対象とする。この積層体は、例えば、フック・ループ式締着装置において使用するためのループ積層体として、又は間欠的に結合された弾性の繊維積層体として、使用することもできる。積層体は、第一面及び第二面を有する熱可塑性裏材層を含む。裏材層は、裏材の少なくとも第一面から延びる複数の突出部を有する。突出部の少なくとも幾つかの場所で、繊維ウェブが裏材に取付けられる。裏材の熱可塑性材料は、突出部の場所で繊維ウェブに貫入し、繊維ウェブの繊維を少なくとも部分的に封入する。繊維ウェブは、好ましくは、突出部の少なくとも幾つかに貫入する。繊維ウェブは、隣接した突出部間の距離の少なくとも一部にわたって、一般に裏材層に取り付けられない、又は非常に軽く取り付けられる。これは、取り付けられた突出部間の繊維ウェブの性能を損なうことなく、裏材と直接的に押出し形成できる、低コスト繊維ウェブ積層体を見込んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の繊維ウェブ積層体は、複数の立ち上がった突出部を有する熱可塑性裏材を供給し、次に、突出部の少なくとも幾つかの場所で、裏材を形成する熱可塑性材料の中へ可撓性の繊維ウェブを埋め込むことによって、形成されてもよい。これを選択的押出し結合プロセスと呼ぶ。この選択的押出し結合が、裏材の突出部を有する場所においてなされるのは、一般に裏材のこれらの場所におけるポリマー質量がより大きいためである。このより大きいポリマー質量によって、ポリマーがこれらの領域で流体状により長く維持可能になる。これによって次に、繊維ウェブの繊維が、これらの場所において裏材を形成するポリマーの中へ選択的に貫入可能になる。繊維ウェブは、好ましくは、突出部そのものの熱可塑性ポリマーの中へ埋め込まれるが、突出部の場所において突出部を有する面と反対の裏材の面に埋め込みが可能である。これが可能であるのは、突出部によって作り出されたより大きい熱質量部が裏材の両面上の裏材ポリマーの冷却を遅くするからであり、ポリマーへの繊維埋め込みによる選択的結合が両面上で可能になるが、繊維ウェブの繊維の埋め込みは、当然突出部を含む面上ではるかによいであろう。突出部間の繊維ウェブは、裏材に接触するが、好ましくは結合しない、又は非常にわずかに結合する。
【0008】
裏材層は、設けられた突出部によって繊維ウェブに選択的に押出し結合可能ないかなる層にもすることができる。裏材層は、そのようなものであるので、連続フィルムに又は不連続フィルムに又はストリップにすることも可能なフィルムにすることもでき、あるいは本発明に従って選択的押出し結合に利用できる突出部を提供可能な好適な繊維にすることもできる。裏材は、一般に複数の離間された突出部を有し、この離間された突出部の少なくとも幾つかの間に、突出部の無い裏材の中間領域があることもある。例えば、網目構造が押出し形成されて、これが網目の交差するストランド上に突出部を有することもできる。網目の幾つかの場所が、突出部を有して、突出部(例えば、網目を形成するスタンド上の突出部)の間に裏材の中間領域があることもある。網目の幾つかの場所には、突出部の間に裏材の中間領域が無く、むしろ網目の穴があることもある。
【0009】
裏材は、非弾性及び/又は弾性の熱可塑性材料にすることもでき、そして幾つかの実施形態では、突出部が部分的に突出部の無い領域の裏材とは異なる熱可塑性ポリマー又はブレンドで形成される。裏材は又、別個の要素の組にすることもできる。例えば、裏材が、一連の別個の要素であって、それぞれに1つより多い突出部を、好ましくは3つ以上の突出部を設けることもできる。それぞれに1つの突出部だけを設けた別個の要素で裏材が形成される場合、別個の要素は、繊維ウェブから離れて旋回して任意の意味のある支持体を提供しない傾向となっている。突出部間の裏材の平均厚さは、一般に、少なくとも10ミクロン、又は20ミクロンであり、そして時には、突出部により作り出される取り付け点の間で、裏材が繊維ウェブに対して支持体を提供するように、裏材上の突出部より厚いこともある。裏材は、一実施形態では、図4に示されるように、繊維ウェブ6に取り付けられるフィルム裏材5の少なくとも1つの面の上に直立した突出部8の配列を有する連続フィルム1である。突出部8は、押出しプロセス中などに同時に形成されるので、一般にフィルム裏材5と一体になっている。そのようなものであるので、突出部と裏材の間に結合線又は継ぎ手は無く、裏材上には一体形成された突出部だけがある。言い換えれば、これらが一体形成されているので、裏材材料と突出部を形成する材料は突出部が裏材と合体する場所では同一である。幾つかの裏材形成方法では、突出部はそれらの端部において、全体的に又は部分的に、裏材とは異なるポリマー又はブレンドで形成可能であるが、突出部の基部においては裏材及び突出部は1つの連続的な材料である。
【0010】
繊維ウェブ積層体は、図1に示されるような方法によって作成可能である。押出しダイ52が、フィルム1を形成する熱可塑性材料を押し出しており、フィルム1は、直立した突出部8の配列を有するフィルム裏材5を含むように形成される。ダイを出るポリマーは、米国特許公開出願第2003/111767A1号にて開示されるように、形成工具4などの形成面上で形成される突出部8を有することもでき、その特許内容が全体を参考として組み入れられる。熱可塑性の成型可能な材料が、押出しにより形成工具4に供給されて、図3に概略的に示されるように、工具面4のキャビティ7の複写である突出部8を有するフィルム1が作り出される。フィルム裏材5は、形成工具4とバックアップ面の間の隙間2により作り出されたものであり、バックアップ面は、図1に示されるように、平滑ロール20の表面である。或いは、これらの突出部8は、ダイリップにおいて直接成形して、長手方向に延びる突出部を有する裏材が付いた構造化フィルムを形成することもできる。これは、一般に一連の連続的な突起を有するフィルムとなる。
【0011】
この隙間2は、いかなる好適な幅にもすることができる。不連続の裏材が望まれる場合、形成工具4の一部をロール20などのバックアップ面に係合させることによって、領域内で隙間を無くすこともできる。
【0012】
フィルム1は、次に、突出部の場所において繊維ウェブの繊維をフィルムポリマーに押し込む程度の圧力を提供するニップ12において、繊維ウェブ6に接合される。繊維ウェブ6は、ロールなどの供給形体11から供給することができ、又はフィルム裏材5とインラインで作成することもできる。繊維ウェブ6は、押出しからの残留熱を主として用いて突出部8の場所においてフィルムポリマーに結合されており、突出部8の場所で優先的に押出し積層されて、突出部8間の中間部分13では繊維ウェブのフィルム1への押出し積層結合が殆ど又は全く無いという結果が得られるようになっている。突出部8における熱可塑性材料のより大きな質量が、これらの場所の熱可塑性材料の冷却をより遅くし、溶融又は流体状でより長時間のままであるという結果になる。繊維ウェブ6の繊維は、そういうものとして、突出部の場所においてフィルムの熱可塑性材料を貫くことができる。フィルム裏材の中間部分13は、好ましくは、より早く固体化され、これらの部分において繊維が熱可塑性フィルム裏材に貫入することを殆ど不可能にする。繊維ウェブは、そういうものとして、これらの中間部分13においてその元の嵩高さを実質的に均一に保持する一方、フィルム裏材5の強度を突出部の場所で維持する。結果として得られる繊維ウェブ積層体10は、ロール16などの好適な形体で収集される。本発明の押出し結合法は、外部から加えられる熱又は超音波を用いたポイントボンディング法により積層されるフィルムと繊維のウェブとは対照的である。これらの外部熱又は音波ポイントボンディング組立て法を用いれば、下層フィルムが、ボンドポイントにおいて脆弱化され、及び繊維ウェブが、ボンドポイントにおいて裏材に押し付けられ、これによりボンドポイント間でも繊維ウェブが圧縮される。対照的に、本発明の方法の場合、繊維ウェブは、ボンドポイントにおいてもボンドポイント間と同程度の厚さにすることができる。言い換えれば、ボンドポイントは、繊維ウェブを実質的に圧縮しない。一般に、ボンドポイントにおける繊維ウェブは、ボンドポイント間の繊維ウェブの厚さの少なくとも50%、又は80%、又は90%でさえある。
【0013】
所望により、繊維ウェブ積層体10は、形成の後で、当該技術分野において既知のように、長さ又は幅に配向させることができる。そのような配向がいずれかの押出しボンドを横切る方向に実施される場合、積層体は、より大きい厚さ及び強さのために押出しボンドポイントを伸ばすことなく、押出しボンドポイントの間で伸ばすことができる(ポイントとは、いずれかの別個のボンドを意味し、積層体に沿って通る連続的なボンドの場合もある)非弾性の裏材の場合、これによって、安定的に高強度ボンドポイントとの組み合わせでは直接積層することができない坪量を有する繊維ウェブを製造することもできる。嵩高い繊維ウェブ布地との低坪量フィルム不織積層体は、直接製造するのは困難である。これは、ある程度は、低坪量フィルム及び/又は不織布の低い強度及び取り扱い性のためである。また、ある程度は、低坪量積層体又は積層体を形成する個々のフィルム若しくは繊維ウェブを貫いて脆弱化する又は焦がす場合もある、従来の熱又は音波ポイントボンディング技術の破壊的な性質のためでもある。長さ配向は、例えば、異なる速度で駆動される2対のニップローラーの間とすることもでき、又はインクレメンタル・リングローリング(ring rolling)技術を使用することもできる。幅方向伸張は、横断方向に発散するウェブ経路又はインクレメンタル・リングローリング(ring rolling)技術により実施することもできる。更にまた、繊維ウェブ積層体は、長さ及び横断方向に延伸して、2軸配向された繊維ウェブ積層体を提供することもできる。
【0014】
裏材が弾性である場合には、弾性裏材の結合場所間で繊維ウェブを脆弱化して、積層体を弾性的に回復させ並びに引き続いて配向の方向に及び配向の拡がりまで容易に伸張可能にすることによって、上記のような配向を弾性の繊維ウェブ積層体を活性化する方法として用いることもできる。弾性裏材が回復する時、取り付けられた繊維ウェブは、より嵩高になり、そしてより多くの繊維を裏材表面から突き出させることになる。この場合、繊維ウェブは、伸びのために、結合場所よりも結合場所間で嵩高化(低密度化)が進み、したがって、結合場所では嵩高化が生じない可能性がある。この嵩高化効果は、ループとして使用するための、より嵩高い繊維ウェブ積層体の作り出しに用いることもできる。
【0015】
裏材を形成するための代替方法が図5に示されている。これは、突出部を形成するのに形成面を使用する点で図1の実施形態に類似しているが、この場合、形成工具14の表面は平滑であって、形成面25は、形成ロール20の表面である。形成ロール20には、構造化された表面25が設けられており、これが図7に示されるような突出部31を裏材30上に成型する。図示される裏材30は、3つの部分を有する、すなわち突出部31並びに2つの異なる高さ又は厚さの中間部分33及び32を有するフィルムである。裏材30の反対面34は、図2に示されるように、形成ロール20から離された隙間2を供給するように配置された、形成工具14によって作られる平滑面である。この場合、裏材30は、ニップ12において繊維ウェブ6と接合される前に、移転ロール21に移転される必要がある。突出部は、この場合、ロール温度を押し出されたポリマーの溶融温度のより近くに調節することによって、流体のような状態をより長く保持することもできる。移転ロール21は、好ましくは、裏材30を固体に保つために、加熱されないこともある。再び、ロール20の一部に沿って部分的に隙間を無くすことによって、不連続の裏材構造体を形成することもできる。これにより、例えば、部分33が形成ロール表面のこれらの部分の隙間2を無くすことによって削除される場合、別個の構造体を形成することもできる。部分33が(隙間2の削除により)削除される場合には、長手方向に通る連続裏材が無いので、移転ロールは、別個の要素を形成面25から引き離す必要があり、それにもかかわらず、この場合、別個の要素を繊維ウェブに固定するために、1つより多い突出部が設けられるべきである。このことは、移転ロールと裏材30の間に軽い結合を有することによって、例えば、裏材30を形成するポリマーに対して接着特性のある表面を有する移転ロールを使用することによって実施することもできる。
【0016】
図8は、突出部31にて繊維ウェブ6に接合された図7のフィルム裏材を示す。このことは、同様に、ニップ内などの圧力下で実施されるであろう。
【0017】
本発明で用いるフィルム裏材を直接形成する、押出しダイ42を使用する代替方法が、図9に模式的に示される。ダイ42は、突出部を有する裏材を作り出すのに好適なダイリップ46を有して、フィルムを押し出している。この突出部を有する裏材43は、次にニップ12内などの圧力下で、裏材43の片方又は両方の面の上の1つ又は2つの繊維ウェブ6に接合される。このために好適なダイリップ46は、形成工具4のものと類似の形成面を有することもでき、これは一般に、フィルム裏材の方向に通る突起を形成するであろう。しかしながら、ユニークなプロセスを従来の多層流れストリームと共に使用することができ、これにより、突出部の間で裏材を形成する熱可塑性材料(突出部におけるポリマーの熱状態以外の特性)とは異なる結合特性を有する熱可塑性突出部が形成可能なる。一般に、この方法には、まず初期溶融ストリーム50を予め定められた流路に沿って押し出すことが含まれ、これは好ましくは、図10及び11に示されるダイリップインサート10のようなダイリップ46を通る、多層又は多成分溶融ストリーム50とすることができる。予め定められた流路は、好ましくは、一次元であり、及び流路の一部に沿って連続である。一次元とは、溶融ストリームが、直線など任意の一次元線形形状にすることもできるが、曲がった線にもでき、この曲線は、それ自体と交差することも、そして楕円又は円形体(例えば、円筒形のダイ)を形成することもできることを意味する。一実施形態では、溶融ストリームが、少なくとも1つのダイインサートを有するダイ42を通って従来型押出し機(図示せず)から放出され、ダイインサート100が、図12に示されるようにプロファイルを形成した非直線の入口開口部104を有する。非直線とは、ダイインサート入口開口部が全体としては矩形以外の形体であるが、ダイ入口開口部は部分的に、矩形の形体であり得ることを意味する。ダイインサート入口開口部104は、少なくとも流入初期溶融ストリームの部分を断続させて、断続された溶融ストリームの部分を溶融ストリームの予め定められた初期溶融ストリーム形態からダイインサート入口開口部により画定される流路(単数又は複数)の形態に方向変更させる。断続されて且つ方向変更された溶融ストリームは、次に出口105にてダイインサートを出る。ダイインサート出口105は、ダイインサート入口104に類似にすることができ、又はダイインサートにより画定される流路をダイインサート入口開口部におけるプロファイルを形成した形状からダイインサート出口105におけるプロファイル形成の少ない形状に収束させることもでき、溶融ストリームの収束した流路は、溶融ストリームの元の予め定められた流路に近づくが、矩形開口部にはならない。この方法に使用されるダイインサートは、横断方向において少なくとも部分的に、初期溶融流れストリームの再分配を引き起こす。これも、溶融ストリームの少なくとも1つの層又は部分を複数の独特の可能な流路に再分配させており、これにより一般に、ダイインサート出口におけるダイインサート横断方向若しくはダイインサート厚さ寸法のいずれか又は両寸法で、これらの流路中の流れが、結果的に異なる流量、ひいては、異なるレベルの溶融体誘起配向を有することになる。異なる流量は又、ポリマー質量がより多い区域を作り出して、フィルム裏材上に突出部区域を作り出すのに役立つ。これらの流量増区域は、一般に、ダイインサート104のピーク108及び109の区域にある。ダイインサート出口における溶融ストリームは、次いでダイリップ出口105におけるプロファイル形成面よりもむしろ、流れ再分配によって作り出された取り付け突出部を有する裏材として押し出される。しかしながら、両方法を組み合せで使用することもできる。
【0018】
インサートは、上で説明された実施形態では、図10及び11に示されるように、ダイ内に配置された別個の要素として示されている。インサートは、説明された特徴を有する限り、配置されるダイ及び/又はフィードブロックと一体に形成することもできる。
【0019】
好ましい実施形態では、例えば図12〜14に示されるようなプロファイルを形成したダイリップは、多層溶融流れストリームとの組み合せで使用される。この結果により、ダイリップピーク108及び109中で及びこれらにより形成される突出部に外側ポリマー層が優先的に流量再分配されることによって、1種のポリマーで支配的に形成される突出部と異なるポリマーで支配的に形成されるフィルム裏材をもたらすことができる。多層又は多成分溶融ストリームは、いずれかの従来方法により形成可能である。多層溶融ストリームは、米国特許第4,839,131号に示されるもののような、多層フィードブロックにより形成できる。米国特許第6,767,492号に示されるもののように、インクルージョン共押出しダイ(inclusion co-extrusion die)又は他の既知の方法を使用することによって形成可能であるような、異なる成分のドメイン又は領域を有する多成分溶融ストリームを使用することもできる。
【0020】
溶融ストリームは、インサート入口において方向変更又は再分配される。前駆体溶融ストリームの1つ以上の層又は領域を形成する材料(単数又は複数)は、再分配又は方向変更されるが、方向は、初期の予め定められた材料の流路又は形態に対して横断方向及び/又は他の寸法であり得る。方向変更された流れは、少なくとも部分的に、インサート入口における材料の流れの一部の分裂又は中断によって引き起こされる。インサートは、ダイリップの構造により、流入ポリマー溶融流れストリームの一部を再分配する。
【0021】
ダイインサートは、図12及び14に示されるように、第一及び第二の半分割体などの複数の分解可能な構成要素で形成される場合、図10に示されるようなコートハンガーダイなどの従来型ダイに容易に取り付け可能であり、そして容易に取り外し、交換、及び洗浄可能である。ダイインサートを形成するのに複数のダイ構成要素を使用すると、より複雑な流路も、放電ワイヤ加工などの従来方法により形成可能になる。二分割型ダイインサートが示されているが、多分割型ダイインサートも可能であり、より複雑な流れチャネル又は流路が、組み立てられたダイインサート中に形成可能になる。ダイインサートは、全体的に又は部分的に、ダイの他の部品と共に形成することもできる。しかしながら、ダイインサート中の流路は、好ましくは、ダイ中の流路の少なくとも一部が直線的に先細になるように、実質的に連続であり、且つ収束する。
【0022】
インサート入口領域は、図12に示されるように、上境界98及び下境界99により境界を定められる、二次元の非平面的構造を有することにより特徴づけられる。上境界98(又はピーク108)及び下境界99(又はピーク109)により画定される入口領域内には、図12及び13に示されるように、閉ざされた区域により分離されたオープン区域のインサート入口100があって、インサート開口部104を形成している。オープン区域は、幅寸法「P」を有する構造により特徴づけられ、幅寸法「P」はもちろん、全ての寸法が可能であるように、オープン区域構造に沿って変化可能である。これらの構造は、(図12に示されるもののように)実質的に連続の開口部、分岐された開口部、及び/又は断続的な開口部にすることができる。入口領域の少なくとも一部の開口面積は、一般に、インサート入口の少なくとも一部の上と下の境界98と99の間に画定される総面積の10〜90%の間(上及び下の境界は、ダイインサート入口のその領域内の構造の境界を定めるものとしてとられる)、或いは20〜80%の間を構成する。逆に、閉じた面積は、ダイインサート入口の90〜10%を、或いは80〜20%を、或いは10、20、又は30%を超えて、50%超までを占める。インサート入口の閉じた面積がより多くなるにつれて、初期材料流路中の材料のより多くの割合が、インサート入口開口部104に流入するために、代わりの流路を見つけることを余儀なくされる。一般に、初期の材料流路の断面積は、インサート入口領域と同程度かこれより大きくすることができるが、インサート入口領域よりも狭い場合もある。
【0023】
インサート入口開口部(又はその部分)は、同等の矩形ダイインサート開口部(同一長さ及び同一平均幅寸法Pを有する開口部)に対するインサート入口開口部の断面の周辺の比によっても特徴づけることができる。同等の矩形インサート入口開口部の周辺に対する本発明のインサート入口開口部の周辺の比は、1.1〜10の間、又は1.1若しくは1.5若しくは2.3を超えるが一般に8若しくは5未満とすることができる周辺比である。より大きな周辺又は周辺比を有する構造は、より高度に構造化された開口部と言える。より高度に構造化された開口部の場合、一般に、溶融流れが、多層又は多成分流れなどの入ってくる初期溶融流れストリームからより劇的に再分配される。これは、一般に、所与の中断された流路に対して可能なより多くの代替流路のためである。しかしながら、比較的低い比率の閉じた面積を有する非常に大きな周辺比の場合、溶融物の多くが著しく再分配されるわけではない。より多くの閉じた面積(より低いパーセントの開口面積)が、特により高度に構造化された連続開口部又は不連続開口部と組み合わされたときに、流入溶融流れストリームの少なくとも一部のより劇的な再分配に繋がる。
【0024】
一般に、図13に示されるような、閉じた区域11のために溶融流れストリーム中の所与の点における一部の材料は、代替流路を見つけることを余儀なくされる。高度に構造化された開口部の場合、2つの境界98及び99によって境界を定められる領域中に、多種多様で独特の可能な流路がある。平均的な流路から偏移する多数の可能な流路がある時、材料はより容易に方向転換させられる。
【0025】
一般に、ダイインサート入口開口部は、ダイインサートの所与の領域上に、その領域に対して上境界98の少なくとも一部分から下境界99までの間を延びる要素を有することによって特徴づけられる。これらの要素93は、上と下の境界の間の距離「H」未満であり得る、及び一般に「H」の10〜100%である、又は「H」の20〜90%である高さを有する。その要素は、上と下の境界の間を延びる平均流路から2〜90度、又は5〜80度、又は10〜90度の角度βで延びることができる。図13では、これらの要素93は、波状構造の脚であるが、腕又は何か他の構造体でもあり得る。
【0026】
図12〜14に示されるような波状入口開口部の場合、その要素は、上ピーク109と隣接した下ピーク108の間の、高さ「H」を有する脚101を構成する。個々の要素は、上境界98から下境界99まで延びてもよく、又は上と下の境界の間でどこかの別の開口部の延長であってもよい。
【0027】
図15は、前駆体溶融ストリームの断面図を示しており、これがインサートの入口開口部へ供給される場合もある。図15の3層溶融ストリーム52は、比較的厚い層53と、より厚い層53の両面上の2つのより薄い層51及び54とによって特徴付けられる。この溶融ストリ−ム52がインサートの入口開口部104に阻まれる時、より厚い層53は、主として入口開口部104の連続チャネルに仕切られ、これが実質的に連続のフィルム裏材を形成することもできる。溶融ストリームのより厚い層53の一部は、ピーク108及び109へも分配される。最も外側の溶融ストリーム層51及び54は、要素93により形成されるピーク108及び109へ再分配される傾向となる。中間層53は、要素93中へ均等に仕切る傾向となる。最も外側の層51及び54は、一般に、入口開口部への最短流路に追従しており、最外層51の場合、一般にピーク109、最外層54の場合、ピーク108となる。一般に、材料流れの任意の所与の部分の場合でも、材料は、入口104により提供される最も近い開口部へ流れる傾向となる。インサート出口開口部105において、図14に示されるように、3種類の材料の溶融ストリーム層は、再集結した形態になる。結果として得られる突出部を有する裏材43が、押し出されて不織ウェブ6に接合されて積層体60を形成した後を、図16に示される。中間溶融層53が、連続フィルム裏材53’を形成し、並びに2つの最も外側の層51及び54は、外側層がダイ入口104のピークに再分配された結果として、裏材43の突出部51’及び54’を形成する。有利なことに、これらの突出部は、化学的適合性又はより低い粘性が理由で(これらが突出部51’又は54’を形成する材料中への繊維ウェブ布地のより大きな貫入を可能にする)繊維ウェブ布地6への結合性がより大きいポリマーで形成される。
【0028】
3つ以上の材料層の場合、仕切りは、前駆体材料の押出し層の相対割合及びインサート100の開口部104の形状により支配される。インサートが規則的に波打つ開口部を有する場合、仕切りは、図16に示されるような裏材43という結果になり得る(共押出しされた材料の溶融ストリームが溶融ストリームを横切る比較的一定の材料厚さを有すると想定して)。インサート開口部が、図13に示されるような、幅P、角度「β」、振幅「H」、波長「W」、又はこれらのいずれかの組み合せで変化する場合、材料層の仕切りは変化するが、流れストリームは依然としてインサートのピーク108と109の間で仕切られる。仕切りの程度は、インサートの山と谷開口部の脚間の角度βにも依存する。角度βが90度未満の場合、層の少なくとも1つは、押出物又は形成されたフィルム中で不連続に分配されるように、完全に仕切られる傾向がある。このことは、材料流れの50%未満を形成する外側流れ層がある場合、特にあてはまる。角度βが90度を超えるとき、特に、層が材料の50%以下である場合に、層は不連続層が無いように仕切られる傾向がある。角度βは、一般に、170度〜5度、140〜10度、110度〜20度、又は90度〜30度の範囲にある。対向するピーク構造は、図示されるような規則的波状曲線、階段関数曲線、又は任意の他の変形体とすることもできる。
【0029】
突出部を有する裏材を形成する上記方法に対する代替方法が、図17に示される。この場合、ダイインサートは、より矩形の入口開口部204と構造化された出口205とを有する。その結果は、図16のものに類似する突出部を有する図18に示されるようなフィルムであるが、多層入口流れに対して、外側層51”及び54”と中間層53”の横断方向再分配が全く又は殆ど無く、結果的に得られたフィルム中のより均一に層化された構造をもたらす。
【0030】
裏材形成方法は、有利なことには、他の押出し方法と組み合せで使用されて、異なる特性の異なる領域を有する裏材を製造することもできる。例えば、使い捨て衛生用製品又はガウンのような使い捨て衣類及び物品に使用される積層された繊維性弾性裏材の場合、非弾性領域を有するのが望ましいことが多い。これらの非弾性領域は、物品に他の要素を接合するための又は弾性の繊維積層体を接合するための、取り付け点として働くことが多い。例えば、おむつ若しくは他の衛生物品上で使用される弾性のパネル、耳、又はタブは、物品への取り付けのために及び/又は機械的ファスナ又は接着剤などの締結要素を取り付けるために、安定な表面を有する必要があることが多い。積層体のこれらの非弾性領域は、裏材上の弾性領域の隣に非弾性領域を設けることによって、直接形成することもできる。非弾性領域及び弾性領域は、単一の連続裏材上に形成することもでき、又は別個に形成することもできる。それぞれに突出部を設けることもでき、又は1つの領域だけが間欠的結合を要する場合、その領域だけが突出部を有する必要がある。非弾性領域は、非弾性の熱可塑性ポリマーで形成することもでき、或いは、繊維ウェブに連続的に結合された熱可塑性エラストマーで形成することもできる。連続的な裏材が望まれる場合、上の例示の突出部を有する裏材の形成方法が組み合わされた従来のサイド・バイ・サイド押出し法を使用することによって、これを実施することもできる。或いは、図8〜10の実施形態に対して説明された方法を、ダイの更に裏側で、例えばマニホールド又はフィードブロック区域で、実施することもできる。この区域では、ポリマー供給ストリームの幅対高さの比がはるかにより大きいので、ポリマー流れを再分配するために非常に少数のピークしか設けることができないが、ポリマーのより多くの質量が再分配される。再分配されたポリマー流れは、後でダイ(例えば、コートハンガーダイ)内で幅を広げられて、結果的に再分配されたポリマー領域の拡幅をもたらす。多層ポリマー流れの場合、層(複数)は、弾性及び非弾性にすることもできる。多層ポリマー流れの場合には又、再分配されたポリマー(例えば、弾性及び非弾性)の大きな領域を有するポリマー流れがダイリップにおいて作り出され、これが次に押し出されて、上の説明のような突出部を形成することもできる。非弾性及び弾性の領域は、例えば、5mm又は10mmを超える幅を有することもできる。
【0031】
本発明の押し出された裏材又は繊維ウェブを製造可能である好適なポリマー材料には、いずれかの熱可塑性樹脂が含まれる。熱可塑性樹脂には、非エラストマー又はエラストマーの熱可塑性ポリマーのいずれか又は両方が含まれてもよい。非エラストマーの熱可塑性ポリマーは、繰り返して溶融処理可能であって、周囲条件(例えば、室温及び圧力)でゴム状弾性を呈さないポリマーである。本発明に関連して使用されるとき、「非エラストマー」は、材料が伸張された後でその当初形状を実質的に回復しないことを意味する。更に、非エラストマーポリマーは、好ましくは、変形して弛緩後に永久歪を維持してもよく、その歪は、例えば約50%(破壊又は他の破損なしに50%までも伸長可能である材料について)の適度な伸び率において、当初長さの好ましくは少なくとも約20%以上、より好ましくは少なくとも約30%以上である。本発明に関連して使用されてもよい非エラストマー又は非弾性の熱可塑性組成物の幾つかの例としては、ポリウレタン類、ポリオレフィン類(例えば、ポリプロピレン類、ポリエチレン類等)、ポリスチレン類、ポリカーボネート類、ポリエステル類、ポリメタクリレート類、エチレンビニルアセテートコポリマー類、エチレンビニルアルコールコポリマー類、ポリ塩化ビニル類、アクリレート変性エチレンビニルアセテートポリマー類、エチレンアクリル酸コポリマー類、ナイロン類、フルオロカーボン類などが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、ポリオレフィン類が、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレンなどが、並びにこれらのコポリマー類及びブレンド類が、好ましい。
【0032】
エラストマーの(又は弾性の)熱可塑性ポリマーは、溶融して周囲条件(例えば、室温及び圧力)でゴム状弾性を呈するポリマーである。本発明に関連して使用されるとき、「エラストマー」は、材料が伸張された後でその当初形状を実質的に回復することを意味する。更に、エラストマーポリマーは、好ましくは、変形して弛緩後にわずかな永久歪のみを維持してもよく、この歪は、例えば約50%の適度な伸び率において、好ましくは当初長さの約30%以下、より好ましくは約20%以下である。本発明のエラストマー熱可塑性組成物は、純エラストマー類と、室温においてほぼゴム状弾性を依然として呈するエラストマー相又はコンテントとのブレンド類の両方にすることができる。米国特許第5,501,679号(クルーガー(Krueger)ら)が、本発明に関連して使用が考えられてもよいエラストマー材料に関して、幾つかの更なる解説を提供している。
【0033】
エラストマーの熱可塑性材料は、フィルム又はフィルム層形体又は繊維などのような裏材に押し出し可能な1種以上のエラストマー材を包含することができ、これらにはABAブロックコポリマー類、ポリオレフィンエラストマー類、ポリウレタンエラストマー類、メタロセンポリオレフィンエラストマー類、ポリアミドエラストマー類、エチレンビニルアセテートエラストマー類、ポリエステルエラストマー類などが挙げられる。ABAブロックコポリマーエラストマーは、一般にAブロックがポリビニルアレーン、好ましくはポリスチレンであり、Bブロックが共役ジエン類、特に低級アルキレンジエンである、エラストマーである。Aブロックは、一般に、4,000〜50,000のブロック分子量分布を有する、支配的にモノアルキレンアレーン類で、好ましくはスチレン部分類で、最も好ましくはスチレンで形成される。Bブロック(単数又は複数)は、一般に、支配的に共役ジエン類で形成され、そして約5,000〜500,000の平均分子量を有し、このBブロック(単数又は複数)モノマーは更に、水素添加又は官能化が可能である。A及びBブロックは、従来から、他のものの中でも線状、放射状、又は星形に構成されており、ブロックコポリマーは、少なくとも1つのAブロックと1つのBブロックとを含むが、好ましくは複数のA及び/又はBブロックを含み、これらのブロックは同種でも異種でもよい。この種の典型的なブロックコポリマーは、Aブロックが同種でも異種でもよい線状ABAブロックコポリマー、又は支配的に末端Aブロックを有するマルチブロック(4つ以上のブロックを有するブロックコポリマー)コポリマーである。これらのマルチブロックコポリマーは、ある比率のAB二元ブロックコポリマーを含むこともできる。AB二元ブロックコポリマーは、粘着性がより高いエラストマー性フィルム層を形成する傾向がある。弾性材料のゴム状弾性に悪影響を与えないのであれば、他のエラストマーをブロックコポリマーエラストマー(単数又は複数)とブレンドすることができる。Aブロックは、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、および他の主要なアルキル化スチレン類、並びにそれらの混合物およびコポリマーから形成することもできる。Bブロックは、一般に、イソプレン、1,3−ブタジエン、エチレン−ブチレン、又はエチレン−プロピレンのモノマーから形成することができる。
【0034】
本発明に関連して使用される熱可塑性組成物は又、所望の効果のための様々な添加物と組み合せが可能である。例えば、充填剤、粘性低下剤、可塑剤、粘着性付与剤、着色剤(例えば染料または顔料)、酸化防止剤、帯電防止剤、結合助剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、安定剤(例えば熱および紫外線)、発泡剤、ミクロスフェア、ガラスバブル、強化繊維(例えばマイクロファイバー)、内部剥離剤、熱伝導性粒子、導電性粒子などが挙げられる。熱可塑性組成物において有用であり得るこのような材料の量は、このような材料を加工および使用する分野の当業者により容易に決定できる。
【0035】
多層構造体は、米国特許第5,501,675号、同第5,462,708号、同第5,354,597号、及び同第5,344,691号にて開示されているような、いずれかの多層又は多成分フィルム押出しプロセスを利用することができ、その特許内容を参考として本明細書に実質的に組み入れる。これらの参考文献は、少なくとも1つの弾性層と1つ又は2ついずれかの比較的非弾性の層とを有する、様々な形体の多層又は共押出しされたエラストマー積層体を教示する。しかしながら、多層フィルムは、これらの既知の多層多成分共押出し技術の利用で、2つ以上の弾性層又は2つ以上の非弾性層又はそれらのいずれかの組み合せで形成することもできる。
【0036】
本発明に関連して使用されてもよい不織繊維ウェブを作成するのに好適なプロセスとして、エアレイング、スパンボンド、スパンレース、結合されたメルトブロウン・ウェブ、及び結合されたカードウエブの形成プロセスが挙げられるが、これらに限定されない。繊維は、編み、織り、又は網目形成によっても、好適な繊維ウェブに形成することができる。繊維ウェブは又、連続でほぼ平行のフィラメント又はヤーンなどの、分離性で絡みの無い繊維で形成することもできる。スパンボンド不織ウェブは、溶融された熱可塑性プラスチックを紡糸口金の一連の細密ダイオリフィスからフィラメントとして押し出すことによって製造される。押し出されたフィラメントの直径は、例えば、米国特許第4,340,563号(アペル(Appel)ら);米国特許第3,692,618号(ドルシュナー(Dorschner)ら);米国特許第3,338,992号及び第3,341,394号(キニー(Kinney));米国特許第3,276,944号(レビ(Levy));米国特許第3,502,538号(ピーターソン(Peterson));米国特許第3,502,763号(ハルトマン(Hartman))、並びに米国特許第3,542,615号(ドボ(Dobo)ら)に記載されるものなどの、非抽出若しくは抽出式流体取り出し又は他の既知のスパンボンド機構による張力下で、急速に減少される。スパンボンドウェブは、好ましくは結合される(ポイント結合または連続結合)。
【0037】
不織ウェブ層は又、結合されたカードウェブから製造されてもよい。カードウェブは、分離された短繊維で製造されるものであり、この繊維が、コーミング(combing)又はカーディング(carding)ユニットを通して送られ、短繊維が分離されて機械方向に整列され、概ね機械方向に配向された繊維の不織ウェブが形成されるようになっている。しかしながら、ランダマイザー(randomizer)を使用して、この機械方向配向を減少することができる。
【0038】
カードウェブが形成されると、次いで幾つかの結合方法の1つ以上により結合して、適切な引張特性を付与する。1つの結合方法は、粉末接着であって、粉末接着剤がウェブを通して分配され、次いで通常は熱風でウェブ及び接着剤を加熱することによって活性化される。別の結合方法は、加熱カレンダーロール又は超音波ボンディング装置を使用して繊維を共に結合するパターンボンディングであり、通常は局部的ボンドパターンであるが、所望であれば、ウェブを全表面にわたり結合することができる。一般的に、ウェブのより多くの繊維が共に結合されるほど、不織ウェブの引張特性が大きくなる。
【0039】
エアレイングは、本発明において有用な繊維性不織ウェブの製造が可能な別のプロセスである。エアレイングプロセスにおいて、通常は6〜19ミリメートルの範囲の長さを有する小繊維の束が分離されて、供給空気に同伴され、次いでしばしば真空提供の補助を受けながら、形成スクリーン上に沈積される。次に、ランダムに蓄積された繊維が、例えば熱風又はスプレー接着剤の使用で、相互に結合される。
【0040】
メルトブロウン不織ウェブは、複数のダイオリフィスから熱可塑性ポリマーを押し出すことにより形成されてもよく、このポリマー溶融ストリームは、ポリマーがダイオリフィスから出る位置の直後のダイの2面に沿う高速熱風または蒸気によって直ちに細径化される。得られた繊維は、収集面上に収集される前に、結果として得られる乱流空気ストリーム中で絡み合って凝集性ウェブになる。一般的に、本発明に十分な一体性及び強度を得るために、メルトブロウン・ウェブは、上記したように空気通過ボンディング、熱又は超音波ボンディングなどによって、更に結合されなければならない。
【0041】
ウェブは、例えばPCT国際公開特許WO96/10481(アブト(Abuto)ら)にて開示されているように、スキップスリッティング(skip slitting)によって伸長可能にすることができる。弾性で伸長可能な積層体が所望される場合、スリットは不連続であり、及びウェブがいずれかの弾性裏材に取り付けられる前に、一般に、ウェブ上に切り込まれる。より困難ではあるが、非弾性ウェブが弾性裏材に積層された後で、非弾性ウェブ層にスリットを作り出すことも可能である。非弾性ウェブ中のスリットの少なくとも一部は、弾性裏材層の伸長性または弾性を意図された方向(少なくとも第一の方向)に対してほぼ垂直である(又は実質的に垂直のベクトルを有する)べきである。「ほぼ垂直」とは、選択されたスリット(単数又は複数)の長手軸と伸長性の方向との間の角度が、60度〜120度の間であることを意味する。積層体全体が弾性であるようにするには、説明されたスリットの十分な数をほぼ垂直にする。弾性積層体が少なくとも2つの異なる方向に弾性であるように意図されるときは、2つの方向のスリットを提供すると有利である。
【0042】
本発明に関連して使用される不織ウェブは又、米国特許第4,965,122号;同第4,981,747号;同第5,114,781号;同第5,116,662号;及び同第5,226,992号(全てモルマン(Morman))に記載されるような、絞り部付き又は両面絞り部付き不織ウェブにすることができる。これらの実施形態では、不織ウェブは、伸長性が望まれる方向に対して垂直方向に伸長される。不織布ウェブは、この伸長状態におかれるとき、伸長性の方向に伸縮性および復元特性を有する。
【0043】
本明細書で使用する時、用語「繊維」には、無限長さの繊維(例えばフィラメント)及び不連続長さの繊維(例えばステープルファイバー)が含まれる。本発明に関連して使用される繊維は、多成分繊維であってもよい。用語「多成分繊維」は、繊維の横断面で少なくとも2つの別個の長手方向に同じ拡がりをもつ(longitudinally coextensive)構造化されたポリマードメインを有する繊維を指しており、ドメインが分散、ランダム、又は構造化されていない傾向にあるブレンドと対照的である。別個の領域は、したがって、異なるポリマー部類(例えば、ナイロンとポリプロピレン)からのポリマーで形成されてもよく、又は同一のポリマー部類(例えば、ナイロン)であるが性質又は特性が異なるポリマーで形成されてもよい。したがって、用語「多成分繊維」は、同心及び偏心のシース/コア形繊維構造、対称及び非対称のサイド・バイ・サイド形繊維構造、アイランド・イン・シー形繊維構造、パイウェッジ形繊維構造、並びにこれらの構造の中空繊維を包含すると意図されているが、これらに限定されない。
【0044】
繊維ウェブの形成に好適な繊維は、繊維を形成することが既知である、広範な熱可塑性ポリマーで製造可能である。好適な熱可塑性繊維を形成するポリマーは、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類、アクリルモノマー類が含まれるコポリマー類、並びにこれらのブレンド及びコポリマー類から選択される。好適なポリオレフィン類としては、ポリエチレン、例えば、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び中密度ポリエチレン;ポリプロピレン、例えば、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、これらのブレンドと、アイソタクチックポリプロピレン及びアタクチックポリプロピレンのブレンド;ポリブチレン、例えば、ポリ(1−ブテン)及びポリ(2−ブテン);ポリペンテン、例えば、ポリ−4−メチルペンテン−1及びポリ(2−ペンテン);並びにこれらのブレンド及びコポリマー類が挙げられる。好適なポリアミド類としては、ナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン10、ナイロン4/6、ナイロン10/10、ナイロン12、ナイロン6/12、ナイロン12/12、並びにカプロラクタム及びアルキレンオキシド例えばエチレンオキシドのコポリマー類とヘキサメチレンアジポアミド及びアルキレンオキシドのコポリマー類のような親水性ポリアミドコポリマー類、並びにこれらのブレンド及びコポリマー類が挙げられる。好適なポリエステル類としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、並びにこれらのブレンド及びコポリマー類が挙げられる。アクリルコポリマー類としては、エチレンアクリル酸、エチレンメタクリル酸、エチレンメチルアクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレンブチルアクリレート、及びこれらのブレンドが挙げられる。突出部は、好ましい実施形態において、自己的に結合可能であるように、繊維ウェブを形成する繊維の少なくとも一部と融和性のあるポリマーで形成される。
【0045】
繊維ウェブの坪量は、一般に10〜100g/m2、好ましくは10〜50g/m2であり、幾つかの実施形態では、自己的に結合するのに好適な熱可塑性繊維を少なくとも部分的に含む。一般に、繊維の少なくとも10%が、結合可能な熱可塑性タイプであり、特定の実施形態では、20〜100%が、結合可能な熱可塑性繊維である。繊維ウェブを形成する個々の繊維の大部分は、好ましくは、平均直径が1〜70μmである。裏層は、一般に15〜150g/m2、好ましくは20〜50g/m2の坪量を有する。不織布が使用される場合、好ましい実施形態における不織積層体全体が、30〜300g/m2、好ましくは40〜100g/m2の坪量を有する。
【0046】
繊維性のループウェブは、好ましくは、合わせフック式ファスナのフックヘッドが繊維の開口面積の間を貫通するのに十分な空間がループウェブの繊維間にあるように、比較的低い坪量を有すべきである。
【0047】
ループウェブは、好ましくは、比較的長い繊維からなる。繊維が長いほど、これらの繊維が相互に、及び、裏材層の突出部に結合し易くなる。過度に短い繊維を用いると、結合の無い緩い繊維、又は、部分的に結合する繊維(例えば、その末端部の1つだけ結合する繊維)の数が過剰になる可能性がある。そのような繊維は、フック式ファスナのフックヘッドに絡み合って保持することができなくなる。不織ウェブの繊維の長さは、不織ループウェブを製造するのに用いられるプロセスの種類によって決まる。例えば、カード加工された不織ウェブが使用される場合、そのようなウェブを構成する繊維は、約1cm(約0.5インチ)〜約13cm(約5インチ)の範囲に及び得る長さを有することができる。繊維の長さは、好ましくは、約5cm(約2インチ)〜約8cm(約3インチ)の間である。これに対して、スパンボンド不織ウェブが使用される場合、そのようなウェブの繊維又はフィラメントは通常、連続長さである。
【0048】
繊維の直径は、ループウェブの強度、及び適切なフックヘッドとの係合可能性を決定する1つの要因である。直径の一般的な尺度は、デニールとして知られている。(デニールは、9,000メートル当たりのグラム数を計量する糸の細かさの単位であり、したがって、100デニールの糸は、150デニールの糸よりも細かい。)一般に、繊維の直径が大きいほど、繊維がより強くなるが、繊維に係合するために必要とされるフックヘッドのオーバハング49が大きくなる。使用可能な繊維の最大直径は、図6cに示されるように、繊維間の開口部の大きさとフックヘッド(46)のオーバハング(49)に係合する繊維に、部分的には左右される。繊維の直径は、フックヘッドが繊維を掴めない及び絡み合いできないほど大きくてはならない。典型的には、現在利用可能なフック成分に対しては、不織ループウェブの繊維は、約2〜約15のデニールを有すべきである。大幅により小さいフックであれば、約0.5〜約15の間など、あるいはそれ以下の、より小さいデニールの繊維と共に使用することもできる。約0.5〜約1.0、あるいはそれ以下であるほど低いデニールの繊維であれば、より小さいフックヘッドと共に使用できる可能性がある。このような繊維は、「マイクロデニール」繊維と称されることがある。
【0049】
不織ループウェブの繊維間の繊維間結合の量が、部分的には、不織ループウェブの一体性に加えて、フックヘッドが貫通するために利用可能な繊維間の開口面積を決定する。繊維間の結合によって作り出される結合部位は、内部的な繊維対繊維の結合又は全体的なウェブのポイント結合のいずれでも、フックヘッドを収容するために繊維が広がる自由度を減少させる傾向がある。しかし、結合部位が増加すると、ウェブの一体性が向上し、そして緩んだ繊維の数が減少する。繊維間結合の程度は、ループの形成に使用される不織布材料の種類、及びウェブの一体性を向上させるために用いられるポイント結合の程度によって決まる。不織ウェブは、最初は非結合にすることができ、それから後になって、積層体を製造するプロセス中で、突出部に、又は突出部との結合部位のそばのいずれかに結合する前に、ポイント結合することもできる。結合の程度は一般に、ウェブ及び/又は繊維ウェブ積層体が製造プロセス中の取り扱いに十分な一体性のものになれるように、そしてウェブに一体性を与えるように選択される。フックヘッドは、個々の繊維と係合する。これらの個々の繊維が少なくとも2点で結合又は絡み合っているので、繊維ウェブが不織布であろうと他のタイプの繊維ウェブであろうと、フックは、フック式ファスナの係合解除中に、係合した繊維を容易に引き抜くことは無いに違いない。不織繊維ウェブの場合、繊維間結合は、一般に、不織繊維ウェブの面積の約10%未満、好ましくは約6%未満、最も好ましくは約2.5%未満を占めるべきである。これによって、繊維間結合によって占められる空間が、合わせフック式ファスナのフックヘッドの貫通を妨げることは確実になくなるであろう。不織繊維ウェブ材が、カード、ランド(Rando)ウェブ、エアレイドウェブ、スパンレースウェブ、スパンボンドウェブなどにより提供される場合、繊維間の開口面積を最大化するために、不織繊維性材料は、事前結合又は一体強化させないことが好ましい。しかしながら、プリフォームウェブの取り扱いを可能にするために、適切なポイント結合などを提供する必要性が時々あるが、このことは、プリフォームウェブをロールから巻き戻して、本発明の繊維ウェブ積層体を作り出すための形成プロセスに一体性をもたらすのに十分なだけのレベルにすべきである。
【0050】
ループ積層体のために裏材突出部に結合していない繊維ウェブの部分は、一般に、不織ウェブの表面積の50〜0.5%が結合面積という条件で、裏材の表面積の99.5〜50%であるが、好ましくは、不織ウェブの全結合面積は20〜2%である。結合面積には、ウェブの一体性を高めるために設けられたいずれかの事前結合又は一体強化の面積に加えて、裏材層突出部に結合している繊維シートの面積が含まれる。特定の結合部分又は裏材層の突出部に結合した区域は、一般に、任意の幅にすることもできるが、その最も狭い幅寸法において(突出部の基部で測定する時)、好ましくは0.01〜0.2cmである。隣接する結合突出部は、平均して一般に50μm〜1000μm、好ましくは50μm〜500μmの間隔をあけている。
【0051】
繊維ウェブ積層体の所望の柔らかさを維持するために、フィルム状の裏材層(単数又は複数)は、柔らかな繊維積層体であるなら、突出部は別にして、一般に10〜300ミクロン、好ましくは20〜100ミクロンの厚さを有する。積層体は、寸法的に安定な材料を必要とする連続製造技術において信頼性のある使用がなされるために十分な引張強さを有するものであり、一般に少なくとも0.5kg/cm、好ましくは少なくとも1.0kg/cmの引張強さを有する。
【0052】
「フック」という用語は、本明細書で使用する時、フック式ファスナの係合要素を指すものとして用いられる。係合要素が補完的なループ材に係合するように適合されている限り、当該技術分野において既知のいかなる形状であってもよいという意味で、「フック」という用語は非限定的である。フック式ファスナは、第一面及び第二面を有する基部層と、基部の少なくとも第一面から延びる複数のフックとを含む。フックのそれぞれは、好ましくは、基部上の一端部にて支持される茎部と、基部と反対側で茎部の端部に位置する拡大ヘッドとを含む。本発明の繊維ウェブ積層体と共に使用されるフック式ファスナは、従来型の市販されているフック材とすることができる。
【0053】
(実施例1)
共押出しされてプロファイルを形成した不織布/弾性の積層ウェブが、図9に示されるものに類似の装置を使用して製造された。2台の押出し機を使用して、第一の「A」ポリプロピレン層と第二の「B」弾性層とからなる、2層押出物を製造した。第一の層は、ポリプロピレンホモポリマー(99%の3762、12MFI、アトフィナ社(Atofina Inc.)、テキサス州ヒューストン(Houston, TX))と、1%のポリプロピレン系赤色濃縮物とで製造された。第二の弾性層は、70%のクラトン(KRATON)G1657SEBSブロックコポリマー(クラトンポリマーズ社(Kraton Polymers Inc.)、テキサス州ヒューストン(Houston, TX))と、30%のエンゲージ(Engage)8200超低密度ポリエチレン−ULDPE(ダウケミカル社(Dow Chemical Co.)、ミシガン州ミッドランド(Midland, MI))とのブレンドで製造された。3762ポリプロピレンを第一層に供給するために、3.81cmの1軸押出し機(8RPM)が使用され、クラトン(KRATON)/ULDPEブレンドを第二層に供給するために、6.35cmの1軸押出し機(10RPM)が使用された。両押出し機のバレル温度プロファイルはほぼ同じであり、供給域の215℃から徐々に上昇してバレルの端部において238℃であった。両押出し機の溶融ストリームが、ABA3層共押出しフィードブロック(クロエレン社(Cloeren Co.)、テキサス州オレンジ(Orange, TX))に供給された。フィードブロックは、図12〜14に示されるものに類似のプロファイルを形成したダイリップを装備する20cmダイに取り付けられた。フィードブロック及びダイは238℃に維持された。ダイリップは、2つの連続するチャネルセグメント間の角度(β)が67度であるように、繰り返し正弦波パターンで機械加工された。繰り返しパターンの波長(W)は、1250ミクロンであった。このダイリップについては、入口形状寸法は、出口形状寸法と同一であった。このダイリップの形状寸法は、結果的に連続する弾性コア層の上にポリプロピレンのリブからなる不連続のスキン「A」層を有する押出物をもたらした。ダイリップにより成形された後、押出物は、入口材料の厚さよりもわずかに薄い隙間に設定されたニップ中で、2層の不織布(31g/m2のカード加工されたポリプロピレン、BBA不織布(BBA Nonwovens)、サウスカロライナ州シンプソンビル(Simpsonville, SC))に、1層を押出物の各側にして積層された。積層体は、約45℃の水温に維持された水タンク中を12m/分の速度で急冷され且つ引き抜かれた。ウェブを風乾し、ロールに収集した。結果として得られたウェブは、図16に示されるものに類似であった。
【0054】
(実施例2)
プロファイルを形成した不織/弾性積層体が、図1に示されるものに類似のシステムを使用して製造された。歯車ポンプを装備した40mm直径の2軸押出し機が使用されて、溶融ポリプロピレンポリマー(7C05N、ハンツマン(Huntsman))を約246℃の溶融温度でダイに送り出した。ダイは、溶融ポリマーのフィルムが下向き方向に垂直に、加熱されたドクターブレード(形成工具)4と冷却された平滑スチールロール20の中間面領域内に押し出されるように位置決めされた。
【0055】
ドクターブレード4は、線cm当たり163ニュートン(線インチ当たり93ポンド)の圧力(溶融ポリマーがブレード4とロール20の間に隙間2を作り出すことができる圧力、この隙間が基材フィルムの厚さを画定する)で平滑ロールに当てて押し付けられた。ドクターブレードは、246℃の温度に維持され、平滑ロールは、ロール内部に冷却水を循環させることによって4℃の温度に維持された。
【0056】
ドクターブレード4の下側(平滑ロールに面する側)は、図3に示されるような一連の溝7(5mm間隔、0.25mm深さ、0.98mm幅)を有するように機械加工されたものであった。平滑ロールの回転によって、ドクターブレードが、溶融ポリマーをぬぐい取り、ドクターブレード中の溝に対応する高さ約120ミクロンの機械方向突起を有する約75ミクロン厚さの基材フィルム層にし、構造化された押出し物を作り出した。ドクターブレードのぬぐい取り作用の後、平滑ロールは回転を続け、最後に、構造化された押出物が、25ニュートン/線cm(線インチ当たり14ポンド)のニップ圧を使用する順応性のあるバックアップロール(75ショアAジュロ硬さ)を背にして、ポリプロピレンの不織布基材(31g/m2、BBA不織布(BBA Nonwovens)、サウスカロライナ州シンプソンビル(Simpsonville, SC))に強制接触させられた。
【0057】
押出物中の厚い突起はより薄い連続基部フィルムよりも急冷により長い時間がかかるので、突起は依然として十分に柔らかい又は溶融しており、突起の上面において不織布と良好な結合を形成した。より薄い基部フィルムは、不織布に結合しなかった。結果として得られた積層体が、図4に模式的に示されている。
【0058】
添付図面を参照しながら本発明を更に説明するが、幾つかの図面において類似参照番号が類似部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の繊維ウェブ積層体を形成する方法の概略図。
【図2】本発明に従って用いられる、前駆体フィルム裏材を形成するのに使用される形成工具の断面図。
【図3】図2の形成工具の正面図。
【図4】本発明に従う発明品の繊維ウェブ積層体の正面図。
【図5】発明品の繊維ウェブ積層体を形成する第二の方法の概略図。
【図6】ロール表面の分解図を付した図5の形成ロールの斜視図。
【図7】図6の形成ロールを使用して形成された前駆体フィルム裏材の正面図。
【図8】図7の裏材を使用する、発明品の繊維ウェブ積層体の斜視図。
【図9】発明品の繊維ウェブ積層体を形成する第三の方法の概略図。
【図10】図9の方法で使用されるダイの切欠斜視図。
【図11】ダイリップインサートを有する、図10のダイの断面図。
【図12】ダイリップインサートの入口面からの斜視図。
【図13】図12のダイリップインサートの切欠断面図。
【図14】図12のダイリップインサートの出口面からの斜視図。
【図15】本発明に従って使用される、3層を有するポリマー流れストリームの側面図。
【図16】図9の方法により形成された裏材を使用する、発明品の繊維ウェブ積層体の側面図。
【図17】第二のダイリップインサートの入口面からの斜視図。
【図18】図17のダイインサートを用いて図9の方法により形成された裏材を使用する、発明品の繊維ウェブ積層体の側面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一面及び第二面を有する熱可塑性の裏材と、
突出部が延びている前記裏材の面にある熱可塑性樹脂から延び、且つ前記熱可塑性樹脂で少なくとも一部が形成されている複数の一体型熱可塑性突出部と、
前記裏材が少なくとも2つの隣接した突出部の間を延び、前記突出部の場所において前記繊維ウェブが前記裏材を形成する前記熱可塑性樹脂に貫入するように、前記突出部の少なくとも幾つかの場所において前記裏材に取付けられた繊維ウェブと、
を含む、繊維ウェブ積層体。
【請求項2】
前記繊維ウェブが、前記突出部に貫入しており、そして前記裏材が、前記取付けられた突出部の間で少なくとも10ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項3】
前記繊維ウェブが、突出部を有する面と反対の前記裏材の面に貫入する、請求項1に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項4】
前記繊維ウェブが、前記突出部の少なくとも幾つかの間で前記裏材に接触しているが、前記突出部の間の前記裏材には実質的に結合されていない、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項5】
前記突出部が、連続的な押出しプロセスによって前記裏材と一体に形成される、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項6】
前記突出部が、連続的な突起である、請求項5に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項7】
前記突出部が、別個の不連続突出部である、請求項3に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項8】
前記突出部が、前記裏材の両面上にある、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項9】
前記突出部が、前記裏材と同一のポリマーで形成されている、請求項7に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項10】
前記裏材の面積の少なくとも2%から30%までが、前記繊維ウェブが取付けられた前記突出部により占められている、請求項4に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項11】
前記裏材の面積の多くても10%が、前記繊維ウェブが取付けられた前記突出部により占められている、請求項10に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項12】
前記裏材が、連続的なフィルムである、請求項3に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項13】
前記突出部が、前記裏材を形成するものとは異なるポリマーで少なくとも部分的に形成されている、請求項6に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項14】
前記突出部が、別個の柱である、請求項7に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項15】
前記裏材が、エラストマーのポリマーで形成されている、請求項13に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項16】
前記突起が、前記繊維ウェブ積層体の少なくとも一次元にわたって連続的に延びる、請求項13に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項17】
繊維ウェブが、結合された前記突出部において実質的に圧縮されていない、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項18】
前記結合された突出部における前記繊維ウェブが、前記突出部間の前記繊維ウェブの厚さの少なくとも50%である、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項19】
前記結合された突出部における前記繊維ウェブが、前記突出部間の前記繊維ウェブの厚さの少なくとも90%である、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項20】
前記繊維ウェブが、フックストリップと係合可能な、編み又は織り材料である、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項21】
前記繊維ウェブが、絡み合った繊維の不織ウェブである、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項22】
前記不織ウェブが、10〜100g/m2の坪量を有する、請求項21に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項23】
前記不織ウェブが、10〜50g/m2の坪量を有する、請求項22に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項24】
前記裏材が、連続的な熱可塑性フィルムである、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項25】
前記裏材が、15〜150g/m2の坪量を有する、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項26】
前記裏材が、20〜50g/m2の坪量を有する、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項27】
前記繊維ウェブ積層体が、30〜300g/m2の坪量を有する、請求項26に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項28】
前記繊維ウェブ積層体が、40〜100g/m2の坪量を有する、請求項26に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項29】
前記裏材フィルムが、非弾性材料で少なくとも部分的に形成された突出部を有する、熱可塑性の弾性材料である、請求項24に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項30】
前記裏材層が、基部とは異なる熱可塑性ポリマーで少なくとも部分的に形成された突出部を有する、共押出しされた裏材である、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項31】
前記裏材層が、不連続である、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項32】
前記裏材層が、複数の別個の要素で形成され、それぞれの別個の要素が1つより多い突出部を有する、請求項31に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項33】
前記突出部間の前記裏材層が、少なくとも20ミクロンの厚さを有する、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項34】
前記突出部は、最も狭い幅寸法で0.01〜0.2cmである、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項35】
前記突出部が、全て実質的に等しい高さである、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項36】
前記突出部が、実質的に等しい高さではない、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項37】
繊維ウェブ積層体を含む弾性の繊維ウェブ積層物品であって、
前記積層体が、第一面及び第二面を有する熱可塑性樹脂の裏材でそれぞれが形成された、少なくとも1つの弾性領域と少なくとも1つの非弾性領域とを有し、
弾性領域又は非弾性領域を形成する前記裏材の少なくとも1つが、突起部が延びる前記裏材の面にある前記熱可塑性樹脂から延び、そして前記熱可塑性樹脂で少なくとも一部が形成されている複数の一体型熱可塑性突出部を有し、
前記裏材が少なくとも2つの隣接した突出部の間を延びて、前記突出部の場所において前記繊維ウェブが前記裏材を形成する前記熱可塑性樹脂に貫入するように、繊維ウェブが、前記突出部の少なくとも幾つかの場所において、前記裏材を含む前記突出部に取付けられている、
物品。
【請求項38】
前記繊維ウェブが、前記突出部に貫入しており、そして前記裏材が、前記取付けられた突出部の間で少なくとも10ミクロンの厚さを有する、請求項37に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項39】
前記弾性領域が、少なくとも5mm幅である、請求項37に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項40】
前記弾性領域が、少なくとも10mm幅である、請求項37に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項41】
前記非弾性領域が、少なくとも1つの取付け要素を有する。請求項40に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項42】
前記非弾性領域取付け要素が、機械的ファスナである、請求項40に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項43】
前記弾性領域と非弾性領域とが分離されている、請求項37に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項44】
前記弾性領域だけに突出部が設けられている、請求項43に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項45】
前記弾性及び非弾性の領域が、連続的な裏材上に設けられている、請求項37に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項46】
前記非弾性領域が、前記繊維ウェブに連続的に結合された熱可塑性エラストマーで形成されている、請求項45に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項47】
第一面と第二面とを有する熱可塑性裏材と、
突出部が延びる前記裏材の面にある熱可塑性樹脂から延び、且つ前記熱可塑性樹脂で少なくとも一部が形成されている、複数の一体型熱可塑性突出部と、
前記裏材が少なくとも2つの隣接した突出部の間を延びて、結合部分を形成する前記突出部の場所において繊維ウェブが前記裏材を形成する前記熱可塑性樹脂に貫入するように、前記突出部の少なくとも幾つかの場所において前記裏材に取付けられた繊維ウェブであって、そしてフックが前記フックの係合解除中に前記係合した繊維を容易に抜き取らないように、前記繊維ウェブの個々の繊維が少なくとも2点において結合され又は絡ませられている繊維ウェブと、
を含む、ループ積層体。
【請求項48】
前記繊維ウェブが、不織繊維ウェブであって、前記ウェブの繊維間結合が前記不織繊維ウェブの面積の約10%未満を占めており、そして前記結合部分が、前記突出部を形成する前記熱可塑性樹脂に貫入する前記不織繊維ウェブにより形成される、請求項47に記載のループ積層体。
【請求項49】
前記繊維ウェブが、不織繊維ウェブであって、前記ウェブの前記繊維間結合が前記不織繊維ウェブの面積の約2.5%未満を占める、請求項47に記載のループ積層体。
【請求項50】
前記不織ウェブの表面積の50〜0.5%が結合部分である場合に、前記裏材に結合していない前記不織布繊維ウェブの部分が、前記裏材の表面積の99.5〜50%であり、好ましくは、前記不織布ウェブの全結合面積が、20〜2%である、請求項48に記載のループ積層体。
【請求項51】
前記結合部分において前記裏材に結合された前記不織繊維ウェブの部分が、20〜2%である、請求項50に記載のループ積層体。
【請求項52】
前記裏材の結合部分が、その最も狭い幅寸法において0.01〜0.2cmの幅を有し、そして隣接した突出部が、一般的に平均して50μm〜1000μm、好ましくは50μm〜500μm離隔している、請求項48に記載のループ積層体。
【請求項53】
前記裏材の前記結合部分が、その最も狭い幅寸法において0.01〜0.2cmの幅を有し、そして隣接した突出部が、一般的に平均して50μm〜500μm離隔している、請求項48に記載のループ積層体。
【請求項54】
裏材が柔軟な繊維積層体である場合、前記突出部は別にして、裏材が10〜300ミクロン、好ましくは20〜100ミクロンの厚さを有する、請求項48に記載のループ積層体。
【請求項55】
前記突出部は別にして、裏材が20〜100ミクロンの厚さを有する、請求項48に記載のループ積層体。
【請求項56】
前記積層体が、少なくとも0.5kg/cm、好ましくは少なくとも1.0kg/cmの引張強さを有する、請求項48に記載のループ積層体。
【請求項57】
前記積層体が、少なくとも1.0kg/cmの引張強さを有する、請求項48に記載のループ積層体。
【請求項58】
前記裏材が、エラストマーのポリマーで形成され、そして前記突出部における前記不織繊維ウェブの厚さが、前記突出部間の前記繊維ウェブの厚さ未満である、請求項48に記載のループ積層体。
【請求項1】
第一面及び第二面を有する熱可塑性の裏材と、
突出部が延びている前記裏材の面にある熱可塑性樹脂から延び、且つ前記熱可塑性樹脂で少なくとも一部が形成されている複数の一体型熱可塑性突出部と、
前記裏材が少なくとも2つの隣接した突出部の間を延び、前記突出部の場所において前記繊維ウェブが前記裏材を形成する前記熱可塑性樹脂に貫入するように、前記突出部の少なくとも幾つかの場所において前記裏材に取付けられた繊維ウェブと、
を含む、繊維ウェブ積層体。
【請求項2】
前記繊維ウェブが、前記突出部に貫入しており、そして前記裏材が、前記取付けられた突出部の間で少なくとも10ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項3】
前記繊維ウェブが、突出部を有する面と反対の前記裏材の面に貫入する、請求項1に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項4】
前記繊維ウェブが、前記突出部の少なくとも幾つかの間で前記裏材に接触しているが、前記突出部の間の前記裏材には実質的に結合されていない、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項5】
前記突出部が、連続的な押出しプロセスによって前記裏材と一体に形成される、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項6】
前記突出部が、連続的な突起である、請求項5に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項7】
前記突出部が、別個の不連続突出部である、請求項3に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項8】
前記突出部が、前記裏材の両面上にある、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項9】
前記突出部が、前記裏材と同一のポリマーで形成されている、請求項7に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項10】
前記裏材の面積の少なくとも2%から30%までが、前記繊維ウェブが取付けられた前記突出部により占められている、請求項4に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項11】
前記裏材の面積の多くても10%が、前記繊維ウェブが取付けられた前記突出部により占められている、請求項10に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項12】
前記裏材が、連続的なフィルムである、請求項3に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項13】
前記突出部が、前記裏材を形成するものとは異なるポリマーで少なくとも部分的に形成されている、請求項6に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項14】
前記突出部が、別個の柱である、請求項7に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項15】
前記裏材が、エラストマーのポリマーで形成されている、請求項13に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項16】
前記突起が、前記繊維ウェブ積層体の少なくとも一次元にわたって連続的に延びる、請求項13に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項17】
繊維ウェブが、結合された前記突出部において実質的に圧縮されていない、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項18】
前記結合された突出部における前記繊維ウェブが、前記突出部間の前記繊維ウェブの厚さの少なくとも50%である、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項19】
前記結合された突出部における前記繊維ウェブが、前記突出部間の前記繊維ウェブの厚さの少なくとも90%である、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項20】
前記繊維ウェブが、フックストリップと係合可能な、編み又は織り材料である、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項21】
前記繊維ウェブが、絡み合った繊維の不織ウェブである、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項22】
前記不織ウェブが、10〜100g/m2の坪量を有する、請求項21に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項23】
前記不織ウェブが、10〜50g/m2の坪量を有する、請求項22に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項24】
前記裏材が、連続的な熱可塑性フィルムである、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項25】
前記裏材が、15〜150g/m2の坪量を有する、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項26】
前記裏材が、20〜50g/m2の坪量を有する、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項27】
前記繊維ウェブ積層体が、30〜300g/m2の坪量を有する、請求項26に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項28】
前記繊維ウェブ積層体が、40〜100g/m2の坪量を有する、請求項26に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項29】
前記裏材フィルムが、非弾性材料で少なくとも部分的に形成された突出部を有する、熱可塑性の弾性材料である、請求項24に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項30】
前記裏材層が、基部とは異なる熱可塑性ポリマーで少なくとも部分的に形成された突出部を有する、共押出しされた裏材である、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項31】
前記裏材層が、不連続である、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項32】
前記裏材層が、複数の別個の要素で形成され、それぞれの別個の要素が1つより多い突出部を有する、請求項31に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項33】
前記突出部間の前記裏材層が、少なくとも20ミクロンの厚さを有する、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項34】
前記突出部は、最も狭い幅寸法で0.01〜0.2cmである、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項35】
前記突出部が、全て実質的に等しい高さである、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項36】
前記突出部が、実質的に等しい高さではない、請求項2に記載の繊維ウェブ積層体。
【請求項37】
繊維ウェブ積層体を含む弾性の繊維ウェブ積層物品であって、
前記積層体が、第一面及び第二面を有する熱可塑性樹脂の裏材でそれぞれが形成された、少なくとも1つの弾性領域と少なくとも1つの非弾性領域とを有し、
弾性領域又は非弾性領域を形成する前記裏材の少なくとも1つが、突起部が延びる前記裏材の面にある前記熱可塑性樹脂から延び、そして前記熱可塑性樹脂で少なくとも一部が形成されている複数の一体型熱可塑性突出部を有し、
前記裏材が少なくとも2つの隣接した突出部の間を延びて、前記突出部の場所において前記繊維ウェブが前記裏材を形成する前記熱可塑性樹脂に貫入するように、繊維ウェブが、前記突出部の少なくとも幾つかの場所において、前記裏材を含む前記突出部に取付けられている、
物品。
【請求項38】
前記繊維ウェブが、前記突出部に貫入しており、そして前記裏材が、前記取付けられた突出部の間で少なくとも10ミクロンの厚さを有する、請求項37に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項39】
前記弾性領域が、少なくとも5mm幅である、請求項37に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項40】
前記弾性領域が、少なくとも10mm幅である、請求項37に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項41】
前記非弾性領域が、少なくとも1つの取付け要素を有する。請求項40に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項42】
前記非弾性領域取付け要素が、機械的ファスナである、請求項40に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項43】
前記弾性領域と非弾性領域とが分離されている、請求項37に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項44】
前記弾性領域だけに突出部が設けられている、請求項43に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項45】
前記弾性及び非弾性の領域が、連続的な裏材上に設けられている、請求項37に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項46】
前記非弾性領域が、前記繊維ウェブに連続的に結合された熱可塑性エラストマーで形成されている、請求項45に記載の弾性の繊維ウェブ積層物品。
【請求項47】
第一面と第二面とを有する熱可塑性裏材と、
突出部が延びる前記裏材の面にある熱可塑性樹脂から延び、且つ前記熱可塑性樹脂で少なくとも一部が形成されている、複数の一体型熱可塑性突出部と、
前記裏材が少なくとも2つの隣接した突出部の間を延びて、結合部分を形成する前記突出部の場所において繊維ウェブが前記裏材を形成する前記熱可塑性樹脂に貫入するように、前記突出部の少なくとも幾つかの場所において前記裏材に取付けられた繊維ウェブであって、そしてフックが前記フックの係合解除中に前記係合した繊維を容易に抜き取らないように、前記繊維ウェブの個々の繊維が少なくとも2点において結合され又は絡ませられている繊維ウェブと、
を含む、ループ積層体。
【請求項48】
前記繊維ウェブが、不織繊維ウェブであって、前記ウェブの繊維間結合が前記不織繊維ウェブの面積の約10%未満を占めており、そして前記結合部分が、前記突出部を形成する前記熱可塑性樹脂に貫入する前記不織繊維ウェブにより形成される、請求項47に記載のループ積層体。
【請求項49】
前記繊維ウェブが、不織繊維ウェブであって、前記ウェブの前記繊維間結合が前記不織繊維ウェブの面積の約2.5%未満を占める、請求項47に記載のループ積層体。
【請求項50】
前記不織ウェブの表面積の50〜0.5%が結合部分である場合に、前記裏材に結合していない前記不織布繊維ウェブの部分が、前記裏材の表面積の99.5〜50%であり、好ましくは、前記不織布ウェブの全結合面積が、20〜2%である、請求項48に記載のループ積層体。
【請求項51】
前記結合部分において前記裏材に結合された前記不織繊維ウェブの部分が、20〜2%である、請求項50に記載のループ積層体。
【請求項52】
前記裏材の結合部分が、その最も狭い幅寸法において0.01〜0.2cmの幅を有し、そして隣接した突出部が、一般的に平均して50μm〜1000μm、好ましくは50μm〜500μm離隔している、請求項48に記載のループ積層体。
【請求項53】
前記裏材の前記結合部分が、その最も狭い幅寸法において0.01〜0.2cmの幅を有し、そして隣接した突出部が、一般的に平均して50μm〜500μm離隔している、請求項48に記載のループ積層体。
【請求項54】
裏材が柔軟な繊維積層体である場合、前記突出部は別にして、裏材が10〜300ミクロン、好ましくは20〜100ミクロンの厚さを有する、請求項48に記載のループ積層体。
【請求項55】
前記突出部は別にして、裏材が20〜100ミクロンの厚さを有する、請求項48に記載のループ積層体。
【請求項56】
前記積層体が、少なくとも0.5kg/cm、好ましくは少なくとも1.0kg/cmの引張強さを有する、請求項48に記載のループ積層体。
【請求項57】
前記積層体が、少なくとも1.0kg/cmの引張強さを有する、請求項48に記載のループ積層体。
【請求項58】
前記裏材が、エラストマーのポリマーで形成され、そして前記突出部における前記不織繊維ウェブの厚さが、前記突出部間の前記繊維ウェブの厚さ未満である、請求項48に記載のループ積層体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2009−524540(P2009−524540A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552336(P2008−552336)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/001503
【国際公開番号】WO2007/087234
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/001503
【国際公開番号】WO2007/087234
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]