間質性膀胱炎診断用カテーテル
【課題】膀胱の内壁を広い範囲にわたって診断することができる間質性膀胱炎診断用カテーテルを提供すること。
【解決手段】電流知覚閾値検査装置4に接続されて間質性膀胱炎を診断するためのカテーテル101であって、軟質可撓材料からなり、膀胱102内に留置される先端区分Aおよび該先端区分Aに隣接しかつ基端側にある本体区分Bを有する円筒状のカテーテル本体111と、前記カテーテル本体111の先端に設けられた少なくとも1つの電極114と、前記カテーテル本体111内に挿入されていて一端が前記電極114に接続されかつ他端が該カテーテル本体111の基端部から外部に導出されて前記電流知覚閾値検査装置4に接続される導線115と、を備えている間質性膀胱炎診断用カテーテル。
【解決手段】電流知覚閾値検査装置4に接続されて間質性膀胱炎を診断するためのカテーテル101であって、軟質可撓材料からなり、膀胱102内に留置される先端区分Aおよび該先端区分Aに隣接しかつ基端側にある本体区分Bを有する円筒状のカテーテル本体111と、前記カテーテル本体111の先端に設けられた少なくとも1つの電極114と、前記カテーテル本体111内に挿入されていて一端が前記電極114に接続されかつ他端が該カテーテル本体111の基端部から外部に導出されて前記電流知覚閾値検査装置4に接続される導線115と、を備えている間質性膀胱炎診断用カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間質性膀胱炎診断用カテーテルに関し、さらに詳しく言えば、間質性膀胱炎診断に用いる電極付きカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
電極付きカテーテルは周知であり、神経因性膀胱炎、尿失禁等の診断または治療のために広く用いられている。しかし、このカテーテルが間質性膀胱炎の診断に用いられた例はない。従来の電極付きカテーテルは露出電極が硬く、尿道から膀胱側へ挿入するには適していない。また、カテーテルの位置を固定する目的で、カテーテルの外周面に膨張可能なバルーンが装着されたものもある。
【0003】
近年、抹消神経の異常を診断するために開発された電流知覚閾値検査装置(「CPT」(Current Perception Threshold)検査装置)がある。この検査装置は、皮膚に1対の電極を貼り付け、微弱な交流電流を流し、被検者が知覚できる最低レベル電流刺激量を評価する。このCPT検査装置は、治療効果測定(麻酔科)、障害部位測定(形成外科)、糖尿性末梢神経障害の評価(内科)、知覚神経の定量的評価(神経科)、神経障害によるインポテンツと心因性インポテンツの区別診断(泌尿器科)、外傷および知覚の評価(歯科)、薬理効果の定量測定(薬理学)等に広く利用されている。
【0004】
上記CPT検査装置は、泌尿器科でも用いられているが、体外からの診断であって、間質性膀胱炎の診断には用いられていない。間質性膀胱炎は、最近になってその存在が明らかになってきた疾患である。潜在患者が多いのにもかかわらず、いまだに確定的な診断方法が見出されていない。
【0005】
間質性膀胱炎は、20−60歳代の女性に多く見られる。その症状は、恥骨上部の痛み、頻尿、尿意切迫感として現れることが多い。典型的な粘膜所見としては、膀胱粘膜に線状に現れる潰瘍である。より軽い症状でも、点出血が膀胱粘膜のかなり広い領域に現れる。一般の炎症は、組織が傷を負って修復するに至るまでに起こる現象である。しかし、間質性膀胱炎では、組織修復が継続する。
【0006】
間質性膀胱炎は、その病像がいまだ明らかになっていないので、統一的な診断基準が提示されていない。間質性膀胱炎の一般的な診断法としては、膀胱鏡による内視検査、水圧拡張による膀胱内観察、炎症部組織を外部に取り出して検査する膀胱生検等がある。しかし、いずれの診断法も簡便正確なものとはいえない。
【0007】
出願人は上記現状に鑑み、「間質性膀胱炎診断用カテーテル」という名称で、電極付きバルーン・カテーテルについての特許出願を行い、2004年5月27日に国際公開番号WO2004/043260号として国際公開され、2007年2月23日に特許第3921221号として登録された。当該間質性膀胱炎診断用カテーテルは、カテーテルの外周面に2つの電極を設け、これら各電極に導線を介して電流知覚閾値検査装置を接続したものである。実際の診断においては、電流間に所定の電流を流し、患者が知覚できる電流値を記録し、その結果から間質性膀胱炎か否かの診断をするものである(特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】国際公開 WO2004/043260号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
間質性膀胱炎の初期の症状は、尿道膀胱の知覚過敏である。従来の簡便な検査方法として、KClを膀胱に注入する方法が広く行われている。しかし、この方法は痛みを誘発し、KCl注入後もその痛みが持続し、低浸襲性検査とは言えない。このKClはC−fiberの充填により減じる間質性膀胱炎に対してより低襲性検査が重要になる。このため、出願人は上記特許文献1に開示される間質性膀胱炎診断用カテーテルを開発した。
【0010】
しかしながら、特許文献1の図6に記載されているカテーテルでは、膀胱から尿道へ続く頸部の診断は可能であるものの、膀胱の内壁などの診断は不可能であった。
また、膀胱内壁を広い範囲にわたって診断する場合には、カテーテル本体の先端部が予め折れ曲がっている必要がある。しかし、最初から折れ曲がっているカテーテルでは、膀胱まで挿入するのが困難であるという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、膀胱の内壁での間質性膀胱炎の診断を簡便正確に行うことができかつ被検者に苦痛を与えない間質性膀胱炎診断用カテーテルを提供することにある。また、膀胱の内壁の広い範囲にわたる部位の診断も可能な間質性膀胱炎診断用カテーテルを提供することにある。
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明では、電流知覚閾値検査装置に接続されて間質性膀胱炎を診断するためのカテーテルであって、軟質可撓材料からなり、膀胱内に留置される先端区分および該先端区分に隣接しかつ基端側にある本体区分を有する円筒状のカテーテル本体と、前記カテーテル本体の先端に設けられた1対の電極と、前記カテーテル本体内に挿入されていて一端が前記電極に接続されかつ他端が該カテーテル本体の基端部から外部に導出されて前記電流知覚閾値検査装置に接続される導線と、を備えている、という構成を採っている。
【0013】
また、請求項2の発明では、前記カテーテル本体の外周面であって前記先端区分と本体区分との境界近傍に設けられるバルーンと、前記カテーテル本体内に形成されていて前記バルーンに連通する流体供給通路と、当該流体供給通路に所定の流体を注入できる注入部とを備えている、という構成を採っている。
【0014】
また、請求項3の発明では、前記バルーンの両端部は前記カテーテル本体の外周面に接着されており、その接着幅は前記カテーテル本体の外周面の周方向に沿って異なっている、という構成を採っている。
【0015】
また、請求項4に発明では、前記バルーンは、カテーテル本体の外周面の周方向に沿って厚さが異なっている、という構成を採っている。
更に、請求項5の発明では、前記カテーテル本体は、外周壁の厚さが周方向に沿って異なっている、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る間質性膀胱炎診断用カテーテルは、カテーテル本体の先端部に電極が設けられているため、膀胱の内壁の診断も可能となる。また、規定量(例えば、2cc〜5cc)の流体をバルーンに注入することでカテーテル本体が折れ曲がり、流体の注入量に応じて折れ曲がり角度の設定(例えば、0°〜40°)ができ、膀胱の内壁の広い範囲にわたる部位の診断が可能となる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[参考例]
本発明に係る間質性膀胱炎診断用カテーテルは、本出願人による特許文献1に開示されているカテーテルを改良したものであるため、参考例として特許文献1のカテーテルについて、図1〜図7に基づいて説明する。
【0018】
先ず、図1−5を参照して間質性膀胱炎診断用カテーテル1の構造について説明する。図1に示すように、間質性膀胱炎診断用カテーテル1は、電流知覚閾値検査装置(CPT装置)4(図6)に接続されて間質性膀胱炎を診断するために使用される。
【0019】
間質性膀胱炎診断用カテーテル1は主として、カテーテル本体11、心材12、伸縮自在バルーン13、1対の電極14、導線15、流体供給通路16からなる。
カテーテル本体11は、軟質可撓材料(例えば、シリコンゴム)からなり、膀胱内留置先端区分Aおよび先端区分Aに隣接しかつ基端側にある診断区分Bを有する。心材12は、硬質可撓材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂)からなり、診断区分までカテーテル本体11内に挿入される。伸縮自在バルーン13は、カテーテル本体11の膀胱内留置先端区分Aの外周に装着される。
【0020】
1対の電極14は、カテーテル本体11の診断区分Bの外周に設けられる。導線15は、心材内に挿入されていて一端が電極44に接続されかつ他端がカテーテル本体11の基端部から外部に導出されて電流知覚閾値検査装置4に接続される。
【0021】
流体供給通路16は、カテーテル本体11内に設けられていて先端がバルーン13の内部に連通し、基端が注入部17に連通する。注入部17からは、流体(例えば、空気、水等)が通路16をかいしてバルーン13に供給されてバルーン13を膨張する。
【0022】
電極14は、図5に示すように、カテーテル本体11の直径方向に離間して設けられるか(A)、カテーテル本体11の軸方向に離間して設けられるか(B)、カテーテル本体11の円周方向に連続したリング状電極が軸方向に離間して設けられる(C)ことが好ましい。
【0023】
次に、図6、7を参照して、カテーテル1を用いた間質性膀胱炎の診断例について説明する。
図6に示すように、カテーテル1を患者の膀胱2内に挿入し、カテーテル1のバルーン13を膨張させ、カテーテル本体11の膀胱留置区分Aを膀胱2内に留置する。このとき、カテーテル本体11の診断区分Bは膀胱2の入口付近の患部に位置する。カテーテル1の基端から延びる導線15を電流知覚閾値検査装置4の入力端子41に接続する。また、電源43および表示部42が装置4に接続される。
【0024】
電流知覚閾値検査装置4からカテーテル1の導線15に所定周波数(5−2000Hz)の微弱な交流電流を流す。電流はカテーテル1の電極14から膀胱2の患部に流れる。患者が通電を意識したときの電流レベルが表示部42に表示される。この通電意識レベルの表示結果の一例を図7に示す。(A)図は正常値を、(B)図は間質性膀胱炎による異常値をそれぞれ表す。この図において、横軸は電極に印加する電流の周波数である。一方、縦軸は電流の印加によって圧迫感、違和感や痛感を感じた人の人数である。間質性膀胱炎の患者は一般的に、健常者と比べて低い周波数の電流を知覚できることが知られている。健常者のデータを示す図7(A)においては、多くの人が17Hz〜21Hzの周波数で圧迫感等を感じている。一方、間質性膀胱炎の患者の場合、5Hz〜9Hzの周波数で圧迫感等を感じている。このことから、特定の患者に対して本発明のカテーテルを用いて診断し、圧迫感等を感じる周波数を検証することにより、高い確率で間質性膀胱炎の患者か否かを特定することが可能となる。
【0025】
[本発明の実施形態]
次に、本発明の一実施形態に係るに、間質性膀胱炎診断用カテーテルについて、図8〜図13に基づいて説明する。尚、特に説明をしない部分については、参考例として記載した間質性膀胱炎診断用カテーテル1と同様であるので、重複した説明は省略する。
【0026】
図8(A)及び(B)に示すように、間質性膀胱炎診断用カテーテル101は主として、カテーテル本体111、心材112、1対の電極114、導線115からなる。
カテーテル本体111は、軟質可撓材料(例えば、シリコンゴム)からなり、膀胱内に挿入される先端区分Aおよび先端区分Aに隣接しかつ基端側にある本体区分Bを有する。心材112は、硬質可撓材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂)からなり、先端区分Aの下端近傍までカテーテル本体111内に挿入される。
【0027】
1対の電極114は、カテーテル本体111の先端区分Aの先端に設けられる。導線115は、心材内に挿入されていて一端が電極114に接続されかつ他端がカテーテル本体111の基端部から外部に導出されて電流知覚閾値検査装置4(図6参照)に接続される。
【0028】
図9(A)は、図8に開示したカテーテル101を膀胱102内に挿入した状態を示している。この図に示すように、カテーテル101はその先端が膀胱102の内壁102aに接触する位置まで挿入される。そして、電流知覚閾値検査装置4からカテーテル101の導線115に所定周波数(5−2000Hz)の微弱な交流電流を流す。電流はカテーテル101の電極114から膀胱2の内壁102aに流れる。患者が通電を意識したときの電流レベルが表示部42(図6参照)に表示される。これにより、参考例で説明したのと同様に、間質性膀胱炎の診断をすることができるようになる。
【0029】
また、図9(B)は図9(A)のカテーテルを改造したカテーテル101aである。この宛ー照る101aは、カテーテル本体の先端に電極が1つ設けられており、もう1つの電極は、CPTに接続されたボディアースとなっている。実際の使用に際しては、診断をする患者の膀胱内にカテーテル101aを挿入すると共に、ボディアースを患者の体の何れかに接触させる。これにより、電極間に閉回路が形成され、図9(A)のカテーテル101と同様に間質性膀胱炎の診断が行える。尚、当該改造は、図10以降に記載されているカテーテルに対しても同様に適用できることは言うまでもないことである。
【0030】
[第2の実施形態]
次に、図10〜図13に基づいて、本発明の第2の実施形態に係る間質性膀胱炎診断用カテーテル201について説明する。本実施形態に係るカテーテル201は、カテーテル本体211の外周面に所定のバルーン213を有する点で、第1の実施形態と異なっている。すなわち、カテーテル本体211の先端区分Aの下端に、カテーテル本体211の外周面を覆うような円筒状のバルーン213が装着されている。バルーン213は、それぞれ上端部と下端部においてカテーテル本体211の外周面に接着剤によって接着されている。そして、その接着幅は円周方向位置によって異なっている。すなわち、図10(A)に示すように、直径方向の一方側(図10(A)における右側)では接着幅W1で接着されている。直径方向の他方側(図10(A)における左側)では接着幅W2で接着されている。換言すると、カテーテル本体211の外周面の周方向に沿って、接着幅がW1からW2に連続的に変化しているということである。
【0031】
また、カテーテル本体211の基端側には注入部217が設けられている。この注入部217は、上記したバルーン213を膨張させるためのものである。さらに、カテーテル本体211を構成する円筒状壁内には、注入部217とバルーン213の内部とを連通する流体供給通路216が形成されている。注入部217からは、流体(例えば、空気、水等)が流体供給通路216を介してバルーン213に供給されてバルーン213を膨張させるようになっている。
【0032】
上記のようなカテーテル201において、注入部217から流体を供給すると、バルーン213が膨張を始める。このとき、バルーン213の接着幅は均一ではないので、図10(B)に示すように、膨張の程度は場所によって異なる。図で示す例では、右側の方が接着幅が広いことから、広い範囲でバルーン213が拘束されており、その結果、右側の方が左側よりも膨張の程度は小さくなっている。ここで、カテーテル本体211は軟質可撓材料で構成されているため、外力によって変形できるようになっている。このように軟質可撓性材料のカテーテル本体211に対して、バルーン213が不均一に膨張するため、カテーテル本体211には不均一な外力が加わる。このため、そのような不均一な外力によって、カテーテル本体211が図10(B)に示すように折れ曲がることとなる。
【0033】
図11は、図10に示すカテーテル201を用いて、膀胱202の内壁を診断している状態を示す図である。図に示すように、カテーテル本体211が折れ曲がっているために、膀胱202の内壁の最上部以外の部位も診断することができるようになる。また、カテーテル本体211を長手方向軸を中心として回転させることにより、広い範囲の診断をすることが可能である。特に、バルーン213内に注入する流体の量(例えば、1cc〜4cc)によって、カテーテル本体211に加わる外力も変化するため、カテーテル本体211が折れ曲がる角度も変化する(例えば、30°〜50°)。これにより、所望の膀胱の内壁の診断が可能となる。このように、流体が注入されていない状態では、カテーテルは折れ曲がっていない。従って、膀胱まで挿入するのが容易である。
【0034】
[変形例1]
図12は、第2の実施形態に係る間質性膀胱炎診断用カテーテルの変形例を示している。当該変形例においては、バルーン313の構造が異なっている。すなわち、バルーン313の厚さが場所によって異なっているのである。図に示すように、バルーン313の右側の厚さT1の方が左側の厚さT2よりも厚くなっている。このため、バルーン313内に流体が注入された場合には、右側よりも左側の方が大きく膨張する。この結果、カテーテル本体311に加わる外力も不均一となり、カテーテル本体311が折れ曲がることとなる。ここで、カテーテル本体311の折れ曲がり角度は、流体の注入量に応じて設定できることが望ましい。具体的には、バルーンへの流体の注入量が例えば1cc〜4ccの間で変化する場合に、折れ曲がり角度が30°〜50程度の間で変化すると好都合である。
【0035】
[変形例2]
図13も、第2の実施形態に係る間質性膀胱炎診断用カテーテルの他の変形例を示している。当該変形例においては、カテーテル本体411の構造が異なっている。すなわち、カテーテル本体411の外周壁の厚さが場所によって異なっているのである。図13に示すように、カテーテル本体411の右側の厚さT1の方が左側の厚さT2よりも薄くなっている。このため、バルーン413内に流体が注入された場合には、左側よりも右側の方が大きく変形する。この結果、バルーン413から加わる外力が均一だとしても、カテーテル本体411が折れ曲がることとなる。
【0036】
図14は、カテーテル本体の側面に電極が設けられたカテーテルを示す図である。このカテーテル501は、膀胱診断用ではなく膣に用いるものである。このため、膀胱診断用のものに比べて太く、また挿入量を規制するための環状のフランジ513を備えている。膀胱診断用のカテーテルで膀胱を診断すると共に、膣用のカテーテルで診断することで、間質性膀胱炎の診断をより精度良く行うことができるようになる
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、構造簡単で安価なカテーテルによって間質性膀胱炎の診断を簡便正確に行うことができる。しかも、被検者に対しては検査中に苦痛を与えない。本発明のカテーテルは、過敏性大腸症候群(Irritable bowel syndrome)の診断にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】参考例として開示する従来の間質性膀胱炎診断用カテーテルの概略縦断面図である。
【図2】図1のII−II線から見たカテーテルの横断面図である。
【図3】図1のIII−III線から見たカテーテルの横断面図である。
【図4】図1のIV−IV線から見たカテーテルの横断面図である。
【図5】図1に開示したカテーテルの電極の各種変更例を示す部分平面図である。
【図6】図1に開示したカテーテルを間質性膀胱炎診断に用いた一例の概略説明図である。
【図7】電流知覚閾値測定装置の表示部に現れた間質性膀胱炎診断結果のグラフであって、(A)は正常値を、(B)は間質性膀胱炎による異常値をそれぞれ表す。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る間質性膀胱炎診断用カテーテルであり、図8(A)は正面図を示し、図8(B)は長手方向断面を示す。
【図9】図9(A)は図8に開示した間質性膀胱炎診断用カテーテルで膀胱の診断をしている状態を示す断面図であり、図9(B)は電極を改造したカテーテルを示す断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る間質性膀胱炎診断用カテーテルの断面図であり、図10(A)はバルーンが膨張していない状態を示し、図10(B)はバルーンが膨張してカテーテル本体が折れ曲がっている状態を示す。
【図11】図10に開示した間質性膀胱炎診断用カテーテルで膀胱の診断をしている状態を示す断面図である。
【図12】第2の実施形態の変形例に係る間質性膀胱炎診断用カテーテルの断面図であり、図12(A)は長手方向断面図であり、図12(B)は図12(A)のB−B線における断面図である。
【図13】第2の実施形態の他の変形例に係る間質性膀胱炎診断用カテーテルの断面図であり、図13(A)は長手方向断面図であり、図13(B)は図13(A)のB−B線における断面図である。
【図14】膣用診断カテーテルを示す正面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 間質性膀胱炎診断用カテーテル
2 膀胱
11 カテーテル本体
13 バルーン
14 電極
16 流体供給通路
17 注入部
101 間質性膀胱炎診断用カテーテル
102 膀胱
111 カテーテル本体
114 電極
115 導線
A 先端区分
B 本体区分
【技術分野】
【0001】
本発明は、間質性膀胱炎診断用カテーテルに関し、さらに詳しく言えば、間質性膀胱炎診断に用いる電極付きカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
電極付きカテーテルは周知であり、神経因性膀胱炎、尿失禁等の診断または治療のために広く用いられている。しかし、このカテーテルが間質性膀胱炎の診断に用いられた例はない。従来の電極付きカテーテルは露出電極が硬く、尿道から膀胱側へ挿入するには適していない。また、カテーテルの位置を固定する目的で、カテーテルの外周面に膨張可能なバルーンが装着されたものもある。
【0003】
近年、抹消神経の異常を診断するために開発された電流知覚閾値検査装置(「CPT」(Current Perception Threshold)検査装置)がある。この検査装置は、皮膚に1対の電極を貼り付け、微弱な交流電流を流し、被検者が知覚できる最低レベル電流刺激量を評価する。このCPT検査装置は、治療効果測定(麻酔科)、障害部位測定(形成外科)、糖尿性末梢神経障害の評価(内科)、知覚神経の定量的評価(神経科)、神経障害によるインポテンツと心因性インポテンツの区別診断(泌尿器科)、外傷および知覚の評価(歯科)、薬理効果の定量測定(薬理学)等に広く利用されている。
【0004】
上記CPT検査装置は、泌尿器科でも用いられているが、体外からの診断であって、間質性膀胱炎の診断には用いられていない。間質性膀胱炎は、最近になってその存在が明らかになってきた疾患である。潜在患者が多いのにもかかわらず、いまだに確定的な診断方法が見出されていない。
【0005】
間質性膀胱炎は、20−60歳代の女性に多く見られる。その症状は、恥骨上部の痛み、頻尿、尿意切迫感として現れることが多い。典型的な粘膜所見としては、膀胱粘膜に線状に現れる潰瘍である。より軽い症状でも、点出血が膀胱粘膜のかなり広い領域に現れる。一般の炎症は、組織が傷を負って修復するに至るまでに起こる現象である。しかし、間質性膀胱炎では、組織修復が継続する。
【0006】
間質性膀胱炎は、その病像がいまだ明らかになっていないので、統一的な診断基準が提示されていない。間質性膀胱炎の一般的な診断法としては、膀胱鏡による内視検査、水圧拡張による膀胱内観察、炎症部組織を外部に取り出して検査する膀胱生検等がある。しかし、いずれの診断法も簡便正確なものとはいえない。
【0007】
出願人は上記現状に鑑み、「間質性膀胱炎診断用カテーテル」という名称で、電極付きバルーン・カテーテルについての特許出願を行い、2004年5月27日に国際公開番号WO2004/043260号として国際公開され、2007年2月23日に特許第3921221号として登録された。当該間質性膀胱炎診断用カテーテルは、カテーテルの外周面に2つの電極を設け、これら各電極に導線を介して電流知覚閾値検査装置を接続したものである。実際の診断においては、電流間に所定の電流を流し、患者が知覚できる電流値を記録し、その結果から間質性膀胱炎か否かの診断をするものである(特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】国際公開 WO2004/043260号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
間質性膀胱炎の初期の症状は、尿道膀胱の知覚過敏である。従来の簡便な検査方法として、KClを膀胱に注入する方法が広く行われている。しかし、この方法は痛みを誘発し、KCl注入後もその痛みが持続し、低浸襲性検査とは言えない。このKClはC−fiberの充填により減じる間質性膀胱炎に対してより低襲性検査が重要になる。このため、出願人は上記特許文献1に開示される間質性膀胱炎診断用カテーテルを開発した。
【0010】
しかしながら、特許文献1の図6に記載されているカテーテルでは、膀胱から尿道へ続く頸部の診断は可能であるものの、膀胱の内壁などの診断は不可能であった。
また、膀胱内壁を広い範囲にわたって診断する場合には、カテーテル本体の先端部が予め折れ曲がっている必要がある。しかし、最初から折れ曲がっているカテーテルでは、膀胱まで挿入するのが困難であるという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、膀胱の内壁での間質性膀胱炎の診断を簡便正確に行うことができかつ被検者に苦痛を与えない間質性膀胱炎診断用カテーテルを提供することにある。また、膀胱の内壁の広い範囲にわたる部位の診断も可能な間質性膀胱炎診断用カテーテルを提供することにある。
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明では、電流知覚閾値検査装置に接続されて間質性膀胱炎を診断するためのカテーテルであって、軟質可撓材料からなり、膀胱内に留置される先端区分および該先端区分に隣接しかつ基端側にある本体区分を有する円筒状のカテーテル本体と、前記カテーテル本体の先端に設けられた1対の電極と、前記カテーテル本体内に挿入されていて一端が前記電極に接続されかつ他端が該カテーテル本体の基端部から外部に導出されて前記電流知覚閾値検査装置に接続される導線と、を備えている、という構成を採っている。
【0013】
また、請求項2の発明では、前記カテーテル本体の外周面であって前記先端区分と本体区分との境界近傍に設けられるバルーンと、前記カテーテル本体内に形成されていて前記バルーンに連通する流体供給通路と、当該流体供給通路に所定の流体を注入できる注入部とを備えている、という構成を採っている。
【0014】
また、請求項3の発明では、前記バルーンの両端部は前記カテーテル本体の外周面に接着されており、その接着幅は前記カテーテル本体の外周面の周方向に沿って異なっている、という構成を採っている。
【0015】
また、請求項4に発明では、前記バルーンは、カテーテル本体の外周面の周方向に沿って厚さが異なっている、という構成を採っている。
更に、請求項5の発明では、前記カテーテル本体は、外周壁の厚さが周方向に沿って異なっている、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る間質性膀胱炎診断用カテーテルは、カテーテル本体の先端部に電極が設けられているため、膀胱の内壁の診断も可能となる。また、規定量(例えば、2cc〜5cc)の流体をバルーンに注入することでカテーテル本体が折れ曲がり、流体の注入量に応じて折れ曲がり角度の設定(例えば、0°〜40°)ができ、膀胱の内壁の広い範囲にわたる部位の診断が可能となる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[参考例]
本発明に係る間質性膀胱炎診断用カテーテルは、本出願人による特許文献1に開示されているカテーテルを改良したものであるため、参考例として特許文献1のカテーテルについて、図1〜図7に基づいて説明する。
【0018】
先ず、図1−5を参照して間質性膀胱炎診断用カテーテル1の構造について説明する。図1に示すように、間質性膀胱炎診断用カテーテル1は、電流知覚閾値検査装置(CPT装置)4(図6)に接続されて間質性膀胱炎を診断するために使用される。
【0019】
間質性膀胱炎診断用カテーテル1は主として、カテーテル本体11、心材12、伸縮自在バルーン13、1対の電極14、導線15、流体供給通路16からなる。
カテーテル本体11は、軟質可撓材料(例えば、シリコンゴム)からなり、膀胱内留置先端区分Aおよび先端区分Aに隣接しかつ基端側にある診断区分Bを有する。心材12は、硬質可撓材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂)からなり、診断区分までカテーテル本体11内に挿入される。伸縮自在バルーン13は、カテーテル本体11の膀胱内留置先端区分Aの外周に装着される。
【0020】
1対の電極14は、カテーテル本体11の診断区分Bの外周に設けられる。導線15は、心材内に挿入されていて一端が電極44に接続されかつ他端がカテーテル本体11の基端部から外部に導出されて電流知覚閾値検査装置4に接続される。
【0021】
流体供給通路16は、カテーテル本体11内に設けられていて先端がバルーン13の内部に連通し、基端が注入部17に連通する。注入部17からは、流体(例えば、空気、水等)が通路16をかいしてバルーン13に供給されてバルーン13を膨張する。
【0022】
電極14は、図5に示すように、カテーテル本体11の直径方向に離間して設けられるか(A)、カテーテル本体11の軸方向に離間して設けられるか(B)、カテーテル本体11の円周方向に連続したリング状電極が軸方向に離間して設けられる(C)ことが好ましい。
【0023】
次に、図6、7を参照して、カテーテル1を用いた間質性膀胱炎の診断例について説明する。
図6に示すように、カテーテル1を患者の膀胱2内に挿入し、カテーテル1のバルーン13を膨張させ、カテーテル本体11の膀胱留置区分Aを膀胱2内に留置する。このとき、カテーテル本体11の診断区分Bは膀胱2の入口付近の患部に位置する。カテーテル1の基端から延びる導線15を電流知覚閾値検査装置4の入力端子41に接続する。また、電源43および表示部42が装置4に接続される。
【0024】
電流知覚閾値検査装置4からカテーテル1の導線15に所定周波数(5−2000Hz)の微弱な交流電流を流す。電流はカテーテル1の電極14から膀胱2の患部に流れる。患者が通電を意識したときの電流レベルが表示部42に表示される。この通電意識レベルの表示結果の一例を図7に示す。(A)図は正常値を、(B)図は間質性膀胱炎による異常値をそれぞれ表す。この図において、横軸は電極に印加する電流の周波数である。一方、縦軸は電流の印加によって圧迫感、違和感や痛感を感じた人の人数である。間質性膀胱炎の患者は一般的に、健常者と比べて低い周波数の電流を知覚できることが知られている。健常者のデータを示す図7(A)においては、多くの人が17Hz〜21Hzの周波数で圧迫感等を感じている。一方、間質性膀胱炎の患者の場合、5Hz〜9Hzの周波数で圧迫感等を感じている。このことから、特定の患者に対して本発明のカテーテルを用いて診断し、圧迫感等を感じる周波数を検証することにより、高い確率で間質性膀胱炎の患者か否かを特定することが可能となる。
【0025】
[本発明の実施形態]
次に、本発明の一実施形態に係るに、間質性膀胱炎診断用カテーテルについて、図8〜図13に基づいて説明する。尚、特に説明をしない部分については、参考例として記載した間質性膀胱炎診断用カテーテル1と同様であるので、重複した説明は省略する。
【0026】
図8(A)及び(B)に示すように、間質性膀胱炎診断用カテーテル101は主として、カテーテル本体111、心材112、1対の電極114、導線115からなる。
カテーテル本体111は、軟質可撓材料(例えば、シリコンゴム)からなり、膀胱内に挿入される先端区分Aおよび先端区分Aに隣接しかつ基端側にある本体区分Bを有する。心材112は、硬質可撓材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂)からなり、先端区分Aの下端近傍までカテーテル本体111内に挿入される。
【0027】
1対の電極114は、カテーテル本体111の先端区分Aの先端に設けられる。導線115は、心材内に挿入されていて一端が電極114に接続されかつ他端がカテーテル本体111の基端部から外部に導出されて電流知覚閾値検査装置4(図6参照)に接続される。
【0028】
図9(A)は、図8に開示したカテーテル101を膀胱102内に挿入した状態を示している。この図に示すように、カテーテル101はその先端が膀胱102の内壁102aに接触する位置まで挿入される。そして、電流知覚閾値検査装置4からカテーテル101の導線115に所定周波数(5−2000Hz)の微弱な交流電流を流す。電流はカテーテル101の電極114から膀胱2の内壁102aに流れる。患者が通電を意識したときの電流レベルが表示部42(図6参照)に表示される。これにより、参考例で説明したのと同様に、間質性膀胱炎の診断をすることができるようになる。
【0029】
また、図9(B)は図9(A)のカテーテルを改造したカテーテル101aである。この宛ー照る101aは、カテーテル本体の先端に電極が1つ設けられており、もう1つの電極は、CPTに接続されたボディアースとなっている。実際の使用に際しては、診断をする患者の膀胱内にカテーテル101aを挿入すると共に、ボディアースを患者の体の何れかに接触させる。これにより、電極間に閉回路が形成され、図9(A)のカテーテル101と同様に間質性膀胱炎の診断が行える。尚、当該改造は、図10以降に記載されているカテーテルに対しても同様に適用できることは言うまでもないことである。
【0030】
[第2の実施形態]
次に、図10〜図13に基づいて、本発明の第2の実施形態に係る間質性膀胱炎診断用カテーテル201について説明する。本実施形態に係るカテーテル201は、カテーテル本体211の外周面に所定のバルーン213を有する点で、第1の実施形態と異なっている。すなわち、カテーテル本体211の先端区分Aの下端に、カテーテル本体211の外周面を覆うような円筒状のバルーン213が装着されている。バルーン213は、それぞれ上端部と下端部においてカテーテル本体211の外周面に接着剤によって接着されている。そして、その接着幅は円周方向位置によって異なっている。すなわち、図10(A)に示すように、直径方向の一方側(図10(A)における右側)では接着幅W1で接着されている。直径方向の他方側(図10(A)における左側)では接着幅W2で接着されている。換言すると、カテーテル本体211の外周面の周方向に沿って、接着幅がW1からW2に連続的に変化しているということである。
【0031】
また、カテーテル本体211の基端側には注入部217が設けられている。この注入部217は、上記したバルーン213を膨張させるためのものである。さらに、カテーテル本体211を構成する円筒状壁内には、注入部217とバルーン213の内部とを連通する流体供給通路216が形成されている。注入部217からは、流体(例えば、空気、水等)が流体供給通路216を介してバルーン213に供給されてバルーン213を膨張させるようになっている。
【0032】
上記のようなカテーテル201において、注入部217から流体を供給すると、バルーン213が膨張を始める。このとき、バルーン213の接着幅は均一ではないので、図10(B)に示すように、膨張の程度は場所によって異なる。図で示す例では、右側の方が接着幅が広いことから、広い範囲でバルーン213が拘束されており、その結果、右側の方が左側よりも膨張の程度は小さくなっている。ここで、カテーテル本体211は軟質可撓材料で構成されているため、外力によって変形できるようになっている。このように軟質可撓性材料のカテーテル本体211に対して、バルーン213が不均一に膨張するため、カテーテル本体211には不均一な外力が加わる。このため、そのような不均一な外力によって、カテーテル本体211が図10(B)に示すように折れ曲がることとなる。
【0033】
図11は、図10に示すカテーテル201を用いて、膀胱202の内壁を診断している状態を示す図である。図に示すように、カテーテル本体211が折れ曲がっているために、膀胱202の内壁の最上部以外の部位も診断することができるようになる。また、カテーテル本体211を長手方向軸を中心として回転させることにより、広い範囲の診断をすることが可能である。特に、バルーン213内に注入する流体の量(例えば、1cc〜4cc)によって、カテーテル本体211に加わる外力も変化するため、カテーテル本体211が折れ曲がる角度も変化する(例えば、30°〜50°)。これにより、所望の膀胱の内壁の診断が可能となる。このように、流体が注入されていない状態では、カテーテルは折れ曲がっていない。従って、膀胱まで挿入するのが容易である。
【0034】
[変形例1]
図12は、第2の実施形態に係る間質性膀胱炎診断用カテーテルの変形例を示している。当該変形例においては、バルーン313の構造が異なっている。すなわち、バルーン313の厚さが場所によって異なっているのである。図に示すように、バルーン313の右側の厚さT1の方が左側の厚さT2よりも厚くなっている。このため、バルーン313内に流体が注入された場合には、右側よりも左側の方が大きく膨張する。この結果、カテーテル本体311に加わる外力も不均一となり、カテーテル本体311が折れ曲がることとなる。ここで、カテーテル本体311の折れ曲がり角度は、流体の注入量に応じて設定できることが望ましい。具体的には、バルーンへの流体の注入量が例えば1cc〜4ccの間で変化する場合に、折れ曲がり角度が30°〜50程度の間で変化すると好都合である。
【0035】
[変形例2]
図13も、第2の実施形態に係る間質性膀胱炎診断用カテーテルの他の変形例を示している。当該変形例においては、カテーテル本体411の構造が異なっている。すなわち、カテーテル本体411の外周壁の厚さが場所によって異なっているのである。図13に示すように、カテーテル本体411の右側の厚さT1の方が左側の厚さT2よりも薄くなっている。このため、バルーン413内に流体が注入された場合には、左側よりも右側の方が大きく変形する。この結果、バルーン413から加わる外力が均一だとしても、カテーテル本体411が折れ曲がることとなる。
【0036】
図14は、カテーテル本体の側面に電極が設けられたカテーテルを示す図である。このカテーテル501は、膀胱診断用ではなく膣に用いるものである。このため、膀胱診断用のものに比べて太く、また挿入量を規制するための環状のフランジ513を備えている。膀胱診断用のカテーテルで膀胱を診断すると共に、膣用のカテーテルで診断することで、間質性膀胱炎の診断をより精度良く行うことができるようになる
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、構造簡単で安価なカテーテルによって間質性膀胱炎の診断を簡便正確に行うことができる。しかも、被検者に対しては検査中に苦痛を与えない。本発明のカテーテルは、過敏性大腸症候群(Irritable bowel syndrome)の診断にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】参考例として開示する従来の間質性膀胱炎診断用カテーテルの概略縦断面図である。
【図2】図1のII−II線から見たカテーテルの横断面図である。
【図3】図1のIII−III線から見たカテーテルの横断面図である。
【図4】図1のIV−IV線から見たカテーテルの横断面図である。
【図5】図1に開示したカテーテルの電極の各種変更例を示す部分平面図である。
【図6】図1に開示したカテーテルを間質性膀胱炎診断に用いた一例の概略説明図である。
【図7】電流知覚閾値測定装置の表示部に現れた間質性膀胱炎診断結果のグラフであって、(A)は正常値を、(B)は間質性膀胱炎による異常値をそれぞれ表す。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る間質性膀胱炎診断用カテーテルであり、図8(A)は正面図を示し、図8(B)は長手方向断面を示す。
【図9】図9(A)は図8に開示した間質性膀胱炎診断用カテーテルで膀胱の診断をしている状態を示す断面図であり、図9(B)は電極を改造したカテーテルを示す断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る間質性膀胱炎診断用カテーテルの断面図であり、図10(A)はバルーンが膨張していない状態を示し、図10(B)はバルーンが膨張してカテーテル本体が折れ曲がっている状態を示す。
【図11】図10に開示した間質性膀胱炎診断用カテーテルで膀胱の診断をしている状態を示す断面図である。
【図12】第2の実施形態の変形例に係る間質性膀胱炎診断用カテーテルの断面図であり、図12(A)は長手方向断面図であり、図12(B)は図12(A)のB−B線における断面図である。
【図13】第2の実施形態の他の変形例に係る間質性膀胱炎診断用カテーテルの断面図であり、図13(A)は長手方向断面図であり、図13(B)は図13(A)のB−B線における断面図である。
【図14】膣用診断カテーテルを示す正面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 間質性膀胱炎診断用カテーテル
2 膀胱
11 カテーテル本体
13 バルーン
14 電極
16 流体供給通路
17 注入部
101 間質性膀胱炎診断用カテーテル
102 膀胱
111 カテーテル本体
114 電極
115 導線
A 先端区分
B 本体区分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流知覚閾値検査装置に接続されて間質性膀胱炎を診断するためのカテーテルであって、
軟質可撓材料からなり、膀胱内に留置される先端区分および該先端区分に隣接しかつ基端側にある本体区分を有する円筒状のカテーテル本体と、
前記カテーテル本体の先端に設けられた少なくとも1つの電極と、
前記カテーテル本体内に挿入されていて一端が前記電極に接続されかつ他端が該カテーテル本体の基端部から外部に導出されて前記電流知覚閾値検査装置に接続される導線と、
を備えている間質性膀胱炎診断用カテーテル。
【請求項2】
前記カテーテル本体の外周面であって前記先端区分と本体区分との境界近傍に設けられるバルーンと、前記カテーテル本体内に形成されていて前記バルーンに連通する流体供給通路と、当該流体供給通路に所定の流体を注入できる注入部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の間質性膀胱炎診断用カテーテル。
【請求項3】
前記バルーンの両端部は前記カテーテル本体の外周面に接着されており、その接着幅は前記カテーテル本体の外周面の周方向に沿って異なっていることを特徴とする、請求項2に記載の間質性膀胱炎診断用カテーテル。
【請求項4】
前記バルーンは、カテーテル本体の外周面の周方向に沿って厚さが異なっていることを特徴とする、請求項2に記載の間質性膀胱炎診断用カテーテル。
【請求項5】
前記カテーテル本体は、外周壁の厚さが周方向に沿って異なっていることを特徴とする、請求項2〜4の何れか一項に記載の間質性膀胱炎診断用カテーテル。
【請求項1】
電流知覚閾値検査装置に接続されて間質性膀胱炎を診断するためのカテーテルであって、
軟質可撓材料からなり、膀胱内に留置される先端区分および該先端区分に隣接しかつ基端側にある本体区分を有する円筒状のカテーテル本体と、
前記カテーテル本体の先端に設けられた少なくとも1つの電極と、
前記カテーテル本体内に挿入されていて一端が前記電極に接続されかつ他端が該カテーテル本体の基端部から外部に導出されて前記電流知覚閾値検査装置に接続される導線と、
を備えている間質性膀胱炎診断用カテーテル。
【請求項2】
前記カテーテル本体の外周面であって前記先端区分と本体区分との境界近傍に設けられるバルーンと、前記カテーテル本体内に形成されていて前記バルーンに連通する流体供給通路と、当該流体供給通路に所定の流体を注入できる注入部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の間質性膀胱炎診断用カテーテル。
【請求項3】
前記バルーンの両端部は前記カテーテル本体の外周面に接着されており、その接着幅は前記カテーテル本体の外周面の周方向に沿って異なっていることを特徴とする、請求項2に記載の間質性膀胱炎診断用カテーテル。
【請求項4】
前記バルーンは、カテーテル本体の外周面の周方向に沿って厚さが異なっていることを特徴とする、請求項2に記載の間質性膀胱炎診断用カテーテル。
【請求項5】
前記カテーテル本体は、外周壁の厚さが周方向に沿って異なっていることを特徴とする、請求項2〜4の何れか一項に記載の間質性膀胱炎診断用カテーテル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−268(P2009−268A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163554(P2007−163554)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(591129025)株式会社塚田メディカル・リサーチ (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(591129025)株式会社塚田メディカル・リサーチ (8)
【Fターム(参考)】
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