説明

防塵カバー付伸縮管継手

【課題】伸縮管継手内部への外部からの異物の侵入を防ぐと共に、異物により摺動部分が傷付いて流体漏れが発生することを防止し円滑な伸縮作動を行うことができる防塵カバー付伸縮管継手を提供する。
【解決手段】一方に配管接続部4が設けられ、内部に流路5を有し他方に開口部6を有する本体1と、内部に流路7を有し、本体1の内周に水密状態で摺動可能に嵌合された鍔状のスライド部8と、スライド部8の摺動により本体1の開口部6から突出可能に設定され、かつ、先端部に配管接続部9が設けられた管部10とを有するスライド用短管2と、本体1の開口部6の端面に配置され、管部10と嵌合しているストッパ部3とを具備するカバー付伸縮管継手において、前記管接続部9の端部に伸縮性を有する防塵カバー11を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学工場、上下水道、農・水産業、食品分野などの各種産業の配管ラインに使用される、主としてプラスチック製の防塵カバー付伸縮管継手に関するものであり、さらに詳しくは、外部からの伸縮管継手内部への異物の侵入を防ぐことにより、摺動部分の損傷を防ぎ、そこからの流体漏れが発生することを防止し、円滑な伸縮作動を行うことができる防塵カバー付伸縮管継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配管の管路の伸縮による応力を吸収させる継手として、図3に示すような伸縮継手が用いられていた(例えば、特許文献1参照)。その構成は、継手本体111の一方の端部から接続スリーブ112が挿入され、接続スリーブ112の端部外周面には継手本体111の内面に摺動可能な外面を有する接収部113がやや拡径して形成され、接収部113に装着されるシールリング114によって、接続スリーブ112と継手本体111とがシールされており、継手本体111の一方端部には継手本体111から接続スリーブ112が抜けるのを防止する袋ナット115が螺合され、継手本体111の他方端部には袋ナット116によって受口117が挟持され、継手本体111の端面に装着されるシールリング118によって継手本体111と受口管117とがシールされているものであり、かつ継手本体111および接続スリーブ112の互いに摺接する部分が金属で形成されたものであった。そして、その効果は、クリープの発生を防止でき摺動性の低下を防止できるものであった。
【0003】
しかしながら、前記伸縮継手には、接続スリーブ112と袋ナット115との間に隙間119があり、隙間119から継手本体111内に侵入した異物が継手本体111と接続スリーブ112の摺動部分に堆積することによって、伸縮作動の際に接続スリーブ112が動きにくくなったり、固着するなどの作動不良が起こる恐れがあるという問題があった。また、隙間119から侵入した異物が継手本体111内周面や接続スリーブ112の接収部113外周面やシールリング114を傷付けると、傷付いた部分から流体漏れが発生する恐れがあるという問題があった。
【0004】
このような隙間119からの異物の侵入や堆積を防ぐためには、隙間119周辺を定期的に掃除したり、接続スリーブ112側(図3では右側)を下に向けて配管を施工する方法が考えられる。しかし、前者は掃除の手間がわずらわしく、作業者によっては掃除を怠る恐れがあり、狭隘な設置現場では掃除ができないことがあるという問題があった。後者は伸縮継手が海岸や温泉地などの環境に設置されていると、海水や温泉水に溶け込んだ成分が気温差などの影響により伸縮継手の周囲に難溶性の物質を析出することがあり、下に向けただけでは析出物の侵入や堆積を防げず、結局は掃除が必要になってしまうという問題があった。
【0005】
上記の問題を解決するためには、図4に示すような防塵カバーを用いる方法があった(例えば、特許文献2参照)。その構成は、両端に自在継手部217を有し、これらの間に長さ調節部を有した連結部材211と一定間隔を隔てて互いに向き合う2つの配管212の端部同士との連結部分を被覆可能な筒状のカバー本体213を設け、カバー本体213の両端部に締結して配管212に対する被覆状態を保持する保護部材214と締結バンド215からなる固定手段216を備えたものであった。また、カバー本体213は伸縮性を有するゴム製の芯材と、芯材の両面に張り合わせる伸縮可能な保護シートとで形成されるものであった。その効果は、カバー本体213で連結部材211と配管212の連結部分を被覆するので、連結部材211の表面や配管212との連結部分に水が溜まらないため、錆を防止して連結部材211の耐久性の向上を図ることができるものであった。また、カバー本体213を筒状に形成しているので、両端部に固定手段216を備えるだけで気密性、水密性を有した固定が容易にできるというものであった。
【0006】
【特許文献1】実開平5−59084号公報
【特許文献2】特開平11−94186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図4に示される従来の防塵カバーは、両端に自在継手部217を有し、これらの間に長さ調節部を有した連結部材211と、互いに向き合う2つの配管212の端部同士との連結部を被覆するものであるため、連結部材211全体を被覆する必要性があった。そのため、カバー本体213を設置する際に種々の問題があった。まず、カバー本体213は連結部材211施工後に装着されるためカバー本体213を装着する工程が増えた。また、カバー本体213の長さは施工後の連結部材211の面間に合わせる必要があり、施工現場で長さを調節しなければならなかった。また、カバー本体213は、連結部材211を覆った状態で配管212に設けられた保護部材214の内面に嵌め込み、締結バンド215で固定するので、連結部材211の最大径にあわせて製作されたカバー本体213の端部を配管212の外周と保護部材214(配管212と略同径の内径を有する)の内周との間に挿通させなければならず、外径の大きい自在継手部217を有する連結部材211にカバー本体213を固定することが困難であった。これらのことから、施工作業が煩雑で余計な手間が増え、施工時間が多くかかるという問題があった。また、カバー本体213装着後に連結部材211の自在継手部217の屈曲作動や伸縮作動を行うと、それに合わせてカバー本体213が弾性的に伸縮するが、屈曲作動や伸縮作動に対してカバー本体213が伸びてテンションのかかった状態の部分が屈曲や伸縮に反発する方向に力がかかるため、屈曲部や伸縮部の本来の作動機能が低下してしまうという問題があった。また、カバー本体213が伸びてテンションのかかった状態の部分はカバー本体213の通常時と比較して肉厚が薄くなるため、外部からの衝撃などにより破損しやすくなり、また長期使用によりカバー本体213の材質が劣化して伸縮機能が低下し、テンションがかかると破損しやすくなる問題があり、破損すると破損箇所から連結部材211内に異物が侵入するという問題があった。
【0008】
本発明は、以上のような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、伸縮管継手内部への外部からの異物の侵入を防ぐと共に、異物により摺動部分が傷付いて流体漏れが発生することを防止し円滑な伸縮作動を行うことができる防塵カバー付伸縮管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の構成を図を参照して説明すると、一方に配管接続部4が設けられ、内部に流路5を有し他方に開口部6を有する本体1と、内部に流路7を有し、本体1の内周に水密状態で摺動可能に嵌合された鍔状のスライド部8と、該スライド部8の外径より小さい外径を有し、スライド部8の摺動により本体1の開口部6から突出可能に設定され、かつ、先端部に配管接続部9が設けられた管部10とを有するスライド用短管2と、前記本体1の開口部6の端面に配置され、前記スライド部8の外径より小さく、かつ前記管部10の外径より大きい内径を有し、該管部10と嵌合しているストッパ部3とを具備するカバー付伸縮管継手において、前記管接続部9の端部に伸縮性を有する防塵カバー11が固定され、かつ、防塵カバー11が本体1から突出した管部10を常に覆うように設けられていることを第一の特徴とする。
【0010】
前記防塵カバー11の形状が、蛇腹状、笠状または筒状のいずれかであることを第二の特徴とする。
【0011】
前記本体1の配管接続部4の端面に水密状態で配置される鍔付短管12と、本体1に螺着されるキャップナット13、14をさらに具備し、前記ストッパ部3がキャップナット13により本体1の開口部6の端面に固定され、また、鍔付短管12が他のキャップナット14により本体1の配管接続部4の端面に固定されていることを第三の特徴とする。
【0012】
前記ストッパ部3が前記キャップナット13と一体的に設けられていることを第四の特徴とする。
【0013】
本発明において、防塵カバー11とは、伸縮管継手の内部(本体1内周とスライド用短管2外周との間の隙間)に塵、埃、泥、砂などの外部からの異物の進入を防止させるものである。また、防塵カバー11の形状における蛇腹状とは山折りとなった山部と谷折りとなった谷部が連続して形成された筒状のものであればよい。また、筒状または笠状の場合、単体の筒または笠でもよく、複数の筒または笠を重ねて連結して設けてもよい。
【0014】
本発明において、鍔付短管12およびスライド用短管2の各管接続部9、23と配管との接続は、ソケット接続、ねじ接続、フランジ接続、突合せ接続のいずれでもよく、特に限定されない。
【0015】
また、本発明において防塵カバー付伸縮管継手の本体1の形状は、継手の伸縮作動の妨げにならなければ、チーズ、多方継手、エルボ、ベンド、またはソケットのいずれかのタイプにしても良い。
【0016】
また、本発明において、本体1、スライド用短管2、ストッパ部3、鍔付短管12、キャップナット13、14の材質は金属のほか、必要物性を満たしていれば、ポリ塩化ビニル樹脂(以下、PVCと記す)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリプロピレン(以下、PPと記す)、ポリエチレン(以下、PEと記す)、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などの合成樹脂が好適なものとして挙げられ、特に限定されない。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以上のような構造をしており、以下の優れた効果が得られる。
(1) 防塵カバーによって伸縮管継手内部への外部からの異物の侵入を防ぐことができ、異物侵入による作動不良や、シール部分を損傷させることがなくなり、流体漏れが防止され、円滑な伸縮作動を維持することができる。
(2) あらかじめ防塵カバーが装着されているので、施工現場で防塵カバーを取付ける工程が不要であり、施工手間が省かれ、施工時間を短縮することができる。
(3) 防塵カバーが蛇腹状、笠状、筒状なので防塵カバー付伸縮管継手の全長が最大になって防塵カバーが伸びた状態でも防塵カバーの厚みは一定に保持されるので、外部からの衝撃に対して破損の心配はない。
(4) 防塵カバーの伸縮管継手への着脱が容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明が本実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0019】
図1は本発明の第一の実施形態である防塵カバー付伸縮管継手を示す縦断面図、図2は本発明の第二の実施形態である防塵カバー付伸縮管継手を示す縦断面図である。
【0020】
以下、図1に基づいて本発明の第一の実施形態である防塵カバー付伸縮管継手について説明する。1はPVC製の中空円筒状の本体であり、内部に流路5が形成されている。本体1の一端部には後記鍔付短管12が接続される配管接続部4が設けられている。配管接続部4の外周には後記キャップナット14が螺着される雄ねじ部が形成され、その端面にはシール部材を装着するための環状溝が設けられている。本体1の他端部は開口部6となっており、後記スライド用短管2がここから挿嵌される。
【0021】
2はPVC製のスライド用短管であり、本体1の開口部6から突出可能に設けられた管部10と、管部10の一端部に設けられた外周が本体1の流路5と略同径となる鍔状のスライド部8を有している。スライド部8の外周面には環状溝が設けられ、環状溝にはシールリングが装着され、本体1の流路5の内周面に対しスライド部8が水密状態で摺動可能に設けられている。この構成により本体1の流路5の内周面と管部10との間に形成される空隙に流体の侵入が防止されるため、流体が本体開口部6から流出することが防止される。管部10の他端部には、他の配管が接続される管接続部9が設けられており、また、スライド用短管2の内部には前記本体1の流路5と連通する流路7が設けられている。
【0022】
3はPVC製の鍔付短管形状のストッパ部であり、スライド用短管2が本体1から抜け出るのを防止するものである。その内周はスライド用短管2のスライド部8の外径より小さく、管部10の外径より大きく形成され、本体1の開口部6の外周に螺着される後記キャップナット13により、ストッパ部3の鍔部が本体1の開口部6の端面に挟持固定されている。なお、本実施形態ではストッパ部3は鍔付短管形状となっているが、スライド用短管2が本体1から抜け出るのを防止できる形状であれば特に限定されず、半割となった鍔付短管形状でもよく、円環形状でもよい。また、部品点数を減らすためにキャップナット13と一体的に設けても良い。
【0023】
11はPP製の山部と谷部が連続して設けられた蛇腹状の防塵カバーである。防塵カバー11の一端はスライド用短管2の管接続部9の外径と略同径の内周面を有し、後記締結バンド15によって管接続部9の端部外周に固定され、他端はストッパ部3の後記キャップナット13から露出した部分の外径と略同径の内周面を有し、後記締結バンド15によってストッパ部3の同部分に固定されている。また、本実施形態では、防塵カバー11の端部は管接続部9とストッパ部3に固定されているが、管部10の外周と、ストッパ部3とスライド用短管2の隙間を覆うことができればストッパ部3に限定されず、後記キャップナット13または本体1のいずれに固定されてもよく、特に限定されない。防塵カバー11の材質としては、繰り返し曲げ特性に優れ、丈夫で軽量なものが良く、例えば、PP、PE、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などの合成樹脂が好適なものとして挙げられるが、エチレンプロピレンジエンターポリマー、フッ素ゴムなどのゴム製の弾性体や前記材質と金属や繊維などとの複合材料などでもよく、特に限定されない。
【0024】
12はPVC製の鍔付短管であり、一端部に他の配管が接続される管接続部23が設けられ、他端部には前記本体1の開口部16と略同径の流路が設けられている。本体1の配管接続部4の外周に螺着される後記キャップナット14と鍔部で係合することにより鍔付短管12の鍔部が本体1の開口部16の端面に挟持固定されている。
【0025】
13、14はPVC製のキャップナットであり、一方の端部内周に本体1の両端部外周に設けられた雄ねじ部に螺着される雌ねじ部が設けられており、もう一方の端部には内周側方向へ突出する内鍔部が設けられている。
【0026】
15はステンレス製の締結バンドであり、帯状のバンドと締め付け部から構成され、防塵カバー11の端部外周に装着して締め付けることにより防塵カバー11を前記位置に固定する。なお、本実施形態では、防塵カバー11の固定に締結バンド15が使用されているが、防塵カバー11が固定できれば接着、溶着、または差込式などの方法でもよく、特に限定されない。また、本実施形態では、ステンレス製の締結バンド15を使用しているが、防塵カバー11の固定ができれば合成樹脂製やゴム製の締結バンドでもよく特に限定されない。
【0027】
次に防塵カバー11の伸縮管継手への装着方法について説明する。
まず、伸縮管継手を組み立てた後、ストッパ部3から突出した管部10に、予め両端部に締結バンド15を各々装着した防塵カバー11をかぶせる。次に、防塵カバー11の一端を管接続部9の端部外周に、他端をストッパ部3のキャップナット13から突出した部分の外周に位置を合わせ、各々の締結バンド15を締め付けることによって防塵カバー11を伸縮管継手に固定する。このとき、防塵カバー11の所定の固定位置に標線や嵌合溝または突起などの目印を設けておくと防塵カバー11の位置決めが容易となり、装着時間の短縮ができる。防塵カバー11の両端の内径は防塵カバー11を固定する部位の外径と略同径となっているため、防塵カバー11を伸縮管継手に装着する際に、防塵カバー11の端部を拡径したり縮径したりする必要がなく、装着が容易である。
【0028】
次に本実施形態の作用について説明する。防塵カバー付伸縮管継手に接続されている配管(図示せず)が、流体の温度や気温の上昇などによって、軸方向に膨張した時、スライド用短管2のスライド部8の外周面が本体1の流路5の内周面と水密状態で摺動しながら、配管の熱膨張分だけ相対的に内部側に移動する。これにより配管の熱膨張による応力を防塵カバー付伸縮管継手で吸収することができる。このとき、防塵カバー11は蛇腹の山部の底辺を狭めるようにして防塵カバー11の全長を縮め、スライド用短管2の作動に追随する。また、配管が前記とは逆に温度の低下により収縮した時には、熱膨張のときとは反対に作用してスライド用短管2が収縮分だけ相対的に外側に移動して、配管の収縮による応力を吸収することができる。このとき、防塵カバー11も配管の熱膨張のときとは反対に作用して蛇腹の山部の底辺を広げるようにして防塵カバー11の全長を伸ばし、スライド用短管2の作動に追随する。なお、防塵カバー付伸縮管継手の伸縮するストロークはスライド用短管2のスライド部8端面が本体1の流路5の端面に当接する位置が最短となり、スライド部8の管部側端面がストッパ部3に当接する位置が最長となる。
【0029】
以上の説明からわかるように、本発明の防塵カバー付伸縮管継手は、防塵カバー11によって伸縮管継手のスライド用短管2とストッパ部3の隙間とストッパ部3から突出したスライド用短管2の管部10を覆うものであり、特に水密状態で摺動する箇所への異物の侵入を防ぐため、水や泥水の飛散が多い設置環境や、塵や埃の多い設置環境で好適に使用することができる。そのため異物の侵入による作動不良や、従来のような侵入した異物によるシールリングの損傷が原因となる流体漏れを防ぐことができる。また、防塵カバー11を伸縮管継手に装着した状態で製品として出荷することができるので、施工現場で防塵カバー11を取付ける工程が不要となり、施工手間を省き、施工時間を短縮することができる。また、防塵カバー11が蛇腹状になっていると、スライド用短管2のストロークに追従するように防塵カバー11の蛇腹の山部の底辺を広げたり狭めたりすることで伸縮するため、防塵カバー11に伸縮管継手の伸縮に反発するテンションがかからないので伸縮管継手の本来の機能を低下させることがない。また、蛇腹状であれば防塵カバー付伸縮管継手が最大限に伸ばされたときでも防塵カバー11の厚みは一定に保持されるので、外部からの衝撃に対して心配する必要がない。
【0030】
次に、図2に基づいて本発明の第二の実施形態である防塵カバー付伸縮管継手について説明する。本実施形態では第一の実施形態と同じ構成要素については同一符号を付して示す。
【0031】
17はPE製の筒状の防塵カバーであり、主短管21と、主短管21に挿入される複数の短管(第一〜第四短管18、19、2425)とから構成され、径の大きい短管に径の小さい該短管が連続して収納されるようになっている。防塵カバー17の一端となる最小の径の第一短管18の一端部はスライド用短管2の管接続部9の外径と略同径の内周面を有し、締結バンド15によって管接続部9の端部外周に固定され、一方、他端となる主短管21の端部はストッパ部3のキャップナット13から露出した部分の外径と略同径の内周面を有し、締結バンド15によってストッパ部3の同部分に固定されている。第一〜第四短管18、19、24、25の両端部外周には環状突起が形成され、主短管と第二〜第四短管19、24、25の管接続部9側(図2の右側)の一端部内周には環状突起が形成され、隣り合う該短管の外周の環状突起と内周の環状突起が係合可能に設けられている。また、該環状突起と、該短管の外周面または内周面は摺動可能に設けられ、防塵カバー17は軸線方向に伸縮可能となっている。
【0032】
なお、本実施形態では、防塵カバー17の端部は管接続部9とストッパ部3に固定されているが、管部10の外周と、ストッパ部3とスライド用短管2の隙間を覆うことができればストッパ部3に限定されず、キャップナット13または本体1のいずれに固定されてもよく、特に限定されない。また、本実施形態では防塵カバー17は筒状をしているが、笠状でもよく、特に限定されない。防塵カバー17の材質としては摺動特性に優れ、丈夫で軽量なものが良く、例えば、PE、ポリアセタール、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などの合成樹脂が好適なものとして挙げられる。
【0033】
本体1、スライド用短管2、ストッパ部3、キャップナット13、14、鍔付短管12、締結バンド15の構成は前記第一の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0034】
次に防塵カバー17の伸縮管継手への装着方法について説明する。
伸縮管継手を組み立てた後、ストッパ部3から突出した管部10に、予め両端部に締結バンド15を各々装着した防塵カバー17をかぶせ、防塵カバー17の一端を管接続部9の端部外周に、他端をストッパ部3のキャップナット13から突出した部分の外周に位置を合わせ、各々の締結バンド15を締め付けることによって防塵カバー17を固定する。このとき、所定の固定位置に標線や嵌合溝または突起などの目印を設けておくと防塵カバー17の位置決めが容易となり装着時間の短縮できる。防塵カバー17の両端の内径は防塵カバー17を固定する部位の外径と略同径であるため、防塵カバー17を伸縮管継手に装着する際に端部を拡径したり縮径したりする必要がなく、装着が容易である。
【0035】
次に本実施形態の作用について説明する。第一の実施形態と同様にカバー付伸縮管継手に接続されている配管(図示せず)が、流体の温度や気温の上昇などによって、軸方向に膨張すると、スライド用短管2が配管の熱膨張分だけ相対的に内部側に移動する。このとき防塵カバー17は、複数の短管18、19、21、24、25のうち、まずスライド用短管2に固定された第一短管18がスライド用短管2に追随して第二短管19に収納される。そして、第一短管18の固定された側の一端部外周の環状突起20が第二短管19内周の環状突起26に係合すると、第二短管19は第一短管18に連動して第三短管24に収納されるようにスライドする。伸縮管継手がさらに短くなると、同様に第三短管24が第四短管25に、第四短管25が主短管21に収納されるようにスライドする。また、配管が前記とは逆に温度の低下により収縮した時には、熱膨張のときとは反対に作用してスライド用短管2が収縮分だけ相対的に外側に移動してカバー付伸縮管継手を長くさせる。このとき、防塵カバー17も配管の熱膨張のときとは反対に作用する。すなわち、第一短管18がスライド用短管2に追随して防塵カバー17内から相対的に引き出され、第一短管18の固定されない側の他端部外周の環状突起22が第二短管19内周の環状突起26に係合すると、第一短管18に連動して防塵カバー17内から相対的に引き出される。さらにスライド用短管2が長くなると、同様に第三、第四短管24、25が追随して引き出される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第一の実施形態である防塵カバー付伸縮管継手を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第二の実施形態である防塵カバー付伸縮管継手を示す縦断面図である。
【図3】従来の伸縮継手を示す縦断面図である。
【図4】従来のカバー本体が装着された連結部材を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1・・・本体
2・・・スライド用短管
3・・・ストッパ部
4・・・配管接続部
5・・・流路
6・・・開口部
7・・・流路
8・・・スライド部
9・・・管接続部
10・・・管部
11・・・防塵カバー
12・・・鍔付短管
13・・・キャップナット
14・・・キャップナット
15・・・締結バンド
16・・・開口部
17・・・防塵カバー
18・・・第一短管
19・・・第二短管
20・・・環状突起
21・・・主短管
22・・・環状突起
23・・・管接続部
24・・・第三短管
25・・・第四短管
26・・・環状突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方に配管接続部(4)が設けられ、内部に流路(5)を有し、他方に開口部(6)を有する本体(1)と、内部に流路(7)を有し、本体(1)の内周に水密状態で摺動可能に嵌合された鍔状のスライド部(8)と、該スライド部(8)の外径より小さい外径を有し、スライド部(8)の摺動により本体(1)の開口部(6)から突出可能に設定され、かつ、先端部に管接続部(9)が設けられた管部(10)とを有するスライド用短管(2)と、前記本体(1)の開口部(6)の端面に配置され、前記スライド部(8)の外径より小さく、かつ前記管部(10)の外径より大きい内径を有し、該管部(10)と嵌合しているストッパ部(3)とを具備する防塵カバー付伸縮管継手において、前記管接続部(9)の端部に伸縮性を有する防塵カバー(11)が固定され、かつ、防塵カバー(11)が本体(1)から突出した管部(10)を常に覆うように設けられていることを特徴とする防塵カバー付伸縮管継手。
【請求項2】
前記防塵カバー(11)の形状が、蛇腹状、笠状または筒状のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の防塵カバー付伸縮管継手。
【請求項3】
前記本体(1)の配管接続部(4)の端面に水密状態で配置される鍔付短管(12)と、本体(1)に螺着されるキャップナット(13、14)をさらに具備し、前記ストッパ部(3)がキャップナット(13)により本体(1)の開口部(6)の端面に固定され、また、鍔付短管(12)が他のキャップナット(14)により本体(1)の配管接続部(4)の端面に固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防塵カバー付伸縮管継手。
【請求項4】
前記ストッパ部(3)が前記キャップナット(13)と一体的に設けられていることを特徴とする請求項3記載の防塵カバー付伸縮管継。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−58018(P2009−58018A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224615(P2007−224615)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000117102)旭有機材工業株式会社 (235)
【Fターム(参考)】