説明

防水コネクタ及び高圧蒸気滅菌装置

【課題】プラグとソケットを接続した際に、コネクタピン間が接点周辺の水を介して短絡することがない構造を有する防水コネクタを提案すること。
【解決手段】測定センサからのリードと接続されるプラグ20と、計測機器からのリード線と接続されるソケット30からなり、ソケットの凸部33aの中でソケット側コンタクトピン31aが露出しており、プラグの凹部23aの中でプラグ側コンタクトピン21aが突出しており、上記ソケットの凸部を上記プラグの凹部に挿入することにより上記プラグ側コンタクトピンが上記ソケット側コンタクトピンに電気的に接続する防水コネクタとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水コネクタに関するもので、特に、高圧蒸気滅菌装置に装着される測定センサ(例えば、温度センサ)等を蒸気や水に曝される環境下で着脱自在に配設するための防水コネクタ及び該防水コネクタを使用した高圧蒸気滅菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生物実験等の培地、医療現場での注射器等の医療廃棄物は、殺菌・滅菌処理をしなければ廃棄することができない。これらの廃棄物を密閉容器に入れ、高温・高圧の蒸気によって殺菌・滅菌処理する高圧蒸気滅菌装置は、広く使用されている。
【0003】
図9は、従来技術による高圧蒸気滅菌装置の概念図である。
この高圧蒸気滅菌装置Sにおいては、廃棄物Wが入っている滅菌袋Aを高圧蒸気滅菌装置Sの中に入れ、該装置Sに取り付けられた温度センサTを滅菌袋Aの中に差し込む。そして、この状態で、加熱しながらその温度センサTに接続されている計測機器Mで滅菌袋A内部の温度を測定しながら、効果的な廃棄物Wの殺菌・滅菌処理を行う。
この方式では、高圧蒸気滅菌装置Sの中に滅菌袋Aを入れた状態で、該装置Sに取り付けられた温度センサTを滅菌袋Aの中に差し込むものであるため、その作業効率が悪く、また滅菌袋Aの適切な位置に温度センサTを差し込むことができず、効果的な廃棄物Wの殺菌・滅菌処理を行うことができない場合があった。
【0004】
このような問題点を解決するために、滅菌袋を高圧滅菌装置等に入れる前、すなわち、滅菌袋が高圧蒸気滅菌装置等の外部にある状態で、温度センサを滅菌袋内に差し込む、あるいは予め温度センサが差し込まれている滅菌袋内に廃棄物を収納し、その滅菌袋を高圧蒸気滅菌装置等に入れた後、その温度センサのリード線をコネクタを介して計測機器に接続し、温度を測定する方式が考えられる。
【0005】
図10は内部センサと計測機器とを接続するコネクタを有する高圧蒸気滅菌装置Slの概念図である。この高圧蒸気滅菌装置Slでは、100℃以上の高温・高圧にして廃棄物の殺菌・滅菌処理を行うため、従来と同様に圧力容器Bが用いられる。この圧力容器Bの壁B1(例えば蓋部分)に防水コネクタCが取り付けられており、その防水コネクタCに(図示しない)計測機器からの導線Lが接続される。温度センサTlが装着されている(図示しない)滅菌袋をこの圧力容器Bの中に入れた後、その温度センサTlの接続端子を、壁Bl(例えば蓋部分)の内側で上記コネクタCに接続する。そして、この状態で、加熱しながら温度センサTlにコネクタCを介して接続されている(図示しない)計測機器で滅菌袋内部の温度を測定しながら、効果的に廃棄物の殺菌・滅菌処理を行う。
【0006】
図9の方式に比較して図10の方式は、滅菌袋を装置内部に入れた後の作業がコネクタ接続だけで済むので、測定センサ(例えば温度センサTl)を装着するときの作業性が良い。また、滅菌袋の適切な位置に温度センサ等を設置することが可能となる。従って、医療廃棄物等の殺菌・滅菌処理が、安全かつ高効率に行えるものとなる。
【0007】
ここで、上記コネクタCは、高温・高圧の蒸気滅菌過程で使用されるものであるため、高温・高圧に耐える必要がある。さらに、そのコネクタを着脱する際にコネクタが濡れている可能性もあるので、コネクタに温度センサ等の導線を接続したときに、導線同士が水を介して短絡することがないようにする必要がある。
【0008】
特許文献1には、防水栓とコネクタハウジングの端部との間の隙間に溜まった水を排水するために、コネクタハウジング1の端部1Aに複数の排水口6を形成した防水コネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−53047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、高圧蒸気滅菌装置等の圧力容器内部に設けられる測定センサと、圧力容器外部の計測機器等を接続するために高圧蒸気滅菌装置等の蓋あるいは胴部側壁に設けられる防水コネクタにおいて、測定センサからのリード線と接続されたプラグ部分と、高圧蒸気滅菌装置等の蓋等に固定されるソケット部分からなる防水コネクタであって、プラグとソケットを接続した際に、コネクタピン間が接点周辺の水を介して短絡することがない構造を有する防水コネクタ、及び該防水コネクタを使用した高圧蒸気滅菌装置を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題は、次の〔1〕〜〔4〕に記載の本発明に係る防水コネクタ及び高圧蒸気滅菌装置によって解決された。
〔1〕 一端がプラグ側のリード線に電気的に接続されるプラグ側コンタクトピンと、上記プラグ側コンタクトピンが貫通し、一方の面から上記プラグ側コンタクトピンの他端が突出して配設されたプラグ側ピン支持体を有するプラグと、一端がソケット側のリード線に電気的に接続されるソケット側コンタクトピンと、上記ソケット側コンタクトピンが貫通し、一方の面から上記ソケット側コンタクトピンの他端が露出して配設されたソケット側ピン支持体を有するソケットとを備える防水コネクタにおいて、上記プラグのソケット側の面に、各プラグ側コンタクトピン毎にプラグ側凹部が形成され、そのプラグ側凹部の中で上記プラグ側コンタクトピンが突出していることと、上記ソケットのプラグ側の面に、各ソケット側コンタクトピン毎に上記プラグ側凹部と相補的形状のソケット側凸部が形成され、各ソケット側凸部の中で上記ソケット側コンタクトピンが露出していることと、上記プラグと上記ソケットを結合したとき、上記プラグ側凹部に上記ソケット側凸部が嵌入し、上記ソケット側コンタクトピンと上記プラグ側コンタクトピンの各対が電気的に接続されることを特徴とする、防水コネクタ。
〔2〕 上記プラグ側凹部の底部に水密用パッキングが配設されていることを特徴とする、上記〔1〕に記載の防水コネクタ。
〔3〕 上記ソケット側ピン支持体のプラグ側端面に周壁で囲まれたソケット側凹部空間が形成され、そのソケット側凹部空間に上記ソケット側凸部が突設され、上記プラグ側ソケット側端部を上記ソケットのソケット側凹部空間に嵌入させるときに、上記ソケット側凹部空間内の水を逃がす隙間が上記ソケットとプラグの間に形成されることと、上記プラグと上記ソケットを結合したときに、上記ソケットとプラグとの間に形成される隙間を外部に連通させる開口がソケット側に形成されていることを特徴とする、上記〔1〕に記載の防水コネクタ。
〔4〕 上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の防水コネクタを蓋部分に取り付けたことを特徴とする、高圧蒸気滅菌装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る防水コネクタによれば、プラグとソケットの着脱が容易で、かつ、両者を接続したとき、コンタクトピン周辺の水による導通線間の電気的短絡が防止できる。
また、本発明に係る防水コネクタを蓋部分に取り付けた本発明に係る高圧蒸気滅菌装置によれば、温度センサ等の測定センサが装着されている滅菌袋を高圧蒸気滅菌装置の圧力容器の中に入れた後、その測定センサの端子部分を蓋部分の内側で本発明に係る防水コネクタを介してコネクタ接続だけで済むので、測定センサを装着するときの作業性が良い。また、滅菌袋の適切な位置に温度センサ等の測定センサを設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る防水コネクタの結合状態を示した一部断面側面図である。
【図2】プラグとソケットの結合状態を示した断面図である。
【図3】ソケットをプラグ側から見た斜視図である。
【図4】ソケットの断面図である。
【図5】ソケットの底面図である。
【図6】プラグをソケット側から見た斜視図である。
【図7】プラグの断面図である。
【図8】プラグの上面図である。
【図9】従来技術による高圧蒸気滅菌装置の概念図である。
【図10】内部センサと外部電気回路を接続するコネクタを有する高圧蒸気滅菌装置の概念説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明に係る防水コネクタが結合した状態における側面図である。
この本発明に係る防水コネクタ10は、プラグ20とソケット30とからなり、両者は着脱自在である。そして、プラグ20とソケット30とを結合させた状態で、ローレット体40が両者を固定保持する。
【0015】
図2はプラグとソケットが結合した状態における断面図である。図3は、ソケットをプラグ側から見た斜視図である。図4は、装置に取り付けた状態のソケットの断面図である。図5はソケットの底面図である。図6は、プラグをソケット側から見た斜視図である。図7は、プラグの断面図である。図8は、プラグの上面図である。
【0016】
この実施の形態に係る防水コネクタ10は、3本のリード線を結合するためのコネクタであり、3本のプラグ側コンタクトピン21a,21b,21cが、プラグ20に互いに120度の間隔で埋め込まれ(図6等参照)、同様に、3本のソケット側コンタクトピン31a,31b,31cが、ソケット30に互いに120度の間隔で埋め込まれている。(図3等参照)。
なお、この実施の形態では、3本のリード線を結合するための防水コネクタについて説明するが、同様に、2本あるいは4本以上のリード線を結合するように構成することも可能である。
【0017】
図3に示すように、この実施の形態においては、ソケット側コンタクトピン31a,31b,31cは、ソケット30のソケット側ピン支持体32を貫通している。同様に、図6に示すように、プラグ側コンタクトピン21a,21b,21cは、プラグ20のプラグ側ピン支持体22を貫通している。
【0018】
図3、図4及び図5に図示するように、ソケット30の底面には、周壁36で囲まれたソケット側凹部空間37があり、そのソケット側凹部空間37の底部37aから3本のソケット側凸部33a,33b,33cが突出し、各ソケット側凸部33a,33b,33cの中にソケット側コンタクトピン31a,31b,31cの端部が露出している。
【0019】
一方、図6、図7及び図8に図示するように、プラグ20の上面にプラグ側凹部23a,23b,23cが穿設されている。そして、各プラグ側凹部23a,23b,23cの底の中心部からプラグ側コンタクトピン21a,21b,21cの端部が突出して露出している。
【0020】
上記ソケット側凹部空間37の形状は、上記プラグ側ピン支持体22のソケット側端部と相補的形状をしており、後者を前者に挿入できる構造となっている。さらに、ソケット側凸部33a,33b,33cとプラグ側凹部23a,23b,23cとは、相補的形状に形成され、プラグ側ピン支持体22をソケット側凹部空間37に挿入すると、ソケット側凸部33a,33b,33cがプラグ側凹部23a,23b,23cに各々挿入し得る形状とされている。
【0021】
図2に示すように、ソケット側凸部33aをプラグ側凹部23aに挿入した時、プラグ側コンタクトピン21aの端部がソケット側コンタクトピン31aの端部に接触する。この接触をより確実にするために、この実施の形態では、各ソケット側コンタクトピン31a,31b,31cの先端に、ピン凹部34a,34b,34cが各々形成されている。そして、ソケット側凸部をプラグ側凹部に挿入すると、プラグ側コンタクトピン21a,21b,21cの端部が、上記ピン凹部34a,34b,34cに嵌入して確実に接触し、プラグ側コンタクトピン21a,21b,21cと各ソケット側コンタクトピン31a,31b,31cとは各々確実に電気的に接続される。
【0022】
各ソケット側コンタクトピン31aのピン凹部34a等にプラグ側コンタクトピン21aを挿入する時、そのピン凹部34a等の中の水や空気を排出するための溝(35aのみを図示)を、ピン凹部34a等に設けることが好ましい。
【0023】
図7に示すように、プラグ側凹部23a,23b,23cの底に、水密用パッキング24a,24b,24c(例えば、0リング)が各々配設されている。また、図2に示すように、ソケット側凸部33aをプラグ側凹部23aの底にある水密用パッキング24aに、ソケット側凸部33aの頂部が各々当たるように寸法決めされている。この結果、各プラグ側凹部23a,23b,23cのプラグ側コンタクトピン21a,21b,21cは互いに水密に分離される。
【0024】
また、図2に示すように、ソケット側凸部33aがプラグ側凹部23aに挿入される時、プラグ側凹部23aの中に水が溜まっていても、それを排出できる隙間Glができるように、プラグ側凹部23aの内径、及びソケット側凸部33aの外径が寸法決めされている。
なお、他のプラグ側凹部23b,23c、ソケット側凸部33b,33cにおいても同様である。
【0025】
さらに、プラグ側ピン支持体22の頂部22aとソケット側ピン支持体32の底部32aの間にわずかな隙間G2ができるように、それぞれ寸法決めされている。また、ソケット側凸部を取り囲む周壁36とプラグ側ピン支持体22の間にもわずかな隙間G3ができるように、それぞれ寸法決めされている。そして、ソケット30とプラグ20とを接続する時に、プラグ側凹部23a,23b,23c等から隙間Glを介して排出された水は、隙間G2,G3を通り、ソケットの周壁36の頂部とプラグ側ピン支持体22の間に設けられたわずかな隙間G4に至り、隙間G4の水は、ソケット側外筒60に設けられたソケット側外筒開口65に至り、さらにソケット側外筒60の外周に沿って防水コネクタ10の外部に流出する(図2参照)。
【0026】
また水密用パッキング24a,24b,24cによって各々水密に分離されているので、各ソケット側コンタクトピン31a,31b,31c相互間の電気的絶縁性も確保される。
【0027】
次に、図3、図4及び図5を参照しながら、ソケット30の構造をさらに詳しく説明する。図3は、ソケット30をプラグ側から見た斜視図である。円筒形のソケット側ピン支持体32の下面には、上述したように、周壁36で囲まれたソケット側凹部空間37があり、その中に3本のソケット側凸部33a,33b,33cが突設されている。また、ソケット側凹部空間37を画成する周壁36に沿って、軸方向に平行に位置合わせ用凸部38が設けられている。上記ソケット凸部33a,33b,33cの先端には、ピン凹部34a,34b,34cが開口し、その中にソケット側コンタクトピン31a,31b,31cが各々露出している。
【0028】
上記ソケット側コンタクトピン31a,31b,31cは、ソケット側ピン支持体32を貫通し、ソケット側ピン支持体32の上面から突出している。そして、この突出しているソケット側コンタクトピン31a,31b,31cの端部は、外部電気回路(例えば計測機器等の入力端子)からのリード線70a,70b,70cが接続される。また図4に図示するように、この実施の形態では、ソケット側ピン支持体32の上面から突出しているソケット側コンタクトピン31a,31b,31cを互いに電気的に絶縁するためと、機械的強度を高めるために、ソケット側コンタクトピン31a,31b,31b、及びソケット側ピン支持体32は合成樹脂で形成された保護部材39により補強されている。
【0029】
また、図4に示すように、ソケット側ピン支持体32は、外側に張り出したフランジ60aを有するソケット側外筒60の中にモールドされ、係合部61a,61bによって、ソケット側ピン支持体32とソケット側外筒60は互いに固定されている。そして、該ソケット側外筒60の下部には、水等を排出する開口65が複数個形成され、また、下部内周面には雌ネジ60bが螺設されている。
【0030】
上記した構造のソケット30は、次のようにして防水コネクタ10が装着される高圧蒸気滅菌装置Sに固定される。
先ず、上記ソケット側外筒60を、防水コネクタ10が装着される高圧蒸気滅菌装置Sの蓋部分に穿設された取り付け孔に装着し、その取り付け孔の周囲に設けられた取り付け円筒部62の上端に、このソケット側外筒のフランジ60aをシール部材63を介して載置する。なお、上記高圧蒸気滅菌装置Sの取り付け円筒部62の側面には、雄ネジ62aが螺設されている。
【0031】
続いて、円筒部の固定部材64によって、該固定部材64の内面に螺設された雌ネジ64bを上記取り付け円筒部62の雄ネジ62aに螺合させ、該固定部材64の内側に張り出したフランジ64aが当接するまで締め付ける。この結果、ソケット側外筒のフランジ60aは、取り付け円筒部62の上端と固定部材64のフランジ64aに挟まれて固定される。ソケット側外筒60はモールドによりソケット側ピン支持体32に固定されているので、ソケット30は高圧蒸気滅菌装置Sに固定される。
なお、この実施の形態では、高圧蒸気滅菌装置Sの蓋部分に取り付ける場合を説明したが、胴部側壁に取り付けることも、他の装置に取り付けることも可能である.
【0032】
次に、図6、図7及び図8を参照しながら、プラグ20の構造を詳しく説明する。図6は、プラグ20のプラグ側ピン支持体22をソケット側から見た斜視図である。既に説明したように、プラグ側ピン支持体22の頂部22aにプラグ側凹部23a,23b,23cが穿設され、この各プラグ側凹部23a,23b,23cの底の中心部からプラグ側コンタクトピン21a,21b,21cがそれぞれ突出している。また、プラグ側ピン支持体22の上部側壁には、上記ソケット30に設けられた位置合わせ用凸部38と相補的形状の位置合わせ用凹部28が設けられている。
【0033】
この実施の形態では、上記プラグ側ピン支持体22のソケットとは反対側の端面の中央部に中央凸部25が形成され、上記プラグ側コンタクトピン21a,21b,21cが該中央凸部25において露出している。そして、この露出したプラグ側コンタクトピン21a,21b,21cと各リード線71a,71b,71cとが結線され、モールド成形で外部コード固定部26を形成することでその結線部分の保護及びプラグ側外部コード71の固定が図られている。
なお、上記構造に限られず、例えば、プラグ側の外部コード71から引き出された各リード線71a,71b,71cが貫通し、プラグ側ピン支持体22の上記中央凸部25と相補的形状の中央凹部27を有する外部コード固定部26をつくり、上記中央凹部27に上記中央凸部25を嵌入させることにより、上記外部コード固定部26と上記プラグ側支持体22が互いに結合され、プラグ側外部コード71から引き出された各リード線71a,71b,71cが対応するプラグ側コンタクトピン21a,21b,21cに電気的に接続させる構造とすることも可能である。
【0034】
上記外部コード固定部26と上記プラグ側支持体22の結合状態を、プラグ側外筒80が保持する。すなわち図7に示すように、プラグ側外筒80の下端80aは外部コード固定部26の端部26a係合する構造となっている。他方、プラグ側外筒80の上端近傍の内面には雌ネジ80bが螺設されている。プラグ側ピン支持体22の外側表面の上記プラグ側外筒80の雌ネジ80aの位置に対応する部分には雄ネジ22bが螺設されている。
【0035】
そして、上記外部コード固定部26と上記プラグ側支持体22が結合された状態で、上記プラグ側外筒80の雌ネジ80bとプラグ側ピン支持体の雄ネジ22bを螺合させると、プラグ側外筒の下端80aは外部コード固定部26の端部26aと係合しているので、上記外部コード固定部26と上記プラグ側支持体22の結合状態がしっかりと確保される。この結果、プラグ側外部コード71、外部コード固定部26、プラグ側ピン支持体22、及びプラグ側外筒80が互いに固定され、一体となる。
【0036】
なお、プラグ側外筒80とプラグ側外部コード71の間を水密にするため、図7に示すようにOリング80dを両者の間に設けることが好ましい。同様に、プラグ側外筒80とプラグ側ピン支持体22の間を水密にするために、図7に示すように、Oリング80eを両者の間に設けることが好ましい。
【0037】
上記外部コード固定部26と上記プラグ側支持体22の結合状態をさらに確実にするため、また水がコネクタ内に浸入するのを防止するため、さらには操作性をよくするために、プラグ側外部コード71のプラグ側外筒80との境界、及びプラグ側外筒80の一部を鞘体90が覆っている。すなわち、プラグ側外筒80の外面に外筒凹部80cが形成され、そこに鞘体90をモールド成形することにより鞘体凸部90aが形成され鞘体90は固定される。なお、あらかじめ鞘体90の内面に鞘体凸部90aを形成したものを、外筒凹部80cに嵌め込むことにより、鞘体90を固定することも可能である。
【0038】
次に、図2を参照しながら、上記したプラグ20とソケット30との締結について説明する。上記プラグ側ピン支持体22のソケット側端部の近傍に外側に張り出すソケット側フランジ22cが設けられている。そして、このソケット側フランジ22cにソケットとは反対側から、ローレット体40が、プラグ側ピン支持体22の外側に遊嵌している。
【0039】
ローレット体40のソケット側の端部外周には雄ネジ40aが螺設されている。他方、上記ソケット側外筒60のプラグ側端部の内周に上記したように雌ネジ60bが螺設されている。プラグ20とソケット30を結合した状態では、これらの雄ネジ40aと雌ネジ60bが噛合することができる位置に、これらのネジは位置決めされている。
【0040】
そして、プラグ20とソケット30を結合し、上記ローレット体40を回転して、これらの雄ネジ40aと雌ネジ60bを螺合させると、ローレット体40はプラグ側ピン支持体22のソケット側フランジ22cに当接しているので、プラグ20とソケット30は互いに締結される。なお、ローレット体40の回転を容易にするために、ローレット体40のソケットから遠い部分の外側表面にはローレット40bが刻まれている。
【0041】
この結果、プラグ側外部コード71から(図示しない)外部計測器からのソケット側外部コードまでが機械的にしっかりと締結され、プラグ側外部コードの各リード線もソケット側リード線の対応するリード線に、プラグ側コンタクトピン21a,21b,21cとソケット側コンタクトピン31a,31b,31cを介して、電気的に確実に接続されることとなる。
【0042】
以上、本発明に係る防水コネクタ及び高圧蒸気滅菌装置の一実施の形態を説明したが、本発明は、何ら既述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想の範囲内において、種々の変形及び変更が可能であることは当然である。
【符号の説明】
【0043】
10 防水コネクタ
20 プラグ
21a,21b,21c プラグ側コンタクトピン
22 プラグ側ピン支持体
22a 頂部
22b 雄ネジ
22c ソケット側フランジ
23a,23b,23c プラグ側凹部
24a,24b,24c 水密用パッキング
25 中央凸部
26 外部コード固定部
26a 外部コード固定部の端部
27 中央凹部
28 位置合わせ用凹部
30 ソケット
31a,31b,31c ソケット側コンタクトピン
32 ソケット側ピン支持体
32a 底部
33a,33b,33c ソケット側凸部
34a,34b,34c ピン凹部
35a,35b,35c 溝
36 周壁
37 ソケット側凹部空間
37a ソケット側凹部空間の底部
38 位置合わせ用凸部
39 保護部材
40 ローレット体
40a 雄ネジ
40b ローレット
Gl,G2,G3,G4 隙間
60 ソケット側外筒
60a フランジ
60b 雌ネジ
61a,61b 係合部
62 取り付け円筒部
62a 雄ネジ
63 シール部材
64 固定部材
64a フランジ
64b 雌ネジ
65 ソケット側外筒開口
70a,70b、70c リード線
71 プラグ側外部コード
71a,71b,71c リード線
80 プラグ側外筒
80a プラグ側外筒の端部
80b 雌ネジ.
80c プラグ側外筒凹部
80d,80e Oリング
90 鞘体
90a 鞘体凹部
A 滅菌袋
M 計測機器
S 高圧蒸気滅菌装置
T 温度センサ
W 廃棄物
B 圧力容器
Bl 壁
C 防水コネクタ
L 導線
Sl 高圧蒸気滅菌装置
Tl 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端がプラグ側のリード線に電気的に接続されるプラグ側コンタクトピンと、上記プラグ側コンタクトピンが貫通し、一方の面から上記プラグ側コンタクトピンの他端が突出して配設されたプラグ側ピン支持体を有するプラグと、一端がソケット側のリード線に電気的に接続されるソケット側コンタクトピンと、上記ソケット側コンタクトピンが貫通し、一方の面から上記ソケット側コンタクトピンの他端が露出して配設されたソケット側ピン支持体を有するソケットとを備える防水コネクタにおいて、上記プラグのソケット側の面に、各プラグ側コンタクトピン毎にプラグ側凹部が形成され、そのプラグ側凹部の中で上記プラグ側コンタクトピンが突出していることと、上記ソケットのプラグ側の面に、各ソケット側コンタクトピン毎に上記プラグ側凹部と相補的形状のソケット側凸部が形成され、各ソケット側凸部の中で上記ソケット側コンタクトピンが露出していることと、上記プラグと上記ソケットを結合したとき、上記プラグ側凹部に上記ソケット側凸部が嵌入し、上記ソケット側コンタクトピンと上記プラグ側コンタクトピンの各対が電気的に接続されることを特徴とする、防水コネクタ。
【請求項2】
上記プラグ側凹部の底部に水密用パッキングが配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の防水コネクタ。
【請求項3】
上記ソケット側ピン支持体のプラグ側端面に周壁で囲まれたソケット側凹部空間が形成され、そのソケット側凹部空間の中に上記ソケット側凸部が突設され、上記プラグのソケット側端部を上記ソケットのソケット側凹部空間に嵌入させるときに、上記ソケット側凹部空間内の水を逃がす隙間が上記ソケットとプラグとの間に形成されることと、上記プラグと上記ソケットを結合したときに、上記ソケットとプラグとの間に形成される上記隙間を外部に連通させる開口がソケット側に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の防水コネクタ。
【請求項4】
上記請求項1〜3のいずれかに記載の防水コネクタを蓋部分に取り付けたことを特徴とする、高圧蒸気滅菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−65473(P2013−65473A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203816(P2011−203816)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(597119172)トミー工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】