説明

防水コネクタ

【課題】 端子毎に個別に防水される防水雌コネクタの当該防水機能を保ちながら、当該防水雌コネクタを用いて電線同士の電気的接続を行うことを可能にする。
【解決手段】 雌端子20の前方に貫通孔24aをもつ雌側シール材24が設けられている防水雌コネクタC1に対して、その防水機能を確保し得る防水雄コネクタC2を結合する。この防水雄コネクタC2の雄ハウジングは、雄端子20毎に突出して前記貫通孔24aの内周面に密着することにより防水機能を発揮する突出部25を含む前側部分21と、端子収容室22c及びランス23を含む後側部分22とに分割され、両部分21,22の間に雄端子20が個別に挿通可能な雄端子挿通孔24aを有する雄側シール材24が挟み込まれた状態で両部分21,22が合体する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子ごとに個別に防水を行う機能をもつ防水コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の防水コネクタは、複数の端子収容室の外側を取り囲むシール材を備え、このシール材によって全ての端子収容室を一括して防水するものが一般的とされているが、このような構造では、前記各端子収容室のさらに外側に前記シール材の配設スペースを確保しなければならず、その分コネクタ全体がその軸方向と直交する方向に大型化してしまう不都合がある。そこで、コネクタの小型化を図るべく、下記特許文献1に記載されるような個別防水機能をもつ防水コネクタの開発が進められている。
【0003】
この防水コネクタは、図9に示すように、複数の雌端子110が雌ハウジング112に保持された雌コネクタC1と、前記各雌端子110に嵌入される雄端子120が後側部分122に保持される雄コネクタC2とを備えている。
【0004】
前記雌コネクタC1の雌ハウジング112は、各雌端子110を収容する端子収容室112cを有するとともに、各端子収容室112cに前記雌端子110を係止するランス113が形成され、またハウジング前壁112aには各雌端子110に嵌入される雄端子120が前側から挿入可能な雄端子挿入孔112bが形成されている。さらに、前記ハウジング前壁112aにはゴム等の弾性材からなるシール材114が密着するとともに、このシール材114を前側から覆うようにしてシール材ホルダ116が前記雌ハウジング112の前端部に装着されている。前記シール材114には、前記各端子挿通孔112bにそれぞれ合致する貫通孔114aが設けられ、同様に、前記シール材ホルダ116の前壁には前記貫通孔114aにそれぞれ合致する突出部挿通孔116aが設けられている。
【0005】
なお、各雌端子110の後方では、当該雌端子110が圧着されている電線Wにシール材118が密着することにより防水がなされている。
【0006】
一方、雄コネクタC2は図例では基板実装型コネクタとされている。その雄端子120はピン状をなし、当該雄端子120の一方の端部は基板Pに実装される基板実装部120a、他方の端部は前記雌端子110に嵌入される電気接続部120bとなっている。前記後側部分222は、前記雄端子120の中間部を保持する本体壁123と、この本体壁123から突出する前記電気接続部120b側の端部を覆うフード124とを一体に有し、このフード124内に前記雌ハウジング112及びこれに装着されるシール材ホルダ116が嵌入可能となっている。さらに、前記フード124内では前記本体壁123の前面123aから前記雄端子120毎に突出する突出部125が形成されており、この突出部125は、前記各雄端子120の特定部位の周囲を覆う形状をなし、かつ、前記シール材ホルダ116の突出部挿通孔116aに挿通可能でかつ前記シール材114の貫通孔114aの内周面に密着する外径を有している。
【0007】
このような防水コネクタにおいて、前記各雄端子120の電気接続部120aが雄端子挿入孔112bを通じて前記各雌端子110内に嵌入される際、前記後側部分222の各突出部125がシール材ホルダ116の突出部挿通孔116aを通じてシール材114の貫通孔114a内に圧入され、当該貫通孔114aの内周面に密着することにより、各端子110,120毎に個別に防水がなされることになる。
【特許文献1】特開2003−297479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1に記載されている防水コネクタは、その雄コネクタC2が基板実装型コネクタであり、そのピン状の雄端子120が雄ハウジング122と一体にモールドされた(すなわちインサート成形された)構造となっているため、この雄コネクタC2側についても防水機能が担保されている。
【0009】
しかしながら、この雄コネクタC2を雌コネクタC1と同様に電線Dの端末に設けられる電線用コネクタ、すなわち、電線同士を接続する、いわゆるワイヤトゥワイヤのコネクタとして構成する場合、当該雄コネクタC2の雄ハウジングを前記のような雄端子一体型のモールド構造にすることはできず、その雄ハウジングと電線端末に固定される雄端子とを別々に成形し、前記雄ハウジングに前記雄端子を収容する端子収容室及びこの端子収容室内に雄端子を係止する端子係止部(例えばランス)を成形しなければならない。この成形のためには、型抜き等の関係から、各雄端子ごとに雄ハウジングの前面に大きな開口を形成する必要であり、前記のようにシール材114の貫通孔114aの内周面に密着する突出部125を雄ハウジング122に形成することはきわめて困難となる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑み、端子毎に個別に防水される防水雌コネクタの当該防水機能を保ちながら、当該防水雌コネクタを用いて電線同士の電気的接続を行うことを可能にする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、複数の雌端子が雌ハウジングに保持されるとともに各雌端子の前方に当該雌端子に対応する貫通孔をもつ雌側シール材が設けられている防水雌コネクタに結合される防水雄コネクタであって、電線の端末に固定され、前記各雌端子にそれぞれ嵌入可能な電気接続部を有する複数の雄端子と、これらの雄端子を個別に収容する端子収容室及びこの端子収容室内に雄端子を係止する端子係止部を有するとともにこれらの雄端子の電気接続部が前方に突出する姿勢で当該雄端子を保持する雄ハウジングとを備え、この雄ハウジングの前面からは、前記各雄端子毎に突出して当該雄端子の前記電気接続部よりも後方の部分を覆うとともに当該電気接続部が前記雌端子に嵌入される際に前記雌側シール材の貫通孔の内周面に密着することにより雌ハウジング内への水の浸入を防止する形状を有する突出部が突出し、さらに、この雄ハウジングは、前記突出部を含む前側部分と前記端子収容室及び前記端子係止部を含む後側部分とに分割され、これら前側部分と後側部分との間に前記雄端子が個別に挿通可能な雄端子挿通孔を有する雄側シール材が挟み込まれた状態で当該前側部分と後側部分とが結合されるように構成されているものである。
【0012】
この構成によれば、雄ハウジングが前記突出部を含む前側部分と前記端子収容室及び端子係止部を含む後側部分とに分割されているので、これら突出部、端子収容室、及び端子係止部をそれぞれ不都合なく形成することができるとともに、両部分はその間に雄側シール材が挟み込まれた状態で合体するものであるため、当該雄ハウジングが分割構造であるにもかかわらず、その突出部と相手方防水雌コネクタの雌側シール材との密着による個別防水効果を雄コネクタ側でも担保することができる。
【0013】
さらに、前記前側部分が前記後側部分に結合されるに際して当該後側部分内にその前面側から挿入される二重ロック部を有し、この二重ロック部が、当該前側部分が前記後側部分に完全結合された状態で前記雄端子を前記後側部分側に二重ロックする構造とすれば、雄ハウジングの分割構造を有効に利用して、簡素な構造で、当該雄ハウジングに雄端子を二重ロックする機能を付加することができる。
【0014】
前記雄ハウジングの後側部分は、この後側部分内に前記前側部分の二重ロック部が挿入されるが当該二重ロック部は前記雄端子を二重ロックしない仮係止位置に当該前側部分を係止する仮係止部と、この後側部分に前記前側部分が完全結合される本係止位置に当該前側部分を係止する本係止部とを有するものであることが、より好ましい。
【0015】
この構成によれば、前記前側部分を前記仮係止位置で前記後側部分に仮係止させた状態で、当該後側部分の各端子収容室内に雄端子を挿入して端子係止部により係止させた後、前記前側部分を前記仮係止位置から本係止位置に移動させるだけの簡単な操作で、当該前側部分と後側部分との間に雄側シール材が挟み込まれた状態にすることができるとともに、前記各雄端子の二重ロックを行うことが可能になる。
【0016】
このような雄端子の二重ロックを行うための手段としては、例えば前記端子係止部とは別の箇所で二重ロック部により雄端子を二重係止するようにしてもよいが、前記雄ハウジングの後側部分の端子係止部が、前記雄端子を係止する係止位置と当該雌端子の係止を解除する係止解除位置とに変位可能なランスであり、前記前側部分の二重ロック部は前記ランスを前記係止位置に拘束することにより前記雌端子を二重ロックするものであれば、端子係止部であるランスを係止位置に拘束するだけの簡単な構成で雄端子の二重ロックが可能になる。
【0017】
前記雄ハウジングの具体的な形状は適宜設定可能であるが、その前側部分が、前記後側部分の前面を覆う形状を有するとともに前記突出部が形成された本体壁と、この本体壁の周縁部から後側部分側に延びて当該雌ハウジングの外周面に係合される周壁と、前記本体壁の周縁部から前記周壁と反対側に延びて前記雄端子の電気接続部を覆うフードとを一体に有する筒状をなし、前記本体壁の裏面と前記後側部分の前面との間に前記シール材を挟み込むように構成されているものとすれば、当該前側部分全体は筒状の簡素な構造としながら、そのフードによって雄端子を有効に保護する一方、これと反対側の周壁を後側部分の外周面に係合することによって安定した状態で当該前側部分と後側部分とを合体させることができる。
【0018】
また本発明は、前記の防水雄コネクタと、この防水雄コネクタに結合される防水雌コネクタとを備え、この防水雌コネクタは、前記各雄端子の電気接続部が嵌入される雌端子と、これらの雌端子を保持するとともに各雌端子の前方に当該雌端子に嵌入される雄端子が挿入可能な雄端子挿入孔を有する雌ハウジングと、この雌ハウジングの前面に密着するとともに前記各雄端子挿入孔に対応する位置に貫通孔をもつ雌側シール材とを備え、この雌側シール材の各貫通孔の内周面に前記防水雄コネクタの各突出部の外周面が密着することにより前記雄端子挿入孔から雌ハウジング内への水の浸入を防止するように構成されている防水コネクタである。
【0019】
以上の発明は、防水構造をもつ雄コネクタを用いるものであるが、防水雌コネクタ同士を防水用の中継コネクタで中継接続することによっても、当該防水雌コネクタの防水機能を確保しながら電線同士の電気的接続を行うことが可能である。
【0020】
本発明は、かかる防水コネクタに適した中継コネクタをも提供するものであり、前記各防水雌コネクタの雌端子にそれぞれ嵌入可能な雄型の電気接続部を両端に有する複数の中継端子と、これら中継端子の中間部分を密着状態で保持する本体壁をもつ絶縁ハウジングとを備え、前記本体壁の両面には、前記各雄端子毎に突出して当該雄端子の前記電気接続部よりも後方の部分を覆うとともに当該電気接続部が前記雌端子に嵌入される際に前記シール材の貫通孔の内周面に密着することにより雌ハウジング内への水の浸入を防止する形状を有する突出部が突出しているものである。
【0021】
また本発明は、当該防水用中継コネクタと、この防水用中継コネクタを介して互いに中継接続される防水雌コネクタ対とを備え、各防水雌コネクタは、前記各中継端子の電気接続部が嵌入される雌端子と、これらの雌端子を保持するとともに各雌端子の前方に当該雌端子に嵌入される雄端子が挿入可能な雄端子挿入孔を有する雌ハウジングと、この雌ハウジングの前面に密着するとともに前記各雄端子挿入孔に対応する位置に貫通孔をもつ雌側シール材とを備え、この雌側シール材の各貫通孔の内周面に前記防水用中継コネクタの各突出部の外周面が密着することにより前記雄端子挿入孔から雌ハウジング内への水の浸入を防止するように構成されている防水コネクタである。
【0022】
以上の構成によれば、各中継端子の両端の電気接続部を各雌コネクタにおける雌端子の電気接続部に嵌入することにより、当該中継端子を媒介として雌コネクタの雌端子同士を電気的に接続することができるとともに、当該中継端子を密着状態で保持する絶縁ハウジングの突出部をそれぞれ各雌コネクタにおける雌側シール材の貫通孔内周面に密着させることによって、各雌コネクタのもつ防水機能を十分に発揮させることができる。
【0023】
さらに、前記中継コネクタを介して中継接続される防水雌コネクタが互いに同一の形状及び同一の構造を有するものとすれば、当該防水コネクタの量産性を高めることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明に係る防水雄コネクタや防水用中継コネクタを用いることによって、端子毎に個別に防水される防水雌コネクタの当該防水機能を保ちながら、当該防水雌コネクタを用いて電線同士の電気的接続を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の第1の実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。
【0026】
図1に示す防水コネクタは、複数の雌端子10が雌ハウジング12に保持された防水雌コネクタC1(以下、単に「雌コネクタC1」と称する。)と、前記各雌端子10に嵌入される雄端子20が雄ハウジング21,22に保持される防水雄コネクタC2(以下、単に「防水雄コネクタC2」と称する。)とを備えている。各コネクタC1,C2の具体的構成及び組立手順は次のとおりである。
【0027】
1)雌コネクタC1の具体的構成
雌コネクタC1の各雌端子10は、雌型の電気接続部10aと、その後方に形成されたバレル部10bとを一体に有し、このバレル部10bが曲げ加工されて電線Wの端末に圧着固定されている。また、雌端子10のすぐ後方には防水用のゴム栓15が装着されている。
【0028】
これに対して前記雌コネクタC1の雌ハウジング12は、その全体が合成樹脂等の絶縁材料により一体に成形されたもので、図2(a)(b)に示すように、各雌端子10を収容する端子収容室12cを有している。各端子収容室12cは軸方向(コネクタ前後方向)に延び、その後側(図2(b)では右側)には、前記ゴム栓15が隙間なく圧入される形状(例えば円形断面)のゴム栓圧入孔12dが形成されている。また、前記雌ハウジング12の前壁12aには前記各端子収容室12cに通ずる雄端子挿入孔12bが形成され、これらの雄端子挿入孔12b内に後述のように雄端子20が前側から挿入可能となっている。
【0029】
前記各端子収容室12cには、前記雌端子10を係止する形状のランス13が形成されている。具体的に、当該ランス13は、各端子収容室12cの底面から前側(図2(b)では左側)に延びる片持ち梁状をなし、その端部からは上向きに端子係止突起13aが突出している。このランス13は、その上下方向の撓み変形により、前記端子係止突起13aが前記雌端子10の底壁に形成された貫通孔に嵌まり込んで当該雌端子10を係止する係止位置(図1に示す位置)と、この係止位置から前記端子係止突起13aが下方に待避する係止解除位置とに変位可能となっている。
【0030】
また、前記雌ハウジング12の天壁には、コネクタ結合ロック用突起12eが上向きに突設されるとともに、当該天壁及び底壁には、前記コネクタ結合ロック用突起12eよりも前方の位置で上下に突出するホルダ係止突起12fが形成されている。
【0031】
さらに、この雌ハウジング12の前側には、図3(a)(b)に示すように防水用の雌側シール材14を保持するシール材ホルダ16が装着可能となっている。
【0032】
このシール材ホルダ16も、合成樹脂等の絶縁材料により成形されたものであり、前記雌ハウジング12の前面を覆う形状の前側壁16aと、この前側壁16aの周縁部から後側すなわち雌ハウジング12側に延びる周壁16bとを一体に有するキャップ状をなしている。
【0033】
前記前側壁16aは、前記各雄端子挿入孔12bに対応する位置に突出部挿入孔16cを有し、これらの突出部挿入孔16cに、後述の雌ハウジング22に形成された突出部25が前方から挿入可能となっている。
【0034】
前記周壁16bは、前記雌ハウジング12の前部に外嵌可能な形状を有するとともに、その上部及び下部には、前後方向に延びる貫通長孔16dと、この貫通長孔16dの後方に位置する貫通孔16eとが形成されている。これらの貫通長孔16d及び貫通孔16eは、いずれも、前記雌ハウジング12のホルダ係止突起12fが嵌まり込み可能な位置に形成されており、これらの貫通長孔16d及び貫通孔16eのうち、図4(a)に示すように前記貫通孔16eに前記ホルダ係止突起12fが嵌まり込む位置が仮係止位置、同図(b)に示すように前記貫通長孔16dの後端に前記ホルダ係止突起12fが嵌まり込んで前記周壁16bの後端が前記コネクタ結合ロック用突起12eに当接する位置が本係止位置(すなわちシール材ホルダ16が雌ハウジング12に完全装着される位置)となっている。
【0035】
すなわち、図例の雌コネクタC1では、前記ホルダ係止突起12fが前記シール材ホルダ16を仮係止位置に保持する仮係止部と同ホルダ16を本係止位置に保持する本係止部とに兼用されている。
【0036】
前記雌側シール材14は、ゴム等のシール用弾性部材によりシート状に形成されたものであり、前記シール材ホルダ16の前側壁16aの裏面にその略全域にわたって固着されている。この雌側シール材14は、前記各雄端子挿入孔12b及び突出部挿通孔16cに対応する位置に貫通孔14aを有し、この貫通孔14aの内周面は、その軸方向中間位置に全周にわたって内方に突出する密着用凸部14bを有しており、図1及び図4(b)に示すように前記シール材ホルダ16が前記雌ハウジング12に完全装着された状態(つまり本係止位置に保持された状態)で前記雌側シール材14がハウジング前壁12aの前面に密着するようになっている。
【0037】
なお、この雌側シール材14をシール材ホルダ16に固着させる手段は特に問わず、圧入や接着等の手段を用いてもよいし、当該シール材ホルダ16に雌側シール材14を二色成形で一体化させるようにしてもよい。あるいは雌ハウジング12の前面側に雌側シール材14を固着させるようにしてもよい。
【0038】
さらに、この実施の形態に係る雌コネクタC1では、前記シール材ホルダ16に、雌端子10を雌ハウジング12側に二重ロックする機能が付加されている。
【0039】
具体的には、前記シール材ホルダ16の前側壁16aの裏面から前記雌側シール材14を貫いて軸方向後側(すなわち雌ハウジング12側)に各端子収容室12cに対応する複数の二重ロック片16fが突出する一方、雌ハウジング12には前記二重ロック片16fが前面側から挿入可能な形状の挿入溝12gが設けられており、この挿入溝12gは各ランス13の直下方の位置に至っている。そして、これらの挿入溝12gにそれぞれ前記二重ロック片16fが挿入されながらシール材ホルダ16が前記本係止位置に至ることにより、前記二重ロック片16fが各ランス13の下側に入り込んで当該ランス13を前記係止位置(すなわちランス13の端子係止突起13aが雌端子10の貫通孔に嵌まり込む位置)に拘束するようになっている。
【0040】
2)雄コネクタC2の具体的構成
雄コネクタC2の各雌端子20は、タブ20aと、その後方に形成されたバレル部20bとを一体に有している。前記タブ20aの先端は前記雌端子10の電気接続部10aに嵌入可能な雄型の電気接続部20cとなっている。前記バレル部20bは曲げ加工されて電線Wの端末に圧着固定されており、そのすぐ後方には防水用のゴム栓25が装着されている。
【0041】
一方、前記雄コネクタC2の雄ハウジングは、前記雌ハウジング12と同様、合成樹脂等の絶縁材料により金型成形されるものであるが、その成形後の型抜き等の関係から、前側部分21と後側部分22とに分割されており、しかも両者間に雄側シール材24が挟み込まれる構造となっている。
【0042】
後側部分22は、図5(a)(b)に示すように、各雄端子20を収容する端子収容室22cを有している。各端子収容室22cは軸方向(コネクタ前後方向)に延び、その後側(図5(a)では右側)には、前記ゴム栓25が隙間なく圧入される形状(例えば円形断面)のゴム栓圧入孔22dが形成されている。また、前記後側部分22の前壁には前記各端子収容室22cに収容される雄端子20のタブ20aをハウジング内側から外側に向けて導出するための雄端子導出孔22bが形成され、これらの雄端子導出孔22bを通じて後側部分22の前面22aから各雄端子20のタブ20aが前方に突出するようになっている。
【0043】
前記各端子収容室22cには、前記雄端子20を係止する形状のランス23が形成されている。このランス23も、前記雌ハウジング10のランス13と同様に、各端子収容室22cの底面から前側(図5(a)では右側)に延びる片持ち梁状をなし、その端部から上向きに端子係止突起23aが突出しており、このランス23の上下方向の撓み変形により、前記端子係止突起23aが前記雄端子20の底壁に形成された貫通孔に嵌まり込んで当該雄端子20を係止する係止位置(図1に示す位置)と、この係止位置から前記端子係止突起23aが下方に待避する係止解除位置とに変位可能となっている。
【0044】
そして、このような端子収容室22c及びランス23を金型内で成形した後に当該金型を前方へ抜く型抜きを要する関係上、図5(b)に示すように後側部分22の前面22aには各端子収容室毎に大きな開口が形成された状態となっている。
【0045】
また、この後側部分22の天壁には、前側から順に仮係止突起22e及び本係止突起22fが形成され、さらにその後方に鍔部22hが形成されている。
【0046】
一方、前記前側部分21は、前記後側部分22の前面22aを覆う形状の本体壁21aと、この本体壁21aの周縁部から後側すなわち後側部分22側に延びる周壁21bと、この周壁21bと反対側に延びるフード26とを一体に有している。すなわち、前記周壁21bとフード26とを前後に有する筒状をなし、その内側に前記本体壁21aを内蔵している。
【0047】
前記本体壁21aは、前記各雄端子導出孔22bに対応する位置に雄端子挿通孔21c及び前記突出部25を有している。前記雄端子挿通孔21cは、前記雄端子20のタブ20aがほぼ隙間なく挿通可能な径を有し、突出部25は、前記本体壁21aから前側に突出するとともに、前記雄端子挿通孔21cにタブ20aが挿通される部分(すなわち電気接続部20cよりも後方の部分)を覆う筒状をなし、かつ、前記雌コネクタC1の雌側シール材14における貫通孔14aのシール用凸部14bに全周にわたって密着可能な外径を有している。
【0048】
前記周壁21bは、前記後側部分22の前部に外嵌可能な形状を有するとともに、その上部及び下部には、前後方向に延びる貫通長孔21dが形成されている。これらの貫通長孔21dは、前記後側部分22の仮係止突起22e及び本係止突起22fが嵌まり込み可能な位置に形成されており、図7(a)に示すように前記仮係止突起22eのみが前記貫通長孔21dに嵌まり込んで周壁21bの後端が前記本係止突起22fの手前面に突き当たる位置が仮係止位置、同図(b)に示すように前記仮係止突起22eに加えて前記本係止突起22fも前記貫通長孔21dに嵌まり込んで前記周壁21bの後端が前記コネクタ結合ロック用突起12eに当接する位置が本係止位置(すなわち前側部分21が後側部分22に完全装着される位置)となっている。
【0049】
前記雄側シール材24は、ゴム等のシール用弾性部材によりシート状に形成されたものであり、前記前側部分21の本体壁21aの裏面にその略全域にわたって固着されている。この雄側シール材24は、前記各雄端子導出孔22b及び雄端子挿通孔21cに対応する位置に雄端子挿通孔24aを有し、この雄端子挿通孔24aの形状は前記タブ20aよりも一回り大きい形状に設定されている。そして、図1及び図7(b)に示すように前記前側部分21が前記後側部分22に完全装着された状態(つまり本係止位置に保持された状態)で前記雄側シール材24が後側部分22の前面22aに密着するようになっている。
【0050】
なお、この実施の形態では、雄側シール材24を前側部分21に固着させる手段も特に問わず、圧入や接着等の手段を用いてもよいし、当該前側部分21に雌側シール材14を二色成形で一体化させるようにしてもよい。あるいは当該雄側シール材24を後側部分22の前面22a側に固着させるようにしてもよい。要は、雌コネクタC1のもつ端子別防水機能を担保すべく後側部分22と前側部分21の合体時に両部分21,22間に雄側シール材24が挟み込まれる構造となっていればよい。
【0051】
一方、前記フード26は、前記各雄端子20のタブ20aを外側から覆う筒状をなしている。このフード26にはロック用撓み片27が形成され、このロック用撓み片27の端部にロック用係止孔27aが形成されており、後述のように両コネクタC1,C2が結合された状態で前記ロック用係止孔27aに前記雌コネクタC1のコネクタ結合ロック用突起12eが嵌まり込むことにより、当該結合状態がロックされるようになっている。
【0052】
さらに、この実施の形態に係る雄コネクタC2には、その雄ハウジングの分割構造を利用して、前記雄端子20を二重ロックする機能が付加されている。
【0053】
具体的には、前記前側部分21の本体壁21aの裏面から前記雄側シール材24を貫いて軸方向後側(すなわち後側部分22側)に各端子収容室22cに対応する複数の二重ロック片21fが突出する一方、後側部分22には前記二重ロック片21fが前面側から挿入可能な形状の挿入溝22gが設けられ、この挿入溝22gが各ランス23の直下方の位置にまで至っている。そして、各挿入溝22gに前記各二重ロック片21fが挿入されながら前側部分21が前記本係止位置に至ることにより、前記二重ロック片21fが各ランス23の下側に入り込んで当該ランス23を前記係止位置(すなわちランス23の端子係止突起23aが雄端子20の貫通孔に嵌まり込む位置)に拘束するようになっている。
【0054】
3)各コネクタC1,C2の組立手順及び作用について
前記両コネクタC1,C2の組立手順及び作用は次のとおりである。
【0055】
まず、雌コネクタC1においては、図4(a)に示すように雌ハウジング12にシール材ホルダ16を仮係止位置に保持させた状態、すなわち、シール材ホルダ16の二重ロック片16fが挿入溝12g内にハウジング前面側から挿入されながら当該シール材ホルダ16の周壁16bが雌ハウジング12の前部に外嵌され、かつ、雌ハウジング12のホルダ係止突起12fがシール材ホルダ16の貫通孔16eに嵌まり込んでいる状態にしておく。そして、この状態で、予め電線Wの端末に圧着固定されている雌端子10を各端子収容室12c内に後方から(すなわちゴム栓圧入孔12dから)挿入する。
【0056】
このとき、ランス13はシール材ホルダ16の二重ロック片16fに拘束されていない状態にあるので、当該ランス13が一旦係止解除位置に待避するように撓み変形しながら雌端子10の挿入が進行し、その挿入が完了するときに前記ランス13が弾性復帰してその端子係止突起13aが雌端子10の底壁の貫通孔に嵌まり込むことにより、当該雌端子10が雌ハウジング12側に一次係止される。さらに、電線Wが挿通されているゴム栓15を前記ゴム栓圧入孔12dに圧入することによって当該ゴム栓圧入孔12dから雌ハウジング12内への水の浸入が防がれる状態となる。
【0057】
次に、前記図4(a)に示す仮係止位置からシール材ホルダ16を雌ハウジング12の後側へさらに押し込んで同図(b)の本係止位置(すなわちホルダ係止突起12fが貫通長孔16dの後端に嵌まり込む位置)まで移行させると、当該シール材ホルダ16に保持されている雌側シール材14がハウジング前壁12aの前面に密着するとともに、当該シール材ホルダ16の各二重ロック片16fが各ランス13の下方にまで入り込み、当該ランス13を係止位置に拘束する。これにより、各雌端子10が二重ロックされるとともに、雌コネクタC1の組立てが完了する。また、この時点で正規の位置まで十分に挿入されていない雌端子10が存在する場合には、これに対応するランス13が係止位置に変位することができず、よって前記シール材ホルダ16を前記本係止位置まで押し込むことができないので、当該雌端子10の半挿入状態を事前に検知することが可能になる。
【0058】
一方、雄コネクタC2においては、図7(a)に示すように雄ハウジングの後側部分22に前側部分21を仮係止位置に保持させた状態、すなわち、前記前側部分21の二重ロック片21fが挿入溝22g内に前面22a側から挿入されながら当該前側部分21の周壁21bが後側部分22の前部に外嵌され、かつ、後側部分22の仮係止突起22eが前側部分21の貫通長孔21eに嵌まり込んでいる状態にしておく。そして、この状態で、予め電線Wの端末に圧着固定されている雄端子20を各端子収容室22c内に後方から(すなわちゴム栓圧入孔22dから)挿入する。
【0059】
このとき、ランス23は前側部分21の二重ロック片21fに拘束されていない状態にあるので、当該ランス23が一旦係止解除位置に待避するように撓み変形しながら雄端子20の挿入が進行し、その挿入が完了するときに前記ランス23が弾性復帰してその端子係止突起23aが雄端子20の底壁の貫通孔に嵌まり込むことにより、当該雄端子20が後側部分22側に一次係止される。さらに、電線Wが挿通されているゴム栓25を前記ゴム栓圧入孔22dに圧入することによって当該ゴム栓圧入孔22dから雄ハウジング内への水の浸入が防がれる状態となる。
【0060】
次に、前記図7(a)に示す仮係止位置から前側部分22を後側部分21側へさらに押し込んで同図(b)の本係止位置(すなわち本係止突起22fが貫通長孔21dの後端に嵌まり込む位置)まで移行させると、当該前側部分22に固着されている雄側シール材24が後側部分22の前面22aに密着するとともに、当該前側部分21の各二重ロック片21fが各ランス23の下方にまで入り込み、当該ランス23を係止位置に拘束する。これにより、各雄端子20が二重ロックされるとともに、雄コネクタC2の組立てが完了する。ここでも、正規の位置まで十分に挿入されていない雄端子20が存在する場合には、これに対応するランス23が係止位置に変位することができず、よって前記前側部分21を前記本係止位置まで押し込むことができないので、当該雄端子20の半挿入状態を事前に検知することが可能になる。
【0061】
このようにして組み上げた両コネクタC1,C2を嵌合すると、互いに嵌合される端子対10,20毎に個別に有効な防水がなされることとなる。すなわち、図1に示すように、各雄端子20のタブ20aの電気接続部20cが雌ハウジング12の雄端子挿入孔12bを通じて雌端子10の電気接続部10a内に嵌入されて両端子10,20が導通状態になるとともに、各雄端子20毎に形成されている突出部25がシール材ホルダ16の突出部挿通孔16dに挿通されるようにして雌側シール材14における貫通孔14aのシール用凸部14bに全周にわたって密着するため、前記雄端子挿入孔12bから雌ハウジング12内に水が浸入することが前記雌側シール材14によって防がれる。
【0062】
また、雄コネクタC2においても、その雄ハウジングが成形上、前側部分21と後側部分22とに分割されているにもかかわらず、両部分21,22の間に挟み込まれる雄側シール材24によって、各雄端子20ごとの個別防水機能が担保される。しかも、その分割構造を利用して、簡素な構造で雄端子20の二重ロックをすることが可能となっている。
【0063】
次に、本発明の第2の実施の形態を図8に基づいて説明する。
【0064】
この実施の形態では、前記図1〜図4に示した構造と同等の構造をもつ2つの防水雌コネクタC1をそれぞれ電線の端末に設け、これらの防水雌コネクタC1同士を防水用の中継コネクタC3を介して中継接続するようにしている。
【0065】
前記中継コネクタC3は、前記雌コネクタC1の各雌端子10に対応する複数の中継端子30が絶縁ハウジング32と一体にモールドされたものであり、各中継端子30は、両端に電気接続部30aをもつピン状をなし、その中間部が前記絶縁ハウジング32に保持されている。
【0066】
この絶縁ハウジング32は、その軸方向と直交する方向に広がる本体壁33と、この本体壁33の周縁から軸方向の両側に延びる筒状のフード34とを一体に有し、前記本体壁33をその厚み方向に前記各中継端子30が貫く状態で当該中継端子30の中間部が前記本体壁33に密着状態で保持されるとともに、各中継端子30の両電気接続部30aが前記フード34によって外側から覆われている。また、各フード34にはロック用撓み片36が形成され、各ロック用撓み片36には前記各雌コネクタC1のコネクタ結合ロック用突起12eが嵌まり込むロック用係止孔36aが形成されている。
【0067】
なお、前記中継端子30と絶縁ハウジング32とを一体にモールドする代わりに、予め絶縁ハウジング32の本体壁33に設けておいた貫通孔に中継端子30を圧入する構造を採用してもよい。要は、中継端子30が絶縁ハウジング32側に密着状態で保持されることにより雌コネクタC1側の端子別防水機能が担保される状態となっていればよい。
【0068】
この中継コネクタC3の特徴として、前記本体壁33の両面にそれぞれ突出部35が形成されている。これらの突出部35は、前記図1等に示される雄コネクタC2の突出部25と同様に、各中継端子30毎に設けられ、その電気接続部30aよりも後側(本体壁33側)の部分を覆う筒状に形成されるとともに、前記各雌コネクタC1のシール材34における各貫通孔34aのシール用凸部34bに全周にわたって密着する外径を有している。
【0069】
なお、図例では、雌ハウジング12の後部の防水手段として、前記図1に示したシール用ゴム栓15を使用する代わりに、各電線Wが密着状態で挿通される板状のシール材17が用いられており、当該シール材17が雌ハウジング12の後部空洞内に圧入された状態でその外側に蓋18が装着された構造となっている。
【0070】
以上示した防水コネクタにおいて、前記中継コネクタC3における各中継端子30の両電気接続部30aと前記各雌コネクタC1における雌端子10の電気接続部10aとを図8(b)に示すように嵌合することにより、当該中継端子30を媒介として両雌コネクタC1の雌端子10同士を電気的に接続することができるとともに、前記中継コネクタC3における本体壁33の両側の突出部35がそれぞれ各雌コネクタC1のシール材34のシール用凸部34bに密着することによって、両雌コネクタC1における雌ハウジング12の雄端子挿入孔12b内から当該雌ハウジング12内に水が浸入するのを各雌端子10毎に個別に防ぐことが可能になる。従って、前記第1の実施の形態と同様、各雌コネクタC1の個別防水機能は確保しながら、当該雌コネクタC1の雌端子10同士を中継端子30を介して電気的に接続することが可能となる。
【0071】
その他、本発明は例えば次のような実施の形態をとることが可能である。
【0072】
・図1等に示した雄コネクタC2では、二重ロック片21fがランス23を係止位置に拘束することにより雄端子20が二重ロックされるように構成されているが、例えば当該ランス23による雄端子20の係止箇所とは別の箇所で当該ランス23とは別に二重ロック部が直接雄端子20を係止する(すなわち二重係止する)ようにしてもよい。また、本発明に係る防水雄コネクタは、必ずしも二重ロック機能を有することを要しない。この点は、相手方の防水雌コネクタについても同様である。
【0073】
・雄ハウジングの具体的な形状は適宜設定可能である。例えば前記前側部分21の周壁21bを省略して前記二重ロック片21fが後側部分22側に係止されるような構造にしてもよいし、逆にフード26を省略するようにしてもよい。
【0074】
・前記中継コネクタC3を用いる場合、これを媒介として接続される雌コネクタC1は、互いに同一形状及び同一構造のものでもよいし、当該形状や構造が異なるものでもよい。前者の場合には防水コネクタ全体の量産性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態に係る防水コネクタの結合状態を示す断面側面図である。
【図2】(a)は前記防水コネクタを構成する雌コネクタの雌ハウジングを示す正面図、(b)はその断面側面図である。
【図3】(a)は前記雌コネクタのシール材ホルダを示す正面図、(b)はその断面側面図である。
【図4】(a)は前記雌コネクタのシール材ホルダが仮係止位置にある状態を示す断面側面図、(b)は同シール材ホルダが本係止位置にある状態を示す断面側面図である。
【図5】(a)は前記防水コネクタを構成する雄コネクタの雌ハウジングの後側部分を示す断面側面図、(b)はその正面図である。
【図6】(a)は前記雄ハウジングの前側部分を示す断面側面図、(b)はその正面図である。
【図7】(a)は前記雄コネクタの前側部分が仮係止位置にある状態を示す断面側面図、(b)は同前側部分が本係止位置にある状態を示す断面側面図である。
【図8】(a)は前記雌コネクタともう一つの雌コネクタとを中継接続するための中継コネクタの例を示す断面側面図、(b)は当該中継コネクタによって雌コネクタ同士が接続された状態を示す断面側面図である。
【図9】従来の防水コネクタの一例を示す断面側面図である。
【符号の説明】
【0076】
C1 雌コネクタ
10 雌端子
10a 電気接続部
12 雌ハウジング
14 雌側シール材
14a 雌側シール材の貫通孔
C2 雄コネクタ
20 雄端子
20a タブ
20c 電気接続部
21 雄ハウジングの前側部分
21a 本体壁
21b 周壁
21f 二重ロック片
22 雄ハウジングの後側部分
24 雄側シール材
24a 雄端子挿通孔
25 突出部
26 フード
C3 中継コネクタ
30 雄端子
32 絶縁ハウジング
33 本体壁
35 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の雌端子が雌ハウジングに保持されるとともに各雌端子の前方に当該雌端子に対応する貫通孔をもつ雌側シール材が設けられている防水雌コネクタに結合される防水雄コネクタであって、
電線の端末に固定され、前記各雌端子にそれぞれ嵌入可能な電気接続部を有する複数の雄端子と、
これらの雄端子を個別に収容する端子収容室及びこの端子収容室内に雄端子を係止する端子係止部を有するとともにこれらの雄端子の電気接続部が前方に突出する姿勢で当該雄端子を保持する雄ハウジングとを備え、
この雄ハウジングの前面からは、前記各雄端子毎に突出して当該雄端子の前記電気接続部よりも後方の部分を覆うとともに当該電気接続部が前記雌端子に嵌入される際に前記シール材の貫通孔の内周面に密着することにより雌ハウジング内への水の浸入を防止する形状を有する突出部が突出し、
さらに、この雄ハウジングは、前記突出部を含む前側部分と前記端子収容室及び前記端子係止部を含む後側部分とに分割され、これら前側部分と後側部分との間に前記雄端子が個別に挿通可能な雄端子挿通孔を有する雄側シール材が挟み込まれた状態で当該前側部分と後側部分とが合体するように構成されていることを特徴とする防水雄コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載の防水雄コネクタにおいて、前記前側部分は前記後側部分に結合されるに際して当該後側部分内にその前面側から挿入される二重ロック部を有し、この二重ロック部は、当該前側部分が前記後側部分に完全結合された状態で前記雄端子を前記後側部分側に二重ロックすることを特徴とする防水雄コネクタ。
【請求項3】
請求項2記載の防水雄コネクタにおいて、前記雄ハウジングの後側部分は、この後側部分内に前記前側部分の二重ロック部が挿入されるが当該二重ロック部は前記雄端子を二重ロックしない仮係止位置に当該前側部分を係止する仮係止部と、この後側部分に前記前側部分が完全結合される本係止位置に当該前側部分を係止する本係止部とを有することを特徴とする防水雄コネクタ。
【請求項4】
請求項2または3記載の防水雄コネクタにおいて、前記雄ハウジングの後側部分の端子係止部は、前記雄端子を係止する係止位置と当該雌端子の係止を解除する係止解除位置とに変位可能なランスであり、前記前側部分の二重ロック部は前記ランスを前記係止位置に拘束することにより前記雌端子を二重ロックするものであることを特徴とする防水雄コネクタ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の防水雄コネクタにおいて、前記雄ハウジングの前側部分は、前記後側部分の前面を覆う形状を有するとともに前記突出部が形成された本体壁と、この本体壁の周縁部から前記雄ハウジングの後側部分側に延びて当該後側部分の外周面に係合される周壁と、前記本体壁の周縁部から前記周壁と反対側に延びて前記雄端子の電気接続部を覆うフードとを一体に有する筒状をなし、前記本体壁の裏面と前記後側部分の前面との間に前記雄側シール材を挟み込むように構成されていることを特徴とする防水雄コネクタ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の防水雄コネクタと、この防水雄コネクタに結合される防水雌コネクタとを備え、この防水雌コネクタは、前記各雄端子の電気接続部が嵌入される雌端子と、これらの雌端子を保持するとともに各雌端子の前方に当該雌端子に嵌入される雄端子が挿入可能な雄端子挿入孔を有する雌ハウジングと、この雌ハウジングの前面に密着するとともに前記各雄端子挿入孔に対応する位置に貫通孔をもつ雌側シール材とを備え、この雌側シール材の各貫通孔の内周面に前記防水雄コネクタの各突出部の外周面が密着することにより前記雄端子挿入孔から雌ハウジング内への水の浸入を防止するように構成されていることを特徴とする防水コネクタ。
【請求項7】
複数の雌端子が雌ハウジングに保持されるとともに各雌端子の前方に当該雌端子に対応する貫通孔をもつ雌側シール材が設けられている防水雌コネクタ同士を中継接続するための中継コネクタであって、
前記各防水雌コネクタの雌端子にそれぞれ嵌入可能な雄型の電気接続部を両端に有する複数の中継端子と、
これら中継端子の中間部分を密着状態で保持する本体壁をもつ絶縁ハウジングとを備え、
前記本体壁の両面には、前記各雄端子毎に突出して当該雄端子の前記電気接続部よりも後方の部分を覆うとともに当該電気接続部が前記雌端子に嵌入される際に前記雌側シール材の貫通孔の内周面に密着することにより雌ハウジング内への水の浸入を防止する形状を有する突出部が突出していることを特徴とする防水用中継コネクタ。
【請求項8】
請求項7記載の防水用中継コネクタと、この防水用中継コネクタを介して互いに中継接続される防水雌コネクタ対とを備え、各防水雌コネクタは、前記各中継端子の電気接続部が嵌入される雌端子と、これらの雌端子を保持するとともに各雌端子の前方に当該雌端子に嵌入される雄端子が挿入可能な雄端子挿入孔を有する雌ハウジングと、この雌ハウジングの前面に密着するとともに前記各雄端子挿入孔に対応する位置に貫通孔をもつ雌側シール材とを備え、この雌側シール材の各貫通孔の内周面に前記防水用中継コネクタの各突出部の外周面が密着することにより前記雄端子挿入孔から雌ハウジング内への水の浸入を防止するように構成されていることを特徴とする防水コネクタ。
【請求項9】
請求項8記載の防水コネクタにおいて、前記中継コネクタを介して中継接続される防水雌コネクタが互いに同一の形状及び同一の構造を有するものであることを特徴とする防水コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−147254(P2006−147254A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333549(P2004−333549)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】