説明

防水コネクタ

【課題】防水栓の損傷がより確実に抑制され防水性能が確保される防水コネクタを提供する。
【解決手段】ホルダー40と絶縁ハウジング20との間に弾性変形した状態で挟み込まれる防水栓30を、第一防水栓31と、この第一防水栓31に設けられた第一貫通孔31aの内側に設けられる第二防水栓32とで構成するとともに、第二防水栓32の硬度を第一防水栓31の硬度よりも低く設定し、防水栓30を前記絶縁ハウジング20の後面26aと前記ホルダー40との間で挟むことにより、第一防水栓31の外周面と絶縁ハウジングの収容壁26の内周面26bとを密着させ、かつ、前記第二防水栓32に形成された第二貫通孔32aの内周面とこの第二貫通孔32aに挿通された電線1の外周面とを密着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線が接続された端子が挿入される端子収容室内への浸水を防止する防水栓を備えた防水コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用ワイヤハーネス等に適用されるコネクタとしては、防水機能を有したいわゆる防水コネクタが各種開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、電線が接続される端子と、この端子を保持する絶縁ハウジングと、ホルダーと、この絶縁ハウジングとホルダーとの間に介在する防水栓とを備える防水コネクタが開示されている。前記絶縁ハウジングは、前記端子が挿入可能な端子収容室と、この端子収容室が開口する後面から後方に延びて前記防水栓を収容する収容壁とを有している。前記防水栓は、弾性部材からなり、前記端子収容室に対応する位置に前記端子を挿通可能な端子挿通孔を有している。
【0004】
この防水コネクタでは、前記防水栓が前記絶縁ハウジングと前記ホルダーとの間で弾性変形し、防水栓の外周面が前記絶縁ハウジングの収容壁の内周面に圧接することで、この防水栓の外周面と前記収容壁の内周面との隙間が密閉され、この防水栓と収容壁との隙間から端子収容室への浸水が抑止される。また、前記端子は、前記防水栓が弾性変形した状態で前記端子挿通孔を拡径しつつ当該端子挿通孔に挿通された後、前記端子収容室に挿入され、当該端子収容室にて前記絶縁ハウジングに保持される。このとき、前記端子挿通孔の内周面が前記端子に接続された電線の外周面に圧接することで、この電線の周囲から端子収容室への浸水が抑止される。
【特許文献1】特開2000−82529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のような従来の防水コネクタでは、前記端子の前端部分等で前記端子挿通孔を拡径しつつこの端子を端子挿通孔に挿通していくため、端子の角部等が前記防水栓を損傷するおそれがある。これに対して、例えば、防水栓の硬度を低くして防水栓を端子に対して柔軟に変形させることで、前記端子挿通孔を容易に拡径させ、前記防水栓の損傷を抑制することが考えられる。しかしながら、防水栓の硬度を単純に低くしてしまうと、防水栓の弾発力が低下しこの防水栓の前記絶縁ハウジングの収容壁への圧接力が低下する結果、防水栓と前記収容壁との隙間を十分に密閉できなくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、防水栓の損傷をより確実に抑えることができるとともに防水性能を確保することのできる防水コネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、電線が接続される端子と、この端子の軸方向に沿って当該端子が後方から挿入される端子収容室を複数有するとともに、当該端子収容室に挿入された前記端子をそれぞれ保持する端子保持部を有する絶縁ハウジングと、前記端子収容室の後方の位置で前記絶縁ハウジングに固定されるホルダーと、前記ホルダーと前記絶縁ハウジングとにより前後から挟みこまれる防水栓とを備え、前記絶縁ハウジングは、前記端子収容室の端子挿入口が開口する後面よりも後方に延びて前記防水栓をその内側に収容する収容壁を有し、前記防水栓は、弾性部材からなり、前記複数の端子収容室にそれぞれ対応する位置に前記端子の挿入方向に貫通する第一貫通孔が複数形成された第一防水栓と、前記第一防水栓よりも硬度の低い弾性部材からなり、前記第一貫通孔の内側にそれぞれ設けられて当該第一貫通孔の内周面全体にわたって接着される複数の第二防水栓とを有し、前記第一防水栓は、前記絶縁ハウジングの後面と前記ホルダーの前面とに挟まれて前記絶縁ハウジングの収容壁の内側で弾性変形することにより、その外周面が前記収容壁の内周面に密着する形状を有し、前記第二防水栓は、前記端子を当該端子の軸方向に沿って挿通可能な第二貫通孔を有するとともに、前記絶縁ハウジングの後面と前記ホルダーの前面とに挟まれて前記第一防水栓の第一貫通孔の内側で弾性変形することにより、前記第二貫通孔の内周面と当該第二貫通孔に挿通された前記端子に接続される電線の外周面とが密着する形状を有することを特徴とする防水コネクタを提供する(請求項1)。
【0008】
このような構造によれば、端子による防水栓の損傷が抑制されるとともに、前記防水栓の外周面と前記絶縁ハウジングの収容壁の内周面との隙間および前記防水栓と電線との隙間がより確実に密閉され、前記各隙間から前記端子収容室への浸水がより確実に抑制される。
【0009】
すなわち、本防水コネクタでは、端子が挿通される前記第二貫通孔が形成された第二防水栓の硬度が低く設定されており、この第二防水栓は、前記第二貫通孔への端子挿通時に前記端子に対して柔軟に変形することができる。このことは、前記端子による第二防水栓の損傷を抑制し、前記第二貫通孔の内周面とこの第二貫通孔に挿通された電線との隙間をより確実に密閉する。しかも、前記第二防水栓は、硬度の高い前記第一防水栓の第一貫通孔の内側に、この第一貫通孔の内周面と接触する状態で設けられており、この第一防水栓および第二防水栓を含む前記防水栓が前記絶縁ハウジングとホルダーとの間で弾性変形する際に、前記絶縁ハウジングと前記ホルダーとによる押圧力に加えて前記第一防水栓の弾発力を受ける。その結果、前記第二防水栓は、十分に弾性変形することができ、前記第二貫通孔の内周面を十分な圧接力でこの第二貫通孔に挿通された前記電線の外周面に密着させることができる。このことは、前記電線の周囲をより一層確実に密閉し、前記端子収容室への浸水を抑制する。
【0010】
さらに、前記絶縁ハウジングの収容壁に密着する前記第一防水栓の硬度が高く維持されており、この第一防水栓の弾発力が確保されているので、この第一防水栓は十分な圧接力で前記収容壁の内周面に密着することができる。このことは、この第一防水栓の外周面と前記収容壁の内周面との隙間をより確実に密閉し、この隙間からの浸水をより確実に抑制する。
【0011】
また本発明において、前記第一防水栓と前記複数の第二防水栓とは、二色成形により互いに一体に形成されるのが好ましい(請求項2)。
【0012】
この構造によれば、前記第二防水栓に前記第一防水栓の弾発力をより均一に作用させることができるとともに、この第二防水栓と第一防水栓とがより確実に密着し、この第二防水栓と第一防水栓との隙間からの浸水をより確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、防水栓の損傷を抑止しつつ防水性能を向上することのできる防水コネクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る防水コネクタの実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る防水コネクタの分解断面図である。この図に示すように、本防水コネクタ10は、電線1が接続される金属製の端子2と、樹脂等からなる絶縁ハウジング20およびホルダー40と、弾性部材からなる防水栓30とを有している。
【0016】
前記端子2は、図1に示すように、相手側端子金具と接続される電気接触部2dと、電線1に圧着されるバレル2eと、後述する絶縁ハウジング20の端子保持部22と係合する被係止部2fとを有している。電線1は、前記バレル部2eが電線1に圧着されることで端子2に固定される。
【0017】
前記絶縁ハウジング20は、前記電線1が接続された端子2を相手方コネクタと接続可能なように保持するためのものである。この絶縁ハウジング20には、複数の端子収容室24と、収容壁26とが設けられている。
【0018】
前記端子収容室24は、前記端子2を収容するためのものであり、この端子収容室24には、端子2がその軸方向に沿って後方から挿入される。この端子収容室24の下方にはそれぞれ端子保持部22が設けられている。そして、この端子収容室24に挿入された端子2は、その下方に設けられた前記被係止部2fと前記端子保持部22とが係合することによりこの絶縁ハウジング20に保持される。
【0019】
前記収容壁26は、その内側に前記防水栓30およびホルダー40を収容するためのものである。この収容壁26は、前記端子収容室24の端子挿入口24aが開口する後面26aよりも後方に延びる略筒状を有している。この収容壁26の下方には、後述するホルダー40のホルダー被係止突起42cと係合するホルダー係止孔26cが設けられている。そして、前記ホルダー40は、このホルダー被係止突起42cとホルダー係止孔26cとの係合によって、その前面42aで前記防水栓30を前記収容壁26の後面26aに押圧した状態で絶縁ハウジング20に固定される。
【0020】
前記防水栓30は、前記端子収容室24内への浸水を抑止するためのものである。この防水栓30は、図2(a),(b)に示すように、第一防水栓31と、複数の第二防水栓32とからなる。
【0021】
前記第一防水栓31は、その硬度が比較的高く十分な弾発力を有するよう構成された略板状の弾性部材である。本実施形態では、この第一防水栓31は、硬度が30〜50度の範囲に設定されたシリコーンゴムからなる。また、この第一防水栓31は、前記絶縁ハウジング20の収容壁26の内側に収容され、前記絶縁ハウジング20の後面26aと後述するホルダー40の前面42aとの間で挟まれて弾性変形することにより、その外周面が前記収容壁26の内周面26bに密着するような形状を有している。特に、この第一防水栓31は、前述のように十分な弾発力を有しており、弾性変形することにより、十分な圧接力で前記収容壁26の内周面26bに密着する。そして、この第一防水栓31は、前記密着により、第一防水栓31の外周面と前記収容壁26の内周面26bとの隙間を密閉することで、この隙間から前記端子収容室24に水が浸入するのを抑止する。さらに、この第一防水栓31の外周面にはリップ部31bが設けられており、このリップ部31bによって前記第一防水栓31の外周面と前記収容壁26の内周面26bとの密着性が高められるよう構成されている。
【0022】
また、前記第一防水栓31には、前記端子収容室24にそれぞれ対応する位置に複数の第一貫通孔31aが形成されている。これら第一貫通孔31aは、端子2の挿入方向に貫通しており、その内側にそれぞれ後述する第二防水栓32が設けられるようになっている。
【0023】
前記第二防水栓32は、その硬度が前記第一防水栓31よりも低く、外力に対して柔軟に変形できるよう構成された略筒状の弾性部材である。本実施形態では、この第二防水栓32は、硬度が20度程度に設定されたシリコーンゴムからなる。この第二防水栓32は、その外周面が前記第一貫通孔31aの内周面全体に接触した状態で、この第一貫通孔31aの内側に設けられており、前記絶縁ハウジング20の後面26aとホルダー40の前面42aとで挟まれることで、前記第一防水栓31とともに弾性変形する。本実施形態では、この第二防水栓32と前記第一防水栓31とは二色成形により互いに一体に形成されており、第二防水栓32の外周面は前記第一貫通孔31aの内周面に密着している。
【0024】
前記各第二防水栓32のさらに内側には、端子2をその軸方向に沿って挿通可能な第二貫通孔32aがそれぞれ形成されている。この第二貫通孔32aの端子2の挿通口部分には、前記端子2の挿通時に端子2をこの第二貫通孔32aに案内するテーパ状の誘い込み部32bが形成されている。また、この第二貫通孔32aの孔径は、この第二防水栓32を含む防水栓30が前記絶縁ハウジング20とホルダー40との間で弾性変形した状態にて、少なくとも電線1および端子2の外径よりも小さくなるような大きさであり、この孔径を拡大させつつ端子2および電線1が挿通されるよう構成されている。そして、前記第二防水栓32は、前記端子2が前記第二貫通孔32aにこの第二貫通孔32aの孔径を拡大しつつ挿通されることにより外向きに弾性変形し、その復元力によって電線1の外周面に密着する。
【0025】
ここで、前記第二防水栓32は、前述のように前記第一防水栓31に形成された第一貫通孔31aの内側に設けられている。そのため、この第二防水栓32は、前記第一防水栓31の弾性変形に伴い、その外周面全体にわたって前記第一貫通孔31aの内周面から径方向内側に向けた第一防水栓31の弾発力を受ける。従って、この第二防水栓32は、前記第一貫通孔31aの内側で十分に弾性変形することができ、前記電線1の外周面に十分な圧接力で密着することができる。そして、前記第二防水栓32は、前記のような電線1の外周面との密着により、前記第二貫通孔32aの内周面と前記電線1の外周面との隙間を密閉することで、この隙間からの浸水を抑制する。
【0026】
本実施形態では、外径が1.7mmの電線1に対して第二防水栓32の外径が2.1mm、前記第二貫通孔32aの内径が1.3mmに設定されており、第二貫通孔32aの内周面と電線1とが確実に密着するよう構成されている。ただし、前記第二防水栓32の具体的な形状はこれに限らず、第二貫通孔32aと電線1とが十分に密着できる形状であればよい。また、本発明では、前記第二防水栓32の硬度が第一防水栓31の硬度よりも低ければよく、各硬度の具体的な値は前記に限らない。また、各防水栓31,32の材質もシリコーンゴムに限らない。
【0027】
前記ホルダー40は、前記防水栓30を絶縁ハウジング20の後面26aとの間で弾性変形した状態で保持するためのものである。このホルダー40は、前記絶縁ハウジング20の収容壁26の内側に収容されるような形状を有しており、本体部42と、ホルダー被係止突起42cとを有している。
【0028】
前記本体部42は、前記防水栓30を後方から覆うような略板状部材であり、その前面42aで防水栓30の後端面、すなわち、前記第一防水栓31の後端面および各第二防水栓32の後端面を押圧する。この本体部42には、防水栓30の前記第二貫通孔32aと対応する位置に、電線1が接続された端子2が挿通可能な複数のホルダー側端子挿通孔44が形成されている。
【0029】
前記ホルダー被係止突起42cは、前記絶縁ハウジング20に設けられたホルダー係止孔26cと係合する部分であり、前記本体部42の下方に設けられている。そして、前記防水栓30は、このホルダー係止孔26cとホルダー被係止突起42cとが係合することで、前記本体部42の前面42aと絶縁ハウジング20の後面26aとの間で弾性変形した状態で保持される。
【0030】
次に、以上の構成要素を組み付ける方法について説明する。
【0031】
まず、図3に示すように、前記絶縁ハウジング20の収容壁26の内側に、前記防水栓30および前記ホルダー40を収容し、前記ホルダー40のホルダー被係止突起42cと前記収容壁26のホルダー係止孔26cとを係合する。このとき、前記第一防水栓31は、前記絶縁ハウジング20の後面26aと前記ホルダー40の前面42aとにより挟まれて、前記収容壁26の内周面26bに十分な圧接力で密着しつつ弾性変形する。また、前記第二防水栓32は、前記第一防水栓31の第一貫通孔31aの内側でそれぞれ弾性変形する。
【0032】
次に、電線1が接続された端子2を、ホルダー40のホルダー側端子挿通孔44に挿通する。さらに、前記ホルダー側端子挿通孔44に挿入された端子2を、図4に示すように、前記第二貫通孔32aに挿通する。具体的には、端子2の前端部分で前記第二貫通孔32aを徐々に拡径しつつ、端子2を、前記誘い込み部32bに沿ってこの第二貫通孔32aに挿通する。前述のように、この第二貫通孔32aが形成された第二防水栓32は、その硬度が低く設定されており、端子2の挿通に沿って容易に変形することができる。そのため、端子2はこの第二貫通孔32aにスムーズに、すなわち、この端子2によって前記第二防水栓32が損傷するのが抑えられた状態で、この第二貫通孔32aに挿通されていく。
【0033】
端子2を前記第二貫通孔32aに挿通した後は、さらにこの端子2を前方に移動させて、図5に示すように、端子2の前記被係止部2fが前記端子保持部22に保持されるまで端子収容室24に挿入する。
【0034】
このように端子2が前記端子収容室24に挿入され前記端子保持部22に保持された状態では、前記第二貫通孔32aには、端子2に接続された電線1が挿通されている。そして、前記第二防水栓32は、その復元力により前記第二貫通孔32aを縮径する方向に変形し、第二貫通孔32aを囲む第二防水栓32の内周面は、前記電線1の外周面に密着している。
【0035】
ここで、前述のように、前記第一防水栓31の弾性変形に伴い前記第二防水栓32の外周面には、第一防水栓31の弾発力が作用する。そのため、この第二貫通孔32aは十分に縮径し、この第二貫通孔32aを囲む第二防水栓32の内周面は十分な圧接力で前記電線1の外周面に密着する。このようにして前記第二貫通孔32aを囲む第二防水栓32の内周面が前記電線1の外周面に密着し、この内周面と外周面との隙間が密閉されると、この隙間から前記端子収容室24への浸水が抑止される。
【0036】
また、前述のように、前記第一防水栓31の外周面は、前記絶縁ハウジング20の収容壁26の内周面26bに十分な圧接力で密着しており、第一防水栓31の外周面と前記収容壁26の内周面26bとの隙間は密閉されている。従って、この隙間から前記端子収容室24への浸水も抑止される。もちろん、前記第一防水栓31と第二防水栓32との隙間からの浸水も、これら第一防水栓31と第二防水栓32とが前述のように密着していることで抑制される。
【0037】
このように、本防水コネクタ10によれば、前記第二貫通孔32aへの端子挿通時に、前記第二防水栓32が損傷するのが抑えられるとともに、第二貫通孔32aを囲む第二防水栓32の内周面が十分な圧接力で前記電線1の外周面に密着し、前記第一防水栓31が十分な圧接力で前記収容壁26の内周面26bに密着することで、前記端子収容室24への水の浸入がより確実に抑制される。
【0038】
また、前記端子収容室24に収容された端子2を抜出する際においても、前記第二防水栓32が端子2の移動に伴って柔軟に変形することで、この第二防水栓32の損傷は抑制され、防水コネクタ10の防水性能は確保される。
【0039】
ここで、本発明は、前記第一防水栓31と第二防水栓32とが二色成形により一体に形成される場合に限らず、第一防水栓31と第二防水栓32とが接着剤等により接着されている場合も含む。ただし、前記のように、前記第一防水栓31と第二防水栓32を二色成形により一体に形成すれば、これら第一防水栓31と第二防水栓32との隙間をより確実に密閉することができ、この隙間から前記端子収容室24への浸水をより確実に抑制することができる。さらに、前記第一防水栓31の弾発力を前記第二防水栓32により均等に作用させることができ、第二防水栓32の第二貫通孔32aの内周面と電線1の外周面との隙間をより確実に密閉することができる。
【0040】
また、前記防水栓30を前記絶縁ハウジング20の後面26aと前記ホルダー40の前面42aとにより挟み込む前、すなわち、この防水栓30を弾性変形させる前に、前記第二貫通孔32aに端子2を挿通するようにしてもよい。このようにすれば、端子2の挿通時にこの端子2によって前記第二貫通孔32aの孔径を容易に拡径することができ、防水栓30の損傷をより一層確実に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る防水コネクタの分解断面図である。
【図2】(a)図1に示す防水コネクタに設けられる防水栓の正面図である。(b)(a)に示す防水栓の断面図である。
【図3】図1に示す絶縁ハウジングと防水栓とホルダーとを組み付けた状態で示す防水コネクタの分解断面図である。
【図4】第二貫通孔への端子の挿通過程を示す断面図である。
【図5】図1に示す防水コネクタを組み立てた状態で示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 電線
2 端子
10 防水コネクタ
20 絶縁ハウジング
22 端子保持部
24 端子収容室
24a 端子挿入口
26 収容壁
26a 後面
26c ホルダー係止孔
30 防水栓
31 第一防水栓
31a 第一貫通孔
32 第二防水栓
32a 第二貫通孔
40 ホルダー
42c ホルダー被係止突起
44 ホルダー側端子挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が接続される端子と、
この端子の軸方向に沿って当該端子が後方から挿入される端子収容室を複数有するとともに、当該端子収容室に挿入された前記端子をそれぞれ保持する端子保持部を有する絶縁ハウジングと、
前記端子収容室の後方の位置で前記絶縁ハウジングに固定されるホルダーと、
前記ホルダーと前記絶縁ハウジングとにより前後から挟みこまれる防水栓とを備え、
前記絶縁ハウジングは、前記端子収容室の端子挿入口が開口する後面よりも後方に延びて前記防水栓をその内側に収容する収容壁を有し、
前記防水栓は、弾性部材からなり、前記複数の端子収容室にそれぞれ対応する位置に前記端子の挿入方向に貫通する第一貫通孔が複数形成された第一防水栓と、前記第一防水栓よりも硬度の低い弾性部材からなり、前記第一貫通孔の内側にそれぞれ設けられて当該第一貫通孔の内周面全体にわたって接着される複数の第二防水栓とを有し、
前記第一防水栓は、前記絶縁ハウジングの後面と前記ホルダーの前面とに挟まれて前記絶縁ハウジングの収容壁の内側で弾性変形することにより、その外周面が前記収容壁の内周面に密着する形状を有し、
前記第二防水栓は、前記端子を当該端子の軸方向に沿って挿通可能な第二貫通孔を有するとともに、前記絶縁ハウジングの後面と前記ホルダーの前面とに挟まれて前記第一防水栓の第一貫通孔の内側で弾性変形することにより、前記第二貫通孔の内周面と当該第二貫通孔に挿通された前記端子に接続される電線の外周面とが密着する形状を有することを特徴とする防水コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の防水コネクタであって、
前記第一防水栓と前記複数の第二防水栓とは、二色成形により互いに一体に形成されることを特徴とする防水コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−43444(P2009−43444A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204417(P2007−204417)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】