説明

防炎性ポリエステル糸条およびその製造方法および防炎性カーテン

【課題】後加工により防炎剤が付与された防炎性ポリエステル糸条であって、防炎性のバラツキが小さい防炎性ポリエステル糸条およびその製造方法および防炎性カーテンを提供する。
【解決手段】パッケージ状に巻き取られたポリエステル糸条を、ノンハロゲン系防炎剤を含む浴中に入れ、加熱することにより、LOI値の最小値が25.0%以上、かつLOI値の最大値と最小値との差が1.0%以下の防炎性ポリエステル糸条を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後加工により防炎剤が付与された防炎性ポリエステル糸条およびその製造方法および防炎性カーテンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、防炎性ポリエステル繊維としては、繊維を形成するポリエステルポリマー中に防炎剤を練りこんだものや、後加工により防炎剤をポリエステル繊維に付与したもの(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−298188号公報
【特許文献2】特許第3382180号公報
【特許文献3】特開2004−232149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者の検討により、パッケージ状に巻き取られたポリエステル糸条に、後加工により防炎剤を付与すると、防炎剤の種類によっては、パッケージの内外層に防炎性のバラツキが発生することが判明した。本発明はかかる課題を達成するためになされたものであり、その目的は、後加工により防炎剤が付与された防炎性ポリエステル糸条であって、防炎性のバラツキが小さい防炎性ポリエステル糸条およびその製造方法および防炎性カーテンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、パッケージ状に巻き取られたポリエステル糸条に、後加工により防炎剤を付与する際、防炎剤としてノンハロゲン系防炎剤を使用することにより、防炎性のバラツキが小さい防炎性ポリエステル糸条が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明に想到した。
【0006】
かくして、本発明によれば「後加工により防炎剤が付与された防炎性ポリエステル糸条であって、前記防炎剤がノンハロゲン系防炎剤であり、かつ該防炎性ポリエステル糸条においてLOI値の最小値が25.0%以上、かつLOI値の最大値と最小値との差が1.0%以下であることを特徴とする防炎性ポリエステル糸条。」が提供される。
ただし、LOI値は、試料をJIS L0217 103法により1回洗濯した後にJIS L1091 E−3法により測定するものとする。
【0007】
その際、前記のノンハロゲン系防炎剤がリン系防炎剤であることが好ましい。また、防炎性ポリエステル糸条の総繊度が30〜1000dtexの範囲内であることが好ましい。かかる防炎性ポリエステル糸条に仮撚捲縮加工が施されていることが好ましい。また、防炎性ポリエステル糸条が、再生ポリエステルからなるポリエステル糸条に防炎剤が付与されたものであることが好ましい。さらに、防炎性ポリエステル糸条に染色加工が施されていることが好ましい。
【0008】
また、本発明によれば「パッケージ状に巻き取られたポリエステル糸条を、ノンハロゲン系防炎剤を含む浴中に入れ、加熱することにより、前記ノンハロゲン系防炎剤をポリエステル糸条に付与することを特徴とする防炎性ポリエステル糸条の製造方法。」が提供される。その際、防炎剤と同浴で染料を入れ染色加工を施すことが好ましい。
また、本発明によれば、前記の防炎性ポリエステル糸条を用いてなる防炎性カーテンが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、後加工により防炎剤が付与された防炎性ポリエステル糸条であって、防炎性のバラツキが小さい防炎性ポリエステル糸条およびその製造方法および防炎性カーテンが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明の防炎性ポリエステル糸条には、後加工によりノンハロゲン系防炎剤が付与されている。ハロゲン系防炎剤では、本発明の主目的である防炎性のバラツキの小さい防炎性ポリエステル糸条が得られず好ましくない。かかるノンハロゲン系防炎剤としては、ハロゲン系以外の防炎剤であれば特に限定されず、例えば、特許第3328180号公報の[0015]〜[0018]に開示されたリン系化合物や、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリイソプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリイソブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシリル、リン酸ジフェニルクレジル、リン酸メチルジフェニル、リン酸フェニルジエチルメチルホスホン酸ジメチル、エチルホスホン酸ジエチル、メチルホスホン酸ジプロピル、メチルホスホン酸トリブチル、ブチルホスホン酸ジブチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジクレジル、フェニルホスホン酸ジキシリル、フェニルホスホン酸フェニルクレジル、ジメチルホスフィン酸ジメチル、ジエチルホスフィン酸エチル、ジメチルホスフィン酸プロピル、ジチルホスフィン酸ブチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸クレジル、ジフェニルホスフィン酸ジキシリ、トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド、トリ−n−プロピルホスフィンオキイド、トリ−n−ブチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリ−n−ヘキシルホスフィンオキイド、トリ−n−オクチルホスフィンオキサイド、トリス−3−ヒドロキシプロピルホスフィンオキサイド、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジクレジルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAジフェニルホスフェート)ビスフェノールAビス(ジクレジルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジキシレニルホスフェート)、レゾルシノール(フェニルホスホン酸フェニル)、ハイドロキノン(フェニルホスホン酸フェニル)、ビスフェノールA(フェニルホスホン酸フェニル)、2−カルボキシエチル−メチルホスフィン酸、2−カルボキシエチル−エチルホスフィン酸、2−カルボキシエチル−プロピルホスフィン酸、2−カルボキシエチル−フェニルホスフィン酸、2−カルボキシエチル−m−トルイルホスフィン酸、2−カルボキシエチル−p−トルイルフェニルホスフィン酸、2−カルボキシエチル−キシリルホスフィン酸、2−カルボキシエチル−ベンジルホスフィン酸、2−カルボキシメチル−メチルホスフィン酸、2−カルボキシエチル−プロピルホスフィン酸、2−カルボキシメチル−フェニルホスフィン酸、2−カルボキシメチル−m−トルイルホスフィン酸、2−カルボキシメチル−p−トルイルフェニルホスフィン酸、2−カルボキシメチル−キシリルホスフィン酸、2−カルボキシメチル−ベンジルホスフィン酸、およびその無水物、その低級アルキル(炭素数1〜4)エステル、ハライド(クロライドなど)、ビス−(2−カルボキシエチル)フェニルホスフィンオキシド、ビス−(2−カルボキシエチル)m−トルイルホスフィンオキシド、ビス−(2−カルボキシエチル)m−トルイルホスフィンオキシド、ビス−(2−カルボキシエチル)p−トルイルホスフィンオキシド、ビス−(2−カルボキシエチル)キシリルホスフィンオキシド、ビス−(2−カルボキシエチル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス−(2−カルボキシメチル)フェニルホスフィンオキシド、ビス−(2−カルボキシメチル)m−トルイルホスフィンオキシド、ビス−(2−カルボキシメチル)m−トルイルホスフィンオキシド、ビス−(2−カルボキシメチル)p−トルイルホスフィンオキシド、ビス−(2−カルボキシメチル)キシリルホスフィンオキシド、ビス−(2−カルボキシメチル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス−(2−カルボキシメチル)−m−エチルベンジルホスフィンオキシド、およびその無水物、その低級アルキル(炭素数1〜4)エステル、ハライド(クロライドなど)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらにこれらの混合物を用いることも可能である。
【0011】
かかるノンハロゲン系防炎剤の付与量としては、ポリエステル糸条の重量に対して10〜40重量%(owf)であることが好ましい。防炎剤の付与量が10重量%よりも小さいと十分な防炎性が得られないおそれがある。逆に、防炎剤の付与量が40重量%よりも大きいとコストアップとなるおそれがある。
【0012】
次に、本発明の防炎性ポリエステル糸条において、LOI値の最小値が25.0%以上(好ましくは25.0〜29.8%)、かつLOI値の最大値と最小値との差が1.0%以下(好ましくは0.5%以下)であることが肝要である。LOI値の最小値が25.0%よりも小さいと、防炎性ポリエステル糸条を用いてカーテンなどの防炎性繊維製品を得ると、部分的に防炎性に劣る個所が存在することとなり好ましくない。LOI値の最大値と最小値との差が1.0%よりも大きい場合も、同様の理由で好ましくない。
ただし、LOI値は、試料をJIS L0217 103法により1回洗濯した後にJIS L1091 E−3法により測定するものとする。
【0013】
本発明のポリエステル糸条を形成するポリエステルとしては、テレフタル酸を主たる酸成分とし、炭素数2〜6のアルキレングリコール、すなわちエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種のグリコール、特に好ましくはエチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルが例示される。かかるポリエステルには、必要に応じて少量(通常30モル%以下)の共重合成分を有していてもよい。
【0014】
例えばポリエチレンテレフタレートの場合について説明すると、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのごときテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるかまたはテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレフタル酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体を生成させる第1段階の反応と、第1段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応によって製造されたものでよい。また、再生ポリエステルであってもよい。かかる再生ポリエステルには、ペットボトルを原料とし、加熱して溶融また溶剤により溶解してペレット化し、再度、溶融紡糸することなどにより得られる再生ポリエステル、およびケミカルリサイクルにより得られる再生ポリエステルを含む。
【0015】
また、ポリエステル中には、必要に応じて、艶消し剤、微細孔形成剤、カチオン可染剤、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤、蛍光増白剤、着色剤、帯電防止剤、吸湿剤、抗菌剤、マイナスイオン発生剤等を1種又は2種以上を添加してもよい。
【0016】
本発明の防炎性ポリエステル糸条において、総繊度が30〜1000dtexの範囲内であることが好ましい。また、単繊維繊度が0.1〜5.0dtex、フィラメント数が30〜300本の範囲内であることが好ましい。糸条の形態としては、短繊維でもよいし長繊維(マルチフィラメント)でもよいが、後者が好ましい。かかる長繊維には通常の仮撚捲縮加工が施されていることが好ましい。さらには、撚糸や空気加工が施されていてもよい。単糸の横断面形状も特に限定されるものではなく、通常の丸型だけでなく、扁平、くびれ付き扁平、三角、Y型、T型、U型などの異型であってもよい。
【0017】
次に、本発明の防炎性ポリエステル糸条の製造方法について説明する。
本発明の防炎性ポリエステル糸条は、チーズ染色機等を使用して、パッケージ状に巻き取られたポリエステル糸条を、前記のようなノンハロゲン系防炎剤を含む浴中に入れ、加熱することにより、前記ノンハロゲン系防炎剤をポリエステル糸条に付与することにより製造することができる。
【0018】
その際、防炎剤としてノンハロゲン系防炎剤を使用することが特に肝要である。ノンハロゲン系防炎剤では、防炎性(LOI値)のバラツキが小さい防炎性ポリエステル糸条が得られず好ましくない。この理由は、ハロゲン系防炎剤は粒子径が大きいため、パッケージの内層まで浸透し難いため内外層で防炎性のバラツキが発生し、一方、リン系などのノンハロゲン系防炎剤は粒子径が小さいので、パッケージの内層まで浸透し、内外層で防炎性のバラツキが発生し難くなると推定している。
【0019】
パッケージの巻き密度としては、0.15〜0.50g/cmの範囲内であることが好ましい。該巻き密度が0.50g/cmよりも大きいと防炎性のバラツキが大きくなるおそれがある。逆に、該巻き密度が0.15g/cmよりも小さいとパッケージ状の形状を得るのが困難となるおそれがある。ポリエステル糸条に仮撚捲縮加工が施されていると、かかる巻き密度を有するパッケージを容易に得ることができ好ましい。
【0020】
また、加熱の条件としては、温度130〜135℃、時間20〜40分間の範囲内であることが好ましい。ノンハロゲン系防炎剤の浴比としては、10〜40%owfであることが好ましい。また、防炎加工の前または同時または後に染色加工を施してもよい。特にノンハロゲン系防炎剤と同浴で染色剤を入れ染色加工を施すと、別々に加工を行う場合と比べて工程が簡略化され好ましいことである。
【0021】
かくして得られた防炎性ポリエステル糸条は、防炎性のバラツキが小さいので、該防炎性ポリエステル糸条を用いて織編物を製編織した後、防炎性カーテン、防炎性衣服、椅子被覆材、カーシートなどの繊維製品を得ると、防炎性の低い個所のない高品位の繊維製品が得られる。なかでも、防炎性カーテンとして好適に使用することができる。
【0022】
なお、かかる繊維製品には、常法のアルカリ減量加工、染色加工、吸水加工、撥水加工、起毛加工、紫外線遮蔽あるいは制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
【実施例】
【0023】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
(1)防炎性
サンプリングした試料をJIS L0217 103法により1回洗濯した後、JISL1091 E−3法によりLOI値を測定した。また、LOI値の最大値と最小値との差は下記式により算出した。
(LOI値の最大値と最小値との差)[%]=(LOI値の最大値)[%]−(LOI値の最小値)[%]
【0024】
[実施例1]
ケミカルリサイクルされたポリエチレンテレフタレート(帝人ファイバー(株)エコペット(登録商標))からなる仮撚捲縮加工糸330dtex/96filを用いて、巻き密度0.40g/cmのパッケージ状に巻かれたポリエステル糸条1kgを得た。
次いで、通常のチーズ染色機を用いて、前記のパッケージ状に巻かれたポリエステル糸条1kg、浴比1:10、ノンハロゲン系防炎剤(日華化学(株)製TF−03、10−ベンジル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド)15%owf、分散染料1.0%owfを入れて、130℃30分間、防炎加工および染色加工を同浴で行った後、80℃20分間の洗浄を行い、パッケージ状に巻かれた防炎性ポリエステル糸条を得た。
【0025】
得られた防炎性ポリエステル糸条について、パッケージの最外層より100g地点を外層、同じく500g地点を中層、900g地点を内層とし、それぞれの地点からサンプリングしJIS L0217 103法により1回洗濯した後、JISL1091 E−3法によりLOI値を測定したところ、内層LOI値26.3%、中層LOI値26.8%、外層LOI値26.8%と防炎性のバラツキが小さく(LOI値の最大値と最小値との差0.5%)良好であった。
次いで、かかる防炎性ポリエステル糸条を用いて防炎性カーテンを得た。
【0026】
[実施例2]
実施例1において、防炎剤をノンハロゲン系防炎剤(三洋化成工業(株)製FR903N、リン酸トリフェニル)に変更すること以外は実施例1と同様にして、パッケージ状に巻かれた防炎性ポリエステル糸条を得た。
得られた防炎性ポリエステル糸条について実施例1と同様にして防炎性を測定したところ、内層LOI値25.4%、中層LOI値25.9%、外層LOI値25.9%と防炎性のバラツキが小さく(LOI値の最大値と最小値との差0.5%)良好であった。
【0027】
[実施例3]
実施例1について、分散染料を使用しない(染色しない)こと以外は実施例1と同様にして、パッケージ状に巻かれた防炎性ポリエステル糸条を得た。
得られた防炎性ポリエステル糸条について実施例1と同様にして防炎性を測定したところ、内層LOI値26.8%、中層LOI値27.2%、外層LOI値27.2%と防炎性のバラツキが小さく(LOI値の最大値と最小値との差0.4%)良好であった。
【0028】
[比較例1]
実施例1において、防炎剤としてハロゲン系防炎剤(日華化学(株)製TS−55)を用いること以外は実施例1と同様にして、パッケージ状に巻かれた防炎性ポリエステル糸条を得た。
得られた防炎性ポリエステル糸条について実施例1と同様にして防炎性を測定したところ、内層LOI値22.8%、中層LOI値24.1%、外層LOI値24.6%と防炎性のバラツキが大きく(LOI値の最大値と最小値との差1.8%)不良であった。
【0029】
[比較例2]
実施例1において、防炎剤を使用しない(防炎加工しない)こと以外は実施例1と同様にして、パッケージ状に巻かれたポリエステル糸条を得た。
得られたポリエステル糸条について実施例1と同様にして防炎性を測定したところ、内層LOI値22.8%、中層LOI値22.8%、外層LOI値22.8%とLOI値が低く不良であった。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、後加工により防炎剤が付与された防炎性ポリエステル糸条であって、防炎性のバラツキが小さい防炎性ポリエステル糸条およびその製造方法および防炎性カーテンが提供され、その工業的価値は極めて大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後加工により防炎剤が付与された防炎性ポリエステル糸条であって、前記防炎剤がノンハロゲン系防炎剤であり、かつ該防炎性ポリエステル糸条においてLOI値の最小値が25.0%以上、かつLOI値の最大値と最小値との差が1.0%以下であることを特徴とする防炎性ポリエステル糸条。
ただし、LOI値は、試料をJIS L0217 103法により1回洗濯した後にJIS L1091 E−3法により測定するものとする。
【請求項2】
前記のノンハロゲン系防炎剤がリン系防炎剤である、請求項1に記載の防炎性ポリエステル糸条。
【請求項3】
防炎性ポリエステル糸条の総繊度が30〜1000dtexの範囲内である、請求項1または請求項2に記載の防炎性ポリエステル糸条。
【請求項4】
防炎性ポリエステル糸条に仮撚捲縮加工が施されてなる、請求項1〜3のいずれかに記載の防炎性ポリエステル糸条。
【請求項5】
防炎性ポリエステル糸条が、再生ポリエステルからなるポリエステル糸条に防炎剤が付与されたものである、請求項1〜4のいずれかに記載の防炎性ポリエステル糸条。
【請求項6】
染色加工が施されてなる、請求項1〜5のいずれかに記載の防炎性ポリエステル糸条。
【請求項7】
パッケージ状に巻き取られたポリエステル糸条を、ノンハロゲン系防炎剤を含む浴中に入れ、加熱することにより、前記ノンハロゲン系防炎剤をポリエステル糸条に付与することを特徴とする防炎性ポリエステル糸条の製造方法。
【請求項8】
防炎剤と同浴で染料を入れ染色加工を施す、請求項7に記載の防炎性ポリエステル糸条の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の防炎性ポリエステル糸条を用いてなる防炎性カーテン。

【公開番号】特開2007−77539(P2007−77539A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−266579(P2005−266579)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】