説明

防爆対応制御端末及びそれを用いた製造管理システム

【課題】 対象が直接にタグを付与することができない製品や材料に対応させ、防爆が必要な環境下においても各製品の製造工程の管理を行うことができる防爆対応制御端末及びそれを用いた製造管理システムの提供する。
【解決手段】 本発明の製造管理システムは、生産管理される各製品のロット毎に、順次処理される製造工程を生産計画に基づいて指示する製造管理システムにおいて、ロット番号及び製品種類を含むロット情報を、ロットに添付するタグに記録する固有情報記録部と、ロット情報、及び該ロットの生産計画が記録されるロットデータベースと、データ読取機が工程毎に設けられた防爆環境下に対応した防爆対応制御端末と、制御端末からの製造工程情報及びロットの固有情報を入力し、ロットデータベースのロットの生産計画を参照して、次の工程を指示する生産情報サーバとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃性ガスなどが充満している防爆が必要な環境下でも安全に製造情報の入力及び製造工程の流れを指示する防爆対応制御端末及びそれを用いた製造管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品の製造工程を管理するため、製品及び用いる部品にICタグを付与し、各製造工程における処理の履歴情報をICタグに記憶させ、この履歴情報を工程管理に用いることが行われている。(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、従来の製造管理システムは、製品及び部品にICタグを付与し、進捗データの収集や在庫データの管理を行い、ICタグ内の製造工程の履歴を表示して、製造工程の確認を行わせる。
【特許文献1】特開2003−271216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に示す工程管理装置にあっては、自動車や家電などの組立加工での使用を想定している。
このため、上記工程管理装置は、化学工業におけるガス,粉体または溶液等の製造工程において、プラント内を容器に入れずにパイプラインなどで搬送する場合などのように、製品及び材料にICタグを付与することができない場合に対応させることができないという問題を有している。
【0004】
また、上記工程管理装置は、可燃性ガスなどが充満している爆発の虞がある環境下において使用することが想定されていないため、ICタグに対してデータを読み書きする装置が防爆対応となっておらず、単純に防爆対応の金属ケースに入れると検知性能が低下する。
さらに、上記工程管理装置は、熱処理炉などにおいて高熱で処理される場合、ICタグの検知性能の低下や、熱暴走による誤動作が考えられる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、対象が直接にタグを付与することができない製品や材料に対応させ、防爆が必要な環境下においても各製品の製造工程の管理を行うことができる防爆対応制御端末及びそれを用いた製造管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の防爆対応制御端末は、タグが添付された管理手段を入れるホルダが設けられ、該ホルダに対応した位置に該タグに記録されたデータを読みとるための開口部が設けられ、該開口部が所定の波長の電磁波に対して透過性を有する板材により封止されている防爆容器と、該防爆容器に設けられ、防爆容器内を外気圧より高い圧力とするため、外部から所定の気体を入れるガス取入口と、前記防爆容器内に配設され、前記タグに記録されたデータを読みとるデータ読み取り手段とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の防爆対応制御端末は、上記記載の防爆対応制御端末において、前記板材が内部側から前記防爆容器の開口部を封止するよう配設されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の防爆対応制御端末は、上記記載の防爆対応制御端末において、前記開口部が、外部のタグのデータの記録されている部分と前記データ読取器との間に位置していることを特徴とする。
【0009】
本発明の防爆対応制御端末は、上記記載の防爆対応制御端末において、前記データ読取機が複数設けられ、複数のタグのデータを読み込むことを特徴とする。
【0010】
本発明の防爆対応制御端末は、上記記載の防爆対応制御端末において、前記データ読取機がICタグリーダであり、前記タグがICタグであることを特徴とする。
【0011】
本発明の防爆対応制御端末は、上記記載の防爆対応制御端末において、前記データ読取機がバーコードリーダであり、前記タグのデータがバーコードで記録されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の製造管理システムは、生産管理される各製品のロット毎に、順次処理される製造工程を生産計画に基づいて指示する製造管理システムにおいて、ロット番号及び製品種類を含むロット情報を、ロットに添付するタグに記録する固有情報記録部と、前記ロット情報、及び該ロットの生産計画が記録されるロットデータベースと、データ読取機が工程毎に設けられた上記いずれかに記載の防爆対応制御端末と、該制御端末からの製造工程情報及びロットの固有情報を入力し、前記ロットデータベースのロットの生産計画を参照して、次の工程を指示する生産情報サーバとを有することを特徴とする。
【0013】
発明の製造管理システムは、上記製造管理システムにおいて、前記管理手段が各ロットに対応しており、前記タグが添付されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の製造管理システムは、上記製造管理システムにおいて、製品が生産される製造工程の順序を示した製造フローと、製品との対応を示す製造工程データベースを有し、固有情報記録部がロットのロット情報をタグに記録する際、生産情報サーバが該ロット情報と、前記製造工程データベースから製品種類により読み出した製造フローから生成した生産計画とを前記ロットデータベースに書き込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、発明によれば、防爆が必要な環境下において、製品の各ロットに対応する管理手段からロット情報を読出し、このロット情報に基づいて製造履歴をロットデータベースに記録し、次の製造工程を指示することができるため、直接タグを付与することができない製品や材料に対して、生産計画に基づいた製造管理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、製造工程の制御、特に製品または材料が液体,ガス及び粉体などで、製造工程の環境においてタグを直接的に添付することが不可能な化学プラントなどにおいて、各工程を制御するため各製品及び材料の各ロットにタグ(ICタグまたはバーコードなど)が添付された管理バインダ(管理手段)を対応付けて、これを各製品及び材料の各ロット電子カンバンとして用いる。
すなわち、上記管理バインダに添付されているタグに記録されている各製品及び材料の各ロットの識別情報により、製品を製造する製造フロー(製造工程の処理順番)におけるいずれの製造工程において、製品及び材料各々が処理されているかを管理することになる。
【0017】
以下、本発明の一実施形態による製造管理システムを図面を参照して説明する。図1は同実施形態による製造管理システムの構成を示すブロック図である。
この図において、生産制御端末1は、生産計画を生成する生産管理サーバ11、製品毎の製造フローが記録されている製造工程データベース12、製品のロット毎に付与されるロット番号などの識別情報を設定する書込読取機13、書込読取機13が設定したロット番号が製品の種類と対応して記憶されるロットデータベース14を有している。
【0018】
制御端末2は、筐体が防爆対応の構造となっており、防爆が必要な環境下にある防爆領域(例えば、工場の所定の建物及びその各階等、以下、防爆エリアとする)に設置されており、内部の各部の動作を制御する制御部21と、上記管理バインダに添付されたタグの情報を読取る読取機22−1〜22−nと、各ロット製造フローにおける処理対象の製造工程を指示する表示部23とを有している。ここで、nは1以上の整数。
また、読取機22−1〜22−nは製造工程毎に設けられており、読取ったロットの識別情報を上記制御部21へ出力する際、この識別情報に自身の識別情報を添付する。
【0019】
制御端末3−1〜3−m各々は、筐体が防爆対応の構造となっており、上記防爆領域を複数に分割した、1つの製造工程として区分された処理室毎に設置されており、内部の各部の動作を制御する制御部31と、各ロット製造フローにおける処理対象の製造工程を指示する表示部32とを有している。ここで、mは1以上の整数。
ここで、制御部31は、制御端末2の制御部21が表示部23に表示している画像データを入力し、この画像データの画像を表示部32へ表示、すなわち、表示部23と同一の画像を表示部32へ表示する。
【0020】
制御端末4は、筐体が防爆対応の構造となっておらず、防爆領域ではない制御室などに設置されており、内部の各部の動作を制御する制御部41と、上記管理バインダに添付されたタグの情報を読取る読取機42−1〜42−qと、各ロット製造フローにおける処理対象の製造工程を指示する表示部43とを有している。ここで、qは1以上の整数。制御端末4は1つまたは複数設けられている。
また、読取機42−1〜42−qは製造工程毎に設けられており、読取ったロットの識別情報を上記制御部41へ出力する際、この識別情報に自身の識別情報を添付する。
上記生産情報サーバ11及び制御部21,31,41各々は、タイマーを内蔵しており、常に同一の時刻となるように、一定の周期において時刻同期が取られている。
【0021】
次に、図2は同実施形態による制御端末2(防爆対応制御端末)の構造を示す概念図である。この図において、図2(a)は正面図であり、図2(b)は線分Aにおける線示断面図である。
制御端末2は、筐体の前壁部100を含め側壁及び裏壁が一定の強度を保つため、筐体全体が通常金属にて形成されている。
したがって、管理バインダ101に添付されているタグ101の情報を検出する際、タグ101がICタグの場合(このとき読取器はICタグリーダ)、電波が遮蔽されてしまい読取り処理が行えず、タグ101がバーコードにてデータを記録している場合(このとき読取器はバーコードリーダ)、完全に遮光されるために読取り処理が行えない。
【0022】
このため、図2(b)に示すように、筐体の前壁部100を貫通する開口部103が形成されており、読取機22−1(または22−2〜22−n)は、上記開口部103を介してタグ102に記録されているデータを読取る。
ここで、上記開口部103は、読取機22−1(または22−2〜22−n)の検出部104がタグ102のデータを読みとれるように、上記検出部104と平面視にて重なる位置に形成されている。
【0023】
また、固定部材105も開口部103と検出部104とが平面視にて重なる位置になるように、読取器22−1(または22−2〜22−n)を固定する。
同様に、ホルダ106は、管理バインダ101が挿入されたとき、タグ102の位置が開口部103と平面視で重なるように、管理バインダ101を保持する。
板材107は、開口部103の封止のために用いられており、所定の周波数(あるいは波長)の電磁波を透過する材質にて形成されている。
【0024】
例えば、板材107は、タグ102がICタグ(内部メモリにデータが記憶されている)の場合、タグ102と検出部104とが無線通信を行う際に用いる電波の周波数帯域を透過する材質で形成され、タグ102がバーコードにてデータが記録されている場合、バーコードを読取るためのレーザ光などの波長帯域を透過する所定の厚さのガラスやアクリル板などの材質にて形成されている。
【0025】
特に、タグ102がICタグであると、ICタグの発信する電波が微弱である場合が多く、筐体の強度を向上させるために金属を用いると透過の際の損失により電波強度が低下して、正確なデータの送受信が行えなくなる虞がある。
上述したように、制御端末2は、管理バインダ101のタグ102と、筐体の前壁部100の開口部103と、読取器22−1(または22−2〜22−n)の検出部104とが全て平面視で重なる位置に配置されるよう構成されている。これにより、制御端末2の筐体における前壁部100の外部面のホルダ106に挿入された管理バインダ101のタグ106から、検出部104がこのタグ106に記録されたロット情報を読取ることができる。
【0026】
また、制御端末2の筐体は、各部が配設されている内部空間がほぼ密閉状態で形成されており、外部から筐体内部の気圧を、筐体外部の気圧に対して常に高い圧力としておくため、外部から筐体に所定の圧力でガス等(例えば空気)が入力されるガス取入れ口108が設けられている。これにより、筐体外部の可燃性のガスや粉体などが筐体内部に入り込むことを防止し、防爆性を持たせることができる。
【0027】
次に、図1,図2及び図3を用いて、本発明の実施形態による製造管理システムの動作を説明する。図3は、上記製造管理システムの動作例を示すフローチャートである。以下の説明においては、タグ102をICタグ、読取部22−1〜22−n及び読取部42−1〜42−qをICタグリーダとして説明する。
ここで、製造フローとしては、例えば、「 製造工程1−1 → 製造工程2−1(2−2,2−3,2−3)→製造工程3−1」の各工程順により処理されるとする。
【0028】
また、製造工程2−1,2−2,2−3,2−3は全て同様の工程、すなわち同様の製造装置またはラインによる処理が行われるとする。
さらに、以下の説明としては、プラント内で各製造装置やラインなどの製造工程間をパイプラインなどで製品及び材料を搬送する気体、液体及び粉体などの直接的に製品や材料にタグを添付できないものを管理対象としている。しかしながら、自動車や家電製品などの直接的にタグを添付できる製品や材料を管理対象として、本発明を適用することも可能である。
【0029】
ステップS1において、作業者が生産制御端末1における生産情報サーバ11に対して、新たに生産する(または加工する)製品の種類と、この製品のロットに付与するロット番号を入力する。これにより、生産情報サーバ11は、入力されたロット番号と製品の種類とを対応付けてロット情報として、ロットデータベース14に格納するとともに、このロット情報を書込読取器13へ出力する。
そして、書込読取器13は、入力されるロット情報をタグ102内のメモリに書き込み(バーコードの場合にはロット情報をバーコードとして印刷する)、製品のロットに固有のタグを生成する。
【0030】
次に、ステップS2において、生産情報サーバ11は、入力された製品の種類に対応した製造フローを検索して、検索された製造フローを製造工程データベース12から読み込む。
そして、生産情報サーバ11は、ロットデータベース14に記録されている各製造工程毎にある処理順番レジスタから、入力されたロット番号の製品の製造フローにおける製造工程の処理順番レジスタを選択し、これらの製造工程毎に設けられている処理順番レジスタの最後尾に、上記ロット番号を入力する。
【0031】
このとき、生産情報サーバ11は、複数の同一製造工程(複数の同一製造装置または製造ライン)がある場合、最も待ち行列の少ない製造工程を選択して、その順番レジスタの最後尾にロット番号を入力する。これにより、生産情報サーバ11は、製造フローの処理時間と、各製造工程の上記処理順番レジスタのデータとから各ロットの処理開始時間及び処理終了時間を求め、各製造工程におけるロットの生産計画の生成を行う。
次に、生産情報サーバ11は、製造フローの各製造工程名と、各製造工程の処理開始時刻及び処理終了時刻とを書込読取器13へ出力する。
【0032】
次に、ステップS3において、書込読取器13は、ロット番号,製品の種類,製造フローの各製造工程名,各製造工程の処理開始時刻及び処理終了時刻を用紙に印刷して、製造指示書を生成する。
作業者は、上記製造指示書の所定位置(例えば、印刷された貼り付け欄)に、既に説明したタグ102(ロット情報が書き込まれた)を添付、すなわち貼着して管理バインダ101を作成する。この管理バインダ101は各ロット固有の製造指示書であり、対応するロットの管理を行うために用いられる。
【0033】
次に、ステップS4において、例えば、防爆エリアにおける製造工程において、製品の処理を行う際、作業者は製造指示書に記載してある製造工程の処理時間となると、上記管理バインダ101を、対応する制御端末2のホルダ、例えば読取器22−1に対応したホルダ106に挿入する。
このとき、図4に示すように、読取器22−1〜読取器22−6は、表示部23に表示される各製造工程に対応して設けられており、同一の製造工程が複数ある場合、複数の読取り器が存在する。例えば、読取器22−1及び読取器22−6は単独の製造工程に対応しており、読取器22−2,22−3,22−4,22−5は同一製造工程(例えば、3台の同一の製造装置がある)である。
【0034】
また、制御部21は、表示部23に、各ロットの製造フローに従って、各ロットの処理の流れを指示する、図5に示す指示画面を表示する。
そして、表示部23に表示される画像において、各製造工程の配置は筐体の前壁部100における読取部の配置と同様である。
図5おいて、製造工程1−1は読取部22−1に対応し、製造工程2−1,2−2,2−3,2−4各々は読取部22−2,22−3,22−4,22−5それぞれに対応し、製造工程3−1は読取部22−6に対応している。
【0035】
図5はいずれのロットの管理バインダ101も、いずれの読取器に対応したホルダ106に挿入された状態になっておらず、各製造工程1−1、製造工程2−1,2−2,2−3,2−4及び製造工程3−1は待機中の状態となっている。
各製造工程の状態には、「作業中」,「待機中」及び「異常」の3つの状態があり、制御部21は表示部23に、各状態に対応した色にて表示する。表示部23には、図5に示すように、領域200に「作業中」,「待機中」及び「異常」の状態と、それぞれの状態にある製造工程の表示枠の色との対応が記載されている。ここでは、一例として、「作業中」が青、「待機中」が白、「異常」が赤として説明する。
また、表示部23に表示される各製造工程の表示枠の画像は、図6に示す構成となっており、製造工程の種類または名称などの製造工程情報と、作業中のロット番号と、製品の種類または製品名称と、製品の製造フローにおける製造工程の処理の順番を示す作業順番と、生産計画における処理開始時刻及び処理終了時刻とが表示される。
【0036】
そして、作業者が制御端末2のホルダ、例えば読取器22−1に対応したホルダ106に挿入する。
これにより、制御部21は、図示しないセンサ等により、製造工程1−1に対応したホルダ106に管理バインダ101が挿入されたことを検出し、読取器22−1に制御信号を出力し、読取器22−1に管理バインダ101に添付されているタグ102からロット情報を読み取らせる。読取器22−1とタグ102とは所定の周波数帯域の無線にてデータの送受信を行う。
このとき、読取器22−1はタグ102(ICタグ)に対してロット情報を問い合わせるアクセス信号を発信し、タグ102はこのアクセス信号を受信するとメモリに記憶されているロット情報を読取器22−1に対して発信する。読取器22−1はこのロット情報を受信し、制御部21へ出力する。
【0037】
そして、制御部21は、読取器22−1の受信したロット情報が入力されると、ロットデータベース14から、このロット情報におけるロット番号に対応する製造フローを読み出し、製造フローの製造工程と、読取器に対応した製造工程とを比較し、正しい製造工程であることを検出すると、図7に示すように、製造工程1−1に対応する表示枠が待機中の白から作業中を示す青に変更する。
このとき、制御部21は、製造工程の処理が開始された時点で、ロットデータベース14において、このロットのロット番号に対応させ、処理が開始された製造工程及び終了時刻を履歴として記録する。
【0038】
一方、制御部21は、製造フローの順番に対応しない製造工程の読取器のホルダ106に対し、管理バインダ101が挿入されると、製造フローの製造工程と、読取器に対応した製造工程とを比較して、異なった製造工程であることを検出し、表示枠を待機中の白から異常を示す赤に変更する。
また、制御部21は上述した表示部23に表示している画像データを、各表示端末3−1〜表示端末3−mへ送信し、各表示端末において、制御部31が入力される画像データを表示部32へ表示し、常に、制御端末2の表示部23と同一の画像を表示する。
【0039】
次に、ステップS5において、制御部21は、製造フローにおいて、現在処理が行われている製造工程以降に、処理する製造工程の有無を検出し、無ければ、現在処理している製造工程が終了した時点で、ロットデータベース14において、このロットのロット番号に対応させ、終了した製造工程及び終了時刻を履歴として記録し、このロットに対する製造管理を終了する。
一方、制御部21は、製造フローにおいて、現在処理が行われている製造工程以降に、処理する製造工程があることを検出すると、ステップS7へ処理を進める。
そして、ステップS6において、制御部21は、図7に示すように、表示部23において、現在処理を行っている製造工程の表示枠から、製造フローにおいて次に処理を行う製造工程の表示枠に対して、矢印Yを表示し、次に行う製造工程を指示する。
【0040】
次に、ステップS7において、制御部21は、製造フローにおいて、現在処理が行われている製造工程が終了した時点で、ロットデータベース14において、このロットのロット番号に対応させ、終了した製造工程及び終了時刻を履歴として記録し、このロットに対する製造管理を終了する。
また、制御部21は、履歴として終了時刻が入力されることにより、各ロットの生産計画において、対応する製造工程の処理終了時刻を更新し、この更新された処理終了時刻に基づいて、以降の示絵像工程の処理開始時刻及び処理終了時刻の更新を行う。
そして、制御部21は、管理バインダ101が挿入されているホルダに対応する製造工程の終了を検出すると、ランプの点灯またはブザーをならすなどのアラーム処理を行い、製造工程の処理が終了したことを作業者に通知する処理を行う。
【0041】
次に、ステップS8において、作業者は上記アラームを認識すると、矢印の先の製造工程2−3に対応する読取器22−4のホルダ106に、製造工程2−1に対応するホルダ106から管理バインダ101を移動させる。これにより、制御部21はステップS5の処理を開始する。
また、図8に示すように、製造フロー中の製造工程における処理において、複数の同一の製造工程2−1〜製造工程2−4の全てが処理中となった場合、制御部21は、各ロットの処理終了時刻を読み込み、最も早く処理が終了するロットを検出し、そのロットに対応する表示枠から次の製造工程3−1の表示枠に対して矢印を表示する。
【0042】
さらに、制御部21は、前段の製造工程1−1の表示枠から、次段の製造工程2−1〜製造工程2−4のいずれかの表示枠に対して、矢印を表示しない。
すなわち、制御部21は、次段が待機中の状態に移行したことを検出すると、現在の処理中である製造工程の表示枠から、次段の待機中にある製造工程の表示枠に矢印を表示する。ここで、処理中から待機中への移行処理は、作業者がその製造工程の装置やラインなどから処理中であった製品及び材料が移送されたことを確認して状態を切り替える。
また、防爆エリア外にある制御端末4も、防爆環境下に対応した筐体で構成されていない以外、上述した制御端末2と同様な動作を行う。
【0043】
なお、図1における制御端末2及び4の制御部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより製造工程の管理処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0044】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態による製造管理システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の製造管理システムにおいて用いられている制御端末の構造を示す概念図である。
【図3】本発明の一実施形態による製造管理システムの動作例を示すフローチャートである。
【図4】図2に示す制御端末2の筐体における前壁部100の前面パネルの表示部,ホルダの配置例を示す平面図である。
【図5】表示部23に表示される製造フローにおいて処理される製造工程を指示する表示画面の一例を示す概念図である。
【図6】図5の各製造工程の表示枠内に表示される製造工程の情報及びロットの処理状態を示す概念図である。
【図7】表示部23に表示される製造フローにおいて処理される製造工程を指示する表示画面の一例を示す概念図である。
【図8】表示部23に表示される製造フローにおいて処理される製造工程を指示する表示画面の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0046】
1…生産制御端末
2,4…制御端末
3−1,3−m…表示端末
11…生産情報サーバ
12…製造工程データベース
13…書込読取器
14…ロットデータベース
21,31,41…制御部
23,32,43…表示部
22−1,22−2,22−n…読取器
42−1,42−2,42−q…読取器
100…前壁部
101…管理バインダ
102…タグ
103…開口部
104…検出部
105…固定部材
106…ホルダ
107…板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タグが添付された管理手段を入れるホルダが設けられ、該ホルダに対応した位置に該タグに記録されたデータを読みとるための開口部が設けられ、該開口部が所定の波長の電磁波に対して透過性を有する板材により封止されている防爆容器と、
該防爆容器に設けられ、防爆容器内を外気圧より高い圧力とするため、外部から所定の気体を入れるガス取入口と、
前記防爆容器内に配設され、前記タグに記録されたデータを読みとるデータ読み取り手段と
を有することを特徴とする防爆対応制御端末。
【請求項2】
前記板材が内部側から前記防爆容器の開口部を封止するよう配設されていることを特徴とする請求項1に記載の防爆対応制御端末。
【請求項3】
前記開口部が、外部のタグのデータの記録されている部分と前記データ読取器との間に位置していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防爆対応制御端末。
【請求項4】
前記データ読取機が複数設けられ、複数のタグのデータを読み込むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の防爆対応制御端末。
【請求項5】
前記データ読取機がICタグリーダであり、前記タグがICタグであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の防爆対応制御端末。
【請求項6】
生産管理される各製品のロット毎に、順次処理される製造工程を生産計画に基づいて指示する製造管理システムにおいて、
ロット番号及び製品種類を含むロット情報を、ロットに添付するタグに記録する固有情報記録部と、
前記ロット情報、及び該ロットの生産計画が記録されるロットデータベースと、
データ読取機が工程毎に設けられた請求項1から請求項6のいずれかに記載の防爆対応制御端末と、
該制御端末からの製造工程情報及びロットの固有情報を入力し、前記ロットデータベースのロットの生産計画を参照して、次の工程を指示する生産情報サーバと
を有することを特徴とする製造管理システム。
【請求項7】
前記管理手段が各ロットに対応しており、前記タグが添付されていることを特徴とする請求項6記載の製造管理システム。
【請求項8】
製品が生産される製造工程の順序を示した製造フローと、製品との対応を示す製造工程データベースを有し、
固有情報記録部がロットのロット情報をタグに記録する際、生産情報サーバが該ロット情報と、前記製造工程データベースから製品種類により読み出した製造フローから生成した生産計画とを前記ロットデータベースに書き込むことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の製造管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−260438(P2006−260438A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80104(P2005−80104)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000222691)東洋合成工業株式会社 (34)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】