説明

防視認性織物およびインテリア用品

【課題】紫外線カット性、採光性および防視認性に優れた防視認性織物およびインテリア用品を提供する。
【解決手段】有機系紫外線吸収剤を0.1〜5.0重量%含有しかつ艶消し剤を0.2重量%以下含有する繊維形成性熱可塑性ポリマーからなり、フィラメント横断面形状が異型であるマルチフィラメント(A)を経および/または緯に配し、カバーファクター(CF)を800〜2500の範囲内とすることにより防視認性織物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線カット性、採光性および防視認性に優れた防視認性織物およびインテリア用品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーテンなどのインテリア分野において、防視認性(外部から室内の物品や人の動きがみえない性質)と採光性という、一般的には相反する特性が求められている。
このため、通常、室内側には厚手のドレープカーテン、窓側には薄手のレースカーテンを配し、夜間は厚手のドレープカーテンを閉め、日中は防視認性と採光性を得るために薄手のレースカーテンを閉めておくことが一般的である。しかるに、厚手のドレープカーテンでは採光性が乏しく、他方、薄手のレースカーテンでは、夜間はもとより昼間においても防視認性が十分でなく、その改善が望まれていた。
【0003】
かかる問題を解決するため、例えば、酸化チタンなどの艶消し剤を含んだポリエステル繊維と黒原着ポリエステル繊維とを交織することにより得られる、光を反射・吸収する遮光カーテン(例えば、特許文献1)や、布帛の側面に光沢のある三角断面糸を編織成し、光沢のある側面に光があたると、反射光により目くらまし効果が発現するミラーカーテン(例えば特許文献2)や、布帛表面にコーテイング加工、ラミネート加工、アルミ蒸着加工、スパッタリング加工などの付加加工を施したもの(例えば、特許文献3)などが提案されている。
【0004】
しかるに、布帛表面に付加加工を施したものや遮光カーテンにおいては、採光性が悪いために部屋内が重苦しい雰囲気になるという問題があった。他方、ミラーカーテンにおいては、採光性はあるものの特に夜間において防視認性が十分でなく、さらには三角断面の扁平部分によるぎらついた光沢があるという問題があった。
また、特許文献4では、異型断面繊維を用いて防視認性織物を得ることが提案されているが、紫外線カット性の点でまだ満足とはいえなかった。
【0005】
【特許文献1】特許第3167586号公報
【特許文献2】特開2004−237035号公報
【特許文献3】実開昭62−113787号公報
【特許文献4】特開2004−162194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、紫外線カット性、採光性および防視認性に優れた防視認性織物およびインテリア用品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、特定のフィラメント横断面形状を有するマルチフィラメントを用いて特定のカバーファクター(CF)を有する織物を構成し、その際、マルチフィラメントを形成するポリマーに有機系紫外線吸収剤を含ませることにより、紫外線カット性、採光性および防視認性に優れた防視認性織物が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして、本発明によれば「有機系紫外線吸収剤を0.1〜5.0重量%含有しかつ艶消し剤を0.2重量%以下含有する繊維形成性熱可塑性ポリマーからなり、フィラメント横断面形状が異型であるマルチフィラメント(A)が経および/または緯に配され、かつ下記式により算出されるカバーファクター(CF)が800〜2500の範囲内であることを特徴とする防視認性織物。」が提供される。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
【0009】
その際、前記の有機系紫外線吸収剤がベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤であることが好ましい。また、前記のマルチフィラメント(A)において、フィラメント横断面形状が、2箇所以上のくびれ部を有する断面扁平度2〜6の扁平断面であることが好ましい。また、マルチフィラメント(A)の撚数が1000T/m以下であることが好ましい。
【0010】
本発明の防視認性織物において、波長280〜400nmの範囲の紫外線の透過率が20%以下であることが好ましい。また、波長400〜700nmの範囲の可視光線の透過率が30%以上であることが好ましい。
また、本発明によれば、前記の防視認性織物を用いてなる、カーテン、ロールブランド、およびパーテションからなる群より選択されるいずれかのインテリア用品が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、紫外線カット性、採光性および防視認性に優れた防視認性織物および該防視認性織物を用いてなるインテリア用品が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明において、マルチフィラメント(A)を形成する繊維形成性熱可塑性ポリマーとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレンなどが例示される。なかでも、製造の容易さ、繊維強度、染色耐候などの点でポリエステルが好ましい。かかるポリエステルとしては、テレフタル酸を主たる酸成分とし、炭素数2〜6のアルキレングリコール、すなわちエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種のグリコール、特に好ましくはエチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルが例示される。
【0013】
ポリエステルポリマーには、必要に応じて少量(通常30モル%以下)の共重合成分を有していてもよい。その際、使用されるテレフタル酸以外の二官能性カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、P−オキシ安息香酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のごとき芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボン酸をあげることができる。また、上記グリコール以外のジオール化合物としては、例えばシクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSのごとき脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物およびポリオキシアルキレングリコール等をあげることができる。
【0014】
かかるポリエステルは任意の方法によって合成される。例えばポリエチレンテレフタレートの場合について説明すると、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのごときテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるかまたはテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレフタル酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体を生成させる第1段階の反応と、第1段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応によって製造されたものでよい。
【0015】
前記の繊維形成性熱可塑性ポリマーには、ポリマー重量に対して有機系紫外線吸収剤が0.1〜5.0重量%(好ましくは好ましくは0.4〜1.5重量%)含有し、かつ艶消し剤を0.2重量%以下(好ましくは0重量%)含まれることが肝要である。前記の有機系紫外線吸収剤の含有量が0.1重量%よりも小さいと、十分な紫外線吸収性能が得られず好ましくない。逆に、有機系紫外線吸収剤の含有量が5.0重量%よりも大きいと、時間の経過とともに布帛が黄変してしまうため好ましくない。艶消し剤の含有量は少ないほど可視光線の透過率が高くなり好ましく、艶消し剤が含有されないことが最も好ましい。
【0016】
前記の有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系有機紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系有機紫外線吸収剤、サリチル酸系有機紫外線吸収剤などが例示される。なかでも、紡糸の段階で分解しないという点からベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤が特に好ましい。なお、無機系紫外線吸収剤では、可視光線がフィラメントを透過する透過率が小さくなり採光性が損なわれ好ましくない。
【0017】
かかるベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤としては、特開昭62−11744号公報に開示されたものが好適に例示される。すなわち、2−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−ブチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−フェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2,2’−エチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−テトラメチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、1,3,5−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ナフタレンなどである。
【0018】
また、前記の金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤の平均粒径(平均一次粒径)としては、0.5μm以下(より好ましくは0.001〜0.1μm)であることが好ましい。該微粒子の平均粒径が0.5μmよりも大きいと、ポリエステル繊維を紡糸する工程で断糸が発生したり、フィルターの目詰まりが発生するおそれがある。
また、艶消し剤としては二酸化チタンが好ましいが、前記のように艶消し剤が含まれていないことが最も好ましい。
【0019】
なお、繊維形成性熱可塑性ポリマー中には、有機系紫外線吸収剤および艶消し剤以外に、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン可染剤、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤、蛍光増白剤、着色剤、帯電防止剤、吸湿剤、抗菌剤、マイナスイオン発生剤等を1種又は2種以上を添加してもよい。
【0020】
マルチフィラメント(A)は、以下の方法により製造することができる。例えば、固有粘度が0.55〜0.80の、前記ポリエステルを常法により紡糸し、2000〜4300m/分の速度で未延伸糸(中間配向糸)として一旦巻き取り、延伸してもよいし、巻き取る前に延伸してもよい。また、中間配向糸を、180〜200℃に加熱されたヒーターを用いて、弛緩状態(オーバーフィード1.5〜10%)で熱処理することにより、加熱下で自己伸長性を有する未延伸糸(中間配向糸)としてもよい。
【0021】
かかるマルチフィラメント(A)において、フィラメント横断面形状が異型であることが肝要である。異型としては、扁平断面、くびれつき扁平断面、四角断面、3〜14葉断面など例示される。なかでも、扁平断面またはくびれつき扁平断面が好ましく、特に、図1に模式的に示すような、2箇所以上のくびれ部を有する断面扁平度2〜6の扁平断面が好ましい。なお、断面扁平度とは、図1に示す、長辺の長さ(B)と短辺の長さ(C1)との比(B/C1)である。また、くびれ部とは図1に模式的に示すように、短辺の長さが短くなっている部分のことである。かかるくびれ部において、凹部の深さとしては、短辺の長さの最大値と最小値の比(C1/C2)で、1.05以上(好ましくは1.1以上)となる深さであることが好ましい。なお、図1は、くびれ部が3個所の場合を例示するものである。フィラメント横断面形状が扁平断面またはくびれつき扁平断面であると、マルチフィラメント(A)は、織物組織点の接圧により緻密かつワイドに広がった構造を有し、その結果、経糸と緯糸とで形成される空隙が小さくなり、該空隙からの光の通過量が低減する。その際、該空隙を通過する微量の通過光は回折を起こし、隣り合った通過光が互いに干渉することで優れた防視認性効果が得られる。特にくびれつき扁平断面であると、光の乱反射やフィラメントを透過する透過光の屈折が大きくなり、採光性を損なうことなく優れた防視認効果が得られる。
【0022】
前記のマルチフィラメント(A)において、マルチフィラメント(A)の繊維形態としては、特に限定されず、長繊維でも短繊維でもよい。なかでも、経糸と緯糸とで形成される空隙を小さくするために、無撚または甘撚りされた長繊維が好ましく例示される。特に、撚数が1000T/m以下(より好ましくは200T/m以下、特に好ましくは無撚)であることが好ましい。
【0023】
該マルチフィラメント(A)は、仮撚捲縮加工や、タスラン加工やインターレース加工などの空気加工が施されたものでもよい。
該マルチフィラメント(A)の総繊度、単糸繊度、フィラメント数については、特に限定されないが、風合いの点で、総繊度30〜400dtex(より好ましくは50〜200dtex)、単糸繊度0.5〜5dtex(より好ましくは1〜4dtex)、フィラメント数20〜100本の範囲が適当である。
【0024】
本発明の防視認性織物において、経糸または緯糸が、前記のマルチフィラメント(A)で構成される。ここで、マルチフィラメント(A)で経糸と緯糸の両方を構成してもよいし、マルチフィラメント(A)で、経糸と緯糸のどちらかを構成し、他方の糸として、通常の糸や制電糸などの機能糸を使用してもよい。また、マルチフィラメント(A)で、経糸または緯糸を構成する際、本発明の目的を損なわない範囲内で他の糸との複合糸としてもよい。
【0025】
次に、本発明の織物において、カバーファクター(CF)が800〜2500の範囲内である必要がある。
ここで、カバーファクター(CF)は表されるものである。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
【0026】
該CFが800よりも小さいと、経糸と緯糸とで形成される空隙が大きくなり易くなるため、防視認性が低下し好ましくない。逆に、該CFが2000よりも大きいと採光性が低下するため好ましくない。
【0027】
本発明の防視認性織物において、織組織は特に限定されず、平組織、綾組織、サテン組織、変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなど公知の織組織を使用することができる。
【0028】
本発明の防視認性織物は、前記のマルチフィラメント(A)を経糸および/または緯糸に用いて常法の製織方法で製織することができる。また、アルカリ減量加工や常法の染色仕上げ加工が施されてもよい。さらには、常法の吸水加工、撥水加工、起毛加工、さらには、紫外線遮蔽あるいは制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
【0029】
かくして得られた防視認性織物において、布帛に含まれるマルチフィラメント(A)は、有機系紫外線吸収剤を含むので優れた紫外線カット性を呈する。かかる紫外線カット性としては、波長280〜400nmの範囲の紫外線の透過率で20%以下であることが好ましい。また本発明の防視認性織物は、艶消し剤を含まないか少量含むので、可視光線透過性にも優れる。かかる可視光線透過性としては、波長400〜700nmの範囲の可視光線の透過率で30%以上であることが好ましい。さらには、前記のマルチフィラメント(A)が経および/または緯に配されかつ特定のカバーファクター(CF)を有するので、光の干渉作用により優れた防視認効果を呈する。
【0030】
また、本発明によれば、前記の防視認性織物を用いてなる、カーテン、ロールブランド、およびパーテションからなる群より選択されるいずれかのインテリア用品が提供される。かかるインテリア用品は、前記の防視認性織物を用いてなるものなので、紫外線カット性、可視光線透過性および防視認性にる。
【実施例】
【0031】
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
【0032】
<紫外線透過率>島津製作所製分光光度計MPC−3100で透過率を測定し280〜400nmの範囲の紫外線透過率を算出した。紫外線透過率が小さいほど紫外線吸収性が大きく良好である。
<可視光線反射率>島津製作所製分光光度計MPC−3100で透過率を測定し400〜700nmの範囲の可視光線透過率を算出した。
<防視認性>昼間の測定方法としては、室内80W蛍光灯700lxの環境下で防視認性織物から20cm離れた位置に視認物を置き、該織物をはさんだ室外(昼間太陽光10万lx)に該織物から30cm離れた位置に評価者を置き、評価者が前記視認物を確認できるかどうか目視判定した。判定基準は、視認物が判明できる場合を◎、わずかに判明できる場合を○、視認物の輪郭が見える場合を△、視認物を判明できる場合を×とする。
また、夜間の測定方法としては、室内80W蛍光灯700lxの環境下で防視認性織物から20cm離れた位置に視認物を置き、該織物をはさんだ室外(夜間0.2lx)に該織物から30cm離れた位置に評価者を置き、評価者が前記視認物を確認できるかどうか目視判定した。判定基準は、昼間の測定方法と同様とした。
<総合評価>非常に優れているものを◎、優れているものを○、やや劣るものを△、劣るものを×とした。
【0033】
[実施例1]
特開昭62−11744号公報に記載された方法で合成された2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)有機系紫外線吸収剤を1.0重量%含み、艶消し剤を含まないポリエチレンテレフタレートを4つ山扁平断面(凹部6個所)に穿孔された口金より、紡糸温度300℃で紡出し、4000m/minで引き取り、一旦巻き取ることなく引き続き1.3倍に延伸し、フィラメントの横断面形状が図1に示すような、くびれ部(短辺の長さCの最大/最小=1.2)を3個所有する扁平断面(断面扁平度3.2)のマルチフィラメント(A)84dtex/30filを得た。有機系紫外線吸収剤を含まずかつ艶消し剤を0.3重量%含むポリエチレンテレフタレートを常法により紡糸、延伸してポリエステルマルチフィラメント(B)22dtex/1filを得た。
【0034】
次いで、緯糸に、該マルチフィラメント(A)を無撚で使用し、経糸に該マルチフィラメント(B)を無撚で使用し、経密度40本/cm、緯密度31本/cmの平組織織物を製織した。 そして、常法の染色加工を施すことにより、カバーファクター(CF)1150の防視認性織物を得た。
該防視認性布帛において、紫外線透過率16%、可視光透過率68%、防視認性(昼間)◎、防視認性(夜間)○、総合評価◎であった。
【0035】
[実施例2]
実施例1において、緯密度を50本/cmにすること以外は、実施例1と同様に製織・染色加工することにより、カバーファクター1560の防視認性織物を得た。
該防視認性布帛において、紫外線透過率10%、可視光透過率60%、防視認性(昼間)◎、防視認性(夜間)◎、総合評価◎であった。
【0036】
[比較例1]
実施例1において、マルチフィラメント(A)に有機系紫外線吸収剤を含ませないこと以外は、実施例1と同様に製織・染色加工することにより、防視認性織物を得た。
該防視認性布帛において、紫外線透過率58%、可視光透過率64%、防視認性(昼間)◎、防視認性(夜間)○、総合評価×であった。
【0037】
[実施例3]
実施例1において、マルチフィラメント(A)の横断面形状を、くびれ部のないフラット扁平断面(断面扁平度3.2)に変える以外は実施例1と同様にして、防視認性織物を得た。
該防視認性布帛において、紫外線透過率15%、可視光透過率60%、防視認性(昼間)△、防視認性(夜間)△、総合評価△であった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、紫外線カット性、採光性および防視認性に優れた防視認性織物およびインテリア用品が得られ、その工業的価値は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の防視認性織物において、マルチフィラメント(A)のフィラメント横断面形状として採用することのできる、くびれ部を有する扁平断面形状を模式的に例示したものである。
【符号の説明】
【0040】
1 くびれ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機系紫外線吸収剤を0.1〜5.0重量%含有しかつ艶消し剤を0.2重量%以下含有する繊維形成性熱可塑性ポリマーからなり、フィラメント横断面形状が異型であるマルチフィラメント(A)が経および/または緯に配され、かつ下記式により算出されるカバーファクター(CF)が800〜2500の範囲内であることを特徴とする防視認性織物。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
【請求項2】
前記の有機系紫外線吸収剤がベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤である、請求項1に記載の防視認性織物。
【請求項3】
マルチフィラメント(A)を構成するフィラメントの横断面形状が、2箇所以上のくびれ部を有する断面扁平度2〜6の扁平断面である、請求項1または請求項2に記載の防視認性織物。
【請求項4】
マルチフィラメント(A)の撚数が1000T/m以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の防視認性織物。
【請求項5】
波長280〜400nmの範囲の紫外線の透過率が20%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の防視認性織物。
【請求項6】
波長400〜700nmの範囲の可視光線の透過率が30%以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の防視認性織物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の防視認性織物を用いてなる、カーテン、ロールブランド、およびパーテションからなる群より選択されるいずれかのインテリア用品。

【図1】
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【公開番号】特開2007−131985(P2007−131985A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328723(P2005−328723)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】