説明

除菌用内装壁構造及びその成形方法

【課題】内装壁としての外観を損ねることなく、しかも確実な除菌効果が得られる除菌用内装壁構造を提供する。
【解決手段】強塩基性を有する陰イオン交換樹脂に分子状ヨウ素(I2)を15%〜40%結合させたヨウ素吸着樹脂1を設ける。このヨウ素吸着樹脂1を1μm 〜50μm の微粉末に粉砕する。重量比40%〜50%の珪藻土2を基材とした壁材に、粉砕したヨウ素吸着樹脂1を3%〜10%混入した材料で内装壁の下地層10を形成する。ヨウ素吸着樹脂1が混入されない珪藻土2を基材とした壁材で内装壁の仕上げ層20を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヨウ素吸着樹脂を使用した除菌用内装壁構造に係り、一般住宅や集合住宅、病院、老人ホームなどの各種建築物の内装壁として好適な除菌用内装壁構造及びその成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
強塩基性を有する陰イオン交換樹脂にヨウ素を結合させたヨウ素吸着樹脂を用いた殺菌方法が特許文献1に開示されている。この殺菌方法は、空中微生物を含有する空気の殺菌方法であり、ヨウ素化強塩基性アニオン交換樹脂からなるデマンド型殺菌剤樹脂に、空気中の微生物を接触させて殺菌するものである。このデマンド型殺菌剤樹脂とは、陰イオン交換樹脂にヨウ素を結合させたヨウ素吸着樹脂を示す。また、デマンド型殺菌とは、ヨウ素吸着樹脂の特性である殺菌作用を示し、マイナスイオンを帯びたバクテリアやウィルス、黴などが近づくと、樹脂内部に結合されているプラスイオンを帯びたヨウ素が、イオン交換作用によって遊離し、ウィルスや細菌を瞬時に殺菌する作用である。放出されるヨウ素の量は、バクテリアやウィルスなどの数に相応する量だけが交換放出され、余分なヨウ素を放出することがなく、所謂デマンドリリースメカニズムと称されている。
【0003】
このようなヨウ素吸着樹脂の特性を利用した除菌壁材が特許文献2に記載されている。この除菌壁材は、当発明者が先に提案したもので、通気性を有する壁材にヨウ素系殺菌材を混入した壁材である。このヨウ素系殺菌材として、強塩基性を有する陰イオン交換樹脂にヨウ素を吸着させたヨウ素吸着樹脂を使用する。また、通気性を有する壁材として、繊維壁材、珪藻土、漆喰、ブラスターを選択し、0.001m3の壁材中に30g〜300gのヨウ素系殺菌材を混入するものである。
【特許文献1】特許第3289831号公報
【特許文献2】特開平10−317529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献2の如く、繊維壁材、珪藻土、漆喰、ブラスターにヨウ素吸着樹脂を混入すると、ヨウ素独自の色素が壁材の色を変色させるので、白色や淡色系の壁材を用いる場合に、すべて茶褐色に変色し、壁材の元の色に形成することができない不都合があった。しかも、殺菌効果を高めるために、このヨウ素吸着樹脂を多量に混入するほどヨウ素の色が濃く出てしまい、また、変色しないように少なくすると十分な殺菌効果が得られず、内装壁の殺菌効果と外観効果とが相反するものであった。
【0005】
このような壁材の変色を防止するには、ヨウ素吸着樹脂を混入した壁材の表面に、ヨウ素吸着樹脂を混入しない壁材を上塗りする手段もあるが、特許文献1記載のヨウ素吸着樹脂や特許文献2記載の除菌壁材では、上塗りによってデマンド型殺菌効果が著しく低下するので、除菌壁材で囲まれた室内の菌を実用的レベルまで除菌することが困難である。
【0006】
そこで本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、内装壁としての外観を損ねることなく、しかも確実な除菌効果が得られる除菌用内装壁構造及びその成形方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、通気性を有する壁材にヨウ素吸着樹脂1を混入した内装壁構造において、ヨウ素吸着樹脂1を1μm 〜50μm の微粉末に粉砕し、珪藻土2を基材とした壁材に粉砕したヨウ素吸着樹脂1を3%〜10%混入した材料で内装壁の下地層10を形成し、ヨウ素吸着樹脂1が混入されない珪藻土2を基材とした壁材で内装壁の仕上げ層20を形成したことにある。
【0008】
第2の手段の前記ヨウ素吸着樹脂は、強塩基性を有する陰イオン交換樹脂にヨウ素を15%〜40%結合したものであり、前記珪藻土2を基材とした壁材は、重量比40%〜50%の珪藻土2を含有する壁材を使用することにある。
【0009】
第3の手段は、通気性を有する壁材にヨウ素吸着樹脂1を混入した内装壁の成形方法において、珪藻土を基材とした壁材に、分子状ヨウ素(I2)が結合されたヨウ素吸着樹脂1を混合し、該壁材で内装壁の下塗りを施し、珪藻土を基材とした壁材で内装壁の上塗りを施すことにある。
【0010】
第4の手段は、前記分子状ヨウ素(I2)の結合量を27%とし平均粒径が3μmのヨウ素吸着樹脂1を前記下地層10に6%混入した際に、下地層10の厚みに対する仕上げ層20の厚みの比を1対1の比率に設定し、下地層10に混入する前記ヨウ素吸着樹脂1の増減に伴って仕上げ層20の厚みの比を増減するものである。
【0011】
第5の手段は、前記下地層10の厚みに対する仕上げ層20の厚みの比を、下地層10に混入する前記ヨウ素吸着樹脂1における分子状ヨウ素(I2)の結合量を増加し、且つ平均粒径を漸次小径とすることで、仕上げ層20の厚みの比を増加することを課題解消のための手段とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明壁構造により、ヨウ素吸着樹脂から出る色素に影響されることなく、内装壁の外観を損ねることなく使用することが可能になった。しかも、ヨウ素吸着樹脂が混入されない材料で内装壁の仕上げ層を形成しても、確実なデマンド型殺菌効果が得られる。
【0013】
また本発明成形方法では、下地層10に混入するヨウ素吸着樹脂1の量や粒径を変更することで、下地層10に対する仕上げ層20の厚みを漸次増加することが可能になり、内装壁の施工条件に適応した工事が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明壁構造の最良の形態は、ヨウ素吸着樹脂1を1μm 〜50μm の微粉末に粉砕する。そして、重量比40%〜50%の珪藻土2を含有する壁材に粉砕したヨウ素吸着樹脂を3%〜10%混入する。該壁材で内装壁の下地層10を形成する。更に、重量比40%〜50%の珪藻土2を含有する壁材で、ヨウ素吸着樹脂1が混入されない材料を内装壁の仕上げ層20として形成することにより当初の目的を達成するものである。
【実施例】
【0015】
本発明は、珪藻土2を基材とした壁材と、ヨウ素吸着樹脂1とを用いて構成する壁構造及びその成形方法であり、ヨウ素吸着樹脂1を混合する下地層10と、ヨウ素吸着樹脂1を混合しない仕上げ層20との二層構造を成す(図1参照)。
【0016】
ヨウ素吸着樹脂1は、強塩基性を有する陰イオン交換樹脂に分子状ヨウ素(I2)を15%〜40%結合させたもので、このヨウ素吸着樹脂1は、1μm 〜50μm の微粉末に粉砕されたものを使用する。一般に使用されているヨウ素吸着樹脂は、陰イオン交換樹脂の粒径である0.5mm〜1.00mmのサイズであり、これを衝撃粉砕機で粉砕する。また、本発明で使用する強塩基性を有する陰イオン交換樹脂とは、例えばポリスチレンに4級アンモニウム基が付いた樹脂を用い、従来周知の製法で、一般的な含有量となる15%〜40%に分子状ヨウ素(I2)を結合させたヨウ素吸着樹脂1を使用する。
【0017】
粉砕したヨウ素吸着樹脂1の粒径が1μmを下回ると粉砕作業が極めて困難になる。一方、珪藻土2の粒子は、およそ粒径50μm程度であることから、ヨウ素吸着樹脂1の粒径を珪藻土2と同径程度のものまで混合して使用することが可能である。しかし、ヨウ素吸着樹脂1が珪藻土2の粒子サイズを超える場合、このヨウ素吸着樹脂1は、壁材の骨材として作用することになる。すると、ヨウ素吸着樹脂1が50μmを超えるほど、骨材としての性格が強まるが、ヨウ素吸着樹脂1自体は骨材としての強度が乏しいので壁材の物理的強度が低下することになる。また、後述する仕上げ層20を形成した場合に、混合率が同一でもヨウ素吸着樹脂1の粒径が大きくなるほど、単位面積あたりのヨウ素樹脂密度(個数)が少なくなりデマンド型殺菌効果が低減する傾向がある。したがって、本発明に用いるヨウ素吸着樹脂1の粒径は1μm 〜50μmが好適である。
【0018】
前述のように粉砕したヨウ素吸着樹脂1を、珪藻土2を基材とした壁材に混合し、この材料で内装壁の下地層10を形成する。実験では、分子状ヨウ素(I2)の含有量を27%とし、平均粒径が3μmのヨウ素吸着樹脂1を重量比6%の割合で壁材に混入したときに、後述する仕上げ層20を形成してもデマンド型殺菌効果を奏し、空気中に含まれるバクテリアやウィルスなどを十分に殺菌することが可能になっている。
【0019】
また、ヨウ素吸着樹脂1を重量比3%の割合で壁材に混入した壁材を一層にした際に、デマンド型殺菌効果が得られている。仕上げ層20を設ける場合、分子状ヨウ素(I2)の含有量を27%とし、平均粒径が3μmのヨウ素吸着樹脂1を使用する際に、仕上げ層20の厚みをできるだけ薄くした場合でも、重量比が3%を下回ると、後述する仕上げ層20を形成した際に、デマンド型殺菌効果が低減し、空気中に含まれるバクテリアやウィルスなどを十分に殺菌することができなくなるおそれがある。但し、ヨウ素吸着樹脂1における分子状ヨウ素(I2)の結合量を増加できる場合や、ヨウ素吸着樹脂1の粒径をより小さくすることが可能になる場合は、重量比3%以下のヨウ素吸着樹脂1を混入してもデマンド型殺菌効果が得られるものと推測される。
【0020】
また、ヨウ素吸着樹脂1の混入量が10%を超えると、ヨウ素の色素が強くなり、仕上げ層20まで影響を与えるおそれが生じると共に、内装壁の製造コストが極めて高くなる不都合もあり、現実的な使用は困難となる。したがって、分子状ヨウ素(I2)の含有量を27%とし、平均粒径が3μmのヨウ素吸着樹脂1を使用する場合、下地層10の珪藻土2を基材とした壁材に粉砕したヨウ素吸着樹脂1の混合量は、3%〜10%の範囲で設定し、最適な値は6%とするものである。
【0021】
本発明の成形方法は、下地層10のデマンド型殺菌効果を担保しながら、仕上げ層20を形成する方法にある。すなわち、珪藻土を基材とした壁材に、分子状ヨウ素(I2)が結合されたヨウ素吸着樹脂1を混合し、該壁材で内装壁の下塗りを施し、珪藻土を基材とした壁材で内装壁の上塗りを施す方法である。
【0022】
このとき、ヨウ素吸着樹脂1における分子状ヨウ素(I2)の結合量27%、平均粒径3μmとし、該ヨウ素吸着樹脂1の前記下地層10への混入量を6%とした際に、下地層10の厚みに対する仕上げ層20の厚みの比を1対1の比率に設定するものである。本発明の内装壁はこの1対1の比率で形成することが、色素の表出防止、及びデマンド型殺菌効果から望ましいが、下地層10に混入する前記ヨウ素吸着樹脂1の量を増減することにより、仕上げ層20の厚みを増減することができる。
【0023】
実験では、1200g/m2の前記壁材に96gの前記ヨウ素吸着樹脂1を混入して厚さ1.5mmの下地層10を形成し、2000g/m2の前記壁材を仕上げ層20として形成した際のデマンド型殺菌効果が確認されている。従って、ヨウ素吸着樹脂1を前記下地層10に8%混入した際に、下地層10の厚みに対する仕上げ層20の厚みを3対5の比率で形成することができる。
【0024】
仕上げ層20の厚みを下地層10よりも薄く形成することは、デマンド型殺菌効果の観点から容易であるが、色素の表出を防止するには、ヨウ素吸着樹脂1の混入量を減量するのが望ましい。
【0025】
また、混合率が同一でもヨウ素吸着樹脂1の粒径が大きくなるほど、単位面積あたりのヨウ素樹脂密度(個数)が少なくなりデマンド型殺菌が低減する傾向がある。そこで、前記下地層10の厚みに対する仕上げ層20の厚みの比を、下地層10に混入する前記ヨウ素吸着樹脂1における分子状ヨウ素(I2)の結合量を増加し、且つ平均粒径を漸次小径とすることで、仕上げ層20の厚みを増加することも可能である。
【0026】
本発明壁構造の下地層10は、珪藻土2を基材とする壁材に前述のヨウ素吸着樹脂1を混合した材料をモルタル等の下地30の上に塗布することで形成される。
【0027】
一方、仕上げ層20は、この下地層10の上に形成する層で、ヨウ素吸着樹脂1を混合しない壁材にて形成する。この壁材は、珪藻土2を基材とした壁材で、ヨウ素吸着樹脂1の有無以外は、下地層10で使用する壁材と同じ壁材、または他の珪藻土2を基材とした壁材を使用する。この壁材は、珪藻土2を基材とした壁材とし、例えば、重量比45%の珪藻土2に、珪砂、半水石膏等の骨材3や、カチオン系アクリル樹脂エマルジョン等のバインダー剤4などが混合された壁材を使用する(図2参照)。
【0028】
【表1】

【0029】
表1は、珪藻土2を基材とした壁材の一実施例を示している。この実施例では、珪藻土45%、半水石膏15%、珪砂20%、パーライト12%、炭酸カルシュウム5%、カチオン系アクリル樹脂エマルジョン3%で壁材を構成している。本発明壁構造は、この壁材を仕上げ層20に使用し、又はこの壁材に6%〜10%のヨウ素吸着樹脂1を混合して下地層10に使用するものである。
【0030】
下地層10対仕上げ層20の厚みの比率は、1対1の比率で形成するのが好ましい。これらの壁厚は、下地層10に混入する前記ヨウ素吸着樹脂1における分子状ヨウ素(I2)の結合量を増加し、且つ平均粒径を漸次小径とする比率で形成するのが好ましい。これらの壁厚は、下地層10に混合するヨウ素吸着樹脂1の混合率によって適宜調整することができる。例えば、下地層10のヨウ素吸着樹脂1の混合率を高めるほど、仕上げ層20を厚くすることができる。
【0031】
本発明内装壁構造では、下地層10に混合したヨウ素吸着樹脂1でデマンド型殺菌を行うものである。したがって仕上げ層20が厚くなるほど、このデマンド型殺菌効果が低下するが、厚い仕上げ層20によりヨウ素吸着樹脂1の色素に影響されない仕上がり状態になる。実験では、4mm厚の内装壁を形成する際に、平均粒径2.7μmのヨウ素吸着樹脂1を6%混合した下地層10を2.0mm厚に形成し、仕上げ層20を2.0mm厚に形成した壁構造と、同じ壁材にヨウ素吸着樹脂1を3%混合した一層の内装壁とでは、ほぼ同様のデマンド型殺菌効果が得られることが明らかになっている(表2参照)。この場合、一層の壁及び二層の壁構造において、夫々の壁材に混合するヨウ素吸着樹脂1の総量は、同じ量になる。
【0032】
【表2】

【0033】
表2は、本発明壁構造の殺菌力を示している。この表において、本発明の壁構造(No.4)は、相対コロニー数が50%以下に減少しており、内装壁表面までヨウ素吸着樹脂1が存在する壁材(No.3)とほぼ同等の効果が得られていることがわかる。表中、(No.3)はヨウ素吸着樹脂1を3%混合した4mmの内装壁を示し、(No.4)は、ヨウ素吸着樹脂1を6%混合した厚さ2mmの下地層10の上に、ヨウ素吸着樹脂1を混合しない厚さ2mmの仕上げ層20を形成した内装壁を示している。
【0034】
表2の実験は次のとおりである。一辺180cmの立方体に扉と窓を設けたモデルハウスを4棟構築し、その内装壁材に、プリント合板(No.1)、ビニールクロス(No.2)、ヨウ素吸着樹脂を3%混合した4mmの珪藻土(No.3)、ヨウ素吸着樹脂を6%混合した2mmの珪藻土からなる下地層10とヨウ素吸着樹脂1を混合しない2mmの珪藻土からなる仕上げ層20とからなる壁材(No.4)、の4種類の内装壁を設けた。各モデルハウスを同一実験室内で一定時間開放し、外気を十分取り入れ、扉閉鎖後一定時間ごとに、各モデルハウスからエアーサンプラーにて100リットルの空気を採取して培地に捕集し、捕集後の培地を25゜Cで培養し、72時間後に出現コロニーを計数したものである。尚、表の横軸は、モデルハウスの扉を閉鎖してからの日数を示している。
【0035】
【表3】

【0036】
表3は、ヨウ素吸着樹脂を混合した珪藻土の殺菌効果を示している。この実験は次のように行われた。上部が開口した一辺90cmの立方体(容積729リットル)を3個用意し、ビニールクロス、珪藻土、ヨウ素吸着樹脂を5%混合した珪藻土、の三種類で、夫々の立方体内面5面と蓋の内面をすべてコーティングして箱モデルを形成した。そして、直射日光の当たらない試験室にて、蓋をはずした各箱モデルを24時間放置し、その後、蓋を載せて更に24時間静置した後、蓋を少しずらして内部底から10cmの高さにエアーサンプラーをセットし、各箱モデルから100リットルの空気を捕集し、捕集後の培地を25゜Cで培養し、72時間後に出現コロニーを計数したものである。捕集作業は日を変えて3回行った。尚、培地の種類は、SDX:真菌一般用, DG-18:高稠性真菌用,TSM:細菌一般用とする。
【0037】
この結果、捕集日によってコロニー数に差はあるものの、湿度が高い条件では、ヨウ素吸着樹脂を5%混合した珪藻土の結果が最も低値を示した。特に、高稠性真菌用の培地であるGD-18において、ビニールクロスと珪藻土が著しく高いコロニー数を示しているのに対し、ヨウ素吸着樹脂を5%混合した珪藻土では、明らかに抑制されていることがわかる。この高稠性真菌は、乾燥した環境でも生存率が極めて高く、喘息など各種の疾病を誘引する真菌として学会でも注目されているもので、このような高稠性真菌を殺菌する本発明壁構造の効果は、極めて意義深いものといえる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明壁構造の一実施例を示す要部断面図である。
【図2】図1の符号a部分を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ヨウ素吸着樹脂
2 珪藻土
3 骨材
4 バインダー剤
10 下地層
20 仕上げ層
30 下地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性を有する壁材にヨウ素吸着樹脂を混入した内装壁構造において、ヨウ素吸着樹脂を1μm 〜50μm の微粉末に粉砕し、珪藻土を基材とした壁材に粉砕したヨウ素吸着樹脂を3%〜10%混入した材料で内装壁の下地層を形成し、ヨウ素吸着樹脂が混入されない珪藻土を基材とした壁材で内装壁の仕上げ層を形成したことを特徴とする除菌用内装壁構造。
【請求項2】
前記ヨウ素吸着樹脂は、強塩基性を有する陰イオン交換樹脂に分子状ヨウ素(I2)を15%〜40%結合したものであり、前記珪藻土を基材とした壁材は、重量比40%〜50%の珪藻土を含有する壁材である請求項1記載の除菌用内装壁構造。
【請求項3】
通気性を有する壁材にヨウ素吸着樹脂を混入した内装壁の成形方法において、珪藻土を基材とした壁材に、分子状ヨウ素(I2)が結合されたヨウ素吸着樹脂を混合し、該壁材で内装壁の下塗りを施し、珪藻土を基材とした壁材で内装壁の上塗りを施すことを特徴とする除菌用内装壁の成形方法。
【請求項4】
前記分子状ヨウ素(I2)の結合量を27%とし平均粒径が3μmのヨウ素吸着樹脂を前記下地層に6%混入した際に、下地層の厚みに対する仕上げ層の厚みの比を1対1の比率に設定し、下地層に混入する前記ヨウ素吸着樹脂の量の増減に伴って仕上げ層の厚みの比を増減する請求項3記載の除菌用内装壁の成形方法。
【請求項5】
前記下地層10の厚みに対する仕上げ層20の厚みの比を、下地層10に混入する前記ヨウ素吸着樹脂1における分子状ヨウ素(I2)の結合量を増加し、且つ平均粒径を漸次小径とすることで、仕上げ層20の厚みの比を増加する請求項3又は4記載の除菌用内装壁の成形方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−112044(P2006−112044A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−297634(P2004−297634)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(593176173)新日本改修建設株式会社 (1)
【Fターム(参考)】