説明

除菌装置

【課題】室内の照度によって除菌微粒子の発生を制御することで、省エネかつ効率的に室内の除菌を行い、衛生的な空間を提供すること。
【解決手段】所定時間間隔で照度を出力する照度センサー2を具備し、所定時間範囲において所定時間以上、照度センサー2から出力される照度が予め定められた第1の基準値未満であれば、除菌微粒子発生装置9から除菌微粒子を放出することで、衛生的な空間を提供するとともに、省エネが実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の照度を検出して、検出結果に基づき除菌微粒子の放出を行う除菌装置、及びそれを備えた空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の除菌装置は車両搭載のものがあり、降雨状態であると判断されると除菌イオンを含む空調風を車両用空調装置が車室内に送風する。これにより雨天時など湿度の高い状況において、除菌イオンを含む空調風によって車室内の雑菌の発生量を抑制することができる(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
具体的な構成について説明する。車両用空調装置のエアコンアンプは、イグニッションスイッチがONとなった後、一定時間内にワイパが動作したと判断されるとRAINフラグを1とする。その後、車両用空調装置の運転が開始され、RAINフラグの値が1であると判断されると、イオン供給装置に除菌効果のあるプラスイオンを発生するよう信号を出力する。また、足元の吹出し口からもプラスイオンを含む空調風が送風されるように設定する。これにより雨天時の人の乗車で濡れて繁殖しやすい足元付近の雑菌の発生量を効果的に抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−175143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の空調装置では降雨時のみの作動であり、空気中には降雨時以外にも常に菌やカビ、ウィルスなどが浮遊しており、放置すればなかなか減衰しない、という課題を有していた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するもので、室内の照度に基づいて除菌微粒子の放出を制御するもので、省エネでかつ室内空気の衛生を保つ除菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題を解決するために、本発明の除菌装置は、センサー所定時間間隔で照度を出力する照度センサーを具備し、所定時間範囲において所定時間以上、前記照度センサーから出力される照度が予め定められた第1の基準値未満であれば、除菌微粒子を放出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の除菌装置は、照度センサーから出力される照度に基づいて除菌微粒子の放出を制御するため、日射による殺菌効果が減少する場合に作動するため省エネかつ効率的に室内の除菌を行い、健康によい衛生的な空間を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における除菌装置(空気調和機)の斜視図
【図2】図1に示す除菌装置(空気調和機)のブロック図
【図3】本発明の実施の形態1における制御フローチャート
【図4】様々な部屋の照度とセンサー出力電圧の関係を示す図
【図5】除菌微粒子発生装置の一例を示す図
【図6】室内浮遊菌残存率と除菌微粒子発生装置消費電力量の関係を示す図
【図7】本発明の実施の形態2における制御フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、除菌微粒子を放出する除菌装置であって、所定時間間隔で照度を出力する照度センサーを具備し、所定時間範囲において所定時間以上、前記照度センサーから出力される照度が予め定められた第1の基準値未満であれば、除菌微粒子を放出するとしたもので、センサー省エネでかつ効率的に室内の除菌を行うことができる。
【0011】
また好ましくは、所定時間範囲において所定時間以上、前記照度センサーから出力される照度が予め定められた第2の基準値未満であれば、除菌微粒子の放出量を増やすことを特徴とするもので、日射による殺菌効果が得にくい場合、除菌微粒子の放出量を増やすことで室内の除菌効果を保つことができる。
【0012】
好ましくは、送風装置をさらに具備し、除菌微粒子を放出する際に、送風装置を駆動させることを特徴とするもので、送風装置により除菌微粒子の拡散を行うことで、室内の除菌を迅速に行うことができる。
【0013】
好ましくは、風向制御羽根を具備し、微粒子を放出する際に前記風向制御羽根を揺動するか、あるいは所定の風向に設定することを特徴とするもので、揺動により除菌微粒子の拡散を促進させる、あるいは所定の場所に除菌微粒子を放出することができるため、特に所望の場所を効率的に除菌することができる。
【0014】
好ましくは、除菌微粒子の放出量の増減に応じて前記送風装置の風量を増減することを特徴とするもので、微粒子の増加に対応して送風装置に風量を増やして、迅速に除菌を行うことができる。
【0015】
好ましくは、除菌装置が空気調和装置であることを特徴とするもので、空気調和機の送風装置を利用して迅速に除菌行うことができるとともに、快適な空調を実現することができる。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における除菌装置1の本体の外観図を示すものである。また、図2は、図1に示す除菌装置1の本体のブロック図である。本実施の形態では除菌装置1は空気調和機13とし、以下の説明においても空気調和機13として説明する。
【0017】
図1及び図2に示すように、空気調和機13の正面には照度センサー2が設けられており、この照度センサー2は居室内の照度を検出する。また空気調和機13には図2に示すように、照度センサー2の検出結果に基づき、空調を制御する制御部8が備わる。この制御部8は、例えば、マイコン、不揮発性メモリ及びRAMから構成される。また、空気調和機13には送風機(図示せず)が設けられている。さらに、吹き出し口5を介して吹き出される風を制御して気流を作り出す風向制御羽根(水平フラップ6、垂直フラップ7)が設けられている。また、空気調和機13には除菌微粒子を発生する除菌微粒子発生装置9が設けられている。なお、除菌微粒子発生装置9の詳細については後述する。
【0018】
以上のように構成された空気調和機13について、以下、運転時の動作や作用を説明する。
【0019】
空気調和機13は、例えば暖房運転時はリモコン(図示せず)の指示によって運転を開始すると、内部の送風機(図示せず)を運転させることで、加熱空気を吹き出し口5から室内に送風し、リモコンにより指示された室温になるように制御する。室温は吸い込み口4に設けられた温度センサー3によって検知されている。
【0020】
図3は、図2に示す制御部8の制御フローを示す。以下、図3のフローに沿って、制御部8による制御を説明する。
【0021】
空気調和機13の運転開始と同時に、照度センサー2は居室内の照度L1の検出を開始する(ステップS1)。この検出値は、制御部8へ送られ例えばRAMに記録されていく。制御部8は、照度検出値L1が一定値α以上である場合(ステップS2)、検出時間Pのカウントを開始する(ステップS3)。αの値は室内の一般的な照明器具による照度より高く設定することにより、照明による照度とは区別して日射による照度上昇と認識することが可能である。例えば、αの値は冷房時であれば照度センサー2の出力最大値Lmaxの4割程度、暖房時であれば同じく5割程度に設定する。
【0022】
ここで、図4は様々な部屋において空気調和機13が設置される位置で照度を測定した値と、照度センサー2の出力値との関係を示す。横軸に実際の照度、縦軸に照度センサー2の最大出力電圧に対する出力値の割合をそれぞれ示している。
【0023】
図4によれば日射による照度センサー2の出力値は、空気調和機13の設置位置に関わらず、太陽高度の高い夏季では照度センサー2の出力最大値の4割を下回ることがなく、また太陽高度が低く日射が窓から侵入しやすい冬季には照度センサー2の出力最大値の5割を下回ることがなかった。また日射がある時に室内を厚地カーテン等で遮蔽した場合や室内の照明による照度センサー2の出力値は前記の日射による出力値を上回ることがなかった。
【0024】
以下、再度、図3を参照して除菌微粒子の放出行う制御について説明する。
【0025】
図3の制御フローに示すように、所定時間範囲βの間にL1≧αの検出時間Pが、日射が確実に室内に到達していると考えられるβ/2以上あった場合(ステップS4)、制御部8は日射ありと判定する(ステップS5a)。このβ/2は一時的な曇天などの可能性を考慮した。また所定時間範囲βは例えば室内の空調温度が安定する10分程度に設定する。
【0026】
さらにこのP≧β/2である所定時間範囲βが連続した場合、あるいは所定時間範囲3βのうち2βでP≧β/2が成立した場合(ステップS6)、日射確定と判断して(ステップS7a)除菌微粒子の放出は行わない(ステップS8)。この場合、室内には日射が継続して取り込まれているため、太陽光に含まれる紫外線による菌やウィルスの死滅効果が期待できる。
【0027】
次にステップS2でL1<αだった場合、検出時間Qのカウントを開始する(ステップS9)。ここでL1<αの検出時間Qが所定時間範囲β以上になった場合(ステップS10)、制御部8は日射が一定時間範囲でないものと判断して除菌微粒子の放出を行う(ステップS11)。あるいはステップS4で日射なしと判定された場合(ステップS5b)、ステップS6が成立しなかった場合、日射非確定(ステップS7b)と判定された場合にも同様に除菌微粒子の放出を行う(ステップS11)。
【0028】
具体的には、制御部8は除菌微粒子発生装置9の作動を指示し、発生した除菌微粒子は送風機により吹き出し口5から室内に放出される。吹き出し口5にある水平フラップ6と
垂直フラップ7は揺動しており、室内全体に除菌微粒子が行き渡るようになっている。
【0029】
図5は除菌微粒子発生装置9の一例を示している。除菌微粒子発生装置9は静電霧化により水微粒子を発生するもので、内部にはペルチェ素子からなる冷却部10があり冷却部10が放電電極11を冷却するようになっている。冷却された放電電極11には空気中の水分が結露することになる。放電電極11には対向する位置に対向電極12があり、放電電極11と対向電極12の間に高電圧を印加することで、放電電極11に結露した水が霧化されて水微粒子が発生するようになっている。水微粒子は吹き出し口5から室内の任意の位置に送ることができる。
【0030】
ここで水微粒子の作用について説明する。水微粒子は通常の水蒸気より粒子の小さいナノメートルサイズのラジカルとして空気中に漂流し、室内に浮遊している菌に吸着したり、ウィルス表面に作用して、菌やウィルスを不活化させることが可能である。
【0031】
なお、ここでは除菌装置が発生する除菌微粒子として、静電霧化によって発生した水微粒子の例を示したが、イオン粒子など他の除菌微粒子においても同様の作用が得られるのは言うまでもない。
【0032】
図6には、以下の3つの条件下における、室内浮遊菌残存率と除菌微粒子発生装置の消費電力量の時系列変化をそれぞれ示す。条件としては、ある一定時間内に日射が断続的にあるケースで、照度センサーによる判断がないまま除菌微粒子を放出させ続けた場合(条件1)、照度センサーにより日射確定判断時に除菌微粒子の放出を中断させた場合(条件2)、除菌微粒子の放出は行わない場合(条件3)とした。
【0033】
条件1では、室内浮遊菌の量は減少する反面、消費電力量は一定値である。また条件2では日射がない場合は除菌微粒子放出により室内浮遊菌量は減り、日射確定判断時にも日射による殺菌効果で室内浮遊菌量は条件1と同様に減少する。かつ除菌微粒子の放出が中断する際には消費電力は下がる。条件3では消費電力が発生しないものの、日射のある場合のみに殺菌効果が得られるだけで、室内浮遊菌の量は減少しにくい。
【0034】
以上のように、本発明の実施の形態1では、連続的に除菌微粒子発生装置9を運転する場合と比較して省エネが可能ある。また除菌微粒子発生装置を作動させない場合よりも室内の除菌状態を保てるため健康的な空間を提供できる。
【0035】
なお、本実施の形態では除菌装置1を空気調和機13として説明したが、空気清浄機や除湿機、加湿器など除菌微粒子発生装置を搭載できるものならばいかなる形態でも問わない。
【0036】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態1における制御部8の制御フローの他の例を示している。以下、図6を参照して、制御部8による制御を説明する。なお、実施の形態1と同じフローに関しては同じ符号を記して説明を省略する。
【0037】
図6のフローに示すように、ステップS11の後、さらに検出時間Rのカウントを開始する(ステップS12)。そして検出時間Rが所定時間範囲3β以上になった場合(ステップS13)、制御部8は除菌微粒子放出量の増加を指示する(ステップS14)。
【0038】
長時間日射がない場合、室内浮遊菌やウィルス量が減衰しにくくなってくる。しかし、本実施の形態の制御フローを用いることで、長時間日射がない場合であっても除菌微粒子の放出量を増加し、長時間日射がない場合であっても室内浮遊菌やウィルス量の減少を図
ることが可能である。これによって、健康的な空間を維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明にかかる除菌装置は、室内の照度が予め定められた基準値以下で所定時間以上継続すれば除菌微粒子を放出するもので、省エネでかつ効率的に室内の除菌を行い、健康によい衛生的な空間を提供することができる。したがって、住宅のリビング、あるいは病院やホテルの部屋、車両室内などの除菌装置の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 除菌装置
2 照度センサー
3 温度センサー
4 吸い込み口
5 吹き出し口
6 水平フラップ
7 垂直フラップ
8 制御部
9 除菌微粒子発生装置
10 冷却部
11 放電電極
12 対向電極
13 空気調和機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除菌微粒子を放出する除菌装置であって、
所定時間間隔で照度を出力する照度センサーを具備し、
所定時間範囲において所定時間以上、前記照度センサーから出力される照度が予め定められた第1の基準値未満であれば、除菌微粒子を放出することを特徴とする除菌装置。
【請求項2】
所定時間範囲において所定時間以上、前記照度センサーから出力される照度が予め定められた第2の基準値未満であれば、除菌微粒子の放出量を増やすことを特徴とする請求項1に記載の除菌装置。
【請求項3】
送風装置をさらに具備し、
除菌微粒子を放出する際に、前記送風装置を駆動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の除菌装置。
【請求項4】
前記送風装置は風向制御羽根を具備し、
除菌微粒子を放出する際に、前記風向制御羽根を揺動させる若しくは所定の風向に設定することを特徴とする請求項3に記載の除菌装置。
【請求項5】
除菌微粒子の放出量の増減に応じて前記送風装置の風量を増減することを特徴とする請求項3又は4に記載の除菌装置。
【請求項6】
前記除菌装置が空気調和装置である請求項1〜5のいずれか1項に記載の除菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−240796(P2011−240796A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113880(P2010−113880)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】