説明

陽電子ビームを用いた画像化方法及び画像化装置

【課題】従来の消滅ガンマ線のエネルギー分布又は陽電子寿命分布を測定して得られる画像では、試料表面の安定した情報が得られない問題や、ノイズが入ってしまうという問題があるので、高性能の画像を取得することを目的とする。
【解決手段】陽電子ビームを測定対象物に走査して照射し、放出される消滅ガンマ線又は散乱粒子を検出して分析画像を作成するとともに、消滅ガンマ線の検出数をコントラストとする画像を作成して、これらの画像の組み合わせから新しい分析画像を作成することにより、高性能な画像を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析や測定のために、陽電子ビームを試料等に照射し、その際陽電子が消滅することにより発生する消滅ガンマ線を利用して、試料等の測定対象物の画像を得る、陽電子ビームを用いた画像化方法及び画像化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、陽電子ビームを試料に照射し、この照射された陽電子と試料中の電子との対消滅により発生するガンマ線を検出し、このガンマ線のエネルギー分布から材料の欠陥分析を行う各種の陽電子分析技術が知られている(特許文献1〜3参照)。また、試料表面に陽電子ビームを照射したときに発生する二次電子などを検出する電子検出器を備えて、その検出出力を試料表面に関する情報として用いる陽電子ビーム分析装置が提案されている(特許文献2参照)。また、低速陽電子ビームを試料表面上に収束して走査し、この照射された陽電子を試料中の電子と対消滅させ、この際に発生するγ線もしくは二次電子を検出する陽電子消滅分析装置(特許文献3参照)が提案されている。
【0003】
また、非特許文献においても、陽電子ビームを試料上に走査して入射して、消滅ガンマ線のエネルギー分布又は陽電子寿命分布を測定することにより、ガンマ線のエネルギー分布を特徴づけるパラメーターをコントラストとしたイメージを取得することや(非特許文献3又は4参照)、又は陽電子寿命分布を特徴付けるパラメーターをコントラストとしたイメージを取得すること(非特許文献1又は2参照)によって、材料の欠陥分布等の評価を行うことが知られている。
【0004】
消滅ガンマ線のエネルギー分布(エネルギースペクトルともいう)を測定することにより、消滅ガンマ線のエネルギー分布の形状を特徴づけるパラメーター(Sパラメーター、Wパラメーター、Vパラメーター)をコントラストとしたイメージを得る従来技術について、図15〜17を参照して説明する。
【0005】
消滅ガンマ線のエネルギー分布を測定する場合には、半導体検出器と呼ばれるガンマ線検出器が一般的に用いられ、一般的なガンマ線のエネルギー分布の測定回路の構成を図15に示す。消滅ガンマ線検出器により消滅ガンマ線を検出した信号は、前置増幅器、比例増幅器を介してマルチチャンネル波高分析器に入力され、ガンマ線のエネルギー分布が測定される。陽電子の消滅ガンマ線は、エネルギー約511keV周辺に鋭いピークを形成する。一般的に得られる511keV付近のガンマ線のエネルギー分布を図16に示す。消滅ガンマ線の分布を特徴付けるパラメーター(変数・指標)には、Sパラメーター、Wパラメーター、Vパラメーターがある。Sパラメーターは、511keV付近に現れるガンマ線分布のピークの鋭さ(拡がりの程度)をあらわし、511keV付近のピークの全体の検出数(面積)に対するピーク中心付近の検出数(面積)の割合で定義されている。Wパラメーターは、511keV付近に現れるガンマ線分布のピークの鋭さ(拡がりの程度)をあらわし、511keV付近のピークの全体の検出数(面積)に対するピーク裾野の検出数(面積)の割合で定義されている(図16)。511keVピークが鋭いほどSパラメーターは大きい値になり、Wパラメーターは小さい値になる。Vパラメーターは、511keVピークの全体の検出数(面積)Aに対する、低エネルギー側の任意のエネルギー範囲の検出数(面積)Bの割合V=B/Aで定義されている(図17)。なお、図17は横軸にガンマ線エネルギー分布を縦軸に検出数(ログスケール)を示したVパラメーターを説明するための図である。
【0006】
陽電子寿命分布を特徴付けるパラメーターをコントラストとしたイメージを取得する従来技術について図18〜19を参照して説明する。パルス化装置を通してパルス化した陽電子ビームを試料に走査して照射し、消滅ガンマ線を検出することにより、陽電子の寿命スペクトル(陽電子の寿命分布ともいう)を測定して、陽電子寿命分布を特徴づけるパラメーター(平均陽電子寿命、複数成分に分解された場合の陽電子寿命やその強度)をコントラストとしたイメージが得られる。陽電子の寿命分布を計測する場合には、シンチレーション検出器と呼ばれるガンマ線検出器が一般的に用いられ、一般的な陽電子寿命分布の測定回路を図18に示す。陽電子ビームのパルス化装置から得られるパルス化の信号(トリガー信号)と、シンチレーション検出器による消滅ガンマ線の検出時刻との時間差から、試料中の陽電子の寿命を測定できる。ガンマ線を多数検出して、陽電子の寿命分布(陽電子の寿命スペクトル)を測定する。一般的に得られる陽電子の寿命分布を図19に示す。陽電子寿命スペクトルを特徴付けるパラメーターとして、陽電子の平均寿命を計算することができる。また、スペクトルから、陽電子の複数の寿命成分に分解する場合があり、この場合には、各成分の寿命値と各寿命成分の強度が得られる。陽電子寿命イメージのコントラストには、平均寿命、各成分の寿命値、各寿命成分の強度等を選ぶことができる。
【0007】
また、陽電子ビームを試料に照射した際に試料から真空中に放出される散乱粒子は、陽電子(非特許文献6)、電子(非特許文献6)、イオン(非特許文献5)があり、これらの散乱粒子を検出することが知られている。試料から真空中に放出されるこれらの散乱陽電子、散乱電子(2次電子ともいう)、又はイオン等の散乱粒子を、散乱粒子検出器により検出することにより、散乱粒子の検出数をコントラストとしたイメージ(散乱粒子画像ともいう)が得られる。散乱粒子の検出数は、散乱粒子の単位時間当たりの検出数(検出率や強度とも表現される)を含む概念である。しかし、いずれの特許文献及び非特許文献においても、イメージを取得する際に、消滅ガンマ線の検出数、あるいは消滅ガンマ線の単位時間当たりの検出数(検出率・強度)をコントラストとしたイメージ処理(イメージング)はなされていなかった。
【0008】
また、当発明者等は、陽電子ビームを収束して試料等に入射する陽電子ビーム装置を研究開発して、極微欠陥の計測を行ってきた(特許文献4、5)。また、陽電子寿命画像、散乱粒子画像及び計数率画像を画像化する技術の研究開発を行ってきた(非特許文献8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−331460号公報
【特許文献2】特開平9−33461号公報
【特許文献3】特開平2000−292380号公報
【特許文献4】特開2007−139525号公報
【特許文献5】特開2008−304276号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】A.David, G.Kogel, P.Sperr,and W.Triftshauser, Phys.Rev.Lett. 87, 067402−1 (2001).
【非特許文献2】W.Eggwe, G.Kogel, P.Sperr, W.Triftshauser, S.Rodling, J.Bar and H.−J.Gudladt, Applied Surface Science 194, 214 (2002).
【非特許文献3】M.Haaks et al., Applied Surface Science 149, 207−210 (1999).
【非特許文献4】M.Maekawa, A.Kawasuso, T.Hirade and Y.Miwa, Mater. Sci. Forum 607, 268 (2009).
【非特許文献5】T.Akahane, S.Tadokoro, M.Fujinami, T.Sawada, “Observation of positron induced ion desorption”, Mater. Sci. Forum, 445−446, 370−374, (2004).
【非特許文献6】“Positron Beams and thier applications” editor Paul Coleman, World Scientific,pp.129−189.
【非特許文献7】P. J. Schultz and K. G. Lynn, Rev. Mod. Phys. 60, 701−779(1998).
【非特許文献8】大島永康「陽電子を用いた実用的な3次元極微欠陥分布イメージング法の開発」、実環境計測・診断システム協議会ニュース第46号2〜4頁、2009年1月15日発行、独立行政法人産業技術総合研究所 九州産学官連携センター実環境計測・診断システム協議会事務局発行編集
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
背景技術で説明したように、陽電子ビームを試料上を走査して入射し、消滅ガンマ線のエネルギー分布又は陽電子寿命分布を測定してイメージを取得することが行われているが、これらは、試料の欠陥分布等の評価に限られ、その他の試料の材料等の評価には適さなかった。既に知られている陽電子ビーム分析装置において、さらに、分析位置に対応した試料表面の二次元画像を得て、より高性能でノイズのない画像化方法及び装置が、望まれる。また、試料表面の二次元画像を得る方法として、簡単な方法で、より情報がハイブリッド(高集積化)かつ高度化された画像化が、望まれる。
【0012】
陽電子ビームを試料に照射した際に試料から真空中に放出される散乱粒子を検出する場合には、陽電子(非特許文献6)、電子(非特許文献6)、イオン(非特許文献5)のそれぞれの計数(計数率・強度)を行うと、材料の密度・表面の凹凸といった情報だけでない他の情報を担うことがある。例えば、試料から真空に放出する陽電子(非特許文献7)やイオンの量(非特許文献5)は、試料表面に付着した原子や分子の付着量に依存する場合がある。散乱粒子検出器の前に陽電子や電子やイオンを選別する仕組み、あるいは装置を準備しなければ、陽電子・電子・イオンの粒子を識別することが困難であり、散乱粒子イメージによって得られる情報は複雑となる。
【0013】
散乱粒子を検出して検出数をコントラストとして画像化した散乱粒子画像では、表面の微小な凹凸の一部を示すことができる。散乱粒子の画像は、表面の凹凸の違いを見るのにより適しているが、一方で表面の凹凸に敏感すぎるという問題がある。よって、散乱粒子画像のみでは、試料の密度や種類の違いのみを見るのには適していないという問題がある。
【0014】
一方、従来は、消滅ガンマ線を検出器により検出した消滅ガンマ線のエネルギー分布を特徴づけるパラメーターや陽電子寿命分布を特徴付けるパラメーターをコントラストとしたイメージを作成して分析画像を得ていたが、これらの分析画像からは、材料分析に必要な材料の密度・表面の凹凸といった情報を得ることができなかったという問題がある。また、これらの分析画像を得るためには、陽電子ビームの照射(走査)位置を簡単に確認することが望まれていた。
【0015】
このように、イメージの測定(イメージング)を行う際、ガンマ線検出器により消滅ガンマ線の検出数、あるいは消滅ガンマ線の単位時間当たりの検出数(検出率・強度)をコントラストとしてイメージ処理(イメージング)をしたものはなかった。本発明者が提案するガンマ線検出数(強度)画像は、材料の密度や種類の違いのみを明確に見るのにより適している。ガンマ線検出数(強度)画像は、陽電子寿命画像や散乱粒子画像とは異なる画像になり、特に未知の試料に対して陽電子寿命画像による診断を行う場合には、事前に試料に対しての十分な情報を得ていない場合が想定され、試料分析のための貴重で有用なヒントを、ガンマ線検出数(強度)画像は与える。
【0016】
しかし、照射する陽電子ビームの強度が揺らぐ(時々刻々と変化する)場合、散乱粒子イメージと消滅ガンマ線検出数(検出率・強度)イメージのコントラストは、どちらもビーム強度に比例するためにビーム強度揺らぎの影響を受けてしまい正しいイメージを取得することはできないという問題があることを発明者は発見した。特に加速器を利用した高強度の陽電子ビームでは、しばしばビーム強度が時間と共に揺らぐ(時々刻々と変化する)場合があり、これを画像化するとノイズが入り、不安定なイメージングになってしまうという問題がある。
【0017】
本発明は、これらの問題を解決しようとするものであり、測定対象物である試料等の材料・密度・凹凸の表面状態情報をより高性能でノイズのない画像を得ることを目的とするものである。また、本発明は、陽電子寿命画像や散乱粒子画像などの従来の分析画像とともに消滅ガンマ線検出数のコントラスト画像を用いることにより、測定対象物の情報が集積化された、高精度な画像を得ることを目的とするものである。また、陽電子ビームを走査して照射する際の、試料の位置合わせの確認を、従来からあるガンマ線検出器を利用することにより簡便に実施できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そして、本発明は、上記目的を達成するために、次の特徴を有するものである。
【0019】
本発明の陽電子ビームを用いた画像化方法は、陽電子ビームを測定対象物に走査して照射し、前記陽電子ビームの照射により放出される消滅ガンマ線又は散乱粒子を検出して測定対象物の第1の分析画像を作成するとともに、陽電子が消滅することにより発生する消滅ガンマ線の検出数を求めて前記検出数をコントラストとした消滅ガンマ線検出数画像を作成して、前記第1の分析画像及び前記消滅ガンマ線検出数画像に基づき、第2の分析画像を作成することを特徴とするものである。また、前記第1の分析画像は、前記陽電子ビームの照射により放出される散乱粒子を検出して得た散乱粒子画像であることを特徴とする。さらに、前記第2の分析画像は、消滅ガンマ線検出数と散乱粒子検出数の比をコントラストとする画像であることを特徴とする。本発明における、「コントラストとする画像」とは単色の濃淡のみでなく、カラー化することも含むものである。本発明で、「消滅ガンマ線検出数」とは、消滅ガンマ線の検出数または消滅ガンマ線の単位時間当たりの検出数(検出率または強度ともいう)をいう。また、本発明で、「散乱粒子検出数」とは、散乱粒子の検出数また散乱粒子の単位時間当たりの検出数(検出率または強度ともいう)をいう。
【0020】
また、本発明の陽電子ビームを用いた画像化方法は、前記陽電子ビームの照射により放出される消滅ガンマ線に基づく陽電子寿命画像を同時に作成することを特徴とする。
【0021】
また、前記第2の分析画像は、陽電子ビーム照射装置のノイズを除去した分析画像であることを特徴とする。
【0022】
また、前記第1の分析画像は、前記陽電子ビームの照射により放出される消滅ガンマ線に基づく陽電子寿命画像であることを特徴とする。
【0023】
本発明の陽電子ビームを用いた画像化方法は、陽電子ビームを測定対象物に走査して照射し、陽電子が消滅することにより発生するガンマ線を検出して、消滅ガンマ線の検出数を求めるとともに、前記測定対象物から散乱される粒子を検出して、散乱粒子検出数を求め、前記消滅ガンマ線検出数と前記散乱粒子検出数の比に基づく画像を作成することを特徴とする。
【0024】
本発明の陽電子ビームを用いた画像化装置は、測定対象物に陽電子ビームを走査して照射する手段と、陽電子が消滅することにより発生する消滅ガンマ線を検出する消滅ガンマ線検出器と、前記消滅ガンマ線の検出数を計数する手段と、前記測定対象物からの散乱粒子を検出する検出器と、前記散乱粒子の検出数を計数する手段と、前記消滅ガンマ線の検出数と散乱粒子の検出数の比に基づく画像を作成する手段とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、測定対象物である試料等の材料・密度・凹凸の表面情報をより高性能でノイズのない画像を得ることができる。また、本発明によれば、陽電子寿命画像や散乱粒子画像などの従来の分析画像とともに消滅ガンマ線検出数のコントラスト画像を用いることにより、測定対象物の情報が集積化された、高精度な画像を得ることができる。また、陽電子ビームを走査して照射する際の、試料の位置合わせの確認を、従来からあるガンマ線検出器を利用することにより簡便に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態で用いる陽電子ビーム照射装置。
【図2】本発明の第2の実施の形態で用いる陽電子ビーム照射装置。
【図3】本発明を説明するための陽電子ビームが照射された際の消滅ガンマ線の発生を示す図。
【図4】本発明の消滅ガンマ線の検出数の測定を説明する図。
【図5】本発明の消滅ガンマ線の検出数の測定回路。
【図6】本発明の消滅ガンマ線の検出数の他の測定回路。
【図7】本発明の消滅ガンマ線の検出数の他の測定回路。
【図8】試料の作成を説明する図。
【図9】試料の側面及び正面を示す図。
【図10】本発明の画像の図。
【図11】本発明の他の画像の図。
【図12】本発明の試料及び画像を示す図。
【図13】本発明の比をコントラストとした画像を示す図。
【図14】本発明の実験結果の画像の図。
【図15】従来のガンマ線のエネルギー分布の測定回路を示す図。
【図16】従来のガンマ線のエネルギー分布を示す図。
【図17】従来のVパラメーターを説明する図。
【図18】従来の陽電子寿命分布の測定回路を示す図。
【図19】従来の陽電子寿命分布を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、陽電子ビームを試料等に照射し、その際陽電子が消滅することにより発生する消滅ガンマ線の検出数を求めて、検出数に基づくガンマ線検出数画像を作成し、これを従来の分析画像と組み合わせて画像化する方法及び装置である。
【0028】
(第1の実施の形態)
本発明の装置及び方法を第1の実施の形態を図1を参照して説明する。本発明の装置は、図1の概略図に示すように、陽電子ビーム源A、陽電子ビームB、ビーム走査システム、消滅ガンマ線検出器G、散乱粒子検出器J、測定試料E及びこれらを囲む真空壁Hから主に構成される。ビーム走査システムは、XYビーム偏向器CまたはXY可動式試料ステージDなどを利用する。陽電子ビーム源Aから発射される陽電子ビームBを試料Eに照射し、その際陽電子が消滅することにより発生する消滅ガンマ線Fを消滅ガンマ線検出器Gにより検出する。また、陽電子ビームBを試料Eに照射した際、同時に放出される散乱陽電子I及び散乱粒子I2(電子とイオン)を散乱粒子検出器Jで検出する。得られる消滅ガンマ線の検出数または消滅ガンマ線の単位時間当たりの検出数(検出率または強度ともいう)をコントラストとしたイメージ(消滅ガンマ線検出数画像という)を取得する。また、散乱粒子検出器により検出した散乱粒子の検出数(検出率・強度)をコントラストとしたイメージ(散乱粒子画像という)を取得する。散乱粒子検出器とガンマ線検出器を同時に用いることにより、消滅ガンマ線の検出数、あるいは検出率(強度)をコントラストとしたイメージは、散乱粒子検出数(検出率・強度)をコントラストとしたイメージと同時に得ることができる。そして、同時に得られた消滅ガンマ線の検出数画像と散乱粒子画像を組み合わせることにより新たな分析画像を得る。例えば、消滅ガンマ線の検出数画像と散乱粒子画像のコントラストの比をとることによりノイズの相殺された分析画像を得ることができる。また、消滅ガンマ線の検出数画像は試料表面の材料の種類、凹凸を画像化でき、一方散乱粒子画像は凹凸の画像化が不安定であるところから、両者を組み合わせることにより、安定した表面情報を画像化することができる。
【0029】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態を図2を参照して説明する。図2の概略図に示すように、陽電子ビーム源A、陽電子ビームB、ビーム走査システム(XY可動式試料ステージ)、消滅ガンマ線検出器G、散乱粒子検出器J、測定試料E及びこれらを囲む真空壁H、さらに、陽電子ビームを集束して試料に入射するためのビームレンズ(集束レンズ)K、及びビームの打ち込み深さを調整するためのビーム加速部Lを主とする構成である。さらに、陽電子ビームをパルス化するために、パルス化装置Mを備えている。陽電子寿命をコントラストとしたイメージを取得する時には、陽電子ビームをパルス化することが好ましい。陽電子ビーム源Aから発射されパルス化装置Mによりパルス化された陽電子ビームBを試料Eに照射し、その際陽電子が消滅することにより発生する消滅ガンマ線Fを消滅ガンマ線検出器Gにより検出する。また、陽電子ビームBを試料Eに照射した際、同時に放出される散乱陽電子I及び散乱粒子I2(電子とイオン)を散乱粒子検出器Jで検出する。消滅ガンマ線を検出することにより、陽電子の寿命スペクトル(陽電子の寿命分布ともいう)を測定して、陽電子寿命分布を特徴づけるパラメーター(平均陽電子寿命、複数成分に分解された場合の陽電子寿命やその強度)をコントラストとしたイメージ(陽電子寿命画像という)を取得する。また、得られる消滅ガンマ線の検出数または消滅ガンマ線の単位時間当たりの検出数(検出率または強度ともいう)をコントラストとしたイメージ(消滅ガンマ線検出数画像)を取得する。また、散乱粒子検出器により検出した散乱粒子の検出数(検出率・強度)をコントラストとしたイメージ(散乱粒子画像)を取得する。このように、散乱粒子検出器とガンマ線検出器を同時に用いることにより、消滅ガンマ線の検出数、あるいは検出率(強度)をコントラストとしたイメージは、散乱粒子検出数(検出率・強度)をコントラストとしたイメージと同時に得ることができる。また、消滅ガンマ線の検出数、あるいは検出率をコントラストとしたイメージは、陽電子寿命分布を特徴づけるパラメーターをコントラストとしたイメージと同じ消滅ガンマ線検出器を用いて同時に得ることができる。
【0030】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では、第2の実施の形態で示した陽電子寿命の測定に代えて、もしくはさらに加えて、消滅ガンマ線のエネルギー分布を測定することも同時に行う。陽電子ビームを材料等に走査して照射し、その際陽電子が消滅することにより発生する消滅ガンマ線のエネルギー分布(エネルギースペクトルともいう)を測定することにより、消滅ガンマ線のエネルギー分布の形状を特徴づけるパラメーター(Sパラメーター、Wパラメーター、Vパラメーター等)をコントラストとしたイメージを取得する。これと一緒に、消滅ガンマ線の検出数または消滅ガンマ線の単位時間当たりの検出数(検出率または強度ともいう)をコントラストとしたイメージ(消滅ガンマ線検出数画像)を取得する。また、散乱粒子検出器により検出した散乱粒子の検出数(検出率・強度)をコントラストとしたイメージ(散乱粒子画像)を取得する。消滅ガンマ線の検出数、あるいは検出率をコントラストとしたイメージは、消滅ガンマ線のエネルギー分布の形状を特徴づけるパラメーターをコントラストとしたイメージと同じ消滅ガンマ線検出器を用いて同時に得ることができる。
【0031】
(第4の実施の形態)
第2の実施の形態では陽電子寿命画像と散乱粒子画像とガンマ線検出数画像の3画像を取得したが、これに換えて、第4の実施の形態では、陽電子寿命画像とガンマ線検出数画像と2画像を取得し、これに基づいて新たな分析画像を作成する。ガンマ線検出数画像は、陽電子寿命画像にない試料の表面情報を有しているので、陽電子寿命画像に、ガンマ線粒子画像の表面情報を組み合わせることにより、新たな分析画像が得られる。
【0032】
(消滅ガンマ線検出数画像について)
本発明の特徴である消滅ガンマ線検出数画像について詳しく述べる。消滅ガンマ線の検出数や消滅ガンマ線の単位時間当たりの検出数(検出率または強度)をコントラストとしたイメージを取得することにより、試料での陽電子の消滅のしやすさ、あるいは陽電子の反射のしやすさに関する情報を得ることができ、試料の分析や、陽電子ビームの試料の照射部を確認するのに有用である。これは、次のように説明できる。陽電子ビームBを試料Eに照射した際に、散乱した陽電子Nは、多くの場合、試料から離れた真空壁Hで消滅して消滅ガンマ線Oを発生する。陽電子が試料Eで消滅することにより発生する消滅ガンマ線Fと、散乱した陽電子Nが試料以外(真空壁H等)で消滅することにより発生する消滅ガンマ線Oとは、消滅ガンマ線の発生する場所が異なるために、消滅ガンマ線の検出器により検出される確率が異なる(図3)ためと考えられる。また、消滅ガンマ線の検出数、あるいは検出率をコントラストとしたイメージは、消滅ガンマ線のエネルギー分布を特徴づけるパラメーター・陽電子寿命分布を特徴付けるパラメーターをコントラストとしたイメージからは得られない材料の密度・表面の凹凸といった情報を知ることができるため、材料分析や研究に有用であり、また、陽電子ビームの照射(走査)位置を確認するのにも有用である。また、散乱粒子画像により得られる試料表面の情報が複雑であるのに対して、消滅ガンマ線の検出数(検出率・強度)のイメージは、散乱電子や脱離イオンが関与せず、散乱陽電子のみが関与した結果得られる情報であるために解釈がより容易であり、試料表面に付着した不純物の影響を受けにくい。
【0033】
(消滅ガンマ線の検出数の求め方)
(1)従来技術のSパラメーター、Wパラメーター、Vパラメーターは共に、統計的な揺らぎを除けばガンマ線の検出数に依存しないで、ガンマ線エネルギースペクトル(分布)の形状に依存した値である。一方、消滅ガンマ線の検出数を求める場合には、あるエネルギー範囲の検出数(面積)を求めればよい。例えば、測定したガンマ線エネルギー分布の評価法を図示した図4において、511keVピーク全体の検出数(斜線の面積)を求めればよい。また例えば、図17において、0keV近くから511keVピーク全体の検出数(面積)を含む高エネルギー側の範囲までのガンマ線の全検出数を求めればよい。あるいは、消滅ガンマ線の検出率(強度)を求める場合には、あるエネルギー範囲の検出数(面積)を測定時間で割ったものを求めればよい。陽電子ビームの照射位置の情報とガンマ線の検出数(検出率・強度)を同時に得ることにより、陽電子消滅ガンマ線の検出数(検出数・強度)をコントラストとしたイメージングを行うことができる。
【0034】
(2)半導体検出器と呼ばれるガンマ線検出器を用いてガンマ線の検出数(あるいは検出率・強度)を測定する場合に、マルチチャンネル波高分析器を用いてガンマ線のエネルギー分布を測定しなくとも、カウンタやスケーラを用いて直接計数することによりシンプルな回路を用いて測定することができる。図5のように、ガンマ線検出器により消滅ガンマ線が検出された信号を、前置増幅器、比例増幅器、波高分析器を介してカウンタ又はスケーラに入力して、カウンタ又はスケーラにより検出数を計数し、かつコンピューターによりビーム照射位置を制御する。
(3)陽電子寿命測定のための装置構成を用いて、消滅ガンマ線の検出数を求める場合には、陽電子寿命スペクトルのある時間範囲の検出数(面積)を求めればよい。例えば、図19に示す陽電子寿命スペクトル全体の面積を求めて検出数とすればよい。陽電子寿命測定のための装置構成を用いて、単位時間あたりの消滅ガンマ線の検出数を求める場合には、陽電子寿命スペクトルのある時間範囲の検出数(面積)を測定時間で割ればよい。
【0035】
(4)シンチレーション検出器を用いてガンマ線の検出数(あるいは検出率・強度)を測定する場合に、マルチチャンネル波高分析器を用いて陽電子の寿命分布を測定しなくとも、カウンタやスケーラを用いるよりシンプルな回路を用いて測定することができる。図6のように、ガンマ線検出器により消滅ガンマ線が検出された信号を、微分型波高分析器、時間波高変換器を介してカウンタに入力して、カウンタにより検出数を計数し、かつコンピューターによりビーム照射位置を制御する。または、図7のように、ガンマ線検出器により消滅ガンマ線が検出された信号を、微分型波高分析器を介してカウンタに入力して、カウンタにより検出数を計数する。
【0036】
(実施例)
消滅ガンマ線画像と散乱粒子画像と陽電子寿命画像とを取得し新しい分析画像を得た実施例を示す。
【0037】
図2に示すような、陽電子寿命をコントラストとしたイメージを測定するための装置を用いた。ビーム径100マイクロメートルほどの陽電子ビームBをパルス化装置Mを通してパルス化陽電子ビームに変換して、試料E上を50マイクロメートルステップで走査して、1ステップの測定時間を2秒に設定して、消滅ガンマ線を検出する。走査には、XY可動式試料ステージDを用いる。パルス化装置Mのパルス化信号と、ガンマ線検出器Gのガンマ線検出信号の時間差を用いて陽電子寿命を測定することにより、陽電子寿命(陽電子の平均寿命)をコントラストとしたイメージを得る。陽電子寿命をコントラストとしたイメージを測定する際に、同時に消滅ガンマ線の検出数(検出率・強度)を記録して、記録した消滅ガンマ線の検出率数(検出率・強度)をコントラストとしたイメージを得る。
【0038】
この実施例では、本発明の効果を示すために次のような試料を作成した。試料の準備を図8及び図9に示す次の手順により行う。石英ガラスに150keVのアルゴンイオンビームを1015/cm(単位平方センチメートル当たり1015個)程度を、金属メッシュマスク10(線形250マイクロメートル)を通して照射した。アルゴンのイオンビームの照射で、マスクされていない部分の石英表面は掘り下げられて、イオンビーム照射のなかった部分11と表面が掘り下げられた部分12が生じた。表面段差計で数ナノメートル程度掘り下げられていることを確認した。アルゴンイオンは、深さ200nm程度に打ち込まれ、同程度の深さまで、照射欠陥を生成する。また、図9には、試料を側面と上面からみた図を示す。試料は、石英ガラス24の2辺には、縦長21と横長22に角で重なるように、タンタルリボンで覆う。タンタルの重なる箇所には段差23がある。
【0039】
図2の装置に、石英ガラス試料にセットして、陽電子ビームを走査して入射し、陽電子寿命(陽電子平均寿命)をコントラストとしたイメージと、陽電子平均寿命をコントラストとしたイメージと同時に取得した消滅ガンマ線の検出率(強度)をコントラストとしたイメージと、散乱粒子イメージとを同時に得た。陽電子ビームのエネルギーは、4.6keV程度に設定する。得られた画像を、写真に代えて模式的に図10に示す。図10(a)は陽電子寿命画像で、陽電子寿命の長い箇所(白部)、中間の箇所(斜線部)、短い箇所(黒部)が画像化される。同(b)はガンマ線検出数画像(ガンマ線検出率画像又はガンマ線強度画像ともいう)で、消滅ガンマ線強度(検出数)の強い箇所(白部)、中間の箇所(斜線部)、弱い箇所(黒部)が画像化される。同(c)は散乱粒子画像で、散乱粒子強度のとても強い箇所(点部)、強い箇所(白部)、中間の箇所(斜線部)、弱い箇所(黒部)が画像化される。各画像がすべて異なるイメージであり、異なる情報を提供していることが分かる。陽電子寿命画像は、イオン照射した箇所が、鮮明に検出することができ、内部に照射欠陥が形成されていることを明らかにする。ガンマ線強度画像では、イオンの照射痕を検出せずに、材料の違いのみを明らかにする。散乱粒子画像では、表面の微小な凹凸の一部を示す。このように、ガンマ線強度画像は、陽電子寿命画像や散乱粒子画像とは異なる画像になる場合があり、特に未知の試料に対して陽電子寿命画像による診断を行う場合には、事前に試料に対しての十分な情報を得ていない場合が想定され、試料分析のための貴重で有用なヒントを与える。
【0040】
散乱粒子画像は、ビームの集束レンズの設置条件のわずかな違いにより、表面の凹凸が識別できる図10のような画像が得られる場合もあるが、表面の凹凸が識別できないで材料のみを識別するような図11のような画像が得られる場合もある。図11は、図10と同様、得られた画像を、写真に代えて模式的に図示したものである。集束レンズの設置条件により散乱粒子画像は、表面の凹凸のわずかな違いを識別したり、識別しなかったりするために画質の安定度にかけるが、一方、ガンマ線強度の画像はレンズ位置の違いによりほとんど変化しないために、散乱粒子画像に、ガンマ線粒子画像の情報を組み合わせることにより、画質の安定度した情報が得られる。また、図11(a)は陽電子寿命画像である。同(b)はガンマ線検出数画像(ガンマ線検出率画像又はガンマ線強度画像ともいう)であり、消滅ガンマ線強度(検出数)の強い箇所(白部)、中間の箇所(斜線部)、弱い箇所(黒部)が画像化され、タンタルの段差が中間の箇所(斜線部)33として画像化されている。同(c)は散乱粒子画像で、散乱粒子強度の強い箇所(白部)、中間の箇所(斜線部)、弱い箇所(黒部)が画像化され、タンタルの段差が中間の箇所(斜線部)として画像化されている。このように、図10及び図11では、陽電子寿命画像には画像化されないタンタルの段差が、ガンマ線検出数画像には画像化されている。このように、ガンマ線強度画像は、陽電子寿命画像にない試料の表面情報を有している。陽電子寿命画像に、ガンマ線粒子画像の表面情報を組み合わせることにより、新たな分析画像が得られることが分かる。
【0041】
図2の装置を用いて、石英ガラスの一部をタンタルで覆った図9の試料のガンマ線検出(検出率・強度)画像と散乱粒子画像を取得する際に、ビーム強度の時間的変動があると、得られるガンマ線検出画像と散乱粒子画像には、ビーム走査を下方向に沿ってノイズがのってしまう。図12(a)は、試料に矢印で示す方向にビームを走査したときの、図12(b)に消滅ガンマ線検出率画像、同(c)に散乱粒子画像を模式的に図示する。両画像において存在している斜線部の強度が中間である箇所は、陽電子ビーム強度が一時的に減少して変動した場合によるノイズであると考えられる。そこで、ガンマ線検出数(検出率、強度)と散乱粒子検出数(強度)の比をとり、該比をコントラストとした画像を作成する。図13に、比をコントラストとした画像を模式的に図示する。このように、得られる画像は、ビームの変動にはよらないものとなる。図13の(a)(b)は、分母と分子を入れ替えた画像であり、ノイズのない画像を得ることができる。
【0042】
実際に実験で得た画像を図14に示す。ビームエネルギー7.8keVで、図9と同様の試料を用いて、測定時間は1画素(0.05mm×0.05mm)を1秒で行い画像を取得した。図14(a)は、ガンマ線強度(ガンマ線計測強度)Iγをコントラストとした画像、同(b)は、散乱粒子強度(散乱粒子計測強度)IMCPをコントラストとした画像である。同(a)と(b)には、ノイズ(2本の縦筋)が見える。同(c)は、ガンマ線強度と散乱粒子強度の比(ガンマ線強度が分子)をコントラストIγ/IMCPとした画像で、同(d)は、散乱粒子強度とガンマ線強度の比(散乱粒子強度が分子)IMCP/Iγをコントラストとした画像である。このように、ノイズのない新しい画像を得ることができた。ノイズを除去した画像に基づいて、試料の表面情報をさらに高精度で画像化することができる。
【0043】
上記実施例では、本発明の効果を示すために試料を工夫した。本発明の実施にあたっては、未知の測定対象物に陽電子ビームを照射して測定対象物を分析して微少な表面情報を画像化することができ、短時間で、ノイズのない高性能な画像を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の陽電子ビームを利用した画像化方法及び画像化装置は、従来の装置では得られなかった高性能の画像が得られるので、他の計測技術では測定困難な先端材料や未知な試料の分析に有用である。
【符号の説明】
【0045】
A、 陽電子ビーム源
B、 陽電子ビーム
C、 XYビーム偏向器
D、 XY可動式試料ステージ
E、 測定試料
F、 消滅ガンマ線
G、 消滅ガンマ線検出器
H、 真空壁
I、 散乱陽電子
I2、 散乱粒子(電子とイオン)
J、 散乱粒子検出器
K、 集束レンズ
L、 ビーム加速部
M、 パルス化装置
10、 金属メッシュマスク
21、22、 タンタルリボン
23、 段差
24、 石英ガラス
33、 段差の画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽電子ビームを測定対象物に走査して照射し、
前記陽電子ビームの照射により放出される消滅ガンマ線又は散乱粒子を検出して測定対象物の第1の分析画像を作成するとともに、
陽電子が消滅することにより発生する消滅ガンマ線の検出数を求めて前記検出数をコントラストとした消滅ガンマ線検出数画像を作成して、
前記第1の分析画像及び前記消滅ガンマ線検出数画像に基づき、第2の分析画像を作成することを特徴とする陽電子ビームを用いた画像化方法。
【請求項2】
前記第1の分析画像は、前記陽電子ビームの照射により放出される散乱粒子を検出して得た散乱粒子画像であることを特徴とする請求項1に記載された陽電子ビームを用いた画像化方法。
【請求項3】
前記第2の分析画像は、消滅ガンマ線検出数と散乱粒子検出数の比をコントラストとする画像であることを特徴とする請求項2に記載された陽電子ビームを用いた画像化方法。
【請求項4】
前記画像化方法において、前記陽電子ビームの照射により放出される消滅ガンマ線に基づく陽電子寿命画像を同時に作成することを特徴とする請求項2に記載された陽電子ビームを用いた画像化方法。
【請求項5】
前記第2の分析画像は、陽電子ビーム照射装置のノイズを除去した分析画像であることを特徴とする請求項1に記載された陽電子ビームを用いた画像化方法。
【請求項6】
前記第1の分析画像は、前記陽電子ビームの照射により放出される消滅ガンマ線に基づく陽電子寿命画像であることを特徴とする請求項1に記載された陽電子ビームを用いた画像化方法。
【請求項7】
陽電子ビームを測定対象物に走査して照射し、
陽電子が消滅することにより発生するガンマ線を検出して、消滅ガンマ線の検出数を求めるとともに、
前記測定対象物から散乱される粒子を検出して、散乱粒子検出数を求め、
前記消滅ガンマ線検出数と前記散乱粒子検出数の比に基づく画像を作成することを特徴とする陽電子ビームを用いた画像化方法。
【請求項8】
測定対象物に陽電子ビームを走査して照射する手段と、
陽電子が消滅することにより発生する消滅ガンマ線を検出する消滅ガンマ線検出器と、
前記消滅ガンマ線の検出数を計数する手段と、
前記測定対象物からの散乱粒子を検出する検出器と、
前記散乱粒子の検出数を計数する手段と、
前記消滅ガンマ線の検出数と散乱粒子の検出数の比に基づく画像を作成する手段とからなることを特徴とする陽電子ビームを用いた画像化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−223890(P2010−223890A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74059(P2009−74059)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度独立行政法人科学技術振興機構委託研究「先端計測分析技術・機器開発事業/透過型陽電子顕微鏡」産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】